JP3751654B2 - 有機薄膜素子 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、電気又は光による信号の制御、記憶、伝達などの機能を有する有機薄膜素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、有機分子の多彩な物性を利用して、従来の半導体デバイスにはない新規な機能を有するデバイスを実現しようとする分子エレクトロニクスへの関心が高まっている。これまでに、有機分子を非線形光学素子、スイッチング素子、電界発光素子などへ応用しようとする研究が活発に行なわれている。これらの素子への応用という観点からは、有機分子間の電荷移動現象が特に注目される。
【0003】
有機材料のうちには、イオン化ポテンシャルが小さく、他の分子に電子を供給して自らは正のイオンになりやすいドナー分子と、電子親和力が大きく、他の分子から電子を受け取って自らは負のイオンになりやすいアクセプター分子とがある。これら2種の分子間には、電荷移動錯体と称される化合物が形成されることはよく知られている。例えば、ペリレンとテトラシアノキノジメタン(TCNQ)との化合物は、中性分子からなる化合物である。一方、テトラメチルフェニレンジアミン(TMPD)とTCNQとの化合物は、それぞれの分子が正、負となったイオン性の化合物である。また、テトラチアフルバレン(TTF)とクロラニル(CA)との化合物は、温度や圧力の変化によって中性−イオン性転移が観測されることも知られている(J.B.Torrance et al.:Phys.Rev.Lett.,46,253(1981))。
【0004】
このような有機分子における電荷移動現象を、電気素子、光学素子の動作原理として応用する場合に重要な点は、電界や光により、いかに効率よく、しかも制御性よく電荷移動を起こさせるかということである。最近、電荷移動錯体の電気的特性に関して、興味ある結果が報告されている(十倉好紀ら:1988年秋、物理学会予稿集、3a−S4−1,3a−S4−2,3a−S4−3他、Y.Tokura et al.:Physica 143B,527(1986))。すなわち、ドナー分子とアクセプター分子とが、互いに分子面を向かい合わせて積層されている交互積層型錯体結晶では、比誘電率の異方性が高く、積層方向の比誘電率が100〜1000と極めて高いこと、103 〜104 V/cmオーダーの電界下での非線形な電気伝導やスイッチング特性が観察されることが報告されている。その原因として、中性結晶内に熱的又は電気的に生成されたイオン性ドメイン又はイオン性結晶内の中性ドメインが、電界により動力学的に動くことが考えられている。
【0005】
この現象は、中性−イオン性転移と関連性があるものの、極めて局所的な変化であって、結晶全体が巨視的に変化しているわけではない。現状では、電界や光による巨視的な中性−イオン性転移は実現していない。
【0006】
電荷移動錯体において、電界により巨視的な中性−イオン性転移を起こすためには、素子内の電界の方向とドナー分子及びアクセプター分子の積層軸の方向とが一致していることが極めて重要である。このように有機分子の特性を活かしたデバイスを実現するためには、膜厚などのサイズや膜内の構造的均一性はもちろんのこと、膜内の1分子オーダーでの分子配列、隣接する分子間の相互配置及び分子方向を制御することが非常に重要となる。
【0007】
近年、分子配向、配列が制御された超薄膜を作製する方法の1つとして、Langmuir−Blodgett(LB)法が注目を集めている。これは、水面上に形成された単分子膜を一層ずつ基板上に累積して、同種又は異種の超格子膜を作製する方法である。しかし、実際には、水面上に展開された膜中の分子のパッキング状態や均一性が悪く、基板に累積する際に単分子膜構造が乱れるという問題がある。このため、膜全体又は累積層間の分子配向が制御された超格子薄膜を形成できるレベルには至っていない。LB法による成膜技術を向上させるためには、LB法に適した分子の設計と、その合成技術の確立が必要となっている。
【0008】
一方、特別な分子設計を必要とせず、ほとんどの有機分子に容易に適用できる技術として、真空蒸着法に関する研究も盛んに行われている。しかし、真空蒸着法では、分子蒸着源をいったんガス化して再び凝集させるため、ガス化分子の供給速度、基板表面に付着した分子の表面拡散や結晶化などの速度のバランス、吸着分子と基板表面との相互作用に依存して、膜構造や分子配向が種々変化することが予想される。
【0009】
従来の有機蒸着膜に関する研究では、主として長鎖炭化水素系直線状分子やフタロシアニンなどの平板状分子について、種々の基板上での薄膜成長過程と分子配向に関する検討がなされてきた。基板としては、電子顕微鏡、電子線回折による評価を目的とする場合には単結晶アルカリハライド、単結晶金属;光学的評価を目的とする場合には石英;電気的評価を目的とする場合にはSi単結晶;などが主に用いられている。蒸着条件については、基板温度及び蒸着速度の影響を調べた例が多い。アメリカのVincettらは、蒸着材料、基板の種類によらず、絶対温度で基板温度を蒸着材料の沸点の1/3に設定することにより、均一な連続膜が形成できると報告している。しかし、蒸着条件を適性化しただけでは、任意の基板上に蒸着される有機薄膜の配向を制御することは極めて困難である。
【0010】
基板がその上に蒸着される有機薄膜の分子配向に及ぼす影響については、以下のような研究が知られている。(1)西ドイツのKarlらは、清浄なSi単結晶表面に形成された数分子層のペリレンテトラカルボン酸二無水物の蒸着膜では、分子面が基板表面に平行に配向していることを報告している。(2)原は、分子線蒸着法を用いたフタロシアニン蒸着膜の研究において、通常の高真空蒸着では不連続膜しか形成できない条件でも、超高真空下で蒸着速度を0.1nm/min程度の非常に遅い条件にすることにより、均一な連続膜で、しかも分子面が基板表面に平行配向した膜を形成できると報告している。この研究では基板と蒸着された有機結晶との格子不整合を回避する目的で、ファンデアワールス・エピタキシーの考え方に基づき、基板として層状化合物であるMoS2 が用いられている。(3)原田らは、グラファイト基板上に形成された数分子層のペンタセン蒸着膜では、分子面が基板表面に平行配向していることを報告している。
【0011】
ただし、このように真空蒸着法による薄膜形成に関して多種多様な研究がなされているにもかかわらず、膜構造、分子配向の制御因子が統一的に理解されている状況ではない。これに対し本発明者らは、基板と蒸着分子との間に生じる相互作用に着目して、鋭意検討した。その結果、芳香族分子の蒸着膜を成膜する場合、蒸着膜と化学構造及び電子構造の点で類似性の高い高配向グラファイト基板を用い、蒸着条件を適性化すれば、均一な連続膜が容易に形成できることを見出した。また、高配向グラファイト基板上に蒸着される芳香族分子の配向を決定づける因子は、グラファイト基板表面のπ電子と芳香族分子のπ電子との間に生じるファンデアワールス相互作用であると推定される。この相互作用により、分子はその主たる分子面が基板と平行になるように配向された状態でエネルギー的に最も安定となると考えられる。しかし、グラファイト基板を用いた場合には、このような相互作用は芳香族分子の分子配向の上で満足できるものではなく、しかもグラファイト基板上では電子デバイス又は光学デバイスとしての素子構成が困難である。さらに、基板上に直接有機薄膜を形成する場合は、基板の材料によっては酸化などの基板の表面劣化の影響が避けられず、結果的に基板上に形成される有機薄膜中の分子配向を制御できなくなるという問題もある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
前述したように、有機薄膜においては、分子配向が薄膜構造を特徴づける重要なパラメータである。しかし、有機薄膜の薄膜成長条件を適性化するだけでは、下地基板上に形成される有機薄膜中の分子配向を制御することは極めて困難であり、かつ、有機薄膜がその上に蒸着される下地基板の材質についても、これまで種々検討されているが、未だ十分な分子配向制御は実現されていない。同様に、異種分子の積層膜を形成する場合にも、下地有機薄膜上に形成される有機薄膜中の分子配向を制御することは極めて困難である。したがって、薄膜成長過程における有機分子の配向を決定する因子を明らかにし、分子配向を制御できる手段を確立することが重要である。
【0013】
本発明の目的は、基板の材質にかかわらず、有機薄膜の構造および配向性を良好に制御することができ、表示素子などとして実用化できる有機薄膜素子を提供することにある。
また、本発明の目的は、有機薄膜の構造を自由に制御することを可能とし、表示素子・記憶素子などとして実用化できる有機薄膜素子を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段および作用】
第1の発明の有機薄膜素子は、基板上に少なくとも1層の有機薄膜を有する有機薄膜素子において、前記有機薄膜の下地最表面に、電子分極率が2×10-24 cm3 以上の原子を含有し、かつその表面密度が1×1014cm-2以上である界面層を設けたことを特徴とする。
【0015】
また、第2の発明の有機薄膜素子は、基板上に少なくとも1層の有機薄膜を有する有機薄膜素子において、前記有機薄膜に接する基板本体及び前記有機薄膜の直下に設けられた界面層のいずれか一方が、層間にインターカラントを含有するグラファイト層からなることを特徴とする。
【0016】
さらに第3の発明の有機薄膜素子は、基板上に少なくとも1層の有機薄膜を有する有機薄膜素子において、前記有機薄膜に接する基板本体及び前記有機薄膜の直下に設けられた界面層のいずれか一方が、BNまたはBC 2 からなることを特徴とする。
【0017】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
まず、本発明の特徴的な構成要件である、有機薄膜に接してこの薄膜の下地となる層がもつべき特性を導き出すための理論的な考察について説明する。なお、有機薄膜の下地となる層とは、基板上に界面層を介して有機薄膜が形成されている場合には、この界面層を表わし、基板の直上に有機薄膜が形成されている場合には基板本体を表わす。
【0018】
孤立した有機分子1分子の任意の下地表面における分子配向は、その分子と下地表面との相互作用によって決定される。この相互作用には、一般に双極子−双極子相互作用、双極子−有機双極子相互作用、分散力、交換斥力、及び静電相互作用が関与する。
【0019】
一方、有機分子の薄膜成長過程においては、膜成長する分子どうしの分子間相互作用が分子配向を決定する上で重要な役割を果たす。分子間相互作用のみが働く状況下においては、分子はバルク結晶と同様な分子配向をとろうとする。この場合、薄膜成長過程で核発生を制御できなければ、ランダムな配向の多結晶膜が成長してしまう。このため、分子間相互作用に打ち勝って、薄膜中の分子配列を制御するには、分子−下地表面間の相互作用を著しく強めることが必要となる。したがって、任意の下地表面に良好に配向制御された有機薄膜を形成するためには、下地最表面に有機分子との間に強い相互作用を生じさせるような界面層を形成することが有効な手段となる。
【0020】
下地上に膜成長する分子が非極性分子の場合には、分子−下地表面間の相互作用の主要部分を分散力(ファンデアワールス力)が占める。この分散力の起源は、両者の構成原子が分極して生じた誘起双極子−誘起双極子間に働く相互作用である。すなわち、一方の構成原子に着目すると、双極子モーメントの時間平均がゼロであっても、その原子は瞬間的には核と電子との配置によって決定される瞬間双極子モーメントを持っている。この瞬間双極子モーメントが他方の構成原子を分極して双極子モーメントを誘起する。したがって、分子−下地表面間には、誘起双極子−誘起双極子相互作用が働く。Londonによれば、2個の異種原子間の分散力ωは、下記式(1)で与えられる。
【0021】
【数1】
Figure 0003751654
【0022】
この相互作用は2原子間の距離rの6乗に反比例することから、膜成長する分子との相互作用に関与するのは、下地の最表面に存在する原子が主であるとみなすことができる。また、この相互作用は2原子の電子分極率の積α1 α2 に比例することから、相互作用を強めるためには下地の最表面を構成する原子の電子分極率ができるだけ高いことが重要である。
【0023】
以上、非極性分子が下地上に成長する場合に主に関与する相互作用、すなわち、分子−下地表面間に働くファンデアワールス力について説明したが、さらに、第1、第2及び第3の発明それぞれについて詳細に説明する。
【0024】
第1の発明においては、電子分極率が2×10-24 cm3 以上の原子で、表面密度が1×1014cm-2以上となるように最表面が構成された界面層を形成する。このような界面層を形成することにより、有機分子との相互作用を強めることができ、有機分子の良好な配向を実現できる。第1の発明において、界面層の最表面を構成する原子の電子分極率が2×10-24 cm3 未満の場合には、(1)式から明らかなように、分子−下地表面間の相互作用を強めることができない。このような界面層の最表面を構成する原子としては、種々のものを用いることができる(例えば、CRC Handbook of Cemistry andPhysics,73rd Edition.CRC Press,INC.,10−194〜199参照)。これらのうちでは、電子分極率が10×10-24 cm3 以上であるものがより好ましく、例えば、Sc,Ti,V,Cr,Rb,Sr,Y,Zr,Nb,Mo,Tc,In,Cs,Ba,La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Td,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Hf,Ta,Wなどが挙げられる。
【0025】
なお第1の発明で、下地最表面の原子が酸化されると、表面が酸素などの電子分極率が低い原子に置き替わるため、その上に成長する有機分子の配向を制御することはできない。しかしながら、例えば、界面層と有機薄膜とを真空を破ることなく連続的に形成することで容易に下地最表面の酸化を避けることができる。また、上述したような金属原子からなる界面層を用いた場合には、その上に成長する有機分子との間でd軌道電子と有機分子のσ電子もしくはπ電子との相互作用が生じ、有機分子の物性を変化させてしまうおそれがある。そこで、このような相互作用による問題を避けるために、d軌道電子を有していない塩素、臭素、ヨウ素、硫黄、セレン、テルル、燐、ヒ素、アンチモンなどが最表面に露出するようにハロゲン化合物、カルコゲン化合物、V族化合物で界面層を形成してもよい。これらの非金属原子は、上述した金属原子と比較して電子分極率が低いが、その上に成長する有機分子の配向を制御するのに十分な電子分極率を有する。
【0026】
さらに第1の発明において、界面層の最表面を構成する原子の表面密度が1×1014cm-2以上に限定されるのは、表面密度が1×1014cm-2未満だと、その上に成長する有機分子の表面密度に対し有機分子の配向を制御する原子が不足するため、やはり分子−下地表面間の相互作用を強めることができないからである。第1の発明でこの1×1014cm-2という値は、芳香族分子を下地上に吸着させた場合のベンゼン環の表面密度にほぼ相当し、一般的に上述したような原子の表面密度では8×1014cm-2以上となる。なお、第1の発明においては、最表面を構成する原子の表面密度は、オージェ電子分光、電子線回折、STM、AFMなどで容易に測定が可能である。
【0027】
第2の発明においては、有機薄膜の直下に形成された界面層として、層状構造物質からなり、層間にインターカラントを含有する層間化合物を使用している。これは、以下のような考察に基づくものである。
【0028】
前述の式(1)に示したように、下地−分子間の相互作用を強めるためには、下地の最表面を構成する原子の電子分極率とその表面密度とを高めることが重要である。このような観点に立てば、代表的な層状構造物質であるグラファイトは、その表面平滑性及び高原子密度という性質からは、芳香族系分子を平行に配向させるのに適切な下地であることが理解できる。一方で、グラファイトの構成原子である炭素の電子分極率は2×10-24 cm3 未満であり、電子分極率が2×10-24 cm3 以上の原子が有機分子の配向に関与することが望まれる。
【0029】
しかしながら、下地−分子間相互作用をさらに強めるために、炭素より高い電子分極率を有する原子を下地表面に単に配置しようとすると、十分な相互作用が得られない場合がある。すなわち、電子分極率は原子の電子雲の体積に比例するという関係があるために表面原子密度が低下してしまい、全体として分子−下地間相互作用が強くならない。
【0030】
本発明者らは、グラファイト最表面層と表面第2層との間にインターカラントを挿入した層間化合物を界面層として使用することが、下地−分子間相互作用をさらに増強させるために有効であることを見出した。すなわち、グラファイトを用いることで、その本来の特性である表面平滑性及び高原子密度を保つことができ、グラファイト最表面層からの分散力が維持される。また、層間に挿入されたインターカラントは、多くの場合グラファイト第2層と同レベル又はより表面に近い位置に存在するので、このインターカラントからの分散力も下地−分子間相互作用に大きく寄与することになる。したがって、インターカラントからの分散力が付加されることによって、下地と分子との間の相互作用をさらに強化することができる。
【0031】
これに対して、単にグラファイトを下地として用いた場合には、グラファイトの表面第1層と分子との間に働く相互作用に比較して、第2層と分子との相互作用は1/100程度に低下するので、第2層が寄与した相互作用は、ほとんど無視される。
【0032】
なお、インターカラントとしては、任意の金属原子等を使用することができるが、より大きな相互作用を得るためには、グラファイトの場合、炭素原子よりも高い電子分極率を有する原子を挿入することが好ましい。高い電子分極率を有するインターカラントとしては、Li、K、Rb、及びCs等のアルカリ金属;Ca、Sr及びBa等のアルカリ土類金属;Sm、Eu、Yb及びTm等の希土類金属;Mn、Fe、Ni、Co、Cu及びMo等の遷移金属;Br、Cl及びI等のハロゲンなどが挙げられる。
【0033】
これらのインターカラントは、少なくともグラファイトのような層状構造物質の最表面層と表面第2層の間に含有されていれば、本発明の効果を得ることができる。したがって、層間化合物のステージ構造は、特に限定されるものではなく、任意のステージ構造を選択することができる。
【0034】
この第2の発明のように、下地として層間化合物を用いることは、下地−分子間の相互作用を増大させるのみならず、さらに別の新たな効果を与える。その一つは、下地である層間化合物の結晶格子を反映させた有機薄膜格子を形成可能であるということである。層間化合物においては、インターカラントが規則格子を組み、この規則格子の大きさはインターカラントの種類・ステージ構造によって様々に変化させることができる。例えば、インターカラントがKの層間化合物の場合、ステージ1ではKC8 の組成を有し、グラファイト単位格子の2倍周期に当たる2×2構造を示す。ステージ2では、この物質の組成はKC24となり、格子のサイズも121/2 ×121/2 に変化する。また、インターカラントがRbの層間化合物は、RbC24の組成で71/2 ×71/2 構造を示す。
【0035】
したがって、インターカラントと表面分子との相互作用が十分に強ければ、インターカラントの位置は特異な吸着サイトとして働くので、下地である層間化合物の結晶格子を反映させた有機薄膜格子を形成することが可能になる。なお、従来の下地上に薄膜を形成した場合には、薄膜の分子配列は分子の相互作用によって決定されるために、薄膜格子は容易に変えることができなかった。これに対し、本発明のように層間化合物からなる下地を用いれば、分子種によらず所望の薄膜格子を形成することが可能となるので、新たな薄膜構造制御法を与えることができる。
【0036】
また、層間化合物を下地としたことに起因する他の効果は、表面に同符号イオンを並べた非平衡な構造を実現できることである。このメカニズムは以下のように説明される。すなわち、層間に挿入されたインターカラントがグラファイト層と電荷移動を起こすことによりイオン化し、その電荷シートを遮蔽するように隣接するグラファイト層に可動電荷が集中する。これによって、最表面グラファイト層を、単一符号の荷電シート状態にすることができ、例えば、イオン化した有機錯体の薄膜を成長させる際には、負にチャージした表面を使うことによって+電荷を有するドナー性分子から優先的に成長させることが可能となる。なお、電荷の符号や量は、インターカラントの種類によって制御することができるので、所望の構造の薄膜を形成することができる。
【0037】
一方、通常のイオン結晶下地では、表面に同符号イオンを並べた構造を実現することは困難であり、またイオン化した錯体を成長させる場合では、表面に+符号のドナー性分子と−符号のアクセプター性分子が交互に配列しやすい。したがって、前述のような非平衡な構造は、通常の下地では実現し得ないものであり、本発明にかかる層間化合物を用いることによって初めて達成することが可能となる。
【0038】
上述のように、第2の発明においては、表面平滑性等の層状構造物質の利点を活かしつつ、この層間にインターカラントを含有させた層間化合物を下地として用いることによって下地−分子間相互作用を増強するものである。しかも、かかる層間化合物は、導電性を有するものもあるので、有機薄膜の直下に形成された界面層のみならず、基板本体として使用することもできる。このように、基板本体として層間化合物を使用した場合には、基板を電極としてそのまま利用できる等の効果が得られる。
【0039】
以上、第1及び第2の発明では、下地と分子との間に働くファンデアワールス力に着目して、下地−分子間相互作用を増大させたが、下地−分子間相互作用は、大きく分けてファンデアワールス相互作用と静電相互作用とに分類されるものであり、下地又は分子の条件によっては、静電相互作用の寄与も大きくなる。例えば、下地がイオン性結晶である場合、及び分子内に強い分極電荷を有する場合には、分子を構成する各原子上に分布した電荷によって生じる下地−分子間の静電相互作用ならびに誘起相互作用は、前述の式(1)で表わされる分散力と同等程度に寄与することが考えられる。
【0040】
したがって、表面平滑性・高原子密度というグラファイト等の層状構造物質の特性を維持し、この特性にさらに静電相互作用を導入することができれば、下地−分子間相互作用をいっそう増強させることが可能となる。
【0041】
そこで、第3の発明においては、有機薄膜の直下に形成された界面層として、表面が異種原子から構成された層状構造物質を使用する。このように表面の層骨格の構成原子を異種原子の組合わせとすることによって各原子に電荷分布が生じ、この分布電荷と薄膜分子の分布電荷との静電相互作用が付加されて、基板−分子間相互作用をよりいっそう強めることができる。
【0042】
グラファイト類似の層状構造を残したまま、この層を構成する原子に電荷を発生させるためには、グラファイト類似骨格の表面が電気陰性度の異なる異種原子で構成されていることが必要となる。本発明者らは、このような構成を実際に有する窒化ボロン(BN)に着目し、NaCl型結晶と比較して、このBNを薄膜形成下地として用いた際の下地−分子間相互作用を以下のように考察した。
【0043】
電荷分布を有する分子と下地との相互作用を表わすには、点多重極子近似が用いられ、分子内の電荷分布は、多重極展開によって下記式(2)のように表わすことができる。
【0044】
【数2】
Figure 0003751654
【0045】
上記式中、ri 及びRは、それぞれある基準点からの分子構成原子i及び分子重心までの距離を表わし、qi は分子構成原子iの電荷、μは分子の永久双極子モーメント、Qは四重極子モーメントテンソルである。
ここで、全電荷0の分子について、この点多重極子と下地基板の作る電場との相互ポテンシャルは、下記式(3)で表わされる。
【0046】
【数3】
Figure 0003751654
【0047】
E(R)及びF(R)は、それぞれ分子重心位置における電場及び電場勾配を表わし、分子が永久双極子を持たない場合には、第2項のみが有効となる。
また、誘起相互作用は、1)分子の永久双極子及び四重極子の鏡像ポテンシャル、2)永久双極子と電場誘起双極子の鏡像との相互作用ポテンシャル、及び3)電場による分子の分極ポテンシャルを含むが、永久双極子が0の場合には、3)の電場による分子の分極ポテンシャルのみとなり、下記式(4)で簡単に表わされる。
【0048】
【数4】
Figure 0003751654
【0049】
上記式(4)中、αは分子分極率である。
したがって、永久双極子を持たない分子の場合には、静電相互作用は、式(3)と式(4)との和となるが、一般的には、誘起双極子のポテンシャルは、四重極子の静電ポテンシャルに比較して小さいので、四重極子の静電ポテンシャルの大きさから静電相互作用の大きさを予測することができる。
【0050】
この四重極子静電ポテンシャルの大きさを見積もるためには、基板表面の外部電場とその勾配とを知る必要がある。BN結晶表面の外部電場を、各格子点のつくる電場の総和として計算すると、分子重心のおおよその吸着位置は表面から3.5オングストロームであり、表面原子直上のその位置での電場は2.88×109 V/m、電場勾配は1.48×1019V/m2 である。一方、NaCl型結晶の(100)表面における外部電場は0.95×109 V/m、電場勾配は1.51×1019V/m2 であるので、BNは、NaCl型結晶と比較して、電場強度は3倍以上と大きいが、電場勾配はほとんど変わらないことがわかる。
【0051】
ここで、代表的な芳香族分子であるベンゼンの四重極子モーメントQ(−33×10-40 C・cm2 )、及び分子分極率α(10.32×10-303 )を用いると、四重極子静電ポテンシャル及び分極ポテンシャルの大きさは、BNについては、それぞれ2.4kcal/mol及び0.1kcal/molと得られ、NaClの場合には、それぞれ2.3kcal/mol及び0.7kcal/molとなる。なお、BN及びNaClのファンデアワールスポテンシャルの大きさは、それぞれ11kcal/mol及び8kcal/molであるので、前述の静電ポテンシャルは、このファンデアワールスポテンシャルと比較して、無視できない寄与をしていることがわかる。
【0052】
以上、BNとNaCl型結晶とを下地として用いる際の下地−分子間相互作用を比較したが、BNはファンデアワールスポテンシャル及び静電ポテンシャルのいずれも、NaClより大きな値であることがわかる。これらは、高原子密度及び高表面電場というBNの特性に起因するものである。さらに、BNは層状構造を有することから高い表面平坦性が得られ、グラファイトの利点は何等損なうことがない。したがって、静電ポテンシャルの係わる下地基板として、BNは、従来用いられているNaCl型結晶よりも多くの効果を有していることがわかる。
【0053】
また本発明者らは、異種原子で構成したグラファイト類似骨格を有する層状構造物質としてBC2 Nに着目した。このBC2 Nは、ある特定の方向でみたときにBN交差ジグザグ鎖と、Cジグザグ鎖とが一本おきに並んだ構造を有するものである。各分子の分布電荷を調べたところ、Cの電荷は極めて小さく、BNの+−交互1次元鎖が擬似的に孤立した構造になっており、BNの場合のように3次元的な+−電荷の打消し合いを逃れてより高い表面電場が生じることが予想できる。
【0054】
以上述べたように、異種原子で構成したグラファイト類似骨格を有する層状構造物質を薄膜形成の下地として用いることによって、通常のイオン性結晶基板では得られない効果を生むことがわかる。
【0055】
なお、第3の発明においては、表面平滑性等の層状構造物質の利点を残しつつ、静電相互作用を導入した、いわゆるグラファイト類似の層状構造物質を下地として用いることによって、下地−分子間相互作用を増強している。しかも、かかる層状構造物質は、可視域で透明な絶縁体となるものもあるために、基板と有機薄膜との間の界面層のみならず、基板本体として使用することもできる。このように、基板本体として異種原子を有するグラファイト類似の層状構造物質を使用した場合には、透明基板としてそのまま利用できる等の効果が得られる。
【0056】
次に、本発明に係る有機薄膜素子の構造について説明する。本発明の有機薄膜素子は、基本的には基板上に少なくとも1層の有機薄膜を有する。例えば、図l〜図4に示す構造の有機薄膜素子が挙げられる。
【0057】
図1の有機薄膜素子は、基板1上に、界面層2、及び有機薄膜3を形成したものである。
図2の有機薄膜素子は、基板1上に、界面層2、第1の有機薄膜3、界面層2、及び第2の有機薄膜4を順次形成した超格子構造を有するものである。
【0058】
図3の有機薄膜素子は、基板1上に、電極5、絶縁層6、界面層2、有機薄膜3、絶縁層7、及び背面電極8を順次形成したものである。
なお、界面層2は、第1の発明では、その最表面が電子分極率の高い原子で構成されており、第2の発明では、層状構造物質であって、層間にインターカラントを含有する層間化合物からなる。また、第3の発明では、表面が異種原子から構成された層状構造物質からなる。
【0059】
図4の有機薄膜素子は、第2及び第3の発明の有機薄膜素子の他の例を表わし、基板9上に直接有機薄膜10を形成したものである。基板9は、第2の発明の場合には層間化合物からなり、第3の発明の場合には、異種原子からなるグラファイト類似の層骨格を有する層状構造物質である。すなわち、基板上に直接有機薄膜を形成する場合には、基板としては、前述の界面層と同様の特性を有するものを使用する。
【0060】
本発明において、基板上に界面層を介して有機薄膜を形成する場合には、基板本体の材質は特に限定されず、金属、半導体(回路や接合などを形成したものを含む)、誘電体、石英などが挙げられる。さらに、図3に示すように基板上に電極を形成する場合、その材質として金属、ITOなどが挙げられる。また、図3に示すように電極上に絶縁層を設けると、有機薄膜に実効的に強電界を印加できる。すなわち、一般的に有機薄膜に印加される電界が強くなると、有機薄膜を流れる電流が大幅に増加して有機薄膜の構造に悪影響を及ぼすため、ある程度以上の電界を直接印加することが困難となる。これに対して、電極と有機薄膜との間に絶縁層を設けておけば、強電界を印加しても有機薄膜を流れる電流が増加することがなく、有機薄膜に実効的に強電界を印加でき、電荷移動を有効に起こさせることができる。このような絶縁層としては、SiO2 、SrTiO3 、有機高分子などが用いられる。特に、有機薄膜により高い電界を印加するためには、比誘電率が10以上の絶縁材料、例えばSrTiO3 などの強誘電体を用いることが好ましい。
【0061】
なお、第2及び第3の発明において、図4に示されるように基板表面に直接有機薄膜を形成する場合には、以下のような基板を使用する。すなわち、第2の発明の有機薄膜素子においては、例えば、HOPG(highly oriented pyrolytic graphite)等の層状構造物質にK,Rb,Sm等によってインターカラントを含有させて層間化合物を形成し、これを基板として使用する。また、第3の発明の有機薄膜素子においては、例えば、HOPBN(highly oriented pyrolytic boron nitride)等を使用する。
【0062】
次に、本発明の有機薄膜素子における界面層について説明する。
第1の発明においては、図1〜図3に示されるように基板、有機薄膜、絶縁層などからなる任意の下地最表面に、電子分極率の高い原子からなる界面層が形成される。このような界面層は、真空蒸着法、吸着法、LB法などにより形成することができる。真空蒸着法では、電子分極率の高い金属を真空中で加熱して任意の下地表面に蒸着させて数原子層程度の薄膜を形成することにより、目的とする界面層を形成できる。吸着法では、下地表面を電子分極率の高い原子を含む分子の蒸気にさらし、その分子の吸着層を形成することにより、目的とする界面層を形成できる。LB法では、下地表面に電子分極率の高い原子を含む両親媒性分子のLB膜を形成することにより、目的とする界面層を形成できる。ここで、下地最表面に形成される界面層の厚さは1原子層以上1μm以下程度とすることが好ましい。すなわち、本発明で界面層の厚さが薄すぎると、電子分極率の高い原子の表面密度を十分には高められない。逆に界面層の厚さが厚すぎる場合には、界面層は、通常有機薄膜素子の機能面には関与しないため、所望の特性を有する電子デバイスまたは光学デバイスを設計することが困難となってしまう。
【0063】
第2の発明の態様の1つにおいては、図1〜図3に示されるように、基板、有機薄膜、絶縁層などからなる任意の下地最表面に、層間化合物からなる界面層が形成される。このような界面層は、例えば、CVD法等により基板上に層状構造物質を積層した後、封入管にインターカラントとなる金属等と共に封入して熱処理することで、インターカラントをこの層間に侵入させることにより形成することができる。
【0064】
第2の発明の場合には、界面層の層間にインターカラントを挿入するために、少なくとも2層以上の膜厚で層状構造物質を形成することが必要である。なお、第1の発明の場合と同様の理由から、界面層の膜厚は1μm以下程度とすることが好ましい。
【0065】
また、図1〜図3に示されるような第3の発明の態様の1つにおいては、基板、有機薄膜、絶縁層などからなる任意の下地最表面に、異種原子からなるグラファイト類似の層骨格を有する層状構造物質からなる界面層が形成される。このような界面層は、例えばCVD法等を用いて形成することができる。第3の発明における界面層の厚さは、第1の発明の場合と同様の理由から1層以上1μm以下程度とすることが好ましい。
【0066】
本発明は、有機薄膜が芳香族系分子で構成された場合に特に有効であり、さらに、有機薄膜は、ドナー分子とアクセプター分子とが互いに分子面を対向させて積層された交互積層型電荷移動錯体で構成することがより好ましい。このような交互積層型電荷移動錯体の具体例を例示すると、フェノチアジン−TCNQ、テトラジアミンピレン−TCNQ、TTF−クロラニル、TTF−フルオラニル、ジベンゼンTTF−TCNQ、ジエチルジメチルテトラセレナフルバレン−ジエチルTCNQ、テトラジアミンピレン−フルオラニル、TTF−ジクロロジシアノベンゾキノン、ペリレン−テトラシアノエチレン、ペリレン−TCNQ、TTF−ジニトロベンゼン、ペリレン−クロラニル、ピレン−テトラシアノエチレン、ピレン−クロラニル、アントラセン−クロラニル、ヘキサメチルベンゼン−クロラニル、ナフタレン−テトラシアノエチレン、アントラセン−ピロメリット酸二無水物、アントラセン−テトラシアノベンゼン、フェナントレン−ピロメリット酸二無水物などをはじめとする数多くの錯体が挙げられる。
【0067】
なお、このようにドナー分子及びアクセプター分子の両者を含む有機薄膜の厚さが厚いと、膜内で発生したキャリアが作る電界によって、膜に印加される実効電界が減少する。しかし、膜厚がそのデバイ長(約30nm)以下であれば、キャリアによって作られる電界をスクリーニングすることができるようになる。しかも、錯体がイオン性である場合には、膜厚を厚くすることによって、錯体安定化エネルギーのうち、マーデルングエネルギー項の寄与が低減されて中性に転移する。このため、錯体の電荷移動状態を転移の境界条件に近い中性状態に設定することができる。したがって、低電界で効率よく中性−イオン性転移を実現することができる。
【0068】
以下、本発明に係る有機薄膜素子の動作原理をより具体的に説明する。
(a)表示素子
図3に示すように、透明基板上に、透明電極、絶縁層、界面層、有機薄膜、絶縁層および背面電極が順次形成された構造を有する。この表示素子では、電極から有機薄膜に電界を印加することにより、有機薄膜を構成する交互積層型電荷移動錯体が中性からイオン性へと転移し、光の吸収波長が変化するので、表示機能を得ることができる。本発明の態様の1つでは、界面層を設けることにより、その上に形成される有機薄膜を構成する有機分子の配向性が良好となり、発光効率を向上できる。
(b)電界効果トランジスター(FET)
半導体基板表面に形成されたソース、ドレイン領域間のチャネル領域上に、ゲート絶縁膜、界面層、有機薄膜、ゲート電極を順次形成した基本構造を有する。このFETでは、ゲート電圧を徐々に増加させると、ある電圧値で有機薄膜を構成する交互積層型電荷移動錯体が中性からイオン性へと転移してドレイン電流が急激に増加するので、スイッチング機能を示す。本発明の態様の1つでは、界面層を設けることにより、その上に形成される有機薄膜を構成する有機分子の配向性が良好となり、大きな出力を得ることができる。
【0069】
さらに、いずれの素子でも、図2に示す構造を適用し、複数の有機薄膜を積層して超格子構造にすれば、多値の表示機能またはスイッチング機能を得ることができる。
【0070】
また、有機薄膜が交互積層型電荷移動錯体で構成されない場合でも、有機薄膜を構成する有機分子の配向性が高められるので、その他、電界発光素子、非線形光学素子の特性向上にも寄与し得る。
【0071】
【実施例】
以下、実施例を示して、本発明を詳細に説明する。
(実施例I)
本実施例においては、下地最表面に電子分極率の高い原子からなる界面層を形成した。
(実施例I−1)
図1に示すように、Si基板1上に真空蒸着法により膜厚約1nmのSm(電子分極率:28.8×10-24 cm3 )からなる界面層2を形成した後、真空を破ることなく連続的に真空蒸着法により膜厚約10nmのTTF−クロラニルからなる有機薄膜3を形成した。なお、Smの表面密度は約3×1015cm-2であった。
【0072】
走査型電子顕微鏡(SEM)により有機薄膜を観察した結果、1ドメインの大きさが10μmにも及ぶ均一な連続膜が形成されていることがわかった。また、X線回折法により有機薄膜の配向を調べた結果、TTF分子、クロラニル分子とともに、分子面が基板表面とほぼ平行に配向していることがわかった。
(実施例I−2)
図1に示すように、Si基板1上にMBE法により膜厚約3nmのGaAs(Asの電子分極率:4.3×10-24 cm3 )からなる界面層2を形成した後、真空を破ることなく連続的に真空蒸着法により膜厚約10nmのTTF−クロラニルからなる有機薄膜3を形成した。なお、Asの表面密度は約2×1015cm-2であった。
【0073】
走査型電子顕微鏡(SEM)により有機薄膜を観察した結果、1ドメインの大きさが10μmにも及ぶ均一な連続膜が形成されていることがわかった。また、X線回折法により有機薄膜の配向を調べた結果、TTF分子、クロラニル分子とともに、分子面が基板表面とほぼ平行に配向していることがわかった。
(実施例I−3)
図1に示すように、Si基板1上に吸着法によりブロモオクタン(Brの電子分極率:3.05×10-24 cm3 )を数分子層程度吸着させて界面層2を形成した。次に、真空蒸着法により膜厚約10nmのTTF−クロラニルからなる有機薄膜3を形成した。なお界面層2において、Brの表面密度は約4×1015cm-2であった。
【0074】
走査型電子顕微鏡(SEM)により有機薄膜を観察した結果、1ドメインの大きさが10μmにも及ぶ均一な連続膜が形成されていることがわかった。また、X線回折法により有機薄膜の配向を調べた結果、TTF分子、クロラニル分子とともに、分子面が基板表面とほぼ平行に配向していることがわかった。
(実施例I−4)
図3に示すように、石英基板1上に、膜厚400nmのITO透明電極5及び膜厚150nmのSrTiO3 からなる絶縁層6を形成した。この上に、真空蒸着法により膜厚約1nmのSm(電子分極率:28.8×10-24 cm3 )からなる界面層2を形成した後、真空を破ることなく連続的に真空蒸着法により膜厚約10nmのTTF−クロラニルからなる有機薄膜3を形成した。さらに、有機薄膜3上に、膜厚20nmのポリイソブチルメタクリレートからなる絶縁層7、及び膜厚20nmのAu半透明背面電極8を形成し、表示素子を作製した。なお、Smの表面密度は約3×1015cm-2であった。
【0075】
この表示素子は、電圧を印加しないときには有機薄膜が黄色を呈していたが、電圧を印加すると、約50Vで有機薄膜が赤色に変化した。
(実施例I−5)
図3に示すように、石英基板1上に、膜厚400nmのITO透明電極5及び膜厚150nmのSrTiO3 からなる絶縁層6を形成した。この上に、真空蒸着法により膜厚約3nmのGaAs(Asの電子分極率:4.3×10-24 cm3 )からなる界面層2を形成した後、真空を破ることなく連続的に真空蒸着法により膜厚約10nmのTTF−クロラニルからなる有機薄膜3を形成した。さらに、有機薄膜3上に、膜厚20nmのポリイソブチルメタクリレートからなる絶縁層7、及び膜厚20nmのAu半透明背面電極8を形成し、表示素子を作製した。なお、Asの表面密度は約2×1015cm-2であった。
【0076】
この表示素子は、電圧を印加しないときには有機薄膜が黄色を呈していたが、電圧を印加すると、約50Vで有機薄膜が赤色に変化した。
(実施例I−6)
図3に示すように、石英基板1上に、膜厚400nmのITO透明電極5及び膜厚150nmのSrTiO3 からなる絶縁層6を形成した。この上に、吸着法によりブロモオクタン(Brの電子分極率:3.05×10-24 cm3 )を数分子層程度吸着させて界面層2を形成した。次に、真空蒸着法により膜厚約10nmのTTF−クロラニルからなる有機薄膜3を形成した。さらに、有機薄膜3上に、膜厚20nmのポリイソブチルメタクリレートからなる絶縁層7、及び膜厚20nmのAu半透明背面電極8を形成し、表示素子を作製した。なお、界面層2においてBrの表面密度は約2×1015cm-2であった。
【0077】
この表示素子は、電圧を印加しないときには有機薄膜が黄色を呈していたが、電圧を印加すると、約50Vで有機薄膜が赤色に変化した。
(実施例II)
本実施例においては、有機薄膜に直接接して下地となる層、すなわち、界面層又は基板本体として、層状構造物質の層間にインターカラントを含有させた層間化合物を使用した。
(実施例II−1)
図1に示すように、Si基板1上にCVD法により膜厚約2nmのグラファイト層を形成した後、封入管に金属Rbと共に封入し、熱処理することによってRbをインターカラントとする層間化合物を形成して界面層2とし、この上に、MBE法により膜厚約10nmのTTF−クロラニルからなる有機薄膜3を形成した。
【0078】
走査電子顕微鏡(SEM)によりこの有機薄膜を観察した結果、1ドメインの大きさが1μmにも及ぶ均一な連続膜が形成されていることがわかった。また、赤外分光法により有機薄膜の分子配向を調べた結果、TTF分子、クロラニル分子ともに分子面が基板面に平行に配向していることがわかった。
(実施例II−2)
図1に示すように、Si基板1上にCVD法により膜厚約2nmのグラファイト層を形成した後、実施例II−1と同様にしてKをインターカラントとする層間化合物を形成して界面層2とし、この上にMBE法により膜厚約10nmのTTF−クロラニルからなる有機薄膜3を形成した。
【0079】
走査電子顕微鏡(SEM)によりこの有機薄膜を観察した結果、1ドメインの大きさが1μmにも及ぶ均一な連続膜が形成されていることがわかった。また、赤外分光法により有機薄膜の分子配向を調べた結果、TTF分子、クロラニル分子ともに分子面が基板面に平行に配向していることがわかった。
(実施例II−3)
図3に示すように、石英基板1上に膜厚400nmのITO透明電極5及び膜厚150nmのSrTiO3 からなる絶縁層6を形成した。この上に、CVD法により膜厚約2nmのグラファイト層を形成した後、実施例II−1と同様にしてRbをインターカラントとする層間化合物を形成して界面層2とした。次に、この上に、MBE法により膜厚約10nmのTTF−クロラニルからなる有機薄膜3を形成した。さらに、有機薄膜3上に膜厚20nmのポリイソブチルメタクリレートからなる絶縁層7及び膜厚20nmのAu半透明電極8を形成し、表示素子を作製した。
【0080】
この表示素子は、電圧を印加しないときには有機薄膜が黄色を呈していたが、電圧を印加すると、約50Vで有機薄膜が赤色に変化した。
(実施例II−4)
図3に示すように、石英基板1上に膜厚400nmのITO透明電極5及び膜厚150nmのSrTiO3 からなる絶縁層6を形成した。この上に、CVD法により膜厚約2nmのグラファイト層を形成した後、実施例II−1と同様にしてKをインターカラントとする層間化合物を形成して界面層2とした。次に、この上に、MBE法により膜厚約10nmのTTF−クロラニルからなる有機薄膜3を形成した。さらに、有機薄膜3上に膜厚20nmのポリイソブチルメタクリレートからなる絶縁層7及びAu膜厚20nmの半透明電極8を形成し、表示素子を作製した。
【0081】
この表示素子は、電圧を印加しないときには有機薄膜が黄色を呈していたが、電圧を印加すると、約50Vで有機薄膜が赤色に変化した。
(実施例II−5)
図4に示すように、HOPG(Highly oriented pyrolytic graphite)基板に対し、実施例II−1と同様にしてRbをインターカラントとする層間化合物を形成し、これを基板9としてMBE法により膜厚約10nmのTTF−クロラニルからなる有機薄膜3を形成した。
【0082】
走査電子顕微鏡(SEM)によりこの有機薄膜を観察した結果、1ドメインの大きさが1μmにも及ぶ均一な連続膜が形成されていることがわかった。また、赤外分光法により有機薄膜の分子配向を調べた結果、TTF分子、クロラニル分子ともに分子面が基板面に平行に配向していることがわかった。
(実施例II−6)
図5に示すように、ITO透明電極付きガラス基板上に、CVD法により膜厚約1nmのグラファイト層を形成した後、実施例II−1と同様にして、Kをインターカラントとする層間化合物を形成して界面層2とした。次いで、有機薄膜として、1,1−ビス(N,N´−ジトリル−p−アミノフェニル)シクロヘキサン(ジアミン)からなるホール輸送層12と、トリス(8−ヒドロキシキノリノ)アルミニウム(Alq3 )からなる発光層13とを100nmずつ積層し、最後に上部電極14としてMg金属層を形成した。
【0083】
得られた電界発光素子は、整流特性を示し、順方向電圧では約20Vで150nA/cm2 の電流が流れ、輝度2000Cd/m2 の緑色発光(〜540nm)が得られた。同一の構成で界面層を挿入しなかった場合の特性は、電圧20V、電流100mA/cm2 で1000Cd/m2 の輝度であり、界面層の挿入によろい著しい性能の向上が図られたことが確認された。
【0084】
(実施例III )
本実施例においては、有機薄膜に直接接して下地となる層、すなわち、界面層又は基板本体として、表面に異種原子を有する層状構造物質を使用した。
(実施例 III−1)
図1に示すように、Si基板1上にCVD法により膜厚約2nmのBNからなる界面層2を形成した後、MBE法により膜厚約10nmのTTF−クロラニルからなる有機薄膜3を形成した。
【0085】
走査電子顕微鏡(SEM)によりこの有機薄膜を観察した結果、1ドメインの大きさが1μmにも及ぶ均一な連続膜が形成されていることがわかった。また、赤外分光法により有機薄膜の分子配向を調べた結果、TTF分子、クロラニル分子ともに分子面が基板面に平行に配向していることがわかった。
(実施例 III−2)
図1に示すように、Si基板1上にCVD法により膜厚約2nmのBC2 Nからなる界面層2を形成した後、MBE法により膜厚約10nmのTTF−クロラニルからなる有機薄膜3を形成した。
【0086】
走査電子顕微鏡(SEM)によりこの有機薄膜を観察した結果、1ドメインの大きさが1μmにも及ぶ均一な連続膜が形成されていることがわかった。また、赤外分光法により有機薄膜の分子配向を調べた結果、TTF分子、クロラニル分子ともに分子面が基板面に平行に配向していることがわかった。
(実施例 III−3)
図3に示すように、石英基板1上に膜厚400nmのITO透明電極5及び膜厚150nmのSrTiO3 からなる絶縁層6を形成した。この上に、CVD法により膜厚約2nmのBNからなる界面層2を形成した後、MBE法により膜厚約10nmのTTF−クロラニルからなる有機薄膜3を形成した。さらに、有機薄膜3上に膜厚20nmのポリイソブチルメタクリレートからなる絶縁層7及び膜厚20nmのAu半透明電極8を形成し、表示素子を作製した。
【0087】
この表示素子は、電圧を印加しないときには有機薄膜が黄色を呈していたが、電圧を印加すると、約50Vで有機薄膜が赤色に変化した。
(実施例 III−4)
図3に示すように、石英基板1上に膜厚400nmのITO透明電極5及び膜厚150nmのSrTiO3 からなる絶縁層6を形成した。この上に、CVD法により膜厚約2nmのBC2 Nからなる界面層2を形成した後、MBE法により膜厚約10nmのTTF−クロラニルからなる有機薄膜3を形成した。さらに、有機薄膜3上に膜厚20nmのポリイソブチルメタクリレートからなる絶縁層7及び膜厚20nmのAu半透明電極8を形成し、表示素子を作製した。
【0088】
この表示素子は、電圧を印加しないときには有機薄膜が黄色を呈していたが、電圧を印加すると、約50Vで有機薄膜が赤色に変化した。
(実施例 III−5)
図4に示すように、HOPBN(Highly oriented pyrolytic boron nitride)基板9上にMBE法により膜厚約10nmのTTF−クロラニルからなる有機薄膜3を形成した。
【0089】
走査電子顕微鏡(SEM)によりこの有機薄膜を観察した結果、1ドメインの大きさが1μmにも及ぶ均一な連続膜が形成されていることがわかった。また、赤外分光法により有機薄膜の分子配向を調べた結果、TTF分子、クロラニル分子ともに分子面が基板面に平行に配向していることがわかった。
【0090】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明の有機薄膜素子では、有機薄膜を構成する有機分子の配向性が良好となり、この結果電界などにより、例えば有機薄膜を構成する電荷移動錯体の中性−イオン性転移を効率よく起こさせることができる。したがって、有機薄膜を構成要素とする表示素子、スイッチング素子、光情報記録媒体などの有機薄膜素子の実用化が期待でき、その工業的な価値は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる有機薄膜素子の断面図。
【図2】本発明にかかる他の有機薄膜素子の断面図。
【図3】本発明にかかる他の有機薄膜素子の断面図。
【図4】本発明にかかる他の有機薄膜素子の断面図。
【図5】本発明にかかる他の有機薄膜素子の断面図。
【符号の説明】
1,9,10…基板,2…界面層,3,4,12,13…有機薄膜
5,8,11,14…電極,6,7…絶縁層。

Claims (3)

  1. 基板上に少なくとも1層の有機薄膜を有する有機薄膜素子において、前記有機薄膜の下地最表面に、電子分極率が2×10-24cm3以上の原子を含有し、かつその表面密度が1×1014cm-2以上である界面層を設けたことを特徴とする有機薄膜素子。
  2. 基板上に少なくとも1層の有機薄膜を有する有機薄膜素子において、前記有機薄膜に接する基板本体及び前記有機薄膜の直下に設けられた界面層のいずれか一方が、層間にインターカラントを含有するグラファイト層からなることを特徴とする有機薄膜素子。
  3. 基板上に少なくとも1層の有機薄膜を有する有機薄膜素子において、前記有機薄膜に接する基板本体及び前記有機薄膜の直下に設けられた界面層のいずれか一方が、BNまたはBC 2 からなることを特徴とする有機薄膜素子。
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