JP3751529B2 - アンテナ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アンテナ全体を厚くすることなく、放射する電磁波の偏波面を任意に設定できるようにするための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
ミリ波帯や準ミリ波帯の電波を使用する無線システムで用いられる平面型のアンテナとして、従来では、導波管にスロットを設けて電磁波を漏出させる構造のものが用いられていたが、近年では、導波管を用いたものより放射効率が高く、より薄型に形成できる誘電体漏れ波アンテナが提案されている。
【0003】
誘電体漏れ波アンテナは、地板導体上に誘電体基板を配置して誘電体線路を形成し、その誘電体基板の表面に金属ストリップを誘電体線路の電磁波伝送方向に沿って所定間隔で設け、線路内の電磁波を誘電体基板の表面から漏出させている。
【0004】
このように形成された誘電体漏れ波アンテナから放射される電磁波は、誘電体線路の電磁波伝送方向に沿った偏波面を有しており、アンテナを実際に設置したとき、その設置したときの誘電体線路の電磁波伝送方向によって放射される電磁波の偏波面が決定される。
【0005】
したがって、この誘電体漏れ波アンテナを設置する場合、アンテナから放射される電磁波の偏波面が、その無線システムで要求される角度となるように固定する必要がある。
【0006】
例えば、車載レーダでは、対向車からの電波干渉を防止するために、水平面に対して45度傾斜した直線偏波を用いることになっている。
【0007】
ところが、設置場所の制限や外観上の制限等によって、無線システムが要求する偏波面を満足するようにアンテナを取り付けられない場合がある。
【0008】
このような場合、アンテナの前方に電磁波の偏波面を所望の角度に変換して出力する偏波変換器を設ける必要がある。
【0009】
偏波変換器としては、λ/4誘電体膜を4層あるいは3層に重ねて構成された従来のメアンダーラインアレーと比べて、ミリ波帯での変換損失が少なく、しかも薄く形成できる偏波変換膜が提案されている(特開2000−138527)。
【0010】
図13はこの偏波変換膜を示している。偏波変換膜15は、誘電体基板16からなり、その一面16a側(入射面側)には、図13の(a)に示すように金属ストリップ17が平行に所定間隔でパターン形成され、他面16b側(出射面側)には、図13の(b)に示すように一面16a側の金属ストリップ17に対して所定角度をなす金属ストリップ18が平行に所定間隔でパターン形成されている。
【0011】
この金属ストリップ17、18の幅と間隔は、変換対象の電磁波の自由空間波長に対して十分小さく設定されており、入射側の金属ストリップ17は、一面16a側から入射された電磁波のうち、金属ストリップ17の長さ方向と平行な偏波成分については高い反射率で反射し、金属ストリップ17の長さ方向と直交する偏波成分については高い透過率で透過させる。
【0012】
また、出射側の金属ストリップ18は、一面16a側から入射した電磁波のうち、金属ストリップ18の長さ方向と平行な偏波成分については高い反射率で反射し、金属ストリップ18の長さ方向と直交する偏波成分については高い透過率で透過させる。
【0013】
なお、以下の説明では、前記金属ストリップ17、18のように、入射波の偏波成分の角度の違いによって高い反射性あるいは高い透過性を選択的に示す特性を偏波選択性と呼ぶ。
【0014】
したがって、図14に示しているように、この偏波変換膜15を例えば誘電体漏れ波アンテナ10の前方に配置することで、アンテナ10から金属ストリップ17と直交する直線偏波Haで放射された電磁波Eaを、金属ストリップ18と直交する直線偏波Hbの電磁波Ebに変換して出力することができる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記した偏波変換膜15は、その両面に金属ストリップ17、18が形成されており、誘電体漏れ波アンテナ10の表面側にも電磁波を漏出させるため金属ストリップが設けられているので、それぞれを設計特性に近い状態で動作させるためには、アンテナ10と偏波変換膜15との間隔を、放射される電磁波の波長に比べて十分広くとる必要があり、アンテナ全体としての厚さ寸法が大きくなってしまう。
【0017】
本発明は、この問題を解決し、アンテナ全体を厚くすることなく、放射する電磁波の偏波面を任意に設定できるアンテナを提供することを目的としている。
【0018】
なお、本発明は、直線偏波の平面波を放射するアンテナには、偏波選択性、即ち、所定角度の直線偏波を低損失で出射し、この直線偏波の偏波面と直交する偏波成分の入射波に対しては高い反射率で反射する性質があり、このアンテナ自体の偏波選択性とその放射面に所定の隙間をあけて対向する誘電体基板の一方の面に設けられた金属ストリップの偏波選択性とによって偏波変換作用を生じさせることで前記問題を解決している。
【0019】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明の請求項1のアンテナは、
地板導体(21)と、該地板導体に一面側を対向させるように配置され、該地板導体との間で、一端側から給電された電磁波を他端側に伝送する伝送路を形成する第1の誘電体基板(22)と、該第1の誘電体基板のいずれか一方の面に、所定幅で所定間隔をあけて平行にパターン形成され、前記地板導体と反対の他面側を放射面として前記伝送路内から直線偏波の平面波を漏出させる複数の金属ストリップ(24、25)とを有する誘電体漏れ波型のアンテナ本体と、
前記アンテナ本体の平面波の放射面に気体あるいは真空の層からなる所定の隙間をあけて対向するように配置された所定厚さの第2の誘電体基板(27)と、
前記第2の誘電体基板の一方の面に、前記アンテナ本体から放射される平面波の波長に比べて十分小さい幅と間隔をもって前記平面波の偏波方向および該偏波方向と直交する方向に対して異なる角度でパターン形成された複数の平行な金属ストリップ(28)とを有し、
前記アンテナ本体の放射面と前記第2の誘電体基板に形成された金属ストリップとの間の偏波選択性によって前記アンテナ本体と前記第2の誘電体基板の金属ストリップとの間に偏波変換作用を生じさせ、前記アンテナ本体から放射された平面波を前記第2の誘電体基板の金属ストリップの角度に直交する直線偏波の平面波に変換して前記第2の誘電体基板の表面から出射するアンテナであって、
前記第2の誘電体基板の厚さ(t)および該第2の誘電体基板と前記アンテナ本体の放射面との隙間(h)は、その和(t+h)が前記アンテナ本体から放射される電磁波の自由空間波長の近傍またはそれ以下の範囲内となり、且つ、所定の厚さに対する隙間を前記第2の誘電体基板についての自由空間波長のほぼ1/2の周期性で変化する透過係数の高領域に設定したことを特徴としている。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。
図1〜図3は、本発明の実施形態のアンテナ20の構造を示している。
【0023】
このアンテナ20のアンテナ本体は、前記した誘電体漏れ波アンテナであり、地板導体21、第1の誘電体基板22および金属ストリップ24、25によって構成されている。
【0024】
地板導体21は、金属で略矩形に形成されこのアンテナのグランド面を形成している。
【0025】
地板導体21の一面21a側には、略矩形で所定厚さの第1の誘電体基板22が、その一面22aを地板導体21に所定の隙間をあけて平行に対向させた状態でスペーサ23によって支持されている。
【0026】
この第1の誘電体基板22は、地板導体21との間で電磁波を一端側から給電された電磁波を他端側へ伝送する伝送路を形成するものであり、その幅および長さは、伝送する電磁波の波長に比べて十分大きく設定されており、微小幅の並列伝送路を一体化したものである。
【0027】
第1の誘電体基板22の他面22b側には、複数の金属ストリップ24がパターン形成されている。
【0028】
各金属ストリップ24は、第1の誘電体基板22の幅と等しい長さと所定の幅dを有し、それぞれが前記伝送路の電磁波伝送方向に直交する方向に延び、前記伝送路の電磁波伝送方向に沿って所定間隔sで設けられている。
【0029】
各金属ストリップ24の幅dと間隔sは、第1の誘電体基板22の他面22b側から偏波方向が伝送路の伝送方向に沿った直線偏波の平面波を効率的に漏出させるように設定されている。
【0030】
また、第1の誘電体基板22の一面22a側には、他面22b側の金属ストリップ24と同一の長さと幅をもつ金属ストリップ25が、各金属ストリップ24と対をなすように、各金属ストリップ24に対してそれぞれ伝送路内波長λgのほぼ1/4ずつずれた位置に設けられている。
【0031】
この金属ストリップ25は、第1の誘電体基板22が形成する伝送路内を伝送する電磁波の金属ストリップ24による反射成分を相殺するために設けられたものである。
【0032】
即ち、図4の(a)に示しているように、金属ストリップ25が無い場合には、伝送路内を一端側から他端側に伝送する電磁波の一部が金属ストリップ24によって反射し、その反射成分Γaが一端側に戻ってしまい伝送特性が乱れる。
【0033】
これに対し、図4の(b)のように、金属ストリップ24から伝送路内波長λgの1/4ずれた位置に金属ストリップ25を設けると、この金属ストリップ25による反射成分Γbが金属ストリップ24の位置に達したときに、金属ストリップ24による反射成分Γaと逆位相となり、両反射成分が相殺され、伝送路内の反射成分がなくなり、この反射成分による伝送特性の乱れがなくなる。
【0034】
なお、金属ストリップ24、25による電磁波の漏出作用は、その金属ストリップが設けられている面だけでなく、その反対面側にも生じるが、第1の誘電体基板22の一面22a側への漏出は地板導体21によって阻止され、金属ストリップ24、25による漏出波は、第1の誘電体基板22の他面22b側からのみ出射されることになる。また、ここでは、金属ストリップ24によって第1の誘電体基板22の他面22b側から漏出される電磁波と、金属ストリップ25によって第1の誘電体基板22の他面22b側から漏出される電磁波とが同相で且つ、偏波方向が伝送路の電磁波伝送方向に沿った直線偏波となるように設定されているものとする。
【0035】
このように第1の誘電体基板22の他面22b側から直線偏波の平面波を放射するアンテナ本体は、前記したように、その直線偏波の平面波を低損失で出射し、その直線偏波の偏波面と直交する偏波成分の入射波に対しては高い反射率で反射する偏波選択性を有している。
【0036】
一方、第1の誘電体基板22の他面22b側には、スペーサ26を介して第2の誘電体基板27が、その一面27aを対向させるようにして平行に支持されている。
【0037】
第2の誘電体基板27の一面27a側と第1の誘電体基板22の他面22bとの間には空気層からなる隙間hが形成されている。なお、この第2の誘電体基板27の厚さtおよび隙間hは、偏波の変換効率、即ちアンテナの損失に影響を与えるがその条件については後述する。
【0038】
第2の誘電体基板27の他面27b側には、所定幅d′の金属ストリップ28が、金属ストリップ24に対して所定の角度をなすように所定間隔s′で平行にパターン形成されている。
【0039】
なお、各図では構造を理解しやすいように金属ストリップ24、25、28の厚さを誇張して示しているが、パターン形成された金属ストリップ24、25、28の実際の厚さはμmオーダーであり、第1の誘電体基板22、第2の誘電体基板27の厚さに対して無視できる程薄い。
【0040】
各金属ストリップ28は、前記した偏波選択性を有しており、第1の誘電体基板22との間で偏波変換作用を生じさせて、第1の誘電体基板22の他面22b側から漏出される電磁波の偏波状態を変更して第2の誘電体基板27の他面27b側から出射させる。
【0041】
なお、ここでは、第1の誘電体基板22から前記誘電体線路の電磁波伝送方向に沿った偏波面で漏出される平面波を45度傾いた偏波面に変更して出射するように、各金属ストリップ28が金属ストリップ24に対してほぼ45度の角度をなすように形成されている。
【0042】
また、地板導体21には、第1の誘電体基板22の一端側に電磁波を給電する給電部30が設けられている。
【0043】
この給電部30は、金属ストリップ24、25の長さ方向と平行な等位相面の電磁波を第1の誘電体基板22の一端(各図で上端)から同相給電するものであり、その構造については詳述しないが、例えばH面セクトラルホーンから放射される円筒波を誘電体レンズあるいはパラボラ反射板によって平面波に変換して第1の誘電体基板22に給電するように構成されたものや、誘電体線路や導波管から第1の誘電体基板22の一端(各図で上端)に同相給電するもの等を用いることができる。
【0044】
次に、上記構成のアンテナ20の特性について考察する。
上記アンテナ20は、図5のように、第1の誘電体基板22、第1の空気層G1(隙間)、第2の誘電体基板27、第2の空気層G2の4層構造と見なすことができる。
【0045】
そして、これらの各層の間の境界条件を前記した偏波選択性によって以下のように仮定する。
【0046】
(a)第1の誘電体基板22から第1の空気層G1に対する電磁波の漏出は無反
【0047】
(b)第1の空気層G1側から第1の誘電体基板22に入力される電磁波の金属ストリップ24と平行な偏波成分については完全反射(一般の直線偏波の平面波アンテナの条件)
【0048】
(c)第1の空気層G1側から第2の誘電体基板27に入射される電磁波の金属ストリップ28に平行な偏波成分ついては完全反射し、第1の空気層G1側から第2の誘電体基板27に入射される電磁波の金属ストリップ28に直交する偏波成分については第2の空気層G2へ低損失で透過
【0049】
上記境界条件の基で、第1の空気層G1の高さをh、第2の誘電体基板27の比誘電率をε、その厚さをtとして、第1の誘電体基板22から漏出される電磁波の強度Piに対する第2の誘電体基板27から放射される電磁波の強度Poの比(透過係数)T(=Po/Pi)を求めると以下のようになる。
【0050】
T=|(4y cosθ)/(A−B−jC)|
ただし、
A=(1+y)jD、B=(1−y)jE
C=(4y sinθ)/[(1+y) sinD−(1−y) sinE]
D=p+q、E=p−q
y=ε1/2、p=kh、q=ykt、k=2π/λ
【0051】
ここで、放射する電磁波の周波数を76.5GHz(自由空間波長λが約4mm)、第1の誘電体基板22から漏出される電磁波の偏波方向に対する金属ストリップ28の角度θを45度として、厚さtが0.4mm、0.93mm、1.53mmのガラスエポキシ製の第2の誘電体基板27を用いたときの比Tは、第1の空気層G1の厚さhの変化に対してそれぞれ図6、図7、図8のように変化する。なお、図6〜図8で実線は実測値、点線は理論値、縦軸Lossは10・logTの値である。
【0052】
図6〜図8から明らかなように、比Tの実測値は、自由空間波長λのほぼ1/2の周期で周期変化しており、この変化は理論値とほぼ一致している。
【0053】
また、第2の誘電体基板27の厚さtによって比Tの変化の位相が異なっており、図6および図8の特性では、比Tが最大(損失が最小)となるときの第1の空気層G1の厚さhの値が2mm弱、4mm弱、…であるのに対し、図7の特性では比Tが最大(損失が最小)となるときの第1の空気層G1の厚さhの最小値が1mm弱(図示していないが約0.6mm)、3mm弱、…となっている。
【0054】
ここで、図6の特性において、アンテナ全体の厚さが小さくなり、損失が最小となるのは、隙間hが約1.6mmのときであり、このとき厚さt(0.4mm)と隙間hの和は約2mmとなる。
【0055】
また、図7の特性において、アンテナ全体の厚さが小さくなり、損失が最小となるのは、隙間hが約0.6mmのときであり、このとき厚さt(0.93mm)と隙間hの和は約1.53mmとなる。
【0056】
また、図8の特性において、アンテナ全体の厚さが小さくなり、損失が最小となるのは、隙間hが約1.8mmのときであり、このとき厚さt(1.53mm)と隙間hの和は約3.33mmとなる。
【0057】
したがって、これらの特性のうち損失が最小で第2の誘電体基板27の厚さtおよび隙間hの和が最小となるのは、厚さtが0.93mmの第2の誘電体基板27を隙間hとして約0.6mmあけて配置したときであることが判り、このとき、アンテナ全体の厚さが最小で、金属ストリップ28に直交する45°偏波の平面波を最も効率よく出射できることが判る。
【0058】
なお、実際には、厚さの異なる多数の第2の誘電体基板27に対して上記同様のデータを取得し、損失が最小で、第2の誘電体基板27の厚さtおよび隙間hの和が小さくなるように設定すればよく、また、必ずしも損失が最小となるように設定する必要はなく、損失が少ない範囲で第2の誘電体基板27の厚さtおよび隙間hの和が小さくなるように設定すればよい。
【0059】
いずれにしても、第2の誘電体基板27の厚さtと隙間hの和は、放射する電磁波の自由空間波長λの近傍あるいはそれ以下で損失を僅少にすることができ、従来の偏波変換膜のようにアンテナ本体から大きく離間させる必要はなく、アンテナ本体が前記した誘電体漏れ波型のアンテナであれば、アンテナ全体の厚さほとんど増すことなく45°偏波の電磁波を放射することができる。
【0060】
このアンテナ20では、上記の考察結果に基づいて、第1の誘電体基板22と第2の誘電体基板27との隙間および第2の誘電体基板27の厚さtを設定している。
【0061】
なお、この隙間hを零にした場合、即ち、第1の空気層G1をなくした場合には、第2の誘電体基板27が第1の誘電体基板22の電磁波の漏出特性に大きな影響を与えることが考えられるので、アンテナ本体として第2の誘電体基板27を含めた設計が必要となる。
【0062】
以上のように構成されたアンテナ20では、例えば図1に示しているように地板導体21が直立するように設置した状態で、図9の(a)のように給電部30から第1の誘電体基板22に平面波が給電されると、その電磁波は第1の誘電体基板22内を幅方向について同一位相で一端側(上端側)から他端側(下端側)へ伝送され、第1の誘電体基板22の他面22a側からは、電磁波の伝送方向に沿った直線偏波H1の平面波E1が漏出され、第2の誘電体基板27に入射される。
【0063】
そして、第2の誘電体基板27に入射された平面波E1に対して、金属ストリップ28は、その長さ方向と直交する偏波成分のみを透過させるため、第2の誘電体基板27の表面からは、図9の(b)のように、入射した平面波E1の偏波H1に対して45度傾いた直線偏波H2の平面波E2が放射される。
【0064】
このように、実施形態のアンテナ20では、地板導体21、第1の誘電体基板22および金属ストリップ24によって形成されるアンテナ本体の放射面側に、所定厚さの第2の誘電体基板27を空気層からなる所定の隙間をあけて対向するように配置し、この第2の誘電体基板27の表面に、アンテナ本体から放射される平面波の波長に比べて十分小さい幅と間隔をもって平面波の偏波方向と異なる角度で平行にパターン形成された複数の出射用の金属ストリップ28を設け、アンテナ本体の偏波選択性と金属ストリップ28の偏波選択性によってアンテナ本体と金属ストリップ28との間で偏波変換作用を生じさせて、アンテナ本体から放射された平面波の偏波面を金属ストリップ28と直交する方向に変換している。
【0065】
したがって、第2の誘電体基板27をアンテナ本体の放射面から大きく離間させることなく低損失に偏波面を変更することができ、アンテナ全体の厚さを大きくすることなく、所望角度の偏波の電磁波を放射することができる。
【0066】
なお、ここでは、第2の誘電体基板27として、薄くしても強度が得られるガラスエポキシ基板を用いているが、ガラスエポキシ基板より誘電率が小さく、必要な強度をもつ誘電体を用いることもできる。その場合でも、第2の誘電体基板27の厚さtと隙間hとを、その和が自由空間波長の近傍あるいはそれ以下の範囲で、損失が少なくなるように設定すればよい。
【0067】
なお、上記アンテナ20では、第2の誘電体基板27の第1の誘電体基板22と反対側の表面に金属ストリップ28を設けていたが、図10のアンテナ40のように、第2の誘電体基板27′の第1の誘電体基板22側の表面に金属ストリップ28を設けてもよい。
【0068】
この場合でも、前記同様に第2の誘電体基板27′の厚さtと隙間hを設定することで低損失な偏波変換が行え、しかも第2の誘電体基板27′をアンテナカバーと兼用することができ、アンテナ全体をより薄く構成することができる。
【0069】
また、前記したアンテナ20、40では、線路内の反射成分を相殺するための金属ストリップ25を第1の誘電体基板22の一面22a側に設けていたが、図11に示すアンテナ50のように、金属ストリップ25を金属ストリップ24が設けられている他面22b側に設けてもよい。このように金属ストリップ24、25を同一面に設けた場合、金属ストリップ24、25を誘電体基板の一面に同時にパターン形成することができ、両者の相対位置のずれが少なくなり、反射抑圧効果がより高くなる。
【0070】
また、前記アンテナ20、40、50では、地板導体21の導体損を減らすために、地板導体21に対して第1の誘電体基板22を隙間をあけて配置していたが、地板導体21の導体損が無視できるような場合には、図12に示すアンテナ60のように、地板導体21に第1の誘電体基板22を密着するように固定してもよい。このようにすれば、アンテナ全体の厚さ寸法をさらに小さくすることができる。
【0071】
また、前記アンテナ20、40、50、60では、金属ストリップによる反射成分による影響をなくすために金属ストリップ25を設けていたが、金属ストリップの反射成分による影響が無視できる場合には、金属ストリップ25を省略してもよい。
【0072】
また、前記説明では第1の誘電体基板22と第2の誘電体基板27の隙間を空気層としていたが、空気以外のガス等による気体層あるいは真空層にしてもよい。
【0074】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1のアンテナは、
地板導体(21)と、該地板導体に一面側を対向させるように配置され、該地板導体との間で、一端側から給電された電磁波を他端側に伝送する伝送路を形成する第1の誘電体基板(22)と、該第1の誘電体基板のいずれか一方の面に、所定幅で所定間隔をあけて平行にパターン形成され、前記地板導体と反対の他面側を放射面として前記伝送路内から直線偏波の平面波を漏出させる複数の金属ストリップ(24、25)とを有する誘電体漏れ波型のアンテナ本体と、
前記アンテナ本体の平面波の放射面に気体あるいは真空の層からなる所定の隙間をあけて対向するように配置された所定厚さの第2の誘電体基板(27)と、
前記第2の誘電体基板の一方の面に、前記アンテナ本体から放射される平面波の波長に比べて十分小さい幅と間隔をもって前記平面波の偏波方向および該偏波方向と直交する方向に対して異なる角度でパターン形成された複数の平行な金属ストリップ(28)とを有し、
前記アンテナ本体の放射面と前記第2の誘電体基板に形成された金属ストリップとの間の偏波選択性によって前記アンテナ本体と前記第2の誘電体基板の金属ストリップとの間に偏波変換作用を生じさせ、前記アンテナ本体から放射された平面波を前記第2の誘電体基板の金属ストリップの角度に直交する直線偏波の平面波に変換して前記第2の誘電体基板の表面から出射するアンテナであって、
前記第2の誘電体基板の厚さ(t)および該第2の誘電体基板と前記アンテナ本体の放射面との隙間(h)は、その和(t+h)が前記アンテナ本体から放射される電磁波の自由空間波長の近傍またはそれ以下の範囲内となり、且つ、所定の厚さに対する隙間を前記第2の誘電体基板についての自由空間波長のほぼ1/2の周期性で変化する透過係数の高領域に設定したことを特徴としている。
【0075】
このため、アンテナ本体の放射面と誘電体基板との隙間を近づけることができ、アンテナ全体の厚さ寸法を大きくすることなく、放射する電磁波の偏波面を任意に設定できる。
【0077】
また、アンテナ本体の放射面から電磁波の自由空間波長の近傍またはそれ以下の厚さの増加のみで低損失な偏波変換が行え、アンテナ全体の厚さ寸法を大きくすることなく、放射する電磁波の偏波面を任意に設定できる。
【0079】
さらに、誘電体漏れ波型のアンテナ本体を用いているため、アンテナ全体の厚さが極めて小さく、高効率で、しかも放射する偏波が任意に設定できるアンテナを実現できる。
【0080】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の正面図
【図2】実施形態の第2の誘電体基板を外した状態の正面図
【図3】図1のA−A線断面図
【図4】実施形態の動作を説明するための図
【図5】実施形態のアンテナをモデル化した図
【図6】厚さ0.4mmの誘電体基板を用いたときの特性を示す図
【図7】厚さ0.93mmの誘電体基板を用いたときの特性を示す図
【図8】厚さ1.53mmの誘電体基板を用いたときの特性を示す図
【図9】本発明の実施形態の動作を説明するための図
【図10】本発明の実施形態の変形例の断面図
【図11】本発明の実施形態の変形例の断面図
【図12】本発明の他の実施形態の正面図
【図13】偏波変換膜の構成を示す図
【図14】偏波変換膜の動作を説明するための図
【符号の説明】
20、40、50、60 アンテナ
21 地板導体
22 第1の誘電体基板
23 スペーサ
24 金属ストリップ
25 金属ストリップ
26 スペーサ
27、27′ 第2の誘電体基板
28 金属ストリップ
30 給電部

Claims (1)

  1. 地板導体(21)と、該地板導体に一面側を対向させるように配置され、該地板導体との間で、一端側から給電された電磁波を他端側に伝送する伝送路を形成する第1の誘電体基板(22)と、該第1の誘電体基板のいずれか一方の面に、所定幅で所定間隔をあけて平行にパターン形成され、前記地板導体と反対の他面側を放射面として前記伝送路内から直線偏波の平面波を漏出させる複数の金属ストリップ(24、25)とを有する誘電体漏れ波型のアンテナ本体と、
    前記アンテナ本体の平面波の放射面に気体あるいは真空の層からなる所定の隙間をあけて対向するように配置された所定厚さの第2の誘電体基板(27)と、
    前記第2の誘電体基板の一方の面に、前記アンテナ本体から放射される平面波の波長に比べて十分小さい幅と間隔をもって前記平面波の偏波方向および該偏波方向と直交する方向に対して異なる角度でパターン形成された複数の平行な金属ストリップ(28)とを有し、
    前記アンテナ本体の放射面と前記第2の誘電体基板に形成された金属ストリップとの間の偏波選択性によって前記アンテナ本体と前記第2の誘電体基板の金属ストリップとの間に偏波変換作用を生じさせ、前記アンテナ本体から放射された平面波を前記第2の誘電体基板の金属ストリップの角度に直交する直線偏波の平面波に変換して前記第2の誘電体基板の表面から出射するアンテナであって、
    前記第2の誘電体基板の厚さ(t)および該第2の誘電体基板と前記アンテナ本体の放射面との隙間(h)は、その和(t+h)が前記アンテナ本体から放射される電磁波の自由空間波長の近傍またはそれ以下の範囲内となり、且つ、所定の厚さに対する隙間を前記第2の誘電体基板についての自由空間波長のほぼ1/2の周期性で変化する透過係数の高領域に設定したことを特徴とするアンテナ。
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