JP3750370B2 - Control device for driving device - Google Patents
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- Y02T10/62—Hybrid vehicles
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、混合気の空燃比を変更可能なエンジンと、このエンジンから出力されたトルクの伝達経路に配置され、かつ、機械エネルギを電気エネルギに変換する回生機能、または電気エネルギを機械エネルギに変換する力行機能の少なくとも一方の機能を有する回転機とが設けられている駆動装置の制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年では、エンジンを駆動させる燃料の節約と、エンジンの回転による騒音の低減と、燃料の燃焼により発生する排気ガスの低減とを目的として、エンジンおよびモータ・ジェネレータとを搭載したハイブリッド車が提案されている。このハイブリッド車においては、車両の走行状態に基づいてエンジンまたはモータ・ジェネレータを制御して、車両を走行させるように構成されている。
【0003】
具体的には、エンジンを、その燃焼効率の良い回転領域で運転させる一方、エンジンの燃焼効率の低下する運転領域においては、エンジンを停止して、モータ・ジェネレータを電動機として機能させることにより車両を走行させることが可能である。また、車両の減速時にはモータ・ジェネレータを発電機として機能させるとともに、モータ・ジェネレータにより回収された電気エネルギをバッテリに充電することも可能である。このように、エンジンおよびモータ・ジェネレータを備えた制御装置の一例が、特開平9−209790号公報に記載されている。
【0004】
ところで、省エネ化や環境保全のためにエンジンの燃費を向上させることが強く望まれていることは周知のとおりである。例えば、ガソリンエンジンでは、空燃比を大きくしたリーンバーン運転の可能なエンジンが開発され、また実用化されている。このリーンバーン運転は、理論空燃比より大きい空燃比の混合気をシリンダの内部に吸入して燃焼を生じさせる運転状態である。このため、エンジントルクが低下し、また燃焼が不安定になってトルク変動が比較的大きくなるなどの特性がある。したがって、通常は、車速が所定車速以上でかつスロットル開度が比較的低開度の状態で実行することとしている。
【0005】
さらに、エンジンのシリンダから排出される排気中の空気濃度が高くなることにより、排気ガス中のNOx の濃度が高くなる傾向にある。このため、従来では、エンジンの排気系統中にNOx 吸収剤を配置し、エンジンのリーンバーン運転により生じるNOx を、NOx 吸収剤により吸収している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、エンジンのリーンバーン運転が継続されて、リーン混合気が燃焼されつづけると、NOx 吸収剤によるNOx 吸収能力が飽和してしまい、NOx 吸収剤によりNOx を吸収できなくなってしまう。そこで、エンジンのシリンダ内に供給される混合気を一時的にリッチ化するリッチスパイクを、所定時間おきに実行している。すると、排気ガス中の酸素濃度が低下するため、吸収剤により吸収されているNOx が放出されて、吸収剤のNOx 吸収機能が回復する。
【0007】
しかしながら、上記公報に記載れているような駆動装置の制御装置において、エンジンのリーンバーン運転中にリッチスパイクを実行した場合は、エンジントルクに変動が生じ、ショックとして体感される可能性があった。
【0008】
この発明は、上記事情を背景としてなされたもので、エンジンのトルクが伝達されるトルク伝達経路にモータ・ジェネレータが設けられている駆動装置において、エンジンのリーンバーン運転中にリッチスパイクを実行する場合でも、トルク伝達経路から出力されるトルクの変動を抑制することの可能な駆動装置の制御装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段およびその作用】
上記目的を達成するため請求項1の発明は、混合気の空燃比を変更することの可能なエンジンと、このエンジンから出力されるトルクの伝達経路に配置されたモータ・ジェネレータとを有し、前記エンジンの空燃比を理論空燃比よりも大きく設定するリーンバーン運転中に、前記エンジンの空燃比を一時的に理論空燃比よりも小さくするリッチスパイクを実行可能な駆動装置の制御装置において、前記リッチスパイクの実行に伴うエンジントルクの増大分を、前記モータ・ジェネレータの回生トルクにより吸収することが可能であるか否かを判断する可否判断手段と、この可否判断手段により、前記リッチスパイクの実行に伴うエンジントルクの増大分を、前記モータ・ジェネレータの回生トルクにより吸収することが可能であると判断された場合は、前記モータ・ジェネレータの回生トルクを制御することにより、前記トルク伝達経路におけるトルク変動を抑制するモータ・ジェネレータ制御手段と、前記可否判断手段により、前記リッチスパイクの実行に伴うエンジントルクの増大分を、前記モータ・ジェネレータの回生トルクにより吸収することが不可能であると判断された場合は、前記リッチスパイクの実行に伴うエンジントルクの増大分を吸収するように、前記エンジンの出力トルクを補正する出力トルク補正手段とを備えていることを特徴とするものである。
【0010】
ここで、空燃比の変更を判定する方法には、空燃比の変更を、スイッチまたはセンサなどにより直接的に検出する方法と、空燃比の変更を、電子制御装置による演算処理に基づいて間接的に検出する方法とが含まれる。また、エンジントルクの増大分を、モータ・ジェネレータの回生トルクにより吸収することが可能であるか否かを判断する基準には、モータ・ジェネレーターの回生機能により得られた電気エネルギを充電するバッテリの充電量と、モータ・ジェネレータの構成部品である固定子のコイルの温度と、モータ・ジェネレータのフェール状態とが含まれる。
【0011】
請求項1の発明によれば、エンジンのリーンバーン運転中に、リッチスパイク制御が実行されてエンジントルクが変動した場合でも、トルク伝達経路から出力されるトルクの変動が、モータ・ジェネレータにより抑制されてショックが軽減される。また、トルク伝達経路から出力されるトルクの変動を、モータ・ジェネレータにより吸収することができない場合には、エンジンの出力トルク自体を補正することにより、トルク伝達経路から出力されるトルクの変動が抑制される。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1の構成に加えて、前記エンジンまたは前記モータジェネレータの少なくとも一方から出力されるトルクが、前記トルク伝達経路を経由して車輪に伝達されるように構成されていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明と同様の作用が生じる他に、エンジンまたはモータジェネレータの少なくとも一方から出力されるトルクが、トルク伝達経路を経由して車輪に伝達される。
【0015】
【発明の実施の形態】
つぎにこの発明を図を参照してより具体的に説明する。図2は、この発明を適用したハイブリッド車のシステム構成を示すブロック図である。第1の駆動力源であるエンジン1としては、ガソリンエンジンまたはディーゼルエンジンまたはLPGエンジン等の内燃機関が用いられる。
【0016】
エンジン1から出力されるトルクの伝達経路には、トルクコンバータ2およびモータ・ジェネレータ3ならびに歯車変速機構4が直列に配置されている。第2の駆動力源であるモータ・ジェネレータ3は、例えば交流同期型のものが適用される。モータ・ジェネレータ3は、永久磁石(図示せず)を有する回転子(図示せず)と、コイル(図示せず)が巻き付けられた固定子(図示せず)とを備えている。そして、コイルの3相巻き線に3相交流電流を流すと回転磁界が発生し、この回転磁界を回転子の回転位置および回転速度に合わせて制御することによりトルクが発生する。発生するトルクは電流の大きさにほぼ比例し、回転数は交流電流の周波数により制御される。
【0017】
このモータ・ジェネレータ3は、機械エネルギと電気エネルギとの間で相互に変換をおこなう機能、つまり、電動機としての機能(力行機能)と、発電機としての機能(回生機能)とを兼備している。なお、この実施例においては、エンジン1とトルクコンバータ2との間にモータ・ジェネレータ3が配置され、モータ・ジェネレータ3と歯車変速機構4との間にトルクコンバータ2が配置されている。
【0018】
図3は、トルクコンバータ2および歯車変速機構4の構成を示すスケルトン図である。このトルクコンバータ2および歯車変速機構4を有する自動変速機の内部には、作動流体としてのオートマチック・トランスミッション・フルード(図示せず)が封入されている。このオートマチック・トランスミッション・フルードは、エンジン1によって駆動されるオイルポンプ(図示せず)により吸入および吐出されるもので、オートマチック・トランスミッション・フルードは、歯車変速機構4の摩擦係合装置を作動させる作動油としての機能と、トルクコンバータ2の作動流体としてトルクを伝達する機能と、自動変速機の内部に設けられている部品の潤滑および冷却をおこなう機能とを備えている。
【0019】
トルクコンバータ2は、流体式トルク伝達装置の一種であり、トルク増幅機能を備えている。このトルクコンバータ2は、駆動側回転部材の回転を流体を介して従動側回転部材にトルクを伝達するものである。このトルクコンバータ2は、ポンプインペラ7に一体化させたフロントカバー8と、タービンランナ9を一体に取付けたハブ10と、ロックアップクラッチ11とを有している。ロックアップクラッチ11は係合・解放可能に構成されており、ロックアップクラッチ11が解放されている場合は、ポンプインペラ7とタービンランナ9との間で、流体によりトルクの伝達がおこなわれる。また、ロックアップクラッチ11が係合された場合は、フロントカバー8とハブ10とが機械的に接続される。
【0020】
フロントカバー8はクランクシャフト12に連結されている。また、ポンプインペラ7およびタービンランナ9の内周側には、ステータ13が設けられている。このステータ13は、ポンプインペラ7からタービンランナ9に伝達されるトルクを増幅するためのものである。さらに、ハブ10には入力軸14が接続されている。したがって、エンジン1のクランクシャフト12からトルクが出力されると、このトルクが作動流体またはロックアップクラッチ11を介して入力軸14に伝達される。
【0021】
これとは逆に、入力軸14のトルクを、作動流体またはロックアップクラッチ11を介してエンジン1に伝達することも可能である。このように、入力軸14のトルクをエンジン1に伝達する状態としては、車輪の回転をエンジン1に伝達してエンジンブレーキ力を作用させる場合が例示される。
【0022】
前記歯車変速機構4は、副変速部15および主変速部16から構成されている。副変速部15は、オーバドライブ用の遊星歯車機構17を備えており、遊星歯車機構17のキャリヤ18に対して入力軸14が連結されている。この遊星歯車機構17を構成するキャリヤ18とサンギヤ19との間には、多板クラッチC0 と一方向クラッチF0 とが設けられている。この一方向クラッチF0 は、サンギヤ19がキャリヤ18に対して相対的に正回転、つまり、入力軸14の回転方向に回転した場合に係合するようになっている。そして、副変速部15の出力要素であるリングギヤ20が、主変速部16の入力要素である中間軸21に接続されている。また、サンギヤ19の回転を選択的に止める多板ブレーキB0 が設けられている。
【0023】
したがって、副変速部15は、多板クラッチC0 もしくは一方向クラッチF0 が係合した状態で遊星歯車機構17の全体が一体となって回転する。このため、中間軸21が入力軸14と同速度で回転し、低速段となる。また、ブレーキB0 を係合させてサンギヤ19の回転を止めた状態では、リングギヤ20が入力軸14に対して増速されて正回転し、高速段となる。
【0024】
他方、主変速部16は、三組の遊星歯車機構22,23,24を備えており、三組の遊星歯車機構22,23,24を構成する回転要素が、以下のように連結されている。すなわち、第1遊星歯車機構22のサンギヤ25と、第2遊星歯車機構23のサンギヤ26とが互いに一体的に連結されている。また、第1遊星歯車機構22のリングギヤ27と、第2遊星歯車機構23のキャリヤ29と、第3遊星歯車機構24のキャリヤ31とが連結されている。さらに、キャリヤ31に出力軸32が連結されている。そして、出力軸32がトルク伝達装置(図示せず)を介して車輪32Aに接続されている。さらにまた、第2遊星歯車機構23のリングギヤ33が、第3遊星歯車機構24のサンギヤ34に連結されている。
【0025】
この主変速部16の歯車列においては、後進側の1つの変速段と、前進側の4つの変速段とを設定することができる。このような変速段を設定するための摩擦係合装置、つまりクラッチおよびブレーキが、以下のように設けられている。先ずクラッチについて述べると、リングギヤ33およびサンギヤ34と、中間軸21との間に第1クラッチC1 が設けられている。また、互いに連結されたサンギヤ25およびサンギヤ26と、中間軸21との間に第2クラッチC2 が設けられている。
【0026】
つぎにブレーキについて述べると、第1ブレーキB1 はバンドブレーキであって、第1遊星歯車機構22のサンギヤ25、および第2遊星歯車機構23のサンギヤ26の回転を止めるように配置されている。またこれらのサンギヤ25,26とケーシング35との間には、第1一方向クラッチF1 と、多板ブレーキである第2ブレーキB2 とが直列に配列されている。第1一方向クラッチF1 はサンギヤ25,26が逆回転、つまり入力軸14の回転方向とは反対方向に回転しようとする際に係合するようになっている。
【0027】
第1遊星歯車機構22のキャリヤ37とケーシング35との間に、多板ブレーキである第3ブレーキB3 が設けられている。そして第3遊星歯車機構24はリングギヤ38を備えており、リングギヤ38の回転を止めるブレーキとして、多板ブレーキである第4ブレーキB4 と、第2一方向クラッチF2 とが設けられている。第4ブレーキB4 および第2一方向クラッチF2 は、ケーシング35とリングギヤ38との間に相互に並列に配置されている。なお、この第2一方向クラッチF2 はリングギヤ38が逆回転しようとする際に係合するように構成されている。さらに、歯車変速機構4の入力回転数を検出する入力回転数センサ(タービン回転数センサ)4Aと、歯車変速機構4の出力軸32の回転数を検出する出力回転数センサ(車速センサ)4Bとが設けられている。
【0028】
上記のように構成された歯車変速機構4においては、各クラッチやブレーキなどの摩擦係合装置を、図4の動作図表に示すように係合・解放することにより、前進5段・後進1段の変速段を設定することができる。なお、図4において○印は摩擦係合装置が係合することを示し、◎印は、エンジンブレーキ時に摩擦係合装置が係合することを示し、△印は摩擦係合装置が係合・解放のいずれでもよいこと、言い換えれば、摩擦係合装置が係合されてもトルクの伝達には無関係であることを示し、空欄は摩擦係合装置が解放されることを示している。
【0029】
また、この実施例では、シフトレバー4Cのマニュアル操作により、図5に示すようなシフトレバーポジションを設定することが可能である。すなわち、P(パーキング)ポジション、R(リバース)ポジション、N(ニュートラル)ポジション、D(ドライブ)ポジション、4ポジション、3ポジション、2ポジション、L(ロー)ポジションの各ポジションを設定可能になっている。
【0030】
また、図2に示された油圧制御装置39により、歯車変速機構4における変速段の設定または切り換え制御、ロックアップクラッチ11の係合・解放やスリップ制御、油圧回路のライン圧の制御、摩擦係合装置の係合圧の制御などがおこなわれる。この油圧制御装置39は電気的に制御されるもので、歯車変速機構4の変速を実行するための第1ないし第3のシフトソレノイドバルブS1 ,〜S3 と、エンジンブレーキ状態を制御するための第4ソレノイドバルブS4 とを備えている。
【0031】
さらに、油圧制御装置39は、油圧回路のライン圧を制御するためのリニアソレノイドバルブSLTと、歯車変速機構4の変速過渡時におけるアキュームレータ背圧を制御するためのリニアソレノイドバルブSLNと、ロックアップクラッチ11や所定の摩擦係合装置に作用する油圧を制御するためのリニアソレノイドバルブSLUとを備えている。このように、歯車変速機構4および油圧制御装置39により、いわゆる有段式の自動変速機が構成されている。
【0032】
図6は、モータ・ジェネレータ3の制御系統を示すブロック図である。モータ・ジェネレータ3の回転子はクランクシャフト12に接続されている。また、モータ・ジェネレータ3は、インバータ40を介してバッテリ41に接続されている。インバータ40は、直流電流と交流電流との変換を行う電力変換装置である。そして、エンジン1から入力されるトルク、または車輪32Aから歯車変速機構4およびトルクコンバータ2を介して入力されるトルクにより発電をおこない、その電気エネルギをインバータ40を介してバッテリ41に充電することが可能である。また、バッテリ41から供給される電流によりモータ・ジェネレータ3を電動機として機能させ、モータ・ジェネレータ3から出力されたトルクを、エンジン1または歯車変速機構4に伝達することも可能である。
【0033】
さらにまた、インバータ40およびバッテリ41にはコントローラ42が接続されている。なお、バッテリ41には補機41Aが接続されており、バッテリ41から供給される電流により補機41Aが作動するように構成されている。補機41Aとしては、エアコンプレッサ、照明装置、デフォッガ等が例示される。このコントローラ42は、バッテリ41からモータ・ジェネレータ3に供給される電流値と、モータ・ジェネレータ3により発電される電流値とを検出する機能を備えている。また、コントローラ42は、モータ・ジェネレータ3の回転数を制御する機能と、バッテリ41の充電量(SOC:state of charge)を検出および制御する機能とを備えている。
【0034】
図7は、図2および図6に示されたシステムの制御回路を示すブロック図である。電子制御装置(ECU)58は、中央演算処理装置(CPU)および記憶装置(RAM、ROM)ならびに入力・出力インターフェースを主体とするマイクロコンピュータにより構成されている。
【0035】
そして、アクセルペダル1Aの踏み込み量(アクセル開度)がアクセル開度センサ68により検出され、その検出信号が電子制御装置58に入力されている。また、エンジン1の吸気ダクトには、アクチュエータ75により駆動される電子スロットルバルブ1Bが設けられており、この電子スロットルバルブ1Bの開度は、電子制御装置58の制御信号に基づいて電気的に制御される。
【0036】
また、電子制御装置58には、エンジン1の吸入空気量を検出するエアフロメータ71の信号、エンジン1の吸入空気温度を検出する吸入空気温度センサ76の信号、エンジン回転数センサ59の信号、エンジン水温センサ60の信号、イグニッションスイッチ61の信号、バッテリ41の充電量を表す信号、モータ・ジェネレータ3のコイルの温度を検出する温度センサ42Aの信号、およびモータ・ジェネレータ3の電流値、あるいはモータ・ジェネレータ3のフェール状態を検出するコントローラ42の信号、エアコンスイッチ62の信号、車速センサ4Bの信号、オートマチック・トランスミッション・フルードの温度を検出する油温センサ63の信号、シフトレバー4Cの操作位置を検出するシフトポジションセンサ64の信号、エンジン1の排気系統に設けられた排気浄化触媒の温度を検出する排気温センサ67の信号等が入力されている。この排気浄化触媒には、後述するNOx 吸収剤および三元触媒が含まれる。
【0037】
また、電子制御装置58には、運転者の停車意図を検出するパーキングブレーキスイッチ65の信号、運転者の減速意図または制動意図を検出するフットブレーキスイッチ66の信号、エンジン1の電子スロットルバルブ1Bの開度を示すスロットル開度センサ69の信号、タービン回転数センサ4Aの信号、モータ・ジェネレータ3の回転数センサ(レゾルバ)70の信号等が入力されている。そして、電子制御装置58においては、RAMの一時記憶機能を利用しつつ、予めROMに記憶されているプログラムにしたがって入力信号を処理し、種々のエンジン制御を実行する。例えば、燃料噴射量制御のために燃料噴射弁73を制御し、点火時期制御のためにイグナイタ72を制御し、アイドルスピード制御のためにバイパス弁(図示せず)を制御し、トラクション制御を含む全てのスロットル制御を、アクチュエータ75により制御する。
【0038】
さらに、電子制御装置58からは、コントローラ42を介してモータ・ジェネレータ3を制御する信号、油圧制御装置39を制御する信号、エンジン1の作動状態を示すインジケータ74への表示信号などが出力されている。
【0039】
このようにして、電子制御装置58に入力される各種の信号に基づいて、エンジン1の動作およびモータ・ジェネレータ3の動作ならびに歯車変速機構4の動作が制御される。より具体的には、エンジン1の始動・停止、エンジン回転数、エンジントルクの制御は、シフトポジションセンサ64の信号、イグニッションスイッチ61の信号、アクセル開度センサ68の信号、バッテリ41の充電状態を示す信号、自動変速機の変速比、油温センサ63の信号などに基づいておこなわれる。
【0040】
ところで、上記エンジン1は、混合気の空燃比を変更することが可能に構成されている。具体的には、空燃比を理論空燃比(ストイキ)より大きくしたリーンバーン運転が可能であり、かつリーンバーン運転中にNOx 吸収剤からNOx を放出させるために、空燃比を一時的にリッチ側に設定するリッチスパイクを実行するよう構成されている。そこでこのエンジン1について説明すると、図8は吸排気系統を模式的に示しており、ピストン130の頂部側に形成された燃焼室131には、点火プラグ132が配置されている。またこの燃焼室131には、吸気弁133を有する吸気ポート134と、排気弁135を有する排気ポート136とが連通されている。
【0041】
その吸気ポート134は、対応するマニホールド137を介してサージタンク138に連結され、その各マニホールド137には、吸気ポート134内に向けて燃料を噴射する燃料噴射弁73が取り付けられている。またサージタンク138は、吸気ダクト140およびエアフローメータ71を介してエアクリーナ141に連結され、吸気ダクト140内に電子スロットルバルブ1Bが配置されている。
【0042】
一方、排気ポート136には、排気マニホールド142および排気管143を介してケーシング145が接続されている。このケーシング145にはNOx 吸収剤144が内蔵されている。さらにケーシング145は、排気管146を介して触媒コンバータ147に連結されている。なお、この触媒コンバータ147は、三元触媒148を内蔵している。
【0043】
エンジン1を制御する電子制御装置58は、デジタルコンピュータからなり、双方向性バス149によって相互に接続されたROM(リードオンリーメモリ)150、RAM(ランダムアクセスメモリ)151、CPU(マイクロプロセッサ)152、入力ポート153および出力ポート154を備えている。エアフローメータ71は吸入空気量に比例した出力電圧を発生し、この出力電圧がAD変換器155を介して入力ポート153に入力されるようになっている。また入力ポート153にはエンジン回転数を表す出力パルスを発生するエンジン回転数センサ59が接続されている。一方、出力ポート154は対応する駆動回路156,157を介してそれぞれ点火プラグ132および燃料噴射弁73に接続されている。
【0044】
上記のようにエンジン1は、燃料噴射弁73から燃料が供給されるよう構成されており、その燃料噴射時間TAUは、
TAU=TP×Kt
の式に基づいて算出される。ここでTPは基本燃料噴射時間を表し、またKt は補正係数を表している。基本燃料噴射時間TPはエンジン1のシリンダに供給される混合気の空燃比を理論空燃比とするのに必要な燃料噴射時間である。
【0045】
この基本燃料噴射時間TPは予め実験により求められ、1回転あたりの吸入空気量Q/N(Qは吸入空気量、Nはエンジン回転数)で表されるエンジン負荷およびエンジン回転数Nの関数として図9に示すようなマップの形で予めROM152内に記憶されている。補正係数Kt はエンジン1内に供給される混合気の空燃比を制御するための係数であって、Kt =1.0であれば、シリンダ内に供給される混合気は理論空燃比となる。これに対してKt <1.0となれば、シリンダ内に供給される混合気の空燃比は理論空燃比より大きくなり、エンジン1はリーンバーン運転されることになる。さらにKt >1.0になれば、シリンダ内に供給される混合気の空燃比は理論空燃比よりも小さくなり、いわゆるリッチ状態となる。
【0046】
図8に示すエンジン1においては、通常、例えばKt =0.7もしくは0.6程度に維持されており、したがってリーンバーン運転が行われる。図10は、燃焼室131から排出される排気ガス中の代表的な成分の濃度を概略的に示している。この図10から知られるように、燃焼室131から排出される未燃焼のHC、COの濃度は、燃焼室131に供給される混合気の空燃比がリッチになるほど増大し、燃焼室131から排出される排気ガス中の酸素O2 の濃度は燃焼室131内に供給される混合気の空燃比がリーンになるほど増大する。
【0047】
一方、前記NOx 吸収剤144は、例えばアルミナを担体とし、この担体上に例えばカリウムK、ナトリウムNa 、リチウムLi 、セシウムCs のようなアルカリ金属、バリウムBa 、カルシウムCa のようなアルカリ土類、ランタンLa 、イットリウムYのような希土類から選ばれた少なくとも一つと、白金Pt のような貴金属とが担持されている。
【0048】
吸気ダクト140およびNOx 吸収剤144の上流の排気管路内に供給された空気と燃料との比を「NOx 吸収剤144への流入排気ガスの空燃比」とすると、このNOx 吸収剤144は、流入排気ガスの空燃比がリーンのときにNOx 吸収し、流入排気ガス中の酸素濃度が低下すると、吸収したNOx を放出するNOx の吸収放出作用を行う。
【0049】
なお、NOx 吸収剤144の上流の排気管路内に燃料あるいは空気が供給されない場合には、流入排気ガスの空燃比が燃焼室131内に供給される混合気の空燃比に一致し、したがってこの場合には、NOx 吸収剤144は燃焼室131内に供給される混合気の空燃比がリーンの時にNOx を吸収し、燃焼室131内に供給される混合気中の酸素濃度が低下すると、吸収したNOx を放出することになる。
【0050】
前述したように、図8に示すエンジン1では、通常、シリンダ内に供給される混合気はリーン(例えばKt =0.7)に維持されており、このとき発生するNOx は、NOx 吸収剤144に吸収される。ところがリーン混合気が燃焼されつづけると、NOx 吸収剤144によるNOx 吸収能力が飽和してしまい、しばらくしてNOx 吸収剤144によりNOx を吸収できなくなってしまう。そこでこの実施例では、リーン混合気が継続して燃焼されたときには図11に示すようにシリンダ内に供給される混合気を一時的にリッチ(Kt =KK)に制御し、それによってNOx 吸収剤144に吸収されたNOx をNOx 吸収剤144から放出させる。すなわちリッチスパイクを実行する。
【0051】
つぎに、電子制御装置58による歯車変速機構4および油圧制御装置39ならびにロックアップクラッチ11の制御内容を具体的に説明する。電子制御装置58には、歯車変速機構4の変速比を制御する変速線図(変速マップ)が記憶されている。この変速線図には、車両の走行状態、例えばアクセル開度と車速とをパラメータとして、所定の変速段から他の変速段に変速(アップシフトまたはダウンシフト)するための変速点が設定されている。
【0052】
そして、この変速線図に基づいて変速判断がおこなわれ、この変速判断が成立した場合は、電子制御装置58から制御信号が出力され、この制御信号が油圧制御装置39に入力される。その結果、所定のソレノイドバルブが動作し、所定の摩擦係合装置の係合・解放がおこなわれて変速が実行される。そして、変速を実行する摩擦係合装置の係合・解放のタイミング、および摩擦係合装置に作用する油圧が、エンジントルクに基づいて制御される。
【0053】
さらに、ロックアップクラッチ11の動作は、通常は、アクセル開度、車速、変速比(変速段)等の条件に基づいて制御される。このため、電子制御装置58には、アクセル開度および車速をパラメータとして、ロックアップクラッチ11を係合またはスリップあるいは解放する領域を設定したロックアップクラッチ制御マップが記憶されている。
【0054】
上記ハイブリッド車の制御内容を簡単に説明する。イグニッションスイッチ61がスタート位置に操作されると、モータ・ジェネレータ3のトルクがエンジン1に伝達され、かつ、燃料噴射弁73による燃料噴射制御がおこなわれ、エンジン1が始動する。そして、エンジン水温が所定値になり、かつ、バッテリ41の充電が不要な場合は、所定時間後にエンジン1が自動的に停止される。
【0055】
そして、アクセルペダル1Aが踏み込まれると、モータ・ジェネレータ3のトルクがトルクコンバータ2を介して歯車変速機構4に伝達されるとともに、このトルクが車輪32Aに伝達されて車両が発進する。車両の発進時および低速走行時のように、エンジン効率が低下する領域においては、燃料噴射弁73による燃料噴射をおこなわず、モータ・ジェネレータ3の出力のみにより車両が走行する。また通常走行時には、自動的にエンジン1が始動され、エンジン出力により車両が走行する。高負荷走行時には、エンジン1の出力およびモータ・ジェネレータ3の出力により車両が走行する。
【0056】
車両の走行に必要なパワーは、アクセル開度および車速に基づいて演算される。そして、予め電子制御装置58に記憶されている最適燃費線に基づいてエンジン回転数が演算される。さらに、電子スロットルバルブ1Bの開度制御をおこなうとともに、歯車変速機構4の変速比に基づいてモータ・ジェネレータ3の回転数を求め、エンジン回転数を制御する。これと同時に、必要な駆動力に対して、モータ・ジェネレータ3が分担するトルクが演算される。
【0057】
車両の減速時または制動時には、車輪32Aから入力されたトルクが歯車変速機構4をおよびトルクコンバータ2を介してモータ・ジェネレータ3に伝達される。すると、このトルクによりモータ・ジェネレータ3が発電機として機能し、回収した電気エネルギをバッテリ41に充電する。また、バッテリ41は、充電量が所定の範囲になるように制御されており、充電量が少なくなった場合は、エンジン出力を増大させ、その一部をモータ・ジェネレータ3に伝達して発電させる。なお、車両の停車時には自動的にエンジン1が停止される。
【0058】
ここで、この実施例の構成と、この発明との対応関係を説明する。すなわち、クランクシャフト12と入力軸14と出力軸32とがこの発明のトルク伝達経路に相当する。
【0059】
つぎに、この発明の制御例を、図1のフローチャートに基づいて説明する。まず、電子制御装置58により各種の入力信号が処理される(ステップ1)。そして、エンジン1がリーンバーン運転中であるか否かが判断される(ステップ2)。このステップ2の判断基準としては、エンジン1の基本燃料噴射時間TPに対する補正係数Kt が用いられる。そして、Kt ≧1.0のときには、理論空燃比またはリッチ空燃比でエンジン1が運転されていることになり、ステップ2で否定判断される。ステップ2で否定判断された場合は、エンジントルクが変動する可能性が少ないため、リターンされる。
【0060】
これに対して、Kt <1.0のときにはステップ2で肯定判断され、リッチスパイクをおこなう必要性があるか否かが判断される(ステップ3)。具体的には、現在のエンジン回転数NEにΣNEを加算してΣNEが求められる。このΣNEはエンジン回転数NEの累積値を示している。そして、累積回転数ΣNEと一定値SNEとが比較される。この一定値SNEはNOx 吸収剤144にそのNOx 吸収能力の例えば50%のNOx 量が吸収されていると推定される累積回転数を示している。
【0061】
上記の比較結果が、ΣNE≦SNEの場合はNOx 吸収剤144の吸収能力に未だ余裕があるため、ステップ3で否定判断されてリターンされる。また、上記比較結果が、ΣNE>SNEのとき、すなわちNOx 吸収剤144にそのNOx 吸収能力の50%のNOx 量が吸収されていると推定されたときは、リッチスパイクが必要であると判断され、リッチスパイクの開始タイミング(開始時期)、および開始から終了までの継続時間が演算される(ステップ4)。
【0062】
ついで、ステップ4の演算結果に基づくリッチスパイク制御が実施され(ステップ5)、モータ・ジェネレータ3の機能を制御することが可能であるか否かが判断される(ステップ6)。たとえば、バッテリ41の充電量が所定の範囲にある場合は、モータ・ジェネレータ3を、発電機または電動機のいずれとしても機能させていない状態から、モータ・ジェネレータ3を発電機として機能させることにより、リッチスパイクに伴うエンジントルクの上昇を、トルク伝達経路において吸収もしくはなますことが可能である。
【0063】
そこで、バッテリ41の充電量が所定の範囲にある場合は、ステップ6で肯定判断され、ステップ7に進む。なお、ステップ6においては、他の判断基準、例えばモータ・ジェネレータ3の固定子のコイルの温度、またはモータ・ジェネレータ3のフェール状態などに基づいて、モータ・ジェネレータ3を発電機として機能させることが可能か否かを判断することも可能である。
【0064】
そして、ステップ7においては、モータ・ジェネレータ3によるトルク補正量が演算される(ステップ7)。具体的には、リッチスパイクにともなうエンジントルクの増大分に対応する回生トルクの発生タイミング(発生時期)と、回生トルクの継続時間、回生トルクの値とが演算される。具体的には、モータ・ジェネレータ3の回生トルクの発生タイミングが、リッチスパイクのタイミングに同期するように設定され、モータ・ジェネレータ3の回生トルクの継続時間が、リッチスパイクの継続時間に対応して設定され、モータ・ジェネレータ3の回生トルクが、リッチスパイクによるエンジントルクの増大分を吸収する値に設定される。ついで、モータ・ジェネレータ3を発電機として機能させることにより、エンジントルクの一部をモータ・ジェネレータ3に入力し、回収された電気エネルギがバッテリ41に充電される(ステップ8)。このステップ8の制御により、入力軸14に伝達されるトルクの変動が抑制される。
【0065】
その後、ステップ4で演算されたリッチスパイクの継続時間が終了したか否かが判断され(ステップ9)、ステップ9で否定判断された場合はステップ6にもどる。また、ステップ9で肯定判断された場合は、モータ・ジェネレータ3によるトルク補正制御を終了し(ステップ10)、リターンされる。
【0066】
一方、ステップ6で否定判断された場合は、モータ・ジェネレータ3の機能により、トルク伝達経路から出力されるトルクの変動を吸収することが困難である。そこで、イグナイタ72により点火時期の遅角制御をおこない、エンジン1から出力されるトルク自体の変動を抑制するための制御量が演算される(ステップ11)。そして、ステップ8に進み、ステップ11で演算された制御量に基づいて、エンジン1から出力されるトルクの変動を抑制する制御がおこなわれる。なお、ステップ11を経由してステップ10に進んだ場合は、このステップ10において点火時期遅角制御を終了し、リターンされる。
【0067】
ここで、図1のフローチャートに示された機能的手段と、この発明の構成との対応関係を説明する。ステップ6,ないし10がこの発明のモータ・ジェネレータ制御手段に相当する。また、ステップ6がこの発明の可否判断手段に相当し、ステップ11が出力トルク補正手段に相当する。
【0068】
図12は、図1のステップ2,〜10を実行した場合におけるシステムの状態変化を示すタイムチャートである。まず、リーンバーン運転中においては、モータ・ジェネレータ3のトルクが零に制御されている。つまり、モータ・ジェネレータ3が、電動機または発電機のいずれの機能をも発揮しない状態に制御されている。また、エンジントルクはほぼ一定に制御されている。
【0069】
そして、時間t1においてリッチスパイクの実施判断が成立すると、その後の時間t2においてリッチスパイク信号がオフからオンに切り換わって空燃比が小さくなり、リーン状態からリッチ状態に変更される。すると、空燃比の変更にともなうエンジントルクの増大に対応して、モータ・ジェネレータ3が発電機として機能し、負のトルク、つまり回生トルクが発生する。そして、時間t3から時間t4までの間は、空燃比がリッチ状態に制御されてエンジントルクがほぼ一定に制御されている。これに対応して、モータ・ジェネレータ3の回生トルクもほぼ一定に維持されている。
【0070】
そして、時間t4以降は空燃比を小さくする制御がおこなわれ、エンジントルクが減少する。このエンジントルクの減少に対応して、モータ・ジェネレータ3の回生トルクを零に近づける方向に制御される。そして、時間t5においてリッチスパイクが終了して空燃比がリーン状態に制御され、エンジントルクが時間t1以前の状態と同様にしてほぼ一定に制御される。これと同期して、モータ・ジェネレータ3のトルクが零の状態に制御される。
【0071】
以上のように、エンジン1のリーンバーン運転中に、リッチスパイク制御がおこなわれてエンジントルクが一時的に増大し、その後、リーン状態に復帰してエンジントルクが低下している。そして、この実施例においては、これらの空燃比の変更にともなうトルク伝達経路のトルクの変動が、モータ・ジェネレータ3の回生機能により吸収もしくは相殺される。特に、モータ・ジェネレータ3は、電流値の制御により、トルク制御量を大きく設定でき、かつ、応答性が良好であるという特性を備えている。このため、入力軸14に伝達されるトルク、ひいては出力軸32から出力されるトルクの変動が抑制され、ショックが軽減される。したがって、車両の乗り心地が向上する。
【0072】
そして、この実施例においては、モータ・ジェネレータ3の機能を制御することが不可能な場合には、点火時期遅角制御によりエンジントルクの変動を抑制することができる。したがって、モータ・ジェネレータ3の機能の制御の可否に関わりなく出力軸32から出力されるトルクの変動を抑制することが可能であり、トルク変動抑制機能を発揮することのできる環境を拡大することができる。
【0073】
また、この実施例において、空燃比の変更にはリーンとストイキとリッチとの間における相互の変更が含まれる。そして、空燃比の変更にともないエンジントルクが減少する場合には、モータ・ジェネレータ3を電動機として機能させる。すると、モータ・ジェネレータ3から出力されるトルクがクランクシャフト12に伝達されてエンジントルクの減少が補われ、トルク伝達経路から出力されるトルクの変動を抑制することができる。この実施例において、空燃比の変更にともないエンジン1から出力されるトルクを補正する他の方法としては、電子スロットルバルブ1Bの制御が例示される。
【0074】
また、この実施例において、バッテリ41の充電量が不足していた場合は、モータ・ジェネレータ3を発電機として機能させてエンジントルクの減少を吸収することが不可能であり、この場合もモータ・ジェネレータ3を機能させることが不可能な場合に該当する。
【0075】
さらに、モータ・ジェネレータ3が既に電動機または発電機として機能している状態において、空燃比の変更によりエンジントルクが増大または減少することが検出された場合は、モータ・ジェネレータ3の電動機としての機能または発電機としての機能を増大させることにより、このエンジントルクの増大または減少を吸収し、トルク伝達経路から出力されるトルクの変動を抑制することも可能である。
【0076】
なお、この発明は、モータ・ジェネレータと歯車変速機構との間にトルクコンバータが設けられていない車両にも適用可能である。この発明は、車速およびアクセル開度に基づいて、自動的に変速比が制御される自動変速機が搭載された車両の他、運転者の手動操作により変速比が制御される手動変速機が搭載された車両にも適用可能である。
【0077】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、エンジンのリーンバーン運転中に、リッチスパイクが一時的に実行されてエンジントルクが増大する場合でも、トルク伝達経路から出力されるトルクの変動が、モーター・ジェネレータにより抑制されてショックが軽減される。したがって車両の乗り心地が向上する。また、トルク伝達経路から出力されるトルクの変動を、モータ・ジェネレータにより制御することができない場合には、エンジンの出力トルク自体を補正することにより、トルク伝達経路から出力されるトルクの変動を抑制することができる。したがって、モータ・ジェネレータの機能に関わりなくトルク伝達経路から出力されるトルクの変動を抑制することができ、トルク変動抑制機能を発揮することのできる環境を拡大することができる。
【0078】
請求項2の発明によれば、請求項1と同様の効果を得られる他、エンジンまたは前記モータジェネレータの少なくとも一方から出力されるトルクが、トルク伝達経路を経由して車輪に伝達される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明にかかる駆動装置の制御装置の制御例を示すフローチャートである。
【図2】 この発明が適用されたハイブリッド車のシステム構成を示すブロック図である。
【図3】 図2に示された歯車変速機構およびトルクコンバータの構成を示すスケルトン図である。
【図4】 図3に示された歯車変速機構で各変速段を設定するための摩擦係合装置の作動状態を示す図表である。
【図5】 図2に示された歯車変速機構を手動操作するシフトレバーのシフトポジションを示す説明図である。
【図6】 図2に示されたモータ・ジェネレータと、他のハード構成との関係を示すブロック図である。
【図7】 この発明が適用されたハイブリッド車の制御系統を示すブロック図である。
【図8】 この発明で対象とするエンジンの吸排気系統および空燃比の制御系統を模式的に示す図である。
【図9】 基本燃料噴射時間のマップを示す図である。
【図10】 エンジンから排出される排気ガス中の未燃焼HC、COおよび酸素の濃度を概略的に示す線図である。
【図11】 リッチスパイク時の空燃比を説明するための図である。
【図12】 図1のフローチャートに対応するタイムチャートである。
【符号の説明】
1…エンジン、 3…モータ・ジェネレータ、 4…歯車変速機構、 12…クランクシャフト、 14…入力軸、 32…出力軸、 58…電子制御装置。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to an engine that can change the air-fuel ratio of an air-fuel mixture, a regenerative function that is arranged in a transmission path of torque output from the engine, and that converts mechanical energy into electrical energy, or converts electrical energy into mechanical energy. The present invention relates to a control device for a driving device provided with a rotating machine having at least one function of a power running function to be converted.
[0002]
[Prior art]
In recent years, hybrid vehicles equipped with an engine and a motor / generator have been proposed for the purpose of saving fuel for driving the engine, reducing noise caused by engine rotation, and reducing exhaust gas generated by fuel combustion. ing. This hybrid vehicle is configured to run the vehicle by controlling the engine or the motor / generator based on the running state of the vehicle.
[0003]
Specifically, the engine is operated in a rotation region where the combustion efficiency is good, while in the operation region where the combustion efficiency of the engine is low, the engine is stopped and the motor / generator functions as an electric motor to operate the vehicle. It is possible to run. Further, when the vehicle is decelerated, the motor / generator can function as a generator, and the battery can be charged with the electric energy recovered by the motor / generator. An example of a control device including an engine and a motor / generator is described in Japanese Patent Application Laid-Open No. 9-209790.
[0004]
Incidentally, as is well known, it is strongly desired to improve the fuel efficiency of an engine for energy saving and environmental conservation. For example, as a gasoline engine, an engine capable of lean burn operation with a large air-fuel ratio has been developed and put into practical use. This lean burn operation is an operation state in which an air-fuel mixture having an air-fuel ratio larger than the stoichiometric air-fuel ratio is sucked into the cylinder to cause combustion. For this reason, the engine torque is reduced, the combustion becomes unstable, and the torque fluctuation becomes relatively large. Therefore, normally, the vehicle speed is higher than a predetermined vehicle speed and the throttle opening is relatively low.
[0005]
Furthermore, the concentration of NOx in the exhaust gas tends to increase as the concentration of air in the exhaust discharged from the cylinder of the engine increases. For this reason, conventionally, a NOx absorbent is disposed in the exhaust system of the engine, and NOx generated by the lean burn operation of the engine is absorbed by the NOx absorbent.
[0006]
[Problems to be solved by the invention]
However, if the lean burn operation of the engine is continued and the lean air-fuel mixture continues to be burned, the NOx absorption capacity of the NOx absorbent is saturated, and the NOx absorbent cannot be absorbed. Therefore, a rich spike that temporarily enriches the air-fuel mixture supplied into the cylinder of the engine is executed every predetermined time. Then, since the oxygen concentration in the exhaust gas is lowered, NOx absorbed by the absorbent is released, and the NOx absorbing function of the absorbent is restored.
[0007]
However, in a control device for a drive device as described in the above publication, if a rich spike is executed during the lean burn operation of the engine, the engine torque may fluctuate and may be felt as a shock. .
[0008]
This invention was made against the background of the above circumstances.A motor / generator is installed in the torque transmission path through which the torque of the engine is transmitted.Engine,Execute rich spike during lean burn operationEven in such a case, an object of the present invention is to provide a control device for a drive device that can suppress fluctuations in torque output from a torque transmission path.
[0009]
[Means for Solving the Problem and Action]
In order to achieve the above object, an invention according to
[0010]
here,SkyThe method for determining the change in the fuel ratio includes a method in which the change in the air-fuel ratio is directly detected by a switch or a sensor, and a method in which the change in the air-fuel ratio is indirectly detected based on arithmetic processing by an electronic control unit. And include. The criterion for determining whether or not the increase in engine torque can be absorbed by the regenerative torque of the motor / generator is based on the battery that charges the electric energy obtained by the regenerative function of the motor / generator. The charge amount, the temperature of the stator coil, which is a component of the motor / generator, and the failure state of the motor / generator are included.
[0011]
According to the invention of
[0012]
In addition to the structure of
[0014]
According to the invention of
[0015]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Next, the present invention will be described more specifically with reference to the drawings. FIG. 2 is a block diagram showing a system configuration of a hybrid vehicle to which the present invention is applied. As the
[0016]
A
[0017]
The motor /
[0018]
FIG. 3 is a skeleton diagram showing configurations of the
[0019]
The
[0020]
The
[0021]
On the contrary, the torque of the input shaft 14 can be transmitted to the
[0022]
The
[0023]
Therefore, the sub-transmission unit 15 rotates as a whole with the
[0024]
On the other hand, the
[0025]
In the gear train of the
[0026]
Next, the brake will be described. The first brake B1 is a band brake and is arranged so as to stop the rotation of the sun gear 25 of the first
[0027]
A third brake B3, which is a multi-plate brake, is provided between the
[0028]
In the
[0029]
In this embodiment, the shift lever position as shown in FIG. 5 can be set by manual operation of the shift lever 4C. That is, P (parking) position, R (reverse) position, N (neutral) position, D (drive) position, 4 positions, 3 positions, 2 positions, and L (low) positions can be set. .
[0030]
2 is used to control the setting or switching of the gear position in the
[0031]
Further, the
[0032]
FIG. 6 is a block diagram showing a control system of the motor /
[0033]
Furthermore, a
[0034]
FIG. 7 is a block diagram showing a control circuit of the system shown in FIGS. The electronic control unit (ECU) 58 includes a central processing unit (CPU), a storage device (RAM, ROM), and a microcomputer mainly including an input / output interface.
[0035]
The depression amount (accelerator opening) of the
[0036]
The
[0037]
The
[0038]
Further, the
[0039]
In this manner, the operation of the
[0040]
By the way, the
[0041]
The
[0042]
On the other hand, a
[0043]
The
[0044]
As described above, the
TAU = TP × Kt
It is calculated based on the following formula. Here, TP represents a basic fuel injection time, and Kt represents a correction coefficient. The basic fuel injection time TP is a fuel injection time necessary for setting the air-fuel ratio of the air-fuel mixture supplied to the cylinder of the
[0045]
This basic fuel injection time TP is obtained in advance by experiments, and is calculated as a function of the engine load and engine speed N expressed by the intake air amount Q / N per rotation (Q is the intake air amount, N is the engine speed). It is stored in advance in the
[0046]
In the
[0047]
On the other hand, the NOx absorbent 144 uses, for example, alumina as a carrier, on which an alkaline metal such as potassium K, sodium Na, lithium Li, cesium Cs, alkaline earth such as barium Ba, calcium Ca, lanthanum, or the like. At least one selected from a rare earth such as La and yttrium Y and a noble metal such as platinum Pt are supported.
[0048]
When the ratio of the air and fuel supplied into the exhaust pipe upstream of the
[0049]
When fuel or air is not supplied into the exhaust pipe upstream of the
[0050]
As described above, in the
[0051]
Next, the control contents of the
[0052]
Then, a shift determination is made based on this shift diagram, and when this shift determination is established, a control signal is output from the
[0053]
Furthermore, the operation of the lock-up clutch 11 is normally controlled based on conditions such as the accelerator opening, the vehicle speed, and the gear ratio (speed stage). For this reason, the
[0054]
The control contents of the hybrid vehicle will be briefly described. When the
[0055]
When the accelerator pedal 1A is depressed, the torque of the motor /
[0056]
The power required for traveling of the vehicle is calculated based on the accelerator opening and the vehicle speed. Then, the engine speed is calculated based on the optimum fuel consumption line stored in advance in the
[0057]
When the vehicle is decelerated or braked, torque input from the
[0058]
Here, the correspondence between the configuration of this embodiment and the present invention will be described. That is, the
[0059]
Next, a control example of the present invention will be described based on the flowchart of FIG. First, various input signals are processed by the electronic control unit 58 (step 1). Then, it is determined whether or not the
[0060]
On the other hand, when Kt <1.0, an affirmative determination is made in
[0061]
If the comparison result is ΣNE ≦ SNE, the NOx absorbent 144 still has room for absorption capacity, so a negative determination is made in
[0062]
Next, rich spike control based on the calculation result of
[0063]
Therefore, if the charge amount of the
[0064]
In
[0065]
Thereafter, it is determined whether the duration time of the rich spike calculated in
[0066]
On the other hand, when a negative determination is made in
[0067]
Here, the correspondence between the functional means shown in the flowchart of FIG. 1 and the configuration of the present invention will be described..
[0068]
FIG. 12 is a time chart showing changes in the state of the system when
[0069]
When the execution determination of the rich spike is established at time t1, the rich spike signal is switched from OFF to ON at subsequent time t2, the air-fuel ratio is decreased, and the lean state is changed to the rich state. Then, the motor /
[0070]
And after time t4, control which makes an air fuel ratio small is performed, and an engine torque reduces. In response to this decrease in engine torque, the regenerative torque of the motor /
[0071]
As described above, the rich spike control is performed during the lean burn operation of the
[0072]
In this embodiment, when the function of the motor /
[0073]
Further, in this embodiment, the change of the air-fuel ratio includes mutual change among lean, stoichiometric, and rich. When the engine torque decreases as the air-fuel ratio changes, the motor /
[0074]
In this embodiment, when the charge amount of the
[0075]
Further, in the state where the motor /
[0076]
The present invention is also applicable to a vehicle in which no torque converter is provided between the motor / generator and the gear transmission mechanism. The present invention includes a vehicle equipped with an automatic transmission that automatically controls the gear ratio based on the vehicle speed and the accelerator opening, and a manual transmission that controls the gear ratio by manual operation of the driver. It is applicable also to the vehicle which was made.
[0077]
【The invention's effect】
As described above, according to the invention of
[0078]
According to the invention of
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a flowchart showing a control example of a control device of a drive device according to the present invention.
FIG. 2 is a block diagram showing a system configuration of a hybrid vehicle to which the present invention is applied.
3 is a skeleton diagram showing configurations of a gear transmission mechanism and a torque converter shown in FIG. 2. FIG.
4 is a chart showing an operating state of a friction engagement device for setting each gear stage with the gear transmission mechanism shown in FIG. 3; FIG.
5 is an explanatory view showing a shift position of a shift lever for manually operating the gear transmission mechanism shown in FIG. 2; FIG.
6 is a block diagram showing the relationship between the motor / generator shown in FIG. 2 and another hardware configuration; FIG.
FIG. 7 is a block diagram showing a control system of a hybrid vehicle to which the present invention is applied.
FIG. 8 is a diagram schematically showing an intake / exhaust system of an engine and an air-fuel ratio control system targeted in the present invention.
FIG. 9 is a diagram showing a map of basic fuel injection time.
FIG. 10 is a diagram schematically showing the concentrations of unburned HC, CO and oxygen in the exhaust gas discharged from the engine.
FIG. 11 is a diagram for explaining an air-fuel ratio during a rich spike.
FIG. 12 is a time chart corresponding to the flowchart of FIG. 1;
[Explanation of symbols]
DESCRIPTION OF
Claims (2)
前記リッチスパイクの実行に伴うエンジントルクの増大分を、前記モータ・ジェネレータの回生トルクにより吸収することが可能であるか否かを判断する可否判断手段と、
この可否判断手段により、前記リッチスパイクの実行に伴うエンジントルクの増大分を、前記モータ・ジェネレータの回生トルクにより吸収することが可能であると判断された場合は、前記モータ・ジェネレータの回生トルクを制御することにより、前記トルク伝達経路におけるトルク変動を抑制するモータ・ジェネレータ制御手段と、
前記可否判断手段により、前記リッチスパイクの実行に伴うエンジントルクの増大分を、前記モータ・ジェネレータの回生トルクにより吸収することが不可能であると判断された場合は、前記リッチスパイクの実行に伴うエンジントルクの増大分を吸収するように、前記エンジンの出力トルクを補正する出力トルク補正手段と
を備えていることを特徴とする駆動装置の制御装置。An engine capable of changing the air-fuel ratio of the air-fuel mixture, and a motor / generator disposed in a transmission path of torque output from the engine, wherein the air-fuel ratio of the engine is larger than the stoichiometric air-fuel ratio set during the lean burn operation to, the control device temporarily viable drive braking system rich spike smaller than the stoichiometric air-fuel ratio of the engine,
The amount of increase in the engine torque caused by the execution of the previous SL rich spike, the possibility determining means for determining whether it is possible to absorb the regenerative torque of the motor-generator,
If it is determined by the possibility determination means that the increase in engine torque accompanying the execution of the rich spike can be absorbed by the regenerative torque of the motor / generator, the regenerative torque of the motor / generator is Motor / generator control means for controlling torque fluctuation in the torque transmission path by controlling;
If it is determined by the availability determination means that it is impossible to absorb the increase in engine torque accompanying the execution of the rich spike by the regenerative torque of the motor / generator, Output torque correction means for correcting the output torque of the engine so as to absorb the increase in engine torque;
Control device for a drive device, characterized in that it comprises a.
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