JP3749721B2 - 空気浄化装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気を浄化する空気浄化装置に関する。
二酸化チタン等の光触媒に紫外線を照射すると、非常に酸化力の強いヒドロキシラジカルが生成され、このヒドロキシラジカルにより有害物の分子結合を切断し分解していくが、これを光触媒作用という。本発明は光触媒作用を利用して、空気に含まれる有機物を分解して、空気を浄化する空気浄化装置に関する。
【従来の技術】
【0002】
従来より、表面に光触媒が付着された筒状フィルタと光源を組合わせ、筒状フィルタに紫外線を照射して、光触媒作用により空気に含まれる有害な有機物質を分解し、空気を浄化させる空気浄化装置がある(例えば、特許文献1〜3参照)。
特許文献1は、筒状のフィルターを使い、光源がフィルターの中に入っており、空気を筒状フィルターの軸方向に流すというものである。
特許文献2は、筒状のフィルターの内部に光源が入っており、空気を筒状フィルターの軸方向に流すというものである。
特許文献3は、光源がフィルターの内部に入っているものである。
【0003】
【特許文献1】
特開平1−139139号
【特許文献2】
特開平11−114048号
【特許文献3】
特開2002−263175号
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、従来の空気浄化装置には、以下の(i)〜(iii)に示す問題がある。
(i)光の照射できる範囲が、いずれも筒状フィルターの内部に限られるため、フィルターの外部を空気浄化に活用できない。
(ii)空気を筒状フィルターの軸方向に流すと、フィルター表面と接触できない空気の方が、接触できる空気よりも量的に多いので、空気浄化効率を上げることができない。
(iii)筒状フィルターの内側に紫外線管が配設されているので、筒状フィルターを交換しようとすると、紫外線管を割ってしまう危険がある。このため、ユーザ自身によるフィルター交換ができない。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑み、空気の浄化率が非常に高く、フィルタを簡単に交換でき、装置を薄型化・コンパクト化できる空気浄化装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の空気浄化装置は、空気を浄化する空気浄化装置であって、両端部が開口した筒状であり、通気性を有するフィルタの表裏両面に、光触媒層が付着された浄化フィルタが複数本と、該フィルタ室内の前記浄化フィルタの両端の開口に向けて紫外線を照射する一対の光源と、前記フィルタ室内の前記浄化フィルタに対し、筒体を横切る方向に浄化すべき空気を流す送風手段とを備えており、前記複数本の浄化フィルタが収納されるフィルタ室と、前記フィルタ室には、前記浄化フィルタが、各浄化フィルタの長手方向同士が平行するように積み重ねられ、かつ径の大きな大径の浄化フィルタと、径の小さな小径の浄化フィルタとが組み合わして収納されていることを特徴とする。
【発明の実施の形態】
【0007】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1は本実施形態の空気浄化装置1の縦断面図である。図2は図1のII−II線矢視断面図である。図1〜図2に示すように、空気浄化装置1は立方体状の箱物に組み込まれており、下方から上方に向けて前処理区画10、浄化区画20、送風区画60が設けられている。また浄化区画20は中央のフィルタ室40と両サイドの光源室50,50から構成されている。
【0008】
前記前処理区画10の底面には、空気を取り入れる空気取入口12が形成されており、前処理区画10と浄化区画20の間には空気送込口13が形成されている。このため、後述する送風区画60で空気を吸引すると、下方の空気取入口12から空気を取り込み空気送込口13から浄化区画20に送り込むことができる。また、前処理区画10の内部にはプレフィルタ14が設けられている。
このプレフィルタ14を設けておくと、大きなホコリやチリ、ペットの毛などのハウスダストを吸着すると、空気からハウスダスト等を除去できるので、後工程の浄化区画20に負荷をかけず、浄化効率を向上させることができる。
【0009】
浄化区画20の箱組構造は、ケース本体31に背面板32が取付けられたものである。そして、ケース本体31の内部には、左右一対の光透過板53,53がケース本体31の側面と平行に配設されている。この一対の光透過板53,53、ケース本体31および背面板32で囲まれた部分がフィルタ室40を構成しており、その両側は左右一対の光源室50,50となっている。
【0010】
フィルタ室40の内部には、複数の浄化フィルタ41が収容されている。すなわち、径の大きな浄化フィルタ41と径の小さな浄化フィルタ41が組み合わされて収容されている。また、各浄化フィルタ41は水平に配設されている。
既述のごとく、空気を下から吸引し上方へ流すと、水平に配置された筒状のフィルタに対し横切るように通過しようとする。この場合、空気の全量が必ずフィルタを通過することになるので、未浄化の空気が通り抜けることを防止できる。また、直径の異なる浄化フィルタを通過させる場合、空気の流れを変化させることができるので、空気が浄化フィルタ41に接触する回数を増加させ、接触時間を長くすることができる。よって、空気の浄化効率を高めることができる。
【0011】
さらに、背面板32を取付けたり取外したりするだけで、フィルタ室40の内部に、浄化フィルタ41を入れることができ、浄化フィルタ41を抜き取ることもできるから、フィルタの除去作業を簡単に行うことができる。よって、ユーザ自身でもフィルタ交換できる。
【0012】
前記浄化フィルタ41は、図4に示すように、筒状の通気性を有するフィルタ42の外周面と内周面に、光触媒層43が形成されたものである。光触媒層43は、これに紫外線を当てることにより、非常に酸化力の強いヒドロキシラジカル(・0H)を生成する。このドロキシラジカルによって、空気中に含まれる有害な有機物の分子結合を切断し、有機物を無害な水と二酸化炭素に分解できる。
フィルタ42は、例えば紙製のフィルタが用いられるが、空気が通気するものであればよい。フィルタ42の両端は開口しており、その開口端は垂直に形成されている。このため、フィルタ室40の内部で浄化フィルタ41を、特別な支持材なしで、自立させることができる。なお、浄化フィルタ41の形状は、円筒だけでなく、四角筒や三角筒など多角筒であってもよい。
【0013】
前記光触媒層43は、二酸化チタン等の光触媒材料を、塗布することによってフィルタ42の内・外周面に層状に形成したものである。
なお、光触媒層43は、通気性フィルタ42において内側のみ、あるいは外側のみに形成されてもよい。
光触媒層43が通気性フィルタ42の内外両面に形成されている場合には、空気がフィルタ外側から内側に入るときに、光触媒層43に2度接触し、内側から外側に出るときに光触媒層43に2度接触させることができるので、1個のフィルタ当り4度光触媒作用を発現させることができ、空気を効率よく浄化できる。
【0014】
前記フィルタ室40の左右両側の光源室50,50には、光源51が配置されている。
光源51は、細長い紫外線ランプが用いられ、垂直に配設されている。なお、光源51は複数の紫外線ランプを列状に配設したものであってもよい。このように垂直に配置した光源51であれば、水平に配置した筒状のフィルタに対し、開口端からその内部にも外部にも光を照射することができるので、光触媒作用を充分に発揮することができる。
光源51の外側には断面U字状の反射板52が設置されている。この反射板52により光源51の光が効率よくフィルタ42側に照射されることになる。
なお、光触媒作用を充分に発揮することができるならば、光源室50あるいは光源51は、左右両側だけでなく、左右いずれか一方のみに配設したものであってもよい。この場合は、浄化フィルター40の開口も片側のみでよい。
なお、光源室50とフィルタ室40を区画する光透過板53は、これを平滑に仕上げておくと、光透過板53と浄化フィルタ41の垂直な端面との間に隙間をなくすことができる。この場合、空気洩れが生じないので、浄化効率をよくすることができる。
【0015】
前記浄化区画20の上部に設けられている送風区画60には、ファン61,61が左右に設けられている。このファン61を駆動すると、最下端の空気取入口12から空気を取り込み、この空気をフィルタ室40の内部を通して、上部の送出口62に送り出すことができる。つまり、ファン61によって、下方から上方に向けて空気を流し、空気を浄化することができる。
【0016】
つぎに、本実施形態の空気浄化装置1の効果を説明する。
本実施形態では、筒状の浄化フィルタ41に対し、筒を横切る方向から空気を流すことにより、空気の全量をフィルタ42の内外表面の光触媒層43に接触させることができる。このため、光触媒層43に接触しないで通り抜ける空気量は全空気量のうちのごくわずかとなるので、空気の浄化率を非常に高めることができる。
また、筒状のフィルタ42の両側開口から紫外線を照射できるので紫外線の照射投入量を増やし、光触媒作用を強めることができ、しかもフィルタ42の表裏両面に光触媒層43を設けた場合であっても、紫外線照射が可能であるから浄化フィルタの光触媒効率を高めることができる。
さらに、空気が浄化フィルタ41の外部から内部に入るときフィルタ外面の光触媒層43を利用でき、内部から外部に出るときフィルタ内面の光触媒層43を利用できるので、空気を4回も光触媒層43に接触させることができる。このため、空気を効率よく浄化できる。
【0017】
つぎに、本発明の他の実施形態を説明する。
前記実施形態では、空気を浄化フィルタ41の筒に対し横切る方向に流したが、この横切る方向は、筒に対し直行する方向に限る必要はなく、斜めに当っても通過することができる方向を含むものである。
また、前記実施形態において、送風区画60を上段に置いたが、これを前処理区画10の下段に置き、浄化すべき空気を上方に向けて送風するようにしてもよい。さらに、上下だけでなく水平や斜めに空気を流して浄化する装置も本発明に含まれる。
【0018】
本発明は、空気を浄化するためであれば、家庭用でも事業用でも利用でき、かつどのような場所あるいは産業分野においても利用することができる。
【0019】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、つぎの効果を奏する。
(1)光源が浄化フィルタの端部開口に向けて照射するので、フィルタの内部だけでなく外側表面において光触媒作用を発現させることができ、空気の浄化効率が高くなる。また、筒状のフィルタ筒を横切る方向に空気を流すことにより、空気の全量をフィルタ表面の光触媒層に接触させることができるから、空気の浄化率を高めることができる。
(2)筒状のフィルタの両端の開口から紫外線を照射できるので紫外線の照射投入量を増やし、光触媒作用を強めることができ、しかもフィルタの表裏両面に光触媒層を設けた場合にあっては、フィルタの内外両面で光触媒作用を発現できるから空気を効率的に浄化できる。
(3)空気が浄化フィルタの外部から内部に入るときフィルタ外面の光触媒層を利用でき、内部から外部に出るときフィルタ内面の光触媒層を利用できるので、空気を何度も光触媒層に接触させることができる。このため、空気を効率よく浄化できる。
(4)光透過板で浄化フィルタの開口部を密閉して、浄化フィルタをフィルタ室に収容でき、しかも、光源から照射した紫外線を浄化フィルタの光触媒層に照射することができる。このため、空気を漏らさず浄化フィルタに通過させることができ、空気を効率よく浄化できる。
(5)複数の浄化フィルタが通気方向に対して垂直方向に多段に重ねられているから、空気がフィルタ部分を通過する通過回数を増やすことができ、空気の浄化率を高めることができる。
(6)径が異なる大径の浄化フィルタと小径の浄化フィルタを組み合わせてフィルタ室に収容することにより、一定の空間に可能な限り多数の浄化フィルタを収容することができ、しかも通過する空気の流れを変化させることができるので、空気の接触回数を増やすことができ、浄化効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態の空気浄化装置1の縦断面図である。
【図2】 図1のII−II線矢視断面図である。
【図3】 図1の III−III 線矢視断面図である。
【図4】 浄化フィルタ41の拡大断面図である。
【符号の説明】
1 空気浄化装置
10 前処理区画
20 浄化区画
40 フィルタ室
41 浄化フィルタ
42 通気性フィルタ
43 光触媒層
51 光源
53 光透過板
60 送風区画
Claims (1)
- 空気を浄化する空気浄化装置であって、
両端部が開口した筒状であり、通気性を有するフィルタの表裏両面に、光触媒層が付着された浄化フィルタが複数本と、
前記複数本の浄化フィルタが収納されるフィルタ室と、
該フィルタ室内の前記浄化フィルタの両端の開口に向けて紫外線を照射する一対の光源と、
前記フィルタ室内の前記浄化フィルタに対し、筒体を横切る方向に浄化すべき空気を流す送風手段とを備えており、
前記フィルタ室には、前記浄化フィルタが、各浄化フィルタの長手方向同士が平行するように積み重ねられ、かつ径の大きな大径の浄化フィルタと、径の小さな小径の浄化フィルタとが組み合わして収納されている
ことを特徴とする空気浄化装置。
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