JP3749660B2 - Polyester resin composition, film using the same, and method for producing polyester resin composition - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はエステルワックスを含むポリエステル樹脂組成物、その製造方法及びそれからなるポリエステルフィルムに関し、さらに詳しくは、高密度磁気記録媒体のベースフィルムに有用なポリエステル樹脂組成物、その製造方法及びそれからなるポリエステルフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、磁気記録媒体の高密度化の進歩はめざましく、例えば、強磁性金属薄膜を真空蒸着やスパッタリングなどの物理沈着法またはメッキ法により非磁性支持体上に形成せしめた金属薄膜型磁気記録媒体、また、メタル粉や酸化鉄粉などの針状磁性粉体を2μm以下に塗布した薄層塗膜型磁気記録媒体の開発実用化が進められている。
【0003】
前者の例としては、特開昭54−147010号公報には、非磁性材よりなる基材上に付着された第1のCo薄膜磁性層上に、非磁性材層を介して前記第1のCo薄膜磁性層の厚みより大なる厚みの第2のCo薄膜磁性層を形成した磁気記録媒体が開示されており、また特開昭52−134706号公報には、Co−Cr合金からなる垂直磁気記録媒体が開示されている。また、後者の例としては、電子通信学会技術報告MR94−78(1995−02)には、極薄層塗布型磁気記録媒体による高密度磁気記録が開示れている。
【0004】
従来の塗布型磁気記録媒体(磁性粉末を有機高分子バインダーに混入させて非磁性支持体上に塗布してなる磁気記録媒体)は記録密度が低くて記録波長も長いため、磁性層の厚みが2μm程度以上と厚いものであった、これに対して、真空蒸着、スパッタリングまたはイオンプレーティングなどの薄膜形成手段によって形成される強磁性金属薄膜は厚みが0.2μm以下と非常に薄いものであった。また、近年では、塗布型でも極薄層塗布型といって、非磁性の下地層を設けるものの該下地層を除いた塗布層、すなわち、磁性層自体の厚みが0.13μmのものが提供され、非常に薄くなってきている。
【0005】
このため、上記の高密度磁気記録媒体においては、非磁性支持体(ベースフィルム)の表面状態が磁性層の表面性に大きな影響を及ぼし、特に金属薄膜型の磁気記録媒体の場合には、非磁性支持体の表面状態がそのまま磁性層(磁気記録層)表面の凹凸として発現してしまう。
【0006】
さらに金属薄膜型磁気記録媒体の場合には、実際に使用されるときの重大な問題点として、金属薄膜面の走行性がある。磁性体粉体を有機高分子バインダー中に混入させてベースフィルムに塗布してなる塗布型磁気記録媒体の場合には、該バインダー中に潤滑剤を分散させて磁性層面の走行性を向上させることができるが、金属薄膜型磁気記録媒体の場合には、このような対策をとることができない。そのため、金属薄膜型磁気記録媒体の場合は、走行性を安定して保つのは非常に難しく、特に高温高湿条件下の走行性が劣るなどの欠点を有している。さらに、このような走行性の欠点は、繰り返し使用時の出力低下が塗布型磁気記録媒体と比べて大きいという欠点も引起す場合がある。
【0007】
ところで、非磁性支持体(ベースフィルム)の製膜、加工工程での搬送・傷付き、巻取り、巻出しといったハンドリングの観点からは、フィルム表面が平滑すぎると、フィルム−フィルム相互の滑り性が悪化し、ブロッキング現象が発生し、ロールに巻いたときの形状(ロールフォーメーション)が悪化し、製品歩留りの低下、ひいては製品の製造コストの上昇をきたす。従って、製造コストという観点では、非磁性支持体(ベースフィルム)の表面はできるだけ粗いことが好ましい。
【0008】
このように、非磁性支持体の表面は、電磁変換特性の観点から平滑であることが要求され、反面、ハンドリング性、フィルムコストの観点からは粗いことが要求される。そこで、優れた品質の高密度磁気記録媒体を製造するには、上記二律背反する性質を同時に満足させることが必要とされる。
【0009】
これらの特性を満足するため、ポリエステル中にエステルワックスを含有させることのより、フィルム表面に潤滑効果を与え、摩擦係数を低減させる提案(特開昭58−206664号公報、特公昭63−4571号公報)がなされている。また、分散状態にあるエステルワックスの平均分散径を2μm未満と均一に且つ良く混錬することで、表面に局部的に析出するオリゴマ−を抑制し、磁気記録テープとしたときの走行耐久性を維持しつつ、ドロップアウトなどの問題をなくすことが特開平11−262992号公報で提案されている。しかし、これらの公報で提案されているように、エステルワックスをポリエステルに含有させて、該剤をポリエステル中に均一に分散させようと高温で混錬させると、得られるポリエステル樹脂組成物の力学特性や白度といった品質が劣化する問題が潜在していた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者の課題は、上記のポリエステルにエステルワックスを含有させてから高温で混錬させた際に得られるポリエステル樹脂組成物の品質が劣化するという問題を解決し、エステルワックスをポリエステル中に均一に分散させながらも、品質の劣化が抑制されたポリエステル樹脂組成物、その製造方法及び該ポリエステル樹脂組成物からなるフィルムを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記のポリエステルにエステルワックスを含有させてから高温で混錬させた際に得られるポリエステル樹脂組成物の品質が劣化するという問題を解決しようと鋭意研究した結果、ポリエステル中に含有させるエステルワックスの熱減量率が、300℃に加熱した時に20重量%以下であるとき、得られるポリエステル樹脂組成物の品質の劣化を抑制できることを見出し、本発明に到達した。
【0012】
かくして本発明によれば、300℃に加熱した際の熱減量率が20重量%以下のエステルワックスを0.01〜10重量%含有することを特徴とするポリエステル樹脂組成物が提供される。
【0013】
さらに本発明によれば、上述のポリエステル樹脂組成物に、エステルワックスが多価アルコールと炭素数8以上の脂肪族モノカルボンからなることまたはエステルワックスが含有アルカリ金属量800ppm以下であることを具備させたポリエステル樹脂組成物も提供される。
【0014】
さらに本発明によれば、300℃に加熱した際の熱減量率が20重量%以下のエステルワックスを、ポリエステル樹脂組成物の重量を基準として、ポリエステル樹脂中に0.01〜10重量%添加して混錬する、特に混錬が2軸混練機によるポリエステル樹脂組成物の製造方法も提供される。
【0015】
さらにまた本発明によれば、上述のポリエステル樹脂組成物からなるポリエステル層(A)が少なくとも片面に位置することを特徴とするポリエステルフィルム、特にポリエステル層(A)の露出面が、水との接触角が70〜90°の範囲であるポリエステルフィルムも提供される。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明におけるポリエステルとは、芳香族ジカルボン酸を主たる酸成分とし、脂肪族グリコールを主たるグリコール成分とするポリエステルで、アルキレンテレフタレートまたはアルキレンナフタレートを主たる構成成分とするものが好ましい。かかるポリエステルは実質的に線状であり、フィルム形成性、特に溶融成形によるフィルム形成性を有する。芳香族ジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸,ナフタレンジカルボン酸,イソフタル酸,ジフェニルケトンジカルボン酸,アンスラセンジカルボン酸等を挙げることができる。脂肪族グリコールとしては、例えばエチレングリコール,トリメチレングリコール,テトラメチレングリコール,ペンタメチレングリコール,ヘキサメチレングリコール,デカメチレングリコール等の如き炭素数2〜10のアルキレングリコールあるいはシクロヘキサンジメタノールの如き脂肪族ジオール等を挙げることができる。具体的には、ポリエチレンテレフタレートもしくはポリエチレン−2,6−ナフタレートのホモポリマー、または、全ジカルボン酸成分の80モル%以上がテレフタル酸もしくは2,6−ナフタレンジカルボン酸で、全グリコール成分の80モル%以上がエチレングリコールであるポリエチレンテレフタレートもしくはポリエチレン−2,6−ナフタレートの共重合体が好ましい。その際、表面平坦性、乾熱劣化性を損なわない程度であれば、全酸成分の20モル%以下はテレフタル酸及びまたは2,6−ナフタレンジカルボン酸以外の上記、芳香族ジカルボン酸であることができ、例えばアジピン酸,セバチン酸等の如き脂肪族ジカルボン酸,シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸の如き脂肪族ジカルボン酸等であることができる。また、全グリコール成分の20モル%以下はエチレングリコール以外の上記、グリコールであることができ、例えばハイドロキノン,レゾルシン,2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等の如き脂肪族ジオール,1,4−ジヒドロキシジメチルベンゼンの如き芳香環を有する脂肪族ジオール,ポリエチレングリコール,ポリプロピレングリコール,ポリテトラメチレングリコール等の如きポリアルキレングリコール(ポリオキシアルキレングリコール)等であることもできる。勿論、本発明におけるポリエステルには本発明の効果を損なわないかぎり、例えばヒドロキシ安息香酸の如き芳香族オキシ酸,ω−ヒドロキシカプロン酸の如き脂肪族オキシ酸等のオキシカルボン酸に由来する成分を、ジカルボン酸成分及びオキシカルボン酸成分の総量に対し20モル%以下で共重合あるいは結合するものも包含される。また、実質的に線状である範囲の量であり、かつ、本発明の効果を損なわないかぎり、例えば全酸成分に対し2モル%以下の量で、3官能以上のポリカルボン酸又はポリヒドロキシ化合物、例えばトリメリット酸,ペンタエルスリトール等を共重合したものも包含される。
【0017】
本発明におけるエステルワックスについて、以下に詳述する
本発明におけるエステルワックスは、300℃加熱時の熱減量率が20重量%以下であることが必要であり、10重量%以下であることが好ましい。この熱減量率が20重量%を超えると、ポリエステル中での熱安定性が悪く、ポリエステル製造工程では分解を起こし易い問題が生じ、またフィルム化した際は耐ブロッキング効果が減少する等の問題が発生する。なお、本発明におけるエステルワックスとは、ポリエステルに含有させフィルムとした際に、耐ブロッキング性及び巻き取り性を付与できるものであれば特に限定はされないが、ポリエステルへの親和性の観点から多価アルコールと脂肪族モノカルボン酸とのエステルワックスが好ましい。
【0018】
エステルワックスの合成に用いる多価アルコールとしては、分子中に2個以上の水酸基を有するものが好ましく、特に耐熱性の観点から分子中に3個以上の水酸基を有する多価アルコールが好ましい。分子中に2個の水酸基を有する好ましい多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。また、分子中に3個の水酸基を有する好ましい多価アルコールとしては、グリセリン、エリスリット、トレイット、ペンタエリスリット、アラビット、キシリット、タリット、ソルビット、マンニットなどが挙げられる。また、エステルワックスの合成に用いる脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数が8個以上のものが好ましく、特に炭素数8〜34個のものが好ましい。炭素数が8個未満であると、得られたエステル生成物の耐熱性が不充分になり易い。炭素数が8個以上の脂肪族モノカルボン酸としては、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ペヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、ヘントリアコンタン酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、エルカ酸、リノール酸およびこれらを含む混合物などが挙げられる。さらにまた、上記脂肪族モノカルボン酸および多価アルコールから得られるエステルワックスとしては、多価アルコールの水酸基の数にもよるが、モノエステル、ジエステル、トリエステルなどが挙げられる。これらの中、耐熱性の観点から、モノエステルよりもジエステルが、ジエステルよりもトリエステルが好ましい。好ましいエステルワックスとしては、ソルビタントリステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリットトリペヘネート、グリセリントリステアレート、グリセリントリパルミテート、ポリオキシエチレンジステアレートなどが挙げられる。
【0019】
上記、脂肪族モノカルボン酸および多価アルコールからなるエステルワックスは、脂肪族ジカルボン酸を多価アルコールで触媒の存在下、加熱しながら生成した水を除くことにより、エステル化反応を進め製造することが出来る。また、エステルワックスはその構造中に金属元素を含んでも良く、例えば脂肪族ジカルボン酸を多価アルコールで部分エステル化した後、2価以上の金属水酸化物でケン化することにより得られる。かかるエステルワックスは1種単独でもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0020】
ところで、エステルワックスの300℃に加熱した際の熱減量率を20重量%以下にする方法は、例えば、エステルワックス中のアルカリ金属含有量を800ppm以下とすることが好ましい。該アルカリ金属含有量が800ppmを超えるとエステルワックスの耐熱性が不十分なものとなり易い。特に好ましいのは該アルカリ金属含有量が300ppm以下のエステルワックスである。このようなアルカリ金属含有量が800ppm以下のエステルワックスは、前述の多価アルコールと脂肪族モノカルボン酸原料中のアルカリ金属含有量の少ないものを用いる他、エステルワックス製造時の脱アルカリ金属処理(例えばイオン交換及び吸着処理)、エステルワックス製造後の洗浄ろ過及び再析出処理等を行うことで製造することができる。
【0021】
また、上記アルカリ金属含有量を800ppm以下とする以外にも、例えば、多価アルコールと脂肪族モノカルボン酸をエステル化触媒の存在下、脱水エステル化させる際に、エステルワックス生成後の残留未反応物を低減することが好ましく、脱水エステル化反応時の脱水においては減圧脱水することが好ましい。更に、例えば、ソルビタンエステルではエステル化触媒としてはアルカリ金属化合物、なかでもナトリウム金属化合物が好適である。エステルワックスの残留未反応物量の指標としては、それぞれの分子構造によって異なる。例えば、有機潤滑剤がソルビタントリステアレートの場合では、酸価が14KOHmg/g以下、水酸基価が80KOHmg/g以下であることが好ましい。なお、ソルビタントリステアレートの酸価または水酸基価の下限は、酸化が10KOHmg/g以上、水酸基価が66KOHmg/g以上であることが好ましい。有機潤滑剤がグリセリントリステアレートの場合では、酸価が3KOHmg/g以下、水酸基価が42KOHmg/g以下であることが好ましい。なお、グリセリントリステアレートの酸価または水酸基価の下限は、酸化が0.5KOHmg/g以上、水酸基価が30KOHmg/g以上であることが好ましい。また、有機潤滑剤がペンタエリスリトールジステアレートの場合では酸価が8KOHmg/g以下、水酸基価が166KOHmg/g以下が好ましい。なお、ペンタエリスリトールジステアレートの酸価または水酸基価の下限は、酸化が0.5KOHmg/g以上、水酸基価が30KOHmg/g以上であることが好ましい。これらアルカリ金属量と残留未反応物量は、それぞれ単独でも良いが、両方を同時に満足させるのが特に好ましい。
【0022】
エステルワックスのポリエステル樹脂組成物製造時の含有量は0.01〜10重量%であり、好ましくは0.05〜3重量%である。この含有量が0.01重量%未満ではマスターポリマーとして生産性が低く非効率である。一方、10重量%を超えると混練機の混練部分でエステルワックスによる滑りが良すぎるため、ポリエステルペレットの噛み込み不良が発生しやすくなり、混練機の安定運転が困難となる。
【0023】
本発明のエステルワックスを含有するポリエステル樹脂組成物を製造する方法について、以下に説明する。
本発明において、ポリエステル樹脂にエステルワックスを添加する時期は、ポリエステル樹脂の重合段階またはポリエステル樹脂が重合されてから製膜されるまでの段階のいずれでも良いが、エステルワックスに重合段階での熱的処理が加わらないことから、後者のポリエステル樹脂が重合されてから製膜されるまでの段階で添加するのが好ましい。なお、重合されたポリエステル樹脂へエステルワックスを添加させる方法としては、それ自体公知の混錬機を用い、混錬機にポリエステル樹脂が供給されるまでもしくは供給されると同時にポリエステル樹脂にエステルワックスを添加する方法、または、混錬機中で溶融状態になったポリエステル樹脂にエステルワックスを添加する方法が挙げられる。なお、混錬後のポリエステル樹脂組成物の品質劣化を抑制し易いことから、混錬機にポリエステル樹脂が供給されるまでもしくは供給されると同時にポリエステル樹脂にエステルワックスを添加した後、ポリエステル樹脂を溶融状態にして混錬する、すなわち、エステルワックスとエステルワックスを含まないポリエステル樹脂を混練機に供給する時期は、混錬機中の混錬部分よりも前が好ましい。混錬機中の混錬部分よりも前にエステルワックスを供給することで、エステルワックスの潤滑作用により、混練部分での該ペレットが溶融する際の剪断発熱を抑制することが出来、ポリエステル樹脂自体の品質劣化を低減することができる。また、エステルワックスとエステルワックスを含まないポリエステル樹脂ペレットを混練機に供給する場合は、エステルワックスを粉末または溶融させた液滴状態で混合または配合すればよく、該ペレットの平均粒径で粉末または液状のエステルワックスの平均粒径を割った比は、混じりやすいことから1〜0.001の範囲が好ましい。
【0024】
また、混錬機としては、均一な混錬状態が形成しやすいことから2軸混練機が好ましく、2軸混練機としては製造工程が不連続なバッチ式では生産性が落ちてしまうため、連続混練機が好ましい。2軸連続混練機としては特に制限はないが、例えばニーディングディスク及び逆ねじの混練用エレメントを配したスクリュー構成を有するベント式2軸混練押出機、及び/またはロータ型2軸連続混練機(例えば「合成樹脂」Vol.41(7)P.9.7(1995)に記載)が好ましい。具体的なローター型2軸混練機としては、図1に示すようなロータがホッパーから供給された材料をチャンバ2送るスクリュウ部7と材料を粉砕、溶融、混錬する混錬翼部8からなり、且つ、材料の充満度を調節しチャンバー外部へ吐出する絞り機構6からなる1段2軸混錬タイプと、ロータが第1段目の混錬翼部のあとに溶融された材料を送る第2段目のスクリュウ部と、さらに混錬する第2段目の混錬翼部を有し、第1段目と第2段目の間に絞りゲート機構を有し、最後に吐出オリフィスから構成された2段2軸混錬タイプがある。また、具体的なベント式2軸混練押出機としては、例えば図2に示すように、ニーディングディスクまたはロータ型の混練用エレメントを配したスクリュー構造を有することが好ましく、さらには滞留時間を著しく長くしない範囲で逆ねじのエレメントを配することが好ましく、粒子の分散性の確保に効果的である。シリンダー温度、軸回転速度などの混練条件は、ポリエステル種、吐出量が決定されたのち、微粒子の分散状態によって選定するとよい。なお、図3は、図1のロータの断面の一例である。
【0025】
本発明のポリエステル樹脂組成物をフィルムへ成形する方法は、それ自体特に制限されるものではないが、エステルワックスによる滑り性を発現させる観点から、得られるポリエステルフィルムの少なくとも片面は、本発明のポリエステル樹脂組成物からなる層であることが必要である。以下に本発明のポリエステル樹脂組成物をフィルムへ成形する方法を詳述する。
【0026】
本発明におけるポリエステルフィルムは、上述のポリエステル樹脂組成物またはそれを他のポリエステル樹脂と混合したものを溶融押出し、急冷して未延伸フィルムとし、該未延伸フィルムを2軸方向に延伸し、熱固定し必要であれば弛緩熱処理することによって製造できる。また、熱固定の際または熱固定の後、必要であれば弛緩熱処理を施しても良い。そして、フィルムへ成形する際の延伸条件などの製造条件は、目的とするフィルムの表面特性、密度、熱収縮率等の物性に応じて、適宜選択すればよい。例えば、前出の未延伸フィルムを一軸方向(縦方向または横方向)に[Tg−10]〜[Tg+60]℃の温度(但し、Tg:ポリエステルのガラス転移点温度)で2.5倍以上、好ましくは3倍以上の倍率で延伸し、次いで上記延伸方向と直角方向にTg〜[Tg+70]℃の温度で2.5倍以上、好ましくは3倍以上の倍率で延伸させるのが好ましい。更に必要に応じて縦方向およびまたは横方向に再度延伸してもよい。縦方向と横方向の延伸倍率を掛けた面積延伸倍率は、9倍以上が好ましく、12〜35倍が更に好ましく、15〜30倍が特に好ましい。さらにまた熱固定は、[Tg+70]〜[Tm−10]℃の温度(但し、Tm:ポリエステルの融点)、例えば180〜250℃の温度で行うのが好ましく、その際の熱固定時間は1〜60秒が好ましい。
【0027】
本発明のポリエステルフィルムは、エステルワックスのほかに、本発明の目的を阻害しない範囲で酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、滑剤等の不活性粒子を添加物として含有してもよい。不活性粒子としては、例えば(1)耐熱性ポリマー粒子(例えば、シリコーン樹脂、架橋ポリスチレン、架橋アクリル樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、架橋ポリエステルなどからなる粒子)、(2)金属酸化物(例えば、三二酸化アルミニウム、二酸化チタン、二酸化ケイ素(シリカ)、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムなど)、(3)金属の炭酸塩(例えば、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムなど)、(4)金属の硫酸塩(例えば、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなど)、(5)炭素(例えば、カーボンブラック、グラファイト、ダイアモンドなど)、および(6)粘土鉱物(例えば、カオリン、クレー、ベントナイトなど)などのような無機化合物からなる微粒子が挙げられる。これらのうち、シリコーン樹脂粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒子、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂粒子、ポリアミドイミド樹脂粒子、その他三二酸化アルミニウム(アルミナ)、二酸化チタン、二酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、合成炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ダイアモンド、またはカオリンからなる微粒子が好ましい。特に好ましい微粒子は、シリコーン樹脂粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒子、その他三二酸化アルミニウム(アルミナ)、二酸化チタン、二酸化ケイ素、または炭酸カルシウムからなる微粒子である。上記、不活性粒子は1種または2種以上のものを混合して使用してもよい。不活性粒子が2種以上の粒子からなる場合、上記、不活性粒子の平均粒径よりも小さい平均粒径の第2、第3の粒子(微細粒子)として、例えばコロイダルシリカ、α、γ、δ、θなどの結晶形態を有するアルミナなどの微粒子を用いることが好ましい。
【0028】
本発明においてポリエステルフィルムは単層フィルムでもよいが、2層以上の積層フィルムであることが好ましい。この場合、本発明のポリエステル樹脂組成物を用いたポリエステル層(A)が最外層の少なくとも一方を構成することが、エステルワックスの滑り性を発現させる上で好ましい。本発明におけるポリエステルフィルムの(総)厚みは、単層フィルムでも積層フィルムでも、3〜25μm、特に4〜20μmが好ましい。
【0029】
積層フィルムとする場合は、全てのポリエステル層にエステルワックスを含有させても良いが、磁性層を設ける側のポリエステル層には、エステルワックスを含有させない方がドロップアウトを抑制できるので好ましい。また該ポリエステル樹脂組成物を含有させたフィルム層は水との接触角が70〜90°の範囲であることが好ましく、70°未満では耐ブロッキング性(剥離性)が不足し、90°を超えるとバックコート層を塗布する工程で塗布斑などが発生し易い。
【0030】
特に好ましい積層フィルムは、最外層に磁性層を設ける側のフィルム層の三次元中心面平均粗さA(SRa)が15nm以下、更に好ましくは5nm以下のもので、また、その反対面にあたる最外層のフィルム層の三次元中心面平均粗さB(SRa)が30nm以下、更に好ましくは10nm以下の平坦な積層フィルムで効果がより顕著であり、その三次元中心面平均粗さ(SRa)の比が0.05〜0.8(三次元中心面平均粗さA/三次元中心面平均粗さB)の範囲にあるものが好ましい。
【0031】
本発明におけるポリエステル層(A)中でのエステルワックスの含有量は、0.001〜1重量%、好ましくは0.003〜0.5重量%、さらに好ましくは0.005〜0.5重量%、特に好ましくは0.01〜0.3重量%の範囲である。このエステルワックスの含有量が0.001重量%未満であると、巻取り性の向上が不十分であり、ブロッキング改良効果も得られない。一方、エステルワックスの含有量が1重量%を超えると、フィルムの製造工程でロール状に巻き上げたときに、ポリエステル層(A)中のエステルワックス成分がポリエステル層(A)に接する反対側の面に多量に転写され、金属蒸着層を設ける際の接着性が損なわれるなどの問題を惹起する。
【0032】
本発明のポリエステル樹脂組成物が、エステルワックスの300℃に加熱した際の熱減量率を20重量%以下にすることで、ポリエステル樹脂の品質劣化を抑えながら、エステルワックスを均一に分散させることができる理由は明確ではないが、エステルワックス自体の熱劣化がポリエステル樹脂の熱劣化を助長していて、ポリエステル樹脂組成物の熱劣化を助長するエステルワックスの熱劣化が抑制されたためと考えられる。この観点から、エステルワックスの耐熱性とポリエステル樹脂組成物の耐熱性とは有機的に結合していると言える。本発明のポリエステル樹脂組成物をフィルム化した際の耐ブロッキング性向上に関しては、エステルワックスがフィルム表面にブリードアウトすることにより、フィルム間の剥離性及び帯電性が変化してブロッキングを抑制するものと思われ、また、巻き取り性向上に関しては、機構は不明であるが、前出の剥離性及び帯電性の変化が寄与しているものと思われる。
【0033】
【実施例】
以下の実施例にて本発明を詳述する。なお、本発明における物性値及び特性は、以下の如くして測定または定義される。
【0034】
(1)エステルワックスの熱減量率
TGA(Rigaku製、TAS200)にて窒素雰囲気、Rate=20℃/minで測定し、300℃昇温時の熱減量率を求めた。
【0035】
(2)エステルワックスの水酸基価測定
試料を精秤し、過剰の無水フタル酸ピリジン溶液を加え、水浴(98±2℃)で2時間処理する。試料の溶解を確認した後、放冷し指示薬として1%フェノールフタレン−ピリジン液を用い、N/2水酸化カリウム標準溶液で滴定を行い、変色(淡紅色)する点を終点とする。尚、本試験と並行して空試験を行い、以下の一般式に従って求める。
【0036】
【数1】
式中、A:本試験のN/2水酸化カリウム標準溶液の使用量(ml)
B:空試験のN/2水酸化カリウム標準溶液の使用量(ml)
F:N/2水酸化カリウム標準溶液の力価使用量(KOHmg/ml)
S:試料採取量(g)
【0037】
(3)エステルワックスの酸価測定
試料を精秤し、約50mlの中性溶剤を入れて溶解する。(固形のものは湯煎で加温溶解)次にフェノールフタレイン指示薬を数滴加え、0.1mol/Lまたは0.5mol/L水酸化カリウムメチルアルコール標準溶液で滴定し、指示薬の色が変色(淡紅色)になった時点を終点とする。尚、酸価は次式[数2]に従って求める。
【0038】
【数2】
式中のAは0.5mol/L(または1.0mol/L) 水酸化カリウムメチルアルコール標準溶液の使用量(ml)、Fは0.5mol/L(または1.0mol/L) 水酸化カリウムメチルアルコール標準溶液の力価(KOHmg/ml)およびSは試料採取量(g)を示す。
【0039】
(4)固有粘度
オルソクロロフェノール溶液中35℃で測定した値から求める。
【0040】
(5)粒子の平均粒径
株式会社島津製作所製、商品名「SACP−4L型セントリフュグル パーティクル サイズ アナライザー(Centrifugal Particle Size Analyser)」を用い測定する。得られる遠心沈降曲線を基に計算した各粒径の粒子とその存在量との積算曲線から、50マスパーセントに相当する粒径「等価球直径」を読み取り、この値を上記平均粒径とする(単行本「粒度測定技術」日刊工業新聞社発行、1975年、頁242〜247参照)。
【0041】
(6)フィルムの三次元中心面平均粗さ(SRa)
三次元粗さ測定機(小坂研究所製SE−3CK)を用いて、針径2μmR、針圧30mg、測定長1mm、サンプリングピッチ2μm、カットオフ0.25mm、縦方向拡大率2万倍、横方向拡大率200倍、走査本数100本の条件にてフィルム表面の三次元表面プロファイルをイメージさせる。得られたプロファイルから中心面上に面積SMの部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心面上に直交座標軸、X軸、Y軸を置き、中心面に直交する軸をZ軸として以下の数式により与えられる値をSRaとする。
【0042】
【数3】
ここでSM=LX × MYである。
【0043】
(7)接触角
協和科学(株)製、接触角測定装置を用いて測定した。フィルムサンプルを温度25℃、湿度50%の環境下に24時間置いた後、フィルム上に蒸留水を5mg滴下し、水平の方向から20分後の写真を撮影した。フィルムと水滴の接線が形成する角度を接触角(°)とした。
【0044】
(8)ブロッキング剥離力
ロール状フィルムの長手方向に100mm、幅方向に200mmの長方形にサンプリングし、室温20℃±2℃、湿度40±5%の環境下でコロナ処理を施した。コロナ処理は春日電気株式会社製、商品名「CG−102」型の高周波電源を用いて、以下の条件で行った。
電流 :4.5A
電極間距離:1.0mm
処理時間 :1.2m/分の速度で電極間を通過させて処理する。
【0045】
フィルムの処理した面を、直ちに処理した面と反対側の面に接触させ、9.806×106Pa(100Kg/cm2)の圧力にて温度60℃、湿度80%の環境下で17時間エイジングさせた後、東洋ボールドウィン株式会社製の引っ張り試験機、商品名「テンシロン」を用いて、幅100mm当たりの剥離力を求めた。
【0046】
(9)巻き取り性
速度130m/分、サイズ幅600mm×長さ12000mの条件で、30個のフィルムロールをスリット加工した後、フィルムロールのフィルム表面を目視にて観察し、フィルム表面にブツ状、突起やシワのないロールを良品として、以下の基準で巻き取り性を評価した。
◎ :良品ロールの本数が28本以上
○ :良品ロールの本数が25〜27本
× :良品ロールの本数が16〜24本
××:良品ロールの本数が15本以下
【0047】
(10)エステルワックス中のアルカリ金属量の測定
試料5gを精秤し灰化した後、水に溶解、定容した後、原子吸光分析装置(日立製作所製(株)、商品名「Z−6100型 Polarized Zeeman Atomic Absorption Spectrophotometer」)で測定し、エステルワックス中のアルカリ金属量を求める。
【0048】
[参考例1]
原料としてジメチルテレフタレートとエチレングリコールを、エステル交換触媒として酢酸マグネシウムと酢酸カルシウムを、重合触媒として三酸化アンチモンを、安定剤として亜リン酸を用い、エステルワックスを含まないポリエステル樹脂として固有粘度(オルソクロロフェノール、35℃)0.65のポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)を得た。
【0049】
[参考例2]
原料としてジメチルテレフタレートとエチレングリコールを、エステル交換触媒として酢酸マンガンを、微粒子として球状シリコーン樹脂粒子(平均粒径0.3μm)を、重合触媒として三酸化アンチモンを、安定剤として亜リン酸を用い、不活性粒子を含有するマスターポリエステル樹脂組成物として固有粘度(オルソクロロフェノール、35℃)0.60、シリコーン樹脂粒子含有量0.6重量%のポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)を得た。
【0050】
[参考例3]
原料としてジメチルテレフタレートとエチレングリコールを、エステル交換触媒として酢酸マンガンを、微粒子として酸化アルミニウム粒子(平均粒径0.27μm、結晶形態θ型)を、重合触媒として三酸化アンチモンを、安定剤として亜リン酸を用い、不活性粒子を含有するマスターポリエステル樹脂組成物として固有粘度(オルソクロロフェノール、35℃)0.60、酸化アルミニウム粒子含有量1.0重量%のポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)を得た。
【0051】
[参考例4]
原料としてジメチルナフタレートとエチレングリコールを、エステル交換触媒として酢酸マグネシウムと酢酸カルシウムを、重合触媒として三酸化アンチモンを、安定剤として亜リン酸を用い、エステルワックスを含まないポリエステル樹脂として固有粘度(オルソクロロフェノール、35℃)0.65のポリエステル(ポリエチレンナフタレート)を得た。
【0052】
[参考例5]
原料としてジメチルナフタレートとエチレングリコールを、エステル交換触媒として酢酸マンガンを、微粒子として球状シリコーン樹脂粒子(平均粒径0.3μm)を、重合触媒として三酸化アンチモンを、安定剤として亜リン酸を用い、不活性粒子を含有するマスターポリエステル樹脂組成物として固有粘度(オルソクロロフェノール、35℃)0.60、シリコーン樹脂粒子含有量0.6重量%のポリエステル(ポリエチレンナフタレート)を得た。
【0053】
[参考例6]
原料としてジメチルナフタレートとエチレングリコールを、エステル交換触媒として酢酸マンガンを、微粒子として酸化アルミニウム粒子(平均粒径0.27μm、結晶形態θ型)を、重合触媒として三酸化アンチモンを、安定剤として亜リン酸を用い、不活性粒子を含有するマスターポリエステル樹脂組成物として固有粘度(オルソクロロフェノール、35℃)0.60、酸化アルミニウム粒子含有量1.0重量%のポリエステル(ポリエチレンナフタレート)を得た。
【0054】
[実施例1]
図2において、ニーディングディスクパドルを混練エレメントとして配したベント式2軸混練押出機の上流にある供給口9より、参考例1で製造した固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレートペレットをスクリュー式定量フィーダーを用いて19.6Kg/Hrの割合で供給する。同時にポリエチレンテレフタレートペレットを供給したのと同じ供給口9よりエステルワックスを振動式定量フィーダーを用いて0.4Kg/Hrで供給する。シリンダ温度260℃、ベント口11および12の真空度を133.3Pa(1.0mmHg)、軸回転数250rpmに設定して押出して、エステルワックス2重量%含有のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を得た。なお、エステルワックスは、炭酸ナトリウムを触媒としてソルビットとステアリン酸とを、水酸基価=70KOHmg/g、酸価=12KOHmg/gおよびアルカリ金属量=290ppmとなるように反応時間や脱水条件を調節して得たソルビタントリステアレート(粉末状)であり、300℃での熱減量率は9%であった。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表1に示す。
【0055】
また、このエステルワックスを含有するポリエステル樹脂組成物のペレットと参考例2および参考例3のポリエステル樹脂組成物のペレットとを、球状シリコーン樹脂粒子が0.06重量%、酸化アルミニウムが0.2重量%、ソルビタントリステアレートが0.13重量%となるように混合した。この混合状態のペレットとこれとは別に参考例1のポリエステルとをそれぞれ別々に170℃で3時間乾燥した後、それぞれ別々の押出し機に供給し、溶融温度300℃にて溶融し、平均目開き11μmの鋼線フィルターでそれぞれ高精度濾過した後、マルチマニホールド型共押出しダイを用いて、一方の面が参考例1のポリエステル樹脂のみからなる層並びに他方の面がエステルワックスを含有するポリエステル樹脂組成物からなる層となるように、これら2層を積層した状態で押し出した。なお、磁気記録媒体として用いる場合は、磁性層を設ける側のフィルム層(以下、磁性層面と略することがある。)は参考例1のポリエステル樹脂のみからなる層とし、磁性層を設けるのとは逆の側(以下、走行面と称することがある。)のフィルム層はエステルワックスを含有するポリエステル樹脂組成物からなる層とする。このようにして押し出された2層からなるポリエステル樹脂組成物は、表面温度20℃の回転冷却ドラム上で急冷され、厚さ89μmの未延伸フィルムとされる。この未延伸フィルムを余熱し、更に低速、高速のロール間でフィルム温度100℃にて3.3倍に延伸した後急冷し、続いてステンターで110℃にて横方向に4.2倍に延伸した。得られた二軸配向フィルムを220℃の温度で5秒間熱固定し、フィルム全厚み6.4μmで走行面に位置するポリエステル層の厚み1.0μmの熱固定二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。なお、それぞれのポリエステル層の厚みは2台の押出機の吐出量にて調整した。得られたフィルムの特性を表1に示す。
【0056】
[実施例2]
実施例1のエステルワックスの合成において、水酸基価=79KOHmg/g、酸価=13KOHmg/gおよびアルカリ金属量=450ppmとなるように反応時間や脱水条件を調節する以外は、実施例1と同様にしてポリエステル樹脂組成物及び熱固定二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステル樹脂組成物及びフィルムの特性を表1に示す。
【0057】
[実施例3]
実施例1で使用する参考例1のポリエステル樹脂を参考例4のポリエステル樹脂に変更する以外は、同様にしてエステルワックスを含有するポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表1に示す。
【0058】
また、この得られたポリエステル樹脂組成物のペレットと参考例5および参考例6のポリエステル樹脂組成物のペレットとを、球状シリコーン樹脂粒子が0.06重量%、酸化アルミニウムが0.2重量%、ソルビタントリステアレートが0.13重量%となるように混合した。この混合状態のペレットとこれとは別に参考例4のポリエステルとをそれぞれ別々に170℃で6時間乾燥した後、それぞれ別々の押出し機に供給し、溶融温度310℃にて溶融し、平均目開き11μmの鋼線フィルターでそれぞれ高精度濾過した後、マルチマニホールド型共押出しダイを用いて、一方の面が参考例4のポリエステル樹脂のみからなる層、他方の面が上述のエステルワックスを含有するポリエステル樹脂組成物からなる層となるように、これらの2層を積層した状態で押し出した。なお、磁気記録媒体として用いる場合は、磁性層面は参考例1のポリエステル樹脂のみからなる層とし、走行面はエステルワックスを含有するポリエステル樹脂組成物、参考例2および参考例3のポリエステル樹脂組成物からなる層とする。このようにして押し出された2層からなるポリエステル樹脂組成物は、表面温度20℃の回転冷却ドラム上で急冷され、厚さ89μmの未延伸フィルムとされる。この未延伸フィルムを余熱し、更に低速、高速のロール間でフィルム温度135℃にて3.6倍に延伸した後急冷し、続いてステンターで155℃にて横方向に5.7倍に延伸した。得られた二軸配向フィルムを200℃の温度で4秒間熱固定し、フィルム全厚み4.4μmで走行面に位置するポリエステル層の厚み0.6μmの熱固定二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。なお、それぞれのポリエステル層の厚みは2台の押出機の吐出量にて調整した。得られたフィルムの特性を表1に示す。
【0059】
[実施例4]
参考例1のポリエステル樹脂のペレット98重量部とエステルワックス2重量部(ソルビタントリステアレート、粉末、300℃での熱減量率=12%、水酸基価=79KOHmg/g)をブレンダーで混合し、スクリュー式定量フィーダーを用いて50Kg/Hrの割合でホッパー部に供給する。オリフィスゲート開度50%、ロータ回転数700rpmの条件で図1及び図3のロータ型2軸連続混練機で混練し、得られた混練物を連続して強制押し込み装置付きの単軸押出機で成形してペレット化した。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表1に示す。
【0060】
また、エステルワックスを含有するマスターポリエステル樹脂組成物として、上述のロータ型2軸連続混練機(B)を用いたものを使用すること、磁性層面のポリエステル層を構成するポリエステル樹脂組成物として参考例1、参考例2および参考例3の樹脂または樹脂組成物を球状シリコーン樹脂粒子0.02重量%および酸化アルミニウム0.1重量%となるように混合したものを使用すること、並びに、走行面のポリエステル層を構成するポリエステル樹脂組成物として球状シリコーン樹脂粒子0.2重量%、酸化アルミニウム0.25重量%およびソルビタントリステアレート0.12重量%となるように混合したものを使用すること以外は、実施例1と同様にして熱固定二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
【0061】
[実施例5]
実施例1のエステルワックスを、水酸基価=36KOHmg/g、酸価=1KOHmg/gおよびアルカリ金属量=300ppmとなるように反応時間や脱水条件を調節して得たグリセリントリステアレート(粉末状)に変更する以外は、実施例1と同様にしてポリエステル樹脂組成物及び熱固定二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステル樹脂組成物及びフィルムの特性を表1に示す。
【0062】
[実施例6]
実施例1のエステルワックスを、水酸基価=160KOHmg/g、酸価=5KOHmg/gおよびアルカリ金属量=400ppmとなるように反応時間や脱水条件を調節して得たペンタエリスリトールジステアレート(粉末状)に変更する以外は、実施例1と同様にしてポリエステル樹脂組成物及び熱固定二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステル樹脂組成物及びフィルムの特性を表1に示す。
【0063】
[比較例1]
実施例1において、エステルワックスの添加量を13重量%へ変更する以外は、同様な操作を繰り返した。その結果、ベント式2軸混練押出機の混練部分において、ポリエステル樹脂のペレットの噛み込み不良が発生し、均一な混合状態でエステルワックスを含有するポリエステル樹脂組成物は得られなかった。そのため、これ以降の評価は中止とした。
【0064】
[比較例2]
実施例1のエステルワックスの合成において、水酸基価=142KOHmg/g、酸価=17KOHmg/gおよびアルカリ金属量=850ppmとなるように反応時間や脱水条件を調節する以外は、実施例1と同様にしてポリエステル樹脂組成物及び熱固定二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステル樹脂組成物は、製造時の固有粘度の劣化幅が大きく、また、それを用いたポリエステルフィルムはブロッキング剥離力の測定でフィルムが密着し、無理やり剥がそうとすると破れてしまうものであった。得られたポリエステル樹脂組成物及びフィルムの特性を表1に示す。
【0065】
[比較例3]
実施例3において、エステルワックスの種類を表1に示す通りに変更する以外は同様にして、ポリエステル樹脂組成物及び熱固定二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステル樹脂組成物は、製造時の固有粘度の劣化幅が大きく、それを用いたポリエステルフィルムはブロッキング剥離力の測定でフィルムが密着し、無理やり剥がそうとすると破れてしまうもので、フィルム巻き取り性も劣るものであった。
【0066】
[比較例4]
エステルワックスを添加しない以外は実施例1と同様にして熱固定二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムはブロッキング剥離力の測定でフィルムが密着し、無理やり剥がそうとすると破れてしまうもので、フィルム巻き取り性も劣るものであった。
【0067】
[比較例5]
実施例4において、エステルワックスを表1に示すとおり変更する以外は、実施例4と同様にしてポリエステル樹脂組成物及び熱固定二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステル樹脂組成物は、製造時の固有粘度の劣化幅が大きく、またそれを用いたポリエステルフィルムはブロッキング剥離力が大きく増加し、フィルム巻き取り性についても劣る結果となった。
【0068】
[比較例6]
実施例1のエステルワックスを、水酸基価=80KOHmg/g、酸価=7KOHmg/gおよびアルカリ金属量=330ppmとなるように反応時間や脱水条件を調節して得たソルビタンモノアセテート(粉末状)に変更する以外は、実施例1と同様にしてポリエステル樹脂組成物及び熱固定二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステル樹脂組成物は、製造時の固有粘度の劣化幅が大きく、また、それを用いたポリエステルフィルムはブロッキング剥離力の測定でフィルムが密着し、無理やり剥がそうとすると破れてしまうものであった。得られたポリエステル樹脂組成物及びフィルムの特性を表1に示す。
【0069】
【表1】
【0070】
【発明の効果】
本発明のポリエステル樹脂組成物は、300℃に加熱した際の熱減量率が20%以下という特定のエステルワックスを用いることによって、エステルワックスだけでなくポリエステル樹脂自体の品質劣化も抑制でき、ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂組成物の品質をほとんど損なうことなく、耐ブロッキング性や巻き取り性を向上したポリエステルフィルムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用するロータ型2軸混錬機の概略断面図である。
【図2】本発明で使用するベント式2軸混錬押出機の概略断面図である。
【図3】本発明で使用する混錬押出機のロータ断面図である。
【符号の説明】
(ロータ型2軸混錬機)
1 ロータ
2 チャンバ
3、4 ベアリング
6 絞り機構(オリフィスゲート)
7 ロータスクリュウ部
8 ロータ混錬翼部
(ベント式2軸混錬押出機)
9、10 供給口
11、12 ベント口
13 定量フィーダ
14 シリンダおよびスクリュウ
(ロータ断面)
15 スクリュウ
16 シリンダ[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a polyester resin composition containing an ester wax, a method for producing the same, and a polyester film comprising the same, and more particularly, a polyester resin composition useful for a base film of a high-density magnetic recording medium, a method for producing the same, and a polyester film comprising the same. About.
[0002]
[Prior art]
In recent years, the progress of high density magnetic recording media has been remarkable. For example, a metal thin film type magnetic recording medium in which a ferromagnetic metal thin film is formed on a nonmagnetic support by a physical deposition method such as vacuum deposition or sputtering or a plating method, In addition, development and commercialization of thin-layer coating-type magnetic recording media in which acicular magnetic powders such as metal powders and iron oxide powders are applied to 2 μm or less are underway.
[0003]
As an example of the former, Japanese Patent Application Laid-Open No. 54-147010 discloses a first Co thin film magnetic layer deposited on a base material made of a nonmagnetic material, with the first magnetic layer interposed therebetween. A magnetic recording medium in which a second Co thin film magnetic layer having a thickness larger than the thickness of the Co thin film magnetic layer is disclosed, and Japanese Patent Application Laid-Open No. 52-134706 discloses a perpendicular magnetic film made of a Co—Cr alloy. A recording medium is disclosed. As an example of the latter, the IEICE technical report MR94-78 (1995-02) discloses high-density magnetic recording using an ultrathin layer-coated magnetic recording medium.
[0004]
Conventional coated magnetic recording media (magnetic recording media in which magnetic powder is mixed in an organic polymer binder and coated on a nonmagnetic support) have a low recording density and a long recording wavelength, so the thickness of the magnetic layer is small. On the other hand, the ferromagnetic metal thin film formed by thin film forming means such as vacuum deposition, sputtering, or ion plating is very thin with a thickness of 0.2 μm or less. It was. Further, in recent years, a coating type and an ultrathin layer coating type are provided, in which a nonmagnetic underlayer is provided but a coating layer excluding the underlayer, that is, the magnetic layer itself has a thickness of 0.13 μm. It is getting very thin.
[0005]
For this reason, in the above high-density magnetic recording medium, the surface state of the nonmagnetic support (base film) has a great influence on the surface properties of the magnetic layer, and particularly in the case of a metal thin film type magnetic recording medium, The surface state of the magnetic support is directly expressed as irregularities on the surface of the magnetic layer (magnetic recording layer).
[0006]
Further, in the case of a metal thin film type magnetic recording medium, there is a running property of the metal thin film surface as a serious problem when actually used. In the case of a coating-type magnetic recording medium in which magnetic powder is mixed in an organic polymer binder and applied to a base film, a lubricant is dispersed in the binder to improve the runnability of the magnetic layer surface. However, such a countermeasure cannot be taken in the case of a metal thin film type magnetic recording medium. For this reason, in the case of a metal thin film type magnetic recording medium, it is very difficult to keep the runnability stable, and there are disadvantages such as poor runnability especially under high temperature and high humidity conditions. Furthermore, such a drawback of running performance may cause a disadvantage that the output decrease during repeated use is larger than that of the coating type magnetic recording medium.
[0007]
By the way, from the viewpoint of handling such as film formation of a non-magnetic support (base film), conveyance / scratching, winding and unwinding in a processing step, if the film surface is too smooth, the slipperiness between the films and the film is high. Deteriorating, blocking phenomenon occurs, and the shape (roll formation) when wound on a roll is deteriorated, resulting in a decrease in product yield and an increase in manufacturing cost of the product. Therefore, from the viewpoint of manufacturing cost, the surface of the nonmagnetic support (base film) is preferably as rough as possible.
[0008]
As described above, the surface of the non-magnetic support is required to be smooth from the viewpoint of electromagnetic conversion characteristics, while it is required to be rough from the viewpoint of handling properties and film cost. Therefore, in order to produce an excellent quality high-density magnetic recording medium, it is necessary to satisfy the contradictory properties at the same time.
[0009]
In order to satisfy these characteristics, a proposal to provide a lubricating effect on the film surface and reduce the friction coefficient by incorporating an ester wax in the polyester (Japanese Patent Laid-Open No. 58-206664, Japanese Patent Publication No. 63-4571). Publication). In addition, the average dispersion diameter of the ester wax in a dispersed state is uniformly and well kneaded to less than 2 μm, thereby suppressing oligomers that are locally deposited on the surface and improving the running durability when a magnetic recording tape is obtained. Japanese Patent Application Laid-Open No. 11-262992 proposes to eliminate problems such as dropout while maintaining the same. However, as proposed in these publications, when polyester wax is incorporated in polyester and kneaded at high temperature to uniformly disperse the agent in polyester, the mechanical properties of the resulting polyester resin composition There was a potential problem of quality deterioration such as brightness and whiteness.
[0010]
[Problems to be solved by the invention]
The problem of the present inventors is to solve the problem that the quality of the polyester resin composition obtained when the polyester wax is kneaded at a high temperature after the ester wax is contained in the polyester, and the ester wax is uniformly distributed in the polyester. Another object of the present invention is to provide a polyester resin composition in which deterioration of quality is suppressed while being dispersed in the composition, a production method thereof, and a film comprising the polyester resin composition.
[0011]
[Means for Solving the Problems]
As a result of diligent research to solve the problem of deterioration in the quality of the polyester resin composition obtained when the polyester wax is kneaded at a high temperature after the ester wax is contained in the polyester, the polyester contains It has been found that when the heat loss rate of the ester wax to be contained is 20% by weight or less when heated to 300 ° C., the deterioration of the quality of the resulting polyester resin composition can be suppressed, and the present invention has been achieved.
[0012]
Thus, according to the present invention, there is provided a polyester resin composition comprising 0.01 to 10% by weight of an ester wax having a heat loss rate of 20% by weight or less when heated to 300 ° C.
[0013]
Furthermore, according to the present invention, the polyester resin composition described above is provided such that the ester wax comprises a polyhydric alcohol and an aliphatic monocarboxylic acid having 8 or more carbon atoms, or the ester wax has an alkali metal content of 800 ppm or less. A polyester resin composition is also provided.
[0014]
Furthermore, according to the present invention, an ester wax having a heat loss rate of 20% by weight or less when heated to 300 ° C. is added to the polyester resin by 0.01 to 10% by weight based on the weight of the polyester resin composition. There is also provided a method for producing a polyester resin composition that is kneaded, in particular, kneading using a twin-screw kneader.
[0015]
Furthermore, according to the present invention, the polyester layer (A) comprising the above-mentioned polyester resin composition is located on at least one side, and particularly the exposed surface of the polyester layer (A) is in contact with water. Also provided is a polyester film having an angle in the range of 70-90 °.
[0016]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
The polyester in the present invention is a polyester having aromatic dicarboxylic acid as the main acid component and aliphatic glycol as the main glycol component, and preferably having alkylene terephthalate or alkylene naphthalate as the main constituent. Such polyester is substantially linear and has film-forming properties, particularly film-forming properties by melt molding. Examples of the aromatic dicarboxylic acid include terephthalic acid, naphthalene dicarboxylic acid, isophthalic acid, diphenyl ketone dicarboxylic acid, and anthracene dicarboxylic acid. Examples of the aliphatic glycol include alkylene glycols having 2 to 10 carbon atoms such as ethylene glycol, trimethylene glycol, tetramethylene glycol, pentamethylene glycol, hexamethylene glycol, decamethylene glycol and the like, and aliphatic diols such as cyclohexanedimethanol. Can be mentioned. Specifically, polyethylene terephthalate or polyethylene-2,6-naphthalate homopolymer, or 80 mol% or more of all dicarboxylic acid components are terephthalic acid or 2,6-naphthalenedicarboxylic acid, and 80 mol% of all glycol components. The above is preferably a copolymer of polyethylene terephthalate or polyethylene-2,6-naphthalate, which is ethylene glycol. At that time, 20 mol% or less of the total acid component is the above-mentioned aromatic dicarboxylic acid other than terephthalic acid and / or 2,6-naphthalenedicarboxylic acid as long as the surface flatness and dry heat deterioration are not impaired. Examples thereof include aliphatic dicarboxylic acids such as adipic acid and sebacic acid, and aliphatic dicarboxylic acids such as cyclohexane-1,4-dicarboxylic acid. In addition, 20 mol% or less of the total glycol component may be the above-mentioned glycol other than ethylene glycol, for example, an aliphatic diol such as hydroquinone, resorcin, 2,2-bis (4-hydroxyphenyl) propane, It can also be an aliphatic diol having an aromatic ring such as 4-dihydroxydimethylbenzene, polyalkylene glycol (polyoxyalkylene glycol) such as polyethylene glycol, polypropylene glycol, polytetramethylene glycol and the like. Of course, as long as the effects of the present invention are not impaired, the polyester in the present invention contains components derived from oxycarboxylic acids such as aromatic oxyacids such as hydroxybenzoic acid and aliphatic oxyacids such as ω-hydroxycaproic acid. Those which are copolymerized or bonded at 20 mol% or less based on the total amount of the dicarboxylic acid component and the oxycarboxylic acid component are also included. Further, unless the amount is in a substantially linear range and the effects of the present invention are not impaired, for example, an amount of 2 mol% or less with respect to the total acid component, a tri- or higher functional polycarboxylic acid or polyhydroxy The compounds such as those obtained by copolymerizing trimellitic acid, pentaerythritol and the like are also included.
[0017]
The ester wax in the present invention will be described in detail below.
The ester wax in the present invention is required to have a heat loss rate of 20% by weight or less when heated at 300 ° C., and preferably 10% by weight or less. If this thermal weight loss rate exceeds 20% by weight, the thermal stability in the polyester is poor, there is a problem that the polyester manufacturing process tends to be decomposed, and there is a problem that the anti-blocking effect is reduced when it is made into a film. appear. The ester wax in the present invention is not particularly limited as long as it can provide blocking resistance and roll-up property when incorporated into a polyester to form a film, but it is multivalent from the viewpoint of affinity for polyester. Ester waxes of alcohol and aliphatic monocarboxylic acid are preferred.
[0018]
As a polyhydric alcohol used for the synthesis | combination of ester wax, what has a 2 or more hydroxyl group in a molecule | numerator is preferable, and the polyhydric alcohol which has a 3 or more hydroxyl group in a molecule | numerator is especially preferable from a heat resistant viewpoint. Preferred polyhydric alcohols having two hydroxyl groups in the molecule include ethylene glycol, propylene glycol, trimethylene glycol, 1,4-butanediol, 1,5-pentanediol, 1,6-hexanediol, 1,7 -Heptanediol, 1,8-octanediol, 1,9-nonanediol, 1,10-decanediol, diethylene glycol, triethylene glycol, polyethylene glycol and the like. Examples of preferable polyhydric alcohol having three hydroxyl groups in the molecule include glycerin, erythritol, trait, pentaerythlit, arabit, xylit, tarit, sorbit, mannitol and the like. Moreover, as aliphatic monocarboxylic acid used for the synthesis | combination of ester wax, a C8 or more thing is preferable, and a C8-34 thing is especially preferable. When the number of carbon atoms is less than 8, the resulting ester product tends to have insufficient heat resistance. Examples of aliphatic monocarboxylic acids having 8 or more carbon atoms include pelargonic acid, capric acid, undecylic acid, lauric acid, tridecylic acid, myristic acid, pentadecylic acid, palmitic acid, heptadecylic acid, stearic acid, nonadecanoic acid, arachidic acid , Pehenic acid, lignoceric acid, serotic acid, montanic acid, melissic acid, hentriacontanoic acid, petroceric acid, oleic acid, erucic acid, linoleic acid, and mixtures containing these. Furthermore, examples of the ester wax obtained from the aliphatic monocarboxylic acid and the polyhydric alcohol include monoesters, diesters, triesters and the like, depending on the number of hydroxyl groups of the polyhydric alcohol. Among these, from the viewpoint of heat resistance, a diester is preferable to a monoester, and a triester is preferable to a diester. Preferred ester waxes include sorbitan tristearate, pentaerythritol distearate, pentaerythritol triphenate, glycerin tristearate, glycerin tripalmitate, polyoxyethylene distearate and the like.
[0019]
The above ester wax composed of an aliphatic monocarboxylic acid and a polyhydric alcohol is produced by proceeding with an esterification reaction by removing the water produced by heating the aliphatic dicarboxylic acid with a polyhydric alcohol in the presence of a catalyst. I can do it. The ester wax may contain a metal element in its structure, and can be obtained, for example, by partially esterifying an aliphatic dicarboxylic acid with a polyhydric alcohol and then saponifying with a dihydric or higher metal hydroxide. Such ester wax may be used alone or in combination of two or more.
[0020]
By the way, as for the method of making the heat loss rate when heating the ester wax at 300 ° C. 20% by weight or less, for example, the alkali metal content in the ester wax is preferably 800 ppm or less. When the alkali metal content exceeds 800 ppm, the heat resistance of the ester wax tends to be insufficient. Particularly preferred is an ester wax having an alkali metal content of 300 ppm or less. Such an ester wax having an alkali metal content of 800 ppm or less uses a low alkali metal content in the polyhydric alcohol and aliphatic monocarboxylic acid raw material described above, and dealkalizing metal treatment ( For example, ion exchange and adsorption treatment), washing filtration and reprecipitation treatment after the production of ester wax can be performed.
[0021]
In addition to setting the alkali metal content to 800 ppm or less, for example, when dehydrating esterification of polyhydric alcohol and aliphatic monocarboxylic acid in the presence of an esterification catalyst, residual unreacted after ester wax formation It is preferable to reduce the product, and it is preferable to dehydrate under reduced pressure in the dehydration during the dehydration esterification reaction. Further, for example, in sorbitan ester, an alkali metal compound, particularly a sodium metal compound is suitable as an esterification catalyst. The index of the amount of residual unreacted ester wax varies depending on the molecular structure. For example, when the organic lubricant is sorbitan tristearate, the acid value is preferably 14 KOHmg / g or less and the hydroxyl value is 80 KOHmg / g or less. The lower limit of the acid value or hydroxyl value of sorbitan tristearate is preferably 10 KOH mg / g or more for oxidation and 66 KOH mg / g or more for hydroxyl value. When the organic lubricant is glycerin tristearate, it is preferable that the acid value is 3 KOHmg / g or less and the hydroxyl value is 42 KOHmg / g or less. The lower limit of the acid value or hydroxyl value of glycerin tristearate is preferably 0.5 KOH mg / g or more for oxidation and 30 KOH mg / g or more for hydroxyl value. When the organic lubricant is pentaerythritol distearate, the acid value is preferably 8 KOH mg / g or less and the hydroxyl value is 166 KOH mg / g or less. The lower limit of the acid value or hydroxyl value of pentaerythritol distearate is preferably 0.5 KOH mg / g or more for oxidation and 30 KOH mg / g or more for hydroxyl value. These alkali metal amount and residual unreacted material amount may be used alone, but it is particularly preferable to satisfy both of them simultaneously.
[0022]
The content of the ester wax at the time of producing the polyester resin composition is 0.01 to 10% by weight, preferably 0.05 to 3% by weight. When the content is less than 0.01% by weight, the productivity as the master polymer is low and inefficient. On the other hand, if it exceeds 10% by weight, slippage due to the ester wax in the kneading part of the kneader is too good, and it becomes easy for the polyester pellets to be bitten and the stable operation of the kneader becomes difficult.
[0023]
A method for producing a polyester resin composition containing the ester wax of the present invention will be described below.
In the present invention, the timing of adding the ester wax to the polyester resin may be either the polymerization stage of the polyester resin or the stage from the polymerization of the polyester resin to the film formation. Since the treatment is not added, it is preferable to add it at the stage from the polymerization of the latter polyester resin to the film formation. As a method of adding ester wax to the polymerized polyester resin, a known kneader is used, and the ester wax is added to the polyester resin until the polyester resin is supplied to the kneader or at the same time as the polyester resin is supplied. The method of adding, or the method of adding ester wax to the polyester resin which became the molten state in the kneading machine is mentioned. In addition, since it is easy to suppress the quality deterioration of the polyester resin composition after kneading, after adding the ester wax to the polyester resin until the polyester resin is supplied to the kneading machine or at the same time, the polyester resin is added. The timing of kneading in a molten state, that is, supplying the ester wax and the polyester resin not containing the ester wax to the kneader is preferably before the kneading part in the kneader. By supplying the ester wax before the kneading part in the kneading machine, it is possible to suppress shearing heat generation when the pellets melt in the kneading part due to the lubricating action of the ester wax, and the polyester resin itself Quality degradation can be reduced. In addition, when supplying polyester resin pellets containing no ester wax and ester wax to the kneader, the ester wax may be mixed or blended in the form of powder or melted droplets, and the powder or The ratio obtained by dividing the average particle diameter of the liquid ester wax is preferably in the range of 1 to 0.001 because of easy mixing.
[0024]
Moreover, as a kneading machine, since a uniform kneading state is easy to form, a biaxial kneading machine is preferable, and since a batch type with a discontinuous manufacturing process as a biaxial kneading machine, productivity falls, it is continuous. A kneader is preferred. The biaxial continuous kneader is not particularly limited. For example, a bent type biaxial kneader / extruder having a screw configuration in which kneading disks and reverse screw kneading elements are arranged, and / or a rotor type biaxial continuous kneader ( For example, “synthetic resin” Vol. 41 (7) P. 9.7 (1995)) is preferable. As a specific rotor type twin-screw kneader, the rotor as shown in FIG. 1 comprises a screw part 7 for feeding the material supplied from the hopper to the chamber 2 and a kneading blade part 8 for crushing, melting and kneading the material. In addition, the first stage two-shaft kneading type comprising the throttle mechanism 6 that adjusts the degree of filling of the material and discharges it to the outside of the chamber, and the rotor sends the molten material after the first stage kneading blade part. It has a second-stage screw part and a second-stage kneading wing part to be further kneaded, a throttle gate mechanism between the first and second stages, and finally a discharge orifice There are two-stage two-axis kneading types. Further, as a specific bent type twin-screw kneading extruder, for example, as shown in FIG. 2, it is preferable to have a screw structure in which a kneading disk or a rotor-type kneading element is arranged, and the residence time is remarkably increased. It is preferable to arrange a reverse screw element within a range that does not increase the length, which is effective in ensuring the dispersibility of the particles. The kneading conditions such as the cylinder temperature and the shaft rotation speed may be selected according to the dispersion state of the fine particles after the polyester type and the discharge amount are determined. FIG. 3 is an example of a cross section of the rotor of FIG.
[0025]
The method for forming the polyester resin composition of the present invention into a film is not particularly limited per se, but from the viewpoint of developing slipperiness with ester wax, at least one side of the obtained polyester film is the polyester of the present invention. It is necessary to be a layer made of a resin composition. Hereinafter, a method for forming the polyester resin composition of the present invention into a film will be described in detail.
[0026]
The polyester film in the present invention is obtained by melt-extrusion of the above-mentioned polyester resin composition or a mixture thereof with another polyester resin, quenching to make an unstretched film, stretching the unstretched film in the biaxial direction, and heat setting If necessary, it can be produced by a relaxation heat treatment. In addition, after heat setting or after heat setting, relaxation heat treatment may be performed if necessary. And manufacturing conditions, such as the extending | stretching conditions at the time of shape | molding to a film, should just be suitably selected according to physical properties, such as the surface characteristics of a target film, a density, and a heat contraction rate. For example, the unstretched film described above is uniaxially (longitudinal or transverse) at a temperature of [Tg-10] to [Tg + 60] ° C. (where Tg is the glass transition temperature of the polyester) 2.5 times or more, Preferably, the film is stretched at a ratio of 3 times or more, and then stretched at a temperature of Tg to [Tg + 70] ° C. at a temperature of 2.5 times or more, preferably 3 times or more in the direction perpendicular to the stretching direction. Further, it may be stretched again in the longitudinal direction and / or the transverse direction as necessary. The area draw ratio obtained by multiplying the draw ratio in the machine direction and the transverse direction is preferably 9 times or more, more preferably 12 to 35 times, and particularly preferably 15 to 30 times. Furthermore, the heat setting is preferably performed at a temperature of [Tg + 70] to [Tm-10] ° C. (however, Tm: melting point of polyester), for example, a temperature of 180 to 250 ° C. 60 seconds is preferred.
[0027]
In addition to the ester wax, the polyester film of the present invention may contain, as an additive, inert particles such as an antioxidant, a heat stabilizer, an ultraviolet absorber, and a lubricant as long as the object of the present invention is not impaired. Examples of the inert particles include (1) heat-resistant polymer particles (for example, particles made of silicone resin, crosslinked polystyrene, crosslinked acrylic resin, melamine-formaldehyde resin, aromatic polyamide resin, polyimide resin, polyamideimide resin, crosslinked polyester, etc. ), (2) metal oxides (eg, aluminum sesquioxide, titanium dioxide, silicon dioxide (silica), magnesium oxide, zinc oxide, zirconium oxide, etc.), (3) metal carbonates (eg, magnesium carbonate, calcium carbonate) ), (4) metal sulfates (eg, calcium sulfate, barium sulfate, etc.), (5) carbon (eg, carbon black, graphite, diamond, etc.), and (6) clay minerals (eg, kaolin, clay, Mineralization such as bentonite) Include the fine particles made from the object. Among these, silicone resin particles, crosslinked polystyrene resin particles, melamine-formaldehyde resin particles, polyamideimide resin particles, other aluminum sesquioxides (alumina), titanium dioxide, silicon dioxide, zirconium oxide, synthetic calcium carbonate, barium sulfate, diamond, Alternatively, fine particles made of kaolin are preferred. Particularly preferred fine particles are fine particles composed of silicone resin particles, crosslinked polystyrene resin particles, other aluminum sesquioxide (alumina), titanium dioxide, silicon dioxide, or calcium carbonate. The inert particles may be used alone or in combination of two or more. When the inert particles are composed of two or more kinds of particles, the second and third particles (fine particles) having an average particle size smaller than the average particle size of the inert particles are, for example, colloidal silica, α, γ, It is preferable to use fine particles such as alumina having crystal forms such as δ and θ.
[0028]
In the present invention, the polyester film may be a single layer film, but is preferably a laminated film of two or more layers. In this case, it is preferable that the polyester layer (A) using the polyester resin composition of the present invention constitutes at least one of the outermost layers in order to develop the slipperiness of the ester wax. The total thickness of the polyester film in the present invention is preferably 3 to 25 μm, particularly 4 to 20 μm, whether it is a single layer film or a laminated film.
[0029]
In the case of a laminated film, all polyester layers may contain ester wax, but it is preferable not to contain ester wax in the polyester layer on the side where the magnetic layer is provided because dropout can be suppressed. The film layer containing the polyester resin composition preferably has a contact angle with water in the range of 70 to 90 °, and if it is less than 70 °, the blocking resistance (peelability) is insufficient and exceeds 90 °. In the process of applying the back coat layer, coating spots are likely to occur.
[0030]
A particularly preferable laminated film has a three-dimensional center plane average roughness A (SRa) of 15 nm or less, more preferably 5 nm or less, and the outermost layer corresponding to the opposite surface of the film layer on the side where the magnetic layer is provided on the outermost layer. The effect is more remarkable in a flat laminated film having a three-dimensional center plane average roughness B (SRa) of 30 nm or less, more preferably 10 nm or less, and the ratio of the three-dimensional center plane average roughness (SRa). Is preferably in the range of 0.05 to 0.8 (three-dimensional center plane average roughness A / three-dimensional center plane average roughness B).
[0031]
The content of the ester wax in the polyester layer (A) in the present invention is 0.001 to 1% by weight, preferably 0.003 to 0.5% by weight, more preferably 0.005 to 0.5% by weight. Particularly preferably, it is in the range of 0.01 to 0.3% by weight. When the content of the ester wax is less than 0.001% by weight, the winding property is not sufficiently improved, and the blocking improving effect cannot be obtained. On the other hand, if the content of the ester wax exceeds 1% by weight, the surface on the opposite side where the ester wax component in the polyester layer (A) is in contact with the polyester layer (A) when rolled up in the film production process In other words, a large amount of the toner is transferred to the substrate, causing problems such as loss of adhesiveness when the metal vapor deposition layer is provided.
[0032]
The polyester resin composition of the present invention can uniformly disperse the ester wax while suppressing the deterioration of the quality of the polyester resin by setting the heat loss rate when the ester wax is heated to 300 ° C. to 20% by weight or less. The reason for this is not clear, but it is considered that the thermal degradation of the ester wax itself promotes the thermal degradation of the polyester resin, and the thermal degradation of the ester wax that promotes the thermal degradation of the polyester resin composition is suppressed. From this viewpoint, it can be said that the heat resistance of the ester wax and the heat resistance of the polyester resin composition are organically combined. Regarding the improvement in blocking resistance when the polyester resin composition of the present invention is formed into a film, the ester wax bleeds out to the film surface, thereby changing the peelability and chargeability between the films to suppress blocking. In addition, regarding the improvement of the winding property, the mechanism is unknown, but it seems that the above-described changes in peelability and chargeability contribute.
[0033]
【Example】
The following examples illustrate the invention. The physical property values and characteristics in the present invention are measured or defined as follows.
[0034]
(1) Thermal loss rate of ester wax
Measurement was carried out with TGA (manufactured by Rigaku, TAS200) at a nitrogen atmosphere, Rate = 20 ° C./min, and the heat loss rate at 300 ° C. temperature rise was determined.
[0035]
(2) Hydroxyl value measurement of ester wax
Weigh accurately the sample, add excess pyridine phthalate anhydride solution and treat in water bath (98 ± 2 ° C.) for 2 hours. After confirming the dissolution of the sample, the sample is allowed to cool and titrated with an N / 2 potassium hydroxide standard solution using a 1% phenolphthalene-pyridine solution as an indicator, and the point at which the color changes (light red) is taken as the end point. In addition, a blank test is performed in parallel with this test, and it is determined according to the following general formula.
[0036]
[Expression 1]
In the formula, A: Amount (ml) of N / 2 potassium hydroxide standard solution used in this test
B: Amount used of N / 2 potassium hydroxide standard solution for blank test (ml)
F: Use amount of titer of N / 2 potassium hydroxide standard solution (KOHmg / ml)
S: Sampling amount (g)
[0037]
(3) Measurement of acid value of ester wax
The sample is accurately weighed and dissolved in about 50 ml of neutral solvent. (Solid solids are heated and dissolved in a hot water bath.) Next, add a few drops of phenolphthalein indicator and titrate with a 0.1 mol / L or 0.5 mol / L potassium hydroxide methyl alcohol standard solution, and the indicator color changes ( The end point is the point when the color becomes light red. In addition, an acid value is calculated | required according to following Formula [Equation 2].
[0038]
[Expression 2]
A in the formula is 0.5 mol / L (or 1.0 mol / L) potassium hydroxide methyl alcohol standard solution used (ml), F is 0.5 mol / L (or 1.0 mol / L) potassium hydroxide methyl alcohol standard solution The titer of (KOHmg / ml) and S indicate the sampled amount (g).
[0039]
(4) Intrinsic viscosity
Obtained from a value measured at 35 ° C. in an orthochlorophenol solution.
[0040]
(5) Average particle diameter
It is measured using a product name “SACP-4L type Centrifuggle Particle Size Analyzer” manufactured by Shimadzu Corporation. A particle diameter “equivalent sphere diameter” corresponding to 50 mass percent is read from an integrated curve of particles of each particle diameter calculated based on the obtained centrifugal sedimentation curve and the abundance thereof, and this value is used as the average particle diameter. (See the book "Particle Size Measurement Technology" published by Nikkan Kogyo Shimbun, 1975, pages 242-247).
[0041]
(6) Three-dimensional center plane average roughness (SRa) of the film
Using a three-dimensional roughness measuring machine (SE-3CK manufactured by Kosaka Laboratory), needle diameter 2 μm, needle pressure 30 mg, measurement length 1 mm, sampling pitch 2 μm, cut-off 0.25 mm, longitudinal magnification 20,000 times, horizontal A three-dimensional surface profile of the film surface is imaged under the conditions of a magnification of 200 times and a scanning number of 100. A portion of area SM is extracted on the center plane from the obtained profile, orthogonal coordinate axes, X-axis, and Y-axis are placed on the center plane of the extracted portion, and the axis orthogonal to the center plane is given by the following formula as the Z-axis. Let the value obtained be SRa.
[0042]
[Equation 3]
Here, SM = LX × MY.
[0043]
(7) Contact angle
Measurements were made using a contact angle measuring device manufactured by Kyowa Science Co., Ltd. The film sample was placed in an environment of a temperature of 25 ° C. and a humidity of 50% for 24 hours, 5 mg of distilled water was dropped on the film, and a photograph 20 minutes later was taken from the horizontal direction. The angle formed by the tangent line between the film and the water droplet was defined as the contact angle (°).
[0044]
(8) Blocking peel strength
The roll film was sampled into a rectangle of 100 mm in the longitudinal direction and 200 mm in the width direction, and subjected to corona treatment in an environment of room temperature 20 ° C. ± 2 ° C. and humidity 40 ± 5%. The corona treatment was performed under the following conditions using a high-frequency power source of the trade name “CG-102” manufactured by Kasuga Electric Co., Ltd.
Current: 4.5A
Distance between electrodes: 1.0mm
Processing time: Processing is performed by passing between the electrodes at a speed of 1.2 m / min.
[0045]
The treated side of the film is immediately brought into contact with the opposite side of the treated side, 9.806 × 10 6 Pa (100 kg / cm 2 ) At a temperature of 60 ° C. and a humidity of 80% for 17 hours, and then using a tensile tester manufactured by Toyo Baldwin Co., Ltd., product name “Tensilon” to determine the peel force per 100 mm width. It was.
[0046]
(9) Windability
After slitting 30 film rolls under conditions of speed 130 m / min, size width 600 mm × length 12000 m, the film surface of the film roll was visually observed, and there were no bumps, protrusions or wrinkles on the film surface. The roll was evaluated as a non-defective product and the winding property was evaluated according to the following criteria.
◎: 28 or more non-defective rolls
○: Number of non-defective rolls is 25 to 27
X: Number of non-defective rolls is 16 to 24
XX: Number of non-defective rolls is 15 or less
[0047]
(10) Measurement of alkali metal content in ester wax
A sample 5 g was precisely weighed and ashed, dissolved in water, and the volume was measured. The amount of alkali metal in the ester wax is determined.
[0048]
[Reference Example 1]
Dimethyl terephthalate and ethylene glycol as raw materials, magnesium acetate and calcium acetate as transesterification catalysts, antimony trioxide as polymerization catalyst, phosphorous acid as stabilizer, intrinsic viscosity (orthochloro as polyester resin without ester wax) Phenol (35 ° C.) 0.65 polyester (polyethylene terephthalate) was obtained.
[0049]
[Reference Example 2]
Dimethyl terephthalate and ethylene glycol as raw materials, manganese acetate as transesterification catalyst, spherical silicone resin particles (average particle size 0.3 μm) as fine particles, antimony trioxide as polymerization catalyst, phosphorous acid as stabilizer, A polyester (polyethylene terephthalate) having an intrinsic viscosity (orthochlorophenol, 35 ° C.) of 0.60 and a silicone resin particle content of 0.6% by weight was obtained as a master polyester resin composition containing inert particles.
[0050]
[Reference Example 3]
Dimethyl terephthalate and ethylene glycol as raw materials, manganese acetate as transesterification catalyst, aluminum oxide particles (average particle size 0.27 μm, crystal form θ type) as fine particles, antimony trioxide as polymerization catalyst, and phosphorous acid as stabilizer An acid was used to obtain a polyester (polyethylene terephthalate) having an intrinsic viscosity (orthochlorophenol, 35 ° C.) of 0.60 and an aluminum oxide particle content of 1.0% by weight as a master polyester resin composition containing inert particles.
[0051]
[Reference Example 4]
Dimethyl naphthalate and ethylene glycol are used as raw materials, magnesium acetate and calcium acetate are used as transesterification catalysts, antimony trioxide is used as a polymerization catalyst, phosphorous acid is used as a stabilizer. A polyester (polyethylene naphthalate) of 0.65 (chlorophenol, 35 ° C.) was obtained.
[0052]
[Reference Example 5]
Dimethyl naphthalate and ethylene glycol as raw materials, manganese acetate as transesterification catalyst, spherical silicone resin particles (average particle size 0.3 μm) as fine particles, antimony trioxide as polymerization catalyst, and phosphorous acid as stabilizer A polyester (polyethylene naphthalate) having an intrinsic viscosity (orthochlorophenol, 35 ° C.) of 0.60 and a silicone resin particle content of 0.6% by weight was obtained as a master polyester resin composition containing inert particles.
[0053]
[Reference Example 6]
Dimethyl naphthalate and ethylene glycol as raw materials, manganese acetate as transesterification catalyst, aluminum oxide particles (average particle size 0.27 μm, crystal form θ type) as fine particles, antimony trioxide as polymerization catalyst, and sub-agent as stabilizer. Using phosphoric acid, a polyester (polyethylene naphthalate) having an intrinsic viscosity (orthochlorophenol, 35 ° C.) of 0.60 and an aluminum oxide particle content of 1.0% by weight is obtained as a master polyester resin composition containing inert particles. It was.
[0054]
[Example 1]
In FIG. 2, the polyethylene terephthalate pellets having an intrinsic viscosity of 0.65 produced in Reference Example 1 are screw-type metering feeders from a supply port 9 upstream of a vent type twin-screw kneading extruder provided with a kneading disk paddle as a kneading element. Is supplied at a rate of 19.6 Kg / Hr. At the same time, ester wax is supplied at 0.4 Kg / Hr from the same supply port 9 to which polyethylene terephthalate pellets are supplied using a vibrating quantitative feeder. Extrusion was performed by setting the cylinder temperature to 260 ° C., the degree of vacuum of the
[0055]
Further, the polyester resin composition pellets containing the ester wax and the polyester resin composition pellets of Reference Example 2 and Reference Example 3 were prepared by using 0.06% by weight of spherical silicone resin particles and 0.2% by weight of aluminum oxide. %, And sorbitan tristearate was mixed so as to be 0.13% by weight. The pellets in the mixed state and the polyester of Reference Example 1 separately were separately dried at 170 ° C. for 3 hours, respectively, supplied to separate extruders, melted at a melting temperature of 300 ° C., and average openings After high-precision filtration with an 11 μm steel wire filter, using a multi-manifold coextrusion die, a polyester resin composition in which one side is made of only the polyester resin of Reference Example 1 and the other side contains ester wax These two layers were extruded in a laminated state so as to be a layer made of a product. When used as a magnetic recording medium, the film layer on the side where the magnetic layer is provided (hereinafter may be abbreviated as the magnetic layer surface) is a layer composed only of the polyester resin of Reference Example 1, and the magnetic layer is provided. The film layer on the opposite side (hereinafter sometimes referred to as the running surface) is a layer made of a polyester resin composition containing an ester wax. The two-layer extruded polyester resin composition is rapidly cooled on a rotary cooling drum having a surface temperature of 20 ° C. to form an unstretched film having a thickness of 89 μm. This unstretched film is preheated, further stretched 3.3 times at a film temperature of 100 ° C. between low-speed and high-speed rolls, then rapidly cooled, and subsequently stretched 4.2 times in the transverse direction at 110 ° C. did. The obtained biaxially oriented film was heat-fixed at a temperature of 220 ° C. for 5 seconds to obtain a heat-fixed biaxially oriented laminated polyester film having a total thickness of 6.4 μm and a polyester layer thickness of 1.0 μm located on the running surface. . In addition, the thickness of each polyester layer was adjusted with the discharge amount of two extruders. The properties of the obtained film are shown in Table 1.
[0056]
[Example 2]
In the synthesis of the ester wax of Example 1, the reaction time and dehydration conditions were adjusted so that the hydroxyl value = 79 KOH mg / g, the acid value = 13 KOH mg / g, and the alkali metal amount = 450 ppm. Thus, a polyester resin composition and a heat-fixed biaxially oriented laminated polyester film were obtained. Table 1 shows the characteristics of the obtained polyester resin composition and film.
[0057]
[Example 3]
A polyester resin composition containing an ester wax was obtained in the same manner except that the polyester resin of Reference Example 1 used in Example 1 was changed to the polyester resin of Reference Example 4. The properties of the obtained polyester resin composition are shown in Table 1.
[0058]
Further, the obtained polyester resin composition pellets and the polyester resin composition pellets of Reference Example 5 and Reference Example 6 were composed of 0.06 wt% spherical silicone resin particles, 0.2 wt% aluminum oxide, It mixed so that sorbitan tristearate might be 0.13 weight%. The pellets in the mixed state and the polyester of Reference Example 4 separately were separately dried at 170 ° C. for 6 hours, respectively, supplied to separate extruders, melted at a melting temperature of 310 ° C., and average openings After high-precision filtration with an 11 μm steel wire filter, using a multi-manifold type coextrusion die, one side is a layer made of only the polyester resin of Reference Example 4, and the other side is a polyester containing the above-described ester wax. These two layers were extruded in a laminated state so as to be a layer composed of a resin composition. When used as a magnetic recording medium, the magnetic layer surface is a layer composed only of the polyester resin of Reference Example 1, the running surface is a polyester resin composition containing ester wax, and the polyester resin compositions of Reference Example 2 and Reference Example 3 A layer consisting of The two-layer extruded polyester resin composition is rapidly cooled on a rotary cooling drum having a surface temperature of 20 ° C. to form an unstretched film having a thickness of 89 μm. This unstretched film is preheated, further stretched 3.6 times at a film temperature of 135 ° C. between low-speed and high-speed rolls, then rapidly cooled, and subsequently stretched 5.7 times in the transverse direction at 155 ° C. did. The obtained biaxially oriented film was heat-set at a temperature of 200 ° C. for 4 seconds to obtain a heat-fixed biaxially oriented laminated polyester film having a total film thickness of 4.4 μm and a thickness of 0.6 μm of the polyester layer located on the running surface. . In addition, the thickness of each polyester layer was adjusted with the discharge amount of two extruders. The properties of the obtained film are shown in Table 1.
[0059]
[Example 4]
98 parts by weight of the polyester resin pellets of Reference Example 1 and 2 parts by weight of ester wax (sorbitan tristearate, powder, heat loss rate at 300 ° C. = 12%, hydroxyl value = 79 KOH mg / g) were mixed with a blender and screwed It is fed to the hopper part at a rate of 50 Kg / Hr using a formula quantitative feeder. The rotor-type biaxial continuous kneader shown in FIGS. 1 and 3 is kneaded under the conditions of an orifice gate opening of 50% and a rotor rotational speed of 700 rpm, and the obtained kneaded material is continuously used in a single-screw extruder equipped with a forced pushing device. Molded into pellets. The properties of the obtained polyester resin composition are shown in Table 1.
[0060]
In addition, as a master polyester resin composition containing an ester wax, a master polyester resin composition using the above-described rotor type biaxial continuous kneader (B) is used, and a polyester resin composition constituting a polyester layer on the magnetic layer surface is a reference example. 1. Use of a mixture of the resin or resin composition of Reference Example 2 and Reference Example 3 so as to be 0.02% by weight of spherical silicone resin particles and 0.1% by weight of aluminum oxide; Except for using as a polyester resin composition constituting the polyester layer a mixture of spherical silicone resin particles 0.2% by weight, aluminum oxide 0.25% by weight and sorbitan tristearate 0.12% by weight. In the same manner as in Example 1, a heat-fixed biaxially oriented laminated polyester film was obtained. The properties of the obtained polyester film are shown in Table 1.
[0061]
[Example 5]
Glycerol tristearate obtained by adjusting the reaction time and dehydrating conditions of the ester wax of Example 1 so that the hydroxyl value = 36 KOH mg / g, the acid value = 1 KOH mg / g, and the alkali metal amount = 300 ppm. A polyester resin composition and a heat-fixed biaxially oriented laminated polyester film were obtained in the same manner as in Example 1 except for changing to. Table 1 shows the characteristics of the obtained polyester resin composition and film.
[0062]
[Example 6]
Pentaerythritol distearate obtained by adjusting the reaction time and dehydration conditions so that the ester wax of Example 1 had a hydroxyl value of 160 KOH mg / g, an acid value of 5 KOH mg / g, and an alkali metal content of 400 ppm (powdered) The polyester resin composition and the heat-fixed biaxially oriented laminated polyester film were obtained in the same manner as in Example 1 except that the above was changed. Table 1 shows the characteristics of the obtained polyester resin composition and film.
[0063]
[Comparative Example 1]
In Example 1, the same operation was repeated except that the amount of ester wax added was changed to 13% by weight. As a result, in the kneaded part of the vent type twin-screw kneading extruder, the polyester resin pellets were poorly bitten, and a polyester resin composition containing an ester wax in a uniform mixed state could not be obtained. Therefore, the subsequent evaluation was suspended.
[0064]
[Comparative Example 2]
In the synthesis of the ester wax of Example 1, the reaction time and dehydration conditions were adjusted so that the hydroxyl value = 142 KOH mg / g, the acid value = 17 KOH mg / g, and the alkali metal amount = 850 ppm. Thus, a polyester resin composition and a heat-fixed biaxially oriented laminated polyester film were obtained. The resulting polyester resin composition has a large degradation range of intrinsic viscosity at the time of manufacture, and the polyester film using the polyester resin is in close contact with the measurement of the blocking peeling force, and it is torn when trying to forcibly peel it off. there were. Table 1 shows the characteristics of the obtained polyester resin composition and film.
[0065]
[Comparative Example 3]
A polyester resin composition and a heat-fixed biaxially oriented laminated polyester film were obtained in the same manner as in Example 3, except that the type of ester wax was changed as shown in Table 1. The resulting polyester resin composition has a large degradation range of intrinsic viscosity at the time of production, and the polyester film using the polyester film is in close contact with the measurement of the blocking peeling force, and it is torn if it is forcibly peeled off. The winding property was also inferior.
[0066]
[Comparative Example 4]
A heat-fixed biaxially oriented laminated polyester film was obtained in the same manner as in Example 1 except that no ester wax was added. The obtained polyester film was in close contact with the measurement of blocking peeling force, and it was torn when it was forcibly peeled off, and the film winding property was also inferior.
[0067]
[Comparative Example 5]
A polyester resin composition and a heat-fixed biaxially oriented laminated polyester film were obtained in the same manner as in Example 4 except that the ester wax was changed as shown in Table 1 in Example 4. The obtained polyester resin composition had a large deterioration width of the intrinsic viscosity at the time of production, and the polyester film using the polyester resin had a large increase in blocking peeling force, resulting in poor film winding properties.
[0068]
[Comparative Example 6]
The ester wax of Example 1 was converted into sorbitan monoacetate (powder) obtained by adjusting the reaction time and dehydrating conditions so that the hydroxyl value = 80 KOH mg / g, the acid value = 7 KOH mg / g, and the alkali metal amount = 330 ppm. Except for changing, a polyester resin composition and a heat-fixed biaxially oriented laminated polyester film were obtained in the same manner as in Example 1. The resulting polyester resin composition has a large degradation range of intrinsic viscosity at the time of manufacture, and the polyester film using the polyester resin is in close contact with the measurement of the blocking peeling force, and it is torn when trying to forcibly peel it off. there were. Table 1 shows the characteristics of the obtained polyester resin composition and film.
[0069]
[Table 1]
[0070]
【The invention's effect】
The polyester resin composition of the present invention can suppress deterioration of the quality of not only the ester wax but also the polyester resin itself by using a specific ester wax having a heat loss rate of 20% or less when heated to 300 ° C. A polyester film with improved blocking resistance and roll-up property is provided without substantially impairing the quality of the polyester resin composition constituting the composition.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a schematic cross-sectional view of a rotor type twin-screw kneader used in the present invention.
FIG. 2 is a schematic cross-sectional view of a vented twin-screw kneading extruder used in the present invention.
FIG. 3 is a cross-sectional view of a rotor of a kneading extruder used in the present invention.
[Explanation of symbols]
(Rotor type twin-screw kneader)
1 rotor
2 chambers
3, 4 Bearing
6 Restriction mechanism (orifice gate)
7 Low Task Liu
8 Rotor kneading wings
(Bent type twin-screw kneading extruder)
9, 10 Supply port
11, 12 Vent port
13 Fixed feeder
14 Cylinder and screw
(Rotor cross section)
15 Screw
16 cylinders
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