JP3748800B2 - 金属リングの自由状態径測定方法 - Google Patents

金属リングの自由状態径測定方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無段変速機用の金属ベルトの金属リングを切断して自由状態径を測定するための方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
無段変速機に用いられる金属ベルトは、複数の金属リングを積層した金属リング集合体に複数の金属エレメントを装着したもので、駆動プーリおよび従動プーリに巻き掛けられた状態で相互に接触する金属エレメント間の押し力で駆動力を伝達するようになっている。かかる金属ベルトにおいて金属エレメントを支持する金属リングに作用する応力は、後から実施例で詳述するように、金属ベルトが駆動プーリおよび従動プーリに沿って回転する間に周期的に変化し、しかも金属リングの内周面と外周面とで異なった大きさを持つ。金属リングの内周面に作用する応力と外周面に作用する応力とが不均一であると、金属リングの内周面および外周面のうち大きい応力を受ける面が早期に疲労し、金属リング全体の疲労寿命を低下させる原因となる。
【0003】
そこで、金属リングの内周面および外周面に作用する応力をできるだけ均一化すべく金属リングに予め残留応力を与えておき、無段変速機の運転により発生する応力を残留応力で相殺することで金属リングの疲労寿命を延長するものが、特開昭63−20945号公報、特公平7−110390号公報により公知である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来のものは、金属リングに与えられた残留応力の大きさが設計値に一致しているか否かを検証すべく、金属リングの1個所を切断して残留応力により発生するモーメント和がゼロになる状態(自由状態)とし、この自由状態での金属リングの径を測定している。金属リングの残留応力が外周面において引張応力であり、内周面において圧縮応力であれば、金属リングを切断したときの切断端部は相互に離反する方向に移動し、自由状態での径は無端状態(非切断状態)での径よりも大きくなる。しかしながら、金属リングの残留応力が外周面において圧縮応力であり、内周面において引張応力であれば、図10(B)に示すように、金属リングを切断したときの切断端部は相互に接近する方向に移動して干渉するため、自由状態径R0 (図10(C)参照)を正確に測定することができなくなる。
【0005】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、無段変速機の金属リングの自由状態径を正確に測定できるようにすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、無段変速機用の金属ベルトの金属リングを切断して自由状態径を測定するための金属リングの自由状態径測定方法であって、無端状態の金属リングの残留応力が外周面において圧縮応力であり内周面において引張応力であるものにおいて、金属リングを切断した自由状態において切断端部が干渉しないように、該金属リングの少なくとも2個所を切断して自由状態径を測定することを特徴とする金属リングの自由状態径測定方法が提案される。
【0007】
上記構成によれば、金属リングは無端状態での残留応力が外周面において圧縮応力であり内周面において引張応力であるため、自由状態径を測定すべく金属リングを1個所だけ切断すると切断端部が干渉してしまうが、少なくとも2個所を切断して自由状態径を測定することにより前記干渉を回避して正確な測定を可能にすることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0009】
図1〜図10は本発明の一実施例を示すもので、図1は無段変速機を搭載した車両の動力伝達系のスケルトン図、図2は金属ベルトの部分斜視図、図3は金属リングに作用する引張応力の説明図、図4は金属リングの内周面に作用する応力の変化を示すグラフ、図5は金属リングの外周面に作用する応力の変化を示すグラフ、図6は金属リングの非使用状態(無端状態)および使用状態の形状の説明図、図7は補正応力振幅σai′,σao′を求めるグラフ、図8は補正応力振幅σai′,σao′から金属リングの自由状態径R0 を求めるグラフ、図9は金属リングの自由状態径R0 を求める工程を説明するフローチャート、図10は金属リングの自由状態径R0 の測定手法を説明する図である。
【0010】
図1は自動車に搭載された金属ベルト式無段変速機Tの概略構造を示すもので、エンジンEのクランクシャフト1にダンパー2を介して接続されたインプットシャフト3は発進用クラッチ4を介して金属ベルト式無段変速機Tのドライブシャフト5に接続される。ドライブシャフト5に設けられたドライブプーリ6は、ドライブシャフト5に固着された固定側プーリ半体7と、この固定側プーリ半体7に対して接離可能な可動側プーリ半体8とを備えており、可動側プーリ半体8は油室9に作用する油圧で固定側プーリ半体7に向けて付勢される。
【0011】
ドライブシャフト5と平行に配置されたドリブンシャフト10に設けられたドリブンプーリ11は、ドリブンシャフト10に固着された固定側プーリ半体12と、この固定側プーリ半体12に対して接離可能な可動側プーリ半体13とを備えており、可動側プーリ半体13は油室14に作用する油圧で固定側プーリ半体12に向けて付勢される。ドライブプーリ6およびドリブンプーリ11間に、左右の一対の金属リング集合体31,31に多数の金属エレメント32…を支持してなる金属ベルト15が巻き掛けられる(図2参照)。それぞれの金属リング集合体31は、12枚の金属リング33…を積層してなる。
【0012】
ドリブンシャフト10には前進用ドライブギヤ16および後進用ドライブギヤ17が相対回転自在に支持されており、これら前進用ドライブギヤ16および後進用ドライブギヤ17はセレクタ18により選択的にドリブンシャフト10に結合可能である。ドリブンシャフト10と平行に配置されたアウトプットシャフト19には、前記前進用ドライブギヤ16に噛合する前進用ドリブンギヤ20と、前記後進用ドライブギヤ17に後進用アイドルギヤ21を介して噛合する後進用ドリブンギヤ22とが固着される。
【0013】
アウトプットシャフト19の回転はファイナルドライブギヤ23およびファイナルドリブンギヤ24を介してディファレンシャルギヤ25に入力され、そこから左右のアクスル26,26を介して駆動輪W,Wに伝達される。
【0014】
而して、エンジンEの駆動力はクランクシャフト1、ダンパー2、インプットシャフト3、発進用クラッチ4、ドライブシャフト5、ドライブプーリ6、金属ベルト15およびドリブンプーリ11を介してドリブンシャフト10に伝達される。前進走行レンジが選択されているとき、ドリブンシャフト10の駆動力は前進用ドライブギヤ16および前進用ドリブンギヤ20を介してアウトプットシャフト19に伝達され、車両を前進走行させる。また後進走行レンジが選択されているとき、ドリブンシャフト10の駆動力は後進用ドライブギヤ17、後進用アイドルギヤ21および後進用ドリブンギヤ22を介してアウトプットシャフト19に伝達され、車両を後進走行させる。
【0015】
このとき、金属ベルト式無段変速機Tのドライブプーリ6の油室9およびドリブンプーリ11の油室14に作用する油圧を、電子制御ユニットU1からの指令で作動する油圧制御ユニットU2で制御することにより、そのレシオが無段階に調整される。即ち、ドライブプーリ6の油室9に作用する油圧に対してドリブンプーリ11の油室14に作用する油圧を相対的に増加させれば、ドリブンプーリ11の溝幅が減少して有効半径が増加し、これに伴ってドライブプーリ6の溝幅が増加して有効半径が減少するため、金属ベルト式無段変速機TのレシオはLOW(最大レシオの状態)に向かって無段階に変化する。逆にドリブンプーリ11の油室14に作用する油圧に対してドライブプーリ6の油室9に作用する油圧を相対的に増加させれば、ドライブプーリ6の溝幅が減少して有効半径が増加し、これに伴ってドリブンプーリ11の溝幅が増加して有効半径が減少するため、金属ベルト式無段変速機TのレシオはOD(最小レシオの状態)に向かって無段階に変化する。
【0016】
図3は、車両が最高速度走行状態(TOPレシオの状態)にあって、ドライブプーリ6の有効半径がドリブンプーリ11の有効半径よりも大きくなった状態を示しており、同図における金属ベルト15の厚さは該金属ベルト15の張力に起因する各金属リング33…の引張応力の大小を模式的に表している。図4および図5にも破線で示すように、金属ベルト15がドリブンプーリ11からドライブプーリ6に戻る戻り側の弦部(A領域)において前記応力は一定値σTLOW であり、金属ベルト15がドライブプーリ6からドリブンプーリ11に送り出される往き側の弦部(C領域)において前記応力は一定値σTHIGHである。A領域の応力σTLOW はC領域の応力σTHIGHよりも小さく、金属ベルト15がドライブプーリ6に巻き付く部分(B領域)において、その入口側から出口側にかけて応力はσTLOW からσTHIGHまで増加し、金属ベルト15がドリブンプーリ11に巻き付く部分(D領域)において、その入口側から出口側にかけて応力はσTHIGHからσTLOW まで減少する。
【0017】
上記金属ベルト15の張力に基づく金属リング33の引張応力は、その厚さ方向に一定である。即ち、図4および図5に破線で示すように、金属リング33の内周面の引張応力および外周面の引張応力は同じである。
【0018】
金属リング33には前記張力に基づく引張応力に加えて、金属リング33の曲げに基づく引張応力および圧縮応力が作用する。図6(A)に示すように外力が加わらない非使用状態の金属リング33は円形であるが、図6(B)に示すように使用状態の金属リングは前記A領域〜D領域を有する形状に変形する。戻り側弦部(A領域)および往き側弦部(C領域)では非使用状態でRであった曲率半径が∞に増加し、大径側のドライブプーリ6に巻き付くB領域では非使用状態でRであった曲率半径がRDRに減少し、小径側のドリブンプーリ11に巻き付くD領域では非使用状態でRであった曲率半径がRDNに減少する。
【0019】
このように金属リング33の曲率半径が増加するA領域およびC領域では、該金属リング33の内周面に引張曲げ応力σVSTが作用し、外周面に圧縮曲げ応力σVSTが作用する。一方、金属リング33の曲率半径が減少するB領域およびD領域では、該金属リング33の内周面に圧縮曲げ応力σVDR,σVDNが作用し、外周面に引張曲げ応力σVDR,σVDNが作用する。
【0020】
図4および図5のグラフには、車両が図3で説明した最高速度走行状態にあるときに、金属リング33の内周面および外周面に作用する曲げ応力の変化も示されている。図4に示すように、金属リング33の内周面には、その2つの弦部(A領域およびC領域)に一定の引張曲げ応力σVSTが作用し、曲率半径が大きい方のドライブプーリに巻き付くB領域では比較的に小さな圧縮曲げ応力σVDRが作用し、曲率半径が小さい方のドリブンプーリに巻き付くD領域では比較的に大きな圧縮曲げ応力σVDNが作用する。一方、図5に示すように、金属リング33の外周面には、その2つの弦部(A領域およびC領域)に一定の圧縮曲げ応力σVSTが作用し、曲率半径が大きい方のドライブプーリに巻き付くB領域では比較的に小さな引張曲げ応力σVDRが作用し、曲率半径が小さい方のドリブンプーリに巻き付くD領域では比較的に大きな引張曲げ応力σVDNが作用する。
【0021】
このとき、金属リング33の内周面および外周面に逆方向の残留応力を予め付与しておくことにより、金属リング33の内周面および外周面に発生する曲げ応力σVST,σVDR,σVDNを前記残留応力で増減させ、図4および図5のグラフに示す曲げ応力の変化を調整することができる。尚、金属リング33に圧縮残留応力を付与する手段としては、ショットピーニング、圧延、熱処理等の任意の手段を用いることができる。
【0022】
図4の実線は金属リング33の張力に基づいて作用する応力σTLOW ,σTHIGHと、金属リング33の曲げに基づいて該金属リング33の内周面に作用する応力σVDR,σVDNとを加算したもので、金属リング33の内周面に作用するトータルの応力の変化を示している。また図5の実線は金属リング33の張力に基づいて作用する応力σTLOW ,σTHIGHと、金属リング33の曲げに基づいて該金属リング33の外周面に作用する応力σVDR,σVDNとを加算したもので、金属リング33の外周面に作用するトータルの応力の変化を示している。
【0023】
図4において、金属リング33の内周面の応力振幅σaiは、最大引張応力および最大圧縮応力の偏差の2分の1で定義され、金属リング33の内周面の応力中心値σmiは応力振幅σaiの中心における応力で定義される。同様に、図5において、金属リング33の外周面の応力振幅σaoは、最大引張応力および最大圧縮応力の偏差の2分の1で定義され、金属リング33の外周面の応力中心値σmoは応力振幅σaoの中心における応力で定義される。
【0024】
図7は横軸にリング内周面の応力中心値σmiを取り、縦軸にリング内周面の応力振幅σaiを取ったもので、右下がりのラインは金属リング33の疲労寿命が等しくなる応力中心値σmiおよび応力振幅σaiの組み合わせを示している。応力中心値σmiがゼロになるときに応力振幅σaiは最大になり、このときの応力振幅σaiを補正応力振幅σai′と定義する。即ち、補正応力振幅σai′は応力振幅σaiおよび応力中心値σmiを用いて、
σai′=σai+(1/3)σmi
で与えられる。同様にして、リング外周面の補正応力振幅σao′は応力振幅σaoおよび応力中心値σmoを用いて、
σao′=σao+(1/3)σmo
で与えられる。
【0025】
このように、応力振幅σai,σaoおよび応力中心値σmi,σmoの関数として算出される補正応力振幅σai′,σao′は、それぞれ金属リング33の内周面および外周面の疲労寿命を表す適切なパラメータとなる。
【0026】
図8のグラフは、軸間距離が155mm、無端状態(非切断状態)での金属リング33の内径が210mmの金属ベルト式無段変速機Tにおいて、金属リング33の自由状態径R0 を変化させたときに、TOP状態(最高速度での走行状態)およびOD状態(レシオが最小の状態)での補正応力振幅σai′,σao′の変化特性を示している。ここで、金属リング33の自由状態とは、その一部を切断して残留応力を解放した状態として定義される。
【0027】
金属リング33にとって最も厳しい運転条件であるTOP状態では、金属リング33の自由状態直径2R0 を165mmに設定したときに、内周面の補正応力振幅σai′と外周面の補正応力振幅σao′とが等しくなり(図8のa点参照)、金属リング33の内周面の疲労寿命および外周面の疲労寿命を一致させて全体として金属リング33の疲労寿命を延長することができる。
【0028】
仮に、金属リング33の自由状態直径2R0 が165mmよりも大きいとすると、外周面の補正応力振幅σao′が内周面の補正応力振幅σai′よりも大きくなり、その差が更に大きくなると金属リング33の外周面の補正応力振幅σao′が大きくなり、外周面から破断が始まる可能性がある。逆に、金属リング33の自由状態直径2R0 が165mmよりも小さいとすると、内周面の補正応力振幅σai′が外周面の補正応力振幅σao′よりも大きくなり、その差が更に大きくなると金属リング33の内周面の補正応力振幅σai′が大きくなり、内周面から破断が始まる可能性がある。
【0029】
また前記TOP状態に比べて使用頻度が高いOD状態では、金属リング33の自由状態直径2R0 を135mmに設定したときに、内周面の補正応力振幅σai′と外周面の補正応力振幅σao′とが等しくなり(図8のb点参照)、金属リング33の内周面の疲労寿命および外周面の疲労寿命を一致させて全体として金属リング33の疲労寿命を延長することができる。
【0030】
以上のことから、最も厳しい運転状態であるTOP状態に合わせて金属リング33の自由状態直径2R0 を165mmとすることが最適であり、また最も厳しい運転状態であるTOP状態と最も使用頻度が高い運転状態であるOD状態とに合わせて金属リング33の自由状態直径2R0 を135mm〜165mm(図8の領域A1参照)とすることが適切である。
【0031】
また前記TOP状態において金属リング33の自由状態直径2R0 を最適値の165mmに設定すると、OD状態での金属リング33の外周面の補正応力振幅σao′(図8のc点参照)は4.5N/mm2 となり、この補正応力振幅σao′と同じ大きさの内周面での補正応力振幅σai′がTOP状態で発生する自由状態直径2R0 は130mmとなる(図8のd点参照)。従って、金属リング33の自由状態直径2R0 を130mm〜165mm(図8の領域A2参照)とすれば、すべての運転状態において補正応力振幅σai′,σaoを4.5N/mm2 以下に抑えることができる。
【0032】
前記のように自由状態径R0 の好適範囲は、図8に示すように無端状態(非切断状態)での金属リング33の内径である210mm(図8のe点の線)よりも小さくなる。
【0033】
次に、上述した金属リング33の自由状態径R0 を設定する手法を図9のフローチャートに基づいて再度説明する。
【0034】
先ず、ステップS1で金属ベルト式無段変速機Tの運転条件、即ちレシオ、入力トルク、入力回転数等を読み込む。続くステップS2で金属ベルト式無段変速機Tの動力伝達特性から金属リング33の張力(図4および図5の破線参照)を算出するとともに、ステップS3で駆動プーリ6および従動プーリ11への金属リング33の巻き付き径を算出する。続くステップS4で金属リング33の巻き付き径から算出した圧縮応力および引張応力を前記金属リングの張力に基づく引張応力に加算することにより、金属リングの内周面および外周面における応力分布を算出する(図4および図5の実線参照)。
【0035】
続くステップS5で、図4および図5のグラフから金属リング33の内周面の応力振幅σaiおよび応力中心値σmiと、金属リング33の外周面の応力振幅σaoおよび応力中心値σmoとを算出した後、ステップS6でσai,σmi,σao,σmoから内周面の補正応力振幅σai′および外周面の補正応力振幅σao′(図8参照)を算出する。そしてステップS7で図8のグラフから補正応力振幅σai′,σao′に基づいて金属リング33の自由状態径R0 を算出する。
【0036】
さて、上述のようにして金属リング33の疲労寿命を延長することができる最適の自由状態径R0 が決定されると、その自由状態径R0 が得られるような残留応力が無端状態の金属リング33に付与される。この無端状態の金属リング33に設定値どおりの残留応力が付与されているかを確認するために、金属リング33の一部を切断して自由状態にし、その状態で自由状態径R0 を測定する必要がある。
【0037】
このとき、無端状態の金属リング33の残留応力が外周面において圧縮応力であり内周面において引張応力であれば、図10(A)に示す無端状態の金属リング33をA点の1個所で切断したとき、図10(B)に示すように残留応力が解放されることで金属リング33が閉じるように変形し、その一方の切断端部33aが中間部と干渉して正確な自由状態にならず、従って自由状態径R0 を測定できなくなる。
【0038】
それに対して、本実施例では、図10(A)に示す無端状態の金属リング33をA点およびB点の2個所で切断することにより、図10(C)に示すように残留応力が解放されて金属リング33が閉じるように変形したときに、その一対の切断端部33a,33bが干渉しないようにして正確な自由状態径R0 を測定することができる。
【0039】
尚、無端状態の金属リング33を切断する個所は2個所に限定されず、3個所以上であっても良い。即ち、先ず無端状態の金属リング33の2個所を切断したときに前記干渉が発生すれば、干渉が発生しなくなるまで何回切断を行っても良い。
【0040】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0041】
【発明の効果】
以上のように請求項1に記載された発明によれば、金属リングは無端状態での残留応力が外周面において圧縮応力であり内周面において引張応力であるため、自由状態径を測定すべく金属リングを1個所だけ切断すると切断端部が干渉してしまうが、少なくとも2個所を切断して自由状態径を測定することにより前記干渉を回避して正確な測定を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ベルト式無段変速機を搭載した車両の動力伝達系のスケルトン図
【図2】金属ベルト部分斜視図
【図3】金属リングに作用する引張応力の説明図
【図4】金属リングの内周面に作用する応力の変化を示すグラフ
【図5】金属リングの外周面に作用する応力の変化を示すグラフ
【図6】金属リングの非使用状態(無端状態)および使用状態の形状の説明図
【図7】補正応力振幅σai′,σao′を求めるグラフ
【図8】補正応力振幅σai′,σao′から金属リングの自由状態径R0 を求めるグラフ
【図9】金属リングの自由状態径R0 を求める工程を説明するフローチャート
【図10】金属リングの自由状態径R0 の測定手法を説明する図
【符号の説明】
15 金属ベルト
33 金属リング
33a 端部
33b 端部
0 自由状態径

Claims (1)

  1. 無段変速機用の金属ベルト(15)の金属リング(33)を切断して自由状態径(R0 )を測定するための金属リングの自由状態径測定方法であって、
    無端状態の金属リング(33)の残留応力が外周面において圧縮応力であり内周面において引張応力であるものにおいて、
    金属リング(33)を切断した自由状態において切断端部(33a,33b)が干渉しないように、該金属リング(33)の少なくとも2個所を切断して自由状態径(R0 )を測定することを特徴とする金属リングの自由状態径測定方法。
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