JP3747881B2 - 電動機及び圧縮機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動機及びそれを用いた圧縮機に関し、特に、固定子コアに巻線を効率よく巻装させる対策に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、電動機として例えば、特開平9−182388号公報に開示されているように、固定子の内側に回転子が回転自在に配設されたものが一般によく知られている。固定子コアは、環状の本体部の内側に周方向に等間隔をおいて並ぶ歯部が形成されており、この歯部同士の間がスロット部とされている。また、歯部の先端が、周方向に拡大するように形成されていて、スロット部の内周側開口を狭くすることで回転子の回転を抵抗とならないようになっている。そして、固定子には、スロット部内及び歯部の軸方向両端において巻線と固定子コアとの接触を防止する絶縁部材が設けられており、この絶縁部材を介してその上から固定子コアの歯部に巻線を巻装するようにしている。
【0003】
上記巻線の巻装方法として、例えば、半径方向外側に延びるノズルの先端から巻線用ワイヤを送り出しながら固定子コアに巻線を巻き付けていく方法がある。具体的には、ノズルを内周側からスロット部内に挿入し、ノズル先端がスロット部内に位置した状態で巻線用ワイヤを送り出しながら軸方向に移動し、その後、軸方向端部において絶縁端板の歯部の外面を越えて隣のスロット部内に移動させ、今度は該スロット部内を逆方向に移動させ、もう一方の端部において同様に絶縁端板の歯部の外面を越えて元のスロット部内に移動させる。このようにしてワイヤを歯部の周りで周回させ、以後同様の動作の繰り返しにより絶縁部材を介装した状態で固定子コアに巻線を巻き付けていくことができる。
【0004】
そして、固定子コアに巻装された巻線に通電することにより、固定子コアに回転磁界を発生させ、回転子の固定子の内側で回転させることで回転駆動力を得るようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記絶縁部材は、歯部の軸方向端部に配設される絶縁端板と、スロット部内に配設される絶縁シートとを別個に構成することにより、絶縁部材の汎用性を向上させることができ、製造コストを低減させることができる。
【0006】
しかしながら、その反面、このように絶縁端板と絶縁シートとを別個に構成した場合においては、絶縁シートの位置ずれが生じて巻線を良好に巻装することができなくなるという事態が起こり得ると懸念される。すなわち、巻線の巻装時においてスロット部内の絶縁シートにノズルが当たるなどして、絶縁シートの位置ずれが起こり易くなるために、絶縁シートが巻線に巻き込まれたり、巻線が固定子コアに直接巻き付けられるなどの問題が生ずる。
【0007】
そこで、本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、絶縁端板に所定の改良を施すことにより、固定子コアへの巻線巻装時における絶縁シートの位置ずれを防止することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は、絶縁シート(56)の軸方向端面の一端部に被さる突起部(68,65)を絶縁端板(37,38)の歯部先端部(64)に設けるようにしたものである。
【0009】
具体的に、請求項1の発明は、固定子コア(36)に絶縁部材を介して巻線(39)を巻装するようにした電動機を前提として、上記絶縁部材は、固定子コア(36)の軸方向両端に配設される絶縁端板(37,38)と、固定子コア(36)の歯部間に配設される絶縁シート(56)とにより構成され、上記絶縁端板(37,38)には、固定子コア(36)の歯部に対応した歯部(62)が設けられており、上記絶縁端板(37,38)の歯部(62)における先端部(64)には、上記絶縁シート(56)の軸方向端面のうち絶縁端板(37,38)の歯部先端側端部に被さる先端突起部(65)が設けられている。
【0010】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、上記絶縁端板(37,38)の本体部(61)には、絶縁シート(56)の軸方向端面のうち絶縁端板(37,38)の本体部側端部に被さる本体突起部(68)が設けられ、先端突起部(65)の固定子コア(36)側の端面(66)と本体突起部(68)の固定子コア(36)側の端面(69)とがそれぞれ同一平面上に位置している。
【0011】
また、請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、巻線(39)が固定子コア(36)の各歯部の各々毎に巻装されている。
【0012】
また、請求項4の発明は、請求項1から3の何れか1項の電動機を備えたことを特徴とする圧縮機とされている。
【0013】
すなわち、請求項1の発明では、固定子コア(36)の軸方向両端に絶縁端板(37,38)が、また固定子コア(36)の歯部間には絶縁シート(56)がそれぞれ配設される。そして、固定コア(36)の歯部に対応した絶縁端板(37,38)の歯部(62)における先端部(64)には、上記絶縁シート(56)の軸方向端面のうち絶縁端板(37,38)の歯部先端側端部に被さる先端突起部(65)が設けられている。したがって、例えば、巻線(39)を固定子コア(36)に巻き付けるために巻線用ワイヤを送出するノズルを絶縁端板(37,38)側から固定子コア(36)の歯部間のスロット部内に移動させるような場合において、ノズルの先端がスロット部における歯部先端側において絶縁シート(56)に引っ掛かるのを上記先端突起部(65)により防止することができる。この結果、巻装時においてノズルが当たることによって絶縁シート(56)が位置ずれするのを防止することができ、巻線(39)の固定子コア(36)への巻装を安定して確実に行うことができる。さらに、絶縁端板(37,38)と絶縁シート(56)とを別個に構成することにより、絶縁部材の汎用性を向上させることができるために、電動機の機種別に絶縁部材の金型を作製する必要がなくなり、製造コストを低減させることができる。
【0014】
また、請求項2の発明では、先端部(64)の先端突起部(65)及び本体部(61)の本体突起部(68)の固定子コア(36)側の端面(66,69)がそれぞれ同一平面上に位置するために、これら端面(66,69)が絶縁シート(56)の軸方向端面と確実に当接する。この結果、例えば、巻線を巻装させるノズルを絶縁端板(37,38)側から固定子コア(36)のスロット部内に移動させるような場合において、このノズルがスロット部内における先端部側及び本体部側で絶縁シート(56)に引っ掛かるのを確実に防ぐことができる。この結果、巻装時において絶縁シート(56)の位置ずれを確実に防止することができ、巻線(39)の固定子コア(36)への巻装をより確実に安定して行うことができる。
【0015】
また、請求項3の発明では、巻線(39)を固定子コア(36)の各歯部の各々毎に巻装する際、巻線(39)を巻装させるノズルを絶縁シート(56)に引っ掛けることなく巻装することができるようになるために、回転駆動力の強い電動機(30)を効率よく作製することができる。
【0016】
また、請求項4の発明では、上記効果の得られる電動機(30)を備えた圧縮機を効率よく作製することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0018】
図1において、(30)は、作動流体を圧縮するための圧縮機構(20)を駆動する圧縮機モータで、この圧縮機モータ(30)が本発明でいう電動機を構成している。上記圧縮機構(20)及び圧縮機モータ(30)はケーシング(10)内に収容されていて、全密閉型の圧縮機が構成されている。この圧縮機は、例えば、作動流体としての冷媒が循環して冷凍サイクル運転を行う冷媒回路(図示省略)に接続されていて、図外の空気調和装置又は冷凍装置の圧縮機として使用される。
【0019】
上記ケーシング(10)は、上下に細長い細長形状の圧力容器によって構成されている。上記圧縮機モータ(30)は、このケーシング(10)内の略中央に配設されており、その下部に上記圧縮機構(20)が配設されている。この圧縮機構(20)と圧縮機モータ(30)とは、ケーシング(10)内を上下に延びるように配設された駆動軸(31)によって連結されている。
【0020】
上記ケーシング(10)の下部には上記圧縮機構(20)に接続される吸入管(15)が、また上端には吐出管(16)がそれぞれ気密状に挿通されている。また、ケーシング(10)の上端には、図示しない外部電源に接続されて圧縮機モータ(30)に電力を供給するターミナル(17)が設けられている。尚、上記吸入管(15)には、図外のアキュームレータが接続されていて、液冷媒が分離された冷媒を圧縮機に流入させるようになっている。
【0021】
上記圧縮機構(20)は、シリンダ(21)と、該シリンダ(21)内に配設されたロータリピストン(25)とを備えている。上記シリンダ(21)は、ケーシング(10)と同心に配置されてケーシング(10)の内面に溶接されている。シリンダ(21)には、中心部を上下に貫通する軸孔(23)が形成されており、この軸孔(23)に上記駆動軸(31)が回転自在に嵌め込まれている。この駆動軸(31)には、上記ロータリピストン(25)に嵌入される偏心部(32)が一体に形成されている。そして、上記シリンダ(21)内に圧縮室(26)が区画形成されていて、上記駆動軸(31)の回転に伴ってロータリピストン(25)が圧縮室(26)内を揺動及び公転することによって冷媒を圧縮するようになっている。
【0022】
一方、圧縮機モータ(30)は、固定子であるステータ(34)と、回転子であるロータ(35)とを備えている。
【0023】
上記ステータ(34)は、円筒状の固定子コア(36)と、該固定子コア(36)の上端及び下端に配置される絶縁端板としての上側インシュレータ(37)及び下側インシュレータ(38)と、固定子コア(36)のスロット部内に配置された絶縁シートとしてのスロット内絶縁紙(56)(図2に示す)と、固定子コア(36)のティース(図示省略)上に上記インシュレータ(37,38)及びスロット内絶縁紙(56)を介在させて巻装される3相の巻線(39)とを備え、固定子コア(36)はケーシング(10)に焼き嵌めされている。そして、上記ステータ(34)は、上記ターミナル(17)を通して各巻線(39)に通電することによって回転磁界を発生させるように構成されている。固定子コア(36)及び両インシュレータ(37,38)の詳細については後述する。
【0024】
上記ロータ(35)は、磁性材としての多数枚の電磁鋼板製の円形薄板を軸心方向に積層した円筒状の回転子コア(41)と、この回転子コア(41)の上下両端部に配設された端板(42)とを備えている。この回転子コア(41)と端板(42)とは、両者を軸心方向に貫通するリベット(43)により一体化されている。
【0025】
上記ロータ(35)の中央部には上記駆動軸(31)の上部が焼き嵌めされて固定されており、上記ロータ(35)は、上記ステータ(34)の内側でステータ(34)との間に僅かな隙間のエアギャップ(47)を形成して回転自在に配置されている。また、上記ロータ(35)には、図2に示すように、上記駆動軸(31)の周りで正方形の各辺部をなすように平板状の永久磁石(45)が嵌め込まれている。これにより、上記ロータ(35)は、上記ステータ(34)に発生する回転磁界によってステータ(34)の内側で回転することで上記圧縮機構(20)に回転駆動力を付与して該圧縮機構(20)を駆動するようになっている。
【0026】
また、上記ロータ(35)の上端には、図1及び図2に示すように、ロータ(35)と略同一径の円板からなる油分離板(46)が配設されている。この油分離板(46)は、ステータ(34)とロータ(35)との間のエアギャップ(47)から上側に流出した冷媒と一緒に流れる潤滑油を半径方向に流れさせるためのものである。
【0027】
一方、上記固定子コア(36)は、図2に示すように、円環状の本体部(51)と、該本体部(51)にその内端部から半径方向内側に向かって突出するように一体に形成された歯部としてのティース(図示省略)とを備えた薄板が多数積層された構成とされている。このティースは、周方向に互いに等間隔をおいて複数(本実施形態では6個)形成されており、この互いに隣接するティース同士の間隙がスロット部とされている。また、各ティースの先端には、周方向幅を両側に拡大するように突出形成される幅拡大部(図示省略)が設けられている。この幅拡大部の内周側の面、即ちティースの先端面は、ロータ(35)の外径よりも僅かに大きな曲率半径の円弧面に形成されている。
【0028】
上記固定子コア(36)の各スロット部内には、該スロット部に沿うようにスロット内絶縁紙(56)がそれぞれ配設されている。このスロット内絶縁紙(56)は、固定子コア(36)を軸方向に貫通するように配置されるもので、スロット部の断面形状に対応するように両翼部が折り曲げられた絶縁材からなる断面略コ字状のシートにより構成されている。そして、このスロット内絶縁紙(56)の両翼部は、ティースの側面に沿うように折り曲げられた中間部(57)と、該中間部(57)の先端部から更に相手側翼部側に折り曲げられてティースの幅拡大部の外周側に沿う先端部(58)とからなる。
【0029】
上記固定子コア(36)の上側インシュレータ(37)及び下側インシュレータ(38)は何れもほぼ同じ構造の樹脂製のものである。従って、ここでは上側インシュレータ(37)について詳細に説明し、下側インシュレータ(38)については同じ符号を付してその説明を省略する。すなわち、上側インシュレータ(37)は、図2及び図3に示すように、上記固定子コア(36)の本体部(51)に対応した円環形状の本体部としての円環部(61)と、上記ティースに対応した形状の歯部であるティース押え部(62)とを備えている。上記円環部(61)は、その内周面が固定子コア(36)の本体部(51)内周面と面一の状態で、また外周面が本体部(51)外周面よりも内側に位置した状態で配設されており、上下方向に延びる円筒状に形成されている。
【0030】
上記ティース押え部(62)は、図4及び図5にも示すように、円環部(61)の下端から内側に向かって突出するとともに、上方から見て略矩形の平板状に形成された押え部本体(63)を備え、この押え部本体(63)の先端には、固定子コア(36)におけるティースの幅拡大部に対応した円周方向幅を有して上側に向かって延びる先端部としての内側押え部(64)が立設されている。そして、この円環部(61)と、ティース押え部(62)の押え部本体(63)及び内側押え部(64)とによって形成される凹状の空間内に巻線(39)の上端部分が収容されるようになっている。
【0031】
上記内側押え部(64)は、図4に示すように、内側から見て上側に円弧面を有する略半円形状で、且つ上側から見てロータ(35)の外周端面に対応した円弧状に形成されている。内側押え部(64)の下端における円周方向幅が固定子コア(36)のティースにおける幅拡大部の円周方向幅に対応している。
【0032】
本発明の特徴として、上記内側押え部(64)には、その円周方向両端部において半径方向外側、即ち外周側に向かって突出する先端突起部(65)が形成されている。この先端突起部(65)は、下側に向かって半径方向の幅が拡大する略三角形状に形成されていて、その下端面が上側インシュレータ(37)の下端面から所定高さだけ高い位置に形成されている。また、この先端突起部(65)の下端面(66)は、上側インシュレータ(37)の下端面と平行に形成されている。そして、先端突起部(65)は、下端部の最外周側においても内側押え部(64)の半径方向中央部の外周側側面よりも内周側に位置するように形成される一方、図2及び図5に示すように、スロット内絶縁紙(56)の上端面のうちティース先端側端部の上端面、即ちスロット内絶縁紙(56)の両翼部における先端部(58)の上端面に被さるようになっている。このことにより、巻線(39)の巻き付け時において図外の巻線送出用ノズルが上側インシュレータ(37)側からスロット部内に下側に向かって移動する際に、スロット内絶縁紙(56)の上端面に引っ掛かることなく移動するようにして、そのためにスロット内絶縁紙(56)がノズルとの干渉により位置ずれしないようになっている。
【0033】
上記円環部(61)には、図3及び図5に示すように、固定子コア(36)のスロット部に対応して本体突起部(68)が形成されている。本体突起部(68)は、互いに隣接するティース押え部(62)における押え部本体(63)の接合部同士の間隙を周方向に延び且つ内周側に突出するように形成されている。また、本体突起部(68)は、その上端が円環部(61)からなめらかな曲線を描いて突出するように形成される一方で、下端面(69)が、上記先端突起部(65)の下端面(66)と同じ高さ位置において上側インシュレータ(37)の下端面と平行に形成されている。つまり、図5に示すように、上記スロット内絶縁紙(56)の上端部が固定子コア(36)の上端面から僅かに突出しており、先端突起部(65)の下端面(66)及び本体突起部(68)の下端面(69)に当接するようになっている。
【0034】
上記本体突起部(68)は、スロット内絶縁紙(56)の上端面のうち上側インシュレータ(37)の本体部側端部の上端面、即ちスロット内絶縁紙(56)における両翼部間の上端面に被さるようになっている。そして、上記本体突起部(68)の下端における内周方向への突出高さはスロット内絶縁紙(56)の厚み程度とされ、スロット内絶縁紙(56)の内周面と上側インシュレータ(37)の内周面とが面一になるようになっている。このことにより、巻線(39)の巻き付け時において図外の巻線送出用ノズルが上側インシュレータ(37)側からスロット部内に下側に向かって移動する際に、スロット内絶縁紙(56)の上端に引っ掛かることなく移動するようにしてスロット内絶縁紙(56)を位置ずれさせないようになっている。
【0035】
一方、上記固定子コア(36)の下側インシュレータ(38)は、上述の如く、上記上側インシュレータ(37)と同様に構成されていて、上記上側インシュレータ(37)とは上下逆向きになって固定子コア(36)の下端に配設されている(図1参照)。即ち、上記下側インシュレータ(38)は、図3〜5に示すように、固定子コア(36)の本体部(51)の形状に対応した形状の円環部(61)と、上記ティースに対応した形状のティース押え部(62)とを備え、このティース押え部(62)には、押え部本体(63)と、該押え部本体(63)における先端から下側に向かって延びるように立設された内側押え部(64)とを備えている。そして、上記上側インシュレータ(37)と同様に、内側押え部(64)には先端突起部(65)が、また円環部(61)には本体突起部(68)がそれぞれ形成されている(図示省略)。
【0036】
上記巻線(39)は、上記固定子コア(36)の各ティースの各々毎にそれぞれ3相の巻線(39)の内の何れかが巻装されていて、いわゆる集中巻き方式となっている。これら巻線(39)は、各ティースにおいて基端から先端に亘って交互に巻き付けられている。そして、それぞれ固定子コア(36)の直径方向に互いに対向するティースには同一相の巻線(39)が装着されている。このように集中巻き方式とすることにより、磁束密度を高めることができて、より強い回転駆動力を得ることができるようになっている。
【0037】
ここで、本実施形態に係る圧縮機モータ(30)を収容した圧縮機の運転動作について説明する。まず、ターミナル(19)を通じて圧縮機モータ(30)に電力が供給されると、固定子コア(36)の巻線(39)に通電されてステータ(34)に回転磁界が発生する。この回転磁界によって、ロータ(35)の永久磁石(45)が磁力を受けてロータ(35)が回転する。このロータ(35)の回転により駆動軸(31)が回転してロータリピストン(25)が圧縮室(26)内で揺動及び公転する。これにより、低圧冷媒が吸入管(15)を通して圧縮室(26)に吸入されて圧縮される。そして、圧縮室(26)内が所定圧力に達すると高圧冷媒が圧縮室(26)からケーシング(10)内に吐出される。そして、ケーシング(10)内の高圧冷媒は、吐出管(16)から吐出されて図外の冷媒回路を循環する。また、冷媒回路を循環した冷媒は、吸入管(15)を通して圧縮機内に吸入され、この循環が繰り返される。
【0038】
続いて、巻線(39)の巻装方法について説明する。まず、固定子コア(36)の各スロット部内にスロット内絶縁紙(56)を嵌挿すると共に、固定子コア(36)の軸方向両端にそれぞれインシュレータ(37,38)を取り付ける。このとき、スロット内絶縁紙(56)の上端を上側インシュレータ(37)の本体突起部(68)及び先端突起部(65)の下端面(69,66)に、またスロット内絶縁紙(56)の下端を下側インシュレータ(38)の本体突起部(68)及び先端突起部(65)の上端面にそれぞれ当接させる。
【0039】
そして、先端から巻線用ワイヤを送出する図外のノズルを固定子コア(36)のスロット部内に挿入し、ノズル先端がスロット部内に位置した状態で該ノズル先端側から巻線用ワイヤを送り出しながらノズルを上側に向かって移動させる。その後、ノズルを軸方向端部において上側インシュレータ(37)のティース押え部(62)の上側を隣のスロット部内まで移動させた後、今度は該スロット部内を下側に向かって移動させ、次いで下側インシュレータ(38)のティース押え部(62)の下側を越えて元のスロット部内まで移動させる。以上のノズルの周回動作により固定子コア(36)のティースに対しワイヤが一巻きされ、以後はノズルに同様の周回動作を繰り返させながら該ノズルを半径方向に進退移動させることで、固定子コア(36)の各ティースについて先端側から基端側に亘って多層の巻線(39)を巻装することができる。このようにして、絶縁部材を介装した状態で固定子コア(36)に巻線(39)を巻装することができる。
【0040】
このとき、上記圧縮機モータ(30)の固定子コア(36)の軸方向端部にインシュレータ(37,38)が、また固定子コア(36)のティース間にはスロット内絶縁紙(56)がそれぞれ配設され、固定子コア(36)のティースに対応したインシュレータ(37,38)のティース押え部(62)における内側押え部(64)には、上記スロット内絶縁紙(56)の端面のうちティース先端側端部の端面に被さる先端突起部(65)が設けられているので、巻線(39)を固定子コア(36)に巻き付ける際に巻線用ワイヤを送出するノズルをインシュレータ(37,38)側から固定子コア(36)のスロット部内に移動させる際に、ノズルの先端がスロット部におけるティース先端側においてスロット内絶縁紙(56)に引っ掛かるのを上記先端突起部(65)によって防止することができる。
【0041】
また、インシュレータ(37,38)の円環部(61)には、ティース押え部(62)同士の間隙においてスロット内絶縁紙(56)の端面のうちインシュレータ(37)の本体部側端部の端面に被さる本体突起部(68)が設けられているので、巻線用ワイヤを送出するノズルをインシュレータ(37,38)側から固定子コア(36)のスロット部内に移動させる際に、ノズルの先端がスロット部内における円環部(61)側のスロット内絶縁紙(56)に引っ掛かるのを上記本体突起部(68)によって防止することができる。
【0042】
しかも、内側押え部(64)の先端突起部(65)及び円環部(61)の本体突起部(68)の固定子コア(36)側の端面(66,69)がそれぞれ同一平面上に位置するために、これら端面(66,69)がスロット内絶縁紙(56)の軸方向端面と確実に当接する。この結果、巻線ワイヤを送出するノズルをインシュレータ(37,38)側から固定子コア(36)のスロット部内に移動させる際に、このノズルがスロット部内におけるティース先端側及び本体部側でスロット内絶縁紙(56)に確実に引っ掛からないようにすることができる。
【0043】
これらの結果、巻装時においてノズルが当たることによってスロット内絶縁紙(56)が位置ずれするのを防止することができ、巻線(39)の固定子コア(36)への巻装を安定して確実に行うことができる。
【0044】
さらに、絶縁部材をインシュレータ(37,38)とスロット内絶縁紙(56)とを別個に構成することにより、絶縁部材の汎用性を向上させることができるために、モータの機種別に絶縁部材の金型を作製する必要がなくなり、製造コストを低減させることができる。
【0045】
また、巻線(39)が固定子コア(36)の各ティースの各々毎に巻装された集中巻き方式とされ、この方式により回転駆動力の強い圧縮機モータ(30)が得られる。そして、巻線(39)を各ティースの各々毎に巻装する集中巻き方式の圧縮機モータ(30)であっても、ノズルをスロット内絶縁紙(56)に引っ掛けることなく巻線(39)を巻装することができる。よって、回転駆動力の強い圧縮機モータ(30)を効率よく作製することができ、さらには、このような圧縮機モータ(30)を備えた圧縮機をも効率よく作製することができる。
【0046】
【発明のその他の実施の形態】
尚、上記実施形態において、巻線(39)を巻装させるノズルの形状によっては、インシュレータ(37,38)は、円環部 (61) の本体突起部 (68) を省略する構成としてもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、ステータ(34)は、巻線(39)が各ティースに独立して巻かれる、いわゆる集中巻き方式とされているが、本発明は、このような構成に限られるものではなく、例えば、各巻線(39)同士がオーバーラップするとともに、複数のティースに跨るように巻装されるいわゆる分布巻き方式に適用することができる。
【0048】
また、上記実施形態では、本発明の電動機を圧縮機モータ(30)に構成するようにしたが、これに限られるものではない。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明の電動機によれば、巻装時において巻装用ノズルが当たることによって絶縁シート(56)が位置ずれするのを防止することができ、巻線(39)の固定子コア(36)への巻装を安定して確実に行うことができる。さらに、絶縁部材を両端板(37,38)と絶縁シート(56)とを別個に構成することにより、絶縁部材の汎用性を向上させることができるために、電動機の機種別に絶縁部材の金型を作製する必要がなくなり、製造コストを低減させることができる。
【0050】
また、請求項2の発明によれば、巻装時において絶縁シート(56)の位置ずれを確実に防止することができ、巻線(39)の固定子コア(36)への巻装をより確実に安定して行うことができる。
【0051】
また、請求項3の発明によれば、回転駆動力の強い電動機を効率よく作製することができる。
【0052】
また、請求項4の発明によれば、上記効果を持つ電動機を備えた圧縮機を効率よく作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態に係る圧縮機の構成を示す縦断面図である。
【図2】 図1のII−II線における断面図である。
【図3】 インシュレータの平面図である。
【図4】 図3のIV−IV線方向矢視図である。
【図5】 図3のV−V線における断面図である。
【符号の説明】
(36) 固定子コア
(37) 上側インシュレータ
(38) 下側インシュレータ
(39) 巻線
(56) スロット内絶縁紙
(61) 円環部
(62) ティース押え部
(64) 内側押え部
(65) 先端突起部
(66) 下端面
(68) 本体突起部
(69) 下端面
Claims (4)
- 固定子コア(36)に絶縁部材を介して巻線(39)を巻装するようにした電動機において、
上記絶縁部材は、固定子コア(36)の軸方向両端に配設される絶縁端板(37,38)と、固定子コア(36)の歯部間に配設される絶縁シート(56)とにより構成され、
上記絶縁端板(37,38)には、固定子コア(36)の歯部に対応した歯部(62)が設けられており、
上記絶縁端板(37,38)の歯部(62)における先端部(64)には、上記絶縁シート(56)の軸方向端面のうち絶縁端板(37,38)の歯部先端側端部に被さる先端突起部(65)が設けられている
ことを特徴とする電動機。 - 請求項1において、
上記絶縁端板 (37,38) の本体部 (61) には、絶縁シート (56) の軸方向端面のうち絶縁端板 (37,38) の本体部側端部に被さる本体突起部 (68) が設けられ、
先端突起部 (65) の固定子コア (36) 側の端面 (66) と本体突起部 (68) の固定子コア (36) 側の端面 (69) とがそれぞれ同一平面上に位置している
ことを特徴とする電動機。 - 請求項1または2において、
巻線 (39) が固定子コア (36) の各歯部の各々毎に巻装されている
ことを特徴とする電動機。 - 請求項1から3の何れか1項の電動機を備えた
ことを特徴とする圧縮機。
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