JP3746585B2 - 溶鋼の成分調整方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、転炉や電気炉等の精錬炉で精錬した溶鋼を出鋼する前に、合金鉄などの合金材や脱酸剤を添加することによって溶鋼の成分調整を行う際に、合金材銘柄の単価や合金元素含有量などを考慮して、より小さいコストでより目標組成に近似した成分調整を短時間で精度よく行うことのできる方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
転炉や電気炉等の精錬炉で精錬された溶鋼を出鋼するに当たっては、最終工程として合金成分や脱酸剤を添加することによって成分調整が行われる。この成分調整作業は、精錬終了から出鋼までの極く短時間のうちに行わなければならず、その間に、合金材の添加量の算出、秤量、投入といった一連の作業を迅速に行わなければならない。こうした作業は、吹き止め後の溶鋼成分の分析値に応じて熟練者により電卓や計算尺等が用いられて行われてきた。
【0003】
一方、成分調整用として納入される合金材(通常は、主として合金鉄が用いられる)には多くの銘柄があり、その銘柄によって単価や合金元素の含有量は様々であり、吹き止め溶鋼の現状値(分析値)と目標成分量に応じて最適銘柄の合金材を選択することは、成分調整用として添加される合金材の元単位を低減して鋼材の低コスト化を増進する上で大きな要因になってくる。
【0004】
しかしながら、上記の様に出鋼までの極く短時間の間に、目標成分量に応じた最適の合金材銘柄や投入量を手計算によって求めることは難しい。そこでそれらの計算を、最近急速に発達してきた計算機を用いて短時間で実施する方法、即ち溶鋼中の各合金元素の現状値と目標含有量、添加される合金材の各銘柄別の単価と各合金元素の含有量、および溶鋼量に基づき、下記成分調整式(1’)と合金材投入量の非負の式(2’)を使用し、線形計画法によって、合金材コストの式(3’)を最小にすることのできる合金材投入量を割り出す方法が確立され、合金材に要するコストの低減が図られる様になってきた。
Ti E−Ti S=[Σm=1 (Wm ・Ci m・Yi )/WFe]・・・(1’)
Wm ≧0・・・(2’)
Σm=1 (Am ・Wm ・Pm )・・・(3’)
(式中、Ti Eは溶鋼中の合金元素iの目標含有量
Ti Sは溶鋼中の合金元素iの現状値
Wm は合金材銘柄mの投入量
Ci mは合金材銘柄m中の合金元素iの含有量
Yi は合金元素iの溶鋼中への歩留まり
WFeは溶鋼量
Am は係数
Pm は合金材銘柄mの単価
を表す)。
【0005】
また、例えば「鉄鋼協会講演予講集 CPMP−ISI」Vol.3(1990)−288には、添加される各合金材の銘柄別の単価と合金元素含有量、溶鋼中への歩留まり、目標成分値の上・下限値、吹き止め温度、吹錬条件と吹き止め鋼中の酸素濃度の6項目から、温度降下による影響も加味してトータル合金材コストが最小となる様に線形計画法に従って添加合金材の銘柄と添加量を割り出す方法も提案されている。
【0006】
ところが溶製しようとする鋼種の中には、操業上のばらつきから精錬炉での溶製終了段階で目標成分の上限値を外れたり、或いはどの銘柄の合金材を投入しても目標成分に調整できないことがあり、この場合、上記の計算方法では実行解を求め得なくなって完全な自動化を達成することができなくなる。即ち、上記線形計画法を利用した方法でも、計算によって求められる溶鋼成分値が精錬炉内溶鋼成分の上限値を外れるなど制約式を満たさない場合は、実行解が求められなくなる。
【0007】
しかも上記の方法を含めて従来技術では、投入される合金材中に含まれる不純物までも考慮に入れた調整法は確立されておらず、不純物含有量の多い銘柄の合金材を選択したときには、不純物含有量が規定範囲を超えることもしばしば経験されている。
【0008】
更に従来法では、精錬後の成分分析値(推定値を含む)から合金材投入量を計算しているため、合金材投入量が多い場合には、算出された合金材の秤量を精錬終了後の短時間内に行うことができず、出鋼作業が遅延して後に続く操業ラインに乱れを生じたり、目標通りに成分調整できなくなるといった問題も生じてくる。また精錬炉に設置された投入ホッパー数が限られている場合は、袋詰め単位で投入しなければならないこともあり、この場合の投入単位は1袋分の重量となるが、この様な場合は従来の線形計画法では解が得られない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の様な問題点に着目してなされたものであって、その目的は、精錬炉での溶製終了段階で溶鋼中のある成分含有量が目標値を超えてしまった様な場合でも、最適の合金材銘柄の選択とその投入量を正確に割り出すことができ、合金計算の完全な自動化と合金材コストの低減を確実に達成することのできる成分調整方法を確立しようとするものである。
【0010】
また本発明の他の目的は、成分調整に用いられる合金材中に含まれる不純物の含有量も考慮に加え、不純物汚染による欠陥溶鋼を生じることもなく適正な合金材銘柄の選択と投入量割り出しを可能にしようとするものである。
【0011】
また、合金材投入量が多くなって出鋼前の短時間内に当該合金材の秤量が間に合わなくなる様な事態が想定される場合でも、該合金材を吹き止めの前後2回に分けて投入することによって、出鋼作業の遅延やその後の操業ラインの乱れ等を生じることなく確実な成分調整を可能とし、更には、精錬炉に常備されているホッパー数が限られていて合金材を予め決められた重量単位で投入しなければならない様な場合でも、該単位投入量も加味して線形計画法によって最も適切な合金材銘柄の選択と投入量を決定することのできる方法を確立しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決することのできた本発明に係る成分調整方法は、溶鋼に合金材を添加して溶鋼の成分調整を行うに当たり、溶鋼中の各合金元素の現状値と目標含有量、前記合金材の各銘柄別の単価と各合金元素の含有量および溶鋼中への歩留まり、並びに溶鋼量に基づいて、線形計画法によって合金材の投入量を設定して溶鋼の成分調整を行う方法において、合金材コストと、合金材投入後の各合金元素毎の到達見込み量と目標含有量のずれとのバランスを考慮して合金材の投入量を決定することを特徴とする溶鋼の成分調整方法である。更に、各合金元素毎に予め規定されている上限制約値および下限制約値の両方またはいずれか一方を考慮して合金材の投入量を決定する溶鋼の成分調整方法である。
【0013】
より具体的には、本発明に係る溶鋼の成分調整方法は、溶鋼に合金材を添加して溶鋼の成分調整を行うに当たり、溶鋼中の各合金元素の現状値と目標含有量、前記合金材の各銘柄別の単価と各合金元素の含有量および溶鋼中への歩留まり、並びに溶鋼量に基づいて、線形計画法によって合金材の投入量を設定して溶鋼の成分調整を行う方法において、下記(1)式で示される成分調整式と、下記(2)式で示される合金材投入量の非負の式を使用し、線形計画法によって、合金材コストおよび合金材投入後の各合金元素毎の到達見込み量と目標含有量のずれの和を示す下記式(3)で示される目標関数が最小となる様に、合金材の投入量を決定するところに特徴を有している。
(Ti E−Ti S)+ΔDi =[Σm=1 (Wm ・Ci m・Yi )/WFe] ・・・(1)
Wm ≧0 ・・・(2)
Σm=1 (Am ・Wm ・Pm )+Σi=1 (Bi ・|ΔDi |)・・・(3)
(式中、Ti Eは溶鋼中の合金元素iの目標含有量
Ti Sは溶鋼中の合金元素iの現状値
Wm は合金材銘柄mの投入量
Ci mは合金材銘柄m中の合金元素iの含有量
Yi は合金元素iの溶鋼中への歩留まり
WFeは溶鋼量
ΔDi は合金材の投入量および該投入される合金材中の合金元素iの含有量と溶鋼中への歩留まりから計算される溶鋼中の合金元素iの到達見込み量と合金元素iの目標含有量との差
Am ,Bi は係数
Pm は合金材銘柄mの単価
を表す)。
【0014】
或いは、予め決定されている各調整成分の上限制約値および下限制約値と、目標値と該上限制約値の間であれば任意に設定できる上限許容値、並びに目標値と該下限制約値の間であれば任意に設定できる下限許容値から下記(4)、(5)式を用いて下記▲1▼〜▲3▼の様に定められる各合金元素毎のメンバシップ関数および前記(1)、(2)式を使用し、線形計画法によって、合金材コスト、合金材投入後の各合金元素毎の到達見込み量と目標含有量のずれ、およびメンバシップ関数値の和を示す下記式(6)で示される目標関数が最小となる様に、合金材の投入量を決定するところに特徴を有している。
▲1▼ λ=0 (f1≦0かつf2≦0の場合)
▲2▼ λ=f1(f1>0かつf2≦0の場合)
▲3▼ λ=f2(f1≦0かつf2>0の場合)
(式中、Ukiは溶鋼中の合金元素iの上限許容値
Ui は溶鋼中の合金元素iの上限制約値
Lkiは溶鋼中の合金元素iの下限許容値
Li は溶鋼中の合金元素iの下限制約値
αi は係数
λi は溶鋼中の合金元素iのメンバシップ関数値
を表す)。
【0015】
更に本発明に係る成分調整方法は、前記メンバシップ関数に適当な上限値を設け、該メンバシップ関数値が該上限値を超える場合には、前記(1)式で示される成分調整式と、前記(2)式で示される合金材投入量の非負の式を使用し、線形計画法によって、合金材コストおよび合金材投入後の各合金元素毎の到達見込み量と目標含有量のずれの和を示す前記式(3)で示される目標関数が最小となる様に、合金材の投入量を決定し、該メンバシップ関数値が該上限値以下である場合には、該メンバシップ関数および前記(1)、(2)式を使用し、線形計画法によって、合金材コスト、合金材投入後の各合金元素毎の到達見込み量と目標含有量のずれ、およびメンバシップ関数値の和を示す前記式(6)で示される目標関数が最小となる様に、合金材の投入量を決定することも可能である。
【0016】
上記成分調整方法を実施するに当たっては、不純物元素要因を示す下記(7)式を加えて、線形計画法により合金材の投入量を調整すれば、溶鋼中に混入する可能性のある不純物に由来する不良溶鋼の発生も未然に防止することができる。
【0017】
Tb E−Tb S≧[Σb=1 (Wm ・Cb m・Yb )/WFe]・・・(7)
(式中、Tb Eは溶鋼中に含まれる不純物元素bの限界含有量
Tb Sは溶鋼中の不純物元素bの現状値
Cb mは合金材銘柄m中の不純物元素bの含有量
Yb は不純物元素bの溶鋼への歩留まり
を表す)。
【0018】
更に、設備上の制約等から合金材投入量の上限値および下限値が制限される様な場合は、それらを下記(8a),(8b)式として加えて合金材の投入量を決定する方法を採用すれば、その設備に応じた実用化を無理なく行うことができるので好ましい。
Wm ≧Lm ・・・(8a),Wm ≦Um ・・・(8b)
(式中、Lm は合金材銘柄mの投入量の下限値
Um は合金材銘柄mの投入量の上限値
を表す)。
【0019】
また更に、成分調整のための合金材投入量が多くなって出鋼前の短時間内に当該合金材の秤量が間に合わなくなる様な事態が想定される様な場合は、精錬炉での精錬末期に、吹き止め前と吹き止め後の2回に分けて合金材の添加を行う方法を採用すれば、出鋼作業の遅延やその後の操業ラインの乱れ等も回避され、また、精錬設備常備されているホッパー数が限られていて合金材を予め決められた重量単位で投入しなければならない様な場合は、前記線形計画法に分岐限定法を組合わせて合金材投入量を決定することによって容易に対処することが可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明に係る溶鋼の成分調整法は、従来の技術と異なり、調整を行おうとする各合金元素毎の合金材投入後の到達見込み量と目標含有量のずれを考慮することにより、手持ちの合金材銘柄により溶鋼成分を目標成分に一致させることができない場合でも、目標成分とのずれと合金材コストとをバランス良く調整しようとするものである。この様に合金材コストと、各合金元素毎の合金材投入後の到達見込み量と目標含有量のずれを考慮することにより、多少コストが高くなっても成分のずれを抑えたい場合や、逆に成分ずれが多少大きくてもコストを下げたい場合等にも、両者の重み付けを変えることにより、バランスの良い調整が可能となるものである。
【0021】
更に、調整を行おうとする各合金元素毎に予め上限制約値や下限制約値が規定されている様な場合には、各合金元素毎の合金材投入後の上限制約値および下限制約値の両方またはいずれか一方も考慮に加えて、合金材コスト、各合金元素毎の合金材投入後の到達見込み量と目標含有量のずれ、および各合金元素毎の合金材投入後の到達見込み量と上限制約値或いは下限制約値のずれの3者のバランスが良くなる様に合金材の投入量を決定しようとするものである。
【0022】
具体的に本発明を実施するに当たっては、合金材や脱酸剤を添加して溶鋼の成分調整を行う際の成分計算を、計算機を用いて制御するに際し、製造すべき溶鋼の目標成分と実際の溶鋼の現状値、投入される合金材の単価と合金元素含有量および溶鋼中への歩留まり、並びに溶鋼量に基づいて、
I 上記成分調整式(1)と合金材投入量の非負の式(2)を使用し、線形計画法で合金材投入量を計算することとし、合金材コストおよび各合金元素毎の合金材投入後の到達見込み量と目標成分のずれの和を示す目標関数(3)を最小にすることのできる合金材投入量を決定する(図1)。
或いは、
II 予め決定されている各合金元素毎の上限制約値および下限制約値と、目標値と該上限制約値の間であれば任意に設定できる上限許容値、並びに目標値と該下限制約値の間であれば任意に設定できる下限許容値から上記(4)(5)式を用いて上記▲1▼〜▲3▼の様に定められる各合金元素毎のメンバシップ関数および前記(1)、(2)式を使用し、線形計画法で合金材投入量を計算することとし、合金材コスト、合金材投入後の各合金元素毎の到達見込み量と目標含有量のずれ、およびメンバシップ関数値の和を示す目標関数(6)を最小にすることのできる合金材の投入量を決定する(図2)。
【0023】
ここで合金材の単価は、合金市場の動向により変化する合金価格を逐次インプットすればよく、合金材の成分も実状に合わせて変えればよい。また不純物元素アップ防止の式(7)を加味して上記目標関数(3)或いは(6)を計算すれば、不純物要因による規格外溶鋼の発生も未然に回避することができる。
【0024】
また、合金材の投入量の上限値および下限値の式(8a)、(8b)を入れて目標関数式(3)或いは(6)を最小にすることも極めて有効であり、この場合、合金材投入量の上限値は、合金材ホッパーの容量や介在物混入防止量を予測して決定してもよく、また合金材投入量の下限値は、合金材ホッパーの秤量可能な最小切り出し量から決定すればよい。各合金成分の歩留まりは鋼種毎に設定した方がよい。
【0025】
溶鋼成分の現状値は、実際の分析値を採用するのが好ましいが、この他、精錬炉の操業条件や精錬終了時の温度、フリー酸素等の組み合わせによって推定される推定値で代用することも可能である。目標関数式(3)或いは(6)で用いられる係数は、各項目毎に異なる値にしてもよいし、或いは溶製する鋼種やチャージ毎に変えても構わない。これら係数を適宜変更することにより、バランスを取ろうとする各項目(コスト、目標成分からのずれ、上限制約・下限制約からのずれ)の重み付けを変えることが可能であり、操業の実体に合わせてこれら係数は決定することが望まれる。
【0026】
また本発明では、吹き止め後の短時間の間に秤量可能な合金材量(W mu )を決定することが必要であり、この量は、数種類の合金材を1つの秤量ホッパーで計算する場合は、その秤量ホッパーの切り出し速度と切り出しに要する時間から決定される数種類の合金材の合計値としてもよいし、或いは個々の合金材毎に設定してもよく、また投入される全合金材の量について決定してもよい。
【0027】
下記(9)式は、個々の合金材について設定した場合を示す。この場合、投入される全合金材量(W m )のうち、吹止め後の短時間の間に秤量可能な合金材量(W mU )を差し引いて、吹止め前に予め秤量かつ投入する合金材量(W m1 )とする。そして、吹止め後の最終成分調製段階で溶鋼成分値(実測値あるいは推定値)から吹止め後に現に投入する合金材量(W m2 )を計算するに当たっては、吹止め前に予め秤量かつ投入した合金材量(W m1 )でアップする溶鋼の成分変化分を(1)式に加えた下記(10)式を採用し、線形計画法で計算される吹止め時の投入合金材量を算出する。
Wm1=0 (Wm≦WmUのとき)
=Wm−WmU (Wm>WmUのとき) …(9)
T i E − T i S −Σm=1(Wm1・Ci m・Yi)/WFe=Σm=1(Wm2・Ci m・Yi)/WFe+ΔDi
…(10)
Wm1:吹止前に予め秤量かつ投入しておく合金銘柄mの量
WmU:吹止後に秤量可能な合金銘柄mの量
W m2 :吹止後に現に投入する合金銘柄mの量
その他の符号の意味は前記と同じ。
【0028】
また、合金材を袋詰めで投入する際は、袋詰めで投入される合金材を分枝限定法を用いて決定する。分枝限定法は、深さ優先探索をとる。分枝限定法と線形計画法の関係は、図3,4に示す手順に沿って行なわれる。
【0029】
上記において、成分調整式(1)は、溶鋼成分の調整量と各合金材投入量の関係を示す式であり、また合金材投入量の非負の式(2)は、合金材投入量が0以上であるという物理的な意味をもつ。そして、目標関数式(3)は、合金材コストと、各合金元素毎の合金材投入後の到達見込み量と目標成分のずれの和を最小にすることを目的とする関数であり、この式を最小にする様に線形計画法で解くことにより、合金材コストと合金材投入後の目標成分からのずれがバランス良く設定できるのである。
【0030】
一方、上記目標関数式(3)式を最小とする様に成分調整を行う場合には、目標成分とのずれと合金材コストとが最もバランス良くなる様な成分調整が可能であるが、予め各合金元素に上限制約値および下限制約値が決定されている場合には、その様な制約条件は考慮されていないため、該制約の範囲からは外れて合金材の銘柄と投入量を決定する可能性がある。その様な場合、例え前記制約の範囲内に調整できなくても、全ての元素をできるだけ目標値に近づける様に合金材の銘柄、投入量を決定することが望まれる。また、全ての元素を前記制約の範囲内に調整できる場合であっても、目標値には合わせきれない場合は、ある元素だけが上限制約値或いは下限制約値の近傍に調整されることもある。上限制約値或いは下限制約値の近傍に調整されると、操業上のばらつき等によって前記制約の範囲から外れる可能性もあり、上限制約値或いは下限制約値の近傍に調整される元素はできるだけ目標値に近い値に調整される様にすることが望まれる。
【0031】
上述の様な場合、予め決定されている各合金元素の上限制約値および下限制約値と、目標値から該上限制約値の間で任意に設定した上限許容値、並びに目標値から該下限制約値の間で任意に設定した下限許容値を用いて前記(4)、(5)式から前記▲1▼〜▲3▼の様に定められる各合金元素毎のメンバシップ関数を導入して、前記(6)式で示される目標関数式が最小となる様に合金材の投入量を決定すれば、各合金元素を目標成分値により近づけることができる様になる。前記(4)、(5)式から定められるメンバシップ関数とは、図5に示す様に、各合金元素の成分値が下限許容値と上限許容値の間にある場合は0となり、上限許容値以上或いは下限許容値以下の場合は0から正方向に向かって上昇する様な線形関数である。従って、該メンバシップ関数を導入した目標関数式(6)は合金材コストと、各合金元素毎の合金材投入後の到達見込み量と目標成分のずれに加えて各合金元素の制約条件の重みを含んだ関数であり、この式を最小にする様に線形計画法で解くことにより、投入される合金材コスト、合金材投入後の目標成分からのずれ、および各合金元素の制約条件からのずれがバランス良く設定できるのである。
【0032】
以上説明してきた様に、本発明では、目標関数式(3)或いは(6)内に、投入合金材成分およびその投入量から計算される溶鋼中の合金元素の到達見込み量と目標増加量のずれの項を含めることにより、手持ちの合金材銘柄により溶鋼成分を目標成分に一致させることができない場合でも、目標成分とのずれと合金材コストとが最もバランス良く成分調整を行なえる様な合金材の銘柄と投入量を計算することが可能になる。更に、目標関数式(6)内には各調整成分の制約条件の重みを加味した項が含まれているので、予め制約条件が課せられている様な場合にも、投入される合金材コスト、合金材投入後の目標成分からのずれ、および各調整成分の制約条件からのずれの3者が最もバランス良く成分調整を行なえる様な合金材の銘柄と投入量を計算することが可能になる。
【0033】
また更に、前記メンバシップ関数に適当な上限値を設けて、該メンバシップ関数値が該上限値を超える場合には、前記(3)式で示される目標関数が最小となる様に合金材の投入量を決定し、該メンバシップ関数値が該上限値以下である場合には、前記(6)式で示される目標関数が最小となる様に合金材の投入量を決定するという様に、予めメンバシップ関数により各調整成分がある制約条件内に調整可能か否かを判定しておき、前記(3)式或いは(6)式を適当に使い分けることも実操業上は便利である(図6)。
【0034】
上記の様な成分調整方法に不純物元素アップ防止の式(7)を組み込めば、投入される合金材中に含まれる不純物元素(どんな元素でもよいが、例えばP、S、Bなどの鋼中にあっては有害な元素)が、投入合金材に由来して溶鋼中に混入してくる量を一定量以下に抑えつつ、最適の合金材投入量を決定することが可能となる。この式(7)は、不純物元素毎に2種類以上を採用してもよい。
【0035】
更に、前述の如く合金材ホッパーの容量や秤量可能な最小切り出し量、介在物混入防止量等によって決まってくる合金材投入量の上・下限値を示す前記式(8a),(8b)を加入して合金計算を行なえば、合金材投入装置の設備上の制約条件等を合金計算に加味することができ、また合金成分調整以外の合金材規制要因が存在する場合(たとえば、ある合金を入れると溶鋼品質が落ちる場合など)でも最適の合金材投入量を計算することができる。
【0036】
また、合金材コストを最小にするには、吹止め後の時点での溶鋼成分から、合金計算することが必要であるが、吹止後かつ出鋼前の短時間の間に秤量可能な合金材量は限られているので、吹止め後の限られた時間内で秤量可能な合金鉄量を超える量については、吹止め以前に合金材投入量を秤量しておくことが必要となる。ところが吹止め以前には、吹止め時の溶鋼成分、たとえばC濃度等も分かっていないため、合金材投入量(W m )を正確に計算することができず、結果として、安全を見越してC含有量等の少ない高価な合金材を使用せざるを得なくなることもある。そこで、合金材コストをより確実に抑えるには、吹止め以前に秤量・投入される合金材量(W m1 )をなるべく少なくする必要がある。一方、設備や操業条件より吹止め後に秤量可能な合金材量(W mU )は限られてくる。そこで、吹止め後の短時間の間に秤量可能な合金材量(W mU )から、吹止め前に予め秤量・投入される合金材銘柄mの量(W m1 )と吹止め後に現に投入する合金材銘柄mの投入量(W m2 )を前記(9)、(10)式で計算する様にすれば、合金材の投入を吹止めの前・後に分けて行なう方法を採用した場合でも、合金材コストを最小に抑えることができるのである。その結果、合金材投入量が多い場合でも、合金材コストを最小に抑えつつ、後続のラインに悪影響を及ぼすことのない合金成分調整操業を実現できる。
【0037】
【実施例】
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0038】
(実験例1)
溶製のための精錬炉として溶鋼量100トン/チャージの炉を使用し、表2に示す銘柄、組成および単価の合金材を用いて溶鋼の成分調製を行なった。調整する元素はC,Mn,Si,Crおよび不純物としてのBとし、表1に示す吹止め溶鋼の分析成分値を基準とし、同表に示す目標成分値1〜4に合金成分量を調整する場合について、本発明法を採用し前記式(1)〜(3)、あるいは更に式(7)や(8a)(8b)を加味して合金材銘柄の選択とその添加量を算出した例と、従来法を採用した例について成分調整実験を行ない、表3,4に示す結果を得た。尚、吹止め時における合金材秤量値の上限は、各銘柄の合金材についてそれぞれ500kgとした。また、式(1)(3)における各元素の歩留りYi は何れも100%、係数Am は0.01、係数Bi は100として計算した。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】
【表4】
【0043】
目標成分値1は、不純物要因を加味しないで成分調整を行なった場合の例であり、操業者が手計算によって添加合金材銘柄と投入量を算出する従来法では、計算が煩雑となるためSiとMnの両方を含む合金Fの使用を敬遠する傾向にあり、SiとMnを夫々単独で含有する合金材銘柄を選択するため、合金材コストは高めになる傾向があった。しかしながら、線形計画法によって合金材計算を行なう方法を採用すると、合金材銘柄の選択とその投入量を含めた合金計算を極く短時間で行なえるため、より低コストの合金材銘柄の選択と投入量を瞬時に割り出すことができ、合金材コストを操業者の手計算による従来法に比べて約93%に低減することができる。
【0044】
また、線形計画法を採用した場合でも、従来法では吹止め時に大量(1426kg)の合金Fを秤量しなければならず、その秤量と投入にかなりの時間を要するため、転炉耐火物等への悪影響が懸念されるが、本発明の方法を採用して合金Fの添加を吹止めの前・後に分けて実施し、吹止め時に算出して投入する合金材の量を500kg以下に抑えることによって、調質・出鋼に要する時間を延ばすことなく、合金材コストの低減を有効に実施することが可能となる。
【0045】
また目標成分値2も、不純物要因を加味しないで成分調整を行なった場合の例であり、従来の線形計画法を採用した合金計算法では、元素Cについて前記(1’)式の右辺がマイナスとなるため実行解が得られず、合金計算ができない。ところが本発明の方法によれば、前記(1)式における(Ti E−Ti S)の値がマイナスとなってもΔDi に吸収されるので実行解を求めることができ、また前記(3)式が最小となる様な合金材銘柄の選択と投入量を決定することによって、目標成分値と合金材添加後の溶鋼成分のズレが極力少なくなる様な合金計算が可能となる。しかも、合金材の一部を吹止め前に予め添加しておく方法を採用することによって、吹止時に添加する合金材の添加量を秤量限界の500kg以下に抑えることができ、転炉耐火物への悪影響も回避できる。
【0046】
即ち従来法の線形計画法では、目標成分値と分析成分値によっては解が求まらず、コストを最小とするための合金銘柄の選択およびその投入量を算出し得なくなることがあるが、本発明の方法によれば、どの様な場合でも、最適合金銘柄の選択とその投入量を確実に求めることができ、常に合金材コストを最小に抑えることが可能となる。
【0047】
次に目標成分値3の場合の本発明法では、Bを不純物元素として不純物要因を示す前記式(7)式を加味して線形計画法による合金計算を行なっているのに対し、従来法では、該不純物要因は全く考慮されていない。そのためこの従来法では、目標成分値1の場合と同様に合金Fを主体とした安価な合金計算してしまい、合金材コストは低くなっているが、B含有量が目標値の上限を超える4.29ppmとなっており、製品溶鋼としては規格外品となっている。これに対し本発明法では、合金材銘柄の選択基準が変わり合金材コストは若干高くなっているが、B含有量は目標値の上限値に納まっており、溶鋼品質上の問題も全く生じない合金計算が実行されていることが分かる。
【0048】
また、目標成分値4の場合、従来法で合金Aを選択したときの投入量は559kgと計算されるが、該銘柄の合金材が1000kg袋詰めの場合は、計算通りに投入することができない。ところが本発明の方法によれば、前記分枝限定法を組合せることによって、袋詰め合金については袋詰め単位ごとに吹止め前に計算することができるため計算通りの操業が可能となる。
【0049】
なお図7、図8は、精錬炉実機を用いた実用レベルでの成分調整を実施した多数の実操業例から、創業者が手計算で合金計算を行なった場合と、従来の線形計画法および本発明法を採用して合金計算を行なった場合のデータを集計して合金コスト指数、および最小コスト計算が行なわれた遂行率(実行解が求められた率)を調べ、夫々の平均値として整理したグラフである。図7からも明らかである様に、合金コスト指数については、手計算した場合を100として、従来の線形計画法では4%であったものが、本発明ではその倍の8%にまでコスト低減を図れることが分かる。また図8からは、本発明による遂行率100に対し、従来の線形計画法では実行解が求められないことがしばしば発生し、遂行率は80%で1/4の比率で遂行不能が生じ、また手計算による方法の場合の遂行率は60%に過ぎない。
【0050】
この様に本発明によれば、成分調整式(1)、合金投入量の非負の式(2)、合金材コストと合金材投入後の目標成分からのずれの和を示す目標関数式(3)を使用し、線形計画法で合金計算することにより、従来の線形計画法を利用した合金計算法よりも一層合金材コストの低減を図ることができ、また、不純物元素アップ防止の式(7)を組み込むことにより、不純物要因の溶鋼品質不良も回避できる。また、前記(9)、(10)式を組合せて実施すれば、吹止め時の限られた時間内に秤量可能な合金材量から吹止め前に予め秤量する合金銘柄mの投入量と吹止時に投入する合金銘柄mの投入量を計算する方法を組合せて実施すれば、より実操業に適合したコスト低減を実施することが可能となる。
【0051】
(実験例2)
実験例1と同様、溶製のための精錬炉として溶鋼量100トン/チャージの炉を使用し、表2に示す銘柄、組成および単価の合金材を用いて溶鋼の成分調製を行なった。調整する元素はC,Mn,Si,Cr,P,Bおよび下記(11)、(12)式で表される強度係数CEと溶接性係数CEQとし、表5に示す吹止め溶鋼の現状成分値を基準とし、同表に示す目標成分値に調整する場合について、本発明法を採用し、前記式(1)〜(3)、或いは前記式(1)、(2)、(4)〜(6)を用いて合金材銘柄の選択とその添加量を算出した成分調整実験を行ない、図9、10に示す結果を得た。尚、上限制約値、下限制約値は表5中に、また上限許容値および下限許容値は下記(13)(14)式に示す。式中における各元素の歩留りYi は何れも100%とし、係数Am については、成分調整する元素がC,Mn,Si,Cr,P,Bの場合は10.0とし、CEおよびCEQについては5.0とした。また(3)式中のBi は0.01、(6)式中のBi は0.002とし、αi はどの元素についても1000.0とした。
CE =C+Si/5+Mn/6+P+1.2V+Nb ・・・(11)
CEQ=C+Mn/6+(Cu+Ni)/15+(Cr+Mo+V)/5・・・(12)
Uki=0.8(Ui −Ti E)+Ti E ・・・(13)
Lki=Ti E−0.8(Ti E−Li ) ・・・(14)
【0052】
図9、10は両図ともに各調整成分を上下限制約値、目標値、上下限許容値で正規化したものであり、各調整成分の計算結果をプロットしている。図9は表5における現状成分の内V=0として計算したもので、目標値に調整可能な場合であり、(3)式或いは(6)式のいずれを用いた場合でも同様の結果が得られる。図10は上下限制約内に調整可能であるが、全てを目標値に調整できない場合であり、(3)式を用いた場合にはCE、CEQが下限制約値、上限制約値近傍に調整されているが、(6)式を用いた場合にはCE、CEQとも上限制約値、下限制約値の内側に調整されている。成分の調整精度やコストを多少犠牲にしても調整成分値の上下限制約値近傍への調整を防ぎたい場合には(6)式を用いた方が有効であることが分かる。
【0053】
【表5】
【0054】
【発明の効果】
本発明は以上の様に構成されており、精錬炉での溶製終了段階で溶鋼中のある成分含有量が目標値を越えてしまった様な場合でも、最適の合金材銘柄の選択とその投入量を正確に割り出すことができ、合金計算の完全な自動化と合金材コストの低減を確実に達成し得ることになった。
【0055】
また上記の効果に加えて、成分調整に用いられる合金材中に含まれる不純物に由来する欠陥溶鋼の発生も生じることなく、適正な合金材銘柄の選択と投入量割り出しが可能となる。
【0056】
更に、現場の状況等によって合金材投入量の上限および下限が存在する様な場合、あるいは成分調整のための合金材投入量が多くなって出鋼前の短時間内に当該合金材の秤量が間に合わなくなる様な事態が想定される場合でも、出鋼作業の遅延やその後の操業ラインの乱れ等を含めて何らの問題も生じることなく、確実な成分調整が可能となる。
【0057】
また更に、精錬設備に常備されているホッパー数が限られていて合金材を予め決められた重量単位で投入しなければならない様な場合であっても、該投入量も加味して最も適切な合金材銘柄の選択と投入量を決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項3に記載の溶鋼の成分調整法の計算過程を示すフロー図である。
【図2】請求項4に記載の溶鋼の成分調整法の計算過程を示すフロー図である。
【図3】本発明に従って線形計画法を実施する際の、合金材銘柄の選択とその投入量の算出経緯の例を示す図である。
【図4】分岐限定法を実施する際の説明図である。
【図5】メンバシップ関数を説明するグラフである。
【図6】請求項5に記載の溶鋼の成分調整法の計算過程を示すフロー図である。
【図7】本発明を実施した場合と、従来の手計算法あるいは従来の線形計画法を採用した場合の合金材コスト指標を示すグラフである。
【図8】本発明を実施した場合と、従来の手計算法あるいは従来の線形計画法を採用した場合の、最小合金材コスト算出の遂行率を対比して示すグラフである。
【図9】実験例2において、現状成分値の内Vの値を0とした場合の本発明の計算結果の例を示すグラフである。
【図10】実験例2において、現状成分値をそのまま用いた場合の本発明の計算結果の例を示すグラフである。
Claims (7)
- 溶鋼に合金材を添加して溶鋼の成分調整を行うに当たり、溶鋼中の各合金元素の現状値と目標含有量、前記合金材の各銘柄別の単価と各合金元素の含有量および溶鋼中への歩留まり、並びに溶鋼量に基づいて、線形計画法によって合金材の投入量を設定して溶鋼の成分調整を行う方法において、
下記(1)式で示される成分調整式と、下記(2)式で示される合金材投入量の非負の式を使用し、線形計画法によって、合金材コストおよび合金材投入後の各合金元素毎の到達見込み量と目標含有量のずれの和を示す下記式(3)で示される目標関数が最小となる様に、合金材の投入量を決定することを特徴とする溶鋼の成分調整方法。
(Ti E−Ti S)+ΔDi=[Σm=1(Wm・Ci m・Yi)/WFe] …(1)
Wm≧0 …(2)
Σm=1(Am・Wm・Pm)+Σi=1(Bi・|ΔDi|) …(3)
(式中、
Ti Eは溶鋼中の合金元素iの目標含有量
Ti Sは溶鋼中の合金元素iの現状値
Wmは合金材銘柄mの投入量
Ci mは合金材銘柄m中の合金元素iの含有量
Yiは合金元素iの溶鋼中への歩留まり
WFeは溶鋼量
ΔDiは合金材の投入量および該投入される合金材中の合金元素iの含有量と溶鋼中への歩留まりから計算される溶鋼中の合金元素iの到達見込み量と合金元素iの目標含有量との差
Am,Biは係数
Pmは合金材銘柄mの単価を表す) - 溶鋼に合金材を添加して溶鋼の成分調整を行うに当たり、溶鋼中の各合金元素の分析値と目標含有量、前記合金材の各銘柄別の単価と各合金元素の含有量および溶鋼中への歩留まり、並びに溶鋼量に基づいて、線形計画法によって合金材の投入量を設定して溶鋼の成分調整を行う方法において、
各合金元素毎に予め決定されている各調整成分の上限制約値および下限制約値と、目標値と該上限制約値の間であれば任意に設定できる上限許容値、並びに目標値と該下限制約値の間であれば任意に設定できる下限許容値から下記(4)、(5)式を用いて下記<1>〜<3>の様に定められる各合金元素毎のメンバシップ関数および下記(1)、(2)式を使用し、線形計画法によって、合金材コスト、合金材投入後の各合金元素毎の到達見込み量と目標含有量のずれ、およびメンバシップ関数値の和を示す下記式(6)で示される目標関数が最小となる様に、合金材の投入量を決定することを特徴とする溶鋼の成分調整方法。
(T i E −T i S )+ΔD i =[Σ m=1 (W m ・C i m ・Y i )/W Fe ] …(1)
W m ≧0 …(2)
f1={[Σm=1(Wm・Ci m・Yi)/WFe]+Ti s−Uki}/(Ui−Uki) …(4)
f2=1−{[Σm=1(Wm・Ci m・Yi)/WFe]+Ti s−Li}/(Lki−Li)…(5)
<1> λ=0 (f1≦0かつf2≦0の場合)
<2> λ=f1(f1>0かつf2≦0の場合)
<3> λ=f2(f1≦0かつf2>0の場合)
Σm=1(Am・Wm・Pm)+Σi=1(Bi・|ΔDi|)+Σi=1αi・λi …(6)
(式中、
T i E は溶鋼中の合金元素iの目標含有量
T i S は溶鋼中の合金元素iの現状値
W m は合金材銘柄mの投入量
C i m は合金材銘柄m中の合金元素iの含有量
Y i は合金元素iの溶鋼中への歩留まり
W Fe は溶鋼量
ΔD i は合金材の投入量および該投入される合金材中の合金元素iの含有量と溶鋼中への歩留まりから計算される溶鋼中の合金元素iの到達見込み量と合金元素iの目標含有量との差
Ukiは溶鋼中の合金元素iの上限許容値
Uiは溶鋼中の合金元素iの上限制約値
Lkiは溶鋼中の合金元素iの下限許容値
Liは溶鋼中の合金元素iの下限制約値
A m ,B i ,αiは係数
P m は合金材銘柄mの単価
λiは溶鋼中の合金元素iのメンバシップ関数値を表す) - 溶鋼に合金材を添加して溶鋼の成分調整を行うに当たり、溶鋼中の各合金元素の分析値と目標含有量、前記合金材の各銘柄別の単価と各合金元素の含有量および溶鋼中への歩留まり、並びに溶鋼量に基づいて、線形計画法によって合金材の投入量を設定して溶鋼の成分調整を行う方法において、
各合金元素毎に予め決定されている各調整成分の上限制約値および下限制約値と、目標値と該上限制約値の間であれば任意に設定できる上限許容値、並びに目標値と下限制約値の間であれば任意に設定できる下限許容値から下記(4)、(5)式を用いて下記<1>〜<3>の様に定められる各合金元素毎のメンバシップ関数に適当な上限値を設け、
該メンバシップ関数値が該上限値を超える場合には、下記(1)式で示される成分調整式と、下記(2)式で示される合金材投入量の非負の式を使用し、線形計画法によって、合金材コストおよび合金材投入後の各合金元素毎の到達見込み量と目標含有量のずれの和を示す下記式(3)で示される目標関数が最小となる様に、合金材の投入量を決定し、
該メンバシップ関数値が該上限値以下である場合には、該メンバシップ関数および下記(1)、(2)式を使用し、線形計画法によって、合金材コスト、合金材投入後の各合金元素毎の到達見込み量と目標含有量のずれ、およびメンバシップ関数値の和を示す下記式(6)で示される目標関数が最小となる様に、合金材の投入量を決定することを特徴とする溶鋼の成分調整方法。
(T i E −T i S )+ΔD i =[Σ m=1 (W m ・C i m ・Y i )/W Fe ] …(1)
W m ≧0 …(2)
Σ m=1 (A m ・W m ・P m )+Σ i=1 (B i ・|ΔD i |) …(3)
f1={[Σ m=1 (W m ・C i m ・Y i )/W Fe ]+T i s −U ki }/(U i −U ki ) …(4)
f2=1−{[Σ m=1 (W m ・C i m ・Y i )/W Fe ]+T i s −L i }/(L ki −L i )…(5)
<1> λ=0 (f1≦0かつf2≦0の場合)
<2> λ=f1(f1>0かつf2≦0の場合)
<3> λ=f2(f1≦0かつf2>0の場合)
Σ m=1 (A m ・W m ・P m )+Σ i=1 (B i ・|ΔD i |)+Σ i=1 α i ・λ i …(6)
(式中、
T i E は溶鋼中の合金元素iの目標含有量
T i S は溶鋼中の合金元素iの現状値
W m は合金材銘柄mの投入量
C i m は合金材銘柄m中の合金元素iの含有量
Y i は合金元素iの溶鋼中への歩留まり
W Fe は溶鋼量
ΔD i は合金材の投入量および該投入される合金材中の合金元素iの含有量と溶鋼中へ の歩留まりから計算される溶鋼中の合金元素iの到達見込み量と合金元素iの目標含有量との差
U ki は溶鋼中の合金元素iの上限許容値
U i は溶鋼中の合金元素iの上限制約値
L ki は溶鋼中の合金元素iの下限許容値
L i は溶鋼中の合金元素iの下限制約値
A m ,B i ,α i は係数
P m は合金材銘柄mの単価
λ i は溶鋼中の合金元素iのメンバシップ関数値を表す) - 不純物元素要因を示す下記(7)式を加えて、線形計画法により合金材の投入量を決定する請求項1〜3のいずれかに記載の溶鋼の成分調整方法。
Tb E−Tb S≧[Σb=1(Wm・Cb m・Yb)/WFe] …(7)
(式中、
Tb Eは溶鋼中に含まれる不純物元素bの限界含有量
Tb Sは溶鋼中の不純物元素bの現状値
Cb mは合金材銘柄m中の不純物元素bの含有量
Ybは不純物元素bの溶鋼中への歩留まりを表す) - 更に、合金材投入量の上限値および下限値を示す下記(8a),(8b)式を加えて合金材の投入量を決定する請求項1〜4のいずれかに記載の溶鋼の成分調整方法。
Wm≧Lm …(8a),
Wm≦Um …(8b)
(式中、
Lmは合金材銘柄mの投入量の下限値
Umは合金材銘柄mの投入量の上限値を表す) - 精錬炉での精錬末期に、吹止め前と吹止め後の2回に分けて合金材の添加を行う請求項1〜5のいずれかに記載の溶鋼の成分調整方法。
- 合金材銘柄のうち少なくとも1種が、予め決められた投入単位を有する場合、前記線形計画法に分岐限定法を組み合わせて合金材投入量を決定する請求項1〜6のいずれかに記載の溶鋼の成分調整方法。
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