JP3734273B2 - 耐磨耗性複合シート - Google Patents

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Description

本発明の背景
本発明の分野
本発明は対磨耗性複合シートおよび該シートの製造法に関する。特に本発明は繊維のパイル状の群が樹脂によりシートの表面に一般的に垂直な位置において不動化されている複合シートに関する。
従来法の説明
種々の織物または不織布を樹脂層に対して積層化し、熱成形法および型成形法に使用される複合シートをつくることは公知である。例えばこのような複合シートはMiyagawa等の米国特許4,298,643号、Aafirogluの米国特許5,075,142号および日本特許公告明細書63−111050号および63−162238号に記載されている。成形可能な複合体は多くの用途に使用されて来た。しかしこのような複合体は強い磨耗を受ける製品、例えば運動靴、旅行鞄、保護用作業布、苛酷な作業用の靴下等に使用する場合には改善が必要である。
パイル繊維布およびパイル状の繊維布、例えばベルベット、ビロード、テリークロス(terry cloth)、モケットおよびタフト付きのパイル繊維布では、繊維は繊維布の表面に一般的に垂直な表面層を有している。またZarirogluの米国特許4,773,238号および同4,876,128号には、弾力性をもった糸で繊維布層が収縮させられて繊維のパイル状の群をつくっている或る種のステッチで結合された繊維布が記載されている。一般にこのような繊維布が樹脂で含浸された複合シートの中に導入されている記載はない。しかし日本特許願64−85614号および64−85615号には、樹脂が加えられたタフト付きのパイル繊維布を含む床マットが記載されている。このタフト付きのパイルはパイルの高さが8mm、パイル繊維濃度が0.08g/cm3である。パイル繊維と樹脂との組み合わせの割合はパイル繊維布62重量%、樹脂38重量%である。このマットの後で説明するようなパイル・パラメータPは僅かに0.1g/cm3である。本発明においては、(a)このように低いパイル繊維濃度がこのように低い全体としての層密度および低いパイル・パラメータと組み合わされた場合、大きな耐磨耗性が得られないこと、および(b)このような比較的高さの高いパイルがパイルの先端に樹脂の緻密な層をもっている(例えば総ての樹脂がパイルの先端の1mmの所に存在している)場合でも、このような樹脂/パイル層は伸長し、強い摩耗によって引き裂かれることが見出された。このような床マットの耐磨耗性を増加させるとその使用性も改善されるであろう。
Watt等の米国特許4,808,458号には、スエード効果を得る目的で、発泡させた樹脂がパイルの底の部分の75%、好ましくは50%に主として存在し、パイルの残りの部分は樹脂を含まないまま残されている毛屑状のパイル繊維布が記載されている。このような製品は苛酷な表面の磨耗に抵抗する上では効果がない。
Zafirogluの国際特許公開明細書94/19523号には、樹脂を含浸した耐磨耗性をもつ不織布が記載されている。この繊維布は、不織繊維層を収縮させ層の面の外側に反り曲げ、一般的に層の面から垂直に突き出した「逆U字形」のループをつくり、次いで収縮させた層を樹脂で含浸させることによって製造される。典型的には、不織繊維の内部において繊維はすべての方向に配置されている。。従って反り曲げられた繊維層の中にあるループの個々の繊維は収縮の方向に対して一般的に垂直な方向に配置されているのではなく、反り曲げられた不織繊維層のループの内部においてすべての方向に位置している。繊維の群はU字形のループをつくっているが、ループの内部の繊維の大部分は層の面に対し垂直な方向には向いていない。このような収縮させられた繊維層を樹脂で含浸すると、樹脂で含浸した平らな(収縮または反り曲げられていない)不織層に比べ優れた耐磨耗性をもった複合シートが得られるが、なお耐磨耗性の改善が望まれている。
本発明の目的は苛酷な摩擦的な摩耗に対し非常に高い抵抗性を有する複合シートを提供することである。
本発明の概要
本発明の目的は耐磨耗性複合シートを提供することである。このシートは上部表面と下部表面とを有し、且つ樹脂、パイル状繊維の群および平らな網状構造を含んでいる。この網状構造は複合シートの上部および下部表面の間にそれと実質的に平行に配置されている。パイル状繊維の群は後部および下部表面の間に配置され、平らな網状構造に機械的に連結されそこから一般的に垂直方向に突き出している。この複合シートは任意の方向における伸長率が25%以下である。パイル状繊維の群は有効パイル繊維濃度ceffが少なくとも0.10g/cm3、好ましくは0.15〜0.4g/cm3の範囲であり、樹脂によって取り囲まれ、一般的に垂直の方向に不動化されている。典型的には樹脂の量は複合シートの全重量の30〜90%、好ましくは少なくとも50%である。パイル状繊維の群および平らな網状構造は織物のデシテックス(即ち0.7〜20dtex)の繊維から構成されている。さらにパイル繊維/樹脂の層は厚さが0.5〜3mm、好ましくは1〜3mmであり、全体としての密度dは少なくとも0.4g/cm3好ましくは0.5〜1.2g/cm3の範囲であり、任意の方向における伸長率は25%以下、好ましくは10%以下であり、垂直方向の圧縮率は25%以下、好ましくは10%以下であり、式P=[(ceff)(d)]1/2によって計算されるパイル・パラメータは少なくとも0.3g/cm3、好ましくは少なくとも0.35g/cm3である。典型的にはパイル/樹脂の層は500〜2,500g/m2の坪量をもっている。複合シートの表面は耐磨耗性をもち、40グリットのWyzenbeek摩耗試験において1,000回で50μより多く摩耗されることはない。
本発明はまた、(a)厚さ0.5〜3mmの表面層の中に該表面に一般的に垂直に繊維のパイル状の群が配置され、該繊維のパイル状の群の各々は一般的に水平な網状構造に機械的に取り付けられ且つそれを通って突き出しているようなパイル状繊維の群をつくるまたはつくり得る繊維布を製造し、(b)該繊維布の面積を少なくとも1/2で通常は1/15以内、好ましくは1/3〜1/12に収縮させ、該表面上で該繊維の群を反り曲げて垂直に配向させ、一般的に垂直なパイル状繊維の濃度を少なくとも0.10g/cm3、好ましくは0.15〜0.4g/cm3の範囲に増加させ、(c)該表面層に樹脂を導入して該繊維のパイル状の群を一般的に垂直な位置で不動化させ、全体としての密度が少なくとも0.4g/cm3、パイル・パラメータPが少なくとも0.3g/cm3で、樹脂が表面層の全重量の30〜90%を構成するような層をつくり、(d)随時該複合シートに弾性をもたない要素を取り付けることにより寸度をさらに安定化させる工程から成る耐磨耗性をもった複合シートの製造法を含んでいる。
さらに本発明によれば、成形品の表面の少なくとも一部に耐磨耗性の複合シートが取り付けられている成形品が提供される。この複合シートはWyzenbeekの40グリット摩耗試験(後述)に耐え50μ/1,000回より多くの厚さの損失を示さない表面層を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
添付図面を参照すれば本発明をさらに理解できるであろう。図1は本発明の耐磨耗性をもった表面層の理想化された拡大断面図を模式的に示し、ここで繊維のパイル状の群は高さがH、底の幅がBの一般的に垂直な逆U字形のループ10の形をしており、このループ10は樹脂で含浸された繊維層の上部表面17および下部表面18との間で樹脂15の中に不動化されている。ループ10は一般的に層の上部表面17に垂直であり、収縮させられた要素20は一般的に表面17および18に平行である。表面17は摩耗条件に露出されるべき表面である。図2は糸または層を反り曲げまたは収縮させる前における糸または不織繊維層の繊維の束の断片11を示す。この断片は間隔Sのステッチまたは固定点12および13の間に配置されている。図3および図4はそれぞれ、断片が配置されている繊維布または繊維層が該断片の長さ方向に1/2(図2)または1/3(図3)に収縮させられた後の断片11の様子示している。繊維の束または糸の垂直性が大きいほど大きな収縮が得られることに注目されたい。
好適具体化例の詳細な説明
好適な具体化例の下記の説明は例示のためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。本発明の範囲は添付特許請求の範囲によって規定される。
本明細書において「繊維のパイル状の群」または「パイル状繊維」という言葉は反り曲げられた糸、織物用繊維の反り曲げられた不織層からつくられた逆U字形のループ、タフト付きの糸等を含んでいる。これらの繊維のパイル状の群の内部のそれぞれの繊維は通常の織物のデシテックス値、即ち0.7〜20デシテックスの値をもっている。
本発明の高度の耐磨耗性をもった複合体は繊維のパイル状の群が違いに詰め込まれ、表面層の内部で樹脂で不動化されている表面をもっている。パイル状の繊維は、やはり該表面層の内部にある繊維の網状構造から、例えば該層の中間の面または底面において一般に垂直に突き出している。繊維の網状構造は不織布の繊維層、編物繊維布、織物繊維布等であることができる。典型的には図1に示されているように、繊維の網状構造は20は磨耗に露出される層の外表面3mm以内の所に位置している。樹脂15および繊維の網状構造20は、繰り返し磨耗または摩擦をかけられ、複合体の表面が横方向および垂直方向の力を受けた場合、パイル状の繊維10が側面から側面へ動いたり、或いは層の中に潰れ込むのを防いでいる。この複合体は伸長性をもち、また樹脂/パイル繊維の層は圧縮性(圧縮率の測定法は後述)を有しているが、その程度はいずれも25%より大きくはなく、好ましくは10%よりも大きくない。伸長性および圧縮性はそれぞれ、複合体が苛酷な摩耗条件下に置かれた場合、繊維がどれだけ側面から側面へと動き得るか、および繊維がどれだけその垂直の位置おから潰れ得るかの目安である。
本発明に従えば、この耐磨耗性をもつ複合体の表面層は厚さが0.5〜3mmである。磨耗を受ける表面が水平の網状構造から3mm以上離れている場合、パイル状の層を不動化し安定化させるためには3mmよりも厚い厚さは避けるべきである。表面層の内部における一般的に垂直なパイル状の繊維の有効濃度ceffは0.1〜0.5g/cm3の範囲、好ましくは0.15〜0.4g/cm3の範囲にある。複合体の表面層の中で樹脂は該層の全重量の30〜90%、好ましくは少なくとも50%、最も好ましくは少なくとも70%存在する。表面層の全体としての密度dは少なくとも0.4g/cm3である。磨耗に対し高い抵抗性をもつためには、複合体の表面層の「パイル・パラメータ」Pは少なくとも0.3g/cm3である。本明細書において定義されるパイル・パラメータは、パイル状繊維の濃度と表面層の全体としての密度との積の平方根である。即ちパイル・パラメータは式P=[(c)(d)]1/2で定義される。
典型的な場合、本発明の複合シートの表面層は完全には樹脂および繊維で充填されていない。この層は多くの小さい空隙をもっていることができる。本発明に使用するのに適した大部分の繊維および樹脂は密度が少なくとも1.0g/cm3であるから、表面層の全体としての密度が少なくとも0.4g/cm3、一般的には約0.9g/cm3以下であるということは、表面層の全容積の少なくとも10%、最高65%の空隙が表面層に存在することを自動的に意味している。しかし全体の密度が最高1.2g/cm3であり、従って樹脂の密度が1.0g/cm3よりも大きい場合も本発明に使用することが意図されている。軽量で可撓性の大きな複合シートに対しては、表面層の空隙の容積は25〜75%であることが好適である。通常表面層における垂直な繊維の濃度が低い複合体には多量の樹脂が使用される。例えば有効パイル繊維濃度が下限の0.1g/cm3に近い本発明の複合シートにおいては、70〜90%の樹脂を含む層が好適である。比較的高いパイル繊維濃度に対しては、これよりも低い割合で(例えば30〜50%)樹脂を使用することができる。
一般的に垂直な位置で配置された繊維または繊維の束を不動化させるための樹脂としては種々の種類の樹脂が適している。特に有用な重合体樹脂にはポリウレタン、エポキシ、合成ゴム、ポリエチレン、ポリアクリレート、ポリエーテル、ポリエーテルエステル、ポリアミド、およびこれらの共重合体および混合物等が含まれる。これらの樹脂は熱可塑性および熱硬化性であることができる。非常に軟らかい樹脂、例えば軟らかいゴム・ラテックス、または高度の発泡性をもった樹脂は一般に本発明に使用するのに適していない。本発明に使用するのに適した樹脂は繊維に良く接着し、通常パイル状繊維全体に亙って良く分布するものである。しかし、樹脂がパイル状繊維層全体に亙って完全には均一に分布していない場合には、樹脂は端が水平な繊維の網状構造に機械的にくっついているよりも、磨耗を受ける表面近くに濃縮されている方が好ましい。
樹脂はパイル状繊維層に対し任意の幾つかの方法、例えば浸漬、噴霧、カレンダー掛け、ドクター・ナイフによる被覆、または他の方法で被覆することができる。樹脂は溶液、分散液、またはスラリ、或いは樹脂層を熔融させこれを垂直な繊維の中に押し込む方法で被覆することができる。通常の凝固および/または発泡法を用いて樹脂を被覆することもできる。大部分の場合、表面層における垂直な樹脂の所望の濃度を得るために本発明において必要とされる収縮工程を行う前、その途中または後で、樹脂または接合剤を繊維層の中に導入することができる。しかし表面層をつくり樹脂を導入する場合、繊維が垂直の位置からずれないようにし、繊維が垂直に配置される前に繊維が不動化されるのを避けるように注意しなければならない。パイル状繊維層の中に導入した後、通常の方法で樹脂を乾燥させ、および/または硬化させる。樹脂を被覆する際、パイル状繊維層の厚さを最低25%程度圧縮すると、パイル状繊維はしばしば垂直の位置から著しくずれ、耐磨耗性が低下した複合体が得られる。
本発明の複合シートの表面層は垂直な繊維を含まない樹脂100%から成る層、または繊維が垂直な位置に配置されていない樹脂/繊維表面層に比べ、遥かに大きな耐磨耗性をもっている。例えば垂直な繊維が比較的柔らかいポリウレタン樹脂の層の中に収納された本発明の複合体は、同じ樹脂100%からつくられた層に比べ耐磨耗性は50〜150倍に達する。かたい、耐磨耗性が比較的大きな樹脂を用いた場合には、本発明の繊維/樹脂層が同じ樹脂100%の層に比べて有する利点はそれほど大きくはない。しかし、繊維を全く含まないかまたは主として水平な繊維を含んだ表面層に比べ、本発明の複合体の表面層の耐磨耗性は遥かに大きい。
本発明方法においては、第1の工程でパイル状繊維層を有するかまたはそれをつくり得る繊維布をつくる。本明細書において使用される「パイル状繊維層」という言葉は、内部の繊維が繊維布の表面に対して一般的に垂直に配置された繊維布の表面層を意味する。
本発明方法の或る種の具体化例に従えば、一般的に垂直な繊維層は実質的に接合されていない繊維性の不織層から誘導されるが、この不織層は繊維または一群の繊維を繊維性の不織布の平らな面から反り曲げてパイル状繊維層をつくる収縮工程を受けたものである。一般的に垂直なパイル状繊維層の繊維は図1に示されており、しばしば高さがH、底面の幅がBの逆U字形のループの形をしている。このようなループは、接合されていない繊維性の不織布からその一部がつくられた場合に、典型的には間隔(即ちB)が0.1〜2mmの範囲であり、高さ対底面の幅の比は少なくとも0.5である。層を高度に(例えば1/10〜1/15に)収縮させ、パイル繊維またはパイル状繊維をつくり得る他の要素を構造物の中に含ませた場合(例えばステッチ・パターンの中に他の非弾性糸を含ませた場合)、ループの間隔が最小0.1mmであり、高さ対底面の幅の比が最高15のものが得られる。ループのHおよびBの寸法を決定する実用的な方法は下記試験法の所に記載されている。
本発明方法の具体化例に使用される典型的な不織繊維層は、織物デシテックスをもつステープル・ファイバーまたは連続フィラメントの薄く、しなやかな実質的に接合されていないウエッブである。本明細書においてはこれらの繊維材料を総括的に「繊維」と呼ぶことにする。繊維は天然産または合成品の有機重合体である。5dtexより細く、5mmより長い繊維が好適である。好適な繊維層は比較的短い間隔(例えば1mm程度)で反り曲げることができ、典型的な重さは15〜100g/m2であり、好ましくは60g/m2を越えない。原料の不織繊維層として適した材料はカージングされたウエッブ、空気で配置したウエッブ、湿らせて配置したウエッブ、スパンレース加工されたウエッブ、スパンボンド加工されたシート等が含まれる。一般に厚いごわごわしたウエッブ、フェルト、接着剤または熱的に接合させたウエッブ等は不適当である。このような材料は通常短い間隔で捩らせることは困難である。
繊維層を収縮させ反り曲げる操作は幾つかの方法で行うことができる。例えば収縮可能な要素、または収縮可能な要素の配列を繊維層に断続的に取り付けることができる。取り付け位置の間の間隔は典型的には効率的な反り曲げが得られるような少なくとも1mm程度である。次いでこの要素または要素の配列を収縮させ、繊維層の面積を著しく減少させ、繊維の群が層の面から外側へ反り曲げられるようにする。収縮可能な要素を取り付ける前に、収縮可能な要素を取り付けるのに使用する装置に層を過剰供給することにより、繊維性の原料層に更に集約または収縮を行うことができる。
多くの種類の収縮可能な要素は本発明に使用するのに適している。例えば弾性糸を用い張力を掛けて不織繊維層をステッチにより結合することができる。テクスチャー加工された伸長糸、被覆されたまたは裸のスパンデックス糸等は収縮可能な要素のステッチングを行うのに適した糸である。ステッチングを行った後、張力を緩め所望のように繊維層を収縮させ捩れさせることができる。ステッチングの代わりに、縦糸、交叉縦糸、フィルム等の形の伸びた弾性要素を、油圧で縺れさせるか、接着剤または熱によって点接合を行い断続的に繊維層に取り付けることができる。しかる後伸びた要素にかかる張力を緩め、層を収縮させ反り曲げることができる。
熱、水分、化学薬品等で処理すると収縮する他の型の収縮可能な要素を、最初該要素に張力をかけたり引き延ばしたりすることなく、繊維層に断続的に取り付けることができる。取り付けた後、適切な処置を行って収縮可能な要素を収縮させることができる。
繊維層を収縮させ反り曲げるさらに他の方法には、基質を引っ張る方向に対して横方向に狭搾を起こす伸長可能な基質に繊維層を断続的に取り付ける方法が含まれる。例えば或る種の基質は、一方向に15%だけ伸長した場合、横方向の実質的に不可逆的な収縮(即ち狭搾)を伸長した量の2〜3倍の量で自動的に引き起こすことができる。従ってステッチングおよび狭搾の操作の前に伸長可能な基質に繊維層を断続的に適切に取り付け、次いで一緒にした層と基質とに伸長力をかけると、繊維層の区域を著しく減少させ、本発明方法で要求されるように繊維の群を反り曲げらせることができる。
本発明の他の具体化例においては、パイル状繊維層は収縮可能な要素で構成された編物または織物繊維布の通常の繊維から誘導される。収縮可能な要素が収縮すると、繊維布の面積が著しく減少し、繊維布の通常の繊維は集約され反り曲げられ、集約された繊維布の水平面から垂直な方向に突き出す。他の具体化例においては、パイル状繊維層は、弾力性をもった組み合わさ糸の収縮可能な芯の軸の周りに緩く巻き付けられている巻き付け糸から突き出した繊維のループを含んでいる。一般に収縮させ反り曲げることができる糸は収縮させ反り曲げられた不織繊維層よりも緻密なパイル状の層を与える。本発明に従って樹脂を被覆した後、反り曲げられた糸を用いてつくって得られた複合シートは、反り曲げられた不織繊維層を用いてつくられたものよりも耐磨耗性が大きい。
本発明のさらに他の具体化例においては、収縮させた実質的に接合されていない繊維の不織布、収縮された組み合わせ糸の緩く巻き付ける方の糸、および/または反り曲げられた非弾性糸の組み合わせからパイル状の層が誘導される。この具体化例においてパイル状の層が部分的にまたは全部網ののまたは織物繊維布から誘導される反り曲げられた糸からつくられる場合、糸が満足すべき程度に反り曲げられるためには編目または織目は十分な粗さをもっている。典型的には反り曲げられた要素は反り曲げられる前において少なくとも1mmの長さの平らな部分をもっている。本発明のさらに他の具体化例においては、タフト付きのパイル繊維布を収縮させ、本発明の複合シートに使用するためにパイルのタフトの密度を増加させる。
本明細書において組み合わせ糸という言葉は収縮し得ない通常の「巻き付け」糸または「被覆」糸によって取り囲まれた収縮し得る芯(例えば弾性をもったまたは収縮し得る糸でつくられる)をもった糸を意味する。巻き付け糸または被覆糸は天然または合成の任意の繊維であることができる。通常の巻き付け、巻取り、合糸、被覆、空気ジェットによる縺らせまたは絡ませ法等によって弾性の芯に張力をかけながら巻き付け糸を弾性の芯と組み合わせる。芯は任意の弾性材料から成る糸またはモノフィラメントであることができる。スパンデックス糸の芯が好適である。巻き付け糸を張力をかけ引き延ばした弾性の芯と緩く(例えば3回/インチより少ない頻度で)組み合わせる場合、張力を緩めると、芯が収縮し、巻き付け糸が収縮して芯に対して垂直な方向に反り曲げられる。組み合わせ糸を用い張力をかけて繊維布を編み、織り、またはステッチ結合した場合には、組み合わせ糸から張力を緩めると、糸は収縮し、巻き付け糸は捩れて表面層にパイル状繊維をつくる。しかし巻き付け糸を弾性の芯の周りにあまりきつく巻き付けると、組み合わせ糸により複合シートにパイル状繊維をつくることはできない。
本発明方法の収縮工程においては、垂直な繊維を誘導する繊維布の面積は少なくとも1/2に、好ましくは1/3〜1/10分に、しばしば1/15以下まで収縮する。収縮工程は樹脂を被覆する前またはその最中に使用することができる。樹脂が固定された後では、繊維布は収縮することはできない。
収縮工程の結果、繊維布の表面層におけるパイル状繊維の濃度は十分に増加する。次いで樹脂含有層の全重量(即ち樹脂およびパイル状繊維の重量)の30〜90%の量で樹脂を表面層に加えその場所で繊維を不動化する。樹脂の量は層の全重量の少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%であることが好適である。典型的にはパイル状繊維の層全体に亙って均一に樹脂を分布させる。しかしパイル状繊維を実質的に垂直に不動化させる限り、樹脂の分布は幾分不均一でも良く、層の中にかなり大きな空隙が存在することもできる。この空隙の大きさは層の全容積の最高75%またはそれ以上に達することができる。層を樹脂で完全に充填するために空隙層を除去する必要はない。事実、この目的で何らかの方法を使用しないようにする。何故ならこの種の方法はしはしば繊維を過度に破砕し、垂直な位置から繊維をずらせるからである。樹脂/繊維層の垂直なパイル状繊維は本発明の複合シートにより耐磨耗性を改善する上において重要である。
上記のパイル状の繊維布の他に、繊維布が本発明の要求の範囲内のパイルの高さおよびパイル繊維の濃度をもち、また樹脂と組み合わせて少なくとも0.3g/cm3のパイル・パラメータを有する層をつくり得る限り、本発明の複合シートは他の型のパイル繊維布、例えばタフト付きのパイル繊維布、ベルベット、モケット、およびビロードからつくることができる。このような原料繊維布は典型的には0.05〜0.15g/cm3のパイル繊維濃度をもっている。このような繊維布でつくられた複合シートにおいては、樹脂は典型的にはパイル状の繊維/樹脂の表面層の全重量の少なくとも1/3に達する。パイル状の繊維/樹脂の表面層の全体としての密度は少なくとも0.4g/cm3、好ましくは0.5〜0.9g/cm3の範囲である。パイルの密度は低いよりも高い方が好適である。何故なら高密度のパイルは樹脂含浸工程中圧縮およびパイル繊維のずれに対して抵抗性が大きく、最終的には耐磨耗性の大きな層をつくることができるからである。
本発明の複合シートの耐磨耗性をもった表面は横方向の伸長および縦方向の圧縮に対し抵抗性をもっている。複合シートの伸長性および圧縮性は幾つかの方法で制御することができる。複合シートの伸長性はパイル状の繊維が取り付けられパイル繊維が突き出している水平の繊維の網状構造によって著しい影響を受ける。複合体の外表面から3mmほど内部に入った所にある元々非伸長性の繊維の網状構造は樹脂−繊維表面の層に対し非伸長性を賦与することができる。伸長性および圧縮性が共に小さい場合、柔らかい樹脂よりもかたい樹脂の方が好適である。複合シートの任意の方向における横方向の伸長性もまた強い実質的に非伸長性の細片、フィルム、シート、ウエッブ、交叉縦糸などを耐磨耗性をもった層の裏面に取り付けることによって達成することができる。この取り付けは膠付け、熱的な接合等によって行うことができる。
本発明の耐磨耗性をもった複合シートは多くの異なった製品に使用するのに適している。シートは種々の成形品に成形することができ、単一層または多重層として使用することができ、或いは種々の方法によって種々の成形品の表面または表面の一部に取り付け耐磨耗性をもった製品をつくることができる。例えば本発明の複合シートは靴の表甲、作業用の手袋、自動車のエンジンの同期ベルト、レザー状の衣類、室内運動場の保護パッド、婦人用紙入れ、袋、荷物入れ、鞍、座席の表面等に使用するのに適している。本発明の耐磨耗性の大きい複合シートは普通異常に摩耗を受ける製品、例えば靴のつま先、踵および/または底の部分、しばしばコンクリートの床の上を引きずられる産業用の袋の底面、相互作用する機械部品の軸受け面、サッカー・ボール、高負荷の作業用長靴、手袋、自動車運転者の衣類のパッド等に特に適している。
試験法
本発明の樹脂を含浸した繊維布の種々の特性を測定するのに下記の方法および工程を使用した。
不織布を反り曲げるか短い間隔で糸の一部を反り曲げてつくられた垂直のパイル状繊維をもつ本発明の複合シートにおいては、反り曲げられた繊維の群または反り曲げられた糸から逆U字形のループが生じる。繊維の群のU字形のループの高さHおよび底面の幅Bは、繊維層の面に垂直な面の中でループを通して撮影されたループの断面の拡大顕微鏡写真(例えば倍率15〜20)から決定される。次にこのデータを使用してH/Bの比を計算する。試料の頂部および/または背面を強く照射して撮った低倍率の写真を用いると、直接HおよびBを測定することができる。通常平均的なループの高さHは収縮させた繊維層の厚さに等しい。別法として、平均的なループの高さHは、直径1/4インチ(0.64cm)の平らな円筒形のプローブをもつ「接触型(touch)」マイクロメータを用い、接触面に10gの荷重をかけて直接測定することができる。日本のMitutoyo社製APB−ID型のディジタル・マイクロメータはこの測定を行うのに便利である。
上記方法の他に、パイル状繊維の「垂直性」は繊維/樹脂層の断面を拡大して検査することにより決定することができる。樹脂を被覆する際ループ画「破砕」または過度に「押し倒されて」いる場合には、逆U字の比較的長い平らな部分が繊維/樹脂層の外表面近くに観測される。真っすぐな繊維または糸が垂直な位置からずれているのも容易に観測される。樹脂を被覆する際パイル状繊維のこのようなひどいずれが起こる可能性がある。樹脂を被覆する際パイル状繊維層の厚さが30%減少すると、最終的な複合シートの耐磨耗性を減少させることができ、特にパイル状繊維の濃度が本発明を使用するに適した濃度範囲の下限近くにある場合はそうである。
伸長性Sは(a)複合シートから幅2cm、長さ10cmの試料を切り取り、(b)長い寸法に平行に試料の上に標準の長さL0の標識を付け、(c)試料から1.0kgの重りを2分間吊り下げ、(d)重りを吊り下げたまま「標準の長さ」を再び測定し、再測定で得られた長さをLfと名付け、(e)式%S=100(Lf−L0/L0を用いて伸長百分率%Sを計算することによって決定される。
圧縮率Cは複合シートのパイル/樹脂表面層の厚さの変化を(a)圧力をかけない場合の値t0および(b)351キロパスカル(51ポンド/平方インチ)の圧力をかけた場合の値tfを測定することにより決定される。直径1/4インチ(0.64cm)の円筒形の脚を通してパイル繊維/樹脂複合体に2.5ポンド(1,14kg)の荷重をかける厚さゲージを使用する。次いで圧縮百分率%Cを式%C=100(t0−tf)/t0を用いて計算する。この決定の際、含浸層の内部に圧縮し得る水平の網状構造が存在することによって生じ得る誤差を避け、圧縮率が測定されるパイル状繊維/樹脂層の特徴を表すことを保証するために、パイル/樹脂層だけが残るまで紙ヤスリをかけることにより水平の網状構造を注意深く除去する。
繊維布または繊維層の坪量はASTM法D3776−79に従って測定される。樹脂で含浸した繊維布の密度はその坪量および厚さの測定値から決定される。層の空隙率は層の全体としての密度、および層中の繊維および樹脂の重量および密度から容易に決定することができる。
過剰供給比、収縮比および全集約度は本明細書において報告されるパラメータであり、層に対して行われた操作の結果として原料の繊維層がどれだけ収縮または集約されたかを示す目安である。反り曲げられた不織繊維層を使用する本発明の具体化例に対してのみ適用される過剰供給比は、原料の繊維性不織層の初期面積対第1の処理工程(例えばステッチ結合工程)の直ぐ上手にある層の面積の比として定義される。過剰供給により不織層が操作工程へと供給される方向に不織層の反り曲がり、集約または圧縮が起こる。収縮比は不織層が受けた特定の操作(例えばステッチ結合、および繊維層が断続的に取り付けられている糸から張力を弛緩させる操作)の結果として、不織層がさらに収縮する量の目安である。収縮比は特定の操作に入って来た時の繊維層の面積をその特定の操作から出て行く際の該繊維層の面積を割った値として定義される。全集約度は過剰供給比と収縮比との積である。元の面積の割合は全集約度の逆数であり、繊維層の最終面積対原料繊維層の初期面積の比と同等である。
有効パイル繊維濃度は、複合シートの内部にあり、摩耗を受ける表面に関して垂直の(即ちパイル状になった)位置にある繊維の濃度から決定される。パイル状繊維が反り曲げられたかたい糸(例えば収縮した編物繊維布におけるような糸)から誘導されたような繊維布に対しては、有効パイル繊維濃度は単位面積の中の糸の重量層の厚さで割った値である。同様にパイル状繊維が前に収縮させられた弾性糸を引き延ばし、その周りに緩く巻き付けた反り曲げられた糸から得られる場合には、巻き付け糸の全重量がパイル状の糸の濃度の計算に入れられるが、弾性をもった芯の重量は計算に入れられない。パイル状の糸が収縮させ反り曲げられた不織繊維層からつくられた複合シートに対しては、不織繊維層の重量の50%だけがパイル繊維濃度の計算に入れられる。反り曲げられた不織繊維層の重量を全部用いるよりもその重量の半分だけを使用した場合の方が、本発明の複合体の耐磨耗性対パイル・パラメータの関係は良好な相関を示すことが本発明の出願人によって経験的に見出されている。このことは例えば反り曲げられたかたい糸からつくられたパイル状繊維およびタフト付きのパイル状繊維の方が、収縮させて捩らせた不織繊維層からつくられたパイル状繊維に比べ、複合シートに耐磨耗性を賦与する上で効果があるという事実を反映している。即ち有効パイル繊維濃度Ceffは10-4/kw/tである。ここでkは反り曲げられた不織繊維層によって得られるパイル状繊維に対しては0.5、反り曲げられた糸またはタフトに対しては1.0であり、wはg/m2単位のパイル状繊維の坪量であり、tはcm単位の表面層の厚さである。
試料の耐磨耗性を決定するために、米国イリノイ州KanKakeeのJ.K.Technologies社製のWyzenbeek「精密摩耗試験機(Precision Wear Test Meter)」を用い、試験器の振動ドラムの周りに40グリットのエメリー布を巻き付けて使用した。6ポンド(2.7kg)の荷重をかけ、毎分90回の割合で試料の面を横切ってドラムを前後に振動させる。この試験はASTM D4157−82の一般的な方法に従って行った。ある与えられた回数の摩耗を行う前後において上記厚さゲージを用いて試料の厚さを測定し、1,000回当たりに失われる摩耗の割合をμ単位で測定する。本発明の複合シートに適切な耐磨耗性を賦与するためには、摩耗の割合が50μ/1000回を越えない場合満足すべきものと考えられる。
実施例
下記実施例においては、本発明の種々の複合シートの製造法および耐磨耗性を例示し、本発明の範囲外の同様な複合シートと比較する。本発明の複合シートは対照の複合シートにくらべ耐磨耗性が遥かに大き。本発明の試料はアラビア数字で示され、対照試料は英大文字で示されている。通常の縦糸編みの命名法を使用し、これらの実施例の種々の編物またはステッチ結合した繊維布をつくるのに使用した特定の繰り返しステッチ・パターンを記述した。各実施例の後に表を掲げ、各複合シートの製造の詳細点、坪量、組成および特性、並びにシートの摩耗挙動を報告した、
下記実施例においては、弾性糸を用いてつくられた繊維布は順次(1)繊維布製造機から取り外し、(2)初期収縮を行わせ、(3)沸騰水(100℃)に1〜2分間浸漬して「煮沸(boil−off)」処理を行い、(4)乾燥した後、(5)テンター・フレーム上で380°F(193℃)において1〜1.5分間熱固定した。熱固定を行う際長手方向および横方向に特定の量の伸長を行い、繊維布が受ける収縮の最終的な量を調節する。
複合試料のパイル状の層を含浸するのに2種の異なったポリウレタン樹脂を用いた。「ZAR」は米国ペンシルバニア州ScrantonのUnited Gilsonite Laboratoriesから市販されている透明なポリウレタン仕上げ剤であり、本明細書においては「PU−1」と略記されているが、これを実施例1および3に使用した。PU−2は米国ニュー・ハンプシャー州SeabrookのK.J.Quinn & Co.Inc.から市販されている軟らかいポリウレタン樹脂であり、残りのすべての試料に対してこれを使用した。PU−2は二成分組成物であり、これを混合してパイル状繊維に被覆し、硬化させる。通常の浸漬法によって試料の樹脂含浸を行った。ドクター・ナイフで被覆した樹脂を滑らかにし、パイル状繊維を下向きにして高温空気炉中で少なくとも12時間乾燥および/または硬化させる。炉の温度はPU−1で含浸した繊維布に対しては65℃、PU−2で含浸した繊維布に対しては95℃に保った。各樹脂の繊維を含まない厚さ5mmの層の圧縮率、密度、40グリットのエメリー布による摩耗割合(μ/1000回単位)およびショアAかたさは下記のとおりである。
Figure 0003734273
実施例 1
本実施例においては本発明の樹脂で含浸した複合シートの2種の試料を本発明の範囲外の試料と比較する。各試料においてパイル状繊維はKelvar(R)アラミド繊維(E.I.du Pont de Numours & Co.製)からつくった。試料1では編物繊維布の中のKelvar(R)の糸反り曲げてパイル状繊維をつくった。試料2においてはステッチ結合した繊維布の反り曲げられたKelvar(R)のステッチ糸と反り曲げられたKelvar(R)の不織繊維の基質からパイル状繊維をつくった。有効パイル繊維濃度が低くパイル・パラメータも小さいために本発明の範囲外である対照試料Aにおいては、繊維のパイル状の群は捩らせたKelvar(R)繊維の不織層のみからつくった。本発明の試料1および2は対照試料Aの3〜5倍の耐磨耗性をもっていた。
試料1の複合シートの原料繊維布は、10ゲージ(10列/インチまたは4列/cm)、22コース/インチ(8.7コース/cm)で操作される「Liba」編機でつくられた2枚の棒編み繊維布であった。後棒には400デニール(400dtex)/フィラメントのKelvar(R)−29の糸を通し、1−0,4−5ステッチの繰り返しパターンをつくった。280デニール(320dtex)のLycra(R)スパンデックスの弾性の芯と、その周りに約7回/インチ(2.8回/cm)の割合でかたく巻き付けられた70デニール(78dtex)の34フィラメントから成るテクスチャー加工したポリエステル糸から成る組み合わせ糸を前棒に通した。LIBA編機から編物繊維布を取り出した際の編んだばかりの繊維布の重量は159g/m2であった。この編んだばかりの繊維布を煮沸処理して熱固定する。その結果繊維布は1/2.6に収縮し、重さは413g/m2になった。後棒の糸を反り曲げて逆U字形のパイル状繊維の群をつくる。前棒の糸である組み合わせ糸のかたく巻き付けられた部分は繊維のパイル状の群の生成には寄与しない。ついでこの繊維布にポリウレタンPU−1を含浸し、高温空気炉の中で乾燥させ硬化させる。得られた複合シート、試料1の特性は下記表1に掲げられている。
試料2の複合シートに対する原料繊維布は、不織繊維層をステッチ結合するのに用いられる幅140インチ(3.6m)の二本棒「Liba」編機で製造された2本棒編みステッチ結合繊維布であった。各編棒に14ゲージ(14列/インチまたは5.5列/cm)で糸をかけ、各列に1インチ当たり9ステッチ(1cm当たり3.5ステッチ)を挿入した。1.5デニール(1.7dtrx)/フィラメント、長さが2.2cmのKelvar(R)29アラミド繊維から成る34g/m2のZ−11型Sontana(R)スパンレース加工繊維基質(E.I.du Pont de Nemours & Co.製)を47%の過剰供給でLIBA編機へ供給した。後棒および前棒のステッチ用の糸は試料1に使用したのと同じであったが、相対する2コースAtlasステッチ・パターンをつくるようになっている。ステッチ結合された繊維布をLIBA編機から取り外した際、繊維布の面積は収縮し、重さは184g/cm2に増加した。次いでステッチ結合させた繊維布を試料1と同様にして煮沸処理し、熱固定し、樹脂で含浸したが、煮沸処理および熱固定において試料2の面積は1/2.9に収縮し、ステッチ結合工程で過剰供給した不織繊維層は全部で4.3の集約を受けた。試料2に関する他の製造法の詳細点および特性は下記表1に示されている。
対照複合シート、試料Aは試料2に使用したのと同じ型、同じ重さのKelvar(R)スパンレース加工原料繊維布からつくった。対照例Aに対しては12ゲージ(12本の針/インチ、または4.7本/cm)で糸をかけ、14ステッチ/インチ(5.5ステッチ/cm)を挿入する1本棒のステッチ結合機を使用した。不織繊維層を25%過剰供給し、試料1および2に用いたのと同じ組み合わせ糸を用いてステッチ掛けを行った。1−0,2−3のステッチ・パターンを使用した。試料1と同じ方法で試料Aを樹脂で含浸し、煮沸処理を行い、熱固定した。対照試料Aに関する詳細は表1にまとめられている。
表1のデータは、対照試料Aの対照複合シートに比べ試料1および2の複合シートの耐磨耗性が優れていることを明らかに示している。試料1および2はそれぞれ対照試料Aよりも耐磨耗性が2.7倍および3.1倍大きい。
Figure 0003734273
Figure 0003734273
Figure 0003734273
実施例 2
本実施例においては実施例1と同様な本発明の複合シートおよび対照試料の数種の試料をつくったが、実施例1のポリウレタン樹脂PU−1の代わりに軟らかいポリウレタンPU−2を用いた。各試料および対照試料はKelvar(R)アラミド繊維からつくられたパイル状繊維の群をもっている。
試料3、試料4および対照例Eはそれぞれ実施例1の試料1、試料2および対照例Aと同じ繊維布を含んでいる。試料3の複合シートは片方の編棒では弾性をもった組み合わせ糸を用い、第2の編棒では予め非弾性の糸を用いて編まれた収縮した繊維布を含んでいる。試料4の複合シートは弾性をもった複合糸の編棒と非弾性の糸の棒とを用いて繊維層をステッチ結合することによりつくられた収縮した繊維布を含んでいる。さらに他の複合シートである対照試料BおよびCはそれぞれ試料3および4と同じ原料繊維布からつくられているが、異なった量の樹脂が被覆されている。得られた複合シート試料の製造法、特性および摩耗挙動に関する他の詳細点は表2にまとめられている。表2は明らかに高い値のパイル・パラメータをもつ複合シートの方が耐磨耗性に有利であることを示している。例えば摩耗試験において対照試料Bに対する試料3の結果、および対照試料Cに対する試料4の結果を参照されたい。また実施例1の対応する試料に対し、これらの試料および試料Eについての摩耗試験の結果から、樹脂が繊維を不動化し、層に低い圧縮性および伸長性を付与する限り、樹脂のかたさが増加しても本発明の複合体の耐磨耗性は増加しないことが明らかに示される。パイル状繊維濃度およびパイル・パラメータの増加はさらに効果的である。
Kelvar(R)アラミド繊維のパイル状の群をもった繊維を含む上記の複合シートの他に、試料5および対照試料Dをつくった。これらの2種の試料に対する原料繊維布は、1,000デニール(1,100dtes)のKelvar(R)−29の糸で、119g/m2のゆるく接合されたReemay(R)スパンボンド加工ポリエステル不織繊維布(米国テネシー州Old HickoryのReemay,Inc.製)に、14ゲージ(1インチ当たり14本、または1cm当たり5.5本のタフト針)で16/インチ(5.1/cm)のタフトを付けることによってつくる。このタフト付きの繊維布を20%伸長させ、それに伴い約40%の狭搾を行って繊維布の面積を1/2に収縮させた。これらの複合シートの構成および挙動に関する他の詳細点は表2にまとめられている。
Figure 0003734273
Figure 0003734273
Figure 0003734273
実施例 3
本実施例では本発明の複合シートの耐磨耗性に対する全集約度およびパイル繊維濃度の強い影響を例示する。複合シート6、7および8、並びに対照試料Fはそれぞれ反り曲げられた繊維性の不織層および反り曲げられた弾性をもたないステッチ用の糸の両方からパイル状繊維が誘導された層を含んでいる。対照試料Gには反り曲げられた非弾性糸は存在しない。
各試料に対する原料繊維布をつくるために、接合されていないポリエステル繊維から成る26g/m2のSontara(R)8017スパンレース加工繊維布を2本棒の「Liba」ステッチ結合機へ過剰供給した。Libaの前棒は、280デニール(311dtex)のLycra(R)スパンデックスの弾性をもった芯と、それに9回/インチ(3.5回/cm)の割合でかたく巻き付けられた70デニール(78dtex)34フィラメントのポリエステル糸との組み合わせ糸を用い1−0,2−3の繰り返しパターンをつくる。後棒を使用しなかった対照試料Gの繊維布以外、後棒は210デニール(233dtex)34フィラメント高強度62型Dacron(R)ポリエステル糸で3−4,1−0のステッチの繰り返しパターンをつくった。Lycra(R)およびDacron(R)はそれぞれDuPont社から市販されている。Libaの14ゲージ機(1インチ当たり14本の針、5.5本/cm)により1インチ当たり14段(5.5段/cm)のコースを挿入する。各試料をつくるのに使用した組み合わせ糸に異なった量の張力をかけ、繊維布をLiba機から取り外した際異なった量の収縮が得られるようにする。組み合わせ糸の収縮によりパイル状繊維の層が発現する。パイル状繊維は不織繊維層の収縮および反り曲がりおよび後棒の弾性をもたないステッチ糸の反り曲がり、およびそれに伴う組み合わせ糸の収縮によって生じる。次いで煮沸処理を行った後、テンター・フレーム上で熱処理し、繊維布の最終的な寸法を固定する。しかる後繊維布試料を実施例1に使用したのと同じポリウレタン樹脂PU−1で含浸し、パイル状繊維を不動化する。次いでこの含浸した試料を乾燥して複合シートの試料をつくる。試料に関する詳細点および摩耗試験の結果は下記表3にまとめられている。
Figure 0003734273
Figure 0003734273
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実施例 4
本実施例において複合シート試料は、緩く巻き付けられた弾性をもたない巻き付け糸を有する弾性をもった組み合わせ糸を用い、1本の編棒で編まれた収縮繊維布からつくられている。パイル状繊維は組み合わせ糸を収縮させた際の巻き付け糸からつくられる。
試料9、10および11、並びに対照例Hはそれぞれ1本棒の「Liba」機で編まれ、280デニール(311dtex)のLycra(R)スパンデックスの弾性をもった芯に、約1.5回/インチ(0.6回/cm)の割合で70デニール(78dtex)34フィラメントのテクスチャー加工されたポリエステル糸が緩く巻き付けられた組み合わせ糸を用い、1−0,2−3の繰り返しパターンをつくる。各試料は14コース/インチ(5.5コース/cm)、20ゲージで針棒を用い(即ち20本/インチまたは7.9本/cmの針を用い)Liba機を操作してつくったが、試料11は10ゲージでつくった。各試料の繊維布は異なった張力をかけ組み合わせ糸を用いて編んだ。編機から繊維布を取り外し組み合わせ糸にかけた張力を緩めると、繊維布の編んだばかりの面積は1/11.5〜1/14に収縮し、これに伴って緩く巻かれた巻き付け糸が反り曲げられパイル状繊維が生じる。実施例2に使用したようなポリウレタン樹脂PU−2を各試料のパイル状繊維に被覆した。試料の製造の他の詳細点および摩耗挙動に関しては下記表4にまとめられている。この表にはさらに対照の目的で実施例3の試料Gも含まれている。
表4に掲げた摩耗試験の結果によれば、反り曲げられた糸だけによって与えられるパイル状の群をもった繊維布を用い、高いパイル濃度および高いパイル・パラメータが得られ、それに伴って高い耐磨耗性が得られることが示されている。またこの結果は、複合シートにおいて過度の伸長性を避けることが重要であることを示している。樹脂含量が僅かに25%である対照試料Hの複合シートのパイル状繊維/樹脂の表面層は容易に伸長できるが、これは本発明の複合シート試料9〜11に比べ11〜18倍大きい摩耗割合を示すことに注目されたい。繊維/樹脂層に十分な樹脂を混入しない限り、層の他の特性が本発明に合致していても、複合シートはなお伸長および摩耗に対する抵抗性に欠けている。耐磨耗性のデータおよび試料に関する詳細点は表4にまとめられているが、これによれば対照試料に比べ本発明の複合シートの耐磨耗性が優れていることが明らかに示されている。これらのデータはまた、本発明の要求に合致した樹脂で含浸したパイル状繊維層により高い耐磨耗性をもった複合シートが得られることを示している。
Figure 0003734273
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実施例 5
本実施例においては、収縮させた2本棒縦糸編繊維布から樹脂で含浸された複合シートをつくった。試料12〜15および対照試料Iの各々に対する原料繊維布は2本棒のLiba編機で編み、1本の編棒には緩く巻き付けた弾性をもたない巻き付け糸をもった弾性のある組み合わせ糸を通し、第2の編棒には弾性をもたない織物用の糸を通した。280デニール(311dtex)のLycra(R)スパンデックス糸、およびその周りに1回/インチ(0.4/cm)の割合で緩く巻き付けた70デニール(78dtex)34フィラメントのテクスチャー加工されたポリエステル糸から成る糸を用い、前棒により1−0,2−3の繰り返しパターンをつくる。後棒により150デニール(167dtex)の通常のポリエステル織物糸を用い3−4,1−0の繰り返しパターンをつくる。各試料はLiba編機を14コース/インチ(5.5コース/cm)で操作してつくったが、試料12および対照試料Jはそれぞれ22コース/インチ(8.7コース/cm)、20ゲージで編機に糸をかけてつくったが、試料13では10ゲージで編機に糸をかけてつくった。これらの試料をつくるのに使用した組み合わせ糸にかける張力は、編み物繊維布を編機から取り外し煮沸処理および熱固定を行った際に、繊維布の編み上がった場かlの面積が1/1.9〜1/7に収縮するように調節した。繊維布の収縮に伴い、緩く巻き付けられた糸が収縮して反り曲げられ、また第二の編棒の糸も反り曲げられる。各試料にポリウレタンPU−2(実施例2と同じ)を被覆した。
試料に関する製造上および摩耗挙動の詳細点を下記表5にまとめる。この表にはさらに対照を行うために実施例3の試料Gも含まれている。摩擦による摩耗試験の結果によれば、対照試料GおよびIは本発明の試料12〜15に比べ摩耗は約2.5〜約20倍大きいことが示された。試料Iの繊維布のパイル状繊維は樹脂を被覆する際垂直の位置からずれ、これは表面層の高さが31%減少し収縮比は不十分であることによって示される。
表5にまとめた結果には、本発明の試料12〜15の繊維布の収縮は実質的に垂直なパイル状繊維が生成することによって生じることが示されている。パイル状繊維は収縮した巻き付け糸、および反り曲げられた第2の編棒の糸から誘導される。これとは対照的に対照例Iの繊維布は満足すべきパイル状の層を与えず、樹脂で適切に含浸されず、従って耐磨耗性は遥かに劣っている。試料Gは樹脂密度が非常に高いにも拘らず、有効パイル密度が低くパイル・パラメータが小さいために、高い耐磨耗性を与えない。
Figure 0003734273
Figure 0003734273
実施例 6
本実施例においては、フォーク・ニードル(fork−needle)処理を行い樹脂で含浸させたパイル状繊維層を有する複合シートの試料をつくった。
試料Jおよび16の原料繊維布は1.5デニール(1.7dtrx)、長さ3インチ(7.6cm)の54型Dacron(R)ポリエステル繊維(E.I.du Pont de Nemours & Co.製)から成る272g/m2の空気配置ウエッブを、Diloのフォーク・ニードラーの上に載せ、119g/cm2のReemay(R)スパンボンド加工ポリエステル繊維布に対しフォーク・ニードル処理を行ってつくった。このフォーク・ニードラーは1平方インチ当たり約130(20/cm2)の挿入を行う(14ゲージ(1インチ当たり14本または1cm当たり5.5本のフォーク・ニードル)の機械である。針が層の中に入る側とは反対側のReemay(R)の表面に繊維のループがつくられた。このループはReemay(R)の表面上に約2.5mm突き出している。対照試料Jを煮沸処理し、熱固定し、ポリウレタンPU−2で含浸して乾燥させた。試料16も同じように処理したが、熱固定の前に樹脂で含浸し乾燥させた。試料16は長手方向に30%伸長させたが、それに対応して幅が元の値から約37%減少し、面積が1/2.1に収縮した試料になった。試料についての他の詳細点、特性および摩耗試験の結果を表6にまとめる。この表にはさらに比較を行う目的で実施例3の試料Gが含まれている。
表6によれば、フォーク・ニードル処理を行い収縮させてつくったパイル状繊維を含む本発明の複合シートの試料16は、収縮させなかったこと以外同様にしてつくられたパイル状繊維を有する複合シートに比べ、耐磨耗性は4.5倍であることが示されている。前記の実施例に示されているのと同様に、これらの結果は、耐磨耗性をもった複合シートを得る上において、樹脂で含浸したパイル状繊維層のパイル・パラメータが非常に重要であることを強く示している。本発明の試料16のパイル・パラメータは0.37であるが、対照試料JおよびGのパイル・パラメータはそれぞれ0.22および0.26である。
Figure 0003734273
Figure 0003734273
実施例 7
本実施例においては樹脂で含浸したビロード繊維布を用い樹脂/千位層の為のパイル状繊維をつくることにより2種の複合シートの試料をつくった。
試料17および18に対する原料繊維布は、64コース/インチ(25.2コース/cm)を与える幅130インチ(3.3m)、70ゲージ(1インチ当たり70本、または1cm当たり27.6本の針)、3本棒の縦糸編機に)でつくった。ドイツ、FrankfurtのKarl Mayer社製のKS3P型編機を使用した。第1の編棒には平らな(即ちテクスチャー加工をしていない)70デニール(77dtex)24フィラメントのポリエステル糸をかけ、1−0,1−1,2−1ステッチの繰り返しパターンをつくった。第2の編棒には平らな100デニール(110dtex)40フィラメントのポリエステル糸をかけ、1−0,0−0,1−1のステッチの繰り返しパターンをつくる。第3の編棒には平らな(即ちテクスチャー加工をしない)70デニール(77dtex)24フィラメントのポリエステル糸をかけ、1−0,0−0,1−1ステッチの繰り返しパターンをつくる。この編機によってつくられたビロード繊維布は重さ347g/m2の編んだ裏地層(即ち基質)をもち、ループになった糸の層は高さは1.5mm、重さが231g/m2で、有効パイル繊維濃度は0.18g/cm3であった。
試料17を編んだままの状態においてポリウレタン樹脂PU−2で含浸しる。樹脂を硬化させた後、この試料のパイル・パラメータは0.31g/cm3であった。試料18は編んだままの状態において温度375°F(191℃)において熱固定し、繊維布の寸法を安定化させる。次いで熱固定した試料18のループに剪断をかけ、パイルの厚さを1.2mmにする。試料18もポリウレタン樹脂PU−2で含浸し、硬化後パイル・パラメータが0.31g/cm3の試料を得た。
表7に示すように、試料17および18は40グリットの摩耗試験において極めて良好な挙動をする本発明の複合シートである。実施例3の対照試料Gを比較のために表7に含ませた。樹脂で含浸したビロード繊維布を有する本発明の試料17および18の複合シートと比較すると、樹脂を含浸させて収縮させ反り曲げさせた不織繊維層を有する対照試料Gの複合シートは、試料17および18の2.2〜2.4倍速く摩耗した。
Figure 0003734273
Figure 0003734273

Claims (16)

  1. 部表面および下部表面の間にあり実質的に平行に配置された平らな繊維性網状構造、
    ートの上部表面および下部表面の間にあり、該平らな繊維性網状構造に連結され且つそれから一般的に垂直に突き出しているパイル状繊維の群、
    樹脂で含浸されたパイル層の全重量に関し30〜90%の量で存在し、一般的に垂直な位置においてパイル状繊維の群を不動化している樹脂を含み、
    該パイル状繊維の群および平らな繊維性網状構造は、0.7〜20デシテックス範囲の単位長さ当たりの質量を有する繊維またはフィラメントから構成され、そして、
    該シート1.0kgの重りが2分間吊り下げられる張力で任意の方向において25%を越えない伸張性を有する
    上部表面および下部表面を有する耐磨耗性をもった複合シートであって、
    パイル状繊維の群は樹脂で含浸されたパイル状繊維層において少なくとも0.1g/cm のパイル繊維濃度cで存在すること、および、
    樹脂で含浸されたパイル状の層は厚さが0.5〜3mmの範囲であり、全体としての密度dは少なくとも0.4g/cmであり、坪量は300〜2,500g/mの範囲であり、垂直方向の圧縮率は0.64cm直径の円形領域に適用された1.14kgの荷重による圧力下で25%を越えず、式P=[c・d1/2で計算されるパイル・パラメータは少なくとも0.3g/cm であること
    の組み合わせを特徴とする、上記複合シート。
  2. らな繊維性網状構造は収縮した芯と反り曲げられたかたい糸の巻き付け部とを有する組み合わせ糸から成り、反り曲げられた巻き付け部は、平均の間隔が0.1〜2mmで平均のループの高さ対底辺の比が少なくとも0.5の逆U字形のループか又は垂直な糸であるパイル状繊維の群を形成している、編物繊維布であることを特徴とする請求項記載の複合シート。
  3. らな繊維性網状構造は少なくとも2本の編棒でつくられた編物繊維布であり、本の編棒によって収縮した芯をもった組み合わせ糸を与え、第2の編棒は反り曲げられて平均の間隔が0.1〜2mmで平均のループの高さ対底辺の比が少なくとも0.5の逆U字形のループか又は垂直な糸であるパイル状繊維の群を形成するかたい糸を与えることを特徴とする請求項記載の複合シート。
  4. らな繊維層は不織繊維布から成り平均の間隔が0.1〜2mmで平均のループの高さ対底辺の比が少なくとも0.5の逆U字形のループか又は垂直な糸であるパイル状繊維の群はタフト付きの糸であることを特徴とする請求項記載の複合シート。
  5. らな繊維層は収縮した編み物繊維布から成り、平均の間隔が0.1〜2mmで平均のループの高さ対底面の幅の比が少なくとも0.5の逆U字形のループか又は垂直な糸であるパイル状繊維の群はタフト付きの糸であることを特徴とする請求項記載の複合シート。
  6. 平らな繊維層はステッチ結合された繊維層であり、ステッチ用の糸は収縮し得る芯および緩く巻き付けられたかたい糸の巻き付け部を有する組み合わせ糸であり、該ステッチ用の糸は、平均の間隔が0.1〜2mmで平均のループの高さ対底辺の比が少なくとも0.5の逆U字形のループか又は垂直な糸であるパイル状繊維の群を形成するように収縮した状態で存在することを特徴とする請求項記載の複合シート。
  7. 平らな繊維層および平均の間隔が0.1〜2mmで平均のループの高さ対底辺の比が少なくとも0.5の逆U字形のループか又は垂直な糸であるパイル状繊維の群は両方とも2本の編棒でステッチ合された収縮した繊維層から与えられ、ここで1本の編棒のステッチ用の糸は収縮し得る芯をもつ組み合わせ糸であり、第2の編棒のステッチ用の糸はかたい糸であることを特徴とする請求項記載の複合シート。
  8. パイル繊維および平らな繊維網状構造はビロード繊維布によって与えられることを特徴とする請求項1記載の複合シート。
  9. 内部においてパイル状繊維の群が一般的に繊維布の表面に対して垂直であり、少なくとも0.1g/cmの有効パイル繊維濃度で存在しており、該パイル状繊維の群は繊維布の表面の中または一表面に存在する平らな繊維性網状構造に連結され且つそこから突き出している厚さが0.5〜3mmの繊維布をつくり、
    含浸された繊維布の全重量の30〜90%の範囲の量で樹脂を繊維布の中に導入することによりパイル状繊維の群を垂直な位置に不動化し、全体としての密度が0.4〜1.2g/cmの範囲にあり且つパイル・パラメータが少なくとも0.3g/cmである含浸された繊維布をつくる工程から成ることを特徴とする、請求項1に記載の耐磨耗性をもった複合シートの製造法。
  10. 繊維布の面積を少なくとも1/2に収縮させてパイル状繊維の群の濃度を増加させることを特徴とする請求項記載の方法。
  11. 繊維布を1/3〜1/12の範囲で収縮させることを特徴とする請求項10記載の方法。
  12. 繊維布は組み合わせ糸および随時かたい糸を用い張力をかけて編まれた編み物繊維布であり、この組み合わせ糸は弾性をもった芯およびそれに組み合わされたフィラメント状の巻き付け部をもち且つ長さが少なくとも1mmの間隔を与える編物ステッチを形成しており、収縮工程において張力を緩めることを特徴とする請求項1または1記載の方法。
  13. パイル状繊維の群の不動化および繊維布の寸法の安定化は樹脂を導入することにより同時に行われる請求項記載の方法。
  14. 複合シートの裏に伸長性の低い要素を取り付けることにより複合シートをさらに安定化させることを特徴とする請求項1記載の方法。
  15. 表面の少なくとも一部に請求項1−8のいずれかに記載の耐磨耗性をもった複合シートが取り付けられている成形品。
  16. 複合シートの裏に取り付けられた伸長性の低い要素を更に含むことを特徴とする、請求項1−8のいずれかに記載の複合シート。
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