JP3731662B2 - 制御対象の同定方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は制御システム(制御系)における構造が変化する制御対象の同定方法に係り、制御対象を伝達関数モデルとして同定するとともにこれを数値で表わされる状態空間モデルに変換して行う、いわゆる現代制御における制御対象の同定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
構造が物理的に変化する制御対象としては、例えば、加熱制御された熱板上に被加熱物(例えば半導体ウェハ)を載置してこれを加熱処理する制御システムとか、加熱制御された射出成形機のノズルに金型を当接させて射出成形する制御システムなどがある。
【0003】
従来、このような制御システムにおいて、現代制御理論を応用し、制御対象を伝達関数モデルとして同定するとともに、これを数値で表される状態空間モデルに変換して同定する方法は、温度制御システムを例にすれば、以下のような手順を経て行われていた。なお、その数値で表される状態空間モデルが得られれば、制御対象が同定されたことになる。
【0004】
すなわち、(a)制御対象について、予め、熱抵抗や熱容量を意味する未知変数を用い、物理的な意味を持ちその未知変数を含んだ状態空間モデルを設計する。例えば、状態空間モデルは一般に状態方程式「x=Ax+bu」や出力方程式「y=cx」で表現される。
【0005】
(b)(a)で設計した状態空間モデルを伝達関数に変換する。
【0006】
(c)データを実際の制御対象に入力して出力データを求め、それら入出力データから制御対象を同定することにより、この制御対象の伝達関数を(b)で得られた伝達関数と同じ次数で求める。
【0007】
(d)(c)で求めた伝達関数と(b)で得られた伝達関数の係数比較から、連立方程式により熱抵抗や熱容量など当該制御対象の未知変数に対応する数値(パラメータ値)を算出する。
【0008】
(e)(a)の物理的な意味を持つ未知変数を含んだ状態空間モデルを示す状態方程式や出力方程式に対し、(d)で求めた制御対象の未知数に対応する数値を代入し、当該制御対象について物理的意味をもつ状態量で構成された唯一の数値で表わされる状態空間モデルを算出する。
【0009】
しかも、制御対象の構造が変化する都度、上記手順(a)〜(e)を実行し、各々制御対象に含まれる熱抵抗や熱容量などの全ての未知変数に対応する数値を再度算出し、制御対象の変化した構造に対応する上記状態空間モデルを得ていた。
【0010】
例えば、図8に示すように、制御対象が遅れ要素(構成要素)A、Bからなる構造1から、遅れ要素(構成要素)A、Cからなる構造2へ変化する場合、構造1では遅れ要素A、Bを同定し、構造2では遅れ要素A、Cを同定し、どちらの制御対象(構造1、2)に対してもA〜Cで示される全ての構成要素を同定していた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した制御対象の同定方法では、制御対象の構造変化に対してその都度、制御対象が持つ全ての構成要素A〜Cについて同定算出をしなければならず、演算が煩雑である。
【0012】
しかも、当初設計する状態空間モデルが複雑になって高次になるほど同定演算量が増加するから、そのような制御対象の構造変化毎に、伝達関数モデルから物理的意味をもつ状態量で表す最適な状態空間モデルへの変換が困難になる難点があった。
【0013】
具体的には、上記の同定手順(d)において、係数比較から制御対象を形成する構成要素を意味する未知変数に対応した数値を連立方程式を用いて求める際、制御対象が高次になるに従って制御対象のパラメータの数、そして方程式の数も多くなる。
【0014】
そこで、本発明者は、構造が変化する制御対象を含む制御システムについて検討した結果、制御対象の構造が変化しても、構造変化の前後で共通する遅れ要素(図8中のA)が含まれる点に着目し、本発明を完成させた。
【0015】
本発明はそのような課題を解決するためになされたもので、制御対象の構造が変化しても、制御対象の同定演算が簡単で、制御対象の変化構造に対応した最適な状態空間モデルへの変換が容易な制御対象の同定方法の提供を目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するために本発明は、物理的に構造が変化する制御対象に対応した最適な状態空間モデルを得てその制御対象を同定する同定方法であり、その構造変化前後の制御対象で同じ特性を持ち未知変数を含んだ共通遅れ要素モデルを抽出し、その構造変化後の制御対象においてその共通遅れ要素モデルを除いた構成要素を同定し、この同定結果にその共通遅れ要素モデルを加えて制御対象に対応した数値で表される上記状態空間モデルを得る同定方法である。
【0017】
しかも、本発明は、その構造変化後の制御対象に関する入出力データに対して上記共通遅れ要素モデルによってフィルタリングしたデータを仮入力データとし、この仮入力データに基づき構造変化後の制御対象に関しその共通遅れ要素モデルを省いた構成要素を同定し、この同定結果にその共通遅れ要素モデルを加えて上記状態空間モデルを得る同定方法である
【0018】
さらに、本発明は、上記共通遅れ要素モデルとして、共通の一次要素モデルを用いることが可能である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0020】
図1は本発明に係る制御対象の同定方法を示す図である。
図1において、本発明の同定方法は次のような手順(1)〜(9)を有している。
【0021】
手順(1)では、物理的に構造が変化する制御対象を含む制御システムにおいて、その制御対象の構造変化前後の各々について、予め、熱抵抗や熱容量などの構成要素を意味する未知変数を用いたモデルをたてる(モデリングする。)。各々のモデルは伝達関数モデルおよび状態空間モデルで表され、状態空間モデルは状態量として注目する物理量を選んで設計する。
【0022】
この手順(1)では、制御対象の構造変化前後で共通して存在する未知変数を含んだ遅れ要素モデルも抽出する。
【0023】
次の手順(2)〜(4)は構造変化前における制御対象の特性を同定する手順である。
【0024】
すなわち、手順(2)では、予め選定したステップ状信号やインパルス状信号などの同定信号(入力データ)を実際の制御対象に入力して制御量(出力データ)を出力し、同定のためのそれら入出力データを採取する。
【0025】
手順(3)では、得られた入出力データから最小二乗法などによって制御対象の同定演算を行う。ここでは、手順(1)のモデリングで求めた伝達関数と同じ次数で同定し、この同定結果として制御対象の伝達関数を導出する。
【0026】
手順(4)では、求まった伝達関数から物理的な意味をもつ状態空間モデルを導出する。状態空間モデルは、手順(1)でモデリングした伝達関数と手順(3)で求めた伝達関数に含まれる各係数とを比較し、制御対象についての例えば熱抵抗や熱容量といった構成要素を意味する未知変数についての値(パラメータ値)を求め、手順(1)でモデリングした状態空間モデル中の未知変数(パラメータ)にそのパラメータ値を代入し、構造変化前の当該制御対象について物理的意味をもつ状態量で構成され数値で表わされる唯一の状態空間モデルを導出する。
【0027】
また、得られた状態空間モデルから共通遅れ要素に含まれるパラメータ値を求める。
【0028】
次の手順(5)〜(9)は構造変化後の制御対象について同定する手順である。
【0029】
すなわち、手順(5)では、手順(2)と同様に、同定信号(入力データ)を実際の制御対象に入力して出力データを求め、同定のためのそれら入出力データを採取する。
【0030】
手順(6)では、手順(5)で採取した入力データを、構造変化前後で存在する共通遅れ要素モデルの伝達関数モデルによってフィルタリングし、その結果データを仮入力データとして求める。
【0031】
手順(7)では、手順(1)で抽出した共通遅れ要素モデルを省いた形の伝達関数モデルを求める。
【0032】
手順(8)では、手順(6)で計算した仮入力データ、手順(5)で得られた出力データおよび手順(7)で求めた伝達関数モデルとから最小二乗法などによって構造変化後の制御対象の同定演算を行う。
【0033】
ここでは、手順(1)で抽出した共通遅れ要素モデルを省いた構成要素について、手順(7)の伝達関数モデルと同じ次数で同定し、結果として構造変化後の制御対象について共通遅れ要素モデルを除いた構成要素の伝達関数を導出する。
【0034】
手順(9)では、手順(8)で得られた伝達関数に対して手順(1)、(4)で得られた共通遅れ要素を付加して構造変化後の制御対象全体の伝達関数を求め、求まった伝達関数から物理的な意味を有する状態量で構成され数値で表される状態空間モデルを導出する。
【0035】
図2は、上述した本発明に係る同定方法を実現する同定装置を形成する機能ブロック例を示す図である。
【0036】
図2において、状態空間モデル設計部1は、上述した制御対象の構造変化前後について、予め、未知変数を用い物理的な意味を持つ状態空間モデルを設計する部分、例えば、状態空間モデルを電子的データとして伝達関数変換部3へ入力する入力部である。
【0037】
伝達関数変換部3は、状態空間モデルを伝達関数モデルに変換するものであり、状態空間モデル設計部1とともに図1の手順(1)に相当し、パラメータ算出部5に接続されている。共通遅れ要素モデルは後述する共通遅れ要素算出部17で算出される。
【0038】
同定信号発生部7は、例えばステップ状信号やインパルス状信号などの同定信号uを発生するもので、制御対象9に接続されるとともにスイッチSW1の切換端子P1に接続されている。
【0039】
制御対象9は、例えば、加熱された熱板上に被加熱物(例えば半導体ウェハー)を載置して加熱処理する対象や、射出成形機などノズルに金型を当接させて射出成形する対象のように、基本構造に対して1個又は複数個の補助構造物を付加又は交換して構造が変化するものであり、同定信号発生部7からの同定信号uによって同定のための出力データを伝達関数同定部11その他へ出力するものである。
【0040】
なお、同定する対象としては、厳密には、これを含んだ制御システム又は制御対象系であるが、便宜上、制御対象9と考えられる。
【0041】
スイッチSW1は、一方の選択端子P2を入力値フィルタ13の入力側に接続し、他方の選択端子P3をスイッチSW2の他方の選択端子P3に接続するものであり、スイッチSW2は、一方の選択端子P2を入力値フィルタ13の出力側に接続され、切換端子P1を伝達関数同定部11に接続されてなる。
【0042】
それらスイッチSW1、SW2ともに、切換端子P1が他方の選択端子P3を選択した状態で構造変化前の処理手順動作となり、一方の選択端子P2を選択した状態で構造変化後の処理手順動作となる。
【0043】
入力値フィルタ13は、同定信号発生部7からスイッチSW1を介した同定信号uと共通遅れ要素算出部17からの共通遅れ要素モデルとから、共通遅れ要素モデル通過後の仮入力データu’を計算するものであり、図1の手順(6)に相当する。
【0044】
伝達関数同定部11は、構造変化前にあっては、スイッチSW1、SW2を介した同定信号u、制御対象9からの出力データに基づき、最小二乗法などによって制御対象9を同定し、構造変化後にあっては、入力値フィルタ13からの共通遅れ要素モデル通過後の仮入力データu’、制御対象9からの出力データyおよび共通遅れ要素算出部17からの共通遅れ要素に基づき、最小二乗法などによって構造変化後の制御対象9を同定するもので、パラメータ算出部5および共通遅れ要素算出部17に接続されている。従って、伝達関数同定部11は図1の手順(2)、(5)、(3)、(8)に相当する。
【0045】
パラメータ算出部5は、伝達関数変換部3からの伝達関数モデルと伝達関数同定部11からの同定データに基づき、係数比較によってパラメータ値を算出するもので、状態空間モデル作成部15および共通遅れ要素算出部17に接続されている。
【0046】
すなわち、パラメータ算出部5は、構造変化前にあっては、制御対象に含まれる全ての構成要素について手順(1)の伝達関数モデルと、伝達関数同定部11の出力から係数比較を行い、パラメータを算出する。
【0047】
また、パラメータ算出部5は、構造変化後にあっては、共通遅れ要素モデルを省いた構成要素について手順(7)の伝達関数モデルと、伝達関数同定部11の出力から係数比較を行い、パラメータを算出するものであり、図1の手順(4)、(9)に相当する。
【0048】
状態空間モデル作成部15は、構造変化前にあっては、モデリングした状態空間モデルにパラメータ値を代入して物理的な意味を有する状態量で構成された状態空間モデルを作成し、構造変化後にあっては、同様にモデリングした状態空間モデルにパラメータ値を代入して物理的な意味を有する状態量で構成された状態空間モデルに共通遅れ要素モデルを付加するもので、図1の手順(4)、(9)に相当する。
【0049】
共通遅れ要素算出部17は、伝達関数同定部11からの同定データによって共通遅れ要素モデルを抽出し、図1の手順(1)に相当するもので、入力値フィルタ13の入力側、伝達関数同定部11および状態空間モデル作成部15に接続されている。
【0050】
また、共通遅れ要素算出部17は、構造変化前に得られた共通遅れ要素モデルを構造変化後の伝達関数同定部11に送り、伝達関数から共通遅れ要素を省いた伝達関数モデルへ変換し、状態空間モデル作成部15に共通遅れ要素モデルを送るもので、図1の手順(7)に相当する。
【0051】
図2の機能ブロックは、図示はしないが、具体的には比較演算制御手段たるCPU、このCPUの動作プログラムを格納したROM、比較演算制御過程のデータなどを一時的に格納するRAM、データのインターフェースであるI/Oを有する例えばマイクロコンピュータで形成される。なお、スイッチSW1、SW2は外部から操作される機械的スイッチや、ソフトウエア的に行われる処理ステップである。
【0052】
次に、上述した本発明に係る同定方法を、例としてヒータによる温度制御系について具体的に説明する。
【0053】
例えば、図3に示すように、熱容量C1の制御対象に熱容量C2の物体が接触して制御対象の構造が変化した場合、同図には明記されていないが、ヒータHから制御対象に熱が伝わるまでの時間tをむだ時間として、一次遅れ「1/(1+ts)」で近似した形を仮定する。
【0054】
むだ時間tは、制御対象の構造変化に関わらず制御系に含まれる共通の遅れ要素モデルと考えられ、容易に算出可能である。それを仮定した制御対象の電気的等価回路は、図4および図5に示される。図4および図5における符号x1、x2、x3は状態量である。
【0055】
図3の構成は、例えば射出成型機のショット時にノズルに金型が接触する場合などであり、構造変化前の状態空間モデルは式1で示される。
【0056】
【式1】
Figure 0003731662
【0057】
構造変化後の状態空間モデルは式2で示される。
【式2】
Figure 0003731662
【0058】
図3の制御対象に関して状態遷移図を用いて表すと、構造変化前は図6のように、構造変化後は図7のようになる。
【0059】
上述した式1、式2は、その状態空間モデルを抵抗およびキャパシタのパラメータを用いて表したものであり、図6において符号A11 、A12 、…、b などは、式3に示すように式1の行列内の各構成要素を意味する。
【0060】
【式3】
Figure 0003731662
【0061】
同様に図7にある符号A11 、A12 、…、b などは、式4に示すように上述した式2の行列内の各構成要素を意味する。
【0062】
【式4】
Figure 0003731662
【0063】
ここで、共通遅れ要素モデルは図5における、むだ時間tであることが分かり、式1を伝達関数へ変換すると、式5のようになる。
【0064】
【式5】
Figure 0003731662
【0065】
式2を伝達関数に変換すると、次の式6となる。
【式6】
Figure 0003731662
【0066】
ここで、式5に含まれるパラメータは符号t、C 、R であり、式6に含まれるパラメータは符号t、C 、C 、R12 、R である。
構造変化前では、式5の分母が二次で、分子が0「零」次の伝達関数で表され、構造変化後では、式6の分母が三次で、分子が一次の伝達関数で表される。
【0067】
制御対象の同定では、予め、制御対象モデルを式5、式6で表される伝達関数モデルの次数と同じ次数にして同定計算をするのが一般的である。
【0068】
このように、制御対象の同定では、以下のような形で制御対象の伝達関数を求める。
【0069】
すなわち、構造変化前では次の式7のようになり、
【式7】
Figure 0003731662
【0070】
構造変化後では次の式8となる。
【式8】
Figure 0003731662
【0071】
ここで、符号a0 、a1 、a2 、b0 、b1 は数値で求まる同定パラメータ値である。
【0072】
式5および式7から、構造変化前のモデルにおける連立方程式は以下の式9のようになる。
【0073】
【式9】
Figure 0003731662
【0074】
そして、3個の未知パラメータに対して3元連立方程式が成り立ち、容易に制御対象の構成要素である符号t、C 、R を求めることができる。
【0075】
同様に式6および式8から、構造変化後のモデルにおける連立方程式は以下の式10のようになる。
【0076】
【式10】
Figure 0003731662
【0077】
これでは5個の未知パラメータ値に対して5元連立方程式が成り立つが、これから符号t、C 、C 、R12 、R を求めるには計算が煩雑である。
【0078】
そのため、式9より求まる共通遅れ要素モデルであるむだ時間tを用いて、前述したようにむだ時間通過後の入力値u’を同定データとして使用すると、式6は式11のように次数を低減できる。
【0079】
【式11】
Figure 0003731662
【0080】
また、制御対象の同定では、次の式12のような形で制御対象の伝達関数を求めることになる。
【0081】
【式12】
Figure 0003731662
【0082】
これから連立方程式を立てると、式13のようになる。
【式13】
Figure 0003731662
【0083】
式10と式13を比べると、方程式が非常に簡単になっていることが分かり、これより符号C 、C 、R12 、R を求めることができる。
【0084】
このようにして求まった符号t、C 、C 、R12 、R を式1および式2にそれぞれ代入することで、それぞれの構造における制御対象とシステムの設計に最適な状態空間モデルを設計できる。
【0085】
上述した説明では、共通の遅れ要素モデルとして、式1および式2で示したように、一次のむだ時間「1/(1+ts)」としたが、例えば二次のむだ時間「1/{(1+t1s)(1+t2s)}」の抽出が可能であれば、これを用いて同様に最適な状態空間モデルを得ることも可能である。
【0086】
すなわち、本発明では共通の遅れ要素として、一次又は二次以上の高次遅れ要素モデルを用いて実施可能であるが、一次の遅れ要素、例えば一次のむだ時間は抽出が容易であることから、これを用いることにより一層同定演算が容易となる。
【0087】
このような本発明に係る制御対象の同定方法は、温度制御システムに限らず、構造が変化する制御対象を含む制御システムに広く応用可能である。
【0088】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る制御対象の同定方法は、構造変化前後の制御対象で同じ特性を持ち未知変数を含んだ共通遅れ要素モデルを抽出し、その構造変化後の制御対象に関する入出力データに対して上記共通遅れ要素モデルによってフィルタリングされたデータを仮入力データとし、この仮入力データに基づきその構造変化後の制御対象においてその共通遅れ要素モデルを除いた構成要素を同定し、この同定結果にその共通遅れ要素モデルを加えて制御対象に対応した最適な状態空間モデルを得てその制御対象を同定するから、次のような効果を有する。
すなわち、構造が変化する制御対象についても、低次の構成や基本的構成から共通遅れ要素モデルの抽出が容易であるから、制御対象の構造が変化しても、制御対象の構成要素であるパラメータ算出のための計算量を低減して簡単に同定演算を行うことが可能となる。
しかも、状態空間モデルが複雑になって高次の構成となっても、同定演算を複雑かつ煩雑化させず、制御系設計に最適な物理的意味を持つ状態で表わされた最適な状態空間モデルへの変換が簡単となる。
また、制御対象の構造が何度も変化しても、それまで同定した状態空間モデルと共通する遅れ要素モデルがある場合、この共通遅れ要素モデルを何度でも活用して簡単に同定できる。
さらに、構造変化後の制御対象に係る入出力データをフィルタリングして得た仮入力データを用いるから、設計や解析手順がより分かり易くなり、この観点から制御系設計に最適な状態空間モデルを簡単に同定できる利点がある。
さらに、共通の一次遅れ要素モデルを上記共通遅れ要素モデルとする方法では、より一層同定演算を簡単に行うことが可能となる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る制御対象の同定方法の実施の形態を示す図である。
【図2】図1に示す制御対象の同定方法を実現する1例を示す機能ブロック図である。
【図3】図1に示す制御対象の同定方法を説明する概略図である。
【図4】図1に示す制御対象の同定方法を説明する等価回路図である。
【図5】図1に示す制御対象の同定方法を説明する等価回路図である。
【図6】制御対象の状態遷移図である。
【図7】制御対象の状態遷移図である。
【図8】制御対象の構成を簡略化して示す図である。
【符号の説明】
1 状態空間モデル設計部
3 伝達関数変換部
5 パラメータ算出部
7 同定信号発生部
9 制御対象
11 伝達関数同定部
13 入力値フィルタ
15 状態空間モデル作成部
17 共通遅れ要素算出部
H ヒータ
SW1、SW2 スイッチ

Claims (2)

  1. 物理的に構造が変化する制御対象に対応した最適な状態空間モデルを得て前記制御対象を同定する同定方法であって、
    前記構造変化前後の前記制御対象で同じ特性を持ち未知変数を含んだ共通遅れ要素モデルを抽出し、前記構造変化後の前記制御対象に関する入出力データに対して前記共通遅れ要素モデルによってフィルタリングしたデータを仮入力データとし、この仮入力データに基づき前記構造変化後の前記制御対象において前記共通遅れ要素モデルを除いた構成要素を同定し、この同定結果に前記共通遅れ要素モデルを加えて前記制御対象に対応した数値で表わされる前記状態空間モデルを得ることを特徴とする制御対象の同定方法。
  2. 前記共通遅れ要素モデルは、共通の一次遅れ要素モデルである請求項1記載の制御対象の同定方法。
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