JP3729445B2 - 水冷ケーブル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、製鋼用アーク炉等の電気炉の二次側給電用ケーブルとして使用される水冷ケーブルに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の水冷ケーブルとしては、内ゴム層、補強層、外ゴム層の3層を一体とし、かつ外ゴム層の外周面を長さ方向にストレート(平坦)に成形してなるホース(以下、ストレートホースという。)を、撚線導体の上に被覆すると共にこのホースと撚線導体との間に長さ方向に通水路を形成することにより構成した水冷ケーブルがある。
【0003】
しかるに水冷ケーブルには、電気炉の動きに合わせて自在に動きうるように、しかもできる限り長期間の使用に耐えうるように、耐屈曲性、耐ねじり性、外面の耐摩耗性等に対してより厳しい要求性能が課せられてきている。
【0004】
上記ストレートホースを用いた水冷ケーブルは、ホースの可撓性が小さいことから電気炉の動きに対する曲げ、ねじりに順応し難いという難点がある。
【0005】
このため、ストレートホースに代えて、図2に示したような外ゴム層の外面をコルゲート状に波付けしてなるホース(以下、コルゲートホースという。)を使用した水冷ケーブルが多用されている。
【0006】
すなわち、図2において撚線導体11を被覆するホース12は、内ゴム層13と、その外周にすだれコードを巻き付けてなる補強層14と、この補強層14の上に、ガラス繊維強化プラスチック(FRP)をプラスチックチューブに充填したものやゴムひも等の非金属材料からなる補強線15を介して設けられた外ゴム層16とにより構成されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
図2に示すコルゲートホース12を形成するのに、内ゴム層13上の補強層14の外周に、先ず、非金属材料製の補強線15を整列螺旋巻きする。そして、その上に外ゴム層16を構成するゴム材料を被せ、外周面をコルゲート状に波付けするようにロープ(図示せず)で螺旋状にバインドする。この状態で各層を一体加硫成形することにより、コルゲートホース12を構成している。
【0008】
このようにコルゲートホース12を用いた水冷ケーブルは、外ゴム層16の外面をコルゲート状に成形する工程が煩雑で多大な手間がかかることから、製造が困難でばらつきが生じ易く、品質の安定した製品を得るには相当の熟練を要している。
【0009】
また、ホース12がコルゲート状の凹凸面であることから、給電時に相隣接するケーブルどうしのこすれ合いで凸面が摩耗し易く、早期段階でケーブル外面から水漏れが生じるおそれがある。
【0010】
本発明は、上記の事情に基づきなされたもので、ストレートホースを用いた水冷ケーブルであって、製造が容易で、良好な耐屈曲性、耐ねじり性、耐摩耗性を備えた水冷ケーブルを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は次の構成としている。
【0012】
すなわち、本発明の水冷ケーブルは、撚線導体の外周上に、内ゴム層、補強層、外ゴム層を有するホースが被覆され、撚線導体とホースとの間に通水路が形成されてなる水冷ケーブルにおいて、内ゴム層と外ゴム層との間に、それぞれ内、外周面に補強層を介して中間ゴム層を設け、外ゴム層の外周面を長さ方向にストレートに形成したことを特徴とする。
【0013】
本発明において、補強層は、すだれコードが内ゴム層及び中間ゴム層の各周上にそれぞれ螺旋巻きされ、内ゴム層、中間ゴム層及び外ゴム層と共に一体成形されている。
【0014】
中間ゴム層としては、内ゴム層より小さい硬度を備えており、特にねじり荷重に対応しうる。
【0015】
また本発明においては、中間ゴム層は、単層に限られるものではなく、必要に応じて内ゴム層と外ゴム層との間に、それぞれ内、外周面に補強層を介して複数層が設けられてもよいものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の水冷ケーブルにおける実施の形態を図面を参照して説明する。
【0017】
図1は本発明の一実施例を示している。図1において、水冷ケーブル20は、撚線導体21の外周上に、長さ方向に螺旋溝等の凹凸のないストレートホース22が被覆され、撚線導体21とストレートホース22との間に、長さ方向に通水路23が設けられている。
【0018】
撚線導体21は、多数本の素線を複数層に撚り合わせてなる周知構造、あるいは図示しないが、横断面環状に形成されて内、外周に通水路を設けた構造でもよい。上記通水路には撚線導体21を冷却するために給電時冷却水が流通される。
【0019】
本発明においては、ホース22の外周面を長さ方向にストレート(平坦)に成形し、さらに内、外両ゴム層間に、比較的軟質なゴム材料からなる中間ゴム層を設けることにより、製造上あるいは耐屈曲性等の特性上の課題を解決している。
【0020】
すなわち、ホース22の内ゴム層24と外ゴム層25との間にはそれぞれ内、外周面に補強層26、27を介して中間ゴム層28を設けている。
【0021】
この中間ゴム層28は、内ゴム層24と外ゴム層25との間に、図示しないがそれぞれ内、外周面に補強層を介して複数層が積層された状態で設けられてもよい。
【0022】
ストレートホース22の最外周には、必要に応じて耐熱被覆層29が設けられる。水冷ケーブルの設置状況によっては、この耐熱被覆層29を設けないで、外ゴム層25が最外層の場合もある。
【0023】
内ゴム層24は、天然ゴムに、電気絶縁性を向上させるためにスチレン−ブタジエンゴム(SBR)を配合させてなる絶縁ゴムである。外ゴム層25はクロロプレンゴムからなる保護ゴムであり、外周面が長さ方向にストレートに形成されている。
【0024】
中間ゴム層28は、内ゴム層24と同材質のゴムあるいはエチレンプロピレンゴムからなり、内ゴム層24の硬度(ショアー硬度50〜60)より小さい硬度を備えている。
【0025】
補強層26、27は、ポリビニルアルコール繊維、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維等の繊維からなるすだれコードを、内ゴム層24及び中間ゴム層28の各周上にそれぞれ螺旋巻きし、内ゴム層24、中間ゴム層28及び外ゴム層25と共に一体成形されてなるものである。
【0026】
耐熱被覆層29は、ガラス繊維、セラミック繊維等の耐熱繊維からなる耐熱クロスを、外ゴム層25の外周に適当な厚さで被覆したものである。
【0027】
次に、前述した従来技術の内ゴム層、補強層、外ゴム層の3層を一体としたストレートホースを用いた水冷ケーブルと、図2に示したコルゲートホースを用いた水冷ケーブルと、図1に示した本発明に係わる水冷ケーブルの3種の各水冷ケーブルの特性比較を示す。
【0028】
これら3種の水冷ケーブルとして、いずれも長さ3メートル、ホース内径121mmの各試料ケーブルを用意し、これらのケーブルにそれぞれねじり荷重を加え、そのときのケーブルねじれ角度とねじれトルクを測定した。その結果を図3に示している。
【0029】
同図から分かるように、コルゲートホース12を用いた水冷ケーブルは屈曲性、ねじり性が良好であるが、従来技術のストレートホースを用いた水冷ケーブルは耐屈曲性、耐ねじり性が悪く、ねじり角度が100度近傍で座屈を生じた。
【0030】
本発明に係わる水冷ケーブルは、中間ゴム層28の存在により、従来技術のストレートホースを用いた水冷ケーブルに比べて耐屈曲性、耐ねじり性が大幅に改善され、座屈が起こり難くなっている。
【0031】
なお、中間ゴム層28を肉厚を適宜大きくしたり、あるいは前述したように中間ゴム層28を複数層を設けることにより、ねじり特性をさらに向上させることが可能である。
【0032】
【発明の効果】
本発明の水冷ケーブルによれば、ストレートホースを、内ゴム層と外ゴム層との間に中間ゴム層を設けて構成し、中間ゴム層は内ゴム層より小さい硬度を備えたことにより、前述した従来のストレートホースを用いた水冷ケーブルと比較して可撓性、特にねじり特性が15〜20%向上した。また本発明の水冷ケーブルは、ホースの各層が長さ方向にストレートに形成されていることにより、コルゲートホースを用いた水冷ケーブルと比べ製造工程を簡略化できて製造が簡単であるから品質の安定した製品を得ることができ、さらに給電時に相隣接するケーブルどうしのこすれ合いでも摩耗し難く長寿命化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の水冷ケーブルの一実施例を示す断面図である。
【図2】従来の水冷ケーブルを示す断面図である。
【図3】本発明の水冷ケーブルの特性を従来例と比較して説明するための線図である。
【符号の説明】
11、21;撚線導体 12、22;ホース 13、24;内ゴム層
14、26、27;補強層 15;補強線 16、25;外ゴム層
23;通水路 28;中間ゴム層 29;耐熱被覆層
Claims (3)
- 撚線導体の外周上に、内ゴム層、補強層、外ゴム層を有するホースが被覆され、前記撚線導体と前記ホースとの間に通水路が形成されてなる水冷ケーブルにおいて、前記内ゴム層と前記外ゴム層との間に、それぞれ内、外周面に補強層を介して中間ゴム層を設け、前記中間ゴム層は、前記内ゴム層より小さい硬度を備えており、前記外ゴム層の外周面を長さ方向にストレートに形成したことを特徴とする水冷ケーブル。
- 前記補強層は、すだれコードが前記内ゴム層及び前記中間ゴム層の各周上にそれぞれ螺旋巻きされ、前記内ゴム層、前記中間ゴム層及び前記外ゴム層と共に一体成形されたものであることを特徴とする請求項1記載の水冷ケーブル。
- 前記中間ゴム層は、前記内ゴム層と前記外ゴム層との間に、それぞれ内、外周面に補強層を介して複数層が設けられたことを特徴とする請求項1又は2記載の水冷ケーブル。
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