JP3727019B2 - 磁束計及び出力増幅装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超伝導量子干渉素子(SQUID)を有する磁束計及び出力増幅装置に関し、特に前記SQUIDの出力信号を効率よく検出し、消費電力を低減できると共に、ノイズにも強く、回路構成が簡単な磁束計及び出力増幅装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近時、超伝導現象を利用した磁気センサである超伝導量子干渉素子(以下、SQUIDと略称する)が注目されている。このセンサは、1個又は2個の絶縁薄膜を超伝導材料で挟んでリング状に形成した構造を有しており、超伝導状態を維持するために、液体ヘリウムや液体窒素等の極低温液体に浸漬されている。この状態で、前記SQUIDにバイアス電流を流し、該SQUIDのリングに外部磁束を鎖交させると、電磁誘導現象によって前記外部磁束を打ち消す磁束を発生させるループ電流が前記リングを流れると同時に、前記絶縁薄膜には電位差が発生する。この電位差をSQUIDの出力信号として検出する。
【0003】
また、SQUIDは極めて感度のよいセンサであり、例えば、SQUIDの外部磁場に対する測定分解能は、一般に数fT/√Hz〜数100fT/√Hzの範囲内であり、一方、SQUIDの出力電圧の検出分解能は約0.1nV/√Hzである。従って、SQUIDは、生体から発する極めて微弱な磁束を測定する磁気センサ、地震活動・火山活動に伴う地磁気の変化を観測する磁気センサ等に用いられる。そして、このように微弱なSQUIDの出力信号を増幅するために、前記SQUIDの出力側にはオペアンプを用いた出力増幅装置が接続される。
【0004】
図3は、SQUIDを組み込んだ磁束計100を示す。この磁束計100はDOIT(Direct Offset Integration Technique)方式の磁束計であり、公知技術である。前記磁束計100は、2つの絶縁薄膜102を備えたSQUID104、直流電流源106、出力増幅装置108、積分回路107、帰還抵抗109及び帰還コイル111から構成される。前記SQUID104及び前記帰還コイル111は、極低温液体中に浸漬されている。また、前記出力増幅装置108は、3個のオペアンプと複数個の抵抗及びコンデンサ等を用いた差動増幅回路110から構成される。また、前記積分回路107はオペアンプとコンデンサと抵抗を備え、該オペアンプの反転入力端子には、前記出力増幅装置108の出力信号にオフセット電圧を重畳させるオフセット電圧入力端子105が接続されている。
【0005】
前記直流電流源106から直流電流がSQUID104に流れている状態で、外部より磁束112を前記SQUIDのリング114に鎖交させると、電磁誘導現象によって前記磁束112を打ち消す磁束(図示せず)が発生する。この磁束は、リング114に流れるループ電流116に起因する。前記ループ電流116により、絶縁薄膜102には電位差が発生する。この電位差を出力増幅装置108で増幅し、前記電位差、すなわち、SQUIDの出力信号を検出する。さらに、オフセット電圧入力端子105から基準電圧である直流のオフセット電圧を出力増幅装置108の出力信号に重畳させた状態で、前記積分回路107の出力信号を帰還抵抗109を介して帰還電流として帰還コイル111に流せば、該帰還コイル111に磁束113が発生し、リング114と鎖交する。これによって、磁束計100はフィードバック制御され、磁束112と磁束計100の出力電圧との関係は線形化される。すなわち、積分回路107から帰還コイル111への負帰還電圧を測定することによって、磁束112の大きさを把握することができる。
【0006】
ところで、SQUIDの測定対象となる外部磁場とは、人間の脳内に発生する約10Hzのアルファ波信号、地震活動・火山活動に伴う数10Hz程度の地磁気信号等、いずれも1kHz以下の低周波の磁気信号である。このような低周波領域において、前記出力増幅装置108を構成するオペアンプのノイズは、一般に、周波数の低下に伴い増加する。
【0007】
例えば、汎用オペアンプとして知られているTL071(Texas Instruments 社製)の場合、電圧性ノイズは1kHzにおいて約18nV/√Hzであるが、10Hzでは約45nV/√Hzにまで増加する。また、図3の磁束計100では、SQUIDで検出された出力信号を差動増幅器によって増幅するのみで、低周波領域のノイズを改善する工夫がなされていない。従って、前記出力信号が前記差動増幅器のノイズに埋もれる可能性が十分にある。なお、1kHz以上の高周波領域の場合には、周波数の増加に伴い該ノイズも減少するため、前記出力信号が前記ノイズに埋もれる可能性は低下する。
【0008】
図4は、このような問題を改善するために改良された磁束計200を示す。この磁束計200は変調型磁束計と呼ばれており、2つの絶縁薄膜202を備えたSQUID204、交流電流源206、出力増幅装置208、積分回路207、帰還抵抗209及び帰還コイル211から構成される。そして、前記出力増幅装置208は、3個のオペアンプと複数個の抵抗及びコンデンサからなる差動増幅回路210、移相器(PS)212、位相検波器(PSD)214、及びローパスフィルター(LPF)216から構成される。また、前記積分回路207は、オペアンプとコンデンサと抵抗を備え、該オペアンプの反転入力端子には、前記出力増幅装置208の出力信号にオフセット電圧を重畳させるオフセット電圧入力端子205が接続されている。
【0009】
この磁束計200では、前記交流電流源206から交流電流をSQUID204に流している状態で、磁束計200の外部より磁束218が、前記SQUID204のリング220に鎖交すると、電磁誘導によって前記磁束218を打ち消す方向にループ電流222がリング220に流れ、絶縁薄膜202には、前記電流に伴う電位差が発生する。そして、SQUID204の出力信号である前記電位差には、前記交流電流に起因する電圧も重畳する。この場合、交流電流の周波数は、外部の磁束218が持つ周波数よりも高い周波数に選択する。これは、SQUID204の出力信号に高周波電圧を重畳させて、振幅変調を発生させるために行う。すなわち、交流電流に起因する高周波電圧を搬送波信号とすることによって、前記出力電圧を変調して、オペアンプの低周波ノイズの影響を除去する目的で行う。
【0010】
このように振幅変調された前記出力信号は、差動増幅回路210によって増幅された後、位相検波器214によってロックイン検波される。このとき、移相器212からは交流電流源206とSQUID204と出力増幅装置208とによる位相遅れと同じ大きさの位相にずらした交流信号が、参照信号として前記位相検波器214に入力される。前記検波によって、位相検波器214の出力には振幅復調されたSQUID204の出力信号が検出されるが、この信号には、前記高周波電圧のリプルが重畳している。そこで、ローパスフィルター216を介して前記リプルを除去し、所望の出力信号を得る。
【0011】
また、オフセット電圧入力端子205からオフセット電圧を出力増幅装置208の出力信号に重畳させた状態で、前記積分回路207の出力信号を帰還抵抗209を介して帰還電流として帰還コイル211に流し、該帰還コイル211に発生する磁束213をリング220に鎖交することによって、前記磁束計100と同様に、磁束218と磁束計200の出力電圧との関係を線形化することができる。
【0012】
この磁束計200は、図3に示した磁束計100と比較すると、SQUID204の出力信号からオペアンプの低周波ノイズの影響を除去する特徴を有しているが、回路の部品数が格段に多いという欠点を有している。また、差動増幅回路(AMP)210の他に、移相器212、位相検波器214、及びローパスフィルター216にもオペアンプを使用するため、却って消費電力が増大すると共に、今度はサーマルノイズがSQUID204の出力電圧に及ぼす影響を無視できない事態となる。
【0013】
一方、図3に示した磁束計100においても、低ノイズオペアンプを用いることによって、ノイズの影響を改善することが可能である。しかしながら、低ノイズオペアンプは一般に消費電力が大きく、サーマルノイズの問題が無視できないと共に、オペアンプの単価が非常に高いので、コストがかかる欠点を有している。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、超伝導量子干渉素子(SQUID)の出力信号を効率よく検出し、かつ消費電力を低減できると共に、ノイズにも強く、回路構成も簡単な磁束計及び出力増幅装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る磁束計は、超伝導量子干渉素子(SQUID)を有する磁束計において、前記磁束計は出力増幅装置を備え、前記出力増幅装置は、前記SQUIDの出力信号を振幅変調する変調回路部と、前記変調回路部で変調された前記出力信号を増幅する増幅回路部と、前記増幅回路部で増幅された信号を検波して、前記信号を振幅復調する復調回路部と、前記復調回路部で復調された信号波形の脈動を平滑化するフィルター部とを有することを特徴とする。
【0016】
SQUIDの出力信号を直接増幅するのではなく、振幅変調を行った後に、前記出力信号を増幅することによって、出力増幅装置の内部で発生するノイズから該出力信号を保護することが可能である。また、変調回路部を設けることによって、SQUIDに交流電流を流す必要がなくなるため、出力増幅装置の簡素化を図ることができる。
【0017】
また、前記変調回路部は、無極性のコンデンサと、前記コンデンサの両端にそれぞれ電気的に接続された2個の切換スイッチと、前記切換スイッチの一端にコンデンサと並列に接続された抵抗から構成される。一般に、振幅変調回路は、トランジスタ、変調トランスの他にトランジスタを駆動する電源等から構成されている。前記変調回路部を、コンデンサと2個の切換スイッチと抵抗の4個の部品で構成することによって、変調回路部の簡素化と、消費電力の低減が実現できる。
【0018】
そして前記切換スイッチは、前記変調回路部の入力端と出力端とを短時間で切り換えるスイッチであり、前記切換スイッチの切換時間、及び前記コンデンサと前記抵抗とによる時定数で決定される周波数を搬送周波数とし、SQUIDの出力信号を変調信号とする。前記入力端は、SQUIDの出力側に接続されており、他方、前記出力端は増幅回路部に接続されている。従って、入力端にスイッチが倒れているときは、SQUIDからの出力信号をコンデンサで充電し、出力端にスイッチを倒すことによって、コンデンサと抵抗による放電が行われることになる。前記スイッチの切り換えを短時間で行うことによって、コンデンサの充放電を短時間で行う。
【0019】
また、ここでいう短時間とは、オペアンプの低周波ノイズの影響が及ばない100Hz以上、好ましくは1kHz以上の周波数の周期である。従って、高い周波数を選択すると、低周波ノイズに対して強い、すなわち、SQUIDの出力信号に対して、オペアンプのノイズが無視できる程小さいレベルである磁束計を実現できる。それ故、SQUIDの出力信号から前記ノイズの影響を除去するには、搬送周波数を1kHz以上、更に好ましくは1MHz以上の周波数領域に選択することが望ましい。また、前記周波数の決定は、抵抗とコンデンサによる時定数、及びスイッチの切換時間で決定できる。すなわち、人為的に、かつ簡単に変更することが可能である。また、前記切換スイッチとしては、リレーによるスイッチの他、アナログスイッチで構成されるマルチプレクサ等を選択することができる。
【0020】
更に、前記変調信号は、前記切換スイッチ及び前記コンデンサと前記抵抗とにより生成されるサンプリングホールド信号である。前記切換スイッチはサンプラ、前記コンデンサと抵抗はホールドにそれぞれ相当する。該変調信号は言い換えれば、サンプリングされて量子化されたSQUIDの出力信号である。
【0021】
また、増幅回路部は、オペアンプから構成される非反転増幅回路である。一般に、SQUIDの増幅回路部として差動増幅器が採用されているので、前記増幅回路部は差動入力である。しかしながら、本発明では、非反転増幅回路で増幅回路部を構成するため、1個のオペアンプで増幅回路部を構成して前記増幅回路部の簡素化を図ると共に、消費電力の低減も実現できる。
【0022】
また、復調回路部は、前記増幅回路部で増幅されたSQUIDの出力信号の内、正の信号が前記復調回路部に入力する場合には、非反転入力のバッファ回路として機能し、他方、負の信号が前記復調回路部に入力する場合には、反転入力のバッファ回路として機能する。すなわち、前記復調回路部は全波整流による復調回路部である。また、バッファ回路の切り換えは、SQUIDの出力信号と同期させて、アナログスイッチを用いたマルチプレクサ等により行う方法が好適である。
【0023】
更に、復調回路部の次段に配置されているフィルター部は、前記復調回路部から出力された復調信号に包含されている搬送周波数の信号成分のみを除去するスイッチドキャパシタフィルターである。該フィルター部は、変調信号の領域を通過域とするバンドパスフィルター又はローパスフィルターのいずれでも実現できる。
【0024】
また、前記SQUIDとしては、DC−SQUIDやRF−SQUIDが存在するが、DC−SQUIDを使用することが好ましい。もちろん、絶縁薄膜が1個しかないRF−SQUIDは、高周波電圧で検出される他に、DC−SQUIDと比較して、入出力の特性が不安定であるが、使用してもよい。
【0025】
また、本発明に係る出力増幅装置は、超伝導量子干渉素子(SQUID)の出力信号を振幅変調する変調回路部と、前記変調回路部で変調された前記出力信号を増幅する増幅回路部と、前記増幅回路部で増幅された信号を検波して、前記信号を振幅復調する復調回路部と、前記復調回路部で復調された信号波形の脈動を平滑化するフィルター部とを有することを特徴とする。
【0026】
これにより、SQUIDの出力信号を効率よく検出し、かつ消費電力を低減できると共に、ノイズにも強く、回路構成も簡単にすることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、この発明に係る磁束計をDC−SQUIDを内蔵した磁束計に適用した実施の形態例(以下、実施の形態に係る磁束計という)について図1及び図2を参照して説明する。
【0028】
本実施の形態に係る磁束計10は、図1に示すように、2つの絶縁薄膜12を備えたSQUID14、直流電流源16、本実施の形態に係る出力増幅装置18、積分回路15、帰還抵抗17及び帰還コイル19から構成される。
【0029】
本実施の形態に係る出力増幅装置18は、コンデンサ20と抵抗22と2個の切換スイッチ24から構成される変調回路部26と、コンデンサC1とオペアンプ28と抵抗R1及びR2から構成される非反転増幅回路30と、非反転入力(×1)のバッファ回路32と反転入力(×(−1))のバッファ回路34と2つのバッファの出力側に接続されている切換スイッチ36から構成される復調回路部38と、ローパスフィルター(LPF)40と、クロック発生部(Clock)42と、移相器(PS)43とを有して構成されている。
【0030】
外部からの磁束を検出するSQUID14としては、2つの絶縁薄膜12を備えたDC−SQUIDが好ましい。すなわち、これまでの公知技術であるKetchen型SQUID、マルチループ型SQUID、ダブルワッシャ型SQUID、直接磁場検出型SQUID、クローバ・リーフ型SQUID、緩和発振型SQUID等が好適に使用できる。
【0031】
そして、前記SQUID14を、液体ヘリウム又は液体窒素が充たされた低温容器内に浸漬し、超伝導状態を維持させる。この場合、液体ヘリウムの温度領域で超伝導状態になる低温超伝導のSQUID又は液体窒素の温度領域で超伝導領域となる高温超伝導のSQUIDのいずれかを選択する必要があるが、SQUID及びSQUIDから増幅回路部に到る箇所の電線で発生するサーマルノイズの問題を考慮すれば、低温超伝導のSQUIDを選択する方が望ましい。
【0032】
また、直流電流源16としては、市販の直流安定化電源を使用してもよい。ただし、外部磁場を測定する場合には、オペアンプ28、クロック発生部42、移相器43及びローパスフィルター40も同時に駆動する必要があるため、多数の電圧供給端子を有する直流安定化電源を使用することが望ましい。
【0033】
また、出力増幅装置18は、外部からの電磁波ノイズ及び出力増幅装置18の内部から発生するノイズを除去するため、プリント基板の配線上に電子部品を搭載して前記出力増幅装置18を構成させ、低抵抗のアルミダイカスト、銅、黄銅等から構成されるケースに収納することが望ましい。この構成によって、携帯電話等から出る高周波ノイズに対して強い出力増幅装置18を提供することができる。
【0034】
また、変調回路部26を構成するコンデンサ20と抵抗22は、市販の回路部品を使用すればよい。例えば、コンデンサについては、無極性でかつ、静電容量の許容差が小さいものであればよく、積層セラミックコンデンサ、プラスチックフィルムコンデンサ等が好適に使用できる。抵抗についても、定格電力及び公称抵抗値の許容差が小さいものがよく、0.25W程度の定格電力を有する酸化金属被膜抵抗が好適である。コンデンサ20及び抵抗22の許容差を問題としているのは、変調回路部26において、SQUID14の信号を変調する搬送周波数が、前記コンデンサ20及び前記抵抗22の充放電の時定数に決定されるためである。また、切換スイッチ24は、SQUID14の出力側と抵抗22との間を、例えば1ms以下の短時間で切り換え可能なスイッチであれば、どのようなものでも構わないが、クロック信号によって切り換えを制御できるアナログスイッチ又はマルチプレクサであればより望ましい。
【0035】
非反転増幅回路30を構成するオペアンプ28としては、一般に使用される汎用のオペアンプを使用すればよい。また、前記変調回路部26への影響を考慮して、オペアンプ28の入力側にバッファを加えるように改良しても構わない。また、磁束計10の増幅度は、抵抗R1及びR2の組み合わせによる非反転増幅回路30の増幅率で決定される。従って、前記抵抗R1及びR2に用いる抵抗としては、公称抵抗値の許容差が小さい酸化金属被膜抵抗器を使用することが望ましい。
【0036】
一方、コンデンサC1は、変調回路部26の出力信号に含まれる低周波成分を除去するバイパスコンデンサとして使用されるが、無極性のコンデンサであれば好適に使用することができる。例えば、積層セラミックコンデンサ、セラミックコンデンサ、プラスチックフィルムコンデンサ等を使用すればよい。なお、前記非反転増幅回路30は、オペアンプ28の非反転入力端子(オペアンプ28の+側端子)より信号を入力する回路であるが、SQUID14側から前記端子を見た場合、等価的に差動増幅回路と見なすことができる。
【0037】
また、復調回路部38は、前記非反転増幅回路30で増幅された変調信号を復調するための回路である。非反転入力(×1)のバッファ回路32と反転入力(×(−1))のバッファ回路34は、オペアンプで構成する。2つのバッファ回路32、34を選択する切換スイッチ36は、アナログスイッチ又はマルチプレクサで構成する。
【0038】
更に、復調された信号に残存するリプルをスイッチドキャパシタフィルターによるローパスフィルター(LPF)40で除去する。また、前記信号の周波数が明確であれば、ローパスフィルター40をバンドパスフィルターに組み替えても構わない。
【0039】
クロック発生部(Clock)42は、クロック信号を発生する部分であり、前記クロック信号を切換スイッチ24及び移相器43に与える。この場合、前記切換スイッチ24に対しては、例えば1ms以下の短時間の間隔でクロック信号を与え、該切換スイッチ24におけるスイッチの切り換えを行わせる。一方、切換スイッチ36にも、移相器43を介して前記切換スイッチ24と同じクロック信号が前記クロック発生部42より供給される。
【0040】
また、前記積分回路15は、ローパスフィルター40の出力信号を積分して出力する回路であり、オペアンプとコンデンサと抵抗とを備え、該オペアンプの反転入力端子には、前記ローパスフィルター40の出力信号にオフセット電圧を重畳させるオフセット電圧入力端子45が接続されている。また、帰還抵抗17は、前記積分回路15の出力信号を帰還コイル19にフィードバックするための抵抗であり、その大きさによって前記帰還コイル19に流れる帰還電流の大きさが決定される。また、帰還コイル19は、SQUID14と共に液体ヘリウム又は液体窒素が充たされた低温容器内に浸漬されている。そして、前記帰還コイル19と、SQUID14とは磁気的に結合されていると共に、電気的には絶縁されている。
【0041】
次に、磁束計10の動作原理について図2Aの磁束波形及び図2B〜図2Fの電圧波形を参照しながら説明する。
【0042】
直流電流源16より直流電流をSQUID14に流した状態で、図2Aに示すように、例えば100Hz以下の低周波の交流磁束信号60を、図1に示す磁束44の方向で前記SQUID14のリング46に鎖交させる。その結果、電磁誘導現象により前記リング46にループ電流48が流れ、矢印とは逆向きの磁束(図示せず)が発生する。前記ループ電流48によって絶縁薄膜12には電位差が発生し、SQUID14の出力端子50に出力電圧として検出される。図2BはSQUID14の出力電圧信号62を示す。
【0043】
次いで、前記SQUID14の出力電圧を変調回路部26のコンデンサ20に充電する。その状態で、クロック発生部42からクロック信号が切換スイッチ24に与えられると、該切換スイッチ24はSQUID14の出力端子50から抵抗22に切り換えられ、コンデンサと抵抗による放電が行われる。前記切換スイッチ24を1ms以下の短時間で切り換えることにより、前記出力信号のサンプリング(振幅変調)が行われ、抵抗22の両端には、図2Cに示すサンプリングホールドされた過変調の振幅変調信号64が出力される。
【0044】
次に、非反転増幅回路30では、抵抗R1及びR2で決定される増幅率に従い前記振幅変調信号64の増幅が行われる。図2Dは前記非反転増幅回路30の出力信号66を示す。
【0045】
その後、復調回路部38において、非反転増幅回路30の出力信号66を復調する。前記出力信号66が正極性の信号のとき、前記復調回路部38は非反転入力のバッファ回路32として機能する。また、前記出力信号66が負極性の信号である場合、前記復調回路部38は反転入力のバッファ回路34として機能する。すなわち、復調された信号は図2Eに示す全波整流信号68として、前記復調回路部38から出力される。なお、非反転入力のバッファ回路32と反転入力のバッファ回路34との切り換えは、切換スイッチ36で行う。この場合、クロック発生部42から出力されたクロック信号の供給に従い、スイッチの切り換えが行われる。
【0046】
最後に、図2Eの全波整流信号68のリプル70をローパスフィルター40を介して除去する。その結果、磁束計10の出力には、図2Fに示すSQUID14のリング46に鎖交した交流磁束信号60に対応する信号72が検出される。なお、前記リプル70は、前記振幅変調信号64に起因するリプルである。
【0047】
また、オフセット電圧入力端子45からオフセット電圧を、出力増幅装置18の出力信号に重畳させた状態で、前記積分回路15の出力信号を帰還抵抗17を介して帰還電流として帰還コイル19に流し、該帰還コイル19に発生する磁束47をSQULD14に鎖交することによって、磁束44と磁束計10の出力電圧との関係を線形化することができる。
【0048】
以上、1個のSQUIDと1個の出力増幅装置から構成される磁束計10について説明した。実際には前記磁束計を1チャンネルとして、多チャンネル方式の磁束計システムとして利用する。従来技術であれば、多数のオペアンプを使用するため、消費電力が大きく、サーマルノイズがSQUIDの出力電圧に及ぼす影響を考慮する必要があった。
【0049】
本実施の形態では、1チャンネルの磁束計について、少なくとも非反転増幅回路30のオペアンプ28の1個のみで磁束計を構成することが可能であるため、消費電力の低減を実現できる。また、SQUIDの出力信号を変調し、1kHz以上の搬送周波数の領域で、変調された前記出力信号を増幅するため、オペアンプの低周波ノイズの影響を受けることなくSQUIDの信号を検出することができる。
【0050】
また、増幅回路部の増幅回路が差動入力型ではなく非反転入力回路であるため、回路構造が簡単である。これにより、市販の回路部品だけで回路を構成できるため、前記部品の入手が容易であると共に、製造コストを低減することもできる。更に、クロック発生部42についても、出力増幅装置18から独立させることによって、前記クロック回路部の1台で、全ての磁束計に内蔵されている切換スイッチを制御することも可能である。
【0051】
なお、この発明に係る磁束計及び出力増幅装置は、上述の実施の形態に限らず、この発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る磁束計及び出力増幅装置によれば、前記SQUIDの出力信号を効率よく検出し、かつ消費電力を低減できると共に、ノイズにも強く、回路構成が簡単なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係るSQUIDを内蔵した磁束計に備えられた出力増幅装置の回路構成を示すブロック図である。
【図2】図2Aは、図1に示すSQUIDのリングに鎖交する交流磁束信号の時間的変化を示す波形図であり、図2Bは、SQUIDの出力信号の時間的変化を示す波形図であり、図2Cは、磁束計の変調回路部で変調されたSQUIDの出力信号の時間的変化を示す波形図であり、図2Dは、非反転増幅回路で増幅された前記出力信号の時間的変化の波形図であり、図2Eは、復調回路部で復調された前記信号の時間的変化を示す波形図であり、図2Fは、ローパスフィルターを介して前記波形のリプルを除去した波形を示す図である。
【図3】DOIT方式による磁束計を示す図である
【図4】変調方式による磁束計を示す図である。
【符号の説明】
10、100、200…磁束計 12、102、202…絶縁薄膜
14、104、204…SQUID 15、107、207…積分回路
16、106…直流電流源 17、109、209…帰還抵抗
18、108、208…出力増幅装置 19、111、211…帰還コイル
20…コンデンサ 22…抵抗
24、36…切換スイッチ 26…変調回路部
28…オペアンプ 30…非反転増幅回路
32、34…バッファ 38…復調回路部
40、216…ローパスフィルター 42…クロック発生部
43、212…移相器
44、47、112、113、218…磁束
45、105、205…オフセット電圧入力端子
46、114、220…リング 48、116、222…ループ電流
50…出力端子 60…交流磁束信号
62…出力電圧信号 64…振幅変調信号
66…出力信号 68…全波整流信号
70…リプル 72…信号
110、210…差動増幅回路 206…交流電流源
214…位相検波器

Claims (9)

  1. 超伝導量子干渉素子(SQUID)を有する磁束計において、
    前記磁束計は出力増幅装置を備え、
    前記出力増幅装置は、
    前記SQUIDの出力信号を振幅変調する変調回路部と、
    前記変調回路部で変調された前記出力信号を増幅する増幅回路部と、
    前記増幅回路部で増幅された信号を検波して、前記信号を振幅復調する復調回路部と、
    前記復調回路部で復調された信号波形の脈動を平滑化するフィルター部とを有すること
    を特徴とする磁束計。
  2. 請求項1記載の磁束計において、
    前記変調回路部は、無極性のコンデンサと、
    前記コンデンサの両端にそれぞれ電気的に接続された2個の切換スイッチと、前記切換スイッチの一端にコンデンサと並列に接続された抵抗とを有すること
    を特徴とする磁束計。
  3. 請求項2記載の磁束計において、
    前記切換スイッチは、前記変調回路部の入力端と出力端とを短時間で切り換えるスイッチであり、
    前記切換スイッチの切換時間、及び前記コンデンサと前記抵抗とによる時定数で決定される周波数を搬送周波数とし、SQUIDの出力信号を変調信号とすること
    を特徴とする磁束計。
  4. 請求項3記載の磁束計において、
    前記変調信号は、前記切換スイッチ及び前記コンデンサと前記抵抗とにより生成されるサンプリングホールド波形であること
    を特徴とする磁束計。
  5. 請求項1記載の磁束計において、
    前記増幅回路部は、オペアンプから構成される非反転増幅回路であること
    を特徴とする磁束計。
  6. 請求項1記載の磁束計において、
    前記復調回路部は、前記増幅回路部で増幅されたSQUIDの出力信号の内、正の信号が前記復調回路部に入力するときに対しては、非反転入力のバッファ回路として機能し、
    負の信号が前記復調回路部に入力する場合には、反転入力のバッファ回路として機能すること
    を特徴とする磁束計。
  7. 請求項1記載の磁束計において、
    前記フィルター部は、前記復調回路部から出力される復調信号に包含されている搬送周波数の信号成分のみを除去するスイッチドキャパシタフィルターであること
    を特徴とする磁束計。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の磁束計において、
    前記SQUIDは、DC−SQUIDであること
    を特徴とする磁束計。
  9. 超伝導量子干渉素子(SQUID)の出力信号を増幅する出力増幅装置において、
    前記SQUIDの出力信号を振幅変調する変調回路部と、
    前記変調回路部で変調された前記出力信号を増幅する増幅回路部と、
    前記増幅回路部で増幅された信号を検波して、前記信号を振幅復調する復調回路部と、
    前記復調回路部で復調された信号波形の脈動を平滑化するフィルター部とを有すること
    を特徴とする出力増幅装置。
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