JP3725305B2 - 超電導マグネットの冷却装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、核融合装置などの大型超電導機器に使用される強制冷却導体を用いた超電導マグネットの冷却装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に高電圧、高磁界、高電流密度が要求される核融合実験装置(炉)やエネルギー貯蔵装置(SMES)などの大型超電導機器には、金属管(コンジット)内に多数の超電導線を収納した強制冷却導体を使用し、この導体内に「超臨界圧ヘリウム」と呼ばれる低温かつ臨界圧以上の単相の高圧ヘリウムを流す、いわゆる強制冷却方式の超電導マグネットが多く採用されている。この超電導機器の一例を図3に示す。
【0003】
図3に示す大型超電導機器は例えば核融合装置に適用されるもので、極低温容器(断熱容器)100内に配置され且つその外部の励磁電源(図示しない)に電流リード103を介して電気的に接続される大型超電導マグネット101と、このマグネット101の強制冷却導体(図示しない)を含む冷却系統に超臨界圧ヘリウム等を供給する冷却装置102とを備えている。
【0004】
冷却装置102は、マグネット101との間で超臨界圧ヘリウム循環ライン110(供給配管110a及び戻り配管110b)を介して熱的に接続される熱交換ユニット、即ち循環装置(ポンプ)111及び超臨界圧ヘリウム熱交換器槽112(図中の符号112aは熱交換器)を低温容器100内に備えている。
【0005】
この低温容器100の外部には、熱交換器槽112内に液体ヘリウム移送管113を介して液体ヘリウムを供給する液体ヘリウム貯槽114や、ヘリウムガス供給系統(断熱配管)115を介して熱交換ユニットに低温のヘリウムガスを供給するヘリウム冷凍液化装置116のほか、戻り配管110等の配管類からヘリウムガス回収系統117を介してガスを受ける回収精製系(ガスバッグ118a、回収圧縮機118b、精製装置118cなど)118、ヘリウムガス充填容器119、及びヘリウム圧縮機120等が設置されている(図中の符号121…121は各種構成機器及び配管類を仕切るバルブを示す)。
【0006】
このような超電導マグネットの冷却装置では、循環装置からの超臨界圧ヘリウムを熱交換器槽内の液体ヘリウムとの間で熱交換させてマグネット内の冷却系統に沿って循環させるが、このマグネットで発生する電磁力支持用の構造体も含めて約1000トンにも達するマグネット冷却重量をカバーし且つ長時間にわたって安定に運転させる必要があるため、その構成主要機器の信頼性をより一層高めたり、複数の循環装置や並列回路等による二重構成化を構築する等の対策が不可欠となっている。
【0007】
この対策としては、例えば図4に示すように、上記と同様の超電導マグネット(図示しない)および超臨界圧ヘリウム熱交換ユニット(循環装置111、熱交換器槽112、熱交換器112a等)が配置される極低温容器100内の超電導マグネット支持構造物系(トロイダルコイル支持系122a、ポロイダルコイル支持系122b、その他の支持構造物系122c)に専用の冷却系統を割り当てた冷却装置が提案されている。これは、運転時における熱負荷の発生形態が定常的であったり、パルス的であったりと変化していく事実に基づいて構築されたものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の超電導マグネットの冷却装置では、通常、マグネット単体の各部(コイル巻線部、コイル間接続部、及びコイル容器など)の冷却構成を、同一形態のヘリウム(超臨界圧ヘリウム等)を用いた同一の冷却系統(例えば、Fusion Engineering and Design Vol.7 1988)で構築してあるため、以下のような不都合があった。
【0009】
例えば核融合装置の場合には、運転時における超電導マグネットへの熱負荷の発生形態がプラズマ燃焼時やプラズマ着火時に発生する中性子核発熱、交流損失発熱、及びプラズマ非燃焼時の定常侵入熱などにより異なるため、超電導導体を冷却する冷媒の温度上昇を招きやすく、最悪の場合には超電導状態の破壊(以後クエンチと記す)を生じる可能性があった。
【0010】
この不都合を防止する対策として、例えばこの種の発生熱負荷が異なる装置において高効率で循環流量を小流量から大流量まで可変とすることのできる低温循環装置が要求されていた。特に核融合装置の場合には発生熱負荷の変動がプラズマ燃焼時とその非燃焼時とでは約十倍以上あるため、ヘリウム循環量も十倍以上変化させる必要がある。
【0011】
しかしながら、従来例ではこのように広範囲な流量可変の低温循環装置はなく、通常大流量用に設計された循環装置を用いて低熱負荷時も大流量で循環させており、このような装置構成及び運転方式では熱負荷の増減に応じてヘリウム循環量を急激に増減させる等の可変調整が殆どできない。従って、運用によっては不必要なヘリウム流量を流す等により循環装置でのポンプ熱損失も増大し、冷凍系のシステム容量が過大となる不都合があった。
【0012】
この発明は、このような従来の問題を考慮してなされたもので、熱負荷の発生形態に関係なく超電導マグネットをクエンチさせずに効率よく冷却し、循環装置の熱損失を抑制することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明に係る超電導マグネットの冷却装置は、超電導マグネット内の冷却対象に向けて冷媒を流す冷却系統を備え、この冷却系統に沿って上記冷媒を上記冷却対象に供給する超電導マグネットの冷却装置において、上記冷却系統を主冷却系統と副冷却系統とで構成し、この2種の冷却系統の少なくとも一方を介して上記冷却対象の内の上記超電導マグネット運転時の熱負荷発生条件から選択した複数の冷却対象に個別に上記冷媒を供給する冷媒供給手段を備えるとともに、前記主冷却系統を前記複数の冷却対象の内の前記超電導マグネットのコイル巻線部に超臨界圧相の前記冷媒を流すための冷却系統とする一方、前記副冷却系統を前記複数の冷却対象の内の前記超電導マグネットのコイル間接続部及びコイル容器部の少なくとも一方に前記冷媒とは相の異なる冷媒を流すための冷却系統として、前記主冷却系統と前記副冷却系統を互い区分けする構成としてなり、かつ、前記冷媒供給手段は、前記主冷却系統および副冷却系統を介して互いに異なる相形態の冷媒を前記複数の冷却対象に供給する手段であり、前記主冷却系統および前記副冷却系統に介在して配置される共通の熱交換器を有してなることを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、主冷却系統と副冷却系統とに分離して超電導マグネット内の熱負荷発生条件に基づく複数の冷却対象を個別に冷却できることから、例えば熱負荷に応じた冷媒流量(ヘリウム流量等)を冷却系統の幾何学的寸法制約や循環装置の制御可能な容量等に制限されることなく供給できる。
【0015】
この結果、この発明に係る冷却装置では、超電導導体を冷却するヘリウム、水素、窒素などの冷媒の温度上昇を抑えて超電導マグネットをクエンチさせることなく効率よく冷却できると共に、循環装置の熱損失が過大となる事態を大幅に改善できる。
【0016】
この発明で好ましくは、主冷却系統は複数の冷却対象の内の超電導マグネットのコイル巻線部に冷媒を流すための冷却系統であり、副冷却系統は複数の冷却対象の内の超電導マグネットのコイル間接続部及びコイル容器部の少なくとも一方に冷媒を流すための冷却系統である。
【0017】
ここで、主冷却系統の冷却対象を超電導マグネットのコイル巻線部とし、副冷却系統の冷却対象を超電導マグネットのコイル間接続部とした場合を考える。
【0018】
従来例のコイル巻線部とコイル間接続部とを同一冷媒及び同一系統で直列に冷却する超電導マグネットの冷却装置では、特に接続部での温度上昇を招きやすいといった問題があった。これは、コイル間接続部では、接続部の持つ電気的な抵抗によるジュール発熱のほか、コイル巻線部を冷却した後に引き続きコイル間接続部が冷却されるコイル巻線部のクエンチ回避のための流路構造であるために、超臨界圧ヘリウムのような単相流で冷却する場合には、コイル巻線部での流路抵抗が大きいためコイル間接続部での流量が十分確保できないためである。
【0019】
そこでこの発明によれば、2種の冷却系統を用いてコイル巻線部とコイル間接続部とで互いに異なる条件、例えばそれぞれに適した冷媒条件や循環装置などを個別に設定できるため、従来例と比べ超電導マグネットをクエンチさせることなく、安定にかつ効率よく冷却できる利点がある。
【0020】
次に、副冷却系統の冷却対象をコイル容器部とした場合を説明する。
【0021】
従来例のコイル巻線部とコイル容器部とを互いに超臨界圧ヘリウムを用いて同一系統で直列に冷却する超電導マグネットの冷却装置では、コイル巻線部は温度変化によりクエンチの発生原因となる場合があるのに対し、コイル容器は非超電導材で構成されているためにそれ自体は温度が上昇してもクエンチしないが、変動磁界発生時およびプラズマ燃焼時では発熱しやすいといった問題があった。
【0022】
そこでこの発明によれば、2種の冷却系統を用いてコイル巻線部とコイル容器部とで互いに異なる条件、例えばそれぞれに適した温度、圧力、流量条件、循環装置等を設定できるため、従来例と比べ超電導マグネットをクエンチさせることなく、安定にかつ効率よく冷却できる。
【0023】
この発明における冷媒供給手段は、好ましくは冷媒として主冷却系統及び副冷却系統を介して互いに異なる相形態のヘリウムを複数の冷却対象に供給する手段である。特に互いに異なる相形態のヘリウムとしては、超臨界圧ヘリウムと、液体ヘリウムまたは気液二相ヘリウムとで構成されることが好ましい。
【0024】
この理由を説明する。例えば、超臨界圧ヘリウムは単相であるため、熱の出入りによって相変化が生じることがないので安定した冷却が期待できる反面、ガスに近い状態のため、流量が少ないと大きな温度上昇が生じるのに対し、液体ヘリウムや気液二相ヘリウムは液相また混合相であるため、相変化はするものの、蒸発潜熱を利用できるため、温度上昇を抑制できるといった性質がある。
【0025】
そこでこの発明によれば、超臨界圧ヘリウムや液体ヘリウムのような形態(相)が互いに異なるヘリウムを熱負荷の発生形態に基づく複数の冷却対象で個別に利用できることから、発生する熱負荷に最適な除熱効果を得ることができ、超電導導体を冷却するヘリウムの温度上昇を抑え、超電導マグネットをクエンチさせることなくより一層効率よく冷却できる利点がある。
【0026】
この利点は、特に主冷却系統の冷媒としてコイル巻線部で発生する過渡的な熱負荷に対して高い熱伝達を有する超臨界圧ヘリウムを使用し、副冷却系統の冷媒としてコイル間接続部で発生する定常的なジュール発熱やコイル容器のように熱負荷の大きい冷却対象に対して蒸発潜熱を利用できる液体ヘリウムや気液二相ヘリウムを使用する場合に最大限に発揮させることができる。
【0027】
この発明の別の側面として、冷媒供給手段は主冷却系統及び副冷却系統で互いに異なる循環装置を備えている。
【0028】
この理由を説明する。例えば、核融合装置の場合における中性子核発熱や交流損失発熱は、超電導マグネットを巻線したコイル部よりもその周囲の電磁力支持構造体であるコイル容器で大半が発生するのに対し、コイル容器はクエンチすることがないため、多少の流量変動や圧力変動があっても問題が生じない。またコイル容器では、クエンチ時に発生する急激なヘリウムの圧力上昇も殆ど生じないため、差圧を利用して循環させる循環装置を使用しても破損の心配がない。
【0029】
一方、コイル巻線部では発熱に合わせて短時間に流量を変化させ、高い熱伝達で除熱する必要があるが、流量変動や圧力変動があると熱伝達が不安定になり、冷却特性が低下してクエンチが生じる場合がある。このようにクエンチが生じるとヘリウムの圧力が急激に上昇し、この圧力の跳ね返りによる影響で差圧で循環させる循環装置を破損させる可能性があった。
【0030】
そこでこの発明によれば、2種の冷却系統に適したヘリウム循環方式の装置を用いることにより、従来例と比べて超電導マグネットをクエンチさせることなく安定に効率よく冷却させることができ、循環装置の損傷を招くことなく循環装置の熱損失が過大とならない超電導マグネットの冷却装置を提供できる。
【0031】
この発明における循環装置は、低温ポンプ及びヘリウムガス圧による圧送方式を用いた冷却装置の内の少なくとも一方が好ましい。
【0032】
ヘリウムガス圧による圧送方式は、室温雰囲気に設置した従来の圧縮機を使用することで十分な差圧が確保できるため、初期冷却時にコイル容器からコイル巻線部も冷却する場合や、できる限り差圧を大きくとって流量を確保したい場合に採用することが望ましい。低温ポンプは、定常冷却時のように差圧を確保する必要のないコイル巻線部等の冷却系統に使用することが望ましい。このように超電導マグネットの初期冷却時や定常冷却時等の各運転条件に最適な冷却効率で安定に冷却できる利点がある。
【0033】
この発明の別の側面として、主冷却系統の循環装置を遠心式低温ポンプとし、副冷却系統の循環装置を往復動低温ポンプとすることが望ましい。
【0034】
遠心式低温ポンプは、泡の問題が殆ど生じない単相流の流体循環用として最適であり、例えば循環に伴う流動変動や圧力変動が少ないためにコイル巻線部の冷却に適する。さらにクエンチ時に発生する急激なヘリウムの圧力上昇に対しても応答性がよく安全に停止することができる。また、熱負荷の急激な増減に対しても応答性よく流量を変化させることができる。
【0035】
往復動低温ポンプは、混相流の循環が可能であるために特にコイル間接続部の冷却に最適である。また循環に伴う流量変動や圧力変動があるが、大流量から小流量までの流量の増減調整範囲が遠心式ポンプよりもはるかに広いため、コイル容器の冷却にも適する。
【0036】
このように各系統に適した循環方式の装置を用いることにより、超電導マグネットをクエンチすることなく効率よく冷却でき、循環装置の熱損失が過大とならない超電導マグネットの冷却装置を提供できる。
【0037】
この発明の別の側面として、冷媒供給手段は冷却系統の超電導マグネットよりも上流側に再冷却用の熱交換器を備えている。超電導マグネットを単相流のヘリウムで冷却する場合には熱負荷によりヘリウムの温度は上昇するが、超電導マグネットの冷却系統上流に再冷却用の熱交換器を設置すれば、再冷却により常に安定した温度条件のヘリウムを供給でき、超電導マグネットのクエンチを誘発する恐れを殆ど解消できる。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、この発明に係る超電導マグネット冷却装置の具体的な実施形態を図1及び図2に基づいて説明する。
【0039】
(第1実施形態)
図1に示す超電導マグネット装置は、例えば核融合装置に適用されるもので、極低温容器1a内に配置される超電導マグネット10と、このマグネット10を強制冷却させる、本発明に係る超電導マグネット冷却装置を成す冷却装置20とを備えている。
【0040】
超電導マグネット10は、冷却装置20による低温ヘリウム(超臨界圧ヘリウム)を流路に流して冷却する強制冷却導体で形成された超電導コイルからなり、その通電部分である複数のコイル巻線部11…11を非通電部分であるコイル容器部(電磁力支持構造体を含む)12内に配設し、図示しない励磁電源に接続されたマグネット励消磁用の対を成す電流リード13、13間を各コイル巻線部11…11を介して直列状に接続する複数のコイル間接続部14…14及び電流リード接続部15、15(以下、両者を「接続部」16と総称する)をコイル容器部12外に配置したものである。
【0041】
冷却装置20は、超電導マグネット10の容器部12内のコイル巻線部11…11及びその接続部16を互いに独立して冷却するための主冷却系統21及び副冷却系統22を備えている。
【0042】
主冷却系統21は、主にコイル巻線部11の冷却に関する構成であり、液体ヘリウムを貯蔵し且つその液体ヘリウムとの間で低温ヘリウムガスを熱交換させる熱交換器23aを収納した超臨界圧ヘリウム熱交換器槽23と、その熱交換器槽23から超電導マグネット10の各コイル巻線部11…11に連絡する供給配管24及びその戻り配管25を介して超臨界圧ヘリウムをコイル容器部12及び各コイル巻線部11…11に向けて循環させる循環装置26とを極低温容器1a内に備える。
【0043】
副冷却系統22は、主に接続部16の冷却に関する構成であり、超臨界圧ヘリウム熱交換器槽23から超電導マグネット10の接続部16に連絡する供給配管27及びその戻り配管28を要部に備え、熱交換器槽23内の液体ヘリウムを自然対流により接続部16に向けて送り込む。
【0044】
上記の冷却装置20には、熱交換器槽23に液体ヘリウム移送管30を介して液体ヘリウムを送液すると共に、循環装置26にヘリウムガス供給系統(配管類)31を介して低温のヘリウムガスを供給するヘリウム冷凍液化装置32や、主冷却系統21および副冷却系統22からのヘリウムガスを回収する系統33(配管類)等が極低温容器1a外に設置されている(図中の符号34…34は各種の配管類などを仕切るバルブを示す)。
【0045】
次に、この実施形態の全体の動作を説明する。
【0046】
まず装置起動に際し、循環装置26から供給される超臨界圧ヘリウムは、その熱交換器槽23内の熱交換器23aにて液体ヘリウムとの間で熱交換され、その飽和温度近傍まで下げられ、主冷却系統21の供給配管24を介して超電導マグネット10に流れ込む。この超臨界圧ヘリウムは、マグネット10内のコイル巻線部11及びコイル容器部12を介してその運転時における熱負荷を冷却しながら、主冷却系統21の戻り配管25に送られ、その戻りの温度及びその圧力に応じてバルブ34により循環装置26及びヘリウムガス回収系統33のいずれか一方に送られる。
【0047】
このように主冷却系統21における超臨界圧ヘリウムは、単相であるために熱の出入りによって相変化が生じず、特にコイル巻線部11で発生する過渡的な熱負荷に対しては高い熱伝達を有するため、この部分を安定して冷却する。
【0048】
上記の超臨界圧ヘリウム循環の動作と並行して、超臨界圧ヘリウム熱交換槽23に溜められた液体ヘリウムの一部は、副冷却系統22の供給配管27を介して自然対流により超電導マグネット10内の接続部16に供給される。
【0049】
そこで、液体ヘリウム及びその気液二相流ヘリウムの蒸発潜熱により、超電導マグネット運転時の接続部16における発熱による熱負荷が緩和され、その温度上昇が効果的に抑制される。この接続部16からのヘリウムは、副冷却系統22の戻り配管28を通ってその戻りの温度、圧力に応じてバルブ34により超臨界圧ヘリウム熱交換器槽23及びヘリウムガス回収系統33のいずれかに一方に送られる。
【0050】
このように副冷却系統22における液体ヘリウムは、液相であるために相変化するものの、蒸発潜熱を利用できるために超臨界圧ヘリウムのような単相流の場合と比べて接続部16での温度上昇を抑制できる。
【0051】
従ってこの実施形態によれば、超電導マグネット内の各部を主冷却系統と副冷却系統とで分離して冷却する構成としたため、熱負荷に応じたヘリウム流量を系統の幾何学的寸法の制約や循環装置の制御可能な容量に依存しないで独立して供給及び循環させることができる。
【0052】
その結果、熱負荷の発生形態が互いに異なる各発熱部所毎に最適な除熱効果を得る超電導マグネットの冷却構成の選択肢の自由度を大幅に増やすことができ、これにより、超電導導体を冷却するヘリウムの温度上昇を大幅に抑え、超電導マグネットをクエンチさせることなく効果的に冷却できる。また、各冷却系統毎に独立して最適なヘリウム流量を確保でき、過剰流量による循環装置の熱損失を小さく抑える利点もある。
【0053】
(第2実施形態)
図2に示す超電導マグネット冷却装置は、主にコイル巻線部11を冷却する主冷却系統(供給配管24a及び戻り配管25a)21aと、主にコイル容器部12を冷却する副冷却系統(供給配管27a及び戻り配管28a)22aとを備えている。その他の構成は、上記と略同様である(図中では省略した)。
【0054】
このようにコイル巻線部11とその容器部12との冷却系統を分離すれば、それぞれに適した温度、圧力、流量条件、循環装置等の冷却条件を設定できることから、上記効果に加え、クエンチの原因となるコイル巻線部の温度変化や、変動磁界発生時やプラズマ燃料時等のコイル容器の発熱をより効果的に抑制できる利点がある。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、熱負荷の発生形態が異なる超電導マグネット内の冷却対象(各部)に対して系統毎に熱負荷に見合ったヘリウムなどの冷媒、単相または二相などの形態、流量条件、循環装置を用いて独立して供給できる。従って、熱負荷発生形態に関係なく超電導マグネットを殆どクエンチさせずに効率よく冷却でき、循環装置の熱負荷が過大とならない超電導マグネットの冷却装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る超電導マグネットの冷却装置の実施形態を示す概略の全体構成図。
【図2】副冷却系統にコイル容器部を設定した場合を説明する概略の要部構成図。
【図3】従来の超電導マグネットの冷却装置を示す概略の全体構成図。
【図4】従来の支持構造体専用の冷却系を説明する概略構成図。
【符号の説明】
1a 極低温容器
10 超電導マグネット
11 コイル巻線部
12 コイル容器部
13 電流リード
14 コイル間接続部
15 電流リード接続部
16 接続部
20 冷却装置
21,21a 主冷却系統
22,22a 副冷却系統
23 超臨界圧ヘリウム熱交換器槽
23a 熱交換器
24,24a 供給配管(主冷却系統)
25,25a 戻り配管(主冷却系統)
26,26a 循環装置
27,27a 供給配管(副冷却系統)
28,28a 戻り配管(副冷却系統)
30 液体ヘリウム移送管
31 ヘリウムガス供給系統
32 ヘリウムガス回収系統

Claims (6)

  1. 超電導マグネット内の冷却対象に向けて冷媒を流す冷却系統を備え、この冷却系統に沿って上記冷媒を上記冷却対象に供給する超電導マグネットの冷却装置において、上記冷却系統を主冷却系統と副冷却系統とで構成し、この2種の冷却系統の少なくとも一方を介して上記冷却対象の内の上記超電導マグネット運転時の熱負荷発生条件から選択した複数の冷却対象に個別に上記冷媒を供給する冷媒供給手段を備えるとともに、前記主冷却系統を前記複数の冷却対象の内の前記超電導マグネットのコイル巻線部に超臨界圧相の前記冷媒を流すための冷却系統とする一方、前記副冷却系統を前記複数の冷却対象の内の前記超電導マグネットのコイル間接続部及びコイル容器部の少なくとも一方に前記冷媒とは相の異なる冷媒を流すための冷却系統として、前記主冷却系統と前記副冷却系統を互い区分けする構成としてなり、かつ、前記冷媒供給手段は、前記主冷却系統および副冷却系統を介して互いに異なる相形態の冷媒を前記複数の冷却対象に供給する手段であり、前記主冷却系統および前記副冷却系統に介在して配置される共通の熱交換器を有してなることを特徴とする超電導マグネットの冷却装置。
  2. 前記冷媒供給手段は、前記冷媒として前記主冷却系統及び副冷却系統を介して互いに異なる相形態のヘリウムを前記複数の冷却対象に供給する手段である請求項1記載の超電導マグネットの冷却装置。
  3. 前記互いに異なる相形態のヘリウムは、超臨界圧ヘリウムと、液体ヘリウムまたは気液二相ヘリウムとで構成される請求項2記載の超電導マグネットの冷却装置。
  4. 前記冷媒供給手段は、前記主冷却系統及び副冷却系統で互いに異なる循環装置を備えた請求項1記載の超電導マグネットの冷却装置。
  5. 前記循環装置は、低温ポンプ及びヘリウムガス圧による圧送方式を用いた冷却装置の内の少なくとも一方である請求項4記載の超電導マグネットの冷却装置。
  6. 前記主冷却系統の循環装置は遠心式低温ポンプであり、前記副冷却系統の循環装置は往復動低温ポンプである請求項4記載の超電導マグネットの冷却装置。
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