JP3725256B2 - 血圧計 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、上腕部で連続血圧を測定できるようにした非観血式血圧計に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
観血式血圧の判定方法として、動脈内カテーテル法に代表されるように、被験者の動脈の一局所を捉え、血管内血流の側圧を測定する方法がある。この方法では、動脈圧を直接的に測定しているために、測定精度が高く、連続測定を行える利点があり、理想的な血圧測定方法である。
【0003】
これに対し、非観血型の血圧の判定方法であるリバロッチ式血圧計では、被験者の上腕に捲回したカフ内の脈動変化を検出して、血圧判定を行うオシロメトリック法では、最高血圧よりも高いカフ内圧においてもオズレーション(脈動)が出現し、最低血圧の判定も不明瞭でありがちであった。
【0004】
また、血流量を検出するコロトコフ法では、脈の弱い人やショック時の患者では、血圧の判定が著しく不正確であったり、測定ができないことがあった。
【0005】
この原因は、例えばオシロメトリック法では、カフ中に渡る動脈の平均脈動を検出していること、また、その脈動は、心拍動に起因する上腕動脈の動脈壁変位が、皮膚表面の変位として伝播され、さらにこの皮膚表面の変位がカフ内の空気容積を変化させ、この容積変化をカフ内の圧力変化として検出し、結果として動脈壁の変位量をカフ内の圧力変化に転換していることによる。
【0006】
つまり、動脈壁の変位量がカフ内の空気を媒質として測定されるため、空気の圧縮特性,ダンピング特性などの生体外の影響を受けて、カフ内から得られる脈圧波形によっては、動脈壁変位を忠実に捉えることができないためである。
【0007】
ところで、寒冷負荷試験,運動負荷試験,バルサルバ試験,起立試験,メンタルストレス時の血圧測定などの循環系機能検査では、血圧の内、外部環境の変化に応じた急激な変動がみられるため、一拍一拍毎に連続的に血圧を記録することが望まれる。
【0008】
しかしながら、従来の血圧計でこのような測定を実施しようとすると、以下に説明するような技術的な課題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
すなわち、リバロッチ式血圧計では、一回毎の血圧測定に30〜60秒の測定時間がかかるため、連続的な血圧測定とならなかった。また、非観血式血圧計は、観血式血圧計に比べて一般に測定精度が低く、指,手首のような抹消の血管を連続測定する例はあるものの、上腕での連続測定はできないものとされていた。
【0010】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、予め最高、最低血圧を測定した後、上腕で非観血式で連続血圧の測定が可能になる血圧計を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、被験者の要部に装着され、エアーを注入して動脈を圧迫するカフと、 前記カフに対向設置され、前記動脈壁の変位量を検出するセンサと、 前記センサの送出する脈波信号に基づいて、前記被験者の最高血圧及び最低血圧を判定するデジタルデータ処理部とを備えた血圧計であって、前記デジタルデータ処理部は、予め得られた最高血圧及び最低血圧により、これと前記センサで検出された前記動脈壁の最高変位量及び最低変位量から弾性パラメータを計算する演算手段と、 予め得られた前記最低血圧より低い圧力に前記カフ圧を保持するカフ圧設定手段と、前記低い圧力に保持されたカフ圧の元で前記センサにより検出された容積脈波による動脈壁の変位量に前記弾性パラメータを乗じて動脈圧波形に変換する変換手段と、
変換された前記動脈圧波形を順次表示する表示手段を備えている。
ところで、本発明者らは、先に、特願平7−83589号、特願平7−83590号提案しているように、動脈の脈動変位を検出する光学距離センサをカフに設けた血圧計を開発した。この血圧計によれば、局所的な動脈壁の変位量を直接測定できるため、前述するリバロッチ式血圧計の本質的欠点が是正され、高精度に最高血圧及び最低血圧を求めることができる。
また、以上の効果に加え、この光学距離センサによってピックアップされる上腕動脈の脈動に対応した皮膚表面の変位が、動脈の血管壁の変位に対応しており、カフ圧を最低血圧より低い圧力に設定して血圧を測定した場合に、図7(a)に示すカテーテル法によって連続測定された動脈圧波形に対し、同図(b)に示す相似波形を得られることを知見し、またこの波形が容積脈波形であることに注目した。
なお、動脈圧波形とは、心臓のポンプ機能による血管内の圧力変動波形である。これに対し、容積脈波形とは、動脈圧変動による容積変化、すなわち、血管壁の変位に応じて変化する波形と定義できる。これは、センサが脈動により生ずる遠近に応じた出力変化を直接ピックアップするからである。但し、この容積脈波は、カフ圧による被験者の静脈環流阻害の影響により徐々にその振幅を狭めるが、その影響の少ない数分間程度脈動を保持していることも事実である。
そこで、本発明者らは、最低血圧以下のカフ圧では、得られた容積脈波形に何らかのパラメータを加えて動脈圧波形に変換できれば、非観血式血圧計であっても観血式血圧計と同様に連続的に血圧を測定できることに着目し、以下に述べる一連の変換式を考察した。
先ず、血圧Pと、血管内径R、血管厚みt、血管弾性率をEとすると、内圧Pによって血管を押広げる力と張力のつりあいから、以下のLapiasの式が得られる。
2RwP=2Tw 但しw:血管長、T:張力
RP=T
血管無負荷時の内径をR0とすると、血管の張力Tは次の式のように表すことが出来る。
T=Et・(R−R0)/R0
それ故、
R/R0=1/{1−(PR0/Et)}・・・・式(1)
となる。
ここで、圧力 P=100mmHg=1.33×105(dyn/cm2)とすると、上腕動脈の血管弾性率E、血管厚みt、無負荷時の血管内径R0は、それぞれ以下のような実測値を与えることが出来る。
E≒5×105(dyn/cm2)、t≒1mm、R0≒2mm
なお、以上の実測値は、被験者によっても多少の変動はあるものの、おおかたはこの範囲に入っている。
それ故、PRo/Et<<1が成立し、これを式(1)に代入すると、
R/R0=1+(PR0/Et)
1/R0・dR/dP=R0/Et
となり、血管径Rと動脈圧Pの関係が表現できる。
次に、測定時において、予め得られた最低血圧Pdiaに対しカフ圧PcをPC<Pdiaとし、
動脈圧Pa、Psys(最高血圧)、Pdia(最低血圧)に対応した血管径Ra、Rsys、Rdiaとすると、
1/R0・dR=R0 dP/Et
(但し積分範囲は、左辺=R0→Ra、右辺=PC→Pa)
それ故、
1/R0・(Ra−R0)=R0/Et・(Pa−PC)・・・・式(2)
以上の式において、血管径Rと動脈圧Paとは一次の関係にある。すなわち、血管径Rをトレースすることにより、動脈圧Paをトレースすることが可能となる。
このことは、最初に校正のための血圧測定を行い、その最高、最低血圧(Psys、Pdia)を得られれば、式(2)の弾性パラメータ(Et/R02 =k)を決定できることになる。
すなわち、式(2)において、Pa=Psys、Pa=Pdiaの時の差を取ると、
(Rsys−Rdia)=k-1(Psys−Pdia)|Pc
但しk=Et/R02
したがって、
k=(Psys−Pdia)/(Rsys−Rdia)・・・式(3)
を得られる。
以後は、カフ圧Pcを予め測定したPdiaの値より低く保った状態で、容積脈波形をピックアップし、これに弾性パラメータkを乗ずることによって、動脈圧波を連続的にモニタできることになる。
それゆえ、カフ圧を最低血圧より低く保った状態で測定された容積波脈は、動脈圧波形に補正されて連続表示され、またカフ圧の設定に応じて、被験者は静脈環流の影響の少ない相当の期間、あるいは定期的に静脈還流確保のための30秒程度のカフ圧フリーの期間を設けることにより、非観血式での連続測定が可能となる。
また、本発明におけるセンサは、カフに対向設置され、前記動脈の脈動変位を検出する光学距離センサであり、前記光学距離センサの送出する光電容積脈波信号に基づいて、前記被験者の最高,最低および連続血圧を判定するように構成することができる。
この構成を採用すると、局所的な動脈壁の変位量を直接測定できるため、前述するリバロッチ式血圧計の本質的欠点が是正され、高精度に最高血圧及び最低血圧および連続血圧を求めることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下本発明の好適な実施の態様について添附図面を参照にして詳細に説明する。図1ないし図6は、本発明にかかる血圧計の一実施例を示している。このうち、図1は全体構成を示し、図2はカフの展開図および断面図を示し、図3は、処理手順の前半におけるフローチャートを示し、図4は処理手順の後半におけるフローチャートを示し、図5は処理手順前半における最高,最低血圧を決定付ける波形図を示し、図6は、処理手順後半で表示される連続血圧の波形図を示している。
【0013】
図1に示すように、本実施例の血圧計は、カフ10と、光学距離センサ12と、デジタルデータ処理部14とから概略構成されている。カフ10は、被験者の要部、具体的には、上腕部16に装着されるものであって、図2にその詳細を示している。
【0014】
同図に示すカフ10は、薄い合成樹脂で円弧状に湾曲形成された屈曲変形可能な硬質湾曲板10aと、この湾曲板10aの外周を包囲する外側布10bと、湾曲板10aの内周を包囲するようにして、外側布10bに縫着された内側布10cと、内側布10cの内面側に設けられた空気袋10dと、外側布10bの外周に縫着され、内側布10cの端部を係止する係止ファスナ10eとから構成されている。
【0015】
空気袋10dは、図2の展開図の一部を破断して示すように、補強繊維10fが格子状に組み込まれ、密閉された透明な合成樹脂シート製の袋体10gから構成されている。袋体10gの加圧時、脈動時の伸びを防止するために、袋体10gに補強繊維10fを一体として組み込み、袋体10g内にエアーを注入して膨らませる際に、エアーの注入量に比例して、袋体10gを膨らませることができる。
【0016】
またこのために、袋体10gの内部には、図1に示すように、エアー注入用のパイプ18が連通接続されている。このパイプ18の外端には、圧力センサ20と電磁制御弁22とが接続されている。そして、電磁制御弁22には、エアーを送出するポンプ24が接続され、電磁制御弁22とポンプ24とは、ポンプ制御部26によりコントロールされる。
【0017】
圧力センサ20の検出信号は、バンドパスフィルタ28とA/D変換器30とを介してデジタルデータ処理部14に入力される。ポンプ制御部26には、圧力センサ20の検出信号に基づいて、デジタルデータ処理部14から制御信号が送出される。
【0018】
光学距離センサ12は、袋体10gの外側部の外面に固着されたホトカプラ12aと、このホトカプラ12aと対向するようにして、袋体10gの内側部の外面に固着された反射板12bとから構成されている。
【0019】
ホトカプラ12aは、発光ダイオードとホトトランジスタとが一体的に組み合わされたものであって、発光ダイオードから出射した光が反射板12bで反射して、ホトトランジスタに入射するようにセットされており、ホトカプラ12aと反射板12bとの間の距離に応じて、ホトトランジスタの出力の大きさが異なり、動脈の変位に対応した出力信号が送出される。
【0020】
ホトカプラ12aの発光ダイオードは、デジタルデータ処理部14に接続された発光制御部32によりそのオン,オフが制御される。また、反射板12bにより反射された光はホトトランジスタにより電気信号に変換され、この電気信号は、バンドパスフィルタ34とA/D変換器36とを介してデジタル化されてデジタルデータ処理部14に入力される。
【0021】
なお、この実施例では、袋体10gを透明な合成樹脂シートで形成しているので、その外面側にホトカプラ12aおよび反射板12bを対向配置しているが、不透明な合成樹脂シートで袋体10gを形成した場合には、その内面側にホトカプラ12aと反射板12bを対向配置してもよい。
【0022】
また、本発明の血圧計では、光学距離センサ12は、ホトカプラ12aと反射板12bの組み合わせだけでなく、発光ダイオードとホトトランジスタとの組み合わせも採用することができ、この場合には、袋体10gの内外面にこれらが対向するように設置すればよい。
【0023】
デジタルデータ処理部14は、いわゆるマイクロコンピュータから構成されており、CPUやメモリなどが含まれているとともに、内蔵されたプログラムに基づき、ポンプ制御部26、発光制御部32に制御信号を送出し、また圧力センサ20およびホトカプラ12aからの信号を受けて各部を制御し、最高,最低血圧の決定および連続血圧の測定動作を行い、その結果を順次表示部38に表示またはプリントアウトするほか、設定のためのキーボードなどの外部入力装置を備えている。
【0024】
そして、このデジタルデータ処理部14は、先ず処理の前半において、連続血圧測定用の校正データを得るためのリバロッチ式の最高,最低血圧を得る処理動作を行い、次いで後半ではその校正データに基づいて連続測定動作を実行する。
【0025】
図3は、このデジタルデータ処理部14で実行される校正データを得るための血圧測定の前半における処理手順の一例を示している。
【0026】
血圧測定をする際には、まず、カフ10が被験者の上腕部16に装着される。このとき、上腕部16の動脈上に反射板12bが位置するようにセットし、布10b,10cを係止ファスナ10eに掛け止めて固定する。
【0027】
なお、この場合、被験者の上腕部16の動脈上に確実に反射板12bを位置させるためには、例えば、図2に仮想線で示すように、複数の光学距離センサ12を周方向に沿って配置しておくことが望ましく、このような構成にすると、いずれかのセンサ12の反射板12bが動脈上に位置させることができる。複数のセンサ12を使用する際には、各センサ12の出力値を比べて、最も大きい出力信号が出力されているものを選択すればよい。
【0028】
カフ10の装着が完了すると、血圧測定の準備が完了するので、デジタルデータ処理部14の制御手順がスタートされ、まず、ステップs1で初期設定が行なわれる。この初期設定は、カフ10に加える圧力の上限値や測定時間の限度などである。この初期設定が完了すると、ステップs2で圧力センサ20のキャリブレイションが行なわれ、ステップs3で、電磁制御部22に出力信号を送出して、電磁制御弁22を開弁させる。
【0029】
次のステップs4では、圧力センサ20の検出信号に基づいて電磁制御弁22を制御し、カフ10の空気袋10d内の圧力を定速で上昇させる定速加圧制御が行なわれる。
【0030】
このとき、本実施例のカフ10では、空気袋10dの袋体10gに格子状に補強繊維10fが組み込まれ、袋体10dの外周側には、硬質湾曲板10aが介装されているので、袋体10d自体の伸縮が補強繊維10fで規制されるとともに、袋体10dの外方への膨張が湾曲板10aで規制され、光学距離センサ12の変位が防止され、この結果、袋体10dの外側位置を一定に保った状態で、動脈を圧迫することが可能になる。
【0031】
続くステップs5では、動脈波の個数を表すフラグiが0に設定されるとともに、血圧判定フラグFp も0に設定され、光学距離センサ12の出力信号が取り込まれる。ステップs6では、光電容積脈波信号が検出されたか否がが判断される。
【0032】
ここで判断される光電容積脈波信号は、図4に示したように信号であって、光学距離センサ12の出力信号から、定速加圧している空気袋10dの膨らみに相当する部分を除去したものとなり、1拍の脈動に対応する部分が個別に抽出されて、メモリに記憶される。
【0033】
ステップs6で光電容積脈波信号が検出されないと判断された場合には、ステップs7に移行し、このステップs7でフラグiが1よりも大きくないと判断された場合には、ステップs6に戻る。この場合、第1回めにステップs6で容積脈波が検出されないと判断された場合には、フラグiはステップs5で0に設定されているので、必ずステップs6に戻ることになる。
【0034】
そして、ステップs6で光電容積脈波信号が検出されたと判断されると、ステップs8で検出された1拍分の光電容積脈波信号に平坦部があるか否かが判断され、平坦部がない場合には、ステップs6に戻り、同様な手順が繰り返される。一方、光電容積脈波信号に平坦部があると判断された場合には、ステップs9でフラグiに1を加算して、これを新たなフラグiとして、ステップs10に移行する。
【0035】
ステップs10では、フラグiが1か否かが判断され、これが1の場合には、ステップs11で最低血圧の判定が実行される。そして、ステップs10でフラグiが1ではないと判断された場合と、ステップs11で最低血圧の判定が終了すると、ともにステップs6に戻る。
【0036】
以上の最低血圧判定に至るまでの過程をより具体的に説明する。いま、例えば、1拍毎の光電容積脈波信号P1 ,P2 ,P3 ……Pn が図5に示すような状態で抽出されているとすると、ステップs8では、ステップs6で検出された個々の光電容積脈波信号P1 ,P2 ,P3 ……Pn に平坦部sがあるか否かを判断している。
【0037】
ここで、空気袋10d内の圧力を定速加圧している過程において、空気袋10d内の圧力が被験者の最低血圧よりも小さい場合には、光電容積脈波信号は、空気袋10dの圧力による影響を受けないで脈動する(図5における光電容積脈波信号P1 〜P6 )。
【0038】
ところが、空気袋10d内の圧力が被験者の最低血圧よりも大きくなると、動脈の圧力が空気袋10d内の圧力よりも小さいときには、光電容積脈波信号には、圧力変化がない平坦部sが発生する。そこで、本実施例では、ステップs8〜s10で最初に平坦部sが生じた光電容積脈波信号P8を検出し、この光電容積脈波信号P7 が検出されたときに最低血圧を判断するようにしている。
【0039】
ステップs11における最低血圧の判断では、例えば、最初に平坦部sが発現した光電容積脈波信号P7 が抽出された時点の空気袋10d内の圧力を最低血圧値としたり、あるいは、最初に平坦部sが発現した光電容積脈波信号P7 の1つ前の光電容積脈波信号P6 が抽出された時点の空気袋10d内の圧力を最低血圧値としたり、さらには、光電容積脈波信号P7 および光電容積脈波信号P6 が抽出された時点の空気袋10d内の圧力の平均値を最低血圧値とすることができる。
【0040】
なお、この場合の最低血圧の判定においては、図5に示すように、空気袋10d内の圧力が被験者の最低血圧よりも大きくなると、光電容積脈波信号には、コロトコフ音に相当する高速変位部Kが出現するので、この高速変位部Kが最初に出現した光電容積脈波信号をステップs8で検出し、ステップs11で上述したような方法で最低血圧値を求めることもできる。また、平坦部sと高速変位部Kとの双方を検出して、同様に、最低血圧値を求めることもできる。
【0041】
以上のようにして、最低血圧の判定が行なわれ、その値が特定された後には、光電容積脈波信号に平坦部sがあったとしても、ステップs10でフラグiが1であると判断されないので、ステップs6から同s10までの処理手順が順次実行される。そして、ステップs6で光電容積脈波信号が検出されないと判断されると、再度ステップs7が実行される。
【0042】
このときのステップs7の判断においては、既にステップs6から同s10までの処理手順が複数回繰り返されているので、フラグiは、必ず1よりも大きくなっており、従って、引き続いてステップs12が実行される。このステップs12では、最高血圧の判定が行なわれる。
【0043】
つまり、本実施例の血圧計では、空気袋10d内の圧力を定速加圧したときに、この圧力Pnが最高血圧値よりも大きくなると、動脈の脈動は、圧力によって押さえられ、光学距離センサ12に変位が発生しないことに着目して、光電容積脈波信号が検出されされなくなった時点を被験者の最高血圧と判定する。
【0044】
ステップs12で最高血圧が判断され、その値が求められると、続くステップs13でポンプ24を停止した後に、ステップs14で電磁制御弁22を大気に開放して、空気袋10d内のエアーを急速に排気して、手順が終了する。
【0045】
一方、以上の手順とは別にステップs4で空気袋10dの定速加圧が開始されると、ステップs15で空気袋10d内の圧力が初期設定された上限値よりも大きいか否かが常時判断される。また、この判断と同時にステップs16で測定時間の限度か否かも判断され、これらのいずれかが限度を越えたと判断された場合には、ステップs17でその旨を表示部38に表示して、ステップs13に移行して測定が中止される。
【0046】
さて、以上のように構成された本実施例の血圧計によれば、光学距離センサ12の送出する光電容積脈波信号に基づいて、被験者の最高,最低血圧をデジタルデータ処理部14で判定するので、局所的な動脈壁の変位量を直接測定し、この変位量に基づいて最高,最低血圧値を求めることができ、正確な血圧値の測定が可能になる。
【0047】
以上の処理が終了した後、引続き図4に示す連続血圧測定のための後半の処理が実行される。先ずステップs20では、前記測定の結果得られた最高血圧及び最低血圧と、動脈壁の最高変位量及び最低変位量から弾性パラメータkを計算する。この弾性パラメータkは、前述の式(3)により与えられるもので、
k=(Psys−Pdia)/(Rsys−Rdia)
となる。
【0048】
次に、ステップs21ではカフ圧Pの設定がなされる。このカフ圧Pは最低血圧Pdiaよりも約8〜10mmHg低い値に設定されるもので、その設定圧力Pcは、
Pc=Pdia−8〜10(mmHg)となる。
【0049】
以上の設定が終了すると、ステップS22で電磁制御弁22が開き、ステップ23でカフが昇圧され、その結果、ステップS24でカフ圧Pが設定圧力に等しいか、やや上回ると、ステップs25で加圧停止(電磁制御弁22停止)して、その状態に圧力を保持しつつ、ステップs26で容積脈波を検出し、ステップs27でこの容積波脈波による動脈壁の変位量に弾性パラメータkを乗じ、ステップs28でその値を順次表示部38にグラフ表示する。
【0050】
以上の計算式は、前記式(3)を変形した、
(Pa−Pc)=k(Ra−Rc)
で与えられるもので、式中Pcは設定カフ圧によって定る最低血圧であり、Rcはその設定カフ圧によって定る最低容積波脈である。
【0051】
図6は、以上のキャリブレーション特性を与えられた連続血圧の波形図であり、図7(a)で示したカテーテル法によって連続測定された動脈圧波形に相似する連続波形を得られる。なお、図中縦軸は血圧を示し、縦軸は経過時間を示すもので、縦軸はvoltで示されているが、圧力(mmHg)に換算して表示できる。また、この波形図の場合には、最高血圧は200mmHg、最低血圧は100mmHgの連続波形となっている。
【0052】
以上の連続波形は、被験者の最低血圧以下にカフ圧を保持した状態で得られる波形であるから、持続的な計測が出来るものの、静脈環流障害が徐々に発現するため、予め測定に要する時間を定めておく必要があり、ステップs29でその設定された測定時間に到達したならば、ステップs30で電磁制御弁22を開いて急速排気し、測定を終了する。
【0053】
以上の実施例では、局所的な動脈壁の変位量を直接光学距離センサで測定し、この変位量に基づいて最高,最低血圧値を求め、この値から弾性パラメータを求めるようにしているため、連続血圧を高精度に計測できる。
【0054】
しかしながら、他のリバロッチ式血圧計であって、動脈壁の変位量を計測できるものであれば、最高,最低血圧を検出した後、前記図4に示す処理手順を実行することによって、連続血圧を計測できることも勿論である。
【0055】
【発明の効果】
以上、実施例で詳細に説明したように、本発明にかかる血圧計によれば、カフ圧を最低血圧より低く保った状態で測定された容積波脈は、動脈圧波形に補正されて連続表示され、またカフ圧の設定に応じて、被験者は静脈環流障害を生ずるまでに相当な期間を要するので、非観血式での連続測定を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる血圧計の一実施例を示す全体構成ブロック図である。
【図2】同血圧計のカフの展開図と要部断面図である。
【図3】同血圧計で連続血圧を測定する際の校正データを得るための処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図4】図3に引続く同血圧計で連続血圧を測定するための処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図5】図3の処理手順において検出される脈波の一例を示す波形図である。
【図6】図4の処理手順において検出される連続血圧の一例を示す波形図である。
【図7】(a)はカテーテル法によって連続測定された動脈圧波形図である。
(b)は光学距離センサによってピックアップされる上腕動脈の脈動に対応した連続波形図である。
【符号の説明】
10 カフ
12 光学距離センサ
14 デジタルデータ処理部
38 表示部

Claims (2)

  1. 被験者の要部に装着され、エアーを注入して動脈を圧迫するカフと、
    前記カフに対向設置され、前記動脈壁の変位量を検出するセンサと、
    前記センサの送出する脈波信号に基づいて、前記被験者の最高血圧及び最低血圧を判定するデジタルデータ処理部とを備えた血圧計であって、
    前記デジタルデータ処理部は、予め得られた最高血圧及び最低血圧により、これと前記センサで検出された前記動脈壁の最高変位量及び最低変位量から弾性パラメータを計算する演算手段と、
    予め得られた前記最低血圧より低い圧力に前記カフ圧を保持するカフ圧設定手段と、前記低い圧力に保持されたカフ圧の元で前記センサにより検出された容積脈波による動脈壁の変位量に前記弾性パラメータを乗じて動脈圧波形に変換する変換手段と、
    変換された前記動脈圧波形を順次表示する表示手段を備えたことを特徴とする血圧計。
  2. 前記センサは、カフに対向設置され、前記動脈壁の変位量を検出する光学距離センサであり、前記光学距離センサの送出する光電容積脈波信号に基づいて、前記被験者の最高血圧及び最低血圧を判定するようにしたことを特徴とする請求項1記載の血圧計。
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