JP3716993B2 - ピッキング装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数のチューブのような小物ワークが保管されているトレイから、目的のワークを掴んで移載させるピッキング装置に関するものであり、さらに詳しく言えば、薬品や化合物等を収容したバイアル瓶やマイクロチューブ等のチューブ形状のワークをトレイに収容して冷凍環境下で保管する際に、そのトレイから目的のワークのみを正確に把持し移載させるピッキング装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、薬剤や化合物等が収容されたバイアル瓶やマイクロチューブ等の小型ワークを保管用トレイから取り出したり、搬送用トレイから保管用トレイに移載する装置として、ピッキング装置が用いられている。
【0003】
このピッキング装置は、開閉手段及び昇降手段によって開閉動作及び昇降動作可能な複数の爪部材を有しており、これらの爪部材により、トレイに列立収納された複数のバイアル瓶やマイクロチューブの中から目的とするものを把持し、引き上げて、所定の場所に移載するものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、ワークの小型化と保管の高密度化に伴い、従来のピッキング装置を用いてワークを把持し移載する場合、トレイ上に近接配置された目的のワーク以外のワークにピッキング装置の爪部材が接触し、ワークの引き抜き時に目的のワーク以外のワークが誤ってトレイから抜け落ちたり、脱落したりすることが懸念されていた。
【0005】
さらに、創薬研究の分野においては、ワークとしてチューブを低温環境下で高密度保管することが要求されるため、近接配置されたチューブ同士の氷結によるピッキングミスに対する対策が要求されている。
【0006】
そこで、本発明の目的は、保管用トレイに高密度配置されたチューブから所望のチューブを把持し移載するピッキング装置であって、チューブのピッキング時に他のチューブを誤って脱落させることのないピッキング装置を提供することにある。さらなる目的としては、チューブが低温環境下で高密度保管されている場合であっても、目的のチューブのみを正確に取り出すことができるピッキング装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため請求項1に係る発明は、複数のチューブが保管されるトレイから目的のチューブを把持し移載するピッキング装置であって、前記チューブの側面に当接して把持する複数の爪部材と、前記爪部材を開閉する開閉手段と、前記爪部材により把持したチューブを昇降させる昇降手段と、前記爪部材により目的のチューブを把持して引き上げる際に、前記目的のチューブの周辺に存在する他のチューブに前記目的のチューブの引き上げ方向と逆方向の付勢力を印加する払い落とし部材とを有している。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の構成に加えて、払い落とし部材を、圧縮ばねにより目的のチューブの引き上げ方向と逆方向に常時付勢し、爪部材が、目的のチューブの側方に挿入されるに伴い、その圧縮ばねが圧縮される構成をしている。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明の構成に加えて、払い落とし部材を、圧縮ばねにより目的のチューブの引き上げ方向と同方向に、常時付勢し、爪部材による目的のチューブの引き上げ動作に連動して、アクチュエータにより引き上げ方向と逆方向の付勢力が印加される構成をしている。
【0010】
【作用】
請求項1の発明によれば、爪部材によりチューブを把持し移載するピッキング装置であって、爪部材により目的のチューブを把持して引き上げる際に、目的のチューブの周辺に存在する他のチューブに目的のチューブの引き上げ方向と逆方向の付勢力を印加する払い落とし部材を有しているため、目的のチューブの引き上げ時に他のチューブを制止する。
【0011】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の作用に加えて、払い落とし部材を、圧縮ばねにより目的のチューブの引き上げ方向と逆方向に常時付勢し、爪部材が、目的のチューブの側面に沿って挿入されるに伴い、その圧縮ばねが圧縮される構成をしているため、別途駆動手段を用いることなく、目的のチューブの引き上げ時に他のチューブを確実に制止する。
【0012】
請求項3の発明によれば、請求項1の発明の作用に加えて、払い落とし部材を、圧縮ばねにより目的のチューブの引き上げ方向と同方向に、常時付勢し、爪部材による目的のチューブの引き上げ動作に連動して、アクチュエータにより引き上げ方向と逆方向の付勢力が印加される構成をしているため、低温環境下で目的のチューブが近接する他のチューブに氷結した場合であっても強制的に分離する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1は、本発明による一実施例であるピッキング装置の斜視図である。
【0014】
図1において、110は、チューブ200を把持する爪部材であり、チューブ200の側面にそれぞれの爪部材が等間隔で当接するように配置されている。これらの爪部材は、昇降手段により、昇降可能になっているとともに、開閉手段により、各爪部材間の間隔を伸縮させることが可能となっている。昇降手段と開閉手段については、特に図示していないが、チューブ200を確実に把持・昇降することが可能なものであれば、その機構については、特に限定されるものではない。例えば、電動アクチュエータや電磁ソレノイドを用いた昇降機構や開閉機構を利用できる。
【0015】
また、図1に示した例では、4本の爪部材が互いに平行に正方形の各頂点に位置するように設けられているが、チューブを確実に把持できる構造であれば、爪部材の本数はこれに限定されるものではない。例えば、3本の爪部材を正三角形の各頂点に位置するように設けることも可能である。
【0016】
本発明のピッキング装置100は、保管用トレイ上でのチューブの間隔に略等しい半径の有底円筒形状の払い落とし部材120がピッキング部に取り付けられている。この払い落とし部材120には、爪部材110の設置位置に合わせて開口部122a〜122dが形成されており、爪部材110の開閉動作を阻害しないようになっている。しかも、チューブの引き上げ方向と逆方向、即ち鉛直方向に付勢力を印加することができる機構を介してピッキング部に設置されている。そのため、爪部材110が目的のチューブ200を把持する際に、払い落とし部材120の円筒形状側壁端面120a〜120dにより、目的のチューブの前後左右に近接する4つのワークの頭部を押さえることができる。この払い落とし部材120及び爪部材110並びに保管用トレイに収納されたチューブ200との関係を明示するために、図1に示したピッキング装置100のピッキング部を真下から見た状態を図2に示す。
【0017】
図2において、200の符号を付した仮想線で表した9つの円は、保管用トレイに収納したチューブの位置を示しており、特に中央に示した200Tが、4つの爪部材110によって把持される目的のチューブである。払い落とし部材120は、保管用トレイ上でのチューブの収納間隔に略等しい半径の有底円筒形状をしており、周辺から中心に向かって、爪部材110の設置位置に合わせて、爪部材110の開閉動作を阻害しないように矩形の開口部が形成されている。この図からも明らかなように、爪部材110で目的のチューブ200Tを把持した場合には、払い落とし部材120の円筒形状側壁端面120a〜120dが、目的のチューブの前後左右に近接する4つのチューブ200a〜200dの頭部に当接する。そして、目的のチューブを引き上げる際にも、払い落とし部材120に印加される付勢力によって、その当接した状態が保たれる。
【0018】
次に、上述した払い落とし部材120に付勢力を印加する機構と、この付勢力によって、目的のチューブに近接する他のチューブの動きを制止する原理を、図面に基づいて説明する。
【0019】
図3は、払い落とし部材120に付勢力を印加する機構の一例を示している。この例では、払い落とし部材120は、圧縮ばね140により鉛直方向に付勢されている。そのため、爪部材110を目的のチューブ200Tの側面に沿って挿入すると、払い落とし部材120の円筒形状側壁端面120a、120cが、目的のチューブ200Tに近接するワーク200a、200cの頭部に当接し、圧縮ばね140が圧縮される(図3(a)に示した状態)。その後、開閉機構による閉鎖動作により爪部材110が目的のチューブ200Tを把持し、昇降機構による上昇動作によって引き抜かれる。その際、圧縮されていた圧縮ばね140が元の状態に戻るため、目的のチューブ200Tが完全に引き抜かれるまでの間、円筒形状側壁端面120a、120cとチューブ200a、200cの頭部との当接状態が保たれる(図3(b)に示した状態)。なお、図3において150で示された部材は、払い落とし部材120の移動距離(ストローク)を規定するスペーサである。
【0020】
図4は、払い落とし部材120に付勢力を印加する機構の別の例を示している。この例では、払い落とし部材120は、圧縮ばね140により鉛直逆方向(上向き)に付勢されている(図4(a)に示した状態)。そして、アクチュエータ160により、前記付勢力に抗して、より大きな鉛直方向(下向き)の付勢力を印加することが可能になっている。そして、爪部材110を目的のチューブ200Tの側面に沿って挿入した後、あるいは挿入する動作に連動させて、アクチュエータ160を作動させ、払い落とし部材120を鉛直方向(下向き)に移動させる。それによって、円筒形状側壁端面120a、120cが、目的のチューブ200Tに近接するワーク200a、200cの頭部に当接する。その後、開閉機構による閉鎖動作により爪部材110が目的のチューブ200Tを把持し(図4(b)に示した状態)、昇降機構による上昇動作によって、そのチューブが引き抜かれる。その際、アクチュエータ160により、払い落とし部材120に対して付勢力を印加した状態を保つことにより、目的のチューブ200Tが完全に引き抜かれるまでの間、円筒形状側壁端面120a、120cとチューブ200a、200cの頭部との当接状態が保たれる。
【0021】
上述したピッキング装置においては、払い落とし部材として、保管用トレイ上でのチューブの間隔に略等しい半径を有する有底円筒形状のものを使用したが、目的のチューブに近接する他のチューブの動きを制止できる形状のものであれば、これに限られることはない。例えば、図5に示したような十字形状の払い落とし部材120’を用いることにより、払い落とし部材の軽量化や製造コスト削減を図ることが可能である。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、爪部材によりチューブを把持し移載するピッキング装置であって、爪部材により目的のチューブを把持して引き上げる際に、目的のチューブの周辺に存在する他のチューブに目的のチューブの引き上げ方向と逆方向の付勢力を印加する払い落とし部材とを有しているため、目的のチューブの引き上げ時に、誤って他のチューブを脱落させることなく、確実に目的のチューブのピッキングを行うことが可能になる。
【0023】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、払い落とし部材を、圧縮ばねにより目的のチューブの引き上げ方向と逆方向に常時付勢し、爪部材が、目的のチューブの側面に沿って挿入されるに伴い、その圧縮ばねが圧縮される構成をしているため、別途駆動手段を用いることなく、極めて簡単な装置構成により、目的のチューブだけを、確実にピッキングすることが可能になる。
【0024】
請求項3の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、払い落とし部材を、圧縮ばねにより目的のチューブの引き上げ方向と同方向に、常時付勢し、爪部材による目的のチューブの引き上げ動作に連動して、アクチュエータにより引き上げ方向と逆方向の付勢力が印加される構成をしているため、低温環境下で目的のチューブが近接する他のチューブに氷結した場合であっても強制的に分離することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例を示すピッキング装置の要部斜視図である。
【図2】 同ピッキング装置のピッキング部を真下から見た時の平面図である。
【図3】 本発明の払い落とし部材を付勢する機構を説明する概念図である。
【図4】 本発明の払い落とし部材を付勢する別の機構を説明する概念図である。
【図5】 本発明の払い落とし部材の別の形状を説明する平面図である。
【符号の説明】
100 ・・・ ピッキング装置
110 ・・・ 爪部材
120 ・・・ 払い落とし部材
140 ・・・ 圧縮ばね
150 ・・・ スペーサ
160 ・・・ アクチュエータ
200 ・・・ チューブ

Claims (3)

  1. 複数のチューブが保管されるトレイから目的のチューブを把持し移載するピッキング装置であって、
    前記チューブの側面に当接して把持する複数の爪部材と、
    前記爪部材を開閉する開閉手段と、
    前記爪部材により把持したチューブを昇降させる昇降手段と、
    前記爪部材により目的のチューブを把持して引き上げる際に、前記目的のチューブの周辺に存在する他のチューブに前記目的のチューブの引き上げ方向と逆方向の付勢力を印加する払い落とし部材とを有すること
    を特徴とするピッキング装置。
  2. 前記払い落とし部材は、圧縮ばねにより前記目的のチューブの引き上げ方向と逆方向に、常時付勢されており、前記爪部材が、前記目的のチューブの側方に挿入されるに伴い、前記圧縮ばねが圧縮されること
    を特徴とする請求項1に記載のピッキング装置。
  3. 前記払い落とし部材は、圧縮ばねにより前記目的のチューブの引き上げ方向と同方向に、常時付勢されており、前記爪部材による前記目的のチューブの引き上げ動作に連動して、アクチュエータにより前記引き上げ方向と逆方向の付勢力が印加されること
    を特徴とする請求項1に記載のピッキング装置。
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