JP3716772B2 - 排ガス導入装置及び排ガス導入方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ごみ焼却施設等の燃焼炉から排出される排ガスを分析装置に導いて測定を行う排ガス測定システムに係り、特に、分析装置までに至る排ガス導入のための装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の装置の構成を図1に示す。
【0003】
排ガス分析装置は、ノズル2とダストフィルタ4,排ガス導入配管5から成る排ガス導入部15と、主に排ガス除去装置13,分析部11,吸引ポンプ10から成る分析装置本体14で構成される。又、排ガス除去装置13は主に冷却器8とドレンタンク9で構成される。
【0004】
煙道1内の排ガスは接続フランジ3に固定されたノズル2を通り、ダストフィルタ4でダストが除かれた後、加熱された排ガス導入配管5に導かれる。導入配管5を通った排ガスは、一旦冷却器8で分析の阻害物質である酸やアルカリなどの成分が除去される。冷却器8で結露した水分7と同時に取り除かれた前記阻害物質はドレンとしてドレンタンク9に排出される。冷却部8を通過して阻害物質が除去された後、分析部11に入り測定したい成分が分析される。ガスの吸引には吸引ポンプ10が用いられる。
【0005】
図2には冷却器8の他の例であり、直接水または溶液中に排ガスを通し、バブリングすることで、図1よりも積極的に排ガス中の阻害物質を除去しようとするものである。
【0006】
これらの方式はいずれも比較的水溶性でない物質の分析に効果的である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の装置には下記のような問題が有った。
【0008】
つまり、排ガスを吸引する時の導入配管は、煙道を流れている時とほぼ同じ高温度となっているので、配管内で結露したり、酸やアルカリで結晶化する事は少ない。通常これらの水,酸,アルカリは分析に悪影響をもたらすので、冷却器部で急冷することにより結露させ、ドレンとして除去される。このとき、排ガス中にはHCLやSOxなどの酸と、アンモニアなどのアルカリ成分が高濃度で含まれているため、冷却により飽和蒸気圧以下になるとそれらが反応しNH4Cl やNaClなどの塩が析出する。
【0009】
塩は水溶性のため、結露した水に溶けるが、通常、露点温度よりも塩の析出温度のほうが高いため、配管などの冷却部入口付近には結露する前部に塩が析出物12として堆積していく。当然、排ガス中の水分が少ないほどその析出量は多くなる。そのため、配管部が閉塞し、排ガスが流れなくなり、測定が不可能となる不具合が生じていた。
【0010】
本発明の目的は、燃焼排ガス中の析出物に影響されることなくガス成分を、特に揮発性有機物を連続的に安定した状態で測定,分析するのに適した排ガス導入を行える装置及び方法を提供する事にある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の特徴は、燃焼炉などから排出される排ガスを吸引するノズルと、当該ノズルから吸引された排ガスを導く導入配管と、当該導入配管から導かれた排ガスを分析する分析部と、前記導入配管と分析部の間に設けられた排ガスを冷却する冷却部を備えた排ガス導入装置であって、前記冷却部入口に水分または溶剤が注入される注入部を備えたことである。
【0012】
【発明の実施の形態】
図3に本発明に基づく排ガス導入装置の一実施例の構成図を示す。
【0013】
本装置は、排ガス導入部15と、主に排ガス除去装置13,分析部11,吸引ポンプ10から成る分析装置本体14で構成されている。
【0014】
排ガス導入部15は、排ガス吸引口であるノズル2とそれを煙道に固定するための接続フランジ3、そして吸引した排ガス内のダストを除去するためのダストフィルタ4、および排ガスを分析部に導くための排ガス導入配管5で構成される。これらは少なくとも排ガスが結露しない程度以上の高温に保持される。
【0015】
排ガス除去装置13は、排ガス導入配管5からの排ガスを急冷する冷却器8と、冷却によって結露したドレンを捕集するドレンタンク9と、本発明である水注入部からなる。冷却器8は排ガス内の阻害成分を除去するために用いられ、結露したドレンとガスが分離される構造になっている。
【0016】
水注入部は排ガス導入配管5の出口(冷却器8の入口)に水注入口20を設け、水注入配管23を通して水または溶剤が冷却器8の入口で注入されるようになっている。水または溶剤は、水補給源24に蓄えられ、電磁弁22やポンプ,手動弁(図示なし)等のアクチュエータによって供給される構造となっている。これらアクチュエータは、制御部27によりそのプラントの排ガス成分に適した水分量や注入時間間隔を制御できる。又、圧力計26で配管内の閉塞状態を監視することでも最適な注入を行うことができる。さらに、水注入時によって水注入口20が冷却されることで結晶析出を促進するのを防ぐため、水注入口20および水注入配管23の一部は、ヒータ21で加温する構造としている。
【0017】
排ガス除去装置13を経由して、水や酸、および酸とアルカリで結晶化された主に無機質の阻害物質が除去された排ガスは、分析部11に導かれる。分析部11には、質量分析計やガスクロマトグラフ(GC)などが使用され、測定したい成分、特に揮発性有機物が分析される。排ガスの吸引には吸引ポンプ10が用いられる。
【0018】
以下、本装置における動作を示す。
【0019】
煙道1内の排ガスは、分析装置本体14内の吸引ポンプ10等によりノズル2を通し吸引される。吸引された排ガスはダストフィルタ4でダストが除去され、排ガス導入配管5を経由して分析装置本体14へ導かれる。この排ガスが経由する区間においては、結露を防ぐために、ノズル2,ダストフィルタ4,排ガス導入配管5のすべてが少なくとも100℃以上で保温される。特に、有機化合物などの微量成分の測定には、分析部へ到達するまでに、途中の配管等での吸着等の問題が有るため、排ガスと同程度の温度(200℃前後)に加熱保持される。分析装置本体14へ導かれた排ガスは、排ガス除去装置13に入り、測定対象物の測定に有害になる成分を除去するために冷却器8で常温以下まで急冷される。
100℃近辺になると排ガス内の水分が結露し、冷却入口6付近から水滴7が発生する。このとき、酸やアルカリ、特にHCl,HBrなどのハロゲン化物が親水性のため結露時と同時に除去されドレンとなって除去される。冷却器8内では分離されたドレンがドレンタンク9へ、阻害部室が除去された排ガスは分析部11へ導かれる。このとき、測定対象物が有機物質、特にクロロフェノールなどの水溶性物質である場合には、ロスを少なくするために冷却時間,工程は可能な限り短くすることが好ましい。又、分析部11に入るまでの配管も吸着などのロスを少なくするために100℃以上に加熱することが望ましい。
【0020】
しかし、冷却過程において次のような問題が発生する。排ガス中にはHCLやSOxなどの酸と、アンモニアなどのアルカリ成分が高濃度で含まれているため、冷却により飽和蒸気圧以下になるとそれらが中和反応しNH4Cl やNaClなどの塩が析出する。ただ、塩は水溶性のため結露した水に溶けるが、濃度が濃ければ露点温度よりも塩の析出温度のほうが高いため、冷却部入口6付近には結露する前部に塩が析出物12として堆積していく。当然、排ガス中の水分が少ないほどその析出量は多くなる。そのため、配管部が閉塞し、排ガスが流れなくなり、測定が不可能となる不具合が生じる。
【0021】
それを解決するために、冷却器8前に析出部を除去する水注入機構を設けている。排ガスを流し続けると、冷却入口6付近に結晶が成長していくが、ある程度まで成長したら電磁弁22を開いて水補給源24に蓄えられた水または溶剤を流し込む。注入量は結晶が溶ける程度(Φ4配管レベルでは数cc)流せば十分で、水注入口20が冷えない程度の量にする。又、水注入口20が冷えるとその前段で結晶が発生するので、ヒータ21で水注入口20と水注入配管23の一部を排ガス導入部レベルの温度に加温している。通常の結晶では水で十分だが、水で溶けない物質がある場合には、それを溶かす溶剤を混ぜて注入してやれば良い。また、水注入のタイミングと量は、結晶の析出量により設定値を決め、制御部27でコントロールすることができる。図4,図5にそのシーケンスを示す。
【0022】
図4は一定周期による水注入シーケンスで、これは配管閉塞閾値まで行かない結晶析出量レベルで水を注入する方法である。水注入時間Sやその周期Tをその都度可変にしてもいいが、注入時間Sもその周期Tも一定とした簡単な制御で十分である。最悪の場合でも測定に影響がない周期とすればよい。
図5は圧力値による水注入シーケンスで、配管が閉塞してくると配管内圧力が低くなってくる。そのため、配管閉塞閾値までいかない圧力レベルで水を注入する方法である。注入時間Sは一定でよいが、その周期は結晶成長速度によってt1,t2,t3と異なる。圧力計26で常時監視することによって注入タイミングを制御することができる。
【0023】
これらは自動制御であるが、析出が遅い場合など定期的に手動で電磁弁22をON,OFFしても良い。アクチェータは電磁弁,ポンプ,手動弁など水を注入,停止できる物なら何でも良い。又、水注入口20を含む配管系は酸やアルカリに侵されやすいので、接ガス,接液部はガラス類か耐食性のある材料で構成することが望ましい。
【0024】
このように本発明の実施例によれば、測定や分析に悪影響を及ぼす排ガスの阻害成分を取り除くだけでなく、排ガスから生じる析出物で配管系を閉塞する事を防ぐことができるので、対象ガス成分、特に揮発性有機物などの成分を連続的に安定した状態で測定,分析することができるという効果が有る。
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、測定や分析に悪影響を及ぼす排ガスの阻害成分を取り除くだけでなく、排ガスから生じる析出物で配管系を閉塞する事を防ぐことができるので、対象ガス成分、特に揮発性有機物などの成分を連続的に安定した状態で測定,分析することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の排ガス除去装置の構成図。
【図2】従来の排ガス除去装置の他の構成図。
【図3】本発明に基づく排ガス除去装置の一実施例の構成図。
【図4】一定周期による水注入シーケンス。
【図5】圧力値による水注入シーケンス。
【符号の説明】
1…煙道、2…ノズル、3…接続フランジ、4…ダストフィルタ、5…排ガス導入配管、6…冷却入口、7…水滴、8…冷却器、9…ドレンタンク、10…吸引ポンプ、11…分析部、12…析出物、13…排ガス除去装置、14…分析装置本体、15…排ガス導入部、16…バブリング除去器、20…水注入口、21…ヒータ、22…電磁弁、23…水注入配管、24…水補給源、25…制御信号、26…圧力計、27…制御部。

Claims (6)

  1. 燃焼炉などから排出される排ガスを吸引するノズルと、当該ノズルから吸引された排ガスを導く導入配管と、当該導入配管から導かれた排ガスを分析する分析部と、前記導入配管と分析部の間に設けられた排ガスを冷却する冷却部を備えた排ガス導入装置であって、
    前記冷却部入口に水分または溶剤が注入される注入部と、当該注入部に注入配管を介して接続され前記水分または溶剤を貯蔵する補給源と、前記注入配管を加熱するヒータを備えたことを特徴とする排ガス導入装置。
  2. 請求項1において
    記注入配管上には、水分または溶剤の供給量を調整する弁を設けたことを特徴とする排ガス導入装置。
  3. 請求項1において、
    前記注入部は、酸やアルカリなどに強い耐食材を使用していることを特徴とする排ガス導入装置。
  4. 請求項1において、
    前記冷却部と前記分析部間に圧力センサを備えたことを特徴とする排ガス導入装置。
  5. 燃焼炉などから排出される排ガスを吸引するノズルと、当該ノズルから吸引された排ガスを導く導入配管と、当該導入配管から導かれた排ガスを分析する分析部と、前記導入配管と分析部の間に設けられた排ガスを冷却する冷却部と、当該冷却部入口に水分または溶剤が注入される注入部と、当該注入部に注入配管を介して接続され前記水分または溶剤を貯蔵する補給源と、前記注入配管を加熱するヒータと、前記当該注入部から注入する水分または溶剤を調整する弁を備えた排ガス導入装置を用いた排ガス導入方法であって、
    前記弁を一定間隔で開閉し、水分または溶剤を前記弁が開状態の時に前記冷却部入口に注入することを特徴とする排ガス導入方法。
  6. 燃焼炉などから排出される排ガスを吸引するノズルと、当該ノズルから吸引された排ガスを導く導入配管と、当該導入配管から導かれた排ガスを分析する分析部と、前記導入配管と分析部の間に設けられた排ガスを冷却する冷却部と、当該冷却部入口に水分または溶剤が注入される注入部と、当該注入部から注入する水分または溶剤を調整する弁と、前記冷却部と前記分析部間に設けた圧力センサを備えた排ガス導入装置を用いた排ガス導入方法であって、
    前記圧力センサの検出信号が予め定めた検出値となった際に前記弁を開き、水分または溶剤を前記冷却部入口に注入することを特徴とする排ガス導入方法。
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