JP3712654B2 - 気体状況予測方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、気体状況予測方法に関し、空間的にも時間的にも粗い気象観測データから、空間的にも時間的にも密な気体状況(風向,風速等)を短時間で正確に求めることができるようにしたものである。本発明により求めた気体状況(風速場データ)を利用して、拡散源から放出された拡散物質の拡散状況(拡散範囲,拡散濃度)を演算により予測することができる。
【0002】
【従来の技術】
核物質を扱う施設から、事故により放射性物質が外部に放出された場合には、放射性物質の拡散範囲や各地点での放射性物質の濃度を予測し、放射性物質による危険を受ける恐れがある地域を予測する拡散状況予測システムが開発されつつある。
【0003】
この拡散状況予測システムにおいては、まず、気体状況を演算により予測し、この気体状況を基に拡散状況を予測している。
更に詳述すると、放射性物質の拡散状況を調べるには、まず、気象GPV(Grid Point Value)データやAMEDAS等の気象観測データを基にして、大気現象を解析する偏微分方程式を演算することにより、事象発生(例えば核物質の外部放出)時点から所定時間先の時点まで、一定時間刻み毎(例えば10分毎)の時点における、多数の評価地点(格子点位置)の風向・風速を演算により求める。つまり、一定時間刻み毎の風速場データをを表す気体状況を求める。
次に、放出された拡散物質の濃度や性状ならびに前記風速場データを、物質の拡散状態を演算する拡散方程式に代入することにより、各時間刻み毎の各格子点位置における拡散物質の濃度を演算する。
このようにして、放出された放射性物質の拡散範囲や各地点での放射性物質の濃度を予測することができる。
【0004】
気象観測データ、例えば気象GPVデータは、気象業務支援センターから12時間ごとに配信される。この気象GPVデータは、地球の表面を南北方向に沿い伸びると共に東西方向の相互の離間距離が規定距離(2Km)となっている複数の緯度仮想線と、地球の表面を東西方向に沿い伸びると共に南北方向の相互の離間距離が規定距離(2Km)となっている複数の経度仮想線とが交差する地点(これを「親格子点位置」と称する)における、複数の標高(地表から上空10Kmまでの間の20ポイントの標高)の気象データ(風速ベクトル(風向,風速),気圧,温度,水分量)を示すものである。しかも、気象GPVデータは、各親格子点位置の気象データとして、配信時点,配信時点から3時間先、6時間先,9時間先,というように3時間間隔の51時間分のデータが一括して配信される。
【0005】
上述した気象GPVデータの親格子点位置の気象データは、空間的には親格子点位置の相互間距離が2Kmと広く、しかも、時間的には3時間間隔と長いため、この親格子点位置の気象データにより示される気体状況(風向,風速)データのみでは、拡散物質の拡散濃度を演算することはできない。
【0006】
このため、空間的に粗く、且つ、時間的にも粗い気象観測データから、空間的にも時間的にも密な気体状況(風向,風速等)を、大気現象を解析する偏微分方程式を演算することにより求める必要がある。
【0007】
ここで、大気現象を解析する偏微分方程式を演算することにより、空間的に粗く、且つ、時間的にも粗い気象観測データから、空間的にも時間的にも密な気体状況(風向,風速等)を求める従来の気体状況予測方法を説明する。
【0008】
従来技術では、図8に示すように、計算すべき計算領域(地球の表面のなかで予め設定した特定領域)に設定された親格子点位置(図中で○で示す位置)の間に、子格子点位置(図中で□及び■で示す)を設定する。親格子点位置は、前述したように、地球の表面を南北方向に沿い伸びると共に東西方向の相互の離間距離が2Kmとなっている複数の緯度仮想線と、地球の表面を東西方向に沿い伸びると共に南北方向の相互の離間距離が2Kmとなっている複数の経度仮想線とが交差する地点に配置されている。
【0009】
一方、子格子点位置は、地球の表面を南北方向に沿い伸びると共に東西方向の相互の離間距離が一定距離(50m)となっている複数の緯度仮想線と、地球の表面を東西方向に沿い伸びると共に南北方向の相互の離間距離が一定距離(50m)となっている複数の経度仮想線とが交差する地点に配置されている。
【0010】
なお、図8では4つの親格子点位置のみを示しているが、この親格子点位置は計算領域の全ての領域に亘って分布配置するように設定している。また、図8では、4つの親格子点位置で囲まれる領域にのみ子格子点位置を示しているが、この子格子点位置は計算領域の全ての領域に亘って分布配置するように設定している。
【0011】
ここでは一例として、図9に示すように、気象GPVデータが配信された時点から10分後に演算を開始した場合について説明する。
【0012】
〔1〕演算開始時点の気象データの演算は次のようにして行う。
【0013】
〔1−1〕親格子点位置Iの気象データは、演算開始時点から10分前(気象GPVデータの配信時点)における親格子点位置Iの気象GPVデータと、演算開始時点から2時間50分先(気象GPVデータの配信から3時間先)における親格子点位置Iの気象GPVデータとを、時間内挿補間演算をすることにより求めている。時間内挿補間演算とは、配信時点の気象GPVデータと配信から3時間先の気象GPVデータを基に、時間的に中間(配信から1時間30分先)のデータは両気象GPVデータの平均値とし、時間的に配信時に近づくほど配信時の気象GPVデータ値に近くなり、時間的に3時間先に近づくほど3時間先の気象GPVデータ値に近づくように時間に応じてデータを求める手法である。
同様に、親格子点位置IIの気象データは、演算開始時点から10分前(気象GPVデータの配信時点)における親格子点位置IIの気象GPVデータと、演算開始時点から2時間50分先(配信から3時間先)における親格子点位置IIの気象GPVデータとを、時間内挿補間演算をすることにより求めている。
親格子点位置III,IVの気象データも同様に、時間内挿補間演算により求めている。
【0014】
〔1−2〕子格子点位置(図8では□と■で示している位置)の気象データは、親格子点位置の気象GPVデータを、空間内挿補間演算をすることにより求めている。例えば、子格子点位置aの気象データは、親格子点位置Iの気象GPVデータと親格子点位置IIの気象GPVデータを空間内挿補間演算することにより求めている。空間内挿補間演算とは、親格子点位置Iの気象GPVデータと親格子点位置IIの気象GPVデータを基に、空間的に中間(親格子点位置から1Km離れた位置)のデータは両気象GPVデータの平均値とし、空間的に親格子点位置Iに近づくほど親格子点位置Iの気象GPVデータ値に近くなり、空間的に親格子点位置IIに近づくほど親格子点位置IIの気象GPVデータ値に近づくように空間距離に応じて気象データを求める手法である。
他の子格子点位置(図8では□と■で示している位置)の気象データも、親格子点位置I,II,III,IV の気象データを空間内挿補間演算をすることにより求めている。
【0015】
〔2〕演算開始から10分先の気象データの演算は次のようにして行う。
【0016】
〔2−1〕演算開始から10分先の親格子点位置I,II,III,IVの気象データは、演算開始時点から10分前(気象GPVデータの配信時点)における親格子点位置I,II,III,IVの気象GPVデータと、演算開始時点から2時間50分先(配信から3時間先)における親格子点位置I,II,III,IVの気象GPVデータとを、時間内挿補間演算することにより求める。
【0017】
〔2−2〕演算開始から10分先の子格子点位置のうち、図中で□で示すもの、即ち、親格子点位置I,II,III,IVに挟まれているものは、時間内挿補間演算により求めた演算開始から10分先の親格子点位置I,II,III,IVの気象データを、空間内挿補間演算することにより求めている。
【0018】
〔2−3〕演算開始から10分先の子格子点位置のうち、図中で■で示すもの、即ち、親格子点位置及び、図中で□で示す子格子点位置により囲まれた範囲内に位置する子格子点位置の気象データは、大気現象を解析する偏微分方程式を差分解析演算することにより求める。大気現象を解析する偏微分方程式としては、コロラド州立大学とMission Research社で開発されたRAMS(Regional Atmospheric Modeling System)コードで示されている、風速場解析の基本方程式を用いることができる。
【0019】
このRAMSコードで示されている風速場解析の基本方程式は、運動方程式,熱エネルギ方程式,水分の拡散方程式及び連続の式からなり、次のような式(1)〜(6)で表される。
【0020】
【数1】
Figure 0003712654
【0021】
例えば、演算開始から10分先の子格子点位置αの気象データは、演算開始時点での子格子点位置αの気象データを初期条件値とし、演算開始から10分先における親格子点位置及び図中で□で示す子格子点位置の気象データを境界条件値として取り込んで、RAMSコードで示されている風速場解析の基本方程式(1)〜(6)を差分解演算して差分解として求める。図中で■で示す他の子格子点位置も同様にして、RAMSコードで示されている風速場解析の基本方程式(1)〜(6)を差分解演算して差分解として求められる。
【0022】
〔3〕演算開始から20分先の気象データの演算は、演算開始から10分先の気象データの演算と同様にして行う。
【0023】
〔3−1〕即ち、演算開始から20分先の親格子点位置I,II,III,IVの気象データは、演算開始時点から10分前(気象GPVデータの配信時点)における親格子点位置I,II,III,IVの気象GPVデータと、演算開始時点から2時間50分先(配信から3時間先)における親格子点位置I,II,III,IVの気象GPVデータとを、時間内挿補間演算することにより求める。
【0024】
〔3−2〕演算開始から20分先の子格子点位置のうち、図中で□で示すもの、即ち、親格子点位置I,II,III,IVに挟まれているものは、時間内挿補間演算により求めた演算開始から20分先の親格子点位置I,II,III,IVの気象データを、空間内挿補間演算することにより求めている。
【0025】
〔3−3〕演算開始から20分先の子格子点位置のうち、図中で■で示すもの、即ち、親格子点位置及び、図中で□で示す子格子点位置により囲まれた範囲内に位置する子格子点位置の気象データは、大気現象を解析する偏微分方程式を差分解析演算することにより求める。大気現象を解析する偏微分方程式としては、コロラド州立大学とMission Research社で開発されたRAMS(Regional Atmospheric Modeling System)コードで示されている、風速場解析の基本方程式を用いることができる。
【0026】
例えば、演算開始から20分先の子格子点位置αの気象データは、演算開始時点での子格子点位置αの気象データを初期条件値とし、演算開始から20分先における親格子点位置及び図中で□で示す子格子点位置の気象データを境界条件値として取り込んで、RAMSコードで示されている風速場解析の基本方程式(1)〜(6)を差分解演算して差分解として求める。図中で■で示す他の子格子点位置も同様にして、RAMSコードで示されている風速場解析の基本方程式(1)〜(6)を差分解演算して差分解として求められる。
【0027】
〔4〕以降、同様にして演算開始から30分先,40分先,50分先と、10分間の時間刻み毎の気象データを、演算開始から12時間先まで求める。
【0028】
このようにして演算開始から10分刻み毎における、各親格子点位置における複数の標高の気象データと、各子格子点位置における複数の標高の気象データが求められたら、物質の拡散状態を演算する拡散方程式(7)に、10分刻み毎の各親格子点位置及び各子格子点位置の気象データ(風向,風速)を、次々に代入して、拡散範囲や拡散濃度を演算して予測することができる。
【0029】
【数2】
Figure 0003712654
【0030】
前述したRAMSコードで示されている風速場解析の基本方程式などの大気現象を解析する偏微分方程式を、コンピュータを用いて差分解析演算することにより、図8において■で示す子格子点位置の気象データを求める計算システムを、力学系のシステムとして表現すると、図10のようになる。
【0031】
この計算システムでは、図10に示すように、初期条件が与えられた時点(t=t0)から、時間(t)と共に変化する境界条件の基で、偏微分方程式を微小な時間刻み(δt)づつ進めながら非定常的に差分計算し、各時刻(ti=t0+n×δt :n=0〜N)の変数(vi:風向,風速,気温,水分量)を数値解として出力する。
【0032】
更に具体的に説明すると、図10では、初期条件入力系であるブロックB1から、計算系であるブロックB2に初期条件が入力される。図9の例では、気象GPVデータが配信されてから10分後に演算が開始されているので、この演算開始時点における初期条件(親格子点位置及び子格子点位置の気象データ)が計算系に入力される。なお、初期条件(演算開始時点における親格子点位置及び子格子点位置の気象データ)は、前述したように、気象GPVデータを時間内挿補間演算,空間内挿補間演算をすることにより求めている。
タイマ系であるブロックB3は、計算系であるブロックB2による1演算時間刻みでの演算が終わると、演算時刻を1演算時間刻み(図8,図9の例では10分間)進める。
【0033】
境界条件入力系であるブロックB4は、一定時間刻み毎(図8,図9の例では10分間隔毎)の境界条件(親格子点位置および図8で□で示す子格子点位置の気象データ)を、計算系B2に入力する。なお、境界条件(親格子点位置および図8で□で示す子格子点位置の気象データ)は、前述したように、気象GPVデータを時間内挿補間演算,空間内挿補間演算をすることにより求めている。
【0034】
大気条件を解析する偏微分方程式(RAMSコードで示されている風速場解析の基本方程式)の数値解析は、初期条件と境界条件が決まれば一義的に決定されるので、計算系であるブロックB2は、初期条件と境界条件を取り込んで各子格子点位置(図8で■で示す子格子点位置)毎に差分解析をして、出力系B5に、各子格子点位置(図8で■で示す子格子点位置)の気象データである差分解を出力する。
【0035】
ところで、広い計算領域(例えば図11の大領域A1)の全てに、離間距離を短い状態にして(例えば50mにして)子格子点位置を配置し、この全ての子格子点位置の気象データを1台のコンピュータで演算処理すると、極めて長い時間がかかる。そこで、計算時間を短縮する方法として、次に述べる多重ネスティング法(多重格子法)が採用されている。なお、緻密な気象データが必要な領域は、例えば図11の小領域A3のみであるが、気象現象は、必要な小領域A3の周りの領域の状況によって変化するので、小領域A3よりも広い大領域A1を設定して大領域A1の全ての格子点位置の気象データを求め、拡散状態を演算する拡散方程式の演算には、大領域A1の中から小領域A3の格子点位置の気象データ(風速場データ)のみを用いて演算をしている。
【0036】
多重ネスティング法では、図11に示すように、計算領域として、大領域(例えば本州の中央部)A1と、中領域(例えば東京地区)A2と、小領域(例えば東京湾近隣地区)A3を設定する。緻密な気象データが必要な領域は、小領域A3であるが、気象現象は、必要な領域の周りの領域の状況によって変化するので、小領域A3よりも広い、中領域A2,大領域A1を設定している。
【0037】
そして、大領域A1には、図12に示すように、離間距離が例えば4Kmの親格子点位置(図中に○で示す)と、離間距離が例えば800mの子格子点位置(図中に□で示す)を設定する。
中領域A2には、図13に示すように、離間距離が例えば2Kmの親格子点位置(図中に○で示す)と、離間距離が例えば400mの子格子点位置(図中に□で示す)を設定する。
最終的に緻密な気象データを求める小領域A3には、図8に示すように、離間距離が例えば2Kmの親格子点位置(図中に○で示す)と、離間距離が例えば50mの子格子点位置(図中に□と■で示す)を設定する。
【0038】
そして図10に示す計算システムにより、まず、大領域A1に設定した、離間距離が4Kmの親格子点位置と、離間距離が800mの子格子点位置の気象データを演算する。
【0039】
次に、図10に示す計算システムにより、中領域A2に設定した、離間距離が2Kmの親格子点位置と離間距離が400mの子格子点位置の気象データを演算する。なお、中領域A2に設定した親格子点位置のうち、大領域A1に設定した親格子点位置と同じ位置にあるものは、大領域A1の演算において既に求められているので、その気象データをそのままシフトしてくる。また、離間距離が400mの子格子点位置のうち、大領域A1に設定したものと同じ位置にあるものは、大領域A1の演算において既に求められているので、その気象データをそのままシフトしてくる。
【0040】
更に、図10に示す計算システムにより、小領域A3に設定した離間距離が50mの子格子点位置の気象データを演算する。なお、小領域A3に設定した親格子点位置の気象データは、大領域A1及び中領域A2の演算において既に求められているので、その気象データをそのままシフトしてくる。また、離間距離が50mの子格子点位置のうち、大領域A1及び中領域A2に設定したものと同じ位置にあるものは、大領域A1及び中領域A2の演算において既に求められているので、その気象データをそのままシフトしてくる。
【0041】
このように、最終的に緻密な気象データを求める小領域A3にのみ、離間距離が短い(例えば50m)の子格子点位置を設定しているので、大領域A1の全面に離間距離が短い(例えば50m)の子格子点位置を設定して演算する場合に比べて、演算時間が短縮される。
【0042】
また更に演算時間を短縮するため、多段ネスティング法を採用した場合において、複数の演算装置(CPU)を結合した並列計算機により並列演算をすることが行われている。
【0043】
例えば4台のCPUを用いて並列演算をする場合には、図14に示すように、大領域A1を4つの分割領域A1−1,A1−2,A1−3,A1−4に分割し、中領域A2を4つの分割領域A2−1,A2−2,A2−3,A2−4に分割し、小領域A3を4つの分割領域A3−1,A3−2,A3−3,A3−4に分割する。
【0044】
大領域A1に配置された各格子点位置の気象データ(例えば演算開始時点から12時間先の時点までにおける例えば10分毎の気象データ)を演算するには、第1のCPUは、分割領域A1−1に配置された各格子点位置の気象データを演算し、第2のCPUは、分割領域A1−2に配置された格子点位置の気象データを演算し、第3のCPUは、分割領域A1−3に配置された格子点位置の気象データを演算し、第4のCPUは、分割領域A1−4に配置された格子点位置の気象データを演算する。
【0045】
また、大領域A1に対する演算が終了して、中領域A2に配置された各格子点位置の気象データ(例えば演算開始時点から12時間先の時点までにおける例えば10分毎の気象データ)を演算するには、第1のCPUは、分割領域A2−1に配置された各格子点位置の気象データを演算し、第2のCPUは、分割領域A2−2に配置された格子点位置の気象データを演算し、第3のCPUは、分割領域A2−3に配置された格子点位置の気象データを演算し、第4のCPUは、分割領域A2−4に配置された格子点位置の気象データを演算する。
【0046】
更に、中領域A2に対する演算が終了して、小領域A3に配置された各格子点位置の気象データ(例えば演算開始時点から12時間先の時点までにおける例えば10分毎の気象データ)を演算するには、第1のCPUは、分割領域A3−1に配置された各格子点位置の気象データを演算し、第2のCPUは、分割領域A3−2に配置された格子点位置の気象データを演算し、第3のCPUは、分割領域A3−3に配置された格子点位置の気象データを演算し、第4のCPUは、分割領域A3−4に配置された格子点位置の気象データを演算する。
【0047】
なお、上述した気体状況予測方法により求めた風速場データを利用して、物質の拡散状況を予測する拡散状況予測システムは、火山が爆発したときに発生する噴煙の拡散状況や、タンカーが座礁して漏洩油から蒸発した揮発性ガスの拡散状況を予測する場合にも利用することができる。
【0048】
更に、この拡散状況予測システムは、事象(例えば核物質の外部放出事故)が発生してから直ちに演算をして予測する場合のみならず、事象発生後に事後的に状況を解析するために、拡散状況を予測する場合にも利用することができる。例えば核物質の外部放出事故が発生した場合には、数日経過しても現場に立ち入ることはできないが、このシステムを利用して拡散状況を予測し、この予測した拡散状況を基に適切な対策をとることができる。
【0049】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の気体状況予測方法では、演算時間を短縮するため、複数のCPUを結合した並列計算機を用い、計算領域をCPUの個数と同じ数の領域に分割して、各CPUで各分割領域毎の計算をして、各時刻(ti)毎に変数(vi)を差分解として出力している。しかし、CPUの数を増加すると、各分割領域間でのデータ転送時間が増加するため、全体の計算時間は、CPUの数に応じて(反比例して)減少するわけではなかった。つまり、例えばCPUを4台にしても、全体の計算時間は、CPUが1台のときの時間の1/4になるわけではなく、データ転送時間等の時間が必要となり、全体の計算時間は、CPUが1台のときの時間の1/4よりも長くなってしまう。
【0050】
本発明は、上記従来技術に鑑み、演算装置(CPU)の個数の増加に応じて計算時間を短縮することができると共に、複数の演算装置により求めた気体状況データの連続性を確保して正確な気体状況を求めることができる気体状況予測方法を提供することを目的とする。
【0051】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の気体状況予測方法は、地球の表面を南北方向に伸びると共に東西方向の相互の離間距離が規定距離となっている複数の仮想線と、地球の表面を東西方向に伸びると共に南北方向の相互の離間距離が規定距離となっている複数の仮想線とが交差する位置である親格子点位置における規定時間間隔毎の気象観測データから、
地球の表面を南北方向に伸びると共に東西方向の相互の離間距離が前記規定距離よりも短い一定距離となっている複数の仮想線と、地球の表面を東西方向に伸びると共に南北方向の相互の離間距離が前記規定距離よりも短い一定距離となっている複数の仮想線とが交差する位置である子格子点位置における、前記規定時間間隔よりも短い一定時間刻み毎の気象データを求めるため、
複数の演算装置を備えた並列計算機により大気現象を解析する偏微分方程式を演算する際に、地球の表面のなかで予め設定した特定領域内の親格子点位置の気象観測データから初期条件と境界条件とを求め、求めた初期条件と境界条件を前記偏微分方程式に取り込んで演算をすることにより、特定領域内の子格子点位置の気象データを求める気体状況予測方法であって、
演算開始から所定時間先までの演算期間を、複数の分割演算期間に分割し、各分割演算期間の演算を前記複数の演算装置に振り分けて同時並行して進めることを特徴とする。
【0052】
また本発明の気体状況予測方法は、地球の表面を南北方向に伸びると共に東西方向の相互の離間距離が規定距離となっている複数の仮想線と、地球の表面を東西方向に伸びると共に南北方向の相互の離間距離が規定距離となっている複数の仮想線とが交差する位置である親格子点位置における規定時間間隔毎の気象観測データから、
地球の表面を南北方向に伸びると共に東西方向の相互の離間距離が前記規定距離よりも短い一定距離となっている複数の仮想線と、地球の表面を東西方向に伸びると共に南北方向の相互の離間距離が前記規定距離よりも短い一定距離となっている複数の仮想線とが交差する位置である子格子点位置における、前記規定時間間隔よりも短い一定時間刻み毎の気象データを求めるため、
複数の演算装置を備えた並列計算機により大気現象を解析する偏微分方程式を演算する際に、地球の表面のなかに、特定領域及びこの特定領域を内部に含むと共に特定領域よりも面積が段階的に広がっている複数の拡大領域を予め設定し、拡大領域内及び特定領域内の親格子点位置の気象観測データから各拡大領域及び特定領域における初期条件と境界条件とを求め、
求めた初期条件と境界条件を前記偏微分方程式に取り込んで演算をすることにより子格子点位置の気象データを求める演算を、最大面積の拡大領域から最小面積の拡大領域において順次実行した後に、特定領域において実行する気体状況予測方法であって、
演算開始から所定時間先までの演算期間を、複数の分割演算期間に分割し、各分割演算期間の演算を前記複数の演算装置に振り分けて同時並行して進めることを特徴とする。
この場合、各分割演算期間の演算を前記複数の演算装置に振り分けて同時並行して進める際に、拡大領域及び特定領域を更に複数に分割し、分割した領域の演算を複数の演算装置により振り分けて同時並行して進めることもできる。
【0053】
また本発明の気体状況予測方法は、地球の表面を南北方向に伸びると共に東西方向の相互の離間距離が規定距離となっている複数の仮想線と、地球の表面を東西方向に伸びると共に南北方向の相互の離間距離が規定距離となっている複数の仮想線とが交差する位置である親格子点位置における規定時間間隔毎の気象観測データから、
地球の表面を南北方向に伸びると共に東西方向の相互の離間距離が前記規定距離よりも短い一定距離となっている複数の仮想線と、地球の表面を東西方向に伸びると共に南北方向の相互の離間距離が前記規定距離よりも短い一定距離となっている複数の仮想線とが交差する位置である子格子点位置における、前記規定時間間隔よりも短い一定時間刻み毎の気象データを求めるため、
複数の演算装置を備えた並列計算機により大気現象を解析する偏微分方程式を演算する際に、地球の表面のなかに、特定領域及びこの特定領域を内部に含むと共に特定領域よりも面積が段階的に広がっている複数の拡大領域を予め設定し、拡大領域内及び特定領域内の親格子点位置の気象観測データから各拡大領域及び特定領域における初期条件と境界条件とを求め、
求めた初期条件と境界条件を前記偏微分方程式に取り込んで演算をすることにより子格子点位置の気象データを求める演算を、最大面積の拡大領域から最小面積の拡大領域において順次実行した後に、特定領域において実行する気体状況予測方法であって、
最大面積の拡大領域の演算においては、演算開始から所定時間先までの演算期間を通して演算を進め、
最大面積より小さい面積の拡大領域及び特定領域の演算においては、演算開始から所定時間先までの演算期間を、複数の分割演算期間に分割し、各分割演算期間の演算を前記複数の演算装置に振り分けて同時並行して進めることを特徴とする。
この場合、最大面積の拡大領域の演算において、演算開始から所定時間先までの演算期間を通して演算を進める際に、この拡大領域を更に複数に分割し、分割した領域の演算を複数の演算装置により振り分けて同時並行して進め、
また最大面積より小さい面積の拡大領域及び特定領域の演算において、各分割演算期間の演算を前記複数の演算装置に振り分けて同時並行して進める際に、最大面積より小さい面積の拡大領域及び特定領域を更に複数に分割し、分割した領域の演算を複数の演算装置により振り分けて同時並行して進めることもできる。
【0054】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0055】
<第1の実施の形態>
第1の実施の形態では、気象観測データ(例えば気象GPVデータ)から、子格子点位置の気象データを求めるため、大気現象を解析する偏微分方程式であるRAMSコードで示されている風速場解析の基本方程式(前述した(1)〜(6)の式)を、複数の演算装置を備えた並列計算機により演算する場合において、演算期間を分割し、分割した各分割演算期間の演算を複数の演算装置により振り分けて同時並行して進めるものである。
【0056】
図1に示すように、並列計算機11には4台の演算装置(CPU)♯1〜♯4が備えられている。計算領域には、相互の離間距離が2Kmとなっている親格子点位置と、相互の離間距離が50mとなっている子格子点位置が設定されている。また、ここでは、演算開始時点から12時間先までの演算期間(t=0〜12時間先)において、10分間隔毎(一定時間刻み毎)の子格子点位置の気象データを演算する。
【0057】
この並列計算機11では、気象GPVデータを時間内挿補間演算と空間内挿補間演算をすることにより、計算領域の境界条件を求める。また、気象GPVデータを時間内挿補間演算と空間内挿補間演算をすることにより、演算開始時点,演算開始から3時間先、演算開始から6時間先、演算開始から9時間先の各時点における初期条件を求める。ここでの境界条件,初期条件の演算手法は、従来技術で示したものと同様である。
【0058】
更に演算期間(12時間)を、4分割する。そして、RAMSコードで示されている風速場解析の基本方程式(前述した(1)〜(6)の式)の演算を、4台のCPU♯1〜♯4により行う演算期間を、下記▲1▼〜▲4▼のように振り分け、4台のCPU♯1〜♯4の演算を同時並行して行なう。
▲1▼演算開始時点から3時間先までの第1の分割演算期間における演算は、第1のCPU♯1で行い、第1の演算期間における10分時間刻み毎の各子格子点位置の気象データを求める。
▲2▼演算開始時点から3時間先の時点と、演算開始時点から6時間先の時点との間の第2の分割演算期間における演算は、第2のCPU♯2で行い、第2の演算期間における10分時間刻み毎の各子格子点位置の気象データを求める。
▲3▼演算開始時点から6時間先の時点と、演算開始時点から9時間先の時点との間の第3の分割演算期間における演算は、第3のCPU♯3で行い、第3の演算期間における10分時間刻み毎の各子格子点位置の気象データを求める。
▲4▼演算開始時点から9時間先の時点と、演算開始時点から12時間先の時点との間の第4の分割演算期間における演算は、第4のCPU♯4で行い、第4の演算期間における10分時間刻み毎の各子格子点位置の気象データを求める。
【0059】
即ち、CPU♯1には、演算開始時点の初期条件と、演算開始時点から3時間先までの第1の分割演算期間における10分時間刻み毎の境界条件が入力される。そして、大気現象を解析する偏微分方程式であるRAMSコードで示されている風速場解析の基本方程式が、差分解演算され、変数(vi)を差分解(つまり、10分時間刻み毎の各子格子点位置の気象データ)として出力する。
【0060】
同様に、CPU♯2,♯3,♯4には、それぞれ演算開始から3時間先、演算開始から6時間先、演算開始から9時間先の各時点における初期条件と、第2〜第4の各分割演算期間における10分時間刻み毎の境界条件が入力される。そして、大気現象を解析する偏微分方程式であるRAMSコードで示されている風速場解析の基本方程式が、差分解演算され、変数(vi)を差分解(つまり、第2〜第4の各分割演算期間における10分時間刻み毎の各子格子点位置の気象データ)として出力する。
【0061】
そして、各CPU♯1〜♯4により得られた気象データを、結合して演算開始時点から12時間先までの12時間分の演算期間における、10分時間刻み毎の各子格子点位置の気象データを求めることができる。
【0062】
このように、演算期間をCPUの設置台数に応じて4分割し、4分割した各分割演算期間の演算を複数のCPU♯1〜♯4に振り分けて同時並行して進めるため、1台のCPUにより演算する時間に比べて、演算時間を1/4にすることができる。
【0063】
勿論、CPUの設置台数を多くして、演算期間の分割数を多くすればするほど、演算時間が短くなる。例えばCPUの設置台数をM台とし、演算期間の分割数をMとして並列演算すれば、演算時間が1/Mとなる。
なお気象観測データとしては、気象GPVデータの他に、AMEDAS等の他の気象観測データを採用することもできる。また、親格子点位置の相互の離間距離や、子格子点位置の相互の離間距離も、他の値に設定することができる。更に、大気現象を解析する偏微分方程式としは、RAMSコードで示されている風速場解析の基本方程式の他に、他の偏微分方程式を採用することもできる。かかる事情は、他の実施の形態でも同様である。
【0064】
<第2の実施の形態>
第2の実施の形態は、第1の実施の形態を発展させたものであり、各CPU♯1〜♯4の計算に多段ネスティング法を採用したものである。そして、気象観測データ(例えば気象GPVデータ)から、多段ネスティング法により設定した各領域の子格子点位置の気象データを求めるため、大気現象を解析する偏微分方程式であるRAMSコードで示されている風速場解析の基本方程式(前述した(1)〜(6)の式)を、複数の演算装置を備えた並列計算機により演算する場合において、演算時間を分割し、分割した各分割演算時間の演算を複数の演算装置により振り分けて同時並行して進めるものである。
【0065】
第2の実施の形態では、図2に示すように、計算領域として、最大の面積となっている拡大領域である大領域(例えば本州の中央部)R1と、大領域R1よりも狭い面積となっている拡大面積である中領域(例えば東京地区)R2と、特定領域である小領域(例えば東京湾近隣地区)R3を設定する。領域R3は、領域R2の内部に含まれ、領域R2は領域R1の内部に含まれるように、面積が段階的に広がっている。
【0066】
この第2の実施の形態では、図3に示すように、並列計算機11には4台の演算装置(CPU)♯1〜♯4が備えられている。そして、大領域R1には、離間距離が例えば4Kmの親格子点位置と、離間距離が例えば800mの子格子点位置を設定し、中領域R2には、離間距離が例えば2Kmの親格子点位置と、離間距離が例えば400mの子格子点位置を設定し、最終的に緻密な気象データを求める小領域R3には、離間距離が例えば2Kmの親格子点位置と、離間距離が例えば50mの子格子点位置を設定している。また、ここでは、演算開始時点から12時間先までの演算期間(t=0〜12時間先)において、10分間隔毎(一定時間刻み毎)の子格子点位置の気象データを演算する。
【0067】
この並列計算機11では、気象GPVデータを時間内挿補間演算と空間内挿補間演算をすることにより、領域R1,R2,R3の境界条件を求める。また、気象GPVデータを時間内挿補間演算と空間内挿補間演算をすることにより、領域R1,R2,R3における演算開始時点,演算開始から3時間先、演算開始から6時間先、演算開始から9時間先の各時点における初期条件を求める。
【0068】
更に演算期間(12時間)を、4分割する。そして、多段ネスティング法にて設定した各領域R1,R2,R3内のデータ演算を、4台のCPU♯1〜♯4により行う演算期間を、下記▲1▼〜▲4▼のように振り分け、4台のCPU♯1〜♯4の演算を同時並行して行なう。
【0069】
▲1▼演算開始時点から3時間先までの第1の分割演算期間における演算は、第1のCPU♯1で行い、第1の演算期間における大領域R1での10分時間刻み毎の各子格子点位置の気象データを求めた後に、第1の演算期間における中領域R2での10分時間刻み毎の各子格子点位置の気象データを求め、その後に、第1の演算期間における小領域R2での10分時間刻み毎の各子格子点位置の気象データを求める。
【0070】
▲2▼演算開始時点から3時間先の時点と、演算開始時点から6時間先の時点との間の第2の分割演算期間における演算は、第2のCPU♯2で行い、第2の演算期間における大領域R1での10分時間刻み毎の各子格子点位置の気象データを求めた後に、第2の演算期間における中領域R2での10分時間刻み毎の各子格子点位置の気象データを求め、その後に、第2の演算期間における小領域R2での10分時間刻み毎の各子格子点位置の気象データを求める。
【0071】
▲3▼演算開始時点から6時間先の時点と、演算開始時点から9時間先の時点との間の第3の分割演算期間における演算は、第3のCPU♯3で行い、第3の演算期間における大領域R1での10分時間刻み毎の各子格子点位置の気象データを求めた後に、第3の演算期間における中領域R2での10分時間刻み毎の各子格子点位置の気象データを求め、その後に、第3の演算期間における小領域R2での10分時間刻み毎の各子格子点位置の気象データを求める。
【0072】
▲4▼演算開始時点から9時間先の時点と、演算開始時点から12時間先の時点との間の第4の分割演算期間における演算は、第4のCPU♯4で行い、第4の演算期間における大領域R1での10分時間刻み毎の各子格子点位置の気象データを求めた後に、第4の演算期間における中領域R2での10分時間刻み毎の各子格子点位置の気象データを求め、その後に、第4の演算期間における小領域R2での10分時間刻み毎の各子格子点位置の気象データを求める。
【0073】
即ち、CPU♯1には、各領域R1,R2,R3における演算開始時点の初期条件と、演算開始時点から3時間先までの第1の分割演算期間における10分時間刻み毎の境界条件が入力される。そして、大領域R1でのデータ演算をするため、大気現象を解析する偏微分方程式であるRAMSコードで示されている風速場解析の基本方程式が、差分解演算され、変数(vi)を差分解(つまり、10分時間刻み毎の各子格子点位置の気象データ)として出力、その後に、同様にして、中領域R2でのデータを差分解演算して、変数(vi)を差分解(つまり、10分時間刻み毎の各子格子点位置の気象データ)として出力し、最後に小領域R1でのデータを差分解演算して、変数(vi)を差分解(つまり、10分時間刻み毎の各子格子点位置の気象データ)として出力する。
【0074】
同様に、CPU♯2,♯3,♯4には、それぞれ演算開始から3時間先、演算開始から6時間先、演算開始から9時間先の各時点における初期条件と、第2〜第4の各分割演算期間における10分時間刻み毎の境界条件が入力される。そして、領域R1,R2,R3のデータに対して順次演算をするため、大気現象を解析する偏微分方程式であるRAMSコードで示されている風速場解析の基本方程式が、差分解演算され、領域R1,R2,R3毎に、変数(vi)を差分解(つまり、第2〜第4の各分割演算期間における10分時間刻み毎の各子格子点位置の気象データ)として順次出力する。
【0075】
そして、各CPU♯1〜♯4により得られた気象データを、結合して演算開始時点から12時間先までの12時間分の演算期間における、10分時間刻み毎の各子格子点位置の気象データを求めることができる。
【0076】
このように、多段ネスティング法を採用したため、正確な気象データを短時間で得ることができる。
しかも、演算期間をCPUの設置台数に応じて4分割し、4分割した各分割演算期間の演算を複数のCPU♯1〜♯4に振り分けて同時並行して進めるため、演算時間を更に短縮することができる。
【0077】
<第3の実施の形態>
第3の実施の形態は、第2の実施の形態を発展させたものであり、演算期間を分割し、分割した演算期間において多段ネスティング法を適用した場合において、多段ネスティング法にて設定した領域R1,R2,R3を更に分割し、分割した領域の計算を複数のCPUにて同時並行して行うようにしたものである。
【0078】
この第3の実施の形態における演算手法自体は、第2の実施の形態と同様であるため、第3の実施の形態において特徴的な部分のみを説明する。
【0079】
図4に示すように、第3の実施の形態では、16台のCPUCPU♯1〜♯16を採用している。そして、多段ネスティング法で設定した大領域R1を領域R1−1,R1−2,R1−3,R1−4に4分割し、中領域R2を領域R2−1,R2−2,R2−3,R2−4に4分割し、小領域R3を領域R3−1,R3−2,R3−3,R3−4に4分割している。
【0080】
第1グループのCPU♯1〜♯4は、第1の分割期間(演算開始時点から3時間先まで)の演算を担当し、
第2グループのCPU♯5〜♯8は、第2の分割期間(演算開始時点から3時間先の時点から、演算開始から6時間先までの時点の期間)の演算を担当し、
第3グループのCPU♯9〜♯12は、第3の分割期間(演算開始時点から6時間先の時点から、演算開始から9時間先までの時点の期間)の演算を担当し、
第4グループのCPU♯13〜♯16は、第4の分割期間(演算開始時点から9時間先の時点から、演算開始から12時間先までの時点の期間)の演算を担当する。
勿論、第1〜第4の分割期間の演算は、第1グループ〜第4グループのCPUによって、同時並行して行われる。
【0081】
しかも、第1グループのCPU♯1〜♯4が、第1の分割演算期間において、大領域R1の演算をするときには、領域R1−1の演算はCPU♯1が行い、領域R1−2の演算はCPU♯2が行い、領域R1−3の演算はCPU♯3が行い、領域R1−4の演算はCPU♯4が行う。このように、CPU♯1〜♯4が同時並行して演算を行うため、1台のCPUで演算を行う場合に比べて、演算時間が1/4となる。
【0082】
第1グループのCPU♯1〜♯4が、第1の分割演算期間において、中領域R2の演算をするときには、領域R2−1の演算はCPU♯1が行い、領域R2−2の演算はCPU♯2が行い、領域R2−3の演算はCPU♯3が行い、領域R2−4の演算はCPU♯4が行う。このように、CPU♯1〜♯4が同時並行して演算を行うため、1台のCPUで演算を行う場合に比べて、演算時間が1/4となる。
【0083】
第1グループのCPU♯1〜♯4が、第1の分割演算期間において、小領域R3の演算をするときには、領域R3−1の演算はCPU♯1が行い、領域R3−2の演算はCPU♯2が行い、領域R3−3の演算はCPU♯3が行い、領域R3−4の演算はCPU♯4が行う。このように、CPU♯1〜♯4が同時並行して演算を行うため、1台のCPUで演算を行う場合に比べて、演算時間が1/4となる。
【0084】
同様に、第2〜第4のグループのCPUも、第2〜第4の各分割期間において、大領域R1,中領域R2,小領域R3を演算する際に、各領域を空間的に分割した領域を、4台のCPUにより同時並行して演算することより、演算時間を1/4に短縮している。
【0085】
<第4の実施の形態>
第4の実施の形態は、図5及び図6に示すように、大領域R1を演算する場合には、第1のCPU♯1により演算期間(0〜12時間先)の全てを連続して演算を行い、中領域R2,小領域R3の演算をする場合には、演算期間を分割する。そして、中領域R2の、第1の分割期間(0〜3時間先)の演算は第1のCPU♯1にて行い、第2の分割期間(3〜6時間先)の演算は第2のCPU♯2にて行い、第3の分割期間(6〜9時間先)の演算は第3のCPU♯3にて行い、第4の分割期間(9〜12時間先)の演算は第4のCPU♯1にて行う。これに続いて、小領域R3の、第1の分割期間(0〜3時間先)の演算は第1のCPU♯1にて行い、第2の分割期間(3〜6時間先)の演算は第2のCPU♯2にて行い、第3の分割期間(6〜9時間先)の演算は第3のCPU♯3にて行い、第4の分割期間(9〜12時間先)の演算は第4のCPU♯1にて行う。
【0086】
なお、演算手法自体は、第2の実施の形態と同様であるので、省略する。
【0087】
このように、第4の実施の形態では、大領域R1の全演算期間(0〜12時間先)の演算を第1のCPU♯1のみで連続して行い、この大領域R1の計算結果を初期値として、中領域R2,小領域R3の演算を、時間分割と多段ネスティング法により演算している。このように、大領域R1の全演算期間(0〜12時間先)の演算を第1のCPU♯1のみで連続して行い、この大領域R1の計算結果を初期値としているため、中領域R1,小領域R2にて時間分割して演算をしていても、時間の分割時点におけるデータが連続的となり、正確に気象データの演算を行うことができる。
【0088】
<第5の実施の形態>
第5の実施の形態は、第4の実施の形態を発展させたものであり、多段ネスティング法にて設定した領域R1,R2,R3を更に分割し、分割した領域の計算を複数のCPUにて同時並行して行うようにしたものである。
【0089】
図7に示すように、第7の実施の形態では、16台のCPUCPU♯1〜♯16を採用している。そして、多段ネスティング法で設定し大領域R1を領域R1−1,R1−2,R1−3,R1−4に4分割し、中領域R2を領域R2−1,R2−2,R2−3,R2−4に4分割し、小領域R3を領域R3−1,R3−2,R3−3,R3−4に4分割している。
【0090】
第1グループのCPU♯1〜♯4は、領域R1における全演算期間(0〜12時間先)までの演算と、領域R2,R3における第1の分割期間(演算開始時点から3時間先まで)の演算を担当し、
第2グループのCPU♯5〜♯8は、領域R2,R3における第2の分割期間(演算開始時点から3時間先の時点から、演算開始から6時間先までの時点の期間)の演算を担当し、
第3グループのCPU♯9〜♯12は、領域R2,R3における第3の分割期間(演算開始時点から6時間先の時点から、演算開始から9時間先までの時点の期間)の演算を担当し、
第4グループのCPU♯13〜♯16は、領域R2,R3における第4の分割期間(演算開始時点から9時間先の時点から、演算開始から12時間先までの時点の期間)の演算を担当する。
勿論、領域R1の演算が終了した後は、領域R2,R3の第1〜第4の分割期間の演算は、第1グループ〜第4グループのCPUによって、同時並行して行われる。
【0091】
しかも、第1グループのCPU♯1〜♯4が、全演算期間(0〜12時間先)において、大領域R1の演算をするときには、領域R1−1の演算はCPU♯1が行い、領域R1−2の演算はCPU♯2が行い、領域R1−3の演算はCPU♯3が行い、領域R1−4の演算はCPU♯4が行う。このように、CPU♯1〜♯4が同時並行して演算を行うため、1台のCPUで演算を行う場合に比べて、演算時間が1/4となる。
【0092】
第1グループのCPU♯1〜♯4が、第1の分割演算期間において、中領域R2の演算をするときには、領域R2−1の演算はCPU♯1が行い、領域R2−2の演算はCPU♯2が行い、領域R2−3の演算はCPU♯3が行い、領域R2−4の演算はCPU♯4が行う。このように、CPU♯1〜♯4が同時並行して演算を行うため、1台のCPUで演算を行う場合に比べて、演算時間が1/4となる。
【0093】
第1グループのCPU♯1〜♯4が、第1の分割演算期間において、小領域R3の演算をするときには、領域R3−1の演算はCPU♯1が行い、領域R3−2の演算はCPU♯2が行い、領域R3−3の演算はCPU♯3が行い、領域R3−4の演算はCPU♯4が行う。このように、CPU♯1〜♯4が同時並行して演算を行うため、1台のCPUで演算を行う場合に比べて、演算時間が1/4となる。
【0094】
同様に、第2〜第4のグループのCPUも、第2〜第4の各分割期間において中領域R2,小領域R3を演算する際に、各領域を空間的に分割した領域を、4台のCPUにより同時並行して演算することより、演算時間が1/4になる。
【0095】
【発明の効果】
以上実施の形態と共に具体的に説明したように、本発明の気体状況予測方法では、地球の表面を南北方向に伸びると共に東西方向の相互の離間距離が規定距離となっている複数の仮想線と、地球の表面を東西方向に伸びると共に南北方向の相互の離間距離が規定距離となっている複数の仮想線とが交差する位置である親格子点位置における規定時間間隔毎の気象観測データから、
地球の表面を南北方向に伸びると共に東西方向の相互の離間距離が前記規定距離よりも短い一定距離となっている複数の仮想線と、地球の表面を東西方向に伸びると共に南北方向の相互の離間距離が前記規定距離よりも短い一定距離となっている複数の仮想線とが交差する位置である子格子点位置における、前記規定時間間隔よりも短い一定時間刻み毎の気象データを求めるため、
複数の演算装置を備えた並列計算機により大気現象を解析する偏微分方程式を演算する際に、地球の表面のなかで予め設定した特定領域内の親格子点位置の気象観測データから初期条件と境界条件とを求め、求めた初期条件と境界条件を前記偏微分方程式に取り込んで演算をすることにより、特定領域内の子格子点位置の気象データを求める気体状況予測方法であって、
演算開始から所定時間先までの演算期間を、複数の分割演算期間に分割し、各分割演算期間の演算を前記複数の演算装置に振り分けて同時並行して進めるようにした。
このため、演算時間は、演算期間の分割数に応じて、即ち分割数に反比例して減少させることができる。このため、並列計算機の演算装置の設置台数を多くすればするほど、演算時間の短縮ができる。
【0096】
また本発明の気体状況予測方法は、地球の表面を南北方向に伸びると共に東西方向の相互の離間距離が規定距離となっている複数の仮想線と、地球の表面を東西方向に伸びると共に南北方向の相互の離間距離が規定距離となっている複数の仮想線とが交差する位置である親格子点位置における規定時間間隔毎の気象観測データから、
地球の表面を南北方向に伸びると共に東西方向の相互の離間距離が前記規定距離よりも短い一定距離となっている複数の仮想線と、地球の表面を東西方向に伸びると共に南北方向の相互の離間距離が前記規定距離よりも短い一定距離となっている複数の仮想線とが交差する位置である子格子点位置における、前記規定時間間隔よりも短い一定時間刻み毎の気象データを求めるため、
複数の演算装置を備えた並列計算機により大気現象を解析する偏微分方程式を演算する際に、地球の表面のなかに、特定領域及びこの特定領域を内部に含むと共に特定領域よりも面積が段階的に広がっている複数の拡大領域を予め設定し、拡大領域内及び特定領域内の親格子点位置の気象観測データから各拡大領域及び特定領域における初期条件と境界条件とを求め、
求めた初期条件と境界条件を前記偏微分方程式に取り込んで演算をすることにより子格子点位置の気象データを求める演算を、最大面積の拡大領域から最小面積の拡大領域において順次実行した後に、特定領域において実行する気体状況予測方法であって、
演算開始から所定時間先までの演算期間を、複数の分割演算期間に分割し、各分割演算期間の演算を前記複数の演算装置に振り分けて同時並行して進めるようにした。
このように、いわゆる多段ネスティング法を採用しつつ、演算期間を分割し、分割演算期間を複数の演算装置により同時並行して演算するため、演算時間は、演算期間の分割数に応じて、即ち、分割数に反比例して減少させることができると共に、正確な演算ができる。このため、並列計算機の演算装置の設置台数を多くすればするほど、演算時間の短縮ができると共に演算精度が向上する。
【0097】
この場合、各分割演算期間の演算を前記複数の演算装置に振り分けて同時並行して進める際に、拡大領域及び特定領域を更に複数に分割し、分割した領域の演算を複数の演算装置により振り分けて同時並行して進めることもできる。このようにすることにより、更なる演算時間の短縮化が実現できる。
【0098】
また本発明の気体状況予測方法は、地球の表面を南北方向に伸びると共に東西方向の相互の離間距離が規定距離となっている複数の仮想線と、地球の表面を東西方向に伸びると共に南北方向の相互の離間距離が規定距離となっている複数の仮想線とが交差する位置である親格子点位置における規定時間間隔毎の気象観測データから、
地球の表面を南北方向に伸びると共に東西方向の相互の離間距離が前記規定距離よりも短い一定距離となっている複数の仮想線と、地球の表面を東西方向に伸びると共に南北方向の相互の離間距離が前記規定距離よりも短い一定距離となっている複数の仮想線とが交差する位置である子格子点位置における、前記規定時間間隔よりも短い一定時間刻み毎の気象データを求めるため、
複数の演算装置を備えた並列計算機により大気現象を解析する偏微分方程式を演算する際に、地球の表面のなかに、特定領域及びこの特定領域を内部に含むと共に特定領域よりも面積が段階的に広がっている複数の拡大領域を予め設定し、拡大領域内及び特定領域内の親格子点位置の気象観測データから各拡大領域及び特定領域における初期条件と境界条件とを求め、
求めた初期条件と境界条件を前記偏微分方程式に取り込んで演算をすることにより子格子点位置の気象データを求める演算を、最大面積の拡大領域から最小面積の拡大領域において順次実行した後に、特定領域において実行する気体状況予測方法であって、
最大面積の拡大領域の演算においては、演算開始から所定時間先までの演算期間を通して演算を進め、
最大面積より小さい面積の拡大領域及び特定領域の演算においては、演算開始から所定時間先までの演算期間を、複数の分割演算期間に分割し、各分割演算期間の演算を前記複数の演算装置に振り分けて同時並行して進めるようにした。
このため、分割演算期間の分割時点におけるデータが連続となり、正確に気象データの演算ができる。
【0099】
この場合、最大面積の拡大領域の演算において、演算開始から所定時間先までの演算期間を通して演算を進める際に、この拡大領域を更に複数に分割し、分割した領域の演算を複数の演算装置により振り分けて同時並行して進め、
また最大面積より小さい面積の拡大領域及び特定領域の演算において、各分割演算期間の演算を前記複数の演算装置に振り分けて同時並行して進める際に、最大面積より小さい面積の拡大領域及び特定領域を更に複数に分割し、分割した領域の演算を複数の演算装置により振り分けて同時並行して進めることもできる。
このようにすることにより、分割演算期間の分割時点におけるデータが連続となり、正確に気象データの演算ができ、更に、演算時間の短縮化が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を実現する並列計算機を示すシステム構成図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態における領域を示す説明図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態を実現する並列計算機を示すシステム構成図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態における演算手法を示す説明図である。
【図5】本発明の第4の実施の形態を実現する並列計算機を示すシステム構成図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態における演算手法を示す説明図である。
【図7】本発明の第5の実施の形態における演算手法を示す説明図である。
【図8】小領域における親格子点位置及び子格子点位置の配列状態を示す説明図である。
【図9】気象データの配信と演算との時間関係を示す説明図である。
【図10】従来の演算手法を実現す計算機を示すシステム構成図である。
【図11】大領域,中領域,小領域を示す説明図である。
【図12】大領域における親格子点位置及び子格子点位置の配列状態を示す説明図である。
【図13】中領域における親格子点位置及び子格子点位置の配列状態を示す説明図である。
【図14】多段ネスティング法において領域分割して演算する手法を示す説明図である。
【符号の説明】
11 並列計算機
R1,A1 大領域
R2,A2 中領域
R3,A3 小領域

Claims (5)

  1. 地球の表面を南北方向に伸びると共に東西方向の相互の離間距離が規定距離となっている複数の仮想線と、地球の表面を東西方向に伸びると共に南北方向の相互の離間距離が規定距離となっている複数の仮想線とが交差する位置である親格子点位置における規定時間間隔毎の気象観測データから、
    地球の表面を南北方向に伸びると共に東西方向の相互の離間距離が前記規定距離よりも短い一定距離となっている複数の仮想線と、地球の表面を東西方向に伸びると共に南北方向の相互の離間距離が前記規定距離よりも短い一定距離となっている複数の仮想線とが交差する位置である子格子点位置における、前記規定時間間隔よりも短い一定時間刻み毎の気象データを求めるため、
    複数の演算装置を備えた並列計算機により大気現象を解析する偏微分方程式を演算する際に、地球の表面のなかで予め設定した特定領域内の親格子点位置の気象観測データから初期条件と境界条件とを求め、求めた初期条件と境界条件を前記偏微分方程式に取り込んで演算をすることにより、特定領域内の子格子点位置の気象データを求める気体状況予測方法であって、
    演算開始から所定時間先までの演算期間を、複数の分割演算期間に分割し、各分割演算期間の演算を前記複数の演算装置に振り分けて同時並行して進めることを特徴とする気体状況予測方法。
  2. 地球の表面を南北方向に伸びると共に東西方向の相互の離間距離が規定距離となっている複数の仮想線と、地球の表面を東西方向に伸びると共に南北方向の相互の離間距離が規定距離となっている複数の仮想線とが交差する位置である親格子点位置における規定時間間隔毎の気象観測データから、
    地球の表面を南北方向に伸びると共に東西方向の相互の離間距離が前記規定距離よりも短い一定距離となっている複数の仮想線と、地球の表面を東西方向に伸びると共に南北方向の相互の離間距離が前記規定距離よりも短い一定距離となっている複数の仮想線とが交差する位置である子格子点位置における、前記規定時間間隔よりも短い一定時間刻み毎の気象データを求めるため、
    複数の演算装置を備えた並列計算機により大気現象を解析する偏微分方程式を演算する際に、地球の表面のなかに、特定領域及びこの特定領域を内部に含むと共に特定領域よりも面積が段階的に広がっている複数の拡大領域を予め設定し、拡大領域内及び特定領域内の親格子点位置の気象観測データから各拡大領域及び特定領域における初期条件と境界条件とを求め、
    求めた初期条件と境界条件を前記偏微分方程式に取り込んで演算をすることにより子格子点位置の気象データを求める演算を、最大面積の拡大領域から最小面積の拡大領域において順次実行した後に、特定領域において実行する気体状況予測方法であって、
    演算開始から所定時間先までの演算期間を、複数の分割演算期間に分割し、各分割演算期間の演算を前記複数の演算装置に振り分けて同時並行して進めることを特徴とする気体状況予測方法。
  3. 請求項2において、各分割演算期間の演算を前記複数の演算装置に振り分けて同時並行して進める際に、拡大領域及び特定領域を更に複数に分割し、分割した領域の演算を複数の演算装置により振り分けて同時並行して進めることを特徴とする気体状況予測方法。
  4. 地球の表面を南北方向に伸びると共に東西方向の相互の離間距離が規定距離となっている複数の仮想線と、地球の表面を東西方向に伸びると共に南北方向の相互の離間距離が規定距離となっている複数の仮想線とが交差する位置である親格子点位置における規定時間間隔毎の気象観測データから、
    地球の表面を南北方向に伸びると共に東西方向の相互の離間距離が前記規定距離よりも短い一定距離となっている複数の仮想線と、地球の表面を東西方向に伸びると共に南北方向の相互の離間距離が前記規定距離よりも短い一定距離となっている複数の仮想線とが交差する位置である子格子点位置における、前記規定時間間隔よりも短い一定時間刻み毎の気象データを求めるため、
    複数の演算装置を備えた並列計算機により大気現象を解析する偏微分方程式を演算する際に、地球の表面のなかに、特定領域及びこの特定領域を内部に含むと共に特定領域よりも面積が段階的に広がっている複数の拡大領域を予め設定し、拡大領域内及び特定領域内の親格子点位置の気象観測データから各拡大領域及び特定領域における初期条件と境界条件とを求め、
    求めた初期条件と境界条件を前記偏微分方程式に取り込んで演算をすることにより子格子点位置の気象データを求める演算を、最大面積の拡大領域から最小面積の拡大領域において順次実行した後に、特定領域において実行する気体状況予測方法であって、
    最大面積の拡大領域の演算においては、演算開始から所定時間先までの演算期間を通して演算を進め、
    最大面積より小さい面積の拡大領域及び特定領域の演算においては、演算開始から所定時間先までの演算期間を、複数の分割演算期間に分割し、各分割演算期間の演算を前記複数の演算装置に振り分けて同時並行して進めることを特徴とする気体状況予測方法。
  5. 請求項4において、最大面積の拡大領域の演算において、演算開始から所定時間先までの演算期間を通して演算を進める際に、この拡大領域を更に複数に分割し、分割した領域の演算を複数の演算装置により振り分けて同時並行して進め、
    また最大面積より小さい面積の拡大領域及び特定領域の演算において、各分割演算期間の演算を前記複数の演算装置に振り分けて同時並行して進める際に、最大面積より小さい面積の拡大領域及び特定領域を更に複数に分割し、分割した領域の演算を複数の演算装置により振り分けて同時並行して進めることを特徴とする気体状況予測方法。
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