JP3711339B2 - 擬似視界形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、航空機のパイロットの操縦負担を軽減するために、航空機周囲の擬似視界を形成する擬似視界形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
航空機、特に回転翼航空機のパイロットは、地平線および水平線の傾斜、景色の流れならびに地上物の見かけ上の大きさなど、目視による外視界情報に基づいて、自機の姿勢、速度および高度などの飛行諸元の維持および障害物の回避を図っている。そのため、霧発生時、降雨時および降雪時などの悪天候下では、外視界の視認性が低下するので、パイロットは、飛行諸元の維持が困難になるとともに、障害物の発見が遅れる。このように悪天候下では、操縦が困難になる。
【0003】
このような問題を解決するための先行技術として、レーザレーダまたはミリ波レーダなどの複数の外部環境認識センサを用いて擬似視界を形成する技術が、特許第3052286に示されている。この技術では、悪天候下において不足する視界情報を補うために、詳細なデータベースに基づく実視界に忠実なリアリティのある画像を表示している。
【0004】
また悪天候下に操縦が困難になるという上記問題を解決するための他の先行技術として、レーザレーダによって線状障害物を探知し、その線状障害物も含めて障害物を表示する技術が、特許第2983498に示されている。この技術では、図16に示すように、レーザレーダによって取得した情報を基に、所定間隔毎に設定される自機位置から一定の距離にある地上障害物の最上部をつないだ稜線とも言える複数の包絡線を、所定の間隔ごとに表す画像である擬似視界画像2aを、透過形の表示手段に表示している。
【0005】
さらに他の先行技術として、ワイヤフレーム式の表示をする技術がある。この技術は、バーチャルリアリティなどで用いられる技術であって、図17に示すように、障害物の起伏に沿う格子状の線、いわゆるワイヤフレームを表す画像である擬似視界画像3aを表示している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
特許第3052286の技術では、リアリティある画像を表示するがゆえに、以下のような問題を有する。第1に、詳細なデータベースは記録容量が大きく取扱いが困難である。第2に、悪天候下でも視程が0mになって完全に無くなるということはほとんどなく、ある程度の視程を有する場合のほうが多く、この場合、パイロットは目視で得られる現実の情報を優先させるものであるので、精密で複雑な擬似視界画像を表示すると、それを透過して現実の外視界(実視界)を目視するのに邪魔になる。
【0007】
第3に、詳細なデータベースであっても、現実の障害物と全く同一の障害物の画像を形成することは困難であるとともに、加えて、自機位置および自機姿勢などの計測に誤差があるので、擬似視界画像を実視界に重畳した場合に、擬似視界画像と実視界とにずれを生じ、パイロットの混乱を招くおそれがある。第4に、精密で複雑な擬似視界画像は、データ量が多く、表示するために必要とされる時間が長く、表示遅れが生じ、パイロットの困難を招くおそれがある。
【0008】
また特許第2983498の技術では、表示がシンプルであり、実視界の目視の邪魔になりにくい点で、視程が長く目視によって十分な外視界の情報が得られる場合に、補助的な表示としては好ましいが、悪天候下などの目視によって得られる実視界情報が少ない場合を考えると、以下のような問題を有する。第1に、表示内容だけでは、遠くにある大きな障害物と近くにある小さな障害物との差異が明確でなく、障害物との距離感を得るのが困難である。第2に、表示内容だけでは、速度感、高度感および姿勢感覚を得ることが困難である。
【0009】
第3に、自機の移動およびパイロットの頭部の姿勢に対する表示の追従について、考慮されていない。たとえば自機の移動に対して、包絡線を生成し直すと、包絡線を生成する位置の自機からの距離が一定に設定されているので、包絡線が経時的に変形して、いわばうねうねと踊るように変化するだけであり、障害物の把握がかえって困難である。
【0010】
ワイヤフレーム式の表示技術では、格子の流れおよび見かけ上の大きさによって、障害物の起伏だけでなく、ある程度の距離感および速度感を得ることができるが、パイロットに与えるための擬似視界を形成するにあたっては、以下のような問題を有する。第1に自機の機首方位およびパイロットの頭部の変化によって、格子が斜めになると、起伏を含む障害物の把握が困難になる。
【0011】
第2に、遠近感を与えるために、格子間隔が遠方および近傍の如何を問わず一定に設定されており、遠方では格子間隔が小さく、近傍では格子間隔が大きく表示されている。したがって障害物を詳細に表示しようとして格子を細かくすると、遠方の表示部が密になり過ぎて、実視界の視認性に影響を与えてしまう。逆に格子を粗くすると、近傍では格子が粗くなり過ぎて障害物の把握ができなくなる。これら鑑みて格子間隔を遠方と近傍とで異ならせると、遠近感が得られなくなる。
【0012】
このように先行技術では、実視界の視程が大きいときには、実視界の視認の妨げになることがなく、かつ実視界の視程が小さいときには、擬似視界だけで自機の飛行諸元および障害物の把握が容易な擬似視界を形成することができない。
【0013】
本発明の目的は、実視界の視認の妨げになることがなく、かつ擬似視界だけで自機の飛行諸元および障害物の把握が容易な擬似視界を形成することができる擬似視界形成装置を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の本発明は、自機周囲の地盤および人工物を含む障害物に関する障害物情報を取得するための障害物情報取得手段と、
自機位置および自機姿勢を含む自機に関する自機情報を取得するための自機情報取得手段と、
パイロットの頭部の姿勢を含むパイロットの頭部に関する頭部情報を取得するための頭部情報取得手段と、
実視界に重畳して画像を表示する透過形の表示手段と、
障害物情報、自機情報および頭部情報に基づいて、パイロットの頭部を中心とする複数の同心の仮想円筒面を、自機の移動速度におけるパイロットの頭部の前後方向成分−Vgrに応じて、パイロットの頭部に対する障害物の接近速度Vgrと時間ΔTの積で求まる半径変化量δDだけ、半径を変化させながら想定し、各仮想円筒面と障害物表面との交線から複数の障害物稜線を求め、これら各障害物稜線を含む擬似視界画像を生成し、その擬似視界画像を表示するように表示手段を制御する制御手段と含むことを特徴とする擬似視界形成装置である。
【0015】
本発明に従えば、パイロットの頭部を中心とする複数の同心の仮想円筒面を想定し、各仮想円筒面と障害物表面との交線から複数の障害物稜線を求め、これら各障害物稜線を含む擬似視界画像を生成し、その擬似視界画像を表示手段によって表示することができる。表示手段は、透過形の表示手段であり、擬似視界画像は、実際の外視界である実視界に重畳して表示することができ、パイロットは、実視界および形成される擬似視界の両方を目視することができる。擬似視界画像は、複数の障害物稜線を用いた簡素な画像であり、パイロットが実視界を目視するときに、実視界の目視の妨げになることがない。
【0016】
さらにこの擬似視界を形成する擬似視界画像の各障害物稜線は、パイロットの頭部からの距離が一定の仮想円筒面に基づいて求められるのではなく、自機の移動速度におけるパイロットの頭部の前後方向成分−Vgrに応じて、パイロットの頭部に対する障害物の接近速度Vgrと時間ΔTとの積で求まる半径変化量δDだけ、半径を変化させながら想定される各仮想円筒面に基づいて求められる。これによって、表示される障害物稜線は、自機がパイロットの頭部の前方へ移動しているときには、パイロットに近づくように表示され、自機がパイロットの頭部の後方へ移動しているときには、パイロットから遠ざかるように表示され、自機がパイロットの頭部の前後方向へ移動していないときには、近づきも遠ざかりもしないように表示される。しかも各障害物稜線は、自機の移動に対して、形状が煩雑に経時的変化することがない。
【0017】
したがって自機がパイロットの頭部の前方へ移動しているときには、パイロットには、擬似視界が後方へ流れるように認識され、自機がパイロットの頭部の後方へ移動しているときには、パイロットには、擬似視界が前方へ流れるように認識され、自機がパイロットの頭部の前後方向と交差する左右方向へ移動しているときには、パイロットには、擬似視界が左右方向へ流れるように認識される。このように自機の移動に応じて、実視界と同様の流れ方をするように、パイロットに認識される擬似視界を簡素な画像を表示して形成することができ、この擬似視界だけで、障害物を容易に認識することができるうえ、自機の姿勢、速度および高度などの飛行諸元を、実視界からと同様に、容易に把握することができる。
【0018】
請求項2記載の本発明は、制御手段は、各仮想円筒面の半径方向間隔を、自機の高度および飛行速度の少なくともいずれか一方に応じて設定することを特徴とする。
【0019】
本発明に従えば、各仮想円筒面の半径方向間隔が、自機の高度および飛行速度の少なくともいずれか一方に応じて設定される。これによって飛行状態に応じた必要最小限の擬似視界画像にすることができる。たとえば、低高度飛行時および低速飛行時などの詳細な障害物情報が求められるときには、各仮想円筒面の半径方向間隔を小さくして、外視界の視程に拘わらず、擬似視界による障害物把握の確実性を高くし、高高度飛行時および高速飛行時などの概略の障害物情報があれば十分なときには、各仮想円筒面の半径方向間隔を大きくし、処理すべきデータ量を少なくして表示速度を向上させるとともに、実視界の目視をより容易にすることができる。このように利便性を高くすることができる。
【0020】
請求項3記載の本発明は、制御手段は、自機の高度が予め定める設定高度未満であるとき、生成される擬似視界画像を表示し、自機の高度が設定高度以上であるとき、2次元地図を表示するように、表示手段を制御することを特徴とする。
【0021】
本発明に従えば、自機が設定高度未満にあり、詳細な障害物情報が求められるときには、生成される擬似視界画像を表示して擬似視界を形成し、外視界の視程に拘わらず、擬似視界によって障害物の把握を可能にすることができる。逆に自機が設定高度以上にあり、擬似視界による障害物情報が不要なときには、2次元地図を表示して、自機の位置の把握を容易にすることができる。このように利便性を高くすることができる。
【0022】
請求項4記載の本発明は、制御手段は、各仮想円筒面の半径に基づいて、各障害物稜線までの距離を、数値表示、コントラスト表示、3次元表示、カラー表示および線の太さ変化表示の少なくともいずれか1つを利用して表す擬似視界画像を生成することを特徴とする。
【0023】
本発明に従えば、各障害物稜線までの距離が、数値表示、コントラスト表示、3次元表示、カラー表示および線の太さ変化表示の少なくともいずれか1つを利用して表されているので、パイロットは、擬似視界の遠近を容易に把握することができる。
【0024】
請求項5記載の本発明は、制御手段は、一仮想円筒面に関して、この一仮想円筒面に隣接する2つの仮想円筒面間の障害物表面における最も高い位置を結ぶ線を障害物稜線として求めることを特徴とする。
【0025】
本発明に従えば、障害物稜線は、隣接する仮想円筒面との間に、障害物表面との交線よりも高い障害物表面の領域が存在する場合には、その領域を内包するように、障害物稜線を表示することができる。したがって間隔をあけた仮想円筒面に基づく障害物稜線による擬似視界であっても、この擬似視界の障害物を回避することで、実際の障害物を確実に回避することができ、さらに高い安全性を確保することができる。
【0026】
請求項6記載の本発明は、制御手段は、自機の進路に沿う所定の幅について、相互の間隔が残余の領域に比べて小さい仮想円筒面を想定することを特徴とする。
【0027】
本発明に従えば、自機の進路に沿う所定の幅の領域について、相互の間隔が残余の領域に比べて小さい仮想円筒面を想定する。これによって少なくともこの進路に沿う領域では、仮想円筒面と障害物表面との交線をそのまま障害物稜線としても、進路に沿う障害物に関しては、実際の障害物と同様の障害物を擬似視界に形成することができる。したがって計算量を少なくして、進路に沿う領域に関して高精度な擬似視界形成することができる。このようにして、擬似視界の障害物を回避するが、実際の障害物を確実に回避することができ、さらに高い安全性を確保することができる。
【0028】
請求項7記載の本発明は、制御手段は、障害物表面上に、所定寸法を有する複数の仮想シンボルを一定の密度で固定的に想定し、その仮想シンボルを各障害物稜線に加えた擬似視界画像を生成することを特徴とする。
【0029】
本発明に従えば、固定的に設けられる所定寸法を有する複数の仮想シンボルが存在する擬似視界を形成することができる。このような仮想シンボルを設けることによって、この仮想シンボルの見かけ上の向きから、自機の姿勢を容易に把握することができるとともに、見かけ上の大きさから、自機の障害物に対する位置、たとえば接近度を容易に把握することができる。このように飛行諸元の把握をさらに容易にすることができる。特に、複数の仮想シンボルを設ける場合には、見かけ上の密度から遠近を容易に把握することができる。
【0030】
請求項8記載の本発明は、自機周囲の地盤および人工物を含む障害物に関する障害物情報を取得するための障害物情報取得手段と、
自機位置および自機姿勢を含む自機に関する自機情報を取得するための自機情報取得手段と、
パイロットの頭部の姿勢を含むパイロットの頭部に関する頭部情報を取得するための頭部情報取得手段と、
実視界に重畳して画像を表示する透過形の表示手段と、
障害物情報、自機情報および頭部情報に基づいて、障害物表面上に、所定寸法を有する複数の仮想シンボルを一定の密度で固定的に想定し、その仮想シンボルを含む擬似視界画像を生成し、その擬似視界画像を表示するように表示手段を制御する制御手段と含み、制御手段は、仮想シンボルを、自機からの距離が予め定める設定距離以上の位置に想定することを特徴とする擬似視界形成装置である。
【0031】
本発明に従えば、障害物表面上に、所定寸法を有する複数の仮想シンボルを一定の密度で固定的に想定し、その仮想シンボルを含む擬似視界画像を生成し、その擬似視界画像を表示手段によって表示することができる。表示手段は、透過形の表示手段であり、擬似視界画像は、実際の外視界である実視界に重畳して表示することができ、パイロットは、実視界および形成される擬似視界の両方を目視することができる。擬似視界画像は、仮想シンボルを用いた簡素な画像であり、パイロットが実視界を目視するときに、実視界の目視の妨げになることがない。
【0032】
さらに擬似視界に、仮想シンボルを設けることによって、この仮想シンボルの見かけ上の向きから、自機の姿勢を容易に把握することができるとともに、見かけ上の大きさから、自機の障害物に対する位置、たとえば接近度を容易に把握することができる。このように仮想シンボルを設けた擬似視界だけで、障害物を容易に認識することができるうえ、自機の姿勢、速度および高度などの飛行諸元を、実視界からと同様に、容易に把握することができる。特に、複数の仮想シンボルを設ける場合には、見かけ上の密度から遠近を容易に把握することができる。仮想シンボルは、擬似視界における自機からの距離が予め定める設定距離以上の位置に設けられる。逆に言えば、擬似視界における自機近傍では、仮想シンボルを消去されるので、近傍の実視界の目視の妨げにならないようにすることができる。
【0033】
請求項9記載の本発明は、仮想シンボルは、鉛直に延びる線状の仮想シンボルであることを特徴とする。
【0034】
本発明に従えば、仮想シンボルが鉛直に延びる線状の仮想シンボルであるので、鉛直の基準になり、自機の姿勢をさらに容易にかつ確実に把握することができる。
【0035】
請求項10記載の本発明は、仮想シンボルは、立体形状の仮想シンボルであることを特徴とする。
【0036】
本発明に従えば、仮想シンボルが立体形状の仮想シンボルであるので、仮想シンボルの見かけ上の大きさの変化から、鉛直方向の速度、すなわち昇降速度を容易に把握することができる。
【0037】
請求項11記載の本発明は、複数の仮想シンボルを等間隔に想定することを特徴とする。
【0038】
本発明に従えば、擬似視界に複数の仮想シンボルが等間隔に設けられるので、障害物の遠近の把握がさらに容易になる。
【0041】
請求項12記載の本発明は、設定距離は、視程に応じて設定されることを特徴とする。
【0042】
本発明に従えば、仮想シンボルを設ける位置が、実視界の視程に応じて設定されるので、実視界の視程が大きいときには、実視界の目視の妨げになることを防止し、実視界の視程が小さいときには、擬似視界による飛行諸元の把握を容易にすることができる。このように実視界の視程に応じて、擬似視界によってパイロットに与える情報量を変化させることによって、利便性を向上することができる。
【0043】
請求項13記載の本発明は、複数種類の仮想シンボルを、想定することを特徴とする。
【0044】
本発明に従えば、擬似視界に、複数種類の仮想シンボルが、設けられるので、障害物上の位置の把握を容易にすることができる。つまり同一種類の仮想シンボルが並ぶ場合のように、異なる仮想シンボルを同一の仮想シンボルであると勘違いして把握する不具合を無くすことができる。
【0045】
請求項14記載の本発明は、制御手段は、パイロットによって入力される位置に、仮想シンボルを追加した擬似視界画像を生成することを特徴とする。
【0046】
本発明に従えば、パイロットが任意に設定する位置に、仮想シンボルを追加して設けることができる。これによって利便性を向上することができる。たとえば、自機近傍に1または複数の仮想シンボルを追加して設けることによって、回転翼航空機におけるホバリング時の自機位置の把握を確実かつ容易にすることができ、たとえば風などによって自機が流されていることを迅速に把握することができる。
【0047】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の一形態の擬似視界形成装置10の概略構成を示すブロック図である。擬似視界形成装置10は、回転翼航空機および固定翼航空機を含む航空機、特に低高度の空域を飛行する小型の航空機に搭載され、その航空機のパイロットの操縦負担を軽減するために、パイロットに対して、航空機周囲の擬似視界を形成する装置である。この擬似視界形成装置10は、障害物情報取得手段11、自機情報取得手段12と、頭部情報取得手段13と、各種情報取得手段14と、表示手段15と、制御手段16とを含んで構成される。
【0048】
障害物情報取得手段11は、自機周囲の障害物、すなわち飛行の障害となる障害物に関する障害物情報を取得するための手段である。本発明において、障害物は、地球の地盤、樹木などの自然生成物および建築物などの人工物を含み、地盤は、海洋、湖沼および河川などを含む。この障害物情報取得手段11は、障害物データベースメモリ20と、障害物センサ21とを備える。
【0049】
障害物データベースメモリ20は、広域地形メモリ部22と、局地地形メモリ部23と、造形物メモリ部24と、文字情報メモリ部25とを有する。広域地形メモリ部22には、広域地形を、所定の間隔毎の複数の位置における緯度、経度および高度で表す3次元デジタル地図である広域地形情報が蓄積されている。局地地形メモリ部22には、広域地形よりも狭い地域地形、すなわち局地地形を、広域地形情報よりも小さい間隔毎の複数の位置における緯度、経度および高度で表す局地地形情報が蓄積されている。このように各地形メモリ部22,23には、海洋などの水面を含む地表面の形状である地形の情報が蓄積されている。
【0050】
造形物メモリ部24には、造形物である自然生成物および人工物を、局地地形情報と同程度以下の間隔毎の位置における緯度、経度および高度で表す造形物情報が蓄積されている。文字情報メモリ部25には、地名、造形物の名称など、障害物に関する文字情報が蓄積されている。このように障害物データベースメモリ20には、地球の地盤の情報としての地形情報、自然生成物および人工物の情報として造形物情報およびこれらを文字で表す文字情報が、障害物に関する情報として蓄積されている。
【0051】
障害物センサ21は、飛行しながら周囲の障害物を検出する手段であって、障害物の位置、形状および寸法などを検出する。この障害物センサ21は、たとえば機体に設けられるレーザレーダまたはミリ波レーダなどのレーダによって実現される。この障害物センサ21によって検出される障害物の情報は、擬似視界画像生成のために制御手段16に与えられるだけでなく、障害物データベースメモリ20にも与えられ、障害物に関する情報の変更、追加蓄積などのデータベース構築にも利用される。
【0052】
自機情報取得手段12は、自機位置および自機姿勢を含む姿勢、位置およびその他の飛行諸元などの自機に関する自機情報を取得するための手段である。自機位置は、緯度、経度および高度で表され、この自機位置は、たとえば機体に設けられ、グローバルポジショニングシステム(GPS)などを利用する検出センサによって検出することができる。特にディファレンシャルGPS(DGPS)およびリアルタイムキネマティックGPS(RTK−GPS)を利用することによって、数センチ程度の高精度で検出することができる。
【0053】
自機姿勢は、機首の方位を含む。この自機姿勢は、たとえば機体に設けられるジャイロスコープなどによって検出することができる。またその他の飛行諸元は、各種計器によって計測される。たとえば速度計および高度計などの飛行計器によって、対気速度ならびに飛行高度などを計測し、ホリゾンタルシチュエーションインジケータ(HSI)、ラジオマグネティックインジケータ(RMI)およびアティチュードディレクターインジケータ(ADI)などの集合計器とも呼ばれる航法計器によって、方位や航路情報などを取得する。
【0054】
頭部情報検出手段13は、パイロットの頭部28の姿勢を含む頭部28に関する頭部情報を取得する手段である。この頭部情報検出手段13は、パイロットが頭部28に装着するヘルメット29に設けられるジャイロスコープならびに磁気および超音波などを利用したヘッドトラッカによって実現することができる。
【0055】
各種情報取得手段14は、上述の情報の他の情報を取得するための手段である。たとえばデータリンクなどの通信手段によって得られる他機情報、気象情報および航空管制情報などを取得する。
【0056】
表示手段15は、実視界、すなわち機体の外視界を含む実際の視界に重畳して画像を表示する透過形の手段である。この表示手段15は、パイロットが頭部28に装着するヘルメット29に設けられる透過形の液晶表示パネルを備えるヘッドマウントディスプレイ(HMD)などによって実現される。パイロットは、この表示手段15に表示される画像を目視することもきるし、またこの表示手段を透過して実視界を目視することもできる。
【0057】
制御手段16は、表示手段15を制御して所定の画像を表示手段15に表示される表示処理をする手段であって、たとえばマイクロコンピュータによって実現される。この制御手段16には、障害物検出センサ21、自機情報取得手段12、頭部情報検出手段13および各種情報取得手段14から検出した情報が与えられ、また制御手段16は、障害物データベースメモリ20から障害物情報を読み出すことができる。
【0058】
図2は、障害物稜線の一例を示す斜視図である。制御手段16は、得られる障害物情報、自機情報、頭部情報およびその他の情報に基づいて、パイロットの頭部28を中心とする複数の同心の仮想円筒面Qa,Qb,Qc(不特定の仮想円筒面を指す場合には符号「Q」を付す)を想定し、各仮想円筒面Qa〜Qcと、障害物表面Q0との交線から仮想円筒面の数と同数である複数の障害物稜線Sa,Sb,Sc(不特定の障害物稜線を指す場合には符号「S」を付す)を求める。そして制御手段16は、各障害物稜線Sa〜Scを含む擬似視界画像を生成し、その擬似視界画像を、実視界での障害物と重畳して表示するように表示手段15を制御する。このようして擬似視界が形成される。
【0059】
各仮想円筒面Qa〜Qcは、頭部28の中心C28を通る鉛直な軸線をそれぞれ有し、この軸線からの距離である半径Ra,Rb,Rc(不特定の仮想円筒面の半径を指す場合には符号「R」を付す)は、相互に異なり、隣接する仮想円筒面の半径は差dRを有し、したがって各仮想円筒面Qa〜Qcは、半径方向に等間隔dRをあけている。以下、パイロットの視点でもある頭部の中心C28を視点という場合がある。
【0060】
頭部28の中心C28は、自機情報取得手段12によって検出される自機位置に基づいて、航空機内のパイロットの着座位置から求められる。このとき頭部28の航空機内での位置を検出すれば、頭部28の中心C28を高精度に求めることができる。
【0061】
障害物表面Q0は、障害物である山の地表面など障害物の表面であり、各障害物稜線Sa〜Scは、たとえば障害物表面Q0と各仮想円筒面Qa〜Qcとの交線を、そのまま採用してもよいが、安全性を高くするために、後述するように、障害物を包絡する障害物稜線Sa〜Scを求めてもよい。図2では、理解を容易にするために、周方向に関して各障害物稜線Sa〜Scの一部だけを示す。
【0062】
図3は、パイロットの頭部28の姿勢の一例を示す斜視図である。図4は、パイロットの頭部28の前方からの障害物の移動速度を示す平面である。図5は、本発明に従う仮想円筒面の理解を助けるための斜視図である。図6は、1つの仮想円筒面の経時変化を示す平面図である。図7は、各仮想円筒面の想定のしかたを説明するための図である。半径Ra〜Rcを一定に固定すると、各地形稜線Sa〜Scまでの距離が一定であるので、従来の技術の項でも述べたように問題を有する。
【0063】
つまり、1つの仮想円筒面を例に挙げて説明すると、図5に示すように、自機が移動して、時刻がT1,T2,T3と経過するにつれて、頭部28の中心C28がP1,P2,P3と位置を変えると、仮想円筒面もQ1,Q2,Q3と位置を変え、障害物稜線がS1,S2,S3と大きく変化する。これによって擬似視界における障害物に対する接近度合を把握しにくく、また地形稜線Sa〜Scが経時的に形状を変化させるので、うねうねと踊るように波打って見え、不自然に見えてしまう。
【0064】
そこで本発明では、制御手段16は、水平面上での自機の移動速度Vにおけるパイロットの頭部28の前後方向成分−Vgrに応じて半径Ra〜Rcを変化させながら、各仮想円筒面Qa〜Qcを想定する。つまり各仮想円筒面Qa〜Qcの半径Ra〜Rcを、頭部28の前後方向(以下「視線方向」という場合がある)Gに関する水平面上での障害物の頭部28に向かう移動速度(以下「接近速度」という)Vgrに応じて変化させる。移動速度Vは、対地速度であって、随時検出される自機位置の変化から算出されてもよいし、速度計などの別途センサを用いて検出、計測してもよい。
【0065】
各仮想円筒面Qa〜Qcの半径Ra〜Rcを変化させるにあたっては、水平面上における自機の移動方向をX軸とし、鉛直方向をZ軸とし、X軸およびZ軸に垂直なY軸とする機体座標系を設定する。自機が水平方向へ移動していないとき、すなわち水平方向の自機の移動速度Vが0である場合には、機首方位をX軸とする。X軸は、移動方向および機種方位を正とし、Y軸は、移動方向または機首方位の左方を正とし、Z軸は、上方を正とする。
【0066】
このような機体座標系において、まず、自機の移動速度V0を水平面であるXY平面に投影した自機の移動速度Vと、移動方向に対する視線方向Gの成す角度(以下「視線角度」という)ψとから、接近速度Vgrを求める。視点C28から見た障害物上の一点の水平面上のおける相対速度である接近速度Vgrは、図4に示すように、次式(1)で表すことができる。
Vgr=−Vcosψ …(1)
視線角度ψは、鉛直上方から見たとき、移動方向に対して時計回りを正とし、0度以上360度未満の角度範囲で表される。
【0067】
したがって移動速度Vが0の場合は、接近速度Vgrも0であり、障害物は、パイロットに対して水平方向に変位しない。移動速度が0でない場合(V>0)において、視線角度ψが0度以上90度未満および270度を超え360度未満の範囲にあるとき(0≦ψ<90および270<ψ<360)、Vgrは正(Vgr>0)であり、障害物は、視線方向からパイロットに近づいてくる。
【0068】
移動速度が0でない場合(V>0)において、視線角度ψが90度または270度であるとき(ψ=90またはψ=270)、Vgrは0(Vgr=0)であり、障害物は、視線方向に関してパイロットに近づきも遠ざかりもしないで距離を保ったまま、左右のいずれかに移動する。移動速度が0でない場合(V>0)において、視線角度ψが90度を超え270度未満の範囲にあるとき(90<ψ<270)、Vgrは正(Vgr>0)であり、障害物は、視線方向へパイロットから遠ざかっていく。
【0069】
このことは、たとえば自動車などの移動体に搭乗している場合に、移動体の移動方向を向いているとき(0≦ψ<90および270<ψ<360)、景色が近づいてくるように見え、移動方向と垂直方向(横)を向いているとき(ψ=90またはψ=270)、景色は距離を保って横に流れ、移動体の移動方向と逆方向を向いているとき(90<ψ<270)、景色が遠ざかっていくように見えることと同意である。したがって各仮想円筒面Rを、接近速度Vgrに応じて変化させることによって、各地形稜線Sの形状の経時変化を抑え、視点に対する各地形稜線Sa〜Scまでの距離および相対速度を、画像によって視覚的に表現することができる。
【0070】
具体的には、最も内側にある仮想円筒面Qinの半径Rinを、ΔT秒前の最も内側にある仮想円筒面Qinの半径Rin0に基づいて、次式(2)を用いて求める。
Rin=Rin0+(Vgr×ΔT) …(2)
【0071】
このように接近速度Vgrと時間ΔTの積に等しい半径変化量δDだけ半径を変化させる。そして他の仮想円筒面の半径を、この最も内側の仮想円筒面Qinの半径Rinに基づいて、予め設定している間隔dRの1倍または整数倍をそれぞれ加算して求める。図2において最も内側の仮想円筒面Qinは、仮想円筒面Qaである。
【0072】
つまり図7に示すように、ある時点の仮想円筒面を基準として、遠ざかる場合すなわち接近速度Vgrが負である場合には、各仮想円筒面Rの各半径を大きくするように変化させる。逆に、ある時点の仮想円筒面を基準として、近づく場合すなわち接近速度Vgrが正である場合には、各仮想円筒面Rの各半径を小さくするように変化させる。このようにして、簡単な計算によって、仮想円筒面を接近速度Vgrに応じて変化させることができる。
【0073】
このように各半径Rを変化させながら、各仮想円筒面Qを想定し、最も内側の仮想円筒面Qinの半径Rinが、予め定める最小閾値Rmin以下になると、その最も内側の仮想円筒面Qinを消去して、その時点で最も外側にある仮想円筒面のさらに外側に、間隔dRをあけて新たな仮想円筒面を想定する。逆に、最も内側の仮想円筒面Qinの半径Rinが、最小閾値Rminより大きい予め定める最大閾値Rmax以上になると、その最も外側の仮想円筒面を消去して、その時点で最も内側にある仮想円筒面Qinのさらに内側に、間隔dRをあけて新たな仮想円筒面を想定して最も内側の仮想円筒面Qinとする。このようにして接近速度Vgrに応じて仮想円筒面を移動させながら想定することができる。
【0074】
たとえば自機が移動速度Vで移動し、視線方向Gが移動速度と一致している場合(Vgr=−V)において、1つの仮想円筒面を例に挙げて、図5と対比しながら図6を参照して、さらに具体的に述べると、時刻T1において視点C28の位置P1にあるときに、半径R1の仮想円筒面Q1が想定されているとする。自機の移動に応じてΔT秒後の時刻T2に視点C28が位置P2まで変位したとする。このとき、仮想円筒面Qと同一半径の仮想円筒面Q2ではなく、半径R2(=R1+(−V×ΔT)の仮想円筒面Q2αが想定される。さらに自機の移動に応じてΔT秒後の時刻T3に視点C28が位置P3まで変位したとする。このとき、仮想円筒面Qと同一半径の仮想円筒面Q3ではなく、半径R3(=R2+(−V×ΔT)の仮想円筒面Q3αが想定される。
【0075】
表示手段15で表示される擬似視界画像では、半径の変化に伴い視野の端部における多少の変化はあるものの、時刻の変化に拘わらずほぼ同一の地形稜線S1が位置を変えて表示される。
【0076】
このように想定される各仮想円筒面Qに基づいて、擬似視界画像を生成して表示すれば、パイロットは、実視界および形成される擬似視界の両方を目視することができ、その擬似視界が、複数の障害物稜線を用いた簡素な画像でありってパイロットが実視界を目視するときに、実視界の目視の妨げになることがないだけでなく、パイロットがどの方向を見ていても、自機の移動に伴い、実視界と同様に自然に流れる擬似視界を形成することができる。
【0077】
つまり表示される各障害物稜線Sは、自機がパイロットの頭部28の前方へ移動しているときには、パイロットに近づくように表示され、自機が頭部28の後方へ移動しているときには、パイロットから遠ざかるように表示され、自機が頭部28の前後方向へ移動していないときには、近づきも遠ざかりもしないように表示される。また自機が頭部28の前後方向へ移動していないときに、前後方向と垂直な方向へ変位しているときには、各障害物稜線は、左右に移動するように表示される。しかも各障害物稜線Sは、自機の移動に対して、形状が煩雑に経時的変化することがない。
【0078】
したがって自機が頭部28の前方へ移動しているときには、パイロットには、擬似視界が後方へ流れるように認識され、自機が頭部28の後方へ移動しているときには、パイロットには、擬似視界が前方へ流れるように認識され、自機が頭部28の前後方向と交差する左右方向へ移動しているときには、パイロットには、擬似視界が左右方向へ流れるように認識される。このように自機の移動に応じて、実視界に近い流れ方をするように、パイロットに認識される擬似視界を形成することができ、この擬似視界だけで、障害物を容易に認識することができるうえ、自機の姿勢、速度および高度などの飛行諸元を、実視界からと同様に、容易に把握することができる。
【0079】
また制御手段16は、各仮想円筒面Qの半径方向間隔dRを、自機の高度および飛行速度の少なくともいずれか一方に応じて設定するようにしてもよい。このような各仮想円筒面Qの半径方向間隔dRの変更は、無段階的あってもよいし、連続的であってもよい。
【0080】
これによって飛行状態に応じた必要最小限の擬似視界画像にすることができる。たとえば、飛行時および低速飛行時などの詳細な障害物情報が求められるときには、各仮想円筒面Qの半径方向間隔dRを小さくして、実視界の視程に拘わらず、擬似視界による障害物把握の確実性を高くし、高高度飛行時および高速飛行時などの概略の障害物情報があれば十分なときには、各仮想円筒面の半径方向間隔を大きくして、処理すべきデータ量の減少化に伴う表示速度のさらなる向上を図ることができるとともに、実視界の目視をより容易にすることができる。このように利便性を高くすることができる。
【0081】
また制御手段16は、自機の高度が予め定める設定高度未満であるとき、生成される擬似視界画像を表示し、自機の高度が設定高度以上であるとき、2次元地図を表示するように、表示手段15を制御するようにしてもよい。この表示切替をする設定高度は、たとえば予定される飛行経路の最低安全高度であってもよく、この最低安全高度は、飛行経路付近における最も高い障害物に所定のマージンを加えた高度であってもよい。
【0082】
これによって自機が設定高度未満にあり、詳細な障害物情報が求められるときには、生成される擬似視界画像を表示して擬似視界を形成し、外視界の視程に拘わらず、擬似視界によって障害物の把握を可能にすることができる。逆に自機が設定高度以上にあり、擬似視界による障害物情報が不要なときには、2次元地図を表示して、自機の位置の把握を容易にすることができる。このように利便性を高くすることができる。
【0083】
また制御手段16は、各仮想円筒面Qの半径に基づいて、各障害物稜線Sa〜Scまでの距離を、数値表示、コントラスト表示、3次元表示およびカラー表示の少なくともいずれか1つを利用して表す擬似視界画像を生成するようにしてもよい。たとえば各障害物稜線Sを半径Rが小さい近い稜線ほど、線を太くしたり、濃淡および色相で差別化をしたり、双眼でステレオ表示して3次元映像化したり、稜線の横に距離を数字で表示したりしてもよい。これによって各障害物稜線Sa〜Scまでの距離が、数値表示、コントラスト表示、3次元表示、カラー表示および線の太さの変化表示の少なくともいずれか1つを利用して表されているので、パイロットは、擬似視界の遠近を容易に把握することができる。
【0084】
またこのような障害物稜線Sによる画像は、シンプルであり、ヘッドアップディスプレイなどに表示される計器表示を、この表示手段15に重ねて表示するようにしてもよい。
【0085】
また制御手段16は、図8に示すように、一仮想円筒面に関して、半径方向の断面において、この一仮想円筒面に隣接する2つの仮想円筒面間の障害物表面における最も高い位置を結ぶ線を障害物稜線として求めるようにしてもよい。図8では、各仮想円筒面を符号「Q」で示し、各障害物稜線を符号「S」で示す。
【0086】
仮想円筒面Qと障害物表面Q0との交線から障害物稜線Sを求めるにあたって、交線をそのまま障害物稜線とすると、各仮想円筒面が間隔をあけて想定される以上、山頂および塔をはじめとする人工物が必ずしも前記交線よりも下に存在するとは限らず、実際の障害物が擬似視界における障害物よりも上方に存在するおそれもあるので、上述のように隣接する仮想円筒面との間にある最も高い位置をその稜線の高さとし、擬似視界の障害物が実施の障害物を包絡するようにする。これによって間隔をあけた仮想円筒面Qに基づく障害物稜線Sによる擬似視界であっても、この擬似視界の障害物を回避すれば、実際の障害物を確実に回避することができ、さらに高い安全性を確保することができる。
【0087】
また制御手段16は、自機の進行方向に直線的に設定する進路、または予め設定されている進路上の限られた幅における仮想円筒面間隔dRを狭くして、仮想円筒面を想定するようにしてもよい。これによって、少なくとも進路に沿う仮想円筒面Qと障害物表面Q0との交線をそのまま障害物稜線Sとする簡単計算で、進路に沿う障害物に関しては、実際の障害物と同様の障害物を擬似視界を形成することができる。このような擬似視界であっても、この擬似視界の障害物を回避すれば、実際の障害物を確実に回避することができ、さらに高い安全性を確保することができる。
【0088】
図9は、仮想シンボル50を示す斜視図である。図10は、仮想シンボル50を表示する画像51を示す図である。図11は、仮想シンボル50と障害物稜線Sを併せて表示する画像52を示す図である。図11では、各障害物稜線は、符号「S」で示す。上述したような各障害物稜線Sだけの表示による擬似視界では、障害物の形状および速度感を、従来の技術に比べて、格段に容易に得られるが、障害物の遠近、速度感、姿勢感覚を明確に得ることが困難である。そこで制御手段16は、障害物表面上に、所定寸法を有する複数の仮想シンボル50を一定の密度で固定的に想定し、その仮想シンボル50を各障害物稜線Sに加えた擬似視界画像52を生成して、表示手段16に表示させるようにしてもよい。
【0089】
仮想シンボル50は、たとえば鉛直に延びる線状の仮想シンボルであってもよい。この線状の仮想シンボル50は、太さを有していないが、一定の長さ寸法を有しており、たとえば樹木を仮想して10m程度に想定されて表示される。また複数の仮想シンボル50が設けられる。この場合、図9に示すように、たとえば100m程度毎に等間隔に配置される。図9では格子状に配置されるが、他のたとえば千鳥状に配置されてもよいし、また一定の密度であればランダムに配置されてもよい。
【0090】
このように仮想シンボル50を設けることによって、パイロットは、仮想シンボルの見かけ上の配置間隔である粗密さおよび見かけ上の大きさなどから、障害物に対する自機の位置、すなわち障害物の遠近である接近度を把握して、距離感を得ることができる。また仮想シンボル50の流れによって速度感が強調される。また仮想シンボル50の見かけ上の向きから、自機の姿勢を容易に把握して、平衡感覚を得ることができる。このようにして、障害物の遠近、速度感、姿勢感覚などを明確に得ることが、飛行諸元の把握をさらに容易にすることができる。このような仮想シンボル50は、雪原などの変化の少ない実視界において、上記飛行諸元の把握を容易にするのに好適である。
【0091】
図11に示すように、各障害物稜線Sと仮想シンボル50を併せて表示してもよいが、もちろん図10に示すように、仮想シンボル50だけによる擬似視界画像51を表示することも本発明の範囲内にある。このように仮想シンボル50だけの擬似視界であっても、この仮想シンボル50の見かけ上の向きから、自機の姿勢を容易に把握することができるとともに、見かけ上の大きさから、自機の障害物に対する位置、たとえば接近度を容易に把握することができる。このように仮想シンボルを設けた擬似視界だけで、障害物を容易に認識することができるうえ、自機の姿勢、速度および高度などの飛行諸元を、実視界からと同様に、容易に把握することができる。また仮想シンボル50を用いた擬似視界画像は、簡素な画像であり、パイロットが実視界を目視するときに、実視界の目視の妨げになることがない。
【0092】
また仮想シンボル50を鉛直に延びる線状の仮想シンボルにすれば、この仮想50が鉛直の基準になり、自機の姿勢をさらに容易にかつ確実に把握することができる。さらに擬似視界に複数の仮想シンボル50が等間隔に設けられるので、障害物の遠近の把握がさらに容易になる。また太さを有しない有限の線状仮想シンボル50では、遠方では点に近くなり、実視界重畳しても、実視界の目視の妨げにならない。
【0093】
図12は、他の仮想シンボル55を表示する画像56を示す図である。図13は、仮想シンボル55と障害物稜線Sを併せて表示する画像57を示す図である。図13では、各障害物稜線は、符号「S」で示す。仮想シンボルは、線状の仮想シンボル50に限定されることはなく、ドーム状、球状、多面体状の立体形状の仮想シンボル55であってもよい。この立体形状の仮想シンボル55を、線状の仮想シンボル50に代えて表示するようにしてもよい。
【0094】
このように立体形状の仮想シンボル55もまた、仮想シンボルとしての効果を同様に達成するさらに立体形状である仮想シンボル55の見かけ上の大きさから高度感が得られるとともに、見かけ上の大きさの変化から、鉛直方向の速度、すなわち昇降速度を容易に把握することができる。もちろんこの仮想シンボル55を等間隔に複数設けることによる効果を、同様に達成する。
【0095】
また仮想シンボル50,55は、自機からの距離が予め定める設定距離以上の位置に想定して設け、設定距離未満では想定しないようにしてもよい。この設定距離は、たとえば実視界の視程に応じて設定されてもよい。
【0096】
このように仮想シンボル50,55を、設定距離以上の位置に設ければ、自機近傍では、仮想シンボルを消去されるので、近傍の実視界の目視の妨げにならないようにして実視界の視認性を向上することができる。また仮想シンボル50,55を設ける領域を、実視界の視程に応じて設定すれば、実視界の視程が大きいときには、実視界の目視の妨げになることを防止し、実視界の視程が小さいときには、擬似視界による飛行諸元の把握を容易にすることができる。このように実視界の視程に応じて、擬似視界によってパイロットに与える情報量を変化させることによって、利便性を向上することができる。
【0097】
また上述のように同一の仮想シンボルだけを想定してもよいが、図14に示すように、複数種類の仮想シンボル50,60を、周期的な配置で想定するようにしてもよい。このような複数種類の仮想シンボルを想定する場合、図15に示すように、1つの仮想シンボル61だけを残余の仮想シンボル50と異なる種類の仮想シンボルとしてもよい。
【0098】
このように擬似視界に、複数種類の仮想シンボル50,60,61を設けることによって、障害物上の位置の把握を容易にすることができる。つまり同一種類の仮想シンボルが並ぶ場合のように、異なる仮想シンボルを同一の仮想シンボルであると勘違いして把握する不具合を無くすことができる。
【0099】
図14では、形状の異なる複数種類の仮想シンボル50,60を想定するようにしたけれども、色の異なる複数種類の仮想シンボルを想定するようにしても同様の効果が得られる。また形状および色が異なる複数種類の仮想シンボルを想定しても同様の効果が得られる。
【0100】
また仮想シンボルの想定位置を、パイロットが任意に設定できるようにしてもよい。たとえば回転翼航空機において、自機近傍に1つまたは複数の仮想シンボルを追加して設けることによって、ホバリング時の自機位置の把握を確実かつ容易にすることができ、たとえば風などによって自機が流されていることを迅速に把握することができる。
【0101】
上述の実施の形態は、本発明の例示に過ぎず、本発明の範囲内において、構成を変更することができる。
【0102】
【発明の効果】
請求項1記載の本発明によれば、パイロットの頭部を中心とする複数の同心の仮想円筒面を想定し、各仮想円筒面と障害物表面との交線から複数の障害物稜線を求め、これら各障害物稜線を含む擬似視界画像を生成し、その擬似視界画像を表示手段によって表示することができる。表示手段は、透過形の表示手段であり、擬似視界画像は、実際の外視界である実視界に重畳して表示することができ、パイロットは、実視界および形成される擬似視界の両方を目視することができる。擬似視界画像は、複数の障害物稜線を用いた簡素な画像であり、パイロットが実視界を目視するときに、実視界の目視の妨げになることがない。
【0103】
さらにこの擬似視界を形成する擬似視界画像の各障害物稜線は、パイロットの頭部からの距離が一定の仮想円筒面に基づいて求められるのではなく、自機の移動速度におけるパイロットの頭部の前後方向成分−Vgrに応じて、パイロットの頭部に対する障害物の接近速度Vgrと時間ΔTとの積で求まる半径変化量δDだけ、半径を変化させながら想定される各仮想円筒面に基づいて求められる。これによって、表示される障害物稜線は、自機がパイロットの頭部の前方へ移動しているときには、パイロットに近づくように表示され、自機がパイロットの頭部の後方へ移動しているときには、パイロットから遠ざかるように表示され、自機がパイロットの頭部の前後方向へ移動していないときには、近づきも遠ざかりもしないように表示される。しかも各障害物稜線は、自機の移動に対して、形状が煩雑に経時的変化することがない。
【0104】
したがって自機がパイロットの頭部の前方へ移動しているときには、パイロットには、擬似視界が後方へ流れるように認識され、自機がパイロットの頭部の後方へ移動しているときには、パイロットには、擬似視界が前方へ流れるように認識され、自機がパイロットの頭部の前後方向と交差する左右方向へ移動しているときには、パイロットには、擬似視界が左右方向へ流れるように認識される。このように自機の移動に応じて、実視界と同様の流れ方をするように、パイロットに認識される擬似視界を簡素な画像を表示して形成することができ、この擬似視界だけで、障害物を容易に認識することができるうえ、自機の姿勢、速度および高度などの飛行諸元を、実視界からと同様に、容易に把握することができる。
【0105】
請求項2記載の本発明によれば、各仮想円筒面の半径方向間隔が、自機の高度および飛行速度の少なくともいずれか一方に応じて設定される。これによって飛行状態に応じた必要最小限の擬似視界画像にすることができる。たとえば、低高度飛行時および低速飛行時などの詳細な障害物情報が求められるときには、各仮想円筒面の半径方向間隔を小さくして、外視界の視程に拘わらず、擬似視界による障害物把握の確実性を高くし、高高度飛行時および高速飛行時などの概略の障害物情報があれば十分なときには、各仮想円筒面の半径方向間隔を大きくし、処理すべきデータ量を少なくして表示速度を向上させるとともに、実視界の目視をより容易にすることができる。このように利便性を高くすることができる。
【0106】
請求項3記載の本発明によれば、自機が設定高度未満にあり、詳細な障害物情報が求められるときには、生成される擬似視界画像を表示して擬似視界を形成し、外視界の視程に拘わらず、擬似視界によって障害物の把握を可能にすることができる。逆に自機が設定高度以上にあり、擬似視界による障害物情報が不要なときには、2次元地図を表示して、自機の位置の把握を容易にすることができる。このように利便性を高くすることができる。
【0107】
請求項4記載の本発明によれば、各障害物稜線までの距離が、数値表示、コントラスト表示、3次元表示、カラー表示および線の太さ変化表示の少なくともいずれか1つを利用して表されているので、パイロットは、擬似視界の遠近を容易に把握することができる。
【0108】
請求項5記載の本発明によれば、障害物稜線は、隣接する仮想円筒面との間に、障害物表面との交線よりも高い障害物表面の領域が存在する場合には、その領域を内包するように、障害物稜線を表示することができる。したがって間隔をあけた仮想円筒面に基づく障害物稜線による擬似視界であっても、この擬似視界の障害物を回避することで、実際の障害物を確実に回避することができ、さらに高い安全性を確保することができる。
【0109】
請求項6記載の本発明によれば、自機の進路に沿う所定の幅の領域について、相互の間隔が残余の領域に比べて小さい仮想円筒面を想定する。これによって少なくともこの進路に沿う領域では、仮想円筒面と障害物表面との交線をそのまま障害物稜線としても、進路に沿う障害物に関しては、実際の障害物と同様の障害物を擬似視界に形成することができる。したがって計算量を少なくして、進路に沿う領域に関して高精度な擬似視界形成することができる。このようにして、擬似視界の障害物を回避するが、実際の障害物を確実に回避することができ、さらに高い安全性を確保することができる。
【0110】
請求項7記載の本発明によれば、固定的に設けられる所定寸法を有する複数の仮想シンボルが存在する擬似視界を形成することができる。このような仮想シンボルを設けることによって、この仮想シンボルの見かけ上の向きから、自機の姿勢を容易に把握することができるとともに、見かけ上の大きさから、自機の障害物に対する位置、たとえば接近度を容易に把握することができる。このように飛行諸元の把握をさらに容易にすることができる。特に、複数の仮想シンボルを設ける場合には、見かけ上の密度から遠近を容易に把握することができる。
【0111】
請求項8記載の本発明によれば、障害物表面上に、所定寸法を有する複数の仮想シンボルを一定の密度で固定的に想定し、その仮想シンボルを含む擬似視界画像を生成し、その擬似視界画像を表示手段によって表示することができる。表示手段は、透過形の表示手段であり、擬似視界画像は、実際の外視界である実視界に重畳して表示することができ、パイロットは、実視界および形成される擬似視界の両方を目視することができる。擬似視界画像は、仮想シンボルを用いた簡素な画像であり、パイロットが実視界を目視するときに、実視界の目視の妨げになることがない。
【0112】
さらに擬似視界に、仮想シンボルを設けることによって、この仮想シンボルの見かけ上の向きから、自機の姿勢を容易に把握することができるとともに、見かけ上の大きさから、自機の障害物に対する位置、たとえば接近度を容易に把握することができる。このように仮想シンボルを設けた擬似視界だけで、障害物を容易に認識することができるうえ、自機の姿勢、速度および高度などの飛行諸元を、実視界からと同様に、容易に把握することができる。特に、複数の仮想シンボルを設ける場合には、見かけ上の密度から遠近を容易に把握することができる。仮想シンボルは、擬似視界における自機からの距離が予め定める設定距離以上の位置に設けられる。逆に言えば、擬似視界における自機近傍では、仮想シンボルを消去されるので、近傍の実視界の目視の妨げにならないようにすることができる。
【0113】
請求項9記載の本発明によれば、仮想シンボルが鉛直に延びる線状の仮想シンボルであるので、鉛直の基準になり、自機の姿勢をさらに容易にかつ確実に把握することができる。
【0114】
請求項10記載の本発明によれば、仮想シンボルが立体形状の仮想シンボルであるので、仮想シンボルの見かけ上の大きさの変化から、鉛直方向の速度、すなわち昇降速度を容易に把握することができる。
【0115】
請求項11記載の本発明によれば、擬似視界に複数の仮想シンボルが等間隔に設けられるので、障害物の遠近の把握がさらに容易になる。
【0117】
請求項12記載の本発明によれば、仮想シンボルを設ける位置が、実視界の視程に応じて設定されるので、実視界の視程が大きいときには、実視界の目視の妨げになることを防止し、実視界の視程が小さいときには、擬似視界による飛行諸元の把握を容易にすることができる。このように実視界の視程に応じて、擬似視界によってパイロットに与える情報量を変化させることによって、利便性を向上することができる。
【0118】
請求項13記載の本発明によれば、擬似視界に、複数種類の仮想シンボルが、設けられるので、障害物上の位置の把握を容易にすることができる。つまり同一種類の仮想シンボルが並ぶ場合のように、異なる仮想シンボルを同一の仮想シンボルであると勘違いして把握する不具合を無くすことができる。
【0119】
請求項14記載の本発明によれば、パイロットが任意に設定する位置に、仮想シンボルを追加して設けることができる。これによって利便性を向上することができる。たとえば、自機近傍に1または複数の仮想シンボルを追加して設けることによって、回転翼航空機におけるホバリング時の自機位置の把握を確実かつ容易にすることができ、たとえば風などによって自機が流されていることを迅速に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態の擬似視界形成装置10の概略構成を示すブロック図である。
【図2】障害物稜線の一例を示す斜視図である。
【図3】パイロットの頭部28の姿勢の一例を示す斜視図である。
【図4】パイロットの頭部28の前方からの障害物の移動速度を示す平面である。
【図5】本発明に従う仮想円筒面の理解を助けるための斜視図である。
【図6】1つの仮想円筒面の経時変化を示す平面図である。
【図7】各仮想円筒面の想定のしかたを説明するための図である。
【図8】実際の障害物を包絡する障害物稜線Sの求め方を説明するための断面図である。
【図9】仮想シンボル50を示す斜視図である。
【図10】仮想シンボル50を表示する画像51を示す図である。
【図11】仮想シンボル50と障害物稜線Sを併せて表示する画像52を示す図である。
【図12】他の仮想シンボル55を表示する画像56を示す図である。
【図13】仮想シンボル55と障害物稜線Sを併せて表示する画像57を示す図である。
【図14】複数種類の仮想シンボル50,60の配置を示す斜視図である。
【図15】表示画像の他の例を示す図である。
【図16】従来の技術によって生成される擬似視界画像2aを示す図である。
【図17】他の従来の技術によって生成される他の擬似視界画像3aを示す図である。
【符号の説明】
10 擬似視界形成装置
11 障害物情報取得手段
12 自機情報取得手段
13 頭部情報取得手段
14 各種情報取得手段
15 表示手段
16 制御手段
20 障害物データベースメモリ
21 障害物検出センサ
50,55,60,61 仮想シンボル
Q,Qa〜Qc,Q1〜Q3,Q2α,Q3α,Qin 仮想円筒面
R,Ra〜Rc,R1〜R3,Qin 仮想円筒面半径
S,Sa〜Sc,S1〜S3 障害物稜線
Claims (14)
- 自機周囲の地盤および人工物を含む障害物に関する障害物情報を取得するための障害物情報取得手段と、
自機位置および自機姿勢を含む自機に関する自機情報を取得するための自機情報取得手段と、
パイロットの頭部の姿勢を含むパイロットの頭部に関する頭部情報を取得するための頭部情報取得手段と、
実視界に重畳して画像を表示する透過形の表示手段と、
障害物情報、自機情報および頭部情報に基づいて、パイロットの頭部を中心とする複数の同心の仮想円筒面を、自機の移動速度におけるパイロットの頭部の前後方向成分−Vgrに応じて、パイロットの頭部に対する障害物の接近速度Vgrと時間ΔTの積で求まる半径変化量δDだけ、半径を変化させながら想定し、各仮想円筒面と障害物表面との交線から複数の障害物稜線を求め、これら各障害物稜線を含む擬似視界画像を生成し、その擬似視界画像を表示するように表示手段を制御する制御手段と含むことを特徴とする擬似視界形成装置。 - 制御手段は、各仮想円筒面の半径方向間隔を、自機の高度および飛行速度の少なくともいずれか一方に応じて設定することを特徴とする請求項1記載の擬似視界形成装置。
- 制御手段は、自機の高度が予め定める設定高度未満であるとき、生成される擬似視界画像を表示し、自機の高度が設定高度以上であるとき、2次元地図を表示するように、表示手段を制御することを特徴とする請求項1または2記載の擬似視界形成装置。
- 制御手段は、各仮想円筒面の半径に基づいて、各障害物稜線までの距離を、数値表示、コントラスト表示、3次元表示、カラー表示および線の太さ変化表示の少なくともいずれか1つを利用して表す擬似視界画像を生成することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の擬似視界形成装置。
- 制御手段は、一仮想円筒面に関して、この一仮想円筒面に隣接する2つの仮想円筒面間の障害物表面における最も高い位置を結ぶ線を障害物稜線として求めることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の擬似視界形成装置。
- 制御手段は、自機の進路に沿う所定の幅について、相互の間隔が残余の領域に比べて小さい仮想円筒面を想定することを特徴とする請求項1〜5記載の擬似視界形成装置。
- 制御手段は、障害物表面上に、所定寸法を有する複数の仮想シンボルを一定の密度で固定的に想定し、その仮想シンボルを各障害物稜線に加えた擬似視界画像を生成することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の擬似視界形成装置。
- 自機周囲の地盤および人工物を含む障害物に関する障害物情報を取得するための障害物情報取得手段と、
自機位置および自機姿勢を含む自機に関する自機情報を取得するための自機情報取得手段と、
パイロットの頭部の姿勢を含むパイロットの頭部に関する頭部情報を取得するための頭部情報取得手段と、
実視界に重畳して画像を表示する透過形の表示手段と、
障害物情報、自機情報および頭部情報に基づいて、障害物表面上に、所定寸法を有する複数の仮想シンボルを一定の密度で固定的に想定し、その仮想シンボルを含む擬似視界画像を生成し、その擬似視界画像を表示するように表示手段を制御する制御手段と含み、制御手段は、仮想シンボルを、自機からの距離が予め定める設定距離以上の位置に想定することを特徴とする擬似視界形成装置。 - 仮想シンボルは、鉛直に延びる線状の仮想シンボルであることを特徴とする請求項7または8記載の擬似視界形成装置。
- 仮想シンボルは、立体形状の仮想シンボルであることを特徴とする請求項7または8記載の擬似視界形成装置。
- 複数の仮想シンボルを等間隔に想定することを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載の擬似視界形成装置。
- 設定距離は、視程に応じて設定されることを特徴とする請求項8記載の擬似視界形成装置。
- 複数種類の仮想シンボルを、想定することを特徴とする請求項7〜12のいずれかに記載の擬似視界形成装置。
- 制御手段は、パイロットによって入力される位置に、仮想シンボルを追加した擬似視界画像を生成することを特徴とする請求項7〜13のいずれかに記載の擬似視界形成装置。
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