JP3710015B2 - Booster valve - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばマスタシリンダ等の液圧発生装置により発生した液圧を増圧する増圧作用を行う増圧バルブの技術分野に属し、特にバルブ特性のばらつきが少なくかつ耐久性が良好であり、また増圧作用を開始する折れ点(増圧開始点)を変更可能にする増圧バルブの技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば自動車においては、一般にマスタシリンダで発生した液圧をホイールシリンダに導入してブレーキを作動する液圧ブレーキシステムが採用されている。従来の液圧ブレーキシステムの一例として、例えば図12に示すような液圧倍力装置がペダル踏力を倍力して出力し、この出力によりマスタシリンダを作動させることにより大きなブレーキ圧発生させる液圧ブレーキ倍力システムがある。図中、1は液圧ブレーキ倍力システム、2はブレーキペダル、3は液圧倍力装置、4はポンプ、5はモータM、6はアキュムレータ、7は倍力装置用リザーバ、8はタンデムマスタシリンダ(以下、MCYともいう)、9はMCY用リザーバ、10はホイールシリンダ(以下、W/Cともいう)である。
【0003】
このような液圧ブレーキ倍力システム1においては、モータ5が駆動されてポンプ4が運転されることにより、倍力装置用リザーバ7内の作動液が液圧倍力装置3およびアキュムレータ6の方に送られ、アキュムレータ6内に所定の液圧が蓄えられる。この状態で、ブレーキペダル2が踏み込まれると、液圧倍力装置3の図示しない制御弁が切り替わり、アキュムレータ6の液圧が液圧倍力装置3の図示しない動力室にペダル踏力に応じて導入される。動力室に導入された液圧により、図示しないパワーピストンがペダル踏力を倍力して出力する。そして、この液圧倍力装置3の出力によりMCY8のピストンが作動されて、MCY8がMCY圧Pmを発生し、このMCY圧Pmがブレーキ液圧としてW/C10に供給されて、ブレーキがかけられる。このとき、ペダル踏力が液圧倍力装置3によって倍力されるので、ブレーキ力は大きなものとなる。
【0004】
従来の液圧ブレーキシステムの他の例として、例えば図13に示すような負圧によりペダル踏力を倍力して出力する負圧ブレーキ倍力システムがある。図中、11は負圧ブレーキ倍力システム、12は負圧倍力装置である。なお、負圧倍力装置12はきわめて周知であるのでその詳細な構造を図示しないが、例えば特開平2ー164656号公報を参照されたい。
【0005】
このような負圧ブレーキ倍力システム11においては、負圧倍力装置12は図示しないが常時負圧が導入されている定圧室と変圧室とを区画するダイヤフラムピストンを備えている。ブレーキペダル2が踏み込まれると、負圧倍力装置12の図示しない制御弁が切り替わり、大気が変圧室にペダル踏力に応じて導入される。変圧室に導入された大気により、ダイヤフラムピストンがペダル踏力を倍力して出力する。そして、同様にこの負圧倍力装置12の出力によりMCY8のピストンが作動されて、MCY8が発生するMCY圧PmがW/C10に供給されて、ブレーキがかけられる。このとき、ペダル踏力が負圧倍力装置12によって倍力されるので、ブレーキ力は大きなものとなる。
【0006】
なお、ブレーキ倍力システムには、前述のような倍力のための動力源として液圧および負圧の他に、正圧のエア圧あるいは電磁力等の動力源を用いた種々のブレーキ倍力システムがある。また、同じ動力源を用いたブレーキ倍力システムにおける倍力装置であっても、種々のタイプの倍力装置がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような液圧ブレーキ倍力システム1や負圧ブレーキ倍力システム11を始めとするブレーキ倍力システムにおいては、液圧倍力装置3や負圧倍力装置12等の倍力装置が比較的大型でコストの高いものとなっている。また、このような倍力装置はその容量により、出力には限界がある。倍力装置の出力を限界以上に上げるためには、倍力装置の容量を大きくする必要があるが、倍力装置の容量を大きくすると、倍力装置が更に大型になってしまう。
【0008】
そこで、例えば図14(a)に示すように、このような液圧倍力装置3や負圧倍力装置12を用いないで、ペダル踏力によって発生したMCY圧Pmを増圧することによりブレーキ力を大きくするブレーキ倍力システムが考えられる。
【0009】
図14(a)に示すように、このブレーキ倍力システムは、MCY8とW/C10とを接続するブレーキ通路に増圧バルブ13が設けられている。この増圧バルブ13は、弁部14aを有するバルブプランジャ14と、この弁部14aが着座可能なゴムシートからなる弁座15と、弁部14aが弁座15から離座する方向にバルブプランジャ14を常時付勢するスプリング19とを備えている。その場合、弁部14aが弁座15に着座したときの、バルブプランジャ14のMCY8側の有効受圧面積S1がバルブプランジャ14の受圧しない部分(小径部14b)の断面積S2より大きく(S1>S2)設定されている。この小径部14bの端部側は、Oリング等のゴムのシール部材20により小径部14bの弁部14a側に対して液密とされている。この増圧バルブ13には、従来から一般に多く用いられているプロポーショニングバルブ(Pバルブ)を逆にして用いることができるが、これに限定されなく、前述の構成を有するものであれば、どのような構造のものでもよい。
【0010】
また、モータ16により運転されてMCY3のブレーキ液をW/C10に送給する増圧用ポンプ17が、増圧バルブ13をバイパスしてこの増圧バルブ13と並設されているとともに、ブレーキペダル2の踏込を検知するペダルスイッチ18が設けられている。
【0011】
このブレーキ倍力システムにおいては、ブレーキペダル2が踏み込まれると、ペダルスイッチ18がこれを検知するので、モータ16が駆動されて増圧用ポンプ17が運転される。なお、ブレーキペダル2の踏込によるブレーキ操作を検知する手段としては、ペダルスイッチ18の他に、MCY圧Pmを検知する圧力スプリングあるいは圧力センサ、ペダルストロークを検知するストロークセンサ等種々の検出手段がある。
【0012】
またブレーキペダル2の踏込により、MCY8にMCY圧Pmが発生するので、バルブプランジャ14がすぐにストロークし、弁部14aが弁座15に着座する。このときの、増圧バルブ13の入力側のMCY圧Pmと出力側のW/C圧Pwとの関係は、
【0013】
【数1】
【0014】
で表される。
【0015】
弁部14aが弁座15に着座すると、W/C圧Pwは増圧用ポンプ17の吐出圧により増圧されるようになる。そして、W/C圧Pwが数式1で表される圧力Pw以上に上昇すると、バルブプランジャ14が押し戻されて、弁部14aが弁座15から離座する。これにより、W/C圧PwはMCY8側に逃げて下降し、このW/C圧Pwが数式1の圧力Pwに再びなると、バルブプランジャ14が再び右方へストロークして弁部14aが弁座15に着座し、バランスする。こうして、W/C圧PwはMCY圧Pmに対して数式1が成立するように増圧されて上昇するようになるが、スプリング19のばね力SPGをきわめて小さく設定すると、数式1のSPGの項がほぼ0となるので、増圧バルブ13は図14(b)に実線で示すような入出力特性を有するようになる。
【0016】
このように、図14(a)に示すブレーキ倍力システムによれば、液圧倍力装置3や負圧倍力装置12を用いることなく、ペダル踏力によるMCY圧を増圧することが可能となる。
【0017】
ところで、このようなブレーキ倍力システムの増圧バルブ13においては、バルブプランジャ14を弁部14aを弁座15から離座する方向に常時付勢するスプリング19のばね力が、MCY8にMCY圧Pmが発生するとバルブプランジャ14がすぐにストロークするようにきわめて弱く設定されているため、増圧バルブ13は、入力があるとすぐにこの入力を増圧して出力するようになる。
【0018】
しかし、ブレーキ倍力システムにおいては、増圧バルブ13の入出力特性として、図14(c)に示すような、入力が所定の大きさになるまでは増圧することなく出力し、入力が所定の大きさ以上のときに、入力を増圧して出力するような折れ点を有する入出力特性を必要とする場合もある。そこで、スプリング19のばね力を、MCY圧Pmが所定圧になるまでは、バルブプランジャ14を右方へストロークさせないような大きさに設定することにより、増圧バルブ13にこのような図14(c)に示す入出力特性を持たせることができる。
【0019】
しかしながら、単にスプリング19のばね力を前述のような大きさに設定したのでは、折れ点がスプリング19のばね力で一義的に決まり、一定となってしまう。ブレーキ倍力システムにおいては、車両の積載状態、緊急ブレーキ作動、あるいは液圧倍力装置3や負圧倍力装置12の倍力機能不良状態、2系統のブレーキシステムにおける1系統の失陥等種々の状態が起こり得るため、増圧バルブ13の折れ点を種々変更可能にすることが望ましい。また、ブレーキシステムには倍力装置のないブレーキシステムがあり、このようなブレーキシステムにおいても、種々の状態により増圧を必要とする場合があり、増圧バルブ13の折れ点を変更可能にすることが望まれる。
【0020】
更に、この増圧バルブ13においては、Oリング等のゴムのシール部材20が設けられるため、バルブプランジャ14がこのシール部材20からのシール抵抗を受けて滑らかに移動できない場合が考えられ、その結果増圧バルブ13の作動が不確実となって、バルブ特性がばらついてしまうおそれがある。
【0021】
しかも、このような増圧バルブ13では、弁座15およびシール部材20がともにゴムから形成されるので、これらの弁座15およびシール部材20が、高圧または圧力差により食われるおそれがあり、それらの耐久性が問題となる。したがって、この耐久性の問題も考慮する必要がある。
【0022】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、作動が確実でバルブ特性のばらつきを小さくでき、更に耐久性を向上することのできる増圧バルブを提供することである。
本発明の他の目的は、入力に対して折れ点(増圧開始点)を種々変更可能にすることのできる増圧バルブを提供することである。
【0023】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を解決するために、請求項1の発明は、ハウジングと、このハウジングに設けられ、液圧発生装置からの液圧が導入される入力口と、前記ハウジングに設けられ、出力液圧を導出するとともに増圧用液圧源からの増圧用液圧が導入される出力口と、前記ハウジングに摺動可能に設けられ、前記入力口の液圧が所定圧より小さいときは前記入力口と前記出力口との間を連通して前記入力口の液圧を前記出力液圧として前記出力口から導出し、前記入力口の液圧が前記所定圧以上のときは前記入力口と前記出力口との間を遮断するとともに、前記出力口に前記増圧用液圧を導入することにより前記入力口の液圧を増圧し、この増圧した液圧を前記出力液圧として前記出力口から導出するバルブプランジャとを備え、このバルブプランジャと前記ハウジングとのシール部が前記バルブプランジャと前記ハウジングとの間の微小隙間からなるメタルシールにより構成され、前記入力口と前記出力口との間を開閉制御する弁を備えており、この弁は前記バルブプランジャに形成された環状突起を有する弁部と前記ハウジングに形成された環状突起からなる弁座とからなり、前記弁部の環状突起と前記弁座の環状突起とは、前記バルブプランジャの移動時、前記入力口と前記出力口との間を遮断するバルブシールを形成し、このバルブシールは前記弁部の環状突起と前記弁座の環状突起との間の微小隙間からなるメタルシールにより構成され、前記弁をバイパスして、前記入力口と前記出力口とを接続する通路が設けられているとともに、この通路に前記入力口から前記出力口に向かう作動液の流れのみを許容するチェックバルブが配設されていることを特徴としている。
【0024】
また、請求項2の発明は、ハウジングと、このハウジングに設けられ、液圧発生装置からの液圧が導入される入力口と、前記ハウジングに設けられ、出力液圧を導出するとともに増圧用液圧源からの増圧用液圧が導入される出力口と、前記ハウジングに摺動可能に設けられ、前記入力口の液圧が所定圧より小さいときは前記入力口と前記出力口との間を連通して前記入力口の液圧を前記出力液圧として前記出力口から導出し、前記入力口の液圧が前記所定圧以上のときは前記入力口と前記出力口との間を遮断するとともに、前記出力口に前記増圧用液圧を導入することにより前記入力口の液圧を増圧し、この増圧した液圧を前記出力液圧として前記出力口から導出するバルブプランジャとを備え、このバルブプランジャと前記ハウジングとのシール部が前記バルブプランジャと前記ハウジングとの間の微小隙間からなるメタルシールにより構成され、前記バルブプランジャに、前記入力口と前記出力口との間を連通する通路が形成されており、また前記入力口と前記出力口との間を開閉制御する弁を備えているとともに、この弁は、前記バルブプランジャの通路に配設された弁部材と、前記バルブプランジャの通路に設けられ、前記弁部材が着座可能な弁座とからなり、前記弁をバイパスして、前記入力口と前記出力口とを接続する通路が設けられているとともに、この通路に前記入力口から前記出力口に向かう作動液の流れのみを許容するチェックバルブが配設されていることを特徴としている。
【0025】
更に請求項3の発明は、ハウジングと、このハウジングに設けられ、液圧発生装置からの液圧が導入される入力口と、前記ハウジングに設けられ、出力液圧を導出するとともに増圧用液圧源からの増圧用液圧が導入される出力口と、前記ハウジングに固定された、軸方向孔を有する筒状のケースと、このケースの軸方向孔に摺動可能に設けられ、前記入力口の液圧が所定圧より小さいときは前記入力口と前記出力口との間を連通して前記入力口の液圧を前記出力液圧として前記出力口から導出し、前記入力口の液圧が前記所定圧以上のときは前記入力口と前記出力口との間を遮断するとともに、前記出力口に前記増圧用液圧を導入することにより前記入力口の液圧を増圧し、この増圧した液圧を前記出力液圧として前記出力口から導出するバルブプランジャとを備え、前記バルブプランジャに弁部が設けられているとともに、前記ケースにこの弁部が着座可能な弁座が形成されており、更に前記バルブプランジャと前記ケースとのシール部が前記バルブプランジャと前記ケースとの間の微小隙間からなるメタルシールにより構成されていることを特徴としている。
【0026】
更に請求項4の発明は、前記弁部が前記バルブプランジャと別体の球状部材から形成されているとともに、この球状部材が圧入により前記バルブプランジャに固定されていることを特徴としている。
【0027】
更に請求項5の発明は、前記弁部と前記弁座とをバイパスして、前記入力口と前記出力口とを接続する通路が設けられているとともに、この通路に前記入力口から前記出力口に向かう作動液の流れのみを許容するチェックバルブが配設されていることを特徴としている。
【0028】
更に請求項6の発明は、前記ケースが圧入により前記ハウジングに固定されているとともに、このケースの圧入部の位置が前記バルブプランジャの摺動に影響のない位置に設定されていることを特徴としている。
【0029】
更に請求項7の発明は、前記バルブプランジャを押圧することで前記バルブプランジャが増圧開始する折れ点(増圧開始点)を変更する折れ点制御手段が設けられており、この折れ点制御手段による前記バルブプランジャの押圧力が前記液圧発生装置の前記液圧または前記出力口の液圧により制御されることで、前記折れ点が変化することを特徴としている。
【0030】
更に請求項8の発明は、前記ケースが圧入により前記ハウジングに固定されているとともに、このケースの圧入部の位置が前記バルブプランジャの摺動に影響のない位置に設定されていることを特徴としている。
【0031】
更に請求項9の発明は、前記バルブプランジャに押圧力を付与する折れ点制御手段が設けられているとともに、この折れ点制御手段による押圧力が、前記液圧発生装置の前記液圧または前記出力口の液圧により制御されることを特徴としている。
【0032】
【作用】
このように構成された請求項1ないし7の各発明にかかる増圧バルブにおいては、バルブプランジャとハウジングとのシール部がバルブプランジャとハウジングとの間の微小隙間からなるメタルシールにより構成されるので、バルブプランジャにゴムのシール部材によるシール抵抗が作用しなく、バルブプランジャは滑らかに移動するようになる。その結果、増圧バルブの作動が確実となり、バルブ特性のばらつきが小さくなる。
【0033】
また、このようにシール部がメタルシールで形成されてゴムシールがないことから、シール部材の食われ等のコンタミのおそれがなくなるとともに、増圧バルブの耐久性が向上し、長期使用に対する信頼性が高くなる。
【0034】
更に、増圧バルブの作動時、液圧発生装置からの圧液がバルブプランジャに設けられる弁を通って流動するとともに、バイパス通路を通って流動するようになるので、圧液が弁で絞られても、増圧バルブはその作動遅れが防止され、応答性が良好になる。また、増圧バルブの作動解除時は、増圧バルブによって増圧された高圧の圧液は、チェックバルブによりバイパス通路の流動が阻止されて、バルブプランジャに設けられる弁を通ってのみ流動するようになる。これにより、圧液が弁によって絞られてゆっくりと戻るようになるので、圧液戻り時のショックが緩和される。
【0035】
更に、請求項6の発明においては、ケースの圧入部の位置がバルブプランジャの摺動に影響のない位置に設定されるので、ケースがハウジングに圧入されたとき微小変形しても、バルブプランジャは滑らかにかつ確実に摺動するようになる。
【0036】
更に、請求項7の発明においては、折れ点制御手段によりバルブプランジャに押圧力が付与されることで、増圧バルブの折れ点が変化するようになる。しかも、その場合折れ点制御手段による押圧力が、液圧発生装置の液圧または出力口の液圧により制御されるので、増圧バルブの増圧作用時の増圧勾配が折れ点に応じて変化するようになる。したがって、大きな増圧が必要なときには増圧作用時の増圧勾配が大きくなるように設定し、また小さな増圧が必要なときには増圧作用時の増圧勾配が小さくなるように設定することにより、必要な増圧の大きさに確実に対応することができる。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明にかかる増圧バルブの実施の形態の第1例を用いた負圧ブレーキ倍力システムを示す図である。なお、前述の図13および図14に示すブレーキシステムと同じ構成要素には同じ符号を付すことにより、その詳細な説明は省略する。
【0038】
この図1に示されている第1例の負圧ブレーキ倍力システム11の負圧倍力装置12は、図13に示す負圧倍力装置12と同じで従来きわめて周知のものであり、その説明は省略する。
【0039】
図1に示すように、この第1例の増圧バルブ13はハウジング21を備えているとともに、このハウジング21の軸方向の段付孔21a内には、図14に示す増圧バルブ13と同様に弁部14aを有するバルブプランジャ14が軸方向に移動可能に配設されている。このバルブプランジャ14の入力側端には、このバルブプランジャ14の入力側の受圧面積S1より小さい受圧面積S3の折れ点制御ピストン部14cが突設されている。折れ点制御ピストン部14cの外周には、一対の環状突起14d,14eが軸方向に離間して形成されている。
【0040】
そして、バルブプランジャ14の折れ点制御ピストン部14cがハウジング21の段付孔21aに摺動可能に配設されているとともに、バルブプランジャ14の小径部14bがハウジング21の段付孔21aを閉塞するプラグ22の孔22aに摺動可能に配設されている。このとき、図2(a)に示すように、折れ点制御ピストン部14cの環状突起14d,14eの各外周面とハウジング21の段付孔21aの内周面との間、および同図(b)に示すように小径部14bの外周面とプラグ22の孔22aの内周面との間がともに10μm以下の微小隙間α,βに設定されていて、これらの微小隙間α,βによりそれぞれメタルシールが形成されている。これらのメタルシールにより、微小隙間α,βがブレーキ液をシールした状態となっている。
【0041】
更に、弁部14aに環状突起14fが形成されているとともに、弁座15がハウジング21の段付孔21aに形成された環状突起により形成されている。この環状突起14fは弁座15と協働してバルブシールを形成するようになっている。このバルブシールは、同図(c)に示すように環状突起14fの外周面と弁座15の内周面との間の10μm以下の微小隙間γからなるメタルシールによって形成されている。これらのメタルシールにより、微小隙間γがブレーキ液をシールした状態となっている。なお、微小隙間α,β,γは10μm以下に限定する必要はないが、メタルシールからの液漏れの影響を少なくして、ブレーキを実質的に作動させるためには、10μm以下に設定するのが望ましい。
【0042】
この第1例の増圧バルブ13のスプリング19のばね力は、増圧バルブ13が図14(c)に示す折れ点と同様の折れ点b(後述する図4に図示)を有する入出力特性とされている。なお、以下の本発明の説明において折れ点に関し、低い位置とは折れ点が入力圧すなわちMCY圧Pmの小さい位置のところに設定され、また高い位置とは折れ点がMCY圧Pmの大きい位置のところに設定されることを意味する。したがって、この第1例の増圧バルブ13では、増圧が比較的小さい入力で開始するように設定されている。
【0043】
また、図2(a)に示すように折れ点制御ピストン部14cの一対の環状突起14d,14eの外周面の断面積がともにS3に設定されているとともに、同図(b)に示すようにバルブプランジャ14の受圧しない部分の断面積が断面積S3より大きい値S2に設定され、更に図2(c)に示すように弁部14aの環状突起14fの外周面の断面積が断面積S2より大きい値S1に設定されている。
【0044】
更に、ハウジング21には、MCY8および段付孔21aにそれぞれ常時連通している入力口21bと、W/C10および段付孔21aにそれぞれ常時連通している出力口21cと、MCY8に連通可能であるとともに段付孔21aに常時連通している制御圧入力口21dと、MCY8のリザーバ9に連通可能であるとともに段付孔21aに常時連通している排出口21eとが設けられている。またプラグ22には、バルブプランジャ14の小径部14bの端面にオリフィス23を介して常時連通している大気圧接続口21fが設けられている。更にバルブプランジャ14の小径部14bとオリフィス23との間には、無圧室29が形成されている。
【0045】
入力口21bと出力口21cとは、弁部14aの環状突起14fと弁座15とにより形成されるバルブシールによりその連通が制御されるようになっている。また、入力口21bと制御圧入力口21dとの間は前述のメタルシールによりシールされた状態となっている。更に、制御圧入力口21dを通してMCY圧Pmが折れ点制御ピストン部14cの端面に作用されるようになっている。この制御圧入力口21dへのMCY圧Pmの導入制御は電磁開閉弁24によって行われるようになっており、この電磁開閉弁24は、遮断位置Iと連通位置IIが設定されており、通常時は遮断位置Iに設定された常閉弁とされている。
【0046】
更に、排出口13dを通して折れ点制御ピストン部14cの端面がリザーバ9に接続可能とされている。このリザーバ9への折れ点制御ピストン部14cの端面の連通制御は、電磁開閉弁25によって行われるようになっている、この電磁開閉弁25は、連通位置Iと遮断位置IIが設定されており、通常時は連通位置IIに設定された常開弁とされている。これらの電磁開閉弁24,25は電子制御装置(ECU)26に電気的に接続されている。
【0047】
更に、MCY圧Pmを検出する液圧センサ27と、負圧倍力装置12の定圧室の負圧を検出する負圧センサ28とが設けられており、これらのセンサ27,28もともにECU26に電気的に接続されていて、液圧センサ27からのMCY圧Pmの検出信号および負圧センサ28からの負圧の検出信号がそれぞれECU26に供給されるようになっている。また、ECU26には増圧用ポンプ17の駆動用モータ16が接続されていて、ECU26は、MCY圧Pmがバルブプランジャ14の移動を開始する圧力付近になったとき、液圧センサ27および負圧センサ28からの各検出信号に基づいて、駆動用モータ16すなわち増圧用ポンプ17を作動開始するように設定されている。
この第1例の増圧バルブ13の他の構成および負圧ブレーキ倍力システム11の構成は、図13および図14のそれらと同じである。
【0048】
次に、このように構成された負圧ブレーキ倍力システム11の作用について説明する。
負圧ブレーキ倍力システム11における負圧源の負圧が正常であり、また、負圧倍力装置12の定圧室に常時正規の負圧が導入されているとする。これにより、ECU26は負圧センサ28の検出信号に基づいて両電磁開閉弁24,25をそれぞれ図示の位置Iに設定する。これにより、折れ点制御ピストン部14cの端面はリザーバ9に連通された状態となっている。また、ブレーキ非操作時は、負圧倍力装置12が作動しなく、MCY8(本発明の液圧発生装置に相当)がMCY圧Pmを発生しないので、バルブプランジャ14が図示位置に保持され、図3(a)に示すように弁部14aの環状突起14fが弁座15から離れていて、増圧バルブ13は入力口21bが出力口21cに連通した状態となっている。したがって、このときの増圧バルブ13の折れ点はスプリング19の大きなばね力によって決定される(この折れ点は、後述する図4に示すようにMCY圧Pmがかなり高い位置の折れ点bとなる)。
【0049】
この状態で、ブレーキペダル2が踏み込まれて通常ブレーキ操作が行われると、従来の負圧ブレーキ倍力システムと同様に、負圧倍力装置12の制御弁(不図示)が切り換えられて、負圧倍力装置12が作動してペダル踏力を倍力した大きさの出力を発生し、この負圧倍力装置12の出力により、MCY8のピストン(不図示)が作動されて、MCY8がMCY圧Pmを発生する。
【0050】
このMCY圧Pmの圧液は、増圧バルブ13の入力口21bに導入されるが、電磁形開閉弁24が遮断位置Iとなっているので制御圧入力口21dには導入されない。更に、この圧液は弁部14aと弁座15との隙間を通って出力口21cから流出してW/C10に流入する。このとき、折れ点制御ピストン部14cの一対の環状突起14d,14eとハウジング21との間および小径部14bとプラグ22との間がともに前述のようにメタルシールでシールされているので、これらのメタルシールを通って漏出する液は少なく、実質的にMCY8からの圧液はそのほとんどがW/C10に流入するようになる。このようにして、MCY圧Pmがブレーキ液圧としてW/C10に供給されて、通常のサービスブレーキがかけられる。その場合、ペダル踏力が負圧倍力装置12によって倍力されるので、ブレーキ力は大きなものとなる。
【0051】
なお、折れ点制御ピストン部14cの一対の環状突起14d,14eとハウジング21との間および小径部14bとプラグ22との間の各メタルシールから漏出したブレーキ液はリザーバ9に戻され、外部に漏れることはない。
【0052】
またこのとき、出力口21cからの出力圧であるW/C圧Pwは増圧バルブ13によって何ら制御されなく、MCY圧Pmと同じ圧力となる。すなわち、W/C圧PwはMCY圧Pmと同じ大きさでMCY圧Pmの上昇とともに上昇し、増圧バルブ13の入出力特性は図4に示すように原点Oから45度の傾きの直線aに沿う特性となる。
【0053】
更に、MCY圧Pmは、バルブプランジャ14に弁部14aが弁座15に近づく方向、すなわちスプリング19のばね力SPGに抗する方向に作用するようになり、その力はPm×(S2−S3)で与えられる。このバルブプランジャ14に作用する力Pm×(S2−S3)がスプリング19のばね力より小さくなるようなMCY圧Pmの範囲では、バルブプランジャ14が図1において下方に移動することはなく、弁部14aの環状突起14fは、図3(a)に示す弁座15から離れた状態に保持される。同様に、MCY圧Pmがこの範囲にあるときは、液圧センサ27からのMCY圧Pmの検出信号および負圧センサ28からの負圧の検出信号に基づいて、ECU26はモータ16を駆動しないので、増圧用ポンプ17は作動しない。したがって、増圧バルブ13は増圧作用を行わない。
【0054】
増圧バルブ13が増圧作用を行わないMCY圧Pmの領域で、ブレーキを解除すると、W/C10のブレーキ液が出力口21c、弁部14aと弁座15との間の隙間、および入力口21bを通ってMCY8に戻るので、W/C圧Pwが直線aに沿って低下して、ブレーキが解除する。
【0055】
またブレーキ操作時、MCY圧Pmが上昇して、バルブプランジャ14に作用する力Pm×(S2ーS3)がスプリング19のばね力の大きさを超える圧力になると、バルブプランジャ14がスプリング19のばね力に抗して図3(a)において下方に移動し始める。このとき、増圧用ポンプ17がまだ作動されていなく、増圧用ポンプ17から吐出された圧液が出力口21cを介して弁座15および弁部14aに導入されていないと、図3(c)に示すようにバルブプランジャ14は、弁部14aの環状突起14fが弁座15を通り過ぎてこの弁座15の下方に位置するまで一気に移動するようになる。この状態で増圧用ポンプ17が作動されると、この増圧用ポンプ17から吐出された圧液が出力口21cを介して弁部14aに導入され、更に弁部14aと弁座15との間の隙間を通って入力口21bの方へ流動するようになる。
【0056】
このとき、増圧用ポンプ17からの圧液は、弁部14aと弁座15との間の隙間によって絞られるので、弁部14aより出力口21c側の液圧が上昇する。このため、この上昇した液圧がバルブプランジャ14に作用することにより、バルブプランジャ14に上向きの力が加えられるようになる。この上向きの力が所定の大きさ以上になると、バルブプランジャ14が図3(c)に示す状態から上方へ移動し、同図(b)に示すように弁部14aの環状突起14fが弁座15と径方向にオーバラップする位置となる。
【0057】
この状態では、弁部14aの環状突起14fと弁座15との間に、図2(c)に示すと同様の微小間隙γが形成されるので、出力口21cを介して導入された増圧用ポンプ17からの圧液はほとんど入力口21bの方へは流れなくなる。すなわち、弁部14aの環状突起14fと弁座15とにより、バルブシールが形成された状態となる。更に、増圧用ポンプ17からの圧液が導入されると、弁部14aより出力口21c側の液圧が更に上昇し、増圧用ポンプ17からの吐出圧によるバルブプランジャ14を上方に押す力が上昇する。
【0058】
この力とスプリング19のばね力との和が、MCY圧Pmによるバルブプランジャ14を下方に押す力より大きくなると、バルブプランジャ14は上方に移動し、環状突起14fが弁座15より上方に位置するようになる。このため、出力口21c側の圧液が、弁部14aと弁座15との間の隙間を通って入力口21bの方へ流動する。これにより、出力口21c側のW/C圧Pwが上昇し、出力口21c側の液圧が入力口21b側の液圧に近づく。出力口21c側の液圧が所定圧降下すると、バルブプランジャ14は再び下方へ移動し、図3(b)に示すバルブシール状態となる。このため、再び増圧用ポンプ17からの吐出圧が上昇して所定圧になると、バルブプランジャ14が再び上昇し、弁部14aの環状突起14fと弁座15とが離れ、出力口21c側の圧液が入力口21b側に流動して、出力口21c側の液圧が降下する。そして、バルブプランジャ14が、環状突起14fが弁座15から上方に離れた位置とバルブシール状態の位置との間で上下動を繰り返すことにより、図4において、W/C圧Pwが折れ点bから直線aより大きな勾配の直線cに沿って上昇する。このようにして、増圧バルブ13は増圧作用を行うようになる。このときのMCY圧PmとW/C圧Pwとの関係は、前述の数式1で与えられる。
【0059】
この増圧バルブ13の増圧作用により、負圧ブレーキ倍力システム11は、負圧倍力装置12の倍力作用に増圧バルブ13の増圧作用が加えられるので、大きなW/C圧Pwを得ることができ、ブレーキ力がきわめて大きなものとなる。これにより、例えば、折れ点bまでのMCY圧Pm領域を通常のサービスブレーキの領域とし、折れ点b以降のMCY圧Pm領域を緊急ブレーキ等の通常時よりははるかに大きなブレーキ力を必要とするブレーキ領域とすれば、緊急ブレーキ等のブレーキをより確実にかつ迅速に作動させることができる。
【0060】
増圧バルブ13の増圧作用状態からブレーキ作動を解除すると、MCY圧Pmが低下するので、バルブプランジャ14が上下動を繰り返すことにより、W/C圧Pwは図4の直線cに沿って低下する。MCY圧Pmが折れ点bでの圧力より低下すると、スプリング19のばね力によりバルブプランジャ14が図3(a)に示す上昇位置に保持されて弁部14aが弁座15から離隔した状態に保持される。これにより、W/C圧Pwは、前述の増圧バルブ13の非増圧作用状態の場合と同様に図4の直線aに沿って低下し、ブレーキが解除される。
【0061】
なお、バルブプランジャ14の最初の下方への移動開始時、作動用ポンプ17が既に作動しているときは、バルブプランジャ14は、図3(a)の状態から、同図(c)に示す状態を経ることなく、直接同図(b)に示す状態となる。
【0062】
また、オリフィス23により無圧室29にダンパー効果が付与されるようになり、このダンパー効果によりブレーキ作動時のバルブプランジャ14の振動が抑制される。
【0063】
負圧倍力装置12の負圧が失陥すると、負圧センサ28からの検出信号により、ECU26は電磁開閉弁24,25をそれぞれ切り換え、電磁開閉弁24は連通位置IIに設定されるとともに、電磁開閉弁25は遮断位置IIに設定される。このため、折れ点制御ピストン部14cの端面には、MCY圧Pmが作用可能となる。すなわち、バルブプランジャ14には、入力口21bからのMCY圧Pmと電磁開閉弁24を通して制御圧入力口21dから導入されるMCY圧Pmとが作用可能となり、バルブプランジャ14におけるMCY圧Pmの受圧面積が変化して大きくなる。
【0064】
この状態で、通常ブレーキ操作が行われると、発生したMCY圧Pmが入力口21bおよび制御圧入力口21dに導入され、これらの両入力口21b,21dに同導入されたMCY圧Pmはバルブプランジャ14にともに作用する。したがって、バルブプランジャ14に生じる下方へ押圧する方向の力が負圧正常時より大きくなり、MCY圧Pmが比較的小さいうちに、バルブプランジャ14が下方に移動するようになる。すなわち、バルブシールが負圧正常時よりMCY圧Pmの小さい位置で形成されるようになるので、増圧バルブ13の折れ点は図4に示すMCY圧Pmが小さい位置の折れ点dとなる。
【0065】
バルブプランジャ14が下方へ移動した後は、弁部4aの環状突起14fは弁座15に対して、前述と同様に図3(a)、(b)および(c)に示す各状態の間で相対的に移動するようになる。そして、折れ点d以降のMCY圧Pmの上昇に対して増圧バルブ13が増圧作用を行うので、W/C圧PwはMCY圧Pmの上昇とともに、増圧されて図4の直線eに沿って大きく上昇する。このときのMCY圧PmとW/C圧Pwとの関係は、
【0066】
【数2】
【0067】
で与えられる。したがって、負圧失陥時における直線eの傾きが負圧正常時における直線cの傾きより大きくなり、負圧失陥時におけるW/C圧Pwの上昇が負圧正常時におけるW/C圧Pwの上昇より大きくなる。これにより、負圧失陥時に増圧バルブ13の増圧開始が早くなるとともに、W/C圧Pwの上昇が大きいので、ブレーキ操作後、迅速に増圧バルブ13による増圧作用が行われるようになり、W/C圧Pwすなわちブレーキ圧が迅速に増大し、ブレーキ力不足が補われ、ブレーキが確実に作動するようになる。
【0068】
また、増圧バルブ13の増圧作用状態からのブレーキ解除時は、前述の負圧源の負圧正常時の場合と同様に増圧バルブが作動し、W/C圧Pwは、直線e、折れ点d、および直線aに沿って低下する。
【0069】
このように、この第1例の増圧バルブ13によれば、負圧源の負圧の失陥時に、増圧バルブ13が増圧作用を行うので、ブレーキ力不足を補って負圧の正常時と変わらないブレーキ力を得ることができ、ブレーキを確実に作動させることができる。
【0070】
また、負圧正常時と負圧失陥時とで、MCY圧Pmが作用するバルブプランジャ14の受圧面積が変化する。そして、このバルブプランジャ14の受圧面積が変わることにより、増圧バルブ13の折れ点が変わるようになる。すなわち、バルブプランジャ14の受圧面積が小さくなることにより、折れ点の位置をMCY圧Pmの高い位置に設定でき、またバルブプランジャ14の受圧面積が大きくなることにより、折れ点の位置をMCY圧Pmの低い位置に設定できるようになる。
【0071】
更に、弁部14aと弁座15との間、折れ点制御ピストン部14cとハウジング21との間、およびバルブプランジャ14の小径部14bとプラグ22との間がともにメタルシールで形成されているため、バルブプランジャ14にゴムのシール部材によるシール抵抗が作用しなく、バルブプランジャ14は滑らかに移動できるようになる。その結果、増圧バルブ13の作動が確実となり、バルブ特性のばらつきが小さくなる。
【0072】
更に、このようにシール部がメタルシールで形成されてゴムシールがないことから、シール部材の食われ等のコンタミのおそれがなくなるとともに、増圧バルブの耐久性が向上し、長期使用に対する信頼性が高くなる。
【0073】
なお、この第1例では、折れ点制御ピストン部14cを弁部14a側に設けて、MCY圧Pmをこの折れ点制御ピストン部14cに弁部14aに作用するMCY圧Pmと同方向に作用するようにしているが、折れ点制御ピストン部14cを小径部14b側に設けて、MCY圧Pmをこの折れ点制御ピストン部14cに弁部14aに作用するMCY圧Pmと逆方向に作用させるようにすることもできる。このようにしても、増圧勾配を変化させることができる。この場合には、電磁開閉弁25は大気圧接続口21fとリザーバ9とを連通する通路に設けられる。換言すれば、図1において排気口21eが大気圧接続口となり、大気圧接続口21fが排気口となる。
【0074】
また、折れ点制御ピストン部14cはバルブプランジャ14と別体に設けることもできる。その場合には、弁部14aとハウジング21との間に微小間隙のメタルシールを形成する必要がある。
【0075】
更に、折れ点制御ピストン部14cの受圧面積S3を適宜設定することにより、増圧バルブ13の折れ点を、図4に示す折れ点b,d以外の他の折れ点に任意に設定することができ、増圧バルブ13の増圧開始を任意に制御することが可能となる(このとき、任意に設定された折れ点以後における増圧はそれぞれ直線c,eと同じ傾きの直線に沿うようになる)。
【0076】
更に、前述の例では折れ点制御ピストン14cを設けるものとしているが、本発明は、この折れ点制御ピストン14cを必ずしも必要とするものではなく、省略することもできる。この場合は、折れ点が変化しなく図14(c)に示すバルブ特性と同様の特性を有するようになるが、第1例における負圧源の負圧正常時の場合の作用効果、すなわち緊急ブレーキ等の作動、バルブ特性のばらつきの縮小、シール部材の食われ等のコンタミの防止、および増圧バルブの耐久性の向上等の作用効果は得られるようになる。
【0077】
図5は、本発明の増圧バルブの実施の形態の第2例を有する負圧ブレーキ倍力システムを示す、図1と同様の図である。なお、前述の第1例の負圧ブレーキ倍力システムと同じ構成要素には同じ符号を付すことにより、その詳細な説明は省略する。
【0078】
前述の図1に示す負圧ブレーキ倍力システム11においては、バルブプランジャ14に、MCY圧Pmを弁部14aの他に折れ点制御ピストン部14cに作用させることにより、増圧バルブ13の折れ点を変えているが、この第2例ではバルブプランジャ14に、MCY圧Pmに加えてW/C圧Pwを作用させることにより、増圧バルブ13の折れ点を変えるようにしている。
【0079】
すなわち、図5に示すように増圧バルブ13の制御圧入力口21dを通してW/C圧Pwが折れ点制御ピストン部14cの端面に作用されるようになっている。そして、この第2例においても、制御圧入力口21dへのW/C圧Pwの導入制御は電磁開閉弁24によって行われるようになっている。この第2例の負圧ブレーキ倍力システム11の他の構成は、第1例と同じである。
【0080】
このように構成された第2例の負圧ブレーキ倍力システム11においては、負圧倍力装置12の負圧の正常状態でのブレーキ非操作時および通常ブレーキ操作時は、図1の第1例と全く同様の作用が行われ。
【0081】
負圧倍力装置12の負圧が失陥すると、前述の第1例と同様にしてECU26は電磁開閉弁24,25をそれぞれ切り換え、電磁開閉弁24は連通位置IIに設定されるとともに、電磁開閉弁25は遮断位置IIに設定される。このため、折れ点制御ピストン部14cの端面には、W/C圧Pwが作用可能となる。
【0082】
そして、この状態で、通常ブレーキ操作が行われると、発生したMCY圧Pmは入力口21bに導入されてバルブプランジャ14に作用するとともに、出力口21cを通ってW/C10に導入される。このとき、このW/C10に導入されたW/C圧Pw(増圧バルブ13の出力圧でもある)が制御圧入力口21dに導入されて同様に折れ点制御ピストン部14cに作用する。したがって、バルブプランジャ14に生じる、弁部14aを弁座15に近づく方向の力が負圧正常時より大きくなり、MCY圧Pmが小さいうちに、バルブプランジャ14が下方へ移動して、弁部14aと弁座15とは図3(b)に示すバルブシール状態となる。すなわち、増圧バルブ13の折れ点が図4に示すMCY圧Pmが小さい位置の折れ点bとなる。これ以後はW/C圧PwはMCY圧Pmの上昇とともに、増圧されて図4に破線で示す直線fに沿って上昇する。このときのMCY圧PmとW/C圧Pwとの関係は、
【0083】
【数3】
【0084】
で与えられる。
【0085】
したがって、負圧失陥時における直線fの傾きが負圧正常時における直線eの傾きより大きくなり、負圧失陥時におけるW/C圧Pwの上昇が負圧正常時におけるW/C圧Pwの上昇より大きくなる。これにより、負圧失陥時に増圧バルブ13の増圧開始が早くなるとともに、W/C圧Pwの上昇が大きいので、負圧失陥時のブレーキ力不足が防止されるようになる。しかも、直線fの傾きが、第1例の直線eの傾きより更に大きくなるので、W/C圧Pwの上昇は第1例の場合より更に大きくなる。この第2例の負圧ブレーキ倍力システム11の他の作用効果は、第1例と同じである。
【0086】
なお、この第2例では、折れ点制御ピストン部14cを弁部14a側に設けて、W/C圧Pwをこの折れ点制御ピストン部14cに、弁部14aに作用するMCY圧Pmと同方向に作用するようにしているが、折れ点制御ピストン部14cを小径部14b側に設けて、W/C圧Pwをこの折れ点制御ピストン部14fに弁部14aに作用するMCY圧Pmと逆方向に作用させるようにすることもできる。このようにしても、増圧勾配を変化させることができる。
【0087】
図6は、本発明の増圧バルブの実施の形態の第3例を有する負圧ブレーキ倍力システムを示す図である。なお、前述の第1例の負圧ブレーキ倍力システムと同じ構成要素には同じ符号を付すことにより、その詳細な説明は省略する。
【0088】
前述の第1例では、制御圧入力口21d、排出口21e、両電磁開閉弁24,25が設けられているが、この第3例の負圧ブレーキ倍力システム11では、これらの制御圧入力口21d、排出口21e、両電磁開閉弁24,25は省略されている。また第1例では、バルブプランジャ14がハウジング21の段付孔21aに直接嵌挿されているが、第3例の負圧ブレーキ倍力システム11は、図6に示すように筒状のケース30がハウジング21の段付孔21aに圧入されて固定されている。その場合、ケース30の両端の圧入部30a,30bのみが圧入され、ケース30の他の部分は単に遊嵌されている。なお、ケース30を圧入により固定することに加えて、図7に示すようにかしめ21gによっても固定するようにしてもよい。
【0089】
このケース30の軸方向孔30cには、バルブプランジャ14が摺動可能に嵌挿されている。そして、図7に示すように軸方向孔30cの上方開口端部に、バルブプランジャ14の弁部14aが配設されている。この弁部14aは、バルブプランジャ14の軸ピン14gに圧入されかつかしめ14hにより固定された孔あきボール14iから形成されている。このように孔あきボール14iをかしめて固定することにより、孔あきボール14iの取付精度が良好にされている。なお、弁部14aは軸ピン14gと一体に形成されたボールにより形成することもできる。
【0090】
また、軸方向孔30cの上方開口端部は、第1および第2大径孔14j,14kの2段に形成されている。その場合、第1大径孔14jの径はボール14iの径よりも大きく設定されていて、実線で示すようにボール14iが第1大径孔14jに位置したとき、ボール14iと第1大径孔14jの内壁面との間に、ブレーキ液が自由に流れる程度の大きさの間隙が形成されるようになっている。また、第2大径孔14kの径はボール14iの径よりも若干大きく設定されていて、二点鎖線で示すようにボール14iの下部が第2大径孔14kに位置したとき、ボール14iと第2大径孔14kの内壁面との間に、ブレーキ液を絞って無駄な液量のブレーキ液が流れないようにされている。これにより、増圧ポンプ17の容量が小さく設定されているとともに、増圧バルブ13の応答性が良好にされている。そして、ボール14iは二点鎖線で示す位置に移動したとき、弁座15に着座するようにされており、この着座位置での面積がS1となる。
【0091】
一方、バルブプランジャ14の弁部14aと反対側の小径部14bは、ケース30の軸方向孔30cに摺動可能に配設されており、この小径部14bの外周面とケース30の軸方向孔30cの内周面に、前述の第1例の小径部14bと同様のメタルシールが形成されている。
【0092】
ところで、ケース30の圧入部30aは第1大径孔14jの位置に設けられ、ボール14iが弁座15に着座する位置から離れているとともに、圧入部30bはバルブプランジャ14の小径部14bの摺動位置から離れた位置に設けられている。このようにすることにより、ケース30の圧入によって、孔あきボール14iのシートおよび小径部14bの摺動が影響されないようにされている。
【0093】
また、小径部14b側の端部にはフランジ14mが形成されているとともに、このフランジ14mにスプリング19のばね力が常時作用されている。増圧バルブ13の非作動時は、図6に示すようにバルブプランジャ14は、フランジ14mがケース30に当接した位置に保持されるようになっている。このバルブプランジャ14の位置では、ボール14iが第1大径孔14jに位置して、弁部14aが弁座15から大きく離座している。
【0094】
更に、軸方向孔30cの上方開口端は入力口21bに常時連通されているとともに、弁座15より下方の軸方向孔30cは出力口21cに常時連通されている。
【0095】
更に、図8に示すように無圧室29に連通するオリフィス23は、オリフィス孔23aと有する筒状のオリフィス部材23bからなり、このオリフィス部材23bがハウジング21にその外側から圧入されて固定されている。このオリフィス23の配管側端部には、フランジ23cが設けられており、このフランジ23cの外径d1は、大気圧接続口21fにナット31により連結固定され、この大気圧接続口21fをリザーバ9に接続する配管32の内径d2よりも大きく設定されている。これにより、仮にオリフィス部材23bがハウジング21から抜けたとしても、配管32に入り込まないようにされている。なお、前述の第1例のオリフィス23も、この第3例と同じように構成することができることは言うまでもない。
【0096】
更に、図6に示すようにハウジング21には、入力口21bと出力口21cとを、弁部14aと弁座15とをバイパスして接続するバイパス通路33が設けられているとともに、このバイパス通路33に、入力口21bから出力口21cに向かうブレーキ液の流れのみを許容するチェックバルブ34が設けられている。
この第3例の他の構成は、前述の第1例と同じである。
【0097】
このように構成された第3例の増圧バルブ13においては、ブレーキ操作時、MCY8からの圧液が入力口21b、弁部14aと弁座15との間の隙間、出力口21cを通ってW/C10に供給され、ブレーキが作動する。また同時に、入力口21bに供給されたMCY圧Pmがバイパス通路33およびチェックバルブ34を通って出力口21cからW/C10に供給される。このように、MCY圧Pmがバイパス通路33を通ってW/C10に供給されることにより、圧液が弁部14aと弁座15との間で絞られても、ブレーキの作動遅れが防止され、ブレーキの応答性が良好になる。特に、W/C10が大容量のブレーキシステムにおいては、より効果的にブレーキの応答性が良好になる。このときのMCY圧PmとW/C圧Pwとは、図4において45度の勾配の直線aに沿った関係となる。
【0098】
一方、ブレーキ作動解除時は、前述の第1例と同じであるが、この第3例の増圧バルブ13では、ブレーキ液がチェックバルブ34によって阻止されるので、バイパス通路33を通っては流動しなく、弁部14aと弁座15との間の隙間を通ってのみ流動するようになる。そして、ブレーキ液が弁部14aと弁座15との間の隙間を流動することにより絞られるので、高圧のブレーキ液がMCY8にゆっくりと戻るようになる。これにより、ブレーキ解除時のブレーキペダル2へのショックが緩和されるようになる。
【0099】
ブレーキ作動時、MCY圧Pmによるバルブプランジャ14を押す力Pm×S2がスプリング19のばね力に打ち勝つ大きさになるまで、MCY圧Pmが上昇すると、バルブプランジャ14が下方に移動して、ボール14iが弁座15に着座する。また、MCY圧Pmの、バルブプランジャ14が移動開始する付近で、増圧用ポンプ17が作動開始するので、ポンプ吐出圧が弁座15に着座しているボール14iに弁座15側から作用するようになる。そして、図1および図14に示す各例と同様に、出力口21c側の液圧がボール14iに作用してバルブプランジャ14を上方に押す力とスプリング19のばね力との合力が、MCY圧Pmがボール14iに作用してバルブプランジャ14を下方に押す力より大きくなると、バルブプランジャ14が上方に移動して、ボール14iが弁座15から離座し、前述と同様に出力側のW/C圧Pwが降下する。これ以後は、増圧バルブ13が図4に示す直線cに沿った増圧作用を行う。このときの、MCY圧PmとW/C圧Pwとの関係は、前述の数式1で与えられる。
【0100】
増圧バルブ13の増圧作用状態からのブレーキ作動解除時は、前述の第1例の増圧バルブ13の増圧作用状態からのブレーキ作動解除時と同じであるが、この第3例の増圧バルブ13では、MCY圧Pmが折れ点bでの圧力より低下すると、スプリング19のばね力によりバルブプランジャ14が図6に示す上昇位置に保持されてボール14iが弁座15から離座した状態に保持される。
【0101】
この第3例の増圧バルブ13の他の作用効果は、第1例の増圧バルブ13における負圧源の負圧正常時の場合の作用効果および折れ点制御ピストン部14cが省略された場合の作用効果と同じである。
【0102】
図9は、本発明の増圧バルブの実施の形態の第4例を有する負圧ブレーキ倍力システムを示す図である。なお、前述の第1および第3例の負圧ブレーキ倍力システムと同じ構成要素には同じ符号を付すことにより、その詳細な説明は省略する。
【0103】
図9に示すように、この第4例の増圧バルブ13においては、前述の第3例の増圧バルブ13における、大気圧接続口21f、バイパス通路33、およびチェックバルブ34がそれぞれ省略されている。
【0104】
また第3例の増圧バルブ13では、ハウジングの段付孔21aに筒状のケース30を圧入し、このケース30の軸方向孔30cにバルブプランジャ14を摺動可能に挿入しているが、この第4例の増圧バルブ13は、ハウジング21の段付孔21aにバルブプランジャ14を摺動可能に嵌挿している。その場合、このバルブプランジャ14は、大径部14nと小径部14bとから段付に形成され、大径部14nの断面積がS1に、また小径部14bの断面積がS2にそれぞれ設定されている。そして、大径部14nの外周面とハウジング21の段付孔21aの内周面との間および小径部14bの外周面と段付孔21aの内周面との間が、それぞれ前述の各例と同じメタルシールによりシールされている。
【0105】
また、このバルブプランジャ14には、弁部14aを介して入力口21bと出力口21cとを連通する通路14pが形成されている。図10(a)に詳細に示すように、弁部14aは、バルブプランジャ14の通路14p内に配設されたボール弁35と、バルブプランジャ14の入力口21b側端部にかしめ14qにより固定され、ボール弁35が着座可能な弁座15を有する弁座部材15aとを備えている。
【0106】
ボール弁35はスプリング36により常時弁座15方向に付勢されているとともに通路14pの一部を構成する軸方向孔14rにより案内されて滑らかに移動可能とされている。このスプリング36は調心部材37によって調心されている。なお、バルブプランジャ14の軸方向孔14rの内周面には、ボール弁35とこの内周面との間でブレーキ液が絞られることなく自由に流動可能にするため、所定数の軸方向溝14sが周方向に間隔を置いて形成されている。
【0107】
一方、弁座部材15aは、入力口21bとバルブプランジャ14の軸方向孔14rとを連通する径方向孔15bと軸方向凹部15cとが形成されている。また、弁座部材15aの上端には、ゴムまたは樹脂からなる部材38が固着されている。この部材38は、増圧バルブ13の非作動時、ハウジング21の段付孔21aの上端開口を液密に閉塞するプラグ39に当接し、増圧バルブ13の作動時に、図10(b)に示すようにバルブプランジャ14が下方に移動したとき、プラグ39から離れるようになっている。そして、部材38は、バルブプランジャ14が上方へ移動して弁座部材5aがプラグ39に直接当接するのを防止して、その衝撃を緩和するとともに、衝突音を抑制するようになっている。
【0108】
更に、プラグ39の中心には、ボール弁35に当接可能な弁開放ピン40が弁座部材15aを貫通して下方に突設されている。その場合、弁座部材15aは弁開放ピン40に対して相対摺動可能とされている。したがって、この弁開放ピン40は、図10(a)に示すようにバルブプランジャ14が上方位置にあって弁座部材15aの部材38がプラグ39に当接した状態では、ボール弁35に当接してこのボール弁35を弁座15から離座させ、また同図(b)に示すようにバルブプランジャ14が下方に移動し、弁座部材15aが弁開放ピン40に対して下方に相対摺動することにより、ボール弁35を弁座部材15aに着座させるようになっている。
【0109】
更に、ハウジング21の段付孔21aの下端開口は、プラグ41によって液密に閉塞されているとともに、このプラグ41に、一端によりバルブプランジャ14を上方に付勢するスプリング19の他端が支持されている。
この第4例の他の構成は、前述の第3例と同じである。
【0110】
このように構成された第4例の増圧バルブ13においては、ブレーキ操作時、MCY8からの圧液が入力口21b、ボール弁35と弁座15との間の隙間、出力口21cを通ってW/C10に供給され、ブレーキが作動する。このときのMCY圧PmとW/C圧Pwとは、図4において45度の勾配の直線aに沿った関係となる。
【0111】
ブレーキ作動解除時は、W/C10のブレーキ液が出力口21c、ボール弁35と弁座15との間の隙間、および入力口21bを通って、MCY8に戻るので、W/C圧Pwが直線aに沿って低下し、ブレーキが解除する。このとき、ブレーキ液はボール弁35と弁座15との間の隙間を絞られて流動するので、高圧のブレーキ液がMCY8にゆっくりと戻るようになる。これにより、ブレーキ解除時のブレーキペダル2へのショックが緩和される。
【0112】
ブレーキ作動時、MCY圧Pmがバルブプランジャ14を下方に移動させる大きさになると、バルブプランジャ14が下方に移動して、図10(b)に示すように弁座15がボール弁35に当接するとともに、ボール弁35が弁開放ピン40から若干離れる。したがって、入力口21bと出力口21cとが遮断される。そして、増圧用ポンプ17が作動して、そのポンプ吐出圧によって出力口21c側の液圧、すなわちW/C圧Pwを上昇するとともに、このW/C圧Pwがバルブプランジャ14に上方に向けて作用するようになる。W/C圧Pwが大きく上昇し、バルブプランジャ14を上方へ押す力がMCY圧Pmによる力に打ち勝つと、バルブプランジャ14が上方へ移動する。これにより、図10(a)に示すようにボール弁35が弁開放ピン40に当接するとともに、弁座15から離座する。これにより、入力口21bと出力口21cとが再び連通し、W/C圧Pwが降下する。これ以後は、前述と同様に増圧バルブ13が図4の直線cに沿った増圧作用を行う。このときの、MCY圧PmとW/C圧Pwとの関係は、前述の数式1で与えられる。
【0113】
増圧バルブ13の増圧作用状態からブレーキ作動を解除すると、MCY圧Pmが低下するので、バルブプランジャ14が上下動を繰り返すことにより、W/C圧Pwは図4の直線cに沿って低下する。MCY圧Pmが折れ点bでの圧力より低下すると、スプリング19のばね力によりバルブプランジャ14が図6に示す上昇位置に保持されてボール弁35が弁座15から離座した状態に保持される。これにより、W/C圧Pwは図4の直線aに沿って低下し、ブレーキが解除される。
この第4例の増圧バルブ13の他の作用効果は、第3例の増圧バルブ13の作用効果と同じである。
【0114】
図11は、本発明の増圧バルブの実施の形態の第5例を有する負圧ブレーキ倍力システムを示す図である。なお、前述の第1ないし第4例の負圧ブレーキ倍力システムと同じ構成要素には同じ符号を付すことにより、その詳細な説明は省略する。
【0115】
図11に示すように、この第5例の増圧バルブ14は、前述の図9に示す第4例の増圧バルブ13に、図6に示す第3例のバイパス通路33とチェックバルブ34とが追加されて構成されている。これらのバイパス通路33とチェックバルブ34との作用効果は、第3例のそれらと同じである。
また、第5例の増圧バルブ13の他の構成および他の作用効果は、第4例の増圧バルブ13のそれらと同じである。
【0116】
なお、第2ないし第5例の増圧バルブにも折れ点制御ピストン14cを設けて、増圧バルブ13の折れ点を変化させるようにすることができる。
また、本発明の増圧バルブを負圧ブレーキ倍力システム11に適用して説明しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、液圧ブレーキ倍力システムや正圧のエア圧ブレーキ倍力システム、あるいは同じ動力源でも種々のタイプのブレーキ倍力装置を備えたブレーキ倍力システムにも適用できるとともに、更にブレーキ倍力装置を備えないブレーキシステムにも適用できる。
また、本発明は、ブレーキシステム以外の他の液圧システム(倍力装置の有無にかかわらない)にも適用できる。
【0117】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の増圧バルブによれば、シール部を微小隙間からなるメタルシールにより構成しているので、バルブプランジャにゴムのシール部材によるシール抵抗を除去することができ、バルブプランジャを滑らかに移動させることができる。これにより、増圧バルブの作動が確実となり、バルブ特性のばらつきを小さくできる。またゴムシールがないことから、シール部材の食われ等のコンタミのおそれを防止できるとともに、増圧バルブの耐久性を向上できる。したがって、増圧バルブの長期使用に対する信頼性が高くなる。
【0118】
また、増圧バルブの作動時、液圧発生装置からの圧液がバルブプランジャの弁で絞られても、この圧液を、バイパス通路を通して流動させるようにしているので、増圧バルブの作動遅れを防止でき、応答性を良好にできる。また、増圧バルブの作動解除時は、増圧された高圧の圧液を、バルブプランジャの弁を通してのみ流動させているので、圧液が弁で絞ってゆっくりと戻すことができ、圧液戻り時のショックを緩和することができる。
【0119】
更に、請求項6の発明によれば、ケースの圧入部の位置をバルブプランジャの摺動に影響のない位置に設定しているので、圧入時ケースが微小変形しても、バルブプランジャを滑らかにかつ確実に摺動させることができる。
【0120】
更に、請求項7の発明によれば、折れ点制御手段により増圧バルブの折れ点を変化させることができる。しかも、折れ点制御手段の押圧力を、液圧発生装置の液圧により制御しているので、増圧バルブの増圧作用時の増圧勾配を折れ点に応じて変化させることができる。したがって、液圧発生装置を有する液圧倍力システムにおいて起こり得る、高い液圧が必要な場合、急速に液圧を上昇させる場合、あるいは液圧倍力システムに用いられる倍力装置の倍力機能が不良である場合等の種々の状態に対して適切にかつ確実に対応することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる増圧バルブの実施の形態の第1例を用いた負圧ブレーキ倍力システムを示す図である。
【図2】 図1に示す第1例の増圧バルブに用いられているメタルシールを説明し、(a)は折れ点制御ピストン部のメタルシールを説明する図、(b)はバルブプランジャの小径部の摺動部位のメタルシールを説明する図、(c)は弁部と弁座との間のメタルシールを説明する図である。
【図3】 図1に示す第1例の増圧バルブの弁部の作動を説明し、(a)は静止時(非作動時)の弁部の右半分を部分的に示す部分拡大断面図、(b)は弁作動時(シート時)の弁部の右半分を部分的に示す部分拡大断面図、(c)はバルブプランジャが移動した直後の弁部の右半分を部分的に示す部分拡大断面図である。
【図4】 第1ないし第5例の各増圧バルブの入出力特性を示す図である。
【図5】 本発明の実施の形態の第2例の増圧バルブを用いた負圧ブレーキ倍力システムを部分的に示す図である。
【図6】 本発明の実施の形態の第3例の増圧バルブを用いた負圧ブレーキ倍力システムを部分的に示す図である。
【図7】 図6に示す第3例の増圧バルブの弁部の部分拡大断面図である。
【図8】 図6に示す第3例の増圧バルブのオリフィス部の部分拡大断面図である。
【図9】 本発明の実施の形態の第4例を用いた負圧ブレーキ倍力システムを部分的に示す図である。
【図10】 第4および第5例の増圧バルブの弁作動を説明し、(a)は弁が開いている状態を示す図、(8b)は弁が閉じている状態を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態の第5例を用いた負圧ブレーキ倍力システムを部分的に示す図である。
【図12】従来の一般的な液圧ブレーキ倍力システムを示す図である。
【図13】従来の一般的な負圧ブレーキ倍力システムを示す図である。
【図14】倍力装置を用いることなく、ブレーキ液圧を増圧させるために、考えられるブレーキシステムの一例を示す図である。
【符号の説明】
2…ブレーキペダル、8…マスタシリンダ(MCY)、9…リザーバ、10…ホイールシリンダ(W/C)、12…負圧倍力装置、13…増圧バルブ、14…バルブプランジャ、14a…弁部、14b…小径部、14c…折れ点制御ピストン部、14d,14e…環状突起、14g…軸ピン、14i…孔あきボール、14j…第1大径孔、14k…第2大径孔、15…弁座、15a…弁座部材15a、17…増圧用ポンプ、19…スプリング、21…ハウジング、21a…段付孔、21b…入力口、21c…出力口、22…プラグ、22a…孔、23…オリフィス、24,25…電磁切換弁、26…電子制御装置(ECU)、27…液圧センサ、28…負圧センサ、29…無圧室、30…ケース、30a,30b…圧入部、30c…軸方向孔、33…バイパス通路、34…チェックバルブ34、35…ボール弁、40…弁開放ピン、α,β,γ…微小隙間[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention belongs to the technical field of a pressure increasing valve that performs a pressure increasing action for increasing the hydraulic pressure generated by a hydraulic pressure generating device such as a master cylinder, in particular, there is little variation in valve characteristics and good durability, Further, the present invention belongs to the technical field of a pressure increasing valve that can change a break point (pressure increasing start point) at which a pressure increasing action is started.
[0002]
[Prior art]
2. Description of the Related Art Conventionally, for example, in automobiles, a hydraulic brake system is generally employed that operates a brake by introducing hydraulic pressure generated in a master cylinder into a wheel cylinder. As an example of a conventional hydraulic brake system, for example, a hydraulic booster as shown in FIG. 12 boosts and outputs a pedal depression force, and a hydraulic pressure that generates a large brake pressure by operating a master cylinder by this output. There is a brake boost system. In the figure, 1 is a hydraulic brake booster system, 2 is a brake pedal, 3 is a hydraulic booster, 4 is a pump, 5 is a motor M, 6 is an accumulator, 7 is a reservoir for a booster, and 8 is a tandem master. A cylinder (hereinafter also referred to as MCY), 9 is an MCY reservoir, and 10 is a wheel cylinder (hereinafter also referred to as W / C).
[0003]
In such a hydraulic
[0004]
As another example of a conventional hydraulic brake system, there is a negative pressure brake boosting system that boosts and outputs a pedal depression force with a negative pressure as shown in FIG. 13, for example. In the figure, 11 is a negative pressure brake booster system, and 12 is a negative pressure booster. The
[0005]
In such a negative pressure
[0006]
In the brake booster system, various brake boosters using a power source such as positive air pressure or electromagnetic force in addition to hydraulic pressure and negative pressure as a power source for boosting as described above. There is a system. Moreover, even if it is a booster in a brake booster system using the same power source, there are various types of boosters.
[0007]
[Problems to be solved by the invention]
By the way, in such a brake booster system including the hydraulic
[0008]
Therefore, for example, as shown in FIG. 14 (a), the braking force is increased by increasing the MCY pressure Pm generated by the pedal depression force without using such a
[0009]
As shown in FIG. 14A, in this brake booster system, a
[0010]
A pressure-increasing
[0011]
In this brake boosting system, when the
[0012]
Further, when the
[0013]
[Expression 1]
[0014]
It is represented by
[0015]
When the
[0016]
As described above, according to the brake booster system shown in FIG. 14A, it is possible to increase the MCY pressure due to the pedal effort without using the
[0017]
By the way, in the
[0018]
However, in the brake booster system, as the input / output characteristics of the
[0019]
However, if the spring force of the
[0020]
Furthermore, since the
[0021]
Moreover, in such a
[0022]
The present invention has been made in view of such circumstances, and an object of the present invention is to provide a pressure increasing valve that is reliable in operation, can reduce variation in valve characteristics, and can further improve durability. It is.
Another object of the present invention is to provide a pressure increasing valve capable of changing the break point (pressure increasing start point) with respect to the input.
[0023]
[Means for Solving the Problems]
In order to solve the aforementioned problems, the invention of
[0024]
According to a second aspect of the present invention, there is provided a housing, an input port provided in the housing and into which the hydraulic pressure from the hydraulic pressure generating device is introduced, and provided in the housing for deriving an output hydraulic pressure and increasing pressure. An output port through which a pressure-increasing hydraulic pressure from a pressure source is introduced, and is slidably provided in the housing. When the hydraulic pressure at the input port is smaller than a predetermined pressure, a gap between the input port and the output port is provided. Communicating and deriving the fluid pressure at the input port as the output fluid pressure from the output port, and shutting off between the input port and the output port when the fluid pressure at the input port is equal to or higher than the predetermined pressure A valve plunger for increasing the hydraulic pressure of the input port by introducing the hydraulic pressure for pressure increase into the output port, and deriving the increased hydraulic pressure from the output port as the output hydraulic pressure, Between the valve plunger and the housing. And a passage that communicates between the input port and the output port is formed in the valve plunger, and a handle portion is formed by a metal seal including a minute gap between the valve plunger and the housing. A valve for controlling opening and closing between the input port and the output port; and the valve is provided in a passage of the valve plunger and a passage of the valve plunger. A valve seat, on which a member can be seated, is provided with a passage that bypasses the valve and connects the input port and the output port, and the operation from the input port to the output port is provided in this passage A check valve that allows only the flow of liquid is provided.
[0025]
Furthermore, the invention of
[0026]
Further, the invention of
[0027]
Furthermore, the invention according to claim 5 is provided with a passage that bypasses the valve portion and the valve seat and connects the input port and the output port, and the passage is connected to the output port from the input port. A check valve that allows only the flow of the hydraulic fluid toward the head is provided.
[0028]
Furthermore, the invention of claim 6 is characterized in that the case is fixed to the housing by press-fitting, and the position of the press-fitting portion of the case is set to a position that does not affect the sliding of the valve plunger. Yes.
[0029]
Further, the invention according to claim 7 is provided with a break point control means for changing a break point (pressure increase start point) at which the valve plunger starts to pressurize by pressing the valve plunger. The folding point is changed by controlling the pressing force of the valve plunger by the hydraulic pressure of the hydraulic pressure generating device or the hydraulic pressure of the output port.
[0030]
The invention of
[0031]
Further, the invention according to
[0032]
[Action]
In the pressure increasing valve according to each of the first to seventh aspects of the present invention, the seal portion between the valve plunger and the housing is constituted by a metal seal formed by a minute gap between the valve plunger and the housing. The valve plunger does not receive a sealing resistance due to the rubber seal member, and the valve plunger moves smoothly. As a result, the operation of the pressure increasing valve is ensured, and variation in valve characteristics is reduced.
[0033]
In addition, since the seal part is formed of a metal seal and does not have a rubber seal in this way, there is no risk of contamination such as erosion of the seal member, the durability of the pressure increasing valve is improved, and reliability for long-term use is improved. Get higher.
[0034]
Further, when the pressure increasing valve is operated, the pressure fluid from the fluid pressure generating device flows through the valve provided in the valve plunger and also flows through the bypass passage, so that the pressure fluid is throttled by the valve. Even so, the pressure increasing valve is prevented from delaying its operation, and the responsiveness is improved. In addition, when the pressure increasing valve is released, the high-pressure liquid pressure increased by the pressure increasing valve is prevented from flowing in the bypass passage by the check valve and flows only through the valve provided in the valve plunger. become. As a result, the pressure fluid is squeezed by the valve so as to return slowly, so that the shock when returning the pressure fluid is alleviated.
[0035]
Furthermore, in the invention of claim 6, since the position of the press-fitting portion of the case is set to a position that does not affect the sliding of the valve plunger, the valve plunger is not deformed even if it is slightly deformed when the case is press-fitted into the housing. It will slide smoothly and reliably.
[0036]
Furthermore, in the invention of claim 7, the break point of the pressure increasing valve is changed by applying a pressing force to the valve plunger by the break point control means. In addition, in this case, the pressing force by the break point control means is controlled by the fluid pressure of the fluid pressure generator or the fluid pressure at the output port, so that the pressure increase gradient during the pressure increasing action of the pressure increasing valve depends on the break point. To change. Therefore, when a large pressure increase is required, the pressure increase gradient at the time of pressure increase is set to be large, and when a small pressure increase is required, the pressure increase gradient at the time of pressure increase is set to be small. Therefore, it is possible to reliably cope with the required pressure increase.
[0037]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, embodiments of the present invention will be described with reference to the drawings.
FIG. 1 is a view showing a negative pressure brake booster system using a first example of an embodiment of a pressure increasing valve according to the present invention. The same components as those in the brake system shown in FIGS. 13 and 14 described above are denoted by the same reference numerals, and detailed description thereof is omitted.
[0038]
The
[0039]
As shown in FIG. 1, the
[0040]
The break point
[0041]
Further, an
[0042]
The spring force of the
[0043]
Further, as shown in FIG. 2A, the cross-sectional areas of the outer peripheral surfaces of the pair of
[0044]
Further, the
[0045]
The communication between the
[0046]
Furthermore, the end surface of the break point
[0047]
Further, a
Other configurations of the
[0048]
Next, the operation of the negative pressure
It is assumed that the negative pressure of the negative pressure source in the negative pressure
[0049]
In this state, when the
[0050]
The pressure fluid of the MCY pressure Pm is introduced into the
[0051]
The brake fluid leaked from the metal seals between the pair of
[0052]
At this time, the W / C pressure Pw, which is the output pressure from the
[0053]
Further, the MCY pressure Pm acts on the
[0054]
When the brake is released in the region of the MCY pressure Pm where the
[0055]
In addition, when the brake operation is performed, the MCY pressure Pm increases, and when the force Pm × (
[0056]
At this time, since the pressurized liquid from the
[0057]
In this state, a minute gap γ similar to that shown in FIG. 2C is formed between the
[0058]
When the sum of this force and the spring force of the
[0059]
Due to the pressure increasing action of the
[0060]
When the brake operation is released from the pressure increasing state of the
[0061]
When the
[0062]
In addition, a damper effect is imparted to the
[0063]
When the negative pressure of the
[0064]
In this state, when a normal brake operation is performed, the generated MCY pressure Pm is introduced into the
[0065]
After the
[0066]
[Expression 2]
[0067]
Given in. Accordingly, the slope of the straight line e at the time of negative pressure failure becomes larger than the slope of the straight line c at the time of normal negative pressure, and the increase in the W / C pressure Pw at the time of negative pressure failure is the W / C pressure Pw at the normal time of negative pressure. Will be greater than the rise. As a result, when the negative pressure is lost, the
[0068]
Further, when the brake is released from the pressure increasing operation state of the
[0069]
As described above, according to the
[0070]
Further, the pressure receiving area of the
[0071]
Further, since the
[0072]
Furthermore, since the seal portion is formed of a metal seal and does not have a rubber seal in this way, there is no risk of contamination such as erosion of the seal member, the durability of the pressure increasing valve is improved, and reliability for long-term use is improved. Get higher.
[0073]
In the first example, the break point
[0074]
Further, the break point
[0075]
Furthermore, by appropriately setting the pressure receiving area S3 of the break point
[0076]
Furthermore, although the break
[0077]
FIG. 5 is a view similar to FIG. 1 showing a negative pressure brake booster system having a second example of the embodiment of the pressure increasing valve of the present invention. The same components as those in the negative pressure brake boosting system of the first example are denoted by the same reference numerals, and detailed description thereof is omitted.
[0078]
In the negative pressure
[0079]
That is, as shown in FIG. 5, the W / C pressure Pw is applied to the end surface of the break point
[0080]
In the negative pressure
[0081]
When the negative pressure of the
[0082]
When a normal brake operation is performed in this state, the generated MCY pressure Pm is introduced into the
[0083]
[Equation 3]
[0084]
Given in.
[0085]
Therefore, the slope of the straight line f at the time of negative pressure failure becomes larger than the slope of the straight line e at the time of normal negative pressure, and the rise of the W / C pressure Pw at the time of negative pressure failure is the W / C pressure Pw at the normal time of negative pressure. Will be greater than the rise. As a result, the pressure increase of the
[0086]
In this second example, the break point
[0087]
FIG. 6 is a view showing a negative pressure brake booster system having a third example of the embodiment of the pressure increasing valve of the present invention. The same components as those in the negative pressure brake boosting system of the first example are denoted by the same reference numerals, and detailed description thereof is omitted.
[0088]
In the first example described above, the control
[0089]
The
[0090]
In addition, the upper opening end of the
[0091]
On the other hand, the
[0092]
By the way, the press-
[0093]
A
[0094]
Further, the upper opening end of the
[0095]
Further, as shown in FIG. 8, the
[0096]
Further, as shown in FIG. 6, the
Other configurations of the third example are the same as those of the first example.
[0097]
In the
[0098]
On the other hand, when releasing the brake, the same as in the first example described above, but in the
[0099]
When the brake is actuated, when the MCY pressure Pm rises until the force Pm × S2 that pushes the
[0100]
When the brake operation is released from the pressure-increasing action state of the pressure-increasing
[0101]
Other functions and effects of the
[0102]
FIG. 9 is a view showing a negative pressure brake booster system having a fourth example of the embodiment of the pressure increasing valve of the present invention. The same components as those in the negative pressure brake boosting systems of the first and third examples described above are denoted by the same reference numerals, and detailed description thereof is omitted.
[0103]
As shown in FIG. 9, in the
[0104]
In the
[0105]
The
[0106]
The
[0107]
On the other hand, the
[0108]
Further, at the center of the
[0109]
Further, the lower end opening of the stepped
Other configurations of the fourth example are the same as those of the third example described above.
[0110]
In the
[0111]
When the brake operation is released, the brake fluid of W /
[0112]
When the brake is actuated, if the MCY pressure Pm is large enough to move the
[0113]
When the brake operation is released from the pressure increasing state of the
Other functions and effects of the
[0114]
FIG. 11 is a view showing a negative pressure brake booster system having a fifth example of the embodiment of the pressure increasing valve of the present invention. The same components as those in the negative pressure brake boosting systems of the first to fourth examples described above are denoted by the same reference numerals, and detailed description thereof is omitted.
[0115]
As shown in FIG. 11, the
In addition, other configurations and other functions and effects of the
[0116]
It should be noted that the break
Further, although the pressure increasing valve of the present invention is applied to the negative pressure
The present invention can also be applied to other hydraulic systems other than the brake system (regardless of the presence or absence of a booster).
[0117]
【The invention's effect】
As is clear from the above description, according to the pressure increasing valve of the present invention, the seal portion is constituted by a metal seal having a minute gap, so that the seal resistance due to the rubber seal member can be removed from the valve plunger. The valve plunger can be moved smoothly. As a result, the operation of the pressure increasing valve is ensured, and variation in valve characteristics can be reduced. Further, since there is no rubber seal, it is possible to prevent the possibility of contamination such as erosion of the seal member and improve the durability of the pressure increasing valve. Therefore, the reliability for long-term use of the pressure increasing valve is increased.
[0118]
Further, when the pressure increasing valve is operated, even if the pressure liquid from the hydraulic pressure generating device is throttled by the valve plunger valve, this pressure liquid is caused to flow through the bypass passage. Can be prevented, and responsiveness can be improved. In addition, when the booster valve is deactivated, the pressurized high-pressure fluid is allowed to flow only through the valve plunger valve. The shock of time can be eased.
[0119]
Further, according to the invention of claim 6, since the position of the press-fitting portion of the case is set to a position that does not affect the sliding of the valve plunger, the valve plunger can be made smooth even if the case is slightly deformed during press-fitting. And it can be made to slide reliably.
[0120]
Furthermore, according to the invention of claim 7, the break point of the pressure increasing valve can be changed by the break point control means. Moreover, since the pressing force of the break point control means is controlled by the fluid pressure of the fluid pressure generator, the pressure increase gradient during the pressure increasing action of the pressure increasing valve can be changed according to the break point. Therefore, a boosting function of a booster used in a hydraulic booster system, which can occur in a hydraulic booster system having a hydraulic generator, when high hydraulic pressure is required, when the hydraulic pressure is rapidly increased, or used in a hydraulic booster system Therefore, it is possible to appropriately and reliably cope with various states such as a case where the defect is defective.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a diagram showing a negative pressure brake booster system using a first example of an embodiment of a pressure increasing valve according to the present invention.
2A and 2B illustrate a metal seal used in the pressure increasing valve of the first example shown in FIG. 1, FIG. 2A is a diagram illustrating a metal seal of a break point control piston portion, and FIG. The figure explaining the metal seal of the sliding part of a small diameter part, (c) is a figure explaining the metal seal between a valve part and a valve seat.
3 explains the operation of the valve portion of the pressure increasing valve of the first example shown in FIG. 1, (a) is a partially enlarged cross-sectional view partially showing the right half of the valve portion when stationary (non-operating); (B) is a partial expanded sectional view which partially shows the right half of the valve part at the time of valve operation (at the time of a sheet | seat), (c) is a part which shows the right half of the valve part partially after a valve plunger moves. It is an expanded sectional view.
FIG. 4 is a diagram showing input / output characteristics of each pressure increasing valve of the first to fifth examples.
FIG. 5 is a diagram partially showing a negative pressure brake booster system using a pressure increasing valve of a second example of an embodiment of the present invention.
FIG. 6 is a diagram partially showing a negative pressure brake booster system using a pressure increasing valve of a third example of an embodiment of the present invention.
7 is a partial enlarged cross-sectional view of a valve portion of the pressure increasing valve of the third example shown in FIG. 6;
8 is a partial enlarged cross-sectional view of an orifice portion of a pressure boosting valve of a third example shown in FIG.
FIG. 9 is a diagram partially showing a negative pressure brake booster system using a fourth example of an embodiment of the present invention.
10A and 10B illustrate the valve operation of the pressure increasing valves of the fourth and fifth examples. FIG. 10A is a diagram illustrating a state where the valve is open, and FIG. 10B is a diagram illustrating a state where the valve is closed. .
FIG. 11 is a diagram partially showing a negative pressure brake booster system using a fifth example of an embodiment of the present invention.
FIG. 12 is a diagram showing a conventional general hydraulic brake booster system.
FIG. 13 is a diagram showing a conventional general negative pressure brake boosting system.
FIG. 14 is a diagram showing an example of a possible brake system for increasing the brake fluid pressure without using a booster.
[Explanation of symbols]
DESCRIPTION OF
Claims (7)
このバルブプランジャと前記ハウジングとのシール部が前記バルブプランジャと前記ハウジングとの間の微小隙間からなるメタルシールにより構成され、
前記入力口と前記出力口との間を開閉制御する弁を備えており、この弁は前記バルブプランジャに形成された環状突起を有する弁部と前記ハウジングに形成された環状突起からなる弁座とからなり、前記弁部の環状突起と前記弁座の環状突起とは、前記バルブプランジャの移動時、前記入力口と前記出力口との間を遮断するバルブシールを形成し、このバルブシールは前記弁部の環状突起と前記弁座の環状突起との間の微小隙間からなるメタルシールにより構成され、
前記弁をバイパスして、前記入力口と前記出力口とを接続する通路が設けられているとともに、この通路に前記入力口から前記出力口に向かう作動液の流れのみを許容するチェックバルブが配設されていることを特徴とする増圧バルブ。A housing, an input port provided in the housing and into which the hydraulic pressure from the hydraulic pressure generator is introduced; and an output hydraulic pressure provided in the housing for deriving an output hydraulic pressure and a pressure increasing hydraulic pressure from a pressure increasing hydraulic pressure source When the fluid pressure of the input port is slidably provided in the housing and the input port is smaller than a predetermined pressure, the fluid pressure of the input port is communicated between the input port and the output port. Is derived from the output port as the output hydraulic pressure, and when the hydraulic pressure at the input port is equal to or higher than the predetermined pressure, the input port and the output port are shut off, and the pressure increasing liquid is supplied to the output port. A valve plunger for increasing the fluid pressure at the input port by introducing pressure, and deriving the increased fluid pressure from the output port as the output fluid pressure;
The seal portion between the valve plunger and the housing is constituted by a metal seal consisting of a minute gap between the valve plunger and the housing,
A valve for controlling opening and closing between the input port and the output port, the valve having a valve portion having an annular protrusion formed on the valve plunger, and a valve seat having an annular protrusion formed on the housing; The annular projection of the valve portion and the annular projection of the valve seat form a valve seal that shuts off the input port and the output port when the valve plunger is moved. Consists of a metal seal consisting of a minute gap between the annular protrusion of the valve portion and the annular protrusion of the valve seat,
A passage that bypasses the valve and connects the input port and the output port is provided, and a check valve that allows only the flow of hydraulic fluid from the input port to the output port is disposed in the passage. A pressure increasing valve characterized by being provided .
このバルブプランジャと前記ハウジングとのシール部が前記バルブプランジャと前記ハウジングとの間の微小隙間からなるメタルシールにより構成され、
前記バルブプランジャに、前記入力口と前記出力口との間を連通する通路が形成されており、また前記入力口と前記出力口との間を開閉制御する弁を備えているとともに、この弁は、前記バルブプランジャの通路に配設された弁部材と、前記バルブプランジャの通路に設けられ、前記弁部材が着座可能な弁座とからなり、
前記弁をバイパスして、前記入力口と前記出力口とを接続する通路が設けられているとともに、この通路に前記入力口から前記出力口に向かう作動液の流れのみを許容するチェックバルブが配設されていることを特徴とする増圧バルブ。A housing, an input port provided in the housing and into which the hydraulic pressure from the hydraulic pressure generator is introduced; and an output hydraulic pressure provided in the housing for deriving an output hydraulic pressure and a pressure increasing hydraulic pressure from a pressure increasing hydraulic pressure source When the fluid pressure of the input port is slidably provided in the housing and the input port is smaller than a predetermined pressure, the fluid pressure of the input port is communicated between the input port and the output port. Is derived from the output port as the output hydraulic pressure, and when the hydraulic pressure at the input port is equal to or higher than the predetermined pressure, the input port and the output port are shut off, and the pressure increasing liquid is supplied to the output port. A valve plunger for increasing the fluid pressure at the input port by introducing pressure, and deriving the increased fluid pressure from the output port as the output fluid pressure;
The seal portion between the valve plunger and the housing is constituted by a metal seal consisting of a minute gap between the valve plunger and the housing,
The valve plunger is provided with a passage that communicates between the input port and the output port, and includes a valve that controls opening and closing between the input port and the output port. A valve member disposed in the passage of the valve plunger, and a valve seat provided in the passage of the valve plunger, on which the valve member can be seated,
A passage that bypasses the valve and connects the input port and the output port is provided, and a check valve that allows only the flow of hydraulic fluid from the input port to the output port is disposed in the passage. A pressure increasing valve characterized by being provided .
前記バルブプランジャに弁部が設けられているとともに、前記ケースにこの弁部が着座可能な弁座が形成されており、更に前記バルブプランジャと前記ケースとのシール部が前記バルブプランジャと前記ケースとの間の微小隙間からなるメタルシールにより構成されていることを特徴とする増圧バルブ。A housing, an input port provided in the housing and into which the hydraulic pressure from the hydraulic pressure generator is introduced; and an output hydraulic pressure provided in the housing for deriving an output hydraulic pressure and a pressure increasing hydraulic pressure from a pressure increasing hydraulic pressure source An output port to be introduced, a cylindrical case having an axial hole fixed to the housing, and a slidably provided in the axial hole of the case, the hydraulic pressure of the input port being smaller than a predetermined pressure When the input port and the output port communicate with each other, the hydraulic pressure of the input port is derived from the output port as the output hydraulic pressure, and when the hydraulic pressure of the input port is equal to or higher than the predetermined pressure, While shutting off between the input port and the output port, the hydraulic pressure at the input port is increased by introducing the hydraulic pressure for pressure increase into the output port, and this increased hydraulic pressure is used as the output hydraulic pressure. A valve plunger led out from the output port
The valve plunger is provided with a valve portion, a valve seat on which the valve portion can be seated is formed on the case, and a seal portion between the valve plunger and the case is formed between the valve plunger and the case. A pressure increasing valve characterized by being constituted by a metal seal consisting of a minute gap between them.
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