JP3705265B2 - マイクロポンプ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、微小量の流体を高精度に送ることが必要な化学分析などに用いられるマイクロポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年において、マイクロマシン技術を応用し、化学分析や化学合成などのための機器や手法を微細化して行うμ−TAS(Micro Total Analysis System)が注目されている。微細化されたμ−TASによると、従来の装置と比べて試料の必要量が少ない、反応時間が短い、廃棄物が少ない、などのメリットがある。また、医療分野に使用した場合には、血液など検体の量を少なくすることで患者の負担を軽減でき、また、試薬の量を少なくすることで検査のコストを下げることができる。さらに、検体および試薬の量が少ないことから、反応時間が大幅に短縮され検査の効率化が図れる。そして携帯性にも優れるため、医療分野、環境分析など、広い範囲でその応用が期待されている。
【0003】
さて、マイクロ流体システムを用いた化学分析、環境計測などでは、デバイス(チップ)上で送液、混合、検出を行うために、送液手段としてマイクロポンプが用いられることがある。
【0004】
そのような送液手段に適したマイクロポンプの例として、本出願人が開示した特開2001−322099に記載のものがある。次に、この従来のマイクロポンプについて説明する。
【0005】
図9は従来のマイクロポンプ80の構成を模式的に示す平面図、図10はマイクロポンプ80の正面断面図である。
図9および図10において、マイクロポンプ80は、チャンバー81、チャンバー81に連通する2つの開口部82,83および流路84,85を有する。
【0006】
図10によく示されるように、マイクロポンプ80は、感光性のガラス基板91の表面をエッチングすることにより、チャンバー81などを構成するための窪みまたは溝が形成され、その上に別のガラス基板92が積層されている。ガラス基板92のチャンバー81に面する部分はエッチングなどによって穴が開けられている。ガラス基板92の上にさらに薄いガラス基板93が積層されてこれがダイヤフラムとなり、ダイヤフラムの上に圧電素子94が貼り付けられている。圧電素子94によりダイヤフラムを変形させることにより、チャンバー81の容積が変化する。
【0007】
一方の開口部82は、その両端の差圧が零に近いときは流路抵抗が低いが、差圧が大きくなると流路抵抗が大きくなる。つまり圧力依存性が大きい〔図3(A)参照〕。他方の開口部83は、差圧が零に近いときの流路抵抗は開口部82の場合よりも大きいが、圧力依存性がほとんどなく、差圧が大きくなっても流路抵抗は余り変化せず、差圧が大きい場合に流路抵抗が開口部82よりも小さくなる〔図3(B)参照〕。
【0008】
開口部82と開口部83のこのような流路抵抗特性の違いを利用して、チャンバー81を繰り返し加圧/減圧し、この際に加圧時と減圧時とで圧力の変化の割合を適宜制御することによって、液体の流量および流れ方向を任意に変化させることが可能なポンプ作用を実現することができる。
【0009】
このようなチャンバー81の圧力制御は、圧電素子94に供給する駆動電圧を制御し、ダイヤフラムの変形の量およびタイミングを制御することによって実現される。例えば、圧電素子94に図4(A)に示す波形の駆動電圧を印加することによって図10のM1方向に液体が吐出し、図5(A)に示す波形の駆動電圧を印加することによってその逆方向に吐出する。
【0010】
【特許文献】
特開2001−322099
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上に述べたマイクロポンプ80は、2つの開口部82,83の流路抵抗特性の相違を利用してポンプ作用を実現するものであることから、それらの流路抵抗特性の相違の大きい方が大きな流量が得られ、効率がよい。つまり、一方の開口部82はできるだけ圧力依存性が大きい方がよく、他方の開口部83は圧力依存性が少ない方がよい。
【0012】
しかし、従来においては、それら流路抵抗特性の相違を充分に大きくできていたとは必ずしも言えず、ポンプの流量特性および効率の面で改良の余地があるという課題があった。
【0013】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、開口部の圧力依存性を低減することによって流量特性および効率の向上を図ることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るマイクロポンプは、チャンバーと複数の流路とが、前記各流路の有効断面積よりも小さい有効断面積を有する開口部を介してそれぞれ連通しており、前記開口部のうちの少なくとも1つは、前記チャンバーの圧力を上昇または下降させたときの当該開口部の流路抵抗の変化割合が他の開口部のそれとは異なっており、前記チャンバーの容積が増えるときと減るときでその変化割合の大きさを異ならせることにより前記開口部間の流路抵抗の比を変化させて送液を行うように構成されるマイクロポンプであって、前記複数の流路のうちの少なくとも1つの流路は、複数の開口部を介して前記チャンバーと連通しており、前記複数の開口部は、前記チャンバーの圧力を上昇または下降させたときの当該複数の開口部全体としての流路抵抗の変化割合が他の流路の開口部のそれよりも小さく設定されている。
【0015】
好ましくは、前記複数の開口部は、前記チャンバーの圧力を上昇または下降させたときの当該複数の開口部のそれぞれの開口部の流路抵抗の変化割合のいずれもが他の流路の開口部のそれよりも小さく設定されている。
【0016】
また、前記複数の開口部は、それぞれの開口部における断面積に対する流路長の割合のうちの最も小さいものが、他の流路の開口部のそれよりも大きく設定されている。
【0017】
流路が複数の開口部を介してチャンバーと連通するように構成することにより、複数の開口部からなる開口部群の全体としての圧力依存性が低減し、これによって他の開口部との間の圧力依存性の相違が大きくなる。これによって、ポンプの流量特性および効率の向上が図られる。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の第1の実施形態のマイクロポンプ1の構成を模式的に示す平面図、図2は第1の実施形態のマイクロポンプ1の正面断面図、図3は開口部の流路抵抗特性の例を示す図、図4および図5は圧電素子の駆動電圧の波形の例を示す図、図6はマイクロポンプ1の開口部13a,13bを拡大して示す図、図7は3つの開口部を設けた開口部群の例を示す図である。なお、図2は、図1の開口部12および開口部13aの中心を通る面によって断面した状態を示す図である。
【0019】
図1および図2に示すように、マイクロポンプ1は、ポンプ室であるチャンバー11と2つの流路22,23とが、開口部12または開口部群13を介して連通している。開口部群13は互いに並列に設けられた2つの開口部13a,13bからなる。つまり、流路23は、並列に設けられた2つの開口部13a,13bを介してチャンバー11と連通している。
【0020】
図2によく示されるように、マイクロポンプ1は、シリコン基板31を用い、フォトリソグラフィー工程によって、チャンバー11、開口部12、開口部群13、および流路22,23などを構成するための溝または窪みを形成し、その下に底板となるガラス基板32を接合することによって製作される。その際に、シリコン基板31におけるチャンバー11となる窪みは、シリコン基板31が貫通しないようにハーフエッチングで堀り込み、シリコン基板31の残った部分をダイヤフラム31fとして用いる。ダイヤフラム31fの上に圧電素子34が貼り付けられている。
【0021】
マイクロポンプ1はこのようにして製作することが可能であるが、従来から公知の方法、その他の方法またはその他の材料を用いて製作することも可能である。
【0022】
圧電素子34には、例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)セラミックスの薄板を用いる。圧電素子34の駆動のための2つの電極は、圧電素子34の両側の表面に引き出され、フレキシブルケーブル35などによって配線され、駆動回路36に接続される。
【0023】
駆動回路36によって、圧電素子34に図4(A)または図5(A)に示す波形の電圧を印加することにより、シリコン薄膜であるダイヤフラム31fと圧電素子34とがユニモルフモードの屈曲変形を行うことを利用して、チャンバー11の容積を増減させる。
【0024】
さて、開口部12の有効断面積は、流路22の有効断面積よりも小さい。また、各開口部13a,13bの有効断面積は、流路23の有効断面積より小さい。開口部群13は、チャンバー11の圧力を上昇または下降させたときの開口部群13全体としての流路抵抗の変化割合が、開口部12のそれよりも小さく設定されている。
【0025】
すなわち、開口部群13は2つの開口部13a,13bから構成されているが、これら開口部13a,13bは、長さ、断面形状、および有効断面積が互いに等しい。したがって、単純に考えると、開口部13aまたは13bが1つの場合と比べて流路抵抗は2分の1となる。
【0026】
また、図9に示す従来のマイクロポンプ80と比べると、従来では1つの開口部83であったものを、それと同じ断面形状の2つの開口部13a,13bを設け、かつ、流路抵抗が全体的に低下してしまわないように各開口部13a,13bの長さを開口部83よりも長く(例えば2倍程度に長く)したものであると考えることができる。
【0027】
したがって、開口部12は、図3(A)に示すように、その両端の差圧が零に近いときは流路抵抗が低いが、差圧が大きくなると流路抵抗が大きくなる。つまり圧力依存性が大きい。開口部群13は、図3(B)に示すように、差圧が零に近いときの流路抵抗は開口部12の場合よりも大きいが、圧力依存性がほとんどなく、差圧が大きくなっても流路抵抗は余り変化せず、差圧が大きい場合に流路抵抗が開口部12よりも小さくなる。
【0028】
このような流路抵抗特性は、流路を流れる流体、例えば液体が、差圧の大きさに応じて層流または乱流のいずれかとなるようにするか、または差圧にかかわりなく常に層流となるようにするか、によって得ることが可能である。具体的には、例えば、前者は開口部12を流路長の短いオリフィスとし、後者は開口部13a,13bを流路長の長いノズルとすることによって実現することが可能である。
【0029】
開口部12と開口部群13のこのような流路抵抗特性を利用して、チャンバー11に圧力を発生させるとともに、その圧力の変化の割合を制御することによって、吐出工程および吸入工程のそれぞれにおいて開口部12,開口部群13のうち流路抵抗の低い方により多くの流体を吐出または吸入するようなポンプ作用を実現することができる。
【0030】
つまり、チャンバー11の圧力を上昇させるとともに、その変化の割合を大きくすれば、差圧が大きくなって開口部12の流路抵抗が開口部群13の流路抵抗よりも大きくなり、チャンバー11内の流体のほとんどは開口部群13から吐出する(吐出工程)。そして、チャンバー11の圧力を下降させるとともに、その変化の割合を小さくすれば、差圧が小さく維持されて開口部12の流路抵抗の方が開口部群13の流路抵抗よりも小さくなり、開口部12からチャンバー11内により多くの流体が流入する(吸入工程)。
【0031】
これとは逆に、チャンバー11の圧力を上昇させるとともに、その変化の割合を小さくしておけば、差圧が小さく維持されて開口部12の流路抵抗の方が開口部群13の流路抵抗よりも小さくなり、チャンバー11内の流体は開口部12からより多く吐出する(吐出工程)。そして、チャンバー11の圧力を下降させるとともに、その変化の割合を大きくすれば、差圧が大きくなって開口部12の流路抵抗の方が開口部群13の流路抵抗よりも大きくなり、開口部群13からチャンバー11内により多くの流体が流入する(吸入工程)。
【0032】
このようなチャンバー11の圧力制御は、圧電素子34に供給する駆動電圧を制御し、ダイヤフラムの変形の量およびタイミングを制御することによって実現される。例えば、圧電素子34に図4(A)に示す波形の駆動電圧を印加することによって流路23の側に吐出し、図5(A)に示す波形の駆動電圧を印加することによって流路22の側に吐出する。
【0033】
図4および図5において、圧電素子34に印加する最大電圧e1 は、数ボルトから数十ボルト程度、最大で100ボルト程度である。また、時間T1,T7は20μs程度、時間T2,T6は0〜数μs程度、時間T3,T5は60μs程度である。時間T4,T8は0であってもよい。駆動電圧の周波数は11KHz程度である。図4(A)および図5(A)に示す駆動電圧によって、流路23には、例えば図4(B)および図5(B)に示すような流量が得られる。なお、図4(B)および図5(B)における流量曲線は、ポンプ動作によって得られる流量を模式的に示したもので、実際には流体の慣性振動が重畳する。したがって、これら図に示された流量曲線に振動成分が重畳された曲線が実際に得られる流量を示すこととなる。
【0034】
さて、再び図3(B)に注目すると、同図に示される二点鎖線は従来の開口部83の流路抵抗特性である。従来の流路抵抗特性と比べると、本実施形態の開口部群13は、流路抵抗の圧力依存性が小さいことが分かる。つまり、図3(A)と合わせて考えると、差圧がマイナス100kPa〜プラス100kPaの範囲である場合に、差圧の大きさ(絶対値)が小さいときには開口部群13の流路抵抗が大きく、差圧の大きさが大きいときには開口部12の流路抵抗が大きくなることが分かる。しかも、従来の開口部83を用いた場合と比べて、いずれにおいても流路抵抗の大きさの違いが大きい。
【0035】
したがって、本実施形態のマイクロポンプ1によると、それだけ大きな流量が得られ、効率(流量効率)がよい。
次に、開口部を複数にすることによって圧力依存性が小さくなる理由を説明する。
【0036】
上に述べられる「流路抵抗」とは、流体が流路を通って流れるときの圧力損失の係数に相当する。単位時間に流れる流体の体積(流量)をQ、流体が流路を流れることによる圧力損失を△Pとしたとき、流路抵抗R〔N・s/m5 〕は、次の式、
R=△P/Q ……(1)
で求められる。ただし、 Nは力(Newton)、sは時間(second)である。
【0037】
なお、 ここで述べられている「開口部の流路抵抗」または「開口部群の流路抵抗」とは、その開口部または開口部群によって連通されているチャンバーと流路の間を流体が行き来するときの流路抵抗値のことであり、開口部または開口部群の出入り口付近の流れによる流路抵抗を含むものである。
【0038】
したがって、例えば、開口部の出入り口付近において周囲と比べて流速が速くなっている部分や乱流が発生している部分がある場合に、その部分の流路抵抗も「開口部の流路抵抗」の中に含めて考えるべきである。なお、以下において、開口部または開口部群も一種の流路であるから、それらを「流路」と記載することがある。
【0039】
上にも触れたように、一般的に言って、流路の出入り口の差圧(または流路内の流速)が変わっても流路抵抗値が変化しないという状態は、層流が十分に発達した場合の特性である。
【0040】
これとは逆に、流路の出入り口の差圧の増加にしたがって流路抵抗値が増加するという状態は、乱流の特性である。または、層流の形成が不十分な場合の特性であると言うことができる。
【0041】
一般的に、細くて長い流路の内部は層流挙動を示すが、その出入り口付近では乱流(または層流の形成が不十分な)挙動の成分を含む。
ここで、ある長さの細長い開口部を想定した場合に、その流路抵抗値Raは、差圧に依らず不変な成分R1と、差圧とともに増加する成分R2との和、すなわち次の式、
Ra=R1+R2 ……(2)
で表されると考えられる。R1は流路長Lに比例する成分であり、R2は両端の特性であって流路長Lとは無関係な成分である。
【0042】
図6に示すように、開口部13a,13bにおいては、断面形状が一様な部分による成分がR1となり、両端部分による成分がR2となる。
一方、この開口部に対して長さがN倍の開口部の流路抵抗値Rbは、
Rb=N×R1+R2 ……(3)
となる。
【0043】
つまり、流路長Lに比例する成分R1のみがN倍となる。その意味するところは、差圧に依らず不変な成分R1のみがN倍となり、差圧とともに増加する成分R2は変わらない。
【0044】
この流路をN本並列に接続した場合に、それら全体としての流路抵抗値Rcは、上の(3)式をNで除して、
Rc=R1+R2/N ……(4)
となる。
【0045】
これら(2)式と(4)式とを比べれば分かるように、差圧に依らず不変な成分R1は両者で等しいが、差圧とともに増加する成分は、流路をN本並列に接続した場合には1/Nとなって、並列に接続する流路の本数Nが大きくなるほど減少している。
【0046】
例えば、上に述べたマイクロポンプ1では1/2となり、図7に示す例では1/3となる。
その結果、並列に接続された流路の本数Nが大きくなるほど、差圧が変化したときの流路抵抗値の変化割合が減少し、他方の流路との間で圧力依存性の相違が大きくなってポンプとしての流量特性が向上するのである。
【0047】
このように、Nの数が大きくなるほど原理的には効率がよくなるが、Nがある程度以上になると大きな差はなくなるので、開口部の作りこみ易さなどを考慮した本数にすることとなる。
【0048】
次に、各部の寸法の具体的な例を示す。
開口部12は、幅が25μm程度、長さが25μm程度である。開口部13a,13bは、それぞれ、幅が36μm程度、長さが400μm程度である。開口部12および開口部13a,13bの深さは、いずれも25μm程度であり、流路の長手方向(流体の流れる方向)に対して一様な断面形状(流路断面)を持つ。
【0049】
なお、このとき、L/Sの値、つまり〔流路長/断面積〕の値(単位:μm-1)は、開口部12において0.04であるに対し、開口部13a,13bにおいてはいずれも0.44という大きな値となる。
【0050】
ここで用いるLは、開口部の流路長であるが、開口部の両端の形状によってはどこの長さをLとしてよいか不明な場合がある。その場合には、種々の形状の開口部について実験を行い、実験結果に基づいて等価な流路長を実効流路長として用いればよい。断面積Sについても同様である。
【0051】
ここで、参考のために、図9および図10に示す従来の開口部83との比較を行う。
従来において、図9に示す1つの開口部83の幅が36μm程度、長さが180μm程度であったとすると、差圧が1kPa〜100kPaの範囲の場合に、流路抵抗値は7.6〜15.9(×1012N・s/m5 )の範囲で変化していた。
【0052】
これに対して、上に述べた実施形態による開口部群13の場合には、流路抵抗値の変化は7.6〜11.1(×1012N・s/m5 )となり、変化の幅を半分以下に減らすことができる。
【0053】
なお、流路22,23は、流体を流通させて所定の位置に導く文字通りの流路であってもよく、流体に対して何らかの反応を与えるための室であってもよく、また、流体を溜めるものリザーバのようなものであってもよい。本明細書においてはこれらを総称して「流路」と記載している。
【0054】
上においても若干触れたように、開口部群13として図7に示すように3つの開口部13a,13b,13cを有していてもよい。この場合に、各開口部13a,13b,13cの断面積を1つの場合と同じとし、長さを1つの場合の3倍とすればよい。また、このように複数の開口部からなる開口部群を有する流路同士を合流させることによって、さらに多数の開口部からなる開口部群を有する流路とすることが可能である。
【0055】
次に、第2の実施形態によるマイクロポンプ1Bについて説明する。
図8は本発明の第2の実施形態のマイクロポンプ1Bの構成を模式的に示す平面図である。第2の実施形態において、第1の実施形態と同じ機能を有する部分には同じ符号を付して説明を省略しまたは簡略化する。
【0056】
第2の実施形態においては、3つ目の開口部14および流路24がチャンバー11に接続されている。開口部14の流路抵抗特性として、種々のものを設定することができる。例えば、1つの開口部13aと同じ寸法形状として開口部13aと同じ流路抵抗特性としてもよい。また、1つの開口部13aよりも断面形状を大きくしかつ長さを同じとすることにより、図3(B)に二点鎖線で示す流路抵抗特性に類似する流路抵抗特性としてもよい。また、開口部12と同じ寸法形状として開口部12と同じ流路抵抗特性としてもよい。
【0057】
第2の実施形態のマイクロポンプ1Bにおいても、開口部群13と開口部12との流路抵抗特性の相違の大きさから、良好な流量効率を得ることができる。
しかも、3つ目の開口部14の流路抵抗特性に応じて、流路24に流体を吐出し、または流路24から流体を吸入することができる。その際に、それぞれの開口部12、開口部群13、開口部14の流路抵抗特性に応じて、吐出または吸入のいずれかを行わせるか、およびその流量比を制御することが可能である。この場合には、流体の混合器または分流器として作用させることができる。
【0058】
また、開口部14に代えて、互いに並列に接続された2つの開口部からなる開口部群としてもよい。特に、開口部群13,14の各々を共に圧力に対する流路抵抗の変化割合の小さいものとした場合、たとえ駆動条件にばらつきがあったり駆動電圧を変えた場合であっても、流路23,24に対して常に一定の安定した流量比(吐出量比または流入量比)を確保できる。したがって、安定した比率で分流または混合を行えるというメリットがある。4つ目、またはそれ以上の開口部および流路をチャンバー11に接続してもよい。
【0059】
上に述べた実施形態において、圧力依存性の大きい方の開口部12に関しても、複数の開口部からなる開口部群としてもよい。
上に述べた実施形態において、流路22,23,24を循環系の流路としてもよい。また、それぞれの流路22,23,24が、チャンバー11から離れた位置で合流する形態であってもよい。その場合においても、それらは1つの流路としてではなく、それぞれチャンバー11に接続された流路として取り扱えばよい。
【0060】
上に述べた実施形態においては、シリコン基板を用いてマイクロポンプ1,1Bを製作した例を示したが、樹脂、ガラス、金属、セラミックなどの材料を微細加工したものでもよい。ダイヤフラム31fをハーフエッチングで形成するのではなく、別途用意した薄板を張り合わせて形成しても良い。その場合に、材料は何でもよいが、圧電素子よりも極端に柔らかい場合には十分な変位特性が得られない可能性があるので注意を要する。
【0061】
上に述べた実施形態において、チャンバー11の深さを開口部の深さと同じとしたが、同じである必要はなく、それより深くても浅くてもよい。チャンバー11の容積を増減させるアクチュエータである圧電素子34の変形は、ユニモルフ屈曲変形である必然性はなく、例えば、縦振動、横振動、ずり変形振動などであってもよい。また、アクチュエータとして、圧電素子34に限らず、例えば、静電アクチュエータ、電磁アクチュエータ、または形状記憶合金など、チャンバー11の容積を増減させ得るものであれば何でもよい。また、アクチュエータは、マイクロポンプ1に一体化されたものではなく、別体として切り離し可能なものであってもよい。
【0062】
開口部の形状に関して、流路断面が一様であると言っても必ずしも完全に一様である必要はない。また、必ずしも一様な断面形状である必要はない。例えば、内面に多少の凸凹があったり、テーパがあってもよい。そのような場合の実効断面積または有効断面積Sは、実験値または計算値などに基づいて求めることができる。開口部の出入り口の近傍において、特に吐出口(アウトレット)となる側の開口部においては、多少の拡がり部または滑らかに拡がるアール部をもっていてもよい。また、特に吸入口(インレット)となる側の開口部においては、一様な断面形状でなくても機能は大きく変わらない。要は、各流路に介在する開口部の圧力変化に対する流路抵抗特性が互いに異なり、且つポンプ作用を得たい流路については、それらの開口部の流路抵抗特性ができるだけ大きく相違すればよい。適用する流体として、液体、流動体、気体などであってもよい。
【0063】
上に述べた実施形態においては、圧電素子34に略三角波形の駆動電圧を印加したが、これ以外の種々の波形の駆動電圧を用いることも可能である。
上に述べた種々の実施形態および変形例において、マイクロポンプ1,1Bの平面形状として、正方形、長方形、多角形、円形、楕円形、その他の種々の形状とすることが可能である。その他、マイクロポンプの全体または各部の構造、形状、寸法、個数、材質などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【0064】
本発明に係るマイクロポンプは、環境、食品、生化学、免疫学、血液学、這伝子分析、合成、創薬など、さまざまな分野で用いることができる。
【0065】
【発明の効果】
本発明によると、開口部の圧力依存性を低減することによって流量特性および効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態のマイクロポンプの構成を模式的に示す平面図である。
【図2】第1の実施形態のマイクロポンプの正面断面図である。
【図3】開口部の流路抵抗特性の例を示す図である。
【図4】圧電素子の駆動電圧の波形の例を示す図である。
【図5】圧電素子の駆動電圧の波形の例を示す図である。
【図6】マイクロポンプの開口部を拡大して示す図である。
【図7】3つの開口部を設けた開口部群の例を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態のマイクロポンプの構成を模式的に示す平面図である。
【図9】従来のマイクロポンプの構成を模式的に示す平面図である。
【図10】従来のマイクロポンプの正面断面図である。
【符号の説明】
1,1B マイクロポンプ
11 チャンバー
12 開口部
13 開口部群(開口部)
13a,13b,13c 開口部
14 開口部
22,23,24 流路
34 圧電素子(アクチュエータ)

Claims (4)

  1. チャンバーと複数の流路とが、前記各流路の有効断面積よりも小さい有効断面積を有する開口部を介してそれぞれ連通しており、
    前記開口部のうちの少なくとも1つは、前記チャンバーの圧力を上昇または下降させたときの当該開口部の流路抵抗の変化割合が他の開口部のそれとは異なっており、
    前記チャンバーの容積が増えるときと減るときでその変化割合の大きさを異ならせることにより前記開口部間の流路抵抗の比を変化させて送液を行うように構成されるマイクロポンプであって、
    前記複数の流路のうちの少なくとも1つの流路は、複数の開口部を介して前記チャンバーと連通しており、
    前記複数の開口部は、前記チャンバーの圧力を上昇または下降させたときの当該複数の開口部全体としての流路抵抗の変化割合が他の流路の開口部のそれよりも小さく設定されている、
    ことを特徴とするマイクロポンプ。
  2. 前記複数の開口部は、前記チャンバーの圧力を上昇または下降させたときの当該複数の開口部のそれぞれの開口部の流路抵抗の変化割合のいずれもが他の流路の開口部のそれよりも小さく設定されている、
    請求項1記載のマイクロポンプ。
  3. 前記複数の開口部は、それぞれの開口部における断面積に対する流路長の割合のうちの最も小さいものが、他の流路の開口部のそれよりも大きく設定されている、
    請求項2記載のマイクロポンプ。
  4. チャンバーと、
    前記チャンバーの容積を増減するアクチュエータと、
    前記チャンバーに接続された複数の流路と、
    前記複数の流路のそれぞれにおいて流路を絞るために設けられた開口部と、を有し、
    前記複数の流路のうちの少なくとも1つの流路には、前記開口部が並列に複数設けられており、
    前記1つの流路に設けられた複数の開口部は、前記チャンバーの容積を増減することにより前記チャンバーの圧力を上昇または下降させたときの当該複数の開口部全体としての流路抵抗の変化割合が他の流路の開口部のそれよりも小さく設定されている、
    ことを特徴とするマイクロポンプ。
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