JP3697957B2 - 切羽前方亀裂分布予測方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はトンネル掘削に際して用いられる切羽前方亀裂分布予測方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば山岳トンネルなどのトンネル掘削工事においては、トンネル地山を発破等を用いて掘削しトンネルを形成していくわけであるが、各地山特有の地質状況というものがありそれにより支保パターンは大きな影響を受け、地山の悪い部分には適切な補助工法が採用されることとなる。該補助工法の適切な選択と事前の計画が掘削コストを左右することにつながるため、効率的なトンネル掘削を図るためにも、従来より掘削切羽前方の未掘削領域、つまり未知の岩盤について先行探査し、亀裂分布等の各種地質状況を予測する作業が行われてきた。
【0003】
例えば上記切羽前方についての先行探査及び亀裂分布予測を行う方法としてまず挙げられるのが先行ボーリング法である。該先行ボーリング法は、地質サンプルを採取可能な装置(例えばボーリング機械等)をトンネル切羽付近に配して、対象岩盤について適宜ポイントの地質サンプル採取を行う方法であり、採取した地質サンプルは岩盤から直接得られたものであるから実際の地質状況を反映して比較的明確に地質状況を把握することができる。
【0004】
また、他の方法として弾性波探査法と呼ばれるものがあり、この方法は探査領域内外に地震計等の弾性波受信装置を適宜数備え付け、他方、起振源より発せられた弾性波を前記地震計等で受信し波形解析を行うことにより、岩盤亀裂や破砕帯などの岩盤の不連続箇所を把握するものである。
【0005】
更には、比抵抗探査法と呼ばれる方法もあり、これは地表或いはトンネル内に設けられた印加電極より印加された電流をトンネル内の複数の探査電極で受けて測定し、前記印加電極と探査電極との間に存在する岩盤中の電位分布を得ることにより地下水分布や岩盤亀裂等を電気抵抗の相対値として算出把握することができるものである。その他にも単に切羽面のスケッチを行って切羽面に生じる亀裂を日常的に把握確認するといった旧来の手法もあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の切羽前方亀裂分布予測方法は次に述べるような課題を有していた。
【0007】
すなわち、まず先行ボーリング法は、地質サンプル採取用の比較的大きな装置をトンネル内に搬入設置しなければならない問題を抱えており、更にはこの方法を実施するにあたり、切羽面における通常のトンネル掘削作業を一時的にでも中止してサンプリングを行わなければならないといった問題もある。従って、狭小で他の掘削重機類も既に配置されているトンネル内を更に狭小化させて種々の作業効率を低下させる上に、トンネル掘削作業中断というトンネル掘削効率の低下には著しい悪影響を及ぼす問題を有するのである。
【0008】
また、比抵抗探査法は電気的に実施される方法であるから基本的に短時間にて探査及び予測作業を終えることが可能であるが、該探査の結果得られる岩盤中の亀裂分布や破砕帯の有無などの各種地質状況は、いずれも変状の程度が大規模なデータに限られ一般的に詳細な亀裂データ等に関しては結果の精密度が不足しがちである。
【0009】
更には、探査の結果得られる電気抵抗分布から岩盤亀裂分布や岩盤の弾性強度等の力学的特性を含んだデータイメージが把握しにくく、該比抵抗探査法を単独で実施して満足する探査結果を得ることは困難であった。そのため他の各種探査方法と平行して実施する必要も生じて作業の煩雑さと探査効率の低下とを免れないものであった。
【0010】
他方、日常的にトンネル掘削現場において実施されている切羽面のスケッチは、上述の従来手法において用いられることが少ないのは勿論のこと、その後顧みられることさえほとんど無く、単に記録として保管されるだけに留まり切羽前方の亀裂予測等に活用されるといったことは少なかった。
【0011】
そこで、本発明はこのような従来の課題に着目してなされたもので、切羽スケッチなどの簡便な切羽面情報を有効に活用してトンネル掘削作業を中断させることなく、亀裂分布等の地質状況を簡便かつ確実に得ることが出来る切羽前方亀裂分布予測方法を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記目的を達成するためになされたもので、トンネル切羽前方の未知岩盤について各種地質状況を予測する亀裂分布予測方法であって、次の1から4に示す手順を順に実施してなるものである。
1既に掘削通過済みの過去の切羽面を含めた適宜切羽面における亀裂情報を抽出する切羽情報抽出手順。
2前記切羽情報抽出手順で抽出した各切羽面に対して前記亀裂情報に基づき2次元クラックテンソルを算出するクラックテンソル算出手順。
3各切羽面ごとに得られた前記2次元クラックテンソルを基に、トンネル内における所定基点からの離間距離に応じた亀裂密度分布を示すセミバリオグラムを算出し、該セミバリオグラムを近似したバリオグラム関数を決定するバリオグラム決定手順。
4前記バリオグラム関数に、既知の2次元クラックテンソルと、最尤法で得られる重み値とを代入することで既知の前記2次元クラックテンソルに対応した切羽面から所望の離間距離を隔てた未知岩盤について亀裂密度を算出推定する亀裂密度推定手順。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、添付図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の切羽前方亀裂分布予測方法を示す流れ図である。
【0014】
トンネル切羽の安定性は、岩盤中に存在する亀裂や地下水脈等がどのような位置にどのような頻度で分布しているかに主に依存する。特にトンネル工事に際して行われる地山調査は切羽前方の亀裂状態を如何に確実に把握するかが焦点となる。本発明の切羽前方亀裂分布予測方法は、既に得られている切羽面スケッチ等の亀裂情報から、未だ見えない切羽前方部分の亀裂分布状況を予測するという観点で実施されるものである。本発明の切羽前方亀裂分布予測方法において必要とされる、亀裂などの切羽情報の抽出過程(図中の過程1)について以下に述べる。
【0015】
切羽情報の抽出にあたり、本実施例においては日常的に亀裂類をスケッチする切羽面スケッチ(特に図示しない)を採用する。勿論スケッチに代えてデジタルカメラ等の撮像手段を用いて撮影した画像でもよい。該切羽面スケッチはトンネル掘削現場において作業員等が例えばトンネル掘削作業が本格的に始まる前(あるいは一日の掘削作業終了後)に野帳もしくは専用の用紙に描き取るものである。本実施例においては該切羽面スケッチを、例えばデジタイズ装置(図示しない)にてコンピュータ付随の記憶装置等にデジタル画像として取り込むことになる。取り込み後の切羽画像20を図2(a)に示す。デジタイズ装置にて取り込まれた切羽画像20は原スケッチに描かれた亀裂Cを、切羽面上での傾き角度θ(k)と、亀裂長さL(k)とを各々もったk本の亀裂Cとして認識および表示したものである。
【0016】
このようにしてデジタル情報化された切羽情報が切羽スケッチより抽出されたわけであるが、この抽出された切羽情報はその後、種々の観点から考案された様々な亀裂評価方法に適用されるべく供されることとなる。その様々な評価方法としては、例えば国内においてはダム基礎岩盤を対象として提案された岩盤等級法があり、また、定量的な岩盤評価方法としてRMR(Rock Mass Rating)とQシステム等とがある。しかしながら本発明においては、亀裂長さや方向性さらに亀裂本数の粗密等といった多くの亀裂情報を総合的に評価し、それを工学特性に簡単に結びつけられる量として提案されているクラックテンソルなる考えを採用し亀裂評価を行うこととしている(図1中の過程2)。
【0017】
該クラックテンソルは、亀裂Cの長さと密度及び方向性とに注目した、亀裂Cの幾何学的な分布特性のみを表現する量であり、各亀裂Cの分布特性が得られれば岩盤としての変形特性が推定されるという特徴を持っている。そこで本実施例では、切羽での亀裂観察結果(切羽スケッチ等)から2次元のクラックテンソルを決定し、それを既知情報として切羽前方の未知岩盤の亀裂分布を予測するのである。
【0018】
図2(b)(及び図1中)に、同(a)図の切羽画像20をもとに行ったクラックテンソルの計算過程を示す。該クラックテンソルFijは式1に示す通り、切羽に現れるk本目の亀裂Cの長さL(k)の2乗と、その方向余弦のテンソル積とを全亀裂本数について総和を取り、切羽面積Aで除することにより得られる。2次元の2階のテンソルは、座標軸に対して不変な特徴的な量を持っており、それが式2に示すF0である。これは岩盤における亀裂密度を象徴するものであり、該F0自体が固有値と固有ベクトルとを持ち、それらはそれぞれ亀裂Cの切羽面上での配列がどの程度特定方向に偏っているか、その方向はどちらであるかということをも示している。
【0019】
次に図1中の過程3に示す、既掘削部についての構造解析について述べる。この過程3において、切羽前方の未知岩盤における亀裂分布状況を統計的に予測する手法として本発明では例えば地盤統計法を用いることとし、本方法に前記F0を適用することで地山の構造特性を解析する。まず、式3に従ってセミバリオグラム30を求める。ここでセミバリオグラム30は、距離hだけ離れた地点における変数zの共分散の期待値の1/2を様々な距離hに対して計算し、その計算結果を縦軸に、離間距離hを横軸にとってプロットしたものである(図3参照)。
【0020】
次にこのセミバリオグラム30を何らかの関数で近似する。これには、セミバリオグラム曲線の形状をどのように考えるかにより幾つかの近似関数が考えられるが、本実施例では球モデルにより近似する場合を示した。関数パラメータは式4中のc及びaであり、各種関数近似ソフト等を適宜使用して容易に決定できる。以上の過程1〜3により未知岩盤の亀裂密度F0がトンネルの進行軸に沿ってどのような相関を持って分布しているかの特性が捉えられることになる。
【0021】
以上にように、未知岩盤の構造特性を示すバリオグラム関数35が得られるので、該バリオグラム関数35を使って既に得られている切羽情報を基に現切羽前方の未知岩盤の亀裂密度を予測する(過程4)。亀裂密度として予測する値z(u)は、重みλα(u)と既知データz(uα)との積の和で与えられる(式5参照)。そこで、この重みを決定する方法を最尤法(クリギング)といい、この提案では重みλβの総和が1になる制約条件の下でラグランジュの未定定数法を用いて算出されることになる(式6及び7参照)。該最尤法の特徴としては予測値の誤差分布まで推定されることであり、予測精度まで解析可能となるのである。最尤法を適用して得られた結果が、図4に示す前方亀裂密度推定結果40である。横軸がトンネル内station、縦軸が亀裂密度を示す。
【0022】
以下、実際のトンネルに本発明を適用して切羽前方の亀裂密度分布を予測した状況を述べる。図1に示した予測過程に基づき、まずは、既に掘削の終了したトンネルにおいて日常的に描かれて保存されていた切羽スケッチを亀裂情報として採用した。このトンネルでは、切羽面の亀裂状況や出水状況等を描いた切羽スケッチと、各種コメント及び計測結果等とを併せて記した切羽日報が、作業坑および本坑において全作業日について残されており、これらの情報を全てデジタル化するには作業の煩雑化が避けられないため、各切羽10m間隔となるように切羽情報を選択抽出して使用した。抽出された切羽情報はデジタイザーにより切羽面亀裂情報としてパソコンに取り込み入力した(図2参照)。
【0023】
次に過程2に従って作業坑及び本坑の2次元クラックテンソルFijを計算し、その結果をそれぞれ表1及び表2に示した。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】
ここで表1、2は左からstation、クラックテンソルの11成分、12成分、22成分、亀裂密度(F11とF22の和)、テンソルの最大主値、その主方向、および異方性の程度を示しており、最右欄には地山区分として必要とされる支保レベルを、支保の大きさに対応した数字として参考表示した。
【0027】
これら表1及び2の計算結果をstationに対してプロットしたものがそれぞれ図5及び6である。上から支保パターンの変化50、60、亀裂密度F0の変化51、61、主方向の変化52、62、および異方性程度の変化53、63を示したグラフであり、各図においてそれぞれ図(a)〜(d)としている。いずれのグラフにおいても横軸はstationとなっている。
【0028】
クラックテンソルFijを2次元として捉えた場合、その異方性の変化は0から1の値で表現され、1に近いほど存在する亀裂の走行が互いに平行に近く、0に近いほどランダムである事を意味する。このことと、図5及び6中の(d)図に示す異方性の結果とから考えるにこの岩盤の場合、作業坑及び本坑の両者について以下のような点が指摘される。
【0029】
1.支保パターン変化と亀裂密度のグラフ、(a)及び(b)図を比較すると、おおよそ亀裂密度の高い切羽ほど重い支保パターンになっており、両者の傾向に整合性が見られる。
2.亀裂の異方性の程度を(d)図からみると1に近い場合が多く多くの亀裂が互いに平行していることがわかる。
3.亀裂の卓越方向としては、亀裂密度が低い場合には切羽面で水平に近い亀裂が多く、亀裂密度がやや高くなると鉛直に近い亀裂の方向が多く見られるようになっている。
【0030】
以上のデータから、作業坑および本坑の各亀裂の幾何学性の特徴について構造的特徴を地盤統計法により解析した結果を図7及び8のセミバリオグラム70、80に示す。両図を比較すれば、図7の作業坑の場合よりは図8の本坑の場合の方がセミバリオグラムのばらつきが少ないことがわかる。
【0031】
上記バリオグラム関数35の決定に続いて、前記本坑の切羽情報を対象として切羽前方の亀裂密度を実際に推定した。該推定作業には、既知の切羽情報と前記バリオグラム関数35とを用いて、切羽前方任意の点での亀裂密度を推定するコンピュータプログラムを用いた。このプログラムにて前記最尤法を実施するためにはいくつかのパラメータを選定する必要がある。
【0032】
すなわち、
1.バリオグラム関数
2.クリギングに用いる最小および最大データ数
3.最大影響半径
である。
【0033】
ここでは、バリオグラム関数35は上述のセミバリオグラム70、80と同様に球モデルを採用し、例えば最小影響レンジを10m、最大影響レンジを200mとした。クリギングに用いる最小および最大データ数は、最小5データから最大100データまでを参照してクリギングを行うこととした。最大影響半径は、クリギングをするために考慮するデータの位置が、推定する点から何m離れた位置までのデータを探すのかを制限するもので、本実施例ではクリギングに用いる最大と最小データ数との関係から、100mの範囲を探してデータが5個以下であったら推定不能となるように設定した。まず、クリギングに参照可能な既知データ数が予測結果として得られる亀裂密度推定結果に与える影響を調べることとし、前記既知データを参照可能な、現切羽からの範囲を参照距離とし、この参照距離を50m、100m、および150mとした場合の亀裂密度推定結果90を図9に示した。
【0034】
この参照距離はクリギングに際して参照できる既知データ数に対応するものであり、本実施例の結果では距離50mの場合は、推定不能になるまでの距離が13.5m、距離100mおよび150mの場合がそれぞれ64mと115mであった。
【0035】
したがって、
1.現切羽から比較的遠距離の点について推定を行うには、参照距離がある程度必要である。
2.参照距離が長い場合には推定距離も長くなるが、例えば図9中に示す通り、station298.00付近からは亀裂密度の推定結果と実際の計測値とに違いが現れる結果となる。
3.これらを勘案すると、切羽の亀裂について十分な数の既知データがあった場合、30mから40m程度先の岩盤について比較的確実な亀裂密度推定が実施可能である。
などのポイントが明らかである。
【0036】
また、図9中のstation298.5付近に見られるような急激な地質状況変化、すなわち、破砕帯などの大きな地質構造が岩盤中に存在する場合については、ある程度事前調査の段階で情報が得られるとして予測を行えば、およその変化傾向には追随できるのである。
【0037】
実際のトンネル掘削現場においては一度の推定作業で全ての切羽面について亀裂密度推定を終了するわけではなく、トンネル切羽面の掘削進行にあわせて上述の如き切羽前方亀裂分布予測を適宜繰り返して行うことになる(過程5)。掘削が進行すると切羽情報が増加するから、より多くの切羽情報からバリオグラム関数35を決定しクリギングを実施することが出来るため、得られる推定結果の精度も向上していくことになる。
【0038】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明の切羽前方亀裂分布予測方法は、トンネル切羽前方の未知岩盤について各種地質状況を予測する亀裂分布予測方法であって、次の1から4に示す手順を順に実施してなるものである。
1既に掘削通過済みの過去の切羽面を含めた適宜切羽面における亀裂情報を抽出する切羽情報抽出手順。
2前記切羽情報抽出手順で抽出した各切羽面に対して前記亀裂情報に基づき2次元クラックテンソルを算出するクラックテンソル算出手順。
3各切羽面ごとに得られた前記2次元クラックテンソルを基に、トンネル内における所定基点からの離間距離に応じた亀裂密度分布を示すセミバリオグラムを算出し、該セミバリオグラムを近似したバリオグラム関数を決定するバリオグラム決定手順。
4前記バリオグラム関数に、既知の2次元クラックテンソルと、最尤法で得られる重み値とを代入することで既知の前記2次元クラックテンソルに対応した切羽面から所望の離間距離を隔てた未知岩盤について亀裂密度を算出推定する亀裂密度推定手順。
【0039】
したがって本発明によれば、日常的にトンネル掘削現場において実施されている切羽面のスケッチを単に保管記録として扱うに留まらず、切羽前方の亀裂予測に有効に活用することにつながる。このことは、切羽前方の亀裂予測に供せられる切羽面情報が、通常、トンネル掘削作業開始前に(あるいは終了後に)得られる切羽スケッチ等で十分であることを意味し、従って従来の如く狭小なトンネル内に測定装置等を搬入してこれを更に狭小化させて種々の作業効率を低下させたり、トンネル掘削作業を中断させたりといったトンネル掘削効率の低下を招く恐れを解消することにもつながるのである。
【0040】
また、探査の結果得られる岩盤中の亀裂分布や破砕帯の有無などの各種地質状況は、変状の程度が大規模なデータに限られることはなく、切羽前方における亀裂分布という形で、その分布頻度が小さくとも入手することが可能であり、詳細な地盤状況の検討を容易に行うことができる。
【0041】
つまり、切羽スケッチなどの、特別な機器を要することなく容易に得られる切羽面情報を有効に活用する為、切羽面情報入手のためにトンネル掘削作業を中断させることがなく、しかも亀裂分布等の地質状況を簡便かつ確実に得ることが出来るのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の切羽前方亀裂分布予測方法を示す流れ図である。
【図2】(a)は切羽面スケッチをデジタル画像として取り込んだ後の切羽画像を示し、(b)は(a)図の切羽画像をもとに行ったクラックテンソルの計算過程を示す。
【図3】本発明の切羽前方亀裂分布予測方法において用いられるセミバリオグラムを示すグラフである
【図4】本発明の切羽前方亀裂分布予測方法において最尤法を用いて得られた前方亀裂密度推定結果を示すグラフである
【図5】本発明の切羽前方亀裂分布予測方法を実際のトンネル(作業坑)に適用して得られた、(a)が支保パターンの変化、(b)が亀裂密度F0の変化、(c)が主方向の変化、(d)が異方性程度の変化を示したグラフである。
【図6】本発明の切羽前方亀裂分布予測方法を実際のトンネル(本坑)に適用して得られた、(a)が支保パターンの変化、(b)が亀裂密度F0の変化、(c)が主方向の変化、(d)が異方性程度の変化を示したグラフである。
【図7】本発明の切羽前方亀裂分布予測方法を実際のトンネル(作業坑)に適用して得られたセミバリオグラムを示すグラフである。
【図8】本発明の切羽前方亀裂分布予測方法を実際のトンネル(本坑)に適用して得られたセミバリオグラムを示すグラフである。
【図9】本発明の切羽前方亀裂分布予測方法を実際のトンネル(本坑)に適用し、クリギングに参照可能な既知データの範囲(参照距離)を現切羽から50m、100m、および150mとした場合の亀裂密度推定結果を示したグラフである。
【符号の説明】
F0 2次元クラックテンソル
1 切羽情報抽出手順
2 クラックテンソル算出手順
3 バリオグラム決定手順
4 亀裂密度推定手順
30 セミバリオグラム
35 バリオグラム関数
Claims (1)
- トンネル切羽前方の未知岩盤について各種地質状況を予測する亀裂分布予測方法であって、次の1から4に示す手順を順に実施してなるものである。
1既に掘削通過済みの過去の切羽面を含めた適宜切羽面における亀裂情報を抽出する切羽情報抽出手順。
2前記切羽情報抽出手順で抽出した各切羽面に対して前記亀裂情報に基づき2次元クラックテンソルを算出するクラックテンソル算出手順。
3各切羽面ごとに得られた前記2次元クラックテンソルを基に、トンネル内における所定基点からの離間距離に応じた亀裂密度分布を示すセミバリオグラムを算出し、該セミバリオグラムを近似したバリオグラム関数を決定するバリオグラム決定手順。
4前記バリオグラム関数に、既知の2次元クラックテンソルと、最尤法で得られる重み値とを代入することで既知の前記2次元クラックテンソルに対応した切羽面から所望の離間距離を隔てた未知岩盤について亀裂密度を算出推定する亀裂密度推定手順。
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