JP3697854B2 - Resin coated container with excellent flavor retention - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、少なくとも内面が熱可塑性ポリエステルで被覆されている容器における香味保持性の改良に関するものであり、より詳細には特定の香味阻害成分の溶出抑制による樹脂被覆容器の香味保持性の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)の如き熱可塑性ポリエステルは、機械的特性、耐衝撃性、耐熱性、透明性等に優れており、金属基体との積層体の形でツーピース缶や缶蓋等の用途に広く使用されている。
【0003】
従来、ポリエステル中のオリゴマー溶出を抑えてフレーバー保持性を向上させた金属ラミネート用フィルムについても既に提案がなされており、例えば、特開平8−1862号公報(東レ)には、ポリエステルを金属基体上に押出ラミネートし、該ポリエステルが融点120〜265℃、アセトアルデヒド含有量が35ppm以下であり、製缶後のポリエステルの密度の最小値が1.39g/cm3 以下である缶形成用ポリマー被覆積層体が記載されている。
【0004】
特開平7−330924号公報(帝人)には、融点が210〜245℃、ガラス転移点が60℃以上のポリエステル(I)99〜60重量%と、ポリブチレンテレフタレートを主体とする融点が180〜223℃のポリエステル(II)1〜40重量%とからなるポリエステルフィルムにおいて、該ポリエステルフィルム中のテレフタル酸(TA)、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート(BHET)、モノ(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート(MHET)、モノメチルテレフタレート(MMT)、及びモノメチル−モノ(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート(MMMHET)から選ばれる1種以上のモノマー類の遊離した状態での含有量が300ppm以下であることを特徴とする金属板貼り合わせ加工用ポリエステルフィルムが記載されている。
【0005】
特開平8−143687号公報(帝人)には、共重合芳香族ポリエステルからなるフィルムであって、該フィルムに含有される芳香族ジカルボン酸モノメチルエステルの量が50ppm以下であることを特徴とする金属板貼り合わせ加工用ポリエステルフィルムが記載され、更に、フィルムをイオン交換水で121℃、2時間の水抽出量が0.1mg/inch2 以下であることも記載されている。
【0006】
特開平7−132580、7−227946,7−331196号公報(東洋紡績)には、ポリエステル層中の環状三量体を0.7重量%以下にすることが記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
熱可塑性ポリエステル中には、その分解生成物であるアセトアルデヒドが存在し、このものは内容品の味を損なうことが古くから知られており、このアセトアルデヒドの量を低減させる提案も数多くなわれている。それに加えて問題なのは、熱可塑性ポリエステル中に不可避的に混入するモノマーやオリゴマー等であり、これらは、水に対する抽出傾向や、内容品の味に対する影響も千差万別であって、尚不明な点が多い。
【0008】
例えば、先行技術で引用されているテレフタル酸、BHET、MHET、MMT、MMMHET等の遊離したモノマー類は、味への影響度が比較的少ないものであり、それらの総水抽出物の量のみの制限しても、保香性を保つことは困難であると考えられる。
【0009】
また、ポリエステル中の環状三量体は樹脂中に最も多いオリゴマー成分であるが、水への溶解性が低く、内容品への移行量が少ない。また、安定な構造なので、加水分解してより低分子の物質に変化することも少ない。更に、味への影響度も少ない。
【0010】
かように、熱可塑性ポリエステル中に内容物の味を阻害する成分が含まれていること自体は知られていたが、内容物の香味保持性に最も影響を与える香味阻害成分が何であるかは未だ不明であった。特に、このような香味阻害成分としては、熱可塑性ポリエステルに本来含有されているものと、被覆容器の成形段階或いは内容物の保存性向上のための加熱殺菌段階で発生するものとが考えられるが、この点についての解明も未だ十分なされていないのが現状である。
【0011】
更に、内面が熱可塑性ポリエステルで被覆された容器、特に金属基体の内面側にポリエステル被覆を設けた容器では、ポリエステルを製膜する際の溶融熱処理、フィルムを熱接着させる際の熱処理、成形後の缶体等の熱固定や印刷焼き付け等の熱処理、或いは更に熱間充填や加熱殺菌等の熱処理が反復されるので、これらの熱処理の香味保持性への影響も無視できないといえる。
【0012】
本発明者らは、熱可塑性ポリエステル中に、内容物の香味保持性に甚大な影響を与える香味阻害成分を新たに発見し、この香味阻害成分の内容物中への溶出を低減させることにより、ポリエステル被覆容器の香味保持性を顕著に向上させうることを見出した。
【0013】
即ち、本発明の目的は、香味保持性が顕著に向上した熱可塑性ポリエステル被覆容器を提供するにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、少なくとも内面が熱可塑性ポリエステルで被覆されている容器において、前記熱可塑性ポリエステルの酸末端ジエステルオリゴマーの水溶出量の総量が2ppmであり、且つテレフタル酸−ブタンジオール−テレフタル酸の構造のオリゴマーの水溶出量が1ppm以下であることを特徴とする香味保持性に優れた樹脂被覆容器が提供される。
これに関連して、熱可塑性ポリエステルがブチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステル或いはブチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステルと他のポリエステルとのブレンド物である場合に、本発明は著効を奏するものである。
また、同様に、ガラス転移温度70℃以上のポリエステルから成る表面樹脂層と、ブチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステル或いはブチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステルと他のポリエステルとのブレンド物から成る下地樹脂層との積層体で、少なくとも内面が被覆されている場合にも、本発明は顕著な効果を奏するものである。
本発明の樹脂被覆容器は、種々の容器形態をとることができるが、金属缶、被覆金属容器蓋、被覆金属箔カップ、或いは被覆金属箔を用いた柔軟包装体等の形で好適に使用される。
【0015】
【発明の実施形態】
[作用]
本発明は、ポリエステル中の酸末端ジエステルオリゴマーが、ポリエステルからの溶出物中の香味阻害成分であるという発見に基づくものである。酸末端ジエステルオリゴマーは、水中に移行する傾向が大きく、しかも水中に移行した状態では極めて微量であっても香味を損なう傾向が極めて強い。本発明では、この酸末端ジエステルオリゴマーの水溶出量を2ppm以下に抑制することにより、ポリエステル被覆容器の香味保持性を顕著に向上させることができる。
【0016】
酸末端ジエステルオリゴマーとは、ポリエステルを構成する1モルのジオール成分と2モルの二塩基酸成分とが結合したもので、両末端にカルボキシル基と中間に2個のエステル単位とを含有するものであり、その化学構造は、例えば下記式(1)で表される。
【0017】
【化1】
【0018】
これらの内でも、特にポリブチレンテレフタレート(PBT)由来のオリゴマーであるテレフタル酸−ブタンジオール−テレフタル酸、即ち下記式(2)で表されるオリゴマーは香味阻害作用が特に強い。
【0019】
【化2】
【0020】
また、上記の酸末端ジエステルオリゴマーは、レトルト処理等によって水中に容易に移行するオリゴマーの主成分の1つである。
【0021】
ポリエステルフィルム中には、ポリエチレンテレフタレート(PET)なら環状三量体、PBTなら環状二量体が最も存在量の多いオリゴマーであるが、これらは水に溶けにくく、味への影響も少ない。
【0022】
一方、テレフタル酸やMHET、BHET、MHBTなどのモノマーは水への溶解性が環状オリゴマーよりは高いが、存在量が少ない。
【0023】
これに対して、酸末端ジエステルオリゴマーは、樹脂中の存在量は少ないが、レトルト処理や長期保存によって増加し、そしておそらく、より高分子の鎖状オリゴマーの加水分解によって増加し、内容品への移行量が増える(環状体はレトルト処理や長期保存では変化しにくい安定な物質である)。
【0024】
PBTのみでなく、PETや、AA(アジピン酸)共重合のPET及ぴPBT、IA(イソフテル酸)共重合のPET及ぴPBTの水移行オリゴマー成分中にも酸末端ジエステルは多い割合で存在する。これらも香味阻害作用が他のモノマーやオリゴマーより強かった。しかし、味への影響が最も強いのはテレフタル酸−ブタンジオール−テレフタル酸がエステル結合したPBTのオリゴマーであった。
【0025】
酸末端ジエステルオリゴマーの同定
PBT単独重合体のフィルムをガラスビン中で蒸留水(イオン交換水を蒸留した水、以下同じ)に浸積し、125℃1時間のレトルト処理を行って得た抽出水をロータリーエバポレーターで乾固直前まで濃縮し、濃縮物をジメチルホルムアミドに溶解する。0.45μmのフィルターでろ過後高速液体クロマトグラフ装置(HPLCと略す)(東ソー製SC−8020)で水(酢酸0.5%含有)とアセトニトリル(酢酸0.5%含有)のグラジエントを利用し逆相カラム(東ソー製ODS−80Ts直径4.6*長さ150mm)を用いて各成分を分離し、254nmのUV検出器で吸収を測定した。同定のためLC−MS(日本分光製PLATFORMII)で各成分のMSスペクトルを測定した。更にHPLCのピークを分取して溶媒を揮散させた後、KBR錠剤法で日本電子製JIR−100を用いてIRスペクトルを測定した。
HPLCチャートを図1に示す。また、HPLCチャート上の保持時間約24分に現れた大きなピークのIRスペクトルを図2に、またMSスペクトルを図3にそれぞれ示す。これらのスペクトルから、下記の構造式(2)で示されるテレフタル酸−ブタンジオールーテレフタル酸がエステル結合している酸末端ジエステル(以下、TA−BD−TAと略す)ど同定した。
【0026】
水抽出物中に発見されたオリゴマーの単離精製品で官能評価を行った結果、TA−BD−TAは水中1ppmを超えた場合半数以上のパネルが異味異臭を感じた。
同様の操作を行って得た、構造式(1)の酸末端ジエステルの内、他の構造のものでは、2ppmを超えて初めて香味阻害作用が現れた。
【0027】
酸末端ジエステルオリゴマーは、一般に前記式(1)で表される。酸として、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸,があてはまる。
アルコールとして、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコールがあてはまる。
数種の具体例を式(1)に示す。化合物中の二つの酸の種類が異なっても香味阻害作用がある。
【0028】
[酸末端ジエステルオリゴマー量の低減手段]
熱可塑性ポリエステル中の酸末端ジエステルオリゴマーは、既に指摘したとおり、もともと熱可塑性ポリエステルに含有されているものと、その後の熱による熱分解及び加水分解でできるものとがある。従って、熱可塑性ポリエステルとして、酸末端ジエステルオリゴマー含有量の少ないものを使用することも有効であり、更に熱による酸末端ジエステルオリゴマーへの分解を抑制することも有効である。以下、その数例について説明するが、本発明はこれらの例に限定されない。
【0029】
(1).酸末端ジエステルオリゴマー含有量の少ない樹脂を使用する。
酸末端ジエステルオリゴマー含有量のもともと少ない樹脂を使用することが基本的に重要である。この場合、既に指摘したとおり、酸末端ジエステルオリゴマー量と、環状2量体や環状3量体等のオリゴマー主成分の量との相関は一般に無いといえる。酸末端ジエステルオリゴマーを樹脂中から減らすためには、重合の終段を真空加熱し、固相重合により、ポリエステルの極限粘度を高めて、酸末端ジエステルオリゴマーの含有量を低減させることが有効である。また、重合に際し、酸末端ジエステルオリゴマー濃度が少なくなるような触媒を選択することも重要であり、例えばPBTならば、Ti系触媒を用いるのが適当である。触媒量を酸末端ジエステルオリゴマーの濃度が低くなるような量にコントロールすることも有効である。
【0030】
(2).製膜温度を高くしない。
製膜温度、特に樹脂温をあまり高くしないことも酸末端ジエステルオリゴマーの溶出量を低減させるのに有効である。実際には、押し出し機中での樹脂温度や、樹脂温度*滞留時間の積が問題となる。酸末端ジエステルオリゴマーの少ないポリエステル樹脂を使用しても、樹脂温度が高い場合、或いは樹脂温度*滞留時間の積の値が大きい場合、酸末端ジエステルオリゴマーがポリエステル樹脂中に増えて溶出する。PBTとPETを主原料としたポリエステル樹脂では、樹脂温度を300℃以上にするとオリゴマーが増大することが確認されている。
【0031】
(3).酸化防止剤の添加。
酸化防止剤の添加も酸末端ジエステルオリゴマーの溶出量を抑制するのに有効である。ポリエステル中に酸化防止剤を加えないと、容器成形までの加熱履歴により、また、レトルト処理やその後の長期保存により、酸末端ジエステルオリゴマーの溶出量が増大する。特に、PBTには酸化防止剤の添加が必須である。しかしながら、アミン系酸化防止剤では分解物が内容品のフレーバーに悪影響を及ぽす。食品包装用途には、ビタミンE、もしくはフェノール系の酸化防止剤、特にIRGANOX1010が適している。
【0032】
(4).ポリエステル被覆層の二層化。
ポリエステル被覆層を二層化することも酸末端ジエステルオリゴマーの溶出を抑制するのに有用である。下層に酸末端ジエステルの多いPBT樹脂を用いても、表層にTgが70℃以上のポリエステル樹脂を使用すれば、下層からの溶出量が抑制される。特に、表層に、高IVのPET/I(イソフタル酸共重合PET)やNDC(2,6・ナフタレンジカルボン酸)共重合PETを使用すると、樹脂自身の溶出する酸末端ジステル量が少ない上に、下層からの溶出を抑制する効果も高く、本発明の目的に望ましい。
【0033】
(5).PBTブレンド物の使用。
PBT単独を使用する代わりに、PBTを他のポリエステルとのブレンド物で使用することも、特に香味阻害作用の強い酸末端ジエステルオリゴマーTA−BD−TAの溶出量を少なくする上で有効である。もちろん、ブレンド物中のPBTの量比を少なくすると、溶出量をそれだけ低く抑えることが可能となる。
【0034】
[熱可塑性ポリエステル]
ポリエステルが誘導される酸成分としては、テレフタル酸、イソフタール酸、オルソフタール酸、P−β−オキシエトキシ安息香酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の二塩基性芳香族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、シクロヘキサンジ酢酸等の脂環族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ヘミメリット酸、1,1,2,2−エタンテトラカルボン酸、1,1,2−エタントリカルボン酸、1,3,5−ペンタントリカルボン酸、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸、ビフェニル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸等の多塩基酸等が挙げられる。勿論、これらは、単独でも或いは2種以上の組み合わせでも使用される。
【0035】
ポリエステルが誘導されるアルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等のジオール類や、ペンタエリスリトール、グリセロール、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、ソルビトール、1,1,4,4−テトラキス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン等の多価アルコール等が挙げられる。勿論、これらは、単独でも或いは2種以上の組み合わせでも使用される。
【0036】
本発明に用いるポリエステルは、上記酸成分及びアルコール成分のそれぞれ単独から成るホモポリエステルであってもよく、酸成分及びアルコール成分の少なくとも一方が複数の組み合わせから成るコポリエステルであってもよく、更には、上記ホモポリエステル乃至コポリエステルの2種以上のブレンド物であってもよい。
本発明に用いるポリエステルにおいては、テレフタール酸等の芳香族ジカルボン酸は二塩基酸成分の50モル%以上、特に70モル%以上で存在するのがよく、一方エチレングリコール及び/またはブチレングリコールはジオール成分の80モル%以上、特に90モル%以上で存在するのがよい。
【0037】
本発明に用いるポリエステルは、上記酸成分と上記アルコール成分とを直接反応させる直接重合法或いは酸成分のジメチルエステルとアルコール成分とを反応させるエステル交換法等により製造されるが、酸末端ジエステルオリゴマーの水溶出量を2ppm以下に抑制するためには、ポリエステル中の酸末端ジエステルオリゴマーの含有量を300ppm以下、特に200ppm以下に抑制するのがよく、このためにエステル化触媒乃至重合触媒として、酸末端ジエステルオリゴマー生成量の比較的少ないTi系触媒を使用し、重縮合の少なくとも終段を固相重合で行うのがよい。
【0038】
上記ポリエステル乃至ポリエステル組成物は、被覆層の物性と溶融押出特性の点から、0.5乃至2.0dl/g、特に0.6乃至1.5dl/gの固有粘度(IV)を有するのが望ましく、また、耐熱性や加工性と溶融押出特性の点から、160乃至270℃、特に200乃至250℃の融点(Tm)を有することが好ましい。
【0039】
本発明は、被覆層を形成する熱可塑性ポリエステルが、特にブチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステル或いはブチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステルと他のポリエステルとのブレンド物である場合に、香味保持性の向上に特に役立つものである。
【0040】
ブチレンテレフタレート系ポリエステル(PBT)は、金属等の基体に対する密着性に優れていると共に、被覆された積層体の状態で絞り加工やしごき加工に対する加工性にも優れており、落下衝撃等に対する耐衝撃性、更に衝撃を受けた後での密着性にも優れているという利点を有するものであるが、内容物の香味保持性が必ずしも十分でないという問題がある。本発明によれば、テレフタル酸−ブタンジオール−テレフタル酸(TA−BD−TA)の酸末端ジエステルオリゴマー、即ち前記式(2)で表されるオリゴマーの水溶出量を1ppm以下に抑制することにより、内容物の香味保持性をも向上させることができるものである。
【0041】
ブチレンテレフタレート系ポリエステル(PBT)は、ホモポリエステルやコポリエステルの形で用いるよりも他のポリエステルとのブレンド物の形で用いるのが一般的であり、このブレンド物において、テレフタール酸は二塩基酸成分の40乃至100モル%、特に50乃至100モル%存在するのがよく、一方ブチレングリコールはジオール成分の80モル%以上、特に90モル%以上で存在するのがよい。
テレフタル酸以外の酸成分或いはブチレングリコール以外のアルコール成分としては、前に例示したものが使用される。
【0042】
本発明に用いるPBT含有ポリエステル組成物の好適な例として、(i)エチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステルと(ii) (a)ブチレングリコールと芳香属二塩基酸とから誘導されたエステル単位と (b)ブチレングリコールと脂肪属二塩基酸とから誘導されたエステル単位とを100:0乃至50:50のモル比で含む共重合ポリエステルとを、(i):(ii)=90:10乃至30:70の重量比で含有する組成物が挙げられる。
【0043】
本発明に使用する上記ポリエステル組成物において、上記ポリエステル成分(i)は形成される被覆に機械的強度や剛性及び耐熱性を付与する成分であり、一方共重合成分(ii)は形成されるポリエステル被覆の到達結晶化度を低いレベルに抑制すると共に、ポリエステル被覆層の加工性を向上させ、更に缶の用途に適用した際の耐デント性を向上させる成分であり、これらを組み合わせで用いることにより、耐熱性を低下させることなく、耐衝撃性の向上が得られる。
【0044】
本発明の容器におけるポリエステル被覆層は、2層或いは3層以上の多層の積層構造を有していてもよい。即ち、オリゴマーの溶出傾向の大きいポリエステル層を下層とし、内容物の香味成分の吸着傾向の少ないポリエステル層を表層とすることにより、内容物の総合的な香味保持性を向上させることができる。
【0045】
本発明の好適な容器では、ガラス転移温度70℃以上のポリエステルから成る表面樹脂層と、ブチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステル或いはブチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステルと他のポリエステルとのブレンド物から成る下地樹脂層との積層体で、少なくとも内面が被覆されるようにする。
【0046】
上記PBT系ポリエステルの下地樹脂層が、金属基体との密着性や、耐衝撃性、加工性に優れたものであることは既に指摘したとおりであるが、上記表面樹脂層を設けることにより、内容物の香味成分の吸着を低いレベルに抑制し、腐食成分に対するバリアー性を向上させ、被覆の耐熱性を向上させると共に、TA−BD−TA系酸末端ジエステルオリゴマーの水溶出をも抑制することができる。
【0047】
ガラス転移点が70℃以上のポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)、酸成分の80乃至99モル%がテレフタル酸及び残りの1乃至20モル%がイソフタール酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸等から成るエチレンテレフタレート系共重合ポリエステルが挙げられる。
【0048】
[酸化防止剤]
酸末端ジエステルオリゴマーは、ポリエステル或いはその中に含まれる比較的高分子量のオリゴマーの熱分解よっても生成するので、この生成を防止するために酸化防止剤の配合が有効である。
【0049】
本発明に用いる酸化防止剤は、分子量400以上の酸化防止剤であり、これに限定されるものではないが、高分子フェノール系酸化防止剤、例えば、
テトラキス[メチレン−3(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン(分子量1177.7)、
1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン(分子量544.8)、
1,3,5−トリメチルー2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン(分子量775.2)、
ビス[3,3’−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル(分子量794.4)、
1,3,5−トリス(3’5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−s−トリアジン 2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン(分子量783.0)、
トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](分子量586.8)、
1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(分子量638.9)
等を用いることができる。中でも特に、テトラキス[メチレン−3(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタンが好適である。
【0050】
分子量400以上の酸化防止剤の他の例として、トコフェロール系酸化防止剤、例えばα−型、β−型、γ−型、δ−型等のトコフェロールを挙げることができる。α−トコフェロールが特に好適である。
【0051】
これらの酸化防止剤は、前記ポリエステル乃至ポリエステル組成物100重量部当たり0.01乃至1.5重量部の量で用いる。
【0052】
勿論、このポリエステル組成物には、それ自体公知の樹脂用配合剤、例えば非晶質シリカ等のアンチブロッキング剤、二酸化チタン(チタン白)等の顔料、各種帯電防止剤、滑剤等を公知の処方に従って配合することができる。
【0053】
[基体]
本発明では、ポリエステル被覆層を設ける基体としては、金属板や金属箔、紙、他のプラスチックフィルム乃至シート等が挙げられる。これらの内でも、金属基体、特に各種表面処理鋼板やアルミニウム等の軽金属板やそれらの箔が好適に使用される。
【0054】
表面処理鋼板乃至箔としては、冷圧延鋼板を焼鈍後二次冷間圧延し、亜鉛メッキ、錫メッキ、ニッケルメッキ、電解クロム酸処理、クロム酸処理等の表面処理の一種または二種以上行ったものを用いることができる。板の表裏において、異なったメッキ乃至表面処理を行うこともできる。
好適な表面処理鋼板の一例は、電解クロム酸処理鋼板であり、特に10乃至200mg/m2 の金属クロム層と1乃至50mg/m2 (金属クロム換算)のクロム酸化物層とを備えたものであり、このものは塗膜乃至フィルム密着性と耐腐食性との組合せに優れている。
表面処理鋼板の他の例は、0.1乃至11.2g/m2 の錫メッキ量を有するブリキ板である。このブリキ板は、金属クロム換算で、クロム量が1乃至30mg/m2 となるような重クロム酸処理或いはクロム酸処理或いはクロム酸/リン酸処理が行われていることが望ましい。
【0055】
軽金属板乃至箔としては、所謂純アルミニウム板乃至箔の他にアルミニウム合金板乃至箔が使用される。耐腐食性と加工性との点で優れたアルミニウム合金板は、Mn:0.0乃至1.5重量%、Mg:0.0乃至5重量%、Zn:0.01乃至0.3重量%、Cu:0.01乃至0.25重量%、及びCr:0.01乃至0.25重量%、残部がAlの組成を有するものである。これらの軽金属板も、塗膜乃至フィルム密着性と耐食性の観点より表面処理を行うことが望ましく、これらの表面処理として、クロム処理、ジルコニウム処理、リン酸処理、アルマイト処理、アクリル酸処理等がある。このうちで金属クロム換算で、クロム量が5乃至300mg/m2 となるようなクロム酸処理或いはクロム酸/リン酸処理が行われていることが望ましい。
【0056】
金属基体の厚みは、箔の場合の2μmから板の場合の1mm迄変化する。
【0057】
[被覆乃至積層構造体及びその製造]
本発明において、ポリエステルを主体とする層は、押出コートにより金属等の基体上に設けられていても、或いは二軸延伸フィルムの形で金属基体上に熱接着されていてもよい。前者の場合、ポリエステルを製膜し、二軸延伸することなしに直接ラミネートすることができ、この場合にもシームレス缶等への加工を容易に行うことができる。また、後者の場合、ポリエステルの二軸分子配向による耐衝撃性や耐腐食性の向上効果がある。これら何れの場合にも、酸末端ジエステルオリゴマーの水溶出量を2ppm以下、特に1ppm以下に抑制することにより、内容物の香味保持性を高めることができる。
【0058】
ポリエステル−金属ラミネートの押出コート法による製造は、金属板乃至箔を必要により加熱装置により予備加熱し、一対のラミネートロール間のニップ位置に供給する。一方、ポリエステルを、金属板乃至箔の両側に配置された押出機のダイヘッドを通して薄膜の形に押し出し、ラミネートロールと金属基体との間に供給し、ラミネートロールにより金属基体に圧着する。ラミネートロールは、一定の温度に保持されており、金属板にポリエステルから成る薄膜を圧着して両者を熱接着させると共に両側から冷却して積層体を得る。一般に、形成される積層体を更に冷却用水槽等に導いて、熱結晶化を防止するため、急冷を行う。
【0059】
この押出コート法では、樹脂組成の選択とロールや冷却槽による急冷とにより、ポリエステル乃至ポリエステル組成物の層は、結晶化度が、低いレベル、非晶密度との差が0.05以下に抑制されているため、ついで行う絞り加工等に対する十分な加工性が保証される。勿論、急冷操作は上記例に限定されるものではなく、形成されるラミネートに冷却水を噴霧して、ラミネートを急冷することもできる。
【0060】
金属基体に対するポリエステルの熱接着は、溶融ポリエステル層が有する熱量と、金属板が有する熱量とにより行われる。金属板の加熱温度(T1 )は、一般に90℃乃至290℃、特に100℃乃至280℃の温度が適当であり、一方ラミネートロールの温度は10℃乃至150℃の範囲が適当である。
【0061】
本発明において、積層体の製造に予め製膜されたポリエステルフィルムを使用することもできる。
このフィルムは、上記ポリエステル組成物をT−ダイ法でフィルムに成形し、過冷却された未配向ののキャストフィルムとする。この未配向のフィルムを熱接着に用いることもできるし、また、このキャストフィルムを延伸温度で、逐次或いは同時二軸延伸し、延伸後のフィルムを熱固定したものをラミネートの製造に用いることもできる。
【0062】
ポリエステル系フィルムは一般に二軸延伸されているのが好ましい。二軸配向の程度は、X線回折法、偏光蛍光法、複屈折法、密度勾配管法密度等でも確認することができる。フィルムの2軸延伸の程度は、0.04乃至0.18の複屈折を有するものが適当である。フィルムの延伸は一般に80乃至110℃の温度で、面積延伸倍率が2.5乃至16.0、特に4.0乃至14.0となる範囲から、ポリエステルの種類や他の条件との関連で、複屈折率が前記範囲となる延伸倍率を選ぶ。また、フィルムの熱固定は、130乃至240℃、特に150乃至230℃の範囲から、やはり前記条件が満足されるような熱固定温度を選ぶ。
【0063】
一般に必要でないが、接着用プライマーを用いる場合には、フィルムへの接着用プライマーとの密着性を高めるために、二軸延伸ポリエステルフィルムの表面をコロナ放電処理しておくことが一般に望ましい。コロナ放電処理の程度は、そのぬれ張力が44dyne/cm以上となるようなものであることが望ましい。
【0064】
この他、フィルムへのプラズマ処理、火炎処理等のそれ自体公知の接着性向上表面処理やウレタン樹脂系、変性ポリエステル樹脂系等の接着性向上コーティング処理を行っておくことも可能である。
【0065】
ポリエステルフィルムを使用するラミネート方法では、金属基体を加熱ロール等により用いるポリエステルの融点(Tm)以上の温度(T1 )に加熱し、ラミネートロール間に供給する。一方、ポリエステルフィルムを、供給ロールから巻きほぐし、ラミネートロール間に金属基体をサンドイッチする位置関係で供給する。ラミネートロールは、加熱ロールよりも若干低い温度(T2 )に保たれており、金属基体の両面にポリエステルフィルムを熱接着させる。ラミネートロールの下方には、形成されるラミネートを急冷するための冷却水を収容した水槽が設けられており、この水槽中にラミネートを導くガイドローラが配置されている。ラミネートロールと冷却水との間には一定の間隔のギャップGを形成し、このギャップGに保温機構を設けて、一定の温度範囲(T3 )に保持し、ポリエステルの溶融相から固相への遷移状態において、配向の戻りによるフィルム厚み方向途中における二軸配向のピークが形成されるようにするのがよい。
【0066】
金属板の加熱温度(T1 )は、一般にTm+0℃乃至Tm+100℃、特にTm+0℃乃至Tm+50℃の温度が適当であり、一方ラミネートロールの温度T2 は、70℃乃至180℃、特に80℃乃至150℃の範囲が適当である。上記の温度設定により、金属板上のポリエステルには、上記温度差に対応する温度勾配が形成され、この温度勾配は次第に低温側に移行しやがて消失するが、ポリエステルの表面側から金属板側への厚み方向途中の部分が、溶融相から固相への遷移状態において配向の戻り現象を生じる温度領域を十分な時間をかけて通過するようにする。このために、ラミネートロール通過後のラミネートを、保温域で保温するのが有効である。
【0067】
ポリエステルフィルムと金属素材の間に所望により設ける接着プライマーは、金属素材とポリエステル組成物層との両方に優れた接着性を示すものである。密着性と耐腐食性とに優れたプライマー塗料の代表的なものは、種々のフェノール類とホルムアルデヒドから誘導されるレゾール型フェノールアルデヒド樹脂と、ビスフェノール型エポキシ樹脂とから成るフェノールエポキシ系塗料であり、特にフェノール樹脂とエポキシ樹脂とを50:50乃至5:95重量比、特に40:60乃至10:90の重量比で含有する塗料である。
接着プライマー層は、一般に0.01乃至10μmの厚みに設けるのがよい。接着プライマー層は予め金属素材上に設けてもよい。
【0068】
本発明におけるラミネートの製造は、上記の方法に限定されない。即ち、予め形成された延伸乃至未延伸のフィルムと金属基体等との間に、前述したポリエステル乃至ポリエステル組成物を溶融押出する、所謂サンドイッチラミネーションによっても、ラミネートを製造することができる。この手段は、非常に融点の異なる複数の樹脂や基材密着性に劣る樹脂を積層できる利点を有する。勿論、エチレンテレフタレート系高結晶性ポリエステルフィルムと、金属基体を前述したポリエステルブレンド物の溶融物を介して積層するのにも有利に使用できる。
【0069】
本発明に使用するポリエステル層の厚みは、全体として、2乃至100μm、特に5乃至50μmの範囲にあるのが金属の保護効果及び加工性の点でよい。多層の場合、PBT乃至そのブレンド物層と、エチレンテレフタレート系ポリエステル(PET)層とは、96:4乃至4:96の厚み比を有するのがよい。
【0070】
[被覆容器]
上記の積層体は、通常の巻締用天地缶蓋、イージイオープン蓋或いは溶接継目或いは接着継目用スリピース缶用素材等に使用する他、ツーピース缶用の素材として使用できる。例えば、上記のラミネート材を、それ自体公知の手段により絞り加工、薄肉化絞り乃至絞り−しごき加工に付してツーピース缶用缶胴とする。この場合、次の条件を用いることが好ましい。
【0071】
先ず、絞り加工、薄肉化絞り加工乃至絞り−しごき加工は、ポリエステルの適正延伸温度、特にガラス転移温度以上、融解温度以下の温度で行うことが好ましい。即ち、この温度範囲では、ポリエステルは上記成形時に塑性流動して軸方向に有効に分子配向され、特に曲げ伸ばしによる薄肉化絞り加工、或いは絞り−しごき加工に於いて、ラミネート材の薄肉化が有効に行われる。
また、上記加工はポンチとダイスとの組合せを用いて行われるが、ポンチとしては、平均粗さ(Ra)が0.01乃至3μm、特に0.1乃至2μmの側面を有するポンチを用いることが、加工後のカップの抜け性の点で好ましい。粗さのパターンは、一般にドット状(ディンプル状)のものが好ましい。
【0072】
本発明の材料を用いたシームレス缶体は、前述したラミネート材を用いる点を除けば、それ自体公知の方法で製造される。即ち、このラミネートを円板等の形状に剪断し、これを絞りポンチと絞りダイスとの間で一段或いは多段の絞り加工に賦する。この絞り成形工程では、肉厚を均一化するためカップ側壁部の上方部分に軽度のしごきを加えたり、軸方向に絞りダイスのダイラジアス等の選定により、引張力を加えて曲げ伸ばしによる側壁の薄肉化を行ってよい。曲げ伸ばしによる薄肉化の詳細は、本発明者らによる特開平1−35004号公報に記載されている。深絞り缶の場合、絞り加工は、1段乃至多段で行うことができ下記式
(式中、Dは剪断したラミネート材の径であり、dはポンチ径である。)
で定義される絞り比RD は一段では1.2乃至2.5の範囲にあるのがよい。
【0073】
また曲げ伸ばしの場合には、缶の側壁部の薄肉化の程度は素板厚(tB )の5乃至45%、特に5乃至40%程度となるように、即ち厚みの残留率が、55乃至95%、特に60乃至95%となるように薄肉化するのが有効である。そして上記絞り成形に加えて、しごき成形を附加するのが薄肉化の点で有効である。
【0074】
しごき加工は、一段乃至多段で行うことができ、下記式
式中t0 はしごき加工前のラミネート材の厚みであり、tI はしごき加工後のカップの側壁部の厚みである。
で定義されるしごき率(RI )は1段としてのしごき加工で5〜40%にあるのが良い。多段しごきの場合には、最初の方のしごきで、できるだけしごき率を大きく取り、加工後のカップの抜け性の点から最後のしごきリングでのしごき率を3乃至20%の範囲であるのが良い。
【0075】
上記成形で得られる絞りカップは、必要によりトリミング、潤滑剤の揮発、外面印刷等の工程を通った後、ネッキング、フランジング加工を行って缶蓋との巻締を行う缶体とする。
尚、上記成形によって缶内面となるポリエステルフィルム層は、少なくとも表面が一軸あるいは二軸方向に分子配向されている。
【0076】
本発明の被覆容器において、容器の少なくとも内面は、上述したポリエステルで形成されているが、外面は同様にポリエステルで被覆されていてもよく、また他の樹脂や塗料で覆われていてもよい。
【0077】
以上、本発明を金属ポリエステルフィルム積層体から成るツーピース缶について主に説明したが、本発明の被覆乃至積層構造物は、それ以外の用途にも有用であり、例えば金属箔にポリエステルを被覆したものは、これを、絞り成形してカップ状容器として用いることもできるし、可撓性蓋材、或いはパウチとして用いることができる。
【0078】
【実施例】
本発明を次の例により、具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものはない。
次の例における測定は、次の方法により行った。
【0079】
1.酸末端ジエステルオリゴマーの定量法
試験水1000g分をフラスコに移し35℃の水浴で加温しながらロータリーエバポレーターで乾固寸前まで濃縮し、フラスコ内の残留物をジメチルホルムアミド10mlに溶解した。この液を0.45μmのフィルターでろ過した後逆層カラム(東ソー製ODS−80Ts 直径4.6*長さ150mm)を装着した液体クロマトグラフ装置(東ソー製SC−8020)で溶離液に0.05%のリン酸を添加した水−アセトニトリルのグラジエントを利用して目的のオリゴマーを分離しUV検出器で定量した。
アジピン酸含有オリゴマーのようなUV吸収の小さいオリゴマーはLC/MS(日本分光製PLATFORMII)を用いてエレクトロンスプレーイオン化法で測定した。検量線は各物質とも液体クロマトグラフ装置で分取した各オリゴマーの精製品を用いて作成した。
【0080】
2.香味保持性の評価
試験水と、試験水と同等の殺菌条件で処理したガラスビン入りの蒸留水(イオン交換水を蒸留した水)を、基本味識別テストに合格した20代〜40代のパネル20名(男性15名、女性5名)により味とにおいを3点識別法で比較した。15人以上が蒸留水との差を識別できず、且つ試験水に異味異臭を感じなかった場合を○、10人以上が試験水と蒸留水との差を識別し、且つ試験水に異味異臭を感じた場合を×、上記以外の場合を△とした。
【0081】
実施例1〜3
固相重合法で作成した表1に示すような共重合比の異なる組成の樹脂に酸化防止剤としてビタミンEを0.1重量%の割合でブレンドし、樹脂温度260℃で内外面が20μmの厚みのアルミラミネート板を作成した。
この樹脂被覆アルミ板にペトロレイタムを塗布し、円板を打ち抜き常法に従い浅絞りカップを成形する。次いでこの絞りカップの第1次、第2次薄肉化再絞り成形を行う。この絞りカップを常法に従ってドーミング成形を行い、潤滑剤の除去及び樹脂の歪み除去の目的で熱処理後、開口端縁部のトリミング加工、曲面印刷及び焼き付け乾燥、フランジング加工を行って内容量350mlのツーピース缶を作成した。
【0082】
この缶を洗浄後350gの前述の蒸留水を充填し、蓋を巻締めた。この缶にレトルト釜にて125℃1時間のレトルト処理を行い、22℃で3ヶ月保存後の充填水を試験水とし、上記の方法に従って酸末端ジエステルの定量と官能評価を行った。
得られた結果を表2に示す。
【0083】
【表1】
【0084】
【表2】
【0085】
比較例1及び2
溶融重合法で作成した表1に記載した樹脂を使用した他は実施例1と同様に製缶し、充填水の試験を実施した。
得られた結果を表2に示す。
【0086】
比較例3
ラミネートする際の樹脂温度を300℃にする以外は実施例1と同様に行った。
得られた結果を表2に示す。
【0087】
比較例4
表1に記載した樹脂を用い、酸化防止剤を加えない他は実施例1と同様に行った。
得られた結果を表2に示す。
【0088】
実施例4、5及び比較例5
表層の樹脂は固相重合法で、下層の樹脂は溶融重合法で作成した表1に記載した組成の樹脂を共押し出しすることにより樹脂層を二層構成とした。表層の厚みは5μm、下層の厚みは20μmとした。その他は実施例1と同様に缶を作成し充填水を試験した。
【0089】
表層樹脂のTgは実施例4の樹脂が73℃、実施例5の樹脂が84℃、比較例5の樹脂が58℃であった。
得られた結果を表2に示す。
【0090】
実施例6
表1の組成の固相重合法で作成した樹脂にビタミンEを加えて作成した厚み20μmのフィルムを内面に、厚み12μmのPETフィルムを外面にウレタン系接着剤を介してアルミ箔にラミネートし、内寸110mm×150mmのパウチをヒートシーラーで成形した。このパウチに200gの蒸留水を充填してヒートシールを行い、130℃30分のレトルト処理後22℃で3ヶ月保存し充填水の試験を行った。
得られた結果を表2に示す。
【0091】
表2の結果から明らかなように、酸末端ジエステルオリゴマーの総溶出量が2ppm以下であり、そのうちTA−BD−TAの溶出量が1ppm以下である場合は香味保持性に優れていた。
【0092】
【発明の効果】
本発明者らは、熱可塑性ポリエステル中に、内容物の香味保持性に甚大な影響を与える香味阻害成分、酸末端ジエステルオリゴマーを新たに発見した。この香味阻害成分の内容物中への溶出量を2ppm以下、特にTA−BD−TAオリゴマーの溶出量を1ppm以下に低減させることにより、ポリエステル被覆容器の香味保持性を顕著に向上させうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ホモポリブチレンテレフタレートの高速液体クロマトグラフ(HPLC)チャートを示す。
【図2】HPLCチャート上の保持時間約24分に現れた大きなピークのIRスペクトルを示す。
【図3】前記ピークのMSスペクトルを示す。[0001]
[Industrial application fields]
The present invention relates to improvement of flavor retention in a container having at least an inner surface coated with a thermoplastic polyester, and more particularly relates to improvement of flavor retention of a resin-coated container by suppressing elution of a specific flavor inhibiting component. .
[0002]
[Prior art]
Thermoplastic polyesters such as polyethylene terephthalate (PET) and polybutylene terephthalate (PBT) are excellent in mechanical properties, impact resistance, heat resistance, transparency, etc., and in the form of a laminate with a metal substrate, Widely used in applications such as can lids.
[0003]
Conventionally, a metal laminating film having improved flavor retention by suppressing oligomer elution in polyester has already been proposed. For example, JP-A-8-1862 (Toray) discloses polyester on a metal substrate. The polyester has a melting point of 120 to 265 ° C., an acetaldehyde content of 35 ppm or less, and the minimum density of the polyester after canning is 1.39 g / cm.ThreeThe following can-form polymer-coated laminates are described.
[0004]
In JP-A-7-330924 (Teijin), the melting point is 210 to 245 ° C, the glass transition point is 99 to 60% by weight of polyester (I), and the melting point mainly composed of polybutylene terephthalate is 180 to In a polyester film comprising 1 to 40% by weight of polyester (II) at 223 ° C., terephthalic acid (TA), bis (2-hydroxyethyl) terephthalate (BHET), mono (2-hydroxyethyl) terephthalate in the polyester film The content in the free state of one or more monomers selected from (MHET), monomethyl terephthalate (MMT), and monomethyl-mono (2-hydroxyethyl) terephthalate (MMMHET) is 300 ppm or less. Polyester film for bonding metal plates Lum has been described.
[0005]
JP-A-8-143687 (Teijin) discloses a metal comprising a copolymerized aromatic polyester, wherein the amount of aromatic dicarboxylic acid monomethyl ester contained in the film is 50 ppm or less. A polyester film for laminating processing is described, and the film is extracted with ion-exchanged water at 121 ° C. for 2 hours, and the amount of water extracted is 0.1 mg / inch.2It is also described that:
[0006]
JP-A-7-132580, 7-227946, 7-331196 (Toyobo) describes that the cyclic trimer in the polyester layer is 0.7% by weight or less.
[0007]
[Problems to be solved by the invention]
In thermoplastic polyesters, acetaldehyde, which is a decomposition product thereof, has been known for a long time to deteriorate the taste of its contents, and many proposals have been made to reduce the amount of this acetaldehyde. . In addition, the problems are monomers and oligomers that are inevitably mixed in the thermoplastic polyester, and these are also unclear in terms of their tendency to extract water and the taste of the contents. There are many points.
[0008]
For example, free monomers such as terephthalic acid, BHET, MHET, MMT, and MMMHET cited in the prior art have relatively little influence on taste, and only the amount of their total water extract Even if restricted, it is considered difficult to maintain the fragrance retention.
[0009]
Further, the cyclic trimer in the polyester is the most abundant oligomer component in the resin, but its solubility in water is low and the amount transferred to the contents is small. In addition, since it has a stable structure, it is less likely to hydrolyze and become a lower molecular weight substance. Furthermore, there is little influence on taste.
[0010]
Thus, it has been known that the thermoplastic polyester contains a component that inhibits the taste of the content, but what is the flavor inhibiting component that most affects the flavor retention of the content? It was still unknown. In particular, such flavor-inhibiting components may be those originally contained in the thermoplastic polyester and those generated in the molding stage of the coated container or in the heat sterilization stage for improving the storage stability of the contents. However, the current situation is that this point has not yet been clarified.
[0011]
Furthermore, in a container whose inner surface is coated with a thermoplastic polyester, especially a container provided with a polyester coating on the inner surface side of a metal substrate, a melt heat treatment when forming a polyester film, a heat treatment when heat-bonding a film, Since heat treatment such as heat fixation of a can body or printing baking, or heat treatment such as hot filling or heat sterilization is repeated, it can be said that the influence of these heat treatments on flavor retention cannot be ignored.
[0012]
The present inventors have newly discovered a flavor inhibiting component that greatly affects the flavor retention of the content in the thermoplastic polyester, and by reducing the dissolution of this flavor inhibiting component into the content, It has been found that the flavor retention of the polyester-coated container can be significantly improved.
[0013]
That is, an object of the present invention is to provide a thermoplastic polyester-coated container with significantly improved flavor retention.
[0014]
[Means for Solving the Problems]
According to the present invention, in a container having at least an inner surface coated with a thermoplastic polyester, the water elution amount of the acid-terminated diester oligomer of the thermoplastic polyesterTotal amount2ppmAnd the water elution amount of the oligomer having the structure of terephthalic acid-butanediol-terephthalic acid is 1 ppm or less.A resin-coated container excellent in flavor retention is provided..
ThisIn relation to this, the present invention has a remarkable effect when the thermoplastic polyester is a polyester mainly composed of a butylene terephthalate unit or a blend of a polyester mainly composed of a butylene terephthalate unit and another polyester. .
Similarly, a surface resin layer made of polyester having a glass transition temperature of 70 ° C. or higher and a base resin layer made of polyester mainly composed of butylene terephthalate units or a blend of polyester mainly composed of butylene terephthalate units and other polyesters. Even when at least the inner surface is coated with the laminate, the present invention has a remarkable effect.
Tree of the present inventionGreasyThe covering container can take various container forms, but is preferably used in the form of a metal can, a covering metal container lid, a covering metal foil cup, a flexible package using the covering metal foil, or the like.
[0015]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
[Action]
The present invention is based on the discovery that acid-terminated diester oligomers in polyesters are flavor inhibiting components in the eluate from polyesters. The acid-terminated diester oligomer has a large tendency to migrate into water, and when it is migrated into water, it has a very strong tendency to impair the flavor even in a very small amount. In the present invention, the flavor retention of the polyester-coated container can be remarkably improved by suppressing the water elution amount of the acid-terminated diester oligomer to 2 ppm or less.
[0016]
An acid-terminated diester oligomer is a compound in which 1 mol of a diol component and 2 mol of a dibasic acid component constituting a polyester are bonded, and contains a carboxyl group at both ends and two ester units in the middle. The chemical structure is represented, for example, by the following formula (1).
[0017]
[Chemical 1]
[0018]
Among these, in particular, terephthalic acid-butanediol-terephthalic acid, which is an oligomer derived from polybutylene terephthalate (PBT), that is, an oligomer represented by the following formula (2) has a particularly strong flavor inhibiting action.
[0019]
[Chemical 2]
[0020]
Moreover, said acid terminal diester oligomer is one of the main components of the oligomer which transfers easily to water by retort processing or the like.
[0021]
In a polyester film, polyethylene terephthalate (PET) is a cyclic trimer, and PBT is a cyclic dimer, which is the most abundant oligomer, but these are hardly soluble in water and have little influence on taste.
[0022]
On the other hand, monomers such as terephthalic acid, MHET, BHET, and MHBT have higher solubility in water than cyclic oligomers, but are present in a small amount.
[0023]
In contrast, acid-terminated diester oligomers are present in small amounts in the resin, but are increased by retorting and long-term storage, and possibly increased by hydrolysis of higher molecular chain oligomers, resulting in increased content. The amount of migration increases (annular bodies are stable substances that do not change easily during retorting or long-term storage).
[0024]
In addition to PBT, there are also a large proportion of acid-terminated diesters in PET and water transfer oligomer components of PET and PBT of AA (adipic acid) copolymerization and PET and PBT of IA (isophthalic acid) copolymerization. . These also had a stronger flavor inhibiting effect than other monomers and oligomers. However, the strongest influence on taste was an oligomer of PBT in which terephthalic acid-butanediol-terephthalic acid was ester-bonded.
[0025]
Identification of acid-terminated diester oligomers
A PBT homopolymer film is immersed in distilled water (water obtained by distilling ion-exchanged water, the same shall apply hereinafter) in a glass bottle, and the extracted water obtained by performing a retort treatment at 125 ° C. for 1 hour is immediately dried on a rotary evaporator. And the concentrate is dissolved in dimethylformamide. After filtration through a 0.45 μm filter, a gradient of water (containing 0.5% acetic acid) and acetonitrile (containing 0.5% acetic acid) was used with a high performance liquid chromatograph (abbreviated as HPLC) (SC-8020 manufactured by Tosoh Corporation). Each component was separated using a reverse phase column (ODS-80Ts diameter 4.6 ** 150 mm length manufactured by Tosoh Corporation), and the absorption was measured with a 254 nm UV detector. For identification, the MS spectrum of each component was measured by LC-MS (PLATFORM II manufactured by JASCO Corporation). Further, after separating the HPLC peak and evaporating the solvent, the IR spectrum was measured by JBR JIR-100 by the KBR tablet method.
The HPLC chart is shown in FIG. Further, FIG. 2 shows an IR spectrum of a large peak appearing at a retention time of about 24 minutes on the HPLC chart, and FIG. 3 shows an MS spectrum. From these spectra, the acid-terminated diester (hereinafter abbreviated as TA-BD-TA) in which terephthalic acid-butanediol-terephthalic acid represented by the following structural formula (2) is ester-bonded was identified.
[0026]
As a result of sensory evaluation with an isolated and purified product of an oligomer found in an aqueous extract, more than half of the panels felt a nasty and odor when TA-BD-TA exceeded 1 ppm in water.
Among the acid-terminated diesters of the structural formula (1) obtained by carrying out the same operation, those having other structures exhibited a flavor inhibiting action only after exceeding 2 ppm.
[0027]
The acid-terminal diester oligomer is generally represented by the formula (1). Examples of the acid include terephthalic acid, isophthalic acid, 2,6-naphthalenedicarboxylic acid, adipic acid, and sebacic acid.
Examples of alcohol include ethylene glycol, 1,4-butanediol, 1,4-cyclohexanedimethanol, and diethylene glycol.
Several specific examples are shown in Formula (1). Even if two kinds of acids in the compound are different, there is a flavor inhibiting action.
[0028]
[Means for reducing the amount of acid-terminated diester oligomers]
As already pointed out, the acid-terminated diester oligomers in the thermoplastic polyester include those originally contained in the thermoplastic polyester and those that can be obtained by subsequent thermal decomposition and hydrolysis by heat. Therefore, it is effective to use a thermoplastic polyester having a low content of acid-terminated diester oligomers, and it is also effective to suppress decomposition into acid-terminated diester oligomers due to heat. Several examples will be described below, but the present invention is not limited to these examples.
[0029]
(1). Use a resin with a low content of acid-terminated diester oligomers.
It is fundamentally important to use a resin with a low content of acid-terminated diester oligomers. In this case, as already pointed out, it can be said that there is generally no correlation between the amount of the acid-terminated diester oligomer and the amount of the main oligomer component such as a cyclic dimer or cyclic trimer. In order to reduce acid-terminated diester oligomers from the resin, it is effective to reduce the content of acid-terminated diester oligomers by increasing the intrinsic viscosity of the polyester by solid-phase polymerization by heating the final stage of the polymerization. . In the polymerization, it is also important to select a catalyst that reduces the acid-terminated diester oligomer concentration. For example, in the case of PBT, it is appropriate to use a Ti-based catalyst. It is also effective to control the amount of catalyst so that the concentration of the acid-terminated diester oligomer is low.
[0030]
(2). Do not increase the film forming temperature.
It is also effective to reduce the elution amount of the acid-terminated diester oligomer so that the film-forming temperature, particularly the resin temperature is not so high. Actually, the product of the resin temperature in the extruder and the resin temperature * the residence time becomes a problem. Even when a polyester resin having a small amount of acid-terminated diester oligomers is used, if the resin temperature is high, or if the product value of the resin temperature * retention time is large, the acid-terminated diester oligomers are increased and eluted in the polyester resin. It has been confirmed that in a polyester resin using PBT and PET as main raw materials, the oligomer increases when the resin temperature is 300 ° C. or higher.
[0031]
(3). Addition of antioxidants.
Addition of an antioxidant is also effective in suppressing the elution amount of the acid-terminated diester oligomer. If an antioxidant is not added to the polyester, the elution amount of the acid-terminated diester oligomer increases due to the heating history up to container molding, and due to retort treatment and subsequent long-term storage. In particular, the addition of an antioxidant is essential for PBT. However, with amine-based antioxidants, the degradation products adversely affect the flavor of the contents. For food packaging applications, vitamin E or phenolic antioxidants, particularly IRGANOX 1010, are suitable.
[0032]
(4). Two layers of polyester coating layer.
It is also useful to suppress the elution of the acid-terminated diester oligomer by making the polyester coating layer into two layers. Even if a PBT resin with a large amount of acid-terminated diester is used for the lower layer, the amount of elution from the lower layer is suppressed if a polyester resin having a Tg of 70 ° C. or higher is used for the surface layer. In particular, when using high IV PET / I (isophthalic acid copolymerized PET) or NDC (2,6.naphthalenedicarboxylic acid) copolymerized PET on the surface layer, the amount of acid-terminated distell eluted from the resin itself is small. The effect of suppressing elution from the lower layer is also high, which is desirable for the purpose of the present invention.
[0033]
(5). Use of PBT blends.
Use of PBT in a blend with another polyester instead of using PBT alone is also effective in reducing the amount of acid-terminated diester oligomer TA-BD-TA that has a particularly strong flavor-inhibiting action. Of course, if the amount ratio of PBT in the blend is reduced, the amount of elution can be kept low.
[0034]
[Thermoplastic polyester]
Examples of the acid component from which the polyester is derived include terephthalic acid, isophthalic acid, orthophthalic acid, P-β-oxyethoxybenzoic acid, naphthalene-2,6-dicarboxylic acid, diphenoxyethane-4,4′-dicarboxylic acid, 5 -Dibasic aromatic dicarboxylic acids such as sodium sulfoisophthalic acid, alicyclic dicarboxylic acids such as hexahydroterephthalic acid and cyclohexanediacetic acid, aliphatic dicarboxylic acids such as adipic acid and sebacic acid, trimellitic acid and pyromellitic acid Hemimellitic acid, 1,1,2,2-ethanetetracarboxylic acid, 1,1,2-ethanetricarboxylic acid, 1,3,5-pentanetricarboxylic acid, 1,2,3,4-cyclopentanetetracarboxylic acid Examples thereof include polybasic acids such as acid and biphenyl-3,4,3 ′, 4′-tetracarboxylic acid. Of course, these may be used alone or in combination of two or more.
[0035]
Examples of the alcohol component from which the polyester is derived include diols such as ethylene glycol, propylene glycol, 1,4-butanediol, neopentyl glycol, 1,6-hexylene glycol, diethylene glycol, triethylene glycol, and cyclohexanedimethanol, And polyhydric alcohols such as pentaerythritol, glycerol, trimethylolpropane, 1,2,6-hexanetriol, sorbitol, 1,1,4,4-tetrakis (hydroxymethyl) cyclohexane, and the like. Of course, these may be used alone or in combination of two or more.
[0036]
The polyester used in the present invention may be a homopolyester composed of each of the acid component and the alcohol component alone, or may be a copolyester wherein at least one of the acid component and the alcohol component is composed of a plurality of combinations. A blend of two or more homopolyesters or copolyesters may be used.
In the polyester used in the present invention, aromatic dicarboxylic acid such as terephthalic acid should be present in 50 mol% or more, particularly 70 mol% or more of the dibasic acid component, while ethylene glycol and / or butylene glycol is a diol component. 80 mol% or more, particularly 90 mol% or more.
[0037]
The polyester used in the present invention is produced by a direct polymerization method in which the acid component and the alcohol component are directly reacted or a transesterification method in which the dimethyl ester of the acid component is reacted with the alcohol component. In order to suppress the amount of water elution to 2 ppm or less, the content of the acid-terminated diester oligomer in the polyester should be suppressed to 300 ppm or less, particularly 200 ppm or less. It is preferable to use a Ti-based catalyst that produces a relatively small amount of diester oligomer and perform at least the final stage of polycondensation by solid phase polymerization.
[0038]
The polyester or polyester composition has an intrinsic viscosity (IV) of 0.5 to 2.0 dl / g, particularly 0.6 to 1.5 dl / g, from the viewpoint of physical properties of the coating layer and melt extrusion characteristics. Desirably, it preferably has a melting point (Tm) of 160 to 270 ° C., particularly 200 to 250 ° C., from the viewpoint of heat resistance, workability, and melt extrusion characteristics.
[0039]
In the present invention, when the thermoplastic polyester forming the coating layer is a polyester mainly composed of a butylene terephthalate unit or a blend of a polyester mainly composed of a butylene terephthalate unit and another polyester, the flavor retention is improved. It is particularly useful for.
[0040]
Butylene terephthalate-based polyester (PBT) has excellent adhesion to substrates such as metals, as well as excellent workability for drawing and ironing in the state of a coated laminate, and is resistant to dropping impacts. However, there is a problem in that the flavor retention of the contents is not always sufficient. According to the present invention, by suppressing the water elution amount of the acid-terminated diester oligomer of terephthalic acid-butanediol-terephthalic acid (TA-BD-TA), that is, the oligomer represented by the formula (2), to 1 ppm or less. Further, the flavor retention of the contents can be improved.
[0041]
Butylene terephthalate polyester (PBT) is generally used in the form of a blend with another polyester rather than in the form of a homopolyester or a copolyester. In this blend, terephthalic acid is a dibasic acid component. The butylene glycol should be present at 80 mol% or more, particularly 90 mol% or more of the diol component.
As the acid component other than terephthalic acid or the alcohol component other than butylene glycol, those exemplified above are used.
[0042]
Preferred examples of the PBT-containing polyester composition used in the present invention include (i) a polyester mainly composed of ethylene terephthalate units, and (ii) (a) an ester unit derived from butylene glycol and an aromatic dibasic acid. b) a copolyester containing ester units derived from butylene glycol and an aliphatic dibasic acid in a molar ratio of 100: 0 to 50:50, (i) :( ii) = 90: 10 to 30 : The composition containing by weight ratio of 70 is mentioned.
[0043]
In the polyester composition used in the present invention, the polyester component (i) is a component that imparts mechanical strength, rigidity and heat resistance to the coating to be formed, while the copolymer component (ii) is a polyester to be formed. It is a component that suppresses the ultimate crystallinity of the coating to a low level, improves the processability of the polyester coating layer, and further improves the dent resistance when applied to cans. By using these in combination The impact resistance can be improved without reducing the heat resistance.
[0044]
The polyester coating layer in the container of the present invention may have a multilayer structure of two layers or three or more layers. That is, the overall flavor retention of the contents can be improved by using a polyester layer having a large tendency to elute oligomers as a lower layer and a polyester layer having a low tendency to adsorb flavor components of the contents as a surface layer.
[0045]
A preferred container of the present invention comprises a surface resin layer composed of a polyester having a glass transition temperature of 70 ° C. or more, a polyester mainly composed of butylene terephthalate units, or a blend of a polyester mainly composed of butylene terephthalate units and another polyester. At least the inner surface is covered with a laminate with the base resin layer.
[0046]
As already pointed out, the base resin layer of the PBT polyester is excellent in adhesion to the metal substrate, impact resistance, and workability. However, by providing the surface resin layer, the contents Suppresses the adsorption of flavor components of the product to a low level, improves the barrier property against corrosive components, improves the heat resistance of the coating, and also suppresses water elution of TA-BD-TA acid-terminated diester oligomers. it can.
[0047]
Polyesters having a glass transition point of 70 ° C. or higher include polyethylene terephthalate (PET), polyethylene-2,6-naphthalate (PEN), 80 to 99 mol% of the acid component is terephthalic acid, and the remaining 1 to 20 mol% is isophthal. Examples thereof include ethylene terephthalate copolymer polyesters composed of acid, naphthalene-2,6-dicarboxylic acid, and the like.
[0048]
[Antioxidant]
Since the acid-terminated diester oligomer is also generated by thermal decomposition of polyester or a relatively high molecular weight oligomer contained therein, the addition of an antioxidant is effective for preventing this formation.
[0049]
The antioxidant used in the present invention is an antioxidant having a molecular weight of 400 or more, and is not limited thereto, but is a high molecular phenolic antioxidant, for example,
Tetrakis [methylene-3 (3 ', 5'-di-t-butyl-4'-hydroxyphenyl) propionate) methane (molecular weight 1177.7),
1,1,3-tris (2-methyl-4-hydroxy-5-tert-butylphenyl) butane (molecular weight 544.8),
1,3,5-trimethyl-2,4,6-tris (3,5-di-tert-butyl-4-hydroxybenzyl) benzene (molecular weight 775.2),
Bis [3,3'-bis- (4'-hydroxy-3'-t-butylphenyl) butyric acid] glycol ester (molecular weight 794.4),
1,3,5-tris (3'5'-di-t-butyl-4'-hydroxybenzyl) -s-
Triethylene glycol-bis [3- (3-tert-butyl-5-methyl-4-hydroxyphenyl) propionate] (molecular weight 586.8),
1,6-hexanediol-bis [3- (3,5-di-tert-butyl-4-hydroxyphenyl) propionate (molecular weight 638.9)
Etc. can be used. Among these, tetrakis [methylene-3 (3 ', 5'-di-t-butyl-4'-hydroxyphenyl) propionate) methane is preferable.
[0050]
Other examples of the antioxidant having a molecular weight of 400 or more include tocopherol antioxidants such as α-type, β-type, γ-type, and δ-type tocopherols. α-Tocopherol is particularly preferred.
[0051]
These antioxidants are used in an amount of 0.01 to 1.5 parts by weight per 100 parts by weight of the polyester or polyester composition.
[0052]
Of course, for this polyester composition, known compounding agents for resins, for example, antiblocking agents such as amorphous silica, pigments such as titanium dioxide (titanium white), various antistatic agents, lubricants and the like are known formulations. According to the formula.
[0053]
[Substrate]
In the present invention, examples of the substrate on which the polyester coating layer is provided include metal plates, metal foils, paper, and other plastic films or sheets. Of these, metal substrates, particularly light metal plates such as various surface-treated steel plates and aluminum, and foils thereof are preferably used.
[0054]
As the surface-treated steel sheet or foil, the cold-rolled steel sheet was subjected to secondary cold rolling after annealing, and one or more surface treatments such as galvanization, tin plating, nickel plating, electrolytic chromic acid treatment, and chromic acid treatment were performed. Things can be used. Different plating or surface treatment can be performed on the front and back of the plate.
An example of a suitable surface-treated steel sheet is an electrolytic chromic acid-treated steel sheet, particularly 10 to 200 mg / m.21-50mg / m of metal chromium layer2And a chromium oxide layer (in terms of chromium metal), which has an excellent combination of coating film or film adhesion and corrosion resistance.
Other examples of surface-treated steel sheets are 0.1 to 11.2 g / m2It is a tin plate having a tin plating amount. This tin plate has a chromium content of 1 to 30 mg / m in terms of metal chromium.2It is desirable that dichromic acid treatment, chromic acid treatment, or chromic acid / phosphoric acid treatment is performed.
[0055]
As the light metal plate or foil, an aluminum alloy plate or foil is used in addition to a so-called pure aluminum plate or foil. The aluminum alloy plate excellent in terms of corrosion resistance and workability is Mn: 0.0 to 1.5% by weight, Mg: 0.0 to 5% by weight, Zn: 0.01 to 0.3% by weight , Cu: 0.01 to 0.25 wt%, and Cr: 0.01 to 0.25 wt%, with the balance being Al. These light metal plates are also preferably subjected to surface treatment from the viewpoint of coating film or film adhesion and corrosion resistance, and these surface treatments include chromium treatment, zirconium treatment, phosphoric acid treatment, alumite treatment, acrylic acid treatment, and the like. . Of these, the amount of chromium is 5 to 300 mg / m in terms of metallic chromium.2It is desirable that chromic acid treatment or chromic acid / phosphoric acid treatment is performed.
[0056]
The thickness of the metal substrate varies from 2 μm for foil to 1 mm for plate.
[0057]
[Coating or laminated structure and production thereof]
In the present invention, the layer mainly composed of polyester may be provided on a substrate such as a metal by extrusion coating, or may be thermally bonded on a metal substrate in the form of a biaxially stretched film. In the former case, polyester can be formed and laminated directly without being biaxially stretched, and in this case as well, processing into a seamless can or the like can be easily performed. In the latter case, there is an effect of improving impact resistance and corrosion resistance by the biaxial molecular orientation of polyester. In any of these cases, the flavor retention of the contents can be enhanced by suppressing the water elution amount of the acid-terminated diester oligomer to 2 ppm or less, particularly 1 ppm or less.
[0058]
In the production of a polyester-metal laminate by an extrusion coating method, a metal plate or foil is preheated by a heating device as necessary, and supplied to a nip position between a pair of laminate rolls. On the other hand, polyester is extruded in the form of a thin film through a die head of an extruder disposed on both sides of a metal plate or foil, supplied between the laminate roll and the metal substrate, and pressed against the metal substrate by the laminate roll. The laminating roll is maintained at a constant temperature, and a thin film made of polyester is pressure-bonded to a metal plate to thermally bond them together and is cooled from both sides to obtain a laminate. In general, the formed laminate is further led to a cooling water tank or the like to perform rapid cooling in order to prevent thermal crystallization.
[0059]
In this extrusion coating method, the layer of polyester or polyester composition has a low crystallinity level and the difference from the amorphous density is suppressed to 0.05 or less by selecting the resin composition and quenching with a roll or a cooling bath. Therefore, sufficient workability with respect to the subsequent drawing or the like is guaranteed. Of course, the rapid cooling operation is not limited to the above example, and the laminate can be rapidly cooled by spraying cooling water on the formed laminate.
[0060]
The thermal bonding of the polyester to the metal substrate is performed by the amount of heat that the molten polyester layer has and the amount of heat that the metal plate has. Metal plate heating temperature (T1In general, a temperature of 90 ° C. to 290 ° C., particularly 100 ° C. to 280 ° C. is suitable, while a temperature of the laminate roll is suitably in the range of 10 ° C. to 150 ° C.
[0061]
In the present invention, a polyester film formed in advance for the production of a laminate can also be used.
In this film, the polyester composition is formed into a film by a T-die method to form a supercooled unoriented cast film. This unoriented film can be used for thermal bonding, or the cast film can be used for production of a laminate by biaxially stretching the film at the stretching temperature sequentially or simultaneously and heat-fixing the stretched film. it can.
[0062]
The polyester film is generally preferably biaxially stretched. The degree of biaxial orientation can also be confirmed by X-ray diffraction method, polarized fluorescence method, birefringence method, density gradient tube method density and the like. The degree of biaxial stretching of the film is suitably one having a birefringence of 0.04 to 0.18. The stretching of the film is generally at a temperature of 80 to 110 ° C., and the area stretching ratio is 2.5 to 16.0, particularly 4.0 to 14.0, in relation to the type of polyester and other conditions, A stretching ratio is selected so that the birefringence is in the above range. Further, the heat setting temperature of the film is selected from the range of 130 to 240 ° C., particularly 150 to 230 ° C., so that the above conditions are satisfied.
[0063]
Although not generally required, when an adhesion primer is used, it is generally desirable to subject the surface of the biaxially stretched polyester film to corona discharge treatment in order to enhance the adhesion to the adhesion primer to the film. The degree of corona discharge treatment is preferably such that the wetting tension is 44 dyne / cm or more.
[0064]
In addition, it is also possible to perform known adhesion improving surface treatments such as plasma treatment and flame treatment on the film, and adhesion improving coating treatments such as urethane resin and modified polyester resin.
[0065]
In a laminating method using a polyester film, the temperature (T1) is equal to or higher than the melting point (Tm) of the polyester in which the metal substrate is used with a heating roll or the like. ) And fed between laminate rolls. On the other hand, the polyester film is unwound from the supply roll and supplied in a positional relationship in which the metal substrate is sandwiched between the laminate rolls. The laminating roll has a slightly lower temperature (T2The polyester film is thermally bonded to both sides of the metal substrate. Below the laminating roll, a water tank containing cooling water for rapidly cooling the laminate to be formed is provided, and a guide roller for guiding the laminate is disposed in the water tank. A gap G having a constant interval is formed between the laminating roll and the cooling water, and a heat retention mechanism is provided in the gap G so that a constant temperature range (TThreeIn the transition state from the melt phase to the solid phase of the polyester, a biaxial orientation peak in the middle of the film thickness direction due to the return of orientation is preferably formed.
[0066]
Metal plate heating temperature (T1In general, a temperature of Tm + 0 ° C. to Tm + 100 ° C., particularly Tm + 0 ° C. to Tm + 50 ° C. is suitable, while the temperature T of the laminate roll2The range of 70 ° C. to 180 ° C., particularly 80 ° C. to 150 ° C. is suitable. By the above temperature setting, a temperature gradient corresponding to the above temperature difference is formed in the polyester on the metal plate, and this temperature gradient gradually shifts to the low temperature side and disappears, but from the polyester surface side to the metal plate side. A portion in the middle of the thickness direction is allowed to pass through a temperature region in which the orientation return phenomenon occurs in the transition state from the melt phase to the solid phase over a sufficient time. For this purpose, it is effective to keep the laminate after passing through the laminate roll in a heat-retaining region.
[0067]
The adhesion primer provided as desired between the polyester film and the metal material exhibits excellent adhesion to both the metal material and the polyester composition layer. A typical primer paint excellent in adhesion and corrosion resistance is a phenol epoxy paint comprising a resol type phenol aldehyde resin derived from various phenols and formaldehyde, and a bisphenol type epoxy resin. In particular, it is a paint containing a phenol resin and an epoxy resin in a weight ratio of 50:50 to 5:95, particularly 40:60 to 10:90.
The adhesive primer layer is generally preferably provided with a thickness of 0.01 to 10 μm. The adhesion primer layer may be provided on the metal material in advance.
[0068]
The production of the laminate in the present invention is not limited to the above method. That is, a laminate can also be produced by so-called sandwich lamination in which the above-described polyester or polyester composition is melt-extruded between a preformed or unstretched film and a metal substrate. This means has an advantage that a plurality of resins having very different melting points and resins having poor substrate adhesion can be laminated. Of course, it can be advantageously used for laminating an ethylene terephthalate-based highly crystalline polyester film and a metal substrate through a melt of the polyester blend described above.
[0069]
The thickness of the polyester layer used in the present invention as a whole is in the range of 2 to 100 μm, and particularly in the range of 5 to 50 μm, from the viewpoint of the metal protective effect and workability. In the case of multiple layers, the PBT or a blend layer thereof and the ethylene terephthalate polyester (PET) layer preferably have a thickness ratio of 96: 4 to 4:96.
[0070]
[Coated container]
The above laminate can be used as a material for two-piece cans, in addition to being used for ordinary winding top and bottom can lids, easy-open lids, welded seams or adhesive seams. For example, the laminate material is subjected to drawing processing, thinning drawing or drawing-ironing processing by means known per se to obtain a two-piece can body. In this case, it is preferable to use the following conditions.
[0071]
First, it is preferable that the drawing process, the thinning drawing process or the drawing-ironing process be performed at an appropriate stretching temperature of the polyester, particularly at a temperature not lower than the glass transition temperature and not higher than the melting temperature. That is, within this temperature range, the polyester is plastically flowed during the above molding and is effectively molecularly oriented in the axial direction. Especially, thinning of the laminate material is effective in thinning drawing processing or drawing-ironing processing by bending and stretching. To be done.
The above processing is performed using a combination of a punch and a die. As the punch, a punch having a side surface with an average roughness (Ra) of 0.01 to 3 μm, particularly 0.1 to 2 μm is used. From the viewpoint of easy removal of the cup after processing. In general, the roughness pattern is preferably dot-shaped (dimple-shaped).
[0072]
The seamless can body using the material of the present invention is produced by a method known per se, except that the above-described laminate material is used. That is, this laminate is sheared into a shape such as a disk, and this is subjected to one-stage or multistage drawing between the drawing punch and the drawing die. In this drawing process, a slight ironing is applied to the upper part of the side wall of the cup in order to make the wall thickness uniform, or a thin wall of the side wall is formed by bending and stretching by applying a tensile force by selecting a drawing die radius in the axial direction. You may do. Details of the thinning by bending and stretching are described in Japanese Patent Laid-Open No. 1-35004 by the present inventors. In the case of deep-drawn cans, drawing can be performed in one or more stages, and the following formula
(In the formula, D is the sheared laminate material diameter, and d is the punch diameter.)
The aperture ratio RD defined by (1) is preferably in the range of 1.2 to 2.5 in a single stage.
[0073]
In the case of bending and stretching, the degree of thinning of the side wall of the can is 5 to 45% of the base plate thickness (tB), particularly 5 to 40%, that is, the residual thickness ratio is 55 to 45%. It is effective to reduce the thickness to 95%, particularly 60 to 95%. In addition to the above drawing, adding ironing is effective in reducing the thickness.
[0074]
Ironing can be performed in one or more stages,
In the formula, t0 is the thickness of the laminate material before ironing, and tI is the thickness of the side wall of the cup after ironing.
The ironing rate (RI) defined in (1) should be 5 to 40% in the ironing process as one stage. In the case of multi-stage ironing, the ironing rate of the first ironing is as large as possible, and the ironing rate of the last ironing ring is in the range of 3 to 20% from the viewpoint of the ability to remove the cup after processing. good.
[0075]
The drawn cup obtained by the above molding is made into a can body that, after passing through processes such as trimming, volatilization of lubricant, printing on the outer surface, and the like, is subjected to necking and flanging to be tightened with a can lid.
The polyester film layer that becomes the inner surface of the can by the above molding is molecularly oriented at least on the surface in a uniaxial or biaxial direction.
[0076]
In the coated container of the present invention, at least the inner surface of the container is formed of the above-described polyester, but the outer surface may be similarly coated with polyester, or may be covered with another resin or paint.
[0077]
As mentioned above, although the present invention was mainly explained about the two piece can which consists of a metal polyester film layered product, the covering thru / or laminated structure of the present invention is useful also for other uses, for example, what coated polyester on metal foil Can be drawn and used as a cup-shaped container, or as a flexible lid or pouch.
[0078]
【Example】
The present invention will be specifically described with reference to the following examples, but the present invention is not limited to these examples.
The measurement in the following example was performed by the following method.
[0079]
1. Determination of acid-terminated diester oligomers
The test water (1000 g) was transferred to a flask, concentrated in a rotary evaporator while heating in a 35 ° C. water bath, and concentrated to near dryness, and the residue in the flask was dissolved in 10 ml of dimethylformamide. This solution was filtered through a 0.45 μm filter, and then the eluent was added to the eluent by a liquid chromatograph apparatus (Tosoh SC-8020) equipped with a reverse layer column (ODS-80Ts diameter 4.6 *
Oligomers with low UV absorption such as adipic acid-containing oligomers were measured by an electron spray ionization method using LC / MS (PLATFORM II manufactured by JASCO Corporation). A calibration curve was prepared for each substance using the purified products of each oligomer fractionated with a liquid chromatograph.
[0080]
2. Evaluation of flavor retention
Test water and distilled water in glass bottles treated under the same sterilization conditions as test water (water obtained by distilling ion-exchanged water) 20 people in their 20s to 40s who passed the basic taste identification test (15 men) The taste and smell were compared by a three-point identification method by five women). When 15 or more people cannot distinguish the difference from distilled water and the test water does not feel a strange odor ○ 10 or more identify the difference between the test water and distilled water, and the test water has a strange odor The case where I felt was marked with x, and the case other than the above was marked with Δ.
[0081]
Examples 1-3
Vitamin E as an antioxidant is blended at a ratio of 0.1% by weight to a resin having a different copolymerization ratio as shown in Table 1 prepared by the solid phase polymerization method, and the inner and outer surfaces are 20 μm at a resin temperature of 260 ° C. A thick aluminum laminate was prepared.
A petrolatum is applied to the resin-coated aluminum plate, a disc is punched out, and a shallow drawn cup is formed according to a conventional method. Next, primary and secondary thinning redrawing of the drawn cup is performed. The drawn cup is domed according to a conventional method, and after heat treatment for the purpose of removing lubricant and resin distortion, trimming of the edge of the opening, curved surface printing, baking drying, and flanging are performed, and the inner volume is 350 ml. Made a two-piece can.
[0082]
After washing this can, 350 g of the above-mentioned distilled water was filled and the lid was wound. This can was subjected to a retort treatment at 125 ° C. for 1 hour in a retort kettle, and the filling water after storage at 22 ° C. for 3 months was used as test water, and the acid-terminal diester was quantified and sensory evaluated in accordance with the above method.
The obtained results are shown in Table 2.
[0083]
[Table 1]
[0084]
[Table 2]
[0085]
Comparative Examples 1 and 2
A can was made in the same manner as in Example 1 except that the resin described in Table 1 prepared by the melt polymerization method was used, and a test for filling water was performed.
The obtained results are shown in Table 2.
[0086]
Comparative Example 3
The same procedure as in Example 1 was performed except that the resin temperature during lamination was changed to 300 ° C.
The obtained results are shown in Table 2.
[0087]
Comparative Example 4
The same procedure as in Example 1 was performed except that the resins listed in Table 1 were used and no antioxidant was added.
The obtained results are shown in Table 2.
[0088]
Examples 4 and 5 and Comparative Example 5
The resin of the surface layer was formed by a solid phase polymerization method, and the resin of the lower layer was coextruded with a resin having a composition described in Table 1 prepared by a melt polymerization method, thereby forming a resin layer in a two-layer structure. The thickness of the surface layer was 5 μm, and the thickness of the lower layer was 20 μm. Others were made in the same manner as in Example 1, and the filling water was tested.
[0089]
The Tg of the surface layer resin was 73 ° C for the resin of Example 4, 84 ° C for the resin of Example 5, and 58 ° C for the resin of Comparative Example 5.
The obtained results are shown in Table 2.
[0090]
Example 6
A 20 μm thick film prepared by adding vitamin E to a resin prepared by the solid phase polymerization method having the composition shown in Table 1 is laminated on the inner surface, and a 12 μm thick PET film is laminated on the outer surface with an aluminum adhesive via a urethane adhesive. A pouch having an inner size of 110 mm × 150 mm was molded with a heat sealer. This pouch was filled with 200 g of distilled water and heat-sealed. After retorting at 130 ° C. for 30 minutes, the pouch was stored at 22 ° C. for 3 months, and the filling water was tested.
The obtained results are shown in Table 2.
[0091]
As is clear from the results in Table 2, the total elution amount of the acid-terminated diester oligomer was 2 ppm or less, and when the elution amount of TA-BD-TA was 1 ppm or less, the flavor retention was excellent.
[0092]
【The invention's effect】
The present inventors have newly discovered a flavor-inhibiting component and an acid-terminal diester oligomer that greatly affect the flavor retention of the contents in thermoplastic polyester. By reducing the elution amount of the flavor-inhibiting component into the content to 2 ppm or less, particularly the elution amount of the TA-BD-TA oligomer to 1 ppm or less, the flavor retention of the polyester-coated container can be significantly improved.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 shows a high performance liquid chromatograph (HPLC) chart of homopolybutylene terephthalate.
FIG. 2 shows an IR spectrum of a large peak appearing at a retention time of about 24 minutes on an HPLC chart.
FIG. 3 shows an MS spectrum of the peak.
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