【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、海水や淡水に長期間接触して使用された時に、水棲生物の付着が極めて少ない水産資材に関する。
【0002】
【従来の技術】
海水や淡水中で長時間使用される水産資材として、たとえば漁業用定置網、養畜魚介類用生簀網等の網地やロ−プに使用される繊維製品や金属製品:航路浮標、灯浮標、ブイ等の係留に使用されるロ−プ:土木用に使用される汚濁防止繊維膜:発電用海水取水設備、船舶の船底等を挙げることができる。
これらの水産資材は海水や淡水に長期間接触するうちに、その表面に種々の付着性水棲生物、たとえばアオサやケイソウ等の藻類、イソギンチャクやヒドロ虫等の腔腸動物、イソカイメン等の海綿動物、ウズマキゴカイ等の環形動物、コケムシ等の触手動物、フジツボ等の節足動物、ホヤ等の原索動物、ムラサキイガイ等の軟体動物が付着し、生息する。
【0003】
そして、水棲生物の付着により、たとえば定置網では重量増加に伴う網の沈下、水流抵抗増大による網の流失、接触・屈曲による網の破損、捕獲した魚介類の損傷等の問題が生じている。また生簀網の場合も重量増大による網の沈下の他に、海水や淡水の流動性低下による酸素の欠乏、種々の付着性水棲生物による養畜魚介類の被害等の大きな弊害を来すこととなる。
【0004】
海水や淡水に長期間接触して使用される繊維製品における上述の問題に対する対策として、トリブチルスズオキシド、トリフェニルスズオキシド、トリフェニルスズアセテ−ト、トリフェニルスズクロライド等の有機スズ化合物で該繊維製品を処理する方法が広く採用されてきた。
しかしながら、有機スズ化合物の使用はそれを用いて繊維製品を処理する際に、激しい不快臭や刺激臭を伴い、作業環境を劣悪にするという問題があった。しかも、有機スズ化合物が魚介類の体内に異常に蓄積されると、魚介類の奇形や死滅等の重大な弊害を招き、そして人間がそのような魚介類を摂取した場合には人体に多大な悪影響を及ぼすことが近年明らかになっている。したがって有機スズ化合物で処理された水産資材の使用は全面禁止の方向に向かっている。
【0005】
そこで、上記のような大きな弊害をともなう有機スズ化合物に代わり得る技術の1つとして、生物に対し付着阻害効果を有する銅、銀、亜鉛、ニッケル等の金属やそれらの化合物、または窒素系、硫黄系、ハロゲン系等の有機化合物や、物理的に生物付着阻害効果を発揮させる目的としてジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等の有機ポリシロキサンを含有させた塗料を塗布する方法がある。
【0006】
しかしながら、これらの塗料を塗布する方法では、水棲生物忌避効果は2ケ月程度しか持続せず、さらなる塗料の塗布は人体に対する危険性、不快感、重労働等の作業を伴うことになる。
【0007】
このように、金属あるいはその化合物、有機化合物を使用した塗料の塗布によって水棲生物の付着を防止することはできるが、あくまでも短期間であって、長期にわたって、たとえば永続的に効果が持続する水産資材は現在見出だされていない。
本発明者等は防汚剤を含有する樹脂の特性に着目し、樹脂の溶融粘度を規定した水産資材の出願をすでに行った(特願平7−20172号)。しかしながら、1年間という短い期間では水棲生物付着防止効果は奏するものの、数年間といった長期に亘る効果については疑問であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は塗料の塗布が不必要であり、魚介類や人体に対する安全性が高く、耐久性があり、水棲生物の付着を長期にわたって防止することが可能な水産資材を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、下記一般式(1)で示される化合物、その金属塩、またはアミン塩のコンプレックスを含有する熱可塑性樹脂からなる水産資材であって、該熱可塑性樹脂がジオ−ル変性ポリエステルであることを特徴とする水産資材を提供することによって達成される。
【0010】
【化2】
【0011】
【発明の実施形態】
上述の化合物としては有機窒素硫黄系化合物であり、Y、R、R´それぞれが示すアルキル基、アルケニル基、アラルキル基は炭素数が1〜10の基であることが好ましく、またRおよびR´が示すハロゲン原子としては塩素であることが好ましい。
【0012】
該化合物の具体例として2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−5−クロロ−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン等を挙げることができる。これらの化合物は塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛、塩化銅、臭化銅、硝酸銅、塩化ニッケル、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化鉄、塩化マンガン、塩化ナトリウム、塩化バリウム等の金属塩、塩化アンモニウムやその他のアミンクロライドなどのアミン塩と一体化して錯体化合物を形成していてもよい。
【0013】
かかる化合物の熱可塑性樹脂への含有量は水棲生物の付着防止効果を考慮して0.1〜10重量%の範囲であることが好ましい。含有量を多くしても効果の向上は認められず、また少なすぎても効果は奏されない。より好ましい含有量は3〜7重量%の範囲である。
【0014】
上述の化合物を含有する熱可塑性樹脂としてはジオ−ル変性ポリエステルであることが後述する該化合物の溶出半減期の点で必要である。
ポリエステルとしてはポリエチレンテレフタレ−ト、ポリブチレンテレフタレ−トなどの汎用ポリエステルを用いることができるが、テレフタル酸と1,6−ヘキサンジオ−ルからなるポリヘキサメチレンテレフタレ−トを用いることが溶融粘度、上述する化合物の溶出性の点で好ましい。
また該ポリエステルを変性させるジオ−ル成分とはエチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、ネオペンチルグリコ−ル、シクロヘキサン−1、4−ジメタノ−ル、ポリエチレングリコ−ル、ポリテトラメチレングリコ−ル等であり、その変性率はとくに限定されないが、融点、溶融粘度等の取扱性を考慮すると、エチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、ネオペンチルグリコ−ル、シクロヘキサン−1、4−ジメタノ−ル等は該ポリエステルを構成するジオ−ル成分の10〜50モル%の範囲であることが好ましく、ポリエチレングリコ−ル、ポリテトラメチレングリコ−ル等は該ポリエステルを構成するジオ−ル成分の1〜20重量%の範囲であることが好ましい。
【0015】
また、該ジオ−ル変性ポリエステルは融点が150℃以下、溶融粘度が10000ポイズ以下(160℃、キャピラリ−長10mm、キャピラリ−径1mm、剪断速度1000秒-1の条件)であることが好ましい。
融点が150℃を越える場合には熱溶融による上述の化合物との混練、紡糸、成型の各工程で180℃を越える熱をかける必要が生じ、上述の化合物が気化、または分解してその効果が低下してしまう場合がある。また溶融粘度もあまり高すぎると、混練、紡糸、成型の各工程で180℃以上の剪断熱が生じ、上述の化合物の気化、分解を招く場合が生じる。より好ましい融点は140℃以下、溶融粘度は2000〜5000ポイズの範囲である。
【0016】
ジオ−ル変性ポリエステルの中には融点が高いものがあるが、この場合には融点降下剤を添加して融点を下げることが好ましい。融点降下剤としてポリブテン、液状ポリエステル等の中分子ポリマ−を使用することができる。該融点降下剤の添加量は融点が150℃以下に下がる程度に、また溶融粘度が10000ポイズ以下に下がる程度の量を添加させればとくに限定されるものではない。
【0017】
さらに上述のジオ−ル変性ポリエステル中には、導電性改良剤、紫外線吸収剤等の改質剤や着色顔料等の添加剤を適宜含有させることができる。
【0018】
本発明の水産資材の製造方法について説明する。
該水産資材は二軸混練機を使用して、ジオ−ル変性ポリエステル、上述の化合物およびその他の化合物を均一に混練してまずフィルム化し、得られたフィルムを適当な接着剤を用いてブイ、海水取水口、船底等の構造物の表面に貼付する方法によっても得られる。また、該フィルムをテ−プ状に裁断してロ−プ、ワイヤ−、ポ−ル等の線状構造物に巻回して被覆する方法によっても得ることができる。貼付または被覆する対象物の材質によっては貼付後、または被覆後に該フィルムに熱処理を施して熱融着させることも可能である。
【0019】
さらには溶融押出法によってモノフィラメント、マルチフィラメント、ステ−プル等を製造し、これらよりロ−プ、漁網、布帛等の水産資材を製造することができる。また溶融押出被覆法によって線状構造物の表面に直接、上述の化合物含有樹脂を被覆させることも可能である。線状構造物の素材としては被覆樹脂の加工条件でほ被覆加工が可能なものであればとくに限定されるものではなく、天然繊維、合成繊維、ガラス、金属、炭素等を挙げることができる。
【0020】
本発明の水産資材としては、たとえば漁業用定置網、養畜魚介類用生簀網等の網地やロ−プに使用される繊維製品、航路浮標、灯浮標、ブイ、およびこれらの係留に使用されるロ−プ、土木用に使用される汚濁防止繊維膜、発電用海水取水設備、船舶の船底等があるが、これらに限定されるものではなく、水棲生物が付着すると困る水産資材が対象である。
【0021】
また、上述のように、本発明においては特定の化合物を含有してなるジオ−ル変性ポリエステルから水産資材を製造するものであり、かかるポリエステルを使用することにより、水産資材中からの上述の化合物の溶出量を示す半減期は30日以上(25℃の人工海水中)であり、長期に亘り水棲生物の付着防止効果が持続されるのである。
【0022】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳述するが、本発明はこれら実施例により何等限定されるものではない。なお実施例中の各評価は以下の方法により評価されたものである。
(1)水棲生物付着状況の判定基準
5:生物の付着が全く観察されなかった。
4:対象物の表面全体の10%程度に生物の付着が見られた。
3:対象物の表面全体の20%程度に生物の付着が見られた。
2:対象物の表面全体の50%程度に生物の付着が見られた。
1:対象物の表面全体に生物の付着が見られた。
(2)ポリエステルの融点(℃)
示差走査熱量計(メトラ−社製、TC10A型)を用いて測定した曲線から求めた。
(3)ポリエステルの溶融粘度(ポイズ)
キャピログラフ(東洋精機社製、キャピログラフ1C型)を用いて、160℃における溶融粘度を測定した。
(4)半減期
すべての材料を混練した後、厚さ300μm、長さ75mm、幅10mmのフィルムを作製し、該フィルムを人工海水(塩化ナトリウム3%、塩化マグネシウム0.5%、蒸留水96.5%)300ミリリットル中に浸漬して25℃、65r.p.mで振盪した。24時間ごとに人工海水を採取するとともに人工海水を交換して化合物の溶出量を測定し、半減期を算出した。
【0023】
実施例1
1,4−ブタンジオ−ル30モル%変性ポリヘキサメチレンテレフタレ−ト (極限粘度0.86:フェノ−ル/テトラクロロエタン等重量%の混合溶液中30℃にて測定、融点126℃、溶融粘度4000ポイズ)に4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンを6重量%、平均分子量3000のポリブテン(出光石油化学社製、2000H)を6重量%含有させ、ラボプラストミルフィルム成型機(東洋精機社製)を用い、厚さ150μmのフィルムを作製した。
このフィルムを幅1cmのテ−プ状に裁断し、直径6mmのロ−プに均一に一重巻きを行い、120℃5分間の熱融着処理を施した。
得られたロ−プを5年間海水中に浸漬して水棲生物の付着状況を観察した。結果を表1に示す。5年間の連続浸漬にも拘らず水棲生物の付着は全く見られなかった。なお、上記化合物の半減期は54日であった。
【0024】
実施例2
実施例1において、ジオ−ル変性ポリエステルとして、エチレングリコ−ル20モル%変性ポリヘキサメチレンテレフタレ−ト(極限粘度0.78、融点137℃、溶融粘度3300ポイズ)を使用した以外は同様の方法にて樹脂に被覆されたロ−プを得た。
得られたロ−プを5年間海水中に浸漬して水棲生物の付着状況を観察した。結果を表1に示す。5年間の連続浸漬にも拘らず水棲生物の付着は全く見られなかった。なお、上記化合物の半減期は35日であった。
【0025】
比較例1
実施例1において、ジオ−ル変性ポリエステルに代えて、低密度ポリエチレン(融点105℃、溶融粘度1500ポイズ)を使用した以外は同様の方法にて樹脂に被覆されたロ−プを得た。
得られたロ−プを5年間海水中に浸漬して水棲生物の付着状況を観察した。結果を表1に示す。1年目は生物の付着は観察されなかったが、2年目になるとロ−プ表面全体に亘って生物が付着していた。なお、上記化合物の半減期は8日であった。
【0026】
比較例2
実施例1において、ジオ−ル変性ポリエステルに代えて、エチレン酢酸ビニル共重合体(融点110℃、溶融粘度1200ポイズ)を使用した以外は同様の方法にて樹脂に被覆されたロ−プを得た。
得られたロ−プを5年間海水中に浸漬して水棲生物の付着状況を観察した。結果を表1に示す。1年目ですでにロ−プ表面の50%程度に生物が付着していた。なお、上記化合物の半減期は3日であった。
【0027】
比較例3
実施例1において、ジオ−ル変性ポリエステルに代えて、イソフタル酸10モル%変性ポリヘキサメチレンテレフタレ−ト(極限粘度0.92、融点135℃、溶融粘度3500ポイズ)を使用した以外は同様の方法にて樹脂に被覆されたロ−プを得た。
得られたロ−プを5年間海水中に浸漬して水棲生物の付着状況を観察した。結果を表1に示す。3年目でロ−プの表面50%程度に生物が付着しており、4年目でロ−プ表面全体に生物が付着していた。なお、上記化合物の半減期は22日であった。
【0028】
比較例4
実施例1において、ジオ−ル変性ポリエステルに代えて、アジピン酸15モル%変性ポリヘキサメチレンテレフタレ−ト(極限粘度0.94、融点132℃、溶融粘度3000ポイズ)を使用した以外は同様の方法にて樹脂に被覆されたロ−プを得た。
得られたロ−プを5年間海水中に浸漬して水棲生物の付着状況を観察した。結果を表1に示す。3年目でロ−プの表面全体に生物が付着していた。なお、上記化合物の半減期は15日であった。
【0029】
【表1】
【0030】
【発明の効果】
本発明の水産資材は、5年間という長期にわたる海水中の連続浸漬に対しても水棲生物の付着がなく、長期にわたっての使用が可能である。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a marine material that has extremely little aquatic organism adhesion when used in contact with seawater or fresh water for a long period of time.
[0002]
[Prior art]
As fishery materials used for a long time in seawater and fresh water, for example, nets such as stationary nets for fisheries, ginger nets for farmed fish and shellfish, and textiles and metal products used in ropes: route buoys, light buoys, Examples include ropes used for mooring buoys, etc .: anti-pollution fiber membranes used for civil engineering: seawater intake facilities for power generation, ship bottoms, and the like.
While these marine products are in contact with seawater and fresh water for a long period of time, various adherent aquatic organisms such as algae and diatoms, coelenterates such as sea anemones and hydroworms, sponges such as sea sponges, Annelids such as quail, pallids such as bryozoans, arthropods such as barnacles, protozoa such as sea squirts, and molluscs such as mussels are attached and inhabit.
[0003]
Due to the attachment of aquatic organisms, for example, in a stationary net, problems such as net settlement due to weight increase, net loss due to increased water flow resistance, net breakage due to contact / bending, and damage to captured fishery products have occurred. In addition, in the case of ginger nets, in addition to the net settlement due to increased weight, there is a serious negative effect such as lack of oxygen due to decreased fluidity of seawater and fresh water, and damage of farmed fish and shellfish by various adherent aquatic organisms. Become.
[0004]
As a countermeasure against the above-mentioned problems in textile products that are used in contact with seawater or fresh water for a long period of time, the textile products are composed of organotin compounds such as tributyltin oxide, triphenyltin oxide, triphenyltin acetate, and triphenyltin chloride. The method of processing has been widely adopted.
However, the use of the organotin compound has a problem that when the textile product is treated using the organotin compound, it is accompanied by a severe unpleasant odor and an irritating odor, which deteriorates the working environment. In addition, abnormal accumulation of organotin compounds in the body of fish and shellfish causes serious adverse effects such as malformation and death of fish and shellfish, and when humans ingest such fish and shellfish, there is a great deal of damage to the human body. It has become clear in recent years that it has an adverse effect. Therefore, the use of marine materials treated with organotin compounds is becoming completely prohibited.
[0005]
Therefore, as one of the technologies that can be substituted for the organotin compounds having the above-mentioned great adverse effects, metals such as copper, silver, zinc, nickel, etc. having an inhibitory effect on organisms and their compounds, or nitrogen-based, sulfur There is a method of applying a paint containing an organic polysiloxane such as dimethylpolysiloxane, diphenylpolysiloxane, methylphenylpolysiloxane, etc. for the purpose of exerting an organic bioinhibition effect physically or halogen-based organic compounds .
[0006]
However, in these methods of applying paint, the aquatic organism repellent effect lasts only about two months, and further application of the paint involves work such as danger to human body, discomfort, and heavy labor.
[0007]
In this way, it is possible to prevent the attachment of aquatic organisms by applying a paint using a metal or a compound thereof, or an organic compound, but it is a marine material that lasts for a short period of time, for example, a permanent effect. Is not currently found.
The inventors of the present invention have already applied for a marine material that specifies the melt viscosity of the resin, paying attention to the characteristics of the resin containing the antifouling agent (Japanese Patent Application No. 7-20172). However, although the effect of preventing the attachment of aquatic organisms was achieved in a short period of one year, the long-term effect of several years was questionable.
[0008]
[Problems to be solved by the invention]
An object of the present invention is to provide a marine material that does not require application of paint, is highly safe for fish and shellfish and the human body, is durable, and can prevent adhesion of aquatic organisms over a long period of time. .
[0009]
[Means for Solving the Problems]
The above object is a marine material comprising a thermoplastic resin containing a compound represented by the following general formula (1), a metal salt thereof, or a complex of an amine salt, wherein the thermoplastic resin is a diol-modified polyester. This is achieved by providing a fishery material characterized by being.
[0010]
[Chemical formula 2]
[0011]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
The above-mentioned compound is an organic nitrogen sulfur compound, and the alkyl group, alkenyl group and aralkyl group represented by Y, R and R ′ are preferably groups having 1 to 10 carbon atoms, and R and R ′. The halogen atom represented by is preferably chlorine.
[0012]
Specific examples of the compound include 2-methyl-4-isothiazolin-3-one, 2-methyl-5-chloro-4-isothiazolin-3-one, 1,2-benzisothiazolin-3-one, and 2-n-octyl. Examples include -4-isothiazolin-3-one and 4,5-dichloro-2-n-octyl-4-isothiazolin-3-one. These compounds are zinc chloride, zinc bromide, zinc iodide, zinc sulfate, zinc acetate, copper chloride, copper bromide, copper nitrate, nickel chloride, calcium chloride, magnesium chloride, iron chloride, manganese chloride, sodium chloride, chloride A complex compound may be formed by integrating with a metal salt such as barium or an amine salt such as ammonium chloride or other amine chloride.
[0013]
The content of such a compound in the thermoplastic resin is preferably in the range of 0.1 to 10% by weight in view of the effect of preventing adhesion of aquatic organisms. Even if the content is increased, the improvement of the effect is not recognized. A more preferable content is in the range of 3 to 7% by weight.
[0014]
The thermoplastic resin containing the above-mentioned compound is required to be a diol-modified polyester in terms of the elution half-life of the compound described later.
Polyesters such as polyethylene terephthalate and polybutylene terephthalate can be used as polyester, but polyhexamethylene terephthalate consisting of terephthalic acid and 1,6-hexanediol can be melted. It is preferable in terms of viscosity and elution of the above-described compounds.
The diol component for modifying the polyester is ethylene glycol, diethylene glycol, 1,4-butanediol, neopentyl glycol, cyclohexane-1,4-dimethanol, polyethylene glycol, Polytetramethylene glycol and the like, and its modification rate is not particularly limited, but considering handling properties such as melting point and melt viscosity, ethylene glycol, diethylene glycol, 1,4-butanediol, neopentyl Glycol, cyclohexane-1,4-dimethanol, etc. are preferably in the range of 10-50 mol% of the diol component constituting the polyester, such as polyethylene glycol, polytetramethylene glycol, etc. Is preferably in the range of 1 to 20% by weight of the diol component constituting the polyester.
[0015]
The diol-modified polyester preferably has a melting point of 150 ° C. or less and a melt viscosity of 10,000 poise or less (160 ° C., capillary length 10 mm, capillary diameter 1 mm, shear rate 1000 sec −1 ).
When the melting point exceeds 150 ° C., it is necessary to apply heat exceeding 180 ° C. in each step of kneading, spinning and molding with the above-mentioned compound by heat melting, and the above-mentioned compound is vaporized or decomposed, and the effect is obtained. It may decrease. On the other hand, if the melt viscosity is too high, shear heat of 180 ° C. or higher is generated in each step of kneading, spinning, and molding, which may cause vaporization and decomposition of the above compound. A more preferable melting point is 140 ° C. or less, and a melt viscosity is in the range of 2000 to 5000 poise.
[0016]
Some diol-modified polyesters have a high melting point. In this case, it is preferable to lower the melting point by adding a melting point depressant. A medium molecular polymer such as polybutene or liquid polyester can be used as the melting point depressant. The addition amount of the melting point depressant is not particularly limited as long as it is added in such an amount that the melting point is lowered to 150 ° C. or less and the melt viscosity is lowered to 10,000 poise or less.
[0017]
Further, the above-mentioned diol-modified polyester can appropriately contain additives such as a conductivity improver, a modifier such as an ultraviolet absorber, and a color pigment.
[0018]
The manufacturing method of the marine product material of this invention is demonstrated.
The marine product is a biaxial kneader, and the diol-modified polyester, the above-mentioned compound and other compounds are uniformly kneaded to form a film first, and the resulting film is buoyed with an appropriate adhesive. It can also be obtained by affixing to the surface of structures such as seawater intakes and ship bottoms. The film can also be obtained by cutting the film into a tape shape and winding the film around a linear structure such as a rope, a wire, or a pole. Depending on the material of the object to be attached or coated, the film can be heat-sealed by heat treatment after the application or after the application.
[0019]
Furthermore, monofilaments, multifilaments, staples, and the like can be produced by melt extrusion, and marine materials such as ropes, fishing nets, and fabrics can be produced from these. It is also possible to coat the surface of the linear structure directly with the compound-containing resin by a melt extrusion coating method. The material of the linear structure is not particularly limited as long as it can be coated under the processing conditions of the coating resin, and examples thereof include natural fiber, synthetic fiber, glass, metal, and carbon.
[0020]
The fishery material of the present invention is used for, for example, nets such as stationary nets for fishery, ginger nets for farmed fish and shellfish, rope products, navigation buoys, light buoys, buoys, and mooring them. Loops, anti-pollution fiber membranes used for civil engineering, seawater intake facilities for power generation, ship bottoms, etc., but are not limited to these. is there.
[0021]
Further, as described above, in the present invention, a marine material is produced from a diol-modified polyester containing a specific compound. By using such a polyester, the above-mentioned compound from the marine material is used. The half-life indicating the amount of elution is 30 days or longer (in artificial seawater at 25 ° C.), and the adhesion preventing effect of aquatic organisms is maintained for a long time.
[0022]
【Example】
EXAMPLES Hereinafter, although an Example demonstrates this invention in detail, this invention is not limited at all by these Examples. In addition, each evaluation in an Example was evaluated with the following method.
(1) Criterion 5 for the status of aquatic organism adhesion: No organism attachment was observed.
4: Attachment of organisms was observed on about 10% of the entire surface of the object.
3: Attachment of organisms was observed on about 20% of the entire surface of the object.
2: Attachment of organisms was observed on about 50% of the entire surface of the object.
1: Biofouling was observed on the entire surface of the object.
(2) Melting point of polyester (° C)
It calculated | required from the curve measured using the differential scanning calorimeter (the TC10A type | mold made by a Metra company).
(3) Polyester melt viscosity (poise)
The melt viscosity at 160 ° C. was measured using a capillograph (manufactured by Toyo Seiki Co., Ltd., Capillograph 1C type).
(4) Half-life After kneading all the materials, a film having a thickness of 300 μm, a length of 75 mm, and a width of 10 mm was prepared. The film was formed from artificial seawater (sodium chloride 3%, magnesium chloride 0.5%, distilled water 96). 5%) soaked in 300 ml, 25 ° C., 65 r. p. Shake at m. Artificial seawater was collected every 24 hours, and the amount of compound elution was measured by exchanging the artificial seawater, and the half-life was calculated.
[0023]
Example 1
1,4-butanediol 30 mol% modified polyhexamethylene terephthalate (Intrinsic viscosity 0.86: measured at 30 ° C. in a mixed solution of phenol / tetrachloroethane, etc. wt%, melting point 126 ° C., melt viscosity 4000 poise) containing 6 wt% 4,5-dichloro-2-n-octyl-4-isothiazolin-3-one and polybutene having an average molecular weight of 3,000 (2000H) manufactured by Idemitsu Petrochemical Co., Ltd. A 150 μm thick film was produced using a plastmill film molding machine (manufactured by Toyo Seiki Co., Ltd.).
This film was cut into a tape shape having a width of 1 cm, and a single roll was uniformly wound on a rope having a diameter of 6 mm, followed by heat-sealing treatment at 120 ° C. for 5 minutes.
The obtained rope was immersed in seawater for 5 years, and the state of attachment of aquatic organisms was observed. The results are shown in Table 1. Despite 5 years of continuous immersion, no aquatic organisms were found attached. The half life of the above compound was 54 days.
[0024]
Example 2
In Example 1, as the diol-modified polyester, the same except that ethylene glycol 20 mol% modified polyhexamethylene terephthalate (ultimate viscosity 0.78, melting point 137 ° C., melt viscosity 3300 poise) was used. A rope coated with the resin by the method was obtained.
The obtained rope was immersed in seawater for 5 years, and the state of attachment of aquatic organisms was observed. The results are shown in Table 1. Despite 5 years of continuous immersion, no aquatic organisms were found attached. The half life of the above compound was 35 days.
[0025]
Comparative Example 1
In Example 1, a rope coated with a resin was obtained in the same manner except that low density polyethylene (melting point 105 ° C., melt viscosity 1500 poise) was used instead of the diol-modified polyester.
The obtained rope was immersed in seawater for 5 years, and the state of attachment of aquatic organisms was observed. The results are shown in Table 1. In the first year, no organisms were observed, but in the second year, organisms adhered over the entire rope surface. The half life of the above compound was 8 days.
[0026]
Comparative Example 2
In Example 1, a rope coated with a resin was obtained in the same manner except that an ethylene vinyl acetate copolymer (melting point 110 ° C., melt viscosity 1200 poise) was used instead of the diol-modified polyester. It was.
The obtained rope was immersed in seawater for 5 years, and the state of attachment of aquatic organisms was observed. The results are shown in Table 1. In the first year, organisms had already adhered to about 50% of the rope surface. The half life of the above compound was 3 days.
[0027]
Comparative Example 3
In Example 1, the same procedure as in Example 1 except that 10 mol% of isophthalic acid-modified polyhexamethylene terephthalate (ultimate viscosity 0.92, melting point 135 ° C., melt viscosity 3500 poise) was used in place of the diol-modified polyester. A rope coated with the resin by the method was obtained.
The obtained rope was immersed in seawater for 5 years, and the state of attachment of aquatic organisms was observed. The results are shown in Table 1. In the third year, organisms were attached to about 50% of the surface of the rope, and in the fourth year, organisms were attached to the entire surface of the rope. The half life of the above compound was 22 days.
[0028]
Comparative Example 4
In Example 1, instead of the diol-modified polyester, the same procedure except that 15 mol% adipic acid-modified polyhexamethylene terephthalate (extreme viscosity 0.94, melting point 132 ° C., melt viscosity 3000 poise) was used. A rope coated with the resin by the method was obtained.
The obtained rope was immersed in seawater for 5 years, and the state of attachment of aquatic organisms was observed. The results are shown in Table 1. In the third year, organisms were attached to the entire surface of the rope. The half life of the above compound was 15 days.
[0029]
[Table 1]
[0030]
【The invention's effect】
The marine material of the present invention does not adhere to aquatic organisms even for continuous immersion in seawater for a long period of 5 years, and can be used for a long time.