JP3692959B2 - 電子透かし情報埋め込み装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電子透かし情報埋め込み装置に係り、特に聴感特性を利用した音声圧縮方式において電子透かし情報を埋め込む電子透かし情報埋め込み装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ディジタル技術の発達により、コンテンツの流通がネットワークを介して容易に行えるようになった。しかし、ディジタル技術の発達は、コンテンツの流通の利便性とは裏腹に、コンテンツの複製物を大量かつ簡単に生成できるため、著作者の権利が侵害されるといった問題が生じている。特に、音楽データは高能率符号化技術を用いた情報圧縮によって、従来のコンパクトディスク(CD)などに比べ、小さな容量で蓄積することができ、違法コピーが深刻な状況である。
【0003】
このような違法コピー防止のため、従来より電子透かし技術が利用されている。この従来の電子透かし技術としては、音楽データそのものに電子透かし情報を埋め込む方式と、ディジタル信号処理、すなわち情報圧縮された音楽データに電子透かし情報を埋め込む方式とに分けることができる。
【0004】
後者の方式には、例えば、ベクトル量子化や信号値を変換するコードブックを持つ類の方式においては、ある法則(鍵)により、本来選択されるはずのベクトル値やコードブックを代替えデータ(非常に近い値の別のデータなど)に置換え、電子透かし情報を埋め込む電子透かし情報埋め込み装置が文献(「ITU G.729による音声符号への電子透かし」1997年情報処理学会第55回全国大会、vol.4、pp.428−429)に開示されている。
【0005】
また、周波数変換を伴うディジタルオーディオデータの符号化処理に適した電子透かし情報埋め込み装置も従来より知られている(特開平11−316599号公報)。この従来装置では、時間領域の信号から周波数領域の信号に変換され量子化処理を施されたオーディオデータの周波数成分毎の聴覚的な重要度を求め、人の聴覚特性に関して重要である周波数成分のデータに対して電子透かし情報を挿入することにより、電子透かし情報を入れ替えると復号した場合に音質の変化、劣化として現れやすくするようにしたものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、ベクトル値やコードブックの近似置換を行う従来の電子透かし情報埋め込み装置は、置換データにより誤差量の増大に伴う品質の悪化や、特定パターンのみに劣化が生じる。また、シンタックス上の位置を特定され易く、電子透かし情報に対する攻撃に対して脆弱である。
【0007】
また、前記公報記載の周波数変換符号化方式による従来の電子透かし情報埋め込み装置は、置換位置情報と置換値情報を伴うが、これはMPEG2−AACに限定され、汎用性がないという問題がある。更に、この従来装置では、シンタックス上の位置を特定され易く、電子透かし情報への対攻撃牲に課題がある。
【0008】
本発明は以上の点に鑑みなされたもので、聴覚心理モデルによって決定されるマスキングレベルと、ビット割当てまたは量子化ステップ数によって定まる量子化誤差量から求めたノイズレベルとの比率(MNR:マスキングレベル対ノイズレベル比)を用いて、特定サブバンドにおけるMNRの品質順位をグループ化(数値化)した信号値によって電子透かし情報を埋め込むことにより、音質劣化を抑え得る電子透かし情報埋め込み装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的を達成するため、入力オーディオ信号に対し時間領域から周波数領域の信号変換を行う変換部と、変換部からの周波数領域の信号を量子化する量子化器と、入力オーディオ信号を入力として受け、人間の聴感特性を利用した複数のサブバンド毎に算出したマスキングレベルと,そのサブバンドにおけるスペクトルを量子化したときの量子化ノイズレベルとの比率(MNR)を算出し、そのMNRに基づき量子化器に対して量子化ビット数のビット割当て制御、又は量子化ステップ数制御を行う制御手段と、量子化器から出力された量子化後信号を再量子化した信号のパワー値と、制御手段から出力されるビット割当て値又は量子化ステップ数を示す補助情報とから、サブバンド毎に復号時のMNRをフレーム単位で算出する算出手段と、同じフレームのすべてのサブバンドのうち予め透かし情報を伝送しようとするために割当てた所定のサブバンドの算出した復号時のMNRの品質が、同じフレームの他のすべての各サブバンドにおける算出した復号時のMNRの品質に対して相対的に何番目であるか順位付けし、そのMNRの品質順位をグループ化することにより得た信号値と、所望の透かし情報の信号列の1ビット又は予め定められたビット数毎の信号値とを比較する比較手段と、所望の透かし情報の信号列の1ビット又は予め定められたビット数毎の信号値とMNRの品質順位をグループ化することにより得た信号値との関係が,常に設定した関係となるように、比較手段の比較結果に基づき、制御手段による量子化器に対するビット割当て制御量又は量子化ステップ数制御量を調整する調整手段とを有し、フレーム毎又は間欠フレームの量子化後信号に対して所望の透かし情報の信号列を1ビット又は予め定められたビット数毎に埋め込む構成としたものである。
【0010】
この発明では,所定のサブバンドの算出した復号時のMNRの品質順位をグループ化することにより得た信号値と、所望の透かし情報の信号列の1ビット又は予め定められたビット数毎の信号値とを比較し、その比較結果に基づき、量子化器に対するビット割当て制御量又は量子化ステップ数制御量を調整することで、フレーム毎又は間欠フレームの量子化後信号の所定のサブバンドの復号時のMNRの品質順位をグループ化することにより得た信号値を、所望の透かし情報の信号値と一致するように調整することができる。
【0011】
ここで、上記の算出手段は、量子化器から出力された量子化後信号を再量子化した信号のパワー値を基にマスキングレベルを算出し,制御手段から出力されるビット割当て値又は量子化ステップ数を示す補助情報から導かれる平均的な量子化誤差を使ってサブバンド毎の量子化ノイズレベルを算出し,これらマスキングレベルと量子化ノイズレベルとからサブバンド毎に復号時のMNRをフレーム単位で算出することを特徴とする。
【0012】
また,本発明における上記の比較手段は、同じフレームのすべてのサブバンドのうち予め透かし情報を伝送しようとするために割当てた所定のサブバンドの算出した復号時のMNRの品質順位を、奇数番目の順位と偶数番目の順位の2つにグループ化し、復号時のMNRの品質順位が奇数番目順位のグループのとき第1の信号値とし、偶数番目順位のグループのとき第2の信号値として、所望の透かし情報の信号値とを比較する手段であり、上記の調整手段は、所望の透かし情報の信号列の信号値が第1の信号値のときには復号時のMNRの品質順位が奇数番目のグループとなり、所望の透かし情報の信号列の信号値が第2の信号値のときには復号時のMNRの品質順位が偶数番目のグループとなるまで,比較手段の比較結果に基づき、制御手段による量子化器に対するビット割当て制御量又は量子化ステップ数制御量を調整することを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の一実施の形態について図面と共に説明する。図1は本発明になる電子透かし情報埋込み装置の一実施の形態のブロック図、図2は聴感特性を利用した一般的な音楽信号情報圧縮装置の一例のブロック図を示す。両図中、同一構成部分には同一符号を付してある。
【0014】
まず、一般的な音楽信号情報圧縮装置について図2と共に説明するに、音楽信号情報圧縮方式の代表的なものには、MPEG−Audioや、ATRAC(Adaptive Transform Acoustic Coding)、dolby−digital等があり、どの方式においても人間の聴感上の分解能である臨界帯域幅という低域ほど狭い周波数帯をモデルに、サブバンドと称する周波数軸上の単位バンドにおいて、情報量の重み付けを行い情報を削減している。
【0015】
この重み付けは,ある周波数に周囲より大きな信号が存在する時,その周波数の周囲に存在する微小な音はマスクされ聞こえないとされる相対マスキング量(相対可聴しきい値)と、周波数に応じて決定する、ある音圧以下の音は知覚されないとされる絶対マスキング量(絶対可聴しきい値)とによって得られた補正マスキング量から、各々のサブバンド毎に与えられるものである。
【0016】
図2において、ディジタルオーディオ信号は、入力信号バッファ1により所定フレーム数分が一時蓄積された後、時間−周波数変換部2と聴覚心理モデル3にそれぞれ供給される。時間−周波数変換部2はポリフェイズフィルタやMDCT(Modified Discrete Cosine Transform)を用いて、入力された時間領域のディジタルオーディオ信号を周波数領域の信号に変換して量子化器5に供給する。
【0017】
一方、聴覚心理モデル3は入力されたディジタルオーディオ信号に対し、人間の聴感特性を利用し、聞こえない音をカットする基となる、マスキングレベルと呼ばれる周波数帯域毎の聞こえないとされる量子化誤差を各サブバンド毎に算出された信号値から計算により求めて、割当て情報量制御部4へ出力する。
【0018】
上記のマスキングレベルは聴覚心理モデル3のパラメータによって定まるもので、同一の信号であってもマスキングレベルが一致するというわけではない。この聴覚心理モデル3は音質を決定する部分であり、符号化器にとって最も重要な地位を占める。
【0019】
割当て情報量制御部4は、聴覚心理モデル3から出力されたマスキングレベルを入力として受け、量子化器5において時間−周波数変換部2からの信号を何ビットで量子化すればノイズが知覚されないで済むかを判断し、割当てビット量(又は量子化ステップ幅)を生成して量子化器5に供給する。量子化器5は、割当て情報量制御部4からの割当てビット量(量子化ステップ幅)で時間−周波数変換部2からの信号の量子化を行い、得られた量子化信号をビットストリーム形成部7へ出力する。
【0020】
また、補助情報符号化部6は、割当て情報量制御部4からの割当てビット量に基づき、周波数信号のサブバンド毎に正規化値や量子化幅などを補助情報として生成してビットストリーム形成部7に供給する。また,補助情報としては、ハフマン符号化した場合にはコードブックナンバーが含まれ、ステレオ相関やノイズシェーピングなどの補助的な符号化を採用した場合は更にそれらのフラグやフィルタ係数値が含まれる。ビットストリーム形成部7は、同期信号と補助情報の内容を含むヘッダ情報とサイド情報を、量子化器5からの量子化後信号に多重して、所定の規格のビットストリームを生成して出力する。
【0021】
このように、この一般的な音楽信号情報圧縮装置では、限られた情報をどの帯域にどれだけ割当てれば聴感上の総合的な音質が向上するかを判断するビット割当て制御、または該当する帯域に必要な量子化精度をどれだけ費やせば良いかを判断する量子化ステップ数制御等によって、情報量の重み付けを行い情報を削減する。このときの判断基準は、各サブバンド毎に算出された信号値から得られるマスキングレベルと、そのサブバンドにおけるスペクトルを量子化することによって生じる量子化ノイズレベルとを比較した値、すなわちMNRが使用される。理論上、元信号と量子化後の信号との誤差量から求めたノイズレベルがマスキングレベル以下であれば、その量子化ノイズは知覚されないということができる。
【0022】
なお、聴覚心理モデルのパラメータは公開の義務はなく、パラメータが未知であっても復号器に何ら問題を与えることはない。従って、マスキングレベル量は符号化装置を所有する当事者しか知り得ない値である。すなわち、マスキングレベルを使用するMNRも同様に符号化装置を所有する当事者しか知り得ない。
【0023】
次に、上記の一般的な音楽信号情報圧縮装置を利用した本発明になる電子透かし情報埋込み装置の構成及び動作について、図1のブロック図、図3の信号模式図、及び図4のフローチャートと共に説明する。図1に示す実施の形態は、図2の一般的な音楽信号情報圧縮装置に、透かし情報発生器9、割当て情報量調整部10及び復号時MNR算出部11を更に追加したものである。
【0024】
透かし情報発生器9は、ディジタルオーディオ信号の著作権を主張するための著作権情報や、コピー許可の有無を示すコピー許可信号などを透かし情報として発生する。この透かし情報は、例えば2〜60ビット程度の信号である。なお、透かし情報発生器9は、後述の図3に示すように、所定固定パターンのnビットの同期信号もmビットの透かし情報と時系列的に合成して発生出力する。
【0025】
割当て情報量調整部10は、1フレーム(時間的に区切られたブロック長で符号化方式によって決まっている。例えば、ATRACは512オーディオサンプルである。)に、電子透かし情報の例えば1ビットを埋め込む場合、MNRの順位(奇数/偶数)によって0か1かを判定するが、埋め込むべき信号値(1ビット分)が該当フレームのMNR順位から得られるフラグ(0/1)と一致するか否かを判定し、一致するまで周波数帯域(サブバンド)毎の割当て情報量を修正する。なお、MNRは前述したように、マスキングレベルと量子化ノイズレベルとの比率をいう。
【0026】
復号時MNR算出部11は、量子化器5にて量子化された信号を再量子化し、周波数帯域(サブバンド)毎のエネルギーを算出することによって信号パワーを得て、これを基にマスキングレベルを計算すると共に、補助情報の量子化幅(量子化ステップ幅)から導かれる平均的な量子化誤差を使って周波数帯域(サブバンド)毎のノイズレベルを算出する。そして、復号時MNR算出部11は、これらの値から復号時のMNRを算出する。
【0027】
次に、本実施の形態の動作について、図3及び図4を併せ参照して説明する。いま、従来の音声符号化ビットストリーム形成前と同じ状態であるものとし(図4のステップS1)、この状態で量子化器5より取り出された量子化後信号が復号時MNR算出部11に供給される。復号時MNR算出部11は、上記の量子化後信号を再量子化して、そのエネルギーから信号パワーを得て、これを基にマスキングレベルを計算すると共に、補助情報符号化部6からのビット割当て情報又は量子化ステップ値情報により、最小量子化精度を基に平均的な量子化誤差を使って周波数帯域(サブバンド)毎の量子化ノイズレベルを算出し、更に上記のマスキングレベルと量子化ノイズレベルとの比率である復号時MNRを,フレーム単位で、かつ、同じフレームのすべてのサブバンドについて各サブバンド毎に算出する(図4のステップS2)。
【0028】
復号時MNR算出部11は、続いて、同じフレームのすべてのサブバンドのうちの予め透かし情報を伝送しようとするために割当てた所定のサブバンドのMNRの品質が、同じフレームの他のすべての各サブバンドにおけるMNRの品質に対して相対的に何番目であるか順位付けし、上記の所定のサブバンドでのMNRの品質順位の信号値Aを取得する(図4のステップS3)。
【0029】
ここで、上記のMNR品質順位はマスキングレベルに対してノイズレベルが小さければ小さいほど品質順位が高くなる。また、上記のMNR品質順位の信号値Aは、MNRの品質順位が奇数順位であれば「1」、偶数順位であれば「0」とされる。つまり、本実施の形態では,MNRの品質順位を奇数順位のグループと偶数順位のグループの2つにグループ分けした点に特徴がある。
【0030】
次に、割当て情報量調整部10は、透かし情報発生器9から図3に模式的に示すように、nビットの同期信号とmビットの透かし情報とがシリアルに入力され、入力された同期信号又は透かし情報の1ビットの値(以下、これらを「透かし信号値」ともいう)と、復号時MNR算出部11から入力された上記の信号値Aとが一致するかどうか比較する(図4のステップS4)。なお、同期信号は、透かし情報の復号化装置側での検出精度を向上するための信号で、予め定められた固定パターンである。
【0031】
透かし信号値と信号値Aとが一致する場合は、割当て情報量調整部10は一致の比較結果を割当て情報量制御部4に通知する。これにより、割当て情報量制御部4は,図2と共に説明したように、量子化器5に対して割当てビット量(量子化ステップ幅)を供給し、量子化器5で時間−周波数変換部2からの信号の量子化を行わせ、得られた量子化信号をビットストリーム形成部7へ出力させる(図4のステップS6)。
【0032】
一方、ステップS4の比較の結果、透かし信号値と信号値Aとが一致しない場合は、不一致の比較結果を割当て情報量制御部4に通知する。これにより、割当て情報量制御部4は、符号化方式が固定レートのときは、情報割当てを最後に割当てた(量子化ステップ幅を最後に変更した)サブバンドから順に、一つ前に割当てた(一つ前に量子化ステップ幅を変更した)サブバンドに代替えするように補助情報符号化部6を通して復号時MNR算出部11を制御する(図4のステップS5)。
【0033】
すなわち、この実施の形態の埋め込み装置では符号化を行っているが、符号化器ではMNRの悪い方のサブバンドから順に情報量を与えていくようになっているため、情報割当てを最後に割当てた(量子化ステップ幅を最後に変更した)サブバンドは最も品質が良く、このサブバンドの情報量を他のサブバンドに割当てても再生信号の品質に殆ど影響を与えない。一方、MNRの品質順位は符号化する音源信号と割当て情報量によって変化し、割当て情報量を変化させることによって各サブバンドの品質順位変更を行うことができる。
【0034】
そこで、この実施の形態では,透かし信号値と信号値Aとが不一致の場合は、符号化方式が固定レートのときは、最後に情報割当てを行う情報量を一つ前に割当てた(一つ前に量子化ステップ幅を変更した)サブバンドに代替えするように、量子化器5のビット割当て制御を変更する。また、符号化方式が可変レートのときは、ある基準のレート(または基準の品質)で一度符号化を中断していた状態から更に符号化を継続する(量子化ビット数を基準値から更に増加する)。
【0035】
これにより、同じフレームのすべてのサブバンドのうちの予め透かし情報を伝送しようとするために割当てた所定のサブバンドのMNRの品質が、同じフレームの他のすべての各サブバンドにおけるMNRの品質に対して変化し、所定のサブバンドのMNRの品質が1/2の確率で奇数番目から偶数番目に、あるいは偶数番目から奇数番目に変化する。
【0036】
従って、符号化方式が固定レートか可変レートかにより割当て情報量修正方法は変わるが,いずれの場合も上記の割当て情報量修正後に、再度、復号時MNR算出部11は修正後の復号時のMNRを同じフレームの各サブバンド毎に算出した後(図4のステップS2)、割当て情報量調整部10が修正後のサブバンドのMNR品質順位別信号値Aが透かし信号値と一致するかどうか比較する(図4のステップS3、S4)。以下、上記と同様の動作が修正後のサブバンドのMNR品質順位別信号値Aが透かし信号値と一致するまで繰り返される(図4のステップS5、S2、S3、S4)。なお、可変レートの場合、量子化ビット数を減少させるようにしてもよい。
【0037】
このように、本実施の形態では,予め定めた所定のサブバンドのMNRが例えば、表1のような品質順位を持つように、割当て情報量調整部10にて割当て情報量制御部4に指示することで、容易に透かし情報を埋め込むことができる。
【0038】
【表1】
Figure 0003692959
ここで表1のMNR品質順位は奇数順位か偶数順位かという単純な2つのグループにグループ分けされており、MNR品質順位が奇数グループのときには「1」、偶数グループのときには「0」のビット値の所望の透かし情報が埋め込まれるよう、割当て情報量調整部10及び割当て情報量制御部4にて所定のサブバンドのMNRを微調整することで、透かし情報の挿入が可能となる。
【0039】
例えば、8ビットの同期信号と30ビットの透かし情報を所定のサブバンドに埋め込むためには、1フレームに1ビット埋め込むとすると、最も短くて38フレーム分あれば透かし情報を埋め込むことができる。また、連続的に各フレームに埋め込んでも間欠的にフレームに埋め込んでもよい。
【0040】
なお、本実施の形態では,固定レート方式では、本来情報量が必要であるべきサブバンドに対しビットが使われず、その次に必要なサブバンドに代わりに与えられてしまうことによって、若干の品質劣化が生じるが、劣化が生じるサブバンドは固定のサブバンドに集中することはなく、総合的な品質は保たれている。また、可変レートでは、透かし情報を埋め込むことによって生じる品質劣化は無いに等しい。両方式とも透かし情報を埋め込む所定のサブバンドに対して処理を行う訳ではないので、特定帯域に劣化が集中することもない。
【0041】
復号化器でMNRを求めるには次のようにすればよい。マスキングレベルは量子化された信号値を再量子化し、これに符号化器と同様の聴覚心理モデルを採用し求めることができる。ノイズレベルは、補助情報として得られるビット割当て量または量子化ステップ幅から、最小量子化精度△が自ずと与えられ、誤差平均値△/2を量子化ノイズとしで求めることができる。この両者から符号化器におけるMNRの算出が可能である。
【0042】
このMNRが各サブバンド毎に得られたならば,所定のサブバンドの品質順位を検出し、その品質順位をグループ化することによって数値化した信号列から、同期信号を基準に透かし情報を簡単に抽出することができる。
【0043】
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、例えばMNRの品質順位のグループ化は奇数順位か偶数順位かのグループ化に限らず、1の倍数を「1」、2の倍数を「2」、3の倍数を「3」、4の倍数を「0」とした4値のグループ化なども可能である。また、品質順位の決定は、割当て情報量調整部10で行ってもよい。更に、透かし情報を伝送するために用いるサブバンドは複数でもよく,その場合、複数のサブバンドを時間的にずらしながら同じ透かし情報を埋め込むことにより、伝送エラーや攻撃、信号変換などの耐性を向上できる。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、フレーム毎又は間欠フレームの量子化後信号の所定のサブバンドの復号時のMNRの品質順位をグループ化することにより得た信号値を、所望の透かし情報の信号値と一致するように調整することにより、所望の透かし情報を量子化後信号に埋め込むことができる。
【0045】
また、この所望の透かし情報の埋め込みに際しては、所定のサブバンドの品質のみを変化させるのではないため、特定の周波数帯だけを悪化させることはなく、平均的にほんの少しのビットを損しているだけで再生信号品質に与える影響は極めて僅かであり、よって、従来避けられなかった、代替え情報による品質劣化や、特定個所への埋め込みによる耐攻撃性の課題を解決して、音質劣化を防止し攻撃に対し強固な電子透かし情報埋め込み装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子透かし情報埋め込み装置の一実施のけいたいを示すブロック図である。
【図2】聴感特性を利用した一般的な音楽信号情報圧縮装置のブロック図である。
【図3】埋め込む情報の信号構成の一例を示す図である。
【図4】図1の動作説明用フローチャートである。
【符号の説明】
1 入力信号バッファ
2 時間−周波数変換部
3 聴覚心理モデル
4 割当て情報量制御部
5 量子化器
6 補助情報符号化部
7 ビットストリーム形成部
9 透かし情報発生器
10 割当て情報量調整部
11 復号時MNR算出部

Claims (4)

  1. 入力オーディオ信号に対し時間領域から周波数領域の信号変換を行う変換部と、
    前記変換部からの前記周波数領域の信号を量子化する量子化器と、
    前記入力オーディオ信号を入力として受け、人間の聴感特性を利用した複数のサブバンド毎に算出したマスキングレベルと,そのサブバンドにおけるスペクトルを量子化したときの量子化ノイズレベルとの比率(MNR)を算出し、そのMNRに基づき前記量子化器に対して量子化ビット数のビット割当て制御、又は量子化ステップ数制御を行う制御手段と、
    前記量子化器から出力された量子化後信号を再量子化した信号のパワー値と、前記制御手段から出力されるビット割当て値又は量子化ステップ数を示す補助情報とから、前記サブバンド毎に復号時の前記MNRをフレーム単位で算出する算出手段と、
    同じフレームのすべてのサブバンドのうち予め透かし情報を伝送しようとするために割当てた所定のサブバンドの前記算出した復号時のMNRの品質が、同じフレームの他のすべての各サブバンドにおける前記算出した復号時のMNRの品質に対して相対的に何番目であるか順位付けし、そのMNRの品質順位をグループ化することにより得た信号値と、所望の透かし情報の信号列の1ビット又は予め定められたビット数毎の信号値とを比較する比較手段と、
    前記所望の透かし情報の信号列の1ビット又は予め定められたビット数毎の信号値と前記MNRの品質順位をグループ化することにより得た信号値との関係が,常に設定した関係となるように、前記比較手段の比較結果に基づき、前記制御手段による前記量子化器に対する前記ビット割当て制御量又は量子化ステップ数制御量を調整する調整手段と
    を有し、フレーム毎又は間欠フレームの前記量子化後信号に対して前記所望の透かし情報の信号列を1ビット又は予め定められたビット数毎に埋め込むことを特徴とする電子透かし情報埋め込み装置。
  2. 前記算出手段は、前記量子化器から出力された量子化後信号を再量子化した信号のパワー値を基に前記マスキングレベルを算出し,前記制御手段から出力されるビット割当て値又は量子化ステップ数を示す補助情報から導かれる平均的な量子化誤差を使って前記サブバンド毎の量子化ノイズレベルを算出し,これらマスキングレベルと量子化ノイズレベルとからサブバンド毎に復号時の前記MNRをフレーム単位で算出することを特徴とする請求項1記載の電子透かし情報埋め込み装置。
  3. 前記比較手段は、同じフレームのすべてのサブバンドのうち予め透かし情報を伝送しようとするために割当てた所定のサブバンドの前記算出した復号時のMNRの品質順位を、奇数番目の順位と偶数番目の順位の2つにグループ化し、前記復号時のMNRの品質順位が奇数番目順位のグループのとき第1の信号値とし、偶数番目順位のグループのとき第2の信号値として、所望の透かし情報の信号値とを比較する手段であり、
    前記調整手段は、前記所望の透かし情報の信号列の信号値が前記第1の信号値のときには前記復号時のMNRの品質順位が前記奇数番目のグループとなり、前記所望の透かし情報の信号列の信号値が前記第2の信号値のときには前記復号時のMNRの品質順位が前記偶数番目のグループとなるまで,前記比較手段の比較結果に基づき、前記制御手段による前記量子化器に対する前記ビット割当て制御量又は量子化ステップ数制御量を調整することを特徴とする請求項1又は2記載の電子透かし情報埋め込み装置。
  4. 前記透かし情報の信号列は、固定パターンの同期信号と透かし情報信号とが時系列的に合成された信号列であることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項記載の電子透かし情報埋め込み装置。
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