JP3691673B2 - 内視鏡洗浄装置 - Google Patents
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Description
本発明は患者患部の観察,撮影および細胞摘出等を行う医療機器用内視鏡の洗浄・消毒装置に関するもので、特に消毒を除いた洗浄機構に係わるものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の内視鏡洗浄消毒装置にあって、内視鏡の外表面を渦流水と気泡を利用して洗浄する方法は、特公昭56−34155号公報に開示されている。その具体的な構成は、外方から内方に行くにしたがい、徐々に低くなるような勾配をもつ螺旋溝を内視鏡がセットされる洗浄槽に形成すると共に該螺旋溝に多数の細孔を穿設し、上記螺旋溝に供給した渦流水の流速と、上記細孔から噴出される気泡とにより内視鏡の外表面を洗浄せんとしたものである。
【0003】
上記の装置によると(1)気泡発生源のブロワーと渦流水発生源のウォータポンプがそれぞれ独立して別個に設置されている為、機構が複雑となり製造コストのアップ要因となっている。(2)膨大な数の細孔が穿設される螺旋溝の下側に圧力エアーを供給する気泡室を必要とするため、洗浄槽は上下2層構造となって、その製作コストが著しく高価となるばかりか細孔の詰りや逆流で気泡室が雑菌発生の不衛生状態になる。(3)内視鏡の内部管路の洗浄は、気泡が混入されない水流だけに頼るものなので、効率の良い洗浄でない等の問題があった。
【0004】
又、実開昭62−97602号公報には、水道栓から供給される水道水と加圧エアポンプからのエアーを混合ヘッダを用いて気泡液を作り、この気泡液を内視鏡の内部管路(チャンネル)へ供給する機構が示されている。
【0005】
上記した装置によるとエアーポンプと混合ヘッダは夫々別々に設置するため、上述した特公昭56−34155号と同様に製造コスト面で難があり、しかも、内視鏡の外表面を洗浄する水道水に送給するエアーは、単に水道水を加圧してノズルからの噴射圧を高める為のものに過ぎず気泡効果は全く期待できない。従って何れの従来装置にあっても内視鏡の内外面を同時に効率良く洗浄出来ないばかりかコスト的にも問題を有している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の内視鏡洗浄装置が持つ問題点に鑑み、単一ポンプにより微細な気泡(ミクロバブル)が混入した洗浄水又は洗剤混入液を生成させることにより、洗浄槽の構成及び装置全体の簡素化とコストダウンを図り、且つ内視鏡の内外面を効率良く洗浄できる内視鏡洗浄装置を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明における請求項1記載の内視鏡洗浄装置は、水道水等の洗浄水による水洗浄工程と、洗浄水に洗剤を混入した洗剤洗浄工程および洗剤洗浄工程後と消毒工程後に行われるすすぎ工程において、洗浄槽から導入する洗浄水又は洗剤混入液エアーとを混合して微細な気泡(ミクロバブル)を混入した気泡混合洗浄水又は気泡混合洗剤液を生成する渦流タービンポンプを駆動して、上記気泡混合洗浄水又は気泡混合洗剤液を洗浄槽の各隅角部に設けた4ヶのノズルから内視鏡がセットされる円環槽に向けて噴出する流路と、上記円環槽の側壁面に設けたノズルから円環槽内に噴射する流路および内視鏡の各内部管路に接続するカプラへ供給する流路を各々介して内視鏡外表面ならびに内部管路を洗浄することを特徴とする。
【0008】
【作用】
本発明の請求項1によると、内視鏡の外表面および内部管路を洗浄する微細な気泡(ミクロバブル)入りの気泡混合洗浄水又は気泡混合洗剤液は単一の渦流タービンポンプによって連続して生成されるため、内視鏡内外面を同時に且つ極めて効率良く洗浄することが出来るばかりでなく装置全体の簡素化とコストダウンが図れる。
【0009】
更に本発明によれば、洗浄槽は一層構造となり、従来のように圧力エアーを細孔から噴出させるための気泡室を必要としないため、不衛生状態が解消される。
【0010】
また、内視鏡外表面の洗浄は、ミクロバブルを混入した洗浄水又は洗剤液を対角に設けた4ヶのノズルと、被洗浄物である内視鏡がセットされる円環槽の壁面に設けたノズルとから噴射するように形成したため、渦流とミクロバルブの両者により、従来に比し格段の洗浄効果が得られる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下本発明の内視鏡洗浄装置を図面の実施形態で説明する。図中符号100で示す本発明に係る内視鏡洗浄装置は、箱体1の上面1Aに洗浄槽2を配置している。この洗浄槽2には、上面部が開放した断面U字型の円環槽2Aをもつ皿型となっていて、この円輪槽2A内に被洗浄物である内視鏡80が巻回しセットされる。
【0012】
上記洗浄槽2の外周面の高所位置には、各隅部に設けた4つの渦流発生用ノズルNと、消毒液吐出口S1および洗剤吐出口S2が配設されている。又、洗浄槽内の液量によって作動する高低2つのレベルスイッチLS1,LS2と、「吸引口K1,送水口K2,鉗子K3」の各カプラAKおよびこのカプラにワンタッチで接続するアタッチメントを一端に備えたビニール配管H1,H2,H3等が適宜付設されている。そして、上記箱体1の上面1Aの前側には、各種操作スイッチ(アタッチメント用カプラの給水口スイッチSa,吸引口スイッチSb,漏水チェック用カプラスイッチSc)等が備えられている。又、上記円環槽2A内にセットされる内視鏡80は図7に示す如く本体80A,操作部80B,接続管80C,挿入部80Dを備え、内部管路に通じる吸引口(イ)と、送水口(ロ)と鉗子(ハ)は上記カプラAKに一端を接続したビニール配管H1,H2,H3の他部に設けたアタッチメントを介して適宜接続される。
【0013】
次に、内視鏡洗浄装置100を運転制御する制御系の概要構成を図3の系統図で説明する。上記洗浄槽2には、水道水等の洗浄水Wが給水元栓K,減圧弁Gおよび給水電磁弁SOL4を介して給水ノズルNから給水が行われる。この給水ノズルN2は図1及び図2に表示されていないが円環槽2Aの中心部2Bに穿設したオーバーフロー孔2Cに隣接して設置するかもしくは前記渦流ノズルNを利用して給水する。そして、円環槽2A内の洗浄水Wが所定レベルに達するとレベルスイッチLS1が作動してオーバーフロー排水ポンプP1を駆動し、それ以降はオーバーフロー口2CからフィルターFを通して外部へ排出するため、槽内の水量を所望の一定レベルに維持する。尚、オーバーフロー口2Cや排水口2Dが異物によって目詰まりを生じ、水量等が所定レベルを超えた場合には、レベルスイッチLS2が動作して本装置を「全停止」させ、外部へ洗浄水等が漏洩するのを防止する。
【0014】
又、上記レベルスイッチLS1の作動は、給水電磁弁SOL4をOFFし、同時に渦流タービンポンプP2を駆動して、水洗浄の工程が次のように開始される。即ち渦流タービンポンプP2が駆動すると、上記円環槽2Aに貯えられた洗浄水Wは、洗浄槽2の最も低所に設けた排水口2D,フィルターF1,排水開閉弁MV1及び調節バルブV1を通って一方の吸引口bから渦流タービンポンプP2に送り込まれる。
【0015】
一方、渦流タービンポンプP2の他の吸引口aからは、エアーEがエアー吸引口E1,電磁弁SOL1を介して送り込まれる。この渦流タービンポンプP2は、図4および図5に示すようにエアーEと水Wとを高速回転する回転羽根Hにより混合し、非常に微細な気泡(ミクロバブル)を混入した気泡混合流水W1を吐出口から圧送する。
【0016】
こうして生成された気泡混合流水W1は、2個使いの循環/排水切換弁V2と「空気分離器+空気逃し弁」V3とを経由して、円環槽2Aの側壁に設けられたノズルN1にいたる流路と、上記「空気分離器+空気逃し弁」V3の下流で分岐して渦流開閉電磁弁SOL3を通って渦流ノズルNに至る流路と、同じく「空気分離器+空気逃し弁」V3の下流で分岐して「内視鏡チャンネル内洗浄」電磁弁VWを通った後、前記吸引口K1,送水口K2,鉗子K3の各カプラAKにいたる流路とを介して予め設定されたプログラムに基づいて適宜噴出される。
【0017】
上記円環槽2Aの側壁に設けたノズルN1(このノズルN1は図1及び図2には表示されていない)から噴出される気泡混合洗浄水W1は、円環槽2A内に貯溜した水中内へ向けて噴射され、内視鏡80の外表面は、無数のミクロバブルによって気泡洗浄が行われる。
【0018】
又、同時に内視鏡80の外表面は洗浄槽本体2の各隅角部に設けた4つの渦流ノズルNから円環槽2Aに向けて連続して噴出される気泡混合洗浄水W1により、円環槽2A内に渦流W2を生じさせるため、渦流プラス気泡(ミクロバブル)による効果的な洗浄が行われる。従って、内視鏡80の外表面は、渦流ノズルNと円環槽2Aの壁面に設けたノズルN1から同時に噴射されるミクロバブルを混入した気泡混合洗浄水によって短時間に極めて効率良く洗浄されることになる。
【0019】
更に吸引口K1,送水口K2,鉗子K3の各アタッチメント用カプラAKに供給される気泡混合洗浄水W1は、ビニール配管H1,H2,H3を介して図7に示す内視鏡80の吸引口(イ),送水口(ロ),鉗子(ハ)から各々の内部管路へ送水されるため、従来のような単なる水流洗浄ではなく、水流にミクロバブルをプラスした気泡洗浄が行われる結果、従来に比し格段の洗浄効果が期待出来る。
【0020】
尚、上述した各流路を介して内視鏡80の外表面並びに内部管路を洗浄し終えた洗浄水は、円環槽2A内に回収され、水洗浄工程が終了用するまで循環して使用するが、この間前記給水電磁弁SOL4を間欠的に開いて新たな水道水をレベルスイッチLS2が作動しない範囲内で導入するよう設定されているため、循環中に順次間欠給水された水道水と入れ替えが行われるものである。
【0021】
こうした水洗浄工程が一定時間経過すると洗剤ポンプP4が作動して、洗剤タンクT1内の低発泡性の液状洗剤をノズルN3(図1では洗剤吐出口S2にて表示)から円環槽2A内の貯溜水内に注入する。従って、洗剤注入後は所定濃度の洗剤を含んだ気泡混合流水液となって各流路に供給されるため、内視鏡の内外面は洗剤プラスミクロバブル入りの流水液によって効率よく洗浄される。
【0022】
洗剤洗浄工程のタイムアップ後は、循環/排水切換弁V2のうち下流側の切換弁のみを切換作動して洗剤混入液を全量外部へ排出し、排出完了と同時に洗剤を洗い流すすすぎ工程へ移行する。このすすぎ工程は上述した水洗浄工程と同様のプログラムによって実施される。従って内視鏡80内外面に付着した洗剤成分はミクロバブルを混入した気泡混合洗浄水によって至って短時間に効率よく洗い流される。
【0023】
上記洗剤を洗い落とすすすぎ工程がタイプアップすると、再び循環/排水切換弁V2の下流側の切換弁が作動して、すすぎに供した洗浄水を外部へ排出し、排出完了と同時にエアポンプAPを駆動して圧力エアーを内視鏡の内外面に一定時間噴出させて水切りを行う。
【0024】
上記エアポンプAPの駆動が停止し、水切り工程が終了すると、薬液ポンプP5が駆動を開始し、薬液タンクT2内の消毒液Yを薬液蛇口N4から円環槽2Aへ向けて供給して、消毒工程へと移行する。消毒液が所定量に達すると、レベルスイッチLS1が作動し、切換弁MV1を開放して消毒液を循環させると同時にチャンネル内消毒電磁弁VXを開いて吸引口K1,送水口K2,鉗子K3の各アタッチメント用カプラAKへ消毒液が供給される。従って、内視鏡80はその外表面が循環する消毒液中に浸漬されることにより、又、内部管路は各アタッチメントカプラから供給される消毒液によって消毒される。
【0025】
上記消毒時間が一定時間経過すると、薬液ポンプP5が停止し消毒液Yを薬液タンクT2内へ回収する。薬液回収後は、前述した洗剤のすすぎ工程と同様に薬液すすぎ工程→エアーによる水切りを行って全工程を終了する。
【0026】
【発明の効果】
以上本発明によれば、微細な気泡(ミクロバブル)が混入した洗浄水又は洗剤混入液が単一の渦流タービンポンプにより連続的に生成される結果、洗浄槽の構成および装置全体の簡素化とコストダウンを図ることが出来る。
【0027】
又、内視鏡の外表面ならびに内部管路ともにミクロバブル入りの気泡混合洗浄水又は気泡混合洗剤によって同時に洗浄される結果、効率良く短時間に洗浄することが出来るばかりでなく洗剤洗浄工程および消毒工程後に行われるすすぎ工程においても、ミクロバブルを混入した気泡混合洗浄水によって内視鏡内外面を洗い流すため、すすぎ工程時間の短縮が期待出来る。
【0028】
更に内視鏡の外表面は、4ヶの渦流発生ノズルと円環槽の外壁に設けたノズルの2種類の噴出液によって洗浄される結果、微密で仕上がり精度の高い洗浄が期待出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示し、内視鏡洗浄装置の外観斜視図である。
【図2】本発明の実施形態を示し、内視鏡洗浄装置の平面図である。
【図3】本発明の実施形態を示し、内視鏡洗浄装置の回路図である。
【図4】本発明の実施形態を示し、渦流タービンポンプの作用断面図である。
【図5】本発明の実施形態を示し、渦流タービンポンプの羽根車の斜視図である。
【図6】本発明の実施形態を示し、洗浄槽本体の断面図である。
【図7】内視鏡の外観斜視図である。
【符号の説明】
1・・・・・・・・箱体
1A・・・・・・・上面
2・・・・・・・・洗浄槽
2A・・・・・・・円環槽
2B・・・・・・・中心部
2C・・・・・・・オーバーフロー孔
80・・・・・・・内視鏡
100・・・・・・内視鏡洗浄装置
AK・・・・・・・アタッチメント用カプラ
N,N1,N2・・ノズル
S1・・・・・・・消毒液吐出口
S2・・・・・・・洗剤吐出口
P1・・・・・・・排水ポンプ
P2・・・・・・・渦流タービンポンプ
Claims (1)
- 水道水等の洗浄水による水洗浄工程と、洗浄水に洗剤を混入した洗剤洗浄工程および洗剤洗浄工程後と消毒工程後に行われるすすぎ工程において、洗浄槽から導入する洗浄水又は洗剤混入液エアーとを混合して微細な気泡(ミクロバブル)を混入した気泡混合洗浄水又は気泡混合洗剤液を生成する渦流タービンポンプを駆動して、上記気泡混合洗浄水又は気泡混合洗剤液を洗浄槽の各隅角部に設けた4ヶのノズルから内視鏡がセットされる円環槽に向けて噴出する流路と、上記円環槽の側壁面に設けたノズルから円環槽内に噴射する流路および内視鏡の各内部管路に接続するカプラへ供給する流路を各々介して内視鏡外表面ならびに内部管路を洗浄することを特徴とした内視鏡洗浄装置。
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1998
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