JP3691568B2 - 電子メール管理システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,電子メールを用いて登録されたメンバーへの情報提供を行うシステムにおいて,複数メンバーに同一電子メールを配送する場合に用いるメーリングリストの管理を容易化した電子メール管理システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
組織が大規模になり階層化している場合,従来,組織内の連絡のために電子メールシステムを利用するには,送信する階層レベルが複数あることから,各階層ごとに別個のメーリングリストを保持しなければならず,これらのメーリングリストには同一のメンバーが重複して登録されていた。
【0003】
また,組織が大規模になるにつれて,メーリングリストは多数になるため,スーパーユーザと称されるシステムの管理権限を持つユーザ(組織全体のメールシステム管理者等)による管理業務は増大することになった。
【0004】
さらに,組織が大規模になれば組織自体が分散して存在することもあり,この場合には,メーリングリストの管理業務も分散しなければならず,複数のメールシステム管理者が必要であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
図8は,従来のメーリングリスト管理の例を説明する図である。
図8に示すように,ある組織において{a1 , a2 ,a3 ,a4 ,…,ai ,…,a30}のメンバーからなるA部があり,このA部の下にA1課,A2課,A3課があり,さらに各課には,ワークグループA11,A12,A21,A22,A31があるとする。ここで,A1課のワークグループA11のメンバーは{a1 ,a2 ,a3 ,a4 },ワークグループA12のメンバーは{a5 ,a6 ,a7 ,a8 ,a9 ,a10},A2課のワークグループA21のメンバーは{a11,a12,a13,a14,a15},ワークグループA22のメンバーは{a16,a17,a18,a19,a20},A3課にはワークグループA31のみで,そのメンバーは{a21,a22,a23,a24,a25,a26,a27,a28,a29,a30}であるとする。
【0006】
この場合,同一電子メールの配布先を指定するためのメーリングリストとして,A部に所属する全員をメンバーとする「A部宛メーリングリスト」,各課宛の「A1課宛メーリングリスト」,「A2課宛メーリングリスト」,「A3課宛メーリングリスト」を作成しておく必要があり,さらに,各ワークグループ宛のメーリングリストを作成する必要がある。
【0007】
また,ワークグループA11とA21とが共同ワークグループとして作業するとき,新たに「A11/A21宛メーリングリスト」を作成しなければならない。
【0008】
ここで,例えばA1課のワークグループA11に所属するメンバーa3 が,A2課のワークグループA21へ移動すると,これに伴い,「A1課宛メーリングリスト」,「A2課宛メーリングリスト」,「A11宛メーリングリスト」,「A21宛メーリングリスト」,「A11/A21宛メーリングリスト」の5つのメーリングリストを変更しなければならない。これらのメーリングリストを変更できるのは,通常,メールシステム管理者のみである。
【0009】
したがって,組織内で頻繁にメンバーの移動や組織の変更があるような場合には,その都度,電子メール管理システムの管理者がシステム全体のメーリングリストに関する管理ファイルを更新しなければならず,その結果,必要な時に必要なメーリングリストを作成または変更するというようなシステムの柔軟性が損なわれるという問題,また,メーリングリストの編集作業の増加に伴って不必要なミスが増加するというような問題が生じ,組織の規模が大きくなるにつれてシステム運営上の負担が増大するという問題があった。
【0010】
さらに,組織自体の分散により,上述するような電子メール管理システム運営上の負担がさらに増大するという問題があった。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため,本発明は,メーリングリストの作成を,他のメーリングリストのメンバー集合間の包含関係,論理積,論理和,論理差というような集合論的関係を指定して指示するメーリングリスト作成指示手段と,他のメーリングリストの集合論的関係を指定したメーリングリストの作成指示に対して,作成する新たなメーリングリストのメンバー集合を,他のメーリングリストに属するメンバー集合の集合演算によって決定するメーリングリスト作成処理手段とを備える。これによって,複数のメーリングリストに所属するメンバーが,例えば階層的な組織構造のためにメーリングリスト間で重複するような場合にも,簡単な指定によってメーリングリストを作成することができる。
【0012】
特に,前記メーリングリスト作成指示手段を,特定のアドレスを指定して配送された所定の形式による管理コマンドを内容とする電子メールによって実現することにより,複数のメーリングリストが分散して存在する場合にも,ネットワークを介して簡単に作成することが可能になる。
【0013】
また,本発明は,複数のメーリングリスト間の集合論的関係と,その集合論的関係の指定子とを記憶するメーリングリスト管理情報記憶手段と,このメーリングリスト管理情報記憶手段が記憶するメーリングリスト間の集合論的関係によって,あるメーリングリストへのメンバー追加または削除を,他のメーリングリストのメンバー集合に自動的に反映させるメーリングリスト編集処理手段とを備える。メーリングリスト管理情報記憶手段が記憶する集合論的関係の指定子としては,サブセットおよびスーパーセット等がある。これによって,複数のメーリングリストを一つの管理システムで管理し,かつ複数のメーリングリストを管理する手間を軽減することができる。メーリングリストの編集指示についても,特定のアドレスを指定して配送された所定の形式による管理コマンドを内容とする電子メールによって実現することが可能である。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は,本発明のシステム構成例を示す図である。
図1において,1は受信した電子メールを解釈するメール解釈部,2はメーリングリスト作成処理手段およびメーリングリスト編集処理手段を持つメーリングリスト(ML)管理部,3は各メーリングリストに所属するメンバー集合の情報を記憶するメンバーリスト記憶部,31は一般メンバーリスト,32は管理者リスト,4はメーリングリスト(ML)管理情報記憶部,5は電子メールを配送するメール送信部,6は電子メールで通知されたコマンドを処理するコマンド処理部,7は電子メールのログ情報等を保存するメール保存部,8は電子メールによって検索可能な各種のデータベース(DB),9は電子メールに関するログ情報等を記憶するメール記録部を表す。
【0015】
メール解釈部1は,到着したメールのヘッダ情報とメール内容を読み取って解釈する手段である。解釈した結果に従って,メーリングリストの指定があればメーリングリスト管理情報記憶部4から宛先メーリングリストを選択し,その属性とメンバーリストを得て送信に必要な処理を行う。
【0016】
メンバーリスト記憶部3は,メーリングリストの内容となるメンバーを記憶する手段である。メンバーリスト記憶部3中の一般メンバーリスト31は,一般資格のメンバーを記憶するリスト,管理者リスト32は,本システムの管理者資格を有するメンバーを記憶するリストである。
【0017】
メーリングリスト管理情報記憶部4は,各メーリングリストの属性情報およびメーリングリスト間の関係に関する定義情報を記憶するML群記述ファイルであり,ここで,メーリングリスト間の関係は,例えばメンバー集合の包含関係,論理積,論理和,論理差等の集合論的関係で表現される。
【0018】
メーリングリスト管理部2は,メーリングリストの作成/更新/消去,メンバーの追加/削除等の処理を行い,メーリングリスト管理情報記憶部4およびメンバーリスト記憶部3の情報を管理する手段である。メンバーリスト記憶部3の内容を,メーリングリスト管理情報記憶部4の中に含ませることもできる。
【0019】
メール送信部5は,メール解釈部1から通知されたアドレスへメールを送信する手段である。
コマンド処理部6は,電子メールの内容が所定のコマンドである場合に,そのコマンドで指定された処理を実行する手段である。例えば,メールの送信確認コマンド,メール返送コマンド,データベース検索コマンド等があり,コマンドに応じてメール記録部9またはデータベース8を参照した処理などを行う。なお,これらは通常コマンドであり,他に後述するメーリングリスト管理用の管理コマンドがある。
【0020】
メール保存部7は,宛先メーリングリストの属性として,本電子メールの保存が指定されている場合に,メール記録部9にメールを保存する手段である。
データベース8は,本電子メール管理システムからアクセスが可能な一般的なデータベースである。
【0021】
メール記録部9は,電子メールのタイトル,電子メールの内容,統計情報などの電子メールに関する情報を記録しておくための装置である。
本システムは,特定のアドレスに対するメールの到着により起動される。特定のアドレスを指定したメールが到着すると,まず,メールのヘッダを読み取り,宛先メーリングリストを選択し,その属性とメンバーリストを得る。
【0022】
したがって,ユーザがメーリングリスト管理情報記憶部4のメーリングリスト群を利用するには,本システムを宛先としたメールに,利用するメーリングリストを指定する情報を含める必要がある。この指定方法として,メールのヘッダ情報の一つであるSubjectフィールドへ宛先メーリングリスト名を表す文字列または宛先メーリングリストを指定する集合論的関係で表した定義情報等を挿入する方法がある。また,他の方法として,これらの文字列または定義情報等を,メールのヘッダに用意したエキストラフィールドで指定する方法を用いてもよい。前者のSubjectフィールドを利用する方法のほうが汎用性が高い。
【0023】
メーリングリストを作成または利用する場合に,メーリングリスト管理情報記憶部4で複数のメーリングリスト群の関係情報を管理しているため,そのメーリングリストを定義する関係情報に基づいてメンバーリスト記憶部3の一般メンバーリスト31に記憶したメンバー集合を指定することができる。したがって,メーリングリストの作成時に,必要な全メンバーのアドレスを書き下ろす必要がなく,簡単にメーリングリストを作成することができる。
【0024】
また,宛先メーリングリストを指定する場合に,直接的な宛先メーリングリスト名の指定に代えて,複数のメーリングリストのメンバー集合に対する集合論的演算(例えば論理和,論理積,論理差等)による間接的な指定も可能であるので,継続的に使用するメーリングリストを作成することなく,一時的にのみ必要な仮想的な宛先メーリングリストによって,一時的な連絡を簡単かつ柔軟に行うこともできる。
【0025】
さらに,管理者(通常のシステム管理者とは異なっていてもよい)は,管理コマンドを内容とする電子メールを利用して,メーリングリストの作成/消去,他のメーリングリストとの関係の定義,メンバー変更,メーリングリスト名の変更等を行うことができるため,随時,どこからでもメーリングリストを管理することが可能である。メーリングリストの関係情報として,離れた地点にあるメーリングリストを指定することができ,これによって分散する複数のメーリングリストを一つの管理者アドレスから管理することが可能である。
【0026】
図2はメーリングリスト(ML−1〜ML−6)群の関係例を示す図,図3は図2に示すメーリングリスト(ML−1〜ML−6)群の中のメンバーリストの例を示す図である。
【0027】
各メーリングリスト(ML−1〜ML−6)のメンバーが,例えば図3に示すようになっていたとする。すなわち,図3に示すように,ML−1のメンバーリストは,user1@flab.fuji.co.jp〜user50@flab.fuji.co.jpのアドレスを持ち,ML−2のメンバーリストは,user1@flab.fuji.co.jp〜user20@flab.fuji.co.jpのアドレス,ML−3のメンバーリストは,user21@flab.fuji.co.jp〜user40@flab.fuji.co.jpのアドレス,ML−4のメンバーリストは,user31@flab.fuji.co.jp〜user45@flab.fuji.co.jpのアドレス,ML−5のメンバーリストは,user21@flab.fuji.co.jp〜user25@flab.fuji.co.jpのアドレス,ML−6のメンバーリストは,user31@flab.fuji.co.jp〜user40@flab.fuji.co.jpのアドレスを持つとする。
【0028】
これらの複数のメーリングリスト(ML−1〜ML−6)間の関係を集合論的関係で表すと,図2(A)に示すようになる。ML−2,ML−3,ML−4は,ML−1のサブセットであり,ML−1は,ML−2,ML−3,ML−4のスーパーセットである。ML−5は,ML−3のサブセット,ML−6は,ML−3とML−4の論理積という集合論的関係がある。
【0029】
さらに,図2(A)のメーリングリスト(ML−1〜ML−6)群の集合論的関係は,図2(B)に示すような階層関係で示すこともできる。
メーリングリスト管理情報記憶部4であるML群記述ファイルは,以上のようなメーリングリストの集合論的関係の情報および各メーリングリストの属性情報を記憶する。各メーリングリストの属性としては,例えば,(a) 発信資格検査を行うか否か,(b) メールの保存を行うか否か,(c) 本人によるメンバー登録を認めるか否か,(d) その他のデータ登録/検索を許すか否か,などがある。
【0030】
図4は,本システムの処理フローチャートである。
特定のアドレスに対するメールの到着によりシステムが起動すると,ステップS1では,メールのヘッダ情報を読み取る。
【0031】
ステップS2では,メーリングリスト管理情報記憶部4から,宛先メーリングリストを選択する。
ステップS3では,選択した宛先メーリングリストから,その属性とメンバーリストを得る。
【0032】
ステップS4では,メールの内容を読み取り,サービス要求者とサービス内容からメンバーの資格チェックが必要かどうかを判定する。資格チェックが必要であれば,ステップS5へ進み,資格チェックが不要であれば,ステップS7へ進む。
【0033】
ステップS5では,資格チェックを行う。
ステップS6では,資格チェックがOKであれば,ステップS7へ進み,資格チェックがOKでなければステップS8へ進む。
【0034】
ステップS7では,資格チェックを通過した要求の処理を判定する。コマンドが管理コマンドであればステップS9の処理を行い,コマンドが通常コマンドであればステップS10の処理を行う。
【0035】
ステップS8では,資格なしとされた要求者に対し,サービス拒否のメールを返送する。
ステップS9では,管理コマンドに従って本システムのメーリングリスト群の管理や各メーリングリストに関する管理処理を実行する。管理コマンドによって,後述するような,メーリングリストの作成や関係情報の変更等を行うことができる。
【0036】
ステップS10では,通常コマンドの場合,メーリングリストの属性に従って可能なサービス(通常メール送信,データ登録,データ検索等)を実行する。
管理コマンドとして,1)メーリングリスト作成,2)メーリングリスト消去,3)メーリングリスト・メンバー追加,4)メーリングリスト・メンバー削除,5)メーリングリスト名変更,6)メーリングリスト属性変更等が用意されている。
【0037】
1)メーリングリスト作成コマンド
指定した名前のメーリングリストを作成する。このとき,明示的に参加メンバーを指定する方法と,他のメーリングリストに関する集合論的関係を指定することによって間接的にメンバーを指定する方法とがある。集合論的関係による指定では,関係として,例えば▲1▼サブセット,▲2▼スーパーセット,▲3▼論理和,▲4▼論理積,▲5▼論理差,などが指定可能である。これらを組み合わせた指定も可能である。
【0038】
▲1▼サブセット
あるメーリングリストのサブセットとして新たなメーリングリストを作成する。例えば,図2の例では,ML−2はML─1のサブセットとして作成されている。このサブセットの関係があるとき,ML−2へのメンバーの追加は,ML−1へのメンバー追加となるように反映される。ML−2からのメンバーの削除は,ML−1からのメンバー削除に反映されないが,ML−1からのメンバーの削除は,ML−2からのメンバーの削除となるように反映される。
【0039】
▲2▼スーパーセット
あるメーリングリストのスーパーセットとして新しいメーリングリストを作成する。図2の例では,ML−3は,ML−5のスーパーセットである。このスーパーセットの関係があるとき,ML−3からのメンバー削除は,ML−5からのメンバー削除となるように反映される。
【0040】
▲3▼論理和
複数メーリングリストのメンバーの論理和をメンバーとして持つ新しいメーリングリストを作成する。図2の例では,ML−1は,ML−2,ML−3,ML−4の論理和(あるいは,そのスーパーセット)である。
【0041】
▲4▼論理積
複数メーリングリストのメンバーの論理積をメンバーとして持つ新しいメーリングリストを作成する。図2の例では,ML−6はML−3とML−4の論理積となっている。
【0042】
▲5▼論理差
あるメーリングリストから特定のメンバーを差し引いたメンバーからなる新しいメーリングリストを作成する。
【0043】
2)メーリングリスト消去コマンド
指定したメーリングリストをメーリングリスト管理情報記憶部(ML群記述ファイル)4から消去する。このとき消去されたメーリングリストに関するメンバーリスト等の他のファイルは,必要に応じて後の参照のために保存しておく。
【0044】
3)メーリングリスト・メンバー追加コマンド
指定したメーリングリストのメンバーリストに指定したメンバーのアドレスを追加する。
【0045】
4)メーリングリスト・メンバー削除コマンド
指定したメーリングリストのメンバーリストから指定したメンバーのアドレスを削除する。
【0046】
5)メーリングリスト名変更コマンド
指定したメーリングリスト名を他の名前に変更する。
6)メーリングリスト属性変更コマンド
指定したメーリングリストの属性を変更する。
【0047】
図5は,管理コマンドの具体例について,その概略的なシンタックスをBNF記述法に基づいて表した図である。図5において,[ ]はオプションを,|は「または」を表す。
【0048】
<メーリングリスト(ML)作成>における指定子には,「sub」,「super」,「equal」,「as」がある。
指定子が「sub」の場合,ML定義体に示すメーリングリストのサブ・メーリングリストとして作成する。すなわち,「A sub B」のとき,Aへのメンバー追加はBに反映され,Bからのメンバー削除はAに反映される。指定子が「super」の場合,ML定義体に示すメーリングリストのスーパー・メーリングリストとして作成する。すなわち,「A super B」のとき,Bへのメンバー追加はAに反映され,Aからのメンバー削除はBに反映される。
【0049】
指定子が「equal」の場合,ML定義体に示すメーリングリストと同じメンバーを持つメーリングリストとして作成する。すなわち,「A equalB」のとき,一方へのメンバー追加または削除は他方に反映される。指定子が「as」の場合,ML定義体に示すメーリングリストと同じメンバーを持つメーリングリストを作成する。ただし,その後のメンバーの変更は,他方に反映されない。
【0050】
属性オプションには,例えば「qualified」,「not−qualified」,「moderated」,「not−moderated」がある。「qualified」は,メール投稿時にメンバーの資格チェックを行い,メンバー以外の投稿を認めない指定である。「not−qualified」は,メール投稿時にメンバーの資格チェックを行わない指定である。「moderated」は,メンバーの登録/削除を管理者が行う指定である。「not−moderated」は,メンバーの登録/削除をメンバー自身(参加者)が行うことができる指定である。
【0051】
図6に,管理コマンドの使用例を示す。
「ML作成1」は,group1とgroup2の両方に所属するメンバーからなるメーリングリスト「projectA」を作成する場合の管理コマンドの例である。指定子superが指定されているので,projectAには,最低限group1とgroup2に含まれるメンバーは所属するが,それ以外のメンバーが含まれる可能性も許している。
【0052】
「ML作成2」は,section1とsection2の合同で行うことになった忘年会のためのメーリングリストを作成する場合の管理コマンドの例である。この場合は,equalを指定しているため,section1,section2以外のメンバーを受け付けないようになっている。もし,他のセクションのメンバーを受け付ける場合には,superを指定すればよい。
【0053】
「ML作成3」は,新規プロジェクト計画のためのメーリングリストを初期メンバーをprojectAと同じメンバーとして作成する場合の管理コマンドの例である。指定子asを使用しているため,その後のprojectAまたはproject−planのメンバー変更は,他方へ影響を与えない。
【0054】
「メンバー登録」は,projectAのメーリングリストに新メンバーとして,new−member@fuji.co.jpを追加する場合の管理コマンドの例を示している。
【0055】
本システムでは,複数のメーリングリストを同時に管理することを目的の一つとしているため,名前の競合,メンバーの不整合などの整合性チェック機能を持つ必要がある。これは,メーリングリスト管理情報記憶部4の内容(以下,ML管理テーブルという)のチェックによって容易に実現できる。
【0056】
また,管理者に対して複数メーリングリスト間の関係を分かりやすく提示する手段を提供することも必要である。例として,指定したメーリングリストのサブ・メーリングリストとスーパー・メーリングリストを返すというような管理コマンドshow−relationがあり,メーリングリストの管理上,有用である。
【0057】
図7は,ML管理テーブルの構成例を示す図である。
メーリングリスト管理情報記憶部4において,メーリングリスト群の管理情報を持つML管理テーブルは,各メーリングリストごとに,メーリングリスト名と,各種属性オプションと,指定子と,ML定義体と,メンバーリストまたはメンバーリストへのポインタを持つ。例えば,projectAのように,メンバー数が小さければ,ML管理テーブル内に直接メンバーリストを記述するようにしてもよいが,bonenkaiのように,通常は他のデータファイルにメンバーリストを保持しておき,そこへメンバーファイル名等によってポインタを張るようにする。
【0058】
【実施例】
本発明の実施例として,1)組織内連絡用メーリングリストの管理,2)話題ごとのメーリングリストの管理,3)複数の主要サイトを持つメーリングリストの管理等への応用例を説明する。
【0059】
1)組織内連絡用メーリングリストの管理
組織は通常階層化されており,一つのサイト内で階層ごとの複数の連絡用メーリングリストを管理する必要がある。さらに,メンバーの移動がしばしばあると,多数のメーリングリストの頻繁な変更等の管理業務がメールシステム管理者に負担を与えることになる。この負担は,組織が大規模になればなるほど重大である。本発明を利用することにより,多数のメーリングリストを一つのシステムで管理することができ,電子メールを用いた管理コマンドによる管理によって,管理者の負担を軽減することができる。また,組織内の特定のグループだけに連絡したり,複数の組織にまたがる同一業務の担当者への連絡等の柔軟なメール発信業務を行うことができる。
【0060】
2)話題ごとのメーリングリストの管理
活発なメーリングリストでは,しばしば複数の話題が同時に進行し,メンバー(参加者)は,どのトピックでメールが来たのか混乱することがある。本発明を利用することにより,主要な話題に対してサブ・メーリングリストをその都度作成し,メーリングリストへの参加や離脱を一般メンバー自身によって行なえるよう設定しておけば,不必要な話題のメールに煩わされることなく,必要なメールだけを受信できるなどの有効なメーリングリストの活用が可能となる。
【0061】
3)複数の主要サイトを持つメーリングリストの管理
多数のメンバーを抱えるサイトが複数ある場合,サーバをそれぞれのサイトに用意して分散してメンバーを管理するほうが,ネットワークのトラフィックを軽減できて効率的である。この場合には,本発明による分散管理が非常に有効である。分散して離れた場所にメーリングリストが存在する場合でも,図1に示すメーリングリスト管理情報記憶手段4のメーリングリスト間の関係情報中で離れた地点にあるメーリングリストを指定できるようにすることにより,管理の一元化または各サイト間の統一的な管理を図ることができる。これにより,特に各サイトそれぞれの管理者の作業をかなり軽減することができる。
【0062】
【発明の効果】
以上説明したように,本発明によれば,あるメーリングリストに属するメンバー集合を,他のメーリングリストの集合論的な論理関係情報を用いて定義し,複数のメーリングリストについて階層構造に対応させた管理を実現することができる。これにより,新たなメーリングリストを作成する場合にも,メンバーリストをすべて書き下ろす必要がなく,また,一時的なメーリングリストも簡単かつ柔軟に利用することができる。
【0063】
また,管理者は,電子メールにより,メーリングリストの作成・削除,他のメーリングリストとの関係の定義,メンバー変更,メーリングリスト名の変更等を行うことができる。電子メールを用いた管理コマンドによって,分散して存在する他の地点にあるメーリングリストを指定し,管理することができるので,これにより,分散する複数のメーリングリストを一つの管理者アドレスから管理することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のシステム構成例を示す図である。
【図2】 メーリングリスト群の関係例を示す図である。
【図3】 メーリングリスト(ML)のメンバーリストの例を示す図である。
【図4】 本発明のシステムの処理フローチャートである。
【図5】 管理コマンドの例を示す図である。
【図6】 管理コマンドの使用例を示す図である。
【図7】 ML管理テーブルの構成例を示す図である。
【図8】 従来のメーリングリスト管理の例を説明する図である。
【符号の説明】
1 メール解釈部
2 メーリングリスト(ML)管理部
3 メンバーリスト記憶部
31 一般メンバーリスト
32 管理者リスト
4 メーリングリスト(ML)管理情報記憶部
5 メール送信部
6 コマンド処理部
7 メール保存部
8 データベース(DB)
9 メール記録部
Claims (3)
- メーリングリストに登録された複数のメンバーに同一電子メールを配送する手段を有する電子メール管理システムにおいて,
メーリングリストの作成を,他のメーリングリストの集合論的関係を指定して指示するメーリングリスト作成指示手段と,
他のメーリングリストの集合論的関係を指定したメーリングリストの作成指示に対して,作成する新たなメーリングリストのメンバー集合を,他のメーリングリストに属するメンバー集合の集合演算によって決定するメーリングリスト作成処理手段とを備え,
前記メーリングリスト作成指示手段によって指定される集合論的関係における前記メンバー集合の集合演算として,少なくとも論理和,論理積および論理差があり,
前記メーリングリスト作成処理手段は,集合演算が論理和である場合に,指定された複数のメーリングリストのメンバー集合の論理和集合からなるメーリングリストを作成し,集合演算が論理積である場合に,指定された複数のメーリングリストのメンバー集合の論理積集合からなるメーリングリストを作成し,集合演算が論理差である場合に,指定された第1のメーリングリストのメンバー集合から第2のメーリングリストのメンバー集合を差し引いたメンバー集合からなるメーリングリストを作成する
ことを特徴とする電子メール管理システム。 - メーリングリストに登録された複数のメンバーに同一電子メールを配送する手段を有する電子メール管理システムにおいて,
メーリングリスト間の集合論的関係と,その集合論的関係の指定子とを記憶するメーリングリスト管理情報記憶手段と,
前記メーリングリスト管理情報記憶手段が記憶するメーリングリスト間の集合論的関係によって,あるメーリングリストへのメンバー追加または削除を,他のメーリングリストのメンバー集合に自動的に反映させるメーリングリスト編集処理手段とを備え,
前記メーリングリスト管理情報記憶手段が記憶する集合論的関係の指定子として,少なくともサブセットおよびスーパーセットがあり,
前記メーリングリスト編集処理手段は,
前記指定子がサブセットであり,第1のメーリングリストが第2のメーリングリストのサブセットとして作成されている場合に,第1のメーリングリストへのメンバーの追加は,第2のメーリングリストへのメンバーの追加となるようにメーリングリストを編集し,かつ,第1のメーリングリストからのメンバーの削除は,第2のメーリングリストからのメンバーの削除とはならないが,第2のメーリングリストからのメンバーの削除は,第1のメーリングリストからのメンバーの削除となるようにメーリングリストを編集し,
前記指定子がスーパーセットであり,第1のメーリングリストが第2のメーリングリストのスーパーセットとして作成されている場合に,第1のメーリングリストからのメンバーの削除は,第2のメーリングリストからのメンバーの削除となるようにメーリングリストを編集する
ことを特徴とする電子メール管理システム。 - 請求項1または請求項2記載の電子メール管理システムにおいて,
前記メーリングリストの作成または編集の指示は,所定の形式による管理コマンドを内容とする電子メールによって行われる
ことを特徴とする電子メール管理システム。
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