JP3691514B2 - 濾過方法及び装置 - Google Patents

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Description

本発明は濾過方法及び装置に関し、限定的ではないが特に液体内に高い希釈度で存在する微粒子を多量の液体から濾過することに関する。
微生物などの微小粒子を捕獲し、回収するために多量の液体を濾過することは、多くの問題を生じさせる。薄膜フィルタは容易に詰まる傾向があり、それゆえ、粒子を含む比較的少量の液体にのみ適している。フィルタ薄膜上では、微粒子が物理的、静電的若しくは化学的に捕獲されれることから、回収は困難な傾向がある。それゆえ、多量の液体、又は、固体含有量が高い少量の液体を濾過するためには深度フィルタが使用される。これらのフィルタは詰まりにくいが、粒子がフィルタ生地の内部深くで捕獲されるため、捕獲された粒子を完全に回収することが困難である。
この問題の一例は、寄生性の原虫である陰性小生子の接合子嚢の存在を検査するために、典型的には1000リットルの飲料水が濾過される水関連産業で起きる。濾過の後、接合子嚢はその識別及び計数のために回収されなければならない。現在、実際にはこの目的のために傷用綿繊維フィルタを利用する。接合子嚢を回収するために、フィルタエレメントは複数片に切断され、複雑な洗浄工程を経る前に断片はさらに切り裂かれ、繊維は細く裂かれる。これは、例えば、スタマッカホモジナイザ(stomacher homogeniser)内で、典型的には1リットルを3等分した洗浄液の量が遷移する中で、繊維を粉々にすることを伴う。この大きな両は、フィルタ容器に残された1リットルの水とさらに混合されると、接合子嚢を分離するその後の工程において、所望の処理数及び容器側での望ましくない損失という点において問題を生じさせる。自由になった接合子嚢が消化(stomaching)の際に再度捕らえられる場合があるため、洗浄工程自体が本質的に不十分となる。また、洗浄工程は時間を要し、規格化することが困難であり、それゆえ操作者に起因する変動の影響を受けやすい。
この種の問題の内のさらに他の例は、濾過による汚水や他の廃液の処理であり、これも水関連産業によるものであるが全く異なる規模のものである。これは、ある程度は砂の如き媒質の層を介した濾過により行われる。濾過された粒子が濾過材にたまると、それは多量の逆流の水により洗い流され、それから、その水は濾過工程で再利用される前に、粒子を沈殿物として落とすために沈殿タンクに収納される。逆流による洗浄水の量を減らすことが高度に要求され、それにより揚水機器や沈殿タンクの大きさが減少する。
US−A−4213863から、非圧縮発泡体の断片を濾過材として使用し、液体及び捕らえられた固体の一部を発泡体から取り除くためにそれを圧縮して濾過材を再生することが知られている。この方法により捕獲された粒子は部分的に発泡体から取り除かれ、発泡体を次の濾過に使用することが可能となるが、多くの捕獲された粒子は捕獲されたまま残る。さらに、もし発泡体の孔の大きさが微生物を効果的に捕獲できる程度に十分小さいならば、圧縮前の孔の合計の容積は小さく、その再生方法は不十分な程度にしか有効でない。
GB−A−2177316は、網目状の発泡体を濾過材として使用することを教示する。その発泡体は、実効的な孔のサイズを減少させるために圧縮され、発泡体を加熱することにより圧縮が確実にされる。その結果、圧縮力が除去された後も、それは圧縮された体積を維持する。このフィルタは、ひだ付きの紙性のオイルフィルタの代替品であり、フィルタにより捕らえられた粒子が効率的に回収できることを意図したものではない。
本発明は、濾過材として、伸長可能で、圧縮された連続気泡固体発泡体を備える濾過装置を提供することを目的とする。
発泡体は、除去が望まれる最小の粒子を濾過により除去するのに十分な程度にまで実効的な孔のサイズが減少するように圧縮される。発泡体は、濾過により取り除かれた粒子が発泡体から容易に分離できるようにするために、実効的な孔のサイズを増加させるべく再度伸長が可能である。通常、発泡体は、次の濾過処理のために再圧縮することにより再利用が可能である。
発泡体は、好ましくは、非圧縮状態で良好な流液性を示し、非圧縮状態では微生物又は他の微粒子の濾過が可能とは考えられないような、孔のあけられた又は網目状の構造を有する。ポリエーテル、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタンなどの広範な種類の可塑性物質のうちから適切なポリマー発泡体が使用可能である。好ましいポリマー発泡体は、50乃至200ppi(インチ当たりの孔の数)(センチ当たり50乃至80孔)、例えば、約100ppi(センチ当たり40孔)である。
好ましくは、濾過材は、相互に層状に積み重ねられ、積み重ねの方向に圧縮されてなる複数の発泡体フィルタエレメントの積み重ねを有する。そのようなフィルタエレメントは、発泡体のシートから切り取られる。好ましくは、発泡体エレメントの気孔率が一様となるように、切断工程において個々のエレメントの端部が破砕されないように注意が払われる。
個々のエレメントの厚さは0.1乃至10cmであることが適切であるが、より好ましくは0.5乃至2cmの厚さ、例えば1cmの厚さとする。このように濾過材を層に分割することは、発泡体を均一に圧縮することを容易にし、また、伸長後に発泡体を洗浄することを容易にする。
好ましくは、濾過装置はフィルタエレメントの積み重ねの両端部に設けられた第1の圧縮部材と第2の圧縮部材を有し、第1及び第2の圧縮部材それぞれは、濾過材により濾過されるべき流体を通過させるのに適するように構成される。第1及び第2の圧縮部材は、板、例えば孔の空いた板により構成することができる。それらは、濾過材を貫通する1又はそれ以上の棒により相互に連結される。圧縮部材を棒に対して固定することは、発泡体を圧縮状態で保持することに寄与する。
好適には、発泡体は5乃至20の比率で、少なくとも一方向に圧縮される。圧縮方向は、発泡体の複数の層が形成される積み重ねの方向である。
より好適には、圧縮比は5乃至20の範囲、例えば、10乃至15の範囲である。即ち、好適には、発泡体エレメントの積み重ねは元の高さからその高さの1/10又は1/15に圧縮される。
濾過装置内での濾過材の深さは、目的とする粒子の大きさと濾過の対象となる液量に依存して変更可能であるが、分析のための粒子の分離の目的では典型的に0.1乃至20cmの範囲内であり、廃水、汚水又は他の廃液の処理のような工程処理の目的では一般的により大きくなるであろう。
発泡体の圧縮の程度は、所望の粒子を捕獲するために十分に小さい実効的な孔のサイズを提供するために、最初の発泡体の気孔率を考慮して調整することができる。
濾過材内では、フィルタエレメントは最初の気孔率又は圧縮比とは異なるように層状に積み重ねることができる。特に、濾過材の上流端部の1又はそれ以上のフィルタエレメントは比較的広い孔を有し、濾過材の下流端部又はその近傍の1又はそれ以上のフィルタエレメントは比較的微小な孔を有するように構成することができる。この手段によって、目的の粒子は濾過材内の特定の深さで捕獲され、選択されたエレメントから限定的に粒子の抽出を行うことができる。
本発明は、粒子を含む流体を伸長可能で圧縮された固体連続気泡発泡体からなる濾過材に通過させて粒子を発泡体内で捕獲する工程と、発泡体を圧縮状態から開放して伸長する工程と、発泡体から粒子を洗い出す工程と、を有する流体からの粒子の濾過方法を含む。濾過材は、上述のようなフィルタエレメントの積み重ねを有し、その積み重ねは、粒子を除去するために分離して洗浄される個々のフィルタエレメント又はフィルタエレメントの集合に分割することができる。
好適には、濾過される流体の量に対する、濾過材から粒子を洗い出すために使用される液体の量の比率は、1:Xであり、ここで、Xは少なくとも10、好ましくは少なくとも100であり、より好ましくは少なくとも1000である。
その濾過方法により捕獲された粒子は、その後、粒子の存在を検出し、それらを識別し又は計数するための分析工程に供される。
その粒子は、隠性小生子の接合子嚢又はジアルジア嚢などの微生物とすることができる。
除去が必要とされる、より大きな粒子の汚染物質を含むサンプルに対して濾過が行われる場合、例えば、サンプル内に存在する微生物の数を検出する以前には、前置濾過を行うことが可能である。これは、従来のフィルタを利用して行うことが可能である。また、目標となる種が濾液を通過する際に、より大きな汚染物質を除去するために、適用される発泡体の気孔率及び/又は圧縮比が調整され又は選択された本発明のフィルタを利用して行うことも可能である。従って、前置フィルタは目標の種を捕獲するために使用されるフィルタと類似するが、非圧縮状態でより小さな深さの発泡体を同一の深さにまで圧縮した発泡体を含むフィルタとすることができる。陰性小生子の接合子嚢やジアルジア嚢については、前置フィルタは、捕獲フィルタの20乃至60%の発泡体含量を有するが、同一の寸法を有するものが適している。
上述の濾過工程で凝集された後、微生物は、例えば我々の継続中の出願No.GB9409348. 1に記載された処理により、さらに凝集することができる。このような工程においては、微生物に対して親和力を有する磁気的に誘引可能な粒子が固体の支柱に誘引され、その後、固体の支柱上の粒子に結合した微生物を捕獲するために微生物を含む液体と接触させられる。粒子を固体の支柱に誘引する磁力はその後取り除かれ、その結果、粒子は固体の支柱から解放されて、より少量の液体中に放出される。
この方法でさらに凝集された微生物は、それから、WO93/16383に記載された手法の電気回転による分析に供することが可能である。
本発明は、添付の図面及び以下の例を参照してさらに記述され、図示される。図面において、
図1は、本発明に係る濾過装置の切断側面図であり、
図2は、図1の濾過装置内で使用される、本発明に係るフィルタカートリッジの切断側面を示し、
図3は、図2のカートリッジの平面図である。
図1に示すように、微生物分析に使用される、本発明に係る濾過装置は、同軸状に伸びる出口管14を有する固定の円錐状出口端12が設けられた、ほぼ円柱状の本体を有するフィルタ容器10を備える。同軸状に伸びる入口管18及び一組の同軸状に伸びるフランジ20、22が設けられた入口端に、キャップ16が設けられている。フランジ20、22は、端部キャップ16にねじ切り結合により固着され、O型リング24で閉じられる円柱状の本体10の入口端が結合する円形の溝を構成する。容器10の内部には、図2及び3により詳細に示される、本発明に係るフィルタエレメント26が存在する。それは、個々の端板の中心孔を貫通し、ナット34により固着されるボルト32の形の棒部材により結合される、有孔の端板28の形の上流側圧縮部材、及び、有孔の端板30の形の下流側圧縮部材を有する。端板の間には、それぞれ、非圧縮状態で約1cmの厚さ及び100ppiの非圧縮気孔率(センチ当たり40孔)を有する約30枚の網目状発泡体の円形ディスク36が圧縮される。これらは、端板28及びボルト32上に積み重ねられ、全体の厚さが2乃至3cmとなるように発泡体層を圧縮すべく端板30により押し下げられる。任意に、発泡体層は、気孔率のより粗い1又は幾つかの上流層38を含むように構成することもできる。任意に、発泡体層は、気孔率の小さい1又はそれ以上の下流層40を含むように構成することもできる。
図2及び3に示されるフィルタエレメントは、端キャップ16が取り付けられる以前に、開口した入口端を介して容器内に押し入れられる。ボルト32を締めて小さなレベルの付加的な圧縮を発泡体ディスクに加えてやることにより、発泡体ディスクが容器の側壁10に対して強く押圧されるようにすることができ、隙間のない液体の密封が可能となる。
本発明に係る濾過装置のもう一つの適切な構成は、発泡体を、好適にはエレメントの積み重ねとして、プランジャにより発泡体が押圧される有孔の板などの発泡体支持部材を有する管状の容器内に配置することである。プランジャは圧縮された発泡体内を液体が通過できるように、孔が設けられた構成とすることが可能である。発泡体はプランジャの移動によって再伸長され、洗浄され得る。このように、1の圧縮部材が、それによって発泡体が圧縮されるべき、容器の移動可能な壁を構成するような容器内に発泡体を配置することが可能である。
もう一つの代替可能な構成では、液体は圧縮された発泡体の積み重ねを、積み重ねの方向を横断する方向に通過するように構成される。
本発明は、以下の例によりさらに説明される。
例1:圧縮された発泡体フィルタからのポリスチレン小球の回収
この例では、接合子嚢と類似の寸法の粒子の捕獲及び解放効率を調査するために6μmの赤色ビーズを使用した。1ml当たり2.25×107のビーズを含む1mlの懸濁液を3、000mlの水で希釈したものを、図面を参照して既に説明された圧縮発泡体フィルタに通過させた。それぞれが1cmの厚さのシートから打ち抜かれた30枚の発泡体ディスクが積み重ねられてなる発泡体は、その後容器から取り出され、発泡体ディスクは6枚毎の5つの集団として洗浄された。個々の集団は、200mlの水により洗浄された。ビーズは遠心分離により集められ、血球計スライドを利用して計数された。合計1.30×107のビーズが捕獲され、捕獲効率は57.8%であった。過半数のビーズは、最上部の5分の2のフィルタエレメントから発見された。
例2:河川水内の隠性小生子の回収
グロスター、デュークスベリーのセバーン川から採取した10リットルの水に、合計で2.7×105の接合子嚢が含まれるように陰性小性子(Cryptosporidium parvum)(山羊から分離)がスパイク(spike)された。サンプル水は川が洪水の時に採取され、濁度は60−70 NTUsであった。サンプルは、藻類細胞を含む有機物質を含み、使用前に滅菌はしていない。サンプルは例1で説明されたフィルタを、詰まることなく通過した。濾液は保存され、濾過及び免疫蛍光剤による染色により発見された接合子嚢の数は8×104で、捕獲効率は70%であった。発泡体の洗浄の後、7.3×104の接合子嚢が再生された。これらのデータは、捕らえられた接合子嚢が38.6%の回収効率で回収され、これは傷用綿フィルタを使用した場合の報告に比べて有望であることを示唆している。
例3:
例2と同様に、グロスター、デュークスベリーのセバーン川から採取した10リットルの水に、陰性小性子(Cryptosporidium parvum)(山羊から分離)がスパイク(spike)された。サンプル水は、異例なほどの豪雨の期間後に採取され、高い濁度(50−60NTUs)を有していた。その水は、藻類物質を含む有機物をも含んでおり、使用前に滅菌はされなかった。サンプルは、ディスクが打ち抜きではなく切り取りにより作られること以外は例1で説明したフィルタと同様のフィルタを通過するように小型蠕動ポンプにより吸い上げられた。フィルタの詰まりは観察されなかった。接合子嚢の数は、サンプルを薄膜フィルタに通過させることにより推計された。薄膜は、蛍光抗体により染色され、接合子嚢は顕微鏡を使用して計数された。計数は、濾過前の接合子嚢が加えられた10リットルのサンプル、及び、濾液に対して行われた。
結果は、以下の通りである。
Figure 0003691514
これらの結果は、濁度の高い10リットルの河川水を使用した場合に、フィルタの詰まりを生じることなく高い効率で捕獲が行われたことを示している。
例4
例3で既に説明された方法を使用して、陰性小性子の接合子嚢が濁度の高い河川水(50NTUs)にスパイク(spike)され、濾過された。以下の濾過では、フィルタディスクは総量400mlの0.5から20%の水で洗浄された。洗浄工程は、約10分を要した。2回の作業の結果を以下に要約する。
Figure 0003691514
例5
陰性小生子の接合子嚢について説明した方法を用いて、嚢又はジアルジア腸(intestinalis)が10リットルの濁度の高い河川水にスパイクされ(spike)、濾過された。嚢は例4で説明したように抽出された。フィルタからの嚢の回収を概算するために、洗液内の嚢を計数した。結果は以下の通りである。
Figure 0003691514
以下のクレームの範囲内において、上述された本発明の多くの変形が可能である。

Claims (11)

  1. 伸長可能な、圧縮された固体連続気泡発泡体からなる複数のフィルタエレメント(36)が層状に相互に積み重ねられ、前記積み重ねの方向に少なくとも比率5で圧縮されているところの発泡体濾過材と、
    前記フィルタエレメントの積み重ねの両端に配置され、前記濾過材を貫通する1又はそれ以上の棒部材(32)により連結された第1の圧縮部材(28)及び第2の圧縮部材(30)であって、それぞれ濾過の対象となる流体前記濾過材通過することを可能にするところの第1の圧縮部材(28)及び第2の圧縮部材(30)と
    を備えることを特徴とする濾過装置。
  2. 前記発泡体は、少なくとも一方向に5乃至30の圧縮比で圧縮されていることを特徴とする、請求項1に記載の濾過装置。
  3. 前記発泡体は、少なくとも一方向に5乃至20の圧縮比で圧縮されていることを特徴とする、請求項2に記載の濾過装置。
  4. 前記濾過材を収納し、そして、前記濾過材を通過すべき濾過の対象となる流体の流路を形成する容器(10)を有することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1つに記載の濾過装置。
  5. 流体から粒子を濾過する方法であって、
    前記粒子を含む流体を、請求項1乃至4のいずれか1つの記載した濾過装置を通過させ、
    発泡体を圧縮から解放し、前記発泡体を伸長し、そして、
    前記発泡体から粒子を洗浄する
    ことを含む方法。
  6. 前記圧縮を解放した後、積み重ねれらたものを、個々に洗浄される独立のフィルタエレメント又はフィルタエレメントの集合に分割して、粒子を除去することを特徴とする請求項5に記載の方法。
  7. 前記濾過材から前記粒子を洗い出すために使用される液体の量と、濾過される流体の量との比が1:Xであり、Xが少なくとも10であることを特徴とする、請求項5又は6に記載の方法。
  8. Xが少なくとも100であることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
  9. Xが少なくとも1000であることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
  10. 前記発泡体から洗い出された前記粒子の存在、同一性又は数を検出する分析を行う工程をさらに備えていることを特徴とする、請求項5乃至9のいずれか1つに記載の方法。
  11. 前記粒子が微生物であることを特徴とする、請求項5乃至10のいずれか1つに記載の方法。
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