JP3680548B2 - 転写ベルト及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真技術を用いて画像を形成するプリンター、ファクシミリ、複写機等の画像形成装置に関する。特にその転写ベルト及びその製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
画像形成装置の一つの形式として、感光体等の静電像担持体に形成された静電像をトナーにより現像し、このトナー像をいったんエンドレスベルト状に形成された転写ベルトに位置を合わせて転写し、これによって得られたトナー像を転写材に転写させるようにする方式がある。
【0003】
図3にこの形式の画像形成装置の一例の概略構造を示す。この画像形成装置イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーを用いてフルカラー画像を形成することのできる装置である。
【0004】
この画像形成装置では、感光体102は図示されない駆動装置によって矢印125の方向へ回転し、この回転方向に対し上流側から感光体クリーナー106、除電ユニット103、帯電ローラー104が設けられ、下流側には離接可能なイエロートナー現像器105Y、マゼンタトナー現像器105M、シアントナー現像器105C、ブラックトナー現像器105Bが配置されている。
【0005】
感光体102の表面はアースされた円筒状の導電基材層102Aと、その表面に形成された感光層102Bから構成され、感光体102表面に外接する帯電ローラー104により均一にある電位(例えば−700V)に帯電される。一様に帯電した感光体102の外周面にレーザー書き込みユニット101よりシアン、マゼンタ、イエロー、ラック色に現像されるべき画像情報信号で変調されたレーザー光線が照射され、その照射された部分が導電性を示すことから感光体表面電位が導電基材102Aに流れ、感光体外周面上に静電像(例えば−100V)が形成される。
【0006】
次に感光体102表面にトナー現像器105Y〜105Bの内任意の1個を接触させ、残りの現像器を離間させるとともに図示されない電源の電界作用によって負帯電性カラートナーが反転現像され、感光体102上において静電転写され顕像化する。
【0007】
一方転写ベルト120が感光体102に接して従動ローラ108と駆動ローラ109、バックアップローラー110の間に、図示されない付勢装置の作用により一定の張力で張架され、感光体の回転と同期した図示されない駆動装置によって、矢印方向126に周動する。このときの転写ベルト120表面の周動速度は、感光体表面の回転速度と一致している。
【0008】
この転写ベルトの内側に転写チャージャー117が設けられ、この転写チャージャーに図示されない定電圧制御可能な一次バイアス印加電源が接続されている。これにより転写ベルト120の表面に感光体102の帯電極性と逆極性の転写電圧(一次転写電圧であり、例えば+600V)が印加される。これにより、転写ベルト120の表面と感光体102の表面との間に電界が発生し、トナーは感光体102の表面から転写ベルト120の表面に静電的に吸着されるため、トナー像が転写される。
【0009】
感光体102の表面に残留した転写残りトナーは、ブレードを接触させてクリーニングする感光体クリーナー106で回収され、続いて感光体表面には除電ユニット103により可視光線を照射され、表面電位がリセットされてプロセスが終了する。同様の動作を転写ベルト120の位置とレーザー書き込みユニット101の発光タイミングの同期を取りながらマゼンタトナー現像器105M、シアントナー現像器105C、ブラックトナー現像器105Bについても繰り返すことで転写ベルト120上に各色のトナーが重ね合わされ、フルカラートナー像が完成する。この間、2次転写ローラー113及び転写ベルトのクリーニングユニット112は、転写ベルト120から離間している。
【0010】
一方転写材119は、転写材カセット114より給紙ローラ115、転写材搬送ローラ116A及び116Bを経て転写ベルト120上のトナー像と同期をとって転写ベルト120に送られ、バックアップローラー110、導電性の二次転写ローラー117によって構成される2次転写部を通過して搬送される。
【0011】
二次転写ローラ113には図示されない定電流制御の高圧電源より転写電圧(二次転写電圧であり、例えば+1000V)が印加されており、接離可能な図示されない付勢装置によって転写ベルト120を挟んでバックアップローラー110に押しつけられている。したがって転写材表面にも同様の電位が発生し、これにより転写ベルト上に静電的に吸着されたフルカラートナー像は転写材表面に転写される。
【0012】
トナー像が転写された転写材は、除電チャージャー127の作用で静電気が除去され、転写ベルト120から分離し、定着器118A及び118Bで定着されてモノクロ画像が完成する。
【0013】
転写終了後の転写ベルトはクリーニングユニット112により残留トナーが清掃される。クリーニングユニットは図2に詳細に示すごとく、転写ベルト20の表面に先端が圧接する弾性体製クリーニングブレード12Aがユニットハウジング12B内に設けられ、これにより転写ベルトの表面に付着したトナーが掻き落とされ、ユニットハウジング12Bの底部に設けられた搬送スクリュー12Cによりユニット外に排出される。なお、図3の感光体102にセットされている感光体クリーニングユニット106もクリーニングユニット112と同様の構成である。
【0014】
ところでこの形式の画像形成装置に使用される転写ベルトとしては、全体が電気的に均一な抵抗体で構成される物や、転写ベルト中に導電層を有しさらにその表面に抵抗体が形成されている物等、種々の構成が提案されており、一般に50〜100μm程度の厚さの物が使用されている。このようなフィルムを押し出し成形、モールド成形等により継目のないシームレスベルトに形成したり、シート状のフィルムの両端を接合してエンドレスベルト形状に形成したものが使用されている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかし転写ベルトを継目のないシームレスベルトとして製作した場合、コストが非常に高くつくため、実用上難点がある。またフィルム成型時の基材の収縮等により周長精度が出しにくい等の問題点がある。
【0016】
一方フィルムベルト同士を重ね合わせてシームベルトにすると接合時は基材の収縮が無いため周長精度は良いが、図2の従来の転写ベルト接合部の概観図に示すごとく接合部20Aには必然的に厚さ分の段差が生じる。
【0017】
この段差の部分が矢印22の方向に周動中に、クリーニングユニット15に載置されたクリーニングブレード15Aや駆動ローラー21に引っかかるため接合面に応力がかかり、段差部分から接合剥離が発生してゆき、最終的に転写ベルトの破断を引き起こすという欠点がある。さらに段差にクリーニングブレードがぶつかった場合、ブレード先端がいたんでしまう。
【0018】
また、この転写ベルトで印字を行った後、転写ベルト20上に残留した廃トナーをクリーニングブレード15Aで掻き取りながらクリーニングを行った場合、接合部20Aの段差部はクリーニングブレード15Aが全体的に接触できず、クリーニングが充分されずにトナーが残る。
【0019】
図3に示す画像形成装置に上記転写ベルトを搭載して印字を行った場合、この段差部に残ったトナーが二次転写ローラ113に転写し、次に転写材119が通過した際転写材の裏面に再度転写することから、鮮明な黒筋状の汚れが発生してしまう。
【0020】
この問題を解決する手段の一つとして、特開平1−93775号公報にフィルムベルトを重ね合わせて超音波溶着により接合してエンドレスベルト状にした転写ベルトの接合部の段差を、例えばエメリーペーパーで研磨して段差が20μm以下になるように加工することが提案されている。しかし重ね合わせ溶着により接合した継目部を段差が20μm以下になるように研磨したり表面粗さが小さくなるように加工することは、加工工数がかかり、コストアップにつながる。また研磨に伴いベルト表面に研磨傷が入り、この傷に起因するクリーニング不良が発生するという問題がある。
【0021】
また実開平4−70668号公報に転写ベルトの表になる面に、転写ベルトの基材フィルム両端部を継目の両側に跨ってのびる同一材質の溶着部材の面に重ねて互いに衝合せ、フィルムの衝合せ面及び転写ベルトと溶着部材との当接面を溶着して形成することが提案されている。
【0022】
この方法であれば溶着前に溶着ジグにセットした段階ではフィルム両端面の段差はないが、溶着時にはフィルム端部が熱膨張し、フィルム端部同士が押し合うため表面の高さがずれ、段差になったまま溶着されることがある。さらにこの場合、段差になったフィルム端部上の溶着部材が溶着されず溶着部の剥離を引き起こす。
【0023】
さらに転写ベルトの表になる面に溶着部材を溶着しているため、前記段差部による転写材裏側の汚れを回避出来る程度に段差を低減するには極めて薄い溶着部材を使用せねばならず、接合強度が低下してしまう。
【0024】
さらに薄い溶着部材は絶縁性も低く、またフィルムの衝合せ面同士は接合されていないため、図3の構成の画像形成装置に使用した場合感光体102と転写チャージャー117の間で放電が起こり、一次転写電圧の低下を招いて画像品質が悪化する。
【0025】
そこで本発明は、かかる問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは接合部の溶着段差がなく、接合強度が大きく、接合部の絶縁性の高いシーム転写ベルトを安価に製造することで、シームレス転写ベルトを使用したのと同じ高品質の画像形成装置を低価格で提供することにある。
【0026】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1記載の転写ベルトは、静電潜像担持体上に形成された現像像を直接的もしくは記録材を介して担持する継目を有する転写ベルトにおいて、少なくとも1表面が中抵抗を有するフィルムからなり、継目部は絶縁性の溶着部材を用いてフィルム裏面よりフィルム両端面を接合した構成であることを特徴とする。
【0027】
請求項2記載の転写ベルトは、請求項1記載の転写ベルトにおいて前記継目部は、フィルム両端面が離間されており、その離間部のフィルム両端断面に溶着部材が溶着されていることを特徴とする。
【0028】
請求項3記載の転写ベルトは、請求項1又は2記載の転写ベルトにおいて前記フィルムは、少なくとも中抵抗層と導電層を有する多層構成であり、前記導電層は中抵抗層よりもベルト表面からみて下層にあることを特徴とする。
【0029】
請求項4記載の転写ベルトは、請求項3記載の転写ベルトにおいて少なくとも中抵抗層と導電層を有する多層構成の転写ベルトにおいて、前記導電層が継目部分において、ベルト表面に露出しないことを特徴とする。
【0030】
請求項5記載の転写ベルトは、請求項3記載の転写ベルトにおいて少なくとも中抵抗層と導電層を有する多層構成の転写ベルトにおいて、前記継目部分における耐電圧が1300V以上であることを特徴とする。
【0031】
請求項6記載の転写ベルトは、請求項1記載の転写ベルトにおいて継目部は溶着部材を用いて接合されており、溶着部材とフィルム片端部との溶着幅は、端面の厚さ以上であることを特徴とする。
【0032】
請求項7記載の転写ベルトは、請求項1記載の転写ベルトにおいて継目部は溶着部材を用いて接合されており、少なくとも溶着部材の端部はフィルムに溶着されていることを特徴とする。
【0033】
請求項8記載の転写ベルトは、請求項7記載の転写ベルトにおいて継目部は溶着部材を用いて接合されており、溶着材の周方向端部が継目方向に向かって暫時厚みが増していく形状を有していることを特徴とする。
【0034】
請求項9記載の転写ベルトは、請求項1から8記載の転写ベルトにおいて溶着部材の材質はフィルム端部の接合部分の材質と同一であることを特徴とする。
【0035】
請求項10記載の転写ベルトは、請求項1から9記載の転写ベルトにおいて少なくとも表面が中抵抗を有するフィルムがフッ素樹脂を含むことを特徴とする。
【0036】
請求項11記載の転写ベルトの製造法は、静電潜像担持体上に形成された現像像を直接的もしくは記録材を介して担持する継目を有する転写ベルトの製造方法において、少なくとも表面は中抵抗を有するフィルムの両端を隙間を持たせた状態で、フィルム裏面よりフィルム両端部の幅方向に沿って絶縁性の溶着部材を重ねた後、フィルム両端面と溶着部材との当接面を溶着することを特徴とする。
【0037】
請求項12記載の転写ベルトの製造方法は、請求項11記載の転写ベルトの製造方法において前記隙間の間隔を50μm以上とすることを特徴とする。
【0038】
請求項13記載の転写ベルトの製造法は、請求項11記載の転写ベルトの製造方法においてフィルム両端面と溶着部材の接合は超音波溶着を用いることを特徴とする。
【0039】
請求項14記載の転写ベルトの製造法は、請求項13記載の転写ベルトの製造方法において超音波溶着に用いるホーンの幅は、溶着部材の周方向の幅より大きいことを特徴とする。
【0040】
請求項15記載の転写ベルトの製造法は、請求項11記載の転写ベルトの製造方法においてフィルム両端面と溶着部材の接合はヒーターによる熱溶着を用いることを特徴とする。
【0041】
請求項16記載の転写ベルトの製造法は、請求項15記載の転写ベルトの製造方法において加熱に用いるヒーターの幅は、溶着部材の周方向の幅より大きいことを特徴とする。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面を用いて説明する。図1は本発明の転写ベルトの継目部の構造を示す転写ベルトの断面図である。
【0043】
転写ベルト10の基材には、厚さ50〜100μmのフィルムが使用される。このフィルムの端部10A及び10Bの両側に、ある幅にまたがって転写ベルト10の内面になる面全幅にわたって絶縁性の熱可塑性フィルムで作られた溶着部材11を当接させ、端部10A及び10Bに隙間12を持たせたまま、端部10A及び10Bと溶着部材11を溶着して接合する。このとき溶着部材11を融解させ、転写ベルトの隙間12を埋めつつ転写ベルト10の表面まで達し、転写ベルト10の表面になる面とほぼ同じ高さで固化させることでベルト形状とする。
【0044】
ところで転写ベルト10の断面部10C、10Dは溶融した溶着部材が流れ込んでいるが、転写ベルト表面に達する前に固化が進行しているため、端部10A、10Bに比べて接合強度は小さくなる。本発明者らの実験によれば、溶着部材とフィルム片端部との溶着幅を端面の厚さ以上とし、その全域を溶着することで基材引っ張り強度と同等の接合強度が得られたが、少なくとも溶着部材の周方向の端部10E、及び10Fが溶着されていれば転写ベルトを周動させてもローラーとの接触衝撃による溶着部材の剥離は起こらない。
【0045】
また、溶着部材11は転写ベルトの裏面から溶着するため、溶着部材を表面に溶着する従来の形式と違い、溶着部材に厚い物を用いることが出来るため、絶縁性、溶着強度ともに高めることができる。
【0046】
(実施例1)
以下に本発明の装置構成を使用した画像形成装置の例を示す。
【0047】
図3はこの形式の転写ベルトを用いた画像形成装置の一例の概略構造を示す図であり、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーを用いてフルカラー画像を形成することのできる装置である。
【0048】
この例の画像形成装置では、感光体102は図示されない駆動装置によって矢印125の方向へ回転し、この回転方向に対し上流側から感光体クリーナー106、除電ユニット103、帯電ローラー104が設けられ、下流側には離接可能なイエロートナー現像器105Y、マゼンタトナー現像器105M、シアントナー現像器105C、ブラックトナー現像器105Bが配置されている。
【0049】
感光体102の表面はアースされた円筒状の導電基材層102Aと、その表面に形成された感光層102Bから構成され、感光体102表面に外接する帯電ローラー104により均一にある電位(例えば−700V)に帯電される。一様に帯電した感光体102の外周面にレーザー書き込みユニット101よりシアン、マゼンタ、イエロー、ラック色に現像されるべき画像情報信号で変調されたレーザー光線が照射され、その照射された部分が導電性を示すことから感光体表面電位が導電基材102Aに流れ、感光体外周面上に静電像(例えば−100V)が形成される。
【0050】
次に感光体102表面にトナー現像器105Y〜105Bの内任意の1個を接触させ、残りの現像器を離間させるとともに図示されない電源の電界作用によって負帯電性カラートナーが反転現像され、感光体102上において静電転写され顕像化する。
【0051】
一方転写ベルト120が感光体102に接して従動ローラ108と駆動ローラ109、バックアップローラー110の間に、図示されない付勢装置の作用により一定の張力で張架され、感光体の回転と同期した図示されない駆動装置によって、矢印方向126に周動する。このときの転写ベルト120表面の周動速度は、感光体表面の回転速度と一致している。
【0052】
この転写ベルトの内側に転写チャージャー117が設けられ、この転写チャージャーに図示されない定電圧制御可能な一次バイアス印加電源が接続されている。これにより転写ベルト120の表面に感光体102の帯電極性と逆極性の転写電圧(一次転写電圧であり、例えば+600V)が印加される。これにより、転写ベルト120の表面と感光体102の表面との間に電界が発生し、トナーは感光体102の表面から転写ベルト120の表面に静電的に吸着されるため、トナー像が転写される。
【0053】
感光体102の表面に残留した転写残りトナーは、ブレードを接触させてクリーニングする感光体クリーナー106で回収され、続いて感光体表面には除電ユニット103により可視光線を照射され、表面電位がリセットされてプロセスが終了する。同様の動作を転写ベルト120の位置とレーザー書き込みユニット101の発光タイミングの同期を取りながらマゼンタトナー現像器105M、シアントナー現像器105C、ブラックトナー現像器105Bについても繰り返すことで転写ベルト120上に各色のトナーが重ね合わされ、フルカラートナー像が完成する。この間、2次転写ローラー113及び転写ベルトのクリーニングユニット112は、転写ベルト120から離間している。
【0054】
一方転写材119は、転写材カセット114より給紙ローラ115、転写材搬送ローラ116A及び116Bを経て転写ベルト120上のトナー像と同期をとって転写ベルト120に送られ、バックアップローラー110、導電性の二次転写ローラー117によって構成される2次転写部を通過して搬送される。
【0055】
二次転写ローラ113には図示されない定電流制御の高圧電源より転写電圧(二次転写電圧であり、例えば+1000V)が印加されており、接離可能な図示されない付勢装置によって転写ベルト120を挟んでバックアップローラー110に押しつけられている。したがって転写材表面にも同様の電位が発生し、これにより転写ベルト上に静電的に吸着されたフルカラートナー像は転写材表面に転写される。
【0056】
トナー像が転写された転写材は、除電チャージャー127の作用で静電気が除去され、転写ベルト120から分離し、定着器118A及び118Bで定着されてモノクロ画像が完成する。
【0057】
転写終了後の転写ベルトはクリーニングユニット112により残留トナーが清掃される。クリーニングユニットは図2に詳細に示すごとく、転写ベルト20の表面に先端が圧接する弾性体製クリーニングブレード12Aがユニットハウジング12B内に設けられ、これにより転写ベルトの表面に付着したトナーが掻き落とされ、ユニットハウジング12Bの底部に設けられた搬送スクリュー12Cによりユニット外に排出される。なお、図3の感光体102にセットされている感光体クリーニングユニット106もクリーニングユニット112と同様の構成である。
【0058】
本構成の画像形成装置の転写ベルトには厚さ50〜100μmの均一な中抵抗値を示すように導電材料(例えばカーボン粉末)を加えたPETフィルムのベルトが使用されている。ここで言う中抵抗とは、10〜1014Ω・cmの範囲の抵抗を示す。本構成の画像形成装置の場合、抵抗値がこの値以下であると転写チャージャー117から付加される1次転写電流が感光体102にそのまま流れてしまい、除電ユニット103で除電できないレベルまで感光体表面の電位が上昇するため、前回の転写画像の影響を受けた静電潜像が形成され、次回現像時の画質が悪化する。また感光層102Bに導電基材層102Aまで貫通するピンホールがあった場合、転写ベルト120と導電基材層102Aの間で放電が起こり1次転写電圧が低下して転写不良を起こしたり感光層102Bが破壊されてしまう。
【0059】
一方抵抗値がこの値以上であった場合、転写ベルト上にトナー像が転写されたときの電荷がトナー像が転写材に転写された後も残ってしまい、次回感光体から転写ベルトにトナー像が転写されたとき、前の画像がゴーストとして出現してしまう。よって均一な中抵抗とは前記範囲内にある抵抗値を示す。
【0060】
本発明では転写ベルト基材としてPETフィルムを用いたが、これに限定するものではなく、中抵抗を示す熱可塑性プラスチックフィルム等と同等な性質を有するものならいかなる物でも使用可能である。同様に溶着部材も転写ベルト基材と接合可能な熱可塑性のフィルムであれば何でも使用可能であるが、転写ベルトの基材材質と同じ物を用いるのが転写ベルト接合強度の点からより好ましい。
【0061】
ところで溶着部材が導電性であった場合、転写ベルトの接合部が感光体102と転写チャージャー117の間にさしかかったとき前記中抵抗の説明と同様に、転写チャージャー117の一次転写電圧が感光体102に漏洩し、除電ユニット103で除電できないレベルまで感光体表面の電位が上昇するため、継目の形に静電潜像が残ってしまう。また感光層102Bに導電基材層102Aまで貫通するピンホールがあった場合、転写ベルト120と導電基材層102Aの間で放電が起こり1次転写電圧が低下して転写不良を起こしたり感光層102Bが破壊されたりする。
【0062】
この時溶着部材が絶縁性であれば、この現象を阻止できる。この場合、図1に示すように転写ベルト10の端部10A及び10Bと溶着部材11同士が完全に溶融し、かつ隙間12に溶着部材が流れ込んで接合されている状態が接合強度の点からも絶縁の点からも望ましいが、ベルト10の端部10A及び10Bと溶着部材11が溶着されている限りは接合強度を維持することが出来、絶縁も維持できる。
【0063】
(実施例2)
図4は本発明を複層構造の転写ベルトに対して用いた例を示すものであり、転写ベルトの周動方向に平行な断面を示す。転写ベルトの材質としては、転写ベルトの内側になる面に厚さ100μmPETの基材30Cを使用し、ベルト表面に近い面に導電層としてアルミ蒸着膜30Dを有し、さらにベルト表面に近い面すなわちアルミ蒸着膜30Dの表面を中抵抗に調整された厚さ20μmの表面抵抗層30Eにより被覆されている。この表面抵抗層30Eには、一般に抵抗調整用の導電性物質を混入した塗料が用いられる。これは実施例1に示すような導電材を混入した樹脂フィルムと比較すると導電材の分散性が良いため、抵抗値のばらつきが小さくなり、また転写ベルト表面の平滑性も良いという特徴を有する。
【0064】
このフィルムの端部30A及び30Bの両側に、ある幅にまたがって転写ベルト30の内面になる面全幅にわたってPETフィルムで作られた厚さ75μmの溶着部材31を当接させ、端部30A及び30Bに隙間32を持たせたまま、端部30A及び30Bと溶着部材31を溶着して接合する。これにより溶着部材31とPETの基材30Cを同時に融解、融合させ、転写ベルトの隙間32を埋めつつ転写ベルト30の表面になる面とほぼ同じ高さで固化させる。このとき転写ベルト30の表面と、転写ベルトの隙間32を埋めた溶着部材表面と間には、溶着部材固化時の体積収縮等により若干の段差が生じるが、通常乾式トナーの粒径は7〜15μm程度であるためこの段差を粒径以下にすることで、転写ベルト30上に残留した廃トナーが転写ベルト継目の段差に入ることはなくなり、従って転写材裏面に発生する鮮明な黒筋状の汚れは発生しなくなる。
【0065】
本発明者らの実験結果によれば、この段差が平均10μm以下であれば転写ベルトの継目上のトナー残りがなく、実用的には問題ないことが判明した。
【0066】
なお本図面は各層の構造がわかりやすいようにデフォルメされたものであり、実際の縮尺には従っていない。
【0067】
図5に図4のベルトの周動方向に直行する方向の断面を示す。転写ベルトの表面は全て表面抵抗層30Eで被覆されておらず、図5に示す様にその端部33において導電層30Dが露出している。このような構成の転写ベルトにおいては露出した導電層の端部33から導電層30Dに電荷を与えるが、この場合導電層30D全体が均一の電位となるため、導電層30Dから均一の厚さ(例えば20±2μm)で被覆されている表面抵抗層30E表面も均一な電位に保つことが出来、帯電したトナーが均一に吸着されるため、感光体表面のトナー像の転写ムラを防止できるいう特徴がある。
【0068】
図6はこの形式の画像形成装置の一例の概略構造を示す図である。この画像形成装置はイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーを用いてフルカラー画像を形成することのできる装置である。
【0069】
この例の画像形成装置では感光体202は図示されない駆動装置によって矢印225の方向に周動し、感光体の回転方向に対し、レーザー書き込みユニット201による露光位置の上流側に感光体クリーナー206、除電ユニット203、帯電ローラー204が設けられ、露光位置の下流側には離接可能なイエロートナー現像器205Y、マゼンタトナー現像器205M、シアントナー現像器205C、ブラックトナー現像器205Bが配置されている。
【0070】
感光体202はアースされた円筒状の導電基材202A、及びその表面に形成された感光層202Bから構成され、帯電ローラー204により均一にある電位(例えば−700V)に帯電され、レーザー書き込みユニット201よりブラック、シアン、マゼンタ、イエロー色に現像されるべき画像情報信号で変調されたレーザー光線が照射され、その照射された部分が導電性を示すことから感光体表面電位が導電基材202Aに流れ、感光体外周面上に静電像(例えば−100V)が形成される。
【0071】
次に感光体202表面にカラートナー現像器205Y〜205Bの内任意の1個を接触させ、残りの現像器を離間させるとともに図示されない電源の電界作用によって負帯電性カラートナーが反転現像され、感光体202上において静電転写され顕像化する。
【0072】
転写ベルト220が感光体202に接して周動するように駆動ローラ209と従動ローラ208とバックアップローラー210の間に図示されない付勢装置の作用で一定の張力で張架され、感光体の駆動装置と同期した図示されない駆動装置によって、矢印226の方向に周動する。このとき、転写ベルト220表面と感光体202表面の回転速度は一致している。
【0073】
この転写ベルト端部は図5に示すように導電層が露出しており、この部分に図6の電極ローラー211が接触して周動している。この電極ローラーに図示されない定電圧制御可能な、一次バイアス印加電源により感光体202と逆極性の転写電圧(一次転写電圧であり、たとえば+600V)が印可される。これにより前記導電層と感光体202の間に電界が発生し、感光体202表面のトナーは転写ベルト220に静電的に吸着されるため、トナー像が転写ベルトに転写される。
【0074】
感光体202に残留した転写残りトナーは、ブレードを接触させてクリーニングする感光体クリーナー206で回収され、続いて感光体表面電位は除電ユニット203により可視光線を照射されリセットされる。
【0075】
同様の動作を転写ベルト220の位置とレーザー書き込みユニット201の発光タイミングの同期を取りながらマゼンタトナー現像器205M、シアントナー現像器205C、ブラックトナー現像器205Bについても繰り返すことで転写ベルト220上に各色のトナーが重ね合わされ、フルカラートナー像が完成する。この間2次転写ローラー213及び転写ベルトのクリーニングユニット212は転写ベルト220から離間している。
【0076】
一方転写材219は、転写材カセット214より給紙ローラ215、転写材搬送ローラ116A及び116Bを経て転写ベルト220上のフルカラートナー像と同期をとって転写ベルト220に送られ、バックアップローラ210、導電性の二次転写ローラ213によって構成される2次転写部を通過して搬送される。
【0077】
二次転写ローラ213には図示されない定電流制御の高圧電源より転写電圧(二次転写電圧であり、例えば+1000V)が印加されており、接離可能な図示されない付勢装置によって転写ベルト220を挟んでバックアップローラー210に押しつけられている。したがって転写材表面にも同様の電位が発生し、これにより転写ベルト上に静電的に吸着されたトナー像は転写材表面に転写される。
【0078】
フルカラートナー像が転写された転写材は、除電チャージャー217の作用で転写ベルト220から分離され、定着器218A及び218Bで定着され、フルカラー画像が完成する。
【0079】
転写終了後の転写ベルトはクリーニングユニット212により残留トナーが清掃される。クリーニングユニットは、図2に詳細に示すごとく、転写ベルト20の表面に先端が圧接する弾性体製クリーニングブレード12Aがユニットハウジング12B内に設けられ、これにより転写ベルトの表面に付着したトナーが掻落され、ユニットハウジング12Bの底部に設けられた搬送スクリュー12Cによりユニット外に排出される。
【0080】
このとき、転写ベルト220の表面抵抗層内にフッ素樹脂に代表される固体潤滑剤を混入しておくと、カラートナーの転写ベルトへのこびり付きを防止でき、残留トナーのクリーニング性が向上する。またクリーニングユニット212と転写ベルト220との間の摩擦係数が下がるため転写ベルト220を周動させるのに要するトルクも小さくなる。この固体潤滑剤混入は、実施例1に示す単層構造の転写ベルトでも可能だが、基材コストの増加を招くため、表層だけにを混入すればよく、固体潤滑剤使用量が少ない複層構造の転写ベルトに適用するほうがより効果的である。この場合、図2に示す従来のベルトの製造方法で本構成のベルトを製造した場合、表面抵抗層と基材の材質が全く異なるため、接合することができないが、本発明による転写ベルト構造によれば十分な接合強度を維持することができる。
【0081】
ところで転写ベルトに対向する感光層202Bに導電性基体202Aまで貫通したピンホールがあり、かつ継目部の溶着部材が導電性であった場合、継目部が感光体に接すると、転写ベルト導電層に加えられた1次転写電圧が導電性基材202Aにそのまま流れ込んでしまい、1次転写電圧が低下して転写不良が発生したり、感光体表層が破壊されたりする。またピンホールがない場合でも除電ユニット203で除電出来ないレベルまで感光体表面の電位が上昇するため、静電潜像が転写ベルト継目の形に残ってしまう。
【0082】
この場合溶着部材の材質に絶縁性の物質(例えばPETフィルム)を用いれば、図4に示すごとく継目部の導電層を絶縁材で覆う事が出来、導電層が転写ベルト表面に露出しないため、かかる問題を解決することが出来る。本構成の画像形成装置の一次転写電圧と感光体表面の電位差は1300Vであるため、溶着部材の耐電圧は1300V以上とすることで、一次転写電圧漏洩による静電潜像攪乱や感光体破壊が発生しなくなる。
【0083】
また、本構成の転写ベルトにおいては、転写ベルトの内面を構成するフィルム材質はPETに限定される物ではなく、プラスチックフィルム等の同等の性質を有する材質で、かつ熱可塑性を有するものならばいかなる物でも良い。同様に導電層の材質もアルミ蒸着膜に限定されず、良導電体でベルトの周動によっても破壊されず、導電層下面の物質と、導電層上面の表面抵抗層との密着性の良いもので有れば何でも使用出来る。
【0084】
同様に溶着部材の材質もPETに限定される物でなく、プラスチックフィルム等の同等の性質を有する材質で、かつ絶縁性と熱可塑性を有するものならばいかなる物でも良いが、転写ベルトの基材材質と同じ物を用いるのが転写ベルト接合強度の点からより好ましい。
【0085】
(実施例3)
図7は本発明による転写ベルトの一製造法の断面を示す。この実施例では転写ベルトの基材40として、均一な中抵抗を有し、かつ熱可塑性の厚さ50〜100μmのフィルム(例えばカーボンフィラーを混入して抵抗値を調整したPETフィルム)を使用している。
【0086】
このフィルムの端部40A及び40Bを転写ベルトの外面になる面を下に向け、フィルムの端部同士に隙間45を持たせて表面温度が室温と同等になった平坦な耐熱性のテーブル42に載置する。
【0087】
フィルムの端部40A及び40Bの両側に、ある幅にまたがって転写ベルトの内面になる面全幅にわたって絶縁性かつ熱可塑性のフィルムで作られた溶着部材41を当接させる。この溶着部材41の上から図示されない超音波加振装置に接続された超音波ホーン43を適当な圧力で矢印44の方向に押しつけ、フィルムの端部40A及び40Bと溶着部材41の間を振動させることで摩擦熱を生じる。これにより溶着部材41とフィルムの端部40A及び40Bとが融解、融合し、融合した融解物が、押しつけられた超音波ホーン43によって隙間45へと押し出され、隙間45を埋めつつ転写ベルト40の表面まで達し、前記平坦なテーブル42に接する。この瞬間融解物は転写ベルト40の表面とほぼ同じ高さで固化し、転写ベルト40の継目表面の段差が埋まる。超音波ホーン43は図面に垂直な方向に移動し、それに従い転写ベルト全面が溶着されてゆく。
【0088】
この時の隙間量は、転写ベルトの基材や溶着部材の材質や形状、超音波溶着の条件により決まるが、我々の実験結果では本構成の転写ベルトに対し厚さ75μmのPETフィルムを溶着部材に用いて超音波溶着を行った場合、50μm以下の隙間用では溶着材が表面まで上昇せず、摩擦熱で膨張したフィルムの端部40A及び40Bが相互に乗り上げてしまい、溶着部材51とフィルムの端部40A及び40Bの間の融合が見られなかった。よって隙間量としては50μm以上が望ましい。
【0089】
この超音波ホーン先端の転写ベルト周方向の幅は任意であるが、この幅が溶着部材のそれよりも狭い場合、超音波ホーンを複数回図面と垂直方向に往復させないと溶着部材全域の溶着が出来ず、また超音波ホーン先端から溶解した溶着部材がはみ出すのでバリとなる。これに対し超音波ホーン先端の溶着部材周方向の幅を前記溶着部材の周方向の幅より大きくすることで1回の溶着で溶着部材全域の溶着が可能になる。
【0090】
またこの例では溶着部材とフィルムベルトの溶着手段として超音波溶着を行っているが溶着手段は超音波溶着に限定するものではなく、例えばヒーターによる熱溶着をもちいても効果は同じである。この場合、超音波溶着よりも広い範囲を一度に溶着出来るため、下降時間を短縮できるという特徴がある。その際にも熱溶着装置の周方向の幅を溶着部材の周方向の幅より大きくすることで1回の溶着で溶着部材全域の溶着が可能になる。
【0091】
(実施例4)
図8は本発明による転写ベルトの一製造法の断面を示す。この実施例では転写ベルトの基材として、、転写ベルトの内側になる面に厚さ100μmPET(ポリエチレンテレフタレート)の基材50Cを使用し、ベルト表面に近い面に導電層としてアルミ蒸着膜50Dを有し、さらにベルト表面に近い面すなわちアルミ蒸着膜50Dの表面を、中抵抗層としてウレタン樹脂系水溶性塗料をベースにし、固体潤滑剤としてフッ素樹脂粉末を混入し、導電材としてSnOのフィラーを中抵抗を示すまで混入した中抵抗層50Eを20μm塗布している。尚、この図面は転写ベルト断面の構成がわかりやすいようにデフォルメされたものであり、実際の縮尺とは異なっている。
【0092】
このフィルムの端部50A及び50Bを転写ベルトの外面になる面すなわち中抵抗層を下に向け、フィルムの端部同士に隙間55を持たせて表面温度が室温と同等になった耐熱性の平坦なテーブル52に載置する。
【0093】
転写ベルトの内面になる基材端部50A及び50Bの両側に、ある幅にまたがって転写ベルト全幅にわたって絶縁性かつ熱可塑性のPETフィルムで作られた溶着部材51を当接させる。この溶着部材51の上から図示されない超音波加振装置に接続された超音波ホーン53を適当な圧力で矢印54の方向へ押しつけ、基材端部50A及び50Bと溶着部材51の間を振動させることで摩擦熱を生じる。これにより溶着部材51と基材端部50A及び50Bとが融解、融合し、融合した融解物が、押しつけられた超音波ホーン53によってフィルムの端部の隙間55へと押し出され、隙間55を埋めつつ転写ベルトの表面まで達し、前記平坦なテーブルに接する。これにより融解物は転写ベルト50の表面とほぼ同じ高さで固化し、転写ベルト50の継目表面の段差が埋まる。
【0094】
超音波ホーン53は、図面に垂直な方向に移動してゆくため、それに従い転写ベルト全面が溶着されてゆく。この時の隙間量は、転写ベルトの基材や溶着部材の材質や形状、超音波溶着の条件により決まるが、我々の実験結果で言えば、本構成の転写ベルトに対し厚さ75μmのPETフィルムを溶着部材に用いて超音波溶着を行った場合、実施例3と同様に50μm以下の隙間用では溶着材が表面まで上昇せず、摩擦熱で膨張したフィルムの端部50A及び50Bが相互に乗り上げてしまい、溶着部材51とフィルムの端部50A及び50Bの間の融合が見られなかった。よって隙間量としては50μm以上が望ましい。
【0095】
この場合も超音波ホーン先端の溶着部材周方向の幅は任意であるが、この幅が溶着部材のそれよりも狭い場合、超音波ホーンを複数回図面と垂直方向に往復させないと溶着部材全域の溶着が出来ない。これに対し超音波ホーン先端の溶着部材周方向の幅を前記溶着部材の周方向の幅より大きくすることで1回の溶着で溶着部材全域の溶着が可能になる。
【0096】
またこの例では溶着部材とフィルムベルトの溶着手段として超音波溶着を行っているが溶着手段は超音波溶着に限定するものではなく、例えばヒーターによる熱溶着をもちいても効果は同じである。この場合、超音波溶着よりも広い範囲を一度に溶着出来るため、下降時間を短縮できるという特徴がある。その際にも熱溶着装置の周方向の幅を溶着部材の周方向の幅より大きくすることで1回の溶着で溶着部材全域の溶着が可能になる。
【0097】
(実施例5)
図9は本発明による転写ベルトの一製造法の断面を示す。この実施例では実施例3と同様に均一な中抵抗を有し、かつ熱可塑性の厚さ50〜100μmのフィルム(例えばカーボンフィラーを混入して抵抗値を調整したポリエチレンテレフタレート製フィルム)を使用している。このフィルムの端部60A及び60Bを転写ベルトの外面になる面を下に向け、フィルムの端部同士に隙間65を持たせて表面温度が室温と同等になった耐熱性の平坦なテーブル62に載置する。
【0098】
フィルムの端部60A及び60Bの両側に、ある幅にまたがって転写ベルトの内面になる面全幅にわたって絶縁性かつ熱可塑性のフィルムで作られた溶着部材61を当接させる。この溶着部材61の上から図示されない超音波加振装置に接続された超音波ホーン63を適当な圧力で矢印64の方向に押しつけ、フィルムの端部60A及び60Bと溶着部材61の間を振動させることで摩擦熱を生じさせる。
【0099】
このとき超音波ホーン63の先端幅を、溶着部材61の横幅(図9の左右方向)より小さくし、特にフィルムの端部60A及び60Bにかける圧力を隙間65周辺の加重より大きくする。すると圧力を増加させた部分の溶着部材61の厚さが薄くなり、溶着部材の周方向端部が継目方向に向かって暫時厚みが増していく形状になる。実施例1及び実施例2に示す画像形成装置に本転写ベルトを搭載した場合、ロ−ラに乗り上げる時の衝撃が少なくなり、転写ベルト継目部の破断が防止出来るという特徴を有する。
【0100】
またこの例では溶着部材とフィルムベルトの溶着手段として超音波溶着を行っているが溶着手段は超音波溶着に限定するものではなく、例えばヒーターによる熱溶着をもちいても効果は同じである。この場合、超音波溶着よりも広い範囲を一度に溶着出来るため、下降時間を短縮できるという特徴がある。その際にも熱溶着装置の周方向の幅を溶着部材の周方向の幅より小さくすることで同様の効果が得られる。
【0101】
【発明の効果】
本発明によれば、接合部の溶着段差のなく高い接合強度を有し、接合部の絶縁性の高いシーム転写ベルトを安価に製造できるため、シームレス転写ベルトを使用したのと同じ高品質の画像形成装置を低価格で提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の転写ベルトの断面概観図。
【図2】従来の転写ベルト接合部の概観図。
【図3】本発明の転写ベルトを使用した実施例1における画像形成装置の概観図。
【図4】本発明を複層構造の転写ベルトに使用した場合の断面概観図。
【図5】図4の紙面に垂直な方向の断面概観図。
【図6】本発明の転写ベルトを使用した実施例2における画像形成装置の概観図。
【図7】実施例3における本発明の転写ベルトの製造法の概観図。
【図8】実施例4における本発明の転写ベルトの製造法の概観図。
【図9】実施例5における本発明の転写ベルトの製造法の概観図。
【符号の説明】
10 転写ベルト
10A フィルム端部
10B フィルム端部
10C フィルム断面部
10D フィルム断面部
10E 溶着部材の周方向の端部
10F 溶着部材の周方向の端部
11 溶着部材
12 転写ベルトの隙間

Claims (16)

  1. 静電潜像担持体上に形成された現像像を直接的もしくは記録材を介して担持する継目を有する転写ベルトにおいて、少なくとも1表面が中抵抗を有するフィルムからなり、継目部は絶縁性の溶着部材を用いてフィルム裏面よりフィルム両端面を接合した構成であることを特徴とする転写ベルト。
  2. 前記継目部は、フィルム両端面が離間されており、その離間部のフィルム両端断面に溶着部材が溶着されていることを特徴とする請求項1記載の転写ベルト。
  3. 前記フィルムは、少なくとも中抵抗層と導電層を有する多層構成であり、前記導電層は中抵抗層よりもベルト表面からみて下層にあることを特徴とする請求項1又は2記載の転写ベルト。
  4. 少なくとも中抵抗層と導電層を有する多層構成の転写ベルトにおいて、前記導電層が継目部分において、ベルト表面に露出しないことを特徴とする請求項3記載の転写ベルト。
  5. 少なくとも中抵抗層と導電層を有する多層構成の転写ベルトにおいて、前記継目部分における耐電圧が1300V以上であることを特徴とする請求項3記載の転写ベルト。
  6. 静電潜像担持体上に形成された現像像を直接的もしくは記録材を介して担持する継目を有する転写ベルトにおいて、継目部は溶着部材を用いて接合されており、溶着部材とフィルム片端部との溶着幅は、端面の厚さ以上であることを特徴とする請求項1記載の転写ベルト。
  7. 静電潜像担持体上に形成された現像像を直接的もしくは記録材を介して担持する継目を有する転写ベルトにおいて、継目部は溶着部材を用いて接合されており、少なくとも溶着部材の端部はフィルムに溶着されていることを特徴とする請求項1記載の転写ベルト。
  8. 静電潜像担持体上に形成された現像像を直接的もしくは記録材を介して担持する継目を有する転写ベルトにおいて、継目部は溶着部材を用いて接合されており、溶着材の周方向端部が継目方向に向かって暫時厚みが増していく形状を有していることを特徴とする請求項7記載の転写ベルト。
  9. 前記転写ベルトにおいて、溶着部材の材質はフィルム端部の接合部分の材質と同一であることを特徴とする請求項1から8記載の転写ベルト。
  10. 前記転写ベルトにおいて、少なくとも表面が中抵抗を有するフィルムがフッ素樹脂を含むことを特徴とする請求項1から9記載の転写ベルト。
  11. 静電潜像担持体上に形成された現像像を直接的もしくは記録材を介して担持する継目を有する転写ベルトの製造方法において、少なくとも表面は中抵抗を有するフィルムの両端を隙間を持たせた状態で、フィルム裏面よりフィルム両端部の幅方向に沿って絶縁性の溶着部材を重ねた後、フィルム両端面と溶着部材との当接面を溶着することを特徴とする転写ベルトの製造方法。
  12. 前記転写ベルトの製造方法において、前記隙間の間隔を50μm以上とすることを特徴とする請求項11記載の転写ベルトの製造方法。
  13. 静電潜像担持体上に形成された現像像を直接的もしくは記録材を介して担持する継目を有する転写ベルトの製造方法において、フィルム両端面と溶着部材の接合は超音波溶着を用いることを特徴とする請求項11記載の転写ベルトの製造方法。
  14. 前記転写ベルトの製造方法において、超音波溶着に用いるホーンの幅は、溶着部材の周方向の幅より大きいことを特徴とする請求項11記載の転写ベルトの製造方法。
  15. 静電潜像担持体上に形成された現像像を直接的もしくは記録材を介して担持する継目を有する転写ベルトの製造方法において、フィルム両端面と溶着部材の接合はヒーターによる熱溶着を用いることを特徴とする請求項11記載の転写ベルトの製造方法。
  16. 前記転写ベルトの製造方法において、加熱に用いるヒーターの幅は、溶着部材の周方向の幅より大きいことを特徴とする請求項11記載の転写ベルトの製造方法。
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