JP3678096B2 - Electrolytic phosphate chemical treatment method and method for forming composite film formed on steel surface - Google Patents

Electrolytic phosphate chemical treatment method and method for forming composite film formed on steel surface Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リン酸塩化成方法を電解にて行なう方法及び鉄鋼表面に形成される複合皮膜の形成方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】
特再平5−822481号公報には、基本的にスラッジを含まない、リン酸イオン、窒素を含むオキソ酸イオン及び皮膜成分金属イオンよりなるリン酸塩化成処理浴を電解処理する事が記載されている。そして、この処理浴は、PH2〜4、温度40℃以下でスラッジ生成させないように維持することを特徴としている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、しかし、特再平5−822481号公報のリン酸塩化成処理浴は、PHを調整したり、促進剤として、成膜成分とは関係のない水酸化ナトリウムや亜硝酸ナトリウムを使用している。
【0004】
そのため、電解リン酸塩化成方法として、効率よく皮膜を形成していたとはいえない。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題点を鑑みたものであり、効率よく皮膜を形成することのできるリン酸塩化成処理方法および複合皮膜の形成方法を提供するものである。
【0006】
【手段】
はじめに、本発明の電解リン酸塩化成処理方法を説明する前に、水溶液を用いた表面処理技術の中で、「電解処理」と「無電解処理」との違いを、説明する。
【0007】
その違いは、現在広く利用されている湿式表面処理技術である「めっき」の内容を考察する事で明確にする事ができる。
【0008】
即ち、「めっき」は、「電解」と「無電解」の方法があり、ともに既に実用化されている。しかし、「電解」と「無電解」では、処理浴の構成等内容が異なっている。
【0009】
詳細には、「電気めっき」においては、溶液内成分は反応しない。また、反応のエネルギー源として、外部電源を利用した電気化学反応である。尚、「電気めっき」処理中では、化学的に電解反応を促進する為の薬品(還元剤)は用いない。
【0010】
それに対して、無電解めっきにおいては、溶液内成分が反応する。また、反応のエネルギー源として、外部電源を利用せず、電気化学反応は、溶液内の金属イオンの還元反応(カソード反応)と溶液に添加する還元剤(水溶液の解離度の小さい化学物質)の酸化反応(アノード反応)との間で形成される電気化学エネルギー(化学反応的に電位差を形成するエネルギー)を利用している。
【0011】
「めっき」は、金属イオン(陽イオン)の還元反応で金属皮膜を形成し、リン酸塩化成処理は、リン酸イオン(陰イオン)の酸化(脱水素)反応でリン酸塩皮膜を形成する。
【0012】
本発明者は、「めっき」にて、電解処理と無電解処理が可能ならば、同じ湿式表面処理であるリン酸塩化成処理でも、従来の無電解リン酸塩化成処理に加えて、電解処理の実用化が可能であると考え本発明に至った。
【0013】
本発明の考え方を以下の手順で説明する。
▲1▼既存の表面処理技術から、既存の湿式電解表面処理技術と電解リン酸塩化成処理技術の内容を比較検討し、電解リン酸塩化成処理技術の検討すべき項目を明確にした。
▲2▼その検討項目の中でにおける好ましい電解リン酸塩化成処理反応状態を検討し好ましい処理条件を見出した。
【0014】
考案した電解リン酸塩化成処理方法から形成される皮膜について検討した。
【0015】
[既存の表面処理技術]
はじめに、本発明内容を説明する前に、従来の表面処理技術について説明し、この従来の表面処理技術と得ようとする電解リン酸塩化成処理技術とを対応させることにより、本発明の電解リン酸塩化成処理方法の技術を究明した。
【0016】
現在、実用的に確立されている表面処理技術は、本発明の技術を含めて、以下のように分類される。
【0017】
そもそも、表面処理技術は、はじめに、「乾式表面処理」と「湿式表面処理とに分類される。この「湿式表面処理」の表面処理技術は、さらに、「無電解処理」と「電解処理」とに分類される。ここで、「無電解処理」による表面処理としては、具体的に、「無電解めっき」や「無電解リン酸塩化成処理」がある。また、「電解処理」による表面処理としては、具体的に、「電気めっき」、「陽極酸化」、「電着塗装」があり、本発明の「電解リン酸塩化成処理」は、「電気めっき等」の分類に属す。
【0018】
[湿式表面処理(反応エネルギーの考察)]
湿式表面処理は、上述のごとく、「無電解処理」と「電解処理」2つに分類される。
【0019】
「無電解処理」と「電解処理」の違いは、反応推進エネルギーの違いである。
【0020】
「無電解処理」は、還元剤(めっき)、酸化剤(リン酸塩化成処理)等の、処理浴に添加する薬品の化学エネルギーに依存している。それに対し、「電解処理」は外部電源の電気エネルギーに依存している。
【0021】
そのため、「めっき」では、「無電解めっき」と「電解めっき」の浴は基本的に違っており、「無電解めっき」浴を電解処理する事はない。
【0022】
その考えをリン酸塩化成処理方法に適用すれば、リン酸塩化成処理方法も「無電解処理浴」と「電解処理浴」との時の処理方法は、基本的に異なる内容とすべきである。
【0023】
[湿式表面処理における電解処理]
電解処理の概要図を図1に示す。電解処理は、外部電源を使用し、電解槽の中に、対極、溶液及び被処理物の大きく分けて3つの構成要件から構成される。
【0024】
この3つの構成要件は、湿式電解処理の種類により、電解処理反応に関与する状況が異なる。その概要を表1に示す。
【0025】
【表1】

Figure 0003678096
【0026】
表1の内容を説明する。
【0027】
「電気めっき」は、陽極(対極)としためっき皮膜成分(例えば、亜鉛めっきの場合には亜鉛電極)が電圧・電流印加により溶解し、溶液内を錯体状態で通過し、陰極で析出する。故に、反応するのは対極成分が溶解するだけである。被処理物は、陰極であり、電解槽内で溶解等の反応をすることはない。
【0028】
「陽極酸化」は、処理浴中で陽極としたアルミ材が溶解し、その際電圧上昇に伴って溶媒(水)及び溶質イオン(陰イオン)が分解し、それに伴って生成する酸素イオン(O2-)と溶解したアルミニウムが化合しアルミニウム酸化物(Al23 )の皮膜がアルミ材表面に形成されるものである。そして、対極(陰極)は、電解にて溶解(反応)しない材質のものを採用する。
【0029】
「電着塗装」は、水に分散したコロイド状の有機物及び無機物に電圧を印加し、コロイド状物質を電気泳動・析出等の電解作用させて、電極(被処理物)表面に析出させ、固形化(塗装膜)するものである。すなわち、「電着塗装」は、溶液内成分を電解反応させるものであり、電圧印加により反応するのは、溶媒の水と、水に分散しているコロイド状の含有物のみである。そして、電極(対極と被処理物)が溶解する等、反応する事はない。
【0030】
また、「電着塗装」は、溶液状態を一定の状態(範囲)に維持している事が重要である。
【0031】
溶液内成分が、凝集、分解等により変化(反応)し、溶液状態を制御できなくなれば、有効な電着塗装膜を形成する事は、不可である。その為、電着塗装浴は、常時、所定温度に維持され、精密ろ過(ウルトラフィルトレーション)されている。且つ、前工程からの不要イオン(Naイオン等)の混入を防止するため、電解される前の被処理物は、純水で洗浄された後、電解槽に投入される様に、処置されている
それに対して、本発明の「電解リン酸塩化成処理」は、上記の3つと全く異なり、「対極」「溶液」「被処理物」の3つの構成要素が全て溶解及び反応する。そして、従来この「電解リン酸塩化成処理」の実用化を困難にしていたのは、この違いを認識し、その違いに対応する技術を開発できなかった為である。
【0032】
[電解リン酸塩化成処理の検討項目]
表2において、既存の、各種電解処理浴及びリン酸塩化成処理浴の内容を検討し、そこから本発明における「電解リン酸塩化成処理」の検討すべき項目を明確化する。
【0033】
【表2】
Figure 0003678096
【0034】
既存の電解処理である、「電解めっき」「陽極酸化」「電着塗装」に共通する電解処理反応制御に関する検討項目は、皮膜形成反応を電解槽内の被電解物表面でのみ行い、それ以外の電解槽内で行わないような処置をしている事である。すなわち、皮膜形成反応と同様の反応を、被電解物表面以外の電解槽内で100%防止する事は不可であるが、被電解物表面での皮膜形成が、実用的に可能となるような処置が取られている事である。
【0035】
その視点から、個々の電解処理における各検討項目に対して説明する。
【0036】
▲1▼「電気めっき」は、めっきする金属を陽極で溶解させ、陰極で析出させるものであるが、電解槽内で溶解した金属イオン同士が結合するのを防止している。その結合防止の手段として、錯体を利用している。
【0037】
「電気めっき」の処理浴は、金属塩の錯体浴である。その理由は、めっき金属を電極(陽極)から溶解し、陰極に析出する過程で、溶液内で金属イオンが結合し析出(溶質成分の溶液内反応)するのを防ぐためである。錯体としては、シアン(CN)錯体が有名である。電気めっき浴は、通常透明でなく、そして、Naイオン等の皮膜形成に関与しないイオンを含む事もあるが、処理浴内で錯体が分解することのないように処置をしている。その処置により、金属イオンのみを陰極表面に析出させ、めっき皮膜とする事が、可能となる。(Naイオン等は析出電位が、めっき金属イオンと異なる事から、陰極に析出しない。その事は、電気化学的に原理に合致する。)
▲2▼「陽極酸化」は、被処理物を陽極とし、不溶性電極を陰極として、電解処理する。その際、皮膜形成反応に不要なイオンが関与すると、素材(例えばアルミニウム)の溶解反応、酸化(皮膜形成)反応ともに、影響される事になる。これは、溶解したアルミニウムイオンは、処理浴中で非常に活性なためでる。陽極酸化膜は、溶解したアルミニウムイオンを、溶媒である水の分解で生じる酸素イオン(O2-)と反応させて形成する。溶解したアルミニウムイオンを、他のイオンと反応させないために、処理浴内への不純物イオンの混入は厳しく制限されている。
【0038】
▲3▼「電着塗装」は、溶液内成分を電極表面で、電解反応させ塗膜を形成する。電圧印加により反応するのは、溶媒の水と、水に分散しているコロイド状の有機物のみである。そして、電極(対極と被処理物)が、溶解する等反応する事はない。
【0039】
電着塗装浴は、溶液状態を良好な塗装膜を形成できる所定の状態(範囲)に維持している事が重要である。溶液内成分が、凝集、分解等により変化(反応)し、溶液状態を制御できなくなれば、有効な電着塗装膜を形成する事は、不可である。故に、電着塗装浴は、浴に分散するコロイド成分の自己凝集を防止し、分散状態を維持する為、常時、一定温度に維持され、且つ、精密ろ過(ウルトラフィルトレーション)されている。
【0040】
又、電着塗装浴は、妨害イオン(例えば、Naイオン等)の混入は厳しく制限されており、純水に近い状態に維持されている。これは、妨害イオンが存在すると、妨害イオンが、電極表面での析出反応を妨害するからである。
【0041】
以上の、従来の電解処理から得られる技術的知見は下記にまとめる事ができる。
【0042】
電解処理では、皮膜形成に関与する溶液内成分を、電極表面(界面)以外では反応させない事が必要であり、そのために、下記の処置が必要であることを見出した。
【0043】
i:不純物の混入防止(陽極酸化、電着塗装)
ii:常時ろ過、循環及び温度の維持等による溶液内成分の自己凝集の防止(電着塗装)
iii:錯体の利用(電気めっき)
本発明における「電解リン酸塩化成処理方法」の実用化は、上記の技術的知見を反映させて行うことができると考える。上記の結論である「電解処理では、皮膜形成に関与する溶液内成分を、電極表面以外では反応させない事」は、全ての電解表面処理に共通する概念である。しかし、その為の具体的な手段は、個々の処理により異なる。
【0044】
従来において、本発明の課題としている、効率的な電解リン酸塩化成処理方法の実用化ができなかったのは、皮膜形成に関与する溶液内成分を、電極表面以外では反応させない為の具体的手段を見出せなかった為である。
【0045】
[本発明の電解リン酸塩化成処理方法]
本発明の「電解リン酸塩化成処理」は、電解を行っても、皮膜形成に関与する溶液内成分を、電極表面以外では実質的に反応させない事を具体化する事で可能となる。
【0046】
そのために本発明では、請求項1としては、リン酸イオン及びリン酸と、硝酸イオンと、リン酸イオンとリン酸塩化成処理浴中で錯体を形成する金属イオンと、リン酸塩化成処理浴中に溶解しているイオンが還元され、金属として析出する電位が、溶媒である水のアノード電気分解反応電位以上又は−0.83V(水素標準電極電位で表示)以上である金属イオンとを少なくとも含むリン酸塩化成処理浴に、導電性を有する被処理物を接触させ、電解処理することにより、前記被処理物表面に前記リン酸塩と、前記リン酸塩を形成しない金属とを少なくとも含む皮膜を形成する方法であって、前記リン酸塩化成処理浴は、前記皮膜の成分以外の金属イオンを0〜400ppm有し、かつ前記被処理物表面における電解処理皮膜形成を妨害する固形物を実質的に含有せず、前記被処理物は、前記リン酸塩化成処理浴にて、リン酸イオンとリン酸塩化成処理浴中で錯体を形成する金属材料と、リン酸塩化成処理浴中に溶解しているイオンが還元され、金属として析出する電位が、溶媒である水のアノード電気分解反応電位以上又は−0.83V(水素標準電極電位で表示)以上である金属材料との間で電解処理される電解リン酸塩化成処理方法を提供することを特徴とする。
【0047】
特に、本件発明においては、リン酸塩化成処理浴中に、前記リン酸塩化成処理浴は、前記皮膜の成分以外の金属イオンを0〜400ppmにし、かつ前記被処理物表面における電解処理皮膜形成を妨害する固形物を実質的に含有しないようにすることにより、浴中における皮膜形成以外の反応を極力おさえ、さらに、促進剤等が添加されないことにより、被処理物表面での成膜反応をスムースに効率よく行なわせることができるのである。
【0048】
特に、本発明においては、前記リン酸塩化成処理浴は、前記皮膜の成分以外の金属イオンを0〜400ppmとし、かつ前記被処理物表面における電解処理皮膜形成を妨害する固形物を実質的に含有しないようにしたので、浴中からのリン酸塩の析出を主とすることなしで、成膜反応を行なうことができ、そのため、前記被処理物表面に前記リン酸塩と、前記リン酸塩を形成しない金属とを少なくとも含む皮膜を初めて得ることができる。
【0049】
また、請求項2においては、前記リン酸塩化成処理浴は、皮膜の成分以外の金属イオンを0〜100ppm含むことが、効率よく皮膜形成を行なわせることに好ましい。
【0050】
請求項3においては、具体的な前記リン酸塩化成処理浴の組成として、前記硝酸イオン濃度が6g/l〜140g/l、前記リン酸イオン濃度及びリン酸が0.5g/l〜60g/l、リン酸イオンとリン酸塩化成処理浴中で錯体を形成する金属イオンの濃度が0.5g/l〜70g/l、リン酸塩化成処理浴中に溶解しているイオンが還元され、金属として析出する電位が、溶媒である水のアノード電気分解反応電位以上又は−0.83V(水素標準電極電位で表示)以上である金属イオンの濃度が0g/l〜40g/lよりなることが好ましい。
【0051】
請求項4においては、前記リン酸塩化成処理浴には、前記リン酸イオンの酸の解離度よりも大なる酸の解離度を有する酸を有しないことが好ましい。
【0052】
ここで、前記リン酸イオンの酸の解離度よりも大なる酸の解離度を有する酸とは、例えば、硝酸である。
【0053】
もし、処理浴中に、前記リン酸イオンの酸の解離度よりも大なる酸が添加された場合には、処理浴中において、リン酸塩の被処理物表面における皮膜形成反応を阻害してしまい、効率的な反応を行なうことができない。
【0054】
請求項6において、前記リン酸イオンとリン酸塩化成処理浴中で錯体を形成する金属イオンは、亜鉛、鉄、マンガン及びカルシウムの少なくとも1種よりなることが好ましい。
【0055】
請求項7において、リン酸塩化成処理浴中に溶解しているイオンが還元され、金属として析出する電位が、溶媒である水のアノード電気分解反応電位以上又は−0.83V(水素標準電極電位で表示)以上である金属イオンは、ニッケル及び銅の少なくとも1種であることが好ましい。
【0056】
請求項8において、リン酸イオン及びリン酸と、硝酸イオンと、リン酸イオンとリン酸塩化成処理浴中で錯体を形成する金属イオンとを少なくとも含むリン酸塩化成処理浴に、導電性を有する被処理物を接触させ、電解処理することにより、前記被処理物表面にリン酸塩を少なくとも含む皮膜を形成する方法であって、前記リン酸塩化成処理浴は、前記皮膜の成分以外の金属イオンを0〜400ppm有し、かつ前記被処理物表面における電解処理皮膜形成を妨害する固形物を実質的に含有せず、前記被処理物は、前記リン酸塩化成処理浴にて、リン酸イオンとリン酸塩化成処理浴中で錯体を形成する金属材料との間で電解処理される電解リン酸塩化成処理方法を提供する。
【0057】
この方法を採用した場合には、得られる皮膜は、リン酸塩を主とする化成皮膜ではあるが、前記リン酸塩化成処理浴中には、前記皮膜の成分以外の金属イオンを0〜400ppm程度とし、かつ前記被処理物表面における電解処理皮膜形成を妨害する固形物を実質的に含有しないようにしているので、リン酸塩化成処理における成膜反応を、効率よく行なわしめることができる。
【0058】
請求項9において、前記リン酸塩化成処理浴は、前記リン酸塩を少なくとも含む皮膜の成分以外の金属イオンを0〜100ppm程度とすることがさらに好ましい。
【0059】
請求項10において、前記リン酸塩化成処理浴は、前記硝酸イオン濃度が6g/l〜140g/l、前記リン酸イオン及びリン酸の濃度が0.5g/l〜60g/l、リン酸イオンとリン酸塩化成処理浴中で錯体を形成する金属イオンの濃度が0.5g/l〜70g/l、よりなることが好ましい。
【0060】
請求項11においては、前記リン酸塩化成処理浴には、前記リン酸イオンの酸の解離度よりも大なる酸の解離度を有する酸を有しないことが好ましい。
【0061】
この時、前記リン酸イオンの酸の解離度よりも大なる酸の解離度を有する酸は、例えば、硝酸である。
【0062】
前記リン酸塩化成処理浴に、前記リン酸イオンの酸の解離度よりも大なる酸の解離度を有する酸を有しないようにすることにより、上述と同等の理由により、効率よく皮膜形成を行なうことができる。
【0063】
尚、前記リン酸イオンとリン酸塩化成処理浴中で錯体を形成する金属イオンは、亜鉛、鉄、マンガン及びカルシウムの少なくとも1種よりなることが好ましい。
【0064】
請求項14において、前記リン酸塩化成処理方法は、前記被処理物を陽極として電解処理をしてもよい。
【0065】
請求項15において、前記リン酸塩化成処理方法は、前記被処理物を陰極として電解処理をしてもよい。
【0066】
請求項16において、前記リン酸塩化成処理方法は、前記被処理物を陽極として電解処理を行なった後、被処理物を陰極として電解処理を行なう事が好ましい。
【0067】
このような電解処理を行なうことによって、被処理物の表面をエッチングにより、新規表面を露出させた後に、被処理物表面における皮膜形成反応を行なうことができる。そのため、被処理物表面に対して、密着性の向上された皮膜とすることができる。
【0068】
請求項17において、前記リン酸塩化成処理方法の前記被処理物を陰極として電解処理を行なう陰極電解処理は、前記リン酸塩化成処理浴中に溶解しているイオンが還元され析出する金属と同一の金属材料、及び/又は、リン酸塩化成処理浴に対して不溶性の導電性材料を陽極とする電解処理と、リン酸塩化成処理浴中で錯体を形成する金属材料を陽極とする電解処理の少なくとも一方から構成される電解リン酸塩化成処理方法が好ましい。
【0069】
このような処理方法を採用することにより、皮膜を形成する前記リン酸塩と前記リン酸塩を形成しない金属の成分割合を適宜調整することができ、しいては、所望の特性を有した成膜を被処理物表面に形成することができる。
【0070】
請求項18において、前記リン酸塩化成処理方法の前記被処理物を陰極として電解処理を行なう陰極電解処理は、前記リン酸塩化成処理浴中に溶解しているイオンが還元され析出する金属と同一の金属材料、及び/又は、リン酸塩化成処理浴に対して不溶性の導電性材料を陽極とする電解処理を行なった後に、リン酸塩化成処理浴中で錯体を形成する金属材料を陽極とする電解処理を行なうことを1サイクルとし、このサイクルを少なくとも1回行なう電解リン酸塩化成処理方法が好ましい。
【0071】
このような処理方法を採用することによって、上述のような所望の特性を有した成膜を厚く形成することができる。
【0072】
請求項19において、前記リン酸塩化成処理方法の前記被処理物を陰極として電解処理を行なう陰極電解処理は、前記リン酸塩化成処理浴中に溶解しているイオンが還元され析出する金属と同一の金属材料、及び/又は、リン酸塩化成処理浴に対して不溶性の導電性材料を陽極とする電解処理を行なう電解槽にて電解を行った後、次いで、リン酸塩化成処理浴中で錯体を形成する金属材料を陽極とする電解処理を行なう電解槽にて、電解処理を行なうこと電解リン酸塩化成処理方法が好ましい。
【0073】
このような処理方法を採用することによって、電解槽を別々に設けることにより、それぞれの成分析出の反応を単独にて制御することができ、所望の特性を有した皮膜をさらに容易に形成することができる。
【0074】
尚、前記リン酸塩化成処理浴中に溶解している金属が還元され析出する金属と同一の金属材料は、ニッケル及び銅の少なくとも1種であることが好ましい。
【0075】
前記リン酸塩化成処理浴中で錯体を形成する金属材料は、亜鉛、鉄、マンガン及びカルシウムの少なくとも1種であることが好ましい。
【0076】
請求項22において、前記被処理物が前記リン酸塩化成処理浴と接触していない場合には、前記被処理物を陰極とした電解処理時において、陽極として用いた金属材料を陰極とし、リン酸塩化成処理浴に対して不溶性の材料を陽極として、前記陽極及び陰極間に5V以下の電圧を印加する事が好ましい。
【0077】
又、請求項23において、前記被処理物が前記リン酸塩化成処理浴と接触していない場合には、前記被処理物を陰極とした電解処理時において、陽極として用いた金属材料を陰極とし、リン酸塩化成処理浴に対して不溶性の材料を陽極として、前記陽極及び陰極間に、前記陰極が実質的に溶解しない程度の電圧を印加する事が好ましい。
【0078】
このように、前記被処理物が前記リン酸塩化成処理浴と接触していない場合の処置を施すことによって、被処理物の処理をしていない時における、金属材料の溶解を抑制することができる。
【0079】
請求項24によれば、前記リン酸塩化成処理浴を有する浴槽中より、前記リン酸塩化成処理浴の一部を取り出し、前記リン酸塩化成処理浴の液体としてのエネルギー状態を熱力学的に安定にするとともに、その後、再び前記浴槽内に戻すことが好ましい。
【0080】
また、請求項25によれば、前記リン酸塩化成処理浴を有する浴槽中より、前記リン酸塩化成処理浴の一部を取り出し、成膜反応過程にてリン酸塩化成処理中に析出した固形分を除去した後、再び前記浴槽内に戻すことが好ましい。
【0081】
このような方法を採用することにより、例えば、電解反応により、被処理物表面以外で、不可避的に生成した反応物(スラッジ)及び硝酸イオンの還元により生成する窒素酸化物(NO2 等)を処理浴中から除去することができる。そのため、処理浴内において、成膜のための反応以外の余分な反応を抑制することができる。
【0082】
請求項26によれば、前記リン酸塩化成処理浴の成分を補給するに際しては、前記リン酸塩化成処理浴の一部を取り出し、該取り出した浴に対し、前記リン酸塩化成処理浴を構成する成分の内、少なくとも1成分における濃度よりも高い濃度の処理浴成分を含む補給液を投入することが好ましい。
【0083】
この方法によれば、容易に、処理浴の補給を行なうことができる。
【0084】
請求項27によれば、被処理物を陰極として電解処理する電解リン酸塩化成皮膜方法であって、前記皮膜の成分以外の金属イオンを0〜400ppm有し、かつ前記被処理物表面における電解処理皮膜形成を妨害する固形物を実質的に含有しないリン酸塩化成処理浴中において、該リン酸塩化成処理浴中に溶解しているイオンが還元され、金属として析出する電位が、溶媒である水のアノード電気分解反応電位以上又は−0.83V(水素標準電極電位で表示)以上である金属が、リン酸塩化成処理浴に溶解しており、陽イオンとなった状態から、電解処理により還元され前記被処理物の表面に析出する反応と、リン酸塩化成処理浴中で、リン酸塩化成処理浴中でリン酸イオンと錯体化する金属イオンが、リン酸イオンの脱水素反応に対応して、リン酸塩結晶として析出する反応とから構成される電解リン酸塩化成処理方法を提供する。
【0085】
この処理方法によれば、処理浴内において、2つの異なる反応を同時に行なわせしめているので、被処理物表面に所望の複合皮膜を形成することができる。
【0086】
尚、リン酸イオンと錯体化する金属イオンは、Fe、Zn、Mn、Ca及びMgの少なくとも1種であることが好ましい。
【0087】
また、リン酸塩化成処理浴中に溶解しているイオンが還元され、金属として析出する電位が、溶媒である水のアノード電気分解反応電位以上又は、−0.83V(水素標準電極電位)以上である金属は、Ni,Cu、Fe及びZnの少なくとも1種であることが好ましい。
【0088】
請求項30によれば、電解処理を行なっている時の処理浴組成が、リン酸イオンと錯体化する金属イオン(g/l)/(リン酸イオン及びリン酸の濃度(g/l))の比率が0.1以上である事が好ましい。
【0089】
リン酸イオンと錯体化する金属イオンの濃度(g/l)/(リン酸イオン及びリン酸の濃度(g/l))の比率を0.1以上、より好ましくは、0.25以上とすることにより、処理浴中において、リン酸(H2PO4)をリン酸イオン(H2PO4 -)として、存在させることができ、陰極表面でのリン酸イオンの酸化反応を制御することができる。また、それは、処理浴中に存在するリン酸を制御することである。
【0090】
請求項31によれば、前記被処理物を陰極として電解処理する電解リン酸塩化成皮膜方法の時、前記電解処理開始時には、陽極と陰極を形成する前記金属材料間に印加する電圧を変動させることが好ましい。
【0091】
さらに、前記電解処理開始時における印加電圧の変動はパルス状であることが好ましい。
【0092】
この方法を採用することにより、被処理物表面に皮膜が形成される初期段階において、被処理物のある特定の個所のみに皮膜が形成され始めたとしても、電解処理電圧が変化するたびに、皮膜形成個所を強制的に変えることができる。そのため、被処理物表面に均一に皮膜を形成することができる。
【0093】
請求項33によれば、皮膜の成分以外の金属イオンを0〜400ppm有し、かつ被処理物表面における電解処理皮膜形成を妨害する固形物を実質的に含有しないリン酸塩化成処理浴中に、導電性を有する前記被処理物を接触させ、電解処理することにより、鉄鋼表面に、リン酸塩を形成しない金属と、リン酸塩化合物から構成される皮膜であって、皮膜を構成する前記金属とリン酸塩化合物が、皮膜全体に分散している複合皮膜の形成方法を提供する。
【0094】
また、請求項34によれば、皮膜の成分以外の金属イオンを0〜400ppm有し、かつ被処理物表面における電解処理皮膜形成を妨害する固形物を実質的に含有しないリン酸塩化成処理浴中に、導電性を有する前記被処理物を接触させ、電解処理することにより、鉄鋼表面に、リン酸塩を形成しない金属と、リン酸塩化合物から構成される皮膜であって、皮膜の最表面には、少なくともリン酸塩を形成しない金属が存在する複合皮膜の形成方法を提供する。
【0095】
さらに、請求項35によれば、皮膜の成分以外の金属イオンを0〜400ppm有し、かつ被処理物表面における電解処理皮膜形成を妨害する固形物を実質的に含有しないリン酸塩化成処理浴中に、導電性を有する前記被処理物を接触させ、電解処理することにより、鉄鋼表面に、リン酸塩を形成しない金属と、リン酸塩化合物から構成される皮膜であって、前記皮膜は、X線回折分析で、リン酸塩の不可避的なピーク以外のピークを示さない複合皮膜の形成方法を提供する。
【0096】
請求項36によれば、皮膜の成分以外の金属イオンを0〜400ppm有し、かつ被処理物表面における電解処理皮膜形成を妨害する固形物を実質的に含有しないリン酸塩化成処理浴中に、導電性を有する前記被処理物を接触させ、電解処理することにより、鉄鋼表面に、リン酸塩を形成しない金属と、リン酸塩化合物から構成される皮膜であって、リン酸塩を形成しない金属の原子数が、リン酸塩結晶を構成するリンの原子数の0.25以上有する複合皮膜の形成方法を提供する。
【0097】
尚、前記リン酸塩を形成しない金属は、Ni,Cu、Fe及びZnの少なくとも1種であることが好ましい。
【0098】
また、リン酸塩化合物を形成する金属は、Fe、Zn、Mn、Ca及びMgの少なくとも1種であることが好ましい。
【0099】
請求項40によれば、前記鉄鋼は、鉄鋼の全体を100重量%とした時に、鉄(Fe)が、95重量%以上含有されていることが好ましい。
【0100】
請求項41によれば、前記X線回折分析は、ESCA又はEDXにて分析することが好ましい。
【0101】
次に、上述した、作用効果を従来技術を比較検討しながらさらに詳細に説明する。
【0102】
はじめに、従来の電解リン酸塩化成処理方法である特再平5−822481号公報によれば、無電解リン酸塩化成処理と同じ構成のリン酸塩化成処理浴の成分を使用していた。
【0103】
即ち、従来の無電解リン酸塩化成処理では、処理浴内成分を反応させて皮膜を形成するために、処理浴は極めて活性であり、分解容易な浴組成となっている。それは、処理浴を活性にしなければ、溶液内反応ができないからである。そして、処理浴を活性にするため、すなわち、リン酸を化学的に分解(酸化:脱水素)させるために、従来の無電解リン酸塩化成処理浴は水酸化ナトリウム等により、PH(水素イオン濃度)を所定の範囲に添加する処置が取られたり、反応促進のため酸化促進剤として、亜硝酸イオンを添加していた。これらの薬品が補給される結果、リン酸塩化成処理は、Naイオンを多く含む事になり、この結果、無電解リン酸塩化成処理浴は、リン酸塩皮膜とならない不純物(不要物)を多く含む浴となっている。
【0104】
従来の電解リン酸塩化成処理方法は、このような、皮膜成分以外の成分を含むリン酸塩化成処理浴を使用していた。
【0105】
そのため、この皮膜成分以外の成分が、被処理物表面に形成すべきリン酸塩化成処理皮膜の形成を阻害させ、効率的な皮膜を被処理分表面に形成させることができなかった。
【0106】
それに対して、本発明のリン酸塩化成処理浴は、皮膜成分以外の金属イオンである、例えば、Na等の皮膜形成反応に関与しないイオンをリン酸塩化成処理浴中に400ppm以下、好ましくは100ppm以下とする構成とした。その結果、処理浴の溶液としての安定性は大幅に向上し、スラッジを生成しない構成となっている。さらに、電解処理により、溶液内成分を電極表面でのみ反応させる構成とすることができ、処理浴は、電解処理時に電極表面でのみ反応し、それ以外の時、及び場所では、実質的に反応させないようにすることができた。
【0107】
さらに、処理浴中において、電解処理時に電極表面でのみ反応し、それ以外の時、及び場所では、実質的に反応させないようにする手段として、以下の手段を採用することが好ましい。
【0108】
即ち、その手段として、
前記リン酸塩化成処理浴を有する浴槽中より、前記リン酸塩化成処理浴の一部を取り出し、前記リン酸塩化成処理浴の液体としてのエネルギー状態を熱力学的に安定にするとともに、その後、再び前記浴槽内に戻すこと、及び、前記リン酸塩化成処理浴を有する浴槽中より、前記リン酸塩化成処理浴の一部を取り出し、成膜反応過程にて、リン酸塩化成処理中に析出した固形分を除去するためのフィルタを介して、再び前記浴槽内に戻すことが好ましい。
【0109】
また、前記被処理物が前記リン酸塩化成処理浴と接触していない場合には、前記被処理物を陰極とした電解処理時において、陽極として用いた金属材料を陰極とし、リン酸塩化成処理浴に対して不溶性の材料を陽極として、前記陽極及び陰極間に5V以下の電圧を印加する点や、前記被処理物が前記リン酸塩化成処理浴と接触していない場合には、前記被処理物を陰極とした電解処理時において、陽極として用いた金属材料を陰極とし、リン酸塩化成処理浴に対して不溶性の材料を陽極として、前記陽極及び陰極間に、前記陰極が実質的に溶解しないように、電圧を印加する事を行なうことが好ましい。
【0110】
さらに、前記リン酸塩化成処理浴の成分を補給するに際しては、前記リン酸塩化成処理浴の一部を取り出し、該取り出した浴に対し、前記リン酸塩化成処理浴を構成する成分の内、少なくとも1成分の濃度よりも高い濃度の処理浴成分を含む補給液を電解槽以外の部分に投入することが好ましい。
【0111】
さらにまた、電解処理を行なっている時の処理浴組成が、リン酸イオンと錯体化する金属イオンの濃度(g/l)/(リン酸イオン及びリン酸の濃度(g/l))の比率が0.1以上である事が好ましい。
【0112】
上記処置を行なうことによって、リン酸塩化成処理浴中においては、成膜反応に影響を及ぼす固形分を実質的に含有させることがなく、電解処理時に電極表面でのみ反応し、それ以外の時、及び場所では、実質的に反応させないようにすることができる。
【0113】
尚、本発明の「電解リン酸塩化成処理方法」と同様に、溶液内成分反応させ塗膜を形成する「電着塗装」は、溶液内成分の凝集、分解を防ぐ事に細心の注意をしているが、溶液が有機物である為、不純物の混入防止と、処理浴を所定の温度に維持し、常時濾過する事で対応可することができる。
【0114】
本発明の「電解リン酸塩化成処理方法」は、無機酸溶液での電解であるため、電着塗装の処置に追加して、さらに、上記のような対応を行なうことが好ましい。
【0115】
さらに、請求項1及び7の如く、本発明においては、従来のような反応促進剤としてのNa等のような成膜の成分となる金属イオン以外の金属イオンを実質的に含有しないようにしたので、リン酸塩化成処理浴中にて、リン酸イオンとリン酸塩化成処理浴中で錯体を形成する金属イオンを錯体として存在させることができる。そのため、処理浴中において、金属イオンを溶液中に溶解させているにもかかわらず、安定に存在させることができ、処理浴中におけるスラッジ等の発生のような現象を抑制させ、被処理物表面のみにおいて、皮膜析出反応を生じせしめることができた。
【0116】
このことは、従来の電気めっきにシアン錯体が多く用いられ、このシアン錯体が、溶液中では分解せず、電荷が集中する陰極表面でのみ分解し、金属皮膜として析出することに対応している。
【0117】
また、従来の無電解リン酸塩化成処理浴でも、従来から錯体を利用している。すなわち、金属表面にリン酸塩化合物として析出する金属イオン(Fe3+、Zn2+、Mn2+等)イオンは、溶液内でリン酸イオンと錯体を形成し溶解している。しかし、従来の無電解リン酸塩化成処理浴で使用した、リン酸イオン錯体は、Naイオン等を含み、活性な(不安定な)状態であるので、電解めっきで使用するシアン錯体等と比較して、錯体としての安定性は小さい。従って、無電解でも、容易に分解し、皮膜及びスラッジとなるのであり本発明を何ら用いているわけではない。
【0118】
尚、錯体の安定性に関して言えば、シアン錯体は、安定性大であり、無電解処理(無電解めっき)では、錯体を解離(分解)する事はできない。故に、シアン錯体は電解めっきでのみ使用されている。
【0119】
リン酸イオン錯体の安定性を大きくすれば、その錯体は容易に分解しないようになる。従来の無電解リン酸塩化成処理浴で使用した、リン酸イオン錯体の安定性が小さいのは、浴のPH調整を行い、(その為Naイオン等を添加して)リン酸イオンが解離(酸化分解)し易いようにしているからである。電解リン酸塩化成処理浴では、Na+を添加する浴のPH調整は行わない。故に、リン酸イオン錯体の安定性を大きくする事ができる。そして、そのようなリン酸イオン錯体の安定性大の処理浴は、電解無しの時は分解せず皮膜も形成しない。又、電解処理時も、電気めっきのように溶液中では分解せず、電荷が集中する陰極表面でのみ分解し皮膜を形成するため、基本的にスラッジを形成する事はなく、処理浴は、透明な状態を維持する。
【0120】
リン酸イオン錯体が安定であり過ぎると、陰極電解での皮膜形成には不適である。故に、リン酸イオン錯体の安定度は適切な範囲に維持する必要がある。
【0121】
そのため、本発明においては、電解処理を行なっている時の処理浴組成が、リン酸イオンと錯体化する金属イオン(g/l)/(リン酸イオン及びリン酸の濃度(g/l))の比率が0.1以上である事が好ましい。これにより、錯体の安定度の確保をおこなうことができる。
【0122】
[電解リン酸塩化成処理固有の検討]
電解リン酸塩化成処理実用化には、不純物の混入防止、浴のろ過等の浄化方法及び錯体に対する言及の外に、電解リン酸塩化成処理固有の特徴に対応する処置が必要である。
【0123】
以下説明する。
【0124】
本発明の電解リン酸塩化成処理では、前記リン酸塩化成処理方法は、前記被処理物を陽極として電解処理を行なった後、被処理物を陰極として電解処理を行なう事が好ましい。
【0125】
この場合、陽極として、皮膜形成金属等(Fe、Ni、Zn等)が使用され、陰極として、被処理物を用いることが好ましい。
【0126】
尚、陽極として電解槽に設置される電極材料は、下記の2つの場合がある。
【0127】
▲1▼電極材料が溶解し、皮膜形成成分となる金属
▲2▼電極材料が溶解しない、又は、ほとんど溶解しない不溶性材料
陰極電解処理は、上記電極材料の両方とも用いる場合もあるし、また1つの電極材料のみを用いる場合もある。その区分の概要を表3にまとめる。
【0128】
【表3】
Figure 0003678096
【0129】
▲1▼の溶解し、皮膜形成成分となる金属を陽極とする場合は、外部電源からの作用で陽極材料は、電気化学的に溶解し、溶液中に可溶したイオン状態で存在した後、陰極に析出(固体化)し、皮膜となる。
【0130】
▲2▼の溶解しない、又は、ほとんど溶解しない不溶性材料を陽極とする場合は、溶液中に溶解している陽イオンを、外部電源を作用させ陰極に析出させる。▲1▼と▲2▼の使い方は、形成するリン酸塩化成皮膜の性質により使い分ける。
【0131】
表3に記載したように、「リン酸塩化合物を形成する金属(例えば、Fe、Zn)」は無電解処理での実績があるように、従来のリン酸塩化成処理浴の条件の中でも、比較的容易に(低い電圧で)溶解、析出する。しかし、「リン酸塩化成処理浴中に溶解した金属イオンが還元され金属元素として析出し固体」となる金属は、従来の無電解リン酸塩化成処理浴の条件の中で、容易に溶解、析出することが可能である金属(例えばCu)もあれば、溶解、析出するのに大きい電圧、電流を必要とする金属(例えばNi)もある。
【0132】
そして,溶解、析出に大きい電圧、電流を必要とする金属(例えばNi)を、陽極として、電極からの溶解のみで処理浴に供給し、析出しようとすれば、大きな電圧、電流を必要とする事になる。そのような電解処理は、処理浴全体に相対的に大きな電圧、電流を加える事になる。しかし、そのような(大きな電圧、電流を必要とする事になる)電解処理は、小さい電圧印加で電解処理可能な、リン酸塩化合物を形成する金属(Fe、Zn)の電解に対しては、適切とは言えない。
【0133】
本発明者は、この様に、電解リン酸塩化成処理の特徴として、「陰極電解処理」は、基本的に2つの方式があると認識する。そして、必要とする皮膜の性質に対応して、この2つの陰極電解処理方式の違いを認識して、適宜用いるべきであると考える。すなわち、必要とする皮膜に応じて、処理浴の構成、及び陽極に用いる金属材料を決め、その処理浴・電極材料に対応した電解処理(電圧、電流)を使い分ける事である。
【0134】
陰極電解処理が、基本的に2つに区分できるとの認識は、電解リン酸塩化成処理の実用化に対し、異なる2つの対応が必要な事を示唆している。すなわち、「溶解、析出が容易で、皮膜成分となる金属材料」と「ほとんど溶解しないか、又は不溶性の材料」を用いる場合では、異なった対応が必要である。
【0135】
表3の「溶解、析出が容易で、皮膜成分となる金属材料(例えばFe、Zn、Cu)」を、陽極として使用する場合、それらの金属は、電圧を印加しなくても(無電解でも)リン酸塩化成処理浴に容易に、処理浴に溶解する。この現象(作用)を放置すれば、これらの金属イオンは、処理を実施しない時でも処理浴に溶解する事になる。その結果、処理浴の状態は、処理不可能な状態に変化してしまう事になる。そのため、その溶解を抑制する手段(工夫)が必要となる。これが第一の対応である。
【0136】
その具体的な手段としては、
▲1▼電解処理時、金属電極(陽極)の表面積を制御する。
【0137】
▲2▼電解処理時、金属電極(陽極)の電解電流を制御する。
【0138】
▲3▼電解休止時、不溶性の電極を陽極とし、容易に溶解する金属(Fe、Zn、Cu)電極を陰極として、陰極とした金属が溶解しない程度の(溶液成分が分解しない程度の)、微電解(休止電解)を行う。この電解を以後、「休止電解」と呼ぶ。
【0139】
等の処置を行なうことが好ましい。
【0140】
第二の対応は、「ほとんど溶解しないか、又は不溶性の材料」を用いる場合についてである。
【0141】
例えば、皮膜成分としては必要であるが、金属を陽極として電解しても、十分な溶解が得られない金属(例えば、Ni)の場合には、皮膜成分に必要な金属イオンを、全て電極からの溶解で得る事は不可である。その場合には、処理浴への金属イオンの供給は、溶解した金属イオンを処理浴に添加し行う事が好ましい。そして、陰極電解処理は、陰極での電解反応(還元・析出)のみを対象とする。この様にすれば、例えばNiを皮膜成分に取り入れる為の電解電圧は、Niを陽極から溶解させて、皮膜とする事を想定した場合に比較し、小さくできる。この様な工夫が電解リン酸塩化成処理の実用化には好ましい。
【0142】
[電解リン酸塩化成処理を構成する反応]
本発明は、電解リン酸塩化成処理反応を行う環境を整備した事で、新たな電気化学的リン酸塩化成処理反応を形成する。以下その概要を説明する。
【0143】
[電気化学反応の一般的認識]
本発明の電解リン酸塩化成処理反応は、基本的にスラッジを含まない事とする。
【0144】
電気化学反応系はアノード反応とカソード反応から構成される。アノード反応は陽極反応であり、酸化反応である。また、カソード反応は陰極反応であり、還元反応である。電気化学反応系では、その電極電位は、カソード反応が、アノード反応よりも上位であると定義されている。
【0145】
また、陽極がアノード反応すれば、それに対応する溶媒及び陰イオンはカソード反応をする。そして、陽イオンがカソード反応すればそれに対応する溶媒及び陰イオンは、アノード反応することが認識されている。
【0146】
電解処理において形成される、電気化学反応系形成の概要を図2に示す。
【0147】
電気化学反応系は図2に示す様に、▲1▼「溶液内で分離している電極間の反応系」と▲2▼「溶液内で分離していない同一電極表面での反応系」の2つに分離される。
【0148】
▲1▼の「溶液内で分離している電極間の反応系」は、分離している間でアノード・カソード反応系が形成される。その内訳は下記である。
【0149】
▲1▼−1電極間の陽イオンに関わる電気化学反応系(陽極でのアノード反応と陰極でのカソード反応)
▲1▼−2電極間の陰イオン・溶媒に関わる電気化学反応系(陽極でのカソード反応と陰極でのアノード反応)
▲2▼の「溶液内で分離していない同一電極表面での反応系」は、同一電極表面での陽イオンと陰イオン・溶媒間でアノード・カソード反応系が形成される。その内訳は下記である。
【0150】
▲2▼−1陽極表面での陽イオンのアノード反応と陰イオン・溶媒のカソード反応▲2▼−2陰極表面での陽イオンのカソード反応と陰イオン・溶媒のアノード反応カソード反応・アノード反応から構成される電気化学反応系は、「無電解処理」「電解処理」を問わず電気化学反応系が形成される場合には形成される。但し、「無電解処理」の電気化学反応系は、同一表面上のカソード反応・アノード反応からのみ構成される。図2では、▲2▼−1及び▲2▼−2の反応系であり、金属(固体)と溶液(液体)との間で、構成される。
【0151】
電気化学反応系は、一対のカソード反応・アノード反応からのみ構成される場合と、複数対のカソード反応・アノード反応から構成される場合がある。リン酸塩化成処理の電気化学反応系は、図2に示すように、複数対のカソード反応・アノード反応から構成される、複雑なものである。そして、複雑である事が、反応系の制御を困難にしている。
【0152】
[電解リン酸塩化成処理における電気化学反応系の構成]
電解リン酸塩化成処理の「陰極電解処理」の場合で、皮膜形成金属電極(陽極)としてFe、Zn、Ni、Cuを用いた時、その反応は表4のように層別される。尚、以下の例は、亜鉛イオン、ニッケルイオン、リン酸イオン、及び、硝酸イオン、を含むリン酸塩化成処理浴(リン酸塩化成処理浴)で、鉄(鉄鋼材料)を処理した場合である。
【0153】
【表4】
Figure 0003678096
【0154】
外部電源を介した電極間の電気化学反応は、前述したように基本的に2つの系統がある。1つは電極間の反応系であり、陽極での皮膜形成金属(電極)の溶解反応(カソード反応)と、陰極(被処理物)表面での溶解した金属イオンの析出反応(カソード反応)である。もう1つの反応系は、同一電極表面での電気化学反応系である。陽極での金属の溶解(酸化)反応と溶液成分(硝酸イオン、及び水)の還元反応と、陰極での溶液成分(リン酸イオン、及び水)の酸化反応と金属イオンの還元反応である。なを、陰極表面でのリン酸イオンの酸化(脱水素)に伴い、リン酸塩錯体を形成する金属(Zn、Fe、Mn等)イオンはリン酸塩として陰極表面に析出する。
【0155】
[リン酸塩化成処理反応の電気化学反応−1(無電解処理反応)]
無電解リン酸塩化成処理反応は、上表のアノード反応、カソード反応が,陽極・陰極と分極されていなく、同一表面で行われている状況である。
【0156】
無電解リン酸塩化成処理が、主に鉄鋼材料をのみ対象としているのは、リン酸塩化成処理浴と処理浴の間で、電気化学反応系が無電解でも自発的に形成されるように、環境整備されているからである。
【0157】
尚、被処理物が銅(Cu)の時には、塩素イオン(Cl- )を添加する。また、被処理物がアルミ材(Al)である場合には、フッ素イオン(F- )を添加する。フッ素イオン(F- )を添加すると、Alの溶解(酸化)が容易となり、処理浴の中で(無電解でも)リン酸塩化成処理に関する電気化学反応系が形成される。そのため、鉄鋼と同じようにリン酸塩化成皮膜が形成されるようになる。しかし、フッ素イオン(F- )は、皮膜に取り込まれるものでなく、また硝酸イオンの様に還元され(NO3-→NO)、気化(ガス化)して、溶液から除外される事はない。従って、フッ素イオンが所定濃度を超えた時には、処理浴を新規に作成する事が必要になる。
【0158】
無電解リン酸塩化成処理反応は、同一表面で電気化学反応系が形成されるため、皮膜の形成により、素材(被処理物)の溶解は制限される。故に、皮膜を破壊することなく厚くする事はできない。厚い皮膜を得る為に、無理をして反応を続ければ、その反応は素材(被処理物)の溶解を伴う事になるため、粗雑な皮膜となる。無電解処理(加熱浴)から形成され、冷鍛プレス加工潤滑下地処理に用いられている厚い皮膜が、粗雑であるのは、そのためである。
【0159】
また、無電解リン酸塩化成処理反応は、外部電源を用いない同一表面で電気化学反応系である事から、電荷の変化を伴う金属イオンの還元析出反応は極めて制限される。そのため、Niイオンを含む処理浴であっても、Niの還元析出は極めて僅かしか行えない。(Niの析出はFeが溶解する皮膜形成の初期の段階のみ可能である。)その為、形成する皮膜は、リン酸塩を主成分とする。この事が、従来の無電解処理をリン酸塩化成処理と呼ぶ根拠になっている。
【0160】
[リン酸塩化成処理反応の電気化学反応−2(陽極電解処理)]
電解リン酸塩化成処理で、陽極電解処理のみで皮膜を形成する場合は、その反応方式は、基本的には無電解処理と同じである。陽極処理の機能は、表4の「金属電極の溶解(酸化)反応」の促進である。「金属電極の溶解(酸化)反応」は、リン酸塩化成処理(皮膜形成)反応系を、開始する最初の反応である。陽極電解処理により、その反応(被処理物の溶解)は容易に、且つ、確実に行われる。その結果、生成するリン酸塩皮膜は、被処理物(素材)との密着性に優れたものになる。しかし、皮膜を厚くする事は、不可である。
【0161】
陽極電解処理に続いて陰極電解処理を行い皮膜を形成する場合は、陽極の役割は、金属電極の溶解(酸化)反応及び水の還元反応に限定される。陽極電解処理で、被処理物の溶解を確実に行い、その後陰極電解処理で、皮膜の形成をする。
【0162】
故に、陽極電解処理のみで、皮膜を形成する場合と、陽極電解処理+陰極電解処理で皮膜を形成する場合では、処理浴組成は異なる。
【0163】
尚、陽極電解処理のみを行う場合は、対局となる陰極は、リン酸塩化成処理浴に溶解しない材料を選定する。故に、陰極はチタン材等化成処理浴に溶解しない材質を用いる。
【0164】
[リン酸塩化成処理反応の電気化学反応−3(陰極処理)]
電解リン酸塩化成処理は、「陽極処理+陰極処理」の方法が採用される。この場合、陽極処理の機能は、被処理物表面を溶解し、皮膜の密着性を確保する事である。陰極処理は皮膜の形成を行なう。
【0165】
尚、陽極処理は、場合により省略することができる。これは、皮膜の密着性を要しない場合、及び電解リン酸塩化成処理浴が、従来の無電解処理浴よりPHが低く、無電解でも素材を溶解する傾向にある場合、素材の溶解反応が無電解でも行われる時である。
【0166】
従来の無電解リン酸塩化成処理は、「被処理物の溶解反応」と「皮膜形成に関連する反応」が、同一表面で行われている。しかし、本発明の陰極電解処理は、表3に示した様に陰極となる被処理物の表面では「被処理物の溶解反応」を行わない。そして、被処理物表面(陰極)では、「皮膜形成に関連する反応」だけがおこなわれる。
【0167】
陰極電解処理に関与する電気化学反応系は、図2で述べた分類に従えば、3つの反応系がある。
【0168】
i電極(陽極−陰極)間の金属イオンの酸化−還元(溶解−析出)反応系(図2の▲1▼−1)
ii電極(陽極−陰極)間の陰イオン、溶媒(水)の酸化-還元反応系(図2の▲1▼−2,)
iii陰極表面での陰イオン・溶媒(水)のアノード反応と金属イオンのカソード反応(図2の▲2▼−2及び▲1▼−3)
以下順に説明する。
【0169】
i電極(陽極−陰極)間の金属イオンの酸化−還元(溶解−析出)反応系(図2の▲1▼−1)
この電極間反応は、陰極表面カソード反応(金属イオンの還元、析出)と、陽極表面のアノード反応(金属の溶解)から形成される。外部電源を用いた電解反応であり、陰極表面は、カソード反応的に大きな電気化学エネルギーを受けるため、電荷の変化(還元)を伴う析出反応を行なう事ができる。カソード析出反応は、ニッケル、銅、鉄、亜鉛等の金属イオンの、電荷の変化(還元)を伴う析出反応であり、下地金属に対し、電気めっきと同等の作用で結合する。尚、鉄、亜鉛等のリン酸塩を形成皮膜となる金属は、電荷の変化を伴わないリン酸塩として優先的に析出するが、電荷の変化を伴う溶解析出電位が、水のアノード反応電位(−0.83V)以上であり、電荷を変化させ金属として析出することも可能である。
【0170】
ii電極(陽極−陰極)間の陰イオン、溶媒(水)の酸化−還元反応系(図2の▲1▼−2及び▲1▼−3)
この電極間反応は、陰極表面アノード反応(リン酸イオンの解離、酸化とリン酸塩の生成、及び溶媒(水)の酸化)と、陽極表面のカソード反応(硝酸イオンの還元、及び溶媒(水)の還元)から形成される。この電気化学反応系が形成される事で、生成するリン酸塩結晶は皮膜として電気化学的に陰極表面にしっかりと結合される。
【0171】
iii陰極表面での陰イオン・溶媒(水)のアノード反応と金属イオンのカソード反応(図2の▲2▼−2)
この反応系は、陰極表面での水の酸化反応((19)式、アノード反応)と、金属イオンの、電荷の変化(還元)を伴うカソード析出反応((13)、(14)、(15)、(16)式)との間に形成される。この反応系が形成される事で、リン酸塩化成処理浴中に溶解しているイオンが還元され、金属として析出する電位(溶解−析出平衡電位)が、水のアノード反応電位である−0.83V(水素標準電極電位)程度以上の金属の直接析出が可能となる。先に述べたように、電気化学反応系では、その電極電位は、カソード反応が、アノード反応よりも上位である事が定義されている。したがって、この反応系が形成される事により、亜鉛(溶解−析出平衡電位(水素標準電極電位)=−0.77V)以上の溶解−析出平衡電位を有する金属イオンの析出が可能である事を保証する。すなわち、■での析出可能金属を確定する。
ナトリウムの溶解−析出平衡電位((水素標準電極電位)=−2.7V)、カリウムの溶解−析出平衡電位((水素標準電極電位)=−2.9V)等、溶解−析出平衡電位の低い金属は電解析出不可であり、皮膜成分とならない金属である。故に、それらの金属イオンは、電解処理皮膜形成を妨害することになる。
【0172】
尚、Zn、Fe等は理論的には金属として電荷を変化させ析出することは可能である。しかし、Zn、Fe等は、処理浴中でリン酸イオンと錯体を形成して存在するのが一般的である。そして、リン酸塩として析出する方がエネルギー的に容易である。故に、Zn、Fe等は、皮膜にはリン酸塩として優先的に存在する事になる。
【0173】
本発明の陰極電解処理では、前記皮膜の成分以外の金属イオンを0〜400ppm程度好ましくは0〜100ppm以下とするとともに、前記被処理物表面における電解処理皮膜形成を妨害する固形物を実質的に含有しないようにしたので、リン酸塩を形成しない金属を複合皮膜中に取り組むことができたため、複合皮膜自体が従来の「めっき」の特性に近づけることができた。そのため、形成するリン酸塩化成皮膜が電気化学的に高いエネルギーを授受され、陰極(被処理物)にしっかりと密着・固定することができた。
【0174】
本発明では、電極(陽極−陰極)間の金属イオンの酸化−還元(溶解−析出)反応系は、外部電源の接続により継続して形成される。故に、Ni等金属を、全皮膜形成過程で還元→析出させ、分布させる事が可能となる。また、特定の金属のみ含ませる事も可能となり、ある金属を含ませない事も可能となる。すなわち、陰極処理皮膜形成反応の制御が可能となった。
【0175】
[電解リン酸塩化成処理皮膜の特徴]
本発明において、特に、注目すべきは、電荷の変化を伴う金属の析出が、皮膜形成の全期間を通して可能となる事である。これは、「電気めっき」と同じ現象である。
【0176】
すなわち、電解リン酸塩皮膜は、「リン酸塩含有複合電気めっき膜」と言う事ができる。すなわち、リン酸塩化成皮膜の最表面で、原子数濃度比が、リン酸塩を形成しない金属(例:Ni)がリン酸塩を形成する元素であるリン(P)の1/4よりも、多く含む皮膜を形成することができた。(表10、実施例1のEDX皮膜分析結果参照、表16、実施例4、実施例5のEDX皮膜分析結果参照)このような皮膜は、リン酸塩の結晶化作用を利用し皮膜を形成した、従来の無電解処理では実現不可能な皮膜である。
【0177】
(原子数濃度比 Ni/P=1/4は、Ni/Zn3 (PO42が1/2の存在比である事に対応する。)
尚、電荷の変化を伴う金属の陰極電解処理をしない事で、無電解処理と同様に、電荷の変化を伴う金属の析出を全く無くすことも可能である。(表12、実施例2のEDX皮膜分析結果参照)
さらに、本発明の電解リン酸塩化成処理皮膜のもう1つの特徴は、皮膜をX線回折した時、リン酸塩結晶のピークを持たない皮膜を形成することである。(表16、図16、図17の実施例3参照)これも、皮膜形成が電解処理のため、電荷の変化を伴う金属(例、Ni)の析出が、皮膜形成の全期間を通して可能となる為である。すなわち、リン酸塩結晶の析出を、電荷の変化を伴う金属(例、Ni)の析出に従属させ、リン酸塩結晶を金属成分の中に微細に分散させた結果であると考える。実施例3の皮膜はリン(P)、Znを含んでおりリン酸塩を含んだ皮膜であるが、リン酸塩結晶はNi金属と分散し皮膜となっている。それは、皮膜断面方向のEPMA元素分析写真(表17、図20〜29)に示されている。この皮膜は、「リン酸塩含有複合電気めっき膜」と言う事ができる。
【0178】
以上のように、本発明は、電気化学反応の原則に適した、電解リン酸塩化成処理を開発したのである。
【0179】
即ち、リン酸塩化成皮膜を、従来のリン酸塩結晶を主とする皮膜から、リン酸塩と、金属から構成される皮膜をも形成することができるリン酸塩化成処理方法を提供することができたことである。
【0180】
さらに、本発明にて得られた複合皮膜は、リン酸塩でない金属材料を含有する物とすることができた。
【0181】
従って、この新しいリン酸塩化成処理は、電気めっきが金属の種類を問わず適用されると同様に、多くの金属材料に適用できる複合皮膜を得ることができるものである。
【0182】
【発明の実施の態様】
[電解リン酸塩化成処理の構成]
電解リン酸塩化成処理は、▲1▼装置▲2▼処理浴組成▲3▼処理浴電気化学的条件▲4▼電解方式から構成される。
【0183】
はじめに、本件電解リン酸塩化成処理方法に使用する装置について図3を用いて説明する。
【0184】
図3は、陰極電解処理時の構成である。
【0185】
ここで、1は、本発明のリン酸塩化成処理浴、2は、被処理物、3及び4は、作用電極であり、3は、前記リン酸塩化成処理浴にて、リン酸イオンとリン酸塩化成処理浴中で錯体を形成する金属材料よりなる作用電極、4は、リン酸塩化成処理浴中に溶解しているイオンが還元され、金属として析出する電位が、溶媒である水のアノード電解分解反応電位以上又は−0.83V(水素標準電極電位で表示)以上である金属材料四里なる作用電極である。
【0186】
また、5は、被処理物2と作用電極3,4との間に電圧を印加する電源、6は、リン酸塩化成処理浴1を有する浴槽中より、リン酸塩化成処理浴1の一部を取り出し、リン酸塩化成処理浴1の液体としてのエネルギー状態を熱力学的に安定にするためのろ過・循環ポンプであり、7は、成膜反応過程にてリン酸塩化成処理浴1中に析出した固形分を除去するろ過機である。
【0187】
8は、前記被処理物が前記リン酸塩化成処理浴と接触していない場合において、使用するリン酸塩化成処理浴1に対して不溶性の材料よりなる休止電解陽電極、9は、リン酸塩化成処理浴1の成分の濃度よりも高い濃度よりなる補給薬品、10は、この補給薬品を処理浴中に投入させるための薬品補給ポンプである。
【0188】
11は、処理浴のPHやORP等を測定するセンサ12からの情報に基づいて、補給薬品の投入量や印加電圧等を制御する制御コンピュータである。
【0189】
図3において、以下本発明を説明する。
【0190】
本発明においては、直流電源を介して、被処理物(被処理物)は、陰極に接続され、リン酸塩皮膜を形成する金属又は浴に不溶である導電性材料から構成される電極(以後、作用電極と称する)は陽極に接続される。尚、陽極電解処理時には、被処理物は陽極に接続され、浴に不溶である導電性材料が、陰極に接続される。
【0191】
陽極電解処理の場合は、作用電極(対極)は1種類である。
【0192】
陰極電解処理の場合は、作用電極は1種類だけの場合もあるが、複数種類(材料)を電極として使用する事もある。又、電解に使用する直流電源は、作用電極毎に設置するのが望ましい。それは、1つの直流電源から複数の同種類の電極接続した場合、電流の流れやすい場所に配置した電極に多くの電流が流れ、そうでない電極に電流が流れないと言う現象が起きるのを防ぐためである。
【0193】
処理槽には、休止電解用電極が設置される。休止電解用電極(陽極)は、浴に不溶な導電性材料を用いる。この電極の役割は、被処理物(被処理物)が処理されない時(電解休止時)、作用電極の溶解を防止する事である。電解休止時には、この不溶な導電性材料を陽極とし、作用電極を陰極として、直流電源に接続される。そして、作用電極が溶解しない程度の微電解をする。この電解を休止電解と言う。この休止電解により、電解休止時に作用電極が浴に溶解するのを防止し、処理浴の分解を防止する。
【0194】
循環ポンプは、処理浴をろ過・循環するために使用する。また、生成してしまったスラッジを除去するため濾過機を使用する。電解処理を終了して、被処理物への電流を止めた時、被処理物に蓄積された電荷が処理浴に放出される現象が起きる。その際、皮膜の1部分が、浴に放出される。それらが蓄積されると、スラッジが生成する事になる。それらの現象が継続すると、スラッジが継続して生成される事になる。処理浴のろ過・循環はそれらの現象を抑制する。
【0195】
センサー電極槽は、PH電極、ORT電極、EC(電気伝導度)電極、温度計電極等を設置する。処理槽では、電解電流が流れるため、これらの電極を設置する事はできない。故に、別途、設置する。
【0196】
補給薬品タンク、及び補給ポンプは、薬品を補給するため設置する。尚、薬品は、処理浴のろ過・循環経路で、電解槽と分離した後の部分(槽)に補給するのが望ましい。これは、電解槽は休止中も常時微電解されており、電気化学的に非常に活性であり、その活性な槽に処理浴よりも濃度大であり、活性な薬品を補給すると、薬品成分イオンが浴に溶解する前に反応し、スラッジを形成し易くなるからである。
【0197】
制御用コンピュータは電解処理(反応)を適切に行なうため、設置する。
【0198】
ここでリン酸の解離度について述べる。本発明の電解リン酸塩化成処理浴は、PHが0.5〜5のリン酸塩化成処理浴である。そのリン酸塩化成処理浴が変化する主要因は、処理浴(リン酸塩化成処理浴)の成分であるリン酸(H3PO4)が解離する事である。すなわち、リン酸(H3PO4)が分解しリン酸の酸解離指数(pKa)を大きくする事である。酸解離指数(pKa)は、解離定数の逆数の対数値であり、その値が大きいほど酸の解離度が低い事を示す。すなわち、酸としての強さが低い事を示す。
【0199】
正リン酸(H3PO4)の解離度は、pKa=2.15であるが、H3PO4がH+ を解離した状態であるH2PO4 -の解離度は、pKa=7.2である。この事は、酸としてはH2PO4 -は、H3PO4より弱い事を示している。
【0200】
処理浴は、リン酸イオンを含むが、その状態は、電解により 、
3PO4→H2PO4 -→HPO4 2-→PO4 3-
と変化(還元)し、最終的にリン酸塩(Zn2Fe(PO43等)となり、皮膜となる。
【0201】
故に、処理浴のH3PO4は、常に解離しH2PO4 - になるような影響下にある。この事は、処理浴のリン酸の状態が、H3PO4主体であるか、H2PO4 -主体であるかよって、処理浴の酸活性度が、大きく異なる事を示している。
【0202】
そして、H3PO4を主体する場合には、処理浴の酸活性度は相対的に大きくなり、H3PO4は処理浴中で酸(H+)を消費する方向(リン酸が解離する方向)で、安定化する。すなわち、H3PO4を主体に含む溶液は、酸(H+)を消費するが、その対象は、処理浴に浸漬したFe電極を溶解し、酸(H+)を消費する事になる。そのような作用は、処理浴が分解し、スラッジを生成する事である。
【0203】
そのような事から、H3PO4を主体する処理浴は、酸(H+)を多く含む事になり、酸(H+)を含む比率が大きいだけ、処理浴中に溶解する金属イオンの比率が小さくなる。その結果、処理浴中の「リン酸塩となり皮膜に入る金属(Zn、Fe、Mn等)成分イオン/リン酸イオン及びリン酸」の比率は、相対的に小さくなる。
【0204】
一方、処理浴がH2PO4 -主体である場合には、酸(H+)を多く含む代わりに金属イオンを含む事になり、処理浴中に溶解する金属イオンの比率が大きくなる。その結果、処理浴中の「リン酸塩となり皮膜に入る金属(Zn、Fe、Mn等)成分イオン/リン酸イオン及びリン酸」の比率は、相対的に大きくなる。
【0205】
このような事は、処理浴のリン酸の解離度は、「リン酸塩となり皮膜に入る金属(Zn、Fe、Mn等)成分イオン/リン酸イオン及びリン酸」の比率を制御する事で可能である事を示している。すなわち、電解処理での処理浴の安定度は、「リン酸塩となり皮膜に入る金属(Zn、Fe、Mn等)成分イオン/リン酸イオン及びリン酸」の比率を制御する事で可能である。
【0206】
リン酸塩となり皮膜に入る金属(Zn、Fe、Mn等)成分イオンに着目するのは、それらの金属イオンは、溶液中でリン酸イオン(H2PO4 -)と錯体を形成し、それによってリン酸イオン(H2PO4 -)が安定化する為である。故に、リン酸塩とならない金属(Ni,Cu等)イオンを溶解させても、リン酸イオン(H2PO4 -)の錯体化にはならず、処理浴の安定化には寄与しない。
【0207】
尚、「リン酸塩となり皮膜に入る金属(Zn、Fe、Mn等)成分イオン/リン酸イオン及びリン酸」の比率は、イオンの濃度(g/l)比率で、表示できる。
【0208】
実用化を考慮し、量産での流動を想定した場合、処理浴の安定化は極めて重要である。
【0209】
リン酸イオン、硝酸イオン、リン酸塩となり皮膜に入る金属(Zn、Fe、Mn等)成分イオン、リン酸塩とならない金属(Ni,Cu等)イオンを含む電解リン酸塩化成処理浴の場合、「リン酸塩となり皮膜に入る金属(Zn、Fe、Mn等)成分イオン濃度(g/l)/(リン酸イオン及びリン酸の濃度(g/l))」比率は、1/10(=0.1)以上の範囲にあるのが適切である。望ましくは、1/4(=0.25)〜3の範囲である。
【0210】
上記の比率が0.1以下の場合には、処理浴は正リン酸(H3PO4)の比率が大きくなり、処理浴の安定性は小さくなる。(実施例1はZnイオン=0.4g/l、リン酸イオン=7.6g/lであるが、Fe電極表面積=380cm2 /個、電解量=51A/8個と他の実施例に比較し、Feの電解量大である。故に、上記の「リン酸塩となり皮膜に入る金属(Zn、Fe、Mn等)成分イオン濃度(g/l)/(リン酸イオン及びリン酸の濃度(g/l))」比率は0.1以上になると推定する。)
又、上記の比率の上限は、「リン酸塩となり皮膜に入る金属(Zn、Mn等)成分イオンの処理浴での溶解度」と「実用的な視点」で決められる。
【0211】
本発明では、上記のリン酸塩となり皮膜に入る金属イオンは、硝酸塩を溶解し溶液(処理浴)とする。硝酸Zn、硝酸Mnは、溶解度の大きい化合物である。硝酸Zn溶液、又は硝酸Zn+硝酸Ni溶液にリン酸を1〜10g/l程度添加し電解処理をする事は可能である。そのような場合、処理浴を濁らせて皮膜形成を阻害する大きな要因は、溶液の溶解度である。電解リン酸塩化成処理では、Zn、Ni等が溶解している事が前提であるが、硝酸亜鉛として溶解した場合には、亜鉛を100g/l溶解する事は可能である。従って、溶解度で限定すれば、「リン酸塩となり皮膜に入る金属(Zn、Fe、Mn等)成分イオン濃度(g/l)/(リン酸イオン及びリン酸の濃度(g/l))」の上限は10〜100程度となる。
【0212】
もう1つの上限を決める要素は、「実用的な視点」である。それは、一般的に薬品濃度を低くする事を要求する。その視点から判断すれば、「リン酸塩となり皮膜に入る金属(Zn、Fe等)成分イオン濃度(g/l)/(リン酸イオン及びリン酸の濃度(g/l))」の上限は4程度が、妥当と考える。(但し、Feイオンは、溶液中では第1Feイオン(Fe2+)としては存在できず第2Feイオン(Fe3+)となるため、凝集性が強く、処理浴に補給した段階で、スラッジを生成することが認められたため補給液には使用できない。)
[処理浴組成]
電解リン酸塩化成処理浴は、基本的に以下の成分に分類される。
【0213】
即ち、陰イオンとしては、▲1▼硝酸イオン(窒素を含むオキソ酸(酸素酸)イオン、但し、硝酸イオンは、硝酸Ni、硝酸Zn等を溶解し得られたものであり、硝酸(HNO3)から供給されたものでない事)▲2▼リン酸イオンを有する。また、陽イオンとしては、▲1▼亜鉛、マンガン、カルシウム、鉄等皮膜中にリン酸塩として結晶化する金属イオンであり、リン酸イオンとリン酸塩化成処理浴中で錯体を形成する金属イオン、▲2▼・ニッケル、銅、等金属イオンの電荷が変化(還元)し析出(皮膜化)する金属イオン及び、溶解している金属として、析出平衡電位が水のアノード電気分解電位である−0.83V(水素標準電極電位)以上である金属イオンがある。
【0214】
この処理浴組成分類の特徴は、処理浴成分を皮膜形成反応での役割(機能)に応じて、4つに分類した事である。このような見方(認識)は、従来のリン酸塩化成処理の中にはない。
【0215】
尚、上記以外の成分も、必要に応じて加える事ができる。例えば、アルミ材を対象にした場合のフッ素イオン、銅材を対象にした場合の塩素イオンの例等が挙げられる。
【0216】
無電解処理では、金属イオンの電荷が変化(還元)し析出(皮膜化)する金属イオンは、鉄鋼を処理する場合の、ニッケルのみであった。しかもニッケルは鉄の界面に析出するのみで、皮膜の最表面には存在する事が出来ない。これは、ニッケルの電荷の変化を伴う析出が、鉄の溶解に対応してのみ行なわれる事に対応している事を示している。鉄鋼の界面以外では、鉄の溶解がないためニッケルは析出しないのである。この事は、従来の無電解処理皮膜の特徴を示している。すなわち、無電解処理から得られる皮膜は、リン酸塩主体の皮膜となるのである。
【0217】
しかし、本実施態様では、ニッケル等の金属イオンの電荷が変化(還元)し析出(皮膜化)する金属イオンは、電解質溶液の中で、外部電源を用いて還元できる環境の中では、範囲を広げる事ができる。原理的には、電解処理において、陰極表面での水のアノード電気分解反応電位(−0.83V)以上の、溶解−析出平衡電位(カソード析出反応電位)である金属イオンは、析出可能である。それに該当する金属は、銅、ニッケル、鉄、亜鉛、錫、鉛、クロム、等がある。
【0218】
また、処理浴は、金属イオンの電荷が変化(還元)し析出(皮膜化)する金属イオンを微量に(0.1g/l以下)含むか、全く含まない事が望まれる場合もある。これは、皮膜の素材への密着性を低下させる場合である。鉄鋼の冷鍛加工潤滑処理に用いる皮膜は、素材と密着性が低下している均一なリン酸亜鉛結晶を皮膜として形成するのが望ましい。密着性が良いと潤滑性が低下するからである。このような皮膜形成には、Ni等電荷が変化(還元)し析出する金属イオンを含まない浴が必要である。
【0219】
なお、処理浴の組成に関しては、皮膜形成に関与しない物質はできるだけ含まない様にすべきである。故に、陽イオン(金属イオン)では、脱脂剤に使用されるナトリウムイオン等の混入を制限すべきである。そして、リン酸塩化成処理に補給する薬品にNaイオン、Kイオン,Clイオン、硫酸イオン(SO4 2-)等を含むべきではない。
【0220】
Naイオン等不要なイオンは、可能な限り少ない方が望ましい。現実の対応としては、軟水化処理した水を前工程の洗浄に用いることは避けるべきである。そして、処理浴のNaイオン等不要なイオンの濃度を、400ppm以下,好ましくは、100ppm以下を目安とするのが望ましいと考える。
【0221】
次に、各項目における好ましい組成については、以下のように規定する。
【0222】
硝酸イオン濃度は、6g/l〜140g/l、リン酸イオン及びリン酸の濃度は、0.5g/l〜60g/l、例えば、亜鉛、マンガン、鉄及びカルシウムの少なくとも1種よりなるリン酸イオンとリン酸塩化成処理浴中で錯体を形成する金属イオンの濃度は、1g/l〜70g/l及び例えばニッケル、銅、鉄、亜鉛及びクロムの少なくとも1種よりなるリン酸塩化成処理浴中に溶解しているイオンが還元され、金属として析出する電位が、溶媒である水のアノード電気分解反応電位以上又は−0.83V(水素標準電極電位で表示)以上である金属イオンの濃度は、0g/l〜40g/lであることが好ましい。
【0223】
[処理浴電気化学的条件]
処理浴電気化学的条件規定する項目として、PH、ORP(酸化還元電位)、EC(電気伝導度)、温度がある。無電解処理では、電気化学反応の推進エネルギーを化成処理浴の有する化学エネルギーに依存していた。故に、電気化学反応の状況を規定する電気化学的条件については、厳密に規定する必要が有る。しかし、電解処理では、電気化学反応の推進エネルギーを外部電源に依存している。すなわち、電気化学的条件が反応の推進に寄与する程度は、無電解処理に比較し小さい。故に、処理浴の電気化学的条件を厳密に規定する必要はない。
【0224】
これは、「電気めっき」など実用化されている電解処理で、電気化学的条件の積極的な管理を行なっていない事に対応している。
【0225】
以下に各項目の好ましい範囲を示す。
【0226】
はじめに、PHの好ましい範囲としては、0.5〜5の範囲がよい。PHの幅が大きいのは、処理浴の組成に対応するからである。本実施態様の処理浴は、皮膜形成に関与しない物質を含まない、電解質処理浴である事を原則としている。故に、PH4以上の領域でも処理浴はスラッジを生成する事なく、存在する事が可能である。
【0227】
処理浴のORP(酸化還元電位)は、処理浴の組成を反映するものである。表3に、電解リン酸塩化成処理反応関与する反応式を示している。その中で最も高い反応電位を有するのは、水のカソード分解反応(1.23V)である。また、最も低い反応電位を示すものは、同じく水のアノード電気分解反応(−0.83V)である。故に、本発明の処理浴のORPは、原理的には−0.83Vから1.23Vの間が好ましい。
【0228】
さらには、0〜1V(水素標準電極電位)の範囲が好ましい。
【0229】
EC(電気伝導度)処理浴の組成を反映する。また、伝導度の測定方法は厳密に標準化されているのではない。一般的な測定では、4〜60mSの範囲が好ましい。
【0230】
皮膜形成するだけならば、処理浴温度は、10〜90℃の範囲が好ましい。それは、処理浴が皮膜形成に関与しないイオンを含まない為、熱に対し安定である事、及び反応推進に外部電源を用いるため、低温領域でもエネルギーを補給できるからである。
【0231】
実用的な温度は、処理浴の組成により異なる。
【0232】
[電解方式(陰極電解リン酸塩化成処理反応の制御)]
陰極電解処理反応の実際的な制御は、形成する皮膜の性質に対応して、作用(陽極)電極材料、処理浴組成及び電解方法、条件の3つの構成要素を組み合せて行う。
【0233】
以下、個々の内要を説明する。
【0234】
作用(陽極)電極材料において、陽極電極材料は皮膜を形成する、金属材料が選ばれる。例えば、鉄、亜鉛、ニッケル及び銅等が一般的である。これらの金属以外には、リン酸塩化合物を形成する、マンガン含有合金材、カルシウム含有合金材及びマグネシウム合金材を使用する事も可能である。また、錫、鉛等の−0.83V以上の標準電極電位を有する金属材料を用いる事の可能性もある。それらの金属は陽極として、単独でも、また、複数の材料を組み合わせても使用する事ができる。
【0235】
処理浴組成(陰イオン、陽イオン)については、前述した。ただし、本実施態様においては、処理浴は、硝酸イオン、リン酸イオン以外の陰イオンは、原則として含まないが、被処理材の種類によっては、他のイオンを含む事ができる場合もある。例えば、銅材にリン酸塩化成処理を形成する場合、Clイオンを含む事を考慮する事もできる。これは、陽極処理時の作用であるが、Clイオンは銅材に対し下記のアノード反応をする。
【0236】
Cu+Cl-→CuCl+e(0.137V) (20)
CuClは皮膜に組み込まれる為、適切に添加すれば、処理浴にClイオンとして、残留し増加する事はない。
【0237】
又、アルミ材に皮膜処理する場合には、アルミ材の溶解反応を促進する意図から、フッ素イオンを少量含ませる事もできる。この場合、フッ素イオンは、皮膜成分とならないが、アルミ材の溶解反応を促進するには、有効である。故に、フッ素イオンは、処理浴からの持ち出し分を補給する程度の、少量の添加は許容される。
【0238】
電解方法・条件は、選択した作用電極(陽極)と被処理物(陰極)との間に、どのような電圧・電流を印加するかである。電解方法・条件は、選択した作用電極の種類、及び、形成する皮膜の種類によって異なる。作用電極は、一般的には、「リン酸塩として結晶化する金属(亜鉛、鉄、)」と「金属イオンが還元され析出する金属(ニッケル、銅、)」の2種類を用いる。
【0239】
金属との密着性を確保するためには、最初に「金属イオンが還元され析出する金属(ニッケル、銅、)」を作用電極に用いた電解を行った後、次いで「リン酸塩として結晶化する金属(亜鉛、鉄、)」を作用電極に用いた電解を単独でするか、2種類の電解を併用して行うのが望ましい。
【0240】
金属との密着性を確保しないためには、「リン酸塩として結晶化する金属(亜鉛、鉄)」を作用電極に用いた電解のみを行うのが望ましい。
【0241】
電解電圧は1〜50V,電解電流は0.01〜10A/dm2 が通常の範囲である。又、電解時間は特に規定しない。
【0242】
陰極電解処理を工夫する事で、各種の皮膜を形成できる。例えば、亜鉛を多く含む浴を使用し、亜鉛電極を用いる事で、亜鉛を多く含む皮膜を形成する事は可能である。そのような皮膜は、冷鍛加工下地に適用される。
【0243】
また、ニッケルを多く含む浴を使用し、最初にNi電極を用い電解し、次いで、Ni電極と鉄電極を用いそれぞれの電解を行う事で、鉄鋼材料表面にニッケルを多く含む皮膜を形成する事ができる。ニッケルを多く含む皮膜は、鉄素地(下地)との密着性に優れており、塗装下地に適している。
【0244】
[従来の電解処理との違い]
本実施態様の特徴を明らかにするため、従来の電解リン酸塩化成処理方法との相違点を表5に示す。
【0245】
基本的な違いは、処理浴の組成である。本実施態様の処理浴が、「電解反応で溶液内成分を反応させるために適した不純物を含まない浴」であるのに対し、従来の電解処理浴は、「無電解処理浴の内容を引き継いでいる、不純物を含んだ浴」である点が大きく異なる。
【0246】
【表5】
Figure 0003678096
【0247】
[電解リン酸塩化成皮膜の考察]
次に、本実施例において、得ることのできる皮膜について説明する。
【0248】
前述したように、本実施態様の皮膜形成反応は、従来の方式と電気化学反応の内容が異なっている。本実施態様の電気化学反応の内容は、陰極電解処理反応の分類(表4)で示したように、「電極間電解反応」が主体である。
【0249】
しかし、特再平5−822481号公報を含めて、従来技術は、そのような「電極間電解反応」を想定していない。特再平5−822481号公報は、従来の無電解リン酸塩化成処理での電気化学反応を補強するための、電解処理を意図している。
【0250】
無電解処理浴は、電解反応は「同一金属表面での被処理物(固体)と処理浴(液体)との間の、電解反応」が主体である。本発明と無電解処理との違い(内容)をまとめると表6になる。
【0251】
【表6】
Figure 0003678096
【0252】
本発明の皮膜の特徴は、電極間の電気化学反応が主体の皮膜と言うことである。すなわち、無電解処理から得られる皮膜よりも、大きな電気化学エネルギーを得て形成される皮膜である。
【0253】
【実施例】
実施例、比較例の工程は、表7に示す。
【0254】
脱脂工程は、所定濃度・温度の、アルカリ脱脂材を使用し、4〜5分浸漬する。酸洗工程は、10%塩酸溶液に5〜10分浸漬する。表面調整は、日本パーカライジング社製PL−ZT0.2%に浸漬する。水洗工程は、脱脂材等の薬品が被処理物から確実に除去されるまで行なう。電着塗装は、日本ペイント社製パワートップU−56を用い、焼き付け後の塗装膜厚を20〜25μmとしている。
【0255】
【表7】
Figure 0003678096
【0256】
表8に、実施例、比較例のリン酸塩化成処理浴の組成、電気化学的条件を示す。
【0257】
【表8】
Figure 0003678096
【0258】
表9に、実施例、比較例の電解処理条件を示す。比較例2を除いて、リン酸塩化成処理浴は、ろ過・循環され、処理浴が分解し、スラッジが生成し濁る事のない様にしている。比較例2は、冷鍛潤滑処理に使用する厚膜タイプの皮膜である。無電解処理で厚膜ととする為には、浴を加熱する必要があり、浴は80℃に維持されている。
【0259】
【表9】
Figure 0003678096
【0260】
実施例1
被処理物として、図の自動車用エアコン部品(クラッチ、ステータハウジング)を用いた。図4のステータハウジングは、塗装評価試験で平面部となる板(プレス打ち抜き部品)と外周部となるハウジング(プレス加工部品)を溶接し、接合したものである。外周部となるハウジングは、平板をプレス加工にて凹凸のある構造に変形したものである。それゆえ、ハウジング外周部は、プレス加工で大きく変形した面である。大きく変形した表面は、プレス加工時に、大きく変形すると同時に、潤滑油分が強く付着する。その事から、表面処理時には、大きく変形した事、その際潤滑油分が、表面に固着する等の現象が生じる。そのため、その部分は、金属表面の化学作用に抵抗する(妨害する)傾向を有する様になり、その為、表面処理の性能が低下する方向になる。図4の例では、塗装耐食性が低下する。
【0261】
被処理物は、表7の工程、及び表8、表9、の条件でリン酸塩化成処理を実施した。なお、表8のORP表示値は、Ag/AgCl電極を基準として表示した電位(mV)である。Ag/AgCl電極を基準として表示した値に+210mVすると、水素標準電極電位に換算される。
【0262】
被処理物は、表7の化成処理以降の工程で、電着塗装を行なった。電着塗装を行なった被処理物は、塗装耐食性評価試験を行なった。塗装耐食性評価試験は、被処理物の平面部、及び外周部にナイフで素地に達するまで、塗膜に傷をつけ、55℃、5%塩化ナトリウム溶液に240時問浸漬した。240時問浸漬経過した被処理物は、水洗され、約2時間以上放置し、乾かした後、粘着テープを、ナイフで傷つけた塗膜面に貼り、強く剥がした。テープ剥離にて、剥がれた塗膜の幅を測定し、塗装耐食性の評価とする。剥離幅が小さいほうが、耐食性は良好である。塗装耐食性評価結果は、比較例1と比較し、表10に示す。
【0263】
比較例1
被処理物は、実施例1と同じものを用いる。工程は、表面調整工程を追加した事と、リン酸塩化成処理を無電解で行う事を除いては、実施例1と同じである。リン酸塩化成処理は、表8、表9、に示す方法で、無電解処理で実施した。塗装耐食性の評価も実施例1と同じ方法で実施した。塗装耐食性評価結果は、実施例1と比較し、表10に示す。
【0264】
[塗装耐食性評価結果]
塗装耐食性評価結果を表10に示す。実施例1と比較例1の比較では明らかに、実施例の方が耐食性良好である。また、平面部と外周部では、平面部の方が良好であるが、実施例1の場合は、差はほとんど見られない。しかし、比較例1では、平面部と外周部には、耐食性の大きな違いが生じている。これは、先に述べたように、無電解処理では、プレス加工により、金属表面の化成処理反応が低下した影響が出ているのである。実施例1は、電解処理である為、電解反応に大きな電気化学エネルギーを用いることができる。その為、プレス加工の影響なく、リン酸塩化成皮膜を形成するため良好な耐食性を有する。
【0265】
【表10】
Figure 0003678096
【0266】
[形成したリン酸塩化成処理皮膜の解析]
電解処理と無電解処理による、皮膜の差を確認する。
【0267】
実施例1と比較例1のリン酸塩化成皮膜を,エネルギー分散型X線分析装置(EDX)とグロー放電分析装置(GDS)で分析する。分析は、平面部と外周部に分けて行なった。その結果を表11に示す。
【0268】
【表11】
Figure 0003678096
【0269】
まず、EDXの結果を解析する。EDXは、皮膜の構成元素に関する情報を与えてくれる。皮膜分析は、図5から図8まで同一条件で行っている。
【0270】
EDXのチャートを、被処理物の同一部分で、実施例1(図5と図6)と比較例1(図7と図8)で比較する。平面部を比較する。図5(電解処理)はニッケルのピークが亜鉛のピークよりも高いが、図7(無電解処理)は亜鉛のピークの方がニッケルよりも高い。そして、この傾向は、外周部の比較(図6と図8)でも見られる。
【0271】
図5から図8まで同一条件で行ったEDX分析結果から得られた、皮膜の原子数濃度分析結果を表12に示す。EDX分析結果から得られた、原子数濃度は炭素(C)、金(Au)を含むものであるが、炭素、金は皮膜成分でないので除外し、考察する。
【0272】
(炭素は、分析前に皮膜を有機溶剤で洗浄する事から混入したものであり、金はテストピースを分析機器に固定する際用いる。)皮膜構成元素の比率は、リン酸塩皮膜として必ず含むリン(P)に対する、各元素の原子数濃度比を算出し、行う。
【0273】
皮膜の考察は、金属元素の原子数濃度比で下記の2つの項目で行う。
【0274】
▲1▼リン酸塩とならない金属(Ni)/リン酸塩のリン(P)の比率
▲2▼リン酸塩とならない金属(Ni)/素地及びリン酸塩となる金属(Fe)の比率
【0275】
【表12】
Figure 0003678096
【0276】
▲1▼リン酸塩とならない金属(Ni)/リン酸塩のリン(P)の比率
Ni/Pの原子数濃度比を見てみると、実施例1は、平面部、外周部とも2.1、1.9とNiが多いが、比較例1は平面部0.01、外周部0.12とPが極端に多くなっている。この事は、電解処理で作成した皮膜は、リン酸塩とならない金属(Ni)を多く含むことを示している。一方、無電解処理では、リン酸塩主体の皮膜が形成されるが、比較例−1の結果は、その事実を証明している。これらの結果は、リン酸塩とならない金属(Ni)を多く含む皮膜が、塗装下地処理に適し、耐食性を向上させる事を示している。
【0277】
なお、比較例1は、平面部の方が外周部よりリンが多くなっている。その理由は、外周部は皮膜形成が困難で、リン酸塩化成皮膜は確実に形成されない為に、皮膜の主成分であるリンが少なくなっている事に対応している。
【0278】
▲2▼リン酸塩とならない金属(Ni)/素地及びリン酸塩となる金属(Fe)の比率
Feは、素地であると同時にリン酸塩結晶で皮膜を構成する元素である。Ni/Feの比は、皮膜が確実に形成している場合は、皮膜中のFeに対するNiの比率を示し、皮膜が確実に形成していない場合は、素地表面に対するNiの比率を示す。
【0279】
実施例1のNi/Feは平面部、外周部とも1以上であるが、比較例1のNi/Feは平面部、外周部とも1以下である。これらの結果も、Niの含有量が、塗装耐食性に影響している事を示している。
【0280】
GDSは、皮膜に対しグロー放電し、それにより皮膜から出てくる元素を分析し、皮膜の構成元素、皮膜の強度等の情報を得るものである。故に、GDSは、▲1▼皮膜中の元素の分布状況と、▲2▼皮膜の結合の強さ、を知らせてくれる。「皮膜中の元素の分布状況」はGDSチャートから直接読み取る事が出来る。又「皮膜の強さ」は同一条件で分析を行なったとき、鉄素地に達するまでの時間で比較する事が出来る。すなわち、鉄素地に達する時間が長いほど、皮膜は強い。
【0281】
なお、GDS分析は、元素の種類により印加電圧を変えている。故に、各皮膜の分析結果は、「皮膜中の元素間の存在比」について情報を与えるのではない。しかし、図9〜図12の分析は、同一条件で行われている。従って、各サンプル(皮膜)間で、皮膜中の元素の存在状況を比較する事はできる。
【0282】
GDSも被処理物の同一部分で、実施例(図9と図10)と比較例(図11と図12)で比較する。
【0283】
最初に、▲1▼皮膜中の元素の分布状況を比較する。
【0284】
平面部は、図9(電解処理)と図11(無電解処理)のチャートを見る事で、皮膜へのニッケル等の含まれ方を分析出来る。図9(電解処理)は、ニッケルが皮膜を透過する方向で全体に分布している事を示している。一方、図11(無電解処理)は、ニッケルがほとんど含まれていない事を示している。又、図9(電解処理)は、鉄原子が皮膜の中で、緩やかに増加している事を示しており、電解処理に用いた鉄電極(陽極)が、溶解し皮膜となっている事を示唆している。鉄は燐(P)の挙動とは異なることから、ニッケルと同様に鉄原子(金属)として、皮膜に組み入れられている事もあり得る現象と推定される。なお、この現象は、外周部でも同様である。
【0285】
続いて、▲2▼皮膜の結合の強さを考察する。皮膜の結合の強さは、GDSで皮膜が透過され、鉄素地に達するまでの時間(A)を比較し、得られる。その結果を表13に示す。
【0286】
【表13】
Figure 0003678096
【0287】
この評価は、被処理物の化成処理時間は、ほぼ同じであるが、実施例1は比較例1の3倍の強度を有する事を示している。
【0288】
上記の結果は、本発明の特徴である、電解処理による電荷の変化を伴った金属(Ni)の析出を含むリン酸塩化成皮膜が、その機能である塗装耐食性に有効である事を裏付けている。
【0289】
又、実施例1の処理浴は、表8に示す様に、硝酸イオン濃度は、比較例1処理浴の約1/2である。これは、電解処理をナトリウムイオンの含有していない浴で行なうことにより、初めて可能なことである。硝酸濃度を低くすることから、本発明は環境に配慮した技術である。
【0290】
実施例2
被処理物として図13の自動車用始動機(スタータ)に使用する部品を用いた。この部品(直径23mm,長さ80mmのパイプ形状)はパイプ状の形状内側に、ギアの噛み合わせを行なう為、螺旋状(スプライン形状)の溝を冷鍛プレス加工にて形成する。材質はクロムを1%程度含んだ合金材である。リン酸塩化成処理は、冷鍛プレス潤滑下地として行なう。従って、リン酸塩化成皮膜の目的は、冷鍛加工時の荷重を低下させることである。したがって、皮膜の評価も冷鍛加工時の荷重でする。
【0291】
被処理物は、表7の工程、及び表8、表9の条件で電解リン酸塩化成処理を実施した。被処理物は、表6の化成処理以降の工程で、リン酸塩化成皮膜にステアリン酸ソーダを反応させ、金属石鹸膜(ステアリン酸亜鉛)を形成する。その後、冷鍛プレス加工を行なう。
【0292】
比較例2
被処理物は、実施例2と同じものを用いる。工程は、酸洗を行ない、表面調整工程を除いた事と、リン酸塩化成処理が異なる事を除いては、実施例2と同じである。リン酸塩化成処理は、表8、表9に示す方法で、無電解処理(80℃)で実施した。比較例2は、現在流動中の量産設備の処理加工方法である。
【0293】
[冷鍛プレス加工荷重の評価等]
冷鍛プレス加工荷重の評価、及び皮膜の解析を表14にまとめる。
【0294】
表14の「冷鍛プレス、加工荷重」は、冷鍛プレス加工時プレス機が受ける荷重である。冷鍛プレス加工荷重値が、低いほうが潤滑性能が良い。また、皮膜重量の分析は、以下の方法で行なったものである。「湯溶分」は、被処理物を100℃の水に10分浸漬し、その前後の重量を測定し、得られた重量を被処理物の表面積で割ったものである。「金属石鹸分」は、被処理物を75℃のイソプロピルアルコール(IPA)に20分浸漬し、その前後の重量を測定し、得られた重量を被処理物の表面積で割ったものである。「リン酸塩皮膜分」は、被処理物を50〜70℃の5%クロム酸(CrO3 )に20分浸漬し、その前後の重量を測定し、得られた重量を被処理物の表面積で割ったものである。
【0295】
また、EDXの原子数濃度(%)分析結果は、表14に示す。
【0296】
【表14】
Figure 0003678096
【0297】
冷鍛プレス加工荷重の評価で、実施例2は、比較例2よりも優れていることを示している。その理由は、表14の「皮膜の層別と重量分析の結果」から明確にする事ができる。表14の「皮膜の層別と重量分析の結果」から、実施例2の皮膜は、比較例2の皮膜の約5倍の金属石鹸分を含んでいる。金属石鹸分は、冷鍛プレス加工潤滑に大きく寄与する。したがって、その成分が多ければ、冷鍛プレス加工荷重が低下することは明らかである。
【0298】
金属石鹸分は、ステアリン酸亜鉛であることから、皮膜中の亜鉛を多く含むことが必要である。皮膜中の亜鉛は、EDXの分析結果から知ることができる。図14及び図15のチャートを比較してみれば、電解処理皮膜である、実施例2(図14)の方が、鉄を少なく含むとともに、亜鉛を多く含んでいることが確認できる。また、それは、表12のEDXの原子数濃度(%)分析結果で、定量的に比較し確認される。リン酸塩化成皮膜の化学的構造をZn3(PO4)2 とすると、Pに対するZnの原子数濃度比(Zn/P)は1.5になる。表12で、Zn/Pの原子数濃度比を算出すると、実施例2は1.76となり、Zn3(PO4)2 よりも過剰のZnを含むことになるが、比較例2は、0.88でありZn3(PO4)2 に対応するより少ない。
【0299】
これらのことは、電解処理により、皮膜の構成を変えることが出来ることを示している。すなわち、Zn3(PO4)2 の化学的構造に対し過剰のZnは、電荷の変化を伴って、亜鉛金属として皮膜となっていることを示唆している。これは本発明の電解処理により初めて可能となったことである。そして、それが、冷鍛プレス加工荷重の低下に大きく寄与するのである。
【0300】
また、表12の分析結果は、実施例2の皮膜がリン酸塩とならない金属であるNiを全く含まない皮膜であることを示している。電解リン酸塩化成処理は、このようにリン酸塩とならない金属を含ませない事も可能である。
【0301】
実施例3と比較例3
実施例3と比較例3は、電解処理により形成する皮膜の違いを確認するものである。
【0302】
実施例3と比較例3は、被処理物として、実施例1と比較例1で用いた自動車用エアコンディショナー部品を用いて、表7の工程でリン酸塩化成処理及び電着塗装が行われる。電解リン酸塩化成処理は表8、表9の条件で行われた。実施例3と比較例3の主たる違いは、リン酸塩化成処理浴の違いである。実施例3の浴はNaイオンを含まないが、比較例3の浴は、Naイオンを含んでいる。実施例3と比較例3の塗装耐食性の評価は、実施例1と比較例1と同じ方法で行った。その結果を表15に示す。
【0303】
【表15】
Figure 0003678096
【0304】
表15の結果は、実施例3の方が比較例3よりも塗装耐食性良好な事を示している。
【0305】
その差は、形成するリン酸塩化成皮膜の差に起因していると考えられる。表16に実施例3と比較例3のリン酸塩化成皮膜のX線回折図の結果を示す。
【0306】
【表16】
Figure 0003678096
【0307】
実施例3と比較例3のリン酸塩化成皮膜に関する違いは、
リン酸塩結晶ピークの有り無し,▲2▼Niのピーク有り無し
である。
【0308】
表16の結果は、実施例3の皮膜がリン酸塩結晶を含まない事を示しているのではない。
【0309】
リン酸塩結晶が非常に微細である事を示しているのである。そして、その結果Ni金属とリン酸塩結晶との複合化が進んでいることを示している。
【0310】
表17は、実施例3の皮膜が、Ni金属とリン酸塩結晶との複合化が進んでいることを示した事をまとめたものである。
【0311】
【表17】
Figure 0003678096
【0312】
図20及び図25の4000倍に拡大したSEM写真における、皮膜断面のそれぞれの元素の分布状況を示したのが、各元素の分析写真(図21〜図24、図26〜図29)である。この写真の結果は、皮膜中に各元素が均一に分布している事を示している。そして、この写真は、皮膜がリン酸塩を含んでいるが、その結晶は微細化している事(表16の結果)を、見える形で示している。
【0313】
また、間接的であるが、実施例1で示したGDS分析結果(表12及び図9、図10)にも対応している。
【0314】
そして、表15の結果は、実施例3のNaを含まない浴から得られた、リン酸塩結晶をNiに微細化し分散させた皮膜が、塗装耐食性で有効である事を示している。
【0315】
なを、電解リン酸塩化成処理の従来技術である、特再平5−822481号公報で示したX線回折図は、全てリン酸塩のピークを表示している。
【0316】
実施例4、実施例5
実施例4、実施例5は、塗装下地用にNiを確実にリン酸塩の下に形成し、Feの電解量を少なくして、処理浴の分解傾向を出来るだけ少なくした例である。従って、陰極電解処理では、第1段階ではNiのみの電解を行い、ついでNiとFeの電解を同時に行う。その際、Feの電解量は実施例3の1/3〜1/8と少なくしている。
【0317】
実施例4、実施例5は、被処理物として、実施例3で用いた自動車用エアコンディショナー部品を用いて、表6の工程でリン酸塩化成処理及び電着塗装が行う。電解リン酸塩化成処理は表8、表9の条件で行われた。
【0318】
実施例4、実施例5の塗装耐食性の評価は、実施例1と同じ方法で行った。その結果を表18に示す。
【0319】
【表18】
Figure 0003678096
【0320】
実施例4、実施例5とも比較例3と比較すれば、良好である。外周部は、実施例1の所で述べたように、無電解処理では皮膜形成が困難な場所である。実施例4、実施例5は、本発明の電解処理をすれば、そのような面でも皮膜形成可能であり、耐食性が確保できる事を示している。
【0321】
次いで、実施例4、実施例5で得たリン酸塩化成皮膜のEDX分析結果を示す。
【0322】
【表19】
Figure 0003678096
【0323】
表19の結果は、表12と比較し、素地(Fe)ではない元素の構成比率の傾向は、変化していない。Ni、Pはともに皮膜中にのみ含まれる元素であるが、その存在比率(Ni/P)は、表12、表18の結果とも0.5以上であり、皮膜中にNiはPの1/4よりも多く存在することを示している。そして、Ni/P比率が0.25を大きく下回る無電解処理で得られた皮膜(表12参照)とは大きく異なる事を示している。
【0324】
実施例4、実施例5の例は、Fe、Niの2つの電極を用いて陰極電解処理する例を示したものである。そして、その方法が有効である事を示している。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、電解処理の概要を示す模式図である。
【図2】図2は、電解反応系の概要図である。
【図3】図3は、電解リン酸塩化成処理装置の構成を示す構成図である。
【図4】図4は、実施例1及び比較例1の被処理物の斜視図である。
【図5】図5は、実施例1における被処理物の平面部のEDX解析チャート図である。
【図6】図6は、実施例1における被処理物の外周部のEDX解析チャート図である。
【図7】図7は、比較例1における被処理物の平面部のEDX解析チャート図である。
【図8】図8は、比較例1における被処理物の外周部のEDX解析チャート図である。
【図9】図9は、実施例1における被処理物の平面部のGDS解析チャート図である。
【図10】図10は、実施例1における被処理物の外周部のGDS解析チャート図である。
【図11】図11は、比較例1における被処理物の平面部のGDS解析チャート図である。
【図12】図12は、比較例1における被処理物の外周部のGDS解析チャート図である。
【図13】図13は、実施例2及び比較例2の被処理物の斜視図である。
【図14】図14は、実施例2における被処理物の平面部のEDX解析チャート図である。
【図15】図15は、比較例2における被処理物の平面部のEDX解析チャート図である。
【図16】図16は、実施例3における被処理物の平面部のEDX解析チャート図である。
【図17】図17は、実施例3における被処理物の外周部のEDX解析チャート図である。
【図18】図18は、比較例1における被処理物の平面部のEDX解析チャート図である。
【図19】図19は、比較例1における被処理物の外周部のEDX解析チャート図である。
【図20】図20は、実施例3における被処理物の平面部のSEM写真である。
【図21】図21は、実施例3における被処理物の平面部のリンの分析写真である。
【図22】図22は、実施例3における被処理物の平面部の亜鉛の分析写真である。
【図23】図23は、実施例3における被処理物の平面部のニッケルの分析写真である。
【図24】図24は、実施例3における被処理物の平面部の鉄の分析写真である。
【図25】図25は、実施例3における被処理物の外周部のSEM写真である。
【図26】図26は、実施例3における被処理物の外周部のリンの分析写真である。
【図27】図27は、実施例3における被処理物の外周部の亜鉛の分析写真である。
【図28】図28は、実施例3における被処理物の外周部のニッケルの分析写真である。
【図29】図29は、実施例3における被処理物の外周部の鉄の分析写真である。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
  The present invention is a method of performing a phosphate chemical conversion method by electrolysis and formed on a steel surface.Method for forming composite filmIt is about.
[0002]
[Prior art]
Japanese Patent Publication No. 5-82281 discloses that a phosphate chemical conversion treatment bath basically composed of phosphate ions, nitrogen-containing oxoacid ions, and film component metal ions that does not contain sludge is electrolytically treated. ing. And this processing bath is characterized by maintaining so that sludge is not generated at a pH of 2 to 4 and a temperature of 40 ° C. or lower.
[0003]
[Problems to be solved by the invention]
However, the phosphate chemical conversion treatment bath disclosed in Japanese Patent Publication No. 5-82281 uses sodium hydroxide or sodium nitrite, which is not related to the film forming component, as a pH adjuster or accelerator. Yes.
[0004]
Therefore, it cannot be said that the film was formed efficiently as an electrolytic phosphate chemical conversion method.
[0005]
  Therefore, the present invention has been made in view of the above problems, and a phosphate chemical conversion treatment method capable of efficiently forming a film andMethod for forming composite filmIs to provide.
[0006]
【means】
First, before explaining the electrolytic phosphate chemical treatment method of the present invention, the difference between “electrolytic treatment” and “electroless treatment” in the surface treatment technique using an aqueous solution will be explained.
[0007]
The difference can be clarified by considering the contents of “plating”, which is a wet surface treatment technique that is currently widely used.
[0008]
In other words, “plating” includes “electrolysis” and “electroless” methods, both of which have already been put into practical use. However, “electrolysis” and “electroless” are different in the composition of the treatment bath.
[0009]
Specifically, in “electroplating”, the components in the solution do not react. Moreover, it is an electrochemical reaction using an external power source as an energy source for the reaction. During the “electroplating” process, chemicals (reducing agents) for chemically promoting the electrolytic reaction are not used.
[0010]
In contrast, in electroless plating, components in the solution react. In addition, an external power source is not used as an energy source for the reaction, and the electrochemical reaction involves the reduction reaction of the metal ions in the solution (cathode reaction) and the reducing agent added to the solution (a chemical substance with a low degree of dissociation in aqueous solution) Electrochemical energy (energy that forms a potential difference in a chemical reaction) formed between the oxidation reaction (anode reaction) is used.
[0011]
“Plating” forms a metal film by reduction reaction of metal ions (cations), and phosphate chemical treatment forms a phosphate film by oxidation (dehydrogenation) reaction of phosphate ions (anions). .
[0012]
The present inventor, in the case of “plating”, if electrolytic treatment and electroless treatment are possible, in addition to the conventional electroless phosphate chemical treatment, the electrolytic treatment is also possible in the phosphate chemical treatment that is the same wet surface treatment. Therefore, the present invention has been realized.
[0013]
The concept of the present invention will be described in the following procedure.
(1) From the existing surface treatment technology, the contents of the existing wet electrolytic surface treatment technology and the electrolytic phosphate chemical treatment technology were compared and clarified.
(2) Among the examination items, preferred electrolytic phosphate chemical treatment reaction states were examined, and preferred treatment conditions were found.
[0014]
The film formed from the devised electrolytic phosphate chemical treatment method was examined.
[0015]
[Existing surface treatment technology]
First, before describing the contents of the present invention, the conventional surface treatment technology will be described, and the conventional surface treatment technology and the electrolytic phosphate chemical treatment technology to be obtained are made to correspond to each other. The technology of acid chemical conversion treatment was investigated.
[0016]
The surface treatment techniques that are currently established in practice are classified as follows, including the technique of the present invention.
[0017]
In the first place, the surface treatment technology is first classified into “dry surface treatment” and “wet surface treatment.” The surface treatment technology of this “wet surface treatment” is further divided into “electroless treatment” and “electrolytic treatment”. are categorized. Specific examples of the surface treatment by “electroless treatment” include “electroless plating” and “electroless phosphate chemical treatment”. The surface treatment by “electrolytic treatment” specifically includes “electroplating”, “anodic oxidation”, and “electrodeposition coating”, and “electrolytic phosphate chemical treatment” of the present invention is “electroplating”. Etc. ".
[0018]
[Wet surface treatment (consideration of reaction energy)]
As described above, the wet surface treatment is classified into “electroless treatment” and “electrolytic treatment”.
[0019]
The difference between “electroless treatment” and “electrolytic treatment” is the difference in reaction propulsion energy.
[0020]
“Electroless treatment” depends on chemical energy of chemicals added to the treatment bath, such as a reducing agent (plating) and an oxidizing agent (phosphate chemical conversion treatment). In contrast, “electrolytic treatment” depends on the electric energy of the external power source.
[0021]
Therefore, in “plating”, the baths of “electroless plating” and “electrolytic plating” are basically different, and the “electroless plating” bath is not subjected to electrolytic treatment.
[0022]
If this idea is applied to the phosphating method, the phosphating method should be basically different between the “electroless treatment bath” and the “electrolytic treatment bath”. is there.
[0023]
[Electrolytic treatment in wet surface treatment]
A schematic diagram of the electrolytic treatment is shown in FIG. The electrolytic treatment uses an external power source, and is composed of three components in an electrolytic cell, roughly divided into a counter electrode, a solution, and a workpiece.
[0024]
These three constituent requirements differ depending on the type of wet electrolytic treatment in the situation involving the electrolytic treatment reaction. The outline is shown in Table 1.
[0025]
[Table 1]
Figure 0003678096
[0026]
The contents of Table 1 will be described.
[0027]
In “electroplating”, a plating film component (for example, zinc electrode in the case of zinc plating) is dissolved by application of voltage and current, passes through the solution in a complex state, and deposits at the cathode. Therefore, only the counter electrode component dissolves to react. The object to be processed is a cathode and does not react such as dissolution in the electrolytic cell.
[0028]
In “anodic oxidation”, the aluminum material used as the anode in the treatment bath dissolves, and the solvent (water) and solute ions (anions) are decomposed as the voltage increases, and oxygen ions (O2-) And dissolved aluminum combine to form an aluminum oxide (Al2OThree) Is formed on the surface of the aluminum material. The counter electrode (cathode) is made of a material that does not dissolve (react) by electrolysis.
[0029]
“Electrodeposition coating” applies a voltage to colloidal organic and inorganic substances dispersed in water, causes the colloidal substance to undergo electrophoretic action such as electrophoresis and deposition, and deposits it on the surface of the electrode (object to be treated). (Painted film). In other words, “electrodeposition coating” is an electrolysis reaction of components in a solution, and only a solvent water and a colloidal substance dispersed in water react by applying a voltage. And there is no reaction such as dissolution of the electrodes (counter electrode and workpiece).
[0030]
In addition, it is important for the “electrodeposition coating” to maintain the solution state in a certain state (range).
[0031]
If the components in the solution change (react) due to aggregation, decomposition, etc., and the solution state cannot be controlled, it is impossible to form an effective electrodeposition coating film. For this reason, the electrodeposition coating bath is always maintained at a predetermined temperature and is subjected to microfiltration (ultrafiltration). In addition, in order to prevent the mixing of unnecessary ions (Na ions, etc.) from the previous process, the object to be treated before being electrolyzed is treated so that it is put into an electrolytic cell after being washed with pure water. Have
On the other hand, the “electrolytic phosphate chemical treatment” of the present invention is completely different from the above three, and all three components of “counter electrode”, “solution”, and “object to be treated” are dissolved and reacted. The reason why it has been difficult to put this “electrolytic phosphate chemical treatment” into practical use is because it has been difficult to recognize this difference and to develop a technology corresponding to the difference.
[0032]
[Items to be examined for electrolytic phosphate chemical treatment]
In Table 2, the contents of the existing various electrolytic treatment baths and phosphate chemical treatment baths are examined, and items to be examined for “electrolytic phosphate chemical treatment” in the present invention are clarified therefrom.
[0033]
[Table 2]
Figure 0003678096
[0034]
The study items related to the electrolytic treatment reaction control common to the existing electrolytic treatments such as “electrolytic plating”, “anodic oxidation”, and “electrodeposition coating” are that the film formation reaction is performed only on the surface of the electrolyte in the electrolytic cell, and the others This is a measure that is not performed in the electrolytic cell. That is, it is impossible to prevent the same reaction as the film formation reaction 100% in an electrolytic cell other than the surface of the electrolyte, but it is practically possible to form a film on the surface of the electrolyte. The action is being taken.
[0035]
From that point of view, each study item in each electrolytic treatment will be explained.
[0036]
{Circle around (1)} “Electroplating” is a method in which a metal to be plated is dissolved at the anode and deposited at the cathode, but the metal ions dissolved in the electrolytic cell are prevented from being bonded to each other. A complex is used as a means for preventing the bond.
[0037]
The “electroplating” treatment bath is a metal salt complex bath. The reason for this is to prevent metal ions from being combined and precipitated (reaction in the solution of solute components) in the solution in the process of dissolving the plating metal from the electrode (anode) and depositing on the cathode. As the complex, a cyan (CN) complex is famous. The electroplating bath is usually not transparent and may contain ions that do not participate in film formation such as Na ions, but is treated so that the complex is not decomposed in the treatment bath. By this treatment, it is possible to deposit only metal ions on the cathode surface to form a plating film. (Na ions and the like are not deposited on the cathode because the deposition potential is different from the plating metal ions. This is electrochemically consistent with the principle.)
{Circle around (2)} “Anodizing” is an electrolytic treatment in which an object to be treated is an anode and an insoluble electrode is a cathode. At this time, if unnecessary ions are involved in the film formation reaction, both the dissolution reaction of the material (for example, aluminum) and the oxidation (film formation) reaction are affected. This is because dissolved aluminum ions are very active in the treatment bath. The anodic oxide film converts dissolved aluminum ions into oxygen ions (O2-) To form. In order to prevent the dissolved aluminum ions from reacting with other ions, the mixing of impurity ions into the treatment bath is strictly limited.
[0038]
(3) “Electrodeposition coating” forms a coating film by electrolytically reacting the components in the solution on the electrode surface. Only a solvent water and a colloidal organic substance dispersed in water react by applying a voltage. And an electrode (a counter electrode and a to-be-processed object) does not react, such as melt | dissolving.
[0039]
It is important that the electrodeposition coating bath maintain a solution state in a predetermined state (range) where a good coating film can be formed. If the components in the solution change (react) due to aggregation, decomposition, etc., and the solution state cannot be controlled, it is impossible to form an effective electrodeposition coating film. Therefore, the electrodeposition coating bath is always maintained at a constant temperature and is subjected to microfiltration (ultrafiltration) in order to prevent the self-aggregation of colloidal components dispersed in the bath and maintain the dispersed state.
[0040]
In addition, the electrodeposition coating bath is strictly restricted from interfering with interfering ions (for example, Na ions) and is maintained in a state close to pure water. This is because when there are interfering ions, the interfering ions interfere with the precipitation reaction on the electrode surface.
[0041]
The technical knowledge obtained from the conventional electrolytic treatment can be summarized as follows.
[0042]
In the electrolytic treatment, it was necessary that the components in the solution involved in the film formation were not allowed to react except at the electrode surface (interface), and therefore the following treatment was found.
[0043]
i: Prevention of impurity contamination (anodic oxidation, electrodeposition coating)
ii: Prevention of self-aggregation of components in the solution by continuous filtration, circulation and temperature maintenance (electrodeposition coating)
iii: Use of complex (electroplating)
The practical application of the “electrolytic phosphate chemical treatment method” in the present invention is considered to be performed by reflecting the above technical knowledge. The above conclusion “in electrolytic treatment, the components in the solution involved in film formation are not allowed to react except on the electrode surface” is a concept common to all electrolytic surface treatments. However, the specific means for that differs depending on the individual processing.
[0044]
Conventionally, the efficient electrolytic phosphate chemical treatment method that is the subject of the present invention could not be put into practical use because the components in the solution involved in the film formation are not reacted except on the electrode surface. This is because the means could not be found.
[0045]
[Electrolytic Phosphate Chemical Treatment Method of the Present Invention]
The “electrolytic phosphate chemical conversion treatment” of the present invention can be realized by embodying that even when electrolysis is performed, the components in the solution involved in film formation are not substantially reacted except at the electrode surface.
[0046]
  Therefore, in the present invention, as claimed in claim 1, phosphate ions and phosphoric acid, nitrate ions, phosphate ions and metal ions forming a complex in a phosphate chemical treatment bath, and a phosphate chemical treatment bath At least a metal ion having a potential at which ions dissolved therein are reduced and deposited as a metal is not less than the anode electrolysis reaction potential of water as a solvent or not less than −0.83 V (expressed by hydrogen standard electrode potential). The phosphate chemical conversion treatment bath containing the conductive material to be treated is brought into contact with and subjected to electrolytic treatment, thereby including at least the phosphate and a metal that does not form the phosphate on the surface of the material to be treated. A method of forming a film, wherein the phosphate chemical treatment bath has 0 to 400 ppm of metal ions other than the components of the film, andSolid matter that obstructs electrolytic treatment film formation on the surface of the object to be treatedIn the phosphate chemical treatment bath, the object to be treated includes a metal material that forms a complex with phosphate ions in the phosphate chemical treatment bath, and a phosphate chemical treatment bath. Between a metal material in which the ions dissolved therein are reduced and the potential for precipitation as a metal is not less than the anode electrolysis reaction potential of water as a solvent or not less than −0.83 V (indicated by hydrogen standard electrode potential) It is characterized by providing an electrolytic phosphate chemical treatment method that is subjected to electrolytic treatment.
[0047]
  In particular, in the present invention, in the phosphate chemical conversion bath, the phosphate chemical conversion bath has 0 to 400 ppm of metal ions other than the components of the film, andSolid matter that obstructs electrolytic treatment film formation on the surface of the object to be treatedTherefore, it is possible to suppress the reaction other than the film formation in the bath as much as possible, and to prevent the addition of accelerators, etc., so that the film formation reaction on the surface of the workpiece can be carried out smoothly and efficiently. It can be made.
[0048]
  In particular, in the present invention, the phosphate chemical conversion treatment bath has 0 to 400 ppm of metal ions other than the components of the film, andSolid matter that obstructs electrolytic treatment film formation on the surface of the object to be treatedThus, the film-forming reaction can be performed without mainly depositing phosphate from the bath. Therefore, the phosphate and A film containing at least a metal that does not form the phosphate can be obtained for the first time.
[0049]
  Moreover, in Claim 2, the said phosphate chemical conversion treatment bath is:CoatingIt is preferable that metal ions other than the components are contained in an amount of 0 to 100 ppm in order to efficiently form a film.
[0050]
In Claim 3, as a specific composition of the phosphate chemical conversion treatment bath, the nitrate ion concentration is 6 g / l to 140 g / l, and the phosphate ion concentration and phosphoric acid are 0.5 g / l to 60 g / l. l, the concentration of metal ions forming a complex in the phosphate chemical treatment bath with phosphate ions is 0.5 g / l to 70 g / l, and ions dissolved in the phosphate chemical treatment bath are reduced, The concentration of metal ions having a potential of depositing as a metal equal to or higher than the anode electrolysis reaction potential of water as a solvent or equal to or higher than −0.83 V (expressed by hydrogen standard electrode potential) may be 0 g / l to 40 g / l. preferable.
[0051]
According to a fourth aspect of the present invention, it is preferable that the phosphate chemical conversion bath does not contain an acid having an acid dissociation degree greater than the acid dissociation degree of the phosphate ions.
[0052]
Here, the acid having an acid dissociation degree larger than the acid dissociation degree of the phosphate ion is, for example, nitric acid.
[0053]
If an acid larger than the acid dissociation degree of the phosphate ion is added to the treatment bath, the film formation reaction on the surface of the object to be treated is inhibited in the treatment bath. Therefore, an efficient reaction cannot be performed.
[0054]
In Claim 6, it is preferable that the metal ion which forms a complex in the said phosphate ion bath with a phosphate ion consists of at least 1 sort (s) of zinc, iron, manganese, and calcium.
[0055]
In Claim 7, the electric potential which the ion melt | dissolved in a phosphate chemical conversion bath reduces, and precipitates as a metal is more than the anode electrolysis reaction potential of the water which is a solvent, or -0.83V (hydrogen standard electrode potential) The above metal ion is preferably at least one of nickel and copper.
[0056]
  The phosphate chemical conversion bath according to claim 8, wherein the phosphate chemical conversion bath includes at least phosphate ions and phosphoric acid, nitrate ions, and phosphate ions and metal ions that form a complex in the phosphate chemical conversion bath. It is a method of forming a film containing at least a phosphate on the surface of the object to be processed by bringing the object to be processed into contact and electrolytically processing, wherein the phosphate chemical treatment bath is a component other than the component of the film Having 0 to 400 ppm of metal ions, andSolid matter that obstructs electrolytic treatment film formation on the surface of the object to be treatedIn the phosphate chemical treatment bath, the object to be treated is electrolytically treated between phosphate ions and a metal material forming a complex in the phosphate chemical treatment bath. An electrolytic phosphate chemical treatment method is provided.
[0057]
  When this method is employed, the resulting film is a chemical conversion film mainly composed of phosphate, but 0 to 400 ppm of metal ions other than the components of the film are contained in the phosphate chemical conversion bath. Degree andSolid matter that obstructs electrolytic treatment film formation on the surface of the object to be treatedTherefore, the film forming reaction in the phosphate chemical conversion treatment can be performed efficiently.
[0058]
In Claim 9, It is further more preferable that the said phosphate chemical conversion bath makes metal ions other than the component of the film | membrane containing the said phosphate at least about 0-100 ppm.
[0059]
11. The phosphate chemical conversion bath according to claim 10, wherein the nitrate ion concentration is 6 g / l to 140 g / l, the phosphate ions and phosphoric acid concentrations are 0.5 g / l to 60 g / l, and phosphate ions. It is preferable that the concentration of metal ions forming a complex in the phosphate chemical treatment bath is 0.5 g / l to 70 g / l.
[0060]
In the eleventh aspect, it is preferable that the phosphate chemical conversion bath does not have an acid having an acid dissociation degree greater than the acid dissociation degree of the phosphate ions.
[0061]
At this time, the acid having an acid dissociation degree greater than that of the phosphate ion is, for example, nitric acid.
[0062]
By not having an acid having an acid dissociation degree greater than the acid dissociation degree of the phosphate ion in the phosphate chemical treatment bath, it is possible to efficiently form a film for the same reason as described above. Can be done.
[0063]
The metal ion forming a complex with the phosphate ion in the phosphate chemical treatment bath is preferably composed of at least one of zinc, iron, manganese and calcium.
[0064]
15. The phosphate chemical conversion treatment method according to claim 14, wherein the treatment object may be subjected to electrolytic treatment with the object to be treated as an anode.
[0065]
In the fifteenth aspect, the phosphate chemical conversion treatment method may perform electrolytic treatment using the object to be treated as a cathode.
[0066]
In the sixteenth aspect of the present invention, it is preferable that in the phosphate chemical conversion treatment method, after the electrolytic treatment is performed using the workpiece as an anode, the electrolytic treatment is performed using the workpiece as a cathode.
[0067]
By performing such electrolytic treatment, the surface of the object to be processed can be etched to expose a new surface, and then a film forming reaction can be performed on the surface of the object to be processed. Therefore, it can be set as the film | membrane with which adhesiveness was improved with respect to the to-be-processed object surface.
[0068]
The cathode electrolytic treatment in which the electrolytic treatment is performed using the object to be treated of the phosphate chemical treatment method as a cathode according to claim 17, wherein the ions dissolved in the phosphate chemical treatment bath are reduced and deposited. Electrolytic treatment using the same metal material and / or conductive material insoluble in the phosphating bath as an anode, and electrolysis using a metal material forming a complex in the phosphatizing bath as an anode An electrolytic phosphate chemical treatment method comprising at least one of the treatments is preferred.
[0069]
By adopting such a treatment method, it is possible to appropriately adjust the component ratio of the phosphate that forms the film and the metal that does not form the phosphate. A film can be formed on the surface of the workpiece.
[0070]
19. The cathode electrolytic treatment in which the electrolytic treatment is performed using the object to be treated of the phosphate chemical treatment method as a cathode according to claim 18, wherein the ions dissolved in the phosphate chemical treatment bath are reduced and deposited. The same metal material and / or the metal material that forms a complex in the phosphatization bath after the electrolytic treatment using the insoluble conductive material as the anode to the phosphating bath It is preferable to use an electrolytic phosphate chemical treatment method in which the electrolytic treatment is performed as one cycle and this cycle is performed at least once.
[0071]
By employing such a processing method, a film having the desired characteristics as described above can be formed thick.
[0072]
  20. The cathode electrolytic treatment in which electrolytic treatment is performed using the object to be treated of the phosphate chemical treatment method as a cathode according to claim 19, wherein the ions dissolved in the phosphate chemical treatment bath are reduced and deposited. Electrolytic treatment using the same metal material and / or insoluble conductive material as an anode for the phosphating bathAfter electrolysis in an electrolytic cell,Electrolytic treatment is performed using a metal material that forms a complex as an anode in a phosphating bath.Perform electrolytic treatment in an electrolytic bathThe electrolytic phosphate chemical treatment method is preferred.
[0073]
By adopting such a treatment method, by separately providing an electrolytic cell, the reaction of precipitation of each component can be controlled independently, and a film having desired characteristics can be formed more easily. be able to.
[0074]
In addition, it is preferable that the same metal material as the metal which the metal melt | dissolved in the said phosphate chemical conversion bath reduces and precipitates is at least 1 sort (s) of nickel and copper.
[0075]
The metal material that forms a complex in the phosphate chemical treatment bath is preferably at least one of zinc, iron, manganese, and calcium.
[0076]
23. The method according to claim 22, wherein when the object to be treated is not in contact with the phosphate chemical treatment bath, the metal material used as the anode is used as the cathode during the electrolytic treatment with the object to be treated as the cathode, It is preferable to apply a voltage of 5 V or less between the anode and the cathode, using a material insoluble in the acid chemical conversion bath as the anode.
[0077]
In addition, in claim 23, when the object to be treated is not in contact with the phosphate chemical treatment bath, the metal material used as the anode is used as the cathode during the electrolytic treatment with the object to be treated as the cathode. It is preferable to apply a voltage that does not substantially dissolve the cathode between the anode and the cathode, using a material insoluble in the phosphate chemical treatment bath as the anode.
[0078]
Thus, by performing the treatment when the object to be treated is not in contact with the phosphate chemical treatment bath, it is possible to suppress dissolution of the metal material when the object to be treated is not treated. it can.
[0079]
According to claim 24, a part of the phosphate chemical conversion bath is taken out from the bath having the phosphate chemical conversion bath, and the energy state as the liquid of the phosphate chemical conversion bath is thermodynamically determined. It is preferable to return to the inside of the bathtub again.
[0080]
According to claim 25, a part of the phosphate chemical treatment bath is taken out from the bath having the phosphate chemical treatment bath, and deposited during the phosphate chemical treatment in the film formation reaction process. It is preferable that the solid content is removed and then returned to the bathtub.
[0081]
By adopting such a method, for example, nitrogen oxide (NO) produced by reduction of nitrate ions and reactants (sludge) inevitably produced other than the surface of the object to be treated by electrolytic reaction.2Etc.) can be removed from the treatment bath. Therefore, an extra reaction other than the reaction for film formation can be suppressed in the treatment bath.
[0082]
According to claim 26, when the components of the phosphate chemical treatment bath are replenished, a part of the phosphate chemical treatment bath is taken out, and the phosphate chemical treatment bath is added to the taken out bath. It is preferable to supply a replenisher containing a treatment bath component having a concentration higher than the concentration of at least one of the constituent components.
[0083]
According to this method, the treatment bath can be easily replenished.
[0084]
  According to claim 27, there is provided an electrolytic phosphate chemical coating method for electrolytically treating an object to be treated as a cathode,The phosphatization is carried out in a phosphating treatment bath having 0 to 400 ppm of metal ions other than the components of the coating and substantially free of solids that interfere with the formation of the electrolytic coating on the surface of the workpiece. During the treatment bathPhosphorus formation is possible when the dissolved ions are reduced and the potential for precipitation as a metal is greater than or equal to the anode electrolysis reaction potential of water as a solvent or greater than or equal to -0.83 V (expressed as hydrogen standard electrode potential). From the state of being dissolved in the treatment bath and becoming a cation, the reaction is reduced by electrolytic treatment and deposited on the surface of the object to be treated, and in the phosphate chemical treatment bath, in the phosphate chemical treatment bath Provided is an electrolytic phosphate chemical treatment method in which a metal ion that forms a complex with a phosphate ion includes a reaction that precipitates as a phosphate crystal in response to a dehydrogenation reaction of a phosphate ion.
[0085]
According to this processing method, since two different reactions are simultaneously performed in the processing bath, a desired composite film can be formed on the surface of the object to be processed.
[0086]
In addition, it is preferable that the metal ion complexed with a phosphate ion is at least one of Fe, Zn, Mn, Ca, and Mg.
[0087]
Moreover, the electric potential which the ion melt | dissolved in a phosphate chemical conversion bath reduces, and precipitates as a metal is more than the anode electrolysis reaction potential of the water which is a solvent, or more than -0.83V (hydrogen standard electrode potential). The metal which is is preferably at least one of Ni, Cu, Fe and Zn.
[0088]
According to the thirty-first aspect, the treatment bath composition during the electrolytic treatment is such that the metal ions (g / l) complexed with phosphate ions (concentration of phosphate ions and phosphate (g / l)). The ratio is preferably 0.1 or more.
[0089]
The ratio of the concentration of metal ions complexed with phosphate ions (g / l) / (the concentration of phosphate ions and phosphate (g / l)) is 0.1 or more, more preferably 0.25 or more. In the treatment bath, phosphoric acid (H2POFour) Phosphate ion (H2POFour -), And the oxidation reaction of phosphate ions on the cathode surface can be controlled. It is also controlling the phosphoric acid present in the treatment bath.
[0090]
According to the thirty-first aspect, the voltage applied between the metal material forming the anode and the cathode is changed at the start of the electrolytic treatment in the electrolytic phosphate chemical coating method in which the treatment object is subjected to electrolytic treatment using the cathode. It is preferable.
[0091]
Furthermore, the fluctuation of the applied voltage at the start of the electrolytic treatment is preferably pulsed.
[0092]
By adopting this method, at the initial stage where a film is formed on the surface of the object to be processed, even if the film starts to be formed only at a specific portion of the object to be processed, every time the electrolytic treatment voltage changes, The film formation location can be forcibly changed. Therefore, a film can be uniformly formed on the surface of the object to be processed.
[0093]
  According to claim 33,In the phosphate chemical conversion bath having 0 to 400 ppm of metal ions other than the components of the coating and substantially free of solid matter that interferes with the formation of the electrolytic treatment coating on the surface of the workpiece, the conductive coating. By contacting the treated material and electrolytically treating it,It is a film composed of a metal that does not form phosphate and a phosphate compound on the steel surface, and the metal and phosphate compound that form the film are dispersed throughout the film.Method for forming composite filmI will provide a.
[0094]
  According to claim 34,In the phosphate chemical conversion bath having 0 to 400 ppm of metal ions other than the components of the coating and substantially free of solid matter that interferes with the formation of the electrolytic treatment coating on the surface of the workpiece, the conductive coating. By contacting the treated material and electrolytically treating it,A film composed of a metal that does not form phosphate and a phosphate compound on the steel surface, and there is at least a metal that does not form phosphate on the outermost surface of the film.Method for forming composite filmI will provide a.
[0095]
  Furthermore, according to claim 35,In the phosphate chemical conversion bath having 0 to 400 ppm of metal ions other than the components of the coating and substantially free of solid matter that interferes with the formation of the electrolytic treatment coating on the surface of the workpiece, the conductive coating. By contacting the treated material and electrolytically treating it,A film composed of a metal that does not form phosphate and a phosphate compound on the steel surface, and the film shows no peaks other than the inevitable peak of phosphate in X-ray diffraction analysisMethod for forming composite filmI will provide a.
[0096]
  According to claim 36,In the phosphate chemical conversion bath having 0 to 400 ppm of metal ions other than the components of the coating and substantially free of solid matter that interferes with the formation of the electrolytic treatment coating on the surface of the workpiece, the conductive coating. By contacting the treated material and electrolytically treating it,On the steel surface, the film is composed of a metal that does not form phosphate and a phosphate compound, and the number of atoms of the metal that does not form phosphate is the number of atoms of phosphorus that constitutes the phosphate crystal. Have 0.25 or moreMethod for forming composite filmI will provide a.
[0097]
The metal that does not form the phosphate is preferably at least one of Ni, Cu, Fe, and Zn.
[0098]
Moreover, it is preferable that the metal which forms a phosphate compound is at least 1 sort (s) of Fe, Zn, Mn, Ca, and Mg.
[0099]
According to claim 40, the steel preferably contains 95% by weight or more of iron (Fe) when the entire steel is 100% by weight.
[0100]
According to claim 41, the X-ray diffraction analysis is preferably performed by ESCA or EDX.
[0101]
Next, the effects described above will be described in more detail while comparing and examining the prior art.
[0102]
First, according to Japanese Patent Publication No. 5-822481, which is a conventional electrolytic phosphate chemical treatment method, components of a phosphate chemical treatment bath having the same configuration as the electroless phosphate chemical treatment are used.
[0103]
That is, in the conventional electroless phosphate chemical conversion treatment, the components in the treatment bath are reacted to form a film, so that the treatment bath has a very active and easily decomposed bath composition. This is because the reaction in solution cannot be performed unless the treatment bath is activated. In order to activate the treatment bath, that is, in order to chemically decompose (oxidize: dehydrogenate) phosphoric acid, a conventional electroless phosphate chemical treatment bath uses PH (hydrogen ion) with sodium hydroxide or the like. (Concentration) was added to a predetermined range, or nitrite ion was added as an oxidation accelerator for promoting the reaction. As a result of replenishing these chemicals, the phosphate chemical conversion treatment contains a large amount of Na ions. As a result, the electroless phosphate chemical conversion bath contains impurities (unnecessary substances) that do not become phosphate films. The bath contains a lot.
[0104]
The conventional electrolytic phosphate chemical treatment method uses such a phosphate chemical treatment bath containing components other than the film components.
[0105]
For this reason, components other than this film component inhibit the formation of a phosphate chemical conversion film to be formed on the surface of the object to be processed, and an efficient film cannot be formed on the surface of the object to be processed.
[0106]
On the other hand, the phosphate chemical conversion bath of the present invention is a metal ion other than the film component, for example, ions that do not participate in the film formation reaction such as Na, 400 ppm or less, preferably It was set as the structure made into 100 ppm or less. As a result, the stability of the treatment bath as a solution is greatly improved and no sludge is generated. Furthermore, it can be configured such that the components in the solution react only on the electrode surface by electrolytic treatment, and the treatment bath reacts only on the electrode surface during the electrolytic treatment, and substantially reacts at other times and places. I was able to avoid it.
[0107]
Further, in the treatment bath, it is preferable to adopt the following means as a means for reacting only on the electrode surface during the electrolytic treatment and preventing substantial reaction at other times and places.
[0108]
That is, as the means,
Taking out a part of the phosphate chemical conversion bath from the bath having the phosphate chemical conversion bath, thermodynamically stabilizing the energy state as the liquid of the phosphate chemical conversion bath, and thereafter Returning to the bath again, and taking out a part of the phosphate chemical treatment bath from the bath having the phosphate chemical treatment bath, and during the phosphate chemical treatment in the film formation reaction process It is preferable to return to the inside of the bath again through a filter for removing the solid content deposited on the bath.
[0109]
In addition, when the object to be treated is not in contact with the phosphate chemical treatment bath, the metal material used as the anode is used as the cathode during the electrolytic treatment with the object to be treated as the cathode, and the phosphate chemical treatment is performed. When a material insoluble in the treatment bath is used as an anode, a voltage of 5 V or less is applied between the anode and the cathode, or when the object to be treated is not in contact with the phosphate chemical treatment bath, At the time of electrolytic treatment using a workpiece as a cathode, a metal material used as an anode is a cathode, a material insoluble in a phosphate chemical treatment bath is an anode, and the cathode is substantially between the anode and the cathode. It is preferable to apply a voltage so that it does not dissolve.
[0110]
Further, when replenishing the components of the phosphate chemical treatment bath, a part of the phosphate chemical treatment bath is taken out of the components constituting the phosphate chemical treatment bath with respect to the taken out bath. It is preferable that a replenisher solution containing a treatment bath component having a concentration higher than the concentration of at least one component is introduced into a portion other than the electrolytic cell.
[0111]
Furthermore, the ratio of the concentration of the metal ion complexed with phosphate ions (g / l) / (the concentration of phosphate ions and phosphate (g / l)) when the treatment bath composition during the electrolytic treatment is performed is as follows. Is preferably 0.1 or more.
[0112]
By performing the above treatment, the phosphate chemical conversion bath does not substantially contain a solid content that affects the film formation reaction, reacts only on the electrode surface during the electrolytic treatment, and otherwise. And in place, it can be made to be substantially unreactive.
[0113]
As with the “electrolytic phosphate chemical treatment method” of the present invention, “electrodeposition coating” that forms a coating film by reacting the components in the solution takes great care to prevent aggregation and decomposition of the components in the solution. However, since the solution is an organic substance, it can be dealt with by preventing contamination of impurities and maintaining the treatment bath at a predetermined temperature and constantly filtering.
[0114]
Since the “electrolytic phosphate chemical treatment method” of the present invention is electrolysis using an inorganic acid solution, it is preferable to perform the above-mentioned measures in addition to the electrodeposition coating treatment.
[0115]
Furthermore, as described in claims 1 and 7, in the present invention, metal ions other than metal ions which are components of film formation such as Na as a conventional reaction accelerator are not substantially contained. Therefore, in the phosphate chemical treatment bath, phosphate ions and metal ions that form a complex in the phosphate chemical treatment bath can be present as a complex. Therefore, in the treatment bath, metal ions can be stably present despite being dissolved in the solution, and phenomena such as the generation of sludge in the treatment bath are suppressed, and the surface of the object to be treated Alone, a film deposition reaction could be caused.
[0116]
This corresponds to the fact that cyan complex is often used in conventional electroplating, and this cyan complex does not decompose in solution but decomposes only on the cathode surface where charges are concentrated, and deposits as a metal film. .
[0117]
Moreover, the complex is conventionally utilized also in the conventional electroless phosphate chemical conversion bath. That is, metal ions (Fe3+, Zn2+, Mn2+Etc.) Ions are complexed with phosphate ions in solution and dissolved. However, the phosphate ion complex used in the conventional electroless phosphate chemical treatment bath contains Na ions, etc., and is in an active (unstable) state, so it is compared with the cyan complex used in electroplating. Therefore, the stability as a complex is small. Therefore, even if it is electroless, it is easily decomposed into a film and sludge, and the present invention is not used at all.
[0118]
In terms of the stability of the complex, the cyan complex has a large stability, and the complex cannot be dissociated (decomposed) by electroless treatment (electroless plating). Therefore, cyan complexes are only used in electroplating.
[0119]
If the stability of the phosphate ion complex is increased, the complex will not be easily decomposed. The low stability of the phosphate ion complex used in the conventional electroless phosphate chemical treatment bath is because the pH of the bath is adjusted, so that phosphate ions are dissociated (by adding Na ions, etc.) This is because it is easy to undergo oxidative decomposition. In the electrolytic phosphate chemical treatment bath, Na+The pH of the bath to which is added is not adjusted. Therefore, the stability of the phosphate ion complex can be increased. Such a treatment bath having a high stability of the phosphate ion complex is not decomposed and does not form a film without electrolysis. Also, even during electrolytic treatment, it does not decompose in solution as in electroplating, but decomposes only on the cathode surface where charges are concentrated and forms a film, so basically no sludge is formed. Maintain transparency.
[0120]
If the phosphate ion complex is too stable, it is unsuitable for film formation by cathodic electrolysis. Therefore, it is necessary to maintain the stability of the phosphate ion complex within an appropriate range.
[0121]
Therefore, in the present invention, the treatment bath composition during the electrolytic treatment is such that the metal ions (g / l) complexed with phosphate ions (g / l concentration of phosphate ions and phosphoric acid (g / l)). The ratio is preferably 0.1 or more. Thereby, the stability of the complex can be ensured.
[0122]
[Study specific to electrolytic phosphate chemical treatment]
In order to put electrolytic phosphate chemical treatment into practical use, in addition to reference to purification methods and complexes such as prevention of impurity contamination, bath filtration, and the like, treatments corresponding to characteristics unique to electrolytic phosphate chemical treatment are required.
[0123]
This will be described below.
[0124]
In the electrolytic phosphate chemical treatment of the present invention, it is preferable that the phosphate chemical conversion treatment method performs electrolytic treatment using the workpiece as an anode and then performing electrolytic treatment using the workpiece as a cathode.
[0125]
In this case, it is preferable to use a film-forming metal or the like (Fe, Ni, Zn or the like) as the anode and to use an object to be processed as the cathode.
[0126]
In addition, the electrode material installed in an electrolytic cell as an anode has the following two cases.
[0127]
(1) Metal that dissolves the electrode material and becomes a film-forming component
(2) Insoluble material in which electrode material does not dissolve or hardly dissolves
Cathodic electrolysis may use both of the above electrode materials, or may use only one electrode material. Table 3 summarizes the categories.
[0128]
[Table 3]
Figure 0003678096
[0129]
In the case of dissolving the metal of (1) and using the metal as a film forming component as an anode, the anode material is dissolved electrochemically by the action of an external power source and exists in a soluble ionic state in the solution. It is deposited (solidified) on the cathode to form a film.
[0130]
When the insoluble material (2) that does not dissolve or hardly dissolve is used as the anode, the cation dissolved in the solution is deposited on the cathode by applying an external power source. The usage of (1) and (2) is selected depending on the properties of the phosphate conversion coating to be formed.
[0131]
As described in Table 3, the “metal forming the phosphate compound (for example, Fe, Zn)” has a track record in electroless treatment, among the conditions of the conventional phosphate chemical treatment bath, Dissolves and precipitates relatively easily (at a low voltage). However, the metal that becomes “solid as the metal ions dissolved in the phosphate chemical treatment bath are reduced and deposited as metal elements” is easily dissolved in the conditions of the conventional electroless phosphate chemical treatment bath, Some metals can be deposited (for example, Cu), and some metals (for example, Ni) require a large voltage and current to dissolve and deposit.
[0132]
Then, if a metal (for example, Ni) that requires a large voltage and current for dissolution and deposition is supplied to the treatment bath only by dissolution from the electrode as an anode, a large voltage and current are required for deposition. It will be a thing. Such electrolytic treatment applies a relatively large voltage and current to the entire treatment bath. However, such an electrolysis process (which requires a large voltage and current) is suitable for electrolysis of metals (Fe, Zn) that form a phosphate compound, which can be electrolyzed with a small voltage application. Is not appropriate.
[0133]
As described above, the present inventor recognizes that there are basically two types of “cathodic electrolytic treatment” as a characteristic of electrolytic phosphate chemical treatment. Then, it should be recognized that the difference between the two cathodic electrolysis methods should be recognized and used as appropriate in accordance with the required properties of the coating. That is, according to the required film, the configuration of the treatment bath and the metal material used for the anode are determined, and the electrolytic treatment (voltage, current) corresponding to the treatment bath / electrode material is properly used.
[0134]
The recognition that cathodic electrolysis can basically be divided into two suggests that two different measures are necessary for the practical application of electrolytic phosphate chemical treatment. That is, when using “a metal material that is easy to dissolve and precipitate and becomes a film component” and “a material that hardly dissolves or is insoluble”, different measures are required.
[0135]
When using the metal materials (for example, Fe, Zn, Cu) that are easy to dissolve and precipitate in Table 3 as anodes, these metals can be used without applying voltage (even without electrolysis). ) Easily dissolved in the phosphating bath. If this phenomenon (action) is allowed to stand, these metal ions are dissolved in the treatment bath even when the treatment is not performed. As a result, the state of the treatment bath changes to a state where treatment is impossible. Therefore, a means (ingenuity) for suppressing the dissolution is required. This is the first response.
[0136]
As specific means,
(1) During the electrolytic treatment, the surface area of the metal electrode (anode) is controlled.
[0137]
(2) The electrolytic current of the metal electrode (anode) is controlled during the electrolytic treatment.
[0138]
(3) When the electrolysis is suspended, the insoluble electrode is used as an anode, the easily dissolved metal (Fe, Zn, Cu) electrode is used as a cathode, and the metal used as the cathode is not dissolved (so that the solution components are not decomposed). Perform microelectrolysis (resting electrolysis). This electrolysis is hereinafter referred to as “resting electrolysis”.
[0139]
It is preferable to perform such treatment.
[0140]
The second response is for the case of using “a material that is hardly soluble or insoluble”.
[0141]
For example, in the case of a metal (for example, Ni) that is necessary as a film component but cannot be sufficiently dissolved even when electrolysis is performed using a metal as an anode, all the metal ions necessary for the film component are removed from the electrode. It cannot be obtained by dissolving In that case, the supply of metal ions to the treatment bath is preferably performed by adding dissolved metal ions to the treatment bath. The cathodic electrolysis treatment targets only the electrolysis reaction (reduction / precipitation) at the cathode. In this way, for example, the electrolysis voltage for incorporating Ni into the film component can be made smaller than when it is assumed that Ni is dissolved from the anode to form a film. Such a device is preferable for practical application of electrolytic phosphate chemical treatment.
[0142]
[Reactions constituting electrolytic phosphate chemical treatment]
The present invention forms a new electrochemical phosphate chemical conversion reaction by providing an environment for performing an electrolytic phosphate chemical conversion reaction. The outline will be described below.
[0143]
[General recognition of electrochemical reactions]
The electrolytic phosphate chemical conversion reaction of the present invention basically does not contain sludge.
[0144]
The electrochemical reaction system is composed of an anodic reaction and a cathodic reaction. The anodic reaction is an anodic reaction and is an oxidation reaction. The cathode reaction is a cathode reaction and a reduction reaction. In the electrochemical reaction system, the electrode potential is defined such that the cathode reaction is higher than the anode reaction.
[0145]
If the anode undergoes an anodic reaction, the corresponding solvent and anion undergo a cathodic reaction. It is recognized that if a cation undergoes a cathodic reaction, the corresponding solvent and anion undergo an anodic reaction.
[0146]
An outline of formation of an electrochemical reaction system formed in the electrolytic treatment is shown in FIG.
[0147]
As shown in Fig. 2, the electrochemical reaction system consists of (1) "reaction system between electrodes separated in solution" and (2) "reaction system on the same electrode surface not separated in solution". Separated into two.
[0148]
In (1) “reaction system between electrodes separated in solution”, an anode-cathode reaction system is formed during the separation. The breakdown is as follows.
[0149]
(1) -1 Electrochemical reaction system involving cations between electrodes (anode reaction at the anode and cathode reaction at the cathode)
(1) -2 Electrochemical reaction system involving anion and solvent between electrodes (cathode reaction at the anode and anode reaction at the cathode)
In (2) “reaction system on the same electrode surface not separated in the solution”, an anode-cathode reaction system is formed between the cation, the anion and the solvent on the same electrode surface. The breakdown is as follows.
[0150]
(2) -1 Cation anode reaction and anion / solvent cathode reaction on the anode surface (2) -2 Cation cathode reaction and anion / solvent anode reaction on the cathode surface The configured electrochemical reaction system is formed when the electrochemical reaction system is formed regardless of “electroless treatment” or “electrolytic treatment”. However, the “electroless treatment” electrochemical reaction system is composed only of a cathode reaction and an anode reaction on the same surface. In FIG. 2, the reaction systems (2) -1 and (2) -2 are configured between a metal (solid) and a solution (liquid).
[0151]
The electrochemical reaction system may be composed of only a pair of cathode reactions and anode reactions, or may be composed of a plurality of pairs of cathode reactions and anode reactions. As shown in FIG. 2, the electrochemical reaction system of the phosphate chemical conversion treatment is a complicated one composed of a plurality of pairs of cathode reactions and anode reactions. And the complexity makes it difficult to control the reaction system.
[0152]
[Configuration of electrochemical reaction system in electrolytic phosphate chemical treatment]
In the case of “cathodic electrolytic treatment” of electrolytic phosphate chemical treatment, when Fe, Zn, Ni, or Cu is used as the film-forming metal electrode (anode), the reaction is stratified as shown in Table 4. The following example is a case where iron (steel material) is treated in a phosphate chemical treatment bath (phosphate chemical treatment bath) containing zinc ions, nickel ions, phosphate ions, and nitrate ions. is there.
[0153]
[Table 4]
Figure 0003678096
[0154]
There are basically two systems of electrochemical reaction between electrodes via an external power source as described above. One is a reaction system between electrodes, which is a dissolution reaction (cathode reaction) of a film-forming metal (electrode) at the anode and a precipitation reaction (cathode reaction) of dissolved metal ions on the cathode (object). is there. Another reaction system is an electrochemical reaction system on the same electrode surface. These are a metal dissolution (oxidation) reaction at the anode and a reduction reaction of solution components (nitrate ions and water), and an oxidation reaction and a metal ion reduction reaction of solution components (phosphate ions and water) at the cathode. In connection with oxidation (dehydrogenation) of phosphate ions on the cathode surface, metal ions (Zn, Fe, Mn, etc.) forming a phosphate complex are deposited on the cathode surface as phosphates.
[0155]
[Electrochemical reaction of phosphate chemical conversion reaction-1 (electroless treatment reaction)]
In the electroless phosphate chemical conversion reaction, the anode reaction and cathode reaction in the above table are performed on the same surface without being polarized with the anode and cathode.
[0156]
The reason for the electroless phosphate chemical treatment is mainly for steel materials so that the electrochemical reaction system is spontaneously formed between the phosphate chemical treatment bath and the treatment bath even without electrolysis. This is because the environment has been improved.
[0157]
When the workpiece is copper (Cu), chlorine ions (Cl-) Is added. When the object to be processed is an aluminum material (Al), fluorine ions (F-) Is added. Fluorine ion (F-) Is easily dissolved (oxidized), and an electrochemical reaction system related to phosphate chemical conversion is formed in the treatment bath (even without electrolysis). Therefore, a phosphate chemical conversion film comes to be formed like steel. However, fluoride ion (F-) Is not taken into the film and is reduced like nitrate ions (NO3-→ NO), it is not vaporized (gasified) and excluded from the solution. Therefore, when the fluorine ion exceeds a predetermined concentration, it is necessary to create a new treatment bath.
[0158]
In the electroless phosphate chemical conversion reaction, since an electrochemical reaction system is formed on the same surface, dissolution of the material (object to be processed) is limited by the formation of a film. Therefore, it cannot be thickened without destroying the film. If the reaction is continued forcibly in order to obtain a thick film, the reaction will be accompanied by dissolution of the material (object to be processed), resulting in a rough film. This is why the thick film formed from the electroless treatment (heating bath) and used for the cold forging press lubrication ground treatment is rough.
[0159]
Moreover, since the electroless phosphate chemical conversion reaction is an electrochemical reaction system on the same surface without using an external power source, the reduction precipitation reaction of metal ions accompanied by a change in charge is extremely limited. Therefore, even with a treatment bath containing Ni ions, Ni can be reduced and deposited only very slightly. (Ni precipitation is possible only at the initial stage of film formation in which Fe dissolves.) Therefore, the film to be formed contains phosphate as a main component. This is the basis for the conventional electroless treatment called phosphate chemical conversion treatment.
[0160]
[Electrochemical reaction of phosphate chemical conversion reaction-2 (anodic electrolysis)]
In the case of forming a film only by anodic electrolysis treatment by electrolytic phosphate chemical treatment, the reaction system is basically the same as the electroless treatment. The function of anodizing is to promote the “dissolution (oxidation) reaction of metal electrode” in Table 4. The “metal electrode dissolution (oxidation) reaction” is the first reaction to start the phosphate chemical conversion (film formation) reaction system. By the anodic electrolytic treatment, the reaction (dissolution of the object to be processed) is easily and reliably performed. As a result, the produced phosphate film has excellent adhesion to the object to be treated (material). However, it is impossible to make the film thicker.
[0161]
When a film is formed by performing cathodic electrolysis after anodic electrolysis, the role of the anode is limited to the dissolution (oxidation) reaction of the metal electrode and the reduction reaction of water. The object to be treated is reliably dissolved by anodic electrolysis, and then a film is formed by cathodic electrolysis.
[0162]
Therefore, the treatment bath composition differs between the case where the film is formed by only the anodic electrolysis and the case where the film is formed by the anodic electrolysis + cathode electrolysis.
[0163]
When only anodic electrolysis is performed, a material that does not dissolve in the phosphate chemical treatment bath is selected for the negative cathode. Therefore, the cathode is made of a material that does not dissolve in the chemical conversion treatment bath such as titanium.
[0164]
[Electrochemical reaction of phosphate chemical conversion reaction-3 (cathode treatment)]
As the electrolytic phosphate chemical treatment, a method of “anodic treatment + cathodic treatment” is employed. In this case, the function of the anodizing is to dissolve the surface of the object to be processed and ensure the adhesion of the film. Cathodic treatment forms a film.
[0165]
Note that the anodization may be omitted depending on circumstances. This is because when the film adhesion is not required, and when the electrolytic phosphate chemical treatment bath has a lower pH than the conventional electroless treatment bath and tends to dissolve the material even without electrolysis, the dissolution reaction of the material This is when it is done without electrolysis.
[0166]
In the conventional electroless phosphate chemical conversion treatment, “dissolution reaction of the object to be treated” and “reaction related to film formation” are performed on the same surface. However, the cathodic electrolysis treatment of the present invention does not perform “dissolution reaction of the object to be treated” on the surface of the object to be treated as shown in Table 3. Only the “reaction related to film formation” is performed on the surface of the workpiece (cathode).
[0167]
The electrochemical reaction system involved in the cathodic electrolysis treatment includes three reaction systems according to the classification described in FIG.
[0168]
Metal ion oxidation-reduction (dissolution-precipitation) reaction system between i electrodes (anode-cathode) ((1) -1 in FIG. 2)
ii) Oxidation-reduction reaction system between anion (anode-cathode) and solvent (water) ((1) -2, Fig. 2)
iii. Anode / solvent (water) anodic reaction and metal ion cathodic reaction on the cathode surface ((2) -2 and (1) -3 in FIG. 2)
This will be described in order below.
[0169]
Metal ion oxidation-reduction (dissolution-precipitation) reaction system between i electrodes (anode-cathode) ((1) -1 in FIG. 2)
This interelectrode reaction is formed by a cathode surface cathode reaction (reduction and precipitation of metal ions) and an anode surface anode reaction (metal dissolution). This is an electrolytic reaction using an external power source, and the cathode surface receives a large amount of electrochemical energy in a cathode reaction, so that a precipitation reaction accompanied by a change (reduction) in charge can be performed. The cathode deposition reaction is a deposition reaction involving a change (reduction) in the charge of metal ions such as nickel, copper, iron, and zinc, and binds to the base metal with the same action as electroplating. In addition, the metal that forms the coating film of phosphate such as iron and zinc is preferentially deposited as a phosphate that does not change the charge, but the dissolution precipitation potential that accompanies the change in charge is the anode reaction potential of water. (−0.83 V) or more, and it is possible to deposit as a metal by changing the charge.
[0170]
ii) Anion between electrode (anode-cathode) and solvent (water) oxidation-reduction reaction system ((1) -2 and (1) -3 in FIG. 2)
This interelectrode reaction includes cathode surface anode reaction (dissociation of phosphate ions, oxidation and phosphate formation, and oxidation of solvent (water)) and cathode reaction (reduction of nitrate ions and solvent (water)). ))). By forming this electrochemical reaction system, the generated phosphate crystals are firmly bonded electrochemically to the cathode surface as a film.
[0171]
iii. Anode / solvent (water) anodic reaction and metal ion cathodic reaction on the cathode surface ((2) -2 in FIG. 2)
This reaction system includes an oxidation reaction of water on the cathode surface (formula (19), anode reaction) and a cathode deposition reaction ((13), (14), (15) involving a change (reduction) of charge of metal ions. ) And (16) formula). By forming this reaction system, the ions dissolved in the phosphate chemical treatment bath are reduced, and the potential at which the ions are deposited as a metal (dissolution-precipitation equilibrium potential) is −0, which is the anode reaction potential of water. It is possible to directly deposit a metal of about .83 V (hydrogen standard electrode potential) or more. As described above, in the electrochemical reaction system, the electrode potential is defined such that the cathode reaction is higher than the anode reaction. Therefore, by forming this reaction system, it is possible to deposit metal ions having a dissolution-precipitation equilibrium potential equal to or higher than zinc (dissolution-precipitation equilibrium potential (hydrogen standard electrode potential) = − 0.77 V). Guarantee. That is, the depositable metal at ■ is determined.
Low dissolution-precipitation equilibrium potential such as sodium dissolution-precipitation equilibrium potential ((hydrogen standard electrode potential) =-2.7V), potassium dissolution-precipitation equilibrium potential ((hydrogen standard electrode potential) =-2.9V) Metal is a metal that cannot be electrolytically deposited and does not become a film component. Therefore, these metal ions will interfere with the electrolytic treatment film formation.
[0172]
It should be noted that Zn, Fe, etc. can theoretically be deposited as a metal by changing the charge. However, Zn, Fe, etc. are generally present in a complex with phosphate ions in the treatment bath. And it is easier in terms of energy to precipitate as a phosphate. Therefore, Zn, Fe, etc. preferentially exist as phosphates in the film.
[0173]
  In the cathodic electrolysis treatment of the present invention, the metal ions other than the components of the film are about 0 to 400 ppm, preferably 0 to 100 ppm or less,Solid matter that obstructs electrolytic treatment film formation on the surface of the object to be treatedSince a metal that does not form phosphate can be tackled in the composite film, the composite film itself can be brought close to the characteristics of conventional “plating”. For this reason, the formed phosphate chemical film was electrochemically supplied with high energy, and was able to be firmly adhered and fixed to the cathode (object to be treated).
[0174]
In the present invention, a metal ion oxidation-reduction (dissolution-deposition) reaction system between electrodes (anode-cathode) is continuously formed by connection of an external power source. Therefore, it is possible to reduce and deposit and distribute a metal such as Ni in the entire film formation process. In addition, it is possible to include only a specific metal, and it is also possible not to include a certain metal. That is, the cathodic treatment film formation reaction can be controlled.
[0175]
[Characteristics of electrolytic phosphate chemical conversion coating]
Of particular note in the present invention is that the deposition of metals with charge changes is possible throughout the entire period of film formation. This is the same phenomenon as “electroplating”.
[0176]
That is, the electrolytic phosphate film can be said to be a “phosphate-containing composite electroplated film”. That is, at the outermost surface of the phosphate chemical coating, the atomic number concentration ratio is higher than 1/4 of phosphorus (P), which is an element that forms a phosphate when a metal that does not form phosphate (eg, Ni) A film containing a large amount could be formed. (See Table 10, EDX film analysis result of Example 1, Table 16, EDX film analysis result of Example 4, Example 5) Such a film forms a film using the crystallization action of phosphate. Therefore, this film cannot be realized by conventional electroless treatment.
[0177]
(Atomic concentration ratio Ni / P = 1/4 is Ni / ZnThree(POFour)2Corresponds to an abundance ratio of 1/2. )
In addition, by not performing the cathodic electrolysis treatment of the metal accompanying the change in charge, it is possible to completely eliminate the deposition of the metal accompanied by the change in charge as in the case of the electroless treatment. (See Table 12, EDX film analysis result of Example 2)
Furthermore, another feature of the electrolytic phosphate chemical treatment film of the present invention is that when the film is subjected to X-ray diffraction, a film having no phosphate crystal peak is formed. (See Example 3 in Table 16, FIG. 16 and FIG. 17) Also, since the film formation is electrolytic treatment, it is possible to deposit a metal (eg, Ni) accompanied by a change in charge throughout the film formation. Because of that. That is, it is considered that the precipitation of the phosphate crystal is subordinate to the precipitation of a metal (for example, Ni) accompanied by a change in charge, and the phosphate crystal is finely dispersed in the metal component. Although the film of Example 3 contains phosphorus (P) and Zn and contains a phosphate, the phosphate crystals are dispersed with Ni metal to form a film. It is shown in EPMA elemental analysis photographs (Table 17, FIGS. 20 to 29) in the film cross-sectional direction. This film can be referred to as a “phosphate-containing composite electroplated film”.
[0178]
As described above, the present invention has developed an electrolytic phosphate chemical conversion treatment suitable for the principle of electrochemical reaction.
[0179]
That is, the present invention provides a phosphate chemical conversion treatment method capable of forming a phosphate chemical conversion film from a film mainly composed of conventional phosphate crystals and also a film composed of a phosphate and a metal. It was possible.
[0180]
Furthermore, the composite film obtained in the present invention can be made to contain a metal material that is not a phosphate.
[0181]
Therefore, this new phosphate chemical conversion treatment can provide a composite film that can be applied to many metal materials in the same manner as electroplating is applied regardless of the type of metal.
[0182]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
[Configuration of electrolytic phosphate chemical treatment]
The electrolytic phosphate chemical treatment comprises (1) equipment (2) treatment bath composition (3) treatment bath electrochemical conditions (4) electrolysis method.
[0183]
First, the apparatus used for this electrolytic phosphate chemical conversion method is demonstrated using FIG.
[0184]
FIG. 3 shows a configuration during cathodic electrolysis.
[0185]
Here, 1 is a phosphate chemical treatment bath of the present invention, 2 is an article to be treated, 3 and 4 are working electrodes, 3 is a phosphate chemical treatment bath, Working electrode 4 made of a metal material that forms a complex in a phosphatization bath, water that is a solvent having a potential at which ions dissolved in the phosphating bath are reduced and deposited as a metal. This is a working electrode made of a metallic material having an anode electrolytic decomposition reaction potential of or higher than −0.83 V (expressed by hydrogen standard electrode potential).
[0186]
Further, 5 is a power source for applying a voltage between the workpiece 2 and the working electrodes 3 and 4, and 6 is one of the phosphate chemical treatment bath 1 than in the bath having the phosphate chemical treatment bath 1. A filtration / circulation pump for taking out a portion and thermodynamically stabilizing the energy state of the phosphate chemical treatment bath 1 as a liquid, 7 is a phosphate chemical treatment bath 1 in the film formation reaction process It is a filter which removes the solid content deposited inside.
[0187]
8 is a rest electrolysis positive electrode made of a material insoluble in the phosphate chemical treatment bath 1 used when the object to be treated is not in contact with the phosphate chemical treatment bath; A replenishment chemical 10 having a concentration higher than the concentration of the components of the chlorination treatment bath 1 is a chemical replenishment pump for feeding the replenishment chemical into the treatment bath.
[0188]
Reference numeral 11 denotes a control computer that controls the amount of replenishing chemicals to be applied, the applied voltage, and the like based on information from a sensor 12 that measures PH, ORP, etc. of the treatment bath.
[0189]
In the following, the present invention will be described with reference to FIG.
[0190]
In the present invention, an object to be processed (object to be processed) is connected to a cathode via a direct current power source, and an electrode (hereinafter referred to as an electrode made of a conductive material that is insoluble in a metal or a bath forming a phosphate film). , Referred to as the working electrode) is connected to the anode. At the time of anodic electrolysis, the workpiece is connected to the anode, and a conductive material that is insoluble in the bath is connected to the cathode.
[0191]
In the case of anodic electrolysis, there is one type of working electrode (counter electrode).
[0192]
In the case of cathodic electrolysis, there may be only one type of working electrode, but multiple types (materials) may be used as electrodes. Moreover, it is desirable to install a DC power source used for electrolysis for each working electrode. This is to prevent the phenomenon that when a plurality of electrodes of the same type are connected from a single DC power source, a large amount of current flows through the electrodes arranged where current flows easily and no current flows through the other electrodes. It is.
[0193]
In the treatment tank, an electrode for rest electrolysis is installed. For the electrode for quiescent electrolysis (anode), a conductive material insoluble in the bath is used. The role of this electrode is to prevent dissolution of the working electrode when the object to be treated (object to be treated) is not treated (electrolytic pause). When the electrolysis is stopped, the insoluble conductive material is used as an anode and the working electrode is used as a cathode, and is connected to a DC power source. Then, electrolysis is performed to such an extent that the working electrode does not dissolve. This electrolysis is called rest electrolysis. This rest electrolysis prevents the working electrode from dissolving in the bath during the rest of the electrolysis and prevents decomposition of the treatment bath.
[0194]
The circulation pump is used for filtering and circulating the treatment bath. In addition, a filter is used to remove the generated sludge. When the electrolytic treatment is finished and the current to the workpiece is stopped, a phenomenon occurs in which the charge accumulated in the workpiece is released to the treatment bath. At that time, a portion of the coating is released into the bath. As they accumulate, sludge is generated. If these phenomena continue, sludge will continue to be generated. Filtration and circulation of the treatment bath suppress these phenomena.
[0195]
The sensor electrode tank is provided with a PH electrode, an ORT electrode, an EC (electric conductivity) electrode, a thermometer electrode, and the like. In the treatment tank, an electrolytic current flows, so these electrodes cannot be installed. Therefore, it is installed separately.
[0196]
A replenishing chemical tank and a replenishing pump will be installed to replenish chemicals. The chemical is preferably replenished to the part (tank) after separation from the electrolytic cell through the filtration / circulation path of the treatment bath. This is because the electrolytic cell is always microelectrolyzed even when it is at rest, and is electrochemically very active, and its active cell is larger in concentration than the treatment bath. This is because it reacts before it dissolves in the bath, and sludge is easily formed.
[0197]
A computer for control is installed in order to appropriately perform electrolytic treatment (reaction).
[0198]
Here, the dissociation degree of phosphoric acid will be described. The electrolytic phosphate chemical treatment bath of the present invention is a phosphate chemical treatment bath having a pH of 0.5 to 5. The main factor that changes the phosphate chemical treatment bath is phosphoric acid (H) that is a component of the treatment bath (phosphate chemical treatment bath).ThreePOFour) Is dissociated. That is, phosphoric acid (HThreePOFour) Is decomposed to increase the acid dissociation index (pKa) of phosphoric acid. The acid dissociation index (pKa) is a logarithmic value of the reciprocal of the dissociation constant, and the larger the value, the lower the degree of acid dissociation. That is, the acid strength is low.
[0199]
Orthophosphoric acid (HThreePOFour) Is pKa = 2.15, but HThreePOFourIs H+H is in a dissociated state2POFour -The degree of dissociation of is pKa = 7.2. This means that acid is H2POFour -Is HThreePOFourIt shows a weaker thing.
[0200]
The treatment bath contains phosphate ions, but its state is due to electrolysis.
HThreePOFour→ H2POFour -→ HPOFour 2-→ POFour 3-
(Change) and finally phosphate (Zn2Fe (POFour)ThreeEtc.) to form a film.
[0201]
Therefore, H of the treatment bathThreePOFourAlways dissociates and H2POFour - It is under the influence that becomes. This means that the phosphoric acid state of the treatment bath is HThreePOFourIs the subject or H2POFour -It shows that the acid activity of the treatment bath varies greatly depending on whether it is the main component.
[0202]
And HThreePOFourIn the case where the main component is acid, the acid activity of the treatment bath becomes relatively large, and HThreePOFourIs acid (H+) In the direction of consuming (the direction in which phosphoric acid dissociates). That is, HThreePOFourThe solution mainly containing acid is an acid (H+), But the object dissolves the Fe electrode immersed in the treatment bath, and the acid (H+) Will be consumed. Such action is that the treatment bath breaks down and produces sludge.
[0203]
From such a thing, HThreePOFourThe treatment bath mainly composed of acid (H+), And acid (H+), The ratio of metal ions dissolved in the treatment bath decreases. As a result, the ratio of “metal ions (Zn, Fe, Mn, etc.) component ions / phosphate ions and phosphoric acid that enter the film as phosphates” in the treatment bath becomes relatively small.
[0204]
On the other hand, the treatment bath is H2POFour -In the case of the main component, acid (H+), Metal ions are included instead of a large amount, and the ratio of metal ions dissolved in the treatment bath increases. As a result, the ratio of “metal ions (Zn, Fe, Mn, etc.) component ions / phosphate ions and phosphoric acid that become phosphates and enter the film” in the treatment bath becomes relatively large.
[0205]
This is because the dissociation degree of phosphoric acid in the treatment bath is controlled by controlling the ratio of “metal ions (Zn, Fe, Mn, etc.) component ions / phosphate ions and phosphoric acid that become phosphates and enter the film”. It shows that it is possible. That is, the stability of the treatment bath in the electrolytic treatment is possible by controlling the ratio of “metal ions (Zn, Fe, Mn, etc.) component ions / phosphate ions and phosphoric acid that become phosphates and enter the film”. .
[0206]
The focus is on the metal (Zn, Fe, Mn, etc.) component ions that become phosphates and enter the film. These metal ions are phosphate ions (H2POFour -) To form phosphate ions (H2POFour -) Is stabilized. Therefore, even if metal ions (Ni, Cu, etc.) that do not become phosphates are dissolved, phosphate ions (H2POFour -) And does not contribute to stabilization of the treatment bath.
[0207]
In addition, the ratio of “metal ions (Zn, Fe, Mn, etc.) component ions / phosphate ions and phosphoric acid that become a phosphate and enter the film” can be expressed as an ion concentration (g / l) ratio.
[0208]
In consideration of practical application, stabilization of the treatment bath is extremely important when flow in mass production is assumed.
[0209]
In the case of an electrolytic phosphate chemical treatment bath containing phosphate ions, nitrate ions, metal ions (Zn, Fe, Mn, etc.) component ions that become phosphates and metal ions (Ni, Cu, etc.) that do not become phosphates , “Phosphoric acid salt (Zn, Fe, Mn, etc.) component ion concentration (g / l) / (phosphate ion and phosphoric acid concentration (g / l))” ratio is 1/10 ( = 0.1) or more is appropriate. Desirably, it is in the range of 1/4 (= 0.25) to 3.
[0210]
When the above ratio is 0.1 or less, the treatment bath is composed of orthophosphoric acid (HThreePOFour) Ratio increases, and the stability of the treatment bath decreases. (In Example 1, Zn ion = 0.4 g / l, phosphate ion = 7.6 g / l, Fe electrode surface area = 380 cm2/ Electrolyte quantity = 51A / 8, which is larger than the other electrolysis examples of Fe. Therefore, the ratio of the above-mentioned “metal ion (Zn, Fe, Mn, etc.) component ion concentration (g / l) / (phosphate ion and phosphoric acid concentration (g / l))” into the film becomes a phosphate. Estimated to be 1 or more. )
The upper limit of the above ratio is determined by “solubility in the treatment bath of metal (Zn, Mn, etc.) component ions that become phosphate and enter the film” and “practical viewpoint”.
[0211]
In the present invention, the metal ions that become the above-described phosphate and enter the film dissolve nitrate and form a solution (treatment bath). Zn nitrate and Mn nitrate are compounds having high solubility. It is possible to add about 1 to 10 g / l of phosphoric acid to a Zn nitrate solution or a Zn nitrate + Ni nitrate solution and perform electrolytic treatment. In such a case, a major factor that hinders the formation of the film by turbidizing the treatment bath is the solubility of the solution. In the electrolytic phosphate chemical treatment, it is premised that Zn, Ni and the like are dissolved. However, when zinc nitrate is dissolved, it is possible to dissolve 100 g / l of zinc. Therefore, if limited by solubility, “metal (Zn, Fe, Mn, etc.) component ion concentration (g / l) / (phosphoric acid ion and phosphoric acid concentration (g / l))” that becomes a phosphate and enters the film ” Is about 10 to 100.
[0212]
Another factor that determines the upper limit is the “practical viewpoint”. It generally requires a lower drug concentration. Judging from that point of view, the upper limit of “metal ion (Zn, Fe, etc.) component ion concentration (g / l) / (phosphate ion and phosphoric acid concentration (g / l))” that becomes a phosphate and enters the film is 4 is considered appropriate. (However, Fe ions are the first Fe ions (Fe2+) As a second Fe ion (Fe3+), The cohesiveness is strong, and it is recognized that sludge is generated at the stage of replenishment to the treatment bath, so it cannot be used as a replenisher. )
[Treatment bath composition]
Electrolytic phosphate chemical treatment baths are basically classified into the following components.
[0213]
That is, as anions, (1) nitrate ion (nitrogen-containing oxoacid (oxygen acid) ion, where nitrate ion is obtained by dissolving Ni nitrate, Zn nitrate, etc., and nitric acid (HNOThree(2) It has phosphate ion. In addition, as a cation, (1) a metal ion that crystallizes as a phosphate in a film of zinc, manganese, calcium, iron, etc., and a metal that forms a complex with a phosphate ion in a phosphate chemical treatment bath The ion equilibrium potential is the anode electrolysis potential of water as a metal ion that changes (reduces) and deposits (filming), such as ions, (2) nickel, copper, etc. There is a metal ion that is −0.83 V (hydrogen standard electrode potential) or more.
[0214]
The feature of this treatment bath composition classification is that the treatment bath components are classified into four according to the role (function) in the film formation reaction. There is no such view (recognition) in the conventional phosphate chemical treatment.
[0215]
Components other than those described above can be added as necessary. For example, the example of the fluorine ion at the time of targeting aluminum material, the example of the chlorine ion at the time of targeting copper material, etc. are mentioned.
[0216]
In the electroless treatment, the only metal ion in which the charge of the metal ion is changed (reduced) and deposited (formed into a film) was nickel in the case of treating steel. Moreover, nickel only precipitates at the iron interface and cannot exist on the outermost surface of the coating. This shows that the precipitation accompanied by the change in the charge of nickel corresponds to the fact that the precipitation occurs only in response to the dissolution of iron. Outside the steel interface, nickel does not precipitate because there is no melting of iron. This indicates the characteristics of the conventional electroless treatment film. That is, the film obtained from the electroless treatment is a phosphate-based film.
[0217]
However, in this embodiment, the metal ions such as nickel, whose charge changes (reductions) and precipitates (films), have a range within the electrolyte solution that can be reduced using an external power source. Can be spread. In principle, in the electrolytic treatment, metal ions having a dissolution-precipitation equilibrium potential (cathode deposition reaction potential) that is equal to or higher than the anode electrolysis reaction potential of water (−0.83 V) on the cathode surface can be deposited. . Such metals include copper, nickel, iron, zinc, tin, lead, chromium, and the like.
[0218]
Further, it may be desired that the treatment bath contains a small amount (0.1 g / l or less) of metal ions in which the charge of metal ions changes (reductions) and precipitates (forms a film) or not at all. This is a case where the adhesion of the film to the material is reduced. The film used for cold forging lubrication of steel is desirably formed as a uniform zinc phosphate crystal whose adhesion to the material is reduced. This is because when the adhesion is good, the lubricity is lowered. In order to form such a film, a bath that does not contain metal ions that change (reduce) and deposit, such as Ni, is required.
[0219]
It should be noted that the composition of the treatment bath should contain as little as possible substances that are not involved in film formation. Therefore, in the cation (metal ion), mixing of sodium ions and the like used for the degreasing agent should be restricted. And chemicals to be replenished for phosphate chemical treatment are Na ions, K ions, Cl ions, sulfate ions (SOFour 2-) Etc. should not be included.
[0220]
It is desirable that there are as few unnecessary ions as possible, such as Na ions. As a practical measure, it should be avoided to use water subjected to softening treatment for cleaning in the previous step. Then, it is desirable that the concentration of unnecessary ions such as Na ions in the treatment bath should be 400 ppm or less, preferably 100 ppm or less.
[0221]
Next, a preferable composition in each item is defined as follows.
[0222]
The nitrate ion concentration is 6 g / l to 140 g / l, and the phosphate ion and phosphoric acid concentrations are 0.5 g / l to 60 g / l, for example, phosphoric acid comprising at least one of zinc, manganese, iron and calcium. The concentration of metal ions forming a complex in the phosphating bath with ions is 1 g / l to 70 g / l and a phosphating bath comprising at least one of nickel, copper, iron, zinc and chromium, for example. The concentration of the metal ion in which the ions dissolved therein are reduced and the potential for precipitation as a metal is not less than the anode electrolysis reaction potential of water as a solvent or not less than −0.83 V (expressed in hydrogen standard electrode potential) is 0 g / l to 40 g / l.
[0223]
[Treatment bath electrochemical conditions]
Items defining the treatment bath electrochemical conditions include PH, ORP (redox potential), EC (electric conductivity), and temperature. In the electroless treatment, the propulsion energy of the electrochemical reaction depends on the chemical energy of the chemical conversion bath. Therefore, it is necessary to strictly define the electrochemical conditions that define the state of the electrochemical reaction. However, electrolytic treatment relies on an external power source for the propulsion energy of the electrochemical reaction. That is, the degree to which electrochemical conditions contribute to the promotion of the reaction is small compared to electroless treatment. Therefore, it is not necessary to strictly define the electrochemical conditions of the treatment bath.
[0224]
This corresponds to the fact that the electrolysis treatment that has been put to practical use, such as “electroplating”, does not actively manage the electrochemical conditions.
[0225]
The preferable range of each item is shown below.
[0226]
First, the preferred range of PH is preferably in the range of 0.5-5. The reason why the width of PH is large corresponds to the composition of the treatment bath. In principle, the treatment bath of this embodiment is an electrolyte treatment bath that does not contain substances that do not participate in film formation. Therefore, the treatment bath can exist without generating sludge even in the region of PH4 or higher.
[0227]
The ORP (redox potential) of the treatment bath reflects the composition of the treatment bath. Table 3 shows a reaction formula involving the electrolytic phosphate chemical conversion reaction. Among them, the cathode decomposition reaction of water (1.23 V) has the highest reaction potential. Moreover, what shows the lowest reaction potential is also an anodic electrolysis reaction of water (−0.83 V). Therefore, the ORP of the treatment bath of the present invention is preferably between -0.83V and 1.23V in principle.
[0228]
Furthermore, the range of 0-1V (hydrogen standard electrode potential) is preferable.
[0229]
Reflects the composition of the EC (electrical conductivity) treatment bath. Also, the method of measuring conductivity is not strictly standardized. In general measurement, a range of 4 to 60 mS is preferable.
[0230]
If only a film is formed, the treatment bath temperature is preferably in the range of 10 to 90 ° C. This is because the treatment bath does not contain ions that do not participate in film formation, so that it is stable against heat, and since an external power source is used for reaction promotion, energy can be supplied even in a low temperature region.
[0231]
The practical temperature depends on the composition of the treatment bath.
[0232]
[Electrolysis method (control of cathodic electrolysis phosphate conversion reaction)]
Practical control of the cathodic electrolysis treatment is performed by combining the three components of the working (anode) electrode material, the treatment bath composition, the electrolysis method, and the conditions in accordance with the properties of the film to be formed.
[0233]
Hereinafter, each essential point will be described.
[0234]
In the working (anode) electrode material, a metal material that forms a film is selected as the anode electrode material. For example, iron, zinc, nickel and copper are common. In addition to these metals, manganese-containing alloy materials, calcium-containing alloy materials, and magnesium alloy materials that form phosphate compounds can be used. In addition, there is a possibility of using a metal material having a standard electrode potential of −0.83 V or higher, such as tin and lead. These metals can be used as the anode alone or in combination of a plurality of materials.
[0235]
The treatment bath composition (anion, cation) has been described above. However, in this embodiment, the treatment bath does not contain anions other than nitrate ions and phosphate ions in principle, but may contain other ions depending on the type of the material to be treated. For example, when a phosphate chemical conversion treatment is formed on a copper material, it can be considered that Cl ions are included. This is an action at the time of anodizing, but Cl ions undergo the following anodic reaction with respect to the copper material.
[0236]
Cu + Cl-→ CuCl + e (0.137V) (20)
Since CuCl is incorporated into the film, if it is appropriately added, it does not remain and increase as Cl ions in the treatment bath.
[0237]
In addition, when a film treatment is performed on an aluminum material, a small amount of fluorine ions can be included for the purpose of promoting the dissolution reaction of the aluminum material. In this case, the fluorine ion does not become a film component, but is effective in promoting the dissolution reaction of the aluminum material. Therefore, the addition of a small amount of fluorine ions to the extent that the portion taken out from the treatment bath is replenished is allowed.
[0238]
The electrolysis method / condition is what kind of voltage / current is applied between the selected working electrode (anode) and the workpiece (cathode). The electrolysis method and conditions vary depending on the type of the selected working electrode and the type of film to be formed. In general, two types of working electrodes are used: “metal that crystallizes as phosphate (zinc, iron)” and “metal from which metal ions are reduced and deposited (nickel, copper)”.
[0239]
In order to ensure the adhesion to the metal, first, after performing electrolysis using the “metal (reduced metal ions) (nickel, copper,)” as the working electrode, then “crystallize as phosphate” It is desirable to perform the electrolysis using the “metal (zinc, iron, etc.)” as the working electrode alone or in combination of two types of electrolysis.
[0240]
In order not to ensure adhesion with a metal, it is desirable to perform only electrolysis using a “metal that crystallizes as a phosphate (zinc, iron)” as a working electrode.
[0241]
Electrolysis voltage is 1-50V, electrolysis current is 0.01-10A / dm2Is the normal range. The electrolysis time is not particularly specified.
[0242]
Various films can be formed by devising cathodic electrolysis. For example, it is possible to form a zinc-rich film by using a zinc-rich bath and using a zinc electrode. Such a coating is applied to a cold forged substrate.
[0243]
Also, a nickel-rich coating is formed on the surface of the steel material by using a nickel-rich bath, first electrolyzing using a Ni electrode, and then performing each electrolysis using a Ni electrode and an iron electrode. Can do. A film containing a large amount of nickel has excellent adhesion to an iron substrate (base), and is suitable for a coating base.
[0244]
[Differences from conventional electrolytic treatment]
In order to clarify the features of this embodiment, the differences from the conventional electrolytic phosphate chemical treatment method are shown in Table 5.
[0245]
The basic difference is the composition of the treatment bath. The treatment bath of this embodiment is “a bath that does not contain impurities suitable for reacting components in the solution by electrolytic reaction”, whereas the conventional electrolytic treatment bath “takes over the contents of the electroless treatment bath”. The difference is that the bath contains impurities.
[0246]
[Table 5]
Figure 0003678096
[0247]
[Consideration of Electrolytic Phosphate Conversion Coating]
Next, the film | membrane which can be obtained in a present Example is demonstrated.
[0248]
As described above, the film formation reaction of this embodiment differs from the conventional method in the content of the electrochemical reaction. The contents of the electrochemical reaction of this embodiment are mainly “interelectrode electrolytic reaction” as shown in the classification of the cathodic electrolysis treatment reaction (Table 4).
[0249]
However, the prior art including Japanese Patent Publication No. 5-82281 does not assume such an “interelectrode electrolytic reaction”. Japanese Patent Publication No. 5-82281 is intended for electrolytic treatment for reinforcing the electrochemical reaction in the conventional electroless phosphate chemical conversion treatment.
[0250]
In the electroless treatment bath, the electrolytic reaction is mainly “electrolytic reaction between the object to be treated (solid) and the treatment bath (liquid) on the same metal surface”. Table 6 summarizes the differences (contents) between the present invention and the electroless treatment.
[0251]
[Table 6]
Figure 0003678096
[0252]
The characteristic of the film of the present invention is that the film is mainly composed of an electrochemical reaction between electrodes. That is, it is a film formed by obtaining a larger electrochemical energy than a film obtained by electroless treatment.
[0253]
【Example】
The steps of Examples and Comparative Examples are shown in Table 7.
[0254]
In the degreasing step, an alkaline degreasing material having a predetermined concentration and temperature is used and immersed for 4 to 5 minutes. The pickling step is immersed in a 10% hydrochloric acid solution for 5 to 10 minutes. Surface adjustment is immersed in PL-ZT0.2% by Nippon Parkerizing. The water washing process is performed until chemicals such as a degreasing material are reliably removed from the object to be processed. For electrodeposition coating, Power Top U-56 manufactured by Nippon Paint Co., Ltd. is used, and the coating film thickness after baking is set to 20 to 25 μm.
[0255]
[Table 7]
Figure 0003678096
[0256]
Table 8 shows the compositions and electrochemical conditions of the phosphate chemical treatment baths of Examples and Comparative Examples.
[0257]
[Table 8]
Figure 0003678096
[0258]
Table 9 shows the electrolytic treatment conditions of Examples and Comparative Examples. Except for the comparative example 2, the phosphate chemical conversion treatment bath is filtered and circulated so that the treatment bath is decomposed and sludge is not generated and turbid. Comparative Example 2 is a thick film type film used for cold forging lubrication treatment. In order to obtain a thick film by electroless treatment, it is necessary to heat the bath, and the bath is maintained at 80 ° C.
[0259]
[Table 9]
Figure 0003678096
[0260]
Example 1
The automobile air conditioner parts (clutch, stator housing) shown in the figure were used as objects to be processed. The stator housing of FIG. 4 is obtained by welding and joining a plate (press punched part) that becomes a flat part and a housing (press processed part) that becomes an outer peripheral part in a coating evaluation test. The housing serving as the outer peripheral portion is obtained by deforming a flat plate into a structure having irregularities by pressing. Therefore, the outer peripheral portion of the housing is a surface greatly deformed by press working. The greatly deformed surface is greatly deformed at the same time as pressing, and at the same time, the lubricating oil is strongly attached. For this reason, during the surface treatment, a phenomenon occurs such as a large deformation and the lubricating oil adhering to the surface. Therefore, the portion has a tendency to resist (impede) the chemical action on the metal surface, and thus the surface treatment performance tends to deteriorate. In the example of FIG. 4, the coating corrosion resistance is reduced.
[0261]
The object to be processed was subjected to phosphate chemical conversion treatment under the conditions shown in Table 7 and Tables 8 and 9. In addition, the ORP display value of Table 8 is the electric potential (mV) displayed on the basis of the Ag / AgCl electrode. When the value displayed on the basis of the Ag / AgCl electrode is +210 mV, it is converted into a hydrogen standard electrode potential.
[0262]
The object to be processed was subjected to electrodeposition coating in the steps after the chemical conversion treatment in Table 7. The workpiece to which electrodeposition coating was applied was subjected to a coating corrosion resistance evaluation test. In the coating corrosion resistance evaluation test, the coated film was scratched and immersed in a 5% sodium chloride solution at 55 ° C. for 240 hours until it reached the substrate with a knife on the flat surface and the outer periphery of the workpiece. The object to be treated, which had been immersed for 240 hours, was washed with water, allowed to stand for about 2 hours or more and dried, and then the adhesive tape was applied to the surface of the coating film damaged by a knife and peeled off strongly. The width of the coating film peeled off by tape peeling is measured, and the coating corrosion resistance is evaluated. The smaller the peel width, the better the corrosion resistance. The results of coating corrosion resistance evaluation are shown in Table 10 in comparison with Comparative Example 1.
[0263]
Comparative Example 1
The same thing as Example 1 is used for a to-be-processed object. The process is the same as that of Example 1 except that a surface adjustment process is added and the phosphate chemical conversion treatment is performed electrolessly. The phosphate chemical conversion treatment was performed by electroless treatment by the methods shown in Tables 8 and 9. The coating corrosion resistance was also evaluated in the same manner as in Example 1. The results of coating corrosion resistance evaluation are shown in Table 10 in comparison with Example 1.
[0264]
[Results of coating corrosion resistance evaluation]
Table 10 shows the coating corrosion resistance evaluation results. In comparison between Example 1 and Comparative Example 1, it is clear that the Example has better corrosion resistance. In addition, in the flat portion and the outer peripheral portion, the flat portion is better, but in the case of Example 1, there is almost no difference. However, in Comparative Example 1, there is a large difference in corrosion resistance between the flat portion and the outer peripheral portion. This is because, as described above, in the electroless treatment, the chemical conversion treatment reaction on the metal surface is reduced due to the press working. Since Example 1 is an electrolytic treatment, large electrochemical energy can be used for the electrolytic reaction. Therefore, it has good corrosion resistance because the phosphate chemical conversion film is formed without the influence of press working.
[0265]
[Table 10]
Figure 0003678096
[0266]
[Analysis of formed phosphate chemical conversion coating]
Check the difference in film between electrolytic treatment and electroless treatment.
[0267]
The phosphate chemical conversion films of Example 1 and Comparative Example 1 are analyzed with an energy dispersive X-ray analyzer (EDX) and a glow discharge analyzer (GDS). The analysis was performed separately for the flat portion and the outer peripheral portion. The results are shown in Table 11.
[0268]
[Table 11]
Figure 0003678096
[0269]
First, the result of EDX is analyzed. EDX gives information about the constituent elements of the film. The film analysis is performed under the same conditions from FIG. 5 to FIG.
[0270]
The EDX chart is compared between Example 1 (FIGS. 5 and 6) and Comparative Example 1 (FIGS. 7 and 8) at the same part of the workpiece. Compare the flat part. In FIG. 5 (electrolytic treatment), the peak of nickel is higher than the peak of zinc, but in FIG. 7 (electroless treatment), the peak of zinc is higher than that of nickel. This tendency can also be seen in the comparison of the outer periphery (FIGS. 6 and 8).
[0271]
Table 12 shows the atomic number concentration analysis results of the film obtained from the EDX analysis results performed under the same conditions from FIG. 5 to FIG. The atomic number concentration obtained from the EDX analysis results includes carbon (C) and gold (Au), but carbon and gold are not film components, and are excluded and considered.
[0272]
(Carbon is mixed because the film is washed with an organic solvent before analysis, and gold is used when fixing the test piece to the analytical instrument.) The ratio of film constituent elements is always included as a phosphate film. The calculation is performed by calculating the atomic concentration ratio of each element to phosphorus (P).
[0273]
Consideration of the film is performed by the following two items in terms of the atomic concentration ratio of the metal element.
[0274]
(1) Ratio of metal (Ni) that does not become phosphate / phosphorus (P) of phosphate
(2) Ratio of metal (Ni) that does not become phosphate / metal (Fe) that becomes base and phosphate
[0275]
[Table 12]
Figure 0003678096
[0276]
(1) Ratio of metal (Ni) that does not become phosphate / phosphorus (P) of phosphate
Looking at the Ni / P atomic number concentration ratio, Example 1 has a large amount of Ni in both the flat portion and the outer peripheral portion, 2.1 and 1.9, but Comparative Example 1 has a flat portion 0.01 and an outer peripheral portion. 0.12 and P are extremely large. This indicates that the film formed by electrolytic treatment contains a lot of metal (Ni) that does not become a phosphate. On the other hand, in the electroless treatment, a phosphate-based film is formed, and the result of Comparative Example-1 proves that fact. These results indicate that a film containing a large amount of metal (Ni) that does not become a phosphate is suitable for coating base treatment and improves corrosion resistance.
[0277]
In Comparative Example 1, the flat portion has more phosphorus than the outer peripheral portion. The reason corresponds to the fact that the outer peripheral portion is difficult to form a film, and the phosphate conversion film is not formed reliably, so that the main component of the film is phosphorus.
[0278]
(2) Ratio of metal (Ni) that does not become phosphate / metal (Fe) that becomes base and phosphate
Fe is an element that forms a film with phosphate crystals at the same time as the base. The ratio of Ni / Fe indicates the ratio of Ni to Fe in the film when the film is reliably formed, and indicates the ratio of Ni to the substrate surface when the film is not reliably formed.
[0279]
The Ni / Fe of Example 1 is 1 or more for both the flat portion and the outer peripheral portion, whereas the Ni / Fe of Comparative Example 1 is 1 or less for both the flat portion and the outer peripheral portion. These results also indicate that the Ni content has an influence on the coating corrosion resistance.
[0280]
GDS performs glow discharge on the film, thereby analyzing the elements coming out of the film and obtaining information such as constituent elements of the film and the strength of the film. Therefore, GDS informs (1) the distribution of elements in the film and (2) the bonding strength of the film. “Distribution of elements in the film” can be read directly from the GDS chart. In addition, the “strength of the coating” can be compared by the time to reach the iron base when the analysis is performed under the same conditions. That is, the longer the time to reach the iron substrate, the stronger the coating.
[0281]
In the GDS analysis, the applied voltage is changed depending on the type of element. Therefore, the analysis result of each film does not give information on the “abundance ratio between elements in the film”. However, the analysis of FIGS. 9-12 is performed on the same conditions. Therefore, it is possible to compare the presence of elements in the film between the samples (films).
[0282]
GDS is also the same part of the object to be processed and is compared between the example (FIGS. 9 and 10) and the comparative example (FIGS. 11 and 12).
[0283]
First, (1) compare the distribution of elements in the film.
[0284]
The plane part can analyze how nickel is included in the film by looking at the charts of FIG. 9 (electrolytic treatment) and FIG. 11 (electroless treatment). FIG. 9 (electrolytic treatment) shows that nickel is distributed throughout the film in the direction of permeation through the film. On the other hand, FIG. 11 (electroless treatment) shows that nickel is hardly contained. Moreover, FIG. 9 (electrolytic treatment) shows that iron atoms are gradually increasing in the film, and the iron electrode (anode) used for the electrolytic treatment is dissolved and becomes a film. It suggests. Since iron is different from the behavior of phosphorus (P), it is presumed that it may be incorporated into the film as an iron atom (metal) like nickel. This phenomenon is the same at the outer peripheral portion.
[0285]
Next, {circle over (2)} considers the strength of bonding of the film. The bond strength of the film is obtained by comparing the time (A) required for the film to permeate through the GDS and reach the iron substrate. The results are shown in Table 13.
[0286]
[Table 13]
Figure 0003678096
[0287]
This evaluation shows that the chemical conversion treatment time of the workpiece is almost the same, but Example 1 has a strength three times that of Comparative Example 1.
[0288]
The above results confirm that the phosphate chemical conversion film including precipitation of metal (Ni) accompanied by a change in electric charge due to electrolytic treatment, which is a feature of the present invention, is effective for the coating corrosion resistance, which is a function thereof. Yes.
[0289]
Further, as shown in Table 8, the treatment bath of Example 1 has a nitrate ion concentration of about ½ that of the treatment bath of Comparative Example 1. This is possible only when the electrolytic treatment is performed in a bath not containing sodium ions. Since the nitric acid concentration is lowered, the present invention is an environment-friendly technique.
[0290]
Example 2
The parts used for the automobile starter (starter) in FIG. 13 were used as the objects to be processed. This part (pipe shape having a diameter of 23 mm and a length of 80 mm) is formed with a spiral (spline shape) groove by cold forging press working in order to mesh the gear inside the pipe shape. The material is an alloy material containing about 1% of chromium. The phosphate chemical conversion treatment is performed as a cold forging press lubrication base. Therefore, the purpose of the phosphate conversion coating is to reduce the load during cold forging. Therefore, the film is also evaluated by the load during cold forging.
[0291]
The object to be treated was subjected to electrolytic phosphate chemical treatment under the steps shown in Table 7 and the conditions shown in Tables 8 and 9. In the process after the chemical conversion treatment in Table 6, the object to be processed is reacted with sodium stearate on the phosphate chemical conversion film to form a metal soap film (zinc stearate). Then, cold forging press processing is performed.
[0292]
Comparative Example 2
The same thing as Example 2 is used for a to-be-processed object. The steps are the same as in Example 2 except that pickling is performed and the surface adjustment step is removed, and the phosphate chemical conversion treatment is different. The phosphate chemical conversion treatment was performed by electroless treatment (80 ° C.) by the methods shown in Tables 8 and 9. Comparative Example 2 is a processing method for mass production equipment that is currently flowing.
[0293]
[Evaluation of cold forging press working load, etc.]
Table 14 summarizes the evaluation of the cold forging press working load and the analysis of the film.
[0294]
“Cold forging press, processing load” in Table 14 is a load that the press machine receives during cold forging press processing. The lower the cold forging press working load value, the better the lubrication performance. The analysis of the coating weight was performed by the following method. The “hot water content” is obtained by immersing an object to be treated in water at 100 ° C. for 10 minutes, measuring the weight before and after that, and dividing the obtained weight by the surface area of the object to be treated. The “metal soap content” is obtained by immersing an object to be treated in isopropyl alcohol (IPA) at 75 ° C. for 20 minutes, measuring the weight before and after that, and dividing the obtained weight by the surface area of the object to be treated. “Phosphate film” is a 5% chromic acid (CrO) at 50 to 70 ° C.Three) For 20 minutes, the weight before and after the measurement is measured, and the obtained weight is divided by the surface area of the object to be treated.
[0295]
Further, Table 14 shows the results of analyzing the atomic number concentration (%) of EDX.
[0296]
[Table 14]
Figure 0003678096
[0297]
In the evaluation of the cold forging press working load, Example 2 shows that it is superior to Comparative Example 2. The reason can be clarified from “Results of coating layer stratification and gravimetric analysis” in Table 14. From Table 14 “Results of coating stratification and gravimetric analysis”, the coating of Example 2 contains about 5 times as much metal soap as the coating of Comparative Example 2. Metal soap contributes greatly to cold forging press lubrication. Therefore, it is clear that the cold forging press working load decreases if the component is large.
[0298]
Since the metal soap is zinc stearate, it is necessary to contain a large amount of zinc in the film. Zinc in the film can be known from the analysis result of EDX. Comparing the charts of FIGS. 14 and 15, it can be confirmed that Example 2 (FIG. 14), which is an electrolytic treatment film, contains less iron and more zinc. In addition, it is confirmed by comparing quantitatively with the atomic number concentration (%) analysis result of EDX in Table 12. The chemical structure of the phosphate conversion coating is changed to ZnThree(POFour)2Then, the atomic concentration ratio of Zn to P (Zn / P) is 1.5. In Table 12, when the atomic number concentration ratio of Zn / P is calculated, Example 2 is 1.76, and ZnThree(POFour)2Comparative example 2 is 0.88 and Zn is included.Three(POFour)2Less to correspond to.
[0299]
These indicate that the composition of the film can be changed by electrolytic treatment. That is, ZnThree(POFour)2Excess Zn with respect to the chemical structure suggests that the film is formed as zinc metal with a change in charge. This is possible for the first time by the electrolytic treatment of the present invention. And it greatly contributes to the reduction of the cold forging press working load.
[0300]
Moreover, the analysis result of Table 12 has shown that the film | membrane of Example 2 is a film | membrane which does not contain Ni which is a metal which does not become a phosphate. The electrolytic phosphate chemical conversion treatment can also include a metal that does not become a phosphate as described above.
[0301]
Example 3 and Comparative Example 3
Example 3 and Comparative Example 3 confirm the difference in the film formed by electrolytic treatment.
[0302]
In Example 3 and Comparative Example 3, using the automobile air conditioner parts used in Example 1 and Comparative Example 1 as the objects to be processed, phosphate chemical conversion treatment and electrodeposition coating are performed in the steps of Table 7. . The electrolytic phosphate chemical treatment was performed under the conditions shown in Tables 8 and 9. The main difference between Example 3 and Comparative Example 3 is the difference in the phosphate chemical treatment bath. The bath of Example 3 does not contain Na ions, whereas the bath of Comparative Example 3 contains Na ions. Evaluation of coating corrosion resistance of Example 3 and Comparative Example 3 was performed in the same manner as in Example 1 and Comparative Example 1. The results are shown in Table 15.
[0303]
[Table 15]
Figure 0003678096
[0304]
The results in Table 15 indicate that Example 3 has better coating corrosion resistance than Comparative Example 3.
[0305]
The difference is considered to be caused by the difference in the phosphate chemical conversion film to be formed. Table 16 shows the results of X-ray diffraction patterns of the phosphate chemical conversion films of Example 3 and Comparative Example 3.
[0306]
[Table 16]
Figure 0003678096
[0307]
The difference regarding the phosphate chemical conversion film of Example 3 and Comparative Example 3 is
With or without phosphate crystal peak, (2) With or without Ni peak
It is.
[0308]
The results in Table 16 do not indicate that the film of Example 3 does not contain phosphate crystals.
[0309]
This shows that the phosphate crystals are very fine. As a result, the composite of Ni metal and phosphate crystals is progressing.
[0310]
Table 17 summarizes that the coating of Example 3 showed that the composite of Ni metal and phosphate crystals was progressing.
[0311]
[Table 17]
Figure 0003678096
[0312]
In the SEM photographs magnified 4000 times of FIG. 20 and FIG. 25, the distribution of each element in the film cross section is shown in the analysis photographs of each element (FIGS. 21 to 24, FIGS. 26 to 29). . The result of this photograph shows that each element is uniformly distributed in the film. And this photograph shows that the film contains phosphate but the crystals are fine (results in Table 16).
[0313]
Moreover, although it is indirect, it corresponds also to the GDS analysis result (Table 12 and FIG. 9, FIG. 10) shown in Example 1. FIG.
[0314]
And the result of Table 15 has shown that the film | membrane which refined | dispersed and disperse | distributed the phosphate crystal to Ni obtained from the bath which does not contain Na of Example 3 is effective in coating corrosion resistance.
[0315]
In particular, the X-ray diffractogram shown in Japanese Patent Publication No. 5-82248, which is a prior art of electrolytic phosphate chemical treatment, displays the phosphate peak.
[0316]
Example 4 and Example 5
Examples 4 and 5 are examples in which Ni is reliably formed under the phosphate for the coating base, the amount of Fe electrolysis is reduced, and the decomposition tendency of the treatment bath is reduced as much as possible. Accordingly, in the cathodic electrolysis, in the first stage, only Ni is electrolyzed, and then Ni and Fe are electrolyzed simultaneously. At that time, the amount of Fe electrolysis is reduced to 1/3 to 1/8 of the third embodiment.
[0317]
In Example 4 and Example 5, phosphate chemical conversion treatment and electrodeposition coating are performed in the steps of Table 6 using the automotive air conditioner parts used in Example 3 as the objects to be processed. The electrolytic phosphate chemical treatment was performed under the conditions shown in Tables 8 and 9.
[0318]
Evaluation of coating corrosion resistance in Examples 4 and 5 was performed in the same manner as in Example 1. The results are shown in Table 18.
[0319]
[Table 18]
Figure 0003678096
[0320]
Both Example 4 and Example 5 are better than Comparative Example 3. As described in the first embodiment, the outer peripheral portion is a place where film formation is difficult by electroless treatment. Example 4 and Example 5 show that if the electrolytic treatment of the present invention is performed, a film can be formed even on such a surface, and corrosion resistance can be ensured.
[0321]
Subsequently, the EDX analysis result of the phosphate chemical conversion film obtained in Example 4 and Example 5 is shown.
[0322]
[Table 19]
Figure 0003678096
[0323]
Compared with Table 12, the results of Table 19 show no change in the composition ratio of elements that are not base (Fe). Both Ni and P are elements contained only in the film, but the abundance ratio (Ni / P) is 0.5 or more in both the results of Tables 12 and 18, and Ni is 1 / P of P in the film. It shows that there are more than four. And it has shown that it differs from the film | membrane (refer Table 12) obtained by the electroless process in which Ni / P ratio is far less than 0.25.
[0324]
The examples of Example 4 and Example 5 show an example of cathodic electrolysis using two electrodes of Fe and Ni. And it shows that the method is effective.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a schematic diagram showing an outline of electrolytic treatment.
FIG. 2 is a schematic diagram of an electrolytic reaction system.
FIG. 3 is a configuration diagram showing a configuration of an electrolytic phosphate chemical treatment apparatus.
4 is a perspective view of workpieces of Example 1 and Comparative Example 1. FIG.
FIG. 5 is an EDX analysis chart of the planar portion of the workpiece in Example 1. FIG.
FIG. 6 is an EDX analysis chart of the outer peripheral portion of the workpiece in Example 1.
7 is an EDX analysis chart of a planar portion of an object to be processed in Comparative Example 1. FIG.
FIG. 8 is an EDX analysis chart of the outer periphery of the workpiece in Comparative Example 1;
FIG. 9 is a GDS analysis chart of the planar portion of the workpiece in Example 1.
FIG. 10 is a GDS analysis chart of the outer periphery of the workpiece in Example 1.
FIG. 11 is a GDS analysis chart of the planar portion of the workpiece in Comparative Example 1.
FIG. 12 is a GDS analysis chart of the outer periphery of the workpiece in Comparative Example 1.
FIG. 13 is a perspective view of workpieces of Example 2 and Comparative Example 2.
FIG. 14 is an EDX analysis chart of the planar portion of the workpiece in Example 2.
FIG. 15 is an EDX analysis chart diagram of a planar portion of an object to be processed in Comparative Example 2;
FIG. 16 is an EDX analysis chart of the planar portion of the workpiece in Example 3.
FIG. 17 is an EDX analysis chart of the outer periphery of the workpiece in Example 3.
FIG. 18 is an EDX analysis chart of the planar portion of the workpiece in Comparative Example 1.
FIG. 19 is an EDX analysis chart of the outer periphery of the workpiece in Comparative Example 1.
FIG. 20 is a SEM photograph of the planar portion of the workpiece in Example 3.
FIG. 21 is an analysis photograph of phosphorus in a planar portion of an object to be processed in Example 3.
FIG. 22 is an analysis photograph of zinc in a planar portion of an object to be processed in Example 3.
FIG. 23 is an analysis photograph of nickel on a planar portion of an object to be processed in Example 3.
FIG. 24 is an analysis photograph of iron in the planar portion of the workpiece in Example 3.
FIG. 25 is an SEM photograph of the outer periphery of the workpiece in Example 3.
FIG. 26 is an analysis photograph of phosphorus on the outer periphery of the workpiece in Example 3.
FIG. 27 is an analysis photograph of zinc on the outer periphery of the workpiece in Example 3.
FIG. 28 is an analysis photograph of nickel on the outer periphery of the workpiece in Example 3.
FIG. 29 is an analysis photograph of iron on the outer periphery of the workpiece in Example 3.

Claims (40)

リン酸イオン及びリン酸と、硝酸イオンと、リン酸イオンとリン酸塩化成処理浴中で錯体を形成する金属イオンと、リン酸塩化成処理浴中に溶解しているイオンが還元され、金属として析出する電位が、溶媒である水のアノード電気分解反応電位以上又は−0.83V(水素標準電極電位で表示)以上である金属イオンとを少なくとも含むリン酸塩化成処理浴に、導電性を有する被処理物を接触させ、電解処理することにより、前記被処理物表面に前記リン酸塩と、前記リン酸塩を形成しない金属とを少なくとも含む皮膜を形成する方法であって、
前記リン酸塩化成処理浴は、前記皮膜の成分以外の金属イオンを0〜400ppm有し、かつ前記被処理物表面における電解処理皮膜形成を妨害する固形物を実質的に含有せず、
前記被処理物は、前記リン酸塩化成処理浴にて、リン酸イオンとリン酸塩化成処理浴中で錯体を形成する金属材料と、リン酸塩化成処理浴中に溶解しているイオンが還元され、金属として析出する電位が、溶媒である水のアノード電解分解反応電位以上又は−0.83V(水素標準電極電位で表示)以上である金属材料との間で電解処理される、
事を特徴とする電解リン酸塩化成処理方法。
Phosphate ions and phosphate, nitrate ions, metal ions that form complexes with phosphate ions in the phosphate chemical treatment bath, and ions dissolved in the phosphate chemical treatment bath are reduced to form metal In the phosphate chemical conversion bath containing at least a metal ion having a potential of precipitation as an anode electrolysis reaction potential of water as a solvent or higher than -0.83 V (indicated by hydrogen standard electrode potential) A method of forming a film including at least the phosphate and a metal that does not form the phosphate on the surface of the object to be processed by bringing the object to be processed into contact with each other and performing an electrolytic treatment,
The phosphate chemical conversion bath has 0 to 400 ppm of metal ions other than the components of the film, and does not substantially contain a solid substance that interferes with the formation of an electrolytic treatment film on the surface of the object to be processed .
In the phosphate chemical conversion bath, the object to be treated includes a metal material that forms a complex in the phosphate chemical conversion bath with phosphate ions, and ions dissolved in the phosphate chemical conversion bath. Electrolytic treatment is performed between a metal material that is reduced and deposited as a metal with a potential higher than the anodic electrolysis reaction potential of water as a solvent or higher than −0.83 V (expressed as a hydrogen standard electrode potential).
An electrolytic phosphate chemical treatment method characterized by the above.
前記リン酸塩化成処理浴は、皮膜の成分以外の金属イオンを0〜100ppm含むことを特徴とする請求項1記載の電解リン酸塩化成処理方法。  The electrolytic phosphate chemical treatment method according to claim 1, wherein the phosphate chemical treatment bath contains 0 to 100 ppm of metal ions other than the components of the film. 前記リン酸塩化成処理浴は、前記硝酸イオン濃度が6g/l〜140g/l、前記リン酸イオン及びリン酸の濃度が0.5g/l〜60g/l、リン酸イオンとリン酸塩化成処理浴中で錯体を形成する金属イオンの濃度が0.5g/l〜70g/l、リン酸塩化成処理浴中に溶解しているイオンが還元され、金属として析出する電位が、溶媒である水のアノード電気分解反応電位以上又は−0.83V(水素標準電極電位で表示)以上である金属イオンの濃度が0g/l〜40g/lよりなることを特徴とする請求項1記載の電解リン酸塩化成処理方法。  The phosphate chemical conversion bath has a nitrate ion concentration of 6 g / l to 140 g / l, a phosphate ion concentration of phosphoric acid of 0.5 g / l to 60 g / l, and a phosphate ion and phosphate chemical conversion. The concentration of metal ions forming a complex in the treatment bath is 0.5 g / l to 70 g / l, and ions dissolved in the phosphate chemical treatment bath are reduced, and the potential for precipitation as metal is the solvent. 2. The electrolytic phosphorus according to claim 1, wherein the concentration of the metal ion which is not less than the anodic electrolysis reaction potential of water or not less than −0.83 V (expressed by hydrogen standard electrode potential) is 0 g / l to 40 g / l Acid chemical conversion treatment method. 前記リン酸塩化成処理浴には、前記リン酸イオンの酸の解離度よりも大なる酸の解離度を有する酸を有しないことを特徴とする請求項3記載の電解リン酸塩化成処理方法。  The electrolytic phosphate chemical treatment method according to claim 3, wherein the phosphate chemical conversion bath does not have an acid having an acid dissociation degree greater than the acid dissociation degree of the phosphate ion. . 前記リン酸塩化成処理浴には、前記リン酸イオンの酸の解離度よりも大なる酸の解離度を有する酸は、硝酸よりなることを特徴とする請求項4記載の電解リン酸塩化成処理方法。  5. The electrolytic phosphate chemical treatment according to claim 4, wherein in the phosphate chemical treatment bath, an acid having an acid dissociation degree greater than an acid dissociation degree of the phosphate ions is composed of nitric acid. Processing method. 前記リン酸イオンとリン酸塩化成処理浴中で錯体を形成する金属イオンは、亜鉛、鉄、マンガン及びカルシウムの少なくとも1種よりなることを特徴とする請求項1記載の電解リン酸塩化成処理方法。  2. The electrolytic phosphate chemical treatment according to claim 1, wherein the metal ions forming a complex with the phosphate ion in the phosphate chemical treatment bath comprise at least one of zinc, iron, manganese and calcium. Method. リン酸塩化成処理浴中に溶解しているイオンが還元され、金属として析出する電位が、溶媒である水のアノード電気分解反応電位以上又は−0.83V(水素標準電極電位で表示)以上である金属イオンは、ニッケル及び銅の少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の電解リン酸塩化成処理方法。  Ions dissolved in the phosphating bath are reduced, and the potential for precipitation as a metal is not less than the anode electrolysis reaction potential of water as a solvent or not less than −0.83 V (expressed by hydrogen standard electrode potential). 2. The electrolytic phosphate chemical treatment method according to claim 1, wherein the certain metal ion is at least one of nickel and copper. リン酸イオン及びリン酸と、硝酸イオンと、リン酸イオンとリン酸塩化成処理浴中で錯体を形成する金属イオンとを少なくとも含むリン酸塩化成処理浴に、導電性を有する被処理物を接触させ、電解処理することにより、前記被処理物表面にリン酸塩を少なくとも含む皮膜を形成する方法であって、
前記リン酸塩化成処理浴は、前記皮膜の成分以外の金属イオンを0〜400ppm有し、かつ前記被処理物表面における電解処理皮膜形成を妨害する固形物を実質的に含有せず、
前記被処理物は、前記リン酸塩化成処理浴にて、リン酸イオンとリン酸塩化成処理浴中で錯体を形成する金属材料との間で電解処理される、
事を特徴とする電解リン酸塩化成処理方法。
In a phosphate chemical treatment bath containing at least phosphate ions and phosphoric acid, nitrate ions, and phosphate ions and metal ions that form a complex in the phosphate chemical treatment bath, a conductive object to be treated is provided. A method of forming a film containing at least a phosphate on the surface of the object to be processed by contacting and electrolytically processing,
The phosphate chemical conversion bath has 0 to 400 ppm of metal ions other than the components of the film, and does not substantially contain a solid substance that interferes with the formation of an electrolytic treatment film on the surface of the object to be processed .
The object to be treated is subjected to electrolytic treatment between a phosphate ion and a metal material forming a complex in the phosphate chemical treatment bath in the phosphate chemical treatment bath.
An electrolytic phosphate chemical treatment method characterized by the above.
前記リン酸塩化成処理浴は、前記リン酸塩を少なくとも含む皮膜の成分以外の金属イオンを0〜100ppm含むことを特徴とする請求項8記載の電解リン酸塩化成処理方法。  9. The electrolytic phosphate chemical treatment method according to claim 8, wherein the phosphate chemical treatment bath contains 0 to 100 ppm of metal ions other than the components of the film containing at least the phosphate. 前記リン酸塩化成処理浴は、前記硝酸イオン濃度が6g/l〜140g/l、前記リン酸イオン及びリン酸の濃度が0.5g/l〜60g/l、リン酸イオンとリン酸塩化成処理浴中で錯体を形成する金属イオンの濃度が0.5g/l〜70g/l、よりなることを特徴とする請求項8記載の電解リン酸塩化成処理方法。  The phosphate chemical conversion bath has a nitrate ion concentration of 6 g / l to 140 g / l, a phosphate ion concentration of phosphoric acid of 0.5 g / l to 60 g / l, and a phosphate ion and phosphate chemical conversion. 9. The electrolytic phosphate chemical treatment method according to claim 8, wherein the concentration of metal ions forming a complex in the treatment bath is 0.5 g / l to 70 g / l. 前記リン酸塩化成処理浴には、前記リン酸イオンの酸の解離度よりも大なる酸の解離度を有する酸を有しないことを特徴とする請求項8記載の電解リン酸塩化成処理方法。  9. The electrolytic phosphate chemical treatment method according to claim 8, wherein the phosphate chemical treatment bath does not contain an acid having an acid dissociation degree greater than the acid dissociation degree of the phosphate ion. . 前記リン酸塩化成処理浴には、前記リン酸イオンの酸の解離度よりも大なる酸の解離度を有する酸は、硝酸よりなることを特徴とする請求項11記載の電解リン酸塩化成処理方法。  The electrolytic phosphate chemical conversion according to claim 11, wherein the phosphate chemical conversion bath includes an acid having an acid dissociation degree greater than that of the phosphate ions. Processing method. 前記リン酸イオンとリン酸塩化成処理浴中で錯体を形成する金属イオンは、亜鉛、鉄、マンガン及びカルシウムの少なくとも1種よりなることを特徴とする請求項8記載の電解リン酸塩化成処理方法。  The electrolytic phosphate chemical treatment according to claim 8, wherein the metal ion forming a complex with the phosphate ion in the phosphate chemical treatment bath comprises at least one of zinc, iron, manganese, and calcium. Method. 前記リン酸塩化成処理方法は、前記被処理物を陽極として電解処理をする事を特徴とする請求項1又は8記載の電解リン酸塩化成処理方法。  9. The electrolytic phosphate chemical treatment method according to claim 1 or 8, wherein the phosphate chemical conversion treatment method performs electrolytic treatment using the object to be treated as an anode. 前記リン酸塩化成処理方法は、前記被処理物を陰極として電解処理をする事を特徴とする請求項1又は8記載の電解リン酸塩化成処理方法。  9. The electrolytic phosphate chemical treatment method according to claim 1 or 8, wherein the phosphate chemical conversion treatment method performs electrolytic treatment using the object to be treated as a cathode. 前記リン酸塩化成処理方法は、前記被処理物を陽極として電解処理を行なった後、被処理物を陰極として電解処理を行なう事を特徴とする請求項1又は8記載の電解リン酸塩化成処理方法。  9. The electrolytic phosphate chemical treatment according to claim 1 or 8, wherein the phosphate chemical conversion treatment method performs electrolytic treatment using the workpiece to be treated as an anode and then electrolytic treatment using the workpiece to be treated as a cathode. Processing method. 前記リン酸塩化成処理方法の前記被処理物を陰極として電解処理を行なう陰極電解処理は、前記リン酸塩化成処理浴中に溶解しているイオンが還元され析出する金属と同一の金属材料、及び/又は、リン酸塩化成処理浴に対して不溶性の導電性材料を陽極とする電解処理と、リン酸塩化成処理浴中で錯体を形成する金属材料を陽極とする電解処理の少なくとも一方から構成される事を特徴とする請求項1又は8記載の電解リン酸塩化成処理方法。  Cathodic electrolytic treatment in which electrolytic treatment is performed using the object to be treated of the phosphate chemical treatment method as a cathode is the same metal material as the metal from which ions dissolved in the phosphate chemical treatment bath are reduced and deposited, And / or from at least one of electrolytic treatment using a conductive material insoluble in the phosphating bath as an anode and electrolytic treatment using a metal material forming a complex in the phosphatizing bath as an anode. 9. The electrolytic phosphate chemical treatment method according to claim 1 or 8, wherein the electrolytic phosphate chemical treatment method is constituted. 前記リン酸塩化成処理方法の前記被処理物を陰極として電解処理を行なう陰極電解処理は、前記リン酸塩化成処理浴中に溶解しているイオンが還元され析出する金属と同一の金属材料、及び/又は、リン酸塩化成処理浴に対して不溶性の導電性材料を陽極とする電解処理を行なった後に、リン酸塩化成処理浴中で錯体を形成する金属材料を陽極とする電解処理を行なうことを1サイクルとし、このサイクルを少なくとも1回行なう事を特徴とする請求項1記載の電解リン酸塩化成処理方法。  Cathodic electrolytic treatment in which electrolytic treatment is performed using the object to be treated of the phosphate chemical treatment method as a cathode is the same metal material as the metal from which ions dissolved in the phosphate chemical treatment bath are reduced and deposited, And / or after the electrolytic treatment using an insoluble conductive material as an anode for the phosphate chemical treatment bath, the electrolytic treatment using the metal material forming a complex in the phosphate chemical treatment bath as the anode. 2. The electrolytic phosphate chemical treatment method according to claim 1, wherein one cycle is performed and the cycle is performed at least once. 前記リン酸塩化成処理方法の前記被処理物を陰極として電解処理を行なう陰極電解処理は、前記リン酸塩化成処理浴中に溶解しているイオンが還元され析出する金属と同一の金属材料、及び/又は、リン酸塩化成処理浴に対して不溶性の導電性材料を陽極とする電解処理を行なう電解槽にて電解を行った後、次いで、この電解槽とは別に、リン酸塩化成処理浴中で錯体を形成する金属材料を陽極とする電解処理を行なう電解槽にて、電解処理を単独に行なうことを特徴とする請求項1記載の電解リン酸塩化成処理方法。  Cathodic electrolytic treatment in which electrolytic treatment is performed using the object to be treated of the phosphate chemical treatment method as a cathode is the same metal material as the metal from which ions dissolved in the phosphate chemical treatment bath are reduced and deposited, And / or after performing electrolysis in an electrolytic bath that performs electrolysis using an insoluble conductive material as an anode with respect to the phosphate chemical treatment bath, and then separately from the electrolytic bath, phosphate chemical treatment 2. The electrolytic phosphate chemical treatment method according to claim 1, wherein the electrolytic treatment is carried out independently in an electrolytic bath in which an electrolytic treatment is performed using a metal material forming a complex in a bath as an anode. 前記リン酸塩化成処理浴中に溶解している金属が還元され析出する金属と同一の金属材料は、ニッケル及び銅の少なくとも1種であることを特徴とする請求項17乃至19のいずれか1項記載の電解リン酸塩化成処理方法。  20. The metal material identical to the metal deposited by reduction and precipitation of the metal dissolved in the phosphating bath is at least one of nickel and copper. The electrolytic phosphate chemical treatment method according to Item. 前記リン酸塩化成処理浴中で錯体を形成する金属材料は、亜鉛、鉄、マンガン及びカルシウムの少なくとも1種であることを特徴とする請求項17乃至19のいずれか1項記載の電解リン酸塩化成処理方法。  The electrolytic phosphoric acid according to any one of claims 17 to 19, wherein the metal material forming a complex in the phosphate chemical treatment bath is at least one of zinc, iron, manganese, and calcium. Chlorination treatment method. 前記被処理物が前記リン酸塩化成処理浴と接触していない場合には、前記被処理物を陰極とした電解処理時において、陽極として用いた金属材料を陰極とし、リン酸塩化成処理浴に対して不溶性の材料を陽極として、前記陽極及び陰極間に5V以下の電圧を印加する事を特徴とする請求項1又は8記載の電解リン酸塩化成処理方法。  When the object to be treated is not in contact with the phosphate chemical treatment bath, the electrolytic treatment using the object to be treated as a cathode, the metal material used as the anode as the cathode, and the phosphate chemical treatment bath 9. The electrolytic phosphate chemical treatment method according to claim 1 or 8, wherein a voltage of 5 V or less is applied between the anode and the cathode using an insoluble material as an anode. 前記被処理物が前記リン酸塩化成処理浴と接触していない場合には、前記被処理物を陰極とした電解処理時において、陽極として用いた金属材料を陰極とし、リン酸塩化成処理浴に対して不溶性の材料を陽極として、前記陽極及び陰極間に、前記陰極が実質的に溶解しない程度の電圧を印加する事を特徴とする請求項1又は8記載の電解リン酸塩化成処理方法。  When the object to be treated is not in contact with the phosphate chemical treatment bath, the electrolytic treatment using the object to be treated as a cathode, the metal material used as the anode as the cathode, and the phosphate chemical treatment bath 9. The electrolytic phosphate chemical treatment method according to claim 1 or 8, wherein a voltage that does not substantially dissolve the cathode is applied between the anode and the cathode using an insoluble material as the anode. . 前記リン酸塩化成処理浴を有する浴槽中より、前記リン酸塩化成処理浴の一部を取り出し、前記リン酸塩化成処理浴の液体としてのエネルギー状態を熱力学的に安定にするとともに、その後、再び前記浴槽内に戻すことを特徴とする請求項1又は8記載の電解リン酸塩化成処理方法。  Taking out a part of the phosphate chemical conversion bath from the bath having the phosphate chemical conversion bath, thermodynamically stabilizing the energy state as the liquid of the phosphate chemical conversion bath, and thereafter The electrolytic phosphate chemical treatment method according to claim 1, wherein the electrolytic phosphate conversion treatment method is returned to the bathtub again. 前記リン酸塩化成処理浴を有する浴槽中より、前記リン酸塩化成処理浴の一部を取り出し、成膜反応過程にてリン酸塩化成処理浴中に析出した固形分を除去した後、再び前記浴槽内に戻すことを特徴とする請求項24記載の電解リン酸塩化成処理方法。  After removing a part of the phosphate chemical conversion bath from the bath having the phosphate chemical conversion bath and removing solids deposited in the phosphate chemical conversion bath in the film formation reaction process, The electrolytic phosphate chemical treatment method according to claim 24, wherein the electrolytic phosphate chemical conversion method is returned to the bath. 前記リン酸塩化成処理浴の成分を補給するに際しては、前記リン酸塩化成処理浴の一部を取り出し、該取り出した浴に対し、前記リン酸塩化成処理浴を構成する成分の内、少なくとも1成分における濃度よりも高い濃度の処理浴成分を含む補給液を投入することを特徴とする請求項24記載の電解リン酸塩化成処理方法。  When replenishing the components of the phosphate chemical treatment bath, a part of the phosphate chemical treatment bath is taken out, and at least of the components constituting the phosphate chemical treatment bath with respect to the taken out bath. The electrolytic phosphate chemical treatment method according to claim 24, wherein a replenisher solution containing a treatment bath component having a concentration higher than the concentration of one component is added. 被処理物を陰極として電解処理する電解リン酸塩化成皮膜方法であって、前記皮膜の成分以外の金属イオンを0〜400ppm有し、かつ前記被処理物表面における電解処理皮膜形成を妨害する固形物を実質的に含有しないリン酸塩化成処理浴中において、該リン酸塩化成処理浴中に溶解しているイオンが還元され、金属として析出する電位が、溶媒である水のアノード電気分解反応電位以上又は−0.83V(水素標準電極電位で表示)以上である金属が、リン酸塩化成処理浴に対して溶解し、陽イオンとなった状態から、電解処理により還元され前記被処理物の表面に析出する反応と、リン酸塩化成処理浴中で、リン酸塩化成処理浴中でリン酸イオンと錯体化する金属イオンが、リン酸イオンの脱水素反応に対応して、リン酸塩結晶として析出する反応とから構成される事を特徴とする電解リン酸塩化成処理方法。An electrolytic phosphate chemical coating method for electrolytic treatment using a workpiece as a cathode, comprising 0 to 400 ppm of metal ions other than the components of the coating, and obstructing the formation of an electrolytic coating on the surface of the workpiece In the phosphating bath substantially free of substances, the ions dissolved in the phosphatizing bath are reduced, and the potential for precipitation as a metal is the anodic electrolysis reaction of water as a solvent. The object to be treated is reduced by electrolytic treatment from a state in which a metal having a potential equal to or higher than −0.83 V (expressed by hydrogen standard electrode potential) is dissolved in the phosphate chemical treatment bath and becomes a cation. In the phosphate chemical treatment bath, metal ions that complex with phosphate ions in the phosphate chemical treatment bath react with phosphate ions in response to the dehydrogenation reaction of phosphate ions. As salt crystals Electrolytic phosphate chemical treatment method, characterized in that is composed of a reaction to precipitate. リン酸イオンと錯体化する金属イオンは、Fe、Zn、Mn、Ca及びMgの少なくとも1種であることを特徴とする請求項27記載の電解リン酸塩化成処理方法。  28. The electrolytic phosphate chemical treatment method according to claim 27, wherein the metal ion complexed with the phosphate ion is at least one of Fe, Zn, Mn, Ca and Mg. リン酸塩化成処理浴中に溶解しているイオンが還元され、金属として析出する電位が、溶媒である水のアノード電気分解反応電位以上又は、−0.83V(水素標準電極電位)以上である金属は、Ni,Cu、Fe及びZnの少なくとも1種であることを特徴とする請求項27記載の電解リン酸塩化成処理方法。  Ions dissolved in the phosphating bath are reduced, and the potential for precipitation as a metal is not less than the anode electrolysis reaction potential of water as a solvent or not less than −0.83 V (hydrogen standard electrode potential). 28. The electrolytic phosphate chemical treatment method according to claim 27, wherein the metal is at least one of Ni, Cu, Fe, and Zn. 電解処理を行なっている時の処理浴組成が、リン酸イオンと錯体化する金属イオンの濃度(g/l)/リン酸イオンとリン酸の濃度(g/l)の比率が0.1以上である事を特徴とする請求項1、8及び27の少なくとも1項記載の電解リン酸塩化成処理方法。  The composition of the treatment bath during the electrolytic treatment is such that the ratio of the concentration of metal ions complexed with phosphate ions (g / l) / the concentration of phosphate ions and phosphoric acid (g / l) is 0.1 or more. The electrolytic phosphate chemical treatment method according to at least one of claims 1, 8, and 27, wherein: 前記被処理物を陰極として電解処理する電解リン酸塩化成皮膜方法であって、前記電解処理開始時には、陽極と陰極を形成する前記金属材料間に印加する電圧を変動させることを特徴とする請求項1、8、27の少なくとも1項記載の電解リン酸塩化成処理方法。  An electrolytic phosphate chemical coating method for electrolytic treatment using the object to be treated as a cathode, wherein a voltage applied between the metal material forming the anode and the cathode is varied at the start of the electrolytic treatment. 28. The electrolytic phosphate chemical treatment method according to at least one of items 1, 8, and 27. 前記電解処理開始時における印加電圧の変動はパルス状であることを特徴とする請求項31記載の電解リン酸塩化成処理方法。  32. The electrolytic phosphate chemical treatment method according to claim 31, wherein the fluctuation of the applied voltage at the start of the electrolytic treatment is pulsed. 皮膜の成分以外の金属イオンを0〜400ppm有し、かつ被処理物表面における電解処理皮膜形成を妨害する固形物を実質的に含有しないリン酸塩化成処理浴中に、導電性を有する前記被処理物を接触させ、電解処理することにより、鉄鋼表面に、リン酸塩を形成しない金属と、リン酸塩化合物から構成される皮膜であって、皮膜を構成する前記金属と前記リン酸塩化合物が、皮膜全体に分散している事を特徴とする複合皮膜の形成方法。 In the phosphate chemical conversion bath having 0 to 400 ppm of metal ions other than the components of the coating and substantially free of solid matter that interferes with the formation of the electrolytic treatment coating on the surface of the workpiece, the conductive coating. It is a film composed of a metal that does not form a phosphate on the steel surface and a phosphate compound by bringing the treated product into contact with the electrolytic treatment, and the metal constituting the film and the phosphate compound Is a method of forming a composite film characterized by being dispersed throughout the film . 皮膜の成分以外の金属イオンを0〜400ppm有し、かつ被処理物表面における電解処理皮膜形成を妨害する固形物を実質的に含有しないリン酸塩化成処理浴中に、導電性を有する前記被処理物を接触させ、電解処理することにより、鉄鋼表面に、リン酸塩を形成しない金属と、リン酸塩化合物から構成される前記皮膜であって、皮膜の最表面には、少なくともリン酸塩を形成しない金属を存在させる事を特徴とする複合皮膜の形成方法 In the phosphate chemical conversion bath having 0 to 400 ppm of metal ions other than the components of the coating and substantially free of solid matter that interferes with the formation of the electrolytic treatment coating on the surface of the workpiece, the conductive coating. The coating is made of a metal that does not form a phosphate on a steel surface and a phosphate compound by bringing the treated product into contact with the electrolytic treatment , and at least the phosphate on the outermost surface of the coating A method for forming a composite film, characterized in that a metal that does not form a metal is present. 皮膜の成分以外の金属イオンを0〜400ppm有し、かつ被処理物表面における電解処理皮膜形成を妨害する固形物を実質的に含有しないリン酸塩化成処理浴中に、導電性を有する前記被処理物を接触させ、電解処理することにより、鉄鋼表面に、リン酸塩を形成しない金属と、リン酸塩化合物から構成される前記皮膜であって、前記皮膜は、X線回折分析で、リン酸塩の不可避的なピーク以外のピークを示さない事を特徴とする複合皮膜の形成方法 In the phosphate chemical conversion bath having 0 to 400 ppm of metal ions other than the components of the coating and substantially free of solid matter that interferes with the formation of the electrolytic treatment coating on the surface of the workpiece, the conductive coating. The film is composed of a metal that does not form a phosphate and a phosphate compound on a steel surface by bringing a treated product into contact with the surface of the steel, and the film is formed of a phosphorous compound by X-ray diffraction analysis. A method for forming a composite film, wherein no peak other than the inevitable peak of an acid salt is exhibited. 皮膜の成分以外の金属イオンを0〜400ppm有し、かつ被処理物表面における電解処理皮膜形成を妨害する固形物を実質的に含有しないリン酸塩化成処理浴中に、導電性を有する前記被処理物を接触させ、電解処理することにより、鉄鋼表面に、リン酸塩を形成しない金属と、リン酸塩化合物から構成される前記皮膜であって、リン酸塩を形成しない金属の原子数が、リン酸塩結晶を構成するリンの原子数の0.25以上有する事を特徴とする複合皮膜の形成方法 In the phosphate chemical conversion bath having 0 to 400 ppm of metal ions other than the components of the coating and substantially free of solid matter that interferes with the formation of the electrolytic treatment coating on the surface of the workpiece, the conductive coating. By contacting the treated material and subjecting it to an electrolytic treatment, the number of atoms of the metal that does not form phosphate on the steel surface and the coating composed of a phosphate compound, and that does not form phosphate. The method for forming a composite film, characterized by having 0.25 or more of the number of phosphorus atoms constituting the phosphate crystal. 前記リン酸塩を形成しない金属は、Ni,Cu、Fe及びZnの少なくとも1種であることを特徴とする請求項33乃至36の少なくとも1項記載の複合皮膜。  37. The composite coating according to claim 33, wherein the metal that does not form phosphate is at least one of Ni, Cu, Fe, and Zn. リン酸塩化合物を形成する金属は、Fe、Zn、Mn、Ca及びMgの少なくとも1種であることを特徴とする請求項33乃至36の少なくとも1項記載の複合皮膜。  37. The composite film according to claim 33, wherein the metal forming the phosphate compound is at least one of Fe, Zn, Mn, Ca and Mg. 前記鉄鋼は、鉄鋼の全体を100重量%とした時に、鉄(Fe)が、95重量%以上含有されていることを特徴とする請求項33乃至36の少なくとも1項記載の複合皮膜。  37. The composite coating according to claim 33, wherein the steel contains 95% by weight or more of iron (Fe) when the entire steel is 100% by weight. 前記X線回折分析は、ESCA又はEDXにて分析されていることを特徴とする請求項35記載の複合皮膜。  36. The composite coating according to claim 35, wherein the X-ray diffraction analysis is analyzed by ESCA or EDX.
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