JP3670989B2 - ディジタル放送受信装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、衛星ディジタル放送や地上波ディジタル放送を受信するディジタル放送受信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、衛星を用いたディジタル放送受信システムにおいては、ディジタル信号圧縮技術を用いて映像・音声信号を圧縮するとともに、複数番組の映像・音声ディジタル信号を時分割多重したストリーム(トランスポートストリーム)をトランスポンダ(衛星中継器)を経由して放送を行っている。一方、このようなディジタル放送を受信する放送受信装置は、アンテナを通して受け取ったディジタル放送の複数のトランスポンダのなかから一つをチューナによって選択し、この一つのトランスポンダに含まれる複数のチャンネルのうち一つをデマルチプレクス処理によって選択し、この選択したチャンネルのディジタル信号をデコードすることによって映像・音声信号を出力するようになっている。
【0003】
ところで、このようなディジタルテレビ放送では、従来のアナログ放送と同様に映像や音声を送信することに加え、映像に字幕を付加する字幕放送やデータ放送も行えるようになっている。そして、このようなデータ放送等を受信する放送受信装置では、データ放送等で送信されたコンテンツを成すBML(XML)に基づいて、BML(XML)エンジンにて描画データを生成し、OSD(オンスクリーンディスプレイ)にて映像信号に組み込むようになっている。
【0004】
上記データ放送等では、データカルーセル伝送方式が用いられる。ここで、通常の放送におけるチャンネルに相当するものはサービスと呼ばれ、図3及び図4に示すように、各サービスは複数のコンポーネントを含み、各コンポーネントは複数のモジュールを含んで構成される。各サービスはサービス識別(service_id)によって一意に識別され、各コンポーネントは、サービス内において、コンポーネント識別(component_tag)によって一意に識別され、各モジュールは、コンポーネント内において、モジュール識別(module_id)によって一意に識別される(すなわち、モジュールはservice_id/component_tag/module_idによって一意に識別される)。
【0005】
前記コンポーネントは、DII(DownloadInfoIndication)と呼ばれるディレクトリ情報と、データの実体となる複数のモジュールを伝送する。これらのデータは繰り返し伝送される。データ放送の提示に必要とされるモジュールは、受信装置内のコンテンツメモリに格納され、不要となったモジュールはコンテンツメモリから削除される。
【0006】
DIIはデータカルーセルに含まれるモジュールの総数、および各モジュールのバージョンおよびサイズなどの情報を含む。モジュールのバージョンが変化した場合は、それ以前に伝送されていたモジュールは不要となり、新バージョンのモジュールを受信することとなる。また、DIIは、データイベント識別(data_event_id)を含む。
【0007】
DIIは、データカルーセルに含まれるモジュールの総数が変化した場合や、少なくとも1つのモジュールが更新された場合、およびローカルコンテンツが切り替わった場合に更新される。DIIのバージョンを識別するために、DIIはトランザクション識別(transaction_id)を含み、DIIの内容に変化があった場合は、transaction_idが更新(1インクリメント)される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ディジタル放送受信装置にはメモリが搭載されるが、このメモリを前記モジュールを格納するためのコンテンツエリアとBML(XML)エンジンのワークエリアとに分けて使用することで、メモリの有効活用を図ることが考えられる。しかしながら、このようなメモリ分割使用において、モジュール(特に最新モジュール)はできるだけ格納したいとする要求に対し、ワークエリアが不足した場合にはBML(XML)エンジンが最悪ハングアップしてしまうといったこととの兼ね合いから、単純なメモリ分割使用では上記要求に応えることができない。
【0009】
この発明は、上記の事情に鑑み、モジュールをできるだけ格納したいとする要求と、ワークエリアが不足した場合にはソフトウェアが最悪ハングアップしてしまうといったこととの兼ね合いを好適に調整することができるディジタル放送受信装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明のディジタル放送受信装置は、上記の課題を解決するために、ディジタル放送波から取得した複数のモジュールを格納することができるコンテンツエリアを提供すると共に所定のソフトウェアにワークエリアを提供するメモリと、前記モジュールに優先度を与える手段と、メモリの領域分け用の第1境界値とこの第1境界値よりも大きいコンテンツエリアを与える第2境界値とを設定し、取得したモジュールを格納したとすると第1境界値を越えることとなる場合に、優先度P1以下の格納済のモジュールを削除することにより、取得したモジュールの格納領域を第1境界値内で確保するメモリ制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
上記構成であれば、第1境界値をできるだけ越えないで優先度の高いコンテンツをメモリに格納していく処理が実行される。そして、第1境界値から第2境界値までをワークエリアとして使えるように基本的には解放しておき、所定のソフトウェアからのメモリ使用要求に迅速に(コンテンツ削除の処理を行わなくても)対応することができることになる。
【0012】
メモリ制御手段は、削除対象となる優先度P1以下の格納済モジュールが無い場合に、第2境界値内で格納可能なサイズであれば、取得したモジュールを第2境界値内で格納するようになっていてもよい。これによれば、メモリの領域分け用の第1境界値をできるだけ越えないこととしつつ、優先度P1より高い優先度の格納済モジュールしか残っていない場合には、メモリの領域分け用の第2境界値を越えないでコンテンツをメモリに格納していく処理が実行される。
【0013】
メモリ制御手段は、取得したモジュールが第2境界値内で格納可能なサイズでない場合には、優先度P1よりも優先度が高い優先度P2以下の格納済モジュールを削除することにより、取得したモジュールの格納領域を第2境界値内で確保するようになっていてもよい。取得したモジュールは格納済モジュールよりも優先度が高いのが通常であり、優先度P2の格納済モジュールを削除してでも取得したモジュールを格納していくことが実行されることになる。
【0014】
メモリ制御手段は、取得したモジュールが第2境界値内で格納可能なサイズでない場合で優先度P2以下の格納済モジュールがない場合には、取得したモジュールを破棄するのがよい。
【0015】
メモリ制御手段は、第2境界値を越えるワークエリアの要求があった場合に、格納済モジュールを優先度の低いもの順で削除することにより、第1境界値を越えない範囲でワークエリアを確保していくようになっていてもよい。
【0016】
前記ワークエリアを使用するソフトウェアはコンテンツエリアに格納されたモジュールに基づいて描画データを出力する閲覧ソフトウェアとしてもよい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態を図1及び図2に基づいて説明するが、ここではユーザがBS(Broadcasting Satellite)ディジタル放送を視聴する場合を例示している。なお、従来項で用いた図3をここで再び用いることとする。この図3で表記している数値はモジュールの優先度を表す。
【0018】
アンテナ1は、屋外において所定の方向に向けて配置されており、BSから送られてくるディジタル放送信号を受信する。このアンテナ1は、一般に周波数変換器を備え、受信/周波数変換した信号をチューナ2に与える。
【0019】
チューナ2は、受信した高周波ディジタル変調信号のうちから特定周波数の信号を取り出す。すなわち、ディジタル放送の複数のトランスポンダのなかから一つを選択する処理を行う。また、チューナ2は、復調回路、逆インタリーブ回路、誤り訂正回路などを備えることにより、選択したディジタル変調信号を復調してトランスポート・ストリームを出力する。
【0020】
デマルチプレクサ(DEMUX)3は、チューナ2から受け取ったトランスポート・ストリームを、MPEG2(Moving Picture Experts Group2)のビデオトランスポートパケット、オーディオトランスポートパケット、PSI/SI(Program Specific Information/Service Information)、及びコンテンツデータに分離する。デマルチプレクサ3は、ビデオトランスポートパケットとオーディオトランスポートパケットをAVデコーダ4に供給し、PSI/SIやダウンロードコンテンツ等をCPU13に供給する。なお、前述のごとく、トランスポート・ストリームには複数のチャンネルが多重化されており、このなかから任意のチャンネルを選択するための処理は、前記PSI/SIから任意のチャンネルがトランスポート・ストリーム中でどのパケットIDで多重化されているかといったデータを取り出すことで可能となる。また、トランスポート・ストリームの選定(トランスポンダの選定)もPSI/SIの情報に基づいて行うことができる。
【0021】
AVデコーダ4は、ビデオトランスポートパケットに対してデコードを行うビデオデコーダ、及びオーディオトランスポートパケットに対してデコードを行うオーディオデコーダを備える。ビデオデコーダは、入力された可変長符号を復号して量子化係数や動きベクトルを求め、逆DCT変換や動きベクトルに基づく動き補償制御などを行う。オーディオデコーダは、入力された符号化信号を復号して音声データを生成する。デコードにより生成された映像データは映像処理回路5に出力され、音声データは音声処理回路6に出力される。
【0022】
映像処理回路5はAVデコーダ4から映像データを受け取り、D/A変換を行い、例えばNTSCフォーマットのコンポジット信号に変換する。音声信号処理回路6はAVデコーダ4から出力された音声データを受け取り、D/A変換を行い、右(R)音のアナログ信号および左(L)音のアナログ信号を生成する。映像出力回路7及び音声出力回路8は出力抵抗や増幅器等を備えて成る。AV出力端子9には出力部(左右音声出力端子および映像出力端子のセット)が設けられており、この出力部には図示しないモニタが接続される。
【0023】
OSD(オンスクリーンディスプレイ)表示回路12は、CPU13から出力指示された文字情報や図形情報に基づくビットマップデータを加算器20に出力する。加算器20は前記ビットマップデータを映像に組み込む。上記OSD表示回路12により、CPU13が受け取った前述のPSIに含まれるサービス情報に基づく電子番組ガイド(EPG:(Electronic Program Guide))の他、データ放送画面や字幕画面が表示される。
【0024】
リモコン送信機10は、当該放送受信装置30に指令を送出するための送信機である。リモコン送信機10には、電源キー、チャンネル指定キー、方向キー、決定キーなどが設けられている。このリモコン送信機10に設けられたキーを操作すると、それらキーに対応した指令を意味する信号光(リモコン信号)が図示しない発光部から送出される。リモコン受光器11は、前記信号光を受光し、これを電気信号に変換してCPU13に与える。
【0025】
メモリ(例えば、EEPROM等)14は、サービスの内容(コンテンツ)を格納するためのコンテンツエリアとBML(XML)エンジンのワークエリアとに分けて使用される。なお、前述のPSI/SIなどもメモリ14を用いて格納することも可能である。サービスは、図3に示したように、複数のコンポーネントを含み、各コンポーネントは複数のモジュールを含んで構成される。各サービスはサービス識別(service_id)によって一意に識別され、各コンポーネントは、サービス内において、コンポーネント識別(component_tag)によって一意に識別され、各モジュールは、コンポーネント内において、モジュール識別(module_id)によって一意に識別される。前記コンポーネントは、DII(DownloadInfoIndication)と呼ばれるディレクトリ情報と、データの実体となる複数のモジュールを含む。
【0026】
CPU13は、ディジタル放送受信装置30における全体制御を行うものであるが、特にこの発明にかかる処理として、メモリ14に格納したモジュールに優先度を与え、また変化させていく処理を行ったり、モジュールをメモリ14に格納していくアプリケーションによってデータ格納処理を行ったり、データ放送等で送信されたコンテンツを処理するBML(XML)エンジンとなるアプリケーションにより、描画データを生成してOSD回路11に与えたり、前記両アプリケーションからのメモリ要求に対して調整を行うメモリ制御部(メモリマネージャ)として機能する。
【0027】
上記メモリ制御を図2のフローチャートに基づいて説明していく。なお、ここでは、格納しようとするモジュールをモジュールMとし、そのサイズ(module_size)をSmとし、格納済モジュールのトータルサイズ(total_size)をStとする。また、メモリの領域分け用の第1境界値をCとし、この第1境界値よりも大きいコンテンツエリアを与える第2境界値をBとする。メモリ14の総容量をAとすると、C<B<Aの関係となる。また、優先度P1よりも優先度P2の方が優先度が高いものとする。優先度は、例えば、図3に例示しているように、最も高いものを100とし、最新のモジュールほど優先度が高いこととする。また、受信するサービスやコンポーネントを切り替えた場合も切替前のモジュールを格納しておくこととする場合には、この切替前のモジュールの優先度は低くなる。
【0028】
モジュールMの格納要求があったときは、St+Sm<Cであるかどうかを判断する(ステップS1)。この判断でYESの結果が得られた場合には、モジュールMを格納する(ステップS10)。一方、NOの結果が得られた場合には、優先度P1以下のモジュールが存在するかどうかを判断し(ステップS2)、存在する場合には優先度P1以下のモジュール(このモジュールのサイズをSdとする)を1つ削除する(ステップS3)。そして、StからSdを減算した値をあらためてStとおき(ステップS4)、ステップS1へと戻る。
【0029】
一方、ステップS2においてNOの結果が得られた場合には、St+Sm<Bであるかどうかを判断し(ステップS5)、YESの結果が得られた場合にはモジュールMを格納する(ステップS10)。一方、ステップS5においてNOの結果が得られた場合には、優先度P2以下のモジュールが存在するかどうかを判断し(ステップS6)、存在しない場合にはモジュールMを破棄する(ステップS9)。存在する場合には、優先度P2以下のモジュール(サイズSd)を1つ削除する(ステップS7)。そして、StからSdを減算した値をあらためてStとおき(ステップS8)、ステップS5へと戻る。
【0030】
上記のごとく、取得したモジュールMを格納したとすると第1境界値Cを越えることとなる場合に、優先度P1以下の格納済のモジュールを削除することにより、取得したモジュールMの格納領域を第1境界値C内で確保するので、この第1境界値Cをできるだけ越えないで優先度の高いコンテンツをメモリ14に格納していく処理が実行されることになる。従って、第1境界値Cから第2境界値Bまでをワークエリアとして基本的には何時でも使えるようにしておき、BML(XML)エンジンからのメモリ使用要求に迅速に(コンテンツ削除の処理を行わなくても)対応することができることになる。
【0031】
そして、削除対象となる優先度P1以下の格納済モジュールが無い場合に、第2境界値B内で格納可能なサイズであれば、取得したモジュールMを第2境界値内で格納し、また、取得したモジュールMが第2境界値B内で格納可能なサイズでない場合には、優先度P2以下の格納済モジュールを削除し、取得したモジュールMの格納領域を第2境界値B内で確保するようにしている。すなわち、第1境界値Cを越えてでも必要となるコンテンツ(例えば、同時に使用するファイル)については、当該コンテンツを極力蓄えることを可能にしている。
【0032】
第1境界値Cから第2境界値Bまでがコンテンツエリアとして使用されている状態で、第2境界値を越えるワークエリアの要求があった場合には、格納済モジュールを優先度の低いもの順で削除することにより、第1境界値を越えない範囲でワークエリアを確保することができる。
【0033】
なお、削除対象となるモジュールを一つずつ、即ちモジュール単位で削除することとしたが、これに限定されるものではない。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、モジュールをできるだけ格納したいとする要求と、ワークエリアが不足した場合にはソフトウェアが最悪ハングアップしてしまうといったこととの兼ね合いを好適に調整することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態のディジタル放送受信装置を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施形態のメモリ制御内容を示したフローチャートである。
【図3】サービスの構成を示した説明図である。
【図4】DIIの情報内容を示した説明図である。
【符号の説明】
1 アンテナ
2 チューナ
3 デマルチプレクサ(DEMUX)
4 AVデコーダ
11 OSD回路
13 CPU
14 メモリ

Claims (6)

  1. ディジタル放送波から取得した複数のモジュールを格納することができるコンテンツエリアを提供すると共に所定のソフトウェアにワークエリアを提供するメモリと、前記モジュールに優先度を与える手段と、メモリの領域分け用の第1境界値とこの第1境界値よりも大きいコンテンツエリアを与える第2境界値とを設定し、取得したモジュールを格納したとすると第1境界値を越えることとなる場合に、優先度が所定値P1以下の格納済のモジュールを削除することにより、取得したモジュールの格納領域を第1境界値内で確保するメモリ制御手段と、を備えたことを特徴とするディジタル放送受信装置。
  2. 請求項1に記載のディジタル放送受信装置において、メモリ制御手段は、削除対象となる優先度P1以下の格納済モジュールが無い場合に、第2境界値内で格納可能なサイズであれば、取得したモジュールを第2境界値内で格納することを特徴とするディジタル放送受信装置。
  3. 請求項2に記載のディジタル放送受信装置において、メモリ制御手段は、取得したモジュールが第2境界値内で格納可能なサイズでない場合には、優先度P1よりも優先度が高い優先度P2以下の格納済モジュールを削除することにより、取得したモジュールの格納領域を第2境界値内で確保することを特徴とするディジタル放送受信装置。
  4. 請求項3に記載のディジタル放送受信装置において、メモリ制御手段は、取得したモジュールが第2境界値内で格納可能なサイズでない場合で優先度P2以下の格納済モジュールがない場合には、取得したモジュールを破棄することを特徴とするディジタル放送受信装置。
  5. 請求項2乃至請求項4のいずれかに記載のディジタル放送受信装置において、メモリ制御手段は、第2境界値を越えるワークエリアの要求があった場合に、格納済モジュールを優先度の低いもの順で削除することにより、第1境界値を越えない範囲でワークエリアを確保していくことを特徴とするディジタル放送受信装置。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のディジタル放送受信装置において、前記ワークエリアを使用するソフトウェアはコンテンツエリアに格納されたモジュールに基づいて描画データを出力する閲覧ソフトウェアであることを特徴とするディジタル放送受信装置。
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