JP3670929B2 - Exchange coupling film, magnetoresistive element using the exchange coupling film, and thin film magnetic head using the magnetoresistive element - Google Patents

Exchange coupling film, magnetoresistive element using the exchange coupling film, and thin film magnetic head using the magnetoresistive element Download PDF

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Description

【発明の属する技術分野】
【0001】
【従来の技術】
本発明は、反強磁性層と強磁性層とから成り、前記反強磁性層と強磁性層との界面にて発生する交換結合磁界により、前記強磁性層の磁化方向が一定の方向に固定される交換結合膜に係り、特に大きい前記交換結合磁界を得られるようにした交換結合膜およびこの交換結合膜を用いた磁気抵抗効果素子(スピンバルブ型薄膜素子、AMR素子)、ならびに前記磁気抵抗効果素子を用いた薄膜磁気ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
スピンバルブ型薄膜素子は、巨大磁気抵抗効果を利用したGMR(giant magnetoresistive)素子の1種であり、ハードディスクなどの記録媒体からの記録磁界を検出するものである。
【0003】
このスピンバルブ型薄膜素子は、GMR素子の中でも比較的構造が単純で、しかも弱い磁界で抵抗が変化するなど、いくつかの優れた点を有している。
【0004】
前記スピンバルブ型薄膜素子は、最も単純な構造で、反強磁性層、固定磁性層、非磁性中間層およびフリー磁性層から成る。
【0005】
前記反強磁性層と固定磁性層とは接して形成され、前記反強磁性層と固定磁性層との界面にて発生する交換異方性磁界により、前記固定磁性層の磁化方向は一定方向に単磁区化され固定される。
【0006】
フリー磁性層の磁化は、その両側に形成されたバイアス層により、前記固定磁性層の磁化方向と交叉する方向に揃えられる。
【0007】
前記反強磁性層には、Fe−Mn(鉄−マンガン)合金膜、Ni−Mn(ニッケル−マンガン)合金膜、あるいはPt−Mn(白金−マンガン)合金膜等が一般的に使用されているが、この中でも特にPt−Mn合金膜はブロッキング温度が高く、しかも耐食性に優れるなど種々の優れた点を有しており、脚光を浴びている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、反強磁性層にPtMn合金膜を使用した場合、成膜した段階では前記反強磁性層の結晶構造は、原子の配列順序が不規則な面心立方格子となっていることがわかっている。
【0009】
前記反強磁性層を成膜後、前記反強磁性層と強磁性層間で適切な大きさの交換結合磁界を発生させるには、前記反強磁性層の結晶構造が不規則相としての面心立方格子から規則相としてのCuAu−I型の面心正方格子に変態する必要があり、このような変態は熱処理を施すことによって引き起こされる。
【0010】
またPtMn合金は、バルクタイプでは、PtとMnとのat%が50:50である場合に、CuAu−I型の面心正方格子になり易く最も反強磁性の性質になりやすいことがわかっており、したがって本発明者らは、スピンバルブ型薄膜素子の反強磁性層として、PtMn合金膜を使用し、このとき前記PtとMnとのat%をほぼ50:50にして前記反強磁性層と強磁性層間で発生する交換結合磁界の大きさを測定してみた。
【0011】
しかしながらPtとMnの組成比がバルクタイプでの理想組成であるにもかかわらず、充分な大きさの交換結合磁界が得られないことがわかった。
【0012】
これは熱処理を施しても前記反強磁性層の結晶構造が不規則格子から規則格子に充分に変態しないことが原因であると考えられる。
【0013】
本発明は上記従来の課題を解決するためのものであり、反強磁性層として、元素X(Xは白金族元素)とMnとを含有する反強磁性材料を用いた場合、大きい交換異方性磁界を発生することができるようにした交換結合膜、およびこの交換結合膜を用いた磁気抵抗効果素子、ならびに前記磁気抵抗効果素子を用いた薄膜磁気ヘッドに関する。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、反強磁性層と強磁性層との界面に交換結合磁界が生じる交換結合膜において、
前記反強磁性層は、元素X(ただしXは、Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,Osのうち1種または2種以上の元素である)とMnとを含有する反強磁性材料で形成され、膜厚方向の中間領域から強磁性層側に向うにしたがってMnに対する元素Xの原子%の比率が増加する領域と、前記中間領域から前記強磁性層と反対側に向かうにしたがってMnに対する元素Xの原子%の比率が増加する領域とが存在し、
前記反強磁性層の、前記強磁性層との界面近傍、及び前記界面と反対側の面の近傍では、全元素の組成比を100at%としたときに、元素Xの組成比が50(at%)より大きく65(at%)以下であり、
前記反強磁性層の膜厚方向の中間には、全元素の組成比を100at%としたときに、元素Xの組成比が、44(at%)以上57(at%)以下の領域が存在し、
前記反強磁性層の少なくとも一部の結晶構造がCuAu−I型の面心正方規則格子であることを特徴とするものである。
【0015】
上記の本発明における交換結合膜は、強磁性層及び反強磁性層を成膜し、その後熱処理を施したときの構造である。
【0016】
本発明における交換結合膜の反強磁性層には、膜厚方向の中間領域から強磁性層側に向かうにしたがってMnに対する元素Xの原子%の比率が増加する領域と、前記中間領域から前記強磁性層と反対側に向かうにしたがって、Mnに対する元素Xの原子%の比率が増加する領域とが存在する。さらに前記反強磁性層の一部の結晶構造が、CuAu−I型の面心正方規則格子となっている。
【0017】
上記した組成変化(組成変調)を起す領域が存在するのは、後述する製造方法に起因するものであるが、本発明ではこのような組成変調を起す領域が存在することで、強磁性層との界面では前記強磁性層の結晶構造等に拘束されることなく、また前記強磁性層との反対側の面に接する層の結晶構造等に拘束されることなく、前記反強磁性層は全体的に適切な規則変態を起しており、一部の結晶構造が、CuAu−I型の面心正方規則格子となっているのである。
【0018】
本発明のように、熱処理後においてMnに対する元素Xの原子%の比率が、強磁性層及び強磁性層と反対側に向かうにしたがって増加する領域が存在し、さらに前記反強磁性層の結晶構造の少なくとも一部が規則格子となっている交換結合膜を形成するには、成膜段階(熱処理前)に如何なる構造の反強磁性層を形成するかが重要であり、本発明では、例えば以下のように反強磁性層を成膜している。
【0019】
既に述べたように、PtとMnとの組成比をat%で50:50にすると、結晶構造は規則格子になり最も反強磁性の性質を発揮するが、強磁性層との界面では非整合になりにくいために、熱処理によって不規則格子から規則格子への変態が充分になされず、結果的に充分な交換結合磁界を得ることができない。
【0020】
一方、Pt量を50at%よりも低くすると、結晶構造が熱処理によって規則格子に変態しづらく反強磁性の性質になり難いのと同時に、前記強磁性層との界面では、整合状態が強くなることから、交換結合磁界は非常に低いものとなってしまう。
【0021】
またPt量を50at%よりも多くしていくと、前記強磁性層との界面では非整合状態になりやすくなるものの、結晶構造は熱処理によって規則格子に変態しづらく反強磁性層の性質になり難いために、結果的に交換結合磁界は非常に低いものとなってしまう。
【0022】
そこで上記観点から、反強磁性層を成膜する際(熱処理前)に、例えば、強磁性層と接する側に、Pt量が多くされ、強磁性層との界面で非整合状態を作り易い組成のPtMn合金膜(第1の反強磁性層と呼ぶ)を薄い膜厚で形成し、前記第1の反強磁性層に接し、熱処理を施したときに不規則格子から規則格子に変態しやすい組成で形成されたPtMn合金膜(第2の反強磁性層と呼ぶ)を、前記第1の反強磁性層に比べて厚い膜厚で形成し、さらに前記第2の反強磁性層に接し、Pt量が多くされた第3の反強磁性層を薄い膜厚で形成するのである。
【0023】
前記成膜段階(熱処理前)における反強磁性層は、強磁性層との界面で前記強磁性層の結晶構造等に拘束されず、不規則格子から規則格子に変態しやすい組成で形成された第2の反強磁性層の部分が、熱処理によって適切に変態を起こし、また前記規則化が始まると、前記第1の反強磁性層と第2の反強磁性層とが組成拡散を起こすと考えられ、また第3の反強磁性層と第2の反強磁性層間でも上記の組成拡散が起こり、これによって前記第1の反強磁性層及び第3の反強磁性層の部分では、Pt量が成膜段階(熱処理前)の組成から変動して、不規則格子から規則格子に変態しやすい組成に変化し、前記第1の反強磁性層及び第3の反強磁性層の部分でも前記変態が引き起こされると考えられる。
【0024】
すなわち上記した製法では、成膜段階(熱処理前)において、CuAu−I型の面心正方規則格子になりやすい理想的な組成で形成された第2の反強磁性層の上下をPt量の多い第1反強磁性層及び第3の反強磁性層で挟み、これによって熱処理を施すことにより、前記反強磁性層を不規則格子から規則格子に充分に変態させることができ、従来よりも大きな交換結合磁界を得ることが可能になるのである。
【0025】
そして、上記のようにして形成された熱処理後における交換結合膜では、組成変調を起こして、反強磁性層の膜厚方向の中間領域から強磁性層側に向かうにしたがって、及び前記中間領域から強磁性層と反対側に向かうにしたがって元素Xの原子%の比率が増加する領域が存在する。しかも前記反強磁性層の少なくとも一部の結晶構造がCuAu−I型の面心正方規則格子となっているのである。
【0026】
なお成膜段階において、第2の反強磁性層に接してPt量の多い第3の反強磁性層を形成する理由は、前記反強磁性層の強磁性層側と反対側の面近傍において適切な規則変態を促し反強磁性層全体での規則変態により大きな交換結合磁界を得るためである。
【0027】
前記反対側の面には、例えば非磁性の下地層や保護層、あるいは後で詳述するようにシードレイヤ等の様々な層が接合されるが、これらの層の結晶構造やあるいはその他の要因が、反強磁性層の規則変態を阻害し、交換結合磁界の低下に繋がる恐れがある。このため本発明では、Pt量が多く格子定数が大きくされた第3の反強磁性層を、前記反対側の面側に形成しておくことで上記した結晶構造の影響等を受けることなく、反強磁性層の規則変態を促進させ、大きな交換結合磁界を得られるようにしているのである。
【0028】
また本発明は、反強磁性層と強磁性層との界面に交換結合磁界が生じる交換結合膜において、
前記反強磁性層は、元素Xと元素X′(ただしXは、Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,Osのうち1種または2種以上の元素であり、元素X′は、Ne,Ar,Kr,Xe,Be,B,C,N,Mg,Al,Si,P,Ti,V,Cr,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Zr,Nb,Mo,Ag,Cd,Sn,Hf,Ta,W,Re,Au,Pb、及び希土類元素のうち1種または2種以上の元素である)とMnとを含有する反強磁性材料で形成され、膜厚方向の中間領域から強磁性層側に向うにしたがってMnに対する元素X+X′の原子%の比率が増加する領域と、前記中間領域から前記強磁性層と反対側に向かうにしたがってMnに対する元素X+X′の原子%の比率が増加する領域とが存在し、
前記反強磁性層の、前記強磁性層との界面近傍、及び前記界面と反対側の面の近傍では、全元素の組成比を100at%としたときに、元素X+X′の組成比が50(at%)より大きく65(at%)以下であり、
前記反強磁性層の膜厚方向の中間には、全元素の組成比を100at%としたときに、元素X+X′の組成比が、44(at%)以上57(at%)以下の領域が存在し、
前記反強磁性層の少なくとも一部の結晶構造がCuAu−I型の面心正方規則格子であることを特徴とするものである。
【0029】
上記の発明では反強磁性層として元素Xと元素X′とMnとを含有した反強磁性材料を使用している。この発明においても成膜段階における前記反強磁性層は、例えば上記した3層膜で形成され、第2の反強磁性層の元素X+X′の組成比は、第1及び第3の反強磁性層の元素X+X′の組成比よりも小さく形成される。そして熱処理を施すと、第2の反強磁性層の部分が規則変態を開始し、さらに組成拡散を起すことで第1及び第3の反強磁性層の部分でも規則変態が促進され、反強磁性層全体が規則変態される。これによって従来よりも大きな交換結合磁界を得ることが可能なのである。
【0030】
熱処理を施した後の状態では、前記反強磁性層には、膜厚方向の中間領域から強磁性層側に向かうにしたがってMnに対する元素X+X′の原子%の比率が増加する領域と、前記中間領域から前記強磁性層と反対側に向かうにしたがってMnに対する元素X+X′の原子%の比率が増加する領域とが存在する。さらに前記反強磁性層の少なくとも一部の結晶構造がCuAu−I型の面心正方規則格子である。
【0031】
また本発明では、前記X―Mn―X′を含む合金は、元素XとMnとで構成される空間格子の隙間に元素X′が侵入した侵入型固溶体であり、あるいは、元素XとMnとで構成される結晶格子の格子点の一部が、元素X′に置換された置換型固溶体であることが好ましい。これによって前記X−Mn−X′合金の格子定数を広げることができ、界面では適切に非整合状態を保つことが可能になる。
【0032】
また本発明では、前記反強磁性層における強磁性層との界面と反対側となる面に、前記界面と平行な方向に面心立方晶の(111)面が優先配向したシードレイヤが形成され、
前記反強磁性層及び強磁性層の結晶配向は、前記界面と平行な方向に(111)面が優先配向することが好ましい。
【0033】
前記シードレイヤの形成により反強磁性層及び強磁性層の結晶配向は前記界面と平行な方向に(111)面が優先配向するために結晶粒径が大きくなり、抵抗変化率を大きくすることが可能である。
【0034】
また本発明では、前記反強磁性層とシードレイヤとの界面の少なくとも一部で前記反強磁性層の格子定数とシードレイヤの格子定数とが異なっていることが好ましい。
【0035】
また反強磁性層とシードレイヤとの界面の少なくとも一部は非整合状態となっていることが好ましい。この構造は、例えば成膜段階において前記反強磁性層を3層膜で形成し、シードレイヤと接合する部分にPt量の多い第3の反強磁性層を形成することによって達成することができる。成膜段階では第3の反強磁性層とシードレイヤとの界面の少なくとも一部が非整合状態にされており、したがって熱処理を施しても前記反強磁性層はシードレイヤとの界面で非整合状態を保ったまま適切に規則変態を引き起こし、よって従来よりも大きな交換結合磁界を得ることができるのである。
【0036】
また本発明では、前記シードレイヤは、NiFe合金、あるいはNi−Fe−Y合金(ただしYは、Cr,Rh,Ta,Hf,Nb,Zr,Tiから選ばれる1種または2種以上)で形成されることが好ましい。
【0037】
また本発明では、前記シードレイヤは非磁性であることが好ましい。さらに前記シードレイヤは比抵抗が高いことが重要である。このようにシードレイヤの比抵抗が高くされると、センス電流は前記シードレイヤに分流されにくくなり、抵抗変化率の向上、及びバルクハウゼンノイズの低減を図ることが可能である。
【0038】
また本発明では、前記交換結合膜は、下地層上に、シードレイヤ、反強磁性層、及び強磁性層の順に積層され、前記下地層は、Ta,Hf,Nb,Zr,Ti,Mo,Wのうち1種または2種以上の元素で形成されていることが好ましい。
【0039】
また本発明では、前記反強磁性層における前記強磁性層との界面の反対側の面には、Ta,Hf,Nb,Zr,Ti,Mo,Wのうち1種または2種以上の元素で形成された層が形成されていてもよい。
【0040】
さらに本発明では、前記反強磁性層の膜厚方向の中央付近よりも前記界面と反対側の面寄りに前記界面と平行な第1の仮想境界を設定し、前記強磁性層寄りに前記界面と平行な第2の仮想境界を設定したときに、
前記反対側の面から前記第1の仮想境界までの第1の領域、及び前記強磁性層との界面から前記第2の仮想境界までの第3の領域は、前記第1及び第2の仮想境界間の第2の領域に比べて、前記比率が大きく、前記第1の仮想境界を挟む領域で前記第2の領域から第1の領域に向けて、また前記第2の仮想境界を挟む領域では前記第2の領域から第3の領域に向けて、前記比率が連続的にあるいは不連続的に増大することが好ましい。
【0041】
また本発明では、前記反強磁性層には、膜厚方向の中間の所定領域から前記強磁性層との界面に向けて、および前記中間の領域から前記界面と反対側の面に向けて、前記元素Xあるいは元素X+X′の原子%が増大する領域が存在することが好ましい。
【0042】
また本発明では、前記反強磁性層には、前記強磁性層との界面に向けて、および前記界面と反対側の面に向けて、前記元素Xあるいは元素X+X′の原子%が減少する領域がそれぞれ存在することが好ましい。
【0043】
すなわちこの発明の意味するところは、前記界面近傍で、元素Xあるいは元素X+X′の原子%が最も大きくなるのではなく、前記界面から前記界面と反対側の面方向に前記元素Xあるいは元素X+X′の組成比(原子%)が増加する領域があり、前記元素Xあるいは元素X+X′の組成比(原子%)が最大になる箇所は、前記界面から膜厚方向にある距離だけ離れた位置に存在するのである。
【0044】
このように前記界面近傍で前記元素Xあるいは元素X+X′の原子%が最大とならないのは、成膜後、熱処理を施すことによって、前記反強磁性層と強磁性層との界面、及び前記反強磁性層の強磁性層と反対側の面に形成された層と、前記反強磁性層との界面で、組成拡散を引き起こすからであると考えられ、このため前記界面近傍での前記元素Xあるいは元素X+X′の原子%は成膜段階(熱処理前)よりも熱処理後では低下し、よって前記原子%は、前記反強磁性層の前記界面近傍から膜厚方向に離れた位置で、最大となるのである。このように前記原子%が小さくなることで、前記界面近傍でも適切に不規則格子から規則格子への変態が行なわれ、大きな交換結合磁界の発生を可能にすることができる。
【0045】
また本発明では、前記反強磁性層の、前記強磁性層との界面近傍、及び前記界面と反対側の面の近傍では、全元素の組成比を100at%としたときに、元素Xあるいは元素X+X′の組成比が50(at%)よりも大きく60(at%)以下であることが好ましい。
【0046】
また本発明では、前記反強磁性層の膜厚方向の中間には、全元素の組成比を100at%としたときに、元素Xあるいは元素X+X′の組成比が、44(at%)以上57(at%)以下の領域が存在することが好ましく、より好ましくは、46(at%)以上55(at%)以下である。
【0047】
後述するように、成膜段階(熱処理前)では、前記強磁性層との界面に、例えば元素Xあるいは元素X+X′の組成比が53(at%)以上65(at%)以下にされた反強磁性層(第1の反強磁性層)が形成され、さらに第1の反強磁性層に第2の反強磁性層を介して元素Xあるいは元素X+X′の組成比が53(at%)以上65(at%)以下にされた反強磁性層(第3の反強磁性層)が形成される。前記第1の反強磁性層と第3の反強磁性層間に形成される第2の反強磁性層は、前記元素Xあるいは元素X+X′の組成比が、44(at%)以上57(at%)以下で形成される。
【0048】
上記のような組成比によって第1の反強磁性層、第2の反強磁性層及び第3の反強磁性層が成膜されると、熱処理を施すことによって、前記第1の反強磁性層と強磁性層との間、及び第3の反強磁性層と、前記反強磁性層の強磁性層と反対側の面に形成される層との間で組成拡散を起すと考えられ、これによって、熱処理後の前記界面近傍では、元素Xあるいは元素X+X′の組成比が53(at%)よりも低くなる可能性があり、よって本発明では熱処理後における前記界面近傍での元素Xあるいは元素X+X′の組成比の好ましい範囲を、50(at%)よりも大きく65(at%)以下としているのである。
【0049】
また本発明では、前記反強磁性層の膜厚は76Å以上であることが好ましい。
このように本発明では前記反強磁性層の膜厚を薄くしても、従来に比べて大きな交換結合磁界を発生させることが可能である。
【0050】
また、本発明では前記反強磁性層と前記強磁性層との界面の界面の少なくとも一部で前記反強磁性層の格子定数と強磁性層の格子定数とが異なっており、あるいは前記界面の少なくとも一部で前記反強磁性層の結晶配向と強磁性層の結晶配向が異なっていてもよい。なお本発明では、シードレイヤが形成されている場合は、結晶配向は同じとなる。
【0051】
また本発明では、前記界面の少なくとも一部が非整合状態であることが好ましい。このように非整合状態が存在すると、反強磁性層の規則変態を促進させることができ、大きな交換結合磁界を得ることが可能である。
【0052】
結晶配向を異ならせた上記発明では、例えば強磁性層の(111)面が前記界面と平行な方向に優先配向している場合、反強磁性層の(111)面の配向度は、前記強磁性層の配向度よりも低いか、あるいは無配向となっている。
【0053】
あるいは、反強磁性層の(111)面が、前記界面と平行な方向に優先配向している場合、前記強磁性層の(111)面の配向度は、前記反強磁性層の配向度よりも低いか、あるいは無配向となっている。
【0054】
または、前記反強磁性層と強磁性層との界面に平行な方向への、前記反強磁性層の(111)面の配向度、及び前記強磁性層の(111)面の配向度は共に小さくなっているか、あるいは無配向となっており、前記(111)面以外の結晶面が、前記界面に平行な方向へ優先配向されて、反強磁性層と強磁性層の結晶配向が異なっている。
【0055】
前記結晶配向は下地層の存否や、組成比、スパッタ成膜時の電力ガス圧等の諸条件、あるいは膜の積層順などにより変えることが可能である。
【0056】
本発明における交換結合膜は、様々な磁気抵抗効果素子に適用可能である。
本発明は、反強磁性層と、この反強磁性層と接して形成され、前記反強磁性層との交換異方性磁界により磁化方向が固定される固定磁性層と、前記固定磁性層に非磁性中間層を介して形成されたフリー磁性層と、前記フリー磁性層の磁化方向を前記固定磁性層の磁化方向と交叉する方向へ揃えるバイアス層とを有する磁気抵抗効果素子において、
前記反強磁性層とこの反強磁性層と接して形成された固定磁性層とが、上記した交換結合膜により形成されることを特徴とするものである。
【0057】
また本発明は、反強磁性層と、この反強磁性層と接して形成され、前記反強磁性層との交換異方性磁界により磁化方向が固定される固定磁性層と、前記固定磁性層に非磁性中間層を介して形成されたフリー磁性層とを有し、前記フリー磁性層の上側または下側に、トラック幅方向に間隔を空けて反強磁性のエクスチェンジバイアス層が形成された磁気抵抗効果素子において、
前記エクスチェンジバイアス層とフリー磁性層とが、上記した交換結合膜により形成されることを特徴とするものである。
【0058】
また本発明は、フリー磁性層の上下に積層された非磁性中間層と、一方の前記非磁性中間層の上および他方の非磁性中間層の下に位置する固定磁性層と、一方の前記固定磁性層の上および他方の固定磁性層の下に位置して、交換異方性磁界によりそれぞれの固定磁性層の磁化方向を一定の方向に固定する反強磁性層と、前記フリー磁性層の磁化方向を前記固定磁性層の磁化方向と交叉する方向に揃えるバイアス層とを有する磁気抵抗効果素子において、
前記フリー磁性層よりも下側及び/または上側に形成された前記反強磁性層とこの反強磁性層と接して形成された固定磁性層とが、上記した交換結合膜により形成されることを特徴とするものである。
【0059】
さらに本発明は、非磁性層を介して重ねられた磁気抵抗層と軟磁性層とを有し、前記磁気抵抗層の上側あるいは下側にトラック幅方向へ間隔を空けて反強磁性層が形成された磁気抵抗効果素子において、
前記反強磁性層と磁気抵抗層とが、上記した交換結合膜により形成されることを特徴とするものである。
【0060】
また本発明における薄膜磁気ヘッドは、上記した磁気抵抗効果素子の上下にギャップ層を介してシールド層が形成されていることを特徴とするものである。
【0061】
【発明の実施の形態】
図1はシングルスピンバルブ型磁気抵抗効果素子の全体構造をABS面側から見た断面図である。なお、図1ではX方向に延びる素子の中央部分のみを破断して示している。
【0062】
このシングルスピンバルブ型磁気抵抗効果素子は、ハードディスク装置に設けられた浮上式スライダのトレーリング側端部などに設けられて、ハードディスクなどの記録磁界を検出するものである。なお、ハードディスクなどの磁気記録媒体の移動方向はZ方向であり、磁気記録媒体からの洩れ磁界の方向はY方向である。
【0063】
図1の最も下に形成されているのはTa,Hf,Nb,Zr,Ti,Mo,Wのうち1種または2種以上の元素などの非磁性材料で形成された下地層6である。この下地層6の上にフリー磁性層1、非磁性中間層2、固定磁性層3、および反強磁性層4が積層されている。そして、前記反強磁性層4の上に、Ta,Hf,Nb,Zr,Ti,Mo,Wのうち1種または2種以上の元素などの非磁性材料で形成された保護層7が形成されている。
【0064】
また図1に示すように、下地層6から保護層7までの6層(積層膜)の両側には、ハードバイアス層5,5が形成され、前記ハードバイアス層5,5の上には導電層8,8が積層されている。
【0065】
本発明では前記フリー磁性層1および固定磁性層3が、NiFe合金、CoFe合金、Co、CoNiFe合金などにより形成されている。
【0066】
なお図1に示すようにフリー磁性層1は一層で形成されているが、これが多層構造で形成されてもよい。前記フリー磁性層1が、例えばNiFe合金とCoとが積層された構造となっていてもよい。
【0067】
前記フリー磁性層1と固定磁性層3との間に介在する非磁性中間層2は、例えばCuで形成されている。なお本発明における磁気抵抗効果素子が、トンネル効果の原理を用いたトンネル型磁気抵抗効果素子(TMR素子)の場合、前記非磁性中間層2は、例えばAl等の絶縁材料で形成される。さらに、ハードバイアス層5,5は、例えばCo−Pt(コバルト−白金)合金やCo−Cr−Pt(コバルト−クロム−白金)合金などで形成されており、導電層8,8は、Cu(銅)やW(タングステン)などで形成されている。なお上記したトンネル型磁気抵抗効果素子の場合、前記導電層8,8は、フリー磁性層1の下側と、反強磁性層4の上側にそれぞれ形成されることになる。
【0068】
次に本発明における磁気抵抗効果素子の製造方法について、主に反強磁性層と強磁性層(固定磁性層)とで形成される交換結合膜を中心にして説明する。そしてその後、前記製造方法によって形成された磁気抵抗効果素子の構造についての特徴点について述べることとする。
【0069】
図2に示す積層膜は、図1と同様に、反強磁性層4が固定磁性層3の上側に形成され、下地層6から保護層7までの積層膜を示す部分模式図である。図2に示す積層膜の構造は、成膜段階(熱処理前)での状態である。
【0070】
まず図示しない基板上にTa等で形成された下地層6を形成する。例えば前記下地層6を50Å(オングストローム)程度で形成する。
【0071】
次に前記下地層6上に、例えばNiFe合金膜9と前記NiFe合金膜9上にCo膜10を形成する。前記NiFe合金膜9とCo膜10とでフリー磁性層1が構成されている。なお前記Co膜10を非磁性中間層2と接する側に形成することにより、前記非磁性中間層2との界面での金属元素等の拡散を防止し、ΔMR(抵抗変化率)を大きくできる。
【0072】
なお前記NiFe合金膜9は、例えば前記Niを80(at%)、Feを20(at%)で形成する。また前記NiFe合金膜9の膜厚を45Å程度、Co膜を5Å程度で形成する。
【0073】
次に前記フリー磁性層1上にCuなどで形成された非磁性中間層2を形成する。例えば前記非磁性中間層2の膜厚を25Å程度で形成する。
【0074】
次に前記非磁性中間層2上に固定磁性層3を形成する。この例では前記固定磁性層3を3層の積層構造で形成している。
【0075】
例えば前記固定磁性層3を、Co膜11とRu膜12とCo膜13とで形成し、後述する反強磁性層4との界面での交換結合磁界により前記Co膜11とCo膜13の磁化方向は互いに反平行状態にされる。これは、いわゆるフェリ状態と呼ばれ、この構成により固定磁性層3の磁化を安定した状態にでき、また前記固定磁性層3と反強磁性層4との界面で発生する交換結合磁界を大きくすることができる。
【0076】
なお前記Co膜11を例えば20Å程度で形成し、Ru膜12を8Å程度で形成し、Co膜13を15Å程度で形成する。
【0077】
次に前記固定磁性層3上に反強磁性層4を形成する。図3に示すように固定磁性層3上に第1の反強磁性層14を形成し、さらに前記第1の反強磁性層14上に第2の反強磁性層15を形成する。
【0078】
本発明では前記第1の反強磁性層14及び第2の反強磁性層15を、元素X(ただしXは、Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,Osのうち1種または2種以上の元素である)とMnとを含有する反強磁性材料で形成する。
【0079】
これら白金族元素を用いたX−Mn合金は、耐食性に優れ、またブロッキング温度も高く、さらに交換結合磁界(Hex)を大きくできるなど反強磁性材料として優れた特性を有している。特に白金族元素のうちPtを用いることが好ましく、例えば二元系で形成されたPtMn合金を使用することができる。
【0080】
また本発明では、前記第1の反強磁性層14及び第2の反強磁性層15を、元素Xと元素X′(ただし元素X′は、Ne,Ar,Kr,Xe,Be,B,C,N,Mg,Al,Si,P,Ti,V,Cr,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Zr,Nb,Mo,Ag,Cd,Sn,Hf,Ta,W,Re,Au,Pb、及び希土類元素のうち1種または2種以上の元素である)とMnとを含有する反強磁性材料で形成してもよい。
【0081】
なお前記元素X′には、元素XとMnとで構成される空間格子の隙間に侵入し、または元素XとMnとで構成される結晶格子の格子点の一部と置換する元素を用いることが好ましい。ここで固溶体とは、広い範囲にわたって、均一に成分が混ざり合った固体のことを指している。
【0082】
侵入型固溶体あるいは置換型固溶体とすることで、前記X−Mn合金膜の格子定数に比べて、前記X−Mn−X′合金の格子定数を大きくすることができるので、固定磁性層3の格子定数との差を広げることができ、前記反強磁性層4と固定磁性層3との界面構造を非整合状態にしやすくできる。また特に置換型で固溶する元素X′を使用する場合は、前記元素X′の組成比が大きくなりすぎると、反強磁性としての特性が低下し、固定磁性層3との界面で発生する交換結合磁界が小さくなってしまう。特に本発明では、侵入型で固溶し、不活性ガスの希ガス元素(Ne,Ar,Kr,Xeのうち1種または2種以上)を元素X′として使用することが好ましいとしている。希ガス元素は不活性ガスなので、希ガス元素が、膜中に含有されても、反強磁性特性に大きく影響を与えることがなく、さらに、Arなどは、スパッタガスとして従来からスパッタ装置内に導入されるガスであり、ガス圧を適正に調節するのみで、容易に、膜中にArを侵入させることができる。
【0083】
なお、元素X′にガス系の元素を使用した場合には、膜中に多量の元素X′を含有することは困難であるが、希ガスの場合においては、膜中に微量侵入させるだけで、熱処理によって発生する交換結合磁界を、飛躍的に大きくできる。
【0084】
なお本発明では、好ましい前記元素X′の組成範囲は、at%で0.2から10であり、より好ましくは、at%で、0.5から5である。また本発明では前記元素XはPtであることが好ましく、よってPt−Mn−X′合金を使用することが好ましい。
【0085】
ところで本発明では、前記第1の反強磁性層14及び第2の反強磁性層15を構成する元素Xあるいは元素X+X′の種類は、同じであっても良く、あるいは異なっていてもよい。例えば第1の反強磁性層14として、格子定数を大きくすることが可能なPt−Mn−X′合金を使用し、第2の反強磁性層15としてPtMn合金を使用してもよい。
【0086】
また図2に示す積層膜の成膜段階(熱処理前)において重要な点は、第1の反強磁性層14に占める元素Xの組成比(at%)を、第2の反強磁性層15に占める元素Xの組成比(at%)よりも大きくすることである。あるいは第1の反強磁性層14及び第2の反強磁性層15が共にX−Mn−X′合金で形成される場合には、前記第1の反強磁性層14に占める元素X+X′の組成比(at%)を、第2の反強磁性層15に占める元素X+X′の組成比(at%)よりも大きくする。また第1の反強磁性層14がX−Mn−X′合金で、第2の反強磁性層15がX−Mn合金で形成される場合には、第1の反強磁性層14の元素X+X′の組成比を、第2の反強磁性層15の元素Xの組成比よりも大きくする。
【0087】
前記第1の反強磁性層14の重要な役割は、第2の反強磁性層15を成膜して熱処理を施した後に、前記反強磁性層4の不規則格子を規則格子に適正に変態させるため、前記第1の反強磁性層14の部分で固定磁性層3の結晶構造等の拘束力を受けにくくし、その拘束力が第2の反強磁性層15に及ばないようにする点にある。
【0088】
このように前記固定磁性層3との界面で、前記固定磁性層3の結晶構造等の拘束力を受け難くするには、第1の反強磁性層14の元素Xあるいは元素X+X′の組成比を大きくすることが必要である。
【0089】
このように元素Xあるいは元素X+X′の組成比を大きくすると、熱処理を施した際に規則格子を形成するための理想的な組成からは外れやすくなるが、固定磁性層3の格子定数との差を広げることができる。このように格子定数の差が広がることで、第1の反強磁性層14は固定磁性層3の結晶構造等の拘束力を受け難くなり、その結果、第2の反強磁性層15も前記の拘束力を受けることはない。
【0090】
なお本発明では前記第1の反強磁性層14と固定磁性層3との界面の少なくとも一部が非整合状態となっていることが好ましい。前記界面で非整合状態が存在すると、特に第1の反強磁性層14は固定磁性層3側の結晶構造等の影響を受け難くなる。
【0091】
既に述べたように、PtMn合金のバルクタイプでは、PtとMnとのat%が50:50のときに最もCuAu−I型の面心正方規則格子になり易く、反強磁性の性質になり易い状態になっている。一方、Pt量を50at%よりも多くしていくと、反強磁性の性質が弱まるものの、このようにPt量を50at%よりも多くすると、前記PtMn合金の格子定数は広がり、固定磁性層3との界面において、非整合状態を作り易くなる。
【0092】
なお前記第1の反強磁性層14の元素Xあるいは元素X+X′の組成比は、53at%以上65at%以下であることが好ましい。より好ましくは55at%以上60at%以下である。これによって後述する実験結果により、7.9×10(A/m)以上の交換結合磁界を得ることが可能になっている。
【0093】
ただし前記第1の反強磁性層14が如何なる膜厚で形成されてもよいわけではない。前記第1の反強磁性層14の膜厚が薄すぎると、前記第1の反強磁性層14と固定磁性層3との界面での非整合状態が弱まってしまい、これにより熱処理を施しても適切な大きさの交換結合磁界を得ることができない。また前記第1の反強磁性層14は、本来、熱処理を施しても不規則格子から規則格子に変態しにくく反強磁性になり難い組成で形成されているために、前記第1の反強磁性層14の膜厚が厚くなりすぎると、前記変態が起こり難い領域が多くなる結果、熱処理によっても不規則格子としてそのまま残る領域が増え、交換結合磁界は急激に低下してしまう。
【0094】
本発明では前記第1の反強磁性層14の膜厚を3Å以上30Å以下に設定している。後述する実験結果により、前記第1の反強磁性層14が上記膜厚範囲内で形成されると、交換結合磁界(Hex)を大きくでき、具体的には7.9×10(A/m)以上の交換結合磁界を得ることができる。
【0095】
次に前記第1の反強磁性層14を形成後、前記第1の反強磁性層14上に、前記第1の反強磁性層14の元素Xあるいは元素X+X′の組成比よりも低い前記組成比からなる第2の反強磁性層15を形成する。
【0096】
このとき、前記第2の反強磁性層15の元素Xあるいは元素X+X′の組成比を44(at%)以上57(at%)以下にすることが好ましい。より好ましくは、前記組成比を46(at%)以上55(at%)以下にすることであり、さらに好ましくは、48(at)以上53(at%)以下である。
【0097】
前記第2の反強磁性層15の元素Xあるいは元素X+X′の組成比は、熱処理を施した際に不規則格子から規則格子に変態させるのに理想的な組成比に近いことが好ましく、これによって前記第2の反強磁性層15を形成した後、熱処理を施すと、前記第2の反強磁性層15は適切に不規則格子から規則格子に変態するようになっている。
【0098】
ところで前記第2の反強磁性層15は如何なる膜厚で形成されてもよいわけではない。前記第2の反強磁性層15の膜厚が薄くなると、交換結合磁界(Hex)が急激に減少することが実験で確認されている。
【0099】
本発明では前記第2の反強磁性層15を、70Å以上で形成することが好ましいとした。これにより交換結合磁界を大きくすることができ、具体的には7.9×10(A/m)以上の交換結合磁界を得ることができる。
【0100】
なお本発明では前記第1の反強磁性層14及び第2の反強磁性層15をスパッタ法で形成することが好ましい。
【0101】
特に元素X−Mn−X′合金によって、第1の反強磁性層14あるいは第2の反強磁性層15を形成するときには、前記X−Mn−X′合金をスパッタ法で成膜することにより、前記X−Mn−X′合金は非平衡状態で成膜され、成膜されたX−Mn−X′合金は、膜中の元素X′が、元素XとMnとで構成される空間格子の隙間に侵入し、あるいは、元素XとMnとで構成される結晶格子の格子点の一部が、元素X′に置換される。このように、前記元素X′が、X−Mn合金の格子に侵入型であるいは置換型で固溶することにより、格子は押し広げられ、反強磁性層4の格子定数は、元素X′を添加しない場合に比べて大きくなる。
【0102】
また本発明では、第1の反強磁性層14及び第2の反強磁性層15をスパッタ法で形成する場合、第1の反強磁性層14を、第2の反強磁性層15の成膜時よりも低いスパッタガス圧で成膜することが好ましい。これにより、第1の反強磁性層14中に占める元素Xあるいは元素X+X′の組成比を、第2の反強磁性層15中に占める元素Xあるいは元素X+X′の組成比よりも大きくすることができる。
【0103】
本発明では、このように反強磁性層4を第1の反強磁性層14と第2の反強磁性層15の積層構造とし、各層を形成するときに、前記第1の反強磁性層14の元素Xあるいは元素X+X′の組成比を、第2の反強磁性層15の元素Xあるいは元素X+X′の組成比よりも大きくし、これにより前記第1の反強磁性層14と固定磁性層3との界面で、前記第1の反強磁性層14が前記固定磁性層3の結晶構造等の拘束力を受け難くし、特に前記界面の少なくとも一部を非整合状態にすることが好ましく、これにしたがって熱処理を施したときに適切に不規則格子から規則格子への変態を行わせることができ、反強磁性層4と固定磁性層3間で大きな交換結合磁界を得ることが可能になっている。
【0104】
なお本発明では、上記したように、成膜段階で、第1の反強磁性層14と固定磁性層3との界面の少なくとも一部を非整合状態にすることが好ましいとしているが、この非整合状態は、例えば第1の反強磁性層14と固定磁性層3の格子定数を異ならせることで得ることが可能である。この場合、前記界面の少なくとも一部で双方の格子定数を異ならせればよい。
【0105】
あるいは本発明では、第1の反強磁性層14と固定磁性層3との界面の少なくとも一部で結晶配向を異ならせてもよい。このように結晶配向を異ならせることでも、第1の反強磁性層14と固定磁性層3との界面の少なくとも一部を非整合状態にしやすくできる。
【0106】
例えば固定磁性層3の(111)面が膜面に対し平行な方向に優先配向している場合には、第1の反強磁性層14の(111)面を、前記固定磁性層3の(111)面の配向度に比べて小さくし、あるいは無配向とする。
【0107】
あるいは、第1の反強磁性層14の(111)面が、前記界面と平行な方向に優先配向している場合、前記固定磁性層3の(111)面の配向度を、前記第1の反強磁性層14の配向度よりも小さいか、あるいは無配向とする。
【0108】
または、前記第1の反強磁性層14と固定磁性層3との界面に平行な方向への、前記第1の反強磁性層14の(111)面の配向度、及び前記固定磁性層3の(111)面の配向度を共に小さくするか、あるいは無配向とする。前記結晶配向度は、下地層の存否や、組成比、スパッタ成膜時の電力ガス圧等の諸条件、あるいは膜の積層順などにより変えることができる。
【0109】
上記のようにして形成された積層膜に、今度は熱処理を施す。この熱処理によって反強磁性層4と固定磁性層3との界面で交換結合磁界が発生し、前記固定磁性層3の磁化は、所定方向、図1で言うと図示Y方向(ハイト方向)に単磁区化される。
【0110】
上記したように、第1の反強磁性層14と固定磁性層3との界面では、前記第1の反強磁性層14は固定磁性層3の結晶構造等に拘束されることなく、さらに好ましくは前記界面の少なくとも一部において非整合状態になっているから、この非整合状態を保ちながら、前記固定磁性層3に第1の反強磁性層14を介して形成された第2の反強磁性層15が、不規則格子から規則格子へ変態し始める。前記第2の反強磁性層15は、上記したように、不規則格子から規則格子に変態しやすい理想的な組成比に近い反強磁性材料で形成されているからである。
【0111】
このような変態が始まると、第1の反強磁性層14と第2の反強磁性層15との界面では組成拡散が起こると考えられる。このような拡散が起こると、第2の反強磁性層15を構成する各元素が第1の反強磁性層14側に入り込み、また第1の反強磁性層14を構成する各元素が第2の反強磁性層15側に入り込むために、反強磁性層4は、前記第1の反強磁性層14と第2の反強磁性層15との境なく、元素が混ざり合った状態になると考えられる。
【0112】
そして上記した組成拡散により、第1の反強磁性層14と第2の反強磁性層15との界面近傍では、元素Xあるいは元素X+X′の組成比(原子%)が、成膜段階での第1の反強磁性層14の組成比よりも小さくなるものと考えられる。このため、熱処理によって第2の反強磁性層15の部分が規則化し始めると、それに引きずられて、第1の反強磁性層14の部分でも規則化が促進され、一方、固定磁性層3との界面では前記第1の反強磁性層14が前記固定磁性層3の結晶構造等の拘束を受けることなく、反強磁性層4全体で不規則格子から規則格子への変態が行なわれ、従来よりも大きな交換結合磁界を発生させることが可能になるのである。
【0113】
上記のようにして形成された積層膜(熱処理後)の模式図が図3に示されている。なお熱処理後においても下地層6から固定磁性層3までの積層構造には変化がない。成膜段階(熱処理前:図2)と熱処理後(図3)とでは反強磁性層3の構造に変化が現われる。
【0114】
図3に示す反強磁性層4は、元素X(ただしXは、Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,Osのうち1種または2種以上の元素である)とMnとを含有する反強磁性材料で形成されており、あるいは元素XとX′(ただし元素X′は、Ne,Ar,Kr,Xe,Be,B,C,N,Mg,Al,Si,P,Ti,V,Cr,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Zr,Nb,Mo,Ag,Cd,Sn,Hf,Ta,W,Re,Au,Pb、及び希土類元素のうち1種または2種以上の元素である)とMnとを含有する反強磁性材料で形成される。
【0115】
なお前記X−Mn−X′合金は、元素XとMnとで構成される空間格子の隙間に元素X′が侵入した侵入型固溶体であり、あるいは、前記元素XとMnとで構成される結晶格子の格子点の一部が、前記元素X′に置換された置換型固溶体であることが好ましい。これにより前記X−Mn−X′合金の格子定数を、X−Mn合金よりも広げることができ、熱処理後における前記反強磁性層4と固定磁性層3との界面構造を非整合状態にしやすくできる。
【0116】
そして本発明では前記反強磁性層4には、前記固定磁性層3に向かうにしたがって、Mnに対する元素Xあるいは元素X+X′の原子%の比率が増加する領域が存在する。
【0117】
また前記反強磁性層4の少なくとも一部の結晶構造が、CuAu−I型の面心正方格子(規則格子)となっている。また前記界面Aの少なくとも一部は非整合状態になっていることが好ましい。
【0118】
上記のように、固定磁性層3に向かうにしたがって、Mnに対する元素Xあるいは元素X+X′の原子%の比率が増加する領域が存在する理由は、第1の反強磁性層14と第2の反強磁性層15は熱処理により組成拡散を起すが、前記第1の反強磁性層14と第2の反強磁性層15とが完全に拡散されるわけではなく、すなわち熱処理後の反強磁性層4全体が全て均一な組成となることはないと考えられるからである。
【0119】
図2で説明したように、固定磁性層3との界面側に形成される第1の反強磁性層14の元素Xあるいは元素X+X′の組成比は、前記固定磁性層3に第1の反強磁性層14を介して形成される第2の反強磁性層15の元素Xあるいは元素X+X′の組成比に比べて大きい。
【0120】
上記したように、第2の反強磁性層15の元素Xあるいは元素X+X′の組成比は、熱処理によって規則化を起しやすい50at%近くで形成されるから、Mnの組成比も50at%に近い値で形成されることになる。一方、第1の反強磁性層14の元素Xあるいは元素X+X′の組成比は固定磁性層3との界面で、固定磁性層3の結晶構造等の拘束力を受け難くするために、例えば58at%程度で形成されるので、Mnの組成比は元々少ない量しか含まれていない。
【0121】
したがって熱処理を施し第1の反強磁性層14と第2の反強磁性層15とが組成拡散を起しても、完全に拡散し合うことはなく、前記反強磁性層4には、固定磁性層3に向かうにしたがってMnに対する元素Xあるいは元素X+X′の原子%の組成比は増加する。
【0122】
また上記した組成拡散によって、元素Xあるいは元素X+X′の原子%は、固定磁性層3との界面A近傍の方が、前記界面Aと反対側の面B近傍よりも大きくなるものと考えられる。
【0123】
また熱処理を施すことによって、反強磁性層4は不規則格子から規則格子に変態するために、熱処理後の反強磁性層4では、少なくとも一部の結晶構造が、CuAu−I型の面心正方格子(規則格子)となっており、さらに前記固定磁性層3との界面の少なくとも一部は非整合状態となっていることが好ましい。
【0124】
なお前記反強磁性層4がPtMn合金で形成される場合、熱処理を施した後、つまり少なくとも一部の結晶構造が、規則格子となった前記反強磁性層4の格子定数a,cの比c/aは、0.93〜0.99の範囲内であることが好ましい。
【0125】
格子定数a,cの比c/aが0.93以下になると、前記反強磁性層4の結晶構造のほぼ全てが規則格子となるが、このような状態になると前記固定磁性層3と反強磁性層4との密着性が低下し、膜剥れなどが発生し好ましくない。
【0126】
また格子定数a,cの比c/aが0.99以上になると、前記反強磁性層4の結晶構造のほぼ全てが不規則格子となり、前記反強磁性層4と固定磁性層3との界面にて発生する交換結合磁界が小さくなって好ましくない。
【0127】
また本発明では、熱処理後において固定磁性層3と反強磁性層4との界面の少なくとも一部が非整合状態にされることが好ましいとしているが、前記界面の少なくとも一部で前記固定磁性層3と反強磁性層4との格子定数が異なっていることによって前記非整合状態を形成しやすくできる。
【0128】
すなわち本発明では熱処理後において、固定磁性層3に向かうにしたがってMnに対する元素Xあるいは元素X+X′の原子%の比率が増加する領域が存在し、前記反強磁性層4の少なくとも一部の結晶構造が、CuAu−I型の面心正方規則格子となっており、しかも前記界面Aの少なくとも一部で前記反強磁性層4の格子定数と固定磁性層3の格子定数は異なっているものであってもよい。この構成によっても従来に比べて大きい交換結合磁界を得ることが可能である。
【0129】
また本発明では、熱処理後において、固定磁性層3に向かうにしたがってMnに対する元素Xあるいは元素X+X′の原子%の比率が増加する領域が存在し、前記反強磁性層4の少なくとも一部の結晶構造が、CuAu−I型の面心正方規則格子となっており、しかも前記界面Aの少なくとも一部で前記反強磁性層4の結晶構造と固定磁性層3の結晶構造は異なっているものであってもよい。
【0130】
例えば固定磁性層3の(111)面が膜面方向に優先配向している場合には、前記反強磁性層4の(111)面の配向度は、前記固定磁性層の配向度よりも低いかあるいは無配向になっている。あるいは、反強磁性層4の(111)面が、前記界面と平行な方向に優先配向している場合、前記固定磁性層3の(111)面の配向度は、前記反強磁性層4の配向度よりも低いか、あるいは無配向になっている。
【0131】
または、前記反強磁性層4と固定磁性層3との界面に平行な方向への、前記反強磁性層4の(111)面の配向度、及び前記固定磁性層3の(111)面の配向度は共に低いか、あるいは無配向となっている。
【0132】
このように結晶配向を固定磁性層3と反強磁性層4とで異ならせることによっても前記固定磁性層3と反強磁性層4との界面で非整合状態を形成しやすく、従来に比べて大きい交換結合磁界を得ることが可能である。
【0133】
なお熱処理後の反強磁性層4を構成する組成元素は、成膜段階(熱処理前)における第1の反強磁性層14と第2の反強磁性層15(図2参照)を如何なる組成元素で形成したかに依存し、例えば前記第1の反強磁性層14と第2の反強磁性層15を共に同じ組成元素で形成した場合には、熱処理後では、反強磁性層4全体が同じ組成元素で形成された状態になっている。
【0134】
成膜段階(熱処理前)における第1の反強磁性層14には、固定磁性層3との界面で非整合状態を保つために格子定数を大きくできる反強磁性材料を使用することが好ましく、また第2の反強磁性層15には、熱処理により不規則格子から規則格子への変態をスムーズに行わせることが可能な反強磁性材料を使用することが好ましい。このため、第1の反強磁性層14と第2の反強磁性層15とで異なる組成元素で構成された反強磁性材料を使用してもよい。
【0135】
例えば第1の反強磁性層14としてPt−Mn−Cr合金を使用し、第2の反強磁性層15としてPt−Mn合金を使用した場合や、あるいは第1の反強磁性層14としてPt−Mn−Cr合金を使用し、第2の反強磁性層15としてPdMn合金を使用した場合などには、熱処理後において反強磁性層4を構成する元素Xあるいは元素X+X′の種類は、固定磁性層3との界面A近傍と、前記界面Aとの反対側の面B近傍とで一部一致するか、あるいは異なるものとなる。
【0136】
上記したように熱処理後において、前記反強磁性層4には固定磁性層3に向かうにしたがって、Mnに対する元素Xあるいは元素X+X′の原子%の比率が増加する領域が存在するが、前記界面A近傍において、前記反強磁性層4を構成する全元素の組成比を100at%としたとき、元素Xあるいは元素X+X′の組成比は50(at%)よりも大きく65(at%)以下であることが好ましい。この組成範囲は成膜段階(熱処理前)での第1の反強磁性層14の元素Xあるいは元素X+X′の組成比及び熱処理を施したときの組成拡散に起因するものである。
【0137】
すなわち上記したように成膜段階において、第1の反強磁性層14の元素Xあるいは元素X+X′の組成比は53(at%)以上65(at%)以下であることが好ましい。また熱処理によって前記第1の反強磁性層14と固定磁性層3間でも組成拡散が起こるものと考えられる。このため熱処理によって反強磁性層4の固定磁性層3との界面近傍では、反強磁性層の元素Xあるいは元素X+X′の組成比は成膜段階よりも低下するものと考えられ、したがって前記元素Xあるいは元素X+X′の組成比は53(at%)よりも小さくなることがある。よって熱処理後における前記界面A近傍での元素Xあるいは元素X+X′の好ましい組成範囲を、上記のように50(at%)よりも大きく65(at%)以下としたのである。なおより好ましい元素Xあるいは元素X+X′の組成比は50(at%)よりも大きく60(at%)以下である。
【0138】
また本発明では、前記界面Aと反対側の面B近傍での反強磁性層4を構成する全元素の組成比を100at%としたときに、元素Xあるいは元素X+X′の組成比は、44(at%)以上57(at%)以下であることが好ましい。前記反対側の面B近傍における元素Xあるいは元素X+X′の組成比は、成膜段階(熱処理前)での第2の反強磁性層15の元素Xあるいは元素X+X′の組成比に起因するものである。
【0139】
すなわち上記したように第2の反強磁性層15の元素Xあるいは元素X+X′の組成比は44(at%)以上57(at%)以下であることが好ましいため、熱処理後における前記反対側の面B近傍での元素Xあるいは元素X+X′の好ましい組成範囲を、第2の反強磁性層15と同様に、44(at%)以上57(at%)以下としたのである。なおより好ましい元素Xあるいは元素X+X′の組成比は46(at%)以上55(at%)以下である。
【0140】
なお本発明では、元素Xあるいは元素X+X′の組成比が、46at%以上55at%以下となる領域が、反強磁性層4の全体積に対して、70%以上、95%以下占めていることが好ましい。上記領域が反強磁性層4の全体積に対し、上記の率を占めていることは、前記反強磁性層4が、熱処理によって不規則格子から規則格子に適切に変態したことを意味しており、従来よりも大きな交換結合磁界を得ることが可能になっている。
【0141】
次に反強磁性層4の膜厚方向における組成変調について説明する。本発明では上記のように反強磁性層4には固定磁性層3に向かうにしたがって、Mnに対する元素Xあるいは元素X+X′の原子%の比率が増加する領域が存在するが、これに加えて以下の組成変調を起していてもよい。
【0142】
すなわち本発明では、前記反強磁性層4の膜厚内で前記界面Aと平行な方向に仮想境界を設定したとき、前記仮想境界から界面Aまでを第1の領域とし、前記仮想境界から前記界面と反対側の面までの領域を第2の領域としたときに、前記仮想境界を挟む領域で、前記第2の領域から第1の領域に向けて、前記比率が連続的にあるいは不連続的に増加してもよい。
【0143】
例えば前記仮想境界を図3に占めす点線Cであるとする。この点線Cは、成膜段階(熱処理前)において第1の反強磁性層14と第2の反強磁性層15との界面である(図2参照)。
【0144】
成膜段階では前記第1の反強磁性層14の方が第2の反強磁性層15に比べて元素Xあるいは元素X+X′の組成比は大きくなっている。そして上記のように熱処理を施すと、前記第1の反強磁性層14と第2の反強磁性層15との界面の部分で組成拡散が起こるものと考えられるので、熱処理後においては、前記固定磁性層3との界面Aから前記仮想境界(点線C)までの第1の領域での前記比率は、前記仮想境界(点線C)から前記界面Aと反対側の面Bまでの第2の領域での前記比率に比べて大きくなっており、しかも、前記仮想境界を挟む領域で、前記第2の領域から第1の領域に向けて、前記比率が連続的にあるいは不連続的に増加するものと考えられる。特に成膜段階において第1の反強磁性層14の元素Xあるいは元素X+X′の組成比が、第2の反強磁性層15の元素Xあるいは元素X+X′の組成比に比べてかなり大きい場合には、上記した不連続な増加を招きやすいものと思われる。
【0145】
また本発明では、前記反強磁性層4には、固定磁性層3側に向かうにしたがって元素Xあるいは元素X+X′の組成比(原子%)が増加する領域が存在することが好ましい。本発明では上記したように成膜段階(熱処理前)において、固定磁性層3側に形成される第1の反強磁性層14の元素Xあるいは元素X+X′の組成比を、第2の反強磁性層15の元素Xあるいは元素X+X′の組成比よりも大きくしている。このため熱処理によって前記第1の反強磁性層14と第2の反強磁性層15間で組成変調を起しても、前記第1の反強磁性層14であった固定磁性層側では、第2の反強磁性層15であった部分よりも依然として元素Xあるいは元素X+X′の組成比(原子%)は大きいものと考えられる。よって上記した組成変調を起す箇所があるものと考えられる。
【0146】
また本発明では、前記反強磁性層4の固定磁性層3との界面A近傍には、固定磁性層3側に向かうにしたがって、元素Xあるいは元素X+X′の原子%が減少する領域が存在することが好ましい。
【0147】
反強磁性層4の固定磁性層3との界面A近傍では前記固定磁性層3側と組成拡散を起すものと考えられ、この組成拡散が起こると、前記界面A近傍における元素Xあるいは元素X+X′の組成比は、成膜段階におけるその組成比に比べて小さくなってしまう。
【0148】
本発明のように、前記反強磁性層4は、前記界面A近傍において、固定磁性層3側に向かうにしたがって、元素Xあるいは元素X+X′の原子%が減少する領域が存在すると、前記界面A近傍で適切な不規則格子から規則格子への変態が行なわれ、大きな交換結合磁界を発生させることが可能になっている。
【0149】
なお熱処理後の反強磁性層4において、前記元素Xあるいは元素X+X′の組成比が最大となる箇所は、固定磁性層3との界面Aから前記界面Aと反対側の面B方向に、3Å以上30Å以下の範囲内で存在することが好ましい。この範囲は成膜段階(熱処理前)における第1の反強磁性層14の好ましい膜厚範囲である。
【0150】
また本発明では、反強磁性層4の固定磁性層Aとの界面の反対側の面BにTa等で形成された保護層7が形成されている。そして熱処理を施すことにより成膜段階における第2の反強磁性層15と前記保護層7との間でも組成変調を起すことが考えられる。
【0151】
すなわち本発明では、反強磁性層4の固定磁性層3と反対側の面近傍において、前記反対側の面方向に元素Xあるいは元素X+X′の組成比(at%)が減少する領域が存在していてもよい。
【0152】
なお本発明では前記反強磁性層4の膜厚は73Å以上であることが好ましい。図2で説明したように、第1の反強磁性層14は最低でも3Å以上、第2の反強磁性層15は最低でも70Å以上必要であり、よって反強磁性層4全体では最低でも73Å以上の膜厚が必要となる。
【0153】
このように本発明では前記反強磁性層4を73Å以上で形成すればよいために、前記反強磁性層4の膜厚を従来に比べて薄くできる。そして後述するように図3に示す積層膜を薄膜磁気ヘッドとして構成した場合、狭ギャップ化を図ることが可能である。
【0154】
なお本発明では図2で成膜段階(熱処理前)において反強磁性層4を第1の反強磁性層14と第2の反強磁性層15の2層構造で構成していたが、これ以外の製造方法も提供することができる。
【0155】
例えば、成膜段階(熱処理前)における反強磁性層4を単一層で形成した場合でも以下の製造方法であれば、従来に比べて大きい交換結合磁界を得ることが可能である。
【0156】
すなわち本発明では、元素X(ただしXは、Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,Osのうち1種または2種以上の元素である)とMnとをターゲットとしたスパッタ工程で反強磁性層4を形成し、このとき固定磁性層3から離れるにしたがってスパッタガス圧を徐々に高くしながら、前記反強磁性層4を形成することで、元素Xの組成比(原子%)を、前記固定磁性層3と接する側から離れるにしたがって減少させるのである。この際、前記反強磁性層4の成膜時に、前記反強磁性層4と固定磁性層3との界面の少なくとも一部を非整合状態にすることが好ましい。
【0157】
なお前記界面と反対側の面近傍における前記反強磁性層4を構成する全元素の組成比を100at%としたときに、構成元素Xの組成比を、44(at%)以上57(at%)以下にすることが好ましく、より好ましくは46(at%)以上55(at%)以下である。
【0158】
上記構成により、反強磁性層4の固定磁性層3との界面では、前記固定磁性層3の結晶構造等の拘束力を受けることなく、前記界面付近以外の部分では、元素Xの組成比(原子%)を、熱処理を施したときに不規則格子から規則格子に変態させやすい理想的に近い組成で形成できる。
【0159】
したがって前記反強磁性層4の成膜後、熱処理を施すことにより、反強磁性層4を不規則格子から規則格子に適切に変態させることができ、しかも前記熱処理により前記反強磁性層4内で元素の拡散が起こると考えられるので、この拡散によって前記反強磁性層4全体で不規則格子から規則格子への変態が適切に起こり、従来に比べてより大きな交換結合磁界を発生させることが可能になっている。
【0160】
特に前記界面において非整合状態が存在する場合には、反強磁性層4が適切に固定磁性層3の結晶構造等の拘束を受けることなく、反強磁性層4全体の規則変態を促すことが可能である。
【0161】
また前記反強磁性層4の膜厚を73Å以上で形成することが好ましい。この73Åという数値は、図2に示す第1の反強磁性層14と第2の反強磁性層15とで形成された反強磁性層4の最低膜厚に歩調を合わせたものである。
【0162】
すなわち図2では第1の反強磁性層14の膜厚は最低で3Åであり、第2の反強磁性層15の膜厚は最低で70Åであるから、反強磁性層4の最低膜厚を73Åとした。
【0163】
成膜段階(熱処理前)において反強磁性層4が単一層で形成される場合においても、固定磁性層3との界面から前記界面と反対側の面方向に少なくとも約3Åの膜厚の部分は、その領域内に占める全元素の組成比を100at%としたとき、元素Xの組成比が53(at%)以上65(at%)以下であることが好ましく、より好ましくは55(at%)以上60(at%)以下である。さらにそれ以外の部分は最低でも70Å以上の膜厚で、元素Xの組成比が44(at%)以上57(at%)以下の範囲内あることが好ましく、より好ましくは46(at%)以上55(at%)以下である。これにより図2に示す場合と同様に、7.9×10(A/m)以上の交換結合磁界を得ることが可能になる。
【0164】
また本発明では元素Xと元素X′(ただし元素X′は、Ne,Ar,Kr,Xe,Be,B,C,N,Mg,Al,Si,P,Ti,V,Cr,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Zr,Nb,Mo,Ag,Cd,Sn,Hf,Ta,W,Re,Au,Pb、及び希土類元素のうち1種または2種以上の元素である)とMnとをターゲットとしたスパッタ工程で反強磁性層4を形成し、このとき前記固定磁性層3から離れるにしたがって、スパッタガス圧を徐々に高くしながら前記反強磁性層4を成膜することで、前記元素X+X′の組成比(原子%)を、前記固定磁性層3と接する側から離れるにしたがって徐々に減少させてもよい。
【0165】
なお前記元素X′には、元素XとMnとで構成される空間格子の隙間に侵入し、または元素XとMnとで構成される結晶格子の格子点の一部と置換する元素を用いることが好ましい。これにより、前記X−Mn−X′合金の格子定数を、X−Mn合金の格子定数よりも広げることができ、前記固定磁性層3との界面で非整合状態を保ちやすくできる。
【0166】
また本発明では、反強磁性層4と固定磁性層3との界面の少なくとも一部を非整合状態とすることが好ましいとしているが、前記非整合状態を形成する方法としては、前記界面の少なくとも一部で反強磁性層4と固定磁性層3との格子定数を異ならせることが挙げられる。
【0167】
このため本発明では、元素XとMnとを含有する反強磁性材料で形成されたターゲット、あるいは元素XとX′とMnとを含有する反強磁性材料で形成されたターゲットを用いてスパッタ法により反強磁性層4を形成するときに、固定磁性層3と接する側から離れるにしたがって、スパッタガス圧を徐々に高くしながら前記反強磁性層4を成膜することで、元素Xあるいは元素X+X′の組成比(原子%)を、前記固定磁性層3と接する側から離れるにしたがって徐々に減少させ、しかも前記反強磁性層4の成膜の際に、前記反強磁性層4と固定磁性層3との界面の少なくとも一部で、前記反強磁性層4の格子定数と前記固定磁性層3の格子定数を異ならせてもよい。
【0168】
あるいは、元素XとMnとを含有する反強磁性材料で形成されたターゲット、あるいは元素XとX′とMnとを含有する反強磁性材料で形成されたターゲットを用いてスパッタ法により反強磁性層4を形成するときに、固定磁性層3と接する側から離れるにしたがって、スパッタガス圧を徐々に高くしながら前記反強磁性層4を成膜することで、元素Xあるいは元素X+X′の組成比(原子%)を、前記固定磁性層3と接する側から離れるにしたがって徐々に減少させ、しかも前記反強磁性層4の成膜の際に、前記反強磁性層4と固定磁性層3との界面の少なくとも一部で、前記反強磁性層4の結晶配向と前記固定磁性層3の結晶配向を異ならせてもよい。前記結晶配向を異ならせることによっても前記界面での少なくとも一部を非整合状態にしやすくできる。
【0169】
上記のようにして形成された積層膜に熱処理を施すことによって形成された積層膜は図3と同様の構造になる。
【0170】
すなわち熱処理後における反強磁性層4は、元素XとMnとを含有する反強磁性材料、あるいは元素XとX′とMnとを含有する反強磁性材料で形成され、固定磁性層3に向かうにしたがって、Mnに対する元素Xあるいは元素X+X′の原子%の比率が増加する領域が存在し、さらに前記反強磁性層の少なくとも一部の結晶構造が、CuAu−I型の面心正方規則格子となっており、しかも前記界面Aの少なくとも一部は非整合状態になっているのである。
【0171】
次に本発明では、シードレイヤ22を用いた積層膜の成膜段階(熱処理前)の構成を図4に示す。また図4に示す積層膜に熱処理を施した前記積層膜の構造を図5に示す。
【0172】
図4、5に示す積層膜は、一例として図6に示すような反強磁性層4が固定磁性層3の下側に形成されるシングルスピンバルブ型磁気抵抗効果素子に適用される。
【0173】
まず図4に示すように下地層6上にシードレイヤ22を形成し、さらに前記シードレイヤ22上に反強磁性層4を形成する。
【0174】
前記下地層6は、Ta,Hf,Nb,Zr,Ti,Mo,Wのうち少なくとも一種以上の元素で形成されていることが好ましい。前記下磁層6は、その上に形成される前記シードレイヤ22の(111)面を、前記下地層6との界面と平行な方向に優先配向させるために設けられたものである。前記下地層6は例えば50Å程度の膜厚で形成される。
【0175】
前記シードレイヤ22は、主として面心立方晶から成り、前記反強磁性層4との界面と平行な方向に(111)面が優先配向されている。前記シードレイヤ22は、NiFe合金、あるいはNi−Fe−Y合金(ただしYは、Cr,Rh,Ta,Hf,Nb,Zr,Tiから選ばれる少なくとも1種または2種以上)で形成されることが好ましい。これらの材質で形成されたシードレイヤ22はTa等で形成された下地層6上に形成されることにより反強磁性層4との界面と平行な方向に(111)面が優先配向しやすくなる。
【0176】
また本発明では前記シードレイヤ22は非磁性で形成されていることが好ましい。前記シードレイヤ22を非磁性で形成することにより、前記シードレイヤ22の比抵抗を大きくすることができ、導電層から流れるセンス電流の前記シードレイヤ22への分流を抑制することが可能である。前記センス電流がシードレイヤ22に分流しやすくなると、抵抗変化率(ΔMR)の低下やバルクハウゼンノイズの発生に繋がり好ましくない。
【0177】
前記シードレイヤ22を非磁性で形成するには、上記した材質のうちNi−Fe−Y合金(ただしYは、Cr,Rh,Ta,Hf,Nb,Zr,Tiから選ばれる少なくとも1種または2種以上)を選択できる。これら材質は、結晶構造が面心立方晶であり、しかも反強磁性層4との界面と平行な方向に(111)面が優先配向しやすく好ましい。前記シードレイヤ22は、例えば30Å程度で形成される。
【0178】
次に図4に示すように、前記シードレイヤ22上に形成される反強磁性層4は、第1の反強磁性層23、第2の反強磁性層24、及び第3の反強磁性層25の積層構造で形成される。
【0179】
本発明では、前記第1の反強磁性層23、第2の反強磁性層24、及び第3の反強磁性層25を、元素X(ただしXは、Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,Osのうち1種または2種以上の元素である)とMnとを含有する反強磁性材料で形成することが好ましい。
【0180】
また本発明では、各反強磁性層23,24,25を元素Xと元素X′合金(ただし元素X′は、Ne,Ar,Kr,Xe,Be,B,C,N,Mg,Al,Si,P,Ti,V,Cr,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Zr,Nb,Mo,Ag,Cd,Sn,Hf,Ta,W,Re,Au,Pb、及び希土類元素のうち1種または2種以上の元素である)とMnとを含有する反強磁性材料で形成してもよい。
【0181】
上記の場合、前記X―Mn―X′合金は、元素XとMnとで構成される空間格子の隙間に元素X′が侵入した侵入型固溶体であり、あるいは、元素XとMnとで構成される結晶格子の格子点の一部が、元素X′に置換された置換型固溶体であることが好ましい。侵入型固溶体あるいは置換固溶体で形成されたX−Mn−X′合金は、X−Mn合金に比べて格子定数を広げることが可能である。
【0182】
本発明では、第1及び第3反強磁性層23,25を構成する元素Xあるいは元素X+X′の組成比を、第2の反強磁性層24の元素Xあるいは元素X+X′の組成比よりも多くしている。
【0183】
また前記第1の反強磁性層23と第3の反強磁性層25との間に形成される第2の反強磁性層24は、熱処理によって不規則格子から規則格子に変態しやすい理想的な組成に近い反強磁性材料で形成されている。
【0184】
前記第1の反強磁性層23及び第3の反強磁性層25の元素Xあるいは元素X+X′の組成比を、第2の反強磁性層24の元素Xあるいは元素X+X′の組成比よりも大きくするのは、図2で説明したのと同様であり、熱処理を施したときに、反強磁性層4が不規則格子から規則格子への変態をしやすくするため、各系面において、前記固定磁性層3及びシードレイヤ22の結晶構造等に拘束されないようにする必要があるからである。
【0185】
前記第1の反強磁性層23及び第3の反強磁性層25の元素Xあるいは元素X+X′の組成比は53(at%)以上65(at%)以下であることが好ましく、より好ましくは55(at%)以上60(at%)以下である。また前記第1の反強磁性層23及び第3の反強磁性層25の膜厚は3Å以上30Å以下であることが好ましい。例えば図4に示す実施例の場合では、前記第1及び第3の反強磁性層23,25をそれぞれ10Å程度で形成している。
【0186】
前記第2の反強磁性層24の元素Xあるいは元素X+X′の組成比は、44(at%)以上57(at%)以下で形成される。好ましくは、46(at%)以上55(at%)以下である。元素Xあるいは元素X+X′の組成比がこの範囲内で形成されると、熱処理を施すことによって前記第2の反強磁性層24は不規則格子から規則格子へ変態しやすくなる。なお前記第2の反強磁性層24の膜厚は70Å以上であることが好ましい。なお図4に示す実施例の場合には、前記第2の反強磁性層24の膜厚を100Å程度で形成している。
【0187】
また上記した各反強磁性層23,24,25をスパッタ法で形成することが好ましい。なおこのとき、第1及び第3の反強磁性層23,25を、第2の反強磁性層24よりも低いスパッタガス圧で形成することが好ましい。これにより、前記第1及び第3の反強磁性層23,25の元素Xあるいは元素X+X′の組成比を、第2の反強磁性層24の元素Xあるいは元素X+X′の組成比よりも大きくすることが可能である。
【0188】
あるいは本発明では、成膜段階(熱処理前)において前記反強磁性層4を上記した3層膜で形成せず、以下の方法によって前記反強磁性層4を単一層で形成した場合でも、膜厚方向に元素Xあるいは元素X+X′の組成比(原子%)を適切に変化させて形成することが可能である。
【0189】
まず元素XとMnとを含有する反強磁性材料、あるいは元素XとX′とMnとで形成されたターゲットを用いてスパッタによって反強磁性層4を形成する際に、シードレイヤ22から離れるにしたがって徐々にスパッタガス圧を高くして反強磁性層4を成膜していき、前記反強磁性層4を半分程度成膜した段階で、今度は前記スパッタガス圧を徐々に低くして残りの反強磁性層4を成膜するのである。
【0190】
この方法によれば、元素Xあるいは元素X+X′の組成比(原子%)は、シードレイヤ22との界面から前記反強磁性層4の膜厚の中央付近にかけて徐々に低くなっていき、前記組成比(原子%)は、前記中央付近から前記固定磁性層3との界面にかけて徐々に高くなる。
【0191】
このため元素Xあるいは元素X+X′の組成比(原子%)は、シードレイヤ22及び固定磁性層3との界面近傍において最も大きく、膜厚のほぼ中央付近で最も低くなる反強磁性層4を形成することが可能になる。
【0192】
なお前記固定磁性層3との界面近傍及びシードレイヤ22との界面近傍で、前記反強磁性層4を構成する全元素の組成比を100at%としたといに、元素Xあるいは元素X+X′の組成比を、53at%以上65at%以下にすることが好ましく、より好ましくは55at%以上60at%以下である。
【0193】
また反強磁性層4の膜厚方向の中央付近で、前記元素Xあるいは元素X+X′の組成比を44(at%)以上57(at%)以下とすることが好ましく、より好ましくは46(at%)以上55(at%)以下である。また前記反強磁性層4の膜厚を76Å以上で形成することが好ましい。
【0194】
図4に示すように前記反強磁性層4上に固定磁性層3を形成する。図4に示す実施例では図2と同様に、固定磁性層3が、Co膜11、Ru膜12及びCo13の3層からなる、いわゆるフェリ状態にされている。なお例えば前記Co膜11の膜厚は20Å程度、Ru膜12の膜厚は8Å程度、Co膜13の膜厚は15Å程度で形成される。
【0195】
熱処理を施すことによって、反強磁性層4は、シードレイヤ22及び固定磁性層3との界面において、前記シードレイヤ22及び固定磁性層3の結晶構造等の拘束を受けることなく、結晶構造が不規則格子から規則格子に適切に変態し、前記固定磁性層3との界面において交換結合磁界が発生し、前記固定磁性層3の磁化は図示Y方向(ハイト方向)に単磁区化される。
【0196】
本発明では、シードレイヤ22及び固定磁性層3との界面の少なくとも一部が非整合状態であることが好ましい。前記非整合状態が存在することで、各界面ではシードレイヤ22あるいは固定磁性層3の結晶構造等の拘束を受け難くなり、前記反強磁性層4の規則化への変態を促すことが可能である。
【0197】
本発明では、上記のように前記シードレイヤ22及び固定磁性層3と接する側に、元素Xあるいは元素X+X′の組成比が多い第1及び第3の反強磁性層23,25を形成し、しかも前記第1及び第3の反強磁性層23,25間に、熱処理によって適切に不規則格子から規則格子に変態しやすい組成で形成された第2の反強磁性層24を設けているので、熱処理によって前記第2の反強磁性層24の部分で変態が進むと同時に、第1及び第3の反強磁性層23,25と第2の反強磁性層24間で組成拡散が起こると考えられ、したがって前記第1及び第3の反強磁性層23,25の部分でも、シードレイヤ22及び固定磁性層3との界面で適切に非整合状態を維持しながら、不規則格子から規則格子への変態が起こり、反強磁性層4全体で適切な変態を起すことができるのである。したがって本発明によれば従来に比べて適切な前記変態を期待することができ、よって大きい交換結合磁界を得ることができ、具体的には7.9×10(A/m)以上の交換結合磁界を期待することができる。
【0198】
図4に示すように、前記固定磁性層3上に例えばCu等で形成された非磁性中間層2を形成し、さらに前記非磁性中間層2上にフリー磁性層1を形成する。
【0199】
前記フリー磁性層1は例えばNi−Fe合金膜9とCo膜10とで構成されている。また前記非磁性中間層2は例えば22Å程度で形成され、Ni−Fe合金膜9は45Å程度で形成され、Co膜10は5Å程度で形成される。
【0200】
そして図4に示すように、前記フリー磁性層1の上に例えばTa膜で形成された保護層7を形成する。前記保護層7の膜厚は例えば30Å程度である。
【0201】
本発明では上記したように、反強磁性層4の下側(固定磁性層3との界面と反対側の面)にシードレイヤ22を設けている。前記シードレイヤ22は主として、面心立方晶からなり、しかも反強磁性層4との界面と平行な方向に(111)面が優先配向している。
【0202】
このために前記シードレイヤ22上に形成された反強磁性層4からフリー磁性層1までの各層の結晶配向もまた前記界面と平行な方向に(111)面が優先配向されやすく、結晶粒径が大きくなる。このように結晶粒径が大きくなることによって抵抗変化率(ΔMR)が大きくなり、再生特性を向上させることが可能である。
【0203】
また図4に示す実施例では、抵抗変化率の向上と同時に、交換結合磁界をも大きくすることができることも既に詳述した通りである。前記交換結合磁界が小さくなりすぎても、抵抗変化率は低下することから、抵抗変化率の向上という観点からしても、前記交換結合磁界はある程度必要である。
【0204】
図4に示す下地層6から保護層7までの積層膜を形成した後、熱処理を施す。図5は熱処理後の積層膜の構造を示している。図5に示す熱処理が施された後においても、Ta等で形成された下地層6上に形成されたシードレイヤ22は、結晶構造が主として面心立方晶からなり、反強磁性層4との界面に平行な方向に(111)面が優先配向している。
【0205】
また前記シードレイヤ22上に形成された反強磁性層4は、少なくとも一部の結晶構造がCuAu−I型の面心正方規則格子からなり、しかも前記反強磁性層4からフリー磁性層1までの各層が前記界面と平行な方向に(111)面が優先配向し、さらに前記反強磁性層4とシードレイヤ22との界面I及び前記反強磁性層4と固定磁性層3との界面Hの少なくとも一部が非整合状態にされている。
【0206】
本発明では上記したように、シードレイヤ22の形成により、反強磁性層4からフリー磁性層1までの各層の結晶配向は前記界面に平行な方向に(111)面が優先配向し、結晶粒径が大きくなることにより、抵抗変化率(ΔMR)を向上させることができる。
【0207】
なお上記したようにシードレイヤ22は、NiFe合金、あるいはNi−Fe−Y合金(ただしYは、Cr,Rh,Ta,Hf,Nb,Zr,Tiから選ばれる少なくとも1種または2種以上)で形成されることが好ましく、特に非磁性で形成されていることが好ましい。前記シードレイヤ22を非磁性で形成することにより、前記シードレイヤ22の比抵抗を大きくすることができ、導電層から流れるセンス電流の前記シードレイヤ22への分流を抑制することが可能である。分流を抑えることにより、抵抗変化率をより向上させることができ、またバルクハウゼンノイズの発生等を抑制することができる。
【0208】
また本発明では、反強磁性層4とシードレイヤ22との界面I、及び反強磁性層4と固定磁性層3との界面Hの少なくとも一部は非整合状態にされ、しかも反強磁性層4の少なくとも一部の結晶構造がCuAu−I型の面心正方規則格子にされていることから、熱処理によって前記反強磁性層4が適切に不規則格子から規則格子に変態したことがわかり、本発明では反強磁性層4と固定磁性層3間で発生する交換結合磁界を従来よりも大きくすることができ、具体的には7.9×10(A/m)以上の交換結合磁界を得ることが可能になっている。
【0209】
また本発明では、前記界面Iの少なくとも一部で前記反強磁性層4とシードレイヤ22との格子定数、及び前記界面Hの少なくとも一部で前記反強磁性層4と固定磁性層3との格子定数は異なっている構成であってもよい。これによって前記反強磁性層4とシードレイヤ22との界面I、及び反強磁性層4と固定磁性層3との界面Hの少なくとも一部を非整合状態に保つことが可能である。
【0210】
また熱処理を施すと反強磁性層4のうち第1の反強磁性層23と第2の反強磁性層24との界面F、及び第3の反強磁性層23と第2の反強磁性層24との界面Gで組成拡散が発生するために、前記界面F、Gの有無は明確ではなくなるものと考えられる。
【0211】
上記のように前記反強磁性層4は、元素X(ただしXは、Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,Osのうち1種または2種以上の元素である)とMnとを含有する反強磁性材料で形成され、あるいは、元素Xと元素X′(ただし元素X′は、Ne,Ar,Kr,Xe,Be,B,C,N,Mg,Al,Si,P,Ti,V,Cr,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Zr,Nb,Mo,Ag,Cd,Sn,Hf,Ta,W,Re,Au,Pb、及び希土類元素のうち1種または2種以上の元素である)とMnとを含有する反強磁性材料で形成されることが好ましい。X−Mn−X′合金で反強磁性層4が形成される場合、X―Mn―X′合金は、元素XとMnとで構成される空間格子の隙間に元素X′が侵入した侵入型固溶体であり、あるいは、元素XとMnとで構成される結晶格子の格子点の一部が、元素X′に置換された置換型固溶体であることが好ましい。侵入型固溶体あるいは置換固溶体で形成されたX−Mn−X′合金は、X−Mn合金に比べて格子定数を広げることが可能であり、シードレイヤ22及び固定磁性層3との界面で適切に非整合状態を維持することができる。
【0212】
また熱処理後において、前記反強磁性層4には、シードレイヤ22に向かうにしたがって、Mnに対する元素Xあるいは元素X+X′の原子%の比率が、増加する領域が存在することが好ましい。
【0213】
なおこの組成変調の領域の存在は、熱処理によって適切に規則変態が行なわれたことを意味する。前記組成変調の領域の存在は、成膜段階(熱処理前;図4参照)において第3の反強磁性層25の元素Xあるいは元素X+X′の組成比を、第2の反強磁性層24の元素Xあるいは元素X+X′の組成比よりも大きくするか、あるいはスパッタガス圧を変化させて、元素Xあるいは元素X+X′の原子%を、膜厚方向の中央に向かうにしたがって徐々に小さくしながら反強磁性層4を成膜することによって得ることができる。この構成により、前記シードレイヤ22と反強磁性層4との界面Iでは、前記シードレイヤ22の結晶構造等の拘束力を受けることなく適切に規則化変態していると考えられ、従来に比べて大きな交換結合磁界を得ることが可能である。
【0214】
また上記した組成変調に加えて前記反強磁性層4には、固定磁性層3に向かうにしたがって、Mnに対する元素Xあるいは元素X+X′の原子%の比率が、増加する領域が存在する。これは、成膜段階(熱処理前;図4参照)において第1の反強磁性層23の元素Xあるいは元素X+X′の組成比を、第2の反強磁性層24の元素Xあるいは元素X+X′の組成比よりも大きくするか、あるいはスパッタガス圧を変化させて、元素Xあるいは元素X+X′の組成比(原子%)を、膜厚の中央付近から固定磁性層3側にしたがって徐々に大きくしながら反強磁性層4を成膜することによって得ることができる。
【0215】
すなわち図5に示すシードレイヤ22と接合された反強磁性層4には、膜厚方向の中間領域から固定磁性層3側に向かうにしたがってMnに対する元素Xあるいは元素X+X′の原子%の比率が増加する領域と、前記中間領域からシードレイヤ22に向かうにしたがってMnに対する元素Xの原子%の比率が増加する領域とが存在するのである。
【0216】
そして本発明では、シードレイヤ22との界面I近傍及び固定磁性層3との界面H近傍に占める反強磁性層4を構成する全元素の組成比を100at%としたときに、元素Xあるいは元素X+X′の組成比は、50(at%)よりも大きく65(at%)以下であることが好ましい。この数値範囲は、成膜段階(熱処理前)における第1及び第3の反強磁性層23,25の適切な組成範囲(53at%〜65at%)に基づくものである。なお前記第1及び第3の反強磁性層23,25の組成範囲の最低値(53at%)よりも熱処理後における反強磁性層4の組成範囲の最低値(50at%)の方が小さくなる理由は、熱処理を施すことによって前記反強磁性層4とシードレイヤ22との界面I、及び前記反強磁性層4と固定磁性層3との界面Hで組成拡散が発生するためである。なお前記元素Xあるいは元素X+X′の組成比は、前記シードレイヤ22の界面I近傍、及び固定磁性層3との界面H近傍では、50(at%)よりも大きく60(at%)以下であることがより好ましい。
【0217】
また熱処理後における元素X及び元素X+X′の組成比(原子%)は、膜厚方向の中央付近で44(at%)以上57(at%)以下であることが好ましい。この組成範囲は、成膜段階(熱処理前)における第2の反強磁性層24の元素Xあるいは元素X+X′の適切な組成範囲(44at%〜57at%)に基づくものである。また前記元素Xあるいは元素X+X′の組成比は、46(at%)以上55(at%)以下であることがより好ましい。
【0218】
また本発明では、前記反強磁性層4の膜厚内で固定磁性層3及びシードレイヤ22との界面と平行な方向に2本の仮想境界を設定したとき、前記固定磁性層3との界面Hから前記界面Hに近い側の第2の仮想境界までの第3の領域、及び前記シードレイヤ22との界面Iから前記界面Iに近い側の第1の仮想境界までの第1の領域では、前記仮想境界間の第2の領域に比べてMnに対する元素Xあるいは元素X+X′の原子%の比率が大きく、前記第1の仮想境界を挟む領域で前記第2の領域から第1の領域に向けて、また前記第2の仮想境界を挟む領域では前記第2の領域から第3の領域に向けて、前記比率が連続的にあるいは不連続的に増大することが好ましい。
【0219】
例えば前記第1の仮想境界を図5に占めす点線G、第2の仮想境界を図5に示す点線Fであるとする。この点線F,Gは成膜段階(熱処理前)において第1の反強磁性層23と第2の反強磁性層24との界面、及び第2の反強磁性層24と第3の反強磁性層25との界面であった箇所である。
【0220】
成膜段階(熱処理前)では前記第1及び第3の反強磁性層23,25の方が第2の反強磁性層24に比べて元素Xあるいは元素X+X′の組成比は大きくなっている。そして上記のように熱処理を施すと、前記第1及び第3の反強磁性層23,25と第2の反強磁性層24との界面の部分で組成拡散が起こるものと考えられるので、熱処理後においては、前記固定磁性層3との界面Hから前記界面Hに近い側の第2の仮想境界(点線F)までの第3の領域における元素Xあるいは元素X+X′のMに対する原子%の比率、及びシードレイヤ22との界面Iから前記界面Iに近い側の第1の仮想境界(点線G)までの第1の領域における元素Xあるいは元素X+X′のMnに対する原子%の比率は、前記仮想境界間の第2の領域での元素Xあるいは元素X+X′のMnに対する原子%の比率よりも大きくなっており、しかも前記第2の仮想境界(点線F)で前記第2の領域から第3の領域にかけて、元素Xあるいは元素X+X′のMnに対する原子%の比率が連続的にあるいは不連続的に増加し、同様に前記第1の仮想境界(点線G)で第2の領域から前記第1の領域にかけて前記比率が連続的にあるいは不連続的に増加するものと考えられる。特に成膜段階において第1及び第3の反強磁性層23,25の元素Xあるいは元素X+X′の組成比が、第2の反強磁性層24の元素Xあるいは元素X+X′の組成比に比べてかなり大きい場合には、上記した不連続な減少を招きやすいものと思われる。
【0221】
また成膜段階(熱処理前)において、第1及び第3の反強磁性層23,25の元素Xあるいは元素X+X′の組成比は第2の反強磁性層24の元素Xあるいは元素X+X′の組成比よりも大きいために、熱処理後において、前記反強磁性層4には、膜厚方向の中間の所定領域から前記固定磁性層3との界面Hに向けて、及び前記中間の領域から前記シードレイヤ22との界面Iに向けて、前記元素Xあるいは元素X+X′の組成比(原子%)が増大する領域が存在すると考えられる。
【0222】
なお前記反強磁性層4は熱処理によって、前記界面Hでは固定磁性層3と、前記界面Iではシードレイヤ22との間で組成拡散を起すものと考えられ、この組成拡散が起こると、前記界面H近傍及びI近傍での元素Xあるいは元素X+X′の組成比(原子%)は、成膜段階におけるそれに比べて小さくなってしまう。
【0223】
したがって本発明では、前記反強磁性層4は、シードレイヤ22との界面I近傍に、前記シードレイヤ22側に向かうにしたがって、前記元素Xあるいは元素X+X′の原子%が減少する領域が存在し、同様に、固定磁性層3との界面H近傍に、前記固定磁性層3側に向かうにしたがって、前記元素Xあるいは元素X+X′の原子%が減少する領域が存在することが好ましい。
【0224】
上記した反強磁性層4と固定磁性層3との界面H、及び反強磁性層4とシードレイヤ22との界面Iで組成拡散が起こると、前記界面H,I近傍での元素Xあるいは元素X+X′の原子%は、成膜段階に比べて減少するために、前記界面H,I近傍で適切な不規則格子から規則格子への変態が行なわれ、大きな交換結合磁界を発生させることが可能になっている。
【0225】
なお熱処理後の反強磁性層4において、各界面に向かうにしたがって元素Xあるいは元素X+X′の組成比(原子%)が減少する領域は、固定磁性層3との界面Hから反強磁性層4の中央方向に3Å以上30Å以下の範囲内、及びシードレイヤ22との界面Iから反強磁性層4の中央方向に3Å以上30Å以下の範囲内で存在することが好ましい。この範囲は成膜段階(熱処理前)における第1の反強磁性層23及び第3の反強磁性層25の好ましい膜厚範囲である。
【0226】
また前記反強磁性層4の膜厚は76Å以上であることが好ましい。図4の製造方法で説明したように、第1及び第3の反強磁性層23,25は最低でも3Å以上、第2の反強磁性層24は最低でも70Å以上必要であり、よって反強磁性層4全体では最低でも76Å以上の膜厚が必要となる。
【0227】
このように本発明では前記反強磁性層4を76Å以上で形成すればよいために、前記反強磁性層4の膜厚を従来に比べて薄くできる。
【0228】
図5に示す下地層6から保護層7までの積層膜の両側には、図1に示すフリー磁性層1の磁化を図示X方向に揃えるためのハードバイアス層5と導電層8が形成される。
【0229】
上記のように図4に示すシードレイヤ22が形成された成膜段階(熱処理前)における積層膜は、反強磁性層4が3層膜で形成されており、このように3層膜で形成することにより、交換結合磁界を大きくできるが、本発明では前記反強磁性層4を均一なX−Mn組成、あるいはX−Mn−X′組成で形成してもよい。この場合においては、シードレイヤ22と反強磁性層4との界面の少なくとも一部を非整合状態にするか、あるいは前記界面の少なくとも一部で双方の格子定数を異ならせる必要がある。
【0230】
さらに好ましくは、固定磁性層3と反強磁性層4との界面の少なくとも一部を非整合状態にし、あるいは前記界面の少なくとも一部で、前記反強磁性層4と固定磁性層3との格子定数を異ならせる。
【0231】
例えば単一層の反強磁性層4は、Pt52Mn48合金で形成される。前記PtMn合金で形成された反強磁性層4であると、シードレイヤ22及び固定磁性層3との非整合状態が弱くなるから、交換結合磁界は低下するものの、前記反強磁性層4の少なくとも一部の結晶構造はCuAu−I型の面心正方規則格子から成り、前記各層の結晶配向は反強磁性層4と固定磁性層3との界面と平行な方向に(111)面が優先配向し、前記反強磁性層4とシードレイヤ22との界面の少なくとも一部が非整合状態になっているのであり、シードレイヤ22の存在により抵抗変化率を向上させることが可能である。
【0232】
また前記反強磁性層4とシードレイヤ22の界面の少なくとも一部で反強磁性層4及びシードレイヤ22の格子定数が異なっていてもよい。
【0233】
また本発明では、例えば固定磁性層3側に形成される第1の反強磁性層23が形成されず、前記反強磁性層4が第2の反強磁性層24と第3の反強磁性層25とで構成されていてもよい。この場合には、固定磁性層3側との界面で、固定磁性層3の結晶構造の拘束力を受けやすくなり、交換結合磁界は低下するものの、シードレイヤ22との界面が前記シードレイヤ22の結晶構造の拘束を受け難い状態にしておくことで、反強磁性層4は不規則格子から規則格子への変態がある程度適切に行なわれ、交換結合磁界も前記シードレイヤ22との界面で、前記シードレイヤ22の結晶構造等の拘束を受ける場合に比べて大きくなり、しかも抵抗変化率はシードレイヤ22の存在により大きくすることができる。なおこのときの反強磁性層4の組成変調に関しては、図3で説明したものと同様であり、前記反強磁性層4には前記シードレイヤ22に向かうにしたがって、Mnに対する元素Xあるいは元素X+X′の原子%の比率が増加する領域が存在し、また前記反強磁性層4の膜厚の中央付近よりも前記シードレイヤ22寄りに前記シードレイヤ22との界面と平行な第1の仮想境界を設定し、前記固定磁性層3寄りに前記固定磁性層3との界面と平行な第2の仮想境界を設定したときに、前記シードレイヤ22との界面から前記第1の仮想境界までの領域は、前記第1及び第2の仮想境界間の領域に比べて、前記比率が大きく、前記第1の仮想境界を挟む領域では、前記シードレイヤ22との界面に向けて、前記比率が連続的にあるいは不連続的に増大することが好ましい。また前記シードレイヤ22と反強磁性層4との界面の少なくとも一部が非整合状態にされていることが好ましい。
【0234】
また前記反強磁性層4には、膜厚内のいずれかの場所から前記シードレイヤ22側に向けて、前記元素Xあるいは元素X+X′の原子%が増大する領域が存在することが好ましく、さらに前記反強磁性層4には、前記シードレイヤ22との界面近傍に、前記シードレイヤ22側に向かうにしたがって、前記元素Xあるいは元素X+X′の原子%が減少する領域が存在することが好ましい。
【0235】
また前記シードレイヤ22が形成される場合、反強磁性層4の材料は、上記したX−Mn合金、あるいはX−Mn−X′合金に限定されない。例えば従来から反強磁性材料として一般的なNi−Mn合金等を使用することも可能であり、またはMnを含有しない反強磁性材料であってもよい。このような場合でも本発明におけるシードレイヤ22の存在により大きな抵抗変化率を得ることが可能になる。
【0236】
さらに図2に示すように、シードレイヤ22が形成されていない場合でも反強磁性層4を、図4に示すように3層膜で形成してもよい。図2の場合に前記反強磁性層4を3層膜で形成し、その後熱処理を施すことにより、前記反強磁性層4には、膜厚方向の中間領域から固定磁性層3側に向かうにしたがってMnに対する元素Xあるいは元素X+X′の原子%の比率が増加する領域と、前記中間領域から保護層7に向かうにしたがってMnに対する元素Xあるいは元素X+X′の原子%の比率が増大する領域とが存在することになる。そして前記反強磁性層4の少なくとも一部の結晶構造がCuAu−I型の面心正方規則格子となっている。なおこのとき固定磁性層3との界面の少なくとも一部が非整合状態にされているか、あるいは前記界面の少なくとも一部で双方の格子定数または結晶配向が異なった構成となっていることが好ましい。また図2の場合、反強磁性層4の固定磁性層3と反対側の面には、Ta,Hf,Nb,Zr,Ti,Mo,Wのうち1種または2種以上の元素などの非磁性材料で形成された保護層7が形成され、この保護層7と反強磁性層4との間で組成拡散が発生し、前記反強磁性層4には前記保護層7との界面近傍に、前記元素Xあるいは元素X+X′の原子%が減少する領域が存在するものと考えられる。
【0237】
図2ないし図5に示す積層膜は、様々な磁気抵抗効果素子に使用可能である。
図2、3に示す積層膜は、図示されているように反強磁性層4が固定磁性層3の上側に形成されているが、前記反強磁性層4が固定磁性層3の下側に形成されてもよい。
【0238】
この場合、成膜段階において下から第2の反強磁性層15、第1の反強磁性層14、固定磁性層3の順で交換結合膜を形成する。前記第1及び第2の反強磁性層14,15の組成及び膜厚等に関しては、図2で説明したものと同様である。
【0239】
このように反強磁性層4が固定磁性層3の下側に形成される場合は、例えば図6に示すようなシングルスピンバルブ型磁気抵抗効果素子に適用可能である。
【0240】
図6に示すシングルスピンバルブ型磁気抵抗効果素子は、下から下地層6、反強磁性層4、固定磁性層3、非磁性中間層2、フリー磁性層1及び保護層7の順で積層膜を形成し、前記積層膜の両側にハードバイアス層5,5及び導電層8,8を形成する。
【0241】
また図6に示すシングルスピンバルブ型磁気抵抗効果素子においては、成膜段階において図4で説明したのと同様に前記反強磁性層4を3層膜で形成することも可能である。
【0242】
すなわち下地層6上に、第3の反強磁性層25、第2の反強磁性層24及び第1の反強磁性層25を積層する。なお各反強磁性層の材質、組成及び膜厚等については図4で説明したものと同様である。
【0243】
そして熱処理を施すと、各反強磁性層が組成拡散を起し、熱処理後における反強磁性層4には、膜厚方向の中間領域から固定磁性層3側に向かうにしたがってMnに対する元素Xの原子%の比率が増加する領域と、前記中間領域から前記下地層6に向かうにしたがってMnに対する元素Xの原子%の比率が増加する領域とが存在する。そして前記反強磁性層4の少なくとも一部の結晶構造がCuAu−I型の面心正方規則格子であり、好ましくは固定磁性層3との界面の少なくとも一部が非整合状態にされているか、あるいは前記界面の少なくとも一部で双方の格子定数が異なった構成となっている。
【0244】
なお前記反強磁性層4の形成には、上記の方法以外に、同一のターゲットを用い、スパッタガス圧を変化させて、元素Xあるいは元素X+X′の原子%を、膜厚方向に徐々に変化させる方法によって形成してもよい。
【0245】
また図4、5に示すシードレイヤ22を有する積層膜は、反強磁性層4が固定磁性層3の下側に形成されているが、前記反強磁性層4が固定磁性層3の上側に形成されていてもよい。この場合は図1に示すシングルスピンバルブ型磁気抵抗効果素子に適用できる。
【0246】
すなわち下から、下地層6、フリー磁性層1、非磁性中間層2、固定磁性層3、反強磁性層4、シードレイヤ22、及び保護層7の順で積層膜を形成し、前記積層膜の両側にハードバイアス層5,5及び導電層8,8を形成する。なおこの場合においても前記シードレイヤ22の結晶構造や材質等は図4、5で説明したものと同じである。
【0247】
図7及び図8は、本発明の他のシングルスピンバルブ型磁気抵抗効果素子の構造を示す断面図である。
【0248】
図7では、下から下地層6、反強磁性層4、固定磁性層3、非磁性中間層2、およびフリー磁性層1が連続して積層されている。この例では、反強磁性層4が固定磁性層3の下側に形成されている。
【0249】
製造方法としては、まず下地層6上に、図2で説明した第2の反強磁性層15及び第1の反強磁性層14を積層して反強磁性層4を構成し、前記第1の反強磁性層14上に固定磁性層3を形成する。あるいは前記反強磁性層4を図4で説明した3層膜で形成してもよい。前記第1の反強磁性層14及び前記第2の反強磁性層15は、X−Mn合金(ただしXは、Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,Osのうちいずれか1種または2種以上の元素である)、好ましくはPtMn合金、またはX―Mn―X′合金(ただしX′は、Ne,Ar,Kr,Xe,Be,B,C,N,Mg,Al,Si,P,Ti,V,Cr,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Zr,Nb,Mo,Ag,Cd,Sn,Hf,Ta,W,Re,Au,Pb、及び希土類元素のうち1種または2種以上の元素である)で形成する。
【0250】
本発明では前記第1の反強磁性層14と固定磁性層3との界面の少なくとも一部は非整合状態にされていることが好ましい。また前記第2の反強磁性層15は、熱処理によって不規則格子から規則格子に変態しやすい理想的な組成に近い反強磁性材料で形成されている。なお前記第1の反強磁性層14及び第2の反強磁性層15を構成する元素Xあるいは元素X+X′の組成比や、各層の膜厚等に関しては図2で説明したものと同じである。
【0251】
なお前記反強磁性層4の形成には、上記の方法以外に、同一のターゲットを用い、スパッタガス圧を変化させて、元素Xあるいは元素X+X′の原子%を、膜厚方向に徐々に変化させる方法によって形成してもよい。
【0252】
前記反強磁性層4の形成後、熱処理を施す。前記熱処理によって第2の反強磁性層15では不規則格子から規則格子に適切に変態をし、また第1の反強磁性層14と第2の反強磁性層15間で組成拡散が起こることによって、第1の反強磁性層14の部分でも不規則格子から規則格子への変態が適切に行なわれる。
【0253】
熱処理後の元素Xあるいは元素X+X′の原子%のMnに対する比率は、固定磁性層3側に向かうにしたがって増加し、また前記反強磁性層4の少なくとも一部の結晶構造が、CuAu−I型の面心正方規則格子となっており、しかも前記固定磁性層3との界面の少なくとも一部が非整合状態になっていることが好ましい。また前記界面の少なくとも一部で、固定磁性層3及び反強磁性層4の格子定数が異なり、あるいは前記固定磁性層3及び反強磁性層4の結晶配向が異なることがよい。
【0254】
また前記反強磁性層4を熱処理前において図4に示す3層膜で形成した場合や、あるいは各界面から膜厚方向の中央にかけて元素Xあるいは元素X+X′の組成比を徐々に小さくして反強磁性層4を形成した場合、熱処理を施すことによって、前記反強磁性層4には、膜厚方向の中間領域から固定磁性層3側に向かうにしたがってMnに対する元素Xの原子%の比率が増加する領域と、前記中間領域から前記下地層6に向かうにしたがってMnに対する元素Xの原子%の比率が増加する領域とが存在する。そして前記反強磁性層4の少なくとも一部の結晶構造がCuAu−I型の面心正方規則格子であり、好ましくは固定磁性層3との界面の少なくとも一部が非整合状態にされているか、あるいは前記界面の少なくとも一部で双方の格子定数または結晶配向が異なった構成となっている。
【0255】
そして図7に示すように、フリー磁性層1の上には、トラック幅方向にトラック幅Twの間隔を空けてエクスチェンジバイアス層16,16(反強磁性層)が形成されている。
【0256】
なおこのエクスチェンジバイアス層16は、X−Mn合金(ただしXは、Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,Osのうちいずれか1種または2種以上の元素である)、好ましくはPtMn合金、またはX―Mn―X′合金(ただしX′は、Ne,Ar,Kr,Xe,Be,B,C,N,Mg,Al,Si,P,Ti,V,Cr,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Zr,Nb,Mo,Ag,Cd,Sn,Hf,Ta,W,Re,Au,Pb、及び希土類元素のうち1種または2種以上の元素である)で形成されている。
【0257】
前記エクスチェンジバイアス層16を形成するには、まずフリー磁性層1上に第1の反強磁性層14を形成し、さらに前記第1の反強磁性層14上に第2の反強磁性層15を形成する。前記第1の反強磁性層14及び前記第2の反強磁性層15は図2に示すものと同じであり、すなわち前記第1の反強磁性層14は第2の反強磁性層15の元素Xあるいは元素X+X′の組成比よりも大きくされ、しかも前記第2の反強磁性層15は熱処理によって不規則格子から規則格子に変態しやすい理想的な組成に近い反強磁性材料で形成されている。
【0258】
そして熱処理を施すことによって前記フリー磁性層1との界面では固定磁性層3の結晶構造等の拘束を受けることなく、前記エクスチェンジバイアス層16は、不規則格子から規則格子に適切に変態し、前記エクスチェンジバイアス層16とフリー磁性層1との界面で交換結合磁界が発生する。
【0259】
熱処理後における前記エクスチェンジバイアス層16の元素Xあるいは元素X+X′の原子%のMnに対する比率は、フリー磁性層1に向かうにしたがって増加する領域が存在し、また前記エクスチェンジバイアス層16の少なくとも一部の結晶構造は、CuAu−I型の面心正方規則格子となっており、しかも好ましくは前記フリー磁性層1との界面の少なくとも一部は非整合状態になっている。
【0260】
また前記エクスチェンジバイアス層16を図4で説明した3層膜で形成してもよい。この場合には熱処理を施すことによって前記エクスチェンジバイアス層16には、膜厚方向の中間領域からフリー磁性層1側に向かうにしたがってMnに対する元素Xの原子%の比率が増加する領域と、前記中間領域から前記フリー磁性層1と反対側の面に向かうにしたがってMnに対する元素Xの原子%の比率が増加する領域とが存在する。そして前記エクスチェンジバイアス層16の少なくとも一部の結晶構造がCuAu−I型の面心正方規則格子であり、好ましくはフリー磁性層1との界面の少なくとも一部が非整合状態にされているか、あるいは前記界面の少なくとも一部で双方の格子定数または結晶配向が異なった構成となっている。
【0261】
前記フリー磁性層1の両側端部では、エクスチェンジバイアス層16間での交換結合磁界により図示X方向に単磁区化され、フリー磁性層1のトラック幅Tw領域の磁化は、外部磁界に対して反応する程度に図示X方向に適性に揃えられている。
【0262】
このようにして形成されたシングルスピンバルブ型磁気抵抗効果素子では、図示Y方向の外部磁界により、フリー磁性層1のトラック幅Tw領域の磁化が図示X方向から図示Y方向に変化する。このフリー磁性層1内での磁化の方向の変動と、固定磁性層3の固定磁化方向(図示Y方向)との関係で電気抵抗が変化し、この電気抵抗値の変化に基づく電圧変化により、記録媒体からの洩れ磁界が検出される。
【0263】
また図7に示すシングルスピンバルブ型磁気抵抗効果素子に、図4、5で説明したシードレイヤ22を用いることも可能である。
【0264】
この場合、前記シードレイヤ22は、反強磁性層4と下地層6間に用いられる。前記シードレイヤ22は、結晶構造が主として面心立方晶からなり、しかも反強磁性層4との界面と平行な方向に(111)面が優先配向している。前記シードレイヤ22を用いることで、反強磁性層4からフリー磁性層1までの結晶配向は、(111)面が優先配向し、結晶粒径が大きくなる。したがって抵抗変化率を向上させることが可能である。
【0265】
なお前記シードレイヤ22の材質や、反強磁性層4の構成等に関しては、図4,5で説明したものと同様である。
また前記シードレイヤ22を、エクスチェンジバイアス層16上に設けても良い。
【0266】
図8は、図7に示すシングルスピンバルブ型磁気抵抗効果素子を逆積層した形状である。
【0267】
図8に示すようにトラック幅方向(図示X方向)の両側にエクスチェンジバイアス層16,16が形成され、前記エクスチェンジバイアス層16,16間は、例えばSiOやAl等の絶縁材料で形成された絶縁層17によって埋められている。
【0268】
前記エクスチェンジバイアス層16及び絶縁層17上にはフリー磁性層1が形成されている。この例においても前記エクスチェンジバイアス層16は成膜段階(熱処理前)において第1の反強磁性層14と第2の反強磁性層15の積層構造で形成されている。
【0269】
すなわちまず前記第2の反強磁性層15を形成後、前記第2の反強磁性層15上に第1の反強磁性層14を形成し、前記第1及び第2の反強磁性層14,15の中央付近をエッチング等で除去してエクスチェンジバイアス層16,16とし、前記エクスチェンジバイアス層16間を絶縁層17で埋めた後、前記エクスチェンジバイアス層16及び絶縁層17上にフリー磁性層1を形成する。前記エクスチェンジバイアス層16を構成する第1の反強磁性層14は、第2の反強磁性層15の元素Xあるいは元素X+X′の組成比に比べて大きくされ、しかも前記第2の反強磁性層15は熱処理によって不規則格子から規則格子に変態しやすい理想的な組成に近い反強磁性材料で形成されている。なお前記第1の反強磁性層14及び第2の反強磁性層15の元素Xあるいは元素X+X′の組成比や膜厚等に関しては図2で説明したものと同じである。
【0270】
前記フリー磁性層1までを成膜後、熱処理を施す。前記熱処理によってフリー磁性層1との界面では、前記フリー磁性層1の結晶構造等の拘束を受けることなく、エクスチェンジバイアス層16は不規則格子から規則格子に適切に変態し、前記エクスチェンジバイアス層16とフリー磁性層1間に交換結合磁界が発生する。熱処理後の前記エクスチェンジバイアス層16の元素Xあるいは元素X+X′の原子%のMnに対する比率は、フリー磁性層1に向かうにしたがって増加する領域が存在し、また前記エクスチェンジバイアス層16の少なくとも一部の結晶構造はCuAu−I型の面心正方規則格子となっており、しかも好ましくは前記フリー磁性層1との界面の少なくとも一部は非整合状態になっている。前記交換結合磁界により前記フリー磁性層1の両側端部は、図示X方向に単磁区化され、フリー磁性層1のトラック幅Tw領域の磁化は、外部磁界に対して反応する程度に図示X方向に適性に揃えられている。なお前記エクスチェンジバイアス層16を図4で説明した反強磁性層4と同様に3層膜で形成してもよい。この場合には熱処理を施すことによって前記エクスチェンジバイアス層16には、膜厚方向の中間領域からフリー磁性層1側に向かうにしたがってMnに対する元素Xあるいは元素X+X′の原子%の比率が増加する領域と、前記中間領域から前記フリー磁性層1と反対側の面に向かうにしたがってMnに対する元素Xの原子%の比率が増加する領域とが存在する。そして前記エクスチェンジバイアス層16の少なくとも一部の結晶構造がCuAu−I型の面心正方規則格子であり、好ましくはフリー磁性層1との界面の少なくとも一部が非整合状態にされているか、あるいは前記界面の少なくとも一部で双方の格子定数または結晶配向が異なった構成となっている。
【0271】
その後、前記フリー磁性層1上に非磁性中間層2、固定磁性層3、反強磁性層4及び保護層7を積層する。
【0272】
本発明では成膜段階(熱処理前)において、前記固定磁性層3の上に第1の反強磁性層14を形成し、さらに前記第1の反強磁性層14の上に第2の反強磁性層15を形成する。成膜段階において、前記第1の反強磁性層14は、第2の反強磁性層15に比べて元素Xあるいは元素X+X′の組成比が多くされ、好ましくは前記固定磁性層3との界面の少なくとも一部は非整合状態になっており、しかも前記第2の反強磁性層15は、熱処理によって不規則格子から規則格子に変態しやすい理想的な組成に近い反強磁性材料によって形成されている。
【0273】
前記第1の反強磁性層14及び第2の反強磁性層15を成膜後、熱処理を施す。前記熱処理を施すことによって、前記反強磁性層4は固定磁性層3との界面において、前記固定磁性層3の結晶構造等の拘束を受けることなく、不規則格子から規則格子に適切に変態し、前記反強磁性層4と固定磁性層3との界面に交換結合磁界が発生する。前記交換結合磁界によって前記固定磁性層3の磁化は図示Y方向に固定される。
【0274】
本発明では、熱処理を施しているときに、前記反強磁性層4と固定磁性層3との界面で前記固定磁性層3の結晶構造等の拘束を受けることなく、しかも前記反強磁性層4は、不規則格子から規則格子に適切に変態しやすい理想的な組成で形成されているから、前記反強磁性層4と固定磁性層3間で発生する交換結合磁界は従来に比べて大きく、具体的には7.9×10(A/m)以上を期待することができる。また前記反強磁性層4を成膜段階において図4に示す反強磁性層4と同様に3層膜で形成しても良く、この場合には熱処理を施すことによって前記反強磁性層4には、膜厚方向の中間領域から固定磁性層3側に向かうにしたがってMnに対する元素Xの原子%の比率が増加する領域と、前記中間領域から前記保護層7側に向かうにしたがってMnに対する元素Xの原子%の比率が増加する領域とが存在する。そして前記反強磁性層4の少なくとも一部の結晶構造がCuAu−I型の面心正方規則格子であり、好ましくは固定磁性層3との界面の少なくとも一部が非整合状態にされているか、あるいは前記界面の少なくとも一部で双方の格子定数または結晶配向が異なった構成となっている。
【0275】
なおこの例においてもシードレイヤ22を用いることができる。前記シードレイヤ22は、反強磁性層4と保護層7間に形成される。前記シードレイヤ22の形成により交換結合磁界を増大させることができる。なお前記シードレイヤ22の材質や反強磁性層4の構成等に関しては図4、5で説明したものと同様である。
【0276】
また前記シードレイヤ22を、図8に示すようにエクスチェンジバイアス層16の下側に形成することが好ましい。前記シードレイヤ22の形成により前記エクスチェンジバイアス層16の結晶配向を整えることができ、フリー磁性層1との間で適切な交換結合磁界を発生させることが可能である。
【0277】
図9は、デュアルスピンバルブ型磁気抵抗効果素子の構造を示す断面図である。
図9に示すように、下から下地層6、反強磁性層4、固定磁性層3、非磁性中間層2、およびフリー磁性層1が連続して積層されている。さらに前記フリー磁性層1の上には、非磁性中間層2、固定磁性層3、反強磁性層4、および保護層7が連続して積層されている。
【0278】
また、下地層6から保護層7までの多層膜の両側にはハードバイアス層5,5、導電層8,8が積層されている。なお、各層は図1ないし図7で説明した材質と同じ材質で形成されている。
【0279】
製造方法については図10を参照しながら説明する。成膜段階において2つの反強磁性層4,4を第1の反強磁性層14と第2の反強磁性層15の2層構造にする。前記第1の反強磁性層14は固定磁性層3と接して形成され、また第2の反強磁性層15は前記第1の反強磁性層14に接して形成される。前記第1の反強磁性層14及び第2の反強磁性層15は、上記したX−Mn合金あるいはX−Mn−X′合金で形成される。
【0280】
成膜段階において前記第1の反強磁性層14は第2の反強磁性層15の元素Xあるいは元素X+X′の組成比よりも多くされ、好ましくは固定磁性層3との界面の少なくとも一部は非整合状態にされており、また前記第2の反強磁性層は、熱処理によって不規則格子から規則格子に変態しやすい理想的な組成に近い反強磁性材料で形成されている。前記第1の反強磁性層14及び第2の反強磁性層15の元素Xあるいは元素X+X′の組成比及び各反強磁性層の膜厚等は図2で説明したものと同じである。
【0281】
成膜後、熱処理を施す。前記熱処理によって、前記反強磁性層4は、固定磁性層3との界面で前記固定磁性層3の結晶構造等の拘束を受けることなく、不規則格子から規則格子に適切に変態し、前記界面で発生する交換結合磁界により前記固定磁性層3の磁化は図示Y方向に固定される。
【0282】
本発明では、成膜段階において固定磁性層3との界面で前記固定磁性層3の結晶構造等の拘束力を受けることのない適切な組成で形成された第1の反強磁性層14と、熱処理によって不規則格子から規則格子に変態するのに理想的な組成で形成された第2の反強磁性層15を形成しているので、熱処理によって固定磁性層3との間で非整合状態を保ちながら適切に不規則格子から規則格子への変態が行なわれ、よって従来よりも大きな交換結合磁界を得ることが可能である。本発明によれば、7.9×10(A/m)以上の交換結合磁界を期待することができる。
【0283】
熱処理後の状態は図11に示されている。図11に示す反強磁性層4には、固定磁性層3に向かうにしたがって、Mnに対する元素Xあるいは元素X+X′の原子%の比率が増加する領域が存在し、また前記反強磁性層4の少なくとも一部の結晶構造はCuAu−I型の面心正方規則格子であり、しかも好ましくは前記固定磁性層3との界面の少なくとも一部は非整合状態にされている。なお前記界面の少なくとも一部では前記反強磁性層4と固定磁性層3との格子定数、あるいは結晶配向が異なっている方が、非整合状態を維持する観点からして好ましい。
【0284】
上記のように反強磁性層4に、固定磁性層3に向かうにしたがってMnに対する元素Xあるいは元素X+X′の原子%の比率が増加する領域が存在する理由は、成膜段階において前記反強磁性層4を元素Xあるいは元素X+X′の原子%が大きい第1の反強磁性層14と第2の反強磁性層15とを積層して形成したことに起因する。すなわち熱処理によって前記第1の反強磁性層14と第2の反強磁性層15は組成拡散を起すが前記反強磁性層4が均一化した組成になることはなく、前記第1の反強磁性層14であった部分では、依然として第2の反強磁性層15であった部分に比べて元素Xあるいは元素X+X′の組成比が大きい箇所が存在し、Mnに対する元素Xあるいは元素X+X′の原子%の比率を見てみると、固定磁性層3に向かうにしたがって前記比率が増加する領域が発生しているのである。
【0285】
また前記反強磁性層4では、固定磁性層3との界面近傍に、前記固定磁性層3に向かうにしたがって前記反強磁性層4の元素Xあるいは元素X+X′の組成比が減少する領域が存在するものと考えられる。これは熱処理によって前記反強磁性層4と固定磁性層3との間で組成拡散を起すためである。同様に、前記反強磁性層4と下地層6あるいは保護層7との間でも前記組成拡散が発生し、前記下地層6との界面近傍、あるいは前記保護層7との界面近傍においても、前記界面に向かうにしたがって前記反強磁性層4の元素Xあるいは元素X+X′の組成比が減少する領域が存在するものと考えられる。
【0286】
なお前記反強磁性層4の固定磁性層3との界面や前記界面と反対側の面における元素Xあるいは元素X+X′の組成比、あるいは前記反強磁性層4の膜厚等に関しては図3で説明したものと同じである。
【0287】
またこの例においてもシードレイヤ22を形成することができる。製造方法は図12に示されている。すなわち図12に示すように下地層6上にシードレイヤ22を形成し、さらに前記シードレイヤ22上に、3層膜から成る反強磁性層4を形成するのである。前記反強磁性層4上の膜構成は図10と同様である。
【0288】
前記シードレイヤ22上に形成された反強磁性層4は、シードレイヤ22側の層を第3の反強磁性層25とし、固定磁性層3側の層を第1の反強磁性層23とし、前記第1及び第3の反強磁性層23,25の間に挟まれる層を第2の反強磁性層24としている。
【0289】
図4で説明したのと同様に、第1ないし第3の反強磁性層をいずれもX−Mn合金あるいはX−Mn−X′合金で形成し、さらに第2の反強磁性層24の元素Xあるいは元素X+X′の組成比を他の2層の元素Xあるいは元素X+X′の組成比に比べて少なくする。さらに上記のように組成比を調整することで前記シードレイヤ22と第3の反強磁性層25との界面の少なくとも一部を非整合状態にでき、同様に固定磁性層3と第1の反強磁性層23との界面の少なくとも一部を非整合状態にできる。また前記各界面の少なくとも一部で双方の格子定数を異ならせてもよい。
【0290】
前記シードレイヤ22は、前記固定磁性層3との界面と平行な方向に面心立方晶の(111)面が優先配向したものであり、このようなシードレイヤ22上に形成された各層もまた前記界面と平行な方向に(111)面が配向するものとなる。また前記シードレイヤ22の材質については図4と同様であるが、前記シードレイヤ22は非磁性で高比抵抗材料であることが好ましい。
【0291】
図12に示すようにフリー磁性層1よりも図示上側に形成される反強磁性層4は2層膜で形成される。これは図2で説明した構成と全く同じである。ただしフリー磁性層1よりも図示上側に形成される反強磁性層4を前記フリー磁性層1よりも図示下側に形成される反強磁性層1と同様に3層膜で形成してもよい。
【0292】
図13は熱処理後の状態を示すデュアルスピンバルブ型磁気抵抗効果素子の模式図である。
【0293】
熱処理を施すと、組成的に規則化を促進しやすいフリー磁性層1よりも下側の反強磁性層4の第2の反強磁性層24及びフリー磁性層1よりも上側の反強磁性層4の第2の反強磁性層15が共に規則化を開始し、さらに熱処理による組成拡散によりその他の反強磁性層も非整合状態を保ちながら変態し始め、従来に比べて大きな交換結合磁界を得ることが可能になる。
【0294】
また上記した組成拡散により、前記フリー磁性層1よりも下側の反強磁性層4には、固定磁性層3側、及びシードレイヤ22に向かうにしたがって元素Xあるいは元素X+X′のMnに対する原子%の比率が増加する領域が存在し、反強磁性層4の少なくとも一部の結晶構造がCuAu−I型の面心正方晶から成り、さらに(111)面が膜面に優先配向し、しかも好ましくは前記シードレイヤ22及び固定磁性層3との界面の少なくとも一部は非整合状態とされるのである。
【0295】
一方、フリー磁性層1よりも上側の反強磁性層4には、固定磁性層3側に向かうにしたがって元素Xあるいは元素X+X′のMnに対する原子%の比率が増加する領域が存在し、反強磁性層4の少なくとも一部の結晶構造がCuAu−I型の面心正方晶から成り、さらに好ましくは固定磁性層3との界面の少なくとも一部は非整合状態とされるのである。また前記フリー磁性層1よりも上側に形成された反強磁性層4の結晶配向も(111)面が膜面に優先配向する。
【0296】
またフリー磁性層1の下側の反強磁性層4では、シードレイヤ22との界面及び固定磁性層3との界面では組成拡散を起すと考えられ、したがって前記シードレイヤ22との界面近傍、及び固定磁性層3との界面近傍では、前記各界面に向かうにしたがって反強磁性層4の元素Xあるいは元素X+X′の原子%が減少する領域が存在する。この領域の存在は、シードレイヤ22及び固定磁性層3との界面で前記反強磁性層4が適切に規則化への変態を起したことを意味し、大きな交換結合磁界を得ることが可能になるのである。
【0297】
一方、フリー磁性層1の上側に形成される反強磁性層4では、固定磁性層3との界面で組成拡散を起すと考えられ、したがって前記固定磁性層3との界面近傍では、前記界面に向かうにしたがって反強磁性層4の元素Xあるいは元素X+X′の原子%が減少する領域が存在する。またTaなどで形成された保護層7との間でも組成拡散を起す可能性がある。このように保護層7との間でも組成拡散を起した場合には、前記反強磁性層4には、保護層7との界面近傍において前記保護層7に向かうにしたがって元素Xあるいは元素X+X′の原子%が減少する領域が存在する。
【0298】
前記シードレイヤ22の形成により、フリー磁性層1より下側の反強磁性層4から前記フリー磁性層1より上側の反強磁性層4までの各層の結晶配向は(111)面が膜面に優先配向し、結晶粒径は大きくなる。そして従来に比べて大きな交換結合磁界、及び抵抗変化率を得ることができるのである。
【0299】
なお前記シードレイヤ22の形成は、図12及び図13に示すように、フリー磁性層1よりも下側の反強磁性層4と下地層6間に形成することが、抵抗変化率の向上を促進でき効果的である。なお前記シードレイヤ22は、フリー磁性層1よりも上側の反強磁性層4と保護層7間に形成されてもよい。
【0300】
図14、15は、本発明のAMR型磁気抵抗効果素子の構造を示す断面図である。
図14に示すように、下から軟磁性層(SAL層)18、非磁性層(SHUNT層)19、および磁気抵抗層(MR層)20が連続して積層されている。
【0301】
例えば前記軟磁性層18は、Fe−Ni−Nb合金、非磁性層19は、Ta膜、磁気抵抗層20は、NiFe合金により形成されている。
【0302】
前記磁気抵抗層20の上には、トラック幅Twを開けたトラック幅方向(X方向)の両側の部分にエクスチェンジバイアス層(反強磁性層)21,21が形成されている。導電層は図示しないが、例えば前記エクスチェンジバイアス層21,21の上に形成される。
【0303】
また図15では、トラック幅方向(図示X方向)にトラック幅Twの間隔を開けて一対のエクスチェンジバイアス層21,21を形成し、前記エクスチェンジバイアス層21,21間をSiOやAl等の絶縁材料で形成された絶縁層26によって埋める。
【0304】
そして前記エクスチェンジバイアス層21,21及び前記絶縁層26上に、磁気抵抗層(MR層)20、非磁性層(SHUNT層)19、及び軟磁性層(SAL層)18を積層する。
【0305】
製造方法については、成膜段階(熱処理前)において、前記エクスチェンジバイアス層21,21を第1の反強磁性層14及び第2の反強磁性層15の2層構造で形成する。
【0306】
磁気抵抗層20に接する側に第1の反強磁性層14を形成し、前記磁気抵抗層20に前記第1の反強磁性素14を介して、第2の反強磁性層15を形成する。
【0307】
図2で説明した場合と同様に、前記第1の反強磁性層14は、第2の反強磁性層15の元素Xあるいは元素X+X′の組成比よりも多くされ、このとき好ましくは磁気抵抗層20との界面の少なくとも一部は非整合状態になっており、また前記第2の反強磁性層15は熱処理によって不規則格子から規則格子に変態しやすい理想的な組成に近い反強磁性材料によって形成されている。なお前記第1の反強磁性層14及び第2の反強磁性層15の元素Xあるいは元素X+X′の組成比及び各反強磁性層の膜厚等に関しては図2に説明したものと同じである。
【0308】
熱処理を施すことによって、前記エクスチェンジバイアス層21,21は前記磁気抵抗層20との界面で非整合状態を保ちながら、不規則格子から規則格子に適切に変態し、前記エクスチェンジバイアス層21と磁気抵抗層20との界面で交換結合磁界が発生する。
【0309】
本発明では、成膜段階において磁気抵抗層20との界面で前記磁気抵抗層20の結晶構造等の拘束を受けることのない組成で形成された第1の反強磁性層14と、熱処理によって不規則格子から規則格子に変態するのに理想的な組成で形成された第2の反強磁性層15を形成しているので、熱処理によって磁気抵抗層20との間で非整合状態を保ちながら適切に不規則格子から規則格子への変態が行なわれ、よって従来よりも大きな交換結合磁界を得ることが可能である。本発明によれば、7.9×10(A/m)以上の交換結合磁界を期待することができる。
【0310】
またエクスチェンジバイアス層21は、成膜段階において図4と同様に3層膜で形成してもよい。磁気抵抗層20側に第1の反強磁性層23を形成し、さらに前記第1の反強磁性層23に第2の反強磁性層24、及び第3の反強磁性層25を重ねて形成する。このとき前記第2の反強磁性層24の元素Xあるいは元素X+X′の組成比を第1及び第3の反強磁性層23,25の元素Xあるいは元素X+X′の組成比よりも小さくする。また好ましくは前記第1の反強磁性層23と磁気抵抗層20の界面の少なくとも一部を非整合状態にし、あるいは前記界面の少なくとも一部で双方の格子定数または結晶配向を異ならせる。
【0311】
このようにして形成されたエクスチェンジバイアス層21に対し熱処理を施すと、前記第2の反強磁性層24が規則変態を起し、続いて組成拡散により第1及び第3の反強磁性層23,25も規則変態を起す。そして熱処理後の前記エクスチェンジバイアス層21には、膜厚方向の中間領域から磁気抵抗層20側に向かうにしたがってMnに対する元素Xの原子%の比率が増加する領域と、前記中間領域から前記磁気抵抗層20と反対側に向かうにしたがってMnに対する元素Xあるいは元素X+X′の原子%の比率が増加する領域とが存在する。
【0312】
前記第1ないし第3の反強磁性層23,24,25の組成及び膜厚等に関しては図4に説明したものと同様であり、熱処理後におけるエクスチェンジバイアス層21の組成及び膜厚等に関しては図5に示す反強磁性層4と同様である。
【0313】
またこの例においてもシードレイヤ22を使用することができる。前記シードレイヤ22は特に図15の場合に使用することの方が効果がある。すなわちエクスチェンジバイアス層21,21が磁気抵抗層20の下側に形成される場合に、前記シードレイヤ22を前記エクスチェンジバイアス層21の下側に形成する。なお図14の場合にもシードレイヤ22を用いても良い。この場合は、前記エクスチャンジバイアス層21上にシードレイヤ22を形成する。前記シードレイヤ22の形成により、抵抗変化率を向上させることができる。前記シードレイヤ22の結晶構造、材質及びエクスチェンジバイアス層21の材質、組成、膜厚等に関しては図4、5と同様である。
【0314】
上記した図14及び図15に示すAMR素子では、前記エクスチェンジバイアス層21,21と磁気抵抗層20との界面で発生する交換結合磁界により、図14、15に示す磁気抵抗層20のE領域が、図示X方向に単磁区化される。そしてこれに誘発されて前記磁気抵抗層20のD領域の磁化が図示X方向に揃えられる。また、検出電流が磁気抵抗層20を流れる際に発生する電流磁界が、軟磁性層18にY方向に印加され、軟磁性層18がもたらす静磁結合エネルギーにより、磁気抵抗層20のD領域に横バイアス磁界がY方向に与えられる。X方向に単磁区化された磁気抵抗層20のD領域にこの横バイアス層が与えられることにより、磁気抵抗層20のD領域の磁界変化に対する抵抗変化(磁気抵抗効果特性:H―R効果特性)が直線性を有する状態に設定される。
【0315】
記録媒体の移動方向はZ方向であり、図示Y方向に漏れ磁界が与えられると、磁気抵抗層20のD領域の抵抗値が変化し、これが電圧変化として検出される。
【0316】
図16は、図1から図11に示す磁気抵抗効果素子が形成された読み取りヘッドの構造を記録媒体との対向面側から見た断面図である。
【0317】
符号40は、例えばNiFe合金などで形成された下部シールド層であり、この下部シールド層40の上に下部ギャップ層41が形成されている。また下部ギャップ層41の上には、図1ないし図15に示す磁気抵抗効果素子42が形成されており、さらに前記磁気抵抗効果素子42の上には、上部ギャップ層43が形成され、前記上部ギャップ層43の上には、NiFe合金などで形成された上部シールド層44が形成されている。
【0318】
前記下部ギャップ層41及び上部ギャップ層43は、例えばSiOやAl(アルミナ)などの絶縁材料によって形成されている。図16に示すように、下部ギャップ層41から上部ギャップ層43までの長さがギャップ長Glであり、このギャップ長Glが小さいほど高記録密度化に対応できるものとなっている。
【0319】
本発明では上記したように反強磁性層4の膜厚を小さくしてもなお大きな交換結合磁界を発生させることができる。よって磁気抵抗効果素子の膜厚を従来に比べて小さくすることができ、狭ギャップ化により高記録密度化に対応可能な薄膜磁気ヘッドを製造することが可能になっている。
【0320】
【実施例】
本発明では、まず下記に示す膜構成から成る積層膜を成膜し、成膜段階(熱処理前)において図2と同様に反強磁性層4を異なる組成比からなる2層(第1の反強磁性層14と第2の反強磁性層15)で形成した場合(参考例)と、図20に示すように前記反強磁性層30を1層で形成した場合(比較例)のサンプルを用意し、各サンプルに同じ諸条件の熱処理を与えたときの、交換結合磁界(Hex)と抵抗変化率(ΔMR)とを測定した。なお熱処理は、200℃以上で2時間以上の条件で行った。
【0321】
参考例1)
膜構成としては、下から、
下地層6:Ta(50)/フリー磁性層1:[Ni80Fe20(45)/Co(5)]/非磁性中間層2:Cu(25)/固定磁性層3:[Co(20)/Ru(8)/Co(15)]/第1の反強磁性層14:Pt58Mn42(10)/第2の反強磁性層:Pt50Mn50(110)/保護層7:Ta(30)
【0322】
(比較例1)
下地層6:Ta(50)/フリー磁性層1:[Ni80Fe20(45)/Co(5)]/非磁性中間層2:Cu(25)/固定磁性層3:[Co(20)/Ru(8)/Co(15)]/反強磁性層30:Pt58Mn42(120)/保護層7:Ta(30)
【0323】
(比較例2)
下地層6:Ta(50)/フリー磁性層1:[Ni80Fe20(45)/Co(5)]/非磁性中間層2:Cu(25)/固定磁性層3:[Co(20)/Ru(8)/Co(15)]/反強磁性層30:Pt46Mn54(120)/保護層7:Ta(30)
【0324】
(比較例3)
下地層6:Ta(50)/フリー磁性層1:[Ni80Fe20(45)/Co(5)]/非磁性中間層2:Cu(25)/固定磁性層3:[Co(20)/Ru(8)/Co(15)]/反強磁性層30:Pt50Mn50(120)/保護層7:Ta(30)
【0325】
(比較例4)
下地層6:Ta(50)/フリー磁性層1:[Ni80Fe20(45)/Co(5)]/非磁性中間層2:Cu(25)/固定磁性層3:[Co(20)/Ru(8)/Co(15)]/反強磁性層30:Pt52Mn48(120)/保護層7:Ta(30)
【0326】
なお上記括弧中の数値は膜厚を表わしており、単位はオングストロームである。またNiFe合金及びPtMn合金の下付きの数値は組成比を示し、at%である。
【0327】
上記のように各サンプルは、反強磁性層以外の層は同じ層構成で形成されている。また反強磁性層の膜厚は、全て同じ120Åとした(参考例1の場合は第1の反強磁性層14と第2の反強磁性層15を総合した膜厚)。
【0328】
【表1】

Figure 0003670929
【0329】
表1は各サンプルに熱処理を施した後の実験結果が示されている。[強磁性層との界面]欄に示すように、参考例1及び比較例1では、固定磁性層3との界面での界面状態は、非常に強い非整合となっているが、一方、比較例2、3では、整合状態になりやすくなっている。また比較例4では、非整合状態がそれほど強くない。
【0330】
界面構造を非整合状態にするには、PtMn合金に占めるPt量を増やす必要性があるが、参考例1及び比較例1では、固定磁性層との界面に接する反強磁性層のPt量は58(at%)であるのに対し、比較例2、3、4では、それよりも少ないPt量であるため上記のような結果が出たのである。
【0331】
次に[交換結合磁界(Hex)]欄を見てみると、参考例1では17.4×10(A/m)と非常に大きい交換結合磁界を生じたのに対し、比較例1、2では極端に前記交換結合磁界が小さくなる。比較例3、4は、比較例1、2よりは大きい交換結合磁界を生じるが、参考例1には満たない。
【0332】
大きい交換結合磁界を生じさせるには、まず反強磁性層が、熱処理を施したときに不規則格子から規則格子に変態しやすい理想的な組成比に近いPtMn合金で形成されている必要がある。理想的な組成比とはPt50Mn50である。
【0333】
ただし変態しやすい理想的な組成比で形成するだけでは足らず、固定磁性層との界面が非整合状態とされていることも重要である。整合されていると、熱処理の際に反強磁性層の変態が固定磁性層の結晶構造に拘束されてしまい適切な変態ができないからである。
【0334】
上記の2つの条件を満たしているのは、参考例1だけである。すなわち成膜段階(熱処理前)において第1の反強磁性層と固定磁性層との界面は非整合状態に保たれ、第2の反強磁性層は理想的な組成で形成されているからである。一方比較例1では、固定磁性層との界面が非整合状態に保たれているものの、Pt量が多すぎて理想的な組成から離れ、熱処理を施しても反強磁性の性質になりにくい。また比較例2では、固定磁性層の界面が整合状態で、且つPt量が少なすぎて理想的な組成から離れ、熱処理を施しても反強磁性層の性質になりにくい。比較例3では、理想的な組成で形成されているものの、固定磁性層との界面が整合し、熱処理を施しても適切に不規則格子から規則格子への変態が起こり難くなっている。比較例4は、理想的な組成に近く、また固定磁性層との界面も比較的に非整合状態になりやすくなっているため、比較例の中では最も大きな交換結合磁界が発生するものの、参考例1に比べると、Pt量が多く、また非整合状態が弱いために交換結合磁界が参考例1に比べて小さくなっている。
【0335】
本発明では、成膜段階において、固定磁性層との界面側には、非整合状態となりやすい組成で形成された第1の反強磁性層14を形成し、前記固定磁性層に第1の反強磁性層14を介して理想的な組成で形成された第2の反強磁性層15を形成しているために、熱処理を施しても、非整合状態を保ちながら適切に不規則格子から規則格子への変態を起し、比較例に比べて大きな交換結合磁界を得ることに成功したのである。また[抵抗変化率]欄を見ても参考例1が比較例に比べて大きくなることがわかる。
【0336】
次に本発明では、反強磁性層のトータル膜厚と交換結合磁界(Hex)との関係について調べた(図17)。実験に用意した成膜段階(熱処理前)におけるサンプルは以下の2つであり、参考例2の膜構成は図2と同じであり、比較例5の膜構成は図20と同じである。
【0337】
参考例2)
膜構成としては、下から、
下地層6:Ta(50)/フリー磁性層1:[Ni80Fe20(45)/Co(5)]/非磁性中間層2:Cu(25)/固定磁性層3:[Co(20)/Ru(8)/Co(15)]/第1の反強磁性層14:Pt58Mn42(10)/第2の反強磁性層:Pt50Mn50(X−10)/保護層7:Ta(30)
【0338】
(比較例5)
下地層6:Ta(50)/フリー磁性層1:[Ni80Fe20(45)/Co(5)]/非磁性中間層2:Cu(25)/固定磁性層3:[Co(20)/Ru(8)/Co(15)]/反強磁性層30:Pt52Mn48(X)/保護層7:Ta(30)
【0339】
なお上記括弧中の数値は膜厚を表わしており、単位はオングストロームである。またNiFe合金及びPtMn合金の下付きの数値は組成比を示し、at%である。
【0340】
参考例2では、上記の膜構成に示すように、第1の反強磁性層14の膜厚を10Åで固定し、第2の反強磁性層15の膜厚を増減させている。
【0341】
上記の各サンプルに熱処理を施した後、交換結合磁界(Hex)の大きさを測定した。図17に示すように、PtMn合金のトータル膜厚が大きくなればなるほど、参考例1及び比較例5ともに交換結合磁界は大きくなることがわかる。
【0342】
参考例の場合、PtMn合金のトータル膜厚を厚くしていくと、換言すれば、第2の反強磁性層15の膜厚を大きくしていくと、比較例5に比べ急激に交換結合磁界は大きくなり、トータル膜厚が80Å以上になると、7.9×10(A/m)以上の交換結合磁界を得ることができるとわかる。
【0343】
一方、比較例5の場合、反強磁性層30の膜厚が120Å程度以上になると、7.9×104(A/m)以上の交換結合磁界を生じるが、参考例2と同じ交換結合磁界を得るには、前記反強磁性層30の膜厚を参考例2に比べて大きくしなければならないことがわかる。
【0344】
ところでこの実験から、参考例2のように、成膜段階において反強磁性層4を第1の反強磁性層14と第2の反強磁性層15の2層で構成した場合、熱処理を施したときに不規則格子から規則格子に変態しやすい理想的な組成に近い反強磁性材料で形成された第2の反強磁性層15を、所定膜厚以上で形成しなければならないことがわかる。
【0345】
本発明では図17に示す実験結果から、反強磁性層のトータル膜厚を80Å以上にすれば7.9×10(A/m)以上の交換結合磁界を得られることがわかり、このとき第1の反強磁性層14の膜厚が10Åであることから、第2の反強磁性層15の膜厚を70Å以上に規定した。
【0346】
次に本発明では、反強磁性層を成膜段階(熱処理前)において、第1の反強磁性層14と第2の反強磁性層15の2層で構成した場合における第1の反強磁性層の膜厚と、交換結合磁界(Hex)との関係について調べた(図18)。実験に用意したサンプルの膜構成は、図2と同じである。
【0347】
参考例3)
膜構成としては、下から、
下地層6:Ta(50)/フリー磁性層1:[Ni80Fe20(45)/Co(5)]/非磁性中間層2:Cu(25)/固定磁性層3:[Co(20)/Ru(8)/Co(15)]/第1の反強磁性層14:Pt58Mn42(X)/第2の反強磁性層:Pt50Mn50(120−X)/保護層7:Ta(30)
【0348】
なお上記括弧中の数値は膜厚を表わしており、単位はオングストロームである。またNiFe合金及びPtMn合金の下付きの数値は組成比を示し、at%である。
【0349】
第1の反強磁性層14の膜厚が異なる複数のサンプルを用意し、各サンプルに熱処理を施して交換結合磁界(Hex)の大きさを測定した。図18に示すように、前記第1の反強磁性層14の膜厚Xが、3Åから30Åの範囲内であると、交換結合磁界は7.9×10(A/m)以上になることがわかる。
【0350】
前記第1の反強磁性層14は、固定磁性層3との界面で非整合状態を保つためにPt量が多くされており、参考例では58(at%)である。この組成は非整合状態を保つには良好な組成といえるが、一方、熱処理により不規則格子から規則格子に変態しづらく、反強磁性は帯び難くなっている。このため、前記第1の反強磁性層14の膜厚が厚くなりすぎると、変態し難い領域が多くなると考えられ、図18に示す実験結果からも明らかなように著しい交換結合磁界の減少を招く。
【0351】
これに対し、前記第1の反強磁性層14を3Å以上30Å以下に設定すると、交換結合磁界を大きくできるのは、熱処理によって第1の反強磁性層14と、元々変態を起し易い第2の反強磁性層15との間で組成拡散が発生し、この組成拡散は上記の膜厚範囲内であれば第1の反強磁性層14のほぼ全域にわたって起こるものと考えられる。そしてこの組成拡散により、第1の反強磁性層14の領域では成膜段階よりもPt量が減少し、規則変態が生じ易くなり、大きな交換結合磁界が発生するものと考えられる。
【0352】
このように本発明において大きな交換結合磁界を生じさせるには、図17で説明したように、熱処理によって不規則格子から規則格子に変態しやすい理想的な組成に近い反強磁性材料で形成された第2の反強磁性層15を70Å以上で形成し、図18で説明したように、成膜段階において固定磁性層との界面で非整合状態を維持するためにPt量が多くされた第1の反強磁性層14を3Å以上30Å以下で形成する必要がある。
【0353】
この結果、第1の反強磁性層14の膜厚を3Åとし、第2の反強磁性層15の膜厚を70Åとすれば、交換結合磁界は7.9×10(A/m)以上になり、この際の反強磁性層4のトータル膜厚は73Åである。本発明では、この実験結果により、熱処理後における反強磁性層4の膜厚を73Å以上と設定した。
【0354】
このように本発明では、反強磁性層4の膜厚を73Å以上にすればよいので、従来に比べて反強磁性層の膜厚を小さくすることが可能になり、狭ギャップ化を図ることができる。
【0355】
次に本発明では、反強磁性層を成膜段階(熱処理前)において、第1の反強磁性層14と第2の反強磁性層15の2層で構成した場合における第1の反強磁性層の組成比と、交換結合磁界(Hex)との関係について調べた(図19)。実験に用意したサンプルの膜構成は、図2と同じである。
【0356】
参考例4)
膜構成としては、下から、
下地層6:Ta(50)/フリー磁性層1:[Ni80Fe20(45)/Co(5)]/非磁性中間層2:Cu(25)/固定磁性層3:[Co(20)/Ru(8)/Co(15)]/第1の反強磁性層14:Pt(X)Mn(100−X)(10)/第2の反強磁性層:Pt50Mn50(120−X)/保護層7:Ta(30)
【0357】
なお上記括弧中の数値は膜厚を表わしており、単位はオングストロームである。またNiFe合金及びPtMn合金の下付きの数値は組成比を示し、at%である。
【0358】
第1の反強磁性層14の組成比が異なる複数のサンプルを用意し、各サンプルのに熱処理を施して交換結合磁界(Hex)の大きさを測定した。なお熱処理は、200℃以上で2時間以上の条件で行った。図19に示すように、前記第1の反強磁性層14のPt量が53at%以上65at%以下の範囲内であると、交換結合磁界は7.9×10(A/m)以上になることがわかる。
【0359】
前記第1の反強磁性層14のPt量が53at%〜65at%の範囲内で、大きな交換結合磁界を生じ得る理由は、上記範囲内であると第1の反強磁性層14と固定磁性層3との界面を適切に非整合状態にすることができるからである。
【0360】
ただし前記Pt量が65at%以上を越えると、交換結合磁界が小さくなることがわかる。これは、これほど多くのPtが含有されていると、熱処理によって第1の反強磁性層14と第2の反強磁性層15との間で組成拡散が起こっても、前記組成拡散により第1の反強磁性層14の領域でのPt量は変態を適切に起せるほど低下せず、よって交換結合磁界が低下するものと考えられる。
【0361】
またPt量を55(at%)以上60(at%)以下にすれば、より大きな交換結合磁界を得られることがわかり、具体的には11.85×10(A/m)以上の交換結合磁界を得ることができる。またPt量を53at%よりも小さくすると、反強磁性層4の格子定数が固定磁性層3の格子定数に近づくために、界面を非整合状態にしにくく、交換結合磁界が小さくなってしまう。
【0362】
次に本発明では、成膜段階(熱処理前)において別の方法で反強磁性層4を形成したサンプルを用意し(参考例5)、前記サンプルを熱処理した際に発生する交換結合磁界(Hex)を測定した。
【0363】
前記反強磁性層4以外の各層の材質及び膜厚は、上記した参考例1ないし3と同じである。この実験では、前記反強磁性層4を固定磁性層3上に成膜する際に、PtMn合金で形成されたターゲットを用意し、スパッタガス圧を低い状態から高い状態に徐々に変化させて前記反強磁性層4を成膜した。前記反強磁性層4の膜厚方向への組成比を測定してみると、固定磁性層3との界面近傍ではPt58Mn42となっており、前記界面から離れるにしたがって徐々にPt量は減少し、前記界面と反対側の面近傍ではPt48Mn52となっていた。
【0364】
比較例5として、反強磁性層30全体の組成がPt52Mn48からなる積層膜を形成した。なお前記反強磁性層30以外の各層の材質及び膜厚等は上記した比較例1ないし4と同じである。
【0365】
上記の参考例5と比較例5の各サンプルを成膜した後、熱処理を施して交換結合磁界を測定した。その実験結果を表2に示す。なお熱処理は、200℃以上で2時間以上の条件で行った。
【0366】
【表2】
Figure 0003670929
【0367】
表2の[強磁性層との界面]欄に示すように、参考例5の場合は、反強磁性層4と固定磁性層3との界面構造は非整合状態が強くなっており、比較例5の場合も、前記界面構造は非整合状態になりやすいものの参考例5の場合に比べると弱くなっている。
また抵抗変化率(ΔMR)には、参考例5と比較例5にはそれほど大きな差はない。
【0368】
参考例5と比較例5の大きな相違点は、参考例5における交換結合磁界(Hex)は比較例5の交換結合磁界の約2倍になっている点である。
【0369】
このように参考例5において大きな交換結合磁界を発揮し得るのは、まず固定磁性層との界面近傍では前記反強磁性層4の組成比はPt58Mn42とPt量が多くなっており、前記界面において適切に非整合状態が保たれていること、及び膜厚方向に対し組成変調させることによって、熱処理により不規則格子から規則格子に変態する理想的な組成に近い領域が膜の大部分を占めるために、適切な前記変態が行なわれることが理由であると考えられる。
【0370】
次に本発明では、いわゆるデュアルスピンバルブ型磁気抵抗効果素子における反強磁性層4を成膜段階において第1の反強磁性層14と第2の反強磁性層15の積層構造とした場合(参考例6)と、前記反強磁性層を単層で形成した場合(比較例6)での交換結合磁界(Hex)を測定した。
【0371】
参考例6)
膜構成としては、下から、
第2の反強磁性層15:Pt50Mn50(83)/第1の反強磁性層14:Pt58Mn42(7)/固定磁性層3:[Co(15)/Ru(8)/Co(20)]/非磁性中間層2:Cu(22)/フリー磁性層1:Co(20)/非磁性中間層2:Cu(22)/固定磁性層3:[Co(20)/Ru(8)/Co(15)]/第1の反強磁性層14:Pt58Mn42(7)/第2の反強磁性層:Pt50Mn50(83)/保護層7:Ta(10)
【0372】
(比較例6)
膜構成としては、下から、
反強磁性層30:Pt50Mn50(90)/固定磁性層3:[Co(15)/Ru(8)/Co(20)]/非磁性中間層2:Cu(22)/フリー磁性層1:Co(20)/非磁性中間層2:Cu(22)/固定磁性層3:[Co(20)/Ru(8)/Co(15)]/反強磁性層30:Pt50Mn50(90)/保護層7:Ta(10)
【0373】
なお上記括弧中の数値は膜厚を表わしており、単位はオングストロームである。またNiFe合金及びPtMn合金の下付きの数値は組成比を示し、at%である。
【0374】
上記の参考例6と比較例6の各サンプルを成膜した後、熱処理を施して交換結合磁界を測定した。その実験結果を表3に示す。なお熱処理は、200℃以上で2時間以上の条件で行った。
【0375】
【表3】
Figure 0003670929
【0376】
表3の[強磁性層との界面]欄に示すように、参考例6の場合は、反強磁性層4と固定磁性層3との界面構造は非整合状態が強くなっており、比較例6の場合も、前記界面構造は非整合状態になりやすいものの参考例6の場合に比べると弱くなっている。
また抵抗変化率(ΔMR)には、参考例6と比較例6にはそれほど大きな差はない。
【0377】
参考例6と比較例6の大きな相違点は、参考例6における交換結合磁界(Hex)は比較例6に比べて非常に大きくなっている点である。
【0378】
このように参考例6において大きな交換結合磁界を発揮し得るのは、まず固定磁性層との界面が第1の反強磁性層14の形成により非整合状態にされていること、及び前記固定磁性層3に第1の反強磁性層14を介して熱処理により不規則格子から規則格子に変態しやすい理想的な組成の第2の反強磁性層15が形成されており、よって熱処理によって非整合状態を保ちながら適切な前記変態が行なわれることが理由であると考えられる。
【0379】
次に本発明では、図4で説明したシードレイヤ22を用いた積層膜を4種類形成し、そのうち前記シードレイヤ22との界面を非整合状態にしたサンプル(実施例)を2種類用意し、残りの2種類のサンプル(比較例7,8)を、前記シードレイヤ22との界面を整合状態にして、各サンプルに熱処理を施した際に発生する交換結合磁界(Hex)及び抵抗変化率(ΔMR)等を測定した。実施例における膜構成は図4と同じであり、比較例7,8における膜構成は、図21と同じである。
【0380】
(実施例
膜構成としては、下から、
下地層6:Ta(50)/シードレイヤ22:Ni80Fe20(30)/反強磁性層4[第3の反強磁性層25:Pt58Mn42(10)/第2の反強磁性層24:Pt50Mn50(100)/第1の反強磁性層23:Pt58Mn42(10)]/固定磁性層3[Co(15)/Ru(8)/Co(20)]/非磁性中間層2:Cu(22)/フリー磁性層1[Co(5)/Ni80Fe20(45)]/保護層7:Ta(30)
【0381】
(実施例
膜構成としては、下から、
下地層6:Ta(50)/シードレイヤ22:Ni60Fe10Cr30(30)/反強磁性層4[第3の反強磁性層25:Pt58Mn42(10)/第2の反強磁性層24:Pt50Mn50(100)/第1の反強磁性層23:Pt58Mn42(10)]/固定磁性層3[Co(15)/Ru(8)/Co(20)]/非磁性中間層2:Cu(22)/フリー磁性層1[Co(5)/Ni80Fe20(45)]/保護層7:Ta(30)
【0382】
(比較例7)
膜構成としては、下から、
下地層6:Ta(50)/シードレイヤ22:Ni80Fe20(30)/反強磁性層31:Pt50Mn50(120)/固定磁性層3[Co(15)/Ru(8)/Co(20)]/非磁性中間層2:Cu(22)/フリー磁性層1[Co(5)/Ni80Fe20(45)]/保護層7:Ta(30)
【0383】
(比較例8)
膜構成としては、下から、
下地層6:Ta(50)/シードレイヤ22:Ni60Fe10Cr30(30)/反強磁性層31:Pt50Mn50(120)/固定磁性層3[Co(15)/Ru(8)/Co(20)]/非磁性中間層2:Cu(22)/フリー磁性層1[Co(5)/Ni80Fe20(45)]/保護層7:Ta(30)
【0384】
なお上記括弧中の数値は膜厚を表わしており、単位はオングストロームである。またNiFe合金及びPtMn合金の下付きの数値は組成比を示し、at%である。
【0385】
上記膜構成で形成された各サンプルを形成した後、熱処理を施して交換結合磁界(Hex)及び抵抗変化率(ΔMR)等を測定した。その実験結果を表4に示す。なお熱処理は、200℃以上で2時間以上の条件で行った。
【0386】
【表4】
Figure 0003670929
【0387】
表4に示すように、まず[シード層の役割]欄では、実施例及び比較例7,8全て同じであり、本発明におけるシードレイヤ22は、主として面心立方構造から成り、しかも界面と平行な方向に(111)面が優先配向されている。このため前記シードレイヤ22上に形成される反強磁性層からフリー磁性層1までの各層もまた界面方向に(111)面が優先配向し、結晶粒径も大きくなる。このため表4に示すように、各サンプルにおいて大きな抵抗変化率を得ることが可能になっている。
【0388】
なお実施例に比べて実施例の方が抵抗変化率が大きく、また比較例7に比べて比較例8の方が抵抗変化率が大きくなるのは、実施例及び比較例7では、シードレイヤ22がNi80Fe20からなる合金で形成されるために前記シードレイヤ22の比抵抗は低く、一方、実施例及び比較例8では、前記シードレイヤ22がNi60Fe10Cr30で形成され非磁性でCrを添加した組成であるために、前記シードレイヤ22の比抵抗は高くなっているからである。
【0389】
実施例及び比較例7では比抵抗が低いことによりセンス電流が前記シードレイヤ22にも分流するのに対し、実施例及び比較例8ではそのようなことがなく、よって実施例及び比較例8の方が、実施例及び比較例7に比べて抵抗変化率が高くなる。
【0390】
次に交換結合磁界について説明すると、実施例の方が比較例7,8に比べて非常に高くなっていることがわかる。これは実施例では、シードレイヤ22との界面及び固定磁性層3との界面構造が、第3の反強磁性層25及び第1の反強磁性層23の存在により非整合状態にされているからである。一方、比較例7,8では、反強磁性層31が、熱処理によって不規則格子から規則格子に変態しやすい理想的な組成で形成されているものの前記シードレイヤ22及び固定磁性層3の界面が整合されているために、熱処理によって前記変態が起こり難くなり、交換結合磁界が小さくなってしまう。
【0391】
この実験結果により、抵抗変化率及び交換結合磁界の双方を満足するには次のことが言える。すなわちシードレイヤ22を、反強磁性層の固定磁性層3との界面と反対側の面に形成し、しかも前記シードレイヤ22を非磁性で比抵抗の大きい材料で形成することで、抵抗変化率を高めることができる。また反強磁性層4を成膜段階において3層膜で形成し、前記3層膜のうち、固定磁性層3に接する第1の反強磁性層23及びシードレイヤ22に接する第3の反強磁性層25のPt量を多くして、前記固定磁性層3及びシードレイヤ22との界面で非整合状態を保ち、また前記第1及び第3の反強磁性層23,25間に形成される第2の反強磁性層24を、熱処理によって不規則格子から規則格子に変態しやすい理想的な組成で形成するのである。これによって交換結合磁界(Hex)を向上させることが可能である。
【0392】
なお前記第1及び第3の反強磁性層23,25の膜厚及び組成比の範囲は、上記した図18及び図19の実験結果と同様に、3Å以上30Å以下であり、Pt量が53at%以上65at%以下であることが好ましい。また前記第2の反強磁性層24の膜厚は、図17の実験結果と同様に70Å以上であることが好ましい。
【0393】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明における交換結合膜では、反強磁性層は、元素XとMnとを含有する反強磁性材料、あるいは元素Xと元素X′とMnとを含有する反強磁性材料で形成され、膜厚方向の中間領域から強磁性層側に向うにしたがってMnに対する元素Xあるいは元素X+X′の原子%の比率が増加する領域と、前記中間領域から前記強磁性層と反対側に向かうにしたがってMnに対する元素Xあるいは元素X+X′の原子%の比率が増加する領域とが存在し、前記反強磁性層の少なくとも一部の結晶構造がCuAu−I型の面心正方規則格子であることを特徴とするものである。
【0394】
前記反強磁性層に上記した組成変調を起す領域の存在、規則格子の存在があると、前記交換結合膜の交換結合磁界を従来に比べて大きくすることができる。
【0395】
また本発明では、反強磁性層と強磁性層の界面の少なくとも一部は非整合状態であることが好ましい。これによってより適切に反強磁性層の規則変態を促し、大きな交換結合磁界を得ることが可能になる。
【0396】
また本発明では、反強磁性層の強磁性層と反対側の面にシードレイヤを設けることが好ましい。このとき前記シードレイヤを非磁性で比抵抗の大きい材料で形成し、しかもより好ましくは前記シードレイヤと反強磁性層との界面の少なくとも一部を非整合状態にすることで、大きな抵抗変化率及び交換結合磁界を得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1形態のシングルスピンバルブ型磁気抵抗効果素子の構造をABS面側から見た断面図、
【図2】層膜の成膜段階(熱処理前)の構造を示す模式図、
【図3】図2に示す積層膜に熱処理を施した後の前記積層膜の構造を示す模式図、
【図4】シードレイヤを用いた本発明における積層膜の成膜段階(熱処理前)の構造を示す模式図、
【図5】図4に示す積層膜に熱処理を施した後の前記積層膜の構造を示す模式図、
【図6】第2形態のシングルスピンバルブ型磁気抵抗効果素子の構造をABS面側から見た断面図、
【図7】第3形態のシングルスピンバルブ型磁気抵抗効果素子の構造をABS面側から見た断面図、
【図8】第4形態のシングルスピンバルブ型磁気抵抗効果素子の構造をABS面側から見た断面図、
【図9】第5形態のデュアルスピンバルブ型磁気抵抗効果素子の構造をABS面側から見た断面図、
【図10】デュアルスピンバルブ型の積層膜の成膜段階の構造を示す模式図、
【図11】図10に示す積層膜に熱処理を施した後の前記積層膜の構造を示す模式図、
【図12】シードレイヤを用いたデュアルスピンバルブ型の積層膜の成膜段階の構造を示す模式図、
【図13】図12に示す積層膜に熱処理を施した後の前記積層膜の構造を示す模式図、
【図14】第6形態のAMR型磁気抵抗効果素子の構造をABS面側から見た断面図、
【図15】第7形態のAMR型磁気抵抗効果素子の構造をABS面側から見た断面図、
【図16】膜磁気ヘッド(再生ヘッド)の構造示す部分断面図、
【図17】反強磁性層を第1の反強磁性層と第2の反強磁性層で形成した場合の、前記反強磁性層のトータル膜厚と、交換結合磁界(Hex)との関係を示すグラフ、
【図18】反強磁性層を第1の反強磁性層と第2の反強磁性層で形成した場合の、前記第1の反強磁性層の膜厚と、交換結合磁界(Hex)との関係を示すグラフ、
【図19】反強磁性層を第1の反強磁性層と第2の反強磁性層で形成し、前記第1の反強磁性層をPtMn100−xで形成した場合のPt量(X)と交換結合磁界(Hex)との関係を示すグラフ、
【図20】実験用の従来のシングルスピンバルブ型磁気抵抗効果素子の構造を示す模式図、
【図21】実験用の従来のシングルスピンバルブ型磁気抵抗効果素子にシードレイヤを用いた構造を示す模式図、
【符号の説明】
1 フリー磁性層
2 非磁性中間層
3 固定磁性層
4 反強磁性層
5 ハードバイアス層
6 下地層
7 保護層
8 導電層
14、23 第1の反強磁性層
15、24 第2の反強磁性層
16、21 エクスチェンジバイアス層
17、26 絶縁層
18 軟磁性層(SAL層)
19 非磁性層(SHUNT層)
20 磁気抵抗層(MR層)
22 シードレイヤ
25 第3の反強磁性層
42 磁気抵抗効果素子BACKGROUND OF THE INVENTION
[0001]
[Prior art]
  The present invention comprises an antiferromagnetic layer and a ferromagnetic layer, and the magnetization direction of the ferromagnetic layer is fixed in a fixed direction by an exchange coupling magnetic field generated at the interface between the antiferromagnetic layer and the ferromagnetic layer. In particular, an exchange coupling film capable of obtaining a large exchange coupling magnetic field, a magnetoresistive effect element (spin valve thin film element, AMR element) using the exchange coupling film, and the magnetoresistance The present invention relates to a thin film magnetic head using an effect element.
[0002]
[Prior art]
  A spin valve thin film element is a kind of GMR (giant magnetoresistive) element using a giant magnetoresistive effect, and detects a recording magnetic field from a recording medium such as a hard disk.
[0003]
  This spin-valve type thin film element has some excellent points such as a relatively simple structure among GMR elements and a resistance change by a weak magnetic field.
[0004]
  The spin valve thin film element has the simplest structure, and is composed of an antiferromagnetic layer, a pinned magnetic layer, a nonmagnetic intermediate layer, and a free magnetic layer.
[0005]
  The antiferromagnetic layer and the pinned magnetic layer are formed in contact with each other, and the magnetization direction of the pinned magnetic layer is made constant by an exchange anisotropic magnetic field generated at the interface between the antiferromagnetic layer and the pinned magnetic layer. Single domain and fixed.
[0006]
  The magnetization of the free magnetic layer is aligned in the direction intersecting with the magnetization direction of the pinned magnetic layer by the bias layers formed on both sides thereof.
[0007]
  As the antiferromagnetic layer, a Fe—Mn (iron-manganese) alloy film, a Ni—Mn (nickel-manganese) alloy film, a Pt—Mn (platinum-manganese) alloy film, or the like is generally used. However, among these, the Pt—Mn alloy film is particularly in the spotlight because it has various excellent points such as high blocking temperature and excellent corrosion resistance.
[0008]
[Problems to be solved by the invention]
  By the way, when a PtMn alloy film is used for the antiferromagnetic layer, it is understood that the crystal structure of the antiferromagnetic layer is a face-centered cubic lattice with an irregular arrangement order of atoms at the stage of film formation. Yes.
[0009]
  In order to generate an exchange coupling magnetic field having an appropriate magnitude between the antiferromagnetic layer and the ferromagnetic layer after the formation of the antiferromagnetic layer, the crystal structure of the antiferromagnetic layer is a face center as an irregular phase. It is necessary to transform from a cubic lattice to a CuAu-I type face-centered tetragonal lattice as a regular phase, and such transformation is caused by heat treatment.
[0010]
  In addition, it is understood that the PtMn alloy is likely to be a CuAu-I type face-centered tetragonal lattice and most likely to have antiferromagnetic properties when the at% of Pt and Mn is 50:50 in the bulk type. Therefore, the present inventors use a PtMn alloy film as the antiferromagnetic layer of the spin valve thin film element, and at this time, the at% of Pt and Mn is approximately 50:50 and the antiferromagnetic layer is used. And the magnitude of the exchange coupling magnetic field generated between the ferromagnetic layers.
[0011]
  However, it has been found that a sufficiently large exchange coupling magnetic field cannot be obtained even though the composition ratio of Pt and Mn is an ideal composition in a bulk type.
[0012]
  This is considered to be because the crystal structure of the antiferromagnetic layer is not sufficiently transformed from an irregular lattice to a regular lattice even when heat treatment is performed.
[0013]
  The present invention is for solving the above-mentioned conventional problems. When an antiferromagnetic material containing element X (X is a platinum group element) and Mn is used as an antiferromagnetic layer, a large exchange anisotropic property is obtained. The present invention relates to an exchange coupling film capable of generating a magnetic field, a magnetoresistance effect element using the exchange coupling film, and a thin film magnetic head using the magnetoresistance effect element.
[0014]
[Means for Solving the Problems]
  The present invention provides an exchange coupling film in which an exchange coupling magnetic field is generated at the interface between the antiferromagnetic layer and the ferromagnetic layer.
  The antiferromagnetic layer is formed of an antiferromagnetic material containing element X (where X is one or more of Pt, Pd, Ir, Rh, Ru, and Os) and Mn. A region in which the ratio of atomic% of element X to Mn increases from the intermediate region in the film thickness direction toward the ferromagnetic layer, and an element relative to Mn from the intermediate region toward the opposite side of the ferromagnetic layer. A region in which the ratio of atomic% of X increases,
In the vicinity of the interface of the antiferromagnetic layer with the ferromagnetic layer and in the vicinity of the surface opposite to the interface, the composition ratio of the element X is 50 (at) when the composition ratio of all elements is 100 at%. %) To 65 (at%) or less,
In the middle of the film thickness direction of the antiferromagnetic layer, there is a region where the composition ratio of element X is 44 (at%) or more and 57 (at%) or less when the composition ratio of all elements is 100 at%. And
  The crystal structure of at least a part of the antiferromagnetic layer is a CuAu-I type face centered tetragonal regular lattice.
[0015]
  The exchange coupling film in the present invention has a structure when a ferromagnetic layer and an antiferromagnetic layer are formed and then subjected to heat treatment.
[0016]
  The antiferromagnetic layer of the exchange coupling film according to the present invention includes a region in which the ratio of atomic% of element X to Mn increases from the intermediate region in the film thickness direction toward the ferromagnetic layer side, and There is a region where the ratio of atomic% of element X to Mn increases toward the opposite side of the magnetic layer. Further, a part of the crystal structure of the antiferromagnetic layer is a CuAu-I type face centered tetragonal regular lattice.
[0017]
  The region where the composition change (composition modulation) occurs is due to the manufacturing method described later. In the present invention, the region causing such composition modulation exists, The antiferromagnetic layer as a whole is not constrained by the crystal structure of the ferromagnetic layer at the interface and without being constrained by the crystal structure of the layer in contact with the surface opposite to the ferromagnetic layer. Therefore, some regular crystal structures are formed, and a part of the crystal structure is a CuAu-I type face centered tetragonal regular lattice.
[0018]
  As in the present invention, after the heat treatment, there is a region where the ratio of atomic% of element X to Mn increases toward the opposite side of the ferromagnetic layer and the ferromagnetic layer, and the crystal structure of the antiferromagnetic layer In order to form an exchange coupling film in which at least a part of the structure is a regular lattice, it is important to form an antiferromagnetic layer having a structure in the film formation stage (before heat treatment). An antiferromagnetic layer is formed as shown in FIG.
[0019]
  As already described, when the composition ratio of Pt and Mn is 50:50 in at%, the crystal structure becomes a regular lattice and exhibits the most antiferromagnetic properties, but is inconsistent at the interface with the ferromagnetic layer. Therefore, the transformation from the irregular lattice to the regular lattice is not sufficiently performed by the heat treatment, and as a result, a sufficient exchange coupling magnetic field cannot be obtained.
[0020]
  On the other hand, if the amount of Pt is lower than 50 at%, the crystal structure is not easily transformed into a regular lattice by heat treatment, and the antiferromagnetic property is hardly obtained. At the same time, the matching state becomes strong at the interface with the ferromagnetic layer. Therefore, the exchange coupling magnetic field becomes very low.
[0021]
  If the amount of Pt is increased beyond 50 at%, the interface with the ferromagnetic layer tends to be in an inconsistent state, but the crystal structure becomes a property of an antiferromagnetic layer that is not easily transformed into a regular lattice by heat treatment. As a result, the exchange coupling magnetic field becomes very low.
[0022]
  Therefore, from the above viewpoint, when forming the antiferromagnetic layer (before heat treatment), for example, a composition in which the amount of Pt is increased on the side in contact with the ferromagnetic layer and an inconsistent state is easily formed at the interface with the ferromagnetic layer. The PtMn alloy film (referred to as the first antiferromagnetic layer) is formed with a thin film thickness, is in contact with the first antiferromagnetic layer, and is easily transformed from an irregular lattice to a regular lattice when subjected to heat treatment. A PtMn alloy film (referred to as a second antiferromagnetic layer) formed with a composition is formed to be thicker than the first antiferromagnetic layer, and is further in contact with the second antiferromagnetic layer. The third antiferromagnetic layer having a large amount of Pt is formed with a thin film thickness.
[0023]
  The antiferromagnetic layer in the film formation stage (before heat treatment) was formed with a composition that is easily constrained from an irregular lattice to a regular lattice without being restricted by the crystal structure of the ferromagnetic layer at the interface with the ferromagnetic layer. When the part of the second antiferromagnetic layer is appropriately transformed by heat treatment and the ordering starts, the first antiferromagnetic layer and the second antiferromagnetic layer cause composition diffusion. In addition, the above-described compositional diffusion also occurs between the third antiferromagnetic layer and the second antiferromagnetic layer, so that in the portions of the first antiferromagnetic layer and the third antiferromagnetic layer, Pt The amount varies from the composition in the film formation stage (before the heat treatment) and changes to a composition that easily transforms from an irregular lattice to a regular lattice, and also in the first antiferromagnetic layer and the third antiferromagnetic layer. The transformation is thought to be caused.
[0024]
  That is, in the manufacturing method described above, the amount of Pt is large above and below the second antiferromagnetic layer formed with an ideal composition that is likely to become a CuAu-I type face-centered tetragonal regular lattice in the film formation stage (before heat treatment). By sandwiching between the first antiferromagnetic layer and the third antiferromagnetic layer and applying heat treatment thereto, the antiferromagnetic layer can be sufficiently transformed from an irregular lattice to a regular lattice, which is larger than the conventional one. An exchange coupling magnetic field can be obtained.
[0025]
  Then, in the exchange coupling film after the heat treatment formed as described above, composition modulation occurs, and from the intermediate region in the film thickness direction of the antiferromagnetic layer toward the ferromagnetic layer side, and from the intermediate region There is a region where the ratio of atomic% of element X increases toward the side opposite to the ferromagnetic layer. Moreover, at least a part of the crystal structure of the antiferromagnetic layer is a CuAu-I type face centered tetragonal regular lattice.
[0026]
  The reason why the third antiferromagnetic layer having a large amount of Pt is formed in contact with the second antiferromagnetic layer in the film forming stage is that the antiferromagnetic layer is near the surface opposite to the ferromagnetic layer. This is to promote appropriate order transformation and obtain a large exchange coupling magnetic field by order transformation in the whole antiferromagnetic layer.
[0027]
  The opposite surface is joined with various layers such as a non-magnetic underlayer and protective layer, or a seed layer as will be described in detail later. The crystal structure of these layers and other factors However, there is a possibility that the regular transformation of the antiferromagnetic layer is inhibited and the exchange coupling magnetic field is lowered. Therefore, in the present invention, the third antiferromagnetic layer having a large amount of Pt and a large lattice constant is formed on the opposite surface side without being affected by the above-described crystal structure, etc. It promotes the regular transformation of the antiferromagnetic layer so that a large exchange coupling magnetic field can be obtained.
[0028]
  The present invention also provides an exchange coupling film in which an exchange coupling magnetic field is generated at the interface between the antiferromagnetic layer and the ferromagnetic layer.
  The antiferromagnetic layer is composed of an element X and an element X ′ (where X is one or more elements among Pt, Pd, Ir, Rh, Ru, and Os, and the element X ′ is Ne, Ar , Kr, Xe, Be, B, C, N, Mg, Al, Si, P, Ti, V, Cr, Fe, Co, Ni, Cu, Zn, Ga, Ge, Zr, Nb, Mo, Ag, Cd , Sn, Hf, Ta, W, Re, Au, Pb, and rare earth elements) and an antiferromagnetic material containing Mn. The ratio of atomic% of element X + X ′ to Mn increases from the region toward the ferromagnetic layer, and the atomic% of element X + X ′ relative to Mn increases from the intermediate region toward the opposite side of the ferromagnetic layer. There is an area where the ratio increases,
In the vicinity of the interface of the antiferromagnetic layer with the ferromagnetic layer and in the vicinity of the surface opposite to the interface, when the composition ratio of all elements is 100 at%, the composition ratio of the element X + X ′ is 50 ( at%) to 65 (at%) or less,
In the middle of the film thickness direction of the antiferromagnetic layer, there is a region where the composition ratio of the element X + X ′ is 44 (at%) or more and 57 (at%) or less when the composition ratio of all elements is 100 at%. Exists,
  The crystal structure of at least a part of the antiferromagnetic layer is a CuAu-I type face centered tetragonal regular lattice.
[0029]
  In the above invention, an antiferromagnetic material containing the element X, the element X ′, and Mn is used as the antiferromagnetic layer. Also in the present invention, the antiferromagnetic layer in the film formation stage is formed of, for example, the above-described three-layer film, and the composition ratio of the element X + X ′ of the second antiferromagnetic layer is the first and third antiferromagnetic properties. It is formed smaller than the composition ratio of the element X + X ′ of the layer. When the heat treatment is performed, the second antiferromagnetic layer portion starts the regular transformation, and further the compositional diffusion promotes the regular transformation in the first and third antiferromagnetic layer portions. The entire magnetic layer is regularly transformed. This makes it possible to obtain a larger exchange coupling magnetic field than before.
[0030]
  In the state after the heat treatment, the antiferromagnetic layer has a region in which the ratio of atomic% of the element X + X ′ to Mn increases from the intermediate region in the film thickness direction toward the ferromagnetic layer side, and the intermediate There is a region where the ratio of atomic% of the element X + X ′ to Mn increases from the region toward the side opposite to the ferromagnetic layer. Furthermore, the crystal structure of at least a part of the antiferromagnetic layer is a CuAu-I type face centered tetragonal regular lattice.
[0031]
  In the present invention, the alloy containing X—Mn—X ′ is an interstitial solid solution in which the element X ′ penetrates into the gaps in the space lattice composed of the elements X and Mn, or the elements X and Mn It is preferable that a part of the lattice points of the crystal lattice constituted by is a substitutional solid solution substituted with the element X ′. As a result, the lattice constant of the X—Mn—X ′ alloy can be increased, and an inconsistent state can be appropriately maintained at the interface.
[0032]
  In the present invention, a seed layer in which a face-centered cubic (111) plane is preferentially oriented in a direction parallel to the interface is formed on a surface of the antiferromagnetic layer opposite to the interface with the ferromagnetic layer. ,
  Regarding the crystal orientation of the antiferromagnetic layer and the ferromagnetic layer, the (111) plane is preferably preferentially oriented in a direction parallel to the interface.
[0033]
  Due to the formation of the seed layer, the crystal orientation of the antiferromagnetic layer and the ferromagnetic layer is preferentially oriented in the direction parallel to the interface, so that the crystal grain size increases and the resistance change rate can be increased. Is possible.
[0034]
  In the present invention, it is preferable that the lattice constant of the antiferromagnetic layer is different from the lattice constant of the seed layer at least at a part of the interface between the antiferromagnetic layer and the seed layer.
[0035]
  Moreover, it is preferable that at least a part of the interface between the antiferromagnetic layer and the seed layer is in an inconsistent state. This structure can be achieved, for example, by forming the antiferromagnetic layer as a three-layer film in the film formation stage and forming a third antiferromagnetic layer having a large amount of Pt in a portion to be joined to the seed layer. . At the time of film formation, at least a part of the interface between the third antiferromagnetic layer and the seed layer is in an inconsistent state, and therefore the antiferromagnetic layer is inconsistent at the interface with the seed layer even after heat treatment. It is possible to appropriately cause a regular transformation while maintaining the state, and thus to obtain a larger exchange coupling magnetic field than before.
[0036]
  In the present invention, the seed layer is formed of a NiFe alloy or a Ni—Fe—Y alloy (where Y is one or more selected from Cr, Rh, Ta, Hf, Nb, Zr, and Ti). It is preferred that
[0037]
  In the present invention, the seed layer is preferably nonmagnetic. Furthermore, it is important that the seed layer has a high specific resistance. When the specific resistance of the seed layer is increased in this way, the sense current is less likely to be shunted to the seed layer, and it is possible to improve the resistance change rate and reduce Barkhausen noise.
[0038]
  In the present invention, the exchange coupling film is laminated on the underlayer in the order of a seed layer, an antiferromagnetic layer, and a ferromagnetic layer, and the underlayer includes Ta, Hf, Nb, Zr, Ti, Mo, It is preferable that W is formed of one or more elements.
[0039]
  In the present invention, the surface of the antiferromagnetic layer opposite to the interface with the ferromagnetic layer is made of one or more elements of Ta, Hf, Nb, Zr, Ti, Mo, and W. The formed layer may be formed.
[0040]
  Further, in the present invention, a first virtual boundary parallel to the interface is set closer to the surface opposite to the interface than the vicinity of the center in the film thickness direction of the antiferromagnetic layer, and the interface closer to the ferromagnetic layer. When setting a second virtual boundary parallel to the
  The first region from the opposite surface to the first virtual boundary, and the third region from the interface with the ferromagnetic layer to the second virtual boundary are the first and second virtual boundaries. The ratio is larger than the second area between the boundaries, and the area that sandwiches the first virtual boundary from the second area toward the first area and that sandwiches the second virtual boundary Then, it is preferable that the ratio increases continuously or discontinuously from the second region to the third region.
[0041]
  Further, in the present invention, the antiferromagnetic layer is directed from a predetermined region in the film thickness direction toward the interface with the ferromagnetic layer, and from the intermediate region toward the surface opposite to the interface, It is preferable that a region where the atomic% of the element X or the element X + X ′ increases is present.
[0042]
  In the present invention, the antiferromagnetic layer includes a region in which atomic% of the element X or the element X + X ′ decreases toward the interface with the ferromagnetic layer and toward the surface opposite to the interface. It is preferable that each exists.
[0043]
  That is, the meaning of the present invention is that the atomic% of the element X or the element X + X ′ is not the largest in the vicinity of the interface, but the element X or the element X + X ′ in the surface direction opposite to the interface from the interface. There is a region where the composition ratio (atomic%) increases, and the location where the composition ratio (atomic%) of the element X or element X + X ′ is maximum exists at a position away from the interface by a distance in the film thickness direction. To do.
[0044]
  As described above, the atomic% of the element X or the element X + X ′ does not become maximum in the vicinity of the interface because the interface between the antiferromagnetic layer and the ferromagnetic layer and the antiferromagnetic layer are subjected to heat treatment after film formation. This is considered to be because composition diffusion is caused at the interface between the antiferromagnetic layer and the layer formed on the opposite surface of the ferromagnetic layer to the ferromagnetic layer. Alternatively, the atomic% of the element X + X ′ is lower after the heat treatment than in the film formation stage (before the heat treatment), and thus the atomic% is the maximum at a position away from the vicinity of the interface of the antiferromagnetic layer in the film thickness direction. It becomes. As the atomic% is thus reduced, the transformation from the irregular lattice to the regular lattice is appropriately performed even in the vicinity of the interface, and a large exchange coupling magnetic field can be generated.
[0045]
  In the present invention, in the vicinity of the interface of the antiferromagnetic layer with the ferromagnetic layer and in the vicinity of the surface opposite to the interface, when the composition ratio of all elements is 100 at%, the element X or element The composition ratio of X + X ′ is 50 (at%)Bigger than60 (at%) or less is preferredYes.
[0046]
  In the present invention, in the middle of the antiferromagnetic layer in the film thickness direction, when the composition ratio of all elements is 100 at%, the composition ratio of the element X or the element X + X ′ is 44 (at%) or more and 57. It is preferable that a region of (at%) or less exists, and more preferably 46 (at%) or more and 55 (at%) or less.
[0047]
  As will be described later, in the film formation stage (before heat treatment), for example, the composition ratio of the element X or the element X + X ′ is set to 53 (at%) or more and 65 (at%) or less at the interface with the ferromagnetic layer. A ferromagnetic layer (first antiferromagnetic layer) is formed, and the composition ratio of element X or element X + X ′ is 53 (at%) via the second antiferromagnetic layer in the first antiferromagnetic layer. Thus, an antiferromagnetic layer (third antiferromagnetic layer) of 65 (at%) or less is formed. The second antiferromagnetic layer formed between the first antiferromagnetic layer and the third antiferromagnetic layer has a composition ratio of the element X or the element X + X ′ of 44 (at%) or more and 57 (at %) Or less.
[0048]
  When the first antiferromagnetic layer, the second antiferromagnetic layer, and the third antiferromagnetic layer are formed with the composition ratio as described above, the first antiferromagnetic layer is subjected to heat treatment. It is considered that composition diffusion occurs between the layer and the ferromagnetic layer, and between the third antiferromagnetic layer and the layer formed on the surface of the antiferromagnetic layer opposite to the ferromagnetic layer, As a result, in the vicinity of the interface after the heat treatment, the composition ratio of the element X or the element X + X ′ may be lower than 53 (at%). Therefore, in the present invention, the element X or the element X or A preferable range of the composition ratio of the element X + X ′ is 50 (at%).Bigger than65 (at%) or less.
[0049]
  In the present invention, the thickness of the antiferromagnetic layer is preferably 76 mm or more.
  As described above, in the present invention, even if the antiferromagnetic layer is made thinner, it is possible to generate a larger exchange coupling magnetic field than in the prior art.
[0050]
  In the present invention, the lattice constant of the antiferromagnetic layer is different from the lattice constant of the ferromagnetic layer in at least a part of the interface between the antiferromagnetic layer and the ferromagnetic layer, or At least in part, the crystal orientation of the antiferromagnetic layer and the crystal orientation of the ferromagnetic layer may be different. In the present invention, when the seed layer is formed, the crystal orientation is the same.
[0051]
  In the present invention, it is preferable that at least a part of the interface is in an inconsistent state. When such a mismatched state exists, regular transformation of the antiferromagnetic layer can be promoted, and a large exchange coupling magnetic field can be obtained.
[0052]
  In the above invention with different crystal orientations, for example, when the (111) plane of the ferromagnetic layer is preferentially oriented in a direction parallel to the interface, the degree of orientation of the (111) plane of the antiferromagnetic layer is It is lower than the orientation degree of the magnetic layer or non-oriented.
[0053]
  Alternatively, when the (111) plane of the antiferromagnetic layer is preferentially oriented in a direction parallel to the interface, the degree of orientation of the (111) plane of the ferromagnetic layer is greater than the degree of orientation of the antiferromagnetic layer. Is low or non-oriented.
[0054]
  Or, the orientation degree of the (111) plane of the antiferromagnetic layer and the orientation degree of the (111) plane of the ferromagnetic layer in the direction parallel to the interface between the antiferromagnetic layer and the ferromagnetic layer are both The crystal plane other than the (111) plane is preferentially oriented in a direction parallel to the interface, and the crystal orientations of the antiferromagnetic layer and the ferromagnetic layer are different. Yes.
[0055]
  The crystal orientation can be changed depending on the presence / absence of the underlayer, the composition ratio, various conditions such as the power gas pressure at the time of sputtering deposition, or the order of stacking the films.
[0056]
  The exchange coupling film in the present invention can be applied to various magnetoresistive elements.
  The present invention provides an antiferromagnetic layer, a pinned magnetic layer formed in contact with the antiferromagnetic layer, the magnetization direction of which is fixed by an exchange anisotropic magnetic field with the antiferromagnetic layer, and the pinned magnetic layer. In a magnetoresistive effect element having a free magnetic layer formed through a nonmagnetic intermediate layer and a bias layer that aligns the magnetization direction of the free magnetic layer in a direction crossing the magnetization direction of the pinned magnetic layer,
  The antiferromagnetic layer and the pinned magnetic layer formed in contact with the antiferromagnetic layer are formed of the exchange coupling film described above.
[0057]
  The present invention also provides an antiferromagnetic layer, a pinned magnetic layer formed in contact with the antiferromagnetic layer, the magnetization direction of which is pinned by an exchange anisotropic magnetic field with the antiferromagnetic layer, and the pinned magnetic layer In which an antiferromagnetic exchange bias layer is formed on the upper or lower side of the free magnetic layer with an interval in the track width direction. In the resistance effect element,
  The exchange bias layer and the free magnetic layer are formed of the exchange coupling film described above.
[0058]
  The present invention also provides a nonmagnetic intermediate layer stacked above and below a free magnetic layer, a fixed magnetic layer positioned above one of the nonmagnetic intermediate layers and below the other nonmagnetic intermediate layer, and one of the fixed layers An antiferromagnetic layer positioned above the magnetic layer and below the other pinned magnetic layer and pinning the magnetization direction of each pinned magnetic layer in a fixed direction by an exchange anisotropic magnetic field; and the magnetization of the free magnetic layer In a magnetoresistive effect element having a bias layer whose direction is aligned with a direction intersecting with the magnetization direction of the pinned magnetic layer,
  The antiferromagnetic layer formed below and / or above the free magnetic layer and the pinned magnetic layer formed in contact with the antiferromagnetic layer are formed by the exchange coupling film described above. It is a feature.
[0059]
  Furthermore, the present invention has a magnetoresistive layer and a soft magnetic layer stacked via a nonmagnetic layer, and an antiferromagnetic layer is formed on the upper side or the lower side of the magnetoresistive layer with a space in the track width direction. In the magnetoresistive effect element made,
  The antiferromagnetic layer and the magnetoresistive layer are formed of the above-described exchange coupling film.
[0060]
  The thin film magnetic head according to the present invention is characterized in that shield layers are formed above and below the magnetoresistive element via a gap layer.
[0061]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
  FIG. 1 is a cross-sectional view of the entire structure of a single spin valve magnetoresistive element as viewed from the ABS side. In FIG. 1, only the central portion of the element extending in the X direction is shown broken away.
[0062]
  This single spin-valve magnetoresistive element is provided at the trailing end of a floating slider provided in a hard disk device and detects a recording magnetic field of a hard disk or the like. The moving direction of a magnetic recording medium such as a hard disk is the Z direction, and the direction of the leakage magnetic field from the magnetic recording medium is the Y direction.
[0063]
  The lowermost layer in FIG. 1 is an underlayer 6 formed of a nonmagnetic material such as one or more elements of Ta, Hf, Nb, Zr, Ti, Mo, and W. A free magnetic layer 1, a nonmagnetic intermediate layer 2, a pinned magnetic layer 3, and an antiferromagnetic layer 4 are laminated on the underlayer 6. A protective layer 7 made of a nonmagnetic material such as one or more elements of Ta, Hf, Nb, Zr, Ti, Mo, and W is formed on the antiferromagnetic layer 4. ing.
[0064]
  As shown in FIG. 1, hard bias layers 5 and 5 are formed on both sides of six layers (laminated films) from the base layer 6 to the protective layer 7, and conductive layers are formed on the hard bias layers 5 and 5. Layers 8 and 8 are laminated.
[0065]
  In the present invention, the free magnetic layer 1 and the pinned magnetic layer 3 are formed of NiFe alloy, CoFe alloy, Co, CoNiFe alloy, or the like.
[0066]
  As shown in FIG. 1, the free magnetic layer 1 is formed of a single layer, but it may be formed of a multilayer structure. The free magnetic layer 1 may have a structure in which, for example, a NiFe alloy and Co are laminated.
[0067]
  The nonmagnetic intermediate layer 2 interposed between the free magnetic layer 1 and the pinned magnetic layer 3 is made of Cu, for example. In the case where the magnetoresistive effect element in the present invention is a tunnel type magnetoresistive effect element (TMR element) using the principle of the tunnel effect, the nonmagnetic intermediate layer 2 is made of, for example, Al.2O3Etc. are formed of an insulating material. Furthermore, the hard bias layers 5 and 5 are made of, for example, a Co—Pt (cobalt-platinum) alloy or a Co—Cr—Pt (cobalt-chromium-platinum) alloy, and the conductive layers 8 and 8 are made of Cu ( Copper) or W (tungsten). In the case of the tunnel type magnetoresistive effect element described above, the conductive layers 8 are formed below the free magnetic layer 1 and above the antiferromagnetic layer 4, respectively.
[0068]
  Next, a method for manufacturing a magnetoresistive effect element according to the present invention will be described focusing on an exchange coupling film formed mainly of an antiferromagnetic layer and a ferromagnetic layer (pinned magnetic layer). After that, the characteristic points of the structure of the magnetoresistive effect element formed by the manufacturing method will be described.
[0069]
  The laminated film shown in FIG. 2 is a partial schematic view showing the laminated film from the underlayer 6 to the protective layer 7 in which the antiferromagnetic layer 4 is formed on the upper side of the pinned magnetic layer 3 as in FIG. The structure of the laminated film shown in FIG. 2 is in a state at the film formation stage (before heat treatment).
[0070]
  First, an underlayer 6 made of Ta or the like is formed on a substrate (not shown). For example, the underlayer 6 is formed with a thickness of about 50 angstroms.
[0071]
  Next, for example, a NiFe alloy film 9 and a Co film 10 are formed on the NiFe alloy film 9 on the underlayer 6. The NiFe alloy film 9 and the Co film 10 constitute a free magnetic layer 1. By forming the Co film 10 on the side in contact with the nonmagnetic intermediate layer 2, it is possible to prevent diffusion of metal elements and the like at the interface with the nonmagnetic intermediate layer 2 and to increase ΔMR (resistance change rate).
[0072]
  The NiFe alloy film 9 is formed of, for example, the Ni of 80 (at%) and Fe of 20 (at%). The NiFe alloy film 9 is formed with a thickness of about 45 mm and a Co film with a thickness of about 5 mm.
[0073]
  Next, a nonmagnetic intermediate layer 2 made of Cu or the like is formed on the free magnetic layer 1. For example, the nonmagnetic intermediate layer 2 is formed with a thickness of about 25 mm.
[0074]
  Next, the pinned magnetic layer 3 is formed on the nonmagnetic intermediate layer 2. ThisExampleThen, the pinned magnetic layer 3 is formed in a three-layer structure.
[0075]
  For example, the pinned magnetic layer 3 is formed of a Co film 11, a Ru film 12, and a Co film 13, and the magnetization of the Co film 11 and the Co film 13 by an exchange coupling magnetic field at the interface with the antiferromagnetic layer 4 described later. The directions are antiparallel to each other. This is referred to as a so-called ferri state, and this configuration can stabilize the magnetization of the pinned magnetic layer 3 and increase the exchange coupling magnetic field generated at the interface between the pinned magnetic layer 3 and the antiferromagnetic layer 4. be able to.
[0076]
  The Co film 11 is formed with a thickness of about 20 mm, the Ru film 12 is formed with a thickness of about 8 mm, and the Co film 13 is formed with a thickness of about 15 mm.
[0077]
  Next, an antiferromagnetic layer 4 is formed on the pinned magnetic layer 3. As shown in FIG. 3, a first antiferromagnetic layer 14 is formed on the pinned magnetic layer 3, and a second antiferromagnetic layer 15 is formed on the first antiferromagnetic layer 14.
[0078]
  In the present invention, the first antiferromagnetic layer 14 and the second antiferromagnetic layer 15 are made of the element X (where X is one or more of Pt, Pd, Ir, Rh, Ru, Os). And an antiferromagnetic material containing Mn.
[0079]
  X-Mn alloys using these platinum group elements have excellent properties as antiferromagnetic materials, such as excellent corrosion resistance, a high blocking temperature, and a large exchange coupling magnetic field (Hex). Among platinum group elements, it is particularly preferable to use Pt. For example, a PtMn alloy formed in a binary system can be used.
[0080]
  Further, in the present invention, the first antiferromagnetic layer 14 and the second antiferromagnetic layer 15 are composed of the element X and the element X ′ (where the element X ′ is Ne, Ar, Kr, Xe, Be, B, C, N, Mg, Al, Si, P, Ti, V, Cr, Fe, Co, Ni, Cu, Zn, Ga, Ge, Zr, Nb, Mo, Ag, Cd, Sn, Hf, Ta, W, It may be formed of an antiferromagnetic material containing Mn and Re, Au, Pb, and rare earth elements.
[0081]
  In addition, as the element X ′, an element that penetrates into the space between the spatial lattices composed of the elements X and Mn or replaces part of the lattice points of the crystal lattice composed of the elements X and Mn is used. Is preferred. Here, the solid solution refers to a solid in which components are uniformly mixed over a wide range.
[0082]
  By using an interstitial solid solution or a substitutional solid solution, the lattice constant of the X-Mn-X 'alloy can be made larger than the lattice constant of the X-Mn alloy film. The difference from the constant can be widened, and the interface structure between the antiferromagnetic layer 4 and the pinned magnetic layer 3 can be easily made in an inconsistent state. In particular, when the element X ′ that is a solid solution in substitutional form is used, if the composition ratio of the element X ′ is too large, the antiferromagnetic characteristics are deteriorated and generated at the interface with the pinned magnetic layer 3. The exchange coupling magnetic field becomes small. In particular, in the present invention, it is preferable to use an inert gas rare gas element (one or more of Ne, Ar, Kr, and Xe) as the element X ′, which is an intrusive solid solution. Since the rare gas element is an inert gas, even if the rare gas element is contained in the film, the antiferromagnetic properties are not greatly affected. Further, Ar or the like has been conventionally used as a sputtering gas in the sputtering apparatus. Ar gas can be easily introduced by simply adjusting the gas pressure appropriately.
[0083]
  When a gas-based element is used as the element X ′, it is difficult to contain a large amount of the element X ′ in the film. However, in the case of a rare gas, it is only necessary to enter a small amount into the film. The exchange coupling magnetic field generated by the heat treatment can be greatly increased.
[0084]
  In the present invention, the composition range of the element X ′ is preferably 0.2 to 10 in at%, and more preferably 0.5 to 5 in at%. In the present invention, the element X is preferably Pt. Therefore, it is preferable to use a Pt—Mn—X ′ alloy.
[0085]
  By the way, in the present invention, the type of the element X or the element X + X ′ constituting the first antiferromagnetic layer 14 and the second antiferromagnetic layer 15 may be the same or different. For example, a Pt—Mn—X ′ alloy capable of increasing the lattice constant may be used as the first antiferromagnetic layer 14, and a PtMn alloy may be used as the second antiferromagnetic layer 15.
[0086]
  Further, the important point in the film formation stage (before heat treatment) shown in FIG. 2 is that the composition ratio (at%) of the element X in the first antiferromagnetic layer 14 is changed to the second antiferromagnetic layer 15. It is to make it larger than the composition ratio (at%) of the element X occupying. Alternatively, when both the first antiferromagnetic layer 14 and the second antiferromagnetic layer 15 are formed of an X—Mn—X ′ alloy, the element X + X ′ occupying the first antiferromagnetic layer 14 The composition ratio (at%) is made larger than the composition ratio (at%) of the element X + X ′ occupying the second antiferromagnetic layer 15. When the first antiferromagnetic layer 14 is made of an X-Mn-X 'alloy and the second antiferromagnetic layer 15 is made of an X-Mn alloy, the elements of the first antiferromagnetic layer 14 The composition ratio of X + X ′ is set larger than the composition ratio of the element X in the second antiferromagnetic layer 15.
[0087]
  An important role of the first antiferromagnetic layer 14 is that after the second antiferromagnetic layer 15 is formed and subjected to heat treatment, the irregular lattice of the antiferromagnetic layer 4 is properly formed into a regular lattice. In order to transform, the portion of the first antiferromagnetic layer 14 is made less susceptible to the restraining force such as the crystal structure of the pinned magnetic layer 3 so that the restraining force does not reach the second antiferromagnetic layer 15. In the point.
[0088]
  As described above, in order to make it difficult to receive the restraining force such as the crystal structure of the pinned magnetic layer 3 at the interface with the pinned magnetic layer 3, the composition ratio of the element X or the element X + X ′ of the first antiferromagnetic layer 14 is used. Must be increased.
[0089]
  When the composition ratio of the element X or the element X + X ′ is increased in this way, it tends to deviate from the ideal composition for forming a regular lattice when heat treatment is performed, but the difference from the lattice constant of the pinned magnetic layer 3 is different. Can be spread. As the difference in lattice constants spreads as described above, the first antiferromagnetic layer 14 becomes difficult to receive a restraining force such as the crystal structure of the pinned magnetic layer 3, and as a result, the second antiferromagnetic layer 15 also You will not receive any binding force.
[0090]
  In the present invention, it is preferable that at least a part of the interface between the first antiferromagnetic layer 14 and the pinned magnetic layer 3 is in an inconsistent state. If there is an inconsistent state at the interface, the first antiferromagnetic layer 14 is particularly difficult to be affected by the crystal structure and the like on the fixed magnetic layer 3 side.
[0091]
  As described above, in the bulk type of PtMn alloy, when the at% of Pt and Mn is 50:50, it is most likely to be a CuAu-I type face centered tetragonal regular lattice, and is likely to have antiferromagnetic properties. It is in a state. On the other hand, when the amount of Pt is increased beyond 50 at%, the antiferromagnetic property is weakened. However, when the amount of Pt is increased above 50 at%, the lattice constant of the PtMn alloy is increased and the fixed magnetic layer 3 is increased. It becomes easy to make a non-matching state at the interface.
[0092]
  The composition ratio of the element X or the element X + X ′ of the first antiferromagnetic layer 14 is preferably 53 at% or more and 65 at% or less. More preferably, it is 55 at% or more and 60 at% or less. As a result, 7.9 × 10 6 is obtained from the experimental results described later.4An exchange coupling magnetic field of (A / m) or more can be obtained.
[0093]
  However, the first antiferromagnetic layer 14 may not be formed with any film thickness. If the film thickness of the first antiferromagnetic layer 14 is too thin, the misalignment state at the interface between the first antiferromagnetic layer 14 and the pinned magnetic layer 3 is weakened. However, an exchange coupling magnetic field having an appropriate magnitude cannot be obtained. In addition, the first antiferromagnetic layer 14 is originally formed with a composition that hardly transforms from an irregular lattice to an ordered lattice even when heat treatment is performed. If the thickness of the magnetic layer 14 becomes too thick, the number of regions where the transformation is unlikely to occur increases. As a result, the number of regions that remain as irregular lattices increases even after heat treatment, and the exchange coupling magnetic field decreases rapidly.
[0094]
  In the present invention, the thickness of the first antiferromagnetic layer 14 is set to 3 to 30 mm. According to the experimental results described later, when the first antiferromagnetic layer 14 is formed within the film thickness range, the exchange coupling magnetic field (Hex) can be increased, specifically, 7.9 × 10.4An exchange coupling magnetic field of (A / m) or more can be obtained.
[0095]
  Next, after forming the first antiferromagnetic layer 14, the composition ratio of the element X or the element X + X ′ of the first antiferromagnetic layer 14 is lower on the first antiferromagnetic layer 14. A second antiferromagnetic layer 15 having a composition ratio is formed.
[0096]
  At this time, it is preferable that the composition ratio of the element X or the element X + X ′ of the second antiferromagnetic layer 15 is 44 (at%) or more and 57 (at%) or less. More preferably, the composition ratio is 46 (at%) or more and 55 (at%) or less, and further preferably 48 (at) or more and 53 (at%) or less.
[0097]
  The composition ratio of the element X or the element X + X ′ of the second antiferromagnetic layer 15 is preferably close to an ideal composition ratio for transforming from an irregular lattice to a regular lattice when heat treatment is performed. When the second antiferromagnetic layer 15 is formed and then heat-treated, the second antiferromagnetic layer 15 is appropriately transformed from an irregular lattice to a regular lattice.
[0098]
  Incidentally, the second antiferromagnetic layer 15 may not be formed in any film thickness. It has been experimentally confirmed that the exchange coupling magnetic field (Hex) rapidly decreases as the thickness of the second antiferromagnetic layer 15 decreases.
[0099]
  In the present invention, it is preferable that the second antiferromagnetic layer 15 is formed with a thickness of 70 mm or more. As a result, the exchange coupling magnetic field can be increased, specifically, 7.9 × 10.4An exchange coupling magnetic field of (A / m) or more can be obtained.
[0100]
  In the present invention, the first antiferromagnetic layer 14 and the second antiferromagnetic layer 15 are preferably formed by sputtering.
[0101]
  In particular, when the first antiferromagnetic layer 14 or the second antiferromagnetic layer 15 is formed from the element X—Mn—X ′ alloy, the X—Mn—X ′ alloy is formed by sputtering. The X—Mn—X ′ alloy is formed in a non-equilibrium state, and the formed X—Mn—X ′ alloy is a spatial lattice in which the element X ′ in the film is composed of the elements X and Mn. Or a part of the lattice point of the crystal lattice composed of the elements X and Mn is replaced with the element X ′. Thus, when the element X ′ is dissolved in the lattice of the X—Mn alloy in an interstitial or substitutional form, the lattice is expanded, and the lattice constant of the antiferromagnetic layer 4 is the element X ′. It becomes larger than the case where it is not added.
[0102]
  In the present invention, when the first antiferromagnetic layer 14 and the second antiferromagnetic layer 15 are formed by sputtering, the first antiferromagnetic layer 14 is formed of the second antiferromagnetic layer 15. It is preferable to form a film at a sputtering gas pressure lower than that during film formation. Thereby, the composition ratio of the element X or the element X + X ′ occupying in the first antiferromagnetic layer 14 is made larger than the composition ratio of the element X or the element X + X ′ occupying in the second antiferromagnetic layer 15. Can do.
[0103]
  In the present invention, the antiferromagnetic layer 4 has a laminated structure of the first antiferromagnetic layer 14 and the second antiferromagnetic layer 15 as described above, and the first antiferromagnetic layer is formed when each layer is formed. 14 is made larger than the composition ratio of the element X or the element X + X ′ of the second antiferromagnetic layer 15, so that the first antiferromagnetic layer 14 and the pinned magnetism are fixed. It is preferable that the first antiferromagnetic layer 14 is less susceptible to binding force such as the crystal structure of the pinned magnetic layer 3 at the interface with the layer 3, and in particular, at least a part of the interface is in an inconsistent state. When the heat treatment is performed according to this, the transformation from the irregular lattice to the regular lattice can be appropriately performed, and a large exchange coupling magnetic field can be obtained between the antiferromagnetic layer 4 and the pinned magnetic layer 3. It has become.
[0104]
  In the present invention, as described above, it is preferable that at least a part of the interface between the first antiferromagnetic layer 14 and the pinned magnetic layer 3 is in an inconsistent state in the film formation stage. The matching state can be obtained, for example, by making the lattice constants of the first antiferromagnetic layer 14 and the pinned magnetic layer 3 different. In this case, both lattice constants may be made different at least at a part of the interface.
[0105]
  Alternatively, in the present invention, the crystal orientation may be different at at least a part of the interface between the first antiferromagnetic layer 14 and the pinned magnetic layer 3. By varying the crystal orientation in this way, at least part of the interface between the first antiferromagnetic layer 14 and the pinned magnetic layer 3 can be easily made in a non-aligned state.
[0106]
  For example, when the (111) plane of the pinned magnetic layer 3 is preferentially oriented in a direction parallel to the film surface, the (111) plane of the first antiferromagnetic layer 14 is The degree of orientation of the (111) plane is made smaller or non-oriented.
[0107]
  Alternatively, when the (111) plane of the first antiferromagnetic layer 14 is preferentially oriented in a direction parallel to the interface, the degree of orientation of the (111) plane of the pinned magnetic layer 3 is set to the first It is smaller than the degree of orientation of the antiferromagnetic layer 14 or is not oriented.
[0108]
  Alternatively, the degree of orientation of the (111) plane of the first antiferromagnetic layer 14 in the direction parallel to the interface between the first antiferromagnetic layer 14 and the pinned magnetic layer 3, and the pinned magnetic layer 3. Both the orientation degrees of the (111) planes are made small or non-oriented. The degree of crystal orientation can be changed depending on the presence / absence of the underlayer, the composition ratio, various conditions such as the power gas pressure at the time of sputter deposition, or the order of stacking the films.
[0109]
  The laminated film formed as described above is then subjected to heat treatment. By this heat treatment, an exchange coupling magnetic field is generated at the interface between the antiferromagnetic layer 4 and the pinned magnetic layer 3, and the magnetization of the pinned magnetic layer 3 is simply in a predetermined direction, that is, the Y direction (height direction) in FIG. It becomes a magnetic domain.
[0110]
  As described above, at the interface between the first antiferromagnetic layer 14 and the pinned magnetic layer 3, the first antiferromagnetic layer 14 is more preferably not restricted by the crystal structure of the pinned magnetic layer 3. Is in a non-matching state at least at a part of the interface, so that the second anti-strength formed on the pinned magnetic layer 3 via the first anti-ferromagnetic layer 14 while maintaining this non-matching state. The magnetic layer 15 begins to transform from an irregular lattice to a regular lattice. This is because, as described above, the second antiferromagnetic layer 15 is formed of an antiferromagnetic material close to an ideal composition ratio that easily transforms from an irregular lattice to a regular lattice.
[0111]
  When such a transformation starts, it is considered that composition diffusion occurs at the interface between the first antiferromagnetic layer 14 and the second antiferromagnetic layer 15. When such diffusion occurs, each element constituting the second antiferromagnetic layer 15 enters the first antiferromagnetic layer 14 side, and each element constituting the first antiferromagnetic layer 14 is changed to the first antiferromagnetic layer 14 side. 2 enters the antiferromagnetic layer 15 side, and the antiferromagnetic layer 4 is in a state in which elements are mixed at the boundary between the first antiferromagnetic layer 14 and the second antiferromagnetic layer 15. It is considered to be.
[0112]
  Due to the above-described composition diffusion, the composition ratio (atomic%) of the element X or the element X + X ′ is increased in the film formation stage in the vicinity of the interface between the first antiferromagnetic layer 14 and the second antiferromagnetic layer 15. This is considered to be smaller than the composition ratio of the first antiferromagnetic layer 14. For this reason, when the part of the second antiferromagnetic layer 15 starts to be ordered by the heat treatment, the ordering is also promoted in the part of the first antiferromagnetic layer 14, while the fixed magnetic layer 3 and The first antiferromagnetic layer 14 is transformed from an irregular lattice to a regular lattice in the entire antiferromagnetic layer 4 without being constrained by the crystal structure or the like of the pinned magnetic layer 3. A larger exchange coupling magnetic field can be generated.
[0113]
  A schematic diagram of the laminated film (after heat treatment) formed as described above is shown in FIG. Note that the laminated structure from the underlayer 6 to the pinned magnetic layer 3 does not change even after the heat treatment. A change appears in the structure of the antiferromagnetic layer 3 between the film formation stage (before heat treatment: FIG. 2) and after the heat treatment (FIG. 3).
[0114]
  The antiferromagnetic layer 4 shown in FIG. 3 includes an antiferromagnetic layer containing an element X (where X is one or more elements among Pt, Pd, Ir, Rh, Ru, and Os) and Mn. It is made of a magnetic material, or elements X and X ′ (where element X ′ is Ne, Ar, Kr, Xe, Be, B, C, N, Mg, Al, Si, P, Ti, V, Cr) Fe, Co, Ni, Cu, Zn, Ga, Ge, Zr, Nb, Mo, Ag, Cd, Sn, Hf, Ta, W, Re, Au, Pb, and one or more of rare earth elements And an antiferromagnetic material containing Mn.
[0115]
  The X-Mn-X 'alloy is an interstitial solid solution in which the element X' penetrates into the gaps in the space lattice composed of the elements X and Mn, or a crystal composed of the elements X and Mn. It is preferable that a part of the lattice points of the lattice is a substitutional solid solution in which the element X ′ is substituted. As a result, the lattice constant of the X-Mn-X 'alloy can be made larger than that of the X-Mn alloy, and the interface structure between the antiferromagnetic layer 4 and the pinned magnetic layer 3 after heat treatment can be easily made in an inconsistent state. it can.
[0116]
  In the present invention, the antiferromagnetic layer 4 has a region in which the ratio of atomic% of element X or element X + X ′ to Mn increases toward the pinned magnetic layer 3.
[0117]
  The crystal structure of at least a part of the antiferromagnetic layer 4 is a CuAu-I type face-centered tetragonal lattice (regular lattice). Moreover, it is preferable that at least a part of the interface A is in an inconsistent state.
[0118]
  As described above, there is a region in which the ratio of the atomic% of the element X or the element X + X ′ to Mn increases toward the pinned magnetic layer 3 because the first antiferromagnetic layer 14 and the second antiferromagnetic layer 14 The ferromagnetic layer 15 undergoes compositional diffusion by heat treatment, but the first antiferromagnetic layer 14 and the second antiferromagnetic layer 15 are not completely diffused, that is, the antiferromagnetic layer after the heat treatment. This is because it is considered that the whole 4 does not have a uniform composition.
[0119]
  As described with reference to FIG. 2, the composition ratio of the element X or the element X + X ′ of the first antiferromagnetic layer 14 formed on the interface side with the pinned magnetic layer 3 depends on the first antiferromagnetic layer 3. It is larger than the composition ratio of element X or element X + X ′ of the second antiferromagnetic layer 15 formed via the ferromagnetic layer 14.
[0120]
  As described above, the composition ratio of the element X or the element X + X ′ of the second antiferromagnetic layer 15 is formed close to 50 at%, which is likely to be ordered by heat treatment, so the Mn composition ratio is also 50 at%. It will be formed with a close value. On the other hand, the composition ratio of the element X or the element X + X ′ of the first antiferromagnetic layer 14 is, for example, 58 at, in order to make it difficult to receive restraint force such as the crystal structure of the pinned magnetic layer 3 at the interface with the pinned magnetic layer 3. Therefore, the composition ratio of Mn is originally contained in a small amount.
[0121]
  Therefore, even if the first antiferromagnetic layer 14 and the second antiferromagnetic layer 15 are subjected to heat treatment to cause compositional diffusion, they are not completely diffused and the antiferromagnetic layer 4 is fixed. The composition ratio of atomic% of element X or element X + X ′ to Mn increases toward the magnetic layer 3.
[0122]
  Further, it is considered that the atomic% of the element X or the element X + X ′ is larger in the vicinity of the interface A with the pinned magnetic layer 3 than in the vicinity of the surface B opposite to the interface A due to the composition diffusion described above.
[0123]
  Further, since the antiferromagnetic layer 4 is transformed from the irregular lattice to the regular lattice by performing the heat treatment, the crystal structure of the antiferromagnetic layer 4 after the heat treatment is CuAu-I type face center. It is preferably a square lattice (regular lattice), and at least a part of the interface with the pinned magnetic layer 3 is preferably in an unaligned state.
[0124]
  When the antiferromagnetic layer 4 is formed of a PtMn alloy, the ratio of the lattice constants a and c of the antiferromagnetic layer 4 after the heat treatment, that is, at least a part of the crystal structure becomes a regular lattice. c / a is preferably in the range of 0.93 to 0.99.
[0125]
  When the ratio c / a of the lattice constants a and c is 0.93 or less, almost all of the crystal structure of the antiferromagnetic layer 4 becomes a regular lattice. Adhesiveness with the ferromagnetic layer 4 is lowered, and film peeling occurs.
[0126]
  When the ratio c / a of the lattice constants a and c is 0.99 or more, almost all of the crystal structure of the antiferromagnetic layer 4 becomes an irregular lattice, and the antiferromagnetic layer 4 and the pinned magnetic layer 3 The exchange coupling magnetic field generated at the interface is undesirably small.
[0127]
  In the present invention, it is preferable that at least a part of the interface between the pinned magnetic layer 3 and the antiferromagnetic layer 4 is in an unaligned state after the heat treatment. 3 and the antiferromagnetic layer 4 are different in lattice constant, so that the non-matching state can be easily formed.
[0128]
  That is, in the present invention, there is a region where the ratio of atomic% of element X or element X + X ′ to Mn increases toward the pinned magnetic layer 3 after heat treatment, and at least a part of the crystal structure of the antiferromagnetic layer 4 However, it is a CuAu-I type face-centered tetragonal regular lattice, and the lattice constant of the antiferromagnetic layer 4 and the lattice constant of the pinned magnetic layer 3 are different in at least a part of the interface A. May be. Even with this configuration, it is possible to obtain a larger exchange coupling magnetic field than in the prior art.
[0129]
  In the present invention, after the heat treatment, there is a region where the ratio of atomic% of the element X or the element X + X ′ to Mn increases toward the pinned magnetic layer 3, and at least a part of the crystal of the antiferromagnetic layer 4 is present. The structure is a CuAu-I type face-centered tetragonal regular lattice, and the crystal structure of the antiferromagnetic layer 4 and the crystal structure of the pinned magnetic layer 3 are different at least at a part of the interface A. There may be.
[0130]
  For example, when the (111) plane of the pinned magnetic layer 3 is preferentially oriented in the film surface direction, the degree of orientation of the (111) plane of the antiferromagnetic layer 4 is lower than the degree of orientation of the pinned magnetic layer. Or it is non-oriented. Alternatively, when the (111) plane of the antiferromagnetic layer 4 is preferentially oriented in a direction parallel to the interface, the degree of orientation of the (111) plane of the pinned magnetic layer 3 is that of the antiferromagnetic layer 4. It is lower than the degree of orientation or non-oriented.
[0131]
  Alternatively, the degree of orientation of the (111) plane of the antiferromagnetic layer 4 in the direction parallel to the interface between the antiferromagnetic layer 4 and the pinned magnetic layer 3 and the (111) plane of the pinned magnetic layer 3 The degree of orientation is both low or non-oriented.
[0132]
  Thus, even when the crystal orientation is made different between the pinned magnetic layer 3 and the antiferromagnetic layer 4, it is easy to form a mismatched state at the interface between the pinned magnetic layer 3 and the antiferromagnetic layer 4. A large exchange coupling magnetic field can be obtained.
[0133]
  The composition element constituting the antiferromagnetic layer 4 after the heat treatment is any composition element in the first antiferromagnetic layer 14 and the second antiferromagnetic layer 15 (see FIG. 2) in the film formation stage (before the heat treatment). For example, when both the first antiferromagnetic layer 14 and the second antiferromagnetic layer 15 are formed of the same composition element, the entire antiferromagnetic layer 4 is formed after the heat treatment. It is in the state formed with the same composition element.
[0134]
  For the first antiferromagnetic layer 14 in the film formation stage (before heat treatment), it is preferable to use an antiferromagnetic material capable of increasing the lattice constant in order to maintain a mismatched state at the interface with the pinned magnetic layer 3. The second antiferromagnetic layer 15 is preferably made of an antiferromagnetic material that can smoothly transform from an irregular lattice to an ordered lattice by heat treatment. For this reason, you may use the antiferromagnetic material comprised by the composition element from which the 1st antiferromagnetic layer 14 and the 2nd antiferromagnetic layer 15 differ.
[0135]
  For example, a Pt—Mn—Cr alloy is used as the first antiferromagnetic layer 14 and a Pt—Mn alloy is used as the second antiferromagnetic layer 15, or a Pt as the first antiferromagnetic layer 14. When a —Mn—Cr alloy is used and a PdMn alloy is used as the second antiferromagnetic layer 15, the type of the element X or the element X + X ′ constituting the antiferromagnetic layer 4 after the heat treatment is fixed. The vicinity of the interface A with the magnetic layer 3 and the vicinity of the surface B on the opposite side of the interface A partially match or are different.
[0136]
  As described above, after the heat treatment, the antiferromagnetic layer 4 has a region in which the ratio of atomic% of element X or element X + X ′ to Mn increases toward the pinned magnetic layer 3. In the vicinity, when the composition ratio of all elements constituting the antiferromagnetic layer 4 is 100 at%, the composition ratio of the element X or the element X + X ′ is 50 (at%).Bigger thanIt is preferable that it is 65 (at%) or less. This composition range results from the composition ratio of the element X or the element X + X ′ of the first antiferromagnetic layer 14 in the film formation stage (before heat treatment) and the composition diffusion when heat treatment is performed.
[0137]
  That is, as described above, in the film formation stage, the composition ratio of the element X or the element X + X ′ of the first antiferromagnetic layer 14 is preferably 53 (at%) or more and 65 (at%) or less. It is also considered that composition diffusion occurs between the first antiferromagnetic layer 14 and the pinned magnetic layer 3 by the heat treatment. Therefore, it is considered that the composition ratio of the element X or the element X + X ′ of the antiferromagnetic layer is lower than that in the film forming stage in the vicinity of the interface between the antiferromagnetic layer 4 and the pinned magnetic layer 3 by the heat treatment. The composition ratio of X or element X + X ′ may be smaller than 53 (at%). Therefore, the preferable composition range of the element X or the element X + X ′ in the vicinity of the interface A after the heat treatment is 50 (at%) as described above.Bigger than65 (at%) or less. More preferably, the composition ratio of the element X or the element X + X ′ is 50 (at%).Bigger than60 (at%) or less.
[0138]
  In the present invention, when the composition ratio of all elements constituting the antiferromagnetic layer 4 in the vicinity of the surface B opposite to the interface A is 100 at%, the composition ratio of the element X or the element X + X ′ is 44 It is preferable that it is not less than (at%) and not more than 57 (at%). The composition ratio of the element X or the element X + X ′ in the vicinity of the surface B on the opposite side is caused by the composition ratio of the element X or the element X + X ′ of the second antiferromagnetic layer 15 in the film formation stage (before heat treatment). It is.
[0139]
  That is, as described above, the composition ratio of the element X or the element X + X ′ of the second antiferromagnetic layer 15 is preferably 44 (at%) or more and 57 (at%) or less. The preferable composition range of the element X or the element X + X ′ in the vicinity of the plane B is 44 (at%) or more and 57 (at%) or less as in the second antiferromagnetic layer 15. A more preferable composition ratio of the element X or the element X + X ′ is 46 (at%) or more and 55 (at%) or less.
[0140]
  In the present invention, the region where the composition ratio of the element X or the element X + X ′ is 46 at% or more and 55 at% or less occupies 70% or more and 95% or less with respect to the total volume of the antiferromagnetic layer 4. Is preferred. The fact that the above region occupies the above ratio with respect to the total volume of the antiferromagnetic layer 4 means that the antiferromagnetic layer 4 has been appropriately transformed from an irregular lattice to a regular lattice by heat treatment. Thus, it is possible to obtain a larger exchange coupling magnetic field than before.
[0141]
  Next, composition modulation in the film thickness direction of the antiferromagnetic layer 4 will be described. In the present invention, as described above, the antiferromagnetic layer 4 has a region in which the ratio of atomic% of element X or element X + X ′ to Mn increases toward the pinned magnetic layer 3. The composition may be modulated.
[0142]
  That is, in the present invention, when a virtual boundary is set in a direction parallel to the interface A within the film thickness of the antiferromagnetic layer 4, the first region extends from the virtual boundary to the interface A. When the area up to the surface opposite to the interface is the second area, the ratio is continuous or discontinuous from the second area toward the first area in the area sandwiching the virtual boundary. May be increased.
[0143]
  For example, assume that the dotted line C occupies the virtual boundary in FIG. This dotted line C is the interface between the first antiferromagnetic layer 14 and the second antiferromagnetic layer 15 in the film formation stage (before heat treatment) (see FIG. 2).
[0144]
  In the film formation stage, the composition ratio of the element X or the element X + X ′ is larger in the first antiferromagnetic layer 14 than in the second antiferromagnetic layer 15. Then, when heat treatment is performed as described above, it is considered that composition diffusion occurs at the interface portion between the first antiferromagnetic layer 14 and the second antiferromagnetic layer 15. The ratio in the first region from the interface A to the fixed magnetic layer 3 to the virtual boundary (dotted line C) is the second ratio from the virtual boundary (dotted line C) to the surface B opposite to the interface A. The ratio is larger than the ratio in the area, and the ratio increases continuously or discontinuously from the second area toward the first area in the area sandwiching the virtual boundary. It is considered a thing. In particular, when the composition ratio of the element X or the element X + X ′ of the first antiferromagnetic layer 14 is considerably larger than the composition ratio of the element X or the element X + X ′ of the second antiferromagnetic layer 15 in the film formation stage. Is likely to cause the above-mentioned discontinuous increase.
[0145]
  In the present invention, the antiferromagnetic layer 4 preferably has a region where the composition ratio (atomic%) of the element X or the element X + X ′ increases toward the pinned magnetic layer 3 side. In the present invention, as described above, in the film formation stage (before heat treatment), the composition ratio of the element X or the element X + X ′ of the first antiferromagnetic layer 14 formed on the fixed magnetic layer 3 side is set to the second antiferromagnetic strength. It is larger than the composition ratio of element X or element X + X ′ of the magnetic layer 15. For this reason, even if compositional modulation occurs between the first antiferromagnetic layer 14 and the second antiferromagnetic layer 15 by the heat treatment, on the fixed magnetic layer side that is the first antiferromagnetic layer 14, It is considered that the composition ratio (atomic%) of the element X or the element X + X ′ is still larger than that of the portion that was the second antiferromagnetic layer 15. Therefore, it is considered that there is a place where the above-described composition modulation occurs.
[0146]
  In the present invention, there is a region where the atomic% of the element X or the element X + X ′ decreases in the vicinity of the interface A between the antiferromagnetic layer 4 and the pinned magnetic layer 3 toward the pinned magnetic layer 3 side. It is preferable.
[0147]
  In the vicinity of the interface A between the antiferromagnetic layer 4 and the pinned magnetic layer 3, it is considered that composition diffusion occurs with the pinned magnetic layer 3 side. When this composition diffusion occurs, the element X or the element X + X ′ in the vicinity of the interface A The composition ratio becomes smaller than the composition ratio in the film formation stage.
[0148]
  As in the present invention, in the antiferromagnetic layer 4, when there is a region in which the atomic% of the element X or the element X + X ′ decreases toward the pinned magnetic layer 3 in the vicinity of the interface A, the interface A In the vicinity, an appropriate irregular lattice is transformed into a regular lattice, and a large exchange coupling magnetic field can be generated.
[0149]
  In the antiferromagnetic layer 4 after the heat treatment, the portion where the composition ratio of the element X or the element X + X ′ is maximum is 3 mm in the direction of the surface B opposite to the interface A from the interface A with the pinned magnetic layer 3. It is preferable that it exists within the range of 30 to 30 cm. This range is a preferable film thickness range of the first antiferromagnetic layer 14 in the film formation stage (before heat treatment).
[0150]
  In the present invention, the protective layer 7 made of Ta or the like is formed on the surface B of the antiferromagnetic layer 4 opposite to the interface with the pinned magnetic layer A. Then, it is conceivable that compositional modulation occurs between the second antiferromagnetic layer 15 and the protective layer 7 in the film formation stage by performing heat treatment.
[0151]
  That is, in the present invention, in the vicinity of the surface of the antiferromagnetic layer 4 opposite to the pinned magnetic layer 3, there is a region where the composition ratio (at%) of the element X or element X + X ′ decreases in the opposite surface direction. It may be.
[0152]
  In the present invention, the thickness of the antiferromagnetic layer 4 is preferably 73 mm or more. As described with reference to FIG. 2, the first antiferromagnetic layer 14 needs to be at least 3 mm and the second antiferromagnetic layer 15 needs to be at least 70 mm. Therefore, the entire antiferromagnetic layer 4 as a whole is at least 73 mm. The above film thickness is required.
[0153]
  As described above, in the present invention, since the antiferromagnetic layer 4 may be formed with a thickness of 73 mm or more, the thickness of the antiferromagnetic layer 4 can be made thinner than the conventional one. As will be described later, when the laminated film shown in FIG. 3 is configured as a thin film magnetic head, it is possible to reduce the gap.
[0154]
  In the present invention, the antiferromagnetic layer 4 is composed of a two-layer structure of the first antiferromagnetic layer 14 and the second antiferromagnetic layer 15 in the film formation stage (before heat treatment) in FIG. Other manufacturing methods can also be provided.
[0155]
  For example, even when the antiferromagnetic layer 4 is formed as a single layer in the film formation stage (before heat treatment), it is possible to obtain a large exchange coupling magnetic field as compared with the conventional method by the following manufacturing method.
[0156]
  That is, in the present invention, the antiferromagnetic layer is formed by a sputtering process using the element X (where X is one or more elements among Pt, Pd, Ir, Rh, Ru, and Os) and Mn as targets. 4 and forming the antiferromagnetic layer 4 while gradually increasing the sputtering gas pressure as the distance from the pinned magnetic layer 3 increases, so that the composition ratio (atomic%) of the element X is fixed. It decreases as the distance from the side in contact with the magnetic layer 3 increases. At this time, it is preferable that at least a part of the interface between the antiferromagnetic layer 4 and the pinned magnetic layer 3 is in an inconsistent state when the antiferromagnetic layer 4 is formed.
[0157]
  When the composition ratio of all elements constituting the antiferromagnetic layer 4 near the surface opposite to the interface is 100 at%, the composition ratio of the constituent element X is 44 (at%) or more and 57 (at%). ) Or less, more preferably 46 (at%) or more and 55 (at%) or less.
[0158]
  With the above-described configuration, the composition ratio of the element X (at the portion other than the vicinity of the interface is not received at the interface between the antiferromagnetic layer 4 and the pinned magnetic layer 3 without receiving a binding force such as the crystal structure of the pinned magnetic layer 3. Atom%) can be formed with an ideally close composition that easily transforms from an irregular lattice to an ordered lattice when heat treatment is performed.
[0159]
  Accordingly, the antiferromagnetic layer 4 can be appropriately transformed from an irregular lattice to a regular lattice by performing a heat treatment after the formation of the antiferromagnetic layer 4, and the heat treatment can be performed inside the antiferromagnetic layer 4. It is considered that element diffusion occurs in this case, and this diffusion appropriately causes the transformation from the irregular lattice to the regular lattice in the entire antiferromagnetic layer 4 and generates a larger exchange coupling magnetic field than in the conventional case. It is possible.
[0160]
  In particular, in the case where a mismatched state exists at the interface, the antiferromagnetic layer 4 can be promoted to the regular transformation of the entire antiferromagnetic layer 4 without being appropriately restricted by the crystal structure or the like of the pinned magnetic layer 3. Is possible.
[0161]
  The antiferromagnetic layer 4 is preferably formed with a thickness of 73 mm or more. This numerical value of 73 mm is in accordance with the minimum film thickness of the antiferromagnetic layer 4 formed by the first antiferromagnetic layer 14 and the second antiferromagnetic layer 15 shown in FIG.
[0162]
  That is, in FIG. 2, the first antiferromagnetic layer 14 has a minimum thickness of 3 mm, and the second antiferromagnetic layer 15 has a minimum thickness of 70 mm. Was 73 cm.
[0163]
  Even when the antiferromagnetic layer 4 is formed as a single layer in the film formation stage (before heat treatment), the portion having a film thickness of at least about 3 mm from the interface with the pinned magnetic layer 3 to the surface opposite to the interface is When the composition ratio of all elements in the region is 100 at%, the composition ratio of element X is preferably 53 (at%) or more and 65 (at%) or less, more preferably 55 (at%). It is 60 (at%) or less. Further, the other portions are preferably at least 70 mm thick, and the composition ratio of element X is preferably in the range of 44 (at%) to 57 (at%), more preferably 46 (at%) or more. 55 (at%) or less. Thus, as in the case shown in FIG. 2, 7.9 × 104An exchange coupling magnetic field of (A / m) or more can be obtained.
[0164]
  In the present invention, the element X and the element X ′ (where the element X ′ is Ne, Ar, Kr, Xe, Be, B, C, N, Mg, Al, Si, P, Ti, V, Cr, Fe, Co). , Ni, Cu, Zn, Ga, Ge, Zr, Nb, Mo, Ag, Cd, Sn, Hf, Ta, W, Re, Au, Pb, and one or more elements among rare earth elements ) And Mn as a target, the antiferromagnetic layer 4 is formed, and the antiferromagnetic layer 4 is formed while gradually increasing the sputtering gas pressure as the distance from the pinned magnetic layer 3 increases. Thus, the composition ratio (atomic%) of the element X + X ′ may be gradually decreased as the distance from the side in contact with the pinned magnetic layer 3 increases.
[0165]
  In addition, as the element X ′, an element that penetrates into the space between the spatial lattices composed of the elements X and Mn or replaces part of the lattice points of the crystal lattice composed of the elements X and Mn is used. Is preferred. Thereby, the lattice constant of the X—Mn—X ′ alloy can be made larger than the lattice constant of the X—Mn alloy, and a non-matched state can be easily maintained at the interface with the fixed magnetic layer 3.
[0166]
  In the present invention, it is preferable that at least a part of the interface between the antiferromagnetic layer 4 and the pinned magnetic layer 3 is in a non-matched state. For example, the lattice constants of the antiferromagnetic layer 4 and the pinned magnetic layer 3 may be different.
[0167]
  Therefore, in the present invention, a sputtering method using a target formed of an antiferromagnetic material containing elements X and Mn, or a target formed of an antiferromagnetic material containing elements X, X ′, and Mn. The antiferromagnetic layer 4 is formed by forming the antiferromagnetic layer 4 while gradually increasing the sputtering gas pressure as the distance from the side in contact with the pinned magnetic layer 3 is increased. The composition ratio (atomic%) of X + X ′ is gradually decreased as the distance from the side in contact with the pinned magnetic layer 3 is decreased, and the antiferromagnetic layer 4 and the pinned layer are fixed when the antiferromagnetic layer 4 is formed. The lattice constant of the antiferromagnetic layer 4 and the lattice constant of the pinned magnetic layer 3 may be different at least at a part of the interface with the magnetic layer 3.
[0168]
  Alternatively, a target formed of an antiferromagnetic material containing elements X and Mn, or a target formed of an antiferromagnetic material containing elements X, X ′, and Mn is antiferromagnetic by sputtering. When the layer 4 is formed, the composition of the element X or the element X + X ′ is formed by forming the antiferromagnetic layer 4 while gradually increasing the sputtering gas pressure as the distance from the side in contact with the pinned magnetic layer 3 increases. The ratio (atomic%) is gradually decreased as the distance from the side in contact with the pinned magnetic layer 3 is increased, and when the antiferromagnetic layer 4 is formed, the antiferromagnetic layer 4 and the pinned magnetic layer 3 The crystal orientation of the antiferromagnetic layer 4 and the crystal orientation of the pinned magnetic layer 3 may be different at least at a part of the interface. By making the crystal orientation different, at least a part of the interface can be easily brought into an inconsistent state.
[0169]
  The laminated film formed by applying heat treatment to the laminated film formed as described above has the same structure as that shown in FIG.
[0170]
  That is, the antiferromagnetic layer 4 after the heat treatment is formed of an antiferromagnetic material containing the elements X and Mn, or an antiferromagnetic material containing the elements X, X ′, and Mn, and goes to the pinned magnetic layer 3. Accordingly, there is a region where the ratio of atomic% of element X or element X + X ′ to Mn increases, and at least a part of the crystal structure of the antiferromagnetic layer is a CuAu—I type face-centered tetragonal regular lattice. In addition, at least a part of the interface A is in an inconsistent state.
[0171]
  Next, in the present invention, FIG. 4 shows a configuration of a film deposition stage (before heat treatment) using the seed layer 22. FIG. 5 shows a structure of the laminated film obtained by performing heat treatment on the laminated film shown in FIG.
[0172]
  The laminated film shown in FIGS. 4 and 5 is applied to a single spin valve magnetoresistive element in which the antiferromagnetic layer 4 as shown in FIG. 6 is formed below the pinned magnetic layer 3 as an example.
[0173]
  First, as shown in FIG. 4, the seed layer 22 is formed on the underlayer 6, and the antiferromagnetic layer 4 is further formed on the seed layer 22.
[0174]
  The underlayer 6 is preferably formed of at least one element selected from Ta, Hf, Nb, Zr, Ti, Mo, and W. The lower magnetic layer 6 is provided to preferentially orient the (111) plane of the seed layer 22 formed thereon in a direction parallel to the interface with the base layer 6. The underlayer 6 is formed with a film thickness of about 50 mm, for example.
[0175]
  The seed layer 22 is mainly composed of a face-centered cubic crystal, and the (111) plane is preferentially oriented in a direction parallel to the interface with the antiferromagnetic layer 4. The seed layer 22 is formed of a NiFe alloy or a Ni—Fe—Y alloy (where Y is at least one selected from Cr, Rh, Ta, Hf, Nb, Zr, and Ti). Is preferred. The seed layer 22 formed of these materials is formed on the underlayer 6 formed of Ta or the like, so that the (111) plane is easily preferentially oriented in a direction parallel to the interface with the antiferromagnetic layer 4. .
[0176]
  In the present invention, the seed layer 22 is preferably formed of nonmagnetic material. By forming the seed layer 22 non-magnetically, the specific resistance of the seed layer 22 can be increased, and the shunting of the sense current flowing from the conductive layer to the seed layer 22 can be suppressed. If the sense current is likely to be shunted to the seed layer 22, it is not preferable because the resistance change rate (ΔMR) is reduced and Barkhausen noise is generated.
[0177]
  In order to form the seed layer 22 non-magnetically, a Ni—Fe—Y alloy (where Y is selected from Cr, Rh, Ta, Hf, Nb, Zr, and Ti among the above materials) More than species) can be selected. These materials are preferable because the crystal structure is a face-centered cubic crystal and the (111) plane is preferentially oriented in a direction parallel to the interface with the antiferromagnetic layer 4. The seed layer 22 is formed with, for example, about 30 mm.
[0178]
  Next, as shown in FIG. 4, the antiferromagnetic layer 4 formed on the seed layer 22 includes a first antiferromagnetic layer 23, a second antiferromagnetic layer 24, and a third antiferromagnetic layer. A layered structure of layers 25 is formed.
[0179]
  In the present invention, the first antiferromagnetic layer 23, the second antiferromagnetic layer 24, and the third antiferromagnetic layer 25 are made of the element X (where X is Pt, Pd, Ir, Rh, Ru). , Os) and an antiferromagnetic material containing Mn.
[0180]
  In the present invention, each of the antiferromagnetic layers 23, 24, 25 is composed of an element X and an element X ′ alloy (where the element X ′ is Ne, Ar, Kr, Xe, Be, B, C, N, Mg, Al, Si, P, Ti, V, Cr, Fe, Co, Ni, Cu, Zn, Ga, Ge, Zr, Nb, Mo, Ag, Cd, Sn, Hf, Ta, W, Re, Au, Pb, and rare earth It may be formed of an antiferromagnetic material containing Mn and one or more elements among the elements.
[0181]
  In the above case, the X—Mn—X ′ alloy is an interstitial solid solution in which the element X ′ penetrates into the gap of the space lattice composed of the elements X and Mn, or is composed of the elements X and Mn. It is preferable that a part of the lattice points of the crystal lattice is a substitutional solid solution substituted with the element X ′. An X-Mn-X 'alloy formed of an interstitial solid solution or a substituted solid solution can have a larger lattice constant than an X-Mn alloy.
[0182]
  In the present invention, the composition ratio of the element X or the element X + X ′ constituting the first and third antiferromagnetic layers 23 and 25 is set to be larger than the composition ratio of the element X or the element X + X ′ of the second antiferromagnetic layer 24. There are many.
[0183]
  Further, the second antiferromagnetic layer 24 formed between the first antiferromagnetic layer 23 and the third antiferromagnetic layer 25 is ideally easy to transform from an irregular lattice to a regular lattice by heat treatment. It is made of an antiferromagnetic material having a close composition.
[0184]
  The composition ratio of the element X or the element X + X ′ of the first antiferromagnetic layer 23 and the third antiferromagnetic layer 25 is set to be higher than the composition ratio of the element X or the element X + X ′ of the second antiferromagnetic layer 24. The increase is the same as that described in FIG. 2. In order to facilitate the transformation of the antiferromagnetic layer 4 from an irregular lattice to an ordered lattice when heat treatment is performed, This is because it is necessary not to be constrained by the crystal structure of the pinned magnetic layer 3 and the seed layer 22.
[0185]
  The composition ratio of the element X or the element X + X ′ in the first antiferromagnetic layer 23 and the third antiferromagnetic layer 25 is preferably 53 (at%) or more and 65 (at%) or less, more preferably. 55 (at%) or more and 60 (at%) or less. The film thicknesses of the first antiferromagnetic layer 23 and the third antiferromagnetic layer 25 are preferably 3 to 30 mm. For example, in the case of the embodiment shown in FIG. 4, the first and third antiferromagnetic layers 23 and 25 are each formed of about 10 mm.
[0186]
  The composition ratio of the element X or the element X + X ′ of the second antiferromagnetic layer 24 is 44 (at%) or more and 57 (at%) or less. Preferably, it is 46 (at%) or more and 55 (at%) or less. When the composition ratio of the element X or the element X + X ′ is within this range, the second antiferromagnetic layer 24 is easily transformed from an irregular lattice to a regular lattice by heat treatment. The film thickness of the second antiferromagnetic layer 24 is preferably 70 mm or more. In the case of the embodiment shown in FIG. 4, the thickness of the second antiferromagnetic layer 24 is about 100 mm.
[0187]
  The antiferromagnetic layers 23, 24 and 25 are preferably formed by sputtering. At this time, it is preferable to form the first and third antiferromagnetic layers 23 and 25 at a lower sputtering gas pressure than the second antiferromagnetic layer 24. Thereby, the composition ratio of the element X or the element X + X ′ of the first and third antiferromagnetic layers 23 and 25 is larger than the composition ratio of the element X or the element X + X ′ of the second antiferromagnetic layer 24. Is possible.
[0188]
  Alternatively, in the present invention, even when the antiferromagnetic layer 4 is not formed with the above-described three-layer film in the film formation stage (before heat treatment), the antiferromagnetic layer 4 is formed with a single layer by the following method. It can be formed by appropriately changing the composition ratio (atomic%) of element X or element X + X ′ in the thickness direction.
[0189]
  First, when the antiferromagnetic layer 4 is formed by sputtering using an antiferromagnetic material containing the elements X and Mn or a target formed of the elements X, X ′ and Mn, the seed layer 22 is separated from the seed layer 22. Accordingly, the antiferromagnetic layer 4 is formed by gradually increasing the sputtering gas pressure, and at the stage where the antiferromagnetic layer 4 is formed by about half, this time, the sputtering gas pressure is gradually lowered and the remaining is left. The antiferromagnetic layer 4 is formed.
[0190]
  According to this method, the composition ratio (atomic%) of the element X or the element X + X ′ gradually decreases from the interface with the seed layer 22 to the vicinity of the center of the film thickness of the antiferromagnetic layer 4. The ratio (atomic%) gradually increases from the vicinity of the center to the interface with the pinned magnetic layer 3.
[0191]
  For this reason, the composition ratio (atomic%) of the element X or the element X + X ′ is the largest near the interface between the seed layer 22 and the pinned magnetic layer 3, and the antiferromagnetic layer 4 is the smallest near the center of the film thickness. It becomes possible to do.
[0192]
  The composition of element X or element X + X ′ when the composition ratio of all elements constituting the antiferromagnetic layer 4 near the interface with the pinned magnetic layer 3 and the interface with the seed layer 22 is 100 at%. The ratio is preferably 53 at% or more and 65 at% or less, and more preferably 55 at% or more and 60 at% or less.
[0193]
  In the vicinity of the center of the antiferromagnetic layer 4 in the film thickness direction, the composition ratio of the element X or the element X + X ′ is preferably 44 (at%) or more and 57 (at%) or less, more preferably 46 (at %) To 55 (at%). The antiferromagnetic layer 4 is preferably formed with a thickness of 76 mm or more.
[0194]
  As shown in FIG. 4, the pinned magnetic layer 3 is formed on the antiferromagnetic layer 4. In the embodiment shown in FIG. 4, as in FIG. 2, the pinned magnetic layer 3 is in a so-called ferri state consisting of three layers of Co film 11, Ru film 12 and Co13. For example, the thickness of the Co film 11 is about 20 mm, the thickness of the Ru film 12 is about 8 mm, and the thickness of the Co film 13 is about 15 mm.
[0195]
  By performing the heat treatment, the antiferromagnetic layer 4 is not crystallized at the interface between the seed layer 22 and the pinned magnetic layer 3 without being restricted by the crystal structure of the seed layer 22 and the pinned magnetic layer 3. An appropriate transformation from the regular lattice to the regular lattice occurs, an exchange coupling magnetic field is generated at the interface with the pinned magnetic layer 3, and the magnetization of the pinned magnetic layer 3 is made into a single magnetic domain in the Y direction (height direction) shown in the figure.
[0196]
  In the present invention, it is preferable that at least a part of the interface between the seed layer 22 and the pinned magnetic layer 3 is in an inconsistent state. Due to the presence of the incommensurate state, it is difficult to be constrained by the crystal structure of the seed layer 22 or the pinned magnetic layer 3 at each interface, and it is possible to promote transformation of the antiferromagnetic layer 4 into ordering. is there.
[0197]
  In the present invention, the first and third antiferromagnetic layers 23 and 25 having a large composition ratio of the element X or the element X + X ′ are formed on the side in contact with the seed layer 22 and the pinned magnetic layer 3 as described above. In addition, since the second antiferromagnetic layer 24 is formed between the first and third antiferromagnetic layers 23 and 25, the second antiferromagnetic layer 24 is formed with a composition that easily transforms from an irregular lattice to a regular lattice by heat treatment. When the transformation proceeds in the portion of the second antiferromagnetic layer 24 by the heat treatment, composition diffusion occurs between the first and third antiferromagnetic layers 23 and 25 and the second antiferromagnetic layer 24. Therefore, even in the first and third antiferromagnetic layers 23 and 25, the disordered lattice to the regular lattice can be maintained while appropriately maintaining the mismatched state at the interface between the seed layer 22 and the pinned magnetic layer 3. To the antiferromagnetic layer 4 as a whole. Do transformation it is possible to cause. Therefore, according to the present invention, it is possible to expect an appropriate transformation as compared with the prior art, and thus it is possible to obtain a large exchange coupling magnetic field, specifically, 7.9 × 10.4An exchange coupling magnetic field of (A / m) or more can be expected.
[0198]
  As shown in FIG. 4, a nonmagnetic intermediate layer 2 made of, for example, Cu is formed on the pinned magnetic layer 3, and a free magnetic layer 1 is formed on the nonmagnetic intermediate layer 2.
[0199]
  The free magnetic layer 1 is composed of, for example, a Ni—Fe alloy film 9 and a Co film 10. The nonmagnetic intermediate layer 2 is formed, for example, with a thickness of about 22 mm, the Ni—Fe alloy film 9 is formed with a thickness of about 45 mm, and the Co film 10 is formed with a thickness of about 5 mm.
[0200]
  Then, as shown in FIG. 4, a protective layer 7 made of, for example, a Ta film is formed on the free magnetic layer 1. The thickness of the protective layer 7 is, for example, about 30 mm.
[0201]
  In the present invention, as described above, the seed layer 22 is provided on the lower side of the antiferromagnetic layer 4 (the surface opposite to the interface with the pinned magnetic layer 3). The seed layer 22 is mainly composed of face-centered cubic crystals, and the (111) plane is preferentially oriented in a direction parallel to the interface with the antiferromagnetic layer 4.
[0202]
  Therefore, the crystal orientation of each layer from the antiferromagnetic layer 4 to the free magnetic layer 1 formed on the seed layer 22 is also preferentially oriented in the (111) plane in the direction parallel to the interface. Becomes larger. By increasing the crystal grain size in this way, the rate of change in resistance (ΔMR) is increased, and the reproduction characteristics can be improved.
[0203]
  In the embodiment shown in FIG. 4, as already described in detail, it is possible to increase the exchange coupling magnetic field simultaneously with the improvement of the resistance change rate. Even if the exchange coupling magnetic field becomes too small, the rate of change in resistance decreases. Therefore, the exchange coupling magnetic field is required to some extent even from the viewpoint of improving the rate of change in resistance.
[0204]
  After forming the laminated film from the underlayer 6 to the protective layer 7 shown in FIG. 4, heat treatment is performed. FIG. 5 shows the structure of the laminated film after the heat treatment. Even after the heat treatment shown in FIG. 5, the seed layer 22 formed on the underlayer 6 made of Ta or the like has a crystal structure mainly composed of face-centered cubic crystals. The (111) plane is preferentially oriented in a direction parallel to the interface.
[0205]
  The antiferromagnetic layer 4 formed on the seed layer 22 is composed of a CuAu-I type face-centered tetragonal regular lattice with at least a part of the crystal structure, and from the antiferromagnetic layer 4 to the free magnetic layer 1. The (111) plane is preferentially oriented in the direction parallel to the interface, and the interface I between the antiferromagnetic layer 4 and the seed layer 22 and the interface H between the antiferromagnetic layer 4 and the pinned magnetic layer 3 At least a part of is in an inconsistent state.
[0206]
  In the present invention, as described above, the formation of the seed layer 22 causes the crystal orientation of each layer from the antiferromagnetic layer 4 to the free magnetic layer 1 to be preferentially oriented in the (111) plane in a direction parallel to the interface. By increasing the diameter, the resistance change rate (ΔMR) can be improved.
[0207]
  As described above, the seed layer 22 is a NiFe alloy or a Ni—Fe—Y alloy (where Y is at least one selected from Cr, Rh, Ta, Hf, Nb, Zr, and Ti). It is preferably formed, and particularly preferably non-magnetic. By forming the seed layer 22 non-magnetically, the specific resistance of the seed layer 22 can be increased, and the shunting of the sense current flowing from the conductive layer to the seed layer 22 can be suppressed. By suppressing the diversion, the resistance change rate can be further improved, and the generation of Barkhausen noise or the like can be suppressed.
[0208]
  In the present invention, the interface I between the antiferromagnetic layer 4 and the seed layer 22 and at least a part of the interface H between the antiferromagnetic layer 4 and the pinned magnetic layer 3 are in an inconsistent state, and the antiferromagnetic layer 4 that at least a part of the crystal structure is a CuAu-I type face-centered tetragonal regular lattice, it can be seen that the antiferromagnetic layer 4 is appropriately transformed from an irregular lattice to a regular lattice by heat treatment, In the present invention, the exchange coupling magnetic field generated between the antiferromagnetic layer 4 and the pinned magnetic layer 3 can be made larger than before, specifically, 7.9 × 10.4An exchange coupling magnetic field of (A / m) or more can be obtained.
[0209]
  In the present invention, the lattice constant between the antiferromagnetic layer 4 and the seed layer 22 is at least a part of the interface I, and the antiferromagnetic layer 4 and the pinned magnetic layer 3 are at least a part of the interface H. The lattice constant may be different. As a result, the interface I between the antiferromagnetic layer 4 and the seed layer 22 and at least a part of the interface H between the antiferromagnetic layer 4 and the pinned magnetic layer 3 can be kept in an inconsistent state.
[0210]
  Further, when heat treatment is performed, the interface F between the first antiferromagnetic layer 23 and the second antiferromagnetic layer 24 in the antiferromagnetic layer 4 and the third antiferromagnetic layer 23 and the second antiferromagnetic layer. Since composition diffusion occurs at the interface G with the layer 24, the presence or absence of the interfaces F and G is considered to be unclear.
[0211]
  As described above, the antiferromagnetic layer 4 includes an element X (where X is one or more elements among Pt, Pd, Ir, Rh, Ru, and Os) and Mn. It is made of a ferromagnetic material, or element X and element X ′ (where element X ′ is Ne, Ar, Kr, Xe, Be, B, C, N, Mg, Al, Si, P, Ti, V, One or two of Cr, Fe, Co, Ni, Cu, Zn, Ga, Ge, Zr, Nb, Mo, Ag, Cd, Sn, Hf, Ta, W, Re, Au, Pb, and rare earth elements It is preferable to be formed of an antiferromagnetic material containing Mn and the above elements. When the antiferromagnetic layer 4 is formed of an X—Mn—X ′ alloy, the X—Mn—X ′ alloy is an interstitial type in which the element X ′ penetrates into the space lattice between the elements X and Mn. It is preferably a solid solution or a substitutional solid solution in which a part of the lattice points of the crystal lattice composed of the elements X and Mn is substituted with the element X ′. The X—Mn—X ′ alloy formed of an interstitial solid solution or a substituted solid solution can have a larger lattice constant than the X—Mn alloy, and is appropriately applied at the interface between the seed layer 22 and the fixed magnetic layer 3. An inconsistent state can be maintained.
[0212]
  In addition, it is preferable that the antiferromagnetic layer 4 has a region in which the ratio of atomic% of element X or element X + X ′ to Mn increases toward the seed layer 22 after the heat treatment.
[0213]
  The presence of this composition modulation region means that the regular transformation was appropriately performed by the heat treatment. The presence of the composition modulation region is determined by the composition ratio of the element X or the element X + X ′ of the third antiferromagnetic layer 25 in the film formation stage (before heat treatment; see FIG. 4). By increasing the composition ratio of the element X or the element X + X ′ or changing the sputtering gas pressure, the atomic% of the element X or the element X + X ′ is gradually reduced toward the center in the film thickness direction. It can be obtained by forming the ferromagnetic layer 4. With this configuration, it is considered that the interface I between the seed layer 22 and the antiferromagnetic layer 4 is appropriately ordered and transformed without receiving a binding force such as the crystal structure of the seed layer 22. And a large exchange coupling magnetic field can be obtained.
[0214]
  In addition to the above compositional modulation, the antiferromagnetic layer 4 includes a region in which the ratio of atomic% of element X or element X + X ′ to Mn increases toward the pinned magnetic layer 3. This is because the composition ratio of the element X or the element X + X ′ of the first antiferromagnetic layer 23 is changed to the element X or the element X + X ′ of the second antiferromagnetic layer 24 in the film formation stage (before the heat treatment; see FIG. 4). The composition ratio (atomic%) of element X or element X + X ′ is gradually increased from the center of the film thickness toward the fixed magnetic layer 3 side by changing the sputtering gas pressure. However, it can be obtained by forming the antiferromagnetic layer 4.
[0215]
  That is, the antiferromagnetic layer 4 bonded to the seed layer 22 shown in FIG. 5 has a ratio of atomic% of element X or element X + X ′ to Mn from the intermediate region in the film thickness direction toward the pinned magnetic layer 3 side. There are an increasing region and a region in which the ratio of atomic% of element X to Mn increases from the intermediate region toward the seed layer 22.
[0216]
  In the present invention, when the composition ratio of all elements constituting the antiferromagnetic layer 4 in the vicinity of the interface I with the seed layer 22 and in the vicinity of the interface H with the pinned magnetic layer 3 is 100 at%, the element X or element The composition ratio of X + X ′ is 50 (at%)Bigger thanIt is preferable that it is 65 (at%) or less. This numerical range is based on an appropriate composition range (53 at% to 65 at%) of the first and third antiferromagnetic layers 23 and 25 in the film formation stage (before heat treatment). Note that the minimum value (50 at%) of the composition range of the antiferromagnetic layer 4 after the heat treatment is smaller than the minimum value (53 at%) of the composition range of the first and third antiferromagnetic layers 23 and 25. The reason is that the composition diffusion occurs at the interface I between the antiferromagnetic layer 4 and the seed layer 22 and the interface H between the antiferromagnetic layer 4 and the pinned magnetic layer 3 by heat treatment. The composition ratio of the element X or the element X + X ′ is 50 (at%) in the vicinity of the interface I of the seed layer 22 and in the vicinity of the interface H with the pinned magnetic layer 3.Bigger thanMore preferably, it is 60 (at%) or less.
[0217]
  The composition ratio (atomic%) of the element X and the element X + X ′ after the heat treatment is preferably 44 (at%) or more and 57 (at%) or less near the center in the film thickness direction. This composition range is based on an appropriate composition range (44 at% to 57 at%) of the element X or the element X + X ′ of the second antiferromagnetic layer 24 in the film formation stage (before heat treatment). The composition ratio of the element X or the element X + X ′ is more preferably 46 (at%) or more and 55 (at%) or less.
[0218]
  In the present invention, when two virtual boundaries are set in a direction parallel to the interface between the pinned magnetic layer 3 and the seed layer 22 within the thickness of the antiferromagnetic layer 4, the interface with the pinned magnetic layer 3 is used. In the third region from H to the second virtual boundary near the interface H, and the first region from the interface I with the seed layer 22 to the first virtual boundary near the interface I The ratio of atomic% of element X or element X + X ′ to Mn is larger than the second region between the virtual boundaries, and the region from the second region to the first region sandwiches the first virtual boundary. Further, it is preferable that the ratio increases continuously or discontinuously from the second region to the third region in the region sandwiching the second virtual boundary.
[0219]
  For example, it is assumed that the first virtual boundary is a dotted line G that occupies FIG. 5, and the second virtual boundary is a dotted line F shown in FIG. The dotted lines F and G indicate the interface between the first antiferromagnetic layer 23 and the second antiferromagnetic layer 24 and the second antiferromagnetic layer 24 and the third antiferromagnetic strength in the film formation stage (before heat treatment). This is the location that was the interface with the magnetic layer 25.
[0220]
  In the film formation stage (before heat treatment), the composition ratio of the element X or the element X + X ′ is larger in the first and third antiferromagnetic layers 23 and 25 than in the second antiferromagnetic layer 24. . When the heat treatment is performed as described above, it is considered that composition diffusion occurs at the interface portion between the first and third antiferromagnetic layers 23 and 25 and the second antiferromagnetic layer 24. Later, the ratio of atomic% to M of element X or element X + X ′ in the third region from the interface H to the pinned magnetic layer 3 to the second virtual boundary (dotted line F) closer to the interface H. , And the ratio of atomic% to Mn of the element X or the element X + X ′ in the first region from the interface I with the seed layer 22 to the first virtual boundary (dotted line G) closer to the interface I is the virtual The ratio of the element X or the element X + X ′ in the second region between the boundaries is larger than the ratio of atomic% to Mn, and at the second virtual boundary (dotted line F), from the second region to the third region. There is element X over the region The ratio of atomic% of element X + X ′ to Mn increases continuously or discontinuously, and similarly, the ratio increases from the second region to the first region at the first virtual boundary (dotted line G). It is thought to increase continuously or discontinuously. In particular, the composition ratio of the element X or the element X + X ′ of the first and third antiferromagnetic layers 23 and 25 is compared with the composition ratio of the element X or the element X + X ′ of the second antiferromagnetic layer 24 in the film formation stage. If it is quite large, it is likely to cause the above-mentioned discontinuous decrease.
[0221]
  In the film formation stage (before heat treatment), the composition ratio of the element X or the element X + X ′ of the first and third antiferromagnetic layers 23 and 25 is the same as that of the element X or the element X + X ′ of the second antiferromagnetic layer 24. Since it is larger than the composition ratio, after the heat treatment, the antiferromagnetic layer 4 is formed on the antiferromagnetic layer 4 from a predetermined region in the film thickness direction toward the interface H with the pinned magnetic layer 3 and from the intermediate region. It is considered that there is a region where the composition ratio (atomic%) of the element X or the element X + X ′ increases toward the interface I with the seed layer 22.
[0222]
  The antiferromagnetic layer 4 is considered to cause compositional diffusion between the pinned magnetic layer 3 at the interface H and the seed layer 22 at the interface I by heat treatment. The composition ratio (atomic%) of the element X or the element X + X ′ in the vicinity of H and I is smaller than that in the film formation stage.
[0223]
  Therefore, in the present invention, the antiferromagnetic layer 4 has a region where the atomic% of the element X or the element X + X ′ decreases near the interface I with the seed layer 22 toward the seed layer 22 side. Similarly, it is preferable that there is a region in the vicinity of the interface H with the pinned magnetic layer 3 where the atomic% of the element X or the element X + X ′ decreases toward the pinned magnetic layer 3 side.
[0224]
  When composition diffusion occurs at the interface H between the antiferromagnetic layer 4 and the pinned magnetic layer 3 and at the interface I between the antiferromagnetic layer 4 and the seed layer 22, the element X or the element in the vicinity of the interfaces H and I Since the atomic percentage of X + X ′ is reduced compared to the film formation stage, a transformation from an appropriate irregular lattice to an ordered lattice is performed in the vicinity of the interfaces H and I, and a large exchange coupling magnetic field can be generated. It has become.
[0225]
  In the antiferromagnetic layer 4 after the heat treatment, the region where the composition ratio (atomic%) of the element X or the element X + X ′ decreases toward the respective interfaces is from the interface H with the pinned magnetic layer 3 to the antiferromagnetic layer 4. It is preferable that it exists in the range of 3 to 30 mm in the center direction, and in the range of 3 to 30 mm in the center direction of the antiferromagnetic layer 4 from the interface I with the seed layer 22. This range is a preferable thickness range of the first antiferromagnetic layer 23 and the third antiferromagnetic layer 25 in the film formation stage (before heat treatment).
[0226]
  The film thickness of the antiferromagnetic layer 4 is preferably 76 mm or more. As described with reference to the manufacturing method of FIG. 4, the first and third antiferromagnetic layers 23 and 25 must be at least 3 mm and the second antiferromagnetic layer 24 must be at least 70 mm. The entire magnetic layer 4 needs to have a thickness of at least 76 mm.
[0227]
  As described above, in the present invention, since the antiferromagnetic layer 4 may be formed with a thickness of 76 mm or more, the film thickness of the antiferromagnetic layer 4 can be made thinner than the conventional one.
[0228]
  On both sides of the laminated film from the underlayer 6 to the protective layer 7 shown in FIG. 5, a hard bias layer 5 and a conductive layer 8 are formed for aligning the magnetization of the free magnetic layer 1 shown in FIG. .
[0229]
  As described above, in the film formation stage (before heat treatment) in which the seed layer 22 shown in FIG. 4 is formed, the antiferromagnetic layer 4 is formed of a three-layer film, and thus formed of a three-layer film. By doing so, the exchange coupling magnetic field can be increased, but in the present invention, the antiferromagnetic layer 4 may be formed with a uniform X-Mn composition or an X-Mn-X 'composition. In this case, it is necessary that at least a part of the interface between the seed layer 22 and the antiferromagnetic layer 4 is in an inconsistent state or the lattice constants of both are made different at least at a part of the interface.
[0230]
  More preferably, at least a part of the interface between the pinned magnetic layer 3 and the antiferromagnetic layer 4 is in an inconsistent state, or the lattice of the antiferromagnetic layer 4 and the pinned magnetic layer 3 is formed at least at a part of the interface. Make constants different.
[0231]
  For example, the single antiferromagnetic layer 4 is made of Pt.52Mn48Made of alloy. When the antiferromagnetic layer 4 is made of the PtMn alloy, the misalignment state between the seed layer 22 and the pinned magnetic layer 3 is weakened. Therefore, although the exchange coupling magnetic field is reduced, at least the antiferromagnetic layer 4 A part of the crystal structure is composed of a CuAu-I type face-centered tetragonal lattice, and the crystal orientation of each layer is preferentially oriented in the direction parallel to the interface between the antiferromagnetic layer 4 and the pinned magnetic layer 3 (111). In addition, at least a part of the interface between the antiferromagnetic layer 4 and the seed layer 22 is in an inconsistent state, and the resistance change rate can be improved by the presence of the seed layer 22.
[0232]
  The lattice constants of the antiferromagnetic layer 4 and the seed layer 22 may be different at least at a part of the interface between the antiferromagnetic layer 4 and the seed layer 22.
[0233]
  In the present invention, for example, the first antiferromagnetic layer 23 formed on the pinned magnetic layer 3 side is not formed, and the antiferromagnetic layer 4 includes the second antiferromagnetic layer 24 and the third antiferromagnetic layer 24. It may be composed of the layer 25. In this case, at the interface with the pinned magnetic layer 3 side, it becomes easy to receive the restraining force of the crystal structure of the pinned magnetic layer 3 and the exchange coupling magnetic field is reduced, but the interface with the seed layer 22 is the interface of the seed layer 22. By making the crystal structure less susceptible to restraint, the antiferromagnetic layer 4 is appropriately transformed from the irregular lattice to the regular lattice, and the exchange coupling magnetic field is also at the interface with the seed layer 22. Compared to the case where the crystal structure of the seed layer 22 is restricted, the resistance change rate can be increased by the presence of the seed layer 22. The compositional modulation of the antiferromagnetic layer 4 at this time is the same as that described with reference to FIG. 3, and the antiferromagnetic layer 4 has an element X with respect to Mn or an element X + X toward the seed layer 22. And a first virtual boundary parallel to the interface with the seed layer 22 closer to the seed layer 22 than near the center of the film thickness of the antiferromagnetic layer 4. When the second virtual boundary parallel to the interface with the pinned magnetic layer 3 is set near the pinned magnetic layer 3, the region from the interface with the seed layer 22 to the first virtual boundary is set. Is larger than the area between the first and second virtual boundaries, and the ratio is continuous toward the interface with the seed layer 22 in the area sandwiching the first virtual boundary. Or discontinuously It is preferable to large. Further, it is preferable that at least a part of the interface between the seed layer 22 and the antiferromagnetic layer 4 is in an inconsistent state.
[0234]
  The antiferromagnetic layer 4 preferably has a region in which atomic% of the element X or the element X + X ′ increases from any location within the film thickness toward the seed layer 22 side. The antiferromagnetic layer 4 preferably has a region in the vicinity of the interface with the seed layer 22 where the atomic% of the element X or the element X + X ′ decreases toward the seed layer 22 side.
[0235]
  When the seed layer 22 is formed, the material of the antiferromagnetic layer 4 is not limited to the above-described X—Mn alloy or X—Mn—X ′ alloy. For example, a conventional Ni-Mn alloy or the like can be used as an antiferromagnetic material, or an antiferromagnetic material not containing Mn may be used. Even in such a case, a large resistance change rate can be obtained by the presence of the seed layer 22 in the present invention.
[0236]
  Further, as shown in FIG. 2, even when the seed layer 22 is not formed, the antiferromagnetic layer 4 may be formed of a three-layer film as shown in FIG. In the case of FIG. 2, the antiferromagnetic layer 4 is formed of a three-layer film, and is then subjected to heat treatment, so that the antiferromagnetic layer 4 moves from the intermediate region in the film thickness direction toward the pinned magnetic layer 3 side. Therefore, there are a region where the ratio of atomic% of element X or element X + X ′ to Mn increases, and a region where the ratio of atomic% of element X or element X + X ′ to Mn increases from the intermediate region toward protective layer 7. Will exist. The crystal structure of at least a part of the antiferromagnetic layer 4 is a CuAu-I type face centered tetragonal regular lattice. At this time, it is preferable that at least a part of the interface with the pinned magnetic layer 3 is in an inconsistent state, or at least a part of the interface has a different lattice constant or crystal orientation. In the case of FIG. 2, the surface of the antiferromagnetic layer 4 on the side opposite to the pinned magnetic layer 3 is not covered with one or more elements of Ta, Hf, Nb, Zr, Ti, Mo, and W. A protective layer 7 made of a magnetic material is formed, and composition diffusion occurs between the protective layer 7 and the antiferromagnetic layer 4, and the antiferromagnetic layer 4 is in the vicinity of the interface with the protective layer 7. It is considered that there is a region where the atomic% of the element X or the element X + X ′ decreases.
[0237]
  The laminated film shown in FIGS. 2 to 5 can be used for various magnetoresistive elements.
  2 and 3, the antiferromagnetic layer 4 is formed on the upper side of the pinned magnetic layer 3 as shown, but the antiferromagnetic layer 4 is on the lower side of the pinned magnetic layer 3. It may be formed.
[0238]
  In this case, the exchange coupling film is formed in the order of the second antiferromagnetic layer 15, the first antiferromagnetic layer 14, and the pinned magnetic layer 3 from the bottom in the film formation stage. The composition and film thickness of the first and second antiferromagnetic layers 14 and 15 are the same as those described in FIG.
[0239]
  When the antiferromagnetic layer 4 is formed below the pinned magnetic layer 3 as described above, it can be applied to, for example, a single spin valve magnetoresistive element as shown in FIG.
[0240]
  The single spin-valve magnetoresistive effect element shown in FIG. 6 includes a laminated film in the order of an underlayer 6, an antiferromagnetic layer 4, a pinned magnetic layer 3, a nonmagnetic intermediate layer 2, a free magnetic layer 1 and a protective layer 7 from the bottom. And hard bias layers 5 and 5 and conductive layers 8 and 8 are formed on both sides of the laminated film.
[0241]
  In the single spin-valve magnetoresistive effect element shown in FIG. 6, the antiferromagnetic layer 4 can be formed of a three-layer film in the same way as described with reference to FIG.
[0242]
  That is, the third antiferromagnetic layer 25, the second antiferromagnetic layer 24, and the first antiferromagnetic layer 25 are stacked on the underlayer 6. The material, composition, film thickness, etc. of each antiferromagnetic layer are the same as those described with reference to FIG.
[0243]
  When heat treatment is performed, each antiferromagnetic layer undergoes compositional diffusion, and the antiferromagnetic layer 4 after the heat treatment has an element X of Mn with respect to Mn from the intermediate region in the film thickness direction toward the pinned magnetic layer 3 side. There are a region where the atomic percent ratio increases and a region where the atomic percent ratio of element X to Mn increases from the intermediate region toward the base layer 6. The crystal structure of at least a part of the antiferromagnetic layer 4 is a CuAu-I type face centered tetragonal regular lattice, and preferably at least a part of the interface with the pinned magnetic layer 3 is in an inconsistent state. Alternatively, at least a part of the interface has a configuration in which both lattice constants are different.
[0244]
  In addition to the above method, the antiferromagnetic layer 4 is formed by using the same target and changing the sputtering gas pressure to gradually change the atomic% of the element X or the element X + X ′ in the film thickness direction. You may form by the method of making it.
[0245]
  4 and 5, the antiferromagnetic layer 4 is formed below the pinned magnetic layer 3, but the antiferromagnetic layer 4 is above the pinned magnetic layer 3. It may be formed. This case can be applied to the single spin valve magnetoresistive element shown in FIG.
[0246]
  That is, from the bottom, a laminated film is formed in the order of the underlayer 6, the free magnetic layer 1, the nonmagnetic intermediate layer 2, the pinned magnetic layer 3, the antiferromagnetic layer 4, the seed layer 22, and the protective layer 7. The hard bias layers 5 and 5 and the conductive layers 8 and 8 are formed on both sides. In this case, the crystal structure and material of the seed layer 22 are the same as those described with reference to FIGS.
[0247]
  7 and 8 are cross-sectional views showing the structure of another single spin valve magnetoresistive element of the present invention.
[0248]
  In FIG. 7, the underlayer 6, the antiferromagnetic layer 4, the pinned magnetic layer 3, the nonmagnetic intermediate layer 2, and the free magnetic layer 1 are sequentially stacked from the bottom. ThisExampleThe antiferromagnetic layer 4 is formed below the pinned magnetic layer 3.
[0249]
  As a manufacturing method, first, the antiferromagnetic layer 4 is formed by laminating the second antiferromagnetic layer 15 and the first antiferromagnetic layer 14 described with reference to FIG. The pinned magnetic layer 3 is formed on the antiferromagnetic layer 14. Alternatively, the antiferromagnetic layer 4 may be formed of the three-layer film described with reference to FIG. The first antiferromagnetic layer 14 and the second antiferromagnetic layer 15 are made of an X-Mn alloy (where X is one or two of Pt, Pd, Ir, Rh, Ru, and Os). The above elements), preferably a PtMn alloy, or an X—Mn—X ′ alloy (where X ′ is Ne, Ar, Kr, Xe, Be, B, C, N, Mg, Al, Si, P, 1 of Ti, V, Cr, Fe, Co, Ni, Cu, Zn, Ga, Ge, Zr, Nb, Mo, Ag, Cd, Sn, Hf, Ta, W, Re, Au, Pb, and rare earth elements A seed or two or more elements).
[0250]
  In the present invention, it is preferable that at least a part of the interface between the first antiferromagnetic layer 14 and the pinned magnetic layer 3 is in an inconsistent state. The second antiferromagnetic layer 15 is made of an antiferromagnetic material having an ideal composition that easily transforms from an irregular lattice to a regular lattice by heat treatment. The composition ratio of the element X or the element X + X ′ constituting the first antiferromagnetic layer 14 and the second antiferromagnetic layer 15, the film thickness of each layer, and the like are the same as those described in FIG. .
[0251]
  In addition to the above method, the antiferromagnetic layer 4 is formed by using the same target and changing the sputtering gas pressure to gradually change the atomic% of the element X or the element X + X ′ in the film thickness direction. You may form by the method of making it.
[0252]
  After the antiferromagnetic layer 4 is formed, heat treatment is performed. By the heat treatment, the second antiferromagnetic layer 15 is appropriately transformed from an irregular lattice to a regular lattice, and composition diffusion occurs between the first antiferromagnetic layer 14 and the second antiferromagnetic layer 15. Thus, the transformation from the irregular lattice to the regular lattice is appropriately performed also in the portion of the first antiferromagnetic layer 14.
[0253]
  The ratio of atomic% of element X or element X + X ′ after heat treatment to Mn increases toward the pinned magnetic layer 3 side, and the crystal structure of at least a part of the antiferromagnetic layer 4 is CuAu—I type. It is preferable that at least a part of the interface with the pinned magnetic layer 3 is in a non-aligned state. In addition, at least part of the interface, the pinned magnetic layer 3 and the antiferromagnetic layer 4 may have different lattice constants, or the pinned magnetic layer 3 and the antiferromagnetic layer 4 may have different crystal orientations.
[0254]
  Further, when the antiferromagnetic layer 4 is formed by the three-layer film shown in FIG. 4 before heat treatment, or the composition ratio of the element X or the element X + X ′ is gradually decreased from each interface to the center in the film thickness direction. When the ferromagnetic layer 4 is formed, the antiferromagnetic layer 4 has a ratio of atomic% of element X to Mn from the intermediate region in the film thickness direction toward the pinned magnetic layer 3 side by performing heat treatment. There are an increasing region and a region in which the ratio of atomic% of element X to Mn increases from the intermediate region toward the base layer 6. The crystal structure of at least a part of the antiferromagnetic layer 4 is a CuAu-I type face centered tetragonal regular lattice, and preferably at least a part of the interface with the pinned magnetic layer 3 is in an inconsistent state. Alternatively, at least a part of the interface has a configuration in which both lattice constants or crystal orientations are different.
[0255]
  As shown in FIG. 7, exchange bias layers 16 and 16 (antiferromagnetic layers) are formed on the free magnetic layer 1 with an interval of the track width Tw in the track width direction.
[0256]
  The exchange bias layer 16 is made of an X—Mn alloy (where X is one or more elements selected from Pt, Pd, Ir, Rh, Ru, and Os), preferably a PtMn alloy, or X-Mn-X 'alloy (where X' is Ne, Ar, Kr, Xe, Be, B, C, N, Mg, Al, Si, P, Ti, V, Cr, Fe, Co, Ni, Cu , Zn, Ga, Ge, Zr, Nb, Mo, Ag, Cd, Sn, Hf, Ta, W, Re, Au, Pb, and rare earth elements are one or more elements. ing.
[0257]
  In order to form the exchange bias layer 16, first, the first antiferromagnetic layer 14 is formed on the free magnetic layer 1, and the second antiferromagnetic layer 15 is further formed on the first antiferromagnetic layer 14. Form. The first antiferromagnetic layer 14 and the second antiferromagnetic layer 15 are the same as those shown in FIG. 2, that is, the first antiferromagnetic layer 14 is the second antiferromagnetic layer 15. The composition ratio of the element X or the element X + X ′ is made larger, and the second antiferromagnetic layer 15 is formed of an antiferromagnetic material close to an ideal composition that easily transforms from an irregular lattice to a regular lattice by heat treatment. ing.
[0258]
  Then, by applying heat treatment, the exchange bias layer 16 is appropriately transformed from an irregular lattice to a regular lattice without being restricted by the crystal structure of the pinned magnetic layer 3 at the interface with the free magnetic layer 1. An exchange coupling magnetic field is generated at the interface between the exchange bias layer 16 and the free magnetic layer 1.
[0259]
  The ratio of the atomic% of the element X or the element X + X ′ of the exchange bias layer 16 to Mn after the heat treatment has a region that increases toward the free magnetic layer 1, and at least a part of the exchange bias layer 16. The crystal structure is a CuAu-I type face centered tetragonal regular lattice, and preferably at least a part of the interface with the free magnetic layer 1 is in an inconsistent state.
[0260]
  The exchange bias layer 16 may be formed of the three-layer film described with reference to FIG. In this case, the exchange bias layer 16 is subjected to heat treatment so that the ratio of atomic% of element X to Mn increases from the intermediate region in the film thickness direction toward the free magnetic layer 1 side, and the intermediate There is a region where the ratio of atomic% of element X to Mn increases from the region toward the surface opposite to the free magnetic layer 1. The crystal structure of at least a part of the exchange bias layer 16 is a CuAu-I type face centered tetragonal regular lattice, and preferably at least part of the interface with the free magnetic layer 1 is in an inconsistent state, or At least part of the interface has a different lattice constant or crystal orientation.
[0261]
  At both ends of the free magnetic layer 1, a single magnetic domain is formed in the X direction in the figure by an exchange coupling magnetic field between the exchange bias layers 16, and the magnetization in the track width Tw region of the free magnetic layer 1 reacts to an external magnetic field. To the extent that it fits, it is aligned in the X direction in the figure.
[0262]
  In the single spin valve magnetoresistive element thus formed, the magnetization in the track width Tw region of the free magnetic layer 1 changes from the X direction to the Y direction in the drawing by an external magnetic field in the Y direction in the drawing. The electrical resistance changes depending on the relationship between the change in the magnetization direction in the free magnetic layer 1 and the fixed magnetization direction (Y direction in the figure) of the fixed magnetic layer 3, and the voltage change based on the change in the electrical resistance value A leakage magnetic field from the recording medium is detected.
[0263]
  Further, the seed layer 22 described with reference to FIGS. 4 and 5 can be used for the single spin valve magnetoresistive element shown in FIG.
[0264]
  In this case, the seed layer 22 is used between the antiferromagnetic layer 4 and the underlayer 6. The seed layer 22 has a crystal structure mainly composed of face-centered cubic crystals, and the (111) plane is preferentially oriented in a direction parallel to the interface with the antiferromagnetic layer 4. By using the seed layer 22, the crystal orientation from the antiferromagnetic layer 4 to the free magnetic layer 1 is preferentially oriented in the (111) plane, and the crystal grain size is increased. Therefore, the resistance change rate can be improved.
[0265]
  The material of the seed layer 22 and the configuration of the antiferromagnetic layer 4 are the same as those described with reference to FIGS.
  The seed layer 22 may be provided on the exchange bias layer 16.
[0266]
  FIG. 8 shows a shape in which the single spin valve magnetoresistive effect element shown in FIG. 7 is reversely stacked.
[0267]
  As shown in FIG. 8, exchange bias layers 16 and 16 are formed on both sides in the track width direction (X direction shown in the figure). Between the exchange bias layers 16 and 16, for example, SiO 22And Al2O3The insulating layer 17 is made of an insulating material such as.
[0268]
  A free magnetic layer 1 is formed on the exchange bias layer 16 and the insulating layer 17. ThisExampleThe exchange bias layer 16 is formed in a laminated structure of the first antiferromagnetic layer 14 and the second antiferromagnetic layer 15 in the film formation stage (before heat treatment).
[0269]
  That is, first, after forming the second antiferromagnetic layer 15, the first antiferromagnetic layer 14 is formed on the second antiferromagnetic layer 15, and the first and second antiferromagnetic layers 14 are formed. , 15 is removed by etching or the like to form exchange bias layers 16, 16. The gap between the exchange bias layers 16 is filled with an insulating layer 17, and then the free magnetic layer 1 is formed on the exchange bias layer 16 and the insulating layer 17. Form. The first antiferromagnetic layer 14 constituting the exchange bias layer 16 is made larger than the composition ratio of the element X or the element X + X ′ of the second antiferromagnetic layer 15 and the second antiferromagnetic layer. The layer 15 is formed of an antiferromagnetic material having an ideal composition that easily transforms from an irregular lattice to a regular lattice by heat treatment. The composition ratio and film thickness of the element X or the element X + X ′ of the first antiferromagnetic layer 14 and the second antiferromagnetic layer 15 are the same as those described in FIG.
[0270]
  After the film formation up to the free magnetic layer 1, heat treatment is performed. At the interface with the free magnetic layer 1 by the heat treatment, the exchange bias layer 16 is appropriately transformed from an irregular lattice to a regular lattice without being constrained by the crystal structure of the free magnetic layer 1, and the exchange bias layer 16. And an exchange coupling magnetic field is generated between the free magnetic layers 1. There is a region where the ratio of the element X or the element X + X ′ of the exchange bias layer 16 after the heat treatment to the atomic% of Mn increases toward the free magnetic layer 1, and at least a part of the exchange bias layer 16. The crystal structure is a CuAu-I type face-centered tetragonal regular lattice, and preferably at least a part of the interface with the free magnetic layer 1 is in an inconsistent state. Both end portions of the free magnetic layer 1 are made into a single magnetic domain in the X direction in the figure by the exchange coupling magnetic field, and the magnetization in the track width Tw region of the free magnetic layer 1 reacts to an external magnetic field in the X direction. It is aligned to suitability. The exchange bias layer 16 may be formed of a three-layer film in the same manner as the antiferromagnetic layer 4 described with reference to FIG. In this case, by performing heat treatment, the exchange bias layer 16 is a region in which the ratio of atomic% of element X or element X + X ′ to Mn increases from the intermediate region in the film thickness direction toward the free magnetic layer 1 side. In addition, there is a region in which the ratio of atomic% of element X to Mn increases from the intermediate region toward the surface opposite to the free magnetic layer 1. The crystal structure of at least a part of the exchange bias layer 16 is a CuAu-I type face centered tetragonal regular lattice, and preferably at least part of the interface with the free magnetic layer 1 is in an inconsistent state, or At least part of the interface has a different lattice constant or crystal orientation.
[0271]
  Thereafter, a nonmagnetic intermediate layer 2, a pinned magnetic layer 3, an antiferromagnetic layer 4 and a protective layer 7 are laminated on the free magnetic layer 1.
[0272]
  In the present invention, a first antiferromagnetic layer 14 is formed on the pinned magnetic layer 3 and a second antiferromagnetic layer 14 is formed on the first antiferromagnetic layer 14 in the film formation stage (before heat treatment). The magnetic layer 15 is formed. In the film formation step, the first antiferromagnetic layer 14 has a composition ratio of the element X or the element X + X ′ larger than that of the second antiferromagnetic layer 15, and preferably the interface with the pinned magnetic layer 3. At least a part of the second antiferromagnetic layer 15 is in an incommensurate state, and the second antiferromagnetic layer 15 is formed of an antiferromagnetic material having an ideal composition that is easily transformed from an irregular lattice to a regular lattice by heat treatment. ing.
[0273]
  After the first antiferromagnetic layer 14 and the second antiferromagnetic layer 15 are formed, heat treatment is performed. By performing the heat treatment, the antiferromagnetic layer 4 is appropriately transformed from an irregular lattice to a regular lattice at the interface with the pinned magnetic layer 3 without being restricted by the crystal structure or the like of the pinned magnetic layer 3. An exchange coupling magnetic field is generated at the interface between the antiferromagnetic layer 4 and the pinned magnetic layer 3. The magnetization of the fixed magnetic layer 3 is fixed in the Y direction in the figure by the exchange coupling magnetic field.
[0274]
  In the present invention, when the heat treatment is performed, the antiferromagnetic layer 4 is not constrained by the crystal structure or the like of the pinned magnetic layer 3 at the interface between the antiferromagnetic layer 4 and the pinned magnetic layer 3. Is formed with an ideal composition that easily transforms from an irregular lattice to a regular lattice, the exchange coupling magnetic field generated between the antiferromagnetic layer 4 and the pinned magnetic layer 3 is larger than the conventional one. Specifically, 7.9 × 104(A / m) or more can be expected. Further, the antiferromagnetic layer 4 may be formed as a three-layer film in the film formation stage similarly to the antiferromagnetic layer 4 shown in FIG. 4, and in this case, the antiferromagnetic layer 4 is formed by performing heat treatment. Includes a region in which the ratio of atomic% of element X to Mn increases from the intermediate region in the film thickness direction toward the pinned magnetic layer 3 side, and an element X relative to Mn from the intermediate region toward the protective layer 7 side. There is a region where the ratio of atomic percent of increases. The crystal structure of at least a part of the antiferromagnetic layer 4 is a CuAu-I type face centered tetragonal regular lattice, and preferably at least a part of the interface with the pinned magnetic layer 3 is in an inconsistent state. Alternatively, at least a part of the interface has a configuration in which both lattice constants or crystal orientations are different.
[0275]
  NaokoExampleThe seed layer 22 can also be used in FIG. The seed layer 22 is formed between the antiferromagnetic layer 4 and the protective layer 7. The exchange coupling magnetic field can be increased by forming the seed layer 22. The material of the seed layer 22 and the configuration of the antiferromagnetic layer 4 are the same as those described with reference to FIGS.
[0276]
  The seed layer 22 is preferably formed below the exchange bias layer 16 as shown in FIG. By forming the seed layer 22, the crystal orientation of the exchange bias layer 16 can be adjusted, and an appropriate exchange coupling magnetic field can be generated with the free magnetic layer 1.
[0277]
  FIG. 9 is a cross-sectional view showing the structure of a dual spin valve magnetoresistive element.
  As shown in FIG. 9, the underlayer 6, the antiferromagnetic layer 4, the pinned magnetic layer 3, the nonmagnetic intermediate layer 2, and the free magnetic layer 1 are successively stacked from below. Further, a nonmagnetic intermediate layer 2, a pinned magnetic layer 3, an antiferromagnetic layer 4, and a protective layer 7 are successively stacked on the free magnetic layer 1.
[0278]
  Further, hard bias layers 5 and 5 and conductive layers 8 and 8 are laminated on both sides of the multilayer film from the base layer 6 to the protective layer 7. Each layer is formed of the same material as that described with reference to FIGS.
[0279]
  The manufacturing method will be described with reference to FIG. In the film formation stage, the two antiferromagnetic layers 4 and 4 are formed into a two-layer structure of a first antiferromagnetic layer 14 and a second antiferromagnetic layer 15. The first antiferromagnetic layer 14 is formed in contact with the pinned magnetic layer 3, and the second antiferromagnetic layer 15 is formed in contact with the first antiferromagnetic layer 14. The first antiferromagnetic layer 14 and the second antiferromagnetic layer 15 are formed of the X-Mn alloy or the X-Mn-X 'alloy described above.
[0280]
  In the film formation stage, the first antiferromagnetic layer 14 is made larger than the composition ratio of the element X or the element X + X ′ of the second antiferromagnetic layer 15, and preferably at least part of the interface with the pinned magnetic layer 3. The second antiferromagnetic layer is made of an antiferromagnetic material close to an ideal composition that easily transforms from an irregular lattice to a regular lattice by heat treatment. The composition ratio of the element X or the element X + X ′ of the first antiferromagnetic layer 14 and the second antiferromagnetic layer 15 and the film thickness of each antiferromagnetic layer are the same as those described with reference to FIG.
[0281]
  After film formation, heat treatment is performed. By the heat treatment, the antiferromagnetic layer 4 is appropriately transformed from an irregular lattice to a regular lattice without being restricted by the crystal structure or the like of the pinned magnetic layer 3 at the interface with the pinned magnetic layer 3. The magnetization of the pinned magnetic layer 3 is pinned in the Y direction in the figure by the exchange coupling magnetic field generated by the above.
[0282]
  In the present invention, a first antiferromagnetic layer 14 formed of an appropriate composition that does not receive a binding force such as a crystal structure of the pinned magnetic layer 3 at the interface with the pinned magnetic layer 3 in the film formation stage; Since the second antiferromagnetic layer 15 having an ideal composition for transforming from an irregular lattice to a regular lattice is formed by heat treatment, a non-matched state is formed between the pinned magnetic layer 3 and the heat treatment. The transformation from the irregular lattice to the regular lattice is appropriately performed while maintaining it, so that it is possible to obtain a larger exchange coupling magnetic field than the conventional one. According to the present invention, 7.9 × 104An exchange coupling magnetic field of (A / m) or more can be expected.
[0283]
  The state after the heat treatment is shown in FIG. In the antiferromagnetic layer 4 shown in FIG. 11, there is a region in which the ratio of the atomic% of the element X or the element X + X ′ to Mn increases toward the pinned magnetic layer 3. At least a part of the crystal structure is a CuAu-I type face-centered tetragonal regular lattice, and preferably at least a part of the interface with the pinned magnetic layer 3 is in an inconsistent state. Note that it is preferable that at least a part of the interface has different lattice constants or crystal orientations of the antiferromagnetic layer 4 and the pinned magnetic layer 3 from the viewpoint of maintaining a non-aligned state.
[0284]
  The reason why the ratio of atomic% of element X or element X + X ′ to Mn increases in the antiferromagnetic layer 4 toward the pinned magnetic layer 3 as described above is that This is because the layer 4 is formed by laminating the first antiferromagnetic layer 14 and the second antiferromagnetic layer 15 having a large atomic% of the element X or the element X + X ′. That is, the first antiferromagnetic layer 14 and the second antiferromagnetic layer 15 undergo compositional diffusion by heat treatment, but the antiferromagnetic layer 4 does not have a uniform composition, and the first antiferromagnetic layer 4 does not have a uniform composition. The portion that was the magnetic layer 14 still has a portion where the composition ratio of the element X or the element X + X ′ is larger than that of the portion that was the second antiferromagnetic layer 15, and the element X or the element X + X ′ with respect to Mn. Looking at the atomic% ratio, there is a region where the ratio increases toward the pinned magnetic layer 3.
[0285]
  In the antiferromagnetic layer 4, there is a region near the interface with the pinned magnetic layer 3 where the composition ratio of the element X or the element X + X ′ of the antiferromagnetic layer 4 decreases toward the pinned magnetic layer 3. It is thought to do. This is because composition diffusion occurs between the antiferromagnetic layer 4 and the pinned magnetic layer 3 by heat treatment. Similarly, the composition diffusion also occurs between the antiferromagnetic layer 4 and the underlayer 6 or the protective layer 7, and also in the vicinity of the interface with the underlayer 6 or the interface with the protective layer 7. It is considered that there is a region where the composition ratio of the element X or the element X + X ′ of the antiferromagnetic layer 4 decreases toward the interface.
[0286]
  The composition ratio of the element X or the element X + X ′ at the interface between the antiferromagnetic layer 4 and the pinned magnetic layer 3 or the surface opposite to the interface, or the film thickness of the antiferromagnetic layer 4 is shown in FIG. Same as described.
[0287]
  MakoExampleIn this case, the seed layer 22 can be formed. The manufacturing method is shown in FIG. That is, as shown in FIG. 12, the seed layer 22 is formed on the underlayer 6, and the antiferromagnetic layer 4 composed of a three-layer film is further formed on the seed layer 22. The film structure on the antiferromagnetic layer 4 is the same as that shown in FIG.
[0288]
  In the antiferromagnetic layer 4 formed on the seed layer 22, the layer on the seed layer 22 side is a third antiferromagnetic layer 25, and the layer on the fixed magnetic layer 3 side is a first antiferromagnetic layer 23. A layer sandwiched between the first and third antiferromagnetic layers 23 and 25 is a second antiferromagnetic layer 24.
[0289]
  As described with reference to FIG. 4, the first to third antiferromagnetic layers are all formed of an X—Mn alloy or an X—Mn—X ′ alloy, and the elements of the second antiferromagnetic layer 24 are further formed. The composition ratio of X or element X + X ′ is made smaller than the composition ratio of element X or element X + X ′ in the other two layers. Further, by adjusting the composition ratio as described above, at least a part of the interface between the seed layer 22 and the third antiferromagnetic layer 25 can be brought into an unaligned state, and similarly, the pinned magnetic layer 3 and the first antiferromagnetic layer 25 are made inconsistent. At least a part of the interface with the ferromagnetic layer 23 can be in an inconsistent state. In addition, the lattice constants of both of the interfaces may be different from each other.
[0290]
  In the seed layer 22, the (111) plane of face-centered cubic crystals is preferentially oriented in a direction parallel to the interface with the pinned magnetic layer 3. The (111) plane is oriented in a direction parallel to the interface. The seed layer 22 is made of the same material as that shown in FIG. 4, but the seed layer 22 is preferably made of a non-magnetic high resistivity material.
[0291]
  As shown in FIG. 12, the antiferromagnetic layer 4 formed on the upper side of the free magnetic layer 1 is formed of a two-layer film. This is exactly the same as the configuration described in FIG. However, the antiferromagnetic layer 4 formed on the upper side of the free magnetic layer 1 in the figure may be formed of a three-layer film in the same manner as the antiferromagnetic layer 1 formed on the lower side of the free magnetic layer 1 in the figure. .
[0292]
  FIG. 13 is a schematic view of a dual spin-valve magnetoresistive element showing a state after heat treatment.
[0293]
  When the heat treatment is performed, the second antiferromagnetic layer 24 of the antiferromagnetic layer 4 below the free magnetic layer 1 and the antiferromagnetic layer above the free magnetic layer 1 which are easier to promote regularization in terms of composition. 4 and the second antiferromagnetic layer 15 begin to be ordered together, and the other antiferromagnetic layers begin to transform while being kept in a non-matched state due to the composition diffusion by the heat treatment. It becomes possible to obtain.
[0294]
  Further, due to the above-described composition diffusion, the antiferromagnetic layer 4 below the free magnetic layer 1 has an atomic% with respect to Mn of the element X or the element X + X ′ toward the pinned magnetic layer 3 side and the seed layer 22. There is a region in which the ratio of the antiferromagnetic layer 4 increases, at least part of the crystal structure of the antiferromagnetic layer 4 is composed of CuAu-I type face-centered tetragonal crystal, and the (111) plane is preferentially oriented on the film surface, In other words, at least a part of the interface between the seed layer 22 and the pinned magnetic layer 3 is not aligned.
[0295]
  On the other hand, the antiferromagnetic layer 4 above the free magnetic layer 1 has a region in which the ratio of atomic% of the element X or the element X + X ′ to Mn increases toward the pinned magnetic layer 3 side. At least a part of the crystal structure of the magnetic layer 4 is composed of a CuAu-I type face-centered tetragonal crystal, and more preferably, at least a part of the interface with the pinned magnetic layer 3 is in an inconsistent state. The crystal orientation of the antiferromagnetic layer 4 formed above the free magnetic layer 1 is preferentially oriented with the (111) plane in the film plane.
[0296]
  In the antiferromagnetic layer 4 below the free magnetic layer 1, it is considered that composition diffusion occurs at the interface with the seed layer 22 and the interface with the fixed magnetic layer 3, and therefore, in the vicinity of the interface with the seed layer 22, and In the vicinity of the interface with the pinned magnetic layer 3, there is a region where the atomic% of the element X or the element X + X ′ of the antiferromagnetic layer 4 decreases toward the respective interfaces. The presence of this region means that the antiferromagnetic layer 4 has appropriately transformed into ordering at the interface between the seed layer 22 and the pinned magnetic layer 3, and a large exchange coupling magnetic field can be obtained. It becomes.
[0297]
  On the other hand, the antiferromagnetic layer 4 formed on the upper side of the free magnetic layer 1 is considered to cause compositional diffusion at the interface with the pinned magnetic layer 3, and therefore near the interface with the pinned magnetic layer 3. There is a region in which the atomic% of the element X or the element X + X ′ of the antiferromagnetic layer 4 decreases as it goes. Further, there is a possibility that composition diffusion occurs between the protective layer 7 made of Ta or the like. Thus, when composition diffusion occurs between the protective layer 7 and the antiferromagnetic layer 4, the element X or the element X + X ′ approaches the protective layer 7 in the vicinity of the interface with the protective layer 7. There is a region where the atomic percent of the decrease.
[0298]
  With the formation of the seed layer 22, the crystal orientation of each layer from the antiferromagnetic layer 4 below the free magnetic layer 1 to the antiferromagnetic layer 4 above the free magnetic layer 1 is such that the (111) plane is the film surface Preferential orientation occurs, and the crystal grain size increases. A larger exchange coupling magnetic field and resistance change rate can be obtained than in the prior art.
[0299]
  The seed layer 22 is formed between the antiferromagnetic layer 4 below the free magnetic layer 1 and the underlayer 6 as shown in FIGS. 12 and 13 to improve the resistance change rate. It can be promoted and effective. The seed layer 22 may be formed between the antiferromagnetic layer 4 and the protective layer 7 above the free magnetic layer 1.
[0300]
  14 and 15 are cross-sectional views showing the structure of the AMR magnetoresistive element of the present invention.
  As shown in FIG. 14, a soft magnetic layer (SAL layer) 18, a nonmagnetic layer (SHUNT layer) 19, and a magnetoresistive layer (MR layer) 20 are sequentially stacked from the bottom.
[0301]
  For example, the soft magnetic layer 18 is made of an Fe—Ni—Nb alloy, the nonmagnetic layer 19 is made of a Ta film, and the magnetoresistive layer 20 is made of a NiFe alloy.
[0302]
  On the magnetoresistive layer 20, exchange bias layers (antiferromagnetic layers) 21 and 21 are formed on both sides in the track width direction (X direction) with the track width Tw opened. Although not shown, the conductive layer is formed on the exchange bias layers 21 and 21, for example.
[0303]
  Further, in FIG. 15, a pair of exchange bias layers 21 and 21 are formed with an interval of the track width Tw in the track width direction (X direction in the drawing), and the gap between the exchange bias layers 21 and 21 is made of SiO.2And Al2O3It is filled with an insulating layer 26 formed of an insulating material such as.
[0304]
  A magnetoresistive layer (MR layer) 20, a nonmagnetic layer (SHUNT layer) 19, and a soft magnetic layer (SAL layer) 18 are stacked on the exchange bias layers 21 and 21 and the insulating layer 26.
[0305]
  Regarding the manufacturing method, the exchange bias layers 21 and 21 are formed in a two-layer structure of a first antiferromagnetic layer 14 and a second antiferromagnetic layer 15 in a film formation stage (before heat treatment).
[0306]
  A first antiferromagnetic layer 14 is formed on the side in contact with the magnetoresistive layer 20, and a second antiferromagnetic layer 15 is formed on the magnetoresistive layer 20 via the first antiferromagnetic element 14. .
[0307]
  As in the case described with reference to FIG. 2, the first antiferromagnetic layer 14 is made larger than the composition ratio of the element X or the element X + X ′ of the second antiferromagnetic layer 15. At least a part of the interface with the layer 20 is in an incommensurate state, and the second antiferromagnetic layer 15 has an antiferromagnetism close to an ideal composition that is easily transformed from an irregular lattice to a regular lattice by heat treatment. It is made of material. Note that the composition ratio of the element X or the element X + X ′ of the first antiferromagnetic layer 14 and the second antiferromagnetic layer 15 and the film thickness of each antiferromagnetic layer are the same as those described in FIG. is there.
[0308]
  By performing heat treatment, the exchange bias layers 21 and 21 are appropriately transformed from an irregular lattice to a regular lattice while maintaining an inconsistent state at the interface with the magnetoresistive layer 20, and the exchange bias layer 21 and the magnetoresistive layer 21 are magnetoresistive. An exchange coupling magnetic field is generated at the interface with the layer 20.
[0309]
  In the present invention, the first antiferromagnetic layer 14 formed with a composition that does not receive constraints on the crystal structure or the like of the magnetoresistive layer 20 at the interface with the magnetoresistive layer 20 in the film formation stage, Since the second antiferromagnetic layer 15 formed with an ideal composition for transforming from a regular lattice to a regular lattice is formed, it is appropriate to maintain a non-matching state with the magnetoresistive layer 20 by heat treatment. Thus, the transformation from the irregular lattice to the regular lattice is performed, so that it is possible to obtain a larger exchange coupling magnetic field than the conventional one. According to the present invention, 7.9 × 104An exchange coupling magnetic field of (A / m) or more can be expected.
[0310]
  Further, the exchange bias layer 21 may be formed of a three-layer film in the film formation stage as in FIG. A first antiferromagnetic layer 23 is formed on the magnetoresistive layer 20 side, and a second antiferromagnetic layer 24 and a third antiferromagnetic layer 25 are stacked on the first antiferromagnetic layer 23. Form. At this time, the composition ratio of the element X or the element X + X ′ of the second antiferromagnetic layer 24 is made smaller than the composition ratio of the element X or the element X + X ′ of the first and third antiferromagnetic layers 23 and 25. Preferably, at least a part of the interface between the first antiferromagnetic layer 23 and the magnetoresistive layer 20 is in an unmatched state, or the lattice constants or crystal orientations of both are made different at least at a part of the interface.
[0311]
  When the exchange bias layer 21 thus formed is subjected to a heat treatment, the second antiferromagnetic layer 24 undergoes regular transformation, and then the first and third antiferromagnetic layers 23 are formed by composition diffusion. , 25 also causes a rule transformation. The exchange bias layer 21 after the heat treatment includes a region in which the ratio of atomic% of element X to Mn increases from the intermediate region in the film thickness direction toward the magnetoresistive layer 20 side, and the magnetoresistive resistor from the intermediate region. There is a region where the ratio of atomic% of element X or element X + X ′ to Mn increases toward the side opposite to layer 20.
[0312]
  The composition, film thickness, etc. of the first to third antiferromagnetic layers 23, 24, 25 are the same as those described in FIG. 4, and the composition, film thickness, etc. of the exchange bias layer 21 after heat treatment are the same. This is the same as the antiferromagnetic layer 4 shown in FIG.
[0313]
  MakoExampleThe seed layer 22 can also be used in FIG. The seed layer 22 is particularly effective when used in the case of FIG. That is, when the exchange bias layers 21 and 21 are formed below the magnetoresistive layer 20, the seed layer 22 is formed below the exchange bias layer 21. Note that the seed layer 22 may also be used in the case of FIG. In this case, a seed layer 22 is formed on the exchange bias layer 21. By forming the seed layer 22, the resistance change rate can be improved. The crystal structure and material of the seed layer 22 and the material, composition and film thickness of the exchange bias layer 21 are the same as those shown in FIGS.
[0314]
  In the AMR element shown in FIGS. 14 and 15, the E region of the magnetoresistive layer 20 shown in FIGS. 14 and 15 is caused by the exchange coupling magnetic field generated at the interface between the exchange bias layers 21 and 21 and the magnetoresistive layer 20. , A single magnetic domain is formed in the X direction. Induced by this, the magnetization of the D region of the magnetoresistive layer 20 is aligned in the X direction in the figure. Further, a current magnetic field generated when the detection current flows through the magnetoresistive layer 20 is applied to the soft magnetic layer 18 in the Y direction, and the magnetostatic coupling energy provided by the soft magnetic layer 18 causes the D region of the magnetoresistive layer 20 to enter the D region. A lateral bias magnetic field is applied in the Y direction. When this lateral bias layer is applied to the D region of the magnetoresistive layer 20 that is single-domained in the X direction, the resistance change with respect to the magnetic field change in the D region of the magnetoresistive layer 20 (magnetoresistance effect characteristics: HR effect characteristics) ) Is set to have a linearity.
[0315]
  The moving direction of the recording medium is the Z direction. When a leakage magnetic field is applied in the Y direction in the figure, the resistance value of the D region of the magnetoresistive layer 20 changes, and this is detected as a voltage change.
[0316]
  FIG. 16 is a cross-sectional view of the structure of the read head in which the magnetoresistive effect element shown in FIGS. 1 to 11 is formed, as viewed from the surface facing the recording medium.
[0317]
  Reference numeral 40 denotes a lower shield layer formed of, for example, a NiFe alloy, and a lower gap layer 41 is formed on the lower shield layer 40. A magnetoresistive effect element 42 shown in FIGS. 1 to 15 is formed on the lower gap layer 41, and an upper gap layer 43 is formed on the magnetoresistive effect element 42. On the gap layer 43, an upper shield layer 44 made of a NiFe alloy or the like is formed.
[0318]
  The lower gap layer 41 and the upper gap layer 43 are made of, for example, SiO.2And Al2O3It is made of an insulating material such as (alumina). As shown in FIG. 16, the length from the lower gap layer 41 to the upper gap layer 43 is the gap length Gl. The smaller the gap length Gl, the higher the recording density can be accommodated.
[0319]
  In the present invention, as described above, even if the film thickness of the antiferromagnetic layer 4 is reduced, a large exchange coupling magnetic field can be generated. Therefore, the film thickness of the magnetoresistive effect element can be made smaller than before, and it is possible to manufacture a thin film magnetic head that can cope with high recording density by narrowing the gap.
[0320]
【Example】
  In the present invention, first, a laminated film having the following film structure is formed, and in the film formation stage (before heat treatment), the antiferromagnetic layer 4 is divided into two layers (first antiferromagnetic layers) having different composition ratios as in FIG. When formed with a ferromagnetic layer 14 and a second antiferromagnetic layer 15 (referenceExample) and a sample of the antiferromagnetic layer 30 formed as a single layer as shown in FIG. 20 (comparative example), and the exchange coupling magnetic field when each sample was subjected to heat treatment under the same conditions. (Hex) and the rate of change in resistance (ΔMR) were measured. The heat treatment was performed at 200 ° C. or higher for 2 hours or longer.
[0321]
(referenceExample 1)
  As the film configuration, from below,
Underlayer 6: Ta (50) / Free magnetic layer 1: [Ni80Fe20(45) / Co (5)] / nonmagnetic intermediate layer 2: Cu (25) / pinned magnetic layer 3: [Co (20) / Ru (8) / Co (15)] / first antiferromagnetic layer 14: Pt58Mn42(10) / Second antiferromagnetic layer: Pt50Mn50(110) / Protective layer 7: Ta (30)
[0322]
(Comparative Example 1)
Underlayer 6: Ta (50) / Free magnetic layer 1: [Ni80Fe20(45) / Co (5)] / nonmagnetic intermediate layer 2: Cu (25) / pinned magnetic layer 3: [Co (20) / Ru (8) / Co (15)] / antiferromagnetic layer 30: Pt58Mn42(120) / Protective layer 7: Ta (30)
[0323]
(Comparative Example 2)
Underlayer 6: Ta (50) / Free magnetic layer 1: [Ni80Fe20(45) / Co (5)] / nonmagnetic intermediate layer 2: Cu (25) / pinned magnetic layer 3: [Co (20) / Ru (8) / Co (15)] / antiferromagnetic layer 30: Pt46Mn54(120) / Protective layer 7: Ta (30)
[0324]
(Comparative Example 3)
Underlayer 6: Ta (50) / Free magnetic layer 1: [Ni80Fe20(45) / Co (5)] / nonmagnetic intermediate layer 2: Cu (25) / pinned magnetic layer 3: [Co (20) / Ru (8) / Co (15)] / antiferromagnetic layer 30: Pt50Mn50(120) / Protective layer 7: Ta (30)
[0325]
(Comparative Example 4)
Underlayer 6: Ta (50) / Free magnetic layer 1: [Ni80Fe20(45) / Co (5)] / nonmagnetic intermediate layer 2: Cu (25) / pinned magnetic layer 3: [Co (20) / Ru (8) / Co (15)] / antiferromagnetic layer 30: Pt52Mn48(120) / Protective layer 7: Ta (30)
[0326]
  In addition, the numerical value in the said parenthesis represents a film thickness, and a unit is angstrom. The subscript values of the NiFe alloy and the PtMn alloy indicate the composition ratio and are at%.
[0327]
  As described above, in each sample, layers other than the antiferromagnetic layer are formed in the same layer configuration. The film thicknesses of the antiferromagnetic layers were all the same 120 mm (referenceIn the case of Example 1, the total thickness of the first antiferromagnetic layer 14 and the second antiferromagnetic layer 15).
[0328]
[Table 1]
Figure 0003670929
[0329]
  Table 1 shows the experimental results after heat treatment of each sample. As shown in the [Interface with ferromagnetic layer] column,referenceIn Example 1 and Comparative Example 1, the interface state at the interface with the pinned magnetic layer 3 is very strong non-matching, whereas in Comparative Examples 2 and 3, it is likely to be in a matching state. In Comparative Example 4, the non-matching state is not so strong.
[0330]
  In order to make the interface structure in an inconsistent state, it is necessary to increase the amount of Pt in the PtMn alloy.referenceIn Example 1 and Comparative Example 1, the Pt amount of the antiferromagnetic layer in contact with the interface with the pinned magnetic layer is 58 (at%), whereas in Comparative Examples 2, 3, and 4, the Pt amount is smaller than that. Therefore, the above results were obtained.
[0331]
  Next, when looking at the [Exchange coupling magnetic field (Hex)] column,referenceIn Example 1, 17.4 × 104While a very large exchange coupling magnetic field (A / m) was produced, in Comparative Examples 1 and 2, the exchange coupling magnetic field was extremely small. Comparative Examples 3 and 4 produce a larger exchange coupling magnetic field than Comparative Examples 1 and 2,referenceLess than Example 1.
[0332]
  In order to generate a large exchange coupling magnetic field, first, the antiferromagnetic layer needs to be formed of a PtMn alloy close to an ideal composition ratio that easily transforms from an irregular lattice to a regular lattice when heat treatment is performed. . The ideal composition ratio is Pt50Mn50It is.
[0333]
  However, it is not only necessary to form an ideal composition ratio that is easy to transform, but it is also important that the interface with the pinned magnetic layer is in an inconsistent state. If they are matched, the transformation of the antiferromagnetic layer is constrained by the crystal structure of the pinned magnetic layer during heat treatment, and an appropriate transformation cannot be performed.
[0334]
  The above two conditions are metreferenceExample 1 only. That is, the interface between the first antiferromagnetic layer and the pinned magnetic layer is kept in an inconsistent state in the film formation stage (before heat treatment), and the second antiferromagnetic layer is formed with an ideal composition. is there. On the other hand, in Comparative Example 1, although the interface with the pinned magnetic layer is kept in an inconsistent state, the amount of Pt is too large to deviate from the ideal composition, and even when heat treatment is performed, it is difficult to become antiferromagnetic. In Comparative Example 2, the interface of the pinned magnetic layer is in an aligned state, and the Pt amount is too small to deviate from the ideal composition. In Comparative Example 3, although formed with an ideal composition, the interface with the pinned magnetic layer is matched, and even when heat treatment is performed, transformation from an irregular lattice to an ordered lattice is less likely to occur. Comparative Example 4 is close to the ideal composition, and the interface with the pinned magnetic layer is also relatively non-matched. Therefore, the largest exchange coupling magnetic field is generated in the comparative examples.referenceCompared to Example 1, the amount of Pt is large, and the non-matching state is weak.referenceCompared to Example 1, it is smaller.
[0335]
  In the present invention, the first antiferromagnetic layer 14 formed with a composition that tends to be in an inconsistent state is formed on the interface side with the pinned magnetic layer in the film forming stage, and the first antiferromagnetic layer 14 is formed on the pinned magnetic layer. Since the second antiferromagnetic layer 15 formed with an ideal composition is formed via the ferromagnetic layer 14, even if heat treatment is performed, the irregular lattice can be appropriately formed from the irregular lattice while maintaining the non-matched state. The transformation to the lattice occurred, and a large exchange coupling magnetic field was successfully obtained as compared with the comparative example. Also see the [Rate of change of resistance] columnreferenceIt can be seen that Example 1 is larger than the comparative example.
[0336]
  Next, in the present invention, the relationship between the total film thickness of the antiferromagnetic layer and the exchange coupling magnetic field (Hex) was examined (FIG. 17). There are the following two samples at the film formation stage (before heat treatment) prepared for the experiment,referenceThe film configuration of Example 2 is the same as FIG. 2, and the film configuration of Comparative Example 5 is the same as FIG.
[0337]
(referenceExample 2)
  As the film configuration, from below,
Underlayer 6: Ta (50) / Free magnetic layer 1: [Ni80Fe20(45) / Co (5)] / nonmagnetic intermediate layer 2: Cu (25) / pinned magnetic layer 3: [Co (20) / Ru (8) / Co (15)] / first antiferromagnetic layer 14: Pt58Mn42(10) / Second antiferromagnetic layer: Pt50Mn50(X-10) / Protective layer 7: Ta (30)
[0338]
(Comparative Example 5)
Underlayer 6: Ta (50) / Free magnetic layer 1: [Ni80Fe20(45) / Co (5)] / nonmagnetic intermediate layer 2: Cu (25) / pinned magnetic layer 3: [Co (20) / Ru (8) / Co (15)] / antiferromagnetic layer 30: Pt52Mn48(X) / Protective layer 7: Ta (30)
[0339]
  In addition, the numerical value in the said parenthesis represents a film thickness, and a unit is angstrom. The subscript values of the NiFe alloy and the PtMn alloy indicate the composition ratio and are at%.
[0340]
  referenceIn Example 2, as shown in the above film configuration, the thickness of the first antiferromagnetic layer 14 is fixed at 10 mm, and the thickness of the second antiferromagnetic layer 15 is increased or decreased.
[0341]
  After heat-treating each of the above samples, the magnitude of the exchange coupling magnetic field (Hex) was measured. As shown in FIG. 17, the larger the total film thickness of the PtMn alloy,referenceIt can be seen that in both Example 1 and Comparative Example 5, the exchange coupling magnetic field increases.
[0342]
  referenceIn the case of the example, when the total film thickness of the PtMn alloy is increased, in other words, when the film thickness of the second antiferromagnetic layer 15 is increased, the exchange coupling magnetic field is rapidly increased as compared with Comparative Example 5. When it becomes larger and the total film thickness becomes 80 mm or more, 7.9 × 104It can be seen that an exchange coupling magnetic field of (A / m) or more can be obtained.
[0343]
  On the other hand, in Comparative Example 5, when the film thickness of the antiferromagnetic layer 30 is about 120 mm or more, an exchange coupling magnetic field of 7.9 × 104 (A / m) or more is generated.referenceIn order to obtain the same exchange coupling magnetic field as in Example 2, the film thickness of the antiferromagnetic layer 30 is set toreferenceIt can be seen that it must be larger than in Example 2.
[0344]
  By the way, from this experiment,referenceAs in Example 2, when the antiferromagnetic layer 4 is composed of two layers of the first antiferromagnetic layer 14 and the second antiferromagnetic layer 15 in the film formation stage, an irregular lattice is formed when heat treatment is performed. It can be seen that the second antiferromagnetic layer 15 made of an antiferromagnetic material close to the ideal composition that easily transforms into a regular lattice must be formed with a predetermined thickness or more.
[0345]
  In the present invention, based on the experimental results shown in FIG. 17, if the total thickness of the antiferromagnetic layer is 80 mm or more, it is 7.9 × 10.4It can be seen that an exchange coupling magnetic field of (A / m) or more can be obtained. At this time, since the film thickness of the first antiferromagnetic layer 14 is 10 mm, the film thickness of the second antiferromagnetic layer 15 is set to 70 mm. This is defined above.
[0346]
  Next, in the present invention, the first antiferromagnetic layer in the case where the antiferromagnetic layer is composed of two layers of the first antiferromagnetic layer 14 and the second antiferromagnetic layer 15 in the film formation stage (before heat treatment). The relationship between the thickness of the magnetic layer and the exchange coupling magnetic field (Hex) was examined (FIG. 18). The film configuration of the sample prepared for the experiment is the same as in FIG.
[0347]
(referenceExample 3)
  As the film configuration, from below,
Underlayer 6: Ta (50) / Free magnetic layer 1: [Ni80Fe20(45) / Co (5)] / nonmagnetic intermediate layer 2: Cu (25) / pinned magnetic layer 3: [Co (20) / Ru (8) / Co (15)] / first antiferromagnetic layer 14: Pt58Mn42(X) / second antiferromagnetic layer: Pt50Mn50(120-X) / Protective layer 7: Ta (30)
[0348]
  In addition, the numerical value in the said parenthesis represents a film thickness, and a unit is angstrom. The subscript values of the NiFe alloy and the PtMn alloy indicate the composition ratio and are at%.
[0349]
  A plurality of samples having different thicknesses of the first antiferromagnetic layer 14 were prepared, and each sample was subjected to a heat treatment to measure the magnitude of the exchange coupling magnetic field (Hex). As shown in FIG. 18, when the film thickness X of the first antiferromagnetic layer 14 is in the range of 3 to 30 mm, the exchange coupling magnetic field is 7.9 × 10.4It turns out that it becomes more than (A / m).
[0350]
  The first antiferromagnetic layer 14 has a large amount of Pt in order to maintain an inconsistent state at the interface with the pinned magnetic layer 3.referenceIn the example, it is 58 (at%). This composition can be said to be a good composition for maintaining an incommensurate state, but on the other hand, it is difficult to transform from an irregular lattice to a regular lattice by heat treatment, and antiferromagnetism is difficult to take on. For this reason, if the thickness of the first antiferromagnetic layer 14 becomes too thick, it is considered that there are many regions that are difficult to transform, and as can be seen from the experimental results shown in FIG. Invite.
[0351]
  On the other hand, when the first antiferromagnetic layer 14 is set to 3 to 30 mm, the exchange coupling magnetic field can be increased because the first antiferromagnetic layer 14 and the first antiferromagnetic layer 14 easily undergo transformation. It is considered that composition diffusion occurs between the two antiferromagnetic layers 15 and this composition diffusion occurs over almost the entire area of the first antiferromagnetic layer 14 within the above-mentioned film thickness range. Due to this compositional diffusion, it is considered that the amount of Pt in the region of the first antiferromagnetic layer 14 is smaller than that in the film formation stage, regular transformation is likely to occur, and a large exchange coupling magnetic field is generated.
[0352]
  In this way, in order to generate a large exchange coupling magnetic field in the present invention, as described with reference to FIG. 17, it is formed of an antiferromagnetic material close to an ideal composition that easily transforms from an irregular lattice to a regular lattice by heat treatment. The second antiferromagnetic layer 15 is formed with a thickness of 70 mm or more, and as described with reference to FIG. 18, the first Pt amount is increased in order to maintain a mismatched state at the interface with the pinned magnetic layer in the film formation stage. It is necessary to form the antiferromagnetic layer 14 of 3 to 30 mm.
[0353]
  As a result, if the thickness of the first antiferromagnetic layer 14 is 3 mm and the thickness of the second antiferromagnetic layer 15 is 70 mm, the exchange coupling magnetic field is 7.9 × 10 6.4The total film thickness of the antiferromagnetic layer 4 at this time is 73 mm. In the present invention, based on this experimental result, the film thickness of the antiferromagnetic layer 4 after the heat treatment is set to 73 mm or more.
[0354]
  As described above, in the present invention, since the film thickness of the antiferromagnetic layer 4 should be 73 mm or more, the film thickness of the antiferromagnetic layer can be reduced as compared with the conventional one, and the gap is narrowed. Can do.
[0355]
  Next, in the present invention, the first antiferromagnetic layer in the case where the antiferromagnetic layer is composed of two layers of the first antiferromagnetic layer 14 and the second antiferromagnetic layer 15 in the film formation stage (before heat treatment). The relationship between the composition ratio of the magnetic layer and the exchange coupling magnetic field (Hex) was examined (FIG. 19). The film configuration of the sample prepared for the experiment is the same as in FIG.
[0356]
(referenceExample 4)
  As the film configuration, from below,
Underlayer 6: Ta (50) / Free magnetic layer 1: [Ni80Fe20(45) / Co (5)] / nonmagnetic intermediate layer 2: Cu (25) / pinned magnetic layer 3: [Co (20) / Ru (8) / Co (15)] / first antiferromagnetic layer 14: Pt(X)Mn(100-X)(10) / Second antiferromagnetic layer: Pt50Mn50(120-X) / Protective layer 7: Ta (30)
[0357]
  In addition, the numerical value in the said parenthesis represents a film thickness, and a unit is angstrom. The subscript values of the NiFe alloy and the PtMn alloy indicate the composition ratio and are at%.
[0358]
  A plurality of samples having different composition ratios of the first antiferromagnetic layer 14 were prepared, and each sample was subjected to heat treatment to measure the magnitude of the exchange coupling magnetic field (Hex). The heat treatment was performed at 200 ° C. or higher for 2 hours or longer. As shown in FIG. 19, when the amount of Pt of the first antiferromagnetic layer 14 is in the range of 53 at% to 65 at%, the exchange coupling magnetic field is 7.9 × 10 6.4It turns out that it becomes more than (A / m).
[0359]
  The reason why a large exchange coupling magnetic field can be generated when the amount of Pt of the first antiferromagnetic layer 14 is in the range of 53 at% to 65 at% is that the first antiferromagnetic layer 14 and the fixed magnetism are in the above range. This is because the interface with the layer 3 can be appropriately brought into a mismatched state.
[0360]
  However, it can be seen that the exchange coupling magnetic field decreases when the Pt amount exceeds 65 at% or more. This is because when such a large amount of Pt is contained, even if composition diffusion occurs between the first antiferromagnetic layer 14 and the second antiferromagnetic layer 15 by the heat treatment, the composition diffusion causes the first. It is considered that the amount of Pt in the region of one antiferromagnetic layer 14 does not decrease enough to cause transformation, and therefore the exchange coupling magnetic field decreases.
[0361]
  It can also be seen that if the amount of Pt is 55 (at%) or more and 60 (at%) or less, a larger exchange coupling magnetic field can be obtained. Specifically, 11.85 × 104An exchange coupling magnetic field of (A / m) or more can be obtained. If the amount of Pt is smaller than 53 at%, the lattice constant of the antiferromagnetic layer 4 approaches the lattice constant of the pinned magnetic layer 3, so that the interface is hardly brought into a mismatched state, and the exchange coupling magnetic field becomes small.
[0362]
  Next, in the present invention, a sample in which the antiferromagnetic layer 4 is formed by another method in the film formation stage (before heat treatment) is prepared (referenceExample 5) The exchange coupling magnetic field (Hex) generated when the sample was heat-treated was measured.
[0363]
  The material and film thickness of each layer other than the antiferromagnetic layer 4 are as described above.referenceSame as Examples 1-3. In this experiment, when forming the antiferromagnetic layer 4 on the pinned magnetic layer 3, a target formed of a PtMn alloy was prepared, and the sputtering gas pressure was gradually changed from a low state to a high state. An antiferromagnetic layer 4 was formed. When the composition ratio in the film thickness direction of the antiferromagnetic layer 4 was measured, Pt was found near the interface with the pinned magnetic layer 3.58Mn42The amount of Pt gradually decreases as the distance from the interface increases, and Pt near the surface opposite to the interface48Mn52It was.
[0364]
  As Comparative Example 5, the composition of the entire antiferromagnetic layer 30 is Pt.52Mn48A laminated film made of was formed. The material and film thickness of each layer other than the antiferromagnetic layer 30 are the same as those in Comparative Examples 1 to 4.
[0365]
  abovereferenceAfter each sample of Example 5 and Comparative Example 5 was formed, heat treatment was performed and the exchange coupling magnetic field was measured. The experimental results are shown in Table 2. The heat treatment was performed at 200 ° C. or higher for 2 hours or longer.
[0366]
[Table 2]
Figure 0003670929
[0367]
  As shown in the [Interface with ferromagnetic layer] column in Table 2,referenceIn the case of Example 5, the interface structure between the antiferromagnetic layer 4 and the pinned magnetic layer 3 is strongly in a mismatched state. In the case of Comparative Example 5, the interface structure is likely to be in a mismatched state.referenceCompared to the case of Example 5, it is weaker.
  The resistance change rate (ΔMR)referenceThere is no significant difference between Example 5 and Comparative Example 5.
[0368]
  referenceThe major difference between Example 5 and Comparative Example 5 isreferenceThe exchange coupling magnetic field (Hex) in Example 5 is about twice the exchange coupling magnetic field of Comparative Example 5.
[0369]
  in this wayreferenceIn Example 5, a large exchange coupling magnetic field can be exhibited because the composition ratio of the antiferromagnetic layer 4 is Pt near the interface with the pinned magnetic layer.58Mn42The amount of Pt is increased, the non-alignment state is appropriately maintained at the interface, and the composition is modulated with respect to the film thickness direction, so that it is ideally transformed from an irregular lattice to a regular lattice by heat treatment. The region close to the composition occupies most of the film, and thus the reason is considered to be that the appropriate transformation is performed.
[0370]
  Next, in the present invention, when the antiferromagnetic layer 4 in the so-called dual spin-valve magnetoresistive effect element has a laminated structure of the first antiferromagnetic layer 14 and the second antiferromagnetic layer 15 in the film formation stage (referenceThe exchange coupling magnetic field (Hex) was measured for Example 6) and when the antiferromagnetic layer was formed as a single layer (Comparative Example 6).
[0371]
(referenceExample 6)
  As the film configuration, from below,
Second antiferromagnetic layer 15: Pt50Mn50(83) / first antiferromagnetic layer 14: Pt58Mn42(7) / Pinned magnetic layer 3: [Co (15) / Ru (8) / Co (20)] / Nonmagnetic intermediate layer 2: Cu (22) / Free magnetic layer 1: Co (20) / Nonmagnetic intermediate Layer 2: Cu (22) / Pinned magnetic layer 3: [Co (20) / Ru (8) / Co (15)] / First antiferromagnetic layer 14: Pt58Mn42(7) / Second antiferromagnetic layer: Pt50Mn50(83) / Protective layer 7: Ta (10)
[0372]
(Comparative Example 6)
  As the film configuration, from below,
Antiferromagnetic layer 30: Pt50Mn50(90) / pinned magnetic layer 3: [Co (15) / Ru (8) / Co (20)] / nonmagnetic intermediate layer 2: Cu (22) / free magnetic layer 1: Co (20) / nonmagnetic intermediate Layer 2: Cu (22) / Pinned magnetic layer 3: [Co (20) / Ru (8) / Co (15)] / Antiferromagnetic layer 30: Pt50Mn50(90) / Protective layer 7: Ta (10)
[0373]
  In addition, the numerical value in the said parenthesis represents a film thickness, and a unit is angstrom. The subscript values of the NiFe alloy and the PtMn alloy indicate the composition ratio and are at%.
[0374]
  abovereferenceAfter the samples of Example 6 and Comparative Example 6 were formed, heat treatment was performed and the exchange coupling magnetic field was measured. The experimental results are shown in Table 3. The heat treatment was performed at 200 ° C. or higher for 2 hours or longer.
[0375]
[Table 3]
Figure 0003670929
[0376]
  As shown in the [Interface with ferromagnetic layer] column in Table 3,referenceIn the case of Example 6, the interface structure between the antiferromagnetic layer 4 and the pinned magnetic layer 3 has a strong non-matching state. In the case of Comparative Example 6, the interface structure tends to be in a non-matching state.referenceCompared to the case of Example 6, it is weaker.
  The resistance change rate (ΔMR)referenceThere is not much difference between Example 6 and Comparative Example 6.
[0377]
  referenceThe major difference between Example 6 and Comparative Example 6 isreferenceThe exchange coupling magnetic field (Hex) in Example 6 is much larger than that in Comparative Example 6.
[0378]
  in this wayreferenceIn Example 6, a large exchange coupling magnetic field can be exhibited because the interface with the pinned magnetic layer is first brought into an unmatched state by the formation of the first antiferromagnetic layer 14 and the pinned magnetic layer 3 The second antiferromagnetic layer 15 having an ideal composition that easily transforms from an irregular lattice to a regular lattice is formed by heat treatment via the one antiferromagnetic layer 14, and thus maintains a non-matched state by heat treatment. The reason is considered to be that the appropriate transformation is performed.
[0379]
  Next, in the present invention, four types of laminated films using the seed layer 22 described with reference to FIG. 4 are formed, and a sample in which the interface with the seed layer 22 is in an inconsistent state (Example)1,2) Are prepared, and the remaining two types of samples (Comparative Examples 7 and 8) are exchange coupled magnetic fields (when the heat treatment is performed on each sample with the interface with the seed layer 22 in an aligned state ( Hex) and rate of change in resistance (ΔMR) were measured. Example1,2The film configuration in is the same as in FIG. 4, and the film configuration in Comparative Examples 7 and 8 is the same as in FIG.
[0380]
(Example1)
  As the film configuration, from below,
Underlayer 6: Ta (50) / seed layer 22: Ni80Fe20(30) / Antiferromagnetic layer 4 [Third antiferromagnetic layer 25: Pt58Mn42(10) / Second antiferromagnetic layer 24: Pt50Mn50(100) / first antiferromagnetic layer 23: Pt58Mn42(10)] / pinned magnetic layer 3 [Co (15) / Ru (8) / Co (20)] / nonmagnetic intermediate layer 2: Cu (22) / free magnetic layer 1 [Co (5) / Ni80Fe20(45)] / Protective layer 7: Ta (30)
[0381]
(Example2)
  As the film configuration, from below,
Underlayer 6: Ta (50) / seed layer 22: Ni60Fe10Cr30(30) / Antiferromagnetic layer 4 [Third antiferromagnetic layer 25: Pt58Mn42(10) / Second antiferromagnetic layer 24: Pt50Mn50(100) / first antiferromagnetic layer 23: Pt58Mn42(10)] / pinned magnetic layer 3 [Co (15) / Ru (8) / Co (20)] / nonmagnetic intermediate layer 2: Cu (22) / free magnetic layer 1 [Co (5) / Ni80Fe20(45)] / Protective layer 7: Ta (30)
[0382]
(Comparative Example 7)
  As the film configuration, from below,
Underlayer 6: Ta (50) / seed layer 22: Ni80Fe20(30) / Antiferromagnetic layer 31: Pt50Mn50(120) / Pinned magnetic layer 3 [Co (15) / Ru (8) / Co (20)] / Nonmagnetic intermediate layer 2: Cu (22) / Free magnetic layer 1 [Co (5) / Ni80Fe20(45)] / Protective layer 7: Ta (30)
[0383]
(Comparative Example 8)
  As the film configuration, from below,
Underlayer 6: Ta (50) / seed layer 22: Ni60Fe10Cr30(30) / Antiferromagnetic layer 31: Pt50Mn50(120) / Pinned magnetic layer 3 [Co (15) / Ru (8) / Co (20)] / Nonmagnetic intermediate layer 2: Cu (22) / Free magnetic layer 1 [Co (5) / Ni80Fe20(45)] / Protective layer 7: Ta (30)
[0384]
  In addition, the numerical value in the said parenthesis represents a film thickness, and a unit is angstrom. The subscript values of the NiFe alloy and the PtMn alloy indicate the composition ratio and are at%.
[0385]
  After forming each sample formed with the above film configuration, heat treatment was performed to measure the exchange coupling magnetic field (Hex), the resistance change rate (ΔMR), and the like. The experimental results are shown in Table 4. The heat treatment was performed at 200 ° C. or higher for 2 hours or longer.
[0386]
[Table 4]
Figure 0003670929
[0387]
  As shown in Table 4, first, in the “Role of seed layer” column,1,2The seed layers 22 in the present invention are mainly composed of a face-centered cubic structure, and the (111) plane is preferentially oriented in a direction parallel to the interface. Therefore, the layers from the antiferromagnetic layer to the free magnetic layer 1 formed on the seed layer 22 are also preferentially oriented in the (111) plane in the interface direction, and the crystal grain size is increased. For this reason, as shown in Table 4, it is possible to obtain a large resistance change rate in each sample.
[0388]
  Examples1Compared to the example2The resistance change rate is larger in the case of Comparative Example 8, and the resistance change rate is higher in Comparative Example 8 than in Comparative Example 7.1In Comparative Example 7, the seed layer 22 is Ni.80Fe20The specific resistance of the seed layer 22 is low because it is made of an alloy made of2In Comparative Example 8, the seed layer 22 is Ni.60Fe10Cr30This is because the specific resistance of the seed layer 22 is high because of the nonmagnetic composition with Cr added.
[0389]
  Example1In the comparative example 7, the sense current is shunted to the seed layer 22 due to the low specific resistance.2And in Comparative Example 8, this is not the case, so the example2And Comparative Example 8 is an example.1The resistance change rate is higher than that of Comparative Example 7.
[0390]
  Next, the exchange coupling magnetic field will be described.1,2It can be seen that this is much higher than Comparative Examples 7 and 8. This is an example1,2This is because the interface structure with the seed layer 22 and the interface structure with the pinned magnetic layer 3 are in an inconsistent state due to the presence of the third antiferromagnetic layer 25 and the first antiferromagnetic layer 23. On the other hand, in Comparative Examples 7 and 8, although the antiferromagnetic layer 31 is formed with an ideal composition that easily transforms from an irregular lattice to a regular lattice by heat treatment, the interface between the seed layer 22 and the pinned magnetic layer 3 is Due to the matching, the transformation is less likely to occur by heat treatment, and the exchange coupling magnetic field becomes small.
[0390]
  From this experimental result, the following can be said to satisfy both the resistance change rate and the exchange coupling magnetic field. That is, the seed layer 22 is formed on the surface of the antiferromagnetic layer opposite to the interface with the pinned magnetic layer 3, and the seed layer 22 is formed of a nonmagnetic material having a large specific resistance, whereby the rate of change in resistance is increased. Can be increased. Further, the antiferromagnetic layer 4 is formed as a three-layer film in the film formation stage, and the first antiferromagnetic layer 23 in contact with the pinned magnetic layer 3 and the third antiferromagnetic layer in contact with the seed layer 22 among the three-layer films. The Pt amount of the magnetic layer 25 is increased to maintain an inconsistent state at the interface between the pinned magnetic layer 3 and the seed layer 22, and is formed between the first and third antiferromagnetic layers 23 and 25. The second antiferromagnetic layer 24 is formed with an ideal composition that easily transforms from an irregular lattice to a regular lattice by heat treatment. As a result, the exchange coupling magnetic field (Hex) can be improved.
[0392]
  The range of the film thickness and composition ratio of the first and third antiferromagnetic layers 23 and 25 is 3 to 30 mm, and the Pt amount is 53 at, similar to the experimental results of FIGS. % Or more and 65 at% or less is preferable. The film thickness of the second antiferromagnetic layer 24 is preferably 70 mm or more as in the experimental results of FIG.
[0393]
【The invention's effect】
  As described above in detail, in the exchange coupling film according to the present invention, the antiferromagnetic layer includes an antiferromagnetic material containing the elements X and Mn, or an antiferromagnetic material containing the elements X, X ′ and Mn. A region where the ratio of atomic% of element X or element X + X ′ to Mn increases from the intermediate region in the film thickness direction toward the ferromagnetic layer side, and from the intermediate region to the side opposite to the ferromagnetic layer There is a region in which the ratio of atomic% of element X or element X + X ′ to Mn increases as it goes, and the crystal structure of at least a part of the antiferromagnetic layer is a CuAu—I type face-centered tetragonal regular lattice. It is characterized by this.
[0394]
  If the antiferromagnetic layer has a region causing compositional modulation and a regular lattice, the exchange coupling magnetic field of the exchange coupling film can be increased compared to the conventional case.
[0395]
  In the present invention, it is preferable that at least a part of the interface between the antiferromagnetic layer and the ferromagnetic layer is in an inconsistent state. As a result, it is possible to more appropriately promote regular transformation of the antiferromagnetic layer and obtain a large exchange coupling magnetic field.
[0396]
  In the present invention, it is preferable to provide a seed layer on the surface of the antiferromagnetic layer opposite to the ferromagnetic layer. At this time, the seed layer is formed of a nonmagnetic material having a high specific resistance, and more preferably, at least a part of the interface between the seed layer and the antiferromagnetic layer is in an unmatched state, thereby providing a large resistance change rate. And exchange coupled magnetic fields can be obtained.
[Brief description of the drawings]
[Figure 1]1st formSectional drawing which looked at the structure of the single spin valve type magnetoresistive effect element of a state from the ABS surface side,
[Figure 2]productSchematic diagram showing the structure of the layer film formation stage (before heat treatment),
FIG. 3 is a schematic diagram showing a structure of the laminated film after heat treatment is performed on the laminated film shown in FIG.
FIG. 4 is a schematic diagram showing the structure of a layered film formation stage (before heat treatment) in the present invention using a seed layer;
FIG. 5 is a schematic diagram showing a structure of the laminated film after heat treatment is performed on the laminated film shown in FIG.
[Fig. 6]Second formSectional drawing which looked at the structure of the single spin valve type magnetoresistive effect element of a state from the ABS surface side,
[Fig. 7]Third formSectional drawing which looked at the structure of the single spin valve type magnetoresistive effect element of a state from the ABS surface side,
[Fig. 8]4th formSectional drawing which looked at the structure of the single spin valve type magnetoresistive effect element of a state from the ABS surface side,
FIG. 95th formSectional drawing which looked at the structure of the dual spin valve type | mold magnetoresistive effect element of a state from the ABS surface side,
FIG. 10 is a schematic diagram showing a structure of a film formation stage of a dual spin valve type laminated film;
11 is a schematic view showing the structure of the laminated film after heat treatment is performed on the laminated film shown in FIG.
FIG. 12 is a schematic diagram showing a structure of a film formation stage of a dual spin valve type laminated film using a seed layer;
13 is a schematic diagram showing a structure of the laminated film after heat treatment is performed on the laminated film shown in FIG.
FIG. 146th formSectional drawing which looked at the structure of the AMR type magnetoresistive effect element of a state from the ABS surface side,
FIG. 15The seventh formSectional drawing which looked at the structure of the AMR type magnetoresistive effect element of a state from the ABS surface side,
FIG. 16ThinPartial sectional view showing the structure of a film magnetic head (reproducing head)
FIG. 17 shows the relationship between the total film thickness of the antiferromagnetic layer and the exchange coupling magnetic field (Hex) when the antiferromagnetic layer is formed of a first antiferromagnetic layer and a second antiferromagnetic layer. A graph showing,
FIG. 18 shows the film thickness of the first antiferromagnetic layer and the exchange coupling magnetic field (Hex) when the antiferromagnetic layer is formed of a first antiferromagnetic layer and a second antiferromagnetic layer. A graph showing the relationship between
FIG. 19 shows an antiferromagnetic layer formed of a first antiferromagnetic layer and a second antiferromagnetic layer, and the first antiferromagnetic layer is made of Pt.xMn100-xA graph showing the relationship between the Pt amount (X) and the exchange coupling magnetic field (Hex) when formed by
FIG. 20 is a schematic diagram showing the structure of a conventional single spin valve magnetoresistive element for experiment;
FIG. 21 is a schematic diagram showing a structure in which a seed layer is used for a conventional single spin-valve magnetoresistive element for experiment;
[Explanation of symbols]
1 Free magnetic layer
2 Nonmagnetic intermediate layer
3 Fixed magnetic layer
4 Antiferromagnetic layer
5 Hard bias layer
6 Underlayer
7 Protective layer
8 Conductive layer
14, 23 First antiferromagnetic layer
15, 24 Second antiferromagnetic layer
16, 21 Exchange bias layer
17, 26 Insulating layer
18 Soft magnetic layer (SAL layer)
19 Nonmagnetic layer (SHUNT layer)
20 Magnetoresistive layer (MR layer)
22 Seed layer
25 Third antiferromagnetic layer
42 Magnetoresistive element

Claims (24)

反強磁性層と強磁性層との界面に交換結合磁界が生じる交換結合膜において、
前記反強磁性層は、元素X(ただしXは、Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,Osのうち1種または2種以上の元素である)とMnとを含有する反強磁性材料で形成され、膜厚方向の中間領域から強磁性層側に向うにしたがってMnに対する元素Xの原子%の比率が増加する領域と、前記中間領域から前記強磁性層と反対側に向かうにしたがってMnに対する元素Xの原子%の比率が増加する領域とが存在し、
前記反強磁性層の、前記強磁性層との界面近傍、及び前記界面と反対側の面の近傍では、全元素の組成比を100at%としたときに、元素Xの組成比が50(at%)より大きく65(at%)以下であり、
前記反強磁性層の膜厚方向の中間には、全元素の組成比を100at%としたときに、元素Xの組成比が、44(at%)以上57(at%)以下の領域が存在し、
前記反強磁性層の少なくとも一部の結晶構造がCuAu−I型の面心正方規則格子であることを特徴とする交換結合膜。
In an exchange coupling film in which an exchange coupling magnetic field is generated at the interface between the antiferromagnetic layer and the ferromagnetic layer,
The antiferromagnetic layer is formed of an antiferromagnetic material containing element X (where X is one or more of Pt, Pd, Ir, Rh, Ru, and Os) and Mn. A region in which the ratio of atomic% of element X to Mn increases from the intermediate region in the film thickness direction toward the ferromagnetic layer, and an element relative to Mn from the intermediate region toward the opposite side of the ferromagnetic layer. A region in which the ratio of atomic% of X increases,
In the vicinity of the interface of the antiferromagnetic layer with the ferromagnetic layer and in the vicinity of the surface opposite to the interface, the composition ratio of the element X is 50 (at) when the composition ratio of all elements is 100 at%. %) To 65 (at%) or less,
In the middle of the film thickness direction of the antiferromagnetic layer, there is a region where the composition ratio of element X is 44 (at%) or more and 57 (at%) or less when the composition ratio of all elements is 100 at%. And
An exchange coupling film, wherein the crystal structure of at least a part of the antiferromagnetic layer is a CuAu-I type face centered tetragonal regular lattice.
反強磁性層と強磁性層との界面に交換結合磁界が生じる交換結合膜において、
前記反強磁性層は、元素Xと元素X′(ただしXは、Pt,Pd,Ir,Rh,Ru,Osのうち1種または2種以上の元素であり、元素X′は、Ne,Ar,Kr,Xe,Be,B,C,N,Mg,Al,Si,P,Ti,V,Cr,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Zr,Nb,Mo,Ag,Cd,Sn,Hf,Ta,W,Re,Au,Pb、及び希土類元素のうち1種または2種以上の元素である)とMnとを含有する反強磁性材料で形成され、膜厚方向の中間領域から強磁性層側に向うにしたがってMnに対する元素X+X′の原子%の比率が増加する領域と、前記中間領域から前記強磁性層と反対側に向かうにしたがってMnに対する元素X+X′の原子%の比率が増加する領域とが存在し、
前記反強磁性層の、前記強磁性層との界面近傍、及び前記界面と反対側の面の近傍では、全元素の組成比を100at%としたときに、元素X+X′の組成比が50(at%)より大きく65(at%)以下であり、
前記反強磁性層の膜厚方向の中間には、全元素の組成比を100at%としたときに、元素X+X′の組成比が、44(at%)以上57(at%)以下の領域が存在し、
前記反強磁性層の少なくとも一部の結晶構造がCuAu−I型の面心正方規則格子であることを特徴とする交換結合膜。
In an exchange coupling film in which an exchange coupling magnetic field is generated at the interface between the antiferromagnetic layer and the ferromagnetic layer,
The antiferromagnetic layer is composed of an element X and an element X ′ (where X is one or more elements among Pt, Pd, Ir, Rh, Ru, and Os, and the element X ′ is Ne, Ar , Kr, Xe, Be, B, C, N, Mg, Al, Si, P, Ti, V, Cr, Fe, Co, Ni, Cu, Zn, Ga, Ge, Zr, Nb, Mo, Ag, Cd , Sn, Hf, Ta, W, Re, Au, Pb, and rare earth elements) and an antiferromagnetic material containing Mn. The ratio of atomic% of element X + X ′ to Mn increases from the region toward the ferromagnetic layer, and the atomic% of element X + X ′ relative to Mn increases from the intermediate region toward the opposite side of the ferromagnetic layer. There is an area where the ratio increases,
In the vicinity of the interface of the antiferromagnetic layer with the ferromagnetic layer and in the vicinity of the surface opposite to the interface, when the composition ratio of all elements is 100 at%, the composition ratio of the element X + X ′ is 50 ( at%) to 65 (at%) or less,
In the middle of the film thickness direction of the antiferromagnetic layer, there is a region where the composition ratio of the element X + X ′ is 44 (at%) or more and 57 (at%) or less when the composition ratio of all elements is 100 at%. Exists,
An exchange coupling film, wherein the crystal structure of at least a part of the antiferromagnetic layer is a CuAu-I type face centered tetragonal regular lattice.
前記X―Mn―X′を含む合金は、元素XとMnとで構成される空間格子の隙間に元素X′が侵入した侵入型固溶体であり、あるいは、元素XとMnとで構成される結晶格子の格子点の一部が、元素X′に置換された置換型固溶体である請求項2記載の交換結合膜。  The alloy containing X—Mn—X ′ is an interstitial solid solution in which the element X ′ penetrates into the gaps in the space lattice composed of the elements X and Mn, or a crystal composed of the elements X and Mn. 3. The exchange coupling film according to claim 2, wherein a part of the lattice points of the lattice is a substitutional solid solution substituted with the element X ′. 前記反強磁性層における強磁性層との界面と反対側となる面に、前記界面と平行な方向に面心立方晶の(111)面が優先配向したシードレイヤが形成され、
前記反強磁性層及び強磁性層の結晶配向は、前記界面と平行な方向に(111)面が優先配向している請求項1ないし3のいずれかに記載の交換結合膜。
A seed layer in which a (111) plane of face-centered cubic crystals is preferentially oriented in a direction parallel to the interface is formed on a surface opposite to the interface with the ferromagnetic layer in the antiferromagnetic layer,
4. The exchange coupling film according to claim 1, wherein a crystal orientation of the antiferromagnetic layer and the ferromagnetic layer is such that a (111) plane is preferentially oriented in a direction parallel to the interface. 5.
前記反強磁性層とシードレイヤとの界面の少なくとも一部で前記反強磁性層の格子定数とシードレイヤの格子定数とが異なっている請求項4記載の交換結合膜。  The exchange coupling film according to claim 4, wherein the lattice constant of the antiferromagnetic layer and the lattice constant of the seed layer are different at least at a part of the interface between the antiferromagnetic layer and the seed layer. 前記シードレイヤと反強磁性層との界面の少なくとも一部は非整合状態である請求項4または5記載の交換結合膜。  6. The exchange coupling film according to claim 4, wherein at least a part of the interface between the seed layer and the antiferromagnetic layer is in an inconsistent state. 前記シードレイヤは、NiFe合金、あるいはNi−Fe−Y合金(ただしYは、Cr,Rh,Ta,Hf,Nb,Zr,Tiから選ばれる1種または2種以上)で形成される請求項4ないし6のいずれかに記載の交換結合膜。  5. The seed layer is formed of a NiFe alloy or a Ni—Fe—Y alloy (where Y is one or more selected from Cr, Rh, Ta, Hf, Nb, Zr, and Ti). 7. The exchange coupling membrane according to any one of 6 to 6. 前記シードレイヤは非磁性である請求項4ないし6のいずれかに記載の交換結合膜。  The exchange coupling film according to claim 4, wherein the seed layer is nonmagnetic. 前記交換結合膜は、下地層上に、シードレイヤ、反強磁性層、及び強磁性層の順に積層され、前記下地層は、Ta,Hf,Nb,Zr,Ti,Mo,Wのうち1種または2種以上の元素で形成されている請求項4ないし7のいずれかに記載の交換結合膜。  The exchange coupling film is laminated on the underlayer in the order of a seed layer, an antiferromagnetic layer, and a ferromagnetic layer, and the underlayer is one of Ta, Hf, Nb, Zr, Ti, Mo, and W. Or the exchange coupling film | membrane in any one of Claim 4 thru | or 7 formed with 2 or more types of elements. 前記反強磁性層における前記強磁性層との界面の反対側の面には、Ta,Hf,Nb,Zr,Ti,Mo,Wのうち1種または2種以上の元素で形成された層が形成されている請求項1ないし3のいずれかに記載の交換結合膜。  A layer formed of one or more elements of Ta, Hf, Nb, Zr, Ti, Mo, and W is formed on the surface of the antiferromagnetic layer opposite to the interface with the ferromagnetic layer. The exchange coupling membrane according to any one of claims 1 to 3, wherein the exchange coupling membrane is formed. 前記反強磁性層の膜厚方向の中央付近よりも前記界面と反対側の面寄りに前記界面と平行な第1の仮想境界を設定し、前記強磁性層寄りに前記界面と平行な第2の仮想境界を設定したときに、
前記反対側の面から前記第1の仮想境界までの第1の領域、及び前記強磁性層との界面から前記第2の仮想境界までの第3の領域は、前記第1及び第2の仮想境界間の第2の領域に比べて、前記比率が大きく、前記第1の仮想境界を挟む領域で前記第2の領域から第1の領域に向けて、また前記第2の仮想境界を挟む領域では前記第2の領域から第3の領域に向けて、前記比率が連続的にあるいは不連続的に増大する請求項1ないし10のいずれかに記載の交換結合膜。
A first virtual boundary parallel to the interface is set closer to the surface opposite to the interface than the vicinity of the center in the thickness direction of the antiferromagnetic layer, and a second parallel to the interface is set closer to the ferromagnetic layer. When setting the virtual boundary of
The first region from the opposite surface to the first virtual boundary, and the third region from the interface with the ferromagnetic layer to the second virtual boundary are the first and second virtual boundaries. The ratio is larger than the second area between the boundaries, and the area that sandwiches the first virtual boundary from the second area toward the first area and that sandwiches the second virtual boundary The exchange coupling film according to claim 1, wherein the ratio increases continuously or discontinuously from the second region to the third region.
前記反強磁性層には、膜厚方向の中間の所定領域から前記強磁性層との界面に向けて、および前記中間の領域から前記界面と反対側の面に向けて、前記元素Xあるいは元素X+X′の原子%が増大する領域が存在する請求項1ないし11のいずれかに記載の交換結合膜。  The antiferromagnetic layer includes the element X or the element from the intermediate predetermined region in the film thickness direction toward the interface with the ferromagnetic layer and from the intermediate region toward the surface opposite to the interface. The exchange coupling film according to claim 1, wherein there is a region in which atomic percent of X + X ′ increases. 前記反強磁性層には、前記強磁性層との界面に向けて、および前記界面と反対側の面に向けて、前記元素Xあるいは元素X+X′の原子%が減少する領域がそれぞれ存在する請求項1ないし12のいずれかに記載の交換結合膜。  The antiferromagnetic layer has a region in which atomic% of the element X or the element X + X ′ decreases toward an interface with the ferromagnetic layer and toward a surface opposite to the interface. Item 13. The exchange coupling membrane according to any one of Items 1 to 12. 前記反強磁性層の、前記強磁性層との界面近傍、及び前記界面と反対側の面の近傍での全元素の組成比を100at%としたときに、元素Xあるいは元素X+X′の組成比が50(at%)よりも大きく60(at%)以下である請求項1ないし13のいずれかに記載の交換結合膜。 The composition ratio of element X or element X + X ′ when the composition ratio of all elements in the vicinity of the interface with the ferromagnetic layer and in the vicinity of the surface opposite to the interface of the antiferromagnetic layer is 100 at%. The exchange coupling membrane according to any one of claims 1 to 13 , wherein is greater than 50 (at%) and not more than 60 (at%). 前記反強磁性層の膜厚方向の中間での全元素の組成比を100at%としたときに、元素Xあるいは元素X+X′の組成比が、46(at%)以上55(at%)以下である請求項1ないし14のいずれかに記載の交換結合膜。 When the composition ratio of all elements in the middle of the thickness direction of the antiferromagnetic layer is 100 at%, the composition ratio of the element X or the element X + X ′ is 46 (at%) or more and 55 (at%) or less. The exchange coupling membrane according to any one of claims 1 to 14 . 前記反強磁性層の膜厚は76Å以上である請求項1ないし15のいずれかに記載の交換結合膜。Exchange coupling film according to any one of the antiferromagnetic layer of thickness claims 1 is at least 76 Å 15. 前記反強磁性層と前記強磁性層との界面の少なくとも一部で前記反強磁性層の格子定数と強磁性層の格子定数とが異なっている請求項1ないし16のいずれかに記載の交換結合膜。The exchange according to any one of claims 1 to 16 , wherein a lattice constant of the antiferromagnetic layer and a lattice constant of the ferromagnetic layer are different at least at a part of the interface between the antiferromagnetic layer and the ferromagnetic layer. Binding membrane. 前記反強磁性層と前記強磁性層との界面の少なくとも一部で前記反強磁性層の結晶配向と強磁性層の結晶配向が異なっている請求項1、2、3、10のいずれかに記載の交換結合膜。  The crystal orientation of the antiferromagnetic layer and the crystal orientation of the ferromagnetic layer are different at least at a part of the interface between the antiferromagnetic layer and the ferromagnetic layer. The exchange coupling membrane as described. 前記反強磁性層と前記強磁性層との界面の少なくとも一部が非整合状態である請求項1ないし18のいずれかに記載の交換結合膜。Exchange coupling film according to any one of to at least a portion of the interface between the antiferromagnetic layer and the ferromagnetic layer claims 1 is a non-aligned state 18. 反強磁性層と、この反強磁性層と接して形成され、前記反強磁性層との交換異方性磁界により磁化方向が固定される固定磁性層と、前記固定磁性層に非磁性中間層を介して形成されたフリー磁性層と、前記フリー磁性層の磁化方向を前記固定磁性層の磁化方向と交叉する方向へ揃えるバイアス層とを有する磁気抵抗効果素子において、
前記反強磁性層とこの反強磁性層と接して形成された固定磁性層とが、請求項1ないし請求項19のいずれかに記載された交換結合膜により形成されることを特徴とする磁気抵抗効果素子。
An antiferromagnetic layer, a pinned magnetic layer formed in contact with the antiferromagnetic layer and pinned in a magnetization direction by an exchange anisotropic magnetic field with the antiferromagnetic layer, and a nonmagnetic intermediate layer on the pinned magnetic layer In a magnetoresistive effect element having a free magnetic layer formed through a bias layer that aligns the magnetization direction of the free magnetic layer in a direction crossing the magnetization direction of the pinned magnetic layer,
The magnetic layer, wherein the antiferromagnetic layer and the pinned magnetic layer formed in contact with the antiferromagnetic layer are formed by the exchange coupling film according to any one of claims 1 to 19. Resistive effect element.
反強磁性層と、この反強磁性層と接して形成され、前記反強磁性層との交換異方性磁界により磁化方向が固定される固定磁性層と、前記固定磁性層に非磁性中間層を介して形成されたフリー磁性層とを有し、前記フリー磁性層の上側または下側に、トラック幅方向に間隔を空けて反強磁性のエクスチェンジバイアス層が形成された磁気抵抗効果素子において、
前記エクスチェンジバイアス層とフリー磁性層とが、請求項1ないし請求項19のいずれかに記載された交換結合膜により形成されることを特徴とする磁気抵抗効果素子。
An antiferromagnetic layer, a pinned magnetic layer formed in contact with the antiferromagnetic layer and pinned in a magnetization direction by an exchange anisotropic magnetic field with the antiferromagnetic layer, and a nonmagnetic intermediate layer on the pinned magnetic layer A magnetoresistive effect element in which an antiferromagnetic exchange bias layer is formed on the upper side or the lower side of the free magnetic layer with an interval in the track width direction.
20. The magnetoresistive element according to claim 1, wherein the exchange bias layer and the free magnetic layer are formed of the exchange coupling film according to any one of claims 1 to 19 .
フリー磁性層の上下に積層された非磁性中間層と、一方の前記非磁性中間層の上および他方の非磁性中間層の下に位置する固定磁性層と、一方の前記固定磁性層の上および他方の固定磁性層の下に位置して、交換異方性磁界によりそれぞれの固定磁性層の磁化方向を一定の方向に固定する反強磁性層と、前記フリー磁性層の磁化方向を前記固定磁性層の磁化方向と交叉する方向に揃えるバイアス層とを有する磁気抵抗効果素子において、
前記フリー磁性層よりも下側及び/または上側に形成された前記反強磁性層とこの反強磁性層と接して形成された固定磁性層とが、請求項1ないし請求項19のいずれかに記載された交換結合膜により形成されることを特徴とする磁気抵抗効果素子。
A nonmagnetic intermediate layer stacked above and below a free magnetic layer; a pinned magnetic layer positioned above one of the nonmagnetic intermediate layers and under the other nonmagnetic intermediate layer; and one of the fixed magnetic layers and An antiferromagnetic layer that is positioned below the other pinned magnetic layer and pinns the magnetization direction of each pinned magnetic layer in a fixed direction by an exchange anisotropic magnetic field, and the magnetization direction of the free magnetic layer is the pinned magnetic layer. In a magnetoresistive effect element having a bias layer aligned in a direction crossing the magnetization direction of the layer,
The antiferromagnetic layer formed below and / or above the free magnetic layer and the pinned magnetic layer formed in contact with the antiferromagnetic layer according to any one of claims 1 to 19 A magnetoresistive effect element formed by the exchange coupling film described.
非磁性層を介して重ねられた磁気抵抗層と軟磁性層とを有し、前記磁気抵抗層の上側あるいは下側にトラック幅方向へ間隔を空けて反強磁性層が形成された磁気抵抗効果素子において、
前記反強磁性層と磁気抵抗層とが、請求項1ないし請求項19のいずれかに記載された交換結合膜により形成されることを特徴とする磁気抵抗効果素子。
A magnetoresistive effect comprising a magnetoresistive layer and a soft magnetic layer stacked via a nonmagnetic layer, and an antiferromagnetic layer formed on the upper or lower side of the magnetoresistive layer with an interval in the track width direction. In the element
20. The magnetoresistive element according to claim 1, wherein the antiferromagnetic layer and the magnetoresistive layer are formed of the exchange coupling film according to any one of claims 1 to 19 .
請求項20ないし23のいずれかに記載された磁気抵抗効果素子の上下にギャップ層を介してシールド層が形成されていることを特徴とする薄膜磁気ヘッド。Thin-film magnetic head is characterized in that the shield layer with the gap layer and below the magnetoresistive effect element according to any one of claims 20 to 23 is formed.
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