JP3670158B2 - 難燃性硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物および硬質ポリウレタンフォームの製造方法に関し、詳しくは、オゾン層破壊係数の低いハイドロフルオロカーボンを含有しながら難燃性の高い硬質ポリウレタンフォームが製造可能であり且つ取り扱いの容易な硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物およびハイドロフルオロカーボンを含有しながら難燃性の高い硬質ポリウレタンフォームを容易に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
硬質ポリウレタンフォームは、断熱性や自己接着性が良好な点から、住宅、冷凍倉庫等に幅広く活用されている。しかし、従来から硬質ポリウレタンフォームに使用されていたフロン−11等のクロロフルオロカーボン(以下、「CFC」ということもある)は、化学的に安定な性質を有することから、大気に放出されたCFCがそのまま成層圏に達し、そこで分解されてオゾン層を破壊する現象を引き起こすことが問題となっていた。このためCFCは全廃となり、CFCの代替として分子中に水素を含むハイドロクロロフルオロカーボン(以下、「HCFC」ということもある)が使用されているが、これらHCFCもCFCの1/10程度のオゾン層破壊係数を有しており2004年には全廃が決定している。
【0003】
HCFCの代替としては、分子中に塩素を含まないハイドロフルオロカーボン(以下「HFC」ということもある)が提案されているが、HFCが塩素を分子中に持たないため、これを用いると硬質ポリウレタンフォームの難燃性が低下するという問題や、硬質ポリウレタンフォーム原料のポリオール成分へのHFCの溶解度が低く、プレミックスした状態で温度の上昇や外部からの衝撃によってHFCが泡となって容器から吹き出す(以下、「沸き」ということもある)現象が発生することが問題であった。特に、この沸き現象の発生は、硬質ポリウレタンフォーム原料成分を原液の状態で現場まで運んで行き、これを現場で混合発泡するといった現場発泡に於いては大きな問題となっている。
【0004】
沸きの現象は、原料ポリオールに対するHFCの溶解度と密接な関係を持っているが、特に硬質ポリウレタンフォームに難燃性を与えるポリエステルポリオールに対しては、HFCはほとんど溶解性を示さない。よってHFCを用いる場合には、上記の様に難燃性向上を目的としてポリエステルポリオールを増量する方法が使えないことから、難燃剤を増加させなければならないが、難燃剤の増加は硬質ポリウレタンフォーム強度低下の原因となる。また、硬質ポリウレタンフォームのうちでも、JIS−A−1321に合格出来るような非常に難燃性の高いイソシアヌレート変性硬質ポリウレタンフォームについては、ポリエステルポリオールの添加量が多いためにHFCがポリオール成分から分離するといった現象を起こしてしまい問題であった。
【0005】
しかしながら、HCFCの全廃は決定事項であり、また近年防災の見地から硬質ポリウレタンフォームにより高い難燃性が求められていることも確かである。そこで、HFCを含有しながら難燃性の高い硬質ポリウレタンフォーム、およびこれを製造するための硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物の開発が望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記観点からなされたものであり、オゾン層破壊係数の低いハイドロフルオロカーボンを含有しながら難燃性の高い硬質ポリウレタンフォームが製造可能であり且つ取り扱いの容易な硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物およびハイドロフルオロカーボンを含有しながら難燃性の高い硬質ポリウレタンフォームを容易に製造する方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために、硬質ポリウレタンフォームの原料ポリオール成分について鋭意研究を重ねた結果、従来より難燃性の高いことで知られるポリエステルポリオールを、炭素数6以上でありかつエーテル結合を有するジオールとジカルボン酸とがエステル結合した構造を有するポリエステルポリオールとして、原料ポリオール成分に特定量配合することにより、原料ポリオール成分へのHFCの溶解度を飛躍的に増大することが可能となり、さらに、製造時および運搬時における沸きの発生が無く、得られる硬質ポリウレタンフォームは難燃性に優れることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、以下のとおりである。
【0008】
(1)発泡剤及びポリヒドロキシ化合物を含むポリオール成分と、ポリイソシアネート成分とからなる硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物であって、前記ポリヒドロキシ化合物が、炭素数6以上でありかつエーテル結合を有するジオールと、ジカルボン酸とがエステル反応により結合した構造を有するポリエステルポリオールを、ポリオール成分全量に対する含有量で10重量%以上含有し、更に、前記発泡剤が、オゾン層破壊係数が0、かつ沸点が5℃以上であるハイドロフルオロカーボンを含有することを特徴とする硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物。
【0009】
(2)前記ジオールが、HO−(CH2)n−O−(CH2)n−OH(n=3以上)で表されるジオールである(1)の硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物。
【0010】
(3)前記ジオールが、HO−(C2H4O)n−H(n=3以上)で表されるジオールである(1)の硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物。
【0011】
(4)前記ポリエステルポリオールが、ポリエチレンテレフタレートの分解生成物とHO−(CH2)n−O−(CH2)n−OH(n=3以上)で表されるジオールを縮合させて得られるポリオールである(1)の硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物。
【0012】
(5)発泡剤及びポリヒドロキシ化合物を含むポリオール成分と、ポリイソシアネート成分とを混合し発泡させる工程を含む硬質ポリウレタンフォームの製造方法であって、前記ポリヒドロキシ化合物が、炭素数6以上でありかつエーテル結合を有するジオールと、ジカルボン酸とがエステル反応により結合した構造を有するポリエステルポリオールを、ポリオール成分全量に対する含有量で10重量%以上含有し、更に、前記発泡剤が、オゾン層破壊係数が0、かつ沸点が5℃以上であるハイドロフルオロカーボンを含有することを特徴とする硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
(1)本発明の硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物
本発明の硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物は、発泡剤及びポリヒドロキシ化合物を含むポリオール成分と、ポリイソシアネート成分とからなる。
【0015】
(i)ポリオール成分
本発明においてポリオール成分中に含まれる発泡剤は、オゾン層破壊係数が0、かつ沸点が5℃以上であるハイドロフルオロカーボン(HFC)を含むものである。ここで、上記オゾン層破壊係数とは、一般に、トリクロロフルオロメタン(以下、「CFC−11」ということもある)のオゾン層破壊率を基準にして、つまりCFC−11のオゾン層破壊係数を1として、前記オゾン層破壊率に対する各物質のオゾン層破壊率の比として算出される値であり、本明細書中に用いられる「オゾン層破壊係数」は、全て前記方法により求められたものである。本発明に用いられる上記ハイドロフルオロカーボンは、この様にして算出されたオゾン層破壊係数が0である。また、上記HFCの沸点は5℃以上であり、好ましくは概ね10℃以上である。沸点の上限については特に限定されないが、好ましい上限として50℃程度が挙げられる。
【0016】
上記性質を有するHFCとして、具体的には、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(以下、「HFC−245fa」ということもある)や、1,1,2,2,3,3,−ヘキサフルオロプロパン(以下、「HFC−236ea」ということもある)等が挙げられる。
【0017】
ポリオール成分における上記HFCの含有量は、目的とする硬質ポリウレタンフォームの密度等に応じて適宜選択される。例えば、現場発泡硬質ポリウレタンフォームにおいてスプレー発泡の硬質ポリウレタンフォームを成形する場合には、全ポリオール成分を100重量部としてこの中に5〜50重量部の割合で上記HFC含有させることが好ましく、より好ましくは15〜40重量部の割合で含有させることができる。
【0018】
なお、上記現場発泡硬質ポリウレタンフォームとは、硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物を成形現場に運搬し、成形現場において機械又はハンド発泡して製造される硬質ポリウレタンフォームをいう。また、スプレー発泡とは、硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物を発泡機で霧状に吐出させ、対象物に直接吹き付けて、硬質ポリウレタンフォームの発泡成形と硬質ポリウレタンフォームの対象物への接着を同時に行う硬質ポリウレタンフォーム成形方法をいう。現場発泡のスプレー発泡では、温度管理を行うことが困難であるため、用いられる硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物としては、常温においても粘度が低く取り扱いが容易なものが好ましい。よって、前記組成物の粘度を下げると同時に硬質ポリウレタンフォームの密度を下げるために、より多くの発泡剤を含有させることが必要となることから、上記の様なHFC含有量の範囲が好ましいことになる。
【0019】
また、上記スプレー発泡以外では、得られる硬質ポリウレタンフォームの密度とポリオール成分に含有させるHFCの量は反比例の関係にあることから、作製しようとする硬質ポリウレタンフォームの密度を決定することにより、硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物のポリオール成分におけるHFCの量を決定することができる。例えば、18kg/m3の密度の硬質ポリウレタンフォームを作製するために、ポリオール成分に添加されるHFCの量は、ポリオール成分全量に対して40重量%程度である。
【0020】
上記発泡剤は、上記HFC以外に必要に応じて、水;1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン、2,2−ジクロロ−1,1,1−トリフルオロエタン(以下それぞれ、「HCFC−141b」、「HCFC−123」ということもある)等のHCFC類;1,1,1,2−テトラフルオロエタン(以下、「HFC−134a」ということもある)等の沸点が5℃未満の低沸点HFC類;n−ペンタン、i−ペンタン、シクロペンタン等の炭化水素類;の内の1種類又は2種類以上を任意成分として含有してもよい。この様な発泡剤における任意成分の含有量は、全ポリオール成分を100重量部としてこれに含まれる割合で0〜50重量部の範囲で任意に選択できるが、好ましくは0〜20重量部の範囲で任意に選択される。
【0021】
本発明においてポリオール成分中に含まれるポリヒドロキシ化合物は、炭素数6以上でありかつエーテル結合を有するジオールと、ジカルボン酸とがエステル反応により結合した構造を有するポリエステルポリオールを含有する。
【0022】
上記炭素数6以上でありかつエーテル結合を有するジオールとして、具体的には、HO−(CH2)n−O−(CH2)n−OH(n=3以上)で表されるジオール、HO−(C2H4O)n−H(n=3以上)で表されるジオール等が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。上記HO−(CH2)n−O−(CH2)n−OH(n=3以上)で表されるジオールとして、より具体的には、式中のnが3であるジプロピレングリコール、式中のnが4であるジブチレングリコール、式中のnが5であるジペンチルグリコール等が挙げられる。前記化学式中のnは、好ましくは3〜5の範囲である。nが6以上になると難燃性が低下する可能性がある。また、HO−(C2H4O)n−H(n=3以上)で表されるジオールは、言い換えれば、分子量150以上のポリエチレングリコール(以下、「PEG」ということがある)であり、前記化学式中のnは、好ましくは3〜5の範囲である。nが6以上になるとHFCの溶解度は上がる傾向にあるが、得られる硬質ポリウレタンフォームの難燃性が低下する可能性がある。
【0023】
上記ジオールとエステル結合を形成するジカルボン酸としては、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、無水ピロメリット酸、アジピン酸、無水マレイン酸等が挙げられる。これらは1種類でまたは2種類以上を組み合わせて用いられる。
【0024】
さらに、本発明においては、上記ポリエステルポリオールとして、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET樹脂」ということもある)の分解生成物とHO−(CH2)n−O−(CH2)n−OH(n=3以上)で表されるジオールを縮合させて得られるポリオールを用いることが可能であり、好ましい。HO−(CH2)n−O−(CH2)n−OH(n=3以上)で表されるジオールとして、具体的には、上記同様のn=3〜5のジオールが挙げられ、nの好ましい範囲についても上記同様である。
【0025】
テレフタル酸にエチレングリコールを重縮合した樹脂であるPET樹脂は、近年では再生されてリサイクルポリオールとして用いられることも少なくない。この様なリサイクルポリオールは、通常、PET樹脂を触媒で分解し、同時にジエチレングリコールを加えることで製造されている。上記本発明で用いるPET樹脂の分解生成物とHO−(CH2)n−O−(CH2)n−OH(n=3以上)で表されるジオールを縮合させて得られるポリオールは、上記リサイクルポリオールの製造工程において前記ジエチレングリコールの代わりに、HO−(CH2)n−O−(CH2)n−OH(n=3以上)で表されるジオールを加える以外は上記同様の工程を採ることで容易に製造できる。この様にしてHFCに対して高い溶解性を持つ上記PET樹脂の分解生成物とHO−(CH2)n−O−(CH2)n−OH(n=3以上)で表されるジオールを縮合させて得られるポリエステルポリオールが得られる。
【0026】
ここでポリオール成分における上記ポリエステルポリオールの含有量は、全ポリオール成分を100重量部としてこれに含まれる量として10重量部以上であるが、好ましくは10〜40重量部の含有量が挙げられる。
【0027】
また、本発明に用いる上記ポリヒドロキシ化合物は、上記ポリエステルポリオール以外のポリオール化合物を含有することが可能であり、具体的には、硬質ポリウレタンフォームを製造する際に通常用いられるポリオール化合物を特に制限なく挙げることができる。より具体的には、グリセリン、ショ糖、エチレンジアミン等に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等を付加重合させて得られるポリエーテルポリオールやフェノール等にアミンとホルムアルデヒドを付加させ、これにさらにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等を付加重合させて得られるマンニッヒ系ポリエーテルポリオール等のポリエーテルポリオール、上記以外のポリエステルポリオール等が挙げられ、これらを個々単独で又は2種類以上組み合わせて使用することができる。なお、本明細書において「ポリヒドロキシ化合物」と「ポリオール化合物」(以下、「ポリオール」ということもある)の用語は同じ意味で用いられる。
【0028】
さらに、本発明に用いるポリオール成分は、上記必須成分以外に、硬質ポリウレタンフォームを製造する際に通常用いられるポリオール成分が含有する各種成分を本発明の効果を損なわない範囲で適当量含有することができる。この様な成分として、例えば、触媒、整泡剤、難燃剤、発泡助剤、脱水剤、可塑剤、耐候剤、染料、顔料等が挙げられる。
【0029】
上記触媒としては、鉛オクトエート、ジブチル錫ジラウレート等の有機金属系化合物、トリエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン等のアミン系化合物等、通常、硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物に触媒として使用できるものであれば特に制限されることなく、いずれの物質であっても使用することができる。また、ヌレート化触媒としてN,N′,N″,−トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ−S−トリアジン、酢酸カリウム、オクチル酸カリウム、オクチル酸の4級アンモニウム塩等も使用可能である。
【0030】
また、上記整泡剤としては、通常、硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物の整泡剤として使用できるものであれば特に制限されることなく、何れの物質であっても使用することができる。この様な整泡剤として、例えば、ポリアルキレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレン系化合物、オルガノポリシロキサン等のシリコン系化合物等を挙げることができる。
【0031】
さらに、上記難燃剤としては、水酸化アルミニウム、リン酸エステル類、メラミン、赤リン、膨張黒鉛、トリス−β−モノクロロプロピルフォスフェート等が、発泡助剤としては、HFC−134a、モノクロロジフルオロメタン(以下、「HCFC−22」ということもある)等が、脱水剤としては、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム、合成ゼオライト等が、可塑剤としては、DOP(ジ(2−エチルヘキシル)フタレート)、DOA(ジ(2−エチルヘキシル)アジペート)、DBP(ジブチルフタレート)等が、耐候剤としては、硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物に通常用いられる紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤等を構成する成分と同様の化合物等がそれぞれ挙げられる。
【0032】
(ii)ポリイソシアネート成分
本発明の硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物を構成するポリイソシアネート成分は、分子内に2つ以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネートを含有するものである。上記ポリイソシアネートとして、具体的には、硬質ポリウレタンフォームを製造する際に通常用いられるポリイソシアネートを特に制限なく挙げることができ、これらを単独でまたは2種以上組み合わせて用いることが可能である。
【0033】
この様なポリイソシアネートとして、より具体的には、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等の芳香族系イソシアネート類、イソホロンジイソシアネート等の脂環族系イソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族系イソシアネート類等が挙げられる。これらは、精製物の状態で、あるいは粗製物の形態で本発明に用いることができる。
【0034】
本発明に用いるポリイソシアネート成分は、上記ポリイソシアネート以外に、硬質ポリウレタンフォームを製造する際に通常用いられるポリイソシアネート成分が含有する各種成分を本発明の効果を損なわない範囲で適当量含有することができる。この様な成分として、例えば、難燃剤、発泡助剤、脱水剤、可塑剤、耐候剤、染料、顔料等が挙げられる。これら各種成分の具体例については、上記ポリオール成分で説明したのと同様のものが挙げられる。
【0035】
(iii)硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物
本発明の硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物は、上記ポリイソシアネート成分とポリオール成分とからなる。本発明の硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物を構成するポリイソシアネート成分とポリオール成分は、通常、別々に保存され使用時に混合される。両成分を混合すると、ポリイソシアネートとポリオールの分子間架橋反応が開始され反応が進むにつれて硬化するが、前記混合反応に際して原料成分が含有する発泡剤がガスを発生することで、硬質ポリウレタン内に気泡を有する硬質ポリウレタンフォームが成形される。
【0036】
本発明の硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物においては、上述の様にポリイソシアネート成分とポリオール成分が別々に存在する場合には両者を合わせてこれを硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物という。また、本発明の硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物の範疇には、上記反応のためにポリイソシアネート成分とポリオール成分を混合して得られる混合物も含まれるものである。
【0037】
本発明の硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物の組成としては、ポリオール成分が上記炭素数6以上でありかつエーテル結合を有するジオールとジカルボン酸とがエステル反応により結合した構造を有するポリエステルポリオールを、ポリオール成分全量に対する含有量で10重量%以上含有し、発泡剤としてオゾン層破壊係数が0、かつ沸点が5℃以上であるハイドロフルオロカーボンを含有する以外は、前記組成物を混合発泡することにより硬質ポリウレタンフォームを形成することが可能な組成であれば特に制限されない。
【0038】
具体的には、本発明の硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物の組成は、上記条件を満たせば、得られる硬質ポリウレタンフォームが主にウレタン結合、尿素結合により構成されるタイプの硬質ポリウレタンフォーム(以下、「ウレタン/尿素結合タイプの硬質ポリウレタンフォーム」ということもある)となるような組成であってもよいし、イソシアヌレート縮合を主たる結合様式とし一部にウレタン結合が導入された構造を有するイソシアヌレート変性硬質ポリウレタンフォームとなるような組成であってもよい。
【0039】
より具体的には、ウレタン/尿素結合タイプの硬質ポリウレタンフォームを製造する場合には、本発明の硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物のポリオール成分とポリイソシアネート成分の含有量比を、イソシアネートインデックス(ポリオール当量に対するポリイソシアネート当量の比(NCO/OH)を100倍した値)として、好ましくは95〜130、より好ましくは100〜120の範囲とすればよい。
【0040】
また、硬質ポリウレタンフォームのうちでも、イソシアヌレート変性硬質ポリウレタンフォームを製造する場合には、その高分子構造の特性上、上記イソシアネートインデックスを、140〜300の範囲とすることが好ましく、より好ましくは150〜250の範囲とすることができる。
【0041】
また、本発明の硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物は、上記ポリオール成分とポリイソシアネート成分以外の成分として、必要に応じて上述した様な、触媒、整泡剤、難燃剤、発泡助剤、脱水剤、可塑剤、耐候剤、染料、顔料等の各種成分を本発明の効果を損なわない範囲の量で含んでもよい。これら各種成分は、上記のように前もってポリオール成分またはポリイソシアネート成分に添加される場合もあるが、上記ポリオール成分とポリイソシアネート成分を混合する際に添加することもできる。
【0042】
(2)硬質ポリウレタンフォームの製造
上記した樹脂組成物を用いて硬質ポリウレタンフォームを製造するには、これを構成するポリオール成分とポリイソシアネート成分、さらに必要に応じて任意に添加される成分を、混合発泡させればよい。混合発泡には、硬質ポリウレタンフォームを製造する際に、通常用いられる装置、例えば、低圧発泡機、高圧発泡機、スプレー発泡機等を何の制限なく用いることができる。また、前記各成分の混合物(以下、「発泡原液」ということもある)は、硬質ポリウレタンフォームを製造する際に、一般的に用いられる製造方法に従って、通常用いられる装置により、適当な型に注入されたり、スプレーされたりして成形される。この様な、硬質ポリウレタンフォームの一般的製造法として、具体的には、スラブストックフォーム製造法、ラミネーションボード・パネル連続製造法、多段プレス/不連続注入発泡製造法、モールドフォーム製造法、スプレーフォーム製造法等が挙げられるが、本発明の硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物は、これらの何れの方法にも適用可能である。
【0043】
さらに、本発明の硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物は、上記で定義される現場発泡にも適用可能である。発泡原液を低粘度化させるために発泡剤添加量を増やすことの多い現場発泡、特にスプレー発泡においては、本発明の硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物を用いることで沸きの現象が抑制される効果は大きく、特に有用である。
【0044】
また、各製造方法における温度、圧力、時間等の製造条件は、通常その製造方法において採られる条件と同様のものとすることができる。
【0045】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0046】
【実施例1〜6および比較例1〜6】
表1に示す組成の▲1▼ポリオール成分、▲2▼発泡助剤、▲3▼ポリイソシアネート成分からなる硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物を作製した。また、同様にして表2に示す組成の比較例の硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物を作製した。
なお、表1、表2中の各成分は、それぞれ以下に説明する化合物を示す。
【0047】
▲1▼ポリオール成分
i)ポリオール(括弧内のOHVは、1gのポリオールをKOHでケン化する際に必要なKOH量(mg)を示す。)
A:エチレンジアミンベースポリエーテルポリオール(OHV;750)
B:エチレンジアミン/シュークロースベースポリエーテルポリオール(OHV;470)
C:マンニッヒ系ポリエーテルポリオール(OHV;470)
D:フタル酸+ジエチレングリコールポリエステルポリオール(OHV;315)
E:廃PET+ジエチレングリコールポリエステルポリオール(OHV;195)
F:フタル酸+ジプロピレングリコールポリエステルポリオール(OHV;315)
G:テレフタル酸+ジブチレングリコールポリエステルポリオール(OHV;280)
H:フタル酸+ポリエチレングリコール(200)ポリエステルポリオール(OHV;280)
I:廃PET+ジプロピレングリコールポリエステルポリオール(OHV;195)
【0048】
ii)触媒
A:トリエチレンジアミンのジプロピレングリコール33%溶液(三共エアプロ(株)製、DABCO 33LV)
B:N,N′,N″,-トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ-S-トリアジン(エアプロジャパン製、PC-41)
C:オクチル酸カリウムのジエチレングリコール50%溶液(三共エアプロ(株)製、DABCO K-15)
D:オクチル酸鉛のネオターペン溶液 (鉛濃度20%)
【0049】
iii)難燃剤:トリス−β−モノクロロプロピルフォスフェート
iv)整泡剤:シリコン整泡剤(東レシリコン製、SH−193)
v)発泡剤
141b:HCFC−141b(1,1-ジクロロ-1-フルオロエタン)
245fa:HFC−245fa(1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン)
【0050】
▲2▼発泡助剤:HFC−134a(1,1,1,2-テトラフルオロエタン)
▲3▼ポリイソシアネート成分:粗製ジフェニルメタンジイソシアネート(日本ポリウレタン(株)製)
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
<本発明の硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物の評価>
・沸きおよび分離試験
沸き・分離の確認は、表1、2中に示す各実施例および比較例の硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物の▲1▼ポリオール成分(50重量部)を調製後、これをビーカーに入れ20℃の室温中に一時間放置し、この間に発泡剤が分離していた場合を分離と判断し、さらに、分離を起こさなかったものに関して、急激に攪拌を加えることで沸きの有無を調べることにより行った。結果を表1、表2の最下欄に示す。
【0054】
<本発明の樹脂組成物を用いて得られる硬質ポリウレタンフォームの評価>
(1)硬質ポリウレタンフォームの製造
上記で得られた実施例1〜6および比較例1、2、5および6の硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物の各成分をエアレス混合発泡機;ガスマーFF−1600(ガスマー社製)に投入し、ホース長さ30m、ホース温度32℃、静止圧900psiの条件で、吹き付け躯体のパーライト板(600×300×10mm、温度;20℃)に吹き付けた。この際の吹き付け方法は、JIS−A−9526による試料の作製方法に準ずる方法であった。吹き付け後約20秒で硬化して得られた硬質ポリウレタンフォームを1カ月間放置した後、上記パーライト板より剥離して、以下の物性測定に用いた。
【0055】
(2)物性測定
実施例1〜4および比較例1、2、5の樹脂組成物を用いて得られた硬質ポリウレタンフォームの密度、燃焼性を、JIS−A−9526、JIS−A−9511に記載の方法に準じて測定した。結果を表3に示す。なお、燃焼試験の合格値は、燃焼時間120秒以内、燃焼距離60mm以内である。
【0056】
また、実施例5、6および比較例6の樹脂組成物を用いて得られた硬質ポリウレタンフォームについても、密度および燃焼性を調べた。密度は上記と同様にして、燃焼性はJIS−A−1321に記載の方法に準じて測定された。結果を表4に示す。なお、難燃3級の合格値は発煙係数120以下、温度時間面積350以下、残炎時間30秒以下である。
【0057】
【表3】
【0058】
【表4】
【0059】
上記結果から明らかなように、本発明の硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物を用いれば、オゾン層破壊係数が0かつ沸点5℃以上のHFCを使用しているにもかかわらず、沸きや分離の心配がなく、且つ、高い難燃性を有する硬質ポリウレタンフォームが作製可能である。なお、本発明の硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物を用いて得られる硬質ポリウレタンフォームのうちでも、特に、実施例5、6で得られた硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物を用いて作製されたイソシアヌレート変性硬質ポリウレタンフォームは、JIS−A−1321に合格出来るような非常に難燃性の高いものであることがわかる。
【0060】
【発明の効果】
本発明の硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物を用いれば、オゾン層破壊係数の低いハイドロフルオロカーボンを含有しながら難燃性の高い硬質ポリウレタンフォームが製造可能であり、且つ、硬質ポリウレタンフォームの製造の際に、沸き、分離等の発生がないため、取り扱いが容易である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物および硬質ポリウレタンフォームの製造方法に関し、詳しくは、オゾン層破壊係数の低いハイドロフルオロカーボンを含有しながら難燃性の高い硬質ポリウレタンフォームが製造可能であり且つ取り扱いの容易な硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物およびハイドロフルオロカーボンを含有しながら難燃性の高い硬質ポリウレタンフォームを容易に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
硬質ポリウレタンフォームは、断熱性や自己接着性が良好な点から、住宅、冷凍倉庫等に幅広く活用されている。しかし、従来から硬質ポリウレタンフォームに使用されていたフロン−11等のクロロフルオロカーボン(以下、「CFC」ということもある)は、化学的に安定な性質を有することから、大気に放出されたCFCがそのまま成層圏に達し、そこで分解されてオゾン層を破壊する現象を引き起こすことが問題となっていた。このためCFCは全廃となり、CFCの代替として分子中に水素を含むハイドロクロロフルオロカーボン(以下、「HCFC」ということもある)が使用されているが、これらHCFCもCFCの1/10程度のオゾン層破壊係数を有しており2004年には全廃が決定している。
【0003】
HCFCの代替としては、分子中に塩素を含まないハイドロフルオロカーボン(以下「HFC」ということもある)が提案されているが、HFCが塩素を分子中に持たないため、これを用いると硬質ポリウレタンフォームの難燃性が低下するという問題や、硬質ポリウレタンフォーム原料のポリオール成分へのHFCの溶解度が低く、プレミックスした状態で温度の上昇や外部からの衝撃によってHFCが泡となって容器から吹き出す(以下、「沸き」ということもある)現象が発生することが問題であった。特に、この沸き現象の発生は、硬質ポリウレタンフォーム原料成分を原液の状態で現場まで運んで行き、これを現場で混合発泡するといった現場発泡に於いては大きな問題となっている。
【0004】
沸きの現象は、原料ポリオールに対するHFCの溶解度と密接な関係を持っているが、特に硬質ポリウレタンフォームに難燃性を与えるポリエステルポリオールに対しては、HFCはほとんど溶解性を示さない。よってHFCを用いる場合には、上記の様に難燃性向上を目的としてポリエステルポリオールを増量する方法が使えないことから、難燃剤を増加させなければならないが、難燃剤の増加は硬質ポリウレタンフォーム強度低下の原因となる。また、硬質ポリウレタンフォームのうちでも、JIS−A−1321に合格出来るような非常に難燃性の高いイソシアヌレート変性硬質ポリウレタンフォームについては、ポリエステルポリオールの添加量が多いためにHFCがポリオール成分から分離するといった現象を起こしてしまい問題であった。
【0005】
しかしながら、HCFCの全廃は決定事項であり、また近年防災の見地から硬質ポリウレタンフォームにより高い難燃性が求められていることも確かである。そこで、HFCを含有しながら難燃性の高い硬質ポリウレタンフォーム、およびこれを製造するための硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物の開発が望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記観点からなされたものであり、オゾン層破壊係数の低いハイドロフルオロカーボンを含有しながら難燃性の高い硬質ポリウレタンフォームが製造可能であり且つ取り扱いの容易な硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物およびハイドロフルオロカーボンを含有しながら難燃性の高い硬質ポリウレタンフォームを容易に製造する方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために、硬質ポリウレタンフォームの原料ポリオール成分について鋭意研究を重ねた結果、従来より難燃性の高いことで知られるポリエステルポリオールを、炭素数6以上でありかつエーテル結合を有するジオールとジカルボン酸とがエステル結合した構造を有するポリエステルポリオールとして、原料ポリオール成分に特定量配合することにより、原料ポリオール成分へのHFCの溶解度を飛躍的に増大することが可能となり、さらに、製造時および運搬時における沸きの発生が無く、得られる硬質ポリウレタンフォームは難燃性に優れることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、以下のとおりである。
【0008】
(1)発泡剤及びポリヒドロキシ化合物を含むポリオール成分と、ポリイソシアネート成分とからなる硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物であって、前記ポリヒドロキシ化合物が、炭素数6以上でありかつエーテル結合を有するジオールと、ジカルボン酸とがエステル反応により結合した構造を有するポリエステルポリオールを、ポリオール成分全量に対する含有量で10重量%以上含有し、更に、前記発泡剤が、オゾン層破壊係数が0、かつ沸点が5℃以上であるハイドロフルオロカーボンを含有することを特徴とする硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物。
【0009】
(2)前記ジオールが、HO−(CH2)n−O−(CH2)n−OH(n=3以上)で表されるジオールである(1)の硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物。
【0010】
(3)前記ジオールが、HO−(C2H4O)n−H(n=3以上)で表されるジオールである(1)の硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物。
【0011】
(4)前記ポリエステルポリオールが、ポリエチレンテレフタレートの分解生成物とHO−(CH2)n−O−(CH2)n−OH(n=3以上)で表されるジオールを縮合させて得られるポリオールである(1)の硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物。
【0012】
(5)発泡剤及びポリヒドロキシ化合物を含むポリオール成分と、ポリイソシアネート成分とを混合し発泡させる工程を含む硬質ポリウレタンフォームの製造方法であって、前記ポリヒドロキシ化合物が、炭素数6以上でありかつエーテル結合を有するジオールと、ジカルボン酸とがエステル反応により結合した構造を有するポリエステルポリオールを、ポリオール成分全量に対する含有量で10重量%以上含有し、更に、前記発泡剤が、オゾン層破壊係数が0、かつ沸点が5℃以上であるハイドロフルオロカーボンを含有することを特徴とする硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
(1)本発明の硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物
本発明の硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物は、発泡剤及びポリヒドロキシ化合物を含むポリオール成分と、ポリイソシアネート成分とからなる。
【0015】
(i)ポリオール成分
本発明においてポリオール成分中に含まれる発泡剤は、オゾン層破壊係数が0、かつ沸点が5℃以上であるハイドロフルオロカーボン(HFC)を含むものである。ここで、上記オゾン層破壊係数とは、一般に、トリクロロフルオロメタン(以下、「CFC−11」ということもある)のオゾン層破壊率を基準にして、つまりCFC−11のオゾン層破壊係数を1として、前記オゾン層破壊率に対する各物質のオゾン層破壊率の比として算出される値であり、本明細書中に用いられる「オゾン層破壊係数」は、全て前記方法により求められたものである。本発明に用いられる上記ハイドロフルオロカーボンは、この様にして算出されたオゾン層破壊係数が0である。また、上記HFCの沸点は5℃以上であり、好ましくは概ね10℃以上である。沸点の上限については特に限定されないが、好ましい上限として50℃程度が挙げられる。
【0016】
上記性質を有するHFCとして、具体的には、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(以下、「HFC−245fa」ということもある)や、1,1,2,2,3,3,−ヘキサフルオロプロパン(以下、「HFC−236ea」ということもある)等が挙げられる。
【0017】
ポリオール成分における上記HFCの含有量は、目的とする硬質ポリウレタンフォームの密度等に応じて適宜選択される。例えば、現場発泡硬質ポリウレタンフォームにおいてスプレー発泡の硬質ポリウレタンフォームを成形する場合には、全ポリオール成分を100重量部としてこの中に5〜50重量部の割合で上記HFC含有させることが好ましく、より好ましくは15〜40重量部の割合で含有させることができる。
【0018】
なお、上記現場発泡硬質ポリウレタンフォームとは、硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物を成形現場に運搬し、成形現場において機械又はハンド発泡して製造される硬質ポリウレタンフォームをいう。また、スプレー発泡とは、硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物を発泡機で霧状に吐出させ、対象物に直接吹き付けて、硬質ポリウレタンフォームの発泡成形と硬質ポリウレタンフォームの対象物への接着を同時に行う硬質ポリウレタンフォーム成形方法をいう。現場発泡のスプレー発泡では、温度管理を行うことが困難であるため、用いられる硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物としては、常温においても粘度が低く取り扱いが容易なものが好ましい。よって、前記組成物の粘度を下げると同時に硬質ポリウレタンフォームの密度を下げるために、より多くの発泡剤を含有させることが必要となることから、上記の様なHFC含有量の範囲が好ましいことになる。
【0019】
また、上記スプレー発泡以外では、得られる硬質ポリウレタンフォームの密度とポリオール成分に含有させるHFCの量は反比例の関係にあることから、作製しようとする硬質ポリウレタンフォームの密度を決定することにより、硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物のポリオール成分におけるHFCの量を決定することができる。例えば、18kg/m3の密度の硬質ポリウレタンフォームを作製するために、ポリオール成分に添加されるHFCの量は、ポリオール成分全量に対して40重量%程度である。
【0020】
上記発泡剤は、上記HFC以外に必要に応じて、水;1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン、2,2−ジクロロ−1,1,1−トリフルオロエタン(以下それぞれ、「HCFC−141b」、「HCFC−123」ということもある)等のHCFC類;1,1,1,2−テトラフルオロエタン(以下、「HFC−134a」ということもある)等の沸点が5℃未満の低沸点HFC類;n−ペンタン、i−ペンタン、シクロペンタン等の炭化水素類;の内の1種類又は2種類以上を任意成分として含有してもよい。この様な発泡剤における任意成分の含有量は、全ポリオール成分を100重量部としてこれに含まれる割合で0〜50重量部の範囲で任意に選択できるが、好ましくは0〜20重量部の範囲で任意に選択される。
【0021】
本発明においてポリオール成分中に含まれるポリヒドロキシ化合物は、炭素数6以上でありかつエーテル結合を有するジオールと、ジカルボン酸とがエステル反応により結合した構造を有するポリエステルポリオールを含有する。
【0022】
上記炭素数6以上でありかつエーテル結合を有するジオールとして、具体的には、HO−(CH2)n−O−(CH2)n−OH(n=3以上)で表されるジオール、HO−(C2H4O)n−H(n=3以上)で表されるジオール等が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。上記HO−(CH2)n−O−(CH2)n−OH(n=3以上)で表されるジオールとして、より具体的には、式中のnが3であるジプロピレングリコール、式中のnが4であるジブチレングリコール、式中のnが5であるジペンチルグリコール等が挙げられる。前記化学式中のnは、好ましくは3〜5の範囲である。nが6以上になると難燃性が低下する可能性がある。また、HO−(C2H4O)n−H(n=3以上)で表されるジオールは、言い換えれば、分子量150以上のポリエチレングリコール(以下、「PEG」ということがある)であり、前記化学式中のnは、好ましくは3〜5の範囲である。nが6以上になるとHFCの溶解度は上がる傾向にあるが、得られる硬質ポリウレタンフォームの難燃性が低下する可能性がある。
【0023】
上記ジオールとエステル結合を形成するジカルボン酸としては、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、無水ピロメリット酸、アジピン酸、無水マレイン酸等が挙げられる。これらは1種類でまたは2種類以上を組み合わせて用いられる。
【0024】
さらに、本発明においては、上記ポリエステルポリオールとして、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET樹脂」ということもある)の分解生成物とHO−(CH2)n−O−(CH2)n−OH(n=3以上)で表されるジオールを縮合させて得られるポリオールを用いることが可能であり、好ましい。HO−(CH2)n−O−(CH2)n−OH(n=3以上)で表されるジオールとして、具体的には、上記同様のn=3〜5のジオールが挙げられ、nの好ましい範囲についても上記同様である。
【0025】
テレフタル酸にエチレングリコールを重縮合した樹脂であるPET樹脂は、近年では再生されてリサイクルポリオールとして用いられることも少なくない。この様なリサイクルポリオールは、通常、PET樹脂を触媒で分解し、同時にジエチレングリコールを加えることで製造されている。上記本発明で用いるPET樹脂の分解生成物とHO−(CH2)n−O−(CH2)n−OH(n=3以上)で表されるジオールを縮合させて得られるポリオールは、上記リサイクルポリオールの製造工程において前記ジエチレングリコールの代わりに、HO−(CH2)n−O−(CH2)n−OH(n=3以上)で表されるジオールを加える以外は上記同様の工程を採ることで容易に製造できる。この様にしてHFCに対して高い溶解性を持つ上記PET樹脂の分解生成物とHO−(CH2)n−O−(CH2)n−OH(n=3以上)で表されるジオールを縮合させて得られるポリエステルポリオールが得られる。
【0026】
ここでポリオール成分における上記ポリエステルポリオールの含有量は、全ポリオール成分を100重量部としてこれに含まれる量として10重量部以上であるが、好ましくは10〜40重量部の含有量が挙げられる。
【0027】
また、本発明に用いる上記ポリヒドロキシ化合物は、上記ポリエステルポリオール以外のポリオール化合物を含有することが可能であり、具体的には、硬質ポリウレタンフォームを製造する際に通常用いられるポリオール化合物を特に制限なく挙げることができる。より具体的には、グリセリン、ショ糖、エチレンジアミン等に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等を付加重合させて得られるポリエーテルポリオールやフェノール等にアミンとホルムアルデヒドを付加させ、これにさらにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等を付加重合させて得られるマンニッヒ系ポリエーテルポリオール等のポリエーテルポリオール、上記以外のポリエステルポリオール等が挙げられ、これらを個々単独で又は2種類以上組み合わせて使用することができる。なお、本明細書において「ポリヒドロキシ化合物」と「ポリオール化合物」(以下、「ポリオール」ということもある)の用語は同じ意味で用いられる。
【0028】
さらに、本発明に用いるポリオール成分は、上記必須成分以外に、硬質ポリウレタンフォームを製造する際に通常用いられるポリオール成分が含有する各種成分を本発明の効果を損なわない範囲で適当量含有することができる。この様な成分として、例えば、触媒、整泡剤、難燃剤、発泡助剤、脱水剤、可塑剤、耐候剤、染料、顔料等が挙げられる。
【0029】
上記触媒としては、鉛オクトエート、ジブチル錫ジラウレート等の有機金属系化合物、トリエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン等のアミン系化合物等、通常、硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物に触媒として使用できるものであれば特に制限されることなく、いずれの物質であっても使用することができる。また、ヌレート化触媒としてN,N′,N″,−トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ−S−トリアジン、酢酸カリウム、オクチル酸カリウム、オクチル酸の4級アンモニウム塩等も使用可能である。
【0030】
また、上記整泡剤としては、通常、硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物の整泡剤として使用できるものであれば特に制限されることなく、何れの物質であっても使用することができる。この様な整泡剤として、例えば、ポリアルキレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレン系化合物、オルガノポリシロキサン等のシリコン系化合物等を挙げることができる。
【0031】
さらに、上記難燃剤としては、水酸化アルミニウム、リン酸エステル類、メラミン、赤リン、膨張黒鉛、トリス−β−モノクロロプロピルフォスフェート等が、発泡助剤としては、HFC−134a、モノクロロジフルオロメタン(以下、「HCFC−22」ということもある)等が、脱水剤としては、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム、合成ゼオライト等が、可塑剤としては、DOP(ジ(2−エチルヘキシル)フタレート)、DOA(ジ(2−エチルヘキシル)アジペート)、DBP(ジブチルフタレート)等が、耐候剤としては、硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物に通常用いられる紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤等を構成する成分と同様の化合物等がそれぞれ挙げられる。
【0032】
(ii)ポリイソシアネート成分
本発明の硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物を構成するポリイソシアネート成分は、分子内に2つ以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネートを含有するものである。上記ポリイソシアネートとして、具体的には、硬質ポリウレタンフォームを製造する際に通常用いられるポリイソシアネートを特に制限なく挙げることができ、これらを単独でまたは2種以上組み合わせて用いることが可能である。
【0033】
この様なポリイソシアネートとして、より具体的には、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等の芳香族系イソシアネート類、イソホロンジイソシアネート等の脂環族系イソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族系イソシアネート類等が挙げられる。これらは、精製物の状態で、あるいは粗製物の形態で本発明に用いることができる。
【0034】
本発明に用いるポリイソシアネート成分は、上記ポリイソシアネート以外に、硬質ポリウレタンフォームを製造する際に通常用いられるポリイソシアネート成分が含有する各種成分を本発明の効果を損なわない範囲で適当量含有することができる。この様な成分として、例えば、難燃剤、発泡助剤、脱水剤、可塑剤、耐候剤、染料、顔料等が挙げられる。これら各種成分の具体例については、上記ポリオール成分で説明したのと同様のものが挙げられる。
【0035】
(iii)硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物
本発明の硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物は、上記ポリイソシアネート成分とポリオール成分とからなる。本発明の硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物を構成するポリイソシアネート成分とポリオール成分は、通常、別々に保存され使用時に混合される。両成分を混合すると、ポリイソシアネートとポリオールの分子間架橋反応が開始され反応が進むにつれて硬化するが、前記混合反応に際して原料成分が含有する発泡剤がガスを発生することで、硬質ポリウレタン内に気泡を有する硬質ポリウレタンフォームが成形される。
【0036】
本発明の硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物においては、上述の様にポリイソシアネート成分とポリオール成分が別々に存在する場合には両者を合わせてこれを硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物という。また、本発明の硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物の範疇には、上記反応のためにポリイソシアネート成分とポリオール成分を混合して得られる混合物も含まれるものである。
【0037】
本発明の硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物の組成としては、ポリオール成分が上記炭素数6以上でありかつエーテル結合を有するジオールとジカルボン酸とがエステル反応により結合した構造を有するポリエステルポリオールを、ポリオール成分全量に対する含有量で10重量%以上含有し、発泡剤としてオゾン層破壊係数が0、かつ沸点が5℃以上であるハイドロフルオロカーボンを含有する以外は、前記組成物を混合発泡することにより硬質ポリウレタンフォームを形成することが可能な組成であれば特に制限されない。
【0038】
具体的には、本発明の硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物の組成は、上記条件を満たせば、得られる硬質ポリウレタンフォームが主にウレタン結合、尿素結合により構成されるタイプの硬質ポリウレタンフォーム(以下、「ウレタン/尿素結合タイプの硬質ポリウレタンフォーム」ということもある)となるような組成であってもよいし、イソシアヌレート縮合を主たる結合様式とし一部にウレタン結合が導入された構造を有するイソシアヌレート変性硬質ポリウレタンフォームとなるような組成であってもよい。
【0039】
より具体的には、ウレタン/尿素結合タイプの硬質ポリウレタンフォームを製造する場合には、本発明の硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物のポリオール成分とポリイソシアネート成分の含有量比を、イソシアネートインデックス(ポリオール当量に対するポリイソシアネート当量の比(NCO/OH)を100倍した値)として、好ましくは95〜130、より好ましくは100〜120の範囲とすればよい。
【0040】
また、硬質ポリウレタンフォームのうちでも、イソシアヌレート変性硬質ポリウレタンフォームを製造する場合には、その高分子構造の特性上、上記イソシアネートインデックスを、140〜300の範囲とすることが好ましく、より好ましくは150〜250の範囲とすることができる。
【0041】
また、本発明の硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物は、上記ポリオール成分とポリイソシアネート成分以外の成分として、必要に応じて上述した様な、触媒、整泡剤、難燃剤、発泡助剤、脱水剤、可塑剤、耐候剤、染料、顔料等の各種成分を本発明の効果を損なわない範囲の量で含んでもよい。これら各種成分は、上記のように前もってポリオール成分またはポリイソシアネート成分に添加される場合もあるが、上記ポリオール成分とポリイソシアネート成分を混合する際に添加することもできる。
【0042】
(2)硬質ポリウレタンフォームの製造
上記した樹脂組成物を用いて硬質ポリウレタンフォームを製造するには、これを構成するポリオール成分とポリイソシアネート成分、さらに必要に応じて任意に添加される成分を、混合発泡させればよい。混合発泡には、硬質ポリウレタンフォームを製造する際に、通常用いられる装置、例えば、低圧発泡機、高圧発泡機、スプレー発泡機等を何の制限なく用いることができる。また、前記各成分の混合物(以下、「発泡原液」ということもある)は、硬質ポリウレタンフォームを製造する際に、一般的に用いられる製造方法に従って、通常用いられる装置により、適当な型に注入されたり、スプレーされたりして成形される。この様な、硬質ポリウレタンフォームの一般的製造法として、具体的には、スラブストックフォーム製造法、ラミネーションボード・パネル連続製造法、多段プレス/不連続注入発泡製造法、モールドフォーム製造法、スプレーフォーム製造法等が挙げられるが、本発明の硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物は、これらの何れの方法にも適用可能である。
【0043】
さらに、本発明の硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物は、上記で定義される現場発泡にも適用可能である。発泡原液を低粘度化させるために発泡剤添加量を増やすことの多い現場発泡、特にスプレー発泡においては、本発明の硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物を用いることで沸きの現象が抑制される効果は大きく、特に有用である。
【0044】
また、各製造方法における温度、圧力、時間等の製造条件は、通常その製造方法において採られる条件と同様のものとすることができる。
【0045】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0046】
【実施例1〜6および比較例1〜6】
表1に示す組成の▲1▼ポリオール成分、▲2▼発泡助剤、▲3▼ポリイソシアネート成分からなる硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物を作製した。また、同様にして表2に示す組成の比較例の硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物を作製した。
なお、表1、表2中の各成分は、それぞれ以下に説明する化合物を示す。
【0047】
▲1▼ポリオール成分
i)ポリオール(括弧内のOHVは、1gのポリオールをKOHでケン化する際に必要なKOH量(mg)を示す。)
A:エチレンジアミンベースポリエーテルポリオール(OHV;750)
B:エチレンジアミン/シュークロースベースポリエーテルポリオール(OHV;470)
C:マンニッヒ系ポリエーテルポリオール(OHV;470)
D:フタル酸+ジエチレングリコールポリエステルポリオール(OHV;315)
E:廃PET+ジエチレングリコールポリエステルポリオール(OHV;195)
F:フタル酸+ジプロピレングリコールポリエステルポリオール(OHV;315)
G:テレフタル酸+ジブチレングリコールポリエステルポリオール(OHV;280)
H:フタル酸+ポリエチレングリコール(200)ポリエステルポリオール(OHV;280)
I:廃PET+ジプロピレングリコールポリエステルポリオール(OHV;195)
【0048】
ii)触媒
A:トリエチレンジアミンのジプロピレングリコール33%溶液(三共エアプロ(株)製、DABCO 33LV)
B:N,N′,N″,-トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ-S-トリアジン(エアプロジャパン製、PC-41)
C:オクチル酸カリウムのジエチレングリコール50%溶液(三共エアプロ(株)製、DABCO K-15)
D:オクチル酸鉛のネオターペン溶液 (鉛濃度20%)
【0049】
iii)難燃剤:トリス−β−モノクロロプロピルフォスフェート
iv)整泡剤:シリコン整泡剤(東レシリコン製、SH−193)
v)発泡剤
141b:HCFC−141b(1,1-ジクロロ-1-フルオロエタン)
245fa:HFC−245fa(1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン)
【0050】
▲2▼発泡助剤:HFC−134a(1,1,1,2-テトラフルオロエタン)
▲3▼ポリイソシアネート成分:粗製ジフェニルメタンジイソシアネート(日本ポリウレタン(株)製)
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
<本発明の硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物の評価>
・沸きおよび分離試験
沸き・分離の確認は、表1、2中に示す各実施例および比較例の硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物の▲1▼ポリオール成分(50重量部)を調製後、これをビーカーに入れ20℃の室温中に一時間放置し、この間に発泡剤が分離していた場合を分離と判断し、さらに、分離を起こさなかったものに関して、急激に攪拌を加えることで沸きの有無を調べることにより行った。結果を表1、表2の最下欄に示す。
【0054】
<本発明の樹脂組成物を用いて得られる硬質ポリウレタンフォームの評価>
(1)硬質ポリウレタンフォームの製造
上記で得られた実施例1〜6および比較例1、2、5および6の硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物の各成分をエアレス混合発泡機;ガスマーFF−1600(ガスマー社製)に投入し、ホース長さ30m、ホース温度32℃、静止圧900psiの条件で、吹き付け躯体のパーライト板(600×300×10mm、温度;20℃)に吹き付けた。この際の吹き付け方法は、JIS−A−9526による試料の作製方法に準ずる方法であった。吹き付け後約20秒で硬化して得られた硬質ポリウレタンフォームを1カ月間放置した後、上記パーライト板より剥離して、以下の物性測定に用いた。
【0055】
(2)物性測定
実施例1〜4および比較例1、2、5の樹脂組成物を用いて得られた硬質ポリウレタンフォームの密度、燃焼性を、JIS−A−9526、JIS−A−9511に記載の方法に準じて測定した。結果を表3に示す。なお、燃焼試験の合格値は、燃焼時間120秒以内、燃焼距離60mm以内である。
【0056】
また、実施例5、6および比較例6の樹脂組成物を用いて得られた硬質ポリウレタンフォームについても、密度および燃焼性を調べた。密度は上記と同様にして、燃焼性はJIS−A−1321に記載の方法に準じて測定された。結果を表4に示す。なお、難燃3級の合格値は発煙係数120以下、温度時間面積350以下、残炎時間30秒以下である。
【0057】
【表3】
【0058】
【表4】
【0059】
上記結果から明らかなように、本発明の硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物を用いれば、オゾン層破壊係数が0かつ沸点5℃以上のHFCを使用しているにもかかわらず、沸きや分離の心配がなく、且つ、高い難燃性を有する硬質ポリウレタンフォームが作製可能である。なお、本発明の硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物を用いて得られる硬質ポリウレタンフォームのうちでも、特に、実施例5、6で得られた硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物を用いて作製されたイソシアヌレート変性硬質ポリウレタンフォームは、JIS−A−1321に合格出来るような非常に難燃性の高いものであることがわかる。
【0060】
【発明の効果】
本発明の硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物を用いれば、オゾン層破壊係数の低いハイドロフルオロカーボンを含有しながら難燃性の高い硬質ポリウレタンフォームが製造可能であり、且つ、硬質ポリウレタンフォームの製造の際に、沸き、分離等の発生がないため、取り扱いが容易である。
Claims (3)
- 発泡剤及びポリヒドロキシ化合物を含むポリオール成分と、ポリイソシアネート成分とからなる硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物であって、前記ポリヒドロキシ化合物が、HO−(CH 2 ) n −O−(CH 2 ) n −OH(n=3以上)、又はHO−(C 2 H 4 O) n −H(n=3以上)で表されるジオールと、ジカルボン酸とがエステル反応により結合した構造を有するポリエステルポリオールを、ポリオール成分全量に対する含有量で10重量%以上含有し、更に、前記発泡剤が、オゾン層破壊係数が0、かつ沸点が5℃以上であるハイドロフルオロカーボンを含有することを特徴とする硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物。
- 前記ポリエステルポリオールが、ポリエチレンテレフタレートの分解生成物とHO−(CH2)n−O−(CH2)n−OH(n=3以上)で表されるジオールを縮合させて得られるポリオールである請求項1記載の硬質ポリウレタンフォーム用樹脂組成物。
- 発泡剤及びポリヒドロキシ化合物を含むポリオール成分と、ポリイソシアネート成分とを混合し発泡させる工程を含む硬質ポリウレタンフォームの製造方法であって、前記ポリヒドロキシ化合物が、HO−(CH 2 ) n −O−(CH 2 ) n −OH(n=3以上)、又はHO−(C 2 H 4 O) n −H(n=3以上)で表されるジオールと、ジカルボン酸とがエステル反応により結合した構造を有するポリエステルポリオールを、ポリオール成分全量に対する含有量で10重量%以上含有し、更に、前記発泡剤が、オゾン層破壊係数が0、かつ沸点が5℃以上であるハイドロフルオロカーボンを含有することを特徴とする硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
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