JP3669395B2 - 粉末組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、粉体の流動性が良好で、しかも水に分散して使用する際に優れた水分散性を有する粉末組成物、特に粉末状皮膚外用剤、粉末状化粧料に関する。さらに、水と共存することにより、酸化等の作用を受け変質しやすい化合物を、安定に配合することができる粉末組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、水中油型エマルションを凍結乾燥し、粉末化することにより、加水分解しやすい化合物を安定に配合したり、防腐剤未配合の製剤を得る技術が知られている。例えば、フランス特許FR2648318号公報では、水中油型エマルションを凍結乾燥することにより、防腐剤を配合しない皮膚外用剤を得る技術が開示されている。また、ドイツ特許2057957号では、生理活性物質を安定に配合するために、油相に脂肪酸及びその誘導体と、高級アルコール及びその誘導体と、ワックスを、水相に界面活性剤を含有する水中油型エマルションを凍結乾燥して粉末化する技術が開示されている。さらに、特開平7−196435号公報では、融点が50℃以上の粉末状脂溶性物質と界面活性剤を特定の割合で水に分散した分散液を凍結乾燥して得られる水易分散性粉末組成物が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明では、粉末の流動性が良好で、しかも水に分散して使用する際に優れた水易分散性を有する粉末組成物を得ることを目的とした。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する手段として発明者は、水溶性の賦形剤を検索したところ、糖アルコールを水相に添加することにより、上記目的が達成されることを見いだし、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明の粉末組成物は、水相に糖アルコール及び親水性界面活性剤を、油相に脂肪酸及びそのエステルから選ばれる一種又は二種以上と炭素数14以上の高級アルコールを含有する水中油エマルションを凍結乾燥して得られる。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられる糖アルコールは、特に限定されないが、四価の糖アルコールであるエリトリトール、五価の糖アルコールであるアラビトール,キシリトール,リビトール、六価の糖アルコールであるガラクチトール,グルシトール,マンニトール、七価の糖アルコールであるセドペヘプチトール,ペルセイトール,ボレミトール、糖アルコール無水物であるスチラシトール,ポリガリトール等が例示される。このなかでも、水溶性及び乾燥後の流動性の点から、五価のアラビトール,キシリトール,リビトール、六価のガラクチトール,グルシトール,マンニトールが好適に使用される。
【0006】
本発明で用いられる親水性の界面活性剤としては、水溶性の性質を有する界面活性剤であれば特に限定されないが、HLB11以上の非イオン性界面活性剤が好ましい。HLB11以上の非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート,ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート,ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート,ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート,ポリオキシエチレン(20)ソルビタンイソステアレート,ポリオキシエチレン(20)ソルビタンオリーブ油脂肪酸エステル等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン(20)ソルビットモノラウレート等のポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン(15)グリセリルモノオレエート,ポリオキシエチレン(15)グリセリルモノステアレート,ポリオキシエチレン(15)グリセリンヤシ油脂肪酸エステル,ポリオキシエチレン(20)グリセリンヤシ油脂肪酸エステル,ポリオキシエチレン(15)グリセリンオリーブ油脂肪酸エステル,ポリオキシエチレン(20)グリセリンオリーブ油脂肪酸エステル,ポリオキシエチレン(15)グリセリン牛脂脂肪酸エステル等のグリセリン脂肪酸エステルの酸化エチレン誘導体類、ポリオキシエチレン(20)モノラウレート,ポリオキシエチレン(30)モノラウレート,ポリオキシエチレン(25)モノステアレート,ポリオキシエチレン(40)モノステアレート,ポリオキシエチレン(45)モノステアレート,ポリオキシエチレン(55)モノステアレート等のポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン(21)ラウリルエーテル,ポリオキシエチレン(25)ラウリルエーテル,ポリオキシエチレン(10)セチルエーテル,ポリオキシエチレン(15)セチルエーテル,ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル,ポリオキシエチレン(25)セチルエーテル,ポリオキシエチレン(30)セチルエーテル,ポリオキシエチレン(40)セチルエーテル,ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル,ポリオキシエチレン(10)オレイルエーテル,ポリオキシエチレン(15)オレイルエーテル,ポリオキシエチレン(20)オレイルエーテル,ポリオキシエチレン(25)オレイルエーテル,ポリオキシエチレン(20)ベヘニルエーテル,ポリオキシエチレン(30)ベヘニルエーテル,ポリオキシエチレン(10)アビエチルエーテル,ポリオキシエチレン(20)アビエチルエーテル,ポリオキシエチレン(10)ラノリンアルコール,ポリオキシエチレン(20)ラノリンアルコール,ポリオキシエチレン(30)ラノリンアルコール等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレン(7)ノニルフェニルエーテル,ポリオキシエチレン(10)ノニルフェニルエーテル,ポリオキシエチレン(15)ノニルフェニルエーテル,ポリオキシエチレン(20)ノニルフェニルエーテル,ポリオキシエチレン(15)オクチルフェニルエーテル,ポリオキシエチレン(20)オクチルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレン(50)硬化ヒマシ油,ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油,ポリオキシエチレン(80)硬化ヒマシ油,ポリオキシエチレン(100)硬化ヒマシ油等のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油誘導体類、ポリオキシエチレン(10)ラウリルエーテルリン酸ナトリウム,ポリオキシエチレン(5)ラウリルエーテルリン酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩類、ジポリオキシエチレン(10)ラウリルエーテルリン酸,トリポリオキシエチレン(10)ラウリルエーテルリン酸等のポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル類、ポリオキシエチレン(92)ポリオキシプロピレン(16)コポリマー,ポリオキシエチレン(134)ポリオキシプロピレン(39)コポリマー,ポリオキシエチレン(194)ポリオキシプロピレン(39)コポリマー,ポリオキシエチレン(244)ポリオキシプロピレン(47)コポリマー,ポリオキシエチレン(196)ポリオキシプロピレン(67)コポリマー,ポリオキシエチレン(76)ポリオキシプロピレン(54)コポリマー,ポリオキシエチレン(256)ポリオキシプロピレン(54)コポリマー,ポリオキシエチレン(150)ポリオキシプロピレン(30)コポリマー,ポリオキシエチレン(104)ポリオキシプロピレン(39)コポリマー等のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ショ糖モノラウリン酸エステル,ショ糖モノミリスチン酸エステル,ショ糖モノパルミチン酸エステル,ショ糖モノステアリン酸エステル,ショ糖モノアラキン酸エステル,ショ糖モノベヘン酸エステル,ショ糖モノオレイン酸エステル,ショ糖モノエルカ酸エステル等のショ糖脂肪酸エステル類が例示される。上記界面活性剤の中でも、粉体に流動性を付与する上で、ショ糖脂肪酸エステル類を配合することが最も好ましい。
【0007】
本発明で用いられる脂肪酸及びそのエステルとしては、炭素数8〜24の脂肪酸及びそのエステル類が用いられる。脂肪酸として例えば、オクタン酸(カプリル酸),ノナン酸(ペラルゴン酸),デカン酸(カプリン酸),ウンデカン酸,ドデカン酸(ラウリン酸),トリデカン酸,テトラデカン酸(ミリスチン酸),ペンタデカン酸,ヘキサデカン酸(パルミチン酸),ヘプタデカン酸(マルガリン酸),オクタデカン酸(ステアリン酸),ノナデカン酸,エイコサン酸(アラキン酸),ヘンエイコサン酸,ドコサン酸(ベヘン酸),トリコサン酸,テトラコサン酸(リグノセリン酸),ペンタコサン酸,オレイン酸,エライジン酸,バセニン酸,ゴンドイン酸,エルカ酸,ブラシン酸,セラコレイン酸,リノール酸,リノエライジン酸,リノレン酸,アラキドン酸,クルパノドン酸,硬化魚油脂肪酸,硬化鯨脂脂肪酸,硬化牛脂脂肪酸,ヤシ油脂肪酸,硬化ヤシ油脂肪酸,パーム油脂肪酸,ナタネ油脂肪酸,大豆脂脂肪酸,ラノリン脂肪酸等が例示される。
【0008】
さらに脂肪のエステルとしては、常温で固形状のエステルが粉体の保形性の面から最も好ましい。常温で固形状のエステルとしては、ヘキサデカン酸メチル,オクタデカン酸メチル,オクタデカン酸エチル,ノナデカン酸メチル,ノナデカン酸エチル,エイコサン酸メチル,エイコサン酸エチル,ヘンエイコサン酸メチル,ヘンエイコサン酸エチル,ドコサン酸メチル,ドコサン酸エチル,トリコサン酸メチル,トリコサン酸エチル,テトラコサン酸メチル,テトラコサン酸エチル,ペンタコサン酸エチル,オレイン酸コレステリル,エルカ酸コレステリル,リノール酸コレステリル,1-モノウンデカン酸グリセリル,1-モノドデカン酸グリセリル,1-モノトリデカン酸グリセリル,1-モノテトラデカン酸グリセリル,1-モノオレイン酸グリセリル,1-モノエライジン酸グリセリル,2-モノデカン酸グリセリル,2-モノドデカン酸グリセリル,1,3-ジデカン酸グリセリル,1,3-ジウンデカン酸グリセリル,1,3-ジドデカン酸グリセリル,1,3-ジトリデカン酸グリセリル,1,2-ジテトラデカン酸グリセリル,1,2-ジヘキサデカン酸グリセリル,1,2-ジオクタデカン酸グリセリル,1-ドデカノイル-2-オレイン酸グリセリル,1-テトラデカノイル-2-オレイン酸グリセリル,1-ヘキサデカノイル-2-オレイン酸グリセリル,1-オクタデカノイル-2-オレイン酸グリセリル,1-オクタデカノイル-3-オレイン酸グリセリル,トリテトラデカン酸グリセリル,トリヘキサデカン酸グリセリル,トリオクタデカン酸グリセリル,1-アセチル-2,3-ジヘキサデカン酸グリセリル,1-アセチル-2,3-ジオクタデカン酸グリセリル,1-デカノイル-2,3-ジオクタデカン酸グリセリル,1-オクタノイル-2,3-ジオクタデカン酸グリセリル,1-ドデカノイル-2,3-ジヘキサデカン酸グリセリル,1-テトラデカノイル-2,3-ジヘキサデカン酸グリセリル,2-オクタデカノイル-1,3-ジテトラデカン酸グリセリル,1-ドデカノイル-2,3-ジオクタデカン酸グリセリル,1-ヘキサデカノイル-2,3-ジテトラデカン酸グリセリル,1-エライジル-2,3-ジテトラデカン酸グリセリル,2-ヘキサデカノイル-1,3-ジテトラデカン酸グリセリル,1-オクタデカノイル-2,3-ジテトラデカン酸グリセリル,1-テトラデカノイル-2,3-ジオクタデカン酸グリセリル,1-テトラデカノイル-2,3-ジエライジン酸グリセリル,2-ドデカノイル-1,3-ジヘキサデカン酸グリセリル,2-テトラデカノイル-1,3-ジヘキサデカン酸グリセリル,1-オクタデカノイル-2,3-ジヘキサデカン酸グリセリル,1-オレオイル-2,3-ジヘキサデカン酸グリセリル,2-オクタデカノイル-1,3-ジヘキサデカン酸グリセリル,1-ヘキサデカノイル-2,3-ジオクタデカン酸グリセリル,2-オレオイル-1,3-ジヘキサデカン酸グリセリル,2-デカノイル-1,3-ジオクタデカン酸グリセリル,2-ドデカノイル-1,3-ジオクタデカン酸グリセリル,2-テトラデカノイル-1,3-ジオクタデカン酸グリセリル,2-ヘキサデカノイル-1,3-ジオクタデカン酸グリセリル,1-オレオイル-2,3-ジオクタデカン酸グリセリル,1-リノロイル-2,3-ジオクタデカン酸グリセリル,2-オレオイル-1,3-ジオクタデカン酸グリセリル,1-オクタデカノイル-2-テトラデカノイル-3-ヘキサデカン酸グリセリル,1-オクタデカノイル-2-ドデカノイル-3-ヘキサデカン酸グリセリル,1-オクタデカノイル-2-デカノイル-3-ヘキサデカン酸グリセリル,1-オクタデカノイル-2-ヘキサデカノイル-3-テトラデカン酸グリセリル,1-オクタデカノイル-2-デカノイル-3-テトラデカン酸グリセリル,1-オクタデカノイル-2-ヘキサデカノイル-3-ドデカン酸グリセリル,1-オクタデカノイル-2-テトラデカノイル-3-ドデカン酸グリセリル,1-オクタデカノイル-2-デカノイル-3-ドデカン酸グリセリル,1-オクタデカノイル-2-ヘキサデカノイル-3-デカン酸グリセリル,1-オクタデカノイル-2-テトラデカノイル-3-デカン酸グリセリル,1-オクタデカノイル-2-ヘキサデカノイル-3-テトラデカン酸グリセリル,1-ヘキサデカノイル-2-テトラデカノイル-3-ドデカン酸グリセリル,ヘキサデカン酸ドデシル,ヘキサデカン酸テトラデシル,ヘキサデカン酸ペンタデシル, ヘキサデカン酸ヘキサデシル,ヘキサデカン酸オクタデシル,オクタデカン酸テトラデシル等の脂肪酸エステルが例示される。
【0009】
また、上記の常温で固形状のエステルのみではなく、常温で固形状のエステルを含有する天然油脂及びその硬化物を配合してもよい。例えば、カカオ脂,モクロウ,牛脂,豚脂、及び天然油脂に水素を添加して得られる硬化油である硬化牛脂,硬化大豆油,硬化ヒマシ油,硬化ヤシ油,硬化パーム油などが例示される。
【0010】
本発明で用いられる炭素数14以上の高級アルコールとしては、室温で固形状の高級アルコールが好ましく、脂肪酸の分岐及び直鎖、飽和若しくは不飽和であるとを問わない。かかる高級アルコールとしては、テトラデカノール,ペンタデカノール,ヘキサデカノール,ヘプタデカノール,オクタデカノール,ノナデカノール,エイコサノール,ヘンエイコサノール,ドコサノール,トリコサノール,テトラコサノール,ペンタコサノール,ヘキサコサノール,ヘプタコサノール,オクタコサノール,ノナコサノール,トリアコンタノール,ヘントリアコンタノール,ドトリアコンタノール等及びこれらの構造異性体等の飽和一価高級アルコール、エライジルアルコールなどの不飽和一価高級アルコール等が例示される。また、高級アルコールを含有するロウ類例えば、ミツロウ,カルナウバロウ,鯨ロウ,羊毛脂,キャンデリラロウ等を配合してもよい。
【0011】
本発明における生理活性物質としては、ビタミン類,ホルモン,酵素,尿素,硫黄,コウジ酸及びその誘導体等が挙げられ、これらの中でも特に水と共存することにより酸化などの作用を受け変質しやすい化合物を本発明の粉末化粧料に配合することにより、保存安定性が向上し、これらの生理活性物質を有効な形態で投与することができるようになる。
【0012】
生理活性物質として配合するビタミン類としては、レチノール,酢酸レチノール,パルミチン酸レチノールなどのビタミンA類、リボフラビン,酪酸リボフラビン等のビタミンB2類、ピリドキシン,塩酸ピリドキシン,ジオクタン酸ピリドキシン,ジカプリン酸ピリドキシン,ジラウリン酸ピリドキシン,ジパルミチン酸ピリドキシン,トリパルミチン酸ピリドキシン等のアシル化ピリドキシン等からなるビタミンB6類、アスコルビン酸及びその塩類,アスコルビルリン酸及びその塩類,ステアリン酸アスコルビル,ジステアリン酸アスコルビル,パルミチン酸アスコルビル,ジパルミチン酸アスコルビル,トリパルミチン酸アスコルビル,ジイソパルミチン酸アスコルビル,ジオレイン酸アスコルビル等のビタミンC類、パントテン酸カルシウム,D-パントテニルアルコール,パントテニルエチルエーテル,アセチルパントテニルエチルエーテル等のパントテン酸類、エルゴカルシフェロール,コレカルシフェロール等のビタミンD類、ニコチン酸,ニコチン酸アミド,ニコチン酸ベンジル等のニコチン酸類、α-トコフェロール,酢酸トコフェロール等のビタミンE類、ビタミンP、ビオチン等が例示される。
【0013】
生理活性物質として配合するホルモンとしては、エストラジオール,エストロン,エストリオール,エキリン,エチニルエストラジオール等の卵胞ホルモン類、プレグネノロン,プロゲステロン等の黄体ホルモン類、11-デオキシコルチコステロン,コルチコステロン,アルドステロン,17α-ヒドロキシプロゲステロン,11-デオキシコルチゾール,コルチゾール,コルチゾン,ヒドロコルチゾン,プレドニゾン,9-α-ヒドロフルオロコルチゾン等の副腎皮質ホルモン類が例示される。
【0014】
生理活性物質として配合する酵素としては、プロテアーゼ,リパーゼ,スーパーオキシドディスムターゼ,リゾチーム,アルカリフォスファターゼ,グルタチオンペルオキシダーゼ,カタラーゼ,アミラーゼなどが例示される。
【0015】
その他本発明に使用される生理活性物質として、核酸,尿素,硫黄,コウジ酸及びその誘導体等が挙げられる。
【0016】
本発明における糖アルコールと脂肪酸及びその誘導体類は1:0.5〜1:10(重量比)の比率で配合することが必要である。この範囲より糖アルコールが少ないと、粉末の流動性が低下し、しかも水分散性においても良好なものが得られない。また、この範囲より糖アルコールが多くなると、粉体が吸湿しやすくなり、保存安定性が低下する。
【0017】
本発明による粉末組成物は、そのまま皮膚外用剤及び化粧料として利用することができ、さらに、皮膚外用剤及び化粧料の基剤として他の成分と併用して使用することもできる。粉末組成物をそのまま皮膚外用剤及び化粧料として利用する際の使用の形態は、粉末をそのまま塗布してもよいが、好ましくは、水又はローション,化粧水などの水性液に分散させて使用する。
【0018】
本発明の粉末組成物は、発明の効果を損なわない範囲で、その他の粉体,その他の油性成分,グリコール,色素,香料,水溶性高分子などを適宜配合することができる。
【0019】
【実施例】
本発明の特徴について、実施例により詳細に説明する。
【0020】
[実施例1]
(1)ショ糖モノステアリン酸エステル 4(重量部)
(2)D-グルシトール 5
(3)精製水 149
(4)ミリスチン酸ミリスチル 5
(5)パルミチン酸 12
(6)ドコサノール 2
製法:(1)〜(3)の水相成分及び(4)〜(6)の油相成分をそれぞれ80℃に加熱溶解均一化した後、油相を水相に添加しホモミキサーで乳化する。冷却後凍結乾燥機(TAITEC社製,FREEZE DRYER VD-60)を用いて−80℃で凍結乾燥した。
【0021】
粉末の流動性評価
本発明の粉末の流動性を評価するために、ホソカワミクロン社製パウダーテスターを用いて、安息角の測定を行った。測定は5回行いその平均値を算出した。同時に、糖アルコールであるD-グルシトールを配合していない粉末組成物を調製して比較例1とし、同様に安息角の測定を行った。結果を表1に示す。
【0022】
更に、本発明の実施例の水分散性を評価するために、実施例1及び比較例1の水分散性を下記の評価基準に基づいて評価した。その結果も表1にあわせて示す。
【0023】
水分散性評価基準
○:水に分散させたときに均一に分散する
△:水に分散させたときに一部塊状の凝集物が認められる
×:水に分散させたときに均一に分散しない
【0024】
【表1】
Figure 0003669395
【0025】
表1に示したとおり、糖アルコールを添加することにより、安息角が小さくなり、粉末の流動性が向上し、しかも水への分散性が向上することが示された。
【0026】
[実施例2〜5]生理活性成分含有粉末組成物
(1)ショ糖モノラウリン酸エステル 1(重量部)
(2)マルチトール 2
(3)精製水 69
(4)硬化ヒマシ油 15
(5)ステアリン酸 10
(6)ノナコサノール 2
(7)生理活性成分 1
製法:(1)〜(3)の水相成分及び(4)〜(6)の油相成分をそれぞれ80℃に加熱溶解均一化した後、油相を水相に添加しホモミキサーで乳化する。冷却後40℃で生理活性成分を10倍量の精製水に溶解して添加し、凍結乾燥機(TAITEC社製,FREEZE DRYER VD-60)を用いて−80℃で凍結乾燥した。なお、生理活性成分として、実施例2ではアスコルビン酸リン酸マグネシウムを、実施例3ではコウジ酸を、実施例4では尿素を、実施例5ではレチノールを用いた。
【0027】
実施例2〜実施例5を用いて継続使用試験を行った。実施例2及び実施例3については日焼けによるシミが気になる女性、実施例4及び実施例5については肌荒れが気になる女性20名をそれぞれ1群として、1日2回、3ヶ月間連続使用させた。使用方法は、実施例を使用時精製水に分散し、シミ又は肌荒れが気になる部分に塗布した。実施例2及び実施例3については、シミ改善効果、実施例4及び実施例5については肌荒れ改善効果を以下に示した評価基準により評価し、評価者の人数で表2に示した。同時に実施例2〜実施例5について粉末組成物の水への分散性についてアンケートを行い、結果を表2に示した。
【0028】
シミ改善効果評価基準
○:シミがかなり白くなった
△:使用前とシミの色調に変化無し
×:シミが濃くなった
【0029】
肌荒れ改善効果評価基準
○:肌荒れがかなり改善された
△:使用前と変化無し
×:肌荒れがひどくなった
【0030】
水分散性評価基準
○:水に分散させたときに均一に分散する
△:水に分散させたときに一部塊状の凝集物が認められる
×:水に分散させたときに均一に分散しない
【0031】
また、粉末の経時変化を調べるために、調製直後及び3ヶ月後の粉末の安息角及び色調の測定を行い、差を求めた。安息角はホソカワミクロン社製パウダーテスターを用いて5回測定し、平均値を求めた。色調は、スガ分光測色機を用いてL値,a値,b値を測色し、3ヶ月後との色差を定法に従い算出し、結果を表2にあわせて示した。
【0032】
【表2】
Figure 0003669395
【0033】
表2に示したとおり、実施例2〜5は、全て美白効果及び肌荒れ改善効果に優れ、しかも水への分散性に優れることが示された。さらに、実施例2〜実施例5は、製造直後と3ヶ月後で、安息角及び色調にほとんど変化がなく、保存安定性に優れることが示された。
【0034】
【発明の効果】
以上詳述したように、水相に糖アルコール及び親水性界面活性剤を、油相に脂肪酸及びそのエステルから選ばれる一種又は二種以上と炭素数14以上の高級アルコールを含有する水中油エマルションを凍結乾燥して得られる粉末組成物は、粉体の流動性が良好で、しかも水に分散して使用する際に優れた水分散性を有する。さらに、水との共存下で酸化等の作用を受け変質しやすい化合物を、安定に配合することができる。

Claims (7)

  1. 水相に糖アルコール及びHLB11以上のショ糖脂肪酸エステル型界面活性剤を、油相に脂肪酸及びそのエステルから選ばれる一種又は二種以上と炭素数14以上の高級アルコールを含有する水中油エマルションを凍結乾燥して得られる粉末組成物。
  2. 糖アルコールがアラビトール,キシリトール,リビトール,ガラクチトール,グルシトール,マンニトールから選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1に記載の粉末組成物。
  3. 生理活性物質を含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の粉末組成物。
  4. 生理活性物質がビタミン類,ホルモン,酵素,核酸,尿素,イオウ,コウジ酸から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1〜請求項3の一に記載の粉末組成物。
  5. 粉末組成物が皮膚外用剤であることを特徴とする、請求項1〜請求項4の一に記載の粉末組成物。
  6. 粉末組成物が化粧料であることを特徴とする、請求項1〜請求項5の一に記載の粉末組成物。
  7. 粉末組成物が、使用時に水と混合することで容易に分散し、クリーム状,乳液状の外観を呈することを特徴とする請求項1〜請求項6の一に記載の粉末組成物。
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