JP3668700B2 - 飲料沈殿物を沈積させるための方法及び装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は請求項１及び請求項１２の一般条項に記載されているタイプの飲料沈殿物を沈積させるための方法及び装置に関するものである。
【０００２】
【発明の背景】
コーヒー自動販売機及び例えば飲料自動販売機などのインスタント粉末を処理しない飲料製造機には、各調合操作を行った後でコーヒーや茶の沈殿物など飲料残滓をすすぎ出すための洗浄装置が備えられていることが多い。排出されたコーヒー沈殿物や排出された茶葉などの残滓を洗浄液から取り出す必要がある場合に、そうした飲料製造機には、通常、例えばドイツ実用新案第９１０９９０１号に述べられているようなタイプの沈殿物受け入れ容器が備えられている。こうした沈殿物受け入れ容器は、それを通じてろ液、つまり洗浄液が流れることができ、一方飲料沈殿物はその受け入れ容器内に留まり、集められて、最終的には取り出して処分することが出きるようなろ過壁を有している。保守作業を軽減するために、これらの沈殿物受け入れ容器は通常少なくとも複数回数の調合操作分の飲料沈殿物を回収するのに十分な大きさを有している。この沈殿物受け入れ容器内に蓄積される飲料沈殿物ろ過ケーキは、従って、徐々に濃くなり、それによってろ過工程が遅くなってしまう。さらに、ろ過ケーキ内の沈降が繰り返される洗浄工程の間に起こること、つまり、より細かな粒子、特にコーヒー沈殿物の粒子がろ過ケーキの表面上に蓄積して、前記ろ過ケーキを通じての流れを不釣合いな程度まで遅くしてしまう。極端な場合、ろ液がまったく流れず、そして短い期間でも保守作業が遅れると、沈殿物受け入れ容器があふれ出てしまう場合もある。
【０００３】
【課題を解決するための手段】
従って、飲料製造機の残滓混合物から飲料沈殿物を沈積させるための装置で、構造的に単純に設計されており、保守作業がより単純な装置及び方法を提供することが本発明の目的である。
【０００４】
この目的は、請求項１による装置と請求項１２の方法によって達成される。
【０００５】
沈殿物受け入れ容器内の残滓混合物の滞留時間は、その残滓混合物を２段階でろ過する場合に、つまり、第１のフィルターで残滓混合物からの第１の量のろ液を最初に除去し、そして、残りの残滓混合物を第２のフィルターを通過させて、それによって、残りの、従って濃縮されたろ液を沈積させるようにすると、大幅に短縮されることが分かった。この２段階ろ液沈積は、一方では、沈殿物、そしてその結果としての飲料沈殿物の表面上でのブロッキング層の形成が回避され、そして、他方では、残りの飲料沈殿物ろ過ケーキは、知られている１段階沈殿の場合よりずっと乾燥されるという効果を有することが分かった。
【０００６】
この装置の好適なさらなる実施形態を請求項２〜１０に述べる。
【０００７】
例えば、請求項２に従ってフロー接続の通路開口部が上記第１のフィルター上に直接設けられている場合、特に好適であろう。
【０００８】
請求項３による装置及び請求項１２による方法における実施の形態の場合、残滓混合物は同時にその上に堆積されたろ過ケーキを載せている上記第１のフィルターのためのすすぎ液として用いられ、前記第１のフィルター上に堆積したろ過ケーキを伴出するので、その第１のフィルターは常時ろ液が堆積されていない状態に保たれる。
【０００９】
請求項４によれば、残滓導管がスクリーン・フィルターに対して好ましい配置モードで終端していれば上記第１のフィルターがスクリーン・フィルターである場合に、この洗浄効果を改善することができる。
【００１０】
洗浄効果は、請求項５及び６による実施の形態に基づいてさらに改善することができる。
【００１１】
請求項７は、本発明による装置の特に好適な実施の形態について述べている。
【００１２】
スクリーン・フィルターの代わりに、上記第１のフィルターとして請求項８に述べられている筒状フィルターを用いることも可能であり、請求項９は筒状フィルターの特に好ましい構造設計について述べている。
【００１３】
請求項１０は、上記第２のフィルターの特に好ましい構造設計について述べている。
【００１４】
最後に、請求項１１により、上記第１のフィルターのための追加的な洗浄装置を設けることができ、上記洗浄装置は、請求項１４によれば、オフ時間が比較的長い場合でも、前記第１のフィルターの目詰まりを防止する。
【００１５】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【００１６】
図１は図示しない飲料製造機、特にコーヒー自動販売機や茶わかし器、あるいは飲料自動販売機などの残滓混合物からの飲料混合物を沈積させるための装置１を示している。インスタント粉末を処理しないこれらの飲料製造機の場合、飲料沈殿物を各調合操作後に調合装置から取り出す必要があり、一部の機械においてはこれは調合装置を水ですすぐことによって行われる。必要であれば、特に基本的な洗浄のためにすすぎ液を加える場合もある。水やすすぎ液が使われた場合はそうしたすすぎ液の洗浄出し混合物と飲料沈殿物は残滓導管２を介して、通常の場合であればボックスあるいはポット型の、少なくとも１つのろ過壁を有する受け入れ容器として設けることができる沈殿物受け入れ容器３内に流れ込む。図示されている実施の形態においては、この沈殿物受け入れ容器３はろ過台４を有しているが、ろ過側壁を設けてもよい。
【００１７】
沈殿物受け入れ容器３は、前記沈殿物受け入れ容器３内に蓄積する飲料沈殿物ろ過ケーキを除去するために取り出すことができ、そして十分に大きな自由空間が上記ろ過台４の下に形成されて、その自由な空間がろ過台４を通過するろ液を回収し、それをろ液導管７を通じて排出するろ液回収室６として機能するようにトラフ５内に、好ましくは取り外し可能に収容される。
【００１８】
さらに別のフィルター８が上記残滓導管２と沈殿物受け入れ容器３の間に配置されており、液体はそのフィルター８を通じて流動方向に流れる。図示されている実施の形態で、フィルター８は具体的には円筒形側壁を有するフィルター室９内に収容された環状スクリーン・フィルターとして設置される。このフィルターはやや傾斜した壁面（低勾配）と中央開口部１０を有する漏斗の形状をしており、この中央開口部によって残滓混合物がろ過されないまま残滓導管２から沈殿物受け入れ容器３内に入ることができるようになっている。この残滓導管２は通路開口部１０に対してほぼ接線方向で、そしてフィルター８に対してはほぼ接線方向でフィルター室９内につながっており、前記残滓導管２から排出された流れＡが上記フィルター８のろ過面に対してほぼ平行に流れてフィルター室９内に流れ込み、そしてフィルター８の前記ろ過面上で渦巻状で通路開口部１０内に流れ込むような状態でフィルター８のほぼ円周上に末端を有している。
【００１９】
フィルター８の下側に前記フィルターを通過するろ液のための回収室１１があり、その回収室１１は通路開口部１０にも沈殿物受け入れ容器３にも接続されていない。回収室１１はろ液導管１２を通じて回収室６内部につながっており、そこから導管７につながっている。
【００２０】
洗浄操作が行われると、洗浄液と飲料沈殿物で構成される残滓混合物が残滓導管２を介してフィルター室９内に接線方向に流れ込み、そのフィルター室から上記第１のフィルター８を横切ってらせん状流路で流れる。上記残滓混合物の液体の一部はすでに前記第１のフィルター８を通過しており、回収室１１と導管１２を通じて引き出される。そして、残りの残滓混合物は上記渦巻状の流れに非常によく巻き込まれる第１のフィルター８上のろ過ケーキと共に通路開口部１０を通じて濃縮混合物として沈殿物受け入れ容器３内に流れ込み、そこでろ過台４（あるいはろ過側壁）の形状の第２のフィルターを介して洗浄液からの飲料沈殿物の最終的な沈積が行われる。
【００２１】
２回の洗浄操作の間にどうしても比較的長いオフタイムが発生する飲料製造機においては、第１のフィルター８のろ過面に対するさらなる洗浄装置１３（図２）を安全な側に設けることができる。この洗浄装置１３の助けを借りて、先の洗浄操作で沈殿物受け入れ容器３内に十分にすすぎ落とされておらず、そのろ過面上で乾燥せず、次ぎの洗浄操作が始まる前に再溶解してしまう飲料沈殿物を第１のフィルター８のろ過面から除去することができる。この洗浄装置１３は非常に異なった構造で設計することができる。例えば、前記洗浄装置１３に残滓混合物の流れＡの方向で第１のフィルター８の前方に配置され、前記スプレイ・ノズル１４から排出されるジェットがフィルター８全体を洗い流すような向きで配置されたスプレイ・ノズル１４を設けることができる。必要であれば、洗浄液、例えば水をスプレイ・ノズル１４によって導入し、その洗浄液がフィルター８を洗浄するようにする。
【００２２】
洗浄装置１３は回収室１１内で終端し、それを通じて洗浄液、例えば水を、前記洗浄液がろ液室１１からフィルター８を通じて流れＡとは反対の方向に押され、そして通路開口部１０から排出されるような方法で十分な圧力あるいは十分な流速で前記回収室１１内に導くことができる逆流導管１５を含むこともできる。
【００２３】
洗浄装置１３には、例えば、所定の時間的間隔でろ過面８上を誘導されるワイパー・ブレードを含む機械的ワイパー１６を備えることもできる。
【００２４】
スプレイ・ノズル１４、逆流導管１５、あるいはワイパー１６は好ましくは交互に配置されるが、組み合わせで用いることも可能である。
【００２５】
図３は飲料製造機の残滓混合物から飲料沈殿物を沈積するために用いられる本発明による装置２１のさらに別の実施の形態を示している。装置１の構成部品と同じ、あるいは同様の装置２１の構成部品は同じ番号で示し、説明は繰り返さない。
【００２６】
前記装置２１の残滓導管２は、その第２の開口端面が沈殿物受け入れ容器３内につながっている通路開口部３０を形成している、筒状フィルター１８として設置されている第１のフィルターの開口端面内に開口している。前記フィルター１８のろ過外表面は別個の導管３２を介して回収室６内部につながり、そこからさらに導管７につながっているろ液回収室３１と連通している。前記図に示されている残滓導管２の下側領域と筒状フィルター１８の位置的に揃えられた中心軸は流速が過度に大きくならず、しかも流れが中断しなように軽度に傾斜（低勾配）をつけておくのが望ましい。残滓混合物は残滓導管２から第１のフィルター１８内に上記ろ過手段に対して横方向で、筒状フィルター１８のろ過壁面に対しては平行に延びる流動方向に沿って流れ、ろ液の最初の沈積が筒状フィルター１８のろ壁を通じて行われ、このようにして沈積されたろ液がその流れによって伴出される。ろ液は回収室３１、導管３２及び７を介して引き出される。濃縮された残滓混合物は通路開口部３０を通じて沈殿物受け入れ容器３内に流れ込み、そこで第１の実施の形態に関連してすでに述べたようにそこからさらに水分が取り除かれる。
【００２７】
上述し、図面に示した実施の形態を修正することで、第１のフィルターとして通路開口部を持っていたり、持っていなかったりするような異なった構造的設計に基づくフィルターを用いることも可能であろう。例えば、図１に示す実施の形態において平面的なスクリーン・フィルターを用いることが可能であろうし、残滓導管がフィルター室とそのフィルター室に向きあった側の通路開口部で終端する箇所を設けることも可能であろう。また、沈殿物受け入れ容器の構造的設計をそれぞれの必要性にあわせて適合化させることもできる。例えば、図３に示す実施の形態で逆流導管やワイパーなどの追加的な洗浄装置を設けることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明による装置における第１の実施の形態を図式的に示す概略図である。
【図２】追加的な洗浄の可能性を提供することができる図１の実施の形態を示す図である。
【図３】本発明による装置における第２の実施の形態を図式的に示す概略図である。
【符号の説明】
１、２１…装置、２…残滓導管、３…沈殿物受け入れ容器、４…ろ過台、５…トラフ、６…ろ液回収室、７…ろ液導管、８…フィルター、９…フィルター室、１０…中央開口部、１１…回収室、１２…ろ液導管、１３…洗浄装置、１４…スプレイ・ノズル、１５…逆流導管、１６…ワイパー、１８…筒状フィルター、３０…通路開口部、３１…ろ液回収室、３２…導管。

Claims (14)

1. 残滓導管と沈殿物受け入れ容器を有するろ過手段とを備えた、飲料製造機の残滓混合物から飲料沈殿物を沈積するための装置であって、
   前記ろ過手段は、前記残滓混合物の流れ方向（Ａ）で見た場合に前後に並んで配置された第１と第２のフィルター（４、８、１８）を備え、前記第２のフィルター（４）は前記沈殿物受け入れ容器（３）によって形成されていて、前記第１のフィルター（８、１８）には第 1 のろ液排出手段（１１、１２、３１、３２）が設けられ且つ前記第２のフィルター（４）には第２のろ液排出手段（６）が設けられていること、
   前記残滓導管（２）から排出された残滓混合物と前記第１のフィルター（８、１８）上に沈積された飲料沈殿物とのための流動接続通路（１０、３０）が、前記残滓混合物及び飲料沈殿物が前記第１のフィルターをバイパスして前記沈殿物受け入れ容器（３）に導かれるように設けられており、当該流動接続通路（１０、３０）にも前記沈殿物受け入れ容器（３）にも前記第 1 のろ液排出手段（１１、１２、３１、３２）が接続されていないこと、
   を特徴とする前記装置。
2. 前記流動接続通路が前記残滓混合物のための通路開口部（１０、３０）を備えており、前記通路開口部が前記第１のフィルター（８、１８）上に設けられていることを特徴とする請求項１に記載の装置。
3. 前記流動接続通路が前記残滓混合物のための流路を含んでおり、前記流路が前記第１のフィルター（８、１８）のろ過面にわたって横方向に延びていることを特徴とする請求項１又は２に記載の装置。
4. 前記第１のフィルター（８）がスクリーン・フィルターであり、前記残滓導管（２）が前記ろ過面に対してほぼ平行に末端を有することを特徴とする請求項１〜３のいずれか１項に記載の装置。
5. 前記スクリーン・フィルターに前記通路開口部（１０）を形成する貫通孔が設けられており、そして、前記残滓導管（２）と通路開口部（１０）との間のろ過面が勾配を形成していることを特徴とする請求項２又は４に記載の装置。
6. 前記残滓導管（２）が前記通路開口部（１０）に対して接線方向に末端を有していることを特徴とする請求項４又は５に記載の装置。
7. 前記第１のフィルター（８）がスクリーン・フィルターであり中央通路開口部（１０）を備えてフィルター室（９）内に配置されていること、前記残滓導管（２）が前記フィルター室（９）内に接線方向に末端を有していること、そして、前記通路開口部（１０）が沈殿物受け入れ容器と連通しており、前記通路開口部（１０）の外側及び前記第１のフィルター（８）の下側に位置する領域が前記ろ液排出手段（１１、１２）と連通していること、を特徴とする請求項１〜６のいずれか１項に記載の装置。
8. 前記第１のフィルター（１８）が筒状フィルターであることを特徴とする請求項１〜３のいずれか１項に記載の装置。
9. 前記筒状フィルター（１８）はその端面のひとつが前記残滓導管（２）に接続されており、その反対側の端面には通路開口部（３０）が設けられていることを特徴とする請求項８に記載の装置。
10. 前記第２のフィルターが、前記沈殿物受け入れ容器（３）の少なくとも１つのろ過壁面領域（４）を構成していることを特徴とする請求項１〜９のいずれか１項に記載の装置。
11. 前記第１のフィルター（８、１８）のための洗浄装置（１３）が設けられていることを特徴とする請求項１〜１０のいずれか１項に記載の装置。
12. 飲料製造機の残滓混合物から飲料沈殿物を沈積させ、その残滓混合物を沈殿物受け入れ容器に導入、ろ過する方法であって、２工程ろ液沈積であり、ろ液の幾分量が第１の工程で第１のフィルターを介して残滓混合物から抽出され、残りの残滓混合物が前記第１のフィルター上のろ過ケーキと供に第２の工程にかけられ、前記沈殿物受け入れ容器によって形成された第２のフィルターを介して飲料沈殿物の最終的沈積が起こることを特徴とする方法。
13. ろ液沈積の前記第１の工程で、残滓混合物が前記第１の工程のろ過ケーキに対するすすぎ剤として用いられることを特徴とする請求項１２に記載の方法。
14. 前記第１のフィルターを機械的あるいはすすぎ液で洗浄できることを特徴とする請求項１２又は１３に記載の方法。

Images