JP3663298B2 - 磁気ディスク装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気ディスク装置とそれを用いたヘッドの位置決め方法に係り、特に磁気ヘッドを目標トラックに追従させる動作に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の磁気ディスク装置の制御方法として、特開平3−288913号公報に示される方法がある。これには目標位置との差が大きいときは、速度制御系で制御し、ヘッドが目標位置に近づくと現在位置と目標位置の差に基づく位置決め制御系に切換えて制御する場合、速度制御系から位置制御系に切り換える時に切り換え時の位置、速度、加速度の状態量に対して適切な係数を乗じ、加算することにより位置制御系の補償器の初期値を設定することが開示されている。これにより切り換え時の条件が変動しても、オーバーシュートのない、望ましい過渡応答が得られる。
【0003】
前記した切換後のフォロイング制御系は目標位置への追従誤差をなくすため、積分特性を有する制御系としている。しかし、シーク制御からフォロイング制御への切り換え時に速度検出誤差があったり、温度上昇等によるコイル抵抗や電流検出抵抗の増加で制御対象のループゲインが変動すると、フォロイング補償器の積分特性による遅い応答が過渡応答として現れ、セトリング性能が悪化する。そのため、シーク制御系とフォロイング制御系の間に遅い応答となって現れる閉ループ極を持たない制御系としてセトリング制御系を介在させることにより、切り換え時の検出誤差やゲイン変動があっても応答の安定性を向上させている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記セトリング制御系の補償器は位相進み補償器となり、補償器の特性として積分効果をもたないため外力が制御対象に作用する場合に追従特性が低下する。
【0005】
本発明はセトリング制御系を介さずにシーク制御からフォロイング制御へ切り換えができ、かつ切り換え時の検出誤差やゲイン変動、また外力等の外乱が作用する場合にもセトリング性能を悪化させない制御方法を得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記した課題に対する解決方法として、以下の制御方法を用いる。
【0007】
アクチュエータに望ましいセトリング応答を行わせるためフィードフォワードで目標位置とそれに対応する操作量をアクチュエータに与える。目標位置に対するアクチュエータの追従誤差をフォロイング補償器で補償する。フォロイング補償器で追従誤差を低減しようとする場合には、補償器の積分特性による遅い応答が現れセトリング性能を低下させてしまうので、フォロイング補償器を位相進み特性からなる補償器と積分特性からなる補償器の2つに並列化する。積分補償器に大きな追従誤差が入力する場合には、積分器の状態量をリミッタで制限することにより積分補償器を飽和させて、もう一方の位相進み補償器だけによって制御するようにする。
【0008】
これにより、ゲイン変動時のように大きな追従誤差が入力する場合には積分補償器を飽和させて位相進み補償器のみで制御し遅い応答が現れるのを防ぎ、外力変動時のように小さな追従誤差が入力する場合には、積分補償器を正常に動作させ外力の影響の抑制効果を向上する。このような構成をとることにより、種々の外乱が作用してもセトリング性能を低下させない制御系を得ることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明を用いた磁気ディスク装置のヘッド位置決め制御系の一実施例の構成図である。
【0010】
スピンドルモータ8には、記録媒体である磁気ディスク4が保持されており、定められた回転数により回転される。また、磁気ディスク4の側方向には、ピボット軸受3が、スピンドルモータ8の軸に平行になるように設けられている。キャリッジ11はピボット軸受3に揺動可能に固定されている。磁気ヘッド1はキャリッジ11の先端に固定されている。磁気ヘッド1を移動させるための動力はボイスコイルモータ(VCM)2により発生する。
【0011】
磁気ヘッド1は、磁気ディスク4上のサーボセクター12に記録されている位置信号を検出して現在位置を知ることが可能である。磁気ヘッド1が検出した位置信号は、ヘッド信号増幅器13により増幅され、サーボ信号復調器14により復調される。
【0012】
サーボセクター12に記録されている情報を図2を用いて説明する。
【0013】
磁気ディスク4面には、同心円状に複数のトラックが形成されており、そのうち#i−1、#i、#i+1トラックを代表して示す。サーボセクター12は、マーカー40、トラック番号41、4種類のA42、B43、C44、D45のサーボパターンを円周方向に記録している。
【0014】
マーカー40はサーボセクター12の開始位置を示す。トラック番号41は、例えばグレーコード等によりトラック番号を記録している。サーボパターンは、ディスク半径方向についてパターンA、Bを1トラックずつ交互に記録し、またパターンC、Dも同様に1トラックずつ交互に記録し、パターンA、BとパターンC、Dでは0.5トラックずらしている。このようなサーボパターンから得られる信号を、後述する方法により復調することによって、右側に示すようにパターンA、Bの差からヘッド位置信号N46を復調し、同時にパターンC,Dの差からヘッド位置信号Q47を復調する。
【0015】
ヘッド位置信号N46、Q47は0.5トラック位相のずれた信号であり、通常2相サーボと呼ばれる。すなわち、ヘッド位置信号Nは#i−1、#i、#i+1で示すトラックセンターを中心に、ヘッドの半径方向に対して直線的に変化し、トラック境界で飽和した特性となる。これに対してヘッド位置信号Q47は、トラック境界を中心に直線的に変化し、トラック中心で飽和した特性となる。このため、トラックセンタを中心とした所定範囲ではヘッド位置信号Nを使用し、トラック境界部分ではヘッド位置信号Q47を使用することで、全トラック範囲に亘りヘッド位置を示すヘッド位置信号を得ることができる。
【0016】
次に、図3を用いて図1のサーボ信号復調器14で行う操作を説明する。図3には、#iトラックの中心を磁気ヘッド1に設置されたリードヘッドのコア部が通過するときのヘッド読み取り信号22を示している。
【0017】
読み取られたA42、B43、C44、D45の各サーボ信号は、全波整流し積分することにより、信号Va53、Vb54、Vc55、Vd56として検出される。各信号はAD変換器26によりAD変換されてバス15を介してMPU19に取り込まれるか、または図4に示すような抵抗59〜62と加算器58、又は抵抗63〜66と加算器57からなる減算回路を用いてヘッド位置信号N46とヘッド位置信号Q47を求め、AD変換器26によりAD変換してバス15を介して位置信号71を得る。このヘッド位置信号を図1のMPU19で処理し、以下の方法でVCM制御信号68を生成する。
【0018】
図1において、MPU19に対してはバス15を介してROM18、RAM17が設けられる。ROM18にはMPU19で実行する本発明のシーク制御を含む各種の制御プログラムが格納され、また各種の制御に必要なパラメータも格納されている。
【0019】
MPU19に対しては、バス15を介してインターフェースコントローラ20が接続され、ホストコントローラ21のコマンドを受けて、MPU19に対してリード、ライトのアクセス要求を出す。MPU19はアクセス要求を受けて、ROM18に記録される位置決め制御方法を実行し、VCM制御信号68を生成する。本発明の位置決め方法の計算順序を図5を用いて説明する。
【0020】
図5は本発明の位置制御系の数式モデルによるブロック線図である。説明上制御対象67の数式モデルをNp(z)/Dp(z)で表わす。ここで制御対象67とは、図1において、MPU19で計算される操作量68から、MPU19による処理が可能となるように生成した位置信号71までのハード部を数式に置き換え、入出力特性を表わしたものが伝達関数Np(z)/Dp(z)である。ホストコントローラ21からデータのリードライトを要求するコマンドが発行されると、現在のヘッド位置71から目標位置73までの距離に対応して目標速度を与え、図示しない速度制御系(シーク制御)により制御する。
【0021】
磁気ヘッド1が目標位置73に近づくと、図5に示す位置制御系に切換え、現在位置と目標位置の差に基づいて位置決めする。フィードフォワード補償生成部74は、望ましい過渡応答を実現する閉ループ系のモデルからなる。前記速度制御から位置制御への切り換え時に、閉ループ系モデルのセトリング補償器76の初期値を、後述する補償器の初期値設定法に基づいて設定した後、セトリング補償器76よりフィードフォワード信号69を生成する。
【0022】
フィードフォワード補償生成部74の制御対象のモデル75の出力である位置78に目標位置73加算し望ましい目標位置誤差77を求める。この目標位置誤差77に位置誤差72を加算して求めた追従誤差79を、積分補償器86と位相進み補償器84からなるフィードバック補償器に入力し、積分補償器86と位相進み補償器84の出力80を加算してフィードバック操作量85を生成する。このように生成したフィードフォワード信号69とフィードバック操作量85を加算して操作量68を生成する。
【0023】
このようにして生成した操作量68を用いて、図1に示すようにDA変換器27にてパワーアンプ制御信号25を生成し、パワーアンプ16に与える。
【0024】
次に、本発明の位置決め制御方法の設計法および構成の詳細を説明する。
【0025】
制御対象のモデル75を導出する方法は次のようになる。操作量u68から位置信号y71までのゲインをKとすれば、制御対象の状態方程式は数1で記述される。
【0026】
【数1】
Figure 0003663298
【0027】
DA変換器27からの操作量の計算結果の出力はある周期で更新されるが、その間の値が一定に保持されるものを零次保持特性と呼ぶ。さらにDA変換器27への操作量の出力周期が位置信号の検出周期Tsと一致している場合には、数2により制御対象の状態方程式の離散時間表現を得る。
【0028】
【数2】
Figure 0003663298
【0029】
実際には位置信号の検出からDA変換器27による操作信号の出力までには、演算時間や変換時間が必要で、操作信号の出力が遅れる。遅れ時間をm・Tsとするとき、数2は次のように書き直される。
【0030】
【数3】
Figure 0003663298
【0031】
数3をz変換することにより、u68からy71までの制御対象のパルス伝達関数Np(z)/Dp(z)は数4となる。
【0032】
【数4】
Figure 0003663298
【0033】
AD変換器26から電流出力までには、高周波数領域の機構共振の影響が現れないようにバンドエリミネーションフィルタ(ノッチ)やローパスフィルタが接続されており、これが位相遅れの原因となる。この位相遅れを時間遅れに換算し、等価無駄時間として数3の時間遅れに含ませてもよい。このとき等価無駄時間をTde、着目する周波数をfc、その時の位相遅れをPdとすることにより、等価無駄時間は例えば次式により表わすことができる。
【0034】
【数5】
Figure 0003663298
【0035】
次にフィードフォワード補償生成部74の設計について説明する。この部分は数4で表わした制御対象67の離散時間表現Np(z)/Dp(z)とセトリング補償器76Ns(z)/Ds(z)で表わされる。セトリング補償器76の導出には、例えば以下に示すような極配置手法を用いて、制御系が遅いモードを持たないように設計できる。閉ループ制御系の伝達関数は次の数6で表わされる。
【0036】
【数6】
Figure 0003663298
【0037】
この時、数6の特性方程式は数7で表わされ、Ns(z)/Ds(z)の係数を適切に決めることにより極配置が達成される。配置する極としては、例えば0.9以下となるようにする。
【0038】
【数7】
Figure 0003663298
【0039】
速度制御系から位置制御系に切り換える時に、フィードフォワード補償生成部74のセトリング補償器76の初期値を設定するが、その設定法の設計について説明する。
【0040】
初期値設定は、切り換え後の位置制御系の応答を、切り換え時の状態量の初期値からの初期値応答とみなし、補償器の初期値を適切に指定することにより、初期値から制御量yまでの閉ループ伝達関数の零点を、閉ループ伝達関数の遅い極を相殺するように指定し、応答の整定を速やかにする。
【0041】
まず、Ns(z)/Ds(z)で表わされる補償器を数8のような差分方程式で表わす。
【0042】
【数8】
Figure 0003663298
【0043】
次に、数2と数8をz変換することにより、制御系切り換え時の制御対象の初期値Xp(0)と補償器の初期値Xc(0)から位置信号yまでの伝達関数を数9のように求める。
【0044】
【数9】
Figure 0003663298
【0045】
次に切り換え後の過渡応答を望ましい応答とする補償器の初期値を制御対象の初期条件から求めるために、Xc(0)=K・Xp(0)の関係を満足するKを導入する。このとき、数9は数10のように表わされる。
【0046】
【数10】
Figure 0003663298
【0047】
数10において、制御系の特性多項式はD(z)となり、D(z)=0の根が前記した閉ループ系の極を表す。このうち消去したい遅い極をr1、r2、・・・と取り上げ、Np(z)、Nc(z)において、z=r1、z=r2、・・・と置いて、数11を満足するようなKを求めれば切り換え条件の変動によらず、応答を速やかに整定させる補償器の初期値を得る。
【0048】
【数11】
Figure 0003663298
【0049】
係数K導出の一例として、例えばXp(0)が2行1列で、Xc(0)が2行1列とすればKは2行2列で数12のように表わされ、閉ループ系の極のうち遅い方の2つを消去可能である。
【0050】
【数12】
Figure 0003663298
【0051】
ここで、消去したい極をr1、r2とすると、Kの要素は数13の関係式により求めることができる。
【0052】
【数13】
Figure 0003663298
【0053】
ただし、Np(z)=[Np1(z)、Np2(z)]、Nc(z)=[Nc1(z)、Nc2(z)]とし、Np1、Np2、Nc1、Nc2はスカラである。以上が初期値補償の設計法である。
【0054】
次に位相進み補償器84と積分補償器86の和の特性からなるフィードバック補償器の設計について説明する。フィードバック補償器は、フィードフォワード補償生成部74からの望ましい位置の応答と実位置との誤差を補償するように位相進み遅れ特性を持つように指定される。その伝達関数をNf(z)/Df(z)で表わしておく。次に、次式を満たすような、Npa(z)/Dpa(z)を導出し、2つの並列な位相進み補償器84と積分補償器86を合成した特性がNf(z)/Df(z)となるようにする。
【0055】
【数14】
Figure 0003663298
【0056】
Nf(z)/Df(z)は、外力が制御系に作用する場合にも定常偏差を生じないように積分特性をもち、かつ制御系の一巡伝達関数Np(z)/Dp(z)・Nf(z)/Df(z)のクロスオーバー周波数(入出力の振幅比が1となる周波数)を例えば500Hzとし、そのとき35deg〜40degの位相余裕がとれるような位相進み特性をもつ補償器として設計する。追従誤差補償器の一方は位相進み特性のみをもつNs(z)/Ds(z)とし、他方のNpa(z)/Dpa(z)はNf(z)/Df(z)−Ns(z)/Ds(z)から求めるので、結果として積分特性をもつ。
【0057】
ここで、積分特性を有するかどうかの定義として1つはNf(z)/Df(z)またはNs(z)/Ds(z)とNp(z)/Dp(z)で構成する閉ループ制御系の極の実部の絶対値が0.9より大きい場合には積分特性を有し、0.9より小さい場合には積分特性を有しないとする。また、もう1つの定義として、補償器Nf(z)/Df(z)またはNf(z)/Df(z)の周波数特性として、例えば100Hz以下の領域で周波数が低くなるほどゲインが増加する場合、積分特性をもつとする。
【0058】
並列補償器の導出としては、逆にNpa(z)/Dpa(z)を指定し、Ns(z)/Ds(z)を数14の関係を用いて導出することもできる。Npa(z)/Dpa(z)の次数はNf(z)/Df(z)の次数+Ns(z)/Ds(z)の次数の和となり、次数が高くなるため計算量が多くなる。そのため求めたNpa(z)/Dpa(z)の極と零点を解析し、必要な極と零点からNpa(z)/Dpa(z)を低次元化してもよい。
【0059】
次に、求めたNpa(z)/Dpa(z)に対して状態量が、制限値以上に増加するのを防止するワインドアップ制御の構成を示す。ワインドアップ制御のためには積分補償器86をNpa(z)81と1/Dpa(z)のブロックに分割し、1/Dpa(z)のブロックに図5に示すようにリミッタ83を挿入する。すなわち1−Dpa(z)をフィードバック補償器82としてリミッタ83を前向きに入れる。このとき、Dpa(z)はmonic多項式とする。
【0060】
今、積分補償器86Npa(z)/Dpa(z)を積分器として、ワインドアップ制御を導入した場合の出力例を示す。
【0061】
図6に矩形波eを積分補償器86に与えた時の補償器出力の時間応答u1の例を示す。図6には、比較のため、ワインドアップ制御を行わない場合のNpa(z)/Dpa(z)の出力の時間応答u2の例および、Npa(z)/Dpa(z)の出力に直列にリミッタを入れた場合の出力の時間応答u3の例を示す。状態量を制限するようにリミッタを入れた場合の応答u1だけが出力制限がなされ、かつ誤差入力の変化に応答しており、応答u2は操作量が制限されず、応答u3は操作信号は制限されるが、入力eの符号の反転に対して応答が遅れることがわかる。
【0062】
ワインドアップ制御のリミット値108と109の決め方については、ある期間、例えば切換後の1ms程度、リミット値を小さくし、一定期間経過後はリミット値を大きくする方法を用いる。リミット値の与え方については、上限値と下限値の絶対値を変えたり、経過時間により段階的に変更していくこともできる。
【0063】
次に、本発明を適用した場合の効果を表わす観測信号を示す。観測信号としては、図2に示したヘッド位置信号46又は47とする。図1のホスト側コントローラにより指定トラックへのシークコマンドを発行し、ヘッドを目標トラックへシークさせる。このときのヘッド位置信号を観測する。
【0064】
本発明の効果は、外力の作用下において目標トラックへのセトリング応答を改善することである。外力としては、ピボット軸受部3で発生する転がり摩擦力やヘッドの信号をやり取りしたり、VCM2に電流を供給するケーブルの変形によってアクチュエータに作用する力がある。
【0065】
図7はヘッド位置換算で10mNの力が作用した条件で目標トラックへシークさせた場合の位置信号の応答で、特にシークモードが終了し、セトリングモードへの移行時からの応答である。
【0066】
図7(1)は、本発明の制御方式を用いた場合の応答である。セトリングからフォロイングへの切り換えがないため、応答90と91が一様に収束していることが特徴である。図7(2)には、従来の制御方式を用いた場合の応答93、94を示す。
【0067】
従来方式では、2ms時点でセトリングモードからフォロイングモードへ移行するが、その時位置が滑らかに収束せず、応答の整定が本発明の方法に対して遅くなることがわかる。効果を定量化すると、本発明では、行き過ぎ量で40%、0.4マイクロメートル以下への到達時間で0.6ms短縮することができる。
【0068】
図8には本発明の積分補償器86の出力upa70の応答96と97を示す。出力upa70は外力の影響を補償するため徐々に増加している。また積分補償器は飽和していないため外力の影響の低減が可能となっている。
【0069】
次に、制御対象のループゲインが変動する場合の本発明の効果を示す。磁気ディスク装置において、装置の温度上昇による電流検出抵抗の変化や磁気ヘッドを最外周に位置決めする時等の、VCMで発生する磁束の漏れによる発生力の低下により制御系のループゲインが変動する。これは、目標トラックへのヘッドの整定応答に影響を与える。ここでは、その現象を模擬するため、パワーアンプの増幅率を抵抗を交換することにより変更し、制御対象のループゲインを−10%および+10%と変化させて、目標トラックへのシーク時の位置信号を観測する。
【0070】
図9は位置信号の応答波形で、特にシークモードが終了し、セトリングモードへの移行時からの応答である。図9(1)は、本発明の制御方法を用いた場合の応答である。通常、積分特性をもつ補償器により位置決めする場合、ゲインの変動により積分特性による遅い応答が現れ、大きなオーバーシュートやアンダーシュートが発生する。しかし、本方法では大きな誤差が入力する場合に積分補償器が飽和し、位相進み補償器のみにより制御されるため、積分特性による遅い応答が現われず、位置の応答が99や100のように速やかに整定する。図9(2)には従来のセトリングモードを用いた場合の応答102、103を示すが、(1)と比較すると、本発明の方がセトリングモードをもつ場合と同等のゲイン変動の補償効果を有することがわかる。
【0071】
実際に積分補償器が飽和していることを示すため、図10に積分補償器の出力upa70の応答105と106を示す。シーク終了後のある期間は、積分補償器の状態量は値110と111で指定される値に制限しており、1〜1.3msの期間出力が飽和していることがわかる。
【0072】
ここまでは、目標トラックへのシーク時の応答波形を見てきた。次にトラック追従時における本方式の効果を示す。
【0073】
トラック追従時には、外部からキャリッジ11にパルス状の力(加速度外乱)が作用したり、ディスク支持系に力が作用して磁気ヘッド1の位置がディスク面上の目標トラックから相対的にずれたりする場合がある。キャリッジ11に作用する加速度外乱を模擬するため、パワーアンプに対して印加外乱36としてパルス状の電圧を一定時間与える。この操作はキャリッジ11を叩いてインパルス外乱を与える方法と等しく、もちろん可能ならば、直接キャリッジを叩いてインパルス外乱を与える方法をとってもよい。
【0074】
印加外乱36の電圧レベルは作用する加速度外乱の大きさを表わし、印加時間は加速度外乱の持続時間を表わす。このとき図4に示した方法で検出できるヘッド位置信号46又は47の観測結果を図11に示す。
【0075】
図11(1)は加速度1.3m/s/sに相当する印加外乱36の電圧の換算値を1msの期間加えた場合の位置信号46の応答である。また、図11(2)は前記の10倍に相当する加速度13m/s/sの電圧36の換算値を同じく1msの期間加えた場合の位置信号46の応答である。
【0076】
図11(1)のように与える外乱の振幅が小さい場合には、本発明を適用した場合の応答112と従来の応答113は一致している。
【0077】
しかし、図11(2)に示すように与える外乱のレベルが相対的に大きくなると、本発明を適用した場合の応答114は従来の応答115に比較して応答が逆ぶれなく速やかに整定している。
【0078】
以上を図12に加速度外乱印加により本発明の制御系を用いた場合の位置信号応答の特徴を検出するフローチャートとしてまとめる。
【0079】
これより、本発明の制御方式を適用した場合の位置信号波形112、114の特徴として外乱のレベルにより応答波形の形状が異なり、外乱のレベルが大きいほど従来に対して改善効果が大きくなる。これに対して従来の応答波形113および115は振幅の絶対値は異なるが、両者の波形は相似となることがわかる。これは線形系においては当然である。
【0080】
次に外部からのディスク支持系に力が作用し、ディスク面上の目標トラックからヘッド位置がある距離ずれた場合の応答を示す。図13(1)は2ms経過後に0.24マイクロメートルだけヘッド位置がずれた場合のヘッド位置の復帰の応答であり、図13(2)は2ms経過後に24マイクロメートルだけヘッド位置がずれた場合のヘッド位置の復帰の応答である。
【0081】
図13(1)に示すように、ヘッド位置のずれが小さい場合には、本発明の応答と従来の応答は一致する。それに対して、図13(2)に示すようにヘッドの位置のずれが大きい場合には、本発明は従来に対してオーバーシュートが低減し、アンダーシュートも小さくなっている。また、図13(1)、図13(2)から従来の応答波形は、相似となっているが、本発明によれば、ヘッドの位置ずれが大きくなるほど従来に対して応答が改善される。これは、本発明の積分補償器に対するワインドアップ制御により、作用する外乱が大きくなった時に積分効果が抑制され、制御系の遅いモードが現れるのを防ぐためである。
【0082】
本実施例の制御方式の動作開始は、シーク終了時からフォロイングへ切り換える時点としているが、シーク開始から適用することも可能である。その場合には、図1のフィードフォワード補償生成部74において、制御対象モデル75の状態量をシーク開始時の制御対象67の状態量に設定し、セトリング補償器76の状態量を初期値補償で設定すればよい。又は、フィードフォワード生成部74は制御対象モデル75、モデルの速度目標値生成手段、モデルの速度検出手段等で構成されるシーク制御系のモデルで構成してもよい。又は、フィードフォワード生成部は望ましい位置の軌跡78と軌跡78を生成するためのフィードフォワード信号69を生成する構成であればよい。
【0083】
【発明の効果】
磁気ディスク装置の位置決め制御系において、閉ループモデルを用いたフィードフォワード制御と積分補償器に対するワインドアップ制御を用いて位置制御系を構成することにより、目標トラックへのシーク時およびトラックフォロイング時に制御対象に外力が作用したり、シークモードからフォロイングモードへの切り換え時に、速度検出誤差や制御対象のゲイン変動があっても、位置の応答が速やかに整定し、目標トラックへ高速にシークすることが可能となり、データ書き込み時のシーク時間の向上およびトラック追従性能の向上が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施例の磁気ディスク装置の構成図。
【図2】セクターに記録される磁気パターンと復調信号。
【図3】#iトラック中心をリードヘッドが通過する時のサーボ読み取り信号。
【図4】位置信号N、Q生成用の演算回路の一例。
【図5】本発明の位置決め制御方法を示すブロック図。
【図6】ワインドアップ制御を導入した積分器86の出力応答特性図。
【図7】外力が作用した場合の位置信号の応答の比較。
【図8】外力が作用した場合に本発明の制御方式の並列補償器が出力波形。
【図9】制御対象のゲインに変動が生じた場合のトラックシーク時の位置信号応答波形。
【図10】制御対象のゲインに変動が生じた場合に本発明の制御方式の並列補償器の出力波形。
【図11】キャリッジに小振幅の加速度外乱を印加する時の位置信号の応答特性図。
【図12】加速度外乱印加時の位置信号応答特性を検出するフローチャート。
【図13】ディスクに外乱を印加し、ヘッド位置を目標トラックからずらした時の位置信号の応答特性図。
【符号の説明】
1…磁気ヘッド、2…ボイスコイルモータ、3…ピボット軸受、4…磁気ディスク、8…スピンドルモータ、11…キャリッジ、12…サーボセクタ、13…ヘッド信号増幅器、14…サーボ信号復調器、15…バス、16…パワーアンプ、17…RAM、18…ROM、19…MPU、20インターフェースコントローラ、21…ホスト側コントローラ、26…AD変換器、27…DA変換器、67…制御対象、74…フィードフォワード補償生成部、75…制御対象のモデル、76…セトリング補償器、84…位相進み補償器、86…積分補償器。

Claims (1)

  1. 制御対象の目標位置を入力し、制御対象の位置検出信号と前記目標位置との位置誤差を求め、前記位置誤差から操作量を求めてアクチュエータを制御する位置決め制御装置を備えた磁気ディスク装置において、
    前記位置決め制御装置は、
    制御対象のモデルを備え、
    前記制御対象のモデルの出力である位置と目標位置との差分である目標位置誤差を位相進み特性をもつ第3の補償器に入力し、前記第3の補償器で演算により第1の操作量を求め、
    前記第1の操作量を用いて前記制御対象のモデルの出力を演算し、
    記目標位置誤差と前記位置誤差との差分を、状態量の上下限を制限する機能を有する積分特性を有する第1の補償器と、位相進み特性をもつ第2の補償器とに入力し、前記第1及び第2の2つの補償器の演算結果の和である第2の操作量を求め、前記第1の操作量と第2の操作量を加算した操作信号により前記アクチュエータを駆動し、制御対象の位置制御を行うことを特徴とする磁気ディスク装置。
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