JP3661196B2 - 撮像装置の製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、撮像装置に関し、特に簡単な構成を有し、かつ優れた位置分解能を有し、しかも感度・分解能が劣化しにくい撮像装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光源として、X線等の放射線源を用い、この放射線源から放射される、X線等の放射線を被写体に照射して、被写体における放射線の吸収、散乱、分散ならびに反射等を利用して、被写体の表面組織や内部組織を分析・検査する技術は、放射線計測、放射線分析の分野の他、非破壊検査技術等として、材料、機械、電気、電子、生物等の技術分野や、医療分野で幅広く利用されている。
【0003】
放射線の測定・検出方法としては、放射線を可視光線に変換して測定・検出する方法が知られている。
【0004】
たとえば、軟X線を測定・検出するには、シリコンダイオードや、GaAsダイオードを用いる技術が知られている。
【0005】
また、たとえば、高エネルギーのX線(10KeV〜100KeV程度)を測定・検出するには、蛍光体の一種であるシンチレータを用いる技術が知られている。
【0006】
シンチレータとしては、たとえば、ヨウ化セシウム(CsI)、ヨウ化ナトリウム(NaI)、硫化亜鉛(ZnS)等の無機シンチレータや、アントラセン、ナフタリン等の結晶を用いた有機結晶シンチレータや、テルフェニルなどの蛍光物質をポリスチレン中に重合したプラスチックシンチレータや、テルフェニルなどの蛍光物質をトルエンなどの溶媒に溶かした液体シンチレータ等の有機シンチレータが知られている。
【0007】
従来、この種のシンチレータは、いずれも単体として用いられている。
図7は、従来のX線診断装置の一例を概略的に示す構成図である。
【0008】
図7を参照して、図7(a)は、従来のX線診断装置の動作原理を説明するための概略的な全体構成図であり、図7(b)は、図7(a)に示すX線診断装置の光学系を概略的に示す構成図である。
【0009】
図7(a)および図7(b)を参照して、このX線診断装置61は、X線照射手段62と、X線像検出手段としてのX線蛍光増倍管64と、テレビカメラ63と、データ収集・処理系としての演算処理手段65とを含む。
【0010】
X線照射手段62は、光源であるシンクロトロン放射光装置(図示せず)から照射されたシンクロトロン放射光(SR光)から単色X線を分光して生成するための分光結晶66を含む。分光結晶66としては、たとえば、シリコン単結晶が用いられる。そして、この単色X線のエネルギーの切換は、分光結晶66と、シンクロトロン放射光(SR光)とのなす角を変化させることにより行なえるようになっている。
【0011】
X線蛍光増倍管64内には、入力蛍光面64aと、出力蛍光面64bとが収容される。
【0012】
入力蛍光面64aの材質としては、金(Au)やヨウ化セシウム(CsI)の膜が用いられ、X線を電子に変換する。
【0013】
出力蛍光面64bの材質としては、たとえば、ヨウ化セシウム(CsI)や、ヨウ化ナトリウム(NaI)が用いられ、電子を可視光に変換する。そして、上述したように、入力蛍光面64aおよび出力蛍光面64bのそれぞれは、上記した材料が、単体の膜(スクリーン)の形状で用いられている。
【0014】
また、テレビカメラ63は、1次レンズ66と、ミラー68と、高速シャッター67と、2次レンズ69と、可視光の光画像を電気信号に変換する手段としての撮像管63aとを含む。
【0015】
また、データ収集・処理系としての演算処理手段65には、テレビカメラ63で撮影され、電気信号に変換された画像信号からエネルギー差分像を生成する処理プログラムが記憶されている。
【0016】
また、演算処理手段65には、たとえば、CRTディスプレイ等の画像表示手段(図示せず)が接続される。
【0017】
次に、このX線診断装置61の動作について説明する。
まず、被写体70を、X線照射手段62とX線蛍光増倍管64との間に配置する。
【0018】
被写体70には、造影注入器71から、撮影したい臓器に対し、必要によりカテーテル等を用い、造影剤が注入される。
【0019】
次に、シンクロトロン放射光装置(図示せず)を使用して、シンクロトロン放射光(SR光)を、X線照射手段62に照射する。
【0020】
X線照射手段62に照射されたシンクロトロン放射光(SR光)は、分光結晶66で、単色X線にされ、被写体70に照射される。
【0021】
被写体70を透過したX線は、X線蛍光増倍管64で、可視光の光画像に変換され、テレビカメラ63で撮影される。
【0022】
より詳しくは、被写体70を透過したX線は、X線蛍光増倍管64の出力蛍光面64b上に、可視光の光画像を形成する。そして、出力蛍光面64b上に形成された可視光の光画像は、1次レンズ66を通過し、ミラー68により反射され、2次レンズ69を通過して、撮像管63aの入力面上に結像する。
【0023】
次に、撮像管63aの入力面上に結像した光画像は、電気的な画像信号に変換され、演算処理手段65に送られ、演算処理手段65に記憶された処理プログラムに従って、エネルギー差分像の電気的な画像信号を出力する。
【0024】
演算処理手段65から出力されたエネルギー差分像の電気的な画像信号は、画像表示手段(図示せず)に送られる。そして、画像表示手段(図示せず)に送られたエネルギー差分像の電気的な画像信号は、画像表示手段(図示せず)により画像信号に変換され、画像表示手段(図示せず)に被写体のエネルギー差分像の光画像を映し出す。
【0025】
次に、エネルギー差分像の形成原理を説明する。
造影剤は、あるエネルギーでX線の吸収係数が変化する物質を含む。
【0026】
たとえば、血管造影剤の主成分であるヨウ素は、33.17KeVのエネルギーで、X線の吸収係数が6倍程度変化する。このX線の吸収係数が変化するエネルギーは、吸収端と呼ばれている。そして、この吸収端の上と下で、それぞれX線吸収像を形成し、その差を求めると、ヨウ素だけが他の組織に比べ非常に高感度で画像化できる。すなわち、吸収端の上と下で計測した2枚の画像管で差分をとった場合、生体組織に関しては、2つのエネルギーでX線吸収係数にほとんど差がないので、差分により消去され、造影剤を含む臓器部分のみを描出した画像(エネルギー差分像)が得られる。
【0027】
ところで、図7(b)を再び参照して、このX線診断装置61では、真空管の一種である撮像管63aが用いられている。
【0028】
近年、真空管の一種である撮像管63aの代わりに、CCD(Charged Coupled device) 型撮像素子等の固体撮像素子が幅広く用いられるようになってきている。
【0029】
CCD型撮像素子等の固体撮像素子は、真空管の一種である撮像管と違って、半導体で構成されているために、次のような多くの長所がある。
【0030】
(1) 長寿命である。
(2) 振動や衝撃に強い。
【0031】
(3) 焼き付きがない。
(4) 電子ビームを用いないので、電磁界の影響を受けない。
【0032】
(5) 偏向コイルなどを用いないので、軽量であり、高い電圧を必要としない。
【0033】
(6) 消費電力が少ない。
(7) 電子ビームを加速、偏向する距離が必要ないので、小型化が可能である。
【0034】
(8) 規則正しく画素が配列されているので、画像歪みがない。
(9) ヒータを用いないので、瞬時に信号が得られる。
【0035】
図8は、従来の可視光用のCCD型撮像素子(CCDイメージセンサ)の一例を概略的に示す図である。
【0036】
図8を参照して、図8(a)は、従来の可視光用のCCD型撮像素子の外観を概略的に示す斜視図であり、図8(b)は、図8(a)に示す従来の可視光用のCCD型撮像素子のVIII−VIII線に従う概略的な断面図である。
【0037】
図8(a)および図8(b)を参照して、この可視光用のCCD型撮像素子73は、凹部74hを有する支持体74と、支持体74の凹部74hに収容され、受けた光を電気信号に変換するための光電変換素子部75と、支持体74の表面上に、凹部74hを覆うように設けられ、かつ凹部74hに収容された光電変換素子部75を密封するように設けられた光入射窓76を含む。
【0038】
光入射窓76の材質としては、たとえばガラスが用いられている。
CCD型撮像素子73は、光電変換素子部75に、複数個の画素(センサ)72が、1次元または2次元に配列されたアレイ型センサである。
【0039】
図9は、従来の可視光用のCCD型撮像素子の動作原理を説明するための概略的な構成図である。
【0040】
図9を参照して、図9(a)に示すCCD型撮像素子は、フレーム・トランスファ型CCDの動作原理を説明するための概略的な構成図であり、図9(b)に示すCCD型撮像素子は、インタライン・トランスファ型CCDの動作原理を説明するための概略的な構成図である。
【0041】
図9(a)を参照して、このフレーム・トランスファ型CCD83は、受光部84と、光遮蔽された蓄積部85を含む。
【0042】
受光部84は、光を感じる複数の有効画素(以下、単に画素という)82を含む。複数の画素82は、水平方向、垂直方向に、格子状に配列される。
【0043】
蓄積部85は、複数の画素82と同じ数の遮光された遮光画素86を含む。
複数の遮光画素86は、複数の画素82と同様、格子状に配列される。
【0044】
次に、このフレーム・トランスファ型CCD83の動作について説明する。
まず、受光部84の複数の画素82のそれぞれに発生した電荷が、垂直帰線期間に蓄積部85に一度に高速転送される。
【0045】
次に、蓄積部85に転送された電荷は、複数の垂直CCDシフトレジスタ87の1ラインごとに、水平CCDシフトレジスタ88から出力される。
【0046】
また、図9(b)を参照して、このインタライン・トランスファ型CCD93は、受光部94と、蓄積部95を含む。
【0047】
受光部94は、複数の画素92を含む。複数の画素92は、水平方向、垂直方向に格子状に配列される。
【0048】
格子状に配列された複数の画素92の列のそれぞれは、蓄積部95を構成する垂直CCDシフトレジスタ97と隣合わせになるように交互に配列される。
【0049】
次に、このインタライン・トランスファ型CCD93の動作について説明する。
【0050】
まず、受光部94の複数の画素92のそれぞれに発生した電荷が、隣接して設けられた垂直CCDシフトレジスタ97に読出される。
【0051】
次に、垂直CCDシフトレジスタ97に読出された電荷は、複数の垂直CCDシフトレジスタ97の1ラインごとに、水平CCDシフトレジスタ98から出力される。
【0052】
次に、受光部を構成する画素の基本構成について説明する。
画素(光電変換素子)は、MOS構造を有する。
【0053】
可視光用のCCD型2次元撮像素子では、画素として、たとえば、2次元型アレイ型センサを製作しやすい、シリコンダイオードや、GaAsダイオード等のフォトダイオードが用いられている。
【0054】
図10は、画素の基本構成を概略的に示す断面図であり、画素として、シリコンダイオードが用いられた例を示す。
【0055】
図10を参照して、この画素102は、P型シリコン半導体103と、P型シリコン半導体103の表面103S上に、たとえば、SiO2 等の絶縁膜104を介して形成された電極105を含む。
【0056】
そして、絶縁膜104の表面104Sおよび電極105の表面105Sをともに覆うように保護膜106が設けられる。
【0057】
保護膜106の材質としては、たとえば、多結晶シリコンが用いられている。
ところで、可視光用のCCD型撮像素子は、ビデオカメラなどに幅広く使用されているが、宇宙X線観測衛星等に搭載されているX線専用のCCD型撮像素子は、一般には手に入り難く、安価で、位置分解能の劣化しにくいX線用のCCD型撮像素子の開発が望まれている。
【0058】
比較的手に入りやすいX線用のCCD型撮像素子としては、応用物理第62巻第7号(1993)page718〜page719に記載される直接X線撮像型CCDが知られている。
【0059】
この直接X線撮像型CCDは、可視光用のCCD型撮像素子をX線用のCCD型撮像素子に設計変更しているものである。
【0060】
図8を再び参照して、可視光用のCCD型撮像素子73では、光入射窓76の材料としては、ガラスが用いられている。
【0061】
ガラスは、可視光に対しては透明であるが、X線は透過しにくい。
また、図10を再び参照して、可視光用のCCD型撮像素子に含まれる画素102は、その表面が、多結晶シリコン膜等の保護膜106で覆われている。
【0062】
多結晶シリコンは、可視光を通すが、1KeV以下のX線を吸収する。
また、画素の光電吸収を起こす空乏層の領域(図示せず)は、可視光をよく吸収するが、X線は透過しやすい。
【0063】
このため、可視光用のCCD型撮像素子を、X線用のCCD型撮像素子として用いる場合には、光入射窓76を取り去ったり、保護膜106の膜厚を薄くしたり、空乏層を厚くしたりするといった設計変更が必要である。
【0064】
また、インタライン・トランスファ型CCDにおいて、複数の画素の各々を光学的に別個独立したものとするために用いられる薄いアルミ膜(図示せず)は、可視光を遮蔽できるが、X線は透過するため、X線用のCCD型撮像素子としては、可視光用のCCD型撮像素子として多様されている、インタライン・トランスファ型CCDではなく、フレーム・トランスファ型CCDを用いる必要がある。
【0065】
【発明が解決しようとする課題】
図7に示される従来のX線診断装置61のような装置では、X線蛍光増倍管64や、撮像管63aが用いられている。
【0066】
X線蛍光増倍管64には、出力蛍光面64bとして、上述したように、ヨウ化セシウム(CsI)や、ヨウ化ナトリウム(NaI)の材料からなる単体の膜(蛍光体スクリーン)が用いられる。
【0067】
出力蛍光面64bとして、ヨウ化セシウム(CsI)や、ヨウ化ナトリウム(NaI)の結晶を用いる場合には、ヨウ化セシウム(CsI)や、ヨウ化ナトリウム(NaI)の大型結晶を作製するのが難しく、量産性に欠けるという問題があり、結果として、X線診断装置が高額になるという問題があった。
【0068】
また、出力蛍光面64bを単体の膜(スクリーン)として形成した場合には、被写体の位置分解能がよくないという問題があった。
【0069】
また、真空管の一種である撮像管63aを用いた場合には、撮像管の寿命が短いという問題や、消費電力が大きくなるという問題や、画像歪みが生じるという問題や、焼き付きが生じるといった問題がある。
【0070】
他方、応用物理第62巻第7号(1993)page718〜page719に記載される、直接X線撮像型CCDでは、特に軟X線波長数Å〜数100Å程度、エネルギーが数KeV用として用いる場合には、光入射窓(図8に示す光入射窓76)を取り去る必要があるが、光入射窓を取り去ると、画素を構成するシリコンダイオード等のフォトダイオードの表面の汚れ等が原因して、感度が経時的に変化するという問題がある。
【0071】
また、エネルギーが、10KeV以上の高エネルギーのX線用として用いる場合には、光電吸収を起こす空乏層の領域でのX線の吸収率が低下するため、この種の直接X線撮像型CCDでは、高エネルギーX線用として用いると、感度が低下するという問題がある。
【0072】
上述したように、可視光用のCCD型撮像素子を設計変更して、X線用のCCD型撮像素子を作製する技術には、その応用範囲に限界があるという問題がある。
【0073】
また、X線専用のCCD型撮像素子の開発が望まれるが、X線専用のCCD型撮像素子は、製作技術上等の種々の問題から、一般には、手に入りにくいという問題がある。
【0074】
本発明は、以上のような問題を解決するためになされたものであって、簡単な構成を有し、かつX線等の放射線用の撮像装置として、優れた位置分解能を有し、しかも感度・分解能が経時的に劣化しにくい撮像装置を提供することを目的とする。
【0075】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記した目的を達成するために鋭意努力した結果、可視光用のCCD型撮像素子を、X線用のCCD型撮像素子に設計変更するよりも、可視光用のCCD型撮像素子と、X線等の放射線に感応して、可視光線を発するシンチレータ等の蛍光体とを組合わせれば、感度が経時的に変化しにくいX線用等の放射線用の撮像装置を提供することができることを知見して、本発明を完成するに至った。
【0076】
また、本発明者は、シンチレータ等の蛍光体を単体として用いるのではなく、アレイ型センサの一種であるCCD型撮像素子の受光部に含まれる複数の画素のそれぞれに対応するように、光学的に別個独立した複数のシンチレータ等の蛍光体として用いれば、撮像装置の位置分解能が、CCD型撮像素子の位置分解能に概ね一致することを知見して、本発明を完成するに至った。
【0077】
すなわち、本発明に従う撮像装置の製造方法は、複数の画素を含む固体撮像素子を準備する工程と、遮光体と蛍光体とからなる蛍光体フィルムを準備する工程と、固体撮像素子上に蛍光体フィルムを固定する工程とを備える。蛍光体フィルムを準備する工程では、複数の貫通孔を有する遮光体を準備する工程と、複数の貫通孔の内部にそれぞれ蛍光体を配置する工程とを実施する。固体撮像素子上に蛍光体フィルムを固定する工程は、固体撮像素子における画素のそれぞれと、蛍光体フィルムにおける複数の貫通孔の内部に配置された蛍光体のそれぞれとが重なるように、蛍光体フィルムを固定する。
また、上記遮光体を準備する工程は、レジストパターンを形成する工程と、金属構造体を形成する工程と、樹脂型を形成する工程と、遮光体を得る工程とを含んでいてもよい。レジストパターンを形成する工程では、シンクロトロン放射光を用いたフォトリソグラフィー法を利用して、複数の柱状体を有するレジストパターンを形成してもよい。金属構造体を形成する工程では、レジストパターンを埋設するように金属層を形成した後、レジストパターンを金属層から除去することにより、金属構造体を形成してもよい。金属構造体は、柱状体が配置されていた位置に凹部が形成された表面を有していてもよい。樹脂型を形成する工程では、金属構造体の上記表面上から凹部の内部にまで延在する樹脂層を形成した後、金属構造体を樹脂層から除去することにより、上記樹脂層からなる樹脂型を形成してもよい。この樹脂型では、上記凹部の内部に位置していた樹脂層の一部が柱状のパターンを形成していてもよい。遮光体を得る工程では、樹脂型における柱状のパターンが形成された面上に、X線および可視光線を遮光できる材料層を形成してもよい。そして、材料層から樹脂型を取外すことにより、上記材料層からなる遮光体を得てもよい。遮光体には上記柱状のパターンに対応した複数の貫通孔が形成されていてもよい。
【0078】
遮光体は、好ましくは、X線および可視光線を遮光する材料からなることを特徴とする。
【0079】
X線および可視光を遮光する材料としては、特に以下の場合に限定されることはないが、たとえば金(Au)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)等の金属材料を挙げることができる。
【0080】
また、複数の画素を含む固体撮像素子は、CCD型撮像素子であることを特徴とする。
【0081】
なお、本明細書で用いる用語「蛍光体」は、外部からの種々の刺激により、可視光を発する物質を意味する。
【0082】
蛍光体としては、特に以下の場合に限定されることはないが、たとえば、本発明に従う撮像装置をX線用として用いる場合には、NE102(NuclearEnterprise社製),NE111(Nuclear Enterprise社製)等のプラスチックシンチレータや、アントラセン等の有機結晶等を挙げることができる。
【0083】
【作用】
本発明に従う撮像装置の製造方法は、以下の構成を備えている。
【0084】
(1) 複数の画素を含む固体撮像素子を準備する工程を備えている。
(2) 遮光体と蛍光体とからなる蛍光体フィルムを準備する工程を備えている。
【0085】
(3) 固体撮像素子における画素のそれぞれと、蛍光体フィルムにおける蛍光体のそれぞれとが重なるように、固体撮像素子上に蛍光体フィルムを固定する工程を備えている。
本発明に従った撮像装置の製造方法では、固体撮像素子上に別部材である蛍光体フィルムを配置する。
また、本発明に従う撮像装置の製造方法により製造された撮像装置では、蛍光体により、X線等の放射線の光画像を可視光の光画像とした後、複数の画素を含む固体撮像素子により、可視光の光画像を電気的な画像信号に変換する。
【0086】
すなわち、本発明に従う撮像装置の製造方法により製造した撮像装置では、可視光の光画像を、固体撮像素子により撮影している結果、ガラス等の材料からなる光入射窓を取り去る必要がなく、また、画素の表面に設けられた保護膜の膜厚を薄くする必要もない。
【0087】
したがって、本発明に従う撮像装置の製造方法により製造した撮像装置は、画素を構成するフォトダイオード等の光電変換素子の表面の汚れ等が防止される結果、たとえば、軟X線用等の放射線用の撮像装置として用いても、感度・位置分解能が経時的に変化しにくい。
【0088】
また、本発明に従う撮像装置の製造方法により製造した撮像装置では、蛍光体を単体として用いるのではなく、蛍光体は、遮光体の複数の貫通孔内のそれぞれに設けられる。
【0089】
遮光体は、固体撮像素子の表面上に形成され、固体撮像素子の複数の画素のそれぞれと、遮光体の複数の貫通孔のそれぞれとは、それぞれ対応するように設けられる。
【0090】
複数の貫通孔内に設けられた蛍光体のいずれかに入射したX線等の放射線は、当該他の貫通孔内に設けられた蛍光体の方へは透過しない。
【0091】
また、複数の貫通孔内に設けられた蛍光体のいずれかに入射したX線等の放射線に感応して発せられた可視光線も、当該他の貫通孔内に設けられた蛍光体の方へは散乱しない。
【0092】
すなわち、複数の貫通孔内に設けられた蛍光体のいずれかに入射したX線等の放射線は、当該蛍光体により、可視光線に変換された後、当該貫通孔に対応して設けられる固体撮像素子の画素により撮影される。
【0093】
したがって、本発明に従う撮像装置の製造方法により製造した撮像装置は、固体撮像素子の位置分解能に概ね一致する位置分解能を有する。
【0094】
【実施例】
以下、この発明の一実施例について、図面を参照して、詳細に説明する。
【0095】
図1は、本発明の動作原理を説明するための概略的な構成図である。
図1を参照して、図1(a)は、本発明に従う撮像装置の動作原理を概略的に示す一部切欠き斜視図であり、図1(b)は、図1(a)に示す撮像装置のI−I線に従う概略的な断面図である。
【0096】
図1(a)および図1(b)を参照して、この撮像装置1は、複数の画素2を含む固体撮像素子3と、複数の画素2を含む固体撮像素子3の表面3S上に形成され、複数の画素2に対応して設けられた複数の貫通孔4hを有する遮光体4と、複数の貫通孔4h内のそれぞれに設けられた蛍光体5とを備える。
【0097】
本実施例においては、特に、単体として用いられる蛍光体(蛍光体スクリーン)との区別を明確にするため、複数の画素2を含む固体撮像素子3の表面3S上に形成され、複数の画素2に対応して設けられた複数の貫通孔4hを有する遮光体4と、複数の貫通孔4h内のそれぞれに設けられた蛍光体5とを備える、部材を、蛍光体フィルム9という。
【0098】
なお、本実施例では、固体撮像素子としては、公知の可視光用の固体撮像素子を用いている。したがって、図1では、本願発明の特徴である、複数の画素と、複数の画素に対応して設けられた複数の貫通孔を有する遮光体と、複数の貫通孔内のそれぞれに設けられた蛍光体について中心に図示し、固体撮像素子の基本回路、周辺回路および固体撮像素子の動作についての説明を省略する。
【0099】
また、図1では、説明を容易とするため、固体撮像素子3に含まれる複数の画素2の表面上に、蛍光体フィルム9が直接接しているように図示しているが、通常は、蛍光体フィルム9は、固体撮像素子3に含まれる光入射窓(図8に示される光入射窓76)の表面上に載置され、固定される。
【0100】
固体撮像素子としては、複数の画素(ピクセル)を含む、可視光用の固体撮像素子であれば、公知の固体撮像素子、すなわち、公知のアレイ型撮像素子を好適に用いることができる。そのような可視光用の固体撮像素子としては、たとえば、MOSイメージセンサや、CCDイメージセンサや、BBDイメージセンサ等の固体カメラとして知られている固体撮像素子を挙げることができる。
【0101】
次に、この撮像装置1の動作原理について説明する。
図1(b)を参照して、図1(b)より明らかなように、蛍光体5のそれぞれは、遮光体4により仕切られている。X線等の放射線6が、遮光体4により仕切られている任意の蛍光体(以下、蛍光体セルという)5へ入射すると、蛍光体セル5は、放射線に感応して、可視光線7を発する。
【0102】
蛍光体セル5のそれぞれは、遮光体4により仕切られているので、任意の蛍光体セル5に入射した放射線6は、当該他の蛍光体セルの方へは透過しない。
【0103】
また、任意の蛍光体セル5に入射したX線等の放射線6に感応して発せられた可視光線7も、当該他の蛍光体セルの方へは散乱しない。
【0104】
すなわち、蛍光体セル5にいずれかに入射したX線等の放射線6は、蛍光体セル5により可視光線7に変換された後、当該蛍光体セル5に対応して設けられた固体撮像素子3の画素2mにより撮影される。
【0105】
したがって、本発明に従う撮像装置1は、固体撮像素子3の位置分解能に概ね一致する位置分解能を有する。
【0106】
参考例
図2は、参考例としての撮像装置の動作原理を説明するための概略的な構成図である。
【0107】
図2を参照して、図2(a)に示す撮像装置11は、以下の点を除き、図1に示す撮像装置1と同様の構成であるので、相当する部材については、相当する参照符号を付して、その説明を省略する。
【0108】
この撮像装置11は、撮像装置1とは、蛍光体15の設けられ方が異なっている。
【0109】
すなわち、この撮像装置11では、固体撮像素子3の表面3S上に、単体としての蛍光体15が設けられている。
【0110】
このように、単体としての蛍光体15を固体撮像素子3の表面3S上に設けた撮像装置11では、蛍光体15の膜厚を厚くすると、蛍光体15に入射したX線等の放射線6に感応して発せられた可視光線7が、蛍光体15内において散乱し、可視光線7が、固体撮像素子3に含まれる、本来到達すべき画素2mのみではなく、当該画素2mに隣接する、または当該画素2mの周辺の複数の画素2wへも到達する。その結果、撮像装置11により撮影された像は、ぼけたものとなる。
【0111】
図2を再び参照して、図2(b)に示す撮像装置21は、以下の点を除き、図2(a)に示す撮像装置11と同様の構成であるので、相当する部材については、相当する参照符号を付して、その説明を省略する。
【0112】
この撮像装置21は、撮像装置11とは、蛍光体25の設けられ方が異なっている。
【0113】
すなわち、この撮像装置21では、固体撮像素子3の表面3S上に設けられた単体としての蛍光体25の膜厚が、撮像装置11の蛍光体15の膜厚に比べ薄く形成されている。
【0114】
このように、単体としての蛍光体25の膜厚を薄くすると、蛍光体25に入射し、X線等の放射線6に感応して発せられる可視光線7の蛍光体25内における散乱は低減され、その結果、撮像装置21では、撮像装置11に比べて、撮影された像のぼけが低減される。
【0115】
しかしながら、蛍光体25の膜厚を薄くすると、今度は、X線等の放射線6が蛍光体25を透過してしまって、撮像装置21の感度が下がってしまう。
【0116】
参考例に示した撮像装置11および撮像装置21に見られる上記した問題は、蛍光体を単体として用いるのではなく、上記した実施例に示すように、固体撮像素子に含まれる複数の画素に対応して設けられた、遮光体の複数の貫通孔内のそれぞれに蛍光体を設けるという構成により解決される。
【0117】
また、高エネルギーのX線用の撮像装置として用いる場合には、高エネルギーのX線は、蛍光体に対する透過率が大きくなるが、そのような場合には、蛍光体フィルム9の膜厚を厚く形成する、または、一定の膜厚を有する蛍光体フィルム9を複数枚重ねることによって対応することができる。
【0118】
次に、本発明に従う撮像装置の製造方法について、以下に説明する。
本発明に従う撮像装置の製造方法は、以下の工程の備えている。
【0119】
(1) 複数の画素を含む固体撮像素子を準備する工程を備えている。
(2) 複数の画素に対応して設けられた複数の貫通孔を有する遮光体を準備する工程を備えている。
【0120】
(3) 複数の貫通孔内のそれぞれに蛍光体を設け、複数の貫通孔を有する蛍光体と、複数の貫通孔内のそれぞれに設けられた蛍光体とを備える、蛍光体フィルムを準備する工程を備えている。
【0121】
(4) 固体撮像素子に含まれる複数の画素のそれぞれと、蛍光体フィルムの遮光体の複数の貫通孔内のそれぞれに設けられた蛍光体のそれぞれとが、一致するように、固体撮像素子の表面上に、蛍光体フィルムを位置合わせし、固定する工程を備えている。
【0122】
次に、図を参照しながら、本発明に従う撮像装置の製造方法の好適な実施例について、以下に説明する。
【0123】
図3〜図5は、本発明に従う撮像装置の製造方法の一例を模式的に示す断面図である。
【0124】
図3を参照して、まず、図3(a)に示す工程において、複数の画素を含む固体撮像素子として、たとえば、公知の可視光用のCCD型撮像素子33を準備する。この可視光用のCCD型撮像素子33は、凹部34hを有する支持体34と、支持体34の凹部34hに収容され、受けた光を電気信号に変換するための光電変換素子部35と、支持体34の表面上に凹部34hを覆うように設けられ、かつ凹部34hに収容された光電変換素子部35を密封するように設けられた光入射窓36を含む。
【0125】
なお、この光入射窓36の材質としては、通常の光入射窓材料、すなわち、ガラスが用いられている。
【0126】
光電変換素子部35は、複数の画素32を含む。
なお、本実施例では、公知の可視光用のCCD型撮像素子を用いている。したがって、本明細書においては、説明を容易とするため、公知の可視光用のCCD型撮像素子の製造方法については、その説明を省略する。
【0127】
図3(b)から図5(c)は、本発明に従う撮像装置を構成する蛍光体フィルムの製造方法の一例を示す。
【0128】
まず、図3(b)に示す工程において、たとえば、シリコン基板等の基板37の表面上に、たとえば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)をベースとするレジスト層38を形成する。次に、図3(c)に示す工程において、CCD型撮像素子33に含まれる複数の画素32のそれぞれと同じ寸法を有し、かつCCD型撮像素子33に含まれる複数の画素32と同じ配列パターンを有するX線用マスク39を準備する。
【0129】
そして、このX線用マスク39をマスクとして用い、たとえば、シンクロトロン放射光(SR光)(波長2〜5Å程度)を用い、レジスト層38を露光する。
【0130】
次に、図3(d)に示す工程において、露光したレジスト層38を有する基板37を、現像液中に浸漬し、現像することにより、規則正しく格子状に配列された複数の柱状体40pを有するレジストパターン40を形成する。
【0131】
より詳しくは、複数の柱状体40pのそれぞれを、基板37に対して垂直方向に見た場合のそれぞれの寸法は、CCD型撮像素子33に含まれる複数の画素32のそれぞれの寸法と概ね一致するように形成される。また、複数の柱状体40pの配列パターンは、CCD型撮像素子33に含まれる複数の画素32の配列パターンと概ね一致するように形成される。
【0132】
次に、図4(a)に示す工程において、図3(d)に示す工程において形成されたレジストパターン40に従って、電鋳、電気メッキまたは無電解メッキ等により、たとえば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、金(Au)等の金属41を堆積する。
【0133】
次に、図4(b)に示す工程において、基板37およびレジストパターン40を除去することにより、複数の規則正しく、格子状に配列された凹部42hを有する金属構造体42を得る。
【0134】
次に、図4(c)に示す工程において、図4(b)に示す工程において作製された金属構造体42を型として用い、射出成型法またはトランスファー成型法等の公知の成型技術を用い、金属構造体42の複数の凹部42hに誘電性プラスチック43を充填し、さらに、金属構造体42の表面42Sおよび金属構造体42の複数の凹部42hに充填された誘電性のプラスチック43のそれぞれの表面43Sをともに覆うように、導電性プラスチックシート44を設ける。
【0135】
次に、図4(d)に示す工程において、金属構造体42を除去することにより、誘電性プラスチック43と導電性プラスチック44とからなる樹脂型45を作製する。
【0136】
次に、図5(a)に示す工程において、樹脂型45の谷間45hに電鋳等により、X線等の放射線および可視光線をともに遮光することのできる材料、たとえば、金(Au)、ニッケル(Ni)等の金属46を堆積させる。
【0137】
なお、図4(c)〜図5(a)に示す工程において、金属構造体42のパターンに従って、導電性プラスチックを充填し、導電性プラスチックからなる樹脂型を作製し、この樹脂型に電鋳等により、金(Au)、ニッケル(Ni)等の金属を堆積してもよい。
【0138】
次に、図5(b)に示す工程において、樹脂型45を除去し、微細な金属構造体47、すなわち、複数の貫通孔47hを有する遮光体47を作製する。以上のようにして形成される遮光体47の複数の貫通孔47hのそれぞれの孔の形状は、CCD型撮像素子33に含まれる複数の画素(図3(a)に示す画素32)の寸法に概ね一致するように形成される。また、複数の貫通孔47hの配列パターンも、CCD型撮像素子33に含まれる複数の画素の配列パターンに対応するように、規則正しく配列される。
【0139】
次に、図5(c)に示す工程において、遮光体47の複数の貫通孔47h内のそれぞれに、たとえば、NE102(Nuclear Enterprise社製),NE111(Nuclear Enterprise社製)等のプラスチックシンチレータ48を充填して、蛍光体フィルム49を作製する。
【0140】
より詳しくは、まず、スチレンモノマ中に、たとえば、アントラセン等の適当な有機シンチレータを混合した混合液を作製し、この混合液を遮光体47の複数の貫通孔47h内に充填し、しかる後に、遮光体47の複数の貫通孔47h内に充填された混合液を重合して、プラスチックシンチレータを作製する。なお、遮光体の上部にはみ出したプラスチックシンチレータは、研磨等によって除去し、均一な厚みとする。
【0141】
次に、図5(d)に示す工程において、図5(c)において作製した蛍光体フィルム49を、CCD型撮像素子33の光入射窓36の表面上に、CCD型撮像素子33に含まれる複数の画素32のそれぞれと、蛍光体フィルム49に含まれる遮光体47の複数の貫通孔47h内のそれぞれに設けられた蛍光体48のそれぞれとが一致するように、載置し、位置合わせし、固定する。
【0142】
なお、この工程においては、光入射窓36の表面上に、光の乱反射等による光の減衰を防止するための透明なグリースなどを塗布し、しかる後に、蛍光体フィルム49を位置合わせし、固定してもよい。
【0143】
以上の工程により、図5(d)に示す撮像装置50が作製される。
図5(d)を参照して、この撮像装置50は、光入射窓36を有する。したがって、この撮像装置50では、CCD型撮像素子33に含まれる複数の画素32は、光入射窓36により保護されている結果、感度が経時的に変化しにくい。
【0144】
また、この撮像装置50では、撮像装置50を構成するCCD型撮像素子33は、蛍光体フィルム49により、X線等の放射線から可視光に変換された光画像を撮影するので、CCD型撮像素子33は、インタライン・トランスファ型CCD、フレーム・トランスファ型CCDのいずれをも用いることができる。
【0145】
図6は、本発明に従う撮像装置が用いられたX線診断装置の動作原理を説明するための概略的な全体構成図である。
【0146】
図6を参照して、このX線診断装置51は、本発明に従う撮像装置1と、X線照射手段52と、データ収集・処理系としての演算処理手段55と、高速シャッター57とを含む。
【0147】
撮像装置1の構成については、図1において、既に詳細に説明したので、説明を容易とするため、同一の部材については同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
【0148】
X線照射手段52は、光源であるシンクロトロン放射光装置(図示せず)から照射されたシンクロトロン放射光(SR光)から単色X線を分光して生成するための分光結晶56を含む。分光結晶56としては、たとえば、シリコン単結晶が用いられる。そして、この単色X線のエネルギーの切換は、分光結晶56と、シンクロトロン放射光(SR光)とのなす角を変化させることにより行なえるようになっている。
【0149】
図6および図7を参照して、このX線診断装置51は、図7に示すX線診断装置61と、以下の点を除き、同様の構成である。
【0150】
すなわち、このX線診断装置51において、X線診断装置61のX線照射手段62がX線照射手段52に、演算処理手段65が演算処理手段55に、高速シャッター67が高速シャッター57に、そして、分光結晶66が分光結晶56にそれぞれ相当する。
【0151】
X線診断装置51は、X線診断装置61のX線蛍光増倍管64に代えて、蛍光体フィルム9が用いられ、テレビカメラ63に代えて、固体撮像素子3が用いられている点において、X線診断装置61と異なっている。
【0152】
演算処理手段55には、撮像装置1で撮影され、電気信号に変換された画像信号からエネルギー差分像を生成する処理プログラムが記憶されている。
【0153】
また、演算処理手段55には、CRTディスプレイ等の画像表示手段(図示せず)が接続される。
【0154】
次に、このX線診断装置51の動作について説明する。
まず、被写体70を、X線照射手段52と、撮像装置1との間に配置する。
【0155】
被写体70には、造影注入器71から、撮影したい臓器に対し、必要によりカテーテル等を用い、造影剤が注入される。
【0156】
次に、シンクロトロン放射光装置(図示せず)を使用して、シンクロトロン放射光(SR光)をX線照射手段52に照射する。
【0157】
X線照射手段52に照射されたシンクロトロン放射光(SR光)は、分光結晶56で単色X線にされ、被写体70に照射される。
【0158】
被写体70を透過したX線は、撮像装置1の蛍光フィルム9で、可視光の光画像に変換され、固体撮像素子3で撮影される。
【0159】
より詳しくは、被写体70を透過したX線は、蛍光体フィルム9の、被写体70を透過したX線が到達した面の他方側の表面上に可視光の光画像を形成する。そして、蛍光体フィルム9の当該他方側の面上に形成された可視光の光画像は、固体撮像素子3に含まれる複数の画素により受光され、電気的な画像信号に変換され、演算処理手段55に送られ、演算処理手段55に記憶された処理プログラムに従って、エネルギー差分像の電気的な画像信号を出力する。
【0160】
演算処理手段55から出力されたエネルギー差分像の電気的な画像信号は、画像表示手段(図示せず)に送られる。
【0161】
そして、画像表示手段(図示せず)に送られたエネルギー差分像の電気的な画像信号は、画像表示手段(図示せず)により光画信号に変換され、画像表示手段(図示せず)に被写体のエネルギー差分像の光画像を映し出す。
【0162】
なお、エネルギー差分像の形成原理については、既に説明したので、ここでの説明は省略する。
【0163】
また、図1を再び参照して、本発明に従う撮像装置1を用い、被写体(図示せず)に対し、X線を照射して、被写体を特性X線で発光させ、この特性X線をピンホールを通して、蛍光体フィルム9の一方側の表面9S1 上に特性X線の光画像を結像させ、蛍光体フィルム9の他方側の表面9S2 上に形成される、可視光の光画像を固体撮像素子3で撮影することにより、被写体の分析を行なうことができる。
【0164】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明は、上記した構成を有する結果、次に記載する効果を奏する。
【0165】
蛍光体を、複数の画素を含む固体撮像素子の表面上に形成された遮光体の複数の画素に対応して設けられた貫通孔内のそれぞれに設けているので、固体撮像素子の位置分解能に概ね一致する高い位置分解能を有する。
【0166】
固体撮像素子の表面上に蛍光体を設けた結果、固体撮像素子として、可視光用の固体撮像素子を特に設計変更することなく、そのまま用いることができる。
【0167】
したがって、可視光用の固体撮像素子の光入射窓を取り去る必要がない等のため、画素の汚れ等が防止され、その結果、本発明に従う撮像装置は、X線等の放射線用の撮像装置として、感度が経時的に変化しにくい。
また、固体撮像素子として、比較的安価で、手に入りやすい可視光用の固体撮像素子を用い、しかも、簡単な構成により、また、簡単な製造プロセスによりX線等の放射線用の撮像装置を作製できるので、X線等の放射線用の撮像装置の低価格化を実現することができる。
【0168】
本発明に従う撮像装置は、上記したX線診断装置や、上記したピンホールを用いたX線撮像装置や、X線顕微鏡のフィルムの代わりや、X線リソグラフィ装置における、照射される光の照度の均一性を計測するモニタ装置や、アンジオグラフィ用の撮像装置など、X線等の放射線を用いた計測の分野で用いられる装置として、好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の動作原理を説明するための概略的な構成図である。
【図2】参考例としての撮像装置の動作原理を説明するための概略的な構成図である。
【図3】本発明に従う撮像装置の製造方法の一例を模式的に示す断面図である。
【図4】本発明に従う撮像装置の製造方法の一例を模式的に示す断面図である。
【図5】本発明に従う撮像装置の製造方法の一例を模式的に示す断面図である。
【図6】本発明に従う撮像装置が用いられたX線診断装置の動作原理を説明するための概略的な全体構成図である。
【図7】従来のX線診断装置の一例を概略的に示す構成図である。
【図8】従来の可視光用のCCD型撮像素子の一例を概略的に示す図である。
【図9】従来の可視光用のCCD型撮像素子の動作原理を説明するための概略的な構成図である。
【図10】画素の基本構成を概略的に示す断面図である。
【符号の説明】
1 撮像装置
2 画素
3 固体撮像素子
4 遮光体
4h 貫通孔
5 蛍光体
9 蛍光体フィルム
Claims (1)
- 複数の画素を含む固体撮像素子を準備する工程と、
複数の貫通孔を有する遮光体を準備する工程と、前記複数の貫通孔の内部にそれぞれ蛍光体を配置する工程とを実施することにより、前記遮光体と前記蛍光体とからなる蛍光体フィルムを準備する工程と、
前記固体撮像素子における前記画素のそれぞれと、前記蛍光体フィルムにおける前記複数の貫通孔の内部に配置された蛍光体のそれぞれとが重なるように、前記固体撮像素子上に前記蛍光体フィルムを固定する工程とを備え、
前記遮光体を準備する工程は、
シンクロトロン放射光を用いたフォトリソグラフィー法を利用して、複数の柱状体を有するレジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンを埋設するように金属層を形成した後、前記レジストパターンを前記金属層から除去することにより、前記柱状体が配置されていた位置に凹部が形成された表面を有する、前記金属層からなる金属構造体を形成する工程と、
前記金属構造体の前記表面上から前記凹部の内部にまで延在する樹脂層を形成した後、前記金属構造体を前記樹脂層から除去することにより、前記凹部の内部に位置していた前記樹脂層の一部が柱状のパターンを形成している、前記樹脂層からなる樹脂型を形成する工程と、
前記樹脂型における前記柱状のパターンが形成された面上に、X線および可視光線を遮光できる材料層を形成した後、前記材料層から前記樹脂型を取外すことにより、複数の前記貫通孔が形成され、前記材料層からなる遮光体を得る工程とを含む、撮像装置の製造方法。
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