JP3660718B2 - Rnaの切断方法並びにそれに用いられるリボヌクレアーゼ - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、任意のRNAを任意の部位で塩基配列特異的に切断することができるRNAの切断方法並びにこの切断方法に用いられるリボヌクレアーゼに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
RNAを塩基配列特異的に切断する技術として、グループIイントロン、リボヌクレアーゼP、ハンマーヘッドリボザイム及びヘアピンリボザイムを利用した方法が知られている。
【0003】
グループIイントロンを用いた方法は、チェックらにより報告されている(Nature 324, 429-, 1986)。彼らは、テトラヒメナのrRNA前駆体中に発見されたセルフスプライシング能をもつグループIイントロンを改変し、4塩基対合により標的RNAを認識するRNAのみから成るエンドリボヌクレアーゼを作り出した。
【0004】
細菌から哺乳動物まであらゆる種で存在していると考えられているtRNA前駆体の5’プロセシング酵素(リボヌクレアーゼP)は、リボ核タンパク質である。大腸菌由来のものはRNA成分のみでも触媒活性を示すが、ヒト由来のものではタンパク質成分も必須である。アルトマンらは、リボヌクレアーゼPを、標的RNAと塩基対合してtRNA前駆体様構造を形成するようなエクスターナルガイドシークエンスと共に使用することにより塩基配列特異的エンドリボヌクレアーゼ活性を得ている(Science 249, 783-, 1990, Science 263, 1269-, 1994) 。
【0005】
植物ウイロイドなどで発見された自己切断する50ヌクレオチド程の小さなリボザイム(ハンマーヘッド)や、タバコリングスポットウイルスのサテライトRNA由来のヘアピンと呼ばれている60ヌクレオチド程の小さなリボザイムは、触媒配列と基質配列に分断することにより触媒配列を持つRNAを塩基配列特異的エンドリボヌクレアーゼに改変することができる。この触媒RNAは、塩基対合により基質RNAを認識するので、触媒RNA中の基質認識配列を変えることで、このエンドリボヌクレアーゼの塩基配列特異性を自由に変える事が出来る(Nature 328, 596-, 1987, Nucleic Acids Res. 18, 299-, 1990) 。
【0006】
これらの他に、動物細胞のサイトゾル抽出液中に発見されたリボヌクレアーゼ65は、塩基配列特異的RNA切断活性を持っており、その特異性は活性に必須な3’末端が欠失した65ヌクレオチド程のtRNAによってもたらせれることが知られている。このtRNAは2種類知られており、ひとつは、アルギニンtRNAであることが判明している。(Biochem. Biophy. Res. Commun. 176, 1163-, 1991, Biochem. Biophy. Res. Commun. 178, 1247-, 1991, Nucleic Acids Res. 20, 3737-, 1992, Nucleic Acids Res. 21, 4696-, 1993)。もうひとつは、グリシンtRNAであることが示唆されていたが、最近、グリシンtRNAではなく、アラニンtRNAであることが証明された。さらに、このリボヌクレアーゼ65のタンパク質成分は、tRNA前駆体の3’プロセシング酵素と同一であり(tRNAArg 前駆体のプロセッシングの様子を図2に示す)、標的RNAは3’欠失tRNAの5’末端にある4塩基との塩基対合により認識されていることも証明された。リボヌクレアーゼ65のRNA成分が3’欠失tRNAArg の時には、5’末端配列GGGCと標的RNA中の4塩基配列GCCCとが塩基対合することにより認識され、標的RNAは配列GCCCのとなりの3’側のヌクレオチドの後で切断される(図3)。5’末端にGGGGを持つ3’欠失tRNAAla の時は、標的RNAの配列CCCCのとなりの3’側のヌクレオチドの後で切断が起こる(図4)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
グループIイントロンを改変した4塩基認識エンドリボヌクレアーゼやハンマーヘッド、ヘアピンリボザイムは、標的RNAの切断部位の近くに、必須塩基があり、標的RNAの切断部位に束縛を与えている。一方、エクスターナルガイドシークエンスと共にリボヌクレアーゼPを用いる方法や、リボヌクレアーゼ65活性には、そのような束縛塩基は存在しないようである。グループIイントロンを改変したエンドリボヌクレアーゼやリボヌクレアーゼ65は、4塩基の特異性しか持たないが、ハンマーヘッド、ヘアピンリボザイム、エクスターナルガイドシークエンスと共に用いるリボヌクレアーゼPは、標的RNA上の10塩基程の配列との対合を基質認識のために利用している。
【0008】
本発明は、基質RNA上の特定の4ヌクレオチド(CCCCあるいはGCCC)を認識するだけのリボヌクレアーゼ65活性を、標的RNAの認識に関与するtRNA成分を改変することにより、任意の塩基配列を認識して基質RNAをより特異的に切断できるようにすることをひとつの目的としてなされたものである。
【0009】
上記のような、様々な塩基配列特異的RNA切断活性は、HIV−1やHTLV−1などのレトロウイルスに感染したヒト細胞内で、このウイルス由来のRNAを特異的に切断したり、ガン細胞内で、ガン化の原因となる遺伝子のmRNAを特異的に分解するのに応用できる可能性がある。そのためには、標的となる細胞にRNA、あるいは、RNAを発現するように工夫されたDNAを取り込ませる必要がある。培地に加えた様々な長さのoligo(dT) の培養細胞への取り込み効率は、短いほどよく、oligo(dT)7は、oligo(dT)20 の4倍程である(Proc. Natl. Acad. Sci. 86, 3474-, 1989)。グループIイントロンを改変した4塩基認識エンドリボヌクレアーゼは数百ヌクレオチド、ハンマーヘッドやヘアピンリボザイムは30ー50ヌクレオチド程、ヒトのリボヌクレアーゼPと共に用いるエクスターナルガイドシークエンスは50ヌクレオチド程必要であり、これらの長さは、細胞に直接効率よく取り込ませるには長すぎる。そこで、本発明では、細胞に取り込まれやすいより短いRNAを用いて特異性の高い切断活性を生み出すことも目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本願発明者らは、鋭意研究の結果、第1鎖RNAと、5’末端から少なくとも連続する5ヌクレオチドが前記第1鎖RNAと対合した第2鎖RNAとの対合部分を認識し、前記第1鎖RNAの該対合部分の3’側端部又はこの端部から1〜3塩基3’側を切断する、新規なリボヌクレアーゼを単離することに成功した。また、この新規なリボヌクレアーゼを利用すれば、切断しようとするRNA(以下、切断しようとするRNAを「標的RNA」ということがある)の任意の部分に対合する少なくとも連続する5ヌクレオチドを有する核酸とを対合したものに該リボヌクレアーゼを作用させることにより、標的RNAの対合部分の3’側端部又はこの端部から1〜3塩基3’側を切断することが可能であり、ひいては任意の標的RNAを所望の位置で切断することが可能であることを見出し本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明は、下記の理化学的性質を有し、tRNA前駆体の3’トレーラーを除去する酵素であるリボヌクレアーゼを提供する。
(1)作用及び特異性:第1鎖RNAと、5’末端から少なくとも連続する5ヌクレオチドが前記第1鎖RNAと対合した第2鎖RNAとの対合部分を認識し、前記第1鎖RNAの該対合部分の3’側端部又はこの端部から1〜3塩基3’側を切断する。
(2)至適pH:7.0−7.5
(3)至適温度50−60℃
(4)分子ふるいクロマトグラフィーによる分子量100kDa
(5)クロマトフォーカシング法による等電点4.5
【0012】
また、本発明は、切断すべき標的RNAの少なくとも連続する5塩基と相補的なガイド配列を5’側端部に有する核酸から成るRNA切断ガイド剤の前記ガイド配列を前記標的RNAの相補的部分と対合させ、これに前記本発明のリボヌクレアーゼを作用させることから成るRNAの切断方法を提供する。
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
本発明の新規なリボヌクレアーゼは、リボヌクレアーゼ65として知られるリボ核タンパク質のタンパク成分である。
【0015】
リボヌクレアーゼ65活性は、哺乳動物細胞や植物細胞のサイトゾル抽出液内での存在が知られており、最近、このリボヌクレアーゼ65のタンパク質成分は、tRNA前駆体の3’プロセシング酵素と同一であることが証明された。tRNA前駆体の3’プロセシング酵素は、tRNA前駆体の3’トレーラーを除去する活性を持つエンドリボヌクレアーゼであり、原核細胞での存在は報告されていないが、すべての真核細胞に存在すると考えられている(tRNA:Structure, Biosynthesis, and Function, Chapters 5 and 9, ASM Press, 1995) 。tRNA前駆体3’プロセシング酵素活性は、サイトゾル抽出液、核抽出液、ミトコンドリア抽出液、葉緑体抽出液の中に見いだされている。これらの活性が同一のタンパク質によるものかは知られていないが、これらの酵素活性を、3’欠失tRNAや、本発明のRNA切断用塩基配列を用いて、塩基配列特異的エンドリボヌクレアーゼに改変できる可能性もある。
【0016】
このリボヌクレアーゼ65のタンパク成分に関しては、その粗精製物について報告があるが(Nucleic Acids Res. 20, 3737-, 1992)、いまだ精製単離された例は無い。以下、本発明のリボヌクレアーゼの理化学的特徴を示す。なお、以下の値は、豚肝臓由来のリボヌクレアーゼ65のタンパク成分(tRNA前駆体3’プロセシング酵素)を、基質として19ヌクレオチドの3’トレーラーを持つtRNAArg 前駆体5' GGGCCAGUGGCGCAAUGGAUAACGCGUCUGACUACGGAUCAGAAGAUUCCAGGUUCGACUCCUGGCUGGCUCG|GUGUAAGCAGGGUCGUUUU 3' (|は切断部位)を用いて測定した際の値である。
【0017】
(1) 作用及び特異性:
第1鎖RNAと、5’末端から少なくとも連続する5ヌクレオチドが前記第1鎖RNAと対合した第2鎖RNAとの対合部分を認識し、前記第1鎖RNAの該対合部分の3’側端部又はこの端部から1〜3塩基3’側を切断する。
(2) 至適pH:
7.0−7.5
(3) 至適温度
50−60℃
(4) 分子ふるいクロマトグラフィーによる分子量
100kDa
(5) クロマトフォーカシング法による等電点
4.5。
なお、これらの理化学的性質の測定方法は下記実施例に具体的に記載されている。
【0018】
本発明のリボヌクレアーゼは、例えば以下の2通りの方法により得ることができるが、調製方法はこれらに限定されるものではない。
【0019】
培養細胞、動物組織などから、Dignamら(Nucleic Acids Res. 11, 1475-, 1983)の方法に従って、サイトゾル抽出液を得た後、以下のようにして純度を高めていく。この過程は、すべて4℃で行う。培養細胞あるいは、動物組織に、2倍体積のバッファーA(10mMヘペス、pH7.9、1.5mM MgCl2 、10mM KCl、0.5mM ジチオスレイトール)を加え、ダウンスホモジェナイザーを用いて、15回すりつぶす。1,000xGで10分間遠心後の上清に、10分の1体積のバッファーB(0.3Mヘペス、pH7.9、1.4MKCl、0.03M MgCl2 )を加えた後、100,000xGで1時間遠心する。この上清を、バッファーD(20mMヘペス、pH7.9、100mMKCl、0.2mM EDTA、1mMジチオスレイトール、20%グリセロール)に対して約5時間透析する。その後、50%飽和になるように硫酸アンモニウムを加え、沈澱物をバッファー2 (20 mM Tris-HCl, pH 7.5, 0.2 mM EDTA, 1 mM DTT, 10% glycerol )で溶解して、同じバッファー2 で、透析する。この透析後の試料を、バッファー3 (20 mM Tris-HCl, pH 7.5, 0.2 mM EDTA, 1 mM DTT)で前もって平衡化したQセファロースにかけて、バッファー3 でカラム体積量洗い、0から1,000mMKClの線形勾配によりタンパク質を溶出させる。この時、目的のタンパク質成分はおよそ350mMKClの付近で溶出される。この画分を、500mM KClを含むバッファー3 で前もって平衡化したブルーセファロースにかけ、カラム体積の5倍の同バッファーで洗う。結合したタンパク質を、2,000mM KClを含むバッファー3 で溶出させ、限外濾過法によりバッファー3を使って脱塩濃縮する。この時のフロースルー画分を用いて再度同様にブルーセファロースカラムクロマトグラフィーを行う。2度目のブルーセファロースカラムクロマトグラフィーで結合した画分は、1度目の画分よりも6倍程比活性が高い。このブルーセファロース結合画分を、KClを含まないバッファーDを用いて限外濾過法により脱塩濃縮された後に、−80℃で、使用するまで保存する。
【0020】
本発明のリボヌクレアーゼは、次のようにして肝臓などの動物組織から得ることもできる。以下の操作は、55℃熱処理の他は4℃で行う。組織に2倍体積のバッファー1(50 mM Tris-HCl, pH 7.5, 5 mM MgCl2, 0.2 mM EDTA, 1 mM DTT, 10% glycerol )を加えて、回転式刃のミキサーで2分間細胞を破砕し、13,000xGで30分間遠心する。この上清中に目的タンパク質があり、以下のようにして純度を高めていくことができる。90℃の水浴で55℃になるまで熱をかけ、ひき続き55℃の水浴で5分間靜置する。その後、13,000xGで30分間遠心し、上清を得る。この上清に50%飽和になるように硫酸アンモニウムを加え、沈澱物を6,000xGで1時間遠心し回収する。この沈澱物をバッファー2 (20 mM Tris-HCl, pH 7.5, 0.2 mM EDTA, 1 mM DTT, 10% glycerol )で溶解して、同じバッファー2 で、5回バッファー交換をして透析する。この透析後の試料を、バッファー3 (20 mM Tris-HCl, pH 7.5, 0.2 mM EDTA, 1 mM DTT)で前もって平衡化したQセファロースにかけて、バッファー3 でカラム体積量洗い、0から1000mM KClの線形勾配によりタンパク質を溶出させる。この時、目的のタンパク質成分はおよそ350mM KClの付近で溶出される。この画分を、500mM KClを含むバッファー3で前もって平衡化したブルーセファロース(ファルマシア社製)にかけ、カラム体積の5倍の同バッファーで洗う。結合したタンパク質を、2000mM KClを含むバッファー3で溶出させ、限外濾過法によりバッファー3を使って脱塩濃縮する。この時のフロースルー画分を用いて再度同様にブルーセファロースカラムクロマトグラフィーを行う。2度目のブルーセファロースカラムクロマトグラフィーで結合した画分は、一度目の画分よりも6倍程比活性が高い。この2度目の結合画分を、さらに、100mM KClを含むバッファー3 で平衡化したヘパリンセファロースにかけられ、カラム体積の5倍量の同バッファーで洗浄する。その後、100から2000mM KClの線形勾配によりタンパク質を溶出させる。目的のタンパク質は、1200mM KCl付近で溶出する。この画分を、限外濾過法によりバッファー3 を使って脱塩濃縮した後、バッファー3 で平衡化したMonoQカラムにかける。溶出は、0から1000mM KClの線形勾配で行い、目的の活性は、400mM KCl付近で溶出する。高度に精製されたこのタンパク質は、使用するまで−80℃で保存する。
【0021】
次に本発明の方法に使用されるRNA切断ガイド剤について説明する。RNA切断ガイド剤は、標的RNAと対合することにより、前記本発明のリボヌクレアーゼによる標的RNAの切断を可能にするものであり、その本質は核酸である。核酸としてはRNAが好ましい。また、ここで言う「核酸」には、標的RNAとの対合を阻害しない修飾を受けた核酸誘導体も包含される。このような核酸誘導体の例として、ホスホロチオエート化核酸を挙げることができる。また、RNA切断ガイド剤の5’末端は一燐酸、三燐酸、水酸基のいずれでもよく、3’末端に関しても一燐酸、水酸基のどちらでもよい。
【0022】
図1に本発明のRNA切断ガイド剤の好ましい基本型を示す。なお、後述のように、この基本型のうち、必須な部分はガイド配列だけであり、ガイド配列のみから成るRNA切断ガイド剤も本発明の範囲に含まれる。また、ガイド配列以外の部分を含む場合であっても、後述のように種々の形態が可能であり、図1に示したものはあくまでも好ましい1例である。
【0023】
図1に示す、本発明のRNA切断ガイド剤10の好ましい基本型は、5’末端にあるガイド配列12と、それに続くステム・ループ部14と、それに続くサブガイド配列16と、それに続く任意の3’配列18とから成る。ステム・ループ部14のステムの部分にある短い縦の線は向い合った塩基が対合した塩基対合を示す。なお、この基本型は図5に示すtRNA前駆体の5’側前半部の構造と類似している。
【0024】
図1に示す基本型が、標的RNAと対合して複合体を形成した様子の一例が図6に示されている。図6中、矢印は本発明のリボヌクレアーゼによる切断部位を示し、また、縦、横の短い線は向い合ったヌクレオチド間の塩基対合を示す。図6に示されるように、ガイド配列12とサブガイド配列16が標的RNAと対合しており、標的RNAのガイド配列との対合部の3’側端部又はこの端部から1〜3塩基3’側が切断される。なお、図6に示す例では、標的RNAが図5に示すtRNA前駆体の3’側後半部と類似した形態を有しているが、後述のように、標的RNAの形態はこのようなものに限定されない。
以下、上記基本型の各要素について説明する。
【0025】
ガイド配列12は、上記基本型の5’末端に位置し、図5に示すtRNA前駆体のアクセプターステムに対応する。このガイド配列は、切断しようとする標的RNAの一部と相補的であってこれと対合し、この対合部分の標的RNAの3’側端部又はこの端部から1〜3塩基3’側が切断される(図6)。ガイド配列の長さは少なくとも5塩基であり、通常5〜7塩基、好ましくは7塩基である。本発明のRNA切断ガイド剤において必須の部分はこのガイド配列だけであり、従って、本発明のRNA切断ガイド剤は、最も単純な構造の場合、単に5ヌクレオチドのみから成る核酸であることができる。
【0026】
図1に示す基本型では、ガイド配列12の3’側下流にステム・ループ部14が存在する。ステム・ループ部14は、tRNA分子中のDステム・ループ領域と同一又は類似の配列であることが好ましく、通常19〜22塩基から成る。もっとも、本発明の切断法によるRNAの切断効率の低下を問題にしない場合には、この配列を短くしたり削除することも可能である(図8、図9、図10)。
【0027】
図1に示す基本型では、ループ・ステム部14の3’側下流にサブガイド配列16が存在する。このサブガイド配列は、切断しようとする標的RNAの一部と相補的であり、対合する(図6)。サブガイド配列16は、通常3塩基から5塩基から成り、好ましくは5塩基から成る。なお、サブガイド配列は必須的ではなく、切断効率の低下を問題にしなければ存在しなくてもよい(図10、図11)。なお、サブガイド配列が存在する場合には、ガイド配列との間が少なくとも7塩基、好ましくは少なくとも11塩基離れていることが好ましいが、ガイド配列とサブガイド配列が直接つながっていてもよい(図9)。
【0028】
図1に示す基本型では、サブガイド配列の3’側下流に任意の3’配列を有する。この任意の3’配列は、通常3〜5塩基程度、特に5塩基程度であるが、存在しなくても切断効率の低下は起きない。また、本発明のリボヌクレアーゼによる認識及び切断を阻害しない範囲で、この3’配列は任意の長さの任意の配列にすることができる。例えば、図12に示すように、tRNA分子のTステム・ループ領域の3’末端までとすることもできるし、また、図13に示すように、tRNA分子のTステム・ループ領域の途中までとすることもできる。
【0029】
上記した種々の形態のRNA切断ガイド剤が、標的RNAと対合して形成される複合体の種々の態様を図6ないし図13に基づき説明する。もっとも、これらは例示であり、RNA切断ガイド剤と標的RNAとの複合の形態はこれらに限定されるものではなく、本発明のリボヌクレアーゼにより切断可能ないかなる態様のものであってもよい。なお、これらの各図とも矢印の位置は切断部位を示す(ただし、上述のように、切断位置は対合部分の3’側端部からさらに1〜3塩基3’側(標的RNAの3’側)になることもある)。
【0030】
図6に示す態様では、図1に示す基本型のRNA切断ガイド剤と、tRNA前駆体分子の3’側後半部分の形態を有する標的RNAとが対合している。この態様では、標的RNAは、tRNA前駆体分子のTステム・ループ領域及びその5’側上流にエクストラループ領域に対応する領域を有する。
【0031】
図7に示す態様では、基本形のRNA切断ガイド剤と、ほぼ線状の標的RNAが対合している。この図に示されるように、標的RNAにはtRNA前駆体分子のTステム・ループ領域やエクストラループ領域は必要ではない。
【0032】
図8に示す態様では、標的RNAは図6に示すものと同様な形態であるが、RNA切断ガイド剤のガイド配列とサブガイド配列とをつなぐ部分がループ・ステムになっておらず、ほぼ線状になっている。
【0033】
図9に示す態様では、RNA切断ガイド剤のガイド配列とサブガイド配列が直接つながっており、それに対応して標的RNAも線状になっている。
【0034】
図10に示す態様では、RNA切断ガイド剤はガイド配列のみからなり、標的RNAはtRNA前駆体分子の3’側後半と同様な形態をしている(ただし、エクストラループ領域はない)。
【0035】
図11に示す態様では、RNA切断ガイド剤のサブガイド配列以降がなく、標的RNAはtRNA前駆体分子の3’側後半と類似した形態になっている(ただし、エクストラループ領域はない)。
【0036】
図12に示す態様では、RNA切断用ガイド剤がtRNA分子のTステム・ループ領域の3’末端までのような形態になっており、標的RNAはほぼ線状の形態をしている。
【0037】
図13に示す態様では、RNA切断用ガイド剤が、tRNA分子のTステム・ループ領域の途中までのような形態になっており、標的RNAはほぼ線状であるがガイド剤との対合により直角に曲がっている。
【0038】
本発明のRNA切断ガイド剤は、以下の2通りの方法により得ることができる。
【0039】
ひとつは、鋳型となるDNAを化学的に合成し、RNAポリメラーゼを用いて試験管内転写反応により合成する方法である。鋳型DNAは、合成したいRNAに対応するDNA塩基配列の上流に、バクテリオファージ由来のT7,T3,SP6 RNAポリメラーゼなどのプロモーター塩基配列を持つものと、これの相補鎖をパーキンエルマー社等の市販のDNA/RNA合成機を用いて合成する。精製された2本のDNAをアニーリングさせ、宝酒造、日本ジーン社等から得られる、上記RNAポリメラーゼを用いて、製造元の説明書に従って目的とするRNA切断用RNAを合成する。
【0040】
二つ目の方法は、上記のDNA/RNA合成機等を用いて直接化学的に合成する方法である。
【0041】
どちらの方法においても、合成されたRNAおよびその誘導体は、ポリアクリルアミドゲル電気泳動あるいは、HPLCなどを用いて、精製した後、使用する。
【0042】
なお、図1に示すような、ステム・ループ部は、普通は自然に形成されるが、場合によっては、80℃で1分間加熱した後に徐々に室温まで下げることにより形成される。
【0043】
標的RNAの切断は、標的RNA、本発明のRNA切断ガイド剤及び本発明のリボヌクレアーゼを緩衝液中で好ましくは20〜50℃、特に好ましくは37℃、pH6.5〜8.5、特に好ましくはpH7.9で反応させることにより行うことができる。用いるリボヌクレアーゼの量は、特に限定されず、酵素の量が少なくても時間がかかるだけで切断反応は可能であるが、通常、標的RNA0.1ピコモルに対して1〜5ユニット程度が好ましい。なお、ここで、1ユニットとは、tRNAArg 前駆体0.1pmolの3’トレーラーと、10mM Tris−HCl、pH7.5、1mM DTT、3.2mMスペルミジン溶液10μl中で37℃で10分間反応させることにより50%切除できる量として定義されるものである。また、用いるRNA切断ガイド剤の量は、特に限定されないが、標的RNAに対してモル基準で10〜100倍程度が好ましい。また、標的RNAの濃度の下限は存在せず、1分子であっても切断は可能である。標的RNAの濃度の上限も特にないが、通常100μM以下であることが好ましい。また、反応時間は、標的RNAの濃度や用いるリボヌクレアーゼの量等に基づき適宜選択されるが、上記の好ましい条件下においては、通常30〜60分間程度である。また、緩衝液としては、特に限定されず、ヘペス、トリス、ビストリス緩衝液等が好ましいがこれらに限定されるものではない。また、緩衝液は0.5〜1.0mMのジチオスレイトール及び1〜5mMのスペルミジンを含むことが好ましい。また、外来の非特異的リボヌクレアーゼ(リボヌクレアーゼA等)による、標的RNA及びRNA切断ガイド剤の非特異的分解を抑えるために、反応液中に市販のリボヌクレアーゼ阻害剤(例えば宝酒造社製)を加えることも可能である。
【0044】
in vitroでの切断の効率を測定するために切断産物を解析する場合には、予め標的RNAを標識しておくことが好ましい。例えば、標的RNAは、[α−32P]NTP(NはA,U,GまたはC)の存在下で合成することにより、32Pで均一に標識することができる。32Pで標識された反応物は、8Mウレアを含むポリアクリルアミドゲル電気泳動にて分離され、その後、オートラジオグラフィーによりRNA切断効率等を解析することができる。切断部位は、標的RNAの切断産物の長さから決定されうるが、化学的RNA塩基配列決定法や末端ヌクレオチドの2次元薄層クロマトグラフィー法を用いて確認することもできる(Nucleic Acids Res. 21, 4696-, 1993)。実際のRNA切断は、切断予定部位の他に切断予定部位から1−2ヌクレオチドずれた所でも見られたり、切断予定部位から1ヌクレオチド下流でのみ見られることもある。
【0045】
本発明の塩基配列特異的RNA切断方法のin vitroでの応用について以下に説明する。
【0046】
1.遺伝子工学への応用。DNA制限酵素がDNA工学的手法において必須であるように、塩基配列特異的RNA切断方法はRNA工学において様々な所で応用されうる。たとえば、二つ以上の大きなRNAを塩基配列特異的に切断し、その断片のパターンを比較することにより、その類似性を解析することができる。さらに、断片化することにより、RNAの詳細な解析は、大きなRNAそのものよりもはるかに容易にできるようになる。その他にも、本発明の塩基配列特異的RNA切断法は、自由に特異的切断部位を設定できるので、RNAリガーゼと共に用いることにより原理的にRNA分子間のあらゆる組換えを可能にする。この組換え技術は、DNA組換えにも利用できる。従来のDNA組換え技術では、4から8塩基配列(ほとんどがパリンドローム構造)特異的にDNAを切断するDNA制限酵素が用いられているが、この酵素ではDNAの切断部位(組換え部位)が限定されてしまう。一方、本発明の塩基配列特異的RNA切断法では、RNAのより長い塩基配列(パリンドローム構造に限定されない)を認識し切断できる。そこで、組換えたいDNAを転写反応によりRNAに変換し、このRNAに上記のRNA組換え法を施し、組換えられたRNAを逆転写反応でDNAに再変換することにより、原理的にDNA分子間のあらゆる組換えを可能にする。
【0047】
2.診断薬への応用。特定の既知RNAが細胞内に存在しているかどうか、あるいは、そのRNAが突然変異を起こして細胞内に存在しているかを解析するために応用できる。細胞からRNA混合物をヌクレアーゼにより分解されないように注意深く抽出し、3’末端の水酸基をpCpなどを用いてRNAリガーゼにより完全にブロックする。存在を調べたいRNAを特異的に切断できる本発明のRNA切断ガイド剤(3’末端水酸基をpCp等を用いてブロックしておく)を合成し、リボヌクレアーゼ65タンパク質と共に用いて、抽出した全RNAに対して切断反応を行う。この反応後、32pCpなどの放射性標識を用いて、特異的切断により生じた3’末端水酸基にRNAリガーゼにより標識する。この時、目的RNAの5’切断産物の他は3’末端水酸基を持たないので標識されない。未反応の32pCpを除去した後、放射能測定やゲル電気泳動を行うことにより、目的RNAの存在を調べることができる。目的RNA上のRNA切断ガイド剤との塩基対合領域に突然変異がある場合には、特異的切断の低下がおこるので、正常RNAを含む試料との比較により、容易に検出できる。この方法は、HIV感染の診断、がんの診断など多くの診断に応用可能である
【0048】
次に、本発明の培養細胞などでのRNA切断方法および切断結果の解析法について説明する。
【0049】
本発明のリボヌクレアーゼ、すなわち、リボヌクレアーゼ65タンパク質即ちtRNA前駆体3’プロセシング酵素は、サイトゾル抽出液、核抽出液、ミトコンドリア抽出液、葉緑体抽出液の中に見いだされており、すべての真核細胞に存在すると考えられている。従って、本発明のRNA切断ガイド剤を細胞内に持ち込むことにより、任意のRNAを任意の部位で特異的に切断できると考えられる。in vitroで目的の標的RNAの目的の部位での切断に用いられることが確認されたRNA切断ガイド剤は、in vitroで合成したものを直接導入するか、または、このRNAを細胞内転写反応で合成できるような、転写制御領域を含むDNAとして導入する。この切断用RNAあるいはヌクレアーゼ耐性のある様々な誘導体のin vitroでの合成は、DNA/RNA合成機等を用いて行うことができる。切断用RNA発現DNAは、目的のRNA切断ガイド剤に対応するDNAを合成機等を用いて化学合成し、これを標準的遺伝子工学技術を用いて発現ベクターに組み込むことで得ることができる(Molecular cloning A laboratory manual 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989; Current protocols in molecular biology, John Wiley & Sons Inc., 1990)。細胞内への導入法としては、燐酸カルシウム法、エレクトロポレーション法、リポソーム法など様々な方法がある(Molecular cloning A laboratory manual 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989; Current protocols in molecular biology, John Wiley & Sons Inc., 1990)。切断結果は、標的RNAの量、タンパク質をコードしているのであればその量、細胞特性などから解析される。特異的に切断された標的RNAが不安定になり分解されていく結果として標的RNA量が減少するので、ノーザンブロッティング法やリボヌクレアーゼプロテクションマッピング法を用いて、この減少を解析することで標的RNAの特異的切断の程度を判定できる。コードされているタンパク質の量は、それに対する抗体を用いたウエスタンブロッティング法や、そのタンパク質の活性の測定を行うことで解析でき、タンパク質の減少量から間接的に目的RNAの切断効率を判定できる。標的RNAの翻訳産物が、細胞増殖速度や細胞形態などの細胞特性に影響を及ぼすタンパク質であるならば、その特性の変化から標的RNAの特異的切断の程度を解析することができる。
【0050】
次に、本発明の特異的RNA切断法の生物個体に対する応用およびその切断結果の解析法について説明する。
【0051】
生物個体に対しても、基本的には上記の培養細胞等に対する応用方法が利用される。ただし、個体内の細胞へのRNA切断ガイド剤、または、その発現用DNAの導入方法に関しては、様々な工夫が必要である。
【0052】
動物を対象にする場合には、レトロウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルスなどから開発したウイルスベクターを利用することができる(Blood, 76, 271-, 1990, Cell, 68, 143-, 1992, J. Virol., 63, 3822-, 1989) 。センダイウイルスのエンベロープタンパク質を用いた膜融合リポソーム法(J. Biol. Chem., 266, 3361-, 1991)や、プラスミドDNAなどを直接臓器や腫瘍に注入するネイキドDNA法(Science, 247, 1465-, 1990) なども用いることができる。組織特異的遺伝子導入法として、特異的受容体を介して細胞に取り込まれるタンパク質とポリリシン及びDNAとの複合体を用いて、この受容体を発現している細胞にのみ遺伝子を導入する方法を使うことも考えられる(Proc. Natl. Acad. Sci., 87, 3410-, 1990) 。標的細胞が造血幹細胞である場合には、細胞を一旦個体外に取り出して、遺伝子導入をした後に再び個体に戻してやる方法を利用できる(Hum. Gene Ther., 1, 331-,1990) 。標的RNAとしては、異常発現した細胞増殖関連遺伝子のmRNAやウイルス由来のRNAなどを対象にすることもできる。生物個体に対する本発明の特異的RNA切断法の効果の解析に関しては、上記の培養細胞に対する解析法に加えて、ウイルス感染症が直る、腫瘍が消失するなどの個体レベルでの変化から、本発明の効果を推測することができる。
【0053】
他にも、生物個体に対する応用として、有用トランスジェニック植物の作出がある。RNA切断ガイド剤を細胞内転写反応で合成できるような、転写制御領域を含むDNAを植物細胞に導入する方法として、Tiプラスミドとアグロバクテリウムを利用した方法、燐酸カルシウム法、ウイルスベクター法などがある(植物バイオテクノロジーII、東京化学同人、1991)。標的RNAとしては、植物が本来持っている好ましくない遺伝形質に関与するmRNAや、ウイルス由来のRNAなどが考えられる。植物個体に対する本発明の特異的RNA切断法の効果の解析に関しては、上記の培養細胞に対する解析法に加えて、問題の好ましくない遺伝形質が抑えられる、ウイルス抵抗性になるなどの個体レベルでの変化から、本発明の効果を推測することができる。
【0054】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0055】
実施例1 リボヌクレアーゼの単離
以下の操作は、55℃熱処理の他は4℃で行った。2kgのブタ肝臓組織に2倍体積のバッファー1(50 mM Tris-HCl, pH 7.5, 5 mM MgCl2, 0.2 mM EDTA, 1 mM DTT, 10% glycerol )を加えて、回転式刃のミキサーで2分間細胞を破砕し、13,000xGで30分間遠心した。90℃の水浴で55℃になるまで熱をかけ、ひき続き55℃の水浴で5分間靜置した。その後、13,000xGで30分間遠心し、上清を得た。この上清に50%飽和になるように硫酸アンモニウムを加え、沈澱物を6,000xGで1時間遠心し回収した。この沈澱物をバッファー2(20 mM Tris-HCl, pH 7.5, 0.2 mM EDTA, 1 mM DTT, 10% glycerol )で溶解して、同じバッファー2で、5回バッファー交換をして透析した。この透析後の試料を、バッファー3(20 mM Tris-HCl, pH 7.5, 0.2 mM EDTA, 1 mM DTT)で前もって平衡化したQセファロース(ファルマシア社製)にかけて、バッファー3でカラム体積量洗い、0から1000mM KClの線形勾配によりタンパク質を溶出させた。この時、目的のタンパク質成分はおよそ350mM KClの付近で溶出された。この画分を、500mM KClを含むバッファー3で前もって平衡化したブルーセファロース(ファルマシア社製)にかけ、カラム体積の5倍の同バッファーで洗った。結合したタンパク質を、2000mM KClを含むバッファー3で溶出させ、限外濾過法によりバッファー3を使って脱塩濃縮した。この時のフロースルー画分を用いて再度同様にブルーセファロースカラムクロマトグラフィーを行った。2度目のブルーセファロースカラムクロマトグラフィーで結合した画分は、一度目の画分よりも6倍程比活性が高かった。この2度目の結合画分を、さらに、100mM KClを含むバッファー3で平衡化したヘパリンセファロースにかけ、カラム体積の5倍量の同バッファーで洗浄した。その後、100から2000mM KClの線形勾配によりタンパク質を溶出させた。目的のタンパク質は、1200mM KCl付近で溶出した。この画分を、限外濾過法によりバッファー3 を使って脱塩濃縮した後、バッファー3で平衡化したMonoQカラムにかけた。溶出は、0から1000mM KClの線形勾配で行い、目的の活性は、400mM KCl付近で溶出した。高度に精製されたこのタンパク質は、使用するまで−80℃で保存した。
【0056】
上記の各工程後のリボヌクレアーゼの総活性、比活性、収率及び精製率を下記表1に示す。表1に示されるように、熱処理後の酵素画分の約15,000倍の比活性を持つ、高度に精製された酵素がMono Qクロマトグラフィー後に得られた。
【0057】
【表1】
Figure 0003660718
【0058】
実施例2 リボヌクレアーゼの理化学的性質
(1) 至適pH
tRNAArg 前駆体を基質とし、上記方法により単離されたリボヌクレアーゼによる切断実験を種々のpH下で行うことにより、リボヌクレアーゼの至適pHを調べた。tRNAArg 前駆体(GenBank/EMBL accession number X64282)は、T7RNAポリメラーゼのプロモーターを含む合成DNAからT7RNAポリメラーゼを用いて[α-32P]UTP存在下で合成した。切断反応は、0.1 pmol 基質RNA,10 mM Tris-HCl, 1 mM DTT, 3.2 mMスペルミジン、 50 ユニットのリボヌクレアーゼインヒビター(宝酒造社製、1ユニットの定義は、5ngのRNaseAの特性を50%阻害する活性)を含む10μl溶液中37℃で30分間行い、その後、8Mウレアー10%ポリアクリルアミドゲル電気泳動により切断産物の解析を行った。ただし、酵素量は約0.1 ユニット使用し、TrisバッファーのpHは変化させた。
【0059】
結果を図14に示す。図14に示されるように、本発明のリボヌクレアーゼの至適pHは7.0ないし7.5である。
【0060】
(2) リボヌクレアーゼの至適温度
種々の温度下において、tRNAArg を基質とし、至適pHを測定したのと同様な切断実験を行った(ただし、緩衝液のpHは7.9)。結果を図15に示す。これからわかるように、本発明のリボヌクレアーゼの至適温度は50〜60℃であった。
【0061】
(3) リボヌクレアーゼの分子量
ブタ肝臓由来のリボヌクレアーゼ65タンパク質(tRNA前駆体3’プロセシング酵素)の天然状態での分子量。MonoQクロマトグラフィー後の酵素画分(表1)を、0.15M KClを含むバッファー3で平衡化したスーパーデックス200HR10/30(ファルマシア)にかけ、40の分画(Fraction)に分けた。各分画は、限外濾過法によりバッファー3を用いて脱塩濃縮され、その一部を用いてtRNAArg 前駆体を基質として、上記至適pHを測定したのと同様な切断実験を行った(ただし、緩衝液のpHは7.9)。キャリブレーションは、アルドラーゼ(158kDa)、アルブミン(67kDa)、ベータラクトグロブリン(35kDa)を分子量マーカーとして行った。
【0062】
結果を図16に示す。図16中、挿入図のKavは、(溶出体積−排除体積)/(ベッド体積−排除体積)で定義される。矢頭は、切断活性のピークの位置を示す。図16より、上記方法により測定された、本発明のヌクレオチドの分子量は約100kDaであることがわかる。
【0063】
(4) リボヌクレアーゼの等電点
一回目のブルーセファロースクロマトグラフィー結合画分(表1)を、0.025Mメチルピペラジン(pH5.7)で平衡化したMonoP HR5/20 (ファルマシア)にかけ、ポリバッファー74(pH4.0)で溶出させ、15の分画(Fraction)に分けた。各分画は、限外濾過法によりバッファー3を用いて濃縮し、その一部を用いてtRNAArg 前駆体を基質として、分子量測定の場合と同じ条件で切断実験を行なった。結果を図17に示す。図17から、本発明のリボヌクレアーゼの等電点は約4.5であることがわかる。
【0064】
(5) 本発明のリボヌクレアーゼ(リボヌクレアーゼ65のタンパク質成分)とtRNA前駆体3’プロセシング酵素(3' tRNase) が同一であることの証明。
tRNAArg 前駆体(Pre-tRNA)(レーン1から3)、基質RNA(S1)(レーン4から6)および基質RNA(S2)(レーン7から9)の、単離された(表1のMonoQクロマトグラフィー後の)リボヌクレアーゼ(0.4ユニット) による切断実験の結果を示している。19ヌクレオチドの3’トレーラーを持つ92ヌクレオチドのtRNAArg 前駆体(GenBank/EMBL accession number X64282)は、T7RNAポリメラーゼのプロモーターを含む合成DNAからT7RNAポリメラーゼを用いて[α -32P]UTP 存在下で合成した。168ヌクレオチドの基質RNA(S1)は、HinfIで切断されたpSPCからSP6RNAポリメラーゼを用いて[α-32P]UTP存在下で合成した。50ヌクレオチドの基質RNA(S2)は、XbaIで切断されたpSPCからSP6RNAポリメラーゼを用いて[α-32P]UTP存在下で合成した(Nucleic Acids Res. 21, 4696-, 1993)。切断反応及び切断産物の解析は、分子量測定の場合と同じ条件で行った。S1は10 ng の3’欠失tRNAArg 画分(レーン6)、S2は10 ng の3’欠失tRNAAla 画分(レーン9)が存在する時にのみ切断された。一番左のカラムの数字の単位はヌクレオチドで、棒は基質RNA、矢頭は切断産物を示す。
【0065】
実施例3
マウスFM3A細胞(新潟大学医療技術短期大学部 三間博士より分譲。なお、同細胞はJCRB細胞バンク(Japanese Research Resources Bank) にJCRB0701の受託番号で寄託されているので、ここから分譲を受けることができる)から、実施例1と同様にして本発明のリボヌクレアーゼ(リボヌクレアーゼ65のタンパク質成分)を単離した。
【0066】
実施例4
19ヌクレオチドの3’トレーラーを持つtRNAArg 前駆体のアンチコドンの後ろから3’末端までの次のような56ヌクレオチドを標的RNA(T3H) として、[α-32P]UTP存在下でT3RNAポリメラーゼを用いて合成した。
Figure 0003660718
(| は切断予定部位)
【0067】
RNA切断ガイド剤(以下の実施例において、RNA切断ガイド剤がRNAの場合にはこれを「RNA切断用RNA」と呼ぶ)として、tRNAArg 前駆体の5’末端からアンチコドンまでの、上記の標的RNAと2カ所(* と+ で示された領域)で塩基対合可能な次のようなRNA(GT7H)をT7RNAポリメラーゼにより合成した。
Figure 0003660718
【0068】
これらの標的RNAとRNA切断用RNAの組み合わせは、本発明の切断法の基本であり、塩基対合により、アンチコドンの後ろで燐酸ジエステル結合が切れている点を除けば、tRNAArg 前駆体とほとんど同じ構造になると考えられ、図6の型に入る。
【0069】
このRNA切断用RNAと部分精製された(2回目のブルーセファロースクロマトグラフィー後の分画)マウスFM3A細胞由来の本発明のリボヌクレアーゼ(実施例3)を含む反応溶液(10 mM Hepes (pH 7.9), 0.5 mM DTT, 3.2 mMスペルミジン)内で、32Pにより標識された標的RNA(0.1pmol)を、30分間37℃で反応させた。反応後、切断産物を、8Mウレア−10%ポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけ、そのゲルのオートラジオグラフをとることにより解析したところ、標的RNAの切断予定部位での切断が見られた(図19、レーン1−4)。なお、図19のレーン1は未反応の標的RNA(上記反応に供さなかったもの)、レーン2ないし4はそれぞれ、RNA切断用RNA(GT7H)を0pmol(対照)、12.5pmol及び50pmol加えた場合の結果を示す。
【0070】
実施例5
実施例5から7では、実施例4のうち、標的RNA内のtRNAの高次構造に関与しているTループに対応する塩基を変えて、特異的切断を調べた。次のような56ヌクレオチドの標的RNA(SPHM1) を[α-32P]UTPの存在下でSP6 RNAポリメラーゼを用いて合成した。
Figure 0003660718
(| は切断予定部位、下線は実施例4の標的RNA:T3Hと異なる塩基を示す。また、*及び+は上記実施例4で用いたRNA切断用RNAであるGT7Hの*及び+を付した部分とそれぞれ対合する領域を示す。以下、標的RNAに付されたこれらの符号は、特に断りがない限り同じ意味を示す。)
【0071】
RNA切断用RNA及びリボヌクレアーゼは実施例4で用いたものと同じものを用い、実施例4と同様に反応を行い、切断産物を解析したところ、標的RNAの切断予定部位での切断が確認された。切断効率は、実施例4と同程度だった。
【0072】
実施例6
次のような56ヌクレオチドの標的RNA(SPHM2) を[α-32P]UTPの存在下でSP6 RNAポリメラーゼを用いて合成した。
Figure 0003660718
【0073】
RNA切断用RNA及びリボヌクレアーゼは実施例4で用いたものと同じものを用い、実施例4と同様に反応を行い、切断産物を解析したところ、標的RNAの切断予定部位での切断が確認された。切断効率は、実施例4と同程度だった。
【0074】
実施例7
次のような56ヌクレオチドの標的RNA(SPHM3) を[α-32P]UTPの存在下でSP6 RNAポリメラーゼを用いて合成した。
Figure 0003660718
【0075】
RNA切断用RNA及びリボヌクレアーゼは実施例4で用いたものと同じものを用い、実施例4と同様に反応を行い、切断産物を解析したところ、標的RNAの切断予定部位での切断が確認された。切断効率は、実施例4と同程度だった。
【0076】
実施例5から7の結果より、標的RNAは、tRNAの高次構造に関与するTループ内の塩基を、RNA切断用RNAと複合体を作った時にtRNAのTループに対応する部位に持たなくとも、切断されることが示された。
【0077】
実施例8
実施例8から10では、実施例4のうち、標的RNA内のtRNAのTステムに対応する塩基を変えて、ここの塩基対合を壊した時の特異的切断を調べた。次のような56ヌクレオチドの標的RNA(T7HM1) を[α-32P]UTP存在下でT7RNAポリメラーゼを用いて合成した。
Figure 0003660718
【0078】
RNA切断用RNA及びリボヌクレアーゼは実施例4で用いたものと同じものを用い、実施例4と同様に反応を行い、切断産物を解析したところ、標的RNAの切断予定部位での切断が確認された。切断効率は、実施例4と同程度だった。
【0079】
実施例9
次のような56ヌクレオチドの標的RNA(T7HM2) を[α-32P]UTP存在下でT7RNAポリメラーゼを用いて合成した。
Figure 0003660718
【0080】
RNA切断用RNA及びリボヌクレアーゼは実施例4で用いたものと同じものを用い、実施例4と同様に反応を行い、切断産物を解析したところ、標的RNAの切断予定部位での切断が確認された。切断効率は、実施例4の70%程度だった。
【0081】
実施例10
次のような56ヌクレオチドの標的RNA(T7HM3) を[α-32P]UTP存在下でT7RNAポリメラーゼを用いて合成した。
Figure 0003660718
【0082】
RNA切断用RNA及びリボヌクレアーゼは実施例4で用いたものと同じものを用い、実施例4と同様に反応を行い、切断産物を解析したところ、標的RNAの切断予定部位での切断が確認された。切断効率は、実施例4の70%程度だった。
【0083】
実施例8から10の結果より、標的RNAは、tRNAのTステムに対応する塩基対合を持たなくとも、RNA切断用RNAと複合体を作った時に切断されることが示された。
【0084】
実施例11
実施例11から13では、実施例4のうち、標的RNA内のtRNAのTステム・ループに対応する構造を小さくした時(図7型)の特異的切断を調べた。
【0085】
次のような48ヌクレオチドの標的RNA(T3HM1) を[α-32P]UTP存在下でT3 RNAポリメラーゼを用いて合成した。
Figure 0003660718
【0086】
RNA切断用RNA及びリボヌクレアーゼは実施例4で用いたものと同じものを用い、実施例4と同様に反応を行い、切断産物を解析したところ、標的RNAの切断予定部位での切断が確認された。切断効率は、実施例4の70%程度だった。
【0087】
実施例12
次のような44ヌクレオチドの標的RNA(T3HM2) を[α-32P]UTP存在下でT3 RNAポリメラーゼを用いて合成した。
Figure 0003660718
【0088】
RNA切断用RNA及びリボヌクレアーゼは実施例4で用いたものと同じものを用い、実施例4と同様に反応を行い、切断産物を解析したところ、標的RNAの切断予定部位での切断が確認された。切断効率は、実施例4の5%程度だった。
【0089】
実施例13
次のような39ヌクレオチドの標的RNA(T3HM3) を[α-32P]UTP存在下でT3 RNAポリメラーゼを用いて合成した。
Figure 0003660718
【0090】
RNA切断用RNA及びリボヌクレアーゼは実施例4で用いたものと同じものを用い、実施例4と同様に反応を行い、切断産物を解析したところ、標的RNAの切断予定部位での切断が確認された。切断効率は、実施例4の3%程度だった。
【0091】
実施例11から13の結果は、標的RNAは、tRNAのTステム・ループに対応する構造を持たなくとも、RNA切断用RNAと図7のような複合体を作った時に切断されることが示された。
【0092】
実施例14
実施例4のRNA切断用RNAと標的RNAの基本的塩基対合構造を保ちながら標的RNAの5’末端を9ヌクレオチド長くした、次のような65ヌクレオチドの標的RNA(SPH2)を[α-32P]UTP存在下でSP6RNAポリメラーゼを用いて合成した。
Figure 0003660718
【0093】
RNA切断用RNA及びリボヌクレアーゼは実施例4で用いたものと同じものを用い、実施例4と同様に反応を行い、切断産物を解析したところ、標的RNAの切断予定部位での切断が確認された。切断効率は、実施例4と同程度だった。電気泳動後のオートラジオグラフが図19のレーン5〜8に示されている。なお、図19のレーン5は未反応の標的RNA(上記反応に供さなかったもの)、レーン6ないし8はそれぞれ、RNA切断用RNA(GT7H)を0pmol(対照)、5pmol及び50pmol加えた場合の結果を示す。
【0094】
この切断実験における46ヌクレオチドの5’切断産物の3’塩基配列を、化学的RNA塩基配列決定法により決めた所、3' GCUCGGUC・・・ という予想した配列が確認された(図20)。同様の切断実験は、ブタ肝臓由来の高度に精製された本発明のリボヌクレアーゼ(実施例1のMonoQクロマトグラフィー後)を用いて、10 mM Tris-HCl, pH 7.5, 1 mM DTT, 3.2 mMスペルミジンを含む反応溶液中でも行われて、同様の結果が得られた。この結果は、標的RNAの、RNA切断用RNAと5塩基対合する配列の上流領域を、tRNAのアンチコドンループより長くしても、本発明の切断法で特異的に標的RNAを切断できることを示している。
【0095】
実施例15
実施例15と16では、実施例14のRNA切断用RNA(GT7H)の標的RNAと塩基対合する3’側5塩基の下流配列を変えたり、除去したりして標的RNAの切断を解析した。
【0096】
RNA切断用RNA(GT7H)の3’末端5塩基をすべてUに変え、実施例14で用いた標的RNAであるSPH2と2カ所(* と+ で示された領域)で塩基対合可能な次のようなRNA切断用RNA(GT7HT5)をT7RNAポリメラーゼにより合成した。
Figure 0003660718
【0097】
標的RNAとして、実施例14で用いたSPH2を用い、リボヌクレアーゼは実施例4で用いたものと同じものを用い、実施例4と同様に切断反応及びその後の解析を行ったところ、標的RNAの切断予定部位での切断が確認された。切断効率は、実施例4と同程度だった。
【0098】
実施例16
RNA切断用RNA(GT7H)の3’末端5塩基をすべて削除し、実施例14で用いた標的RNAであるSPH2と2カ所(*と+で示された領域)で塩基対合可能な次のようなRNA切断用RNA(GT7HM1)をT7RNAポリメラーゼにより合成した。
Figure 0003660718
【0099】
標的RNAとして、実施例14で用いたSPH2を用い、リボヌクレアーゼは実施例4で用いたものと同じものを用い、実施例4と同様に切断反応及びその後の解析を行ったところ、標的RNAの切断予定部位での切断が確認された。切断効率は、実施例4と同程度だった。
【0100】
実施例15と16の結果より、RNA切断用RNAは、標的RNAと塩基対合する3’側5塩基の下流配列を変えたり、除去できることが示された。
【0101】
実施例17
実施例17から21では、実施例16のRNA切断用RNA(GT7HM1)のtRNA上でDステム・ループに対応する領域を短くして(図8型)、標的RNAの切断を解析した。
【0102】
実施例14で用いた標的RNAであるSPH2と2カ所(* と+ で示された領域)で塩基対合可能な次のようなRNA切断用RNA(GT7HM2)をT7RNAポリメラーゼにより合成した。
Figure 0003660718
【0103】
標的RNAとして、実施例14で用いたSPH2を用い、リボヌクレアーゼは実施例4で用いたものと同じものを用い、実施例4と同様に切断反応及びその後の解析を行ったところ、標的RNAの切断予定部位での切断が確認された。切断効率は、実施例4と同程度だった。
【0104】
実施例18
実施例14で用いた標的RNAであるSPH2と2カ所(* と+ で示された領域)で塩基対合可能な次のようなRNA切断用RNA(GT7HM3)をT7RNAポリメラーゼにより合成した。
Figure 0003660718
【0105】
標的RNAとして、実施例14で用いたSPH2を用い、リボヌクレアーゼは実施例4で用いたものと同じものを用い、実施例4と同様に切断反応及びその後の解析を行ったところ、標的RNAの切断予定部位での切断が確認された。切断効率は、実施例4と同程度だった。
【0106】
実施例19
実施例14で用いた標的RNAであるSPH2と2カ所(*と+で示された領域)で塩基対合可能な次のようなRNA切断用RNA(GT7HM4)をT7RNAポリメラーゼにより合成した。
Figure 0003660718
【0107】
標的RNAとして、実施例14で用いたSPH2を用い、リボヌクレアーゼは実施例4で用いたものと同じものを用い、実施例4と同様に切断反応及びその後の解析を行ったところ、標的RNAの切断予定部位での切断が確認された。切断効率は、実施例4と同程度だった。
【0108】
実施例20
実施例14で用いた標的RNAであるSPH2と2カ所(*と+で示された領域)で塩基対合可能な次のようなRNA切断用RNA(GT7HM5)をT7RNAポリメラーゼにより合成した。
Figure 0003660718
【0109】
標的RNAとして、実施例14で用いたSPH2を用い、リボヌクレアーゼは実施例4で用いたものと同じものを用い、実施例4と同様に切断反応及びその後の解析を行ったところ、標的RNAの切断予定部位での切断が確認された。切断効率は、実施例4と同程度だった。
【0110】
実施例21
実施例14で用いた標的RNAであるSPH2と2カ所(*と+で示された領域)で塩基対合可能な次のようなRNA切断用RNA(GT7HM6)をT7RNAポリメラーゼにより合成した。
Figure 0003660718
【0111】
標的RNAとして、実施例14で用いたSPH2を用い、リボヌクレアーゼは実施例4で用いたものと同じものを用い、実施例4と同様に切断反応及びその後の解析を行ったところ、標的RNAの切断予定部位での切断が確認された。切断効率は、実施例4と同程度だった。
【0112】
実施例17から21の結果より、RNA切断用RNAはtRNA上でDステム・ループに対応する領域を短くし、図8のような構造にしても、標的RNAの切断に用いられることが明らかにされた。
【0113】
実施例22
実施例14で用いた標的RNAであるSPH2と1カ所(+で示された領域)で塩基対合可能な次のようなRNA切断用RNA(GT7HM80) (図10型)をT7RNAポリメラーゼにより合成した。
Figure 0003660718
【0114】
標的RNAとして、実施例14で用いたSPH2を用い、リボヌクレアーゼは実施例4で用いたものと同じものを用い、実施例4と同様に切断反応及びその後の解析を行ったところ、標的RNAの切断予定部位での切断が確認された。切断効率は、実施例4と同程度だった。電気泳動後のオートラジオグラフが図21に示されている。なお、図21のレーン1は未反応の標的RNA(切断反応に供さなかったもの)、レーン2及び3はそれぞれ、RNA切断用RNA(GT7HM80)を0pmol(対照)及び50pmol加えた場合の結果を示す。また、図21において、一番右のカラムの数字の単位はヌクレオチドで、棒は基質RNA、矢頭は切断産物を示す。
【0115】
同様の切断実験は、ブタ肝臓由来の高度に精製された本発明のリボヌクレアーゼ(実施例1のMonoQクロマトグラフィー後)を用いて、10 mM Tris-HCl, pH 7.5, 1 mM DTT, 3.2 mMスペルミジンを含む反応溶液中でも行われて、同様の結果が得られた。この結果は、RNA切断用RNAは、標的RNAとわずか7塩基対合するだけで機能し得ることを示している(図10)。
【0116】
実施例23
実施例14で用いた標的RNAであるSPH2と1カ所(+で示された領域)で塩基対合可能な次のようなRNA切断用RNA(G5)(図10型)をDNA/RNA合成機により合成した。
Figure 0003660718
【0117】
標的RNAとして実施例14で用いたSPH2(対合領域に+を付して以下に示す。
Figure 0003660718
を用い、リボヌクレアーゼは実施例4で用いたものと同じものを用い、RNA切断用RNAとして上記G5を用いて実施例4と同様に切断反応及びその後の解析を行ったところ、標的RNAの切断予定部位での切断が確認された。切断効率は、実施例4の50%程度であった。電気泳動後のオートラジオグラフが図22に示されている。なお、図22のレーン1は未反応の標的RNA(切断反応に供さなかったもの)、レーン2及び3はそれぞれ、RNA切断用RNA(G5) を0pmol(対照)及び50pmol加えた場合の結果を示す。また、図22において、一番右のカラムの数字の単位はヌクレオチドで、棒は基質RNA、矢頭は切断産物を示す。この結果は、RNA切断用RNAは、標的RNAとわずか5塩基対合するだけで機能し得ることを示している(図10)。
【0118】
実施例24
次のような56ヌクレオチドの標的RNA(T7HM3) を[α-32P]UTP存在下でT7RNAポリメラーゼを用いて合成した。
Figure 0003660718
【0119】
RNA切断用RNAとして、上記の標的RNAと2カ所(*と+で示された領域)で塩基対合して、図9のような構造をとる次のようなRNA(GT7HM7)をT7RNAポリメラーゼにより合成した。
Figure 0003660718
【0120】
上記標的RNA(T7HM3) 及びRNA切断用RNA(GT7HM7)並びに実施例3で調製したリボヌクレアーゼ部分精製物(2回目のブルーセファロースクロマトグラフィー後の分画)を用い、実施例4と同様に切断反応及びその後の解析を行ったところ、標的RNAの切断予定部位での切断が確認された。切断効率は、実施例4の40%程度であった。この結果より、標的RNAは、tRNAのアクセプターステムとアンチコドンステムに対応する塩基対合を持つだけで、RNA切断用RNAと複合体を作った時に切断されることが示された(図9)。
【0121】
実施例25
次のような48ヌクレオチドの標的RNA(T3HM1) を[α-32P]UTP存在下でT3 RNAポリメラーゼを用いて合成した。
Figure 0003660718
【0122】
RNA切断用RNAとして実施例24で用いたGT7HM7を用い、リボヌクレアーゼは実施例4で用いたものと同じものを用い、実施例4と同様に切断反応及びその後の解析を行ったところ、標的RNAの切断予定部位での切断が確認された。切断効率は、実施例4の40%程度であった。この結果は実施例24と共に、標的RNAは、tRNAのアクセプターステムとアンチコドンステムに対応する塩基対合を持つだけで、RNA切断用RNAと複合体を作った時に切断されることを示している(図9)。
【0123】
実施例26
RNA切断ガイド剤として、実施例14で用いた標的RNAであるSPH2と2カ所(* と+ で示された領域)で塩基対合可能な次のようなDNAを合成機により合成した。
Figure 0003660718
【0124】
標的RNAとして実施例14で用いたSPH2を用い、リボヌクレアーゼは実施例4で用いたものと同じものを用い、RNA切断ガイド剤として上記GT7HDNA を用いて実施例4と同様に切断反応及びその後の解析を行ったところ、標的RNAの切断予定部位での切断が僅かながら確認された。切断効率は、実施例4の10%程度であった。
【0125】
実施例27
RNA切断ガイド剤として、実施例14で用いた標的RNAであるSPH2と2カ所(* と+ で示された領域)で塩基対合可能な次のようなホスホロチオエート化DNAを合成機により合成した。
Figure 0003660718
【0126】
標的RNAとして実施例14で用いたSPH2を用い、リボヌクレアーゼは実施例4で用いたものと同じものを用い、RNA切断ガイド剤として上記GT7HSDNAを用いて実施例4と同様に切断反応及びその後の解析を行ったところ、標的RNAの切断予定部位での切断が僅かながら確認された。切断効率は、実施例4の10%程度であった。
【0127】
実施例26と27の結果は、RNA切断ガイド剤は、DNAあるいは、化学修飾されたDNAでも機能し得ることを示している。
【0128】
実施例28
次に、標的RNAとして、tRNA塩基配列とは全く関係のないHIV−1の遺伝子env内に存在する次のような60ヌクレオチドの標的RNAを[α-32P]UTP存在下でT7RNAポリメラーゼを用いて合成し、切断実験を試みた。
Figure 0003660718
【0129】
RNA切断用RNAとして、上記の標的RNAと2カ所(* と+ で示された領域)で塩基対合可能な次のようなRNAをT7RNAポリメラーゼにより合成した。
Figure 0003660718
【0130】
上記標的RNA(HIV1) 及び上記RNA切断用RNA(GHIVA)を用い、リボヌクレアーゼは実施例4で用いたものと同じものを用い、実施例4と同様に切断反応及びその後の解析を行ったところ、標的RNAの切断予定部位での切断が確認された。切断効率は、実施例4と同程度であった。
【0131】
電気泳動後のオートラジオグラフを図23のレーン1〜10に示す。図23中、レーン1は標的RNAを切断反応に供さなかった場合、レーン2〜4はそれぞれ、RNA切断用RNAとしてGHIVA をそれぞれ0pmol、0.5pmol、5.0pmol加えた場合、レーン5及び6はRNA切断用RNAとして酵母のtRNAをそれぞれ0.5pmol及び5.0pmol加えた場合、レーン7及び8はRNA切断用RNAとして実施例30で用いたGHIVBをそれぞれ0.5pmol及び5pmol加えた場合、レーン9及び10はRNA切断用RNAとして実施例4で用いたGT7Hをそれぞれ0.5pmol及び5pmol加えた場合の結果を示す。図23に示されるように、RNA切断用RNAとして、標的RNAと部分的に対合するGHIVA を用いた場合には標的RNAが切断されるが、標的RNAと対合しない酵母tRNAやGT7Hを用いた場合には標的RNAの特異的切断は起きなかった。
【0132】
同様の切断実験は、ブタ肝臓由来の高度に精製された本発明のリボヌクレアーゼ(実施例1のMonoQクロマトグラフィー後)を用いて、10 mM Tris-HCl, pH 7.5, 1 mM DTT, 3.2 mMスペルミジンを含む反応溶液中でも行われて、同様の結果が得られた。ただし、切断は予定された部位の他に1ヌクレオチド5’よりと3’よりの部位でも起こった。
【0133】
実施例29
RNA切断用RNAとして、実施例28で用いた標的RNA(HIV1)と1 カ所(+で示された領域)で塩基対合可能な次のようなRNAをT7RNAポリメラーゼにより合成した。
Figure 0003660718
【0134】
このRNA切断用RNAと、実施例28で用いた標的RNA(HIV1)と、実施例4で用いたリボヌクレアーゼとを用いて実施例4と同様に切断反応及びその後の解析を行ったところ、実施例28と同じところで標的RNAの切断が確認された。切断効率は、実施例4の70%程度であった。同様の切断実験は、ブタ肝臓由来の高度に精製された本発明のリボヌクレアーゼ(実施例1のMonoQクロマトグラフィー後)を用いて、10 mM Tris-HCl, pH 7.5, 1 mM DTT, 3.2 mMスペルミジンを含む反応溶液中でも行われて、同様の結果が得られた。
【0135】
この結果は、実施例22と共に、標的RNAとRNA切断用RNAの塩基対合構造が、図10のような単純な構造であっても、本発明のリボヌクレアーゼが認識し得ることを示している。
【0136】
実施例30
実施例25、26とは異なる、HIV−1の遺伝子gag内に存在する次のような56ヌクレオチドの標的RNAを[α-32P]UTP存在下でT7RNAポリメラーゼを用いて合成した。
Figure 0003660718
【0137】
RNA切断用RNAとして、上記の標的RNAと2カ所(* と+ で示された領域)で塩基対合可能な次のようなRNAをT7RNAポリメラーゼにより合成した。
Figure 0003660718
【0138】
上記標的RNA(HIV2) 及び上記RNA切断用RNA(GHIVB)を用い、リボヌクレアーゼは実施例4で用いたものと同じものを用い、実施例4と同様に切断反応及びその後の解析を行ったところ、標的RNAの切断予定部位での切断が確認された。切断効率は、実施例4の50%程度であった。ただし、切断は予定された部位の他に1ヌクレオチド5’よりと、2ヌクレオチド3’よりの部位でも起こった。このRNA切断用RNA(GHIVB) の代わりに、実施例4と28でそれぞれ用いたGT7HやGHIVA のRNA切断用RNAあるいは酵母のtRNAを使用した時には、この56ヌクレオチドの標的RNA(HIV2)の特異的切断は起こらなかった。
【0139】
実施例31
次に、標的RNAとして、tRNA程の短いRNAでなく、かなり長いRNAを用いて切断実験を行った。以下のような、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼのmRNA配列の部分を含む415 ヌクレオチドの標的RNAを[α-32P]UTP存在下でT7RNAポリメラーゼを用いて合成した。
Figure 0003660718
【0140】
RNA切断用RNAとして、上記の標的RNAと2カ所(* と+ で示された領域)で塩基対合可能な次のような基本型のRNAをT7RNAポリメラーゼにより合成した。
Figure 0003660718
【0141】
標的RNAとして上記CATCを用い、RNA切断用RNAとして上記GCAT1を用い、リボヌクレアーゼは実施例4で用いたものと同じものを用い、実施例4と同様に切断反応及びその後の解析を行ったところ、標的RNAの切断予定部位での切断が確認された。切断効率は、実施例4の70%程度であった。ただし、切断は予定された部位から1ヌクレオチド3’よりの部位で起こった。
【0142】
実施例32
実施例32から34では、Dステム・ループに対応する配列を短くしたRNA切断用RNAと実施例31で用いた標的RNA(GCAT)とを用いて切断実験を行なった。
【0143】
RNA切断用RNAとして、上記の標的RNA(GCAT)と2カ所(*と+で示された領域)で塩基対合可能な次のRNAをT7RNAポリメラーゼにより合成した。
Figure 0003660718
【0144】
標的RNAとして上記CATCを用い、RNA切断用RNAとして上記GCATM1を用い、リボヌクレアーゼは実施例4で用いたものと同じものを用い、実施例4と同様に切断反応及びその後の解析を行ったところ、実施例31と同様に標的RNAの切断が確認された。切断効率は、実施例4の70%程度であった。
【0145】
実施例33
RNA切断用RNAとして、上記の標的RNA(GCAT)と2カ所(*と+で示された領域)で塩基対合可能な次のRNAをT7RNAポリメラーゼにより合成した。
Figure 0003660718
【0146】
標的RNAとして上記CATCを用い、RNA切断用RNAとして上記GCATM2を用い、リボヌクレアーゼは実施例4で用いたものと同じものを用い、実施例4と同様に切断反応及びその後の解析を行ったところ、実施例31と同様に標的RNAの切断が確認された。切断効率は、実施例4の15%程度であった。
【0147】
実施例34
RNA切断用RNAとして、上記の標的RNA(GCAT)と2カ所(*と+で示された領域)で塩基対合可能な次のRNAをT7RNAポリメラーゼにより合成した。
Figure 0003660718
【0148】
標的RNAとして上記CATCを用い、RNA切断用RNAとして上記GCATM3を用い、リボヌクレアーゼは実施例4で用いたものと同じものを用い、実施例4と同様に切断反応及びその後の解析を行ったところ、実施例31と同様に標的RNAの切断が確認された。切断効率は、実施例4の15%程度であった。
【0149】
実施例32から34の結果より、図8のような構造をとる、Dステム・ループに対応する配列を短くしたRNA切断用RNAは、415ヌクレオチドのかなり長い標的RNAに対しても有効であることが明らかになった。
【0150】
実施例35
RNA切断用RNAとして、7塩基から成る標的RNA結合用5’配列(ガイド配列)と20塩基程のステム・ループのみから構成され、上記の標的RNA(GCAT)と1カ所(+で示された領域)で塩基対合可能な次の図11型のRNAをT7RNAポリメラーゼにより合成した。
Figure 0003660718
【0151】
標的RNAとして上記CATCを用い、RNA切断用RNAとして上記GCAT126を用い、リボヌクレアーゼは実施例4で用いたものと同じものを用い、実施例4と同様に切断反応及びその後の解析を行ったところ、実施例31と同様に標的RNAの切断が確認された。切断効率は、実施例4の30%程度であった。
【0152】
【発明の効果】
本発明により、任意のRNAを所望の部位で切断する方法並びにそのために用いられる新規なリボヌクレアーゼ及びRNA切断ガイド剤が提供された。本発明の方法によれば、任意のRNAを塩基配列特異的に所望の位置で切断することができるので、上記のように、遺伝子工学並びに診断及び治療の分野に大いに貢献するものと期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のRNA切断ガイド剤の構造を模式的に示す図である。
【図2】tRNAArg 前駆体の構造を示す図である。
【図3】3’欠失tRNAArg と基質RNA(S1)との複合体の構造を示す図である。
【図4】3’欠失tRNAAla と基質RNA(S2)との複合体の構造を示す図である。
【図5】tRNA前駆体の構造を模式的に示す図である。
【図6】本発明のRNA切断ガイド剤の一例と標的RNAの一例との複合体の構造を模式的に示す図である。
【図7】本発明のRNA切断ガイド剤の一例と標的RNAの一例との複合体の構造を模式的に示す図である。
【図8】本発明のRNA切断ガイド剤の一例と標的RNAの一例との複合体の構造を模式的に示す図である。
【図9】本発明のRNA切断ガイド剤の一例と標的RNAの一例との複合体の構造を模式的に示す図である。
【図10】本発明のRNA切断ガイド剤の一例と標的RNAの一例との複合体の構造を模式的に示す図である。
【図11】本発明のRNA切断ガイド剤の一例と標的RNAの一例との複合体の構造を模式的に示す図である。
【図12】本発明のRNA切断ガイド剤の一例と標的RNAの一例との複合体の構造を模式的に示す図である。
【図13】本発明のRNA切断ガイド剤の一例と標的RNAの一例との複合体の構造を模式的に示す図である。
【図14】本発明のリボヌクレアーゼの活性のpH依存性を調べた結果を示す図である。
【図15】本発明のリボヌクレアーゼの活性の温度依存性を調べた結果を示す図である。
【図16】本発明のリボヌクレアーゼの分子量を測定した結果を示す図である。
【図17】本発明のリボヌクレアーゼの等電点を測定した結果を示す図である。
【図18】本発明のリボヌクレアーゼがtRNA前駆体3’プロセシング酵素と同一であることを示す切断実験の結果を示す図である。
【図19】本発明の実施例4及び14の切断実験の結果を示す図である。
【図20】本発明の実施例14における5’切断産物の部分塩基配列を決定した結果を示す図である。
【図21】本発明の実施例22の切断実験の結果を示す図である。
【図22】本発明の実施例23の切断実験の結果を示す図である。
【図23】本発明の実施例28の切断実験の結果を示す図である。
【符号の説明】
10 RNA切断ガイド剤
12 ガイド配列
14 ステム・ループ部
16 サブガイド配列
18 任意の3’配列

Claims (9)

  1. 下記の理化学的性質を有し、tRNA前駆体の3’トレーラーを除去する酵素であるリボヌクレアーゼ。
    (1)作用及び特異性:第1鎖RNAと、5’末端から少なくとも連続する5ヌクレオチドが前記第1鎖RNAと対合した第2鎖RNAとの対合部分を認識し、前記第1鎖RNAの該対合部分の3’側端部又はこの端部から1〜3塩基3’側を切断する。
    (2)至適pH:7.0−7.5
    (3)至適温度50−60℃
    (4)分子ふるいクロマトグラフィーによる分子量100kDa
    (5)クロマトフォーカシング法による等電点4.5。
  2. 切断すべき標的RNAの少なくとも連続する5塩基と相補的なガイド配列を5’側端部に有する核酸から成るRNA切断ガイド剤の前記ガイド配列を前記標的RNAの相補的部分と対合させ、これに請求項1記載のリボヌクレアーゼを作用させることから成るRNAの切断方法。
  3. 前記RNA切断ガイド剤がRNAである請求項2記載の方法。
  4. 前記ガイド配列が7塩基である請求項2または3記載のRNAの切断方法。
  5. 前記RNA切断ガイド剤が、前記ガイド配列の3’側下流に、前記標的RNAの少なくとも連続する5塩基と相補的なサブガイド配列を有する請求項2ないし4の何れか1項に記載のRNAの切断方法。
  6. 前記RNA切断ガイド剤において、前記ガイド配列とサブガイド配列との間が少なくとも7塩基離れている請求項5記載のRNAの切断方法。
  7. 前記RNA切断ガイド剤が、前記ガイド配列の3’側下流にステム・ループ部を有する請求項2ないし6の何れか1項に記載のRNAの切断方法。
  8. 前記標的RNAの前記ガイド配列に相補的な配列と、前記サブガイド配列に相補的な配列との間が、少なくとも11塩基離れている請求項2ないし7の何れか1項に記載のRNAの切断方法。
  9. 前記標的RNAが、前記ガイド配列に相補的な配列の5’側下流にステム・ループ部を有する請求項2ないし8の何れか1項に記載のRNAの切断方法。
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