JP3657785B2 - 情報記憶検索方法、情報記憶検索システム及び記録媒体 - Google Patents
情報記憶検索方法、情報記憶検索システム及び記録媒体 Download PDFInfo
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、プラントなどの設備の制御、運用、保守、点検などに関わる多種多量のデータを、収集、蓄積、利用するための情報記憶検索方法およびそれを用いた情報記憶検索装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、プラントやインテリジェント・ビル、自動倉庫、交通機関や店舗などの設備に設置した各種センサ、制御装置や操作端末などから、対象設備の状況を表すデータや、機器の操作履歴などのデータを取得し、制御や点検などの目的に利用することが行なわれてきた。これらのデータは、情報ネットワークを通じて、遠隔地の複数の端末から利用することも可能であり、また、データベース等の記憶手段にデータを大量に蓄積することも可能になっている。
【0003】
また、デジタルカメラなどの携帯型のデータ入力手段の普及により、例えば、設備の点検データを、巡視員が、画像や音声などのデジタル情報として収集して利用することも可能となった。
【0004】
一方、プラントのオペレータなど、データを利用するユーザに対して、データを呈示する方法としては、例えば、「情報提示装置」(特開平7−200231号)がある。ここでは、ユーザの状態の計測結果と、呈示するデータ自体の重要度・緊急度の評価に基づき、適切なタイミング、適切な抽象度でユーザにデータを呈示する方法が提案されている。
【0005】
また、情報検索の分野では、文書検索に特化した方法として、文章の意味を表すベクトルを用いて、文章間の類似度を計算することにより、ある文書と内容が類似した文書を検索する方法などがある(たとえば、「日経エレクトロニクス 解説 情報検索」(12−15、1997)など)。
【0006】
センサ・データやビデオ・データなどのデータを同期させてユーザに呈示する方法としては、「Synchronized Retrieval of Recorded Multimedia Data」(CHI 97、22−27MARCH 1997)がある。ここでは、センサのトレンドや機器の動画像などのデータを相互に関連付けて検索するためのグラフィカル・ユーザ・インタフェースや、データを同期させて再生するための方法が提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
プラントなど比較的大規模な設備に関わる多種多量のデータの収集・利用における問題には、第一に、データの収集や整理にかかる労力の問題がある。データ自体が簡単に入手できたとしても、これを整理、意味付けして、後で利用し易い形に蓄積する作業がユーザに課せられるのであれば、ユーザの労力は依然として大きい。例えば、デジタルカメラで撮影した画像データを、後で簡単に利用できるようにするには、画像データに、撮影者、撮影日時、撮影場所、被写体、撮影目的などの情報を付加して、所定のデータベースに登録して管理するといった作業が必要であると考えられるが、このような作業は繁雑である。この労力を軽減するために、データ収集の作業をワークフローとして定型化し、これに基づいて作業の手順をガイドしたり、入手したデータに付加情報を付ける処理を自動化するという支援方法も考えられる。しかしながら、このような方法では、定められた手順に従わずに入手したデータを扱うことができなかったり、元来定型的でないような作業、たとえば異常時における点検・復旧作業などを支援できないという問題がある。
【0008】
第二に、データを利用するための手続きが繁雑であるという問題がある。現状のプラントなどにおける情報システムでは、センサのトレンド・データや、オペレータの操作履歴などのデータを、データベースに蓄積することはできる。しかしながら、これを利用する際には、ユーザは、例えば日時やセンサ番号などの明示的な検索条件をシステムに入力してデータを検索する必要があり、この手続きが繁雑であったり、検索条件として適切な条件を入力することが困難であるという問題があった。また、このような検索条件で検索を行なっても、ユーザが求めるデータだけが検索されるとは限らず、一般には、検索条件を満足する多数のデータが全て検索結果として呈示される場合が多い。この場合は、ユーザは、検索結果から必要なデータを選び出さなければならず、データの件数が多い場合には、この作業は負荷が大きい。とくに、緊急にデータが必要な場合には、効率的にデータが検索できないことは大きな問題になる。
【0009】
「情報提示装置」(特開平7−200231号)に記載されている方法は、ユーザの状態に基づいて提示すべき情報を呈示すべき形式で呈示する方法ではあるが、ユーザ状態を推測するための情報としては、キーボードなどの入力デバイスや、グラフィカル・インタフェースの使用状態、ユーザの状態を計測するセンサ類であるとしている。このため、この方法では、ユーザの作業内容や目的といった、情報の有用性に関わる本質的な条件や、プラント等の外部環境の状況といった、ユーザ以外の条件に関して考慮されていないため、合目的的な情報呈示を行なうことはできない。
【0010】
また、従来の情報検索方式のうち、文書検索の分野では、文章の意味的な類似度に基づいて、自然言語の問合せ文と意味が近い文書を検索したり、与えた文書と内容が類似した文書を検索する方法が有効であることが知られている。しかしながら、この方法は文書検索に限って有効な方法であって、本発明が対象とする分野のデータ、すなわち、プラント等の設備に関わる、画像、音声、動画、センサ情報などの非言語データを、この方法で検索することは不可能である。文書以外の非言語データについても、ユーザの意図に応じて検索したり、データ同士の類似度に基づいて検索するなどの技術が望まれる。
【0011】
「Synchronized Retrieval of RecordedMultimedia Data」(CHI 97、22−27 MARCH1997)に記載されている方法は、基本的には、グラフィカル・ユーザ・インタフェース上に表示された動画像やセンサ・データから、他の関連するデータを検索したり、複数のデータを同期させて再生する方法であるため、大量に蓄えられたデータからユーザが求めるデータを探し出すことを支援するものではなく、大規模なプラントの監視・保守に適用することは難しい。また、システムやユーザの状況に応じて必要なデータを呈示するといった支援を行なうものでもない。
【0012】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、多種多様なデータの登録および検索にかかる作業の手間を軽減して、効率よく情報の利用が行える情報記憶検索方法およびそれを用いた情報記憶検索装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
(1) 本発明の情報記憶検索方法は、所要の対象についての各種情報を取得して、この取得した情報中における所要の主情報を該取得した情報中における該主情報と互いに関連し合う状況情報とともに記憶し、
所要の対象について取得した情報を検索条件とし、この検索条件に類似する状況情報に関連付けられた主情報を前記記憶された主情報の中から検索することを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、多種多様なデータの登録および検索にかかる作業の手間を軽減して、効率よく情報の利用が行える。
(2)本発明の情報記憶検索装置は、所要の対象についての各種情報を取得する情報取得手段と、
この情報取得手段で取得した情報中における所要の主情報を、該情報取得手段で取得した該主情報と互いに関連し合う状況情報とともに記憶する記憶手段と、前記情報取得手段で取得した情報を検索条件とし、この検索条件に類似する状況情報に関連付けられた主情報を前記記憶手段で記憶された主情報の中から検索する検索手段と、
を具備したことを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、多種多様なデータの登録および検索にかかる作業の手間を軽減して、効率よく情報の利用が行える。
(3)好ましくは、前記主情報に関連付ける状況情報を該主情報の前後に記憶された主情報に関連付けられた状況情報に基づき決定するか、あるいは、前記主情報に関連付けるべき状況情報を入力するための手順を呈示する。
【0016】
本発明によれば、主情報が登録された状況を表す状況情報を、可能な限り自動的に獲得、推定することにより、ユーザに情報を入力させる労力を軽減する。
(4)好ましくは、前記情報取得手段で取得した状況情報に基づき、該状況情報に関連する主情報を記憶するか否かを判断することを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、状況により有用と判断される主情報を効率よく収集することができる。
(5)好ましくは、指定された主情報に関連付けられた状況情報に類似する状況情報に関連付けられた主情報を前記記憶手段で記憶され主情報の中から検索する第2の検索手段をさらに具備する。
【0018】
本発明によれば、求める主情報を検索するための検索条件を詳細に設定せずとも、容易に効率良く主情報を検索し利用することができる。
(6)好ましくは、前記情報取得手段で取得された、前記記憶された主情報の利用時の状況情報に基づき、該主情報に関連する状況情報を更新する。
【0019】
本発明によれば、利用実績が多く、様々な状況において利用された利用価値の高い主情報ほど、検索されやすくなり、結果的に、データの共有が促進される。
(7)本発明の情報記憶検索装置は、少なくとも、所要の対象についての各種情報を取得する情報取得手段を具備した情報検索可能な携帯型端末装置と、
少なくとも、前記情報取得手段で取得した情報中における所要の主情報を、該情報取得手段で取得した該主情報と互いに関連し合う状況情報とともに記憶する記憶手段と、前記情報収集手段で取得した情報に類似する状況情報に関連付けられた主情報を前記記憶手段で記憶された主情報の中から検索する検索手段とからなる主装置を具備し、
前記主装置の検索手段は、将来予測される状況に類似する状況情報に関連付けられた主情報を前記記憶手段で記憶された主情報の中から検索し、該検索された主情報は前記携帯型端末装置に記憶せしめて、該端末装置での該主情報の利用を可能にすることを特徴とする。
本発明によれば、主装置と携帯型端末装置とを切り離して、所望の場所にて必要とする主情報の検索が容易に行える。
【0020】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
(1−1)情報記憶検索装置の構成
図1は、本発明の実施形態に係る情報記憶検索装置の基本構成を示すブロック図である。図1に示すように、情報記憶検索装置は、複数(例えばn個)の情報源1−1〜1−nのそれぞれからデータを入力するための複数のデータ入力部2−1〜2−n、データ入力部2−1〜2−nから入力されたデータや、後述するデータ検索部7で検索されたデータを表示、加工するための1つまたは複数のデータ呈示/加工部3、ユーザの状況(例えば、ユーザの氏名、役割、目的等)、当該情報記憶検索装置自身に関わる状況(例えば、当該情報記憶検索装置の構成やネットワークとの接続状態等で以下、内部状況と呼ぶ)、本情報記憶検索装置の外部から収集される、例えば本情報記憶検索装置を適用する監視対象であるプラントの設備の状況(場所、対象物の種類等で、以下、環境状況と呼ぶ)を含む状況情報をデータ入力部2−1〜2−nまたはデータ呈示/加工部3から獲得するための状況情報獲得部4、データ入力部2−1〜2−nのいずれかから入力された利用対象のデータ(主情報)を状況情報と関連付けて記憶するデータ記憶部5、データ記憶部5に状況情報とそれに関連付けられたデータ(主情報)とを登録するためのデータ登録部6、データ記憶部5に記憶されたデータ(主情報)を検索するためのデータ検索部7とから構成されている。
【0021】
情報源1−1〜1−n、データ入力部2−1〜2−nとしては、本情報記憶検索装置が適用対象とする例えばプラント等の設備に備え付けられたセンサや制御装置、設備の静止画を入力するデジタルカメラ、動画像を入力するビデオカメラ、音声を入力するマイクなどがある。また、情報源1−1〜1−nは、本情報記憶検索装置が内部に持つものでも良く、例えば、設備の情報や利用者の情報を蓄えたデータベースやファイルシステムでもよい。さらに、ユーザの操作や状況を入力する手段、たとえば、キーボードやマウスと行った入力デバイス自体や、ユーザ認証手段などもこれに含まれる。
【0022】
データ提示/加工部3は、具体的には、センサのトレンドや静止画像、動画像、音声などを提示し、これらのデータの1つまたは複数を組み合わせて加工するための手段であり、既存のソフトウェアであってもよい。図1では簡略化して1つの手段として図示しているが、一般には、呈示/加工の対象とするデータの種類に応じた複数の手段で構成されていてもよい。
【0023】
状況情報獲得部4は、ユーザ状況、内部状況、環境状況を含む状況情報を、データ入力部2−1〜2−nまたはデータ呈示/加工部3から獲得するためのものである。
【0024】
一般に、データ入力部2−1〜2−nから入力されるデータには、後述するように、データ自体をユーザが利用する目的で入力される主情報としてのデータと、状況情報として利用するために入力されるデータと、その両方の目的で入力されるデータがある。また、データ呈示/加工部3にて、ユーザがどのようなデータを利用したかという情報も、状況情報として利用される。
【0025】
データ登録部6は、登録するデータ自体と、登録時の状況を表す状況情報を、それぞれデータ提示/加工部3と状況情報獲得部4とから受け取り、両者を関連付けてデータ記憶部5に登録する。
【0026】
データ検索部7は、状況情報獲得部4により獲得された状況情報を検索条件として受け取って検索を行ない、検索結果をデータ呈示/加工部3にて呈示する。図2は、図1の基本構成を、本実施形態に即してさらに具体化した構成を示したものである。
【0027】
図2では、プラント設備に関するデータの記憶と利用を目的とした構成であり、図1の情報源1−nとデータ入力部2−1〜2−nとをまとめて、プラント設備に付随したセンサ10a、制御装置10b、警報器10c…と表している。
【0028】
図1の情報記憶検索部1をより具体的な構成とするために図2に示した構成では、状況情報獲得/解釈知識記憶部8と、検索/登録制御部9とが新たに追加されている。
【0029】
状況情報獲得/解釈知識記憶部8は、状況情報獲得部4にて状況情報を獲得する処理において、その獲得方法に関する知識や、ある情報に基づいて他の情報を推測するための知識を記憶する手段である。また、後述するように、データ検索部7にて、状況情報同士の類似度を計算する際に、情報の意味的な内容まで解釈して計算するための知識も、ここに記憶する。
【0030】
検索/登録制御部9は、状況情報獲得部4にて獲得した状況情報に基づいて、データ登録部6やデータ検索部7を制御する手段である。後述するように、例えば、プラント設備がある特定の状況になった場合に、自動的に主情報を検索してユーザに呈示したり、逆に、主情報を登録するようユーザに要求する、という機能を実現するために、この手段を設ける。
【0031】
本実施形態にかかる情報記憶検索装置は、例えば、センサ、カメラ、タッチパネル、マイクロフォン、マウス、キーボード等の入力手段、スピーカ、ディスプレイ(表示装置)、等の出力手段、フロッピーディスク装置、CD−ROMドライブ、ハードディスク装置等の大容量記憶装置、主メモリ、及びCPU等を備えたパーソナルコンピュータ(計算機)を用いて実現される。
【0032】
特に、図1、図2のデータ提示/加工部3、状況情報獲得部4、データ記憶部5、データ登録部6、データ検索部7、状況情報獲得/解釈知識記憶部8、登録/検索制御部9の持つ機能は、その機能を上記のパーソナルコンピュータにより実行させるためのプログラムを記録した記憶媒体、例えばフロッピーディスク、CD−ROMを用い、当該記録媒体を上記パーソナルコンピュータ中のフロッピーディスク装置あるいはCD−ROMドライブに装着して、当該フロッピーディスクあるいはCD−ROMに記録されているプログラムを上記パーソナルコンピュータ(中のCPU)で読み取り実行させることにより実現される。
【0033】
図3〜図5に、データ記憶部5のデータ(主情報とそれに関連付けられた状況情報)の記憶例を示す。データ入力部2−1〜2−nから取得されるプラント等の設備に関わるデータ(主情報)には様々な種類のものがある。例えば、図3〜図5に示すようなデータD1〜D5がある。すなわち、図3(a)に示すデータD1は監視対象の機器の写真、図3(b)に示すデータD2は、設備のセンサから得たセンサ値のトレンド、図4(a)に示すデータD3は、制御装置が発生する警報の履歴、図4(b)に示すデータD4は、オペレータが行なった設備の操作履歴、図5に示すデータD5は、ユーザが作成した文書である。
【0034】
本実施形態では、これら利用対象のデータ(主情報)の各々に対して、そのデータが入手・作成された時の状況を表す状況情報(図3〜図5のJ1〜J5)に関連付けてデータ記憶部5に記憶する。主情報と状況情報とは、例えば、ポインタにて互いに対応つけられていてもよく、主情報から状況情報が、状況情報から主情報がそれぞれ導けるようになっている。
【0035】
図3〜図5に示す状況情報J1〜J5は、「データ種類」「登録日時」「登録者」「場所」「対象」「目的」といった項目別に記述したものとなっている。各項目の値は、それぞれデータ入力部2−1〜2−nを介して情報源1−1〜1−nから取得されたデータである。
【0036】
「データ種類」の項目は、主情報の種類(「写真」「センサ値」「警報」「操作履歴」「文書」など)を表す。「登録日時」の項目は当該主情報が登録された日時を表す。ただし、主情報が写真などのデータで、当該データを入手してから実際にデータ記憶部5に記憶されるまでに時間の経過がある場合は、入手した日時の方を採る。「登録者」の項目は、その主情報を登録した人を表す。ただし、データD2に示すようなセンサ値やデータD3に示すような警報の履歴など、ユーザが明示的に登録を行なわずとも、当該情報記憶検索装置(以下、簡単にシステムと呼ぶことがある)が自動的に逐次登録するよう定められた主情報もあり、この場合の登録者は「システム」とする。「場所」の項目は、当該主情報を入手した場所を表す。例えば、写真のデータD1の場合、写真を撮影した場所として「20号棟」が、この項目に設定される。このような建物の名称の他に、位置座標などを記述してもよい。「対象」の項目は、当該主情報の対象を表す項目である。例えば、データD2が「給水管」の流量のセンサ値である場合、その「対象」は「給水管」である。「目的」の項目は、当該主情報が何を目的として登録されたかを表現する。例えば、「データ種類」がオペレータの「操作履歴」であるデータD4の目的は「監視操作」であるし、「データ種類」が「文書」であるデータD5の目的は「報告」である。
【0037】
本実施形態では、以上に挙げた「登録日」「場所」「目的」などの項目を、状況情報の基本的な項目としているが、本発明は、これらの項目に限定しない。他の項目を用いてもよいし、例えば、「対象」の項目を、「対象機器」「対象配管」「対象材料」などという複数の項目に細分化してもよい。
【0038】
以上説明したデータ(主情報)のうち、例えば、センサ値であるデータD2や警報履歴であるデータD3は、このデータ自体をユーザが監視などの目的に利用できるし、他のデータが入手・登録された状況を表す目的にも利用できる。例えば、データD4は、日時が1998年3月3日の14時23分から14時31分までのオペレータの給水設備の操作履歴を表すデータであるが、これに対して、データD2およびデータD3の、この日時付近の値は、それぞれ、その間に給水管や給水設備の機器の状況がどうであったかを示す情報である。すなわち、オペレータがデータD4のような操作をなぜ行なったのかという根拠や、その操作の結果プラントの状況はどうなったかを、データD2、D3から読み取ることができる。したがって、本実施形態では、必要に応じて、あるデータを、他のデータの状況情報として扱うこととしている。他のデータの状況情報となり得る典型的なデータは、先に述べたセンサ値や警報のように、システムが自動的に逐次記憶するデータである。
【0039】
これらのデータと、写真や操作履歴、文書など、ユーザが自発的に登録するデータとの関連付けは、例えば、時間に基づいて行なう。たとえば、写真を撮影した時のセンサ値や警報値は、その時のプラントの状況を示す状況情報として、写真データに関連付けて扱う。
(1−2)データ登録処理
図6と図7は、図2に示した情報記憶検索装置の処理動作を説明するためのフローチャートである。図6は、データと状況情報を関連付けてデータ記憶部5に記憶するための登録処理を示したもので、図7は、状況情報を検索条件として用いて検索する検索処理を示したものである。
【0040】
まず、図6に示すフローチャートを参照して登録処理について説明する。
図6の登録処理において、データの登録は、ユーザが自発的に登録を行なう場合と、当該情報記憶検索装置自身が自動的に、ユーザにデータを登録するよう要求する場合がある。前者の場合は、ユーザが発する登録要求を受け付け(ステップS31)、登録要求があれば実際の登録処理(ステップS36以降の処理)に移る。後者の場合は、あらかじめ、状況情報を常時獲得しておき(ステップS32)、ユーザがデータ登録すべき状況であり、かつ、登録すべきデータが存在する場合に(ステップS33)、ユーザに対して、データを登録するよう要求する(ステップS34)。
【0041】
ステップS32からステップS34の処理は、登録/検索制御部2によって行なわれる。
図8は、登録/検索制御部9が状況情報獲得部4で獲得された状況情報に基づいて自動的にデータの登録や検索の処理を行なうために予め登録/検索制御部9に記憶されている(例えば、ユーザにより予め登録されている)規則情報の一例を示したものである。
【0042】
例えば、図8において、規則R1は、ユーザにデータ登録を要求するタイミングと、どのようなデータを登録すべきであるかを判断するための規則を記述したもので、警報がオンからオフに変化したときに、「データ種類」が「操作履歴」であるデータを登録するためのものである。すなわち、「ユーザが何らかの操作を行なった結果、警報がONからOFFに変わった場合は、その操作履歴は異常復帰の手順として有用なものなので、登録すべきである」という意味である。
【0043】
ステップS33では、このような規則に基づいて、ユーザに対しデータの登録を要求するか否かを判断する。
図9は、ステップS34にて、ユーザに対しデータの登録を要求するために呈示する画面の表示例を示したものである。例えば、ステップS33において登録/検索制御部9が主情報としての操作履歴(図9のデータ61)を登録すべき状況であると判断したので、ユーザが行なった操作履歴のデータ61を呈示し、これを登録しても良いかどうかをユーザに問い合わせる。これに対して、ユーザが登録しても良いと応じた場合に(ステップS35)、実際の登録処理(ステップS36以降の処理)に移る。
【0044】
ステップS36では、登録すべきデータ(例えば、操作履歴のデータ61)に関連付けるべき状況情報を獲得する。ただし、ステップS32にてすでに獲得されている情報はこれをそのまま用いる。ステップS32およびステップS36の処理は、状況情報獲得手部4において、当該情報記憶検索装置内外の複数の情報源1−1〜1−nから各データ入力部2−1〜2−nを用いて必要な情報を獲得することにより行なう。
【0045】
状況情報の項目のうち、「データ種類」と「登録日時」は、データ自体の形式、および、データが入手/加工された時刻から獲得できる。また、「登録者」の項目は、ユーザが利用する端末やソフトウェアにて行なったユーザ認証の結果などから獲得する。「場所」「対象」「目的」などの項目は、基本的にはユーザ自身が設定する必要があるが、図10〜図11に示すような、プラントの運用に関わる一般的な情報があれば、例えば、以下に示す方法で、自動的に推定することができる。
【0046】
図10(a)はユーザの情報テーブルの一例、図10(b)は保守点検のスケジュール情報テーブルの一例、図11はプラントの系統・設備・機器の構成と場所に関する情報テーブルの一例を示したものである。このような情報が、前述の状況情報獲得/解釈知識記憶部8に記憶されている場合に、例えば、「登録日時」が「1998年2月27日10時27分」で、「登録者」が「山本」である写真のデータがある場合は、図10(a)に示す情報テーブルから「山本」の役割が「保守点検」であることや、図10(b)に示す情報テーブルから、この日時に「山本」が「20号棟」と「30号棟」を点検する予定であったことから、このデータの「目的」は「保守点検」であり、場所は「20号棟」もしくは「30号棟」であることが推定できる。このように、状況情報獲得部4は、状況情報獲得/解釈知識記憶部8に記憶された知識に基づいて、不足した情報を推定する。
【0047】
しかし、このようにしても、主情報に関連付けるべき状況情報が全て獲得できなかった場合には(ステップS37)、当該主情報の登録時と近い時刻に、同一の登録者によって登録された他の主情報の状況情報から、必要な状況情報を求める(ステップS38)。例えば、図12(a)(b)(c)に示すような状況情報を持つ主情報が同一の登録者「山本」によって連続して登録された場合で、図12(b)の状況情報の「場所」の項目が不明である場合には、図12(a)、(c)の「場所」の項目が「20号棟」であることから、図12(b)の「場所の項目」も「20号棟」であると推定する(図12(d)参照)。
【0048】
前後の状況からも推定できない場合には(ステップS39)、不足した状況情報を入力する手順をユーザに呈示する(ステップS40)。この例の場合、図11に示す情報テーブルから「20号棟」に存在する機器が予め分かっており、かつ、図12(a)(c)の「対象」がそれぞれ「給水ポンプ1」「給水弁」であることから、図12(b)の「対象」は「20号棟」にある機器のうち「給水ポンプ1」「給水弁」以外の機器である可能性が高いと推定し、「対象」の候補として「給水ポンプ2」「給水管」を挙げてユーザに選択せしめる。
【0049】
図13は、ユーザに状況情報の「対象」という項目に対応する情報を選択、入力をさせるために呈示する画面の一例を示したものである。
なお、状況情報を入力する手順があらかじめ定められている場合には、その手順をユーザに呈示して入力のガイドを行なう。例えば、図14に示すように、対象機器の情報をバーコードリーダなどの入力手段によって入力する手順を呈示しても良い。このような、ユーザをガイドするための知識も、状況情報獲得/解釈知識記憶部8に記憶させておく。
【0050】
不足した状況情報がユーザによって入力されると(ステップS41)、図15に示すように状況情報とそれに関連付けるべき主情報とをユーザに呈示して内容を確認・修正せしめ(ステップS42)、ユーザが登録してもよいと応えた場合には(ステップS43)、データ記憶部5に、主情報と状況情報とを関連付けて記憶する(ステップS44)。
【0051】
以上、個々のデータの登録の処理を説明したが、一連の複数のデータを主情報として登録する場合には、上述の状況情報獲得部4と、登録/検索制御部9とを協調せしめることにより、さらに高度なユーザ支援を行なうこともできる。例えば、保守点検の作業をガイドする方法としては、ユーザが機器の写真を撮影した際に、図14に示したように対象機器の情報を状況情報として入力するようユーザに要求し、ユーザが状況情報を入力したら、その状況情報自体に基づき、次に何の写真を撮影すべきかをユーザにガイドするという支援も実現できる。
【0052】
さらには、プラント設備のセンサや警報などの動的な状況に基づいて、異常があると思われる機器のデータを入力するようユーザに要求する、といったガイドも可能になる。
【0053】
以上説明したように、上記登録処理においては、主情報が登録された状況を表す状況情報を、可能な限り自動的に獲得、推定することにより、ユーザに情報を入力させる労力を軽減する。また、後述するように、主情報に関連付けられた状況情報によって、柔軟かつ効率よく主情報を検索できるようになるため、ユーザ自身がデータの整理を行なう必要がなく、多量のデータを管理する労力が大幅に軽減される。
(1−3)データ検索処理
次に、図7に示すフローチャートを参照して、図2の情報記憶検索装置の処理動作について説明する。
【0054】
データの検索は、ユーザが自発的に検索を行なう場合と、システムが自動的にデータを検索してユーザに呈示する場合がある。前者の場合は、ユーザが発する検索要求を受け付け(ステップS51)、検索要求があれば実際の検索処理(ステップS54以降の処理)に移る。後者の場合は、あらかじめ、状況情報を常時獲得しておき(ステップS52)、ユーザに対して何かデータを呈示すべき状況であると判断した時点で(ステップS53)、実際の検索処理(ステップS56)に移る。
【0055】
ステップS52〜ステップS53の処理は、登録/検索制御部9によって行なわれる。
登録/検索制御部9では、図8に示したような規則情報に基づいて自動的にデータの検索処理を行なうか否かを判断する。図8に示した規則情報のうち、規則R2は、データの検索を行うタイミングとどのようなデータを検索すべきかを判断するための規則を記述したもので、警報がオフからオンに変化したときに、「データ種類」が「操作履歴」である主情報を検索するためのものである。すなわち、「警報がOFFからONに変わった場合は、過去の同じような状況において登録された操作履歴が、異常復帰の手順として参考になると思われるので、これを自動的に検索してユーザに呈示すべきである」という意味である。
【0056】
ステップS53では、このような規則に基づいて、ユーザにデータを呈示すべきかどうかを判断する。
本発明では、データを検索するための検索条件の1つとして、検索時の状況情報を用いる。
【0057】
ユーザが自発的に検索要求を出した場合には(ステップS51)、その時点の状況情報を獲得し(ステップS54)、これを暗黙的な検索条件とするが、ユーザが検索条件を明示的な形で指定した場合には(ステップS55)、これと状況情報とを組み合わせた条件を検索条件とする(ステップS57)。ユーザが明示的な検索条件を指定しなかった場合や、ステップS53にてシステムが自動的に検索を実行する場合には、状況情報のみを検索条件とする(ステップS56)。
【0058】
状況情報の獲得は、図6のデータの登録処理のステップS36の説明と同様であるが、登録時とは異なり、状況情報の全ての項目を獲得する必要がないので、図6のステップS40、ステップS41のようなユーザに対して状況情報の不足分を入力せしめる処理は必ずしも行う必要はない。
【0059】
図16は、ユーザに対して、検索条件とする状況情報を呈示し、かつ、これに加えて、ユーザ自身が希望する検索条件を明示的に指定するための画面の表示例を示したもので、検索時の状況を表す状況情報の表示領域102と、ユーザが所望する検索条件を入力するための領域102とが表示されている。
【0060】
図16に示すように、検索時の状況は、「1998年4月15日11時13分」に「鈴木」が「中央監視室」で「給水設備」の「監視制御」を行なっている状況である。領域102には、検索したい主情報の種類や目的についての条件として、「最近の点検時の写真か文書」という日本語がユーザにより入力されている。本実施形態の場合、ユーザが指定する検索条件は、自然言語で自由に入力することとしている。自然言語を検索条件として解釈する処理は従来技術で実現可能である。また、本発明は、自然言語による入力方法に限定するものではなく、キーワードの入力や、グラフィカル・ユーザ・インタフェースによる入力であってもよい。
【0061】
なお、検索条件として用いる状況情報は、検索する時点の状況を表す情報でなくてもよい。また、各種主情報の各々に関連付けられている状況情報も、検索条件とすることができる。
【0062】
後述するように、本発明のデータ検索処理は、検索条件と、データ記憶部5に記憶されている状況情報とを比較して、当該検索条件と類似度の大きい状況情報に関連付けられている主情報を検索するようになっているので、ユーザは、ある主情報を指定して、その主情報と状況情報が類似した主情報を検索せしめることも可能である。この場合には、図7のステップS54の処理を、検索時の状況情報を獲得して検索条件とするのではなく、ユーザが指定した主情報に関連付けられている状況情報を検索条件とする、という処理に変更すればよい。
【0063】
図17は、指定された主情報と類似した他の主情報を検索する(ここでは、類似検索と呼ぶ)ための画面表示例を示したもので、少なくとも、ユーザにより指定された主情報を表示する領域111と、領域111に表示された主情報に関連付けられている状況情報を表示する領域112とが表示されている。なお、図16と同様に、ユーザが所望する検索条件が入力できる領域113が設けられていてもよい。
【0064】
図17に示したように、ユーザが領域111に表示されているような写真データを指定したとき、この写真データに関連付けされている状況情報が領域112に表示され、領域112に表示された状況情報を検索条件として検索を行なう。その際、領域113に図16と同様に、ユーザが所望する明示的な検索条件が入力されていてもよい。
【0065】
データ記憶部5からデータを検索する処理(ステップS58)は、データ検索部7にて、検索条件である状況情報と、データ記憶部5に記憶された各主情報の状況情報との類似度をおのおのの主情報について計算し、検索条件である状況情報と類似度の大きい状況情報に関連付けられている主情報を選択する、という方法で行なう。ただし、ユーザが明示的に検索条件を指定した場合は、その検索条件によって主情報をさらに限定して選択する。
【0066】
ここで、図18を参照して、検索処理における検索条件としての状況情報とデータ記憶部5に記憶されている状況情報との類似度の算出方法について説明する。
【0067】
検索時の状況を表す状況情報123と、ユーザにより入力された(ユーザが明示的に与えた)検索条件124とが与えられた場合に、図3(a)に示したデータD1の状況情報121と、図4(b)に示したデータD4の状況情報122のそれぞれについて、状況情報123、ユーザにより入力された検索条件124との類似度を計算する場合を例にとり説明する。
【0068】
なお、「登録日時/利用日時」という項目は、データD1、D2の状況情報121、122においては、その主情報が登録された日時を意味するが、検索条件の状況情報123、ユーザにより入力された検索条件124においては、検索を行なった日時(すなわち利用日時)や、ユーザが明示的に指定した日時である。同様に、「登録者/利用者」という項目も、データD1、D2の状況情報121、122においては、その主情報の登録者を意味し、検索条件の状況情報123、ユーザにより入力された検索条件124においては、検索を行なうユーザ(すなわち利用者)や、検索条件として明示的に指定した人に関する情報である。
【0069】
「センサ値」という項目と、「警報」という項目は、各々の状況情報の登録日時/利用日時におけるプラント設備の状況を表すものある。
本実施形態の場合、「センサ値」という項目では、類似度の計算を単純化するために、センサの値が定常値の範囲である「0」か、定常値より大きい「+」か、小さい「−」かの、3通りの値で表すことにしている。一方、「警報」という項目では、警報のONを「1」で、OFFを「0」で表す。
【0070】
状況情報の類似度の計算は、各項目毎について求めた類似度を総合して状況情報全体の類似度とする。まず、「データ種類」という項目については、検索条件としての状況情報123では指定がないが、ユーザにより入力された検索条件124に「写真、文書」という条件がある。データD1の状況情報121は、「データ種類」の項目が「写真」なので、ユーザにより入力された検索条件124の「データ種類」と合致し、類似度は「1」となる。データD4の状況情報122は、「データ種類」の項目が「操作履歴」であり、ユーザにより入力された検索条件124にて指定された「データ種類」と異なるので類似度は「0」となる。
【0071】
「登録者/利用者」の項目については、データD1の状況情報121は「山本」、データD4の状況情報122は「加藤」、検索条件としての状況情報123は「鈴木」で、それぞれ異なる人物であるが、図10(a)に示した作業者の情報テーブルによれば、「加藤」と「鈴木」はともに役割が「監視操作」である。人の役割の共通点も考慮して、例えば、人の類似度の計算方法を、同一の人物の場合に類似度を「1」とし、役割が同じ場合に類似度を「0.5」とするという方法で行なうとすれば、データD1の状況情報121は類似度が「0」、データD2の状況情報122の類似度は「0.5」となる。
【0072】
後にも例を示すが、図10、図11に示したような情報テーブルは、状況情報の類似度を計算する際に、情報の意味内容まで解釈して計算するための知識として、状況情報獲得/解釈知識記憶部8に記憶せしめて利用する。これにより、上述のように、人の類似度を、人名が一致するかどうかで計算するのでなく、人の役割なども考慮して緻密に計算することが可能となる。
【0073】
「登録日時または利用日時」の項目については、検索条件としての状況情報123から検索時の日時が「1998年4月15日11時13分」であり、ユーザにより入力された検索条件124が「最近」であるので、類似度の計算を、時刻の差が小さい程類似度が大きくなるように計算する。例えば、利用日時と登録日時との差分の絶対値をとって、単位を「日」とし、
100÷(100+|利用日時−登録日時|) … (1)
という計算式にて求めてもよい。
【0074】
式(1)を用いると、データD1の状況情報121の類似度は「0.68」、データD4の状況情報122の類似度は「0.70」となる。
次に、「場所」の項目に関しては、データD1の状況情報121は「20号棟」、データD4の状況情報122と検索条件としての状況情報123は「中央監視室」なので、データD1の状況情報121の類似度は「0」、データD2の状況情報122の類似度は「1」となる。
【0075】
「対象」の項目は、データD1の状況情報121は「給水ポンプ1」、データD2の状況情報122は「給水ポンプ1、給水ポンプ2、給水弁」であり、検索条件としての状況情報123は「給水設備」であるが、図11で示した設備構成の情報テーブルによれば、「給水設備」には機器や配管が4つあり、「給水ポンプ1」「給水ポンプ2」「給水弁」はみな「給水設備」に属する。類似度の計算を、例えば、(一致する対象の個数)÷(設備内の全対象の個数)とすれば、データD1の状況情報121の類似度は「0.25」、データD4の状況情報122の類似度は「0.75」となる。
【0076】
「目的」の項目については、データD1の状況情報121とユーザにより入力された検索条件124は「保守点検」、データD4の状況情報122と検索条件としての状況情報123は「監視操作」であるが、ここでは、ユーザにより入力された検索条件124にて指定された「保守点検」を優先度を高く取り、したがって、データD1の状況情報121の類似度は「1」、データD4の状況情報の122の類似度は「0」となる。
【0077】
「センサ値」と「警報」の項目の類似度計算は、基本的には各センサや警報の値それぞれについて類似度を求めて平均をとることによって行なうが、大規模プラントのようにセンサ、警報の点数が数千、数万に及ぶ場合には、処理を簡単にするために、比較して意味があるセンサ・情報のみを考慮して計算する。この例の場合には、検索条件の「対象」の項目である「給水設備」に付随するセンサと警報を考慮する。例えば、図11に示した設備構成の情報テーブルによれば、「給水設備」のセンサは「給水弁の開度」と「給水管の流量」であり、警報は「給水ポンプ1起動渋滞」「給水ポンプ2起動渋滞」「給水断」である。したがって、類似度の計算もこれらの項目についてのみ行なう。センサ値「給水弁の開度」と「給水管の流量」の項目については、データD1の状況情報121がともに「0」、データD4の状況情報122は順に「−」と「0」、検索条件としての状況情報123は順に「−」と「0」である。データD1の状況情報121は、2つの項目のうち1つのみ一致するので、類似度は1/2=0.5となる。データD4の状況情報122は、2つの項目が全て一致するので、類似度は「1」である。
【0078】
一方、警報「給水ポンプ1起動渋滞」「給水ポンプ2起動渋滞」「給水断」は、データD1の状況情報121は全て「0」、データD4の状況情報122は順に「1」「0」「1」、検索条件としての状況情報123は順に「0」「1」「1」である。データD1の状況情報121は、3つの警報のうち「給水ポンプ1起動渋滞」のみ一致しているので、データD1の状況情報121の類似度は1/3=0.33となる。データD2の状況情報122の類似度の計算においては、機器の機種についても考慮する。すなわち、図11に示した設備構成の情報テーブルによれば、「給水ポンプ1」と「給水ポンプ2」は、互いに同機種の「縦軸渦巻ポンプ」であるので、データD4の状況情報122の状況と検索条件としての状況情報123では、発生した警報自体は異なるが、その警報の意味内容は類似している。機種が同一である場合を考慮し、類似度の計算方法を、例えば、機器自体が同じなら「1」、機種が同じ場合には「0.5」という方法で行なうとすれば、データD4の状況情報122の類似度は、(0.5+0.5+1)/3=0.67となる。
【0079】
以上、状況情報の各項目についての計算方法の詳細を述べた。各項目の類似度の平均値を状況情報全体の類似とした場合には、上記の例では、データD1の状況情報121と、検索条件としての状況情報123およびユーザにより入力された検索条件124とを組み合わせたものとの類似度は「0.47」となり、一方、データD4の状況情報122と検索条件の状況情報との類似度は「0.58」となる。ただし、ユーザにより入力された検索条件124を、必須の条件とした場合には、データD1の状況情報では、項目「データ種類」と項目「目的」の条件を両方とも満たしているのに対し、データD4の状況情報122は両方とも満たしていない(これらの項目での類似度が「0」である)。本実施形態では、ユーザにより入力された検索条件124を満たさない場合に類似度を「0」とすることとしているので、データD4の状況情報は類似度が「0」となる。
【0080】
逆に、もし、ユーザにより入力された検索条件124がなければ、項目「データ種類」と項目「目的」の類似度の値が上記と異なる値となり、結果として、データD1の状況情報121とデータD4の状況情報122の類似度の計算結果は、それぞれ、「0.22」と「0.70」となる。すなわち、この場合には、直観的にも理解できるように、ユーザの状況であるところの「中央監視室で監視操作を行なっている状況」に近いデータD4の状況情報122が、類似度が大きくなり、結果として検索されやすくなる。
【0081】
以上説明したように、本発明の検索方法は、状況情報同士の類似度が大きい主情報を検索する方法であり、かつ、上述のように、状況情報は自動的に獲得されるので、ユーザは、求める主情報を検索するための検索条件を詳細に設定せずとも、容易に効率良く主情報を検索し利用することができる。
【0082】
なお、上記の類似度の計算方法では、各項目の類似度の値を単純に平均した値を状況情報全体の類似度としているが、各項目毎に重みを設定し、各項目の類似度に重みを乗じてから平均値を求めるという方法をとってもよい。例えば、類似度の計算の際に「センサ値」の項目を重視し、「場所」の項目は重視しないようにしたい場合には、「センサ値」の項目の重みを大きく設定し、「場所」の項目の重みを小さく設定すればよい。
【0083】
このような項目毎の重みの設定は、ユーザが検索時にシステムに与えても良いし、データの利用目的に応じて動的に変化させても良い。
データ記憶部5からデータを検索する処理(ステップS58)の結果、データが検索できれば(ステップS59)、その検索結果を、データ加工/呈示部3を用いてユーザに呈示する(ステップS60)。
【0084】
図19は、検索結果をユーザに提示する画面の表示例を示したものである。図19(a)は、検索された主情報の一覧を呈示する画面の一例で、各々の主情報に関連付けられている「データ種類」「登録日時」「登録者」といった状況情報を表示してユーザに示す。この例では、検索条件の状況情報との類似度が大きい主情報3件を、検索結果として呈示している。ユーザは、この画面上で利用したい主情報の状況情報を選択して、その選択した状況情報に関連付けられている主情報の内容を図19(b)に示すような形で表示させて利用する。
【0085】
図19(b)は、図19(a)に示したような検索結果の一覧表示から選択された「データ種類」が「文書」である主情報の内容を表示した場合を示している。
【0086】
一方、システムは、ユーザが利用した主情報があった場合に(ステップS61)、その主情報に対して、その利用時の状況情報をも関連付ける(ステップS62)。図20(a)は、データD1に対して、もともと関連付けられていた当該データ登録時の状況情報J1であるが、これに、さらに、図20(b)に示したような当該主情報の利用時の状況情報J6を追加するようにしてもよい。すなわち、データD1に状況情報J1を関連付けるとともに、状況情報J6も関連付けてデータ記憶部5に記憶しておく。あるいは、図20(b)の状況情報J6をもとに図20(a)の状況情報J1を変更してもよい。例えば、状況情報J6と状況情報J1との内容で異なる内容の項目(例えば、「登録者」「場所」「対象」「目的」)については、双方の内容を包含するように変更する(例えば、「登録者」という項目の値は「山本、鈴木」と変更し、「場所」という項目の値は「20号棟、中央監視室」と変更する)。
【0087】
このように、主情報が利用された状況をもとに当該主情報に関連付けた状況情報を更新(追加、変更)していくことにより、将来の別の類似した状況において、そのデータが検索されやすくなる。例えば、登録時の状況情報J1では、「目的」という項目の値は「保守点検」であるが、これは、すでに説明したように、この写真が「保守点検」のために撮影されたことを意味する。一方、利用時の状況情報J6の「目的」という項目の値は「監視操作」であるが、これは、この写真が「監視操作」のために利用されたことを意味する。例えば、データが利用される度に、利用時の状況情報を主情報に複数関連付けていき、一方、検索時の類似度計算においては、各項目毎の類似度の計算の際に類似度が最大になるような項目の値を持つ状況情報を用いて計算する、という方法をとる。
【0088】
図20に示したような2つの状況情報が関連付けられたデータD1の場合には、検索条件としての状況情報における「目的」という項目が「保守点検」であっても「監視操作」であっても、類似度が大きくなり、検索されやすくなる。利用実績が多く、様々な状況において利用された主情報は、価値の高い主情報であるといえるが、上記の方法により、このような価値の高い主情報ほど、検索されやすくなり、結果的に、データの共有が促進される、という利点がある。
(第2の実施形態)
図21は、本発明の第2の実施形態にかかる情報記憶検索装置の構成例を示したもので、図2に示したような構成の情報記憶検索装置の機能をクライアントとサーバとに分割したものである。すなわち、少なくともデータ記憶部5を具備したサーバ装置202と、複数の携帯可能なクライアント端末装置201とが所定のネットワークを介して接続し、複数のユーザがクライアント端末装置201からサーバ装置201のデータ記憶部5にあるデータを共有して利用できるようにした構成である。
【0089】
クライアント端末装置201の内部構成は、各クライアント端末装置の機能と役割に応じた様々な構成が可能であるが、基本的には、状況情報獲得部4はクライアント端末装置201に具備させ、データ記憶部5、データ登録部6、データ検索部7は、サーバ装置202に具備させる。
【0090】
図21に示すクライアント端末装置201では、携帯可能な端末装置に特有なデータ入力手段として、カメラ10e、マイク10f、バーコードリーダ10h、ペン・タブレット10iなどを具備している。
【0091】
また、サーバ装置202とクライアント端末装置201との間の通信において、通信量を軽減したり、通信が不可能な場合でもクライアント側でデータの記憶・利用できるように、クライアント用のデータ記憶部211を具備している。同様の目的で、図2の状況情報獲得/解釈知識記憶部8は、クライアント端末装置201とサーバ装置202とのそれぞれが具備し、クライアント用の状況情報獲得/解釈知識記憶部212には、そのクライアント端末装置201に特有のデータ入力部(例えば、カメラ10e、マイク10f、バーコードリーダ10h、ペン・タブレット10i)から状況情報を獲得し解釈するための知識が記憶されている。
【0092】
サーバ装置202に具備されている登録/検索制御部9には、例えば、図8の規則R3に示すような規則情報が予め記憶されている。規則R3は、サーバ装置202がクライアント端末装置201のデータ記憶部211に記憶するデータをサーバ装置202が具備するデータ記憶部5から検索するための規則を記述したもので、「ユーザが保守点検に出かける時には、作業に役立ちそうなデータとして、その点検場所の過去の写真と文書のデータを、予め検索して、ユーザが点検に携帯する端末機器に一時的に記憶しておくべきである」という意味である。
【0093】
本発明の現実的で好ましい構成は、図21に示したように、データ記憶部5を具備したサーバ装置202と複数のクライアント端末装置201とが所定のネットワークを介して接続し、複数のユーザがクライアント端末装置201からサーバ装置202のデータ記憶部5にあるデータ(主情報)を共有して利用できるようにした構成である。このような構成の場合で、クライアント端末装置201は、ユーザが例えば点検作業のために携帯できるような端末装置であり、かつ、サーバ202とクライアント端末装置201との通信が点検場所では可能でない場合には、予め有用と予想されるデータをクライアント端末装置201に一時的に記憶しておけば、点検場所においてもデータを利用することができる。
【0094】
規則R3はこのような目的のための規則であり、これに従えば、ユーザは、点検作業に赴く前に、クライアント端末装置201をサーバ装置202に接続して、「20号棟に保守点検に行く」という将来の状況を例えばペン・タブレット10iから入力する。この入力された状況情報は、状況情報獲得部4を介して、サーバ装置202のデータ検索部7に渡され、データ検索部7は、登録/検索制御部9に記憶された規則R3から、その点検場所の過去の写真と文書のデータとを検索して、それを当該クライアント端末装置201のデータ提示/加工部3に渡す。データ提示/加工部3は、サーバ装置202にて検索されたデータ(主情報と、その主情報に関連付けられた状況情報)をデータ記憶部211に一時的に記憶しておく。
【0095】
その後、ユーザは、当該クライアント端末装置201をサーバ202から切り離して、保守点検場所である20号棟まで持っていって、当該クライアント端末装置201に具備されているデータ入力手段を用いて状況情報を獲得し、その獲得した状況情報に対応した主情報をデータ記憶部211から検索して、データ提示/加工部3に提示する。その際、例えば、データ検索部7と同様の処理を行って状況情報の類似度を求めて、当該獲得した状況情報に対応したデータを検索するようにしてもよいし、単純な状況情報の照合による検索でもよい。
【0096】
また、さらに高度にユーザを支援する方法としては、たとえば、ユーザが点検作業に携帯する目的で、クライアント端末装置201をネットワークから切り離そうとした際に、切り離すという動作の状況に基づいて、将来の状況、すなわち、これから保守点検を行なうという状況(内部状況)を予測して、上述のような自動的な検索処理を行なってもよい。その際、状況情報獲得/解釈知識記憶部212に記憶されている図10(a)(b)、図11に示したような情報テーブルを用いれば、保守点検を行なう作業者や点検場所など、より詳細な状況情報をも予測することができるので、ユーザ自らが、将来の状況を入力する労力は不必要となる。
【0097】
さらに、ユーザがクライアント端末装置201にて、保守点検場所で当該クライアント端末装置201に具備されているデータ入力手段を用いて収集した各種情報(登録すべきデータとそれに関連付ける状況情報)を、後にサーバ装置202に登録することもできる。すなわち、クライアント端末装置201をサーバ装置202に接続して、クライアント端末装置201のデータ記憶部211に記憶しておいたデータ(主情報とそれに関連する状況情報)を状況情報獲得部4を介してサーバ装置202のデータ登録部6に送り、データ記憶部5に図3〜図5に示したように登録するようにしてもよい。
【0098】
以上説明したように、上記第1および第2の実施形態によれば、例えばプラント等の設備に関する多種多量のデータを、ユーザが簡単に登録でき、かつ、データを効率良く検索し利用することができる。また、データの登録・検索を予め定めた手順で行なうようユーザに強いる方法ではないので、ユーザは自ら有用と判断したデータを、業務中に自由に登録できる。また、利用上の制約もなく、ユーザは、業務に必要なデータを状況に応じて自由に検索し利用することができる。
【0099】
なお、上記実施形態では、プラント等の設備に関するデータを取り扱う場合を例にとり説明したが、本発明は、それ以外にも例えば、インテリジェント・ビル、自動倉庫、交通機関や店舗などの各種設備、場所に設置した各種センサ、制御装置や操作端末などから取得される各種データを取り扱うことができることは言うまでもない。
【0100】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、多種多様なデータの登録および検索にかかる作業の手間を軽減して、効率よく情報の利用が行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る情報記憶検索装置の基本的な構成例を示した図。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る情報記憶検索装置のより詳細な構成例を示した図。
【図3】データ記憶部に記憶されるデータ(主情報とそれに関連付けられた状況情報)の具体例を示した図。
【図4】データ記憶部に記憶されるデータ(主情報とそれに関連付けられた状況情報)の具体例を示した図。
【図5】データ記憶部に記憶されるデータ(主情報とそれに関連付けられた状況情報)の具体例を示した図。
【図6】データ登録処理動作を説明するためのフローチャート。
【図7】データ検索処理動作を説明するためのフローチャート。
【図8】登録/検索制御部に記憶されている規則情報の具体例を示した図。
【図9】主情報の登録要求画面の一例を示した図。
【図10】状況情報獲得/解釈知識記憶部に記憶されている状況情報を獲得、解釈するための情報テーブルの具体例を示した図。
【図11】状況情報獲得/解釈知識記憶部に記憶されている状況情報を獲得、解釈するための情報テーブルの具体例を示した図
【図12】状況情報を推定処理の原理を説明するための図で、時系列に登録された主情報の状況情報((a)〜(c)図)をもとに、(b)図の状況情報の不十分な内容を推定した結果を(d)図に示している。
【図13】不足している状況情報をユーザに入力させるための画面の表示例を示した図。
【図14】不足している状況情報をユーザに入力させるための手順を提示する画面の表示例を示した図。
【図15】データ登録時の確認画面の一例で、不足している状況情報がユーザにより入力されたときに該状況情報とそれに関連付けるべき主情報とを呈示している。
【図16】データ検索時に検索条件を呈示するための画面の表示例を示した図。
【図17】類似検索の際の画面の表示例を示した図。
【図18】検索条件としての状況情報とデータ記憶部に記憶されている状況情報との類似度の算出方法について説明するための図。
【図19】検索結果をユーザに提示する画面の表示例を示した図。
【図20】主情報の利用状況に基づき当該主情報に関連付けられている状況情報を更新する場合を説明するための図で、(a)図は、すでにある状況情報であり、(b)図は、利用時の状況情報である。
【図21】本発明の第2の実施形態に係る情報記憶検索装置の構成例を示した図。
【符号の説明】
1−1〜1−n…情報源
2−1〜2−n…データ入力部
3…状況情報獲得手段
4…データ呈示/加工部
5…データ記憶部
6…データ登録部
7…データ検索部
8…状況情報獲得/解釈知識記憶部
9…登録/検索制御部
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、プラントなどの設備の制御、運用、保守、点検などに関わる多種多量のデータを、収集、蓄積、利用するための情報記憶検索方法およびそれを用いた情報記憶検索装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、プラントやインテリジェント・ビル、自動倉庫、交通機関や店舗などの設備に設置した各種センサ、制御装置や操作端末などから、対象設備の状況を表すデータや、機器の操作履歴などのデータを取得し、制御や点検などの目的に利用することが行なわれてきた。これらのデータは、情報ネットワークを通じて、遠隔地の複数の端末から利用することも可能であり、また、データベース等の記憶手段にデータを大量に蓄積することも可能になっている。
【0003】
また、デジタルカメラなどの携帯型のデータ入力手段の普及により、例えば、設備の点検データを、巡視員が、画像や音声などのデジタル情報として収集して利用することも可能となった。
【0004】
一方、プラントのオペレータなど、データを利用するユーザに対して、データを呈示する方法としては、例えば、「情報提示装置」(特開平7−200231号)がある。ここでは、ユーザの状態の計測結果と、呈示するデータ自体の重要度・緊急度の評価に基づき、適切なタイミング、適切な抽象度でユーザにデータを呈示する方法が提案されている。
【0005】
また、情報検索の分野では、文書検索に特化した方法として、文章の意味を表すベクトルを用いて、文章間の類似度を計算することにより、ある文書と内容が類似した文書を検索する方法などがある(たとえば、「日経エレクトロニクス 解説 情報検索」(12−15、1997)など)。
【0006】
センサ・データやビデオ・データなどのデータを同期させてユーザに呈示する方法としては、「Synchronized Retrieval of Recorded Multimedia Data」(CHI 97、22−27MARCH 1997)がある。ここでは、センサのトレンドや機器の動画像などのデータを相互に関連付けて検索するためのグラフィカル・ユーザ・インタフェースや、データを同期させて再生するための方法が提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
プラントなど比較的大規模な設備に関わる多種多量のデータの収集・利用における問題には、第一に、データの収集や整理にかかる労力の問題がある。データ自体が簡単に入手できたとしても、これを整理、意味付けして、後で利用し易い形に蓄積する作業がユーザに課せられるのであれば、ユーザの労力は依然として大きい。例えば、デジタルカメラで撮影した画像データを、後で簡単に利用できるようにするには、画像データに、撮影者、撮影日時、撮影場所、被写体、撮影目的などの情報を付加して、所定のデータベースに登録して管理するといった作業が必要であると考えられるが、このような作業は繁雑である。この労力を軽減するために、データ収集の作業をワークフローとして定型化し、これに基づいて作業の手順をガイドしたり、入手したデータに付加情報を付ける処理を自動化するという支援方法も考えられる。しかしながら、このような方法では、定められた手順に従わずに入手したデータを扱うことができなかったり、元来定型的でないような作業、たとえば異常時における点検・復旧作業などを支援できないという問題がある。
【0008】
第二に、データを利用するための手続きが繁雑であるという問題がある。現状のプラントなどにおける情報システムでは、センサのトレンド・データや、オペレータの操作履歴などのデータを、データベースに蓄積することはできる。しかしながら、これを利用する際には、ユーザは、例えば日時やセンサ番号などの明示的な検索条件をシステムに入力してデータを検索する必要があり、この手続きが繁雑であったり、検索条件として適切な条件を入力することが困難であるという問題があった。また、このような検索条件で検索を行なっても、ユーザが求めるデータだけが検索されるとは限らず、一般には、検索条件を満足する多数のデータが全て検索結果として呈示される場合が多い。この場合は、ユーザは、検索結果から必要なデータを選び出さなければならず、データの件数が多い場合には、この作業は負荷が大きい。とくに、緊急にデータが必要な場合には、効率的にデータが検索できないことは大きな問題になる。
【0009】
「情報提示装置」(特開平7−200231号)に記載されている方法は、ユーザの状態に基づいて提示すべき情報を呈示すべき形式で呈示する方法ではあるが、ユーザ状態を推測するための情報としては、キーボードなどの入力デバイスや、グラフィカル・インタフェースの使用状態、ユーザの状態を計測するセンサ類であるとしている。このため、この方法では、ユーザの作業内容や目的といった、情報の有用性に関わる本質的な条件や、プラント等の外部環境の状況といった、ユーザ以外の条件に関して考慮されていないため、合目的的な情報呈示を行なうことはできない。
【0010】
また、従来の情報検索方式のうち、文書検索の分野では、文章の意味的な類似度に基づいて、自然言語の問合せ文と意味が近い文書を検索したり、与えた文書と内容が類似した文書を検索する方法が有効であることが知られている。しかしながら、この方法は文書検索に限って有効な方法であって、本発明が対象とする分野のデータ、すなわち、プラント等の設備に関わる、画像、音声、動画、センサ情報などの非言語データを、この方法で検索することは不可能である。文書以外の非言語データについても、ユーザの意図に応じて検索したり、データ同士の類似度に基づいて検索するなどの技術が望まれる。
【0011】
「Synchronized Retrieval of RecordedMultimedia Data」(CHI 97、22−27 MARCH1997)に記載されている方法は、基本的には、グラフィカル・ユーザ・インタフェース上に表示された動画像やセンサ・データから、他の関連するデータを検索したり、複数のデータを同期させて再生する方法であるため、大量に蓄えられたデータからユーザが求めるデータを探し出すことを支援するものではなく、大規模なプラントの監視・保守に適用することは難しい。また、システムやユーザの状況に応じて必要なデータを呈示するといった支援を行なうものでもない。
【0012】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、多種多様なデータの登録および検索にかかる作業の手間を軽減して、効率よく情報の利用が行える情報記憶検索方法およびそれを用いた情報記憶検索装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
(1) 本発明の情報記憶検索方法は、所要の対象についての各種情報を取得して、この取得した情報中における所要の主情報を該取得した情報中における該主情報と互いに関連し合う状況情報とともに記憶し、
所要の対象について取得した情報を検索条件とし、この検索条件に類似する状況情報に関連付けられた主情報を前記記憶された主情報の中から検索することを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、多種多様なデータの登録および検索にかかる作業の手間を軽減して、効率よく情報の利用が行える。
(2)本発明の情報記憶検索装置は、所要の対象についての各種情報を取得する情報取得手段と、
この情報取得手段で取得した情報中における所要の主情報を、該情報取得手段で取得した該主情報と互いに関連し合う状況情報とともに記憶する記憶手段と、前記情報取得手段で取得した情報を検索条件とし、この検索条件に類似する状況情報に関連付けられた主情報を前記記憶手段で記憶された主情報の中から検索する検索手段と、
を具備したことを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、多種多様なデータの登録および検索にかかる作業の手間を軽減して、効率よく情報の利用が行える。
(3)好ましくは、前記主情報に関連付ける状況情報を該主情報の前後に記憶された主情報に関連付けられた状況情報に基づき決定するか、あるいは、前記主情報に関連付けるべき状況情報を入力するための手順を呈示する。
【0016】
本発明によれば、主情報が登録された状況を表す状況情報を、可能な限り自動的に獲得、推定することにより、ユーザに情報を入力させる労力を軽減する。
(4)好ましくは、前記情報取得手段で取得した状況情報に基づき、該状況情報に関連する主情報を記憶するか否かを判断することを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、状況により有用と判断される主情報を効率よく収集することができる。
(5)好ましくは、指定された主情報に関連付けられた状況情報に類似する状況情報に関連付けられた主情報を前記記憶手段で記憶され主情報の中から検索する第2の検索手段をさらに具備する。
【0018】
本発明によれば、求める主情報を検索するための検索条件を詳細に設定せずとも、容易に効率良く主情報を検索し利用することができる。
(6)好ましくは、前記情報取得手段で取得された、前記記憶された主情報の利用時の状況情報に基づき、該主情報に関連する状況情報を更新する。
【0019】
本発明によれば、利用実績が多く、様々な状況において利用された利用価値の高い主情報ほど、検索されやすくなり、結果的に、データの共有が促進される。
(7)本発明の情報記憶検索装置は、少なくとも、所要の対象についての各種情報を取得する情報取得手段を具備した情報検索可能な携帯型端末装置と、
少なくとも、前記情報取得手段で取得した情報中における所要の主情報を、該情報取得手段で取得した該主情報と互いに関連し合う状況情報とともに記憶する記憶手段と、前記情報収集手段で取得した情報に類似する状況情報に関連付けられた主情報を前記記憶手段で記憶された主情報の中から検索する検索手段とからなる主装置を具備し、
前記主装置の検索手段は、将来予測される状況に類似する状況情報に関連付けられた主情報を前記記憶手段で記憶された主情報の中から検索し、該検索された主情報は前記携帯型端末装置に記憶せしめて、該端末装置での該主情報の利用を可能にすることを特徴とする。
本発明によれば、主装置と携帯型端末装置とを切り離して、所望の場所にて必要とする主情報の検索が容易に行える。
【0020】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
(1−1)情報記憶検索装置の構成
図1は、本発明の実施形態に係る情報記憶検索装置の基本構成を示すブロック図である。図1に示すように、情報記憶検索装置は、複数(例えばn個)の情報源1−1〜1−nのそれぞれからデータを入力するための複数のデータ入力部2−1〜2−n、データ入力部2−1〜2−nから入力されたデータや、後述するデータ検索部7で検索されたデータを表示、加工するための1つまたは複数のデータ呈示/加工部3、ユーザの状況(例えば、ユーザの氏名、役割、目的等)、当該情報記憶検索装置自身に関わる状況(例えば、当該情報記憶検索装置の構成やネットワークとの接続状態等で以下、内部状況と呼ぶ)、本情報記憶検索装置の外部から収集される、例えば本情報記憶検索装置を適用する監視対象であるプラントの設備の状況(場所、対象物の種類等で、以下、環境状況と呼ぶ)を含む状況情報をデータ入力部2−1〜2−nまたはデータ呈示/加工部3から獲得するための状況情報獲得部4、データ入力部2−1〜2−nのいずれかから入力された利用対象のデータ(主情報)を状況情報と関連付けて記憶するデータ記憶部5、データ記憶部5に状況情報とそれに関連付けられたデータ(主情報)とを登録するためのデータ登録部6、データ記憶部5に記憶されたデータ(主情報)を検索するためのデータ検索部7とから構成されている。
【0021】
情報源1−1〜1−n、データ入力部2−1〜2−nとしては、本情報記憶検索装置が適用対象とする例えばプラント等の設備に備え付けられたセンサや制御装置、設備の静止画を入力するデジタルカメラ、動画像を入力するビデオカメラ、音声を入力するマイクなどがある。また、情報源1−1〜1−nは、本情報記憶検索装置が内部に持つものでも良く、例えば、設備の情報や利用者の情報を蓄えたデータベースやファイルシステムでもよい。さらに、ユーザの操作や状況を入力する手段、たとえば、キーボードやマウスと行った入力デバイス自体や、ユーザ認証手段などもこれに含まれる。
【0022】
データ提示/加工部3は、具体的には、センサのトレンドや静止画像、動画像、音声などを提示し、これらのデータの1つまたは複数を組み合わせて加工するための手段であり、既存のソフトウェアであってもよい。図1では簡略化して1つの手段として図示しているが、一般には、呈示/加工の対象とするデータの種類に応じた複数の手段で構成されていてもよい。
【0023】
状況情報獲得部4は、ユーザ状況、内部状況、環境状況を含む状況情報を、データ入力部2−1〜2−nまたはデータ呈示/加工部3から獲得するためのものである。
【0024】
一般に、データ入力部2−1〜2−nから入力されるデータには、後述するように、データ自体をユーザが利用する目的で入力される主情報としてのデータと、状況情報として利用するために入力されるデータと、その両方の目的で入力されるデータがある。また、データ呈示/加工部3にて、ユーザがどのようなデータを利用したかという情報も、状況情報として利用される。
【0025】
データ登録部6は、登録するデータ自体と、登録時の状況を表す状況情報を、それぞれデータ提示/加工部3と状況情報獲得部4とから受け取り、両者を関連付けてデータ記憶部5に登録する。
【0026】
データ検索部7は、状況情報獲得部4により獲得された状況情報を検索条件として受け取って検索を行ない、検索結果をデータ呈示/加工部3にて呈示する。図2は、図1の基本構成を、本実施形態に即してさらに具体化した構成を示したものである。
【0027】
図2では、プラント設備に関するデータの記憶と利用を目的とした構成であり、図1の情報源1−nとデータ入力部2−1〜2−nとをまとめて、プラント設備に付随したセンサ10a、制御装置10b、警報器10c…と表している。
【0028】
図1の情報記憶検索部1をより具体的な構成とするために図2に示した構成では、状況情報獲得/解釈知識記憶部8と、検索/登録制御部9とが新たに追加されている。
【0029】
状況情報獲得/解釈知識記憶部8は、状況情報獲得部4にて状況情報を獲得する処理において、その獲得方法に関する知識や、ある情報に基づいて他の情報を推測するための知識を記憶する手段である。また、後述するように、データ検索部7にて、状況情報同士の類似度を計算する際に、情報の意味的な内容まで解釈して計算するための知識も、ここに記憶する。
【0030】
検索/登録制御部9は、状況情報獲得部4にて獲得した状況情報に基づいて、データ登録部6やデータ検索部7を制御する手段である。後述するように、例えば、プラント設備がある特定の状況になった場合に、自動的に主情報を検索してユーザに呈示したり、逆に、主情報を登録するようユーザに要求する、という機能を実現するために、この手段を設ける。
【0031】
本実施形態にかかる情報記憶検索装置は、例えば、センサ、カメラ、タッチパネル、マイクロフォン、マウス、キーボード等の入力手段、スピーカ、ディスプレイ(表示装置)、等の出力手段、フロッピーディスク装置、CD−ROMドライブ、ハードディスク装置等の大容量記憶装置、主メモリ、及びCPU等を備えたパーソナルコンピュータ(計算機)を用いて実現される。
【0032】
特に、図1、図2のデータ提示/加工部3、状況情報獲得部4、データ記憶部5、データ登録部6、データ検索部7、状況情報獲得/解釈知識記憶部8、登録/検索制御部9の持つ機能は、その機能を上記のパーソナルコンピュータにより実行させるためのプログラムを記録した記憶媒体、例えばフロッピーディスク、CD−ROMを用い、当該記録媒体を上記パーソナルコンピュータ中のフロッピーディスク装置あるいはCD−ROMドライブに装着して、当該フロッピーディスクあるいはCD−ROMに記録されているプログラムを上記パーソナルコンピュータ(中のCPU)で読み取り実行させることにより実現される。
【0033】
図3〜図5に、データ記憶部5のデータ(主情報とそれに関連付けられた状況情報)の記憶例を示す。データ入力部2−1〜2−nから取得されるプラント等の設備に関わるデータ(主情報)には様々な種類のものがある。例えば、図3〜図5に示すようなデータD1〜D5がある。すなわち、図3(a)に示すデータD1は監視対象の機器の写真、図3(b)に示すデータD2は、設備のセンサから得たセンサ値のトレンド、図4(a)に示すデータD3は、制御装置が発生する警報の履歴、図4(b)に示すデータD4は、オペレータが行なった設備の操作履歴、図5に示すデータD5は、ユーザが作成した文書である。
【0034】
本実施形態では、これら利用対象のデータ(主情報)の各々に対して、そのデータが入手・作成された時の状況を表す状況情報(図3〜図5のJ1〜J5)に関連付けてデータ記憶部5に記憶する。主情報と状況情報とは、例えば、ポインタにて互いに対応つけられていてもよく、主情報から状況情報が、状況情報から主情報がそれぞれ導けるようになっている。
【0035】
図3〜図5に示す状況情報J1〜J5は、「データ種類」「登録日時」「登録者」「場所」「対象」「目的」といった項目別に記述したものとなっている。各項目の値は、それぞれデータ入力部2−1〜2−nを介して情報源1−1〜1−nから取得されたデータである。
【0036】
「データ種類」の項目は、主情報の種類(「写真」「センサ値」「警報」「操作履歴」「文書」など)を表す。「登録日時」の項目は当該主情報が登録された日時を表す。ただし、主情報が写真などのデータで、当該データを入手してから実際にデータ記憶部5に記憶されるまでに時間の経過がある場合は、入手した日時の方を採る。「登録者」の項目は、その主情報を登録した人を表す。ただし、データD2に示すようなセンサ値やデータD3に示すような警報の履歴など、ユーザが明示的に登録を行なわずとも、当該情報記憶検索装置(以下、簡単にシステムと呼ぶことがある)が自動的に逐次登録するよう定められた主情報もあり、この場合の登録者は「システム」とする。「場所」の項目は、当該主情報を入手した場所を表す。例えば、写真のデータD1の場合、写真を撮影した場所として「20号棟」が、この項目に設定される。このような建物の名称の他に、位置座標などを記述してもよい。「対象」の項目は、当該主情報の対象を表す項目である。例えば、データD2が「給水管」の流量のセンサ値である場合、その「対象」は「給水管」である。「目的」の項目は、当該主情報が何を目的として登録されたかを表現する。例えば、「データ種類」がオペレータの「操作履歴」であるデータD4の目的は「監視操作」であるし、「データ種類」が「文書」であるデータD5の目的は「報告」である。
【0037】
本実施形態では、以上に挙げた「登録日」「場所」「目的」などの項目を、状況情報の基本的な項目としているが、本発明は、これらの項目に限定しない。他の項目を用いてもよいし、例えば、「対象」の項目を、「対象機器」「対象配管」「対象材料」などという複数の項目に細分化してもよい。
【0038】
以上説明したデータ(主情報)のうち、例えば、センサ値であるデータD2や警報履歴であるデータD3は、このデータ自体をユーザが監視などの目的に利用できるし、他のデータが入手・登録された状況を表す目的にも利用できる。例えば、データD4は、日時が1998年3月3日の14時23分から14時31分までのオペレータの給水設備の操作履歴を表すデータであるが、これに対して、データD2およびデータD3の、この日時付近の値は、それぞれ、その間に給水管や給水設備の機器の状況がどうであったかを示す情報である。すなわち、オペレータがデータD4のような操作をなぜ行なったのかという根拠や、その操作の結果プラントの状況はどうなったかを、データD2、D3から読み取ることができる。したがって、本実施形態では、必要に応じて、あるデータを、他のデータの状況情報として扱うこととしている。他のデータの状況情報となり得る典型的なデータは、先に述べたセンサ値や警報のように、システムが自動的に逐次記憶するデータである。
【0039】
これらのデータと、写真や操作履歴、文書など、ユーザが自発的に登録するデータとの関連付けは、例えば、時間に基づいて行なう。たとえば、写真を撮影した時のセンサ値や警報値は、その時のプラントの状況を示す状況情報として、写真データに関連付けて扱う。
(1−2)データ登録処理
図6と図7は、図2に示した情報記憶検索装置の処理動作を説明するためのフローチャートである。図6は、データと状況情報を関連付けてデータ記憶部5に記憶するための登録処理を示したもので、図7は、状況情報を検索条件として用いて検索する検索処理を示したものである。
【0040】
まず、図6に示すフローチャートを参照して登録処理について説明する。
図6の登録処理において、データの登録は、ユーザが自発的に登録を行なう場合と、当該情報記憶検索装置自身が自動的に、ユーザにデータを登録するよう要求する場合がある。前者の場合は、ユーザが発する登録要求を受け付け(ステップS31)、登録要求があれば実際の登録処理(ステップS36以降の処理)に移る。後者の場合は、あらかじめ、状況情報を常時獲得しておき(ステップS32)、ユーザがデータ登録すべき状況であり、かつ、登録すべきデータが存在する場合に(ステップS33)、ユーザに対して、データを登録するよう要求する(ステップS34)。
【0041】
ステップS32からステップS34の処理は、登録/検索制御部2によって行なわれる。
図8は、登録/検索制御部9が状況情報獲得部4で獲得された状況情報に基づいて自動的にデータの登録や検索の処理を行なうために予め登録/検索制御部9に記憶されている(例えば、ユーザにより予め登録されている)規則情報の一例を示したものである。
【0042】
例えば、図8において、規則R1は、ユーザにデータ登録を要求するタイミングと、どのようなデータを登録すべきであるかを判断するための規則を記述したもので、警報がオンからオフに変化したときに、「データ種類」が「操作履歴」であるデータを登録するためのものである。すなわち、「ユーザが何らかの操作を行なった結果、警報がONからOFFに変わった場合は、その操作履歴は異常復帰の手順として有用なものなので、登録すべきである」という意味である。
【0043】
ステップS33では、このような規則に基づいて、ユーザに対しデータの登録を要求するか否かを判断する。
図9は、ステップS34にて、ユーザに対しデータの登録を要求するために呈示する画面の表示例を示したものである。例えば、ステップS33において登録/検索制御部9が主情報としての操作履歴(図9のデータ61)を登録すべき状況であると判断したので、ユーザが行なった操作履歴のデータ61を呈示し、これを登録しても良いかどうかをユーザに問い合わせる。これに対して、ユーザが登録しても良いと応じた場合に(ステップS35)、実際の登録処理(ステップS36以降の処理)に移る。
【0044】
ステップS36では、登録すべきデータ(例えば、操作履歴のデータ61)に関連付けるべき状況情報を獲得する。ただし、ステップS32にてすでに獲得されている情報はこれをそのまま用いる。ステップS32およびステップS36の処理は、状況情報獲得手部4において、当該情報記憶検索装置内外の複数の情報源1−1〜1−nから各データ入力部2−1〜2−nを用いて必要な情報を獲得することにより行なう。
【0045】
状況情報の項目のうち、「データ種類」と「登録日時」は、データ自体の形式、および、データが入手/加工された時刻から獲得できる。また、「登録者」の項目は、ユーザが利用する端末やソフトウェアにて行なったユーザ認証の結果などから獲得する。「場所」「対象」「目的」などの項目は、基本的にはユーザ自身が設定する必要があるが、図10〜図11に示すような、プラントの運用に関わる一般的な情報があれば、例えば、以下に示す方法で、自動的に推定することができる。
【0046】
図10(a)はユーザの情報テーブルの一例、図10(b)は保守点検のスケジュール情報テーブルの一例、図11はプラントの系統・設備・機器の構成と場所に関する情報テーブルの一例を示したものである。このような情報が、前述の状況情報獲得/解釈知識記憶部8に記憶されている場合に、例えば、「登録日時」が「1998年2月27日10時27分」で、「登録者」が「山本」である写真のデータがある場合は、図10(a)に示す情報テーブルから「山本」の役割が「保守点検」であることや、図10(b)に示す情報テーブルから、この日時に「山本」が「20号棟」と「30号棟」を点検する予定であったことから、このデータの「目的」は「保守点検」であり、場所は「20号棟」もしくは「30号棟」であることが推定できる。このように、状況情報獲得部4は、状況情報獲得/解釈知識記憶部8に記憶された知識に基づいて、不足した情報を推定する。
【0047】
しかし、このようにしても、主情報に関連付けるべき状況情報が全て獲得できなかった場合には(ステップS37)、当該主情報の登録時と近い時刻に、同一の登録者によって登録された他の主情報の状況情報から、必要な状況情報を求める(ステップS38)。例えば、図12(a)(b)(c)に示すような状況情報を持つ主情報が同一の登録者「山本」によって連続して登録された場合で、図12(b)の状況情報の「場所」の項目が不明である場合には、図12(a)、(c)の「場所」の項目が「20号棟」であることから、図12(b)の「場所の項目」も「20号棟」であると推定する(図12(d)参照)。
【0048】
前後の状況からも推定できない場合には(ステップS39)、不足した状況情報を入力する手順をユーザに呈示する(ステップS40)。この例の場合、図11に示す情報テーブルから「20号棟」に存在する機器が予め分かっており、かつ、図12(a)(c)の「対象」がそれぞれ「給水ポンプ1」「給水弁」であることから、図12(b)の「対象」は「20号棟」にある機器のうち「給水ポンプ1」「給水弁」以外の機器である可能性が高いと推定し、「対象」の候補として「給水ポンプ2」「給水管」を挙げてユーザに選択せしめる。
【0049】
図13は、ユーザに状況情報の「対象」という項目に対応する情報を選択、入力をさせるために呈示する画面の一例を示したものである。
なお、状況情報を入力する手順があらかじめ定められている場合には、その手順をユーザに呈示して入力のガイドを行なう。例えば、図14に示すように、対象機器の情報をバーコードリーダなどの入力手段によって入力する手順を呈示しても良い。このような、ユーザをガイドするための知識も、状況情報獲得/解釈知識記憶部8に記憶させておく。
【0050】
不足した状況情報がユーザによって入力されると(ステップS41)、図15に示すように状況情報とそれに関連付けるべき主情報とをユーザに呈示して内容を確認・修正せしめ(ステップS42)、ユーザが登録してもよいと応えた場合には(ステップS43)、データ記憶部5に、主情報と状況情報とを関連付けて記憶する(ステップS44)。
【0051】
以上、個々のデータの登録の処理を説明したが、一連の複数のデータを主情報として登録する場合には、上述の状況情報獲得部4と、登録/検索制御部9とを協調せしめることにより、さらに高度なユーザ支援を行なうこともできる。例えば、保守点検の作業をガイドする方法としては、ユーザが機器の写真を撮影した際に、図14に示したように対象機器の情報を状況情報として入力するようユーザに要求し、ユーザが状況情報を入力したら、その状況情報自体に基づき、次に何の写真を撮影すべきかをユーザにガイドするという支援も実現できる。
【0052】
さらには、プラント設備のセンサや警報などの動的な状況に基づいて、異常があると思われる機器のデータを入力するようユーザに要求する、といったガイドも可能になる。
【0053】
以上説明したように、上記登録処理においては、主情報が登録された状況を表す状況情報を、可能な限り自動的に獲得、推定することにより、ユーザに情報を入力させる労力を軽減する。また、後述するように、主情報に関連付けられた状況情報によって、柔軟かつ効率よく主情報を検索できるようになるため、ユーザ自身がデータの整理を行なう必要がなく、多量のデータを管理する労力が大幅に軽減される。
(1−3)データ検索処理
次に、図7に示すフローチャートを参照して、図2の情報記憶検索装置の処理動作について説明する。
【0054】
データの検索は、ユーザが自発的に検索を行なう場合と、システムが自動的にデータを検索してユーザに呈示する場合がある。前者の場合は、ユーザが発する検索要求を受け付け(ステップS51)、検索要求があれば実際の検索処理(ステップS54以降の処理)に移る。後者の場合は、あらかじめ、状況情報を常時獲得しておき(ステップS52)、ユーザに対して何かデータを呈示すべき状況であると判断した時点で(ステップS53)、実際の検索処理(ステップS56)に移る。
【0055】
ステップS52〜ステップS53の処理は、登録/検索制御部9によって行なわれる。
登録/検索制御部9では、図8に示したような規則情報に基づいて自動的にデータの検索処理を行なうか否かを判断する。図8に示した規則情報のうち、規則R2は、データの検索を行うタイミングとどのようなデータを検索すべきかを判断するための規則を記述したもので、警報がオフからオンに変化したときに、「データ種類」が「操作履歴」である主情報を検索するためのものである。すなわち、「警報がOFFからONに変わった場合は、過去の同じような状況において登録された操作履歴が、異常復帰の手順として参考になると思われるので、これを自動的に検索してユーザに呈示すべきである」という意味である。
【0056】
ステップS53では、このような規則に基づいて、ユーザにデータを呈示すべきかどうかを判断する。
本発明では、データを検索するための検索条件の1つとして、検索時の状況情報を用いる。
【0057】
ユーザが自発的に検索要求を出した場合には(ステップS51)、その時点の状況情報を獲得し(ステップS54)、これを暗黙的な検索条件とするが、ユーザが検索条件を明示的な形で指定した場合には(ステップS55)、これと状況情報とを組み合わせた条件を検索条件とする(ステップS57)。ユーザが明示的な検索条件を指定しなかった場合や、ステップS53にてシステムが自動的に検索を実行する場合には、状況情報のみを検索条件とする(ステップS56)。
【0058】
状況情報の獲得は、図6のデータの登録処理のステップS36の説明と同様であるが、登録時とは異なり、状況情報の全ての項目を獲得する必要がないので、図6のステップS40、ステップS41のようなユーザに対して状況情報の不足分を入力せしめる処理は必ずしも行う必要はない。
【0059】
図16は、ユーザに対して、検索条件とする状況情報を呈示し、かつ、これに加えて、ユーザ自身が希望する検索条件を明示的に指定するための画面の表示例を示したもので、検索時の状況を表す状況情報の表示領域102と、ユーザが所望する検索条件を入力するための領域102とが表示されている。
【0060】
図16に示すように、検索時の状況は、「1998年4月15日11時13分」に「鈴木」が「中央監視室」で「給水設備」の「監視制御」を行なっている状況である。領域102には、検索したい主情報の種類や目的についての条件として、「最近の点検時の写真か文書」という日本語がユーザにより入力されている。本実施形態の場合、ユーザが指定する検索条件は、自然言語で自由に入力することとしている。自然言語を検索条件として解釈する処理は従来技術で実現可能である。また、本発明は、自然言語による入力方法に限定するものではなく、キーワードの入力や、グラフィカル・ユーザ・インタフェースによる入力であってもよい。
【0061】
なお、検索条件として用いる状況情報は、検索する時点の状況を表す情報でなくてもよい。また、各種主情報の各々に関連付けられている状況情報も、検索条件とすることができる。
【0062】
後述するように、本発明のデータ検索処理は、検索条件と、データ記憶部5に記憶されている状況情報とを比較して、当該検索条件と類似度の大きい状況情報に関連付けられている主情報を検索するようになっているので、ユーザは、ある主情報を指定して、その主情報と状況情報が類似した主情報を検索せしめることも可能である。この場合には、図7のステップS54の処理を、検索時の状況情報を獲得して検索条件とするのではなく、ユーザが指定した主情報に関連付けられている状況情報を検索条件とする、という処理に変更すればよい。
【0063】
図17は、指定された主情報と類似した他の主情報を検索する(ここでは、類似検索と呼ぶ)ための画面表示例を示したもので、少なくとも、ユーザにより指定された主情報を表示する領域111と、領域111に表示された主情報に関連付けられている状況情報を表示する領域112とが表示されている。なお、図16と同様に、ユーザが所望する検索条件が入力できる領域113が設けられていてもよい。
【0064】
図17に示したように、ユーザが領域111に表示されているような写真データを指定したとき、この写真データに関連付けされている状況情報が領域112に表示され、領域112に表示された状況情報を検索条件として検索を行なう。その際、領域113に図16と同様に、ユーザが所望する明示的な検索条件が入力されていてもよい。
【0065】
データ記憶部5からデータを検索する処理(ステップS58)は、データ検索部7にて、検索条件である状況情報と、データ記憶部5に記憶された各主情報の状況情報との類似度をおのおのの主情報について計算し、検索条件である状況情報と類似度の大きい状況情報に関連付けられている主情報を選択する、という方法で行なう。ただし、ユーザが明示的に検索条件を指定した場合は、その検索条件によって主情報をさらに限定して選択する。
【0066】
ここで、図18を参照して、検索処理における検索条件としての状況情報とデータ記憶部5に記憶されている状況情報との類似度の算出方法について説明する。
【0067】
検索時の状況を表す状況情報123と、ユーザにより入力された(ユーザが明示的に与えた)検索条件124とが与えられた場合に、図3(a)に示したデータD1の状況情報121と、図4(b)に示したデータD4の状況情報122のそれぞれについて、状況情報123、ユーザにより入力された検索条件124との類似度を計算する場合を例にとり説明する。
【0068】
なお、「登録日時/利用日時」という項目は、データD1、D2の状況情報121、122においては、その主情報が登録された日時を意味するが、検索条件の状況情報123、ユーザにより入力された検索条件124においては、検索を行なった日時(すなわち利用日時)や、ユーザが明示的に指定した日時である。同様に、「登録者/利用者」という項目も、データD1、D2の状況情報121、122においては、その主情報の登録者を意味し、検索条件の状況情報123、ユーザにより入力された検索条件124においては、検索を行なうユーザ(すなわち利用者)や、検索条件として明示的に指定した人に関する情報である。
【0069】
「センサ値」という項目と、「警報」という項目は、各々の状況情報の登録日時/利用日時におけるプラント設備の状況を表すものある。
本実施形態の場合、「センサ値」という項目では、類似度の計算を単純化するために、センサの値が定常値の範囲である「0」か、定常値より大きい「+」か、小さい「−」かの、3通りの値で表すことにしている。一方、「警報」という項目では、警報のONを「1」で、OFFを「0」で表す。
【0070】
状況情報の類似度の計算は、各項目毎について求めた類似度を総合して状況情報全体の類似度とする。まず、「データ種類」という項目については、検索条件としての状況情報123では指定がないが、ユーザにより入力された検索条件124に「写真、文書」という条件がある。データD1の状況情報121は、「データ種類」の項目が「写真」なので、ユーザにより入力された検索条件124の「データ種類」と合致し、類似度は「1」となる。データD4の状況情報122は、「データ種類」の項目が「操作履歴」であり、ユーザにより入力された検索条件124にて指定された「データ種類」と異なるので類似度は「0」となる。
【0071】
「登録者/利用者」の項目については、データD1の状況情報121は「山本」、データD4の状況情報122は「加藤」、検索条件としての状況情報123は「鈴木」で、それぞれ異なる人物であるが、図10(a)に示した作業者の情報テーブルによれば、「加藤」と「鈴木」はともに役割が「監視操作」である。人の役割の共通点も考慮して、例えば、人の類似度の計算方法を、同一の人物の場合に類似度を「1」とし、役割が同じ場合に類似度を「0.5」とするという方法で行なうとすれば、データD1の状況情報121は類似度が「0」、データD2の状況情報122の類似度は「0.5」となる。
【0072】
後にも例を示すが、図10、図11に示したような情報テーブルは、状況情報の類似度を計算する際に、情報の意味内容まで解釈して計算するための知識として、状況情報獲得/解釈知識記憶部8に記憶せしめて利用する。これにより、上述のように、人の類似度を、人名が一致するかどうかで計算するのでなく、人の役割なども考慮して緻密に計算することが可能となる。
【0073】
「登録日時または利用日時」の項目については、検索条件としての状況情報123から検索時の日時が「1998年4月15日11時13分」であり、ユーザにより入力された検索条件124が「最近」であるので、類似度の計算を、時刻の差が小さい程類似度が大きくなるように計算する。例えば、利用日時と登録日時との差分の絶対値をとって、単位を「日」とし、
100÷(100+|利用日時−登録日時|) … (1)
という計算式にて求めてもよい。
【0074】
式(1)を用いると、データD1の状況情報121の類似度は「0.68」、データD4の状況情報122の類似度は「0.70」となる。
次に、「場所」の項目に関しては、データD1の状況情報121は「20号棟」、データD4の状況情報122と検索条件としての状況情報123は「中央監視室」なので、データD1の状況情報121の類似度は「0」、データD2の状況情報122の類似度は「1」となる。
【0075】
「対象」の項目は、データD1の状況情報121は「給水ポンプ1」、データD2の状況情報122は「給水ポンプ1、給水ポンプ2、給水弁」であり、検索条件としての状況情報123は「給水設備」であるが、図11で示した設備構成の情報テーブルによれば、「給水設備」には機器や配管が4つあり、「給水ポンプ1」「給水ポンプ2」「給水弁」はみな「給水設備」に属する。類似度の計算を、例えば、(一致する対象の個数)÷(設備内の全対象の個数)とすれば、データD1の状況情報121の類似度は「0.25」、データD4の状況情報122の類似度は「0.75」となる。
【0076】
「目的」の項目については、データD1の状況情報121とユーザにより入力された検索条件124は「保守点検」、データD4の状況情報122と検索条件としての状況情報123は「監視操作」であるが、ここでは、ユーザにより入力された検索条件124にて指定された「保守点検」を優先度を高く取り、したがって、データD1の状況情報121の類似度は「1」、データD4の状況情報の122の類似度は「0」となる。
【0077】
「センサ値」と「警報」の項目の類似度計算は、基本的には各センサや警報の値それぞれについて類似度を求めて平均をとることによって行なうが、大規模プラントのようにセンサ、警報の点数が数千、数万に及ぶ場合には、処理を簡単にするために、比較して意味があるセンサ・情報のみを考慮して計算する。この例の場合には、検索条件の「対象」の項目である「給水設備」に付随するセンサと警報を考慮する。例えば、図11に示した設備構成の情報テーブルによれば、「給水設備」のセンサは「給水弁の開度」と「給水管の流量」であり、警報は「給水ポンプ1起動渋滞」「給水ポンプ2起動渋滞」「給水断」である。したがって、類似度の計算もこれらの項目についてのみ行なう。センサ値「給水弁の開度」と「給水管の流量」の項目については、データD1の状況情報121がともに「0」、データD4の状況情報122は順に「−」と「0」、検索条件としての状況情報123は順に「−」と「0」である。データD1の状況情報121は、2つの項目のうち1つのみ一致するので、類似度は1/2=0.5となる。データD4の状況情報122は、2つの項目が全て一致するので、類似度は「1」である。
【0078】
一方、警報「給水ポンプ1起動渋滞」「給水ポンプ2起動渋滞」「給水断」は、データD1の状況情報121は全て「0」、データD4の状況情報122は順に「1」「0」「1」、検索条件としての状況情報123は順に「0」「1」「1」である。データD1の状況情報121は、3つの警報のうち「給水ポンプ1起動渋滞」のみ一致しているので、データD1の状況情報121の類似度は1/3=0.33となる。データD2の状況情報122の類似度の計算においては、機器の機種についても考慮する。すなわち、図11に示した設備構成の情報テーブルによれば、「給水ポンプ1」と「給水ポンプ2」は、互いに同機種の「縦軸渦巻ポンプ」であるので、データD4の状況情報122の状況と検索条件としての状況情報123では、発生した警報自体は異なるが、その警報の意味内容は類似している。機種が同一である場合を考慮し、類似度の計算方法を、例えば、機器自体が同じなら「1」、機種が同じ場合には「0.5」という方法で行なうとすれば、データD4の状況情報122の類似度は、(0.5+0.5+1)/3=0.67となる。
【0079】
以上、状況情報の各項目についての計算方法の詳細を述べた。各項目の類似度の平均値を状況情報全体の類似とした場合には、上記の例では、データD1の状況情報121と、検索条件としての状況情報123およびユーザにより入力された検索条件124とを組み合わせたものとの類似度は「0.47」となり、一方、データD4の状況情報122と検索条件の状況情報との類似度は「0.58」となる。ただし、ユーザにより入力された検索条件124を、必須の条件とした場合には、データD1の状況情報では、項目「データ種類」と項目「目的」の条件を両方とも満たしているのに対し、データD4の状況情報122は両方とも満たしていない(これらの項目での類似度が「0」である)。本実施形態では、ユーザにより入力された検索条件124を満たさない場合に類似度を「0」とすることとしているので、データD4の状況情報は類似度が「0」となる。
【0080】
逆に、もし、ユーザにより入力された検索条件124がなければ、項目「データ種類」と項目「目的」の類似度の値が上記と異なる値となり、結果として、データD1の状況情報121とデータD4の状況情報122の類似度の計算結果は、それぞれ、「0.22」と「0.70」となる。すなわち、この場合には、直観的にも理解できるように、ユーザの状況であるところの「中央監視室で監視操作を行なっている状況」に近いデータD4の状況情報122が、類似度が大きくなり、結果として検索されやすくなる。
【0081】
以上説明したように、本発明の検索方法は、状況情報同士の類似度が大きい主情報を検索する方法であり、かつ、上述のように、状況情報は自動的に獲得されるので、ユーザは、求める主情報を検索するための検索条件を詳細に設定せずとも、容易に効率良く主情報を検索し利用することができる。
【0082】
なお、上記の類似度の計算方法では、各項目の類似度の値を単純に平均した値を状況情報全体の類似度としているが、各項目毎に重みを設定し、各項目の類似度に重みを乗じてから平均値を求めるという方法をとってもよい。例えば、類似度の計算の際に「センサ値」の項目を重視し、「場所」の項目は重視しないようにしたい場合には、「センサ値」の項目の重みを大きく設定し、「場所」の項目の重みを小さく設定すればよい。
【0083】
このような項目毎の重みの設定は、ユーザが検索時にシステムに与えても良いし、データの利用目的に応じて動的に変化させても良い。
データ記憶部5からデータを検索する処理(ステップS58)の結果、データが検索できれば(ステップS59)、その検索結果を、データ加工/呈示部3を用いてユーザに呈示する(ステップS60)。
【0084】
図19は、検索結果をユーザに提示する画面の表示例を示したものである。図19(a)は、検索された主情報の一覧を呈示する画面の一例で、各々の主情報に関連付けられている「データ種類」「登録日時」「登録者」といった状況情報を表示してユーザに示す。この例では、検索条件の状況情報との類似度が大きい主情報3件を、検索結果として呈示している。ユーザは、この画面上で利用したい主情報の状況情報を選択して、その選択した状況情報に関連付けられている主情報の内容を図19(b)に示すような形で表示させて利用する。
【0085】
図19(b)は、図19(a)に示したような検索結果の一覧表示から選択された「データ種類」が「文書」である主情報の内容を表示した場合を示している。
【0086】
一方、システムは、ユーザが利用した主情報があった場合に(ステップS61)、その主情報に対して、その利用時の状況情報をも関連付ける(ステップS62)。図20(a)は、データD1に対して、もともと関連付けられていた当該データ登録時の状況情報J1であるが、これに、さらに、図20(b)に示したような当該主情報の利用時の状況情報J6を追加するようにしてもよい。すなわち、データD1に状況情報J1を関連付けるとともに、状況情報J6も関連付けてデータ記憶部5に記憶しておく。あるいは、図20(b)の状況情報J6をもとに図20(a)の状況情報J1を変更してもよい。例えば、状況情報J6と状況情報J1との内容で異なる内容の項目(例えば、「登録者」「場所」「対象」「目的」)については、双方の内容を包含するように変更する(例えば、「登録者」という項目の値は「山本、鈴木」と変更し、「場所」という項目の値は「20号棟、中央監視室」と変更する)。
【0087】
このように、主情報が利用された状況をもとに当該主情報に関連付けた状況情報を更新(追加、変更)していくことにより、将来の別の類似した状況において、そのデータが検索されやすくなる。例えば、登録時の状況情報J1では、「目的」という項目の値は「保守点検」であるが、これは、すでに説明したように、この写真が「保守点検」のために撮影されたことを意味する。一方、利用時の状況情報J6の「目的」という項目の値は「監視操作」であるが、これは、この写真が「監視操作」のために利用されたことを意味する。例えば、データが利用される度に、利用時の状況情報を主情報に複数関連付けていき、一方、検索時の類似度計算においては、各項目毎の類似度の計算の際に類似度が最大になるような項目の値を持つ状況情報を用いて計算する、という方法をとる。
【0088】
図20に示したような2つの状況情報が関連付けられたデータD1の場合には、検索条件としての状況情報における「目的」という項目が「保守点検」であっても「監視操作」であっても、類似度が大きくなり、検索されやすくなる。利用実績が多く、様々な状況において利用された主情報は、価値の高い主情報であるといえるが、上記の方法により、このような価値の高い主情報ほど、検索されやすくなり、結果的に、データの共有が促進される、という利点がある。
(第2の実施形態)
図21は、本発明の第2の実施形態にかかる情報記憶検索装置の構成例を示したもので、図2に示したような構成の情報記憶検索装置の機能をクライアントとサーバとに分割したものである。すなわち、少なくともデータ記憶部5を具備したサーバ装置202と、複数の携帯可能なクライアント端末装置201とが所定のネットワークを介して接続し、複数のユーザがクライアント端末装置201からサーバ装置201のデータ記憶部5にあるデータを共有して利用できるようにした構成である。
【0089】
クライアント端末装置201の内部構成は、各クライアント端末装置の機能と役割に応じた様々な構成が可能であるが、基本的には、状況情報獲得部4はクライアント端末装置201に具備させ、データ記憶部5、データ登録部6、データ検索部7は、サーバ装置202に具備させる。
【0090】
図21に示すクライアント端末装置201では、携帯可能な端末装置に特有なデータ入力手段として、カメラ10e、マイク10f、バーコードリーダ10h、ペン・タブレット10iなどを具備している。
【0091】
また、サーバ装置202とクライアント端末装置201との間の通信において、通信量を軽減したり、通信が不可能な場合でもクライアント側でデータの記憶・利用できるように、クライアント用のデータ記憶部211を具備している。同様の目的で、図2の状況情報獲得/解釈知識記憶部8は、クライアント端末装置201とサーバ装置202とのそれぞれが具備し、クライアント用の状況情報獲得/解釈知識記憶部212には、そのクライアント端末装置201に特有のデータ入力部(例えば、カメラ10e、マイク10f、バーコードリーダ10h、ペン・タブレット10i)から状況情報を獲得し解釈するための知識が記憶されている。
【0092】
サーバ装置202に具備されている登録/検索制御部9には、例えば、図8の規則R3に示すような規則情報が予め記憶されている。規則R3は、サーバ装置202がクライアント端末装置201のデータ記憶部211に記憶するデータをサーバ装置202が具備するデータ記憶部5から検索するための規則を記述したもので、「ユーザが保守点検に出かける時には、作業に役立ちそうなデータとして、その点検場所の過去の写真と文書のデータを、予め検索して、ユーザが点検に携帯する端末機器に一時的に記憶しておくべきである」という意味である。
【0093】
本発明の現実的で好ましい構成は、図21に示したように、データ記憶部5を具備したサーバ装置202と複数のクライアント端末装置201とが所定のネットワークを介して接続し、複数のユーザがクライアント端末装置201からサーバ装置202のデータ記憶部5にあるデータ(主情報)を共有して利用できるようにした構成である。このような構成の場合で、クライアント端末装置201は、ユーザが例えば点検作業のために携帯できるような端末装置であり、かつ、サーバ202とクライアント端末装置201との通信が点検場所では可能でない場合には、予め有用と予想されるデータをクライアント端末装置201に一時的に記憶しておけば、点検場所においてもデータを利用することができる。
【0094】
規則R3はこのような目的のための規則であり、これに従えば、ユーザは、点検作業に赴く前に、クライアント端末装置201をサーバ装置202に接続して、「20号棟に保守点検に行く」という将来の状況を例えばペン・タブレット10iから入力する。この入力された状況情報は、状況情報獲得部4を介して、サーバ装置202のデータ検索部7に渡され、データ検索部7は、登録/検索制御部9に記憶された規則R3から、その点検場所の過去の写真と文書のデータとを検索して、それを当該クライアント端末装置201のデータ提示/加工部3に渡す。データ提示/加工部3は、サーバ装置202にて検索されたデータ(主情報と、その主情報に関連付けられた状況情報)をデータ記憶部211に一時的に記憶しておく。
【0095】
その後、ユーザは、当該クライアント端末装置201をサーバ202から切り離して、保守点検場所である20号棟まで持っていって、当該クライアント端末装置201に具備されているデータ入力手段を用いて状況情報を獲得し、その獲得した状況情報に対応した主情報をデータ記憶部211から検索して、データ提示/加工部3に提示する。その際、例えば、データ検索部7と同様の処理を行って状況情報の類似度を求めて、当該獲得した状況情報に対応したデータを検索するようにしてもよいし、単純な状況情報の照合による検索でもよい。
【0096】
また、さらに高度にユーザを支援する方法としては、たとえば、ユーザが点検作業に携帯する目的で、クライアント端末装置201をネットワークから切り離そうとした際に、切り離すという動作の状況に基づいて、将来の状況、すなわち、これから保守点検を行なうという状況(内部状況)を予測して、上述のような自動的な検索処理を行なってもよい。その際、状況情報獲得/解釈知識記憶部212に記憶されている図10(a)(b)、図11に示したような情報テーブルを用いれば、保守点検を行なう作業者や点検場所など、より詳細な状況情報をも予測することができるので、ユーザ自らが、将来の状況を入力する労力は不必要となる。
【0097】
さらに、ユーザがクライアント端末装置201にて、保守点検場所で当該クライアント端末装置201に具備されているデータ入力手段を用いて収集した各種情報(登録すべきデータとそれに関連付ける状況情報)を、後にサーバ装置202に登録することもできる。すなわち、クライアント端末装置201をサーバ装置202に接続して、クライアント端末装置201のデータ記憶部211に記憶しておいたデータ(主情報とそれに関連する状況情報)を状況情報獲得部4を介してサーバ装置202のデータ登録部6に送り、データ記憶部5に図3〜図5に示したように登録するようにしてもよい。
【0098】
以上説明したように、上記第1および第2の実施形態によれば、例えばプラント等の設備に関する多種多量のデータを、ユーザが簡単に登録でき、かつ、データを効率良く検索し利用することができる。また、データの登録・検索を予め定めた手順で行なうようユーザに強いる方法ではないので、ユーザは自ら有用と判断したデータを、業務中に自由に登録できる。また、利用上の制約もなく、ユーザは、業務に必要なデータを状況に応じて自由に検索し利用することができる。
【0099】
なお、上記実施形態では、プラント等の設備に関するデータを取り扱う場合を例にとり説明したが、本発明は、それ以外にも例えば、インテリジェント・ビル、自動倉庫、交通機関や店舗などの各種設備、場所に設置した各種センサ、制御装置や操作端末などから取得される各種データを取り扱うことができることは言うまでもない。
【0100】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、多種多様なデータの登録および検索にかかる作業の手間を軽減して、効率よく情報の利用が行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る情報記憶検索装置の基本的な構成例を示した図。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る情報記憶検索装置のより詳細な構成例を示した図。
【図3】データ記憶部に記憶されるデータ(主情報とそれに関連付けられた状況情報)の具体例を示した図。
【図4】データ記憶部に記憶されるデータ(主情報とそれに関連付けられた状況情報)の具体例を示した図。
【図5】データ記憶部に記憶されるデータ(主情報とそれに関連付けられた状況情報)の具体例を示した図。
【図6】データ登録処理動作を説明するためのフローチャート。
【図7】データ検索処理動作を説明するためのフローチャート。
【図8】登録/検索制御部に記憶されている規則情報の具体例を示した図。
【図9】主情報の登録要求画面の一例を示した図。
【図10】状況情報獲得/解釈知識記憶部に記憶されている状況情報を獲得、解釈するための情報テーブルの具体例を示した図。
【図11】状況情報獲得/解釈知識記憶部に記憶されている状況情報を獲得、解釈するための情報テーブルの具体例を示した図
【図12】状況情報を推定処理の原理を説明するための図で、時系列に登録された主情報の状況情報((a)〜(c)図)をもとに、(b)図の状況情報の不十分な内容を推定した結果を(d)図に示している。
【図13】不足している状況情報をユーザに入力させるための画面の表示例を示した図。
【図14】不足している状況情報をユーザに入力させるための手順を提示する画面の表示例を示した図。
【図15】データ登録時の確認画面の一例で、不足している状況情報がユーザにより入力されたときに該状況情報とそれに関連付けるべき主情報とを呈示している。
【図16】データ検索時に検索条件を呈示するための画面の表示例を示した図。
【図17】類似検索の際の画面の表示例を示した図。
【図18】検索条件としての状況情報とデータ記憶部に記憶されている状況情報との類似度の算出方法について説明するための図。
【図19】検索結果をユーザに提示する画面の表示例を示した図。
【図20】主情報の利用状況に基づき当該主情報に関連付けられている状況情報を更新する場合を説明するための図で、(a)図は、すでにある状況情報であり、(b)図は、利用時の状況情報である。
【図21】本発明の第2の実施形態に係る情報記憶検索装置の構成例を示した図。
【符号の説明】
1−1〜1−n…情報源
2−1〜2−n…データ入力部
3…状況情報獲得手段
4…データ呈示/加工部
5…データ記憶部
6…データ登録部
7…データ検索部
8…状況情報獲得/解釈知識記憶部
9…登録/検索制御部
Claims (11)
- 主情報及び当該主情報に関連したユーザ、環境及びシステム内部に関する状況を示す状況情報をそれぞれ含む複数のデータを記憶するための記憶手段及び前記状況情報を取得するための取得部を備えた情報記憶検索システムにおける情報記憶検索方法において、
主情報を入力する第1のステップと、
前記第1のステップで入力された主情報を前記記憶手段に記憶するためのユーザからの登録要求を受けた際に、前記各種取得部を用いて、ユーザ、環境及びシステム内部に関する状況を示す状況情報を取得する第2のステップと、
前記登録要求を受けた際に、前記登録すべき主情報の登録日時の近傍に前記記憶手段に記憶された他の主情報の状況情報から、当該登録すべき主情報とともに前記記憶手段に記憶すべき状況情報を取得する第3のステップと、
前記第3のステップで取得できない状況情報を入力するための手順を呈示して、当該状況情報を取得する第4のステップと、
前記登録すべき主情報、前記第2乃至第4のステップで取得された状況情報を含むデータを前記記憶手段に記憶する第5のステップと、
ユーザからの検索要求を受けたときに、前記各種取得部を用いて前記状況情報を取得する第6のステップと、
前記第6のステップで取得した状況情報を含む検索条件を用いて、当該検索条件に最も類似する状況情報を含むデータを前記記憶手段で記憶されている複数のデータのなかから検索する第7のステップと、
を有することを特徴とする情報記憶検索方法。 - 主情報及び当該主情報に関連したユーザ、環境及びシステム内部に関する状況を示す状況情報をそれぞれ含む複数のデータを記憶する記憶装置及び前記状況情報を取得するための各種取得部を備えた情報記憶検索システムにおいて、
主情報を入力する入力手段と、
前記各種取得部を用いて、ユーザ、環境及びシステム内部に関する状況を示す状況情報を取得する第1の取得手段と、
前記入力手段で入力された主情報を前記記憶装置に記憶するためのユーザからの登録要求を受けた際に、当該登録すべき主情報の登録日時の近傍に前記記憶装置に記憶された他の主情報の状況情報から、当該登録すべき主情報とともに前記記憶装置に記憶すべき状況情報を取得する第2の取得手段と、
前記第2の取得手段で取得できない状況情報を入力するための手順を呈示して、当該状況情報を取得する第3の取得手段と、
前記登録すべき主情報、前記登録要求を受けた際に前記第1の取得手段で取得した状況情報、前記第2及び第3の取得手段で取得された付加情報を含むデータを前記記憶装置に記憶する手段と、
ユーザからの検索要求を受けたときに前記第1の取得手段で取得した状況情報を含む検索条件を用いて、当該検索条件に最も類似する状況情報を含むデータを前記記憶装置に記憶されている複数のデータのなかから検索する第1の検索手段と、
を具備したことを特徴とする情報記憶検索システム。 - 前記第1の取得手段で取得される状況情報には、予め与えられた知識情報を基に推定されたユーザ及び環境に関する状況を示す状況情報が含まれていることを特徴とする請求項2記載の情報記憶検索システム。
- 前記第1の取得手段で取得された状況情報に、ユーザがデータを登録すべき予め定められた状況を示す状況情報が含まれているとき、ユーザにデータを登録するよう要求する手段をさらに具備したことを特徴とする請求項2記載の情報記憶検索システム。
- 前記登録要求を受けた際に前記第1の取得手段で取得した状況情報から、前記登録すべき主情報とともに前記記憶装置に記憶すべき予め定められた状況情報が全て得られた場合には、前記登録すべき主情報と、前記第1乃至第3の取得手段で取得された状況情報のうちの前記第1の取得手段で取得した状況情報のみを含むデータを前記記憶装置に記憶する手段をさらに具備したことを特徴とする請求項2記載の情報記憶検索システム。
- 前記登録要求を受けた際に前記第1の取得手段で取得した状況情報から、前記登録すべき主情報とともに前記記憶装置に記憶すべき予め定められた状況情報が全て得られなかった場合には、前記第2の取得手段で状況情報を取得し、前記第1及び第2の取得手段で取得した状況情報から、前記登録すべき主情報とともに前記記憶装置に記憶すべき予め定められた状況情報が全て得られた場合には、前記登録すべき主情報と、前記第1乃至第3の取得手段で取得された状況情報のうちの前記第1及び第2の取得手段で取得した状況情報のみを含むデータを前記記憶装置に記憶する手段をさらに具備したことを特徴とする請求項5記載の情報記憶検索システム。
- 前記第1及び第2の取得手段で取得した状況情報から、前記登録すべき主情報とともに前記記憶装置に記憶すべき予め定められた状況情報が全て得られなかった場合には、前記第3の取得手段で状況情報を取得し、前記第1乃至第3の取得手段で取得した状況情報から、前記登録すべき主情報とともに前記記憶装置に記憶すべき予め定められた状況情報が全て得られた場合には、前記登録すべき主情報及び前記第1乃至第3の取得手段で取得した状況情報を含むデータを前記記憶装置に記憶することを特徴とする請求項6記載の情報記憶検索システム。
- 前記第1の取得手段で取得された状況情報に、検索を行うことが予め定められた状況を示す状況情報が含まれているとき、当該状況情報を検索条件として用いて、当該検索条件に最も類似する状況情報を含むデータを前記記憶装置に記憶されている複数のデータのなかから検索する第2の検索手段をさらに具備したことを特徴とする請求項2記載の情報記憶検索システム。
- 前記記憶装置で記憶されている任意の主情報の指定された、ユーザからの検索要求を受けたときに、当該主情報の状況情報を検索条件として用いて、当該検索条件に最も類似する状況情報を含むデータを前記記憶装置で記憶されている複数のデータのなかから検索する第3の検索手段をさらに具備したことを特徴とする請求項2記載の情報記憶検索システム。
- 前記検索手段で検索されたデータのうち、ユーザにより利用されたデータに、前記検索条件として用いた状況情報を関連付けて前記記憶装置に記憶する手段をさらに具備したことを特徴とする請求項2記載の情報記憶検索システム。
- 主情報及び当該主情報に関連したユーザ、環境及びシステム内部に関する状況を示す状況情報をそれぞれ含む複数のデータを記憶するための記憶手段及び前記状況情報を取得するための各種取得部を備えたコンピュータに、
主情報を入力する第1のステップと、
前記第1のステップで入力された主情報を前記記憶手段に記憶するためのユーザからの登録要求を受けた際に、前記各種取得部を用いて、ユーザ、環境及びシステム内部に関する状況を示す状況情報を取得する第2のステップと、
前記登録要求を受けた際に、当該登録すべき主情報の登録日時の近傍に前記記憶手段に記憶された他の主情報の状況情報から、当該登録すべき主情報とともに前記記憶手段に記憶すべき状況情報を取得する第3のステップと、
前記第3のステップで取得できない状況情報を入力するための手順を呈示して、当該状況情報を取得する第4のステップと、
前記登録すべき主情報、前記第2乃至第4のステップで取得された状況情報を含むデータを前記記憶手段に記憶する第5のステップと、
ユーザからの検索要求を受けたときに、前記各種取得部を用いて前記状況情報を取得する第6のステップと、
前記第6のステップで取得した状況情報を含む検索条件を用いて、当該検索条件に最も類似する状況情報を含むデータを前記記憶装置に記憶されている複数のデータのなかから検索する第7のステップと、
を実行させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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1998
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