JP3655669B2 - イオン化水の製造法及びイオン化水製造装置 - Google Patents

イオン化水の製造法及びイオン化水製造装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品加工処理、理美容、農水産物の育成等に使用されるイオン化水の新規な製造法及びかかるイオン化水の製造に適した装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、陽極室と陰極室とを隔膜で仕切った電解槽に原料水を仕込んで電気分解を行い、陽極室から酸性イオン水を回収するとともに陰極室からアルカリ性イオン水を回収して、これらのイオン化水をそれぞれに利用することが行なわれている。そのうちアルカリイオン水は、ナトリウムイオンやカルシウムイオンが濃縮されていて、理美容や食品処理などの多種の用途に使用されているのに対して、酸性イオン水は塩素イオンなどを含み、理美容や農水産物処理などに殺菌用として使用されることが多い。しかしこれらのイオン化水を使用後に廃棄しようとすると、特に酸性イオン水は土壌や河川などの環境を酸性化する傾向があり、大量に使用する場合には排水処理が必要となるなど、必ずしも使い勝手が良いものではなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、このような従来のイオン化水の使用上の問題について種々研究した結果、使用後の廃棄処理が簡単であって環境汚染の問題がないイオン化水を製造できる方法を見出した。即ち本発明は、廃棄処理時に環境汚染の恐れがないイオン化水を、簡便且つ効率よく製造する新規な方法、及びかかる方法を容易に実施することができる装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記のような本発明の目的は、パルス電流が供給される1次コイルとこの1次コイルの外側に設けられた高電圧発生用の2次コイルとの中間に捲回された流路に原水を流して電磁処理する工程と、高周波放電している1対の電極間に前記電磁処理水を通過させてイオン化する工程とを含むことを特徴とするイオン化水の製造法によって達成することができる。
【0005】
更にかかる本発明のイオン化水の製造法を実施するに適した装置として、パルス電流が供給される1次コイルとこの1次コイルの外側に設けられた高電圧発生用の2次コイルとの中間に流路を捲回してなる電磁処理装置と、高周波電圧発生装置と、該高周波電圧発生装置の出力側に接続された1対の放電電極と、該放電電極の放電間隙に電磁処理水を供給できる滴下装置と、生成したイオン化水の貯槽とを備えたことを特徴とするイオン化水製造装置が提供される。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明のイオン化水の製造法の第1工程において原水を電磁処理するに当たり、高電圧発生用の2次コイルでは尖頭値で10kV以上の2次交流パルス電圧が発生するように運転することが望ましく、更に好ましくは同じく30〜50kV程度であるのがよい。またその周波数は300Hz以上であるのがよく、更に好ましくは600〜900Hzである。
【0007】
また、上記のように1次コイルと2次コイルとの中間に捲回された流路内を流下することによって電磁処理された水は、次工程で高周波によるコロナ放電、又はスパーク放電などが行なわれている電極の放電間隙に供給され、ここを通過する際にイオン化されるが、この場合は霧状や滴状で供給されるのが望ましく、滴下されるのが特に好ましい。かかる放電電極に高周波電力を供給する高周波電圧発生装置としては、電圧が尖頭値で5kV以上であり、周波数が100kHz以上であることが望ましい。
【0008】
本発明のイオン化水の製造法を適用することができる原水としては、例えば水道水、ミネラルウォータ、蒸留水、精製水などのほか、水溶性或いは微水溶性の有機物又は無機物、特に有機酸や無機酸又は有機塩基や無機塩基或いはこれらの塩、アルコール類や糖類などを含む水などであってもよく、特に限定されない。更にはまた既にイオン化処理を受けた水を反復処理することもできる。
【0009】
本発明の方法によってイオン化水を製造するときは、電磁処理と高周波放電処理との2重処理によってpH値が原水と殆ど変わらず、しかも性能の優れた高度イオン化水が得られる。そして本発明のイオン化水は、環境に排出しても何らの障害も発生することがない。
【0010】
【実施例】
以下、本発明のイオン化水製造装置を図によって説明する。
図において、1はパルス電流供給装置であって電源に接続されたバイブレータ式の断続スイッチからなり、たとえば300〜400Hzのパルス電流を電磁処理装置2の1次コイル21に供給することができるものである。この1次コイル21は筒状鉄心22を囲む絶縁層23の外側に設けられており、更に1次コイル21の外側に設けられた絶縁層24の外側にシリコーンゴムのチューブからなる流路25が巻き付けてある。この流路25の外側に設けた絶縁層26の外側に1組の2次コイル27、27が設けてある。この2次コイル27、27は直列に結合してあり、それらの両端の端子には2次コイル27、27で発生した高電圧を放電するための電極28、28がそれぞれ接続されていて、周波数が700〜800Hzで20〜30kV程度の電圧が発生できるようになっている。
【0011】
3は高周波電圧発生装置であって、バイブレータ式の断続スイッチ31と高周波電圧発生用の発振コイル32と発振コンデンサ33とからなり、発振コイル32の先端端子とアース端子とにそれぞれ接続された炭素性の1対の放電電極34、34の間で、尖頭電圧値が10〜20kVであり、周波数が100〜200kHzの高周波コロナ放電が発生するように構成されている。
【0012】
そして上記の放電電極34、34の放電間隙の真上には、流路25の末端に接続されたコック付ノズル型の滴下装置29が設けられており、ノズルから滴下した水が放電間隙を通過するようになっている。そして放電間隙を通過した水はその下方に設けられたイオン化水貯槽4中に入るようになっている。
【0013】
この装置を用いて、流路25の上端から原水として薬局方の精製水Aを約6ml/minの割合で供給して、電磁処理装置2の1次コイル27、27では周波数が700Hz、30kVの電圧が発生するように調整し、また高周波電圧発生装置3の出力が周波数150kHz、電圧が15kVで、放電電極34、34の間で高周波コロナ放電を発生させながら電極間隙に水を通過させ、生成したイオン化水をイオン化水貯槽4に集めた。そして1時間あたり約350mlのイオン化精製水Bを得た。
また原水として精製水に0.1重量%の酢酸を添加した酢酸水Cを用いて、上記と同様にイオン化処理してイオン化酢酸水Dを得た。
【0014】
こうして製造した本発明によるイオン化精製水Bと精製水Aとを比較し、また本発明によるイオン化酢酸水Dと酢酸水Cとを比較して調べたところ、表1のような違いがあった。また比較のために、水道水E、及び市販の隔膜式イオン水発生装置で製造した酸性水F及びアルカリ性水Gの性状を、比較のために対比して表1に示した。
【0015】
【表1】
Figure 0003655669
【0016】
これらの水各2mlを女性(30才)の手の甲に塗布して10分間放置後に、スキンテスター(TOHTO Co. Ltd.製)を用いて肌の保水度(μS/mm)を測定した結果を表2に示した。
【0017】
【表2】
Figure 0003655669
【0018】
また、これらの水各100mlにそれぞれ可溶性澱粉50gを加え、充分に混合して90℃に約10分間加熱して透明な溶液とし、α−アミラーゼ2mgを加えて40℃に1時間保った。このようにして得たそれぞれの溶液にヨードヨードカリ試薬を滴下して混合し、6分後に安定した呈色を観察することによって、澱粉の糖化反応を比較し、その結果を表3に示した。
【0019】
【表3】
Figure 0003655669
【0020】
更に、これらの水約20mlをそれぞれ大型試験管に取り、開花状態のナデシコの切り花を挿して室温で1週間放置し、花と水の状態を観察した。その結果を表4に示した。
【0021】
【表4】
Figure 0003655669
【0022】
【発明の効果】
本発明のイオン化水の製造方法によれば、特殊な電磁処理と高周波放電によるイオン化処理とによりイオン化水を製造するので、製造時のエネルギー消費が少なくて優れた性能を有するイオン化水が効率よく得られ、しかもかかるイオン化水は廃棄に際しても環境に対する負荷が極めて少ないという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のイオン化水製造装置の構成を示す説明図である。
【符号の説明】
1 パルス電流供給装置
2 電磁処理装置
21 1次コイル
22 筒状鉄心
23 絶縁層
24 絶縁層
25 流路
26 絶縁層
27 2次コイル
28 電極
29 滴下装置
3 高周波電圧発生装置
31 断続スイッチ
32 発振コイル
33 発振コンデンサ
34 放電電極
4 イオン化水貯槽

Claims (8)

  1. パルス電流が供給される1次コイルとこの1次コイルの外側に設けられた高電圧発生用の2次コイルとの中間に捲回された流路に原水を流して電磁処理する工程と、高周波放電している1対の電極間に前記電磁処理水を通過させてイオン化する工程とを含むことを特徴とするイオン化水の製造法。
  2. 前記高電圧発生用の2次コイルにおいて電圧尖頭値10kV以上の交流パルスを発生させる請求項1記載のイオン化水の製造法。
  3. 前記高電圧発生用の2次コイルにおいて周波数300Hz以上の交流パルスを発生させる請求項1又は2に記載のイオン化水の製造法。
  4. 前記高周波放電はコロナ放電、又はスパーク放電である請求項1乃至3のいずれかに記載のイオン化水の製造法。
  5. 前記高周波放電は周波数が100kHz以上である請求項1乃至4のいずれかに記載のイオン化水の製造法。
  6. パルス電流が供給される1次コイルとこの1次コイルの外側に設けられた高電圧発生用の2次コイルとの中間に流路を捲回してなる電磁処理装置と、高周波電圧発生装置と、該高周波電圧発生装置の出力側に接続された1対の放電電極と、該放電電極の放電間隙に電磁処理水を供給できる滴下装置と、生成したイオン化水の貯槽とを備えたことを特徴とするイオン化水製造装置。
  7. 高電圧発生用の2次コイルが10kV以上の交流パルス電圧を発生できるものである請求項6記載のイオン化水製造装置。
  8. 高周波電圧発生装置が周波数100kHz以上の電圧を発生できるものである請求項6又は7に記載のイオン化水製造装置。
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