JP3650883B2 - 体液吸収用当て材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、パンティ等の下着の内面に敷いて、おりもの等の体液を吸収するようにした体液吸収用当て材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の体液吸収用当て材には、いわゆるおりもの用シートと呼ばれるものが市販されている。おりもの用シートは、生理日以外に下着の内面に敷いておりものを吸収し、下着の汚れを防止しようとするものである。しかし、このおりもの用シートは、ただ単に下着の汚れを防止するだけであって、他には何の機能も備えていない。
【0003】
ところで、おりもののpHは、生理周期、トリコモナスなどの病的状態、更年期、妊娠時の破水等により変動するので、おりもののpHを測定することで健康状態、体調等をチェックできる場合がある。また、医師が患者の病的状態を診るのに、おりもののpHを測定する場合があるが、このような場合、医師は綿棒などでおりものを採取し、pH試験紙に接触させて測定している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、おりもの等の体液のpHを常日頃から測定するのは大変面倒であり、健康状態、体調等を簡単にチェックするためのバロメーターとしてそのpH値を測定するには未だ多くの課題を有していた。
【0005】
また、医師が患者の体液のpHを測定する場合にも、採取時などに内診が必要となりその測定に困難性を伴うという課題を有していた。
【0006】
そこで、この発明は、おりもの等の体液のpH測定機能を備えた体液吸収用当て材を提供することにより、上記課題を解決しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そのため、この発明の体液吸収用当て材は、本体部1に、pHにより変色する色素2を付着させたものとしている。好ましくは、本体部1に、pHにより変色する色素2をインク化して付着させたものとしている。
【0008】
さらに、この発明の体液吸収用当て材は、本体部1を少なくとも表面材1a、吸収体1b、及び防水層1cより構成し、表面材1aを透視性のある素材とすると共に、吸収体1bの表面にpHにより変色する色素2を付着させたものとしてもよい。好ましくは色素2をインク化して付着させる。
【0009】
また、この発明の体液吸収用当て材は、本体部1を少なくとも表面材1a、吸収体1b、及び防水層1cより構成し、防水層1cを透視性のある素材とすると共に、吸収体1bの裏面または防水層1cの内面にpHにより変色する色素2を付着させたものとすることができる。好ましくは色素2をインク化して付着させる。
【0010】
さらにまた、この発明の体液吸収用当て材は、本体部1に、pHにより変色する色素2をインク化して塗布あるいは印刷した上から、カチオン系のコーティング剤を塗布あるいは印刷したものとしてもよい。
【0011】
しかも、この発明の体液吸収用当て材は、前記色素2をpH4〜5,5〜6域で変色する色素、特にニトラジンイエローとするのが好ましい。そして、このニトラジンイエローとした色素2は、弱酸性に調製した状態で塗布あるいは印刷したものとしてもよい。
【0012】
【作用】
この発明の体液吸収用当て材は、上記構成としたため、pHにより変色する色素2がおりもの等の体液で濡れると、反応して変色する。そして、この色素2の変色具合は、体液吸収用当て材の表面もしくは裏面から見ることができる。
【0013】
さらに、前記色素2を付着させる部分を吸収体1bまたは防水層1cにすれば、使用時に色素2が使用者の皮膚に直接当たることがない。
【0014】
また、前記色素2をインク化して塗布あるいは印刷した上から、カチオン系のコーティング剤を塗布あるいは印刷すれば、塗布あるいは印刷面から色素が脱落することを効果的に抑えることができる。
【0015】
さらにまた、pHにより変色する色素2を、ニトラジンイエローとした場合には、体液のpHにより、黄、黄緑、または青に変色する。
【0016】
しかも、ニトラジンイエローを弱酸性に調製しておくと、黄色に変色した状態で塗布あるいは印刷されることになり、おりものが正常な場合には黄色のまま変色せず、おりものが異常な場合には黄色から青色に変色する。
【0017】
【実施例】
以下、この発明の体液吸収用当て材の構成を、一実施例として示した図面に基づいて詳細に説明する。
【0018】
図1、2に示すように、この発明の体液吸収用当て材は、表面材1a、吸収体1b、及び防水層1cより本体部1が構成され、適当な包装材(図示せず)により包装されている。この実施例では、表面材1aを合成繊維不織布とし、吸収体1bを天然繊維不織布とし、防水層1cをポリエチレンのバックシートとしているが、必要に応じ適当な材質が選択される。図3に示したものは、前記表面材1aと吸収体1bを貼り合わせてメッシュ加工したものとし、吸収体1bと防水層1cの間に、合成繊維不織布とした吸収体1dを設けたものとしている。
【0019】
そして、本体部1の吸収体1bの表面には、pHにより変色する色素2を付着させている。この色素2を付着させるには、色素2をインク化して付着させるのが好ましい。
【0020】
また、色素2を付着させる部分は、表面材1aをメッシュシート等の透視性のある素材とした場合には、吸収体1bの表面または表面材1aの外面や内面とすることができ、防水層1cを透明または半透明の透視性のある素材とした場合には、吸収体1bの裏面または防水層1cの内面とすることができる。
【0021】
さらに、この発明の体液吸収用当て材において使用される色素2は、pH4〜5、5〜6域で変色するものを使用している。これは、一般的に、おりもののpHが5以上の時は病的な場合が多く、おりもののpHが5以下の時は正常な場合が多いので、上記pH域で変色する色素2を使用するのが好ましい。また、尿失禁のある人や妊婦で破水が起こった時などもpHが5以上になるので、このような場合にも、上記色素2を使用するのが好ましい。実施例では、このような色素2として、次の化学式に示されるニトラジンイエロー〔別名;2−(2,4−ジニトロフェニルアゾ)−1−ナフトール−3,6−ジスルホン酸二ナトリウム〕を採用した。
【0022】
【化1】
【0023】
前記ニトラジンイエローは、pH4で黄色に変色し、pH5で黄緑色に変色し、pH6で青色に変色するものであり、人体に対しての安全性も非常に優れている。
【0024】
また、色素2をインク化するには、カチオン基を有するヒドロゲル粒子に色素2を吸着させ、必要に応じ表面を透湿、透水性皮膜で覆われた構成となる組成物とすればよい。この組成物には、体液吸収用当て材に固着させるための適当なバインダーを併用してもよい。なお、前記ヒドロゲル粒子としては、アクリル酸・アクリルアミド・メタクリル酸・N,N−ジメチルアミノエチル共重合物のグリセロールグリシジルエーテルによる部分架橋物で代表されるような組成物を用い、粒子径を0.01〜50μmとするのが好ましい。
【0025】
このインク化した色素2を塗布あるいは印刷することにより、色素2がおりもの等の体液により湿潤した場合にもブリード(色素が滲み出す現象)が起こらず、色素2を耐久性に優れた状態として本体部1に付着させておくことができる。なお、前記色素2を塗布あるいは印刷した上から、カチオン系のコーティング剤を塗布あるいは印刷したものとしてもよい。このようにすれば、塗布あるいは印刷面から色素が脱落することを効果的に抑えることができる。
【0026】
さらに、色素2をニトラジンイエローとした場合には、表1に示したように、他の色素、例えばメチルレッド、ブロモチモルブルー、ブロモクレゾールグリーンと比較してpH4〜6域で鮮明に変色し、また加温加湿下(40℃、75%)、光曝露下での経時変化のし難いものとなる。
【0027】
【表1】
【0028】
また、ニトラジンイエローをインク化して中性に調製しておくと、青色の状態で塗布あるいは印刷されることになり、ニトラジンイエローをインク化して弱酸性に調製しておくと、黄色の状態で塗布あるいは印刷されることになる。
【0029】
そのため、ニトラジンイエローをインク化して青色の状態で塗布あるいは印刷したものでは、おりものが正常な場合には青色から黄色に変色するが、おりものが異常な場合には青色のまま変色しない。また、ニトラジンイエローをインク化して黄色の状態で塗布あるいは印刷したものでは、おりものが正常な場合には黄色のまま変色せず、おりものが異常な場合には黄色から青色に変色する。
【0030】
したがって、前者では実際には正常であるのに、おりものが無い時や少ない時に青色のまま変色しないことがあるため、異常であると勘違いする場合がある。しかし、後者では正常な場合には黄色であるため、おりものが無い時や少ない時に変色しなくても、異常であると勘違いすることはない。
【0031】
【発明の効果】
この発明の体液吸収用当て材は、以上に述べたように構成されており、pHにより変色する色素2がおりもの等の体液で濡れると変色し、この変色具合を体液吸収用当て材の表面もしくは裏面から見ることができるので、健康状態、体調等を簡単にチェックするためのバロメーターとして使用できるようになった。そして、この発明の体液吸収用当て材を使用すれば、医師が患者のおりもののpHを測定する場合にも、採取時などに内診が不要となりその測定に困難性を伴うことがなくなった。
【0032】
さらに、前記色素2を付着させる部分を吸収体1bまたは防水層1cにすれば、使用時に色素2が使用者の皮膚に直接当たることがないので、安全性の面で安心感が得られるものとなった。
【0033】
また、前記色素2を塗布あるいは印刷した上から、カチオン系のコーティング剤を塗布あるいは印刷すれば、塗布あるいは印刷面から色素が脱落することを効果的に抑えることができので、安全性の面でより安心感が得られるものとなった。
【0034】
さらにまた、pHにより変色する色素2をニトラジンイエローとした場合には、体液のpHにより、黄、黄緑、または青に変色するので、健康状態、体調等をより明らかにチェックできるようになった。
【0035】
しかも、ニトラジンイエローをインク化して黄色の状態で塗布あるいは印刷したものでは、おりものが無い時や少ない時に正常な状態を表す黄色のままのため、おりものが異常であると勘違いすることはなく、健康状態、体調等をチェックし易いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の体液吸収用当て材の一実施例の一部破断斜視図である。
【図2】この発明の体液吸収用当て材の図1中のA−A線による拡大断面図である。
【図3】この発明の体液吸収用当て材の他実施例の拡大断面図である。
【符号の説明】
1 本体部
1a 表面材
1b 吸収体
1c 防水層
2 色素
Claims (8)
- 本体部(1)に、pHにより変色する色素(2)を、体液により湿潤した場合にもブリード(色素が滲み出す現象)が起こらないようにインク化して付着させたことを特徴とする体液吸収用当て材。
- 本体部(1)を少なくとも表面材(1a)、吸収体(1b)、及び防水層(1c)より構成し、表面材(1a)を透視性のある素材とすると共に、吸収体(1b)の表面にpHにより変色する色素(2)を、体液により湿潤した場合にもブリード(色素が滲み出す現象)が起こらないようにインク化して付着させたことを特徴とする体液吸収用当て材。
- 本体部(1)を少なくとも表面材(1a)、吸収体(1b)、及び防水層(1c)より構成し、防水層(1c)を透視性のある素材とすると共に、吸収体(1b)の裏面または防水層(1c)の内面にpHにより変色する色素(2)を、体液により湿潤した場合にもブリード(色素が滲み出す現象)が起こらないようにインク化して付着させたことを特徴とする体液吸収用当て材。
- 色素(2)が、体液により湿潤した場合にもブリードが起こらず、耐久性に優れたものであることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の体液吸収用当て材。
- 色素(2)のインク化が、カチオン基を有するヒドロゲル粒子に色素(2)を吸着させ、必要に応じ表面を透湿、透水性皮膜で覆われた構成となる組成物とすることによって行われる、請求項1乃至4のいずれかに記載の体液吸収用当て材。
- ヒドロゲル粒子が、アクリル酸・アクリルアミド・メタクリル酸・N,N-ジメチルアミノエチル共重合物のグリセロールグリシジルエーテルによる部分架橋物である、請求項5記載の体液吸収用当て材。
- 体液がおりものである請求項1乃至6のいずれかに記載の体液吸収用当て材。
- 色素(2)がpH4〜5,5〜6域で変色するものである請求項1乃至7のいずれかに記載の体液吸収用当て材。
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