JP3645552B2 - 超臨界流体抽出方法および超臨界流体抽出装置 - Google Patents

超臨界流体抽出方法および超臨界流体抽出装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超臨界状態の抽出溶媒(例えば水や二酸化炭素など)を用いて、抽出管内における試料(例えば野菜や果物など)中の目的成分(農薬,栄養成分,色素成分など)を抽出するための方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、試料中の目的成分を抽出する方法として、超臨界流体抽出方法が知られている。この超臨界流体抽出方法は、抽出溶媒としての水や二酸化炭素などを超臨界状態にして抽出を行なうことにより、有機物の高速抽出を可能にするものである。例えば、コーヒー豆を充填した抽出管に、超臨界状態の二酸化炭素を流し込むと、コーヒー豆からカフェインを抽出できることが知られている。ここで、超臨界状態とは、図6に示すように、水や二酸化炭素などの物質を超高温かつ超高圧の条件下に設定することによってその物質が至る、気体Gでも液体Lでもない特殊な状態Rのことである。
【0003】
従来、試料を充填される抽出管の構成上、この抽出管に充填することのできる試料は固体に限られ、液状試料は抽出対象外になっていた。これは、抽出管の上下両側に取り付けられるキャップには、抽出溶媒を流入/流出させるべく多数の孔が穿設されているため、抽出管内に液状試料を充填するとその孔から液状試料が漏れてしまうからである。特に、粘性の高い液状試料を抽出管内に充填した場合、その液状試料が孔の内部で詰まり、超臨界状態の抽出溶媒を抽出管内に流入させることできなくなるおそれがある。
【0004】
そこで、下記特許文献1に開示された超臨界流体抽出方法では、図7に示すように、ボンベ12,14,16内にそれぞれ二酸化炭素ガス,混合ガスA,Bが準備されており、これらのガスのうちのいずれか一つが抽出溶媒として選択弁18により選択される(図7では二酸化炭素ガスを選択した状態を図示)。選択されたガスは、高圧ポンプ24によって加圧され、さらに、バルブ39を経由しプレヒータ40によって加熱された後、抽出管10内に流入する。このとき、抽出管10内では、液状試料が、担体としてのポリアクリルアミドと混合されて固定化された状態で充填されている。
【0005】
抽出溶媒によって液状試料から抽出された目的成分は、圧力隔離弁44を経て分析トラップ50に至り、この分析トラップ50で保持される。そして、分析トラップ50に保持されている目的成分は、溶出ポンプ68から圧力隔離弁44を経由して送られてくる溶出溶媒(例えばジクロロメタン,クロロホルム等)により容器70に搬送されて貯留される。
【0006】
【特許文献1】
特開平8−318101号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したように抽出管の上下両側に取り付けられるキャップには多数の孔が穿設されているが、キャップの外周には、このキャップを抽出管に取り付けるための構造がそなえられているために、上記孔をキャップの外周側領域に穿設することができず、上記孔は、キャップの中央側領域(キャップ面積の3分の2程度の領域)に穿設されている。このように多数の孔をキャップの全領域に亘って穿設できないので、抽出溶媒の流入側ではその抽出溶媒を抽出管内の全体に均一に拡散させることができず、目的成分の抽出効率を低下させる要因となっていた。
【0008】
また、目的成分を含む抽出溶媒は、抽出溶媒の流出側におけるキャップの孔を通じて抽出管の外部へ流出する。その際、目的成分の抽出対象が液状試料である場合、その液状試料中に多くの水分が含まれているため、ポリアクリルアミド等を用いて水分を保持したとしても、保持しきれなかった水分が抽出溶媒とともに抽出管の外部へ流出してしまう。このように水分が抽出溶媒とともに抽出管の外部へ流出してしまうと、キャップの孔や図7に示すような装置内の配管等で目詰まりが発生したり、抽出された目的成分の分析精度の低下を招いたりするという課題がある。
【0009】
本発明は、このような状況に鑑み創案されたもので、抽出溶媒を抽出管内の全体に均一に拡散できるようにして、目的成分の抽出効率を向上させるとともに、抽出管内から水分が流出するのを確実に抑制できるようにして、装置内で目詰まり等の不具合が発生したり目的成分の分析精度が低下したりするのを確実に抑止した、超臨界流体抽出方法および超臨界流体抽出装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の超臨界流体抽出方法(請求項1)は、超臨界状態の抽出溶媒を用いて抽出管内における試料中の目的成分を抽出する方法であって、該抽出溶媒を該抽出管内へ拡散させながら流入させる第1フィルタ部材を該抽出管内の該抽出溶媒の流入側に充填するステップと、水分を捕捉しうる第2フィルタ部材を該抽出管内の該抽出溶媒の流出側に充填するステップと、該抽出管内において該第1フィルタ部材と該第2フィルタ部材との間に該試料を収容するステップと、該抽出溶媒を、該第1フィルタ部材を通して該抽出管内へ流入させ、該目的成分を含む該抽出溶媒を、該第2フィルタ部材を通して該抽出管の外部へ流出させ、該目的成分を抽出するステップとを含むことを特徴としている。その際、該試料を収容するステップにおいて、液状の該試料を、担体としての植物繊維に混合して固定化した状態で該第1フィルタ部材と該第2フィルタ部材との間に収容してもよいし(請求項2)、該試料を収容するステップにおいて、該第1フィルタ部材と該第2フィルタ部材との間にグラファイトをさらに収容してもよい(請求項3)。
【0011】
また、本発明の超臨界流体抽出装置(請求項4)は、試料を収容する抽出管と、超臨界状態の抽出溶媒を該抽出管内へ送り込み、該抽出管内における該試料中の目的成分を抽出する抽出手段とをそなえて構成され、該抽出管内において、該抽出溶媒を該抽出管内へ拡散させながら流入させる第1フィルタ部材が該抽出溶媒の流入側に充填されるとともに、水分を捕捉しうる第2フィルタ部材が該抽出溶媒の流出側に充填され、該第1フィルタ部材と該第2フィルタ部材との間に該試料が収容され、該抽出手段が、該抽出溶媒を、該第1フィルタ部材を通して該抽出管内へ流入させ、該目的成分を含む該抽出溶媒を、該第2フィルタ部材を通して該抽出管の外部へ流出させ、該目的成分を抽出することを特徴としている。このような超臨界流体抽出装置において、液状の該試料が、担体としての植物繊維に混合され固定化された状態で該第1フィルタ部材と該第2フィルタ部材との間に収容されていてもよいし(請求項5)、該第1フィルタ部材と該第2フィルタ部材との間にグラファイトが収容されていてもよい(請求項6)。
【0012】
上述のごとく構成された本発明の超臨界流体抽出方法および超臨界流体抽出装置では、抽出溶媒が、抽出管内へ流入する際には、第1フィルタ部材によって拡散され抽出管内の全体に均一に広がることになる一方、抽出管の外部へ流出する際には、抽出溶媒とともに外部へ流出しようとする水分が、第2フィルタ部材によって捕捉される。また、第1フィルタ部材によって、抽出溶媒の流入側から液状の試料が外部へ逆流するのを防止することも可能である(請求項1,4)。
【0013】
このとき、試料が水や油の含有率の高い液状のものである場合、その液状試料を植物繊維に混合して固定化した状態で第1フィルタ部材と第2フィルタ部材との間に収容することにより、その液状試料中の水や油を植物繊維に適度に保持して固定化することができる(請求項2,5)。
【0014】
また、グラファイトを第1フィルタ部材と第2フィルタ部材との間に収容することにより、試料に含まれる目的外成分(妨害成分)がグラファイトに吸着・保持されることになり、この目的外成分が目的成分とともに抽出されるのを抑止することができる(請求項3,6)。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
〔1〕第1実施形態の説明
図1は本発明の第1実施形態としての超臨界流体抽出装置における抽出管を模式的に示す縦断面図である。
第1実施形態の超臨界流体抽出装置も、図7に示す一般的な超臨界流体抽出装置と同様、図1に示すような抽出管10と、抽出手段(図1では図示省略)とをそなえて構成されている。なお、本発明を実現するのに際して、抽出手段および抽出溶媒5,5aの種類は、特に限定されない。
【0016】
ここで、抽出管10は、試料(第1実施形態では、水や油の含有率の高い液状試料)4を収容するもので、図1に示すように、筒状の抽出管本体10cと、この抽出管本体10cの抽出溶媒流入側に取り付けられるキャップ10aと、抽出管本体10cの抽出溶媒流出側に取り付けられるキャップ10bとから構成されている。なお、キャップ10aおよび10bには、抽出溶媒5,5aを流入/流出させるべく多数の孔が穿設されているが、図1においては、その孔の図示は省略されている。
【0017】
また、抽出手段は、抽出管10の前後に設けられ、超臨界状態の抽出溶媒5を抽出管10内へ送り込んで、抽出管10内における試料4中の目的成分を抽出するものである。この抽出手段は、例えば、図7に示す装置と同様、ボンベ12,14,16,選択弁18,高圧ポンプ24,下流側バルブ39,プレヒータ40,圧力隔離弁44,分析トラップ50,溶出ポンプ68,容器70などから構成される。
【0018】
第1実施形態の超臨界流体抽出装置では、抽出管10内の構成が従来のものと大きく異なっている。つまり、図7を参照しながら説明した従来技術では、抽出管10内において、液状試料が、担体としてのポリアクリルアミドと混合されて固定化された状態で充填されている。これに対し、第1実施形態の抽出管10内においては、図1に示すように、抽出溶媒5を抽出管10内へ拡散させながら流入させる第1フィルタ部材1がキャップ10a(抽出溶媒5の流入側)に密に充填されるとともに、水分を捕捉しうる第2フィルタ部材2がキャップ10b(抽出溶媒5aの流出側)に密に充填され、さらに、これらの第1フィルタ部材1と第2フィルタ部材2との間に、液状試料4が、担体としての植物繊維3に混合され固定化された状態で収容されている。なお、本実施形態の第1フィルタ部材1は、抽出溶媒5を拡散させる機能だけでなく、キャップ10a側へ逆流する液状試料4を捕捉・吸収する機能も果たしている。
【0019】
上述した第1フィルタ部材1および第2フィルタ部材2としては、例えば、ウレタンフォーム,ガラス繊維支持床およびフィルタ,セルロースフィルタ,ポリマーフィルタ,ポリマー樹脂,硫酸ナトリウム,塩化マグネシウム,砂土およびケイソウ土,無灰パルプなどが含まれるが、これらに限定されない固体基質が用いられる。また、植物繊維3としては、例えば、粉状無灰パルプなどが用いられる。
【0020】
そして、上記抽出手段は、抽出溶媒5を、第1フィルタ部材1を通して抽出管10内へ流入させ、目的成分を含む抽出溶媒5aを、第2フィルタ部材2を通して抽出管10の外部へ流出させ、目的成分を抽出するように構成されている。
【0021】
つまり、本発明の第1実施形態では、図7に示した一般的な超臨界流体抽出装置を用い、その抽出管10内において、第1フィルタ部材1がキャップ10a側に充填され、第2フィルタ部材2がキャップ10b側に充填され、これらのフィルタ部材1,2の間に植物繊維3に混合して固定化された液状試料4が充填された状態で、上記抽出手段により、抽出溶媒5が、第1フィルタ部材1を通して抽出管10内へ流入され、目的成分を含む抽出溶媒5aが、第2フィルタ部材2を通して抽出管10の外部へ流出され、目的成分が抽出される。
【0022】
その際、抽出溶媒5が、図1においてキャップ10a側の矢印で示すように、第1フィルタ部材1によって拡散され、抽出管10内の全体に均一に広がる。一方、目的成分を含む抽出溶媒5aが、抽出管10の外部へ流出する際、抽出溶媒5aとともに外部へ流出しようとする水分が第2フィルタ部材2によって捕捉されるとともに、植物繊維3から落下してきた液状試料4が第1フィルタ部材1によって捕捉され、キャップ10a側から外部へ逆流することが防止される。また、液状試料4が、植物繊維3に混合して固定化した状態で第1フィルタ部材1と第2フィルタ部材2との間に収容されているので、水や油の含有率の高い液状試料4であっても、その液状試料4中の水や油を植物繊維3に適度に保持して固定化することができる。
【0023】
なお、実際に第1フィルタ部材1,第2フィルタ部材2および液状試料4(植物繊維3)を抽出管10内に収容する際には、例えば、まず、第1フィルタ部材1を載置もしくは取り付けたキャップ10aを抽出管本体10cの下方開口に装着してから、抽出管本体10cの上方開口からその内部に液状試料4(植物繊維3)を収容した後、第2フィルタ部材2を載置もしくは取り付けたキャップ10bを抽出管本体10cの上方開口に装着する。ただし、本発明の超臨界流体抽出方法を実施するに際し、第1フィルタ部材1,第2フィルタ部材2および液状試料4(植物繊維3)を抽出管10内に収容する順序は、上記順序に限定されるものではない。
【0024】
次に、本発明の第1実施形態の超臨界流体抽出手順について、より具体的に説明する。
第1実施形態では、主に水や油などの液体を多く含む液状試料4から目的成分を抽出することが可能になる。液状試料4としては、農産物だけでなく、その他の食品または機能性有機物などが含まれる。液状試料4から抽出すべき目的成分としては、窒素系,リン系,イオウ系の農薬(例えばキャプタン,ジメトエート,フェニトロチオン等)は勿論のこと、ビタミンなどの栄養成分や、アントシアニン,カロチンなどの色素成分や、その他微量含有成分が含まれる。
【0025】
抽出処理を行なうのに先立って、農産物をミキサー等で粉砕して液状試料4とし、所定量の液状試料4に植物繊維(粉状無灰パルプ)3を適量混合する。植物繊維3と液状試料4との混合比としては、液状試料4の含水率に応じて最適な値を設定する。両者の混合により、液状試料4に含まれる水や油が、植物繊維3に適度に保持され固定化される。
【0026】
ここでいう「固定化」とは、液体状のサンプルに固定化剤を加えることで、水分が流れ出ないように保持することをいい、第1実施形態では、植物繊維3が固定化剤の役目を果たしている。このように固定化された状態では、その表面に触れると軟らかい感触が得られる一方、それを少し絞ると水分が滲み出る。その意味では、本発明による液状試料4の固定化は、硬く固める固形化や、水分を蒸発させて乾燥させる固体化とは異なっている。
【0027】
液状試料4の固定化,固形化,固体化のいずれの処理によっても、抽出管10内に液状試料4を充填できるようになる。しかし、液状試料4としての農産物を固形化した場合、液状試料4中に残留農薬(目的成分)も一緒に固められて抽出し難くなる。また、固体化した場合、液状試料4中の残留農薬が乾燥途中で分解してしまう。従って、液状試料4中の残留農薬を抽出するためには、残留農薬の分解を防ぎ且つ抽出を良好に行なえるようにする観点から、液状試料4を、固形化/固体化するよりも、上述のごとく植物繊維3により固定化する方が適している。
【0028】
そして、抽出管10内の下側入口(キャップ10a)および上側出口(キャップ10b)にそれぞれフィルタ部材1,2を密に充填し、さらに、含水率の高い液状試料4を、上述のごとく固定化した状態で、抽出管10内のフィルタ部材1,2の間に収容した後、上記抽出手段(具体的には図7に示す装置)を用いて液状試料4中の残留農薬を抽出し定容する。
【0029】
つまり、抽出用高圧流体である抽出溶媒5、すなわち超臨界状態の二酸化炭素または水を、抽出管10の入口側(キャップ10a側)から第1フィルタ部材1を通して拡散させながら抽出管10に送り込む。これに伴い、残留農薬(目的成分)が、抽出溶媒5によって、植物繊維3に適度に保持された液状試料4から円滑に抽出され、抽出された残留農薬を含む抽出溶媒5aが、第2フィルタ部材2を通じて抽出管10の外部へ送り出され、残留農薬が分析トラップ(図7の符号50参照)に捉えられる。この後、分析トラップに溶出溶媒を送り込んで、残留農薬が容器(図7の符号70参照)に回収される。
【0030】
ついで、第1実施形態の具体的な実施例について説明する。
この実施例では、キャプタン,ジメトエート,フェニトロチオンの各農薬1ppmをトマトに添加し、これをミキサーで液状にしたものを液状試料4として用いるとともに、粉状の無灰パルプを植物繊維(担体)3として用いた。そして、無灰パルプと液状トマトとを下記表1に示すように重量比1:1で混合して固定化した後、上記超臨界流体抽出手順に従って各農薬を抽出した。
【0031】
これに対し、比較例1では、担体としてケイ酸類を用い、ケイ酸類と上記液状トマトとを下記表1に示すように重量比3:1で混合して固定化した後、上記超臨界流体抽出方法に従って各農薬を抽出した。また、比較例2では、担体としてポリアクリルアミドを用い、ポリアクリルアミドと上記液状トマトとを下記表1に示すように重量比2:1で混合して固定化した後、上記超臨界流体抽出方法に従って各農薬を抽出した。
【0032】
【表1】
Figure 0003645552
【0033】
上記比較例1,2および実施例による抽出結果を、下記表2に示す。
【0034】
【表2】
Figure 0003645552
【0035】
上記表2から明らかなように、キャプタンの抽出結果については、実施例では78%という高い抽出率が得られ、比較例1,2に比べて10ポイント以上も向上した。また、ジメトエートの抽出結果については、比較例1の抽出率が17%という低い値だったのに対し、実施例では63%という高い値が得られ、比較例2の抽出率よりも高かった。さらに、フェニトロチオンの抽出結果については、実施例の抽出率は、比較例1,2のいずれの抽出率よりも高くなり、特に比較例2に対しては6ポイント以上も改善された。
【0036】
他方、内容量7mlの抽出管10(7ml容器)に充填可能な液状試料4の重量について調べたところ、上記表1にも示されているように、比較例1,2ではそれぞれ2g,3gしか充填できなかったのに対して、実施例では4gも充填することができた。これにより、担体として植物繊維3を使用すると、抽出管10に充填可能な液状試料4の量を大幅に増大させることができることが判った。
【0037】
上述のように、第1実施形態の実施例では、含水率の高い液状トマトが試料4である場合でも、液状トマトに対して無灰パルプが良好に混じり、担体(無灰パルプ)の混合量を従来の担体(ケイ酸類,ポリアクリルアミド)に比べ2分の1以下に低減させることができた。
【0038】
また、液状試料4中に油を含むものについて抽出したところ、無灰パルプは油に対して均一に混合し、目的成分の抽出率が大幅に向上した。なお、担体を可燃性天然素材の植物繊維3により構成したので、抽出後の廃棄試料を可燃物として処理できるようになった。
【0039】
このように、本発明の第1実施形態によれば、極めて簡素な構成・手順で、以下のような作用・効果(1)〜(6)を得ることができる
(1)抽出管10内への流入時には抽出溶媒5が、図1のキャップ10a側の矢印で示すように、第1フィルタ部材1によって拡散され抽出管10内の全体にムラなく均一に広がり、目的成分(残留農薬)の抽出効率が大幅に向上する。
【0040】
(2)抽出溶媒5aが抽出管10の外部へ流出する際には、抽出溶媒5aとともに外部へ流出しようとする水分が、第2フィルタ部材2によって確実に捕捉されるので、抽出管10内から水分が流出するのを確実に抑制でき、抽出管10の下流側装置内で目詰まり等の不具合が発生したり目的成分の分析精度が低下したりするのを確実に抑止することができる。
【0041】
(3)植物繊維3に対する固定化が不十分だったために落下してきた液状試料4が、第1フィルタ部材1によって確実に捕捉され、液状試料4がキャップ10a側から抽出管10の外部へ逆流するのを確実に防止することもでき、抽出管10の上流側装置内で液状試料4による目詰まり等の不具合が発生するのを確実に抑止できる。
【0042】
(4)液状試料4を植物繊維3に混合して固定化することにより、液状試料4が、水や油の含有率の高いものであっても、その液状試料4中の水や油が植物繊維3に適度に保持され良好になじむので、液状試料4に対する担体(植物繊維3)の混合比を従来の担体(ケイ酸類,ポリアクリルアミド)よりも低くすることができ、抽出対象の液状試料4をより多く抽出管10内に収容できる。
【0043】
(5)液状試料4中の油分が植物繊維3に適度な力で保持されるので目的成分の抽出が容易になるほか、液状試料4を固定化するために乾燥を必要としないことから目的成分が分解することがない。従って、植物繊維3と油分との混合を均一にすることができ、目的成分の抽出効率がより向上する。
(6)可燃性天然素材の植物繊維3を液状試料4の担体として用いたので、抽出後の廃棄試料を可燃物として処理することができる。
【0044】
〔2〕第2実施形態の説明
図2〜図5はいずれも本発明の第2実施形態としての超臨界流体抽出装置に係るもので、図2はその縦断面図、図3はその変形例を模式的に示す縦断面図、図4はその実施例に係る試料の抽出結果を示すデータ分析図、図5はその比較例に係る試料の抽出結果を示すデータ分析図である。
【0045】
第2実施形態の超臨界流体抽出装置も、第1実施形態とほぼ同様に構成されているが、第2実施形態では、図2や図3に示すように、抽出管10内の構成が第1実施形態と若干異なっている。
図2に示す抽出管10内においては、第1フィルタ部材1と第2フィルタ部材2との間に、第1実施形態の植物繊維3(液状試料4を固定化されたもの)に代えて、試料(第2実施形態では、液状,ゼリー状,固形状,粉状などいずれの状態のものであってもよい)4Aがグラファイト6に混合された状態で収容されている。
【0046】
グラファイト6は、選択的吸着能を有する無定形炭素で、試料4A中に含まれる目的外成分8に対して強い吸着力を有するものである。つまり、グラファイト6は、試料4A中の目的外成分8を選択的に吸着して保持する添加剤、いわゆる目的外成分用吸着添加剤として機能する。なお、試料4Aには、抽出されるべき目的成分(例えば残留農薬)7とそれ以外の目的外成分(後述する妨害成分)8とが含まれている。
【0047】
また、図3に示す変形例では、グラファイト6を、第1実施形態で説明した植物繊維(例えば粉状無灰パルプ)3に混ぜて円盤状に成形し、この円盤状成形品が、抽出管10内において、第1フィルタ部材1と第2フィルタ部材2との間の出口側(キャップ10b側)に配置されている。そして、試料4Aが、上記円盤状成形品と第1フィルタ部材1との間に収容されている。
【0048】
なお、図2および図3において、既述の符号と同一の符号は同一もしくはほぼ同一の部分を示しているので、その説明は省略する。また、図2および図3においては、グラファイト6の作用が明確になるように、グラファイト6の粒子や、試料4Aに含まれる目的成分7および目的外成分8が、模式的に拡大して図示されている。
【0049】
そして、第1実施形態と同様、上記抽出手段は、抽出溶媒5を、第1フィルタ部材1を通して抽出管10内へ流入させ、目的成分7を含む抽出溶媒5aを、第2フィルタ部材2を通して抽出管10の外部へ流出させ、目的成分7を抽出するように構成されている。
【0050】
つまり、本発明の第2実施形態では、図7に示した一般的な超臨界流体抽出装置を用い、その抽出管10内において、第1フィルタ部材1がキャップ10a側に充填され、第2フィルタ部材2がキャップ10b側に充填され、これらのフィルタ部材1,2の間において、試料4Aが、グラファイト6に混合された状態で充填、もしくは、上記円盤状成形品よりも上流側(下方)にそのままの状態で充填された状態で、上記抽出手段により、抽出溶媒5が、第1フィルタ部材1を通して抽出管10内へ流入され、目的成分を含む抽出溶媒5aが、第2フィルタ部材2を通して抽出管10の外部へ流出され、目的成分が抽出される。
【0051】
その際、第1実施形態と同様、抽出溶媒5が、図1においてキャップ10a側の矢印で示すように、第1フィルタ部材1によって拡散され、抽出管10内の全体に均一に広がる一方、目的成分7を含む抽出溶媒5aが、抽出管10の外部へ流出する際、抽出溶媒5aとともに外部へ流出しようとする水分が第2フィルタ部材2によって捕捉される。そして、第2実施形態では、第1フィルタ部材1と第2フィルタ部材2との間に試料4Aとともにグラファイト6が収容されているので、図2や図3に示すように、試料4Aに含まれる目的外成分(妨害成分)8がグラファイト6に吸着・保持されることになり、この目的外成分8が目的成分7とともに抽出されるのを抑止することができる。
【0052】
なお、実際に第1フィルタ部材1,第2フィルタ部材2,試料4Aおよびグラファイト6(もしくは上記円盤状成形品)を抽出管10内に収容する際には、例えば、まず、第1フィルタ部材1を載置もしくは取り付けたキャップ10aを抽出管本体10cの下方開口に装着してから、抽出管本体10cの上方開口からその内部にグラファイト6を混合した試料4Aを収容した後(もしくは、抽出管本体10cの上方開口からその内部に試料4Aを収容してから上記円盤状成形品を収容した後)、第2フィルタ部材2を載置もしくは取り付けたキャップ10bを抽出管本体10cの上方開口に装着する。ただし、本発明の超臨界流体抽出方法を実施するに際し、第1フィルタ部材1,第2フィルタ部材2,試料4Aおよびグラファイト6(もしくは上記円盤状成形品)を抽出管10内に収容する順序は、上記順序に限定されるものではない。
【0053】
次に、本発明の第2実施形態の超臨界流体抽出手順について、より具体的に説明する。
第2実施形態では、試料4A中における目的外成分8をグラファイト6に吸着させた後、目的成分7が抽出されることになる。第1実施形態と同様、試料4Aとしては、農産物、その他の食品などが含まれ、試料4Aから抽出すべき目的成分7としては、農薬,ビタミンなどの栄養成分,その他微量含有成分が含まれる。
【0054】
一般に、農産物中の残留農薬を抽出する場合、残留農薬とともに色素や油脂などが抽出される。このため、残留農薬と同時に抽出される色素などが妨害成分となって、目的成分である残留農薬の分析精度を低下させてしまう。分析精度の低下を防止するには、色素や油脂などの妨害成分が抽出されないようにする必要がある。
【0055】
そこで、第2実施形態では、図2や図3に示すように、抽出管10内にグラファイト6を収容しておくことにより、この試料4A中の妨害成分(色素,油脂など)8が、グラファイト6に強く吸着され、抽出管10の外部へ流出するのを確実に抑制できる。従って、妨害成分8を実質的に吸着・除去した後に目的成分7を抽出することで、試料4A中の目的成分7が優先的に抽出され、目的成分7の抽出割合が大幅に増大する。
【0056】
第2実施形態の超臨界流体抽出手順により抽出を行なう際には、まず、グラファイト6を粉状もしくは繊維状に加工してこれを担体として用い、グラファイト6を試料4Aと適量混和させたものを、図2に示すように、抽出管10内の適当な位置に充填・配置する。このとき、図3に示すように、グラファイト6と植物繊維3とを混合して成形された円盤状成形品を、試料4Aの下流側に配置してもよい。なお、グラファイト6と試料4Aとの混合比としては、試料4Aの物性等に応じて最適な値を設定する。
【0057】
この後、第1実施形態と同様、抽出用高圧流体である抽出溶媒5、すなわち超臨界状態の二酸化炭素または水を、抽出管10の入口側(キャップ10a側)から第1フィルタ部材1を通して拡散させながら抽出管10の内部に送り込む。これに伴い、試料4A中の色素や油脂等の妨害成分(目的外成分)8がグラファイト6に強く吸着されたまま、試料4A中の残留農薬(目的成分)7が、抽出溶媒5によって抽出され、抽出溶媒5aを含む抽出溶媒5aが、第2フィルタ部材2を通じて抽出管10の外部へ送り出され、残留農薬7が分析トラップ(図7の符号50参照)に捉えられる。そして、分析トラップに溶出溶媒を送り込んで、残留農薬7が容器(図7の符号70参照)に回収される。
【0058】
ついで、第2実施形態の具体的な実験結果について説明する。
この実験では、グラファイト6の有無による抽出比較を行なった。ここでは、試料4Aとしてほうれん草を用い、これに目的成分7であるイソフェンホスを添加したサンプルを2つ作製した。そして、一方のサンプルについては、グラファイト6と混和し、グラファイト6を試料4Aの担体として用いながら、上述した第2実施形態の超臨界流体抽出手順に従ってイソフェンホスを抽出した(第2実施形態の実施例)。もう一方のサンプルについては、グラファイト6を添加することなく、ポリアクリルアミド担体に混和した後、上述した第2実施形態の超臨界流体抽出手順に従ってイソフェンホスを抽出した(第2実施形態の比較例)。抽出後、これらの実施例および比較例について、抽出物質を機器分析した。これらの抽出分析チャートを、それぞれ図4および図5に示す。ただし、図4および図5において、横軸は時間(単位:分)、縦軸は成分抽出量(単位:機器毎の相対感度(abundance))である。
【0059】
グラファイト6を添加しない比較例では、図5に示すように目的成分(イソフェンホス)7よりも目的外成分(色素または油脂)8に対する相対感度が高く、目的成分7のピークが不明瞭になっている。これに対し、グラファイト6を添加した実施例では、図4に示すように、目的外成分8の抽出が大幅に抑制され、目的成分7の抽出が大幅に上昇し、目的外成分8よりも目的成分7に対する相対感度が大幅に高く、目的成分7のピークが極めて明瞭になっている。
【0060】
このように、グラファイト6を添加した場合は、グラファイト6を添加しなかった場合よりも、目的外成分8の抽出が大幅に抑制され、且つ、目的成分7の抽出割合が著しく増大することが実験により明らかになった。これは、グラファイト6を添加した場合、試料4A中の妨害成分8がグラファイト6に強く吸着・保持され妨害成分8の抽出が阻害されたことによるものと考えられる。
【0061】
また、グラファイト6を植物繊維3と混合して円盤状に成形し、これを抽出管10の出口付近に配置して、上述と同様のほうれん草による抽出実験を行なった場合(図3参照)でも、液状試料4中の妨害成分8の抽出が著しく抑制され、目的成分5の抽出割合が従来に比べて増加した。
このように、第2実施形態では、農産物中の残留農薬7を分析する際に、妨害となる色素などの成分8が抽出されないように、吸着添加剤のグラファイト6を予め試料4Aと混合するか、上記円盤状成形品を抽出管10内に配置しておくことにより、目的とする残留農薬7を高率で抽出することができる。
【0062】
このように、本発明の第2実施形態によれば、極めて簡素な構成・手順で、以下のような作用・効果(1)〜(5)を得ることができる
(1)第1実施形態と同様、抽出管10内への流入時には抽出溶媒5が、図2や図3のキャップ10a側の矢印で示すように、第1フィルタ部材1によって拡散され抽出管10内の全体にムラなく均一に広がり、目的成分(残留農薬)7の抽出効率が大幅に向上する。
【0063】
(2)第1実施形態と同様、抽出溶媒5aが抽出管10の外部へ流出する際には、抽出溶媒5aとともに外部へ流出しようとする水分が、第2フィルタ部材2によって確実に捕捉されるので、抽出管10内から水分が流出するのを確実に抑制でき、抽出管10の下流側装置内で目詰まり等の不具合が発生したり目的成分の分析精度が低下したりするのを確実に抑止することができる。
【0064】
(3)試料4Aが液状でグラファイト6等の担体によって保持された状態で抽出管10内に収容されている場合、担体から落下してきた液状試料4が、第1フィルタ部材1によって確実に捕捉され、試料4Aがキャップ10a側から抽出管10の外部へ逆流するのを確実に防止することもでき、抽出管10の上流側装置内で試料4Aによる目詰まり等の不具合が発生するのを確実に抑止できる。
【0065】
(4)抽出管10内にグラファイト6を収容することにより、試料4Aに含まれる目的外成分(妨害成分)8がグラファイト6に吸着・保持され、この目的外成分8が目的成分7とともに抽出されるのを確実に抑止できるので、目的成分7が目的外成分8よりも優先的に抽出され、目的成分7の抽出効率がより向上する。
【0066】
(5)図3に示すように、グラファイト6を植物繊維(粉状無灰パルプ)3に混ぜて成形された円盤状成形品を出口側(キャップ10b側)に配置することで、目的外成分8が目的成分7とともに抽出されてしまうのを抑制する効果がより確実に得られ、それに応じて目的成分7の抽出効率もより向上する。また、第1実施形態と同様、抽出後の廃棄試料(円盤状成形品)は、可燃物として処理できる利点もある。
【0067】
〔3〕その他
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
例えば、上述した実施形態では、液状試料4や試料4Aが野菜(トマト,ほうれん草)である場合について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、野菜のほか、穀物,果実,花卉類などの農産物や、畜産物や、水産物や、各種加工食品や、医薬品や、体液などにも、上述した実施形態と同様にして適用され、上述した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0068】
また、第1実施形態において、植物繊維3に第2実施形態で説明したグラファイト6を混合してもよいし、第2実施形態で説明した上記円盤状成形品を植物繊維3と第2フィルタ部材2との間に配置してもよく、この場合、上述した第1実施形態の作用効果だけでなく、上述した第2実施形態の作用効果を得ることもできる。
【0069】
さらに、上述した実施形態(図1〜図3,図7参照)では、抽出管10の流入側(キャップ10a側)を下方に配置しているが、抽出管10の配置方向はこれに限定されるものではなく、抽出管10の流入側(キャップ10a側)を上方に配置してもよいし、抽出管10を水平にもしくは傾けた状態で配置してもよく、いずれの場合でも上述した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0070】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の超臨界流体抽出方法および超臨界流体抽出装置によれば、極めて簡素な手順・構成で、抽出管内への流入時には抽出溶媒が第1フィルタ部材によって拡散され抽出管内の全体にムラなく均一に広がり、目的成分の抽出効率が大幅に向上する。また、抽出管外部への流出時には、抽出溶媒とともに外部へ流出しようとする水分が、第2フィルタ部材によって確実に捕捉されるので、抽出管内から水分が流出するのを確実に抑制でき、装置内で目詰まり等の不具合が発生したり目的成分の分析精度が低下したりするのを確実に抑止することができる。さらに、第1フィルタ部材によって、抽出溶媒の流入側から液状試料が外部へ逆流するのを確実に防止することもでき、抽出溶媒の流入側において液状試料による目詰まり等の不具合が発生するのを確実に抑止できる(請求項1,4)。
【0071】
このとき、液状試料を植物繊維に混合して固定化することにより、水や油の含有率の高い液状試料であっても、その液状試料中の水や油が植物繊維に適度に保持され良好になじむので、液状試料に対する担体(植物繊維)の混合比を従来の担体(ケイ酸類,ポリアクリルアミド)よりも低くすることができ、抽出対象の液状試料をより多く抽出管内に収容できるという効果がある。また、液状試料中の油分が植物繊維に適度な力で保持されるので目的成分の抽出が容易になるほか、液状試料を固定化するために乾燥を必要としないことから目的成分が分解することがない。従って、植物繊維と油分との混合を均一にすることができ、目的成分の抽出効率がより向上する(請求項2,5)。
【0072】
また、抽出管内にグラファイトを収容することにより、試料に含まれる目的外成分(妨害成分)がグラファイトに吸着・保持され、この目的外成分が目的成分とともに抽出されるのを確実に抑止できるので、目的成分が目的外成分よりも優先的に抽出され、目的成分の抽出効率がより向上する(請求項3,6)。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態としての超臨界流体抽出装置における抽出管を模式的に示す縦断面図である。
【図2】本発明の第2実施形態としての超臨界流体抽出装置における抽出管を模式的に示す縦断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態としての超臨界流体抽出装置における抽出管の変形例を模式的に示す縦断面図である。
【図4】第2実施形態の実施例に係る試料の抽出結果を示すデータ分析図である。
【図5】第2実施形態の比較例に係る試料の抽出結果を示すデータ分析図である。
【図6】超臨界状態を説明するための物質状態図である。
【図7】一般的な超臨界流体抽出装置の全体構成を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1 第1フィルタ部材
2 第2フィルタ部材
3 植物繊維(パルプ,担体)
4 液状試料
4A 試料
5,5a 抽出溶媒
6 グラファイト(担体)
7 目的成分(残留農薬)
8 目的外成分(妨害成分)
10 抽出管
10a,10b キャップ
10c 抽出管本体
12,14,16 ボンベ(抽出手段)
18 選択弁(抽出手段)
24 高圧ポンプ(抽出手段)
39 下流側バルブ(抽出手段)
40 プレヒータ(抽出手段)
44 圧力隔離弁(抽出手段)
50 分析トラップ(抽出手段)
68 溶出ポンプ(抽出手段)
70 容器(抽出手段)

Claims (6)

  1. 超臨界状態の抽出溶媒を用いて抽出管内における試料中の目的成分を抽出する超臨界流体抽出方法であって、
    該抽出溶媒を該抽出管内へ拡散させながら流入させる第1フィルタ部材を該抽出管内の該抽出溶媒の流入側に充填するステップと、
    水分を捕捉しうる第2フィルタ部材を該抽出管内の該抽出溶媒の流出側に充填するステップと、
    該抽出管内において該第1フィルタ部材と該第2フィルタ部材との間に該試料を収容するステップと、
    該抽出溶媒を、該第1フィルタ部材を通して該抽出管内へ流入させ、該目的成分を含む該抽出溶媒を、該第2フィルタ部材を通して該抽出管の外部へ流出させ、該目的成分を抽出するステップとを含むことを特徴とする、超臨界流体抽出方法。
  2. 該試料を収容するステップにおいて、液状の該試料を、担体としての植物繊維に混合して固定化した状態で該第1フィルタ部材と該第2フィルタ部材との間に収容することを特徴とする、請求項1記載の超臨界流体抽出方法。
  3. 該試料を収容するステップにおいて、該第1フィルタ部材と該第2フィルタ部材との間にグラファイトをさらに収容することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の超臨界流体抽出方法。
  4. 試料を収容する抽出管と、
    超臨界状態の抽出溶媒を該抽出管内へ送り込み、該抽出管内における該試料中の目的成分を抽出する抽出手段とをそなえて構成される超臨界流体抽出装置であって、
    該抽出管内において、該抽出溶媒を該抽出管内へ拡散させながら流入させる第1フィルタ部材が該抽出溶媒の流入側に充填されるとともに、水分を捕捉しうる第2フィルタ部材が該抽出溶媒の流出側に充填され、該第1フィルタ部材と該第2フィルタ部材との間に該試料が収容され、
    該抽出手段が、該抽出溶媒を、該第1フィルタ部材を通して該抽出管内へ流入させ、該目的成分を含む該抽出溶媒を、該第2フィルタ部材を通して該抽出管の外部へ流出させ、該目的成分を抽出することを特徴とする、超臨界流体抽出装置。
  5. 液状の該試料が、担体としての植物繊維に混合され固定化された状態で該第1フィルタ部材と該第2フィルタ部材との間に収容されていることを特徴とする、請求項4記載の超臨界流体抽出装置。
  6. 該第1フィルタ部材と該第2フィルタ部材との間にグラファイトが収容されていることを特徴とする、請求項4または請求項5に記載の超臨界流体抽出装置。
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