JP3641322B2 - Biocompatible materials and medical devices - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生体適合性材料に係り、特に、抗凝血性もしくは抗血栓性に優れた表面を有するポリオレフィン系の生体適合性医療用高分子材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
人工臓器、血液バッグ、血管内カテーテル、透析または人工肺用体外循環回路などの医療用器具は、生体適合性、特に、高い血液適合性(抗凝血性)を有することが望ましい。
従来より、医療用器具は、高い機械的強度、成形の容易性等の観点から、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂から作られている。より具体的には、ポリエチレンやポリプロピレンが、シリンジ、バッグ、チューブ等多くのディスポーザブルタイプの医療用器具の製造に利用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このようなポリオレフィン系樹脂からなる医療用器具に抗血栓性等の生体適合性を付与するために、血液と接触する表面に種々の化学的表面処理を施すことが行われている。そのような化学的処理として、代表的なものに、医療用器具の血液との接触面にへパリン等の抗血栓性材料の固定がある。しかし、この方法では、医療用器具ごとに固定化処理を行う必要があるため煩雑であり、また、抗血栓性材料の剥離等に起因する抗血栓性の持続性が低いという問題もある。
【0004】
従って、本発明の目的は、実用的に優れた生体適合性、特に血液適合性(抗凝血性)を化学的表面処理を行うことなく備え、各種医療用器具に使用可能な生体適合性ポリマー材料を提供することにある。
また、本発明の目的は、そのような生体適合性材料で形成された医療用器具を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するものは、ヘプタン抽出残85〜98%に相当するタクチシティーを有する重合体であって、エチレン含有量が0.5〜8重量%のプロピレンーエチレン共重合体、エチレン含有量が0.5〜8重量%、ブテン−1含有量が0.5〜8重量%であるプロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン含有量が0.5〜8重量%のプロピレンーエチレン共重合体及びエチレン含有量が0.5〜8重量%、ブテン−1含有量が0.5〜8重量%であるプロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン単独重合体及びエチレン含有量が0.5〜8重量%のプロピレンーエチレン共重合体、プロピレン単独重合体及びエチレン含有量が0.5〜8重量%、ブテン−1含有量が0.5〜8重量%であるプロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン単独重合体及びエチレン含有量が0.5〜8重量%のプロピレンーエチレン共重合体及びエチレン含有量が0.5〜8重量%、ブテン−1含有量が0.5〜8重量%であるプロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体からなる群より選ばれた少なくとも1種または2種以上の組み合わせのポリマーからなり、結晶領域と非結晶領域とからなるミクロ相分離構造の表面領域を有する生体適合性材料である。
【0006】
そして、前記表面の結晶化度が20ないし80%であることが好ましい。さらに、前記表面の結晶化度が40ないし70%であることが好ましい。さらに、前記生体適合性材料の全体の結晶化度が20ないし80%であることが好ましい。また、前記ミクロ相分離構造の繰り返し厚みにおける長周期は、8ないし20nmであることが好ましい。さらに、前記表面の結晶相は、4ないし14nmの微結晶厚みを有するものであることが好ましい。
【0007】
また、上記目的を達成するものは、プロピレン単独重合体からなる生体適合性材料であって、該生体適合性材料は、表面の結晶化度が40ないし70%、材料全体の結晶化度が20ないし80%であり、結晶領域と非結晶領域とからなるミクロ相分離構造の表面領域を有するとともに、該ミクロ相分離構造の繰り返し厚みにおける長周期が8ないし20nmである生体適合性材料である。
【0008】
また、上記目的を達成するものは、血液と接触する部分を有する医療用器具であって、当該血液接触部分の一部または全体が、前記したいずれかに記載の生体適合性材料により形成されている医療用器具である。
そして、前記医療用器具は、例えば、体外血液循環回路用チューブ、血液バッグ、輸血セットまたはカテーテルである。
【0009】
【発明の実施の形態】
そこで、本発明の生体適合性材料について、具体的に説明する。
本発明の生体適合性材料は、2ないし10個の炭素原子を有するオレフィンモノマー類および4ないし15個の炭素原子を有するジエンモノマー類からなる群の中から選ばれた少なくとも1種のモノマーもしくは2種以上のモノマーを組み合わせたものから誘導された繰り返し単位を有する少なくとも1種のポリマーを包含し、結晶領域と非晶領域とからなるミクロ相分離構造の表面領域を有している。 また、本発明の生体適合性材料は、炭素数2ないし10のオレフィンおよび炭素数4ないし15のジエンから選ばれたモノマーから成る単独重合体あるいは炭素数2ないし10のオレフィンおよび炭素数4ないし15のジエンから選ばれた2種以上のモノマーから成る共重合体であり、表面が結晶領域と非晶領域とからなるミクロ相分離構造となっている生体適合性材料でもある。
【0010】
一般に、血液と接触した材料表面には、アルブミン、フィブリノーゲンのような血漿タンパクが吸着し、これらタンパクは、吸着により二次構造が変化する。この二次構造変化によりさらなるタンパクの吸着が促され、その結果、材料表面には多重のタンパク吸着層が形成される。このような多重タンパク吸着層が形成されると、これと接触する血小板が活性化され、最終的には血液を凝固させる。
【0011】
そこで、本発明者らは、血漿タンパクの多重吸着を抑制し、それにより血小板の活性化を阻止し得る材料について研究した結果、特定のポリマーを使用し、その表面領域をミクロ相分離構造とすることにより所期の目的を達成できることを見い出し、本発明を完成した。
【0012】
本発明の生体適合性ポリマー材料は、2ないし10個の炭素原子を有するオレフィンモノマー類および4ないし15個の炭素原子を有するジエンモノマー類からなる群の中から選ばれた少なくとも1種のモノマーから誘導された操り返し単位を有するポリマーからなる。このポリマーには、単独重合体および共重合体の双方が含まれ、共重合体には、ランダム共重合体、ブロック共重合体が含まれる。これらポリマーは単独でも2種以上組み合わせても用いることができる。また、本発明の生体適合性材料は、炭素数2ないし10のオレフィンおよび炭素数4ないし15のジエンから選ばれたモノマーから成る単独重合体あるいは炭素数2ないし10のオレフィンおよび炭素数4ないし15のジエンから選ばれた2種以上のモノマーから成る共重合体であり、表面が結晶領域と非晶領域とからなるミクロ相分離構造となっている生体適合性材料でもある。
【0013】
単独重合体の好ましい具体例を挙げると、エチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、ブテン−1単独重合体等である。また、共重合体の好ましい具体例を挙げると、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体等、エチレン−ヘキセン−1共重合体、エチレン−オクテン−1共重合体、エチレン−ブテン−1−ヘキセン−1共重合体、エチレン−ブテン−1−オクテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−1−オクテン−1共重合体、エチレン−ブテン−1−ヘキセン−1−オクテン−1共重合体である。これらポリマーのうち、エチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体、およびエチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体が特に好ましい。特に、耐衝撃性、柔軟性、透明性に優れた成形品を所望する場合には、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体が好ましい。
【0014】
上記ポリマーは、当業者によく知られたいずれの好適な方法により製造することができる。例えば、四塩化チタン等の遷移金属化合物触媒と有機アルミニウム化合物等の有機金属化合物助触媒との組み合わせからなる重合触媒の存在下で所定のモノマーを重合させることにより合成することができる。
なお、一般的に、ポリマー材料は、分子構造の点で、アイソタクチック、シンジオタクチック、アタクチックという3種の立体構造に区分することができる。アイソタクチック構造およびシンジオタクチック構造は結晶化しやすく、アタクチック構造は結晶化しにくい。本発明では、ポリマー材料の表面に結晶領域と非晶領域とからなるミクロ相分離構造を形成させている。そのようなミクロ相分離構造をより確実に実現するためには、アタクチック構造の部分をある程度の割合で含むポリマーを用いることが好ましい。このようなアタクチック構造部分の含有率は、例えば、タクチシティーで表わすことができる。タクチシティーが高いほど、アタクチック構造部分が少ない。本発明において、このタクチシティーは、測定すべきポリマーの片をソックスレー抽出器中で十分量の沸騰ヘプタンで6時間抽出した後の、残分(ヘプタン抽出残)の割合(重量%)として簡便に表現できる。
【0015】
本発明に使用するポリマーは、約40〜99%、好ましくは、約70〜99%のヘプタン抽出残に相当するタクチシティーを有することが好ましい。特に、約80〜99%のヘプタン抽出残に相当するタクチシティーを有することが好ましい。このようなタクチシティーを有するポリマーを合成するためには、米国特許第4,550,144号、および米国特許第4,499,247号に記載された方法を利用することが好ましい。
【0016】
さて、本発明の上記ポリマーからなる生体適合性材料は、少なくともその表面領域が結晶領域および非晶領域からなるミクロ相分離構造を有する。この生体適合性材料の表面は、20〜80%の結晶化度を有することが好ましい。生体適合性材料の表面における結晶化度がそのような範囲内にあれば、適度なバランスで結晶領域と非晶領域とが存在し得、一層高い血液適合性(抗凝血性)が得られる。表面結晶化度は、40〜70%であることがより好ましく、50〜60%であることが特に好ましい。
【0017】
本発明において、上記表面結晶化度は、JASCO杜製のフーリエ変換赤外吸収スペクトル測定装置(FT−IR)VALOR−IIIによりATR法でポリマー試料の917cm-1、972cm-1および997cm-1における吸光度を測定し、それらの値をJ.Appl.Polym.Sci.,2,166(1959)に記載されている方法および下記式1を用いることにより求められる。
【0018】
【式1】
結晶化度(wt%)=[(A997-A917)/(A972-A917)]×109−31.4
【0019】
本発明において、ミクロ相分離構造は、ラメラ構造、海島構造のいずれであってもよい。海島構造には、結晶領域を海とし、非晶領域を島とするもの、および結晶領域を島とし、非晶領域を海とするものの双方が含まれる。通常、結晶領域(結晶相)が球状となって島を形成し、非晶領域が海を形成する。そのようなミクロ相分離構造の繰り返し厚みにおける長周期(結晶相間の平均中心距離)は、8〜20nmであることが好ましい。当該長周期がこの範囲内であれば、血漿タンパクの付着をより一層抑制することができる。当該長周期は、9〜18nmであることが特に好ましい。特に、10〜18nmがより好ましい。
【0020】
本発明において、ミクロ相分離構造の繰り返し厚みにおける長周期は、日本電子株式会社株製、X線回折装置JEOL JDX‐8200Tを用い、小角X散乱法により2Θ=0〜2゜の範囲内で、空気による散乱を除去してピークを測定し、得られたピークについてBraggの式に従い重心法による計算で求める。
【0021】
また、ミクロ相分離構造における結晶相の微結晶厚み(ラメラ層の厚み)は、4〜14nmであることが好ましい。当該微結晶厚みがこの範囲内であれば、血漿タンパクの付着をより一層抑制することができる。この微結晶厚みは、10〜12nmであることが特に好ましい。
【0022】
本発明において、結晶相の微結晶厚みは、上記長周期と生体適合性材料全体の結晶化度との積として計算される。ここで、生体適合性材料全体の結晶化度は、JASCO社製のフーリエ変換赤外吸収スペクトル測定装置(FT−IR)VALOR−IIIによりKBr法でポリマー試料の917cm-1、972cm-1および997cm-1における吸光度を測定し、それらの値をJ.Appl.Polym.Sci.,2,116(1959)に記載されている式に代入することによって求められる。
【0023】
本発明の生体適合性材料は、上記ポリマーをプレス成形、射出成形、ブロー成形、インフレーション成形、Tダイ成形、カレンダー成形などの方法により成形することにより、シート、フィルム、チューブ、成形品等として得られる。ここで、上に述べた表面結晶構造は、種々の成形条件に依存する。例えば、同じタクチシティーを有するポリマーから出発しても溶融ポリマーの冷却速度が異なれば、異なる表面結晶化度の成型品が得られる。冷却速度が速い程、表面結晶化度が低くなる。
【0024】
本発明で規定する表面結晶構造を有する生体適合材料を成形するためのより具体的な方法を以下に示す。
(1)プレス成形法:ヘプタン抽出残85〜98%に相当するタクチシティーを有する重合体を用いる。このような重合体であり、かつ、融点が160〜165℃であるプロピレン単独重合体、エチレン含有率が0.5〜8重量%、融点が155〜120℃であるプロピレン−エチレン共重合体、またはエチレン含有量が0.5〜8重量%、ブテン−1含有量が0.5〜8重量%、融点が155〜120℃であるプロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体を用い、180〜250℃で2〜10分間溶融し、130〜20℃で2〜10分間冷却しながらプレス成形することにより、厚さ0.05〜5mmのシート(フィルム)の形態にある本発明の生体適合性材料を製造することができる。
【0025】
(2)射出成形法:ヘプタン抽出残85〜98%に相当するタクチシティーを有する重合体を用いる。このような重合体であり、融点が160〜165℃であるプロピレン単独重合体、エチレン含有量が0.5〜8重量%、融点が155〜120℃であるプロピレン−エチレン共重合体、またはエチレン含有量が0.5〜8重量%、ブテン−1含有量が0.5〜8重量%、融点が155〜120℃であるプロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体を用い、シリンダー温度180〜300℃で溶融し、金型に射出し、金型冷却温度130〜30℃で0.5〜10分間冷却することにより、厚さ0.5〜5mmの成形品の形態にある本発明の生体適合性材料を製造することができる。
【0026】
(3)ブロー成形法:ヘプタン抽出残85〜98%に相当するタクチシティーを有する重合体を用いる。このような重合体であり、融点が160〜165℃であるプロピレン単独重合体、エチレン含有量が0.5〜8重量%、融点が155〜120℃であるプロピレン−エチレン共重合体、またはエチレン含有量が0.5〜8重量%、ブテン−1含有量が0.5〜8重量%、融点が155〜120℃であるプロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体を用い、シリンダー温度180〜300℃の押出機で溶融し、金型に向けて押出し、金型冷却液温度130℃〜30℃、吹き込み空気温度5〜40℃で0.5〜10分間冷却することにより、厚さ5〜3mmの中空成形品(チューブ)の形態にある本発明の生体適合性材料を製造することができる。
【0027】
(4)インフレーション成形法:ヘプタン抽出残85〜98%に相当するタクチシティーを有する重合体を用いる。このような重合体であり、融点が160〜165℃であるプロピレン単独重合体、エチレン含有量が0.5〜8重量%、融点が155〜120℃であるプロピレン−エチレン共重合体、またはエチレン含有量が0.5〜8重量%、ブテン−1含有量が0.5〜8重量%、融点が155〜120℃であるプロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体を用い、シリンダー温度180〜300℃の押出機で溶融し、チューブ状に押出し、吹き込み空気温度5〜40℃にて行うことにより、厚さ0.01〜0.5mmのチューブフィルムの形態にある本発明の生体適合性材料を製造することができる。
【0028】
(5)真空サイジング法:ヘプタン抽出残85〜98%に相当するタクチシティーを有する重合体を用いる。このような重合体であり、融点が160〜165℃であるプロピレン単独重合体、エチレン含有量が0.5〜8重量%、融点が155〜120℃であるプロピレン−エチレン共重合体、またはエチレン含有量が0.5〜8重量%、ブテン−1含有量が0.5〜8重量%、融点が155〜120℃であるプロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体を用い、シリンダー温度180〜250℃の押出機で溶融し、パイプ用ダイでパイプ状に押出し、温度5〜90℃の冷却スリーブ内を減圧しながらサイジングを行うことにより、厚さ0.3〜3mmのパイプの形態にある本発明の生体適合性材料を製造することができる。
【0029】
(6)Tダイ成形法:ヘプタン抽出残85〜98%に相当するタクチシティーを有する重合体を用いる。このような重合体であり、融点が160〜165℃であるプロピレン単独重合体、エチレン含有量が0.5〜8重量%、融点が155〜120℃であるプロピレン−エチレン共重合体、またはエチレン含有量が0.5〜8重量%、ブテン−1含有量が0.5〜8重量%、融点が155〜120℃であるプロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体をシリンダー温度180〜300℃の押出機で溶融し、スリットから押出し、冷却ロールの冷却水温度5〜90℃で冷却することにより、厚さ0.01〜3mmのフィルム(シート)の形態にある本発明の生体適合性材料を製造することができる。
このような成形により得られる本発明の生体適合性材料は、そのミクロ分離構造が通常の操作の周囲温度(例えば、−20〜80℃)で十分に安定であり、血液適合性を損なうことがない。
【0030】
なお、上記成形に当たっては、ポリマー材料に酸化防止剤、例えば、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)]メタン、またポリマー材料の合成時に使用した触媒残(塩素等)、スカベンジャー(中和剤)例えばハイドロタルサイト(Mg4.5Al2(OH)18CO8・3.5H2O)を添加することができる。
【0031】
本発明の生体適合性材料は、表面が所定のミクロ相分離構造を構成しているため、当該表面における血漿タンパク(アルブミンおよびフィブリノーゲン)の多重吸着が抑制され、それにより血小板の活性化が回避され、凝血が防止される。したがって、本発明の生体適合性材料を用いて少なくとも血液と接触する面を有する医療用器具を本発明の生体適合性材料によりその血液接触面が本発明の生体適合性のミクロ相分離構造表面によって提供されるように作製することにより、優れた生体適合性(抗凝血性)を有する医療用器具が提供される。そのような医療用器具には、血液と接触するもの、血管内に留置されるもの、体腔内に留置されるものが含まれる。より具体的には、人工血管等の人工臓器、人工透析器や人工肺等の体外循環血液回路、PTCAカテーテル、血管造影用カテーテル、血管内留置カテーテル等のカテーテル、血液バッグ、血液製剤を投与する血液投与セットが含まれる。
【0032】
次に、本発明の医療用器具について説明する。
本発明の医療用器具は、血液と接触する部分を有する医療用器具であって、この血液接触部分の一部もしくは全てが上記の生体適合材料で形成されている。
図1は、本発明の生体適合性材料を部分的に用いて作成した透析用体外血液循環回路を示している。
【0033】
図1に示す体外血液循環回路10には、人工透析器11が組み込まれている。透析器11には、その内部に多数の血液透析用中空糸(図示せず)が収容され、血液入口ポート12から流入する血液は各透析用中空糸内を通って血液出口ポート13から流出する。血液は、透析用中空糸を通る間に、透析液入口ポート14から導入される中空糸の外側を通って流れる透析液により透析される。透析液は、透析液出口ポート15から流出する。透析器11の血液入口ポート12には、血液チューブ16が接続され、このチューブ16にはコネクター21を介してポンプチューブ17が接続され、このチューブ17にはコネクター22を介して血液チューブ18が接続され、このチューブ18にはコネクター23を介して血液チューブ19が接続され、このチューブ19にはコネクター25を介して血液チューブ20が接続されている。ポンプチューブ17は、ロータリーポンプによってしごかれ、内部に血液が送血される。また、コネクタ23には、抗凝血剤などの薬物を投与するためのチューブ24が接続されている。また、チューブ20の先端には、患者の血管内に挿通されて血液をチューブ系内に送る針を取り付けるためのアタッチメント26が設けられている。
【0034】
他方、透析器11の血液出口ポート13には、透析血液チューブ27が接続され、これは透析血液チャンバー31に挿通されるより細いチューブ28を介して血液チャンバー31に接続されている。血液チャンバー31の上端には、圧力検出器に接続するためのチューブ33、34が接続されている。血液チャンバー31内でチューブ28から流出した透析血液は、チャンバー31内に設けられた血液フィルター32を通り、透析血液チューブ29、およびコネクター35を介して透析チューブ29に接続された透析血液チューブ30を介して最終的に患者に戻される。チューブ30の先端には、患者の血管内に挿通されて透析血液を患者に戻す針を取り付けるためのアタッチメント36が設けられている。
このような血液循環回路において、チューブ16〜20、およびチューブ27〜30、さらには血液チャンバー31などの血液接触面の一部もしくは全体が、本発明の生体適合性材料で形成されている。なお、上記体外血液循環回路は、透析用のものであるが、これに限られるものではなく、本発明の医療用器具(血液チューブ類)は、人工心肺用の体外血液循環回路にも利用できる。
【0035】
図2は、血液バッグ装置40を示している。この血液バッグ装置は、血液バッグ本体41を備え、その周縁部42は熱シールされている。血液バッグ本体41内部と連通して血液投与用チューブ43が設けられ、その先端には、血管刺通針46が接続されている。刺通針46とチューブ43は、ハブ47で接続されている。また、血液バッグ本体41内に連通して血液排出用ポート44、45が設けられている。刺通針46およびハブ47を除き、バッグ本体41、チューブ43、ポート44、45を本発明の生体適合性材料で形成することができる。
【0036】
図3は、血管内留置カテーテル装置50を示している。この血管内カテーテル装置50は、血管内に挿入され、ハブ52に取り付けられ、血管内に挿入されるカヌラ51と、ハブ54に取り付けられ、血管内に留置されるカテーテル53との組み合わせからなる。カヌラ51は、血管内に留置されたカテーテル53を通じてカテーテル53からやや突出するように血管内に挿入される。このカテーテル装置において、カテーテル53およびハブ52が、上述した生体適合性材料で形成されている。
【0037】
【実施例】
以下、本発明の生体適合性材料の具体的実施例を説明する。
以下のようにして、ポリマーペレットを調整した。
【0038】
(調製例A)
メルトフローレート(230℃−21.18N)が8g/10min、融点が166℃、タクチシティーがヘプタン抽出残97%に相当するプロピレン単独重合体100重量部にテトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)]メタン0.1重量部およびハイドロタルサイト0.05重量部を添加し、ヘンシェルミキサーを用いて均一に混合した。得られた混合物を押出機に投入して溶融温度220℃で溶融混練し、押出しながら高速回転カッターで切断してポリプロピレンペレットを得た。これらペレットをPP1と略記する。
【0039】
(調製例B)
ポリマーとして、メルトフローレート(230℃−21.18N)が8g/10min、融点が160℃、タクチシティーがヘプタン抽出残94%に相当し、エチレン含有量が0.3重量%のエチレン−プロピレン共重合体を用いた以外は調製例Aと同じにしてポリマーペレットを調製した。これらペレットをPP2と略記する。
【0040】
(調製例C)
ポリマーとして、メルトフローレート(230℃−21.18N)が8g/10min、融点が143℃、タクチシティーがヘプタン抽出残94%に相当し、エチレン含有量が2.5重量%のエチレン−プロピレン共重合体を用いた以外は調製例Aと同じにしてポリマーペレットを調製した。これらペレットをPP3と略記する。
【0041】
(調製例D)
ポリマーとして、メルトフローレート(230℃−21.18N)が8g/10min、融点が135℃、エチレン含有量が3重量%、ブテン−1含有量が1.5重量%のエチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体を用いた以外は調製例Aと同じにしてポリマーペレットを調製した。これらペレットをPP4と略記する。
【0042】
(調製例E)
ポリマーとして、メルトフローレート(230℃−21.18N)が5g/10min、融点が130℃、エチレン含有量が3.5重量%、ブテン−1含有量が2.5重量%のエチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体を用いた以外は調整例Aと同じにしてポリマーペレットを調製した。これらペレットをPP5と略記する。
【0043】
(調製例F)
ポリマーとして、メルトフローレート(230℃−21.18N)が5g/10min、融点が128℃、エチレン含有量が4.5重量%、ブテン−1含有量が2.5重量%のエチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体を用いた以外は調製例Aと同じにしてポリマーペレットを調製した。これらペレットをPP6と略記する。
【0044】
(調製例G)
ポリマーとして、メルトフローレート(230℃−21.18N)が2g/10min、融点が128℃、エチレン含有量が3.5重量%のエチレン−プロピレン共重合体を用いた以外は調製例Aと同じにしてポリマーペレットを調製した。これらペレットをPP7と略記する。
【0045】
(調製例H)
ポリマーとして、メルトフローレート(230℃−21.18N)が2g/10min、融点が165℃、タクチシティーがヘプタン抽出残97%に相当するプロピレン単独重合体を用いた以外は調製例Aと同じにしてポリマーペレットを調製した。これらペレットをPP8と略記する。
【0046】
(調製例I)
ポリマーとして、メルトフローレート(230℃−21.18N)が2g/10min、融点が143℃、エチレン含有量が2.5重量%のエチレン−プロピレン共重合体を用いた以外は調製例Aと同じにしてポリマーペレットを調製した。これらペレットをPP9と略記する。
【0047】
(調製例J)
ポリマーとして、メルトフローレート(230℃−21.18N)が2g/10min、融点が135℃、エチレン含有量が3重量%、ブテン−1含有量が1.5重量%のエチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体を用いた以外は調製例Aと同じにしてポリマーペレットを調製した。これらペレットをPP10と略記する。
【0048】
(調製例K)
ポリマーとして、メルトフローレート(230℃−21.18N)が2g/10min、融点が128℃、エチレン含有量が4.5重量%、ブテン−1含有量が2.5重量%のエチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体を用いた以外は調製例Aと同じにしてポリマーペレットを調製した。これらペレットをPP11と略記する。
【0049】
(実施例1)
調製例Aで得たペレットPP1を用い、プレス成形法により、溶融温度200℃、溶融時間3分間、冷却温度50℃、冷却時間3分間の成形条件で厚さ0.5mmのシートの形態にある本発明の生体適合性材料を得た。
【0050】
(実施例2〜12)
用いたペレット、成形時の冷却温度および時間を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして厚さ0.5mmのシートを得た。
【0051】
(実施例13)
調製例Hで得たペレットPP8を用い、ブロー成形法により、押出機のシリンダー設定温度210℃、金型冷却水温度25℃、冷却時間30秒の条件で厚さ1mmの中空成形品(チューブ)を得た。
【0052】
(実施例14〜17)
用いたペレット、押出機のシリンダー設定温度、金型冷却水温度を表3に示すように変更した以外は実施例13と同様にして厚さ1mmの中空成形品を得た。
【0053】
(実施例18)
調製例Hで得たペレットPP8を用い、Tダイ法により押出機のシリンダー設定温度230℃、ロール温度70℃の成形条件で厚さ0.5mmのシートを得た。
【0054】
(実施例19〜22)
用いたペレット、押出機のシリンダー設定温度、ロール温度を表4に示すように変更した以外は実施例18と同様にして厚さ0.5mmのシートを得た。
【0055】
(実施例23)
調製例Aで得たペレットPP1を用い、射出成形法により、シリンダー設定温度230℃、金型冷却水温度30℃の成形条件で厚さ0.8mmの中空成形品(チューブ)を得た。
【0056】
(実施例24〜28)
用いたペレット、金型冷却水温度を表5に示すように変更した以外は実施例23と同様にして厚さ0.8mmの中空成形品(チューブ)を得た。
実施例1〜28で得た生体適合性材料について、表面結晶化度、材料の全体の結晶化度、表面における結晶領域と非晶領域の繰り返し厚みの長周期、結晶厚みを、上述の方法により測定した。
【0057】
また、各生体適合性材料に関し、血漿タンパク(アルブミンおよびフィブリノーゲン)の吸着量および血小板中の遊離カルシウムイオン濃度についての測定も行った。測定結果は、表1〜表5に示すとおりである。
血漿タンパクの吸着量についての測定は、以下の通りに行った。
血漿タンパクの吸着試験:0.04Mリン酸緩衝液(0.04M−PBS)各1リットルにウサギ血清アルブミン(RSA)0.072gおよびウサギ血漿フィブリノーゲン(RPF)0.0048gをそれぞれ溶解させる。各タンパク溶液を12000〜14000のカットオフ分子量を有する透析膜を備えた透析装置に入れ、1リットルの0.04M−PBSに対して0℃で透析を行う。PBSは、1時間毎に交換し、合計6時間透析する。透析終了後、各タンパク溶液を凍結乾燥する。
【0058】
次に、RSAを0.04M−PBSに溶解し、濃度0.045g/dlのRSA溶液を準備する。また、RPFを0.04M−PBSに溶解し、濃度0.003g/dlのRPF溶液を準備する。各タンパク溶液16mlを37℃に保ち、表面積約12cm2のポリマー資料を1時間浸漬し、タンパクを吸着させる。しかる後、約300mlの0.04M−RBSでタンパク溶液を置換する。ついで、ポリマー試料を1重量%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液に浸漬してポリマー試料表面に吸着したタンパクを剥離させ、回収する。このタンパク溶液について、PIERCE社製MICRO−BCAキットを用いてビシコニン酸法により、60℃で1時間インキュベートした後、吸着タンパク量を定量する。この定量は、BIO−RAD社製MICROPLATE READER MODEL550を用い、波長562nmで行う。
【0059】
細胞質内遊離Ca2+の測定は以下の方法によって行った。
定法に従いネンブタールで全身麻酔をかけた雄兎の大腿動脈から、3.8%クエン酸ナトリウム溶液と血液が、1:9容となるように採血をする。その血液を1000rpmで15分間遠心分離し、多血小板血漿(PRP)を得、このPRP3mlをさらに、1500rpmで10分間遠心分離し、血小板ペレットを得た後、ハンクス液1mlに静かに再浮遊させ、血小板濃度を約3×108個/mlに調製する。Fura2−AM(同仁化学株式会社製)0.1mlと生理食塩水10mlの混合液1mlに、上記のように調製した血小板溶液2mlを添加した混和液を45ないし60分間37℃でインキュベートする。1200rpmでの遠心分離とハンクス液への血小板の再浮遊を2回繰り返して余分なFura2を除去し、最終的に血小板濃度を再び約3×108個/mlに調製する。
【0060】
そして、本発明の生体適合性材料のシートで作製したミニ血液バッグに、上記のように調整したFura2負荷血小板浮遊液を2mlずつ分注し、アルミホイルで遮光した後、振とうしながら37℃で1時間インキュベートする。ミニ血液バッグから回収したFura2負荷血小板浮遊液をアルミホイルで遮光したスピッツ管に1ml取り、2%塩化カルシウム水溶液6μ1を添加し、37℃で5分間インキュベートする。これを攪拌子の入ったミクロキュベットに400μ1とり、蛍光分光測定装置CAF110(日本分光株式会社製)にセットし、蛍光強度比(R)を記録する。なお、蛍光強度比(R)は励起波長340nmと380nmの蛍光強度の比であるその後、10%Triton−X水溶液を添加して血小板を可溶化し、蛍光強度(Rmax)を記録する。そして、マイクロシリンジにて30mM EGTA水溶液(pH>8.3)を10μ1添加し、その時の蛍光強度(Rmin)を記録する。同様にして、ミニ血液バッグに保存しなかった空試験(対照)の血小板浮遊液を用いて蛍光強度(R0)を測定する。そして、下記式(式2)により、細胞質内遊離Ca2+([Ca2+])を求める。
【0061】
【式2】
[Ca2+]i=Kd[(R−Rmin)/(Rmax−R)]×(Sf2/Sb2)
【0062】
但し、Kd=224nM(Ca2+の解離定数)を用い、比例定数(Sf2/Sb2)は、RminおよびRmaxの測定時の励起波長380nmの蛍光強度比である。
これらの測定は、血小板細胞が外界からの刺激により反応(活性化)を始めるにあたり、最も初期に起こる血小板細胞内の変化を求めることができる方法であり、例えば、N.Yuiら,Artificial Organs,vol20(NO.2).l03−108,(1996)に記載されている。そして、非常に活性化を受けた血小板細胞は、数千nMの値を示し、何も刺激を受けていない時の血小板細胞は、200nM程度の値を示す。
【0063】
【表1】

Figure 0003641322
【0064】
【表2】
Figure 0003641322
【0065】
【表3】
Figure 0003641322
【0066】
【表4】
Figure 0003641322
【0067】
【表5】
Figure 0003641322
【0068】
(実施例29)
メルトフローレート(230℃−21.18N)が4g/10min、融点162℃、タクティシティが98%のプロピレン単独重合体100重量部に、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)]メタンを0.1重量部、ハイドロタルサイト[Mg4.5Al2(OH)18CO3・3.5H2O]を0.05重量部配合添加してヘンシェルミキサーを用い均一に混合し、得られた混合物を押出機に投入して溶融混練(溶融温度220℃)した後にペレット状の組成物を得た。このポリプロピレン組成物をプレス成形法にて(成形条件:200℃:3分間溶融−100℃:3分間冷却)、厚み0.52mmのシート状の生体適合性材料を作成した。
【0069】
(実施例30)
プレス成形法の成形条件を200℃:3分間溶融−80℃:3分間冷却に変更した以外は、実施例1と同様に行い厚み0.45mmのシート状の生体適合性材料を作成した。
【0070】
(実施例31)
プレス成形法の成形条件を200℃:3分間溶融−65℃:3分間冷却に変更した以外は、実施例1と同様に行い厚み0.48mmのシート状の生体適合性材料を作成した。
【0071】
(実施例32)
プレス成形法の成形条件を200℃:3分間溶融−120℃:3分間冷却に変更した以外は、実施例1と同様に行い厚み0.49mmのシート状の生体適合性材料を作成した。
【0072】
(実施例33)
エチレン含有量が59重量%およびプロピレン含有量が41重量%のエチレン・プロピレンランダム共重合体を12.7重量%含有し、プロピレン単独重合体を87.8重量%含有するメルトフローレート(230℃−21.18N)が6.5g/10min、融点が162℃、タクティシティが85%のエチレン・プロピレンブロック共重合体100重量部に、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)]メタンを0.1重量部およびハイドロタルサイト[Mg4.5Al2(OH)18CO3・3.5H2O]を0.05重量部配合添加してヘンシェルミキサーを用い均一に混合し、得られた混合物を押出機に投入して溶融混練(溶融温度220℃)した後にペレット状の組成物を得た。この組成物をプレス成形法にて(成形条件:200℃:3分間溶融−65℃:3分間冷却)、厚み0.5mmのシート状の生体適合性材料を作成した。
【0073】
(実験)
上記実施例29ないし33の生体適合性材料について、表面結晶化度、材料結晶化度、結晶領域と非晶領域の繰り返しサイズの長周期、結晶厚み、アルブミンおよびフィブリノーゲン吸着量、血小板粘着数についての測定を行った。測定結果は、表6および表7に示す通りであった。
【0074】
生体適合性材料表面の結晶化度の測定は、JASCO社製のフーリエ変換赤外吸収スペクトル測定装置(FT−IR)VALOR−IIIでATR法によって行い、J.Appl.Polym.Sci., 2, 166(1959)に示されている式に、917cm-1、972cm-1、997cm-1の吸光度を代入して求めた。生体適合性材料全体の結晶化度の測定は、JASCO社製のフーリエ変換赤外吸収スペクトル測定装置(FT−IR)VALOR−IIIでKBr法によって行い、J.Appl.Polym.Sci., 2, 166(1959)に示されている式に、917cm-1、972cm-1、997cm-1の吸光度を代入して求めた。生体適合性における結晶領域と非晶領域の繰り返し厚み(繰り返しサイズ)としての長周期の測定は、日本電子(株)のX線回折測定装置8200Tを用いて小角散乱測定を行い、Braggの式に従って求めた。
【0075】
生体適合性材料についての血漿蛋白の吸脱着試験は、J.Electroanal.Chem., 314, 279(1991)やMacromol.Rapid Commun., 15, 319(1991)に記載された方法で、セイコー電子工業(株)製のQCA917を使用した水晶発振子マイクロバランス法で行った。血漿蛋白として、牛血清アルブミン(シグマ社製)を0.1モルのリン酸緩衝液(pH7.4)中に所定量添加し、アルブミン濃度4g/lとしたものを用いて25℃における吸着量を水晶発振子の周波数変化で測定した。同様に、牛血漿フィブリノーゲン(シグマ社製)を0.1モルのリン酸緩衝液(pH7.4)中に所定量添加し、フィブリノーゲン濃度0.4g/lとしたものを用いて25℃における吸着量を水晶発振子の周波数変化で測定した。なお、周波数変化が大きいほど吸着量が多いことを示す。
【0076】
【表6】
Figure 0003641322
【0077】
【表7】
Figure 0003641322
【0078】
【発明の効果】
本発明の生体適合性材料によれば、特別な表面処理を行うことなく医療用器具に生体適合性を与えることができ、かつその性質は長期的に持続する。また、この生体適合性材料の表面が血液と接触しても、表面が結晶領域と非晶領域とからなるミクロ相分離構造のため、この生体適合性材料を用いて作成された医療用器具は、血液中のアルブミンやフィブリノーゲンといった血漿蛋白の吸着が少なくもしくは吸着してもその脱着が容易なため、血漿蛋白質の多重付着が生じにくい。このため、血小板の吸着(粘着)が少なく、血液の凝固を抑制する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の医療用器具を体外血液循環回路に応用した実施例を示す図である。
【図2】図2は、本発明の医療用器具を血液バッグに応用した実施例を示す図である。
【図3】図3は、本発明の医療用器具を血管内カテーテルに応用した実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
10 体外血液循環回路
40 血液バッグ
50 血管内カテーテル[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a biocompatible material, and more particularly, to a polyolefin-based biocompatible medical polymer material having a surface excellent in anticoagulant property or antithrombotic property.
[0002]
[Prior art]
Medical devices such as artificial organs, blood bags, intravascular catheters, dialysis or extracorporeal circulation circuits for artificial lungs desirably have biocompatibility, particularly high blood compatibility (anticoagulation).
Conventionally, medical instruments have been made from polyolefin resins such as polypropylene and polyethylene from the viewpoint of high mechanical strength and ease of molding. More specifically, polyethylene and polypropylene are used in the manufacture of many disposable medical devices such as syringes, bags, and tubes.
[0003]
[Problems to be solved by the invention]
In order to impart biocompatibility such as antithrombogenicity to a medical instrument made of such a polyolefin resin, various chemical surface treatments are performed on the surface that comes into contact with blood. A typical example of such chemical treatment is fixation of an antithrombotic material such as heparin on the blood contact surface of a medical device. However, this method is troublesome because it is necessary to perform an immobilization process for each medical instrument, and there is also a problem that anti-thrombogenic persistence due to peeling of the anti-thrombogenic material is low.
[0004]
Accordingly, an object of the present invention is to provide a biocompatible polymer material that has practically excellent biocompatibility, particularly blood compatibility (anticoagulation property) without performing chemical surface treatment and can be used for various medical devices. Is to provide.
Moreover, the objective of this invention is providing the medical instrument formed with such a biocompatible material.
[0005]
[Means for Solving the Problems]
What achieves the above object is a polymer having a tacticity corresponding to 85 to 98% heptane extraction residue, and a propylene-ethylene copolymer having an ethylene content of 0.5 to 8% by weight, an ethylene content Is a propylene-ethylene-butene-1 copolymer having a butene-1 content of 0.5-8% by weight and a propylene-ethylene having an ethylene content of 0.5-8% by weight Propylene-ethylene-butene-1 copolymer, propylene homopolymer, and ethylene content with a copolymer and ethylene content of 0.5-8 wt% and butene-1 content of 0.5-8 wt% Propylene-ethylene copolymer, propylene homopolymer, and ethylene content of 0.5-8 wt%, butene-1 content of 0.5-8 wt% Echile A butene-1 copolymer, a propylene homopolymer, a propylene-ethylene copolymer having an ethylene content of 0.5 to 8% by weight and an ethylene content of 0.5 to 8% by weight, and a butene-1 content. It consists of a polymer of at least one or a combination of two or more selected from the group consisting of propylene-ethylene-butene-1 copolymers of 0.5 to 8% by weight, and is a micro consisting of a crystalline region and an amorphous region. A biocompatible material having a surface region of a phase separation structure.
[0006]
The crystallinity of the surface is preferably 20 to 80%. Further, the crystallinity of the surface is preferably 40 to 70%. Furthermore, the overall crystallinity of the biocompatible material is preferably 20 to 80%. The long period in the repeated thickness of the microphase separation structure is preferably 8 to 20 nm. Furthermore, it is preferable that the crystal phase on the surface has a microcrystal thickness of 4 to 14 nm.
[0007]
Further, what achieves the above object is a biocompatible material made of a propylene homopolymer, and the biocompatible material has a surface crystallinity of 40 to 70% and a crystallinity of the entire material of 20%. The biocompatible material has a surface region of a microphase separation structure composed of a crystalline region and an amorphous region, and a long period of 8 to 20 nm in the repeated thickness of the microphase separation structure.
[0008]
Further, what achieves the above-described object is a medical instrument having a portion that comes into contact with blood, wherein a part or the whole of the blood contact portion is formed of any of the biocompatible materials described above. It is a medical instrument.
The medical instrument is, for example, an extracorporeal blood circulation circuit tube, a blood bag, a blood transfusion set, or a catheter.
[0009]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Therefore, the biocompatible material of the present invention will be specifically described.
The biocompatible material of the present invention comprises at least one monomer selected from the group consisting of olefin monomers having 2 to 10 carbon atoms and diene monomers having 4 to 15 carbon atoms, or 2 It includes at least one polymer having a repeating unit derived from a combination of at least one kind of monomer, and has a surface region of a microphase separation structure composed of a crystalline region and an amorphous region. The biocompatible material of the present invention is a homopolymer comprising a monomer selected from olefins having 2 to 10 carbon atoms and dienes having 4 to 15 carbon atoms, or olefins having 2 to 10 carbon atoms and 4 to 15 carbon atoms. It is a copolymer composed of two or more monomers selected from these dienes, and is also a biocompatible material whose surface has a microphase separation structure composed of a crystalline region and an amorphous region.
[0010]
Generally, plasma proteins such as albumin and fibrinogen are adsorbed on the surface of a material in contact with blood, and the secondary structure of these proteins changes due to adsorption. This secondary structure change promotes further protein adsorption, and as a result, multiple protein adsorption layers are formed on the material surface. When such a multiple protein adsorbing layer is formed, platelets in contact therewith are activated and eventually coagulate blood.
[0011]
Therefore, the present inventors have studied a material that can suppress the multiple adsorption of plasma proteins and thereby inhibit the activation of platelets. As a result, a specific polymer is used and its surface region is made into a microphase separation structure. As a result, it was found that the intended purpose could be achieved, and the present invention was completed.
[0012]
The biocompatible polymeric material of the present invention comprises at least one monomer selected from the group consisting of olefin monomers having 2 to 10 carbon atoms and diene monomers having 4 to 15 carbon atoms. It consists of a polymer with derived repeat units. This polymer includes both a homopolymer and a copolymer, and the copolymer includes a random copolymer and a block copolymer. These polymers can be used alone or in combination of two or more. The biocompatible material of the present invention is a homopolymer comprising a monomer selected from olefins having 2 to 10 carbon atoms and dienes having 4 to 15 carbon atoms, or olefins having 2 to 10 carbon atoms and 4 to 15 carbon atoms. It is a copolymer composed of two or more monomers selected from these dienes, and is also a biocompatible material whose surface has a microphase separation structure composed of a crystalline region and an amorphous region.
[0013]
Preferable specific examples of the homopolymer include ethylene homopolymer, propylene homopolymer, butene-1 homopolymer and the like. Preferred specific examples of the copolymer include an ethylene-propylene copolymer, an ethylene-butene-1 copolymer, an ethylene-propylene-butene-1 copolymer, an ethylene-hexene-1 copolymer, Ethylene-octene-1 copolymer, ethylene-butene-1-hexene-1 copolymer, ethylene-butene-1-octene-1 copolymer, ethylene-hexene-1-octene-1 copolymer, ethylene- It is a butene-1-hexene-1-octene-1 copolymer. Of these polymers, ethylene homopolymer, propylene homopolymer, ethylene-propylene copolymer, and ethylene-propylene-butene-1 copolymer are particularly preferred. In particular, when a molded article excellent in impact resistance, flexibility and transparency is desired, an ethylene-propylene copolymer and an ethylene-propylene-butene-1 copolymer are preferred.
[0014]
The polymer can be made by any suitable method well known to those skilled in the art. For example, it can be synthesized by polymerizing a predetermined monomer in the presence of a polymerization catalyst comprising a combination of a transition metal compound catalyst such as titanium tetrachloride and an organometallic compound promoter such as an organoaluminum compound.
In general, the polymer material can be classified into three types of three-dimensional structures, isotactic, syndiotactic, and atactic, in terms of molecular structure. Isotactic structures and syndiotactic structures are easy to crystallize, and atactic structures are difficult to crystallize. In the present invention, a microphase separation structure composed of a crystalline region and an amorphous region is formed on the surface of the polymer material. In order to realize such a microphase-separated structure with more certainty, it is preferable to use a polymer containing a portion of the atactic structure at a certain ratio. Such a content ratio of the atactic structure portion can be expressed by, for example, tacticity. The higher the tacticity, the fewer atactic structures. In the present invention, this tacticity is simply calculated as the ratio (% by weight) of the residue (heptane extraction residue) after extracting a polymer piece to be measured with a sufficient amount of boiling heptane in a Soxhlet extractor for 6 hours. Can express.
[0015]
The polymer used in the present invention preferably has a tacticity corresponding to about 40-99%, preferably about 70-99% heptane extraction residue. In particular, it preferably has a tacticity corresponding to about 80 to 99% heptane extraction residue. In order to synthesize a polymer having such tacticity, it is preferable to use the methods described in US Pat. No. 4,550,144 and US Pat. No. 4,499,247.
[0016]
Now, the biocompatible material made of the polymer of the present invention has a microphase-separated structure in which at least the surface region is composed of a crystalline region and an amorphous region. The surface of this biocompatible material preferably has a crystallinity of 20-80%. If the degree of crystallinity on the surface of the biocompatible material is within such a range, the crystalline region and the amorphous region can exist in an appropriate balance, and higher blood compatibility (anticoagulation property) can be obtained. The surface crystallinity is more preferably 40 to 70%, and particularly preferably 50 to 60%.
[0017]
In the present invention, the surface crystallinity is 917 cm of the polymer sample by ATR method using Fourier transform infrared absorption spectrum measuring apparatus (FT-IR) VALOR-III manufactured by JASCO.-1972cm-1And 997 cm-1The absorbance is measured by the method described in J. Appl. Polym. Sci., 2,166 (1959) and the following formula 1.
[0018]
[Formula 1]
Crystallinity (wt%) = [(A997-A917) / (A972-A917)] × 109-31.4
[0019]
In the present invention, the microphase separation structure may be a lamellar structure or a sea-island structure. The sea-island structure includes both a crystal region as the sea and an amorphous region as an island, and a crystal region as an island and an amorphous region as the sea. Usually, the crystalline region (crystalline phase) is spherical to form islands, and the amorphous region forms the sea. The long period (average center distance between crystal phases) in the repeated thickness of such a microphase separation structure is preferably 8 to 20 nm. If the long period is within this range, the adhesion of plasma proteins can be further suppressed. The long period is particularly preferably 9 to 18 nm. In particular, 10 to 18 nm is more preferable.
[0020]
In the present invention, the long period in the repeated thickness of the microphase separation structure is within the range of 2Θ = 0 to 2 ° by the small angle X scattering method using an X-ray diffractometer JEOL JDX-8200T manufactured by JEOL Ltd., The peak is measured by removing scattering by air, and the obtained peak is obtained by calculation by the centroid method according to the Bragg equation.
[0021]
Moreover, it is preferable that the microcrystal thickness (lamellar layer thickness) of the crystal phase in a micro phase-separation structure is 4-14 nm. When the crystallite thickness is within this range, the adhesion of plasma proteins can be further suppressed. The crystallite thickness is particularly preferably 10 to 12 nm.
[0022]
In the present invention, the microcrystalline thickness of the crystal phase is calculated as the product of the long period and the crystallinity of the entire biocompatible material. Here, the degree of crystallinity of the entire biocompatible material is 917 cm of the polymer sample by the KBr method using Fourier transform infrared absorption spectrum measuring apparatus (FT-IR) VALOR-III manufactured by JASCO.-1972cm-1And 997 cm-1The absorbance is measured by substituting these values into the formula described in J. Appl. Polym. Sci., 2,116 (1959).
[0023]
The biocompatible material of the present invention can be obtained as a sheet, a film, a tube, a molded product, etc. by molding the above polymer by a method such as press molding, injection molding, blow molding, inflation molding, T-die molding, calendar molding. It is done. Here, the surface crystal structure described above depends on various molding conditions. For example, even if starting from a polymer having the same tacticity, if the cooling rate of the molten polymer is different, molded articles having different surface crystallinity degrees can be obtained. The faster the cooling rate, the lower the surface crystallinity.
[0024]
A more specific method for molding a biocompatible material having a surface crystal structure defined in the present invention is shown below.
(1) Press molding method: A polymer having tacticity corresponding to 85 to 98% of heptane extraction residue is used. A propylene homopolymer having a melting point of 160 to 165 ° C., an ethylene content of 0.5 to 8% by weight, and a melting point of 155 to 120 ° C.OrA propylene-ethylene-butene-1 copolymer having an ethylene content of 0.5 to 8% by weight, a butene-1 content of 0.5 to 8% by weight and a melting point of 155 to 120 ° C. is used. The biocompatible material of the present invention in the form of a sheet (film) having a thickness of 0.05 to 5 mm by melting at 2 ° C. for 2 to 10 minutes and press forming while cooling at 130 to 20 ° C. for 2 to 10 minutes Can be manufactured.
[0025]
(2) Injection molding method: A polymer having tacticity corresponding to 85 to 98% of heptane extraction residue is used. Propylene homopolymer having a melting point of 160 to 165 ° C., propylene-ethylene copolymer having an ethylene content of 0.5 to 8% by weight and a melting point of 155 to 120 ° C., or ethylene Using a propylene-ethylene-butene-1 copolymer having a content of 0.5 to 8% by weight, a butene-1 content of 0.5 to 8% by weight and a melting point of 155 to 120 ° C., a cylinder temperature of 180 to The living body of the present invention in the form of a molded product having a thickness of 0.5 to 5 mm is melted at 300 ° C., injected into a mold, and cooled at a mold cooling temperature of 130 to 30 ° C. for 0.5 to 10 minutes. Compatible materials can be produced.
[0026]
(3) Blow molding method: A polymer having tacticity corresponding to 85 to 98% of heptane extraction residue is used. Propylene homopolymer having a melting point of 160 to 165 ° C., propylene-ethylene copolymer having an ethylene content of 0.5 to 8% by weight and a melting point of 155 to 120 ° C., or ethylene Using a propylene-ethylene-butene-1 copolymer having a content of 0.5 to 8% by weight, a butene-1 content of 0.5 to 8% by weight and a melting point of 155 to 120 ° C., a cylinder temperature of 180 to It is melted by an extruder at 300 ° C., extruded toward a mold, and cooled by a mold coolant temperature of 130 ° C. to 30 ° C. and a blown air temperature of 5 to 40 ° C. for 0.5 to 10 minutes, thereby obtaining a thickness of 5 The biocompatible material of the present invention in the form of a 3 mm hollow molded article (tube) can be produced.
[0027]
(4) Inflation molding method: A polymer having tacticity corresponding to 85 to 98% of heptane extraction residue is used. Propylene homopolymer having a melting point of 160 to 165 ° C., propylene-ethylene copolymer having an ethylene content of 0.5 to 8% by weight and a melting point of 155 to 120 ° C., or ethylene Using a propylene-ethylene-butene-1 copolymer having a content of 0.5 to 8% by weight, a butene-1 content of 0.5 to 8% by weight and a melting point of 155 to 120 ° C., a cylinder temperature of 180 to The biocompatible material of the present invention in the form of a tube film having a thickness of 0.01 to 0.5 mm by being melted with an extruder at 300 ° C., extruded into a tube shape, and performed at a blowing air temperature of 5 to 40 ° C. Can be manufactured.
[0028]
(5) Vacuum sizing method: A polymer having tacticity corresponding to 85 to 98% of heptane extraction residue is used. Propylene homopolymer having a melting point of 160 to 165 ° C., propylene-ethylene copolymer having an ethylene content of 0.5 to 8% by weight and a melting point of 155 to 120 ° C., or ethylene Using a propylene-ethylene-butene-1 copolymer having a content of 0.5 to 8% by weight, a butene-1 content of 0.5 to 8% by weight and a melting point of 155 to 120 ° C., a cylinder temperature of 180 to It is melted with an extruder at 250 ° C., extruded into a pipe shape with a die for pipe, and sizing while reducing the pressure inside the cooling sleeve at a temperature of 5 to 90 ° C. to form a pipe having a thickness of 0.3 to 3 mm. The biocompatible material of the present invention can be manufactured.
[0029]
(6) T-die molding method: A polymer having tacticity corresponding to 85 to 98% of heptane extraction residue is used. Propylene homopolymer having a melting point of 160 to 165 ° C., propylene-ethylene copolymer having an ethylene content of 0.5 to 8% by weight and a melting point of 155 to 120 ° C., or ethylene A propylene-ethylene-butene-1 copolymer having a content of 0.5 to 8% by weight, a butene-1 content of 0.5 to 8% by weight and a melting point of 155 to 120 ° C. is converted to a cylinder temperature of 180 to 300 ° C. The biocompatible material of the present invention is in the form of a film (sheet) having a thickness of 0.01 to 3 mm by being melted by an extruder, extruded from a slit, and cooled at a cooling water temperature of 5 to 90 ° C. Can be manufactured.
In the biocompatible material of the present invention obtained by such molding, the microseparation structure is sufficiently stable at an ambient temperature of normal operation (for example, -20 to 80 ° C), and blood compatibility may be impaired. Absent.
[0030]
In the above molding, an antioxidant such as tetrakis [methylene (3,5-di-t-butyl-4-hydroxyhydrocinnamate)] methane or the catalyst residue used in the synthesis of the polymer material is used for the polymer material. (Chlorine etc.), scavenger (neutralizing agent) such as hydrotalcite (Mg4.5Al2(OH)18CO8・ 3.5H2O) can be added.
[0031]
Since the surface of the biocompatible material of the present invention forms a predetermined microphase separation structure, multiple adsorption of plasma proteins (albumin and fibrinogen) on the surface is suppressed, thereby avoiding activation of platelets. , Blood clots are prevented. Therefore, a medical device having at least a surface that comes into contact with blood using the biocompatible material of the present invention can be obtained by the biocompatible material of the present invention and the blood contact surface of the biocompatible microphase separation structure surface of the present invention. Fabricating as provided provides a medical device having excellent biocompatibility (anticoagulant). Such medical devices include those that come into contact with blood, those that are placed in blood vessels, and those that are placed in body cavities. More specifically, an artificial organ such as an artificial blood vessel, an extracorporeal blood circuit such as an artificial dialyzer or an artificial lung, a catheter such as a PTCA catheter, an angiographic catheter, an indwelling catheter, a blood bag, and a blood product are administered. A blood administration set is included.
[0032]
Next, the medical instrument of the present invention will be described.
The medical device of the present invention is a medical device having a portion that comes into contact with blood, and part or all of the blood contact portion is formed of the biocompatible material.
FIG. 1 shows an extracorporeal blood circulation circuit for dialysis made by partially using the biocompatible material of the present invention.
[0033]
An artificial dialyzer 11 is incorporated in the extracorporeal blood circulation circuit 10 shown in FIG. The dialyzer 11 contains a large number of hemodialysis hollow fibers (not shown) therein, and blood flowing from the blood inlet port 12 flows out from the blood outlet port 13 through the dialysis hollow fibers. . The blood is dialyzed by dialysate flowing through the outside of the hollow fiber introduced from the dialysate inlet port 14 while passing through the dialysis hollow fiber. The dialysate flows out from the dialysate outlet port 15. A blood tube 16 is connected to the blood inlet port 12 of the dialyzer 11, a pump tube 17 is connected to the tube 16 via a connector 21, and a blood tube 18 is connected to the tube 17 via a connector 22. A blood tube 19 is connected to the tube 18 via a connector 23, and a blood tube 20 is connected to the tube 19 via a connector 25. The pump tube 17 is squeezed by a rotary pump, and blood is fed into the pump tube 17. The connector 23 is connected to a tube 24 for administering a drug such as an anticoagulant. Further, an attachment 26 for attaching a needle that is inserted into the blood vessel of the patient and sends blood into the tube system is provided at the distal end of the tube 20.
[0034]
On the other hand, a dialysis blood tube 27 is connected to the blood outlet port 13 of the dialyzer 11, which is connected to the blood chamber 31 via a narrower tube 28 that is inserted into the dialysis blood chamber 31. Tubes 33 and 34 for connecting to a pressure detector are connected to the upper end of the blood chamber 31. The dialyzed blood flowing out of the tube 28 in the blood chamber 31 passes through the blood filter 32 provided in the chamber 31, passes through the dialyzed blood tube 29 and the dialyzed blood tube 30 connected to the dialysis tube 29 via the connector 35. And finally returned to the patient. An attachment 36 for attaching a needle that is inserted into the blood vessel of the patient and returns the dialyzed blood to the patient is provided at the distal end of the tube 30.
In such a blood circulation circuit, the tubes 16 to 20, the tubes 27 to 30, and part or all of the blood contact surfaces such as the blood chamber 31 are made of the biocompatible material of the present invention. The extracorporeal blood circulation circuit is for dialysis, but the invention is not limited to this, and the medical instrument (blood tubes) of the present invention can also be used for an extracorporeal blood circulation circuit for an artificial heart-lung machine. .
[0035]
FIG. 2 shows a blood bag device 40. This blood bag apparatus includes a blood bag main body 41, and a peripheral portion 42 thereof is heat-sealed. A blood administration tube 43 is provided in communication with the inside of the blood bag body 41, and a blood vessel puncture needle 46 is connected to the tip thereof. The piercing needle 46 and the tube 43 are connected by a hub 47. Further, blood discharge ports 44 and 45 are provided in communication with the blood bag body 41. Except for the piercing needle 46 and the hub 47, the bag body 41, the tube 43, and the ports 44 and 45 can be formed of the biocompatible material of the present invention.
[0036]
FIG. 3 shows an intravascular catheter device 50. This intravascular catheter device 50 is inserted into a blood vessel and attached to a hub 52. The cannula 51 is inserted into the blood vessel, and a catheter 53 is attached to the hub 54 and placed in the blood vessel. The cannula 51 is inserted into the blood vessel so as to slightly protrude from the catheter 53 through the catheter 53 placed in the blood vessel. In this catheter device, the catheter 53 and the hub 52 are formed of the above-described biocompatible material.
[0037]
【Example】
Hereinafter, specific examples of the biocompatible material of the present invention will be described.
Polymer pellets were prepared as follows.
[0038]
(Preparation Example A)
Tetrakis [methylene (3,5-di--) was added to 100 parts by weight of a propylene homopolymer having a melt flow rate (230 ° C.-21.18 N) of 8 g / 10 min, a melting point of 166 ° C. t-butyl-4-hydroxyhydrocinnamate)] 0.1 parts by weight of methane and 0.05 parts by weight of hydrotalcite were added and mixed uniformly using a Henschel mixer. The obtained mixture was put into an extruder, melted and kneaded at a melting temperature of 220 ° C., and cut with a high-speed rotary cutter while being extruded to obtain polypropylene pellets. These pellets are abbreviated as PP1.
[0039]
(Preparation Example B)
As a polymer, an ethylene-propylene copolymer having a melt flow rate (230 ° C.-21.18 N) of 8 g / 10 min, a melting point of 160 ° C., a tacticity corresponding to 94% heptane extraction residue, and an ethylene content of 0.3% by weight. Polymer pellets were prepared in the same manner as Preparation Example A except that the polymer was used. These pellets are abbreviated as PP2.
[0040]
(Preparation Example C)
As a polymer, an ethylene-propylene copolymer having a melt flow rate (230 ° C.-21.18N) of 8 g / 10 min, a melting point of 143 ° C., a tacticity equivalent to 94% heptane extraction residue, and an ethylene content of 2.5% by weight. Polymer pellets were prepared in the same manner as Preparation Example A except that the polymer was used. These pellets are abbreviated as PP3.
[0041]
(Preparation Example D)
As a polymer, ethylene-propylene-butene having a melt flow rate (230 ° C.-21.18N) of 8 g / 10 min, a melting point of 135 ° C., an ethylene content of 3% by weight and a butene-1 content of 1.5% by weight Polymer pellets were prepared in the same manner as Preparation Example A, except that 1 copolymer was used. These pellets are abbreviated as PP4.
[0042]
(Preparation Example E)
As a polymer, ethylene-propylene having a melt flow rate (230 ° C.-21.18N) of 5 g / 10 min, a melting point of 130 ° C., an ethylene content of 3.5% by weight, and a butene-1 content of 2.5% by weight Polymer pellets were prepared in the same manner as Preparation Example A except that the butene-1 copolymer was used. These pellets are abbreviated as PP5.
[0043]
(Preparation Example F)
As a polymer, ethylene-propylene having a melt flow rate (230 ° C.-21.18N) of 5 g / 10 min, a melting point of 128 ° C., an ethylene content of 4.5% by weight, and a butene-1 content of 2.5% by weight Polymer pellets were prepared in the same manner as Preparation Example A except that the butene-1 copolymer was used. These pellets are abbreviated as PP6.
[0044]
(Preparation Example G)
The same as Preparation Example A except that an ethylene-propylene copolymer having a melt flow rate (230 ° C.-21.18N) of 2 g / 10 min, a melting point of 128 ° C., and an ethylene content of 3.5% by weight was used as the polymer. Polymer pellets were prepared as follows. These pellets are abbreviated as PP7.
[0045]
(Preparation Example H)
The same as Preparation Example A except that a propylene homopolymer having a melt flow rate (230 ° C.-21.18 N) of 2 g / 10 min, a melting point of 165 ° C., and a tacticity of 97% heptane extraction residue was used as the polymer. To prepare polymer pellets. These pellets are abbreviated as PP8.
[0046]
(Preparation Example I)
The same as Preparation Example A except that an ethylene-propylene copolymer having a melt flow rate (230 ° C.-21.18N) of 2 g / 10 min, a melting point of 143 ° C., and an ethylene content of 2.5% by weight was used as the polymer. Polymer pellets were prepared as follows. These pellets are abbreviated as PP9.
[0047]
(Preparation Example J)
As a polymer, ethylene-propylene-butene having a melt flow rate (230 ° C.-21.18N) of 2 g / 10 min, a melting point of 135 ° C., an ethylene content of 3% by weight and a butene-1 content of 1.5% by weight Polymer pellets were prepared in the same manner as Preparation Example A, except that 1 copolymer was used. These pellets are abbreviated as PP10.
[0048]
(Preparation Example K)
As a polymer, ethylene-propylene having a melt flow rate (230 ° C.-21.18N) of 2 g / 10 min, a melting point of 128 ° C., an ethylene content of 4.5% by weight, and a butene-1 content of 2.5% by weight Polymer pellets were prepared in the same manner as Preparation Example A except that the butene-1 copolymer was used. These pellets are abbreviated as PP11.
[0049]
Example 1
Using the pellet PP1 obtained in Preparation Example A, it is in the form of a sheet having a thickness of 0.5 mm under the molding conditions of a melting temperature of 200 ° C., a melting time of 3 minutes, a cooling temperature of 50 ° C., and a cooling time of 3 minutes by press molding. A biocompatible material of the present invention was obtained.
[0050]
(Examples 2 to 12)
A sheet having a thickness of 0.5 mm was obtained in the same manner as in Example 1 except that the pellets used, the cooling temperature during molding, and the time were changed as shown in Table 1.
[0051]
(Example 13)
A hollow molded product (tube) having a thickness of 1 mm under the conditions of a cylinder setting temperature of 210 ° C., a mold cooling water temperature of 25 ° C., and a cooling time of 30 seconds by blow molding using the pellet PP8 obtained in Preparation Example H Got.
[0052]
(Examples 14 to 17)
A hollow molded product having a thickness of 1 mm was obtained in the same manner as in Example 13 except that the pellets used, the cylinder set temperature of the extruder, and the mold cooling water temperature were changed as shown in Table 3.
[0053]
(Example 18)
Using the pellet PP8 obtained in Preparation Example H, a sheet having a thickness of 0.5 mm was obtained by a T-die method under molding conditions of an extruder cylinder set temperature of 230 ° C. and a roll temperature of 70 ° C.
[0054]
(Examples 19 to 22)
A sheet having a thickness of 0.5 mm was obtained in the same manner as in Example 18 except that the pellets used, the cylinder set temperature of the extruder, and the roll temperature were changed as shown in Table 4.
[0055]
(Example 23)
Using the pellet PP1 obtained in Preparation Example A, a hollow molded article (tube) having a thickness of 0.8 mm was obtained by the injection molding method under the molding conditions of a cylinder set temperature of 230 ° C. and a mold cooling water temperature of 30 ° C.
[0056]
(Examples 24-28)
A hollow molded article (tube) having a thickness of 0.8 mm was obtained in the same manner as in Example 23 except that the pellet and mold cooling water temperature used were changed as shown in Table 5.
For the biocompatible materials obtained in Examples 1 to 28, the surface crystallinity, the overall crystallinity of the material, the long period of the repeated thickness of the crystal region and the amorphous region on the surface, and the crystal thickness were determined by the above-described method. It was measured.
[0057]
For each biocompatible material, the amount of plasma protein (albumin and fibrinogen) adsorbed and the free calcium ion concentration in platelets were also measured. The measurement results are as shown in Tables 1 to 5.
Measurement of the amount of plasma protein adsorbed was performed as follows.
Plasma protein adsorption test: 0.072 g of rabbit serum albumin (RSA) and 0.0048 g of rabbit plasma fibrinogen (RPF) are dissolved in each liter of 0.04 M phosphate buffer (0.04 M-PBS). Each protein solution is put into a dialysis machine equipped with a dialysis membrane having a cutoff molecular weight of 12000 to 14000, and dialyzed against 1 liter of 0.04M-PBS at 0 ° C. PBS is changed every hour and dialyzed for a total of 6 hours. After completion of dialysis, each protein solution is lyophilized.
[0058]
Next, RSA is dissolved in 0.04M-PBS to prepare an RSA solution having a concentration of 0.045 g / dl. Also, RPF is dissolved in 0.04M-PBS to prepare an RPF solution having a concentration of 0.003 g / dl. Keep 16ml of each protein solution at 37 ° C, surface area about 12cm2Soak the polymer material for 1 hour to adsorb the protein. Thereafter, the protein solution is replaced with about 300 ml of 0.04 M-RBS. Next, the polymer sample is immersed in a 1% by weight aqueous sodium dodecyl sulfate solution to separate and collect the protein adsorbed on the surface of the polymer sample. The protein solution is incubated for 1 hour at 60 ° C. by the biciconic acid method using a MICRO-BCA kit manufactured by PIERCE, and then the amount of adsorbed protein is quantified. This quantification is performed at a wavelength of 562 nm using a MICROPLATE READER MODEL 550 manufactured by BIO-RAD.
[0059]
Intracytoplasmic free Ca2+Was measured by the following method.
Blood is collected from the femoral artery of a male stamen that has been anesthetized with Nembutal according to a conventional method so that a 3.8% sodium citrate solution and blood have a volume of 1: 9. The blood was centrifuged at 1000 rpm for 15 minutes to obtain platelet rich plasma (PRP), and 3 ml of this PRP was further centrifuged at 1500 rpm for 10 minutes to obtain a platelet pellet, which was then gently resuspended in 1 ml of Hank's solution, Platelet concentration about 3 × 108Prepare to pieces / ml. A mixed solution obtained by adding 2 ml of the platelet solution prepared as described above to 1 ml of a mixture of 0.1 ml of Fura2-AM (produced by Dojin Chemical Co., Ltd.) and 10 ml of physiological saline is incubated at 37 ° C. for 45 to 60 minutes. Centrifugation at 1200 rpm and resuspension of platelets in Hank's solution is repeated twice to remove excess Fura2 and finally the platelet concentration is again about 3 × 108Prepare to pieces / ml.
[0060]
Then, 2 ml of Fura2-loaded platelet suspension prepared as described above was dispensed into each mini blood bag made of the biocompatible material sheet of the present invention, shielded with aluminum foil, and then shaken at 37 ° C. Incubate for 1 hour. Take 1 ml of the Fura2-loaded platelet suspension collected from the mini blood bag in a Spitz tube protected from light by aluminum foil, add 6 μl of 2% aqueous calcium chloride solution, and incubate at 37 ° C. for 5 minutes. 400 μl of this is placed in a micro cuvette containing a stir bar and set in a fluorescence spectrometer CAF110 (manufactured by JASCO Corporation), and the fluorescence intensity ratio (R) is recorded. The fluorescence intensity ratio (R) is the ratio of the fluorescence intensity at the excitation wavelengths of 340 nm and 380 nm..Thereafter, 10% Triton-X aqueous solution is added to solubilize platelets, and the fluorescence intensity (Rmax) is recorded. And 10 microliters of 30 mM EGTA aqueous solution (pH> 8.3) is added with a micro syringe, and the fluorescence intensity (Rmin) at that time is recorded. Similarly, the fluorescence intensity (R0) is measured using the platelet suspension of the blank test (control) that was not stored in the mini blood bag. And in the cytoplasm free Ca by the following formula (Formula 2)2+([Ca2+]).
[0061]
[Formula 2]
[Ca2+i = Kd [(R−Rmin) / (Rmax−R)] × (Sf2 / Sb2)
[0062]
However, Kd = 224 nM (Ca2+The dissociation constant of (Sf2 / Sb2) is a ratio of fluorescence intensity at an excitation wavelength of 380 nm when measuring Rmin and Rmax.
These measurements are methods that can determine changes in platelet cells that occur at the earliest when platelet cells begin to respond (activate) due to external stimuli. Yui et al., Artificial Organs, vol20 (NO. 2). 103-108, (1996). And the platelet cell which received very activation shows the value of several thousand nM, and the platelet cell when nothing is stimulated shows a value of about 200 nM.
[0063]
[Table 1]
Figure 0003641322
[0064]
[Table 2]
Figure 0003641322
[0065]
[Table 3]
Figure 0003641322
[0066]
[Table 4]
Figure 0003641322
[0067]
[Table 5]
Figure 0003641322
[0068]
(Example 29)
To 100 parts by weight of a propylene homopolymer having a melt flow rate (230 ° C.-21.18 N) of 4 g / 10 min, a melting point of 162 ° C. and a tacticity of 98%, tetrakis [methylene (3,5-di-t-butyl-4 -Hydroxyhydrocinnamate)] 0.1 parts by weight of methane, hydrotalcite [Mg4.5Al2(OH)18COThree・ 3.5H2O] in an amount of 0.05 part by weight was added and mixed uniformly using a Henschel mixer, and the resulting mixture was put into an extruder and melt-kneaded (melting temperature 220 ° C.) to obtain a pellet-shaped composition. . This polypropylene composition was formed by a press molding method (molding conditions: 200 ° C .: melted for 3 minutes—100 ° C .: cooled for 3 minutes) to prepare a sheet-like biocompatible material having a thickness of 0.52 mm.
[0069]
(Example 30)
A sheet-like biocompatible material having a thickness of 0.45 mm was prepared in the same manner as in Example 1 except that the molding conditions of the press molding method were changed to 200 ° C .: 3 minutes melting−80 ° C .: 3 minutes cooling.
[0070]
(Example 31)
A sheet-like biocompatible material having a thickness of 0.48 mm was prepared in the same manner as in Example 1 except that the molding conditions of the press molding method were changed to 200 ° C .: 3 minutes melting−65 ° C .: 3 minutes cooling.
[0071]
(Example 32)
A sheet-like biocompatible material having a thickness of 0.49 mm was prepared in the same manner as in Example 1 except that the molding conditions of the press molding method were changed to 200 ° C .: 3 minutes melting−120 ° C .: 3 minutes cooling.
[0072]
(Example 33)
A melt flow rate (230 ° C.) containing 12.7% by weight of an ethylene / propylene random copolymer having an ethylene content of 59% by weight and a propylene content of 41% by weight, and containing 87.8% by weight of a propylene homopolymer. 21.18N) is 6.5 g / 10 min, melting point is 162 ° C., tacticity is 85%, 100 parts by weight of ethylene / propylene block copolymer is mixed with tetrakis [methylene (3,5-di-t-butyl-4 -Hydroxyhydrocinnamate)] 0.1 parts by weight of methane and hydrotalcite [Mg4.5Al2(OH)18COThree・ 3.5H2O] in an amount of 0.05 part by weight was added and mixed uniformly using a Henschel mixer, and the resulting mixture was put into an extruder and melt-kneaded (melting temperature 220 ° C.) to obtain a pellet-shaped composition. . This composition was formed by a press molding method (molding condition: 200 ° C .: melted for 3 minutes—65 ° C .: cooled for 3 minutes) to prepare a sheet-like biocompatible material having a thickness of 0.5 mm.
[0073]
(Experiment)
Regarding the biocompatible materials of Examples 29 to 33, the surface crystallinity, the material crystallinity, the long period of the repetitive size of the crystalline region and the amorphous region, the crystal thickness, the albumin and fibrinogen adsorption amount, and the platelet adhesion number Measurements were made. The measurement results were as shown in Table 6 and Table 7.
[0074]
The crystallinity of the surface of the biocompatible material is measured by the ATR method using a Fourier transform infrared absorption spectrum measuring apparatus (FT-IR) VALOR-III manufactured by JASCO, J. Appl. Polym. Sci., 2, 917 cm in the formula shown in 166 (1959)-1972cm-1997cm-1Was obtained by substituting the absorbance. The crystallinity of the entire biocompatible material is measured by the KBr method using a Fourier transform infrared absorption spectrum measuring apparatus (FT-IR) VALOR-III manufactured by JASCO, and J. Appl. Polym. Sci., 2, 917 cm in the formula shown in 166 (1959)-1972cm-1997cm-1Was obtained by substituting the absorbance. In the biocompatibility, the measurement of the long period as the repeated thickness (repetitive size) of the crystalline region and the amorphous region is carried out by performing small-angle scattering measurement using an X-ray diffractometer 8200T manufactured by JEOL Ltd., and following Bragg's equation. Asked.
[0075]
Plasma protein adsorption / desorption tests on biocompatible materials were performed by the methods described in J. Electroanal. Chem., 314, 279 (1991) and Macromol. Rapid Commun., 15, 319 (1991). The crystal oscillator microbalance method using QCA917 manufactured by Co., Ltd. was used. As plasma protein, bovine serum albumin (manufactured by Sigma) was added in a predetermined amount in 0.1 molar phosphate buffer (pH 7.4) to obtain an albumin concentration of 4 g / l, and the adsorption amount at 25 ° C. Was measured by changing the frequency of the crystal oscillator. Similarly, a predetermined amount of bovine plasma fibrinogen (manufactured by Sigma) was added to 0.1 molar phosphate buffer (pH 7.4) to give a fibrinogen concentration of 0.4 g / l, and adsorption at 25 ° C. The quantity was measured by the frequency change of the crystal oscillator. In addition, it shows that there is so much adsorption amount that a frequency change is large.
[0076]
[Table 6]
Figure 0003641322
[0077]
[Table 7]
Figure 0003641322
[0078]
【The invention's effect】
According to the biocompatible material of the present invention, it is possible to impart biocompatibility to a medical device without performing a special surface treatment, and the property is maintained for a long time. In addition, even if the surface of this biocompatible material comes into contact with blood, the medical device made using this biocompatible material has a microphase-separated structure consisting of a crystalline region and an amorphous region. In addition, plasma proteins such as albumin and fibrinogen in the blood are hardly adsorbed or can be easily desorbed even when adsorbed, so that multiple adhesion of plasma proteins is unlikely to occur. For this reason, there is little adsorption (adhesion) of platelets, and coagulation of blood is suppressed.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a diagram showing an embodiment in which a medical device of the present invention is applied to an extracorporeal blood circulation circuit.
FIG. 2 is a view showing an embodiment in which the medical instrument of the present invention is applied to a blood bag.
FIG. 3 is a cross-sectional view showing an embodiment in which the medical device of the present invention is applied to an intravascular catheter.
[Explanation of symbols]
10 Extracorporeal blood circulation circuit
40 blood bag
50 Intravascular catheter

Claims (7)

ヘプタン抽出残85〜98%に相当するタクチシティーを有する重合体であって、エチレン含有量が0.5〜8重量%のプロピレンーエチレン共重合体、エチレン含有量が0.5〜8重量%、ブテン−1含有量が0.5〜8重量%であるプロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン含有量が0.5〜8重量%のプロピレンーエチレン共重合体及びエチレン含有量が0.5〜8重量%、ブテン−1含有量が0.5〜8重量%であるプロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン単独重合体及びエチレン含有量が0.5〜8重量%のプロピレンーエチレン共重合体、プロピレン単独重合体及びエチレン含有量が0.5〜8重量%、ブテン−1含有量が0.5〜8重量%であるプロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン単独重合体及びエチレン含有量が0.5〜8重量%のプロピレンーエチレン共重合体及びエチレン含有量が0.5〜8重量%、ブテン−1含有量が0.5〜8重量%であるプロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体からなる群より選ばれた少なくとも1種または2種以上の組み合わせのポリマーからなり、結晶領域と非結晶領域とからなるミクロ相分離構造の表面領域を有し、前記表面の結晶化度が40ないし70%であり、さらに、前記表面の結晶相は、4ないし14nmの微結晶厚みを有するものであることを特徴とする生体適合性材料。A polymer having a tacticity corresponding to 85 to 98% heptane extraction residue, a propylene-ethylene copolymer having an ethylene content of 0.5 to 8% by weight, and an ethylene content of 0.5 to 8% by weight A propylene-ethylene-butene-1 copolymer having a butene-1 content of 0.5 to 8% by weight, a propylene-ethylene copolymer having an ethylene content of 0.5 to 8% by weight and an ethylene content of Propylene-ethylene-butene-1 copolymer, 0.5-8 wt%, butene-1 content is 0.5-8 wt%, propylene homopolymer and ethylene content is 0.5-8 wt% Propylene-ethylene copolymer, propylene homopolymer, and propylene-ethylene-butene-1 copolymer having an ethylene content of 0.5-8 wt% and a butene-1 content of 0.5-8 wt% , A pyrene homopolymer, a propylene-ethylene copolymer having an ethylene content of 0.5 to 8% by weight, an ethylene content of 0.5 to 8% by weight, and a butene-1 content of 0.5 to 8% by weight It consists of a polymer of at least one or a combination of two or more selected from the group consisting of a certain propylene-ethylene-butene-1 copolymer, and has a surface region of a microphase separation structure consisting of a crystalline region and an amorphous region. The biocompatible material is characterized in that the crystallinity of the surface is 40 to 70%, and the crystal phase of the surface has a microcrystal thickness of 4 to 14 nm . 前記生体適合性材料の全体の結晶化度が20ないし80%である請求項1に記載の生体適合性材料。  The biocompatible material according to claim 1, wherein the overall crystallinity of the biocompatible material is 20 to 80%. 前記ミクロ相分離構造の繰り返し厚みにおける長周期は、8ないし20nmである請求項1または2に記載の生体適合性材料。The biocompatible material according to claim 1 or 2 , wherein a long period in the repeated thickness of the microphase separation structure is 8 to 20 nm. プロピレン単独重合体からなる生体適合性材料であって、該生体適合性材料は、表面の結晶化度が40ないし70%、材料全体の結晶化度が20ないし80%であり、結晶領域と非結晶領域とからなるミクロ相分離構造の表面領域を有するとともに、前記表面の結晶相は、4ないし14nmの微結晶厚みを有するものであり、さらに、該ミクロ相分離構造の繰り返し厚みにおける長周期が8ないし20nmであることを特徴とする生体適合性材料。A biocompatible material comprising a propylene homopolymer, the biocompatible material having a surface crystallinity of 40 to 70%, a crystallinity of the entire material of 20 to 80%, and a non-crystalline region. A surface region of a microphase separation structure composed of a crystal region, the crystal phase of the surface has a microcrystal thickness of 4 to 14 nm, and a long period in the repeated thickness of the microphase separation structure is A biocompatible material characterized by being 8 to 20 nm. 前記生体適合性材料は、酸化防止剤または中和剤が添加されている請求項1またはに記載の生体適合性材料。The biocompatible material according to claim 1 or 4 , wherein an antioxidant or a neutralizing agent is added to the biocompatible material. 血液と接触する部分を有する医療用器具であって、当該血液接触部分の一部または全体が、前記請求項1ないしのいずれかに記載の生体適合性材料により形成されていることを特徴とする医療用器具。A medical instrument having a part that comes into contact with blood, wherein a part or the whole of the blood contact part is formed of the biocompatible material according to any one of claims 1 to 5. Medical instrument to do. 前記医療用器具は、体外血液循環回路用チューブ、血液バッグ、輸血セットまたはカテーテルである請求項に記載の医療用器具。The medical instrument according to claim 6 , wherein the medical instrument is an extracorporeal blood circulation circuit tube, a blood bag, a transfusion set, or a catheter.
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