JP3549643B2

JP3549643B2 - Medical substrate

Info

Publication number: JP3549643B2
Application number: JP23890995A
Authority: JP
Inventors: 修身東雲
Original assignee: Terumo Corp
Current assignee: Terumo Corp
Priority date: 1995-09-19
Filing date: 1995-09-19
Publication date: 2004-08-04
Anticipated expiration: 2015-09-19
Also published as: JPH0975444A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、血液、輸液等医療分野において扱われる液体を収容・保存する容器、搬送するチューブ（連結管）等に適した軟質の医療用基材に関する。
【０００２】
【従来の技術】
採血、輸血、輸液等の医療分野において用いられる容器やチューブの材料には安全性・衛生性の他、種々の性能が要求させるが、なかでも柔軟性、透明性、耐熱性（耐高圧蒸気滅菌性）およびこれらのバランスは重視される項目である。上記用途のポリマー素材としては従来から軟質ポリ塩化ビニルおよびエチレン酢酸ビニルコポリマー、低密度ポリエチレンの如きポリエチレン系ポリマーが代表例であるが、軟質ポリ塩化ビニルでは可塑剤の溶出、着色、廃棄処理などのおいて問題を生じることがある。ポリエチレン系の場合は柔軟性・透明性と耐熱性とのバランスに欠け、低密度品は柔軟性・透明性は比較的よいが、必然的に軟化点が低くなるので耐熱性が低下し、通常１００〜１２１℃で行われる高圧蒸気滅菌に耐えられず、ブロッキング、失透（白化）、容器表面へのアバタ状のムラの発生、変形などを生じやすい。
【０００３】
ポリプロピレンも医療容器用材料として広く使われているポリマーであり、一般的には耐熱性は十分であるが、高剛性であり（柔軟性に乏しく）、軟質化の工夫が必要である。軟質化の手段としては、▲１▼柔軟性のあるポリマー例えばオレフィン系エラストマーやスチレン系エラストマーのブレンド、▲２▼共重合が挙げられる。しかしながら、▲１▼は多量の柔軟剤の導入が必要であり、シート表面の粘着性増大によるブロッキングの問題の他、シート形成能低下による成形性・加工性の低下、柔軟剤の高価格などのため制限を受けやすい。▲２▼ではコモノマーとしてエチレンもしくはブテン−１を含むランダムコポリマーあるいはブロックコポリマーが代表例であり、特にランダムコポリマータイプは透明性にすぐれるという点で有利であるが、柔軟性を増すべくコモノマー成分の含量を増すと融点降下のため耐熱性が低下するばかりでなく、低分子量成分や無定形成分が多くなるので製品（容器）表面にべたつきの問題が生じる。一方、ブロックコポリマータイプでは耐衝撃性が増す利点があるが、透明性や柔軟性に劣る。また、クレージング（製品に応力を加えると、例えば曲げると、表面または内部に細かい割れが生じる現象）のため、製品の品位が低下する。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は従来技術の持つ上述の如き諸問題のうちのポリプロピレン系医療用基材の欠点を解消すべくなされたものである。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明者の検討で明らかになったのは、ランダムとブロックのいわゆる「ハイブリッドコポリマー」タイプの適用が課題解決につながることであり、プロピレンを主成分とするランダムコポリマー（Ａ）とプロピレン以外のα−オレフィンを主成分とするポリマー（Ｂ）とのブロックコポリマーを層成分として含む医療用基材を要旨とする本発明に至った。
【０００６】
本発明の基材におけるポリマー（以下Ｈ−ＰＰと称す）はポリプロピレン系ランダムコポリマーとポリプロピレン系ブロックコポリマーの特徴を兼備し、高圧蒸気滅菌処理しても良好な透明性と柔軟性が保持され、軟質ポリプロピレンにつきもののべたつきの問題もないので、性能バランスのとれた医療用の材料を提供する。
【０００７】
【発明の実施の形態】
Ｈ−ＰＰは通常公知の方法で製造され得る。まず、プロピレンとα−オレフィン（エチレン、ブテン−１、ヘキセン−１など）のランダムコポリマー（Ａ）を重合し、次いでα−オレフィン（エチレン、ブテン−１、ヘキセン−１など）を添加して重合を続ける方法が一般的である。重合触媒としてはＺｉｅｇｌｅｒ−Ｎａｔｔａ触媒が最も汎用的であり、場合によってはメタロセン触媒が使われる。立体規則性（アイソタクチックまたはシンジオタクチック）の度合、頭−頭結（尾−尾結合）の含量などにもよるが、本発明の医療容器用基材に適用されるＨ−ＰＰはランダムコポリマー（Ａ）中のプロピレン含量が９０〜９５モル％、ブロックコポリマー（すなわちＨ−ＰＰ）中のプロピレン含量が７０〜８５モル％であることがよい。ランダムコポリマー（Ａ）中のプロピレン含量が少ないと柔軟性は増すが融点が低下し（耐熱性が低下し）、プロピレン以外のα−オレフィンを主成分とするポリマー（Ｂ）の含量が多いと柔軟性は増すがクレージング等好ましからぬ現象が生じることがある。そして、成形性、成形物の力学的性質などを考慮すると温度２３０℃、荷重２１６０ｇのおけるメルトフローレイト（ＭＦＲ）が０．５〜２０より好ましくは０．８〜１５であるのがよい。
【０００８】
以下、本発明におけるＨ−ＰＰについて若干の補足説明を加える。
（１）ランダムコポリマー（Ａ）とポリマー（Ｂ）におけるα−オレフィンは必ずしも同一であることを意味しない。すなわち（Ａ）中のコモノマー（α−オレフィン）がエチレンであり、（Ｂ）を形成するモノマーがブテン−１であることもあり得る。
（２）ランダムコポリマー（Ａ）におけるコモノマー（α−オレフィン）は必ずしも一種でなく、二種以上のこともあり得る。例えば、（Ａ）がプロピレン−エチレン−ブテン−１の三元共重合体（ターポリマー）であることもある。
Ｈ−ＰＰは通常（Ａ）−（Ｂ）型（ジブロック型）であるがマルチブロックタイプ例えば（Ａ）−（Ｂ）−（Ａ）型（トリブロック型）であってもよい。
【０００９】
冒頭に記載した如く、本発明の医療容器用基材は（Ａ）と（Ｂ）とのブロックコポリマーを層成分として含むが、ここで「層成分として含む」とは、▲１▼基材が該ブロックコポリマー（Ｈ−ＰＰ）のみからなる場合と、▲２▼基材が該ブロックコポリマー（Ｈ−ＰＰ）を少なくとも一層とし他のポリマー（または重合体組成物）を少なくとも一層とする多層体からなる場合があるという意味である。▲２▼は容器の力学的性質（強度、耐ピンホール性など）、ガス透過性（酸素、炭酸ガス、水蒸気などの）、成形性、熱シール性などを調節・改良するために採用される。「他のポリマー」としてはポリエチレン、ポリブテン−１、ポリエステル、ポリアミド、エチレンビニルアルコールコポリマー、などの他、本発明におけるブロックコポリマー（Ｈ−ＰＰ）以外のポリプロピレン系ポリマー（ポリプロピレンホモポリマー、ポリプロピレンコポリマー）が挙げられるが、本発明の趣旨を生かすためには、これらのポリマーの層をできるだけ薄くするのが良いのは勿論である。
【００１０】
なお、本発明におけるブロックコポリマー（Ｈ−ＰＰ）の透明性や柔軟性をさらに良くするための改質剤の添加を妨げるものではないことは言うまでもない。このような改質剤としては以下のようなエラストマーが適当であり、少量の添加（２０重量％程度以下）で大きな効果がある（通常のポリプロピレンコポリマーの場合に比して少ない添加で済む）。
【００１１】
（イ）オレフィン系熱可塑性エラストマー：エチレンとプロピレン、ブテン−１、ヘキセン−１などのα−オレフィン類のうち非晶性もしくは低結晶性のポリマーが好適であり、添加効果、成形性などを考慮すると、エチレン含有量が２０〜８０重量％より好ましくは２５〜７５重量％、ＭＦＲ（温度２３０℃、荷重２１６０ｇで測定）が０．５〜１５より好ましくは１〜１０程度のものがよい。
【００１２】
（ロ）スチレン系熱可塑性エラストマー：ブロック（ポリスチレン−エチレンブチレンコポリマー−ポリスチレン）（いわゆるＳＥＢＳ）とブロック（ポリスチレン−エチレンプロピレンコポリマー−ポリスチレン）（いわゆるＳＥＰＳ）が好適であり、ポリスチレン含有量が１０〜６０重量％より好ましくは１５〜５５重量％、ＭＦＲ（温度２３０℃、荷重２１６０ｇで測定）が０．５〜２０さらに好ましくは１〜１５のものがよい。
【００１３】
また、医療容器用基材の用途に要求される柔軟性、透明性、強度、ガスバリアー性あるいは単層体か多層体かによって異なるが、一般にはシートでは全体の厚さが好ましくは０．０８〜１ｍｍさらに好ましくは０．１〜０．８ｍｍ程度がよく、多層体の場合はブロックコポリマー（Ｈ−ＰＰ）層が全体の厚さの７０％以上を占めるのがよい。チューブの場合では全体の厚さが０．３〜２．０ｍｍさらに好ましくは０．５〜１．５ｍｍ程度がよく、複層チューブでは該ブロックコポリマー（Ｈ−ＰＰ）が全体の７０％以上を占めるのがよい。
【００１４】
本発明において医療容器とは赤血球、血小板、血漿などの血液成分、生理食塩水、電解質液、デキストラン製剤、マンニトール製剤、糖類製剤、アミノ酸製剤、脂肪乳剤などの輸液を収容・保存・搬送する容器やチューブを意味するが、このような製品は通常公知の方法で得られる。容器の場合は、単層もしくは多層用のＴダイあるいはサーキュラーダイを介して押出し（溶融温度はポリマーの組合わせによって異なるが、好ましくは１６０〜２５０℃さらに好ましくは１８０〜２３０℃の範囲がよい）、得られたフラット状のシート、パリソンなどについて、ブロー、延伸、サーモフォーミング、裁断、融着（シール）などの手法を適宜活用して所定の形状・形態に加工すればよい。シートは無延伸物、延伸物いずれでもよいが、シール性を考えると無延伸物の方が好ましい。本発明の趣旨を損なわない範囲で、安定剤、着色剤、フィラー、スリップ剤などを添加したり、シート間のブロッキングを防ぐために容器の内面や外面を粗面化（エンボス加工）したりすることもできる。チューブの製造は通常の単層押出しあるいは多層押出しで行われ得る。
【００１５】
本発明の医療容器用基材の応用例として、いわゆる「複室容器」がある。例えば輸液の場合、アミノ酸とブドウ糖とを含む液はメイラード反応による変質が起こりやすいので、各成分を別々の閉鎖系に保存しておき、患者への投与の直前に混合することが多いが、この際混合操作を無菌的に（クローズドシステム）行うために、また容易に操作するために、複数の収容室に区画された容器を用い、該収容室の各々に異なる輸液成分を保存しておき、使用直前に区画された収容室を何らかの手段でクローズドシステム内で連通させ混合する方法が実用化されるようになった。ここで使われる容器が複室容器であり、その一つの方式がイージリィピーラブルタイプである。すなわち収容空間の隔壁部のシールを比較的安定でかつ混合時（使用時）には容易に破断できる接着強度としたものである。技術的ポイントは製造時あるいは輸送時においては収容空間の隔壁シールが比較的安定で破断しにくく、使用時（混合時）には手、治具などで容易に破断され得る程度のシール強度を持つ一方、外界（大気）とつながる境界部（容器周縁部）はこれらの操作によって破断しない位の大きな強度を示すことである。したがって、容器を形成する材質の選定が重要となるのであるが、本発明の医療容器用基材はシール強度を調節しやすく、透明性、柔軟性も実用的な範囲にあるので、イージリィピーラブルタイプの複室容器用材料として向いている（以下の実施例にも示した）。
【００１６】
【実施例】
以下実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
（１）実施例１〜５、比較例１，２
（１−１）実験方法
▲１▼原料ポリマーの準備：使用したポリマーおよび重合体組成物（いずれもペレット状）を以下に示す。
Ｘ_１：ランダムコポリマー（Ａ）成分中のプロピレン含量が９３モル％で、ブロックコポリマー中のプロピレン含量が８５モル％のＨ−ＰＰ。コモノマーはブテン−１で、ＭＦＲは１．８。
Ｘ_２：ランダムコポリマー（Ａ）成分中のプロピレン含量が９０モル％で、ブロックコポリマー中のプロピレン含量が７７モル％のＨ−ＰＰ。コモノマーはエチレンで、ＭＦＲは２．２。
Ｘ_３：ランダムコポリマー（Ａ）成分中のプロピレン含量が９５モル％で、ブロックコポリマー中のプロピレン含量が７０モル％のＨ−ＰＰ。コモノマーはブテン−１で、ＭＦＲは２．０。
Ｙ_１：プロピレン含量が８５モル％のポリプロピレンランダムコポリマー。コモノマーはブテン−１で、ＭＦＲは１．９。
Ｙ_２：プロピレン含量が７７モル％のポリプロピレンブロックコポリマー。コモノマーはブテン−１で、ＭＦＲは２．３。
Ｚ：プロピレン含量が９５モル％のポリプロピレンランダムコポリマー。コモノマーはエチレンで、ＭＦＲは１．７。
Ｓ：Ｘ_１とＳＥＢＳ（スチレン含有２０重量％、ＭＦＲ１．０）との重合体組成物（重量比９０：１０）。重合体組成物Ｓは、２軸溶融混合押出機を用いて溶融温度２００℃で混練することによって得た。
【００１７】
▲２▼シートの作製：上記▲１▼のポリマーまたは重合体組成物を適宜選択して、１９０〜２１０℃で溶融し、単層型または２種２層型のインフレダイから吐出させ（ブローアップ比１．２）、水冷リングで冷却後、５ｍ／分の速度で巻取って、厚さ０．０３ｍｍ，折径１５０ｍｍのインフレシートを得た。シート構成を表１に示す。
▲３▼容器の作製：▲２▼で得られたシートを２４０ｍｍ長に裁断し、熱シールしてバッグを作製し、生理食塩水５００ｍｌを入れて密封した。
▲４▼高圧蒸気滅菌テスト：▲３▼で得られた生理食塩水入り容器をレトルト型高圧蒸気滅菌機に入れ、温度１１０℃、ゲージ圧１．８ｋｇ／ｃｍ^２、時間６０分の条件で処理した。室温まで冷却後さらに３日間放置し、▲５▼および▲６▼の測定用サンプルとした。
▲５▼シート物性の測定：▲４▼の３日間放置後の容器シートを切り取り、波長４５０ｍｍにおける水中透過率を島津ダブルビーム型自記分光光度計ＵＶ−３００にて測定し、透明性の尺度とした。また、ＪＩＳＫ７１１３に準じて引張弾性率を測定し、柔軟性の尺度とした。
▲６▼容器（シート）表面の調査：▲４▼の３日間放置後の容器表面のべたつき状態を肉眼観察するとともに、手でさわって調べた。
▲７▼表面のしわ試験：▲４▼の３日間放置後の容器のシート部分を指でつまみ（約３秒間）、放した後のしわの状態を観察し、クレージングの発生の程度を調べる試験の代用とした。
▲８▼溶出物試験：日本薬局方一般試験法「輸液用プラスチック容器試験法」に準じて、▲２▼で得られたシートについて試験した。
【００１８】
（１−２）実験結果（表１参照）
【表１】

【００１９】
▲１▼シートの押出し成形は順調であり、いずれの組成においても、異物、発泡、ブロッキングなどは観察されず、均一なシートが得られた。
▲２▼実施例１〜５のシートの溶出物は、日本薬局方に適合することが観察された。
▲３▼表１から次のことが明らかである。
【００２０】
（イ）ポリプロピレンを主成分とするランダムコポリマー（Ａ）とポリエチレンもしくはポリブテン−１（Ｂ）とのブロックコポリマー（Ｈ−ＰＰ）を層成分として含むシートは透明性にすぐれており、柔軟性も（０．３０ｍｍ程度の肉厚では）ソフトバックとして十分通用する。
（ロ）Ｈ−ＰＰを層成分として含む容器（シート）は表面にべたつき現象が発生せず、しわ（クレージング）も問題にならない。
（ハ）単なるランダムコポリマーの場合（比較例１）には、透明性や柔軟性が良い領域ではシート表面にべたつきが発生しやすい（比較例２では容器表面が濡れていると感じられるほどのべたつき状態であった）。
（ニ）単なるブロックポリマーの場合（比較例２）には、透明性と柔軟性に劣る他、クレージングのために製品（容器）の品位に問題がある。
【００２１】
（２）実施例６，７（複室容器への応用）
（２−１）実験方法
▲１▼複室容器の作製：実施例３および５で使ったインフレシートを３５０ｍｍ長に裁断し、中央部の幅７ｍｍを温度１２０℃、圧力２ｋｇ／ｃｍ^２，時間５秒の条件で熱シール後、片方の室にアミノ酸３ｗｔ／Ｖ％水溶液、もう一方の室にブドウ糖１５ｗｔ／Ｖ％水溶液各３００ｍｌを入れ、両端を幅１０ｍｍ、温度１６０℃、圧力４ｋｇ／ｃｍ^２、時間５秒の条件で熱シールし、区画室が２個の薬液入り複室容器を作製した。それぞれを実施例６および７とする。
▲２▼高圧蒸気滅菌：▲１▼の容器を高圧蒸気滅菌機に入れ、窒素雰囲気下で、温度１１０℃、ゲージ圧１．８ｋｇ／ｃｍ^２、時間３０分の条件において滅菌し、室温まで冷却した。
▲３▼シール強度の測定：▲２▼の容器を窒素雰囲気中で３〜５日放置した後、容器の中央部（仕切り部）および端部（周縁部）のシール部を切り取り、３００ｍｍ／分の速度で１８０度剥離強度を測定し、１５ｍｍ幅の時のシール強度に換算した。
▲４▼容器の仕切り部の破断性（連通性）の評価：５日間放置後の▲２▼の容器を机の上に寝かせて置き、一方の区画室側を手で押さえる程度で、仕切り部のシールが破断するか否かを確認した（各例につき５回テスト）。
【００２２】
（２−２）実験結果
▲１▼シール強度：容器の仕切り部のシール強度は実施例６では０．４〜０．６ｋｇ／１５ｍｍ、実施例７では０．５〜０．６ｋｇ／１５ｍｍであった。また周縁部のシール強度は実施例６，７ともに２．４〜２．６ｋｇ／１５ｍｍであった。
▲２▼容器の仕切り部の破断性（連結性）：実施例６および実施例７ともに良好であり、容易に連通させることができた。上記▲１▼のシール強度のデータもこれを裏付けている。
【００２３】
【発明の効果】
以上詳述した如く、本発明の医療容器用基材はプロピレンを主成分とするランダムコポリマー（Ａ）とプロピレン以外のα−オレフィンを主成分とするブロックコポリマー（Ｂ）の特性を巧みに利用したものであり、透明性、柔軟性、耐熱性、外観などのバランスにすぐれている。また複室容器への応用も可能であり、生産性にも富むので、医療分野に有効に利用できる。[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a soft medical base material suitable for a container for storing and storing a liquid handled in the medical field such as blood and infusion, and a tube (connecting tube) for transport.
[0002]
[Prior art]
Materials for containers and tubes used in medical fields such as blood collection, blood transfusion, and transfusion require safety, hygiene, and various other properties. Among them, flexibility, transparency, and heat resistance (high-pressure steam sterilization) Gender) and their balance are important items. Typical examples of the polymer material for the above applications include soft polyvinyl chloride and ethylene-vinyl acetate copolymer, and polyethylene polymers such as low-density polyethylene. May cause problems. In the case of polyethylene, the balance between flexibility / transparency and heat resistance is lacking.Low density products have relatively good flexibility / transparency, but inevitably have a lower softening point, resulting in lower heat resistance. It cannot withstand high-pressure steam sterilization performed at 100 to 121 ° C., and easily causes blocking, devitrification (whitening), generation of avatar-like unevenness on the container surface, and deformation.
[0003]
Polypropylene is also a polymer widely used as a material for medical containers, and generally has sufficient heat resistance, but has high rigidity (poor flexibility) and requires some softening. As means for softening, (1) a flexible polymer, for example, a blend of an olefin-based elastomer or a styrene-based elastomer, and (2) a copolymerization. However, (1) requires the introduction of a large amount of a softening agent, and in addition to the problem of blocking due to an increase in the stickiness of the sheet surface, a decrease in formability and workability due to a decrease in sheet forming ability, and a high cost of the softening agent. Due to restrictions. In the case of (2), a random copolymer or a block copolymer containing ethylene or butene-1 as a comonomer is a typical example. In particular, a random copolymer type is advantageous in that it has excellent transparency. When the content is increased, not only the heat resistance is lowered due to a decrease in melting point, but also a low molecular weight component and an amorphous component are increased, so that a problem of stickiness on a product (container) surface occurs. On the other hand, the block copolymer type has an advantage of increasing impact resistance, but is inferior in transparency and flexibility. Further, crazing (a phenomenon in which, when stress is applied to a product, for example, when it is bent, fine cracks are generated on the surface or inside), the quality of the product is reduced.
[0004]
[Problems to be solved by the invention]
The present invention has been made to solve the drawbacks of the polypropylene-based medical base material among the above-mentioned problems of the prior art.
[0005]
[Means for Solving the Problems]
What the inventors have found is that the application of the so-called “hybrid copolymer” type of random and block leads to the solution of the problem. The random copolymer (A) containing propylene as a main component and α other than propylene -The present invention has been made to provide a medical substrate including a block copolymer with a polymer (B) having an olefin as a main component as a layer component.
[0006]
The polymer (hereinafter referred to as H-PP) in the base material of the present invention has the characteristics of a polypropylene-based random copolymer and a polypropylene-based block copolymer, and has good transparency and flexibility even when subjected to high-pressure steam sterilization. The present invention provides a medical material with a well-balanced performance because there is no sticky problem inherent to polypropylene.
[0007]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
H-PP can be produced by a generally known method. First, a random copolymer (A) of propylene and an α-olefin (ethylene, butene-1, hexene-1, etc.) is polymerized, and then an α-olefin (ethylene, butene-1, hexene-1, etc.) is added and polymerized. The method of continuing is generally. As a polymerization catalyst, a Ziegler-Natta catalyst is most widely used, and in some cases, a metallocene catalyst is used. Although depending on the degree of stereoregularity (isotactic or syndiotactic) and the content of head-to-head connection (tail-to-tail bond), H-PP applied to the medical container base material of the present invention is random. It is preferable that the propylene content in the copolymer (A) is 90 to 95 mol%, and the propylene content in the block copolymer (i.e., H-PP) is 70 to 85 mol%. If the propylene content in the random copolymer (A) is low, the flexibility increases, but the melting point decreases (heat resistance decreases). If the content of the polymer (B) mainly composed of α-olefin other than propylene is large, the flexibility is increased. However, undesirable phenomena such as crazing may occur. In consideration of moldability, mechanical properties of the molded product, and the like, the melt flow rate (MFR) at a temperature of 230 ° C. and a load of 2160 g is preferably 0.5 to 20, more preferably 0.8 to 15.
[0008]
Hereinafter, some supplementary explanations will be added for the H-PP in the present invention.
(1) The α-olefin in the random copolymer (A) and the polymer (B) do not necessarily mean that they are the same. That is, the comonomer (α-olefin) in (A) may be ethylene, and the monomer forming (B) may be butene-1.
(2) The comonomer (α-olefin) in the random copolymer (A) is not necessarily one kind, but may be two or more kinds. For example, (A) may be a terpolymer of propylene-ethylene-butene-1 (terpolymer).
The H-PP is generally of the (A)-(B) type (diblock type), but may be of the multi-block type, for example, the (A)-(B)-(A) type (triblock type).
[0009]
As described at the beginning, the base material for a medical container of the present invention contains a block copolymer of (A) and (B) as a layer component. In the case where the block copolymer (H-PP) alone is used, and (2) the base material is composed of a multilayer body having at least one block copolymer (H-PP) and at least one other polymer (or polymer composition). It means that there may be cases. (2) is used to adjust and improve the mechanical properties (strength, pinhole resistance, etc.), gas permeability (of oxygen, carbon dioxide, water vapor, etc.), moldability, heat sealability, etc. of the container. . Examples of the "other polymer" include polyethylene, polybutene-1, polyester, polyamide, ethylene vinyl alcohol copolymer, and the like, and polypropylene-based polymers (polypropylene homopolymer and polypropylene copolymer) other than the block copolymer (H-PP) in the present invention. However, it is needless to say that in order to make use of the gist of the present invention, it is better to make these polymer layers as thin as possible.
[0010]
It goes without saying that addition of a modifier for further improving the transparency and flexibility of the block copolymer (H-PP) in the present invention is not prevented. As such a modifier, the following elastomers are suitable, and a small amount of addition (about 20% by weight or less) has a great effect (addition is small compared to the case of ordinary polypropylene copolymer).
[0011]
(A) Olefin-based thermoplastic elastomer: Among α-olefins such as ethylene and propylene, butene-1, hexene-1, etc., amorphous or low-crystalline polymers are suitable, and the effects of addition, moldability, etc. are taken into consideration. Then, the ethylene content is preferably from 20 to 80% by weight, more preferably from 25 to 75% by weight, and the MFR (measured at a temperature of 230 ° C. under a load of 2160 g) of from about 0.5 to 15, more preferably about 1 to 10.
[0012]
(B) Styrene-based thermoplastic elastomer: Block (polystyrene-ethylenebutylene copolymer-polystyrene) (so-called SEBS) and block (polystyrene-ethylene propylene copolymer-polystyrene) (so-called SEPS) are suitable, and the polystyrene content is 10 to 60. More preferably, the MFR (measured at a temperature of 230 ° C. under a load of 2160 g) is 0.5 to 20 and more preferably 1 to 15.
[0013]
In addition, although the thickness varies depending on the flexibility, transparency, strength, gas barrier property, or single-layer or multilayer structure required for the use of the medical container base material, the overall thickness of the sheet is preferably 0.08 or more. The thickness is preferably about 0.1 to 0.8 mm, and in the case of a multilayer body, the block copolymer (H-PP) layer preferably occupies 70% or more of the entire thickness. In the case of a tube, the total thickness is preferably 0.3 to 2.0 mm, more preferably about 0.5 to 1.5 mm, and in a multi-layer tube, the block copolymer (H-PP) accounts for 70% or more of the whole. Is good.
[0014]
In the present invention, the medical container is a container that stores, stores, and transports infusions such as red blood cells, platelets, blood components such as plasma, physiological saline, electrolyte solution, dextran preparation, mannitol preparation, saccharide preparation, amino acid preparation, and fat emulsion. Although it refers to a tube, such products are usually obtained by known methods. In the case of a container, it is extruded through a single-layer or multilayer T-die or a circular die (the melting temperature varies depending on the combination of polymers, but is preferably 160 to 250 ° C, more preferably 180 to 230 ° C). The obtained flat sheet, parison and the like may be processed into a predetermined shape and form by appropriately utilizing techniques such as blowing, stretching, thermoforming, cutting, and fusion (sealing). The sheet may be either a non-stretched product or a stretched product, but a non-stretched product is more preferable in consideration of sealing properties. Adding a stabilizer, a coloring agent, a filler, a slipping agent, and the like, or roughening (embossing) the inner and outer surfaces of the container to prevent blocking between sheets within a range that does not impair the purpose of the present invention. You can also. The production of the tube can be carried out by conventional single-layer extrusion or multilayer extrusion.
[0015]
As an application example of the medical container base material of the present invention, there is a so-called “multi-chamber container”. For example, in the case of infusion, a solution containing an amino acid and glucose is liable to deteriorate due to the Maillard reaction, so each component is stored in a separate closed system and often mixed immediately before administration to a patient. In order to perform the mixing operation aseptically (closed system) and to easily operate, using a container partitioned into a plurality of storage rooms, storing different infusion components in each of the storage rooms, A method has been put to practical use in which a storage room partitioned immediately before use is communicated by some means in a closed system and mixed. The container used here is a multi-chamber container, one of which is an easy peelable type. That is, the seal of the partition wall portion of the housing space is relatively stable and has an adhesive strength that can be easily broken at the time of mixing (at the time of use). The technical point is that the partition seal of the storage space is relatively stable and difficult to break during manufacturing or transportation, and has a seal strength that can be easily broken by hand or jig when used (at the time of mixing). On the other hand, the boundary part (peripheral part of the vessel) connected to the outside world (atmosphere) has such a large strength that it is not broken by these operations. Therefore, it is important to select a material for forming the container. However, the medical container base material of the present invention can easily adjust the sealing strength, and the transparency and flexibility are within a practical range. It is suitable as a material for a rubble type double chamber container (also shown in the following examples).
[0016]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described in more detail with reference to Examples.
(1) Examples 1 to 5, Comparative Examples 1 and 2
(1-1) Experimental method (1) Preparation of raw polymer: The used polymer and polymer composition (all in pellet form) are shown below.
X ₁ : H-PP having a propylene content of 93 mol% in the random copolymer (A) component and a propylene content of 85 mol% in the block copolymer. The comonomer is butene-1 and the MFR is 1.8.
X ₂ : H-PP in which the propylene content in the random copolymer (A) component is 90 mol% and the propylene content in the block copolymer is 77 mol%. The comonomer is ethylene with an MFR of 2.2.
X ₃ : H-PP having a propylene content of 95 mol% in the random copolymer (A) component and a propylene content of 70 mol% in the block copolymer. The comonomer is butene-1 and the MFR is 2.0.
Y ₁ : a polypropylene random copolymer having a propylene content of 85 mol%. The comonomer is butene-1 and the MFR is 1.9.
Y ₂ : a polypropylene block copolymer having a propylene content of 77 mol%. The comonomer is butene-1 and the MFR is 2.3.
Z: a polypropylene random copolymer having a propylene content of 95 mol%. The comonomer is ethylene with an MFR of 1.7.
S: _{X 1} and SEBS (styrene content 20 wt%, MFR1.0) and the polymer composition (weight ratio 90:10). Polymer composition S was obtained by kneading at a melting temperature of 200 ° C. using a biaxial melt mixing extruder.
[0017]
(2) Preparation of sheet: The polymer or polymer composition of (1) is appropriately selected, melted at 190 to 210 ° C., and discharged from a single-layer or two-layer, two-layer inflation die (blow-up) After cooling with a water-cooled ring at a ratio of 1.2), the film was wound at a speed of 5 m / min to obtain an inflation sheet having a thickness of 0.03 mm and a folded diameter of 150 mm. Table 1 shows the sheet configuration.
(3) Preparation of container: The sheet obtained in (2) was cut into a length of 240 mm, heat-sealed to prepare a bag, and sealed with 500 ml of physiological saline.
(4) High-pressure steam sterilization test: The container containing the physiological saline obtained in (3) is put into a retort-type high-pressure steam sterilizer, and treated at a temperature of 110 ° C., a gauge pressure of 1.8 kg / cm ² and a time of 60 minutes. did. After cooling to room temperature, the sample was allowed to stand for another 3 days to obtain a measurement sample for (5) and (6).
(5) Measurement of sheet physical properties: The container sheet left after standing for 3 days in (4) was cut out, and the transmittance in water at a wavelength of 450 mm was measured with a Shimadzu double beam type self-recording spectrophotometer UV-300. did. In addition, the tensile modulus was measured according to JIS K7113 and used as a measure of flexibility.
(6) Inspection of the surface of the container (sheet): The sticky state of the container surface after standing for 3 days in (4) was visually observed and touched by hand.
(7) Surface wrinkle test: A test for grasping the degree of crazing by grasping the sheet portion of the container after leaving it for 3 days in (4) with a finger (about 3 seconds), observing the state of the wrinkle after releasing, and examining the degree of crazing. Instead of
(8) Dissolution test: The sheet obtained in (2) was tested according to the Japanese Pharmacopoeia General Test Method "Test Method for Plastic Container for Infusion".
[0018]
(1-2) Experimental results (see Table 1)
[Table 1]

[0019]
{Circle around (1)} The extrusion molding of the sheet was smooth, and no foreign matter, foaming, blocking, etc. were observed with any composition, and a uniform sheet was obtained.
{Circle around (2)} It was observed that the eluate of the sheets of Examples 1 to 5 conformed to the Japanese Pharmacopoeia.
(3) The following is clear from Table 1.
[0020]
(A) A sheet containing, as a layer component, a block copolymer (H-PP) of a random copolymer (A) mainly composed of polypropylene and polyethylene or polybutene-1 (B) is excellent in transparency and flexibility ( For a wall thickness of about 0.30 mm), it can be sufficiently used as a soft back.
(B) A container (sheet) containing H-PP as a layer component does not cause stickiness on its surface, and wrinkles (crazing) do not pose a problem.
(C) In the case of a simple random copolymer (Comparative Example 1), stickiness is likely to occur on the sheet surface in a region where transparency and flexibility are good (in Comparative Example 2, the container surface is so sticky that it feels wet). Condition).
(D) In the case of a simple block polymer (Comparative Example 2), transparency and flexibility are inferior, and there is a problem in the quality of a product (container) due to crazing.
[0021]
(2) Examples 6 and 7 (Application to a multi-chamber container)
(2-1) Experimental method (1) Preparation of multi-chamber container: The inflation sheet used in Examples 3 and 5 was cut into a length of 350 mm, and a width of 7 mm at the center was set to a temperature of 120 ° C., a pressure of 2 kg / cm ² , and a time. After heat sealing under the condition of 5 seconds, a 3 wt / V% aqueous solution of amino acid and 300 ml of a 15 wt / V% aqueous solution of glucose were put in one chamber and the other chamber was 10 mm in width, both ends 10 mm in width, temperature 160 ° C., pressure 4 kg / cm ^2. Heat sealing was performed for 5 seconds to prepare a multi-chamber container with two compartments. These are Examples 6 and 7, respectively.
(2) High-pressure steam sterilization: Put the container of (1) in a high-pressure steam sterilizer, sterilize it under a nitrogen atmosphere at a temperature of 110 ° C., a gauge pressure of 1.8 kg / cm ² , and a time of 30 minutes, and cool to room temperature. did.
(3) Measurement of seal strength: After leaving the container of (2) in a nitrogen atmosphere for 3 to 5 days, the central part (partition part) and the end part (peripheral part) of the container were cut off, and 300 mm / min. The peeling strength was measured at a speed of 180 ° and converted to a sealing strength at a width of 15 mm.
(4) Evaluation of breakability (communication) of the partition part of the container: After leaving the container of (2) after standing for 5 days, lay it on a desk and hold down one of the compartments by hand. Was checked to see if the seal was broken (5 tests for each example).
[0022]
(2-2) Experimental results (1) Seal strength: The seal strength of the partition part of the container was 0.4 to 0.6 kg / 15 mm in Example 6, and 0.5 to 0.6 kg / 15 mm in Example 7. Was. In addition, the seal strength at the periphery was 2.4 to 2.6 kg / 15 mm in both Examples 6 and 7.
{Circle around (2)} Breakability (connectivity) of the partition part of the container: both Examples 6 and 7 were good and could be easily communicated. The data of the seal strength in (1) above supports this.
[0023]
【The invention's effect】
As described in detail above, the medical container base material of the present invention skillfully utilizes the properties of a random copolymer (A) containing propylene as a main component and a block copolymer (B) containing α-olefins other than propylene as a main component. It has a good balance of transparency, flexibility, heat resistance and appearance. It can also be applied to a multi-chamber container and has high productivity, so it can be effectively used in the medical field.

Claims

A medical substrate comprising, as a layer component, a block copolymer of a random copolymer (A) having propylene as a main component and a polymer (B) having an α-olefin other than propylene as a main component , wherein the random copolymer (A) Is a random copolymer of propylene and ethylene or butene-1, the polymer (B) having the α-olefin as a main component is polyethylene or polybutene-1, and the propylene content in the random copolymer (A) is 90 to 95 mol%, and the propylene content in the block copolymer is 70 to 85 mol% .

The medical substrate according to claim 1, having a tensile modulus of 3000 kg / cm ² or less.

The medical substrate according to claim 1, wherein the medical substrate is a medical container substrate.

The medical substrate according to claim 1, wherein the medical substrate is a material for a medical multi-chamber container.

The medical base material is a material for a medical multi-chamber container, and is a material for an easily removable type having an adhesive strength that can stably seal a partition portion of a partitioned storage space and easily break when mixed. The medical substrate according to claim 1, which is a material for a chamber container.