JP3639527B2 - 受光方式センサ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は受光方式センサに係り、特に音響による振動板の振動変位を光の受光量の変化に対応する電気信号に変換して検出する受光方式センサに関する。
【0002】
【従来の技術】
図3は従来の受光方式センサの一例を示した機能ブロック図であり、図4は音響振動板(以下、「振動板」と称す)の周波数応答を表したグラフである。
図3に示すように、従来の受光方式センサは音響301による振動板303の移動量を知るために、面発光レーザー素子305(発光素子)から出射する光を振動板303に反射させ、戻ってくる反射光をフォトデテクタ307(受光素子)で受光していた。そして、フォトデテクタ307で受光したレーザー光の電流を電流電圧変換増幅器309を介して電圧変換し、さらに所望の増幅度をもった増幅器311を介して電圧出力313を得ていた。
【0003】
このとき、振動板303の音響301による振動板303の移動量は、音響301の周波数に対する応答特性を有し、図4に示すように「振動板303の周波数応答」は一般的に「共振周波数f0」を中心に局部的に凸な形状をもつことが多い。図3に示した受光方式センサは上記周波数特性を持つ振動板303の「音響による振動板303の移動量」を検知するために構成されている。したがって、電圧出力313(図3)は「振動板303の周波数応答」(図4)と同等の周波数応答特性を持った電圧を出力することとなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
以上のことから、検知可能な周波数帯域は「共振周波数f0」を中心に狭帯域に限定される。広帯域に検知可能な周波数帯域を得ようとすると、振動板303の周波数応答の「共振周波数f0」のQ(共振特性の鋭さを表す量)が小さい振動板303を選別選択する必要があった。このため、製造段階では「共振周波数f0」の設定仕上がりが生産の歩留まりを支配的にさせ、高歩留まりの受光方式センサを生産することは困難であった。
本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、振動板の移動量を検知できる周波数帯域を広帯域化し、生産歩留まりの高度化に寄与できる受光方式センサを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、振動板に対向して発光素子と受光素子とを配置し、前記振動板の両素子に対向する面に、前記振動板の固有周波数特性を平坦化する機械的音響周波数特性補正板を接合配置し、前記機械的音響周波数特性補正板に高域周波数特性補正穴と低域周波数特性補正穴とを設け、発光素子駆動回路から発光素子を介して振動板に放射された光の反射光を受光素子で受光して電気信号として取出すことにより、振動板の音響による振動変位を検出する受光方式センサにおいて、前記高域周波数特性補正穴及び前記低域周波数特性補正穴の断面形状がラッパ状、円筒状、球状、又は非対称形状であることを特徴とする。
前記受光方式センサにおいて、高域周波数特性補正穴及び低域周波数特性補正穴の断面途中に構造物を設けることができる。
【0006】
前記受光方式センサにおいて、高域周波数特性補正穴及び低域周波数特性補正穴の直径を可変制御する制御装置を具備することが好ましい。
前記受光方式センサにおいて、機械的音響周波数特性補正板をピエゾ素子で形成し、ピエゾ素子への印加電圧を変えて、高域周波数特性補正穴及び低域周波数特性補正穴の直径を可変制御する制御装置を具備することが好ましい。
前記受光方式センサにおいて、電気信号に対して周波数特性補正を行う第1の電気的周波数特性補正回路とを具備することが好ましい。
前記受光方式センサにおいて、第1の電気的周波数特性補正回路からの出力電圧の周波数特性補正を行い、発光素子駆動回路にフィードバックする第2の電気的周波数特性補正回路を具備することができる。
前記受光方式センサにおいて、第1及び第2の電気的周波数特性補正回路が、低域周波数帯の電圧周波数成分を取り除く手段と、高域周波数帯の電圧周波数成分を取り除く手段と、低域周波数帯の周波数応答成分を補正する手段と、高域周波数帯の周波数応答成分を補正する手段とを具備することが好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を詳細に説明する。ここで、図1は本発明の第1の実施の形態を示す受光方式センサの機能ブロック図、図2は本発明による電気的周波数補正回路を説明する処理構成図、図5及び図7は振動板の周波数応答(補正後)を説明するためのグラフ、図6は電圧出力の周波数応答(補正後)を説明するためのグラフ、図8は機械的音響構造周波数補正回路の全体斜視図、図9は機械的音響構造周波数補正板の断面図、周波数特性を示したグラフである。また、図10は本発明の第2の実施の形態を示す受光方式センサの機能ブロック図である。
【0008】
<第1の実施の形態>
図1に示すように、面発光レーザー素子駆動回路115で設定された光パワーをもつ出射レーザー光が、面発光レーザー素子105から振動板103に向かって出射される。面発光レーザー素子105から出射されたレーザー光は振動板103で反射され、フォトデテクタ107に戻り、電流電圧変換増幅器109で電圧に変換される。ここで、振動板103の前面には図8に示すような機械的音響周波数特性補正板807が配置されている。本実施の形態では、振動板103と機械的音響周波数特性補正板807とを組み合わせたものを機械的音響構造周波数特性補正回路121という。
【0009】
電流電圧変換増幅器109からの電圧は所望する増幅度を得るために増幅器111に送られる。増幅器111からの出力電圧は電気的周波数特性補正回路117によって周波数特性の補正が施され、電圧出力113として取り出される。
電気的周波数特性補正回路117からの出力は電圧出力113として取り出される一方、電気的周波数特性補正回路119にも入力される。そして、電気的周波数特性補正回路119からの出力は面発光レーザー素子駆動回路115にフィードバックされる。
【0010】
次に、図8を参照して「機械的音響構造周波数特性補正回路121」を説明する。図8に示すように本補正回路は振動板103と機械的音響周波数特性補正板807とで構成されており、機械的音響構造による「振動板103」の周波数特性補正をおこなう。なお、振動板103は図4に示す周波数応答特性を有しており、共振周波数f0を中心に上に凸な性質がある。
図8に示す振動板103の周波数応答特性は従来のそれと何ら変わりなく、機械的音響周波数特性補正板807の機械的音響構造によって、振動板103に対して周波数特性補正が施される。機械的音響周波数特性補正板807には高域周波数特性補正穴801と低域周波数特性補正穴805とが設けられている。これら2つの穴を通った音響はそれぞれの遮断周波数の影響を受け、振動板103に達するときには「振動板の周波数応答特性(図4)」とは逆特性の音響に変化補正される。
【0011】
図9(a)に機械的音響周波数特性補正板807の断面図を示す。
高域周波数特性補正穴801はその穴直径が振動板103との接合面側がA2、その反対側がA1で形成されている。一方、低域周波数特性補正穴805はその穴直径が振動板103との接合面側がB2、その反対側がB1で形成されている。
高域周波数特性補正穴801の周波数特性が図9(b)、低域周波数特性補正穴805の周波数特性が図9(c)である。よって、これら補正穴801及び805を通って振動板103に達した音響の周波数特性は、図9(d)の「合成後周波数特性補正穴周波数特性」のようになる。
【0012】
上記に説明した結果は図5の「機械的音響構造周波数特性補正特性」(曲線501)としてあらわれる。そして、機械的音響構造周波数特性補正後の「振動板103の周波数応答」は曲線503となり、平坦に近い周波数特性となる。
この結果「機械的音響構造周波数特性補正後の振動板103の周波数応答」は図6の曲線601に示す「電圧出力の周波数応答」を得ることができる。このとき、周波数応答は「共振周波数f0」を中心に上に凸な性質は残るが、約20dB程度の脈流特性を持つ振動板と等価な状態に改善される。
【0013】
次に、機械的音響構造周波数特性補正後の「振動板103の周波数応答」(図5の曲線503)から、振動板103の検知不要な「低域周波数帯」「高域周波数帯」それぞれの電圧周波数成分を取り除く。この際、低域阻止フィルタと高域阻止フィルタとを用いる。両フィルタを用いて阻止する周波数領域を図7に示す。図7の701が低域阻止フィルタによる阻止領域であり、703が高域阻止フィルタによる阻止領域である。
【0014】
図2に電気的周波数特性補正回路117内の処理構成図を示す。
同図に示すように、電気的周波数特性補正回路117内では最初に「低域阻止フィルタによる阻止領域117a」の電圧周波数成分が取り除かれ、次に「高域阻止フィルタによる阻止領域117b」の電圧周波数成分が取り除かれる。そして、「低域20dB周波数特性補正117c」が施されたのち、「高域20dB周波数特性補正117d」が施される。
この結果、振動板103の周波数特性は「最終的な補正による処理後の音響振動板の周波数応答特性」(図6の曲線603)のように約3dB程度の脈流をもつ周波数特性に改善される。
【0015】
<第2の実施の形態>
図10を参照して本発明の第2の実施の形態を説明する。なお、図1と同一のものには同一符号を用いその説明は省略する。
本実施の形態では、機械的音響構造周波数特性補正回路121の外部もしくは内部に補正周波数設定装置1001を設け、図9に示した機械的音響周波数特性補正板807断面の高域周波数特性補正穴801、低域周波数特性補正穴805の直径(A1、A2、B1、B2)を機械的に変化させる。
この場合、同板807をピエゾ素子で形成し、高域周波数特性補正穴801及び低域周波数特性補正穴805の直径(A1、A2、B1、B2)を電気的に変化させてもよい。
【0016】
以上、本発明の実施の形態を詳細に説明したが、本発明は上記説明に限定されず、機械的音響周波数特性補正板に高域周波数特性補正穴、低域周波数特性補正穴を1つのみ又は3つ以上設けてもよい。
また、本実施の形態では、高域周波数特性補正穴、低域周波数特性補正穴の断面形状をラッパ状としたが、円筒状、球状、もしくは非対称形状としてもよい。
さらに、高域周波数特性補正穴、低域周波数特性補正穴の穴断面の端面、もしくは穴断面途中に構造物を設けてもよい。
そして、上記のように、補正穴の数、形状、穴断面の端面又は途中の構造物によって「合成後周波数特性補正穴周波数特性」の形状をM型のみならず、1個もしくは2個以上の共振点ピークをもつ各種形状にすることが可能である。
【0017】
このように本発明によれば、「平坦な周波数特性をもつ振動板」の選択選別による取得が簡易に且つ廉価にできるようになった。
さらに、本発明によれば、受光方式センサによる振動板の移動量の検知可能周波数帯域の広帯域化が実現できる。
さらに、本発明によれば、選択選別による受光方式センサ生産歩留まりの高度化に寄与することが可能である。
【0018】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によると、振動板の移動量を検知できる周波数帯域を広帯域化し、生産歩留まりの高度化に寄与できる受光方式センサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す受光方式センサの機能ブロック図。
【図2】本発明による電気的音響構造周波数補正回路を説明する処理構成図。
【図3】従来の受光方式センサの一例を示した機能ブロック図。
【図4】振動板の周波数応答を表したグラフ。
【図5】振動板の周波数応答(補正後)を説明するためのグラフ。
【図6】電圧出力の周波数応答(補正後)を説明するためのグラフ。
【図7】振動板の周波数応答(補正後)を説明するためのグラフ。
【図8】機械的音響構造周波数補正回路の全体斜視図。
【図9】機械的音響構造周波数補正板の断面図。
【図10】本発明の第2の実施の形態を示す受光方式センサの機能ブロック図。
【符号の説明】
103,303 振動板
105,305 面発光レーザー素子
107,307 フォトデテクタ
117,119 電気的周波数特性補正回路
121 機械的周波数特性補正回路
807 機械的音響周波数特性補正板

Claims (7)

  1. 振動板に対向して発光素子と受光素子とを配置し、前記振動板の両素子に対向する面に、前記振動板の固有周波数特性を平坦化する機械的音響周波数特性補正板を接合配置し、前記機械的音響周波数特性補正板に高域周波数特性補正穴と低域周波数特性補正穴とを設け、発光素子駆動回路から前記発光素子を介して前記振動板に放射された光の反射光を前記受光素子で受光して電気信号として取出すことにより、前記振動板の音響による振動変位を検出する受光方式センサにおいて、
    前記高域周波数特性補正穴及び前記低域周波数特性補正穴の断面形状がラッパ状、円筒状、球状、又は非対称形状であることを特徴とする受光方式センサ。
  2. 請求項に記載の受光方式センサにおいて、
    前記高域周波数特性補正穴及び前記低域周波数特性補正穴の断面途中に構造物を設けたことを特徴とする受光方式センサ。
  3. 請求項1又は請求項のいずれかに記載の受光方式センサにおいて、
    前記高域周波数特性補正穴及び前記低域周波数特性補正穴の直径を可変制御する制御装置を具備したことを特徴とする受光方式センサ。
  4. 請求項に記載の受光方式センサにおいて、
    前記機械的音響周波数特性補正板をピエゾ素子で形成し、前記ピエゾ素子への印加電圧を変えて、前記高域周波数特性補正穴及び前記低域周波数特性補正穴の直径を可変制御する制御装置を具備したことを特徴とする受光方式センサ。
  5. 請求項1乃至請求項のいずれかに記載の受光方式センサにおいて、
    前記電気信号に対して周波数特性補正を行う第1の電気的周波数特性補正回路とを具備したことを特徴とする受光方式センサ。
  6. 請求項に記載の受光方式センサにおいて、
    前記第1の電気的周波数特性補正回路からの出力電圧の周波数特性補正を行い、前記発光素子駆動回路にフィードバックする第2の電気的周波数特性補正回路を具備したことを特徴とする受光方式センサ。
  7. 請求項又は請求項に記載の受光方式センサにおいて、
    前記第1及び第2の電気的周波数特性補正回路が、
    低域周波数帯の電圧周波数成分を取り除く手段と、
    高域周波数帯の電圧周波数成分を取り除く手段と、
    低域周波数帯の周波数応答成分を補正する手段と、
    高域周波数帯の周波数応答成分を補正する手段と
    を具備したことを特徴とする受光方式センサ。
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