JP3633090B2 - 音源装置および楽音のスペクトル成分分析方法 - Google Patents

音源装置および楽音のスペクトル成分分析方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、楽音のスペクトル成分を分析して分析パラメータを取得し、その分析パラメータに基づいて楽音を合成する楽音合成装置、およびそのような楽音合成装置に適用する楽音のスペクトル成分を分析する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、楽音のスペクトル成分を分析し、その周波数と強度(振幅値)とを分析パラメータとして取得して記憶しておき、この分析パラメータを用いて楽音を合成するタイプの音源が知られている(例えば、特開平5−108077号や特開平5−127676号)。
【0003】
図6は、そのような分析合成系音源の基本回路の一例を示すブロック図である。この音源は、分析部601、記憶部602、補間部603、シフト部604、および合成部605を有している。
【0004】
図7(A)に、分析部601の構成を示す。ただし、図7(A)の「フィルタバンク制御部」は、後述する発明の実施の形態の欄で説明する例のみで有効な部分であり、従来の分析部601はこの「フィルタバンク制御部」を備えていない。したがって、ここでは「フィルタバンク制御部」は無いものとして説明する。分析部601は複数(ここでは128個)のバンドパスフィルタ(BPF)を並列に接続した構成になっている。各BPFは0〜127チャンネルのチャンネルナンバで識別される。各BPFのバンド幅は125Hzであり、そのろ過帯域は、0チャンネル:0〜125Hz、1チャンネル:125〜250Hz、3チャンネル:250〜375Hz・・・・・・であり、0Hzから16kHzまで順に並べられている。
【0005】
図7(B)は、0〜127チャンネルのろ過帯域が並んだ様子を示している。さらに、これらのBPFはFFT(高速フーリエ変換)機能を有しており、BPFを通過するスペクトルの周波数データおよび強度データMagを検出することができる。周波数はバンド中心周波数からのずれとして検出されるが、このずれをバンド中心周波数に加算することにより絶対値の周波数データFreqが得られる。分析部601は上記のようにBPFアレイで構成できるほか、高速のFFTアナライザを用いて実現することもできる。チャンネル数やバンド幅は、任意に決定してよい。
【0006】
この分析部601にはPCM波形データが入力される。分析部601は、入力したPCM波形データを所定の時間間隔で分割した各フレームごとに(隣接するフレームがオーバーラップするようにしてもよい)、そのフレームの周波数データFreqと強度データMagを出力する。記憶部602は、各チャンネルの周波数データF と強度データM (第mフレームの第nチャンネルの周波数データをF で表し強度データをM で表す)を各フレームごとにテーブル化して記憶する。図8に、各フレームごとの周波数データF および強度データM を示す。1波形データに対応する複数フレームのテーブル群をボイスデータという。
【0007】
以上の分析部601による波形データの分析(ボイスデータ化)および記憶部602への記憶が、演奏以前に行なわれる前処理となる。
【0008】
補間部603は、記憶部602のボイスデータを読み出して、補間演算により各フレーム間の周波数データと強度データを求め、各サンプリングクロックごとの周波数データと強度データを形成する。補間は各チャンネルごとに同一チャンネルのデータを用いて行なわれる。算出されたデータはシフト部604に出力される。
【0009】
シフト部604は、鍵盤などで指定された音高(周波数)の楽音を発音するために、周波数データのみをシフトする回路である。サンプリングした波形データの周波数と指定された周波数とに基づいてシフト量が決定される。
【0010】
合成部605は、各チャンネルごとの周波数データおよび強度データを合成して、1個の波形データを合成する回路である。合成は、逆FFT合成を用いてもよく、加算合成を用いてもよい。
【0011】
記憶部602に記憶されているボイスデータを読み出して、各チャンネルごとに補間−シフトしたのち合成することにより楽音波形データが形成される。したがって、記憶部602−補間部603−シフト部604−合成部605の動作は演奏時のリアルタイム動作となる。
【0012】
以上の分析合成系音源は、自然楽器などの実際の音をサンプリングして電子音を形成することができるとともに、そのサンプリング波形データに対する加工も大幅に可能にしたものである。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来構成の分析合成系音源では、分析部601におけるスペクトル成分の分析は、図7(フィルタバンク制御部無しの構成)で説明したように、可聴帯域を均等分割的に並べたフィルタバンク(BPF)により分析していた。すなわち、各フィルタの中心周波数をピッチの整数倍とし、フィルタ帯域を一定としたBPFを並べる手法である。
【0014】
一方、ピアノなどの楽音は、非調和性を含む倍音構成を有している。図9は、非調和性を含む倍音構成図である。実線で示す実際の倍音周波数位置は、非調和性を含んでいるため、点線で示す純整数次の倍音周波数位置からずれている。特に、ピアノ音などでは周波数が高くなるほど、基本周波数の整数倍からずれる傾向があり、さらにタッチによってもそのずれ方が変わる。そのため、上述のような純整数次の倍音周波数位置を基準として均等分割的にBPFを並べたフィルタバンクにより分析すると、非調和性の程度や楽音の変動によっては分析チャンネルの帯域から外れる成分も生じる可能性があり、全く使用されないチャンネルが存在することによりチャンネル数が無駄になったり、チャンネル成分の追跡に手間がかかる(例えば、倍音位置がチャンネルの境界付近に位置するため、どちらのチャンネルに入れるか判断しなければならないケースが増える)という問題点があった。
【0015】
この発明は、分析合成系の音源において、ピアノなどの非調和性をもつ楽音を効率よく、かつ正確に分析し、質の高い分析パラメータを得ることができるようにすることを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、請求項1に係る音源装置は、分析対象の楽音波形データをスペクトル分析して、所定時間フレームごとにスペクトルの周波数データを求める第1の分析手段と、前記第1の分析手段による分析の結果、得られた周波数データに基づいて、スペクトル分析に用いるフィルタバンクの各フィルタの中心周波数を決定するフィルタバンク決定手段と、前記フィルタバンク決定手段で決定した中心周波数のフィルタからなるフィルタバンクを用いて、分析対象の楽音波形データをスペクトル分析し、所定時間フレームごとにスペクトルの周波数データおよび強度データを求める第2の分析手段と、前記第2の分析手段で分析した各時間フレームごとのスペクトル周波数および強度を分析パラメータとして記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された分析パラメータを順次読み出して楽音波形データを合成する合成手段とを備えたことを特徴とする。
【0017】
請求項2に係る音源装置は、分析対象の楽音波形データをスペクトル分析して、所定時間フレームごとにスペクトルの周波数データおよび強度データを求める第1の分析手段と、前記第1の分析手段による分析の結果、得られた周波数データおよび強度データに基づいて、スペクトル分析に用いるフィルタバンクの各フィルタの中心周波数および帯域幅を決定するフィルタバンク決定手段と、前記フィルタバンク決定手段で決定した中心周波数および帯域幅のフィルタからなるフィルタバンクを用いて、分析対象の楽音波形データをスペクトル分析し、所定時間フレームごとにスペクトルの周波数データおよび強度データを求める第2の分析手段と、前記第2の分析手段で分析した各時間フレームごとのスペクトル周波数および強度を分析パラメータとして記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された分析パラメータを順次読み出して楽音波形データを合成する合成手段とを備えたことを特徴とする。
【0018】
請求項3に係る音源装置は、分析対象の楽音波形データをスペクトル分析して、所定時間フレームごとにスペクトルの周波数データおよび強度データを求める第1の分析手段と、前記第1の分析手段による分析の結果、得られた周波数データおよび強度データに基づいて、分析対象の楽音波形データの各部分音の周波数を示すスペクトル構造式を特定するスペクトル構造式特定手段と、求めたスペクトル構造式に基づいて、スペクトル分析に用いるフィルタバンクの各フィルタの中心周波数および帯域幅を決定するフィルタバンク決定手段と、前記フィルタバンク決定手段で決定した中心周波数および帯域幅のフィルタからなるフィルタバンクを用いて、分析対象の楽音波形データをスペクトル分析し、所定時間フレームごとにスペクトルの周波数データおよび強度データを求める第2の分析手段と、前記第2の分析手段で分析した各時間フレームごとのスペクトル周波数および強度を分析パラメータとして記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された分析パラメータを順次読み出して楽音波形データを合成する合成手段とを備えたことを特徴とする。
【0019】
請求項4に係る楽音のスペクトル成分分析方法は、分析対象の楽音波形データをスペクトル分析し、所定時間フレームごとにスペクトルの周波数データおよび強度データを求める楽音のスペクトル成分分析方法であって、分析対象の楽音波形データをスペクトル分析して、所定時間フレームごとにスペクトルの周波数データを求める第1の分析ステップと、前記第1の分析ステップによる分析の結果、得られた周波数データに基づいて、スペクトル分析に用いるフィルタバンクの各フィルタの中心周波数を決定するフィルタバンク決定ステップと、前記フィルタバンク決定ステップで決定した中心周波数のフィルタからなるフィルタバンクを用いて、分析対象の楽音波形データをスペクトル分析し、所定時間フレームごとにスペクトルの周波数データおよび強度データを求める第2の分析ステップとを備えたことを特徴とする。
【0020】
請求項5に係る楽音のスペクトル成分分析方法は、分析対象の楽音波形データをスペクトル分析し、所定時間フレームごとにスペクトルの周波数データおよび強度データを求める楽音のスペクトル成分分析方法であって、分析対象の楽音波形データをスペクトル分析して、所定時間フレームごとにスペクトルの周波数データおよび強度データを求める第1の分析ステップと、前記第1の分析ステップによる分析の結果、得られた周波数データおよび強度データに基づいて、スペクトル分析に用いるフィルタバンクの各フィルタの中心周波数および帯域幅を決定するフィルタバンク決定ステップと、前記フィルタバンク決定ステップで決定した中心周波数および帯域幅のフィルタからなるフィルタバンクを用いて、分析対象の楽音波形データをスペクトル分析し、所定時間フレームごとにスペクトルの周波数データおよび強度データを求める第2の分析ステップとを備えたことを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いてこの発明の実施の形態を説明する。
【0022】
ここで説明するこの発明にかかる分析合成系音源の構成は、図6で説明したものとほぼ同じである。ただし、図6の従来の音源では、分析部601で可聴帯域を均等分割的に並べたフィルタバンクを用いて分析を行なっているが、この発明では以下の▲1▼〜▲3▼のようにしてフィルタバンクの各BPFの中心周波数および帯域幅を決定することを特徴としている。また、図6の従来の音源の分析部601は、図7(フィルタバンク制御部無しの構成)で説明したように固定の中心周波数と帯域幅のフィルタバンクを用いているが、以下で説明するこの発明に係る音源では図7でフィルタバンク制御部を有する構成の分析部601を備えている。フィルタバンク制御部は、記憶部602のデータなどに応じて後述する図2の手順に基づきフィルタバンクの各フィルタの特性(中心周波数と通過帯域幅)を制御する。
【0023】
▲1▼あらかじめ、原音を周波数分析(FFT,フェイズボコーダ)したり、あるいは近似式を用いたりして、各部分音が基本周波数の整数倍からどれくらいずれているかを求める。
【0024】
▲2▼上記▲1▼で求めたずれに応じてフィルタバンクの各BPFの中心周波数をずらし、各部分音が一つづつ各チャンネルに収まるように、各フィルタバンクの中心周波数を決定する(図7(A)のフィルタバンク制御部の制御による)。
【0025】
▲3▼フィルタバンク全体の周波数特性をフラットにするために、各チャンネルの帯域幅を▲1▼で求めたずれに応じて広げたり縮めたりし、各フィルタバンクの帯域幅(バンド幅)を決定する(図7(A)のフィルタバンク制御部の制御による)。
【0026】
なお、以下ではピアノ音を分析する例を説明する。ピアノのような弦楽器の弦は、弾性の影響のために高い周波数の波動ほど速く伝搬する分散性を持つ。したがって、ピアノ音には非調和性が現れる。フレッチャーら(H.Fletcher, E.D.Blackham, and R.Stratton, ”Quality of piano tones”, J.A.S.A.34,794−761(1962))によれば、各部分音の周波数fnは以下の数式(1)のようになる。
fn=nfpitch(1+Bn1/2 (1)
B:弦の定数 fpitch:基本周波数
【0027】
以下では、このような非調和性を持つピアノ音を分析する際のフィルタバンクの各フィルタの中心周波数および帯域幅の決定の仕方について説明する。
【0028】
図1(A)は、従来の分析合成系音源による分析のためのフィルタバンク(従来の技術の欄で説明した図7(フィルタバンク制御部無しの構成)と同様のもの)を示す。分析対象の原音の各部分音の周波数はピッチの整数倍であると仮定し、各フィルタの中心周波数はピッチの整数倍とし、各フィルタの通過帯域幅は全て一定としている。
【0029】
このような従来の分析のためのフィルタバンクに対し、この発明では図1(B)のようなフィルタバンクを設定する。すなわち、ピアノ音の各部分音の周波数はピッチの整数倍からずれているため、各フィルタの中心周波数は実際のピアノ音の各部分音のずれ具合に応じて設定し、各フィルタの通過帯域幅もそのずれ方に応じて広げていき、フィルタバンク全体の帯域を万遍なく覆うようにする。各フィルタの中心周波数は、実際にピアノ音を分析して各部分音の周波数のずれ具合を求め、それに応じて決定する。また、上記数式(1)のように各部分音の周波数fnが数式により求められる場合は、その数式に応じて各フィルタの中心周波数を決定してもよい。さらに、実際に原音を分析して各部分音の周波数を求める方法と数式を用いて中心周波数を求める方法とを併用してもよい。
【0030】
図1(C)は、ピアノ音分析のためのフィルタバンクの別の例を示す。このフィルタバンクでは、各フィルタの中心周波数は図1(B)と同様にしてずらすが、各フィルタの通過帯域幅はすべて一定(例えば、原音のピッチの2倍)とする。これは計算を簡略化するためであり、ここでは各部分音のずれは小さくチャンネルのオーバラップ部で起こる特性のでこぼこがほとんど無視できると仮定している。
【0031】
次に、実際にPCMデータから分析データを得るまでの手順を詳しく説明する。図2は、ピアノ音の分析の手順を示すフローチャートである。なお、ここでは以下の点を前提としている。すなわち、ピアノ音は、ピッチと部分音の周波数が時間的および構成的に大きく変わることはなく、音の立ち上がりから消えるまで固定のフィルタバンクで分析できる。また、同じキーを強弱を変えて弾いても、ピッチと部分音の周波数が時間的に大きく変わることはなく、強弱を変えたいくつかの音を一つの固定フィルタバンクで分析できる。
【0032】
図2を参照して分析の手順を説明する。まずステップ201で、あらかじめ用意されたPCMデータを読み込む。PCMデータは、強度が強い(強いタッチで演奏したピアノ音)もの、中程度のもの、および弱いものの3種類で音高の同じものを読み込むものとする。ただし、強度が強いピアノ音ほど倍音周波数位置が基本周波数の整数倍からずれる傾向があるので、ここでは始めに強度が強いピアノ音を用いてフィルタバンクの各フィルタの中心周波数と帯域幅を決定し、そのフィルタバンクを用いて強中弱の3段階の強度の各ピアノ音を分析するものとする。
【0033】
次に、ステップ202で、分析領域の指定あるいは検索を行なう。これは、分析領域としてアタック部以降の安定部分を取り出す処理である。アタック部はレベルの変動が激しいため、アタック部以降の安定部分を分析領域としている。図3に、強中弱の3段階の強度の各ピアノ音の安定部分の例を示す。
【0034】
ステップ203では、この分析領域の所定時間フレームごとのスペクトル分析と部分音成分抽出を行なう。ここでの分析は、安定した部分音を見つけるためのものなので、周波数分解能が適当に細かければよく、とりあえず適当な条件で分析すればよい。例えば、フェイズボコーダ(均等分けのフィルタバンク分析)でもFFTでもよい。具体的には、所定時間フレームごとに、部分音スペクトル成分[FREQk,MAGk]mを求める。[FREQk,MAGk]mは、第mフレームの部分音スペクトル成分を示す。FREQkおよびMAGkは、第mフレームの第k番目の部分音の周波数データおよび強度データを示す。フレームごとに、所定個数の部分音の周波数データおよび強度データを抽出するものとする。
【0035】
次に、ステップ204で、部分音ごとに強度の時間的平均MAGavr k、周波数の時間的平均FREQavr k、および周波数の分散FREQsc kを求める。なお、添字avrは時間的平均を示し、添字scは分散を示す。添字kは、第k番目の部分音に関するデータであることを示す。次に、ステップ205で、分散FREQsc kの小さい比較的安定したレベルの大きい部分音を倍音として抽出し、その各次数nを求める。これは、レベルが充分大きく安定している部分音を見つけ、それが第何倍音がずれたものかを数える処理である。求めた部分音に関する周波数データおよび強度データを[FREQn,MAGn]mとして記憶しておく。
【0036】
次に、ステップ206で、ステップ205で求めた結果から、上記数式(1)のスペクトル構造式の係数fpitch,Bを算出する。そして、ステップ207で、求めたfpitch,Bと数式(1)のスペクトル構造式に基づいてfnを求めて中心周波数fnとし、その中心周波数fnとした分析チャンネルで、あらかじめ用意されている同じ音高で異なる強度(強中弱の3段階)の演奏音を分析し、スペクトルデータを作成して記憶する。なお、ステップ207における分析チャンネルは、例えば中心周波数fnに対して、帯域は(fn−fn/2)〜(fn+fn/2)などとすればよい。分析対象の楽音が比較的ピッチの安定したもの(ピアノ音も該当する)ならば、帯域は所定値固定でもよい。この例では、分析フィルタはオーバラップ部分を持たせて使っている。オーバラップ領域内に入った音成分をどちらのチャンネルで扱うかは、音成分がどちらの中心周波数により近いかで振り分けてチャンネル配分している。なお、上記の帯域の決め方の他、((fn−1+fn)/2)〜((fn+fn+1)/2)というような帯域となるようにしてもよいし、さらに他の帯域の決め方でもよい。
【0037】
以上のようにして、何段階かの演奏態様の楽音スペクトルデータ(分析パラメータ)を作成しておき、演奏再生は従来技術の欄で説明したように行なう。すなわち、補間処理によって演奏に対応したスペクトルデータを生成し、正弦波加算合成を行なう。したがって、種々の音高、種々のタッチ(演奏対応)に対応したスペクトルデータを作成記憶しておくのがよい。
【0038】
図4および図5に、上記の手順で分析した結果を示す。ここでは、強いタッチで弾いた音高がA1のピアノ音の分析結果を示す。図4が各時間フレームの周波数を示すグラフであり、図5が各時間フレームの振幅強度を示すグラフである。なお、図4ではCH0(基音)を除いた、倍音だけの分析結果を示してある。
【0039】
なお、上記の発明の実施の形態において、各部の構成はハードウェアおよびソフトウェアのどちらを用いても、あるいは併用しても良い。マイクロプロセッサやディジタル信号処理プロセッサあるいはパソコンなどを用いたシステムとして構成することも可能である。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、分析合成系の音源において分析対象の楽音波形データを一旦適当な条件でスペクトル分析し、その結果に基づいてスペクトル分析に用いるフィルタバンクの各フィルタの中心周波数や帯域幅を決定し、その後、そのフィルタバンクを用いて分析パラメータを得るようにしているので、ピアノなどの非調和性をもつ楽音であっても、倍音がフィルタの帯域にほとんど含まれるようにして分析することができる。したがって、チャンネル数の無駄が排除でき、倍音がフィルタの帯域の境界付近に位置してその分析に手間がかかるというようなことがない。すなわち、ピアノなどの非調和性をもつ楽音を効率よく、かつ正確に分析し、質の高い分析パラメータを得ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】分析合成系音源における分析のためのフィルタバンクを示す図
【図2】本発明に係るピアノ音の分析の手順を示すフローチャート図
【図3】強中弱の3段階の強度の各ピアノ音の安定部分を示す図
【図4】本発明に係る手順で分析した各時間フレームの周波数を示す図
【図5】本発明に係る手順で分析した各時間フレームの振幅強度を示す図
【図6】従来の分析合成系音源のブロック構成図
【図7】分析部の構成を示す図
【図8】各フレームごとの周波数データFmnおよび強度データMmnを示す図
【図9】非調和性を含む倍音構成図
【符号の説明】
601…分析部、602…記憶部、603…補間部、604…シフト部、605…合成部。

Claims (5)

  1. 分析対象の楽音波形データをスペクトル分析して、所定時間フレームごとにスペクトルの周波数データを求める第1の分析手段と、
    前記第1の分析手段による分析の結果、得られた周波数データに基づいて、スペクトル分析に用いるフィルタバンクの各フィルタの中心周波数を決定するフィルタバンク決定手段と、
    前記フィルタバンク決定手段で決定した中心周波数のフィルタからなるフィルタバンクを用いて、分析対象の楽音波形データをスペクトル分析し、所定時間フレームごとにスペクトルの周波数データおよび強度データを求める第2の分析手段と、
    前記第2の分析手段で分析した各時間フレームごとのスペクトル周波数および強度を分析パラメータとして記憶する記憶手段と、
    前記記憶手段に記憶された分析パラメータを順次読み出して楽音波形データを合成する合成手段と
    を備えたことを特徴とする音源装置。
  2. 分析対象の楽音波形データをスペクトル分析して、所定時間フレームごとにスペクトルの周波数データおよび強度データを求める第1の分析手段と、
    前記第1の分析手段による分析の結果、得られた周波数データおよび強度データに基づいて、スペクトル分析に用いるフィルタバンクの各フィルタの中心周波数および帯域幅を決定するフィルタバンク決定手段と、
    前記フィルタバンク決定手段で決定した中心周波数および帯域幅のフィルタからなるフィルタバンクを用いて、分析対象の楽音波形データをスペクトル分析し、所定時間フレームごとにスペクトルの周波数データおよび強度データを求める第2の分析手段と、
    前記第2の分析手段で分析した各時間フレームごとのスペクトル周波数および強度を分析パラメータとして記憶する記憶手段と、
    前記記憶手段に記憶された分析パラメータを順次読み出して楽音波形データを合成する合成手段と
    を備えたことを特徴とする音源装置。
  3. 分析対象の楽音波形データをスペクトル分析して、所定時間フレームごとにスペクトルの周波数データおよび強度データを求める第1の分析手段と、
    前記第1の分析手段による分析の結果、得られた周波数データおよび強度データに基づいて、分析対象の楽音波形データの各部分音の周波数を示すスペクトル構造式を特定するスペクトル構造式特定手段と、
    求めたスペクトル構造式に基づいて、スペクトル分析に用いるフィルタバンクの各フィルタの中心周波数および帯域幅を決定するフィルタバンク決定手段と、前記フィルタバンク決定手段で決定した中心周波数および帯域幅のフィルタからなるフィルタバンクを用いて、分析対象の楽音波形データをスペクトル分析し、所定時間フレームごとにスペクトルの周波数データおよび強度データを求める第2の分析手段と、
    前記第2の分析手段で分析した各時間フレームごとのスペクトル周波数および強度を分析パラメータとして記憶する記憶手段と、
    前記記憶手段に記憶された分析パラメータを順次読み出して楽音波形データを合成する合成手段と
    を備えたことを特徴とする音源装置。
  4. 分析対象の楽音波形データをスペクトル分析し、所定時間フレームごとにスペクトルの周波数データおよび強度データを求める楽音のスペクトル成分分析方法であって、
    分析対象の楽音波形データをスペクトル分析して、所定時間フレームごとにスペクトルの周波数データを求める第1の分析ステップと、
    前記第1の分析ステップによる分析の結果、得られた周波数データに基づいて、スペクトル分析に用いるフィルタバンクの各フィルタの中心周波数を決定するフィルタバンク決定ステップと、
    前記フィルタバンク決定ステップで決定した中心周波数のフィルタからなるフィルタバンクを用いて、分析対象の楽音波形データをスペクトル分析し、所定時間フレームごとにスペクトルの周波数データおよび強度データを求める第2の分析ステップと
    を備えたことを特徴とする楽音のスペクトル成分分析方法。
  5. 分析対象の楽音波形データをスペクトル分析し、所定時間フレームごとにスペクトルの周波数データおよび強度データを求める楽音のスペクトル成分分析方法であって、
    分析対象の楽音波形データをスペクトル分析して、所定時間フレームごとにスペクトルの周波数データおよび強度データを求める第1の分析ステップと、
    前記第1の分析ステップによる分析の結果、得られた周波数データおよび強度データに基づいて、スペクトル分析に用いるフィルタバンクの各フィルタの中心周波数および帯域幅を決定するフィルタバンク決定ステップと、
    前記フィルタバンク決定ステップで決定した中心周波数および帯域幅のフィルタからなるフィルタバンクを用いて、分析対象の楽音波形データをスペクトル分析し、所定時間フレームごとにスペクトルの周波数データおよび強度データを求める第2の分析ステップと
    を備えたことを特徴とする楽音のスペクトル成分分析方法。
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