JP3631911B2 - 遠心載荷実験装置の振動台の支持装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、遠心載荷実験装置の振動台の支持装置に関し、特に、入力波が忠実にそのままに出力される遠心載荷実験装置の振動台の支持装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
【0003】
ビルのような構築物は、地盤上に建設される。その地盤の実物試験は、その構築物が完成した後でなければ行うことができない。巨大な荷重が作用する地盤のような試験体の事前の試験を行うために、大きい重力場を仮想的に生成する遠心載荷装置が用いられている。その遠心載荷装置には、試験体を載荷するためのバケットとバランスウエイトを載置するためのバケットが、回転台の回転軸心線に対して対称に配置され揺動自在に吊り下げられている。
【0004】
このような遠心載荷装置は、静的載荷実験と併行して動的載荷実験が行われる。動的載荷実験は、バケットに載荷される試験体に振動のような動的な力を作用させてその試験体の物理的性質を知るための動的実験である。この動載荷実験では、振り上げられたバケット中に支持されている振動台に振動力が付与される。振動台は、バケットに固定されている静的軸受(転動ローラを用いたリニア軸受)、摺動案内体のような支持台上に往復運動自在に支持される。そのような振動台に加振力が与えられる。その振動台は、巨大な重力に相当する遠心力を受けてその支持台に支持されている。
【0005】
振動台に図6(a)に表されるような滑らかな振動波が入力されるとき、その振動台が出力する出力波は、巨大な遠心力に基づく摩擦力によるスティックスリップが発生して、図6(b)に表されるような乱れた波になる。振動試験台上の試験対象物体の物理量の測定信号である電気信号は、そのような乱れた波形の影響を受け、高精度な物理実験が阻まれている。振動試験台に入力する振動波と振動試験台が出力する振動波が高精度に一致することが望まれる。更には、巨大な遠心力を受ける支持台上にそのような一致性を保持する装置は、小型軽量であることが望まれる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、振動試験台に入力する振動波と振動試験台が出力する振動波が高精度に一致する遠心載荷実験装置の振動台の支持装置を提供することにある。
本発明の他の課題は、巨大な遠心力を受ける支持台上にそのような一致性を保持する装置が小型軽量である遠心載荷実験装置の振動台の支持装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
その課題を解決するための手段が、下記のように表現される。その表現中の請求項対応の技術的事項には、括弧()つきで、番号、記号等が添記されている。その番号、記号等は、請求項対応の技術的事項と実施の複数・形態のうちの少なくとも1つの形態の技術的事項との一致・対応関係を明白にしているが、その請求項対応の技術的事項が実施の形態の技術的事項に限定されることを示すためのものではない。
【0008】
本発明による遠心載荷実験装置の振動台の支持装置は、遠心載荷実験装置の振上バケット(7)に搭載される振動台(21)を支持するための遠心載荷実験装置の振動台の支持装置であり、振上バケット(7)に支持され振動台(21)を支持する支持体(28)からなり、支持体(28)は、振動台(21)の振動方向にゴム弾性を有しているゴム弾性体である。
【0009】
ゴム弾性体(28)は、巨大な重力相当の遠心力が作用する苛酷な環境で、振動台(21)に入力される加振力をそのままその振動台(21)から出力させることができる。
【0010】
支持体(28)は、振動方向に直交する方向に複数のゴム弾性体が重ねられていることが特に好ましい。積層構造の各ゴム弾性体が、スティックスリップの発生を順次に抑制する。複数のゴム弾性体のそれぞれが変位に概ね比例する復元力を持つことは特に好ましい。振動台(21)の変位に相応してフックの法則に近似する復元力を持つ各ゴム弾性体は、スティックスリップの発生を特に有効に抑制する。
【0011】
【発明の実施の形態】
図に一致対応して、本発明による遠心載荷実験装置の振動台の支持装置の実施の形態には、回転駆動機構が設けられている。その回転駆動機構は、基台1を備えている。回転軸2は、基台1に回転自在に支持されている。回転軸2の回転軸心線3は、地面に一致する水平面に直交している。回転軸2は、減速用ギアボックス4と軸継手を介して主電動機5に結合している。回転台6が、回転軸2に結合している。回転台6は左右の両腕から形成され、設計上は概ね回転軸心線3に対して対称な構造を有している。
【0012】
試験体用保持器(振上バケット)7とバランスウエイト用保持器8とが、回転軸心線3に対して対称に配置され、回転台6に支持されて揺動可能に吊り下げられている。試験体用保持器7とバランスウエイト用保持器8は、回転軸心線3に対して設計上は概ね互いに対称である構造を有している。試験体用保持器7とバランスウエイト用保持器8は、それぞれに吊下用軸9,11により回転自在・揺動自在に支持されている。吊下用軸9,11は、それぞれに水平に向いて平行であり、回転台6に固定されている。試験体用保持器7とバランスウエイト用保持器8には、それぞれに、試験体12とバランスウエイト13とが載荷される。
【0013】
図2は、試験体用保持器7に搭載される振動台を示している。その振動台21は、試験体用保持器7の床面22の上方に可動受けを介して往復運動可能に支持されている。ここで上方とは、図1に示されるように回転台6が静止している時の鉛直方向・上方を意味し、且つ、回転台6が規定回転数で回転する時の遠心力方向に対して逆方向である求心方向を意味する。その求心方向は、概ね水平方向である。
【0014】
試験体用保持器7の上面側に、流体圧給排装置23と加振機24とが載置されている。加振機24は、シリンダ25とピストン26とで形成されている。シリンダ25の中で、ピストン26の両側に、圧力流体が交互に給排される両側シリンダ室が形成されている。流体圧給排装置23から、正負圧の流体が両側シリンダ室に交互に給排される。その流体の正負圧を受けて、ピストン26が1直線上で往復運動する。ピストン26と一体のピストンロッド27が、振動台21に連結されている。
【0015】
その可動受け28は、ピストン26により駆動される振動台21の往復運動の方向即ちX軸方向に変位・変形することができる線形変形可能体28である。線形変形可能体28は、ばね定数を有し、そのばね力Fは、近似的に、
F=kX.・・・(1)
で示される。ここでXは、基準位置から線形変形可能体28がX軸方向に変位した時の変位(長さ)である。
【0016】
線形変形可能体28は、図3に示されるように、上側鉄板層31と、下側鉄板層32と中間層33とから形成されている。中間層33は、上側鉄板層31と下側鉄板層32との間に上下方向(遠心力方向に)に挟まれている。中間層33は、12層の弾性的変位層33−1,2〜12から形成されている。その12層は、上下方向に重ね合わされている。
【0017】
上側鉄板層31と第1変位層33−1とは、適正な接合剤により剥離しないように溶着接合されている。下側鉄板層32と第12変位層33−12とは、同じ適正な接合剤により剥離しないように溶着接合されている。上下に重なり合う変位層どうしは、異なる適正な接合剤により剥離しないように溶着接合されている。複数・変位層33−nは、式(1)にそれぞれに従って近似的に変形する弾性を有していることが好ましい。
【0018】
このような線形変形可能体28が、図4に示されるように、配置されている。線形変形可能体28は、合計で9体が用いられている。9体の線形変形可能体28が、9カ所に均等に配置され、振動台21を上方側に支持している。上側鉄板層31が振動台21にボルトのような固着手段により固定されて取り付けられ、下側鉄板層32が試験体用保持器7にボルトのような固着手段により固定されて取り付けられている。
【0019】
線形変形可能体28が無変形の時に、振動台21は最小加速度を受ける。線形変形可能体28が最大に変形した時に、振動台21は最大加速度を受ける。線形変形可能体28は、上下方向に直交する面で切断した断面上で、円形又は四角形に形成されている。図5は、振動台21が最大に左側に変位して、線形変形可能体28が最大に左側に変形した時の線形変形可能体28の変形状態を示している。図面の断面上で、線形変形可能体28は近似的に菱形に変形することができる。
【0020】
式(1)のFが零である基準位置から線形変形可能体28は、負方向に長さXだけ変位している。中間層33のそれぞれの第1〜第12変位層33−1〜12は、それぞれに、式(1)で表される復元力を有している。この時に振動台21が加振機24から受ける加振力は最小であり零である。
【0021】
加振機24の加振力F’が、F’=−k(X−X1)であれば、振動台21が受ける力F”は、次式で表される。ここで、X1は最大変位量である。
F”=F+F’=kX−k(X−X1)=kX1=一定.・・・(2)
このように、振動台21には、変動外力が作用しない。このような理想的な加振力は、線形変形可能体28がばね定数を有している場合に得られる。図3に示される線形変形可能体28の中間層はそのようなばね定数を持つ物質で製作されている。そのような物質は、ゴム弾性を持つ物質が好適であり、各種のゴム・エラストマー樹脂が用いられうる。その積層構造は、式(1)で表される力によりよく近似する良好な作用力を生成することができる。このような理想的な力は、ゴム弾性的力であるので、スティックスリップの発生をよりよく抑制することができる。
【0022】
図6(a)は、流体圧給排装置23が生成する制御された入力加振力を示している。この加振力は、式(1)で示される力又はそれに定数倍した力である。線形変形可能体28の構造が与えられない場合、振動台21が出力する加振力は、図6(b)に示されるように、加振力が最大・最小になる時に、解析不能になる雑音が発生する。このような雑音の発生は、線形変形可能体28のゴム弾性により抑えられる。入力加振力が零に近い時には、その入力加振力がそのまま出力される。振動台21には、常時に一定の力が作用するので、スティックスリップの発生の契機が作り出されない。
【0023】
線形変形可能体28がこのような理想的な力を生起しない場合でも、そのゴム弾性は雑音の発生を有効に抑制することができる。このように有効に雑音の発生を抑制した状態で振動台21に与えられる図7に示されるような現実的な地震波は、そのままに、振動台21から出力され、振動台21上の試験体はこの地震波をそのままに受けることができる。
【0024】
【発明の効果】
本発明による遠心載荷実験装置の振動台の支持装置は、遠心載荷動的実験の高精度化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明による遠心載荷実験装置の振動台の支持装置の実施の形態を示す正面図である。
【図2】図2は、試験台の実施の形態を示す断面図である。
【図3】図3は、線形変形可能体28の積層構造を示す断面図である。
【図4】図4は、図2の一部の平面図である。
【図5】図5は、線形変形可能体28の変形状態を示す断面図である。
【図6】図6(a),(b)は、入力波形と出力波形を示すグラフである。
【図7】図7は、現実の地震波を示すグラフである。
【符号の説明】
7…振上バケット
21…振動台
28…支持体(ゴム弾性体)

Claims (1)

  1. 遠心載荷実験装置の振上バケットに搭載される振動台を支持するための遠心載荷実験装置の振動台の支持装置であり、
    前記振上バケットに支持され前記振動台を支持する支持体からなり、
    前記支持体は、
    前記振動台の振動方向にゴム弾性を有しているゴム弾性体であり、
    前記振動方向は、前記振動台の回転時に遠心方向に概ね一致する水平方向に直交する方向であり、
    前記支持体は、前記振動方向に直交する方向に複数の前記ゴム弾性体が重ねられ、
    前記複数のゴム弾性体のそれぞれは、変位に概ね比例する復元力を持つ
    心載荷実験装置の振動台の支持装置。
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