JP3631652B2 - X線を用いた非破壊検査方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、素材、部品、部材を、分解あるいは破壊せずに欠陥の有無とその状態、対象物の性質、状態、内部構造等を調べるために使用するX線を用いた非破壊検査方法に関し、特にX線透過法またはX線断層法を用いた非破壊検査方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、素材、部品、部材を、分解あるいは破壊せずに欠陥の有無とその状態、対象物の性質、状態、内部構造等を調べるために、非破壊検査が行われている。非破壊検査として、従来、素材、部品、部材の内部検査のために、X線、γ線等の放射線を使用し、放射線の透過・散乱を利用する方法、超音波を利用し、超音波の伝播・反射透過を利用する方法が知られている。一般的に、超音波を利用した方法は単純形状の物体のみ対応できるのに対し、放射線を利用した方法は複雑形状も含む全形状の物体に対応できるとして知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
図19はX線透過法を利用した従来の非破壊検査方法の一例を示す図である。図19に示す例において、X線透過法を利用した非破壊検査では、X線線源51から試料52にX線を照射し、試料52の内部のX線吸収係数の違いをフィルム53上にX線透過像54として視覚化し、フィルム53上のX線透過像54を目視で観察して、試料52の内部の例えば欠陥等を検査していた。しかし、上述した従来のX線透過法を利用した非破壊検査方法では、フィルム53を用いたアナログ方式で欠陥等を視覚化して検査しているため、高い精度で欠陥を検査することができなかった。
【0004】
また、従来、人体等の断層像を撮るためにX線断層法が知られている。そのようなX線断層法では、人体に異なる方向からX線を照射し、各方向から得られた画像データを再構成することによって断層像を視覚化し、人体の断層像を目視で観察して、病巣等を求めていた。しかし、上述した従来のX線断層法を利用した非破壊検査方法は、実際に試みられた対象が人体等に限られていた。そして、産業用への応用は余り一般的ではなかった。
【0005】
本発明の目的は上述した課題を解消して、X線透過法により高い精度で内部欠陥等を検査できる方法、および、X線断層法をセラミックスや金属に応用することで従来手に入れることのできなかったセラミックスや金属の断層面における内部欠陥等を検査できる方法、を含むX線を利用した非破壊検査方法を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のX線を利用した非破壊検査方法の第1発明は、X線と検出器との間に被検査体であるサンプルを配置したX線断層法により試料の内部を非破壊で検査するX線を用いた非破壊検査方法であって、セラミックハニカム構造体に異なる方向からX線を照射し、各方向から得られた画像データを再構成することによってデジタル画像データからなる断層像を求め、求めた断層像のデジタル画像データにおけるグレイスケールに基づいて、セラミックハニカム構造体の内部欠陥を判別することで、セラミックハニカム構造体の内部欠陥をX線断層法により非破壊で求めることを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明のX線を利用した非破壊検査方法の第2発明は、X線と検出器との間に被検査体であるサンプルを配置したX線断層法により試料の内部を非破壊で検査するX線を用いた非破壊検査方法であって、セラミックハニカム構造体に異なる方向からX線を照射し、各方向から得られた画像データを再構成することによってデジタル画像データからなる断層像を求め、予め求めたグレイスケールとセル断面の密度との関係に基づき、求めた断層像のデジタル画像データからセル断面の密度分布を求めることで、セラミックハニカム構造体におけるセル断面の密度をX線断層法により非破壊で求めることを特徴とするものである。
【0008】
本発明のX線と検出器との間に被検査体であるサンプルを配置したX線を用いた非破壊検査方法では、セラミックハニカム構造体の試料に対し異なる方向からX線を照射し、各方向から得られた画像データを再構成することによってデジタル画像データから断層像を求め、求めた断層像のデジタル画像データを画像処理することで、試料の断層面における諸特性を測定できることを見い出した。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は本発明のX線を利用した非破壊検査方法のうちX線透過法により非破壊検査をするシステムの一例を示す図である。図1に示す例において、X線線源1から試料2にX線を照射し、透過X線分布をデジタル撮影用フィルムとしてのイメージングプレート3上に得る。得られた透過X線分布は、イメージングプレート3によりデータ処理用PC4を補助的に使用することでデジタル値に変換され、デジタル画像データとして求められる。求められたデジタル画像データは画像処理用PC5において画像処理され、試料の内部を非破壊で検査する。画像処理により非破壊で求める試料の内部の諸特性としては、後述するように、セラミックスの密度やハニカム成形用口金のコーティング層の摩耗が例示できる。
【0010】
図1に示すX線透過法の例では、撮影媒体としてこれまでのX線フィルムに替わり、イメージングプレート(IP)3を用いる点が特徴となる。イメージングプレート3上に照射された試料2の透過X線分布は、データ処理用PC4を利用してA/D変換され、一例として各画素が10ビット(1024階調)を有するデジタル画像データに変換される。さらに、詳細な画像解析を行うため、得られたデジタル画像データを一例としてTIF形式に変換し、市販の画像解析ソフト(一例として、Image−Pro Plus)を用いて画像処理を実施する。
【0011】
以下、X線透過法による非破壊検査の具体例として、A.セラミックスの密度分布評価の例と、B.ハニカム成形用口金のコーティング層の摩耗評価の例を説明する。
【0012】
A.セラミックスの密度分布評価について:
本例の主眼
X線を用いた非破壊手法を用いることによって、平板セラミック成形体、焼結体の全体の密度分布を得る。従来行っていたアルキメデス法による密度測定では、サンプルから小試験片を切り出し評価するため、全体の密度分布を評価するには非常に時間が掛かる。また、サンプルサイズが大き過ぎると詳細な分布状況が得られないし、サンプルサイズが小さ過ぎると重量測定の際に測定誤差が大きくなる問題がある。例えば、以下の実施例に用いたSiC成形体から作成するSiSiC材料ではSiCの成形体に金属Siを含浸させるが、成形体に密度分布が存在すると金属Siの含浸状態が部分的に異なり最終製品の材料特性が不均一になる。また、成形体密度分布が大きすぎる場合には、金属Si含浸時に破損する問題もある。他のセラミック成形体についても大きな密度分布が存在する場合には、焼結過程で破損する問題がある。さらに、焼結体の密度分布については、残留応力の発生原因となり、材料の強度低下原因となる可能性がある。
【0013】
実施例
(1)評価サンプル:SiCプレス成形体
成形方法:一軸プレス成形
成形圧力:500kgf/cm2 (49MPa)
成形体形状:200×200×t10mm
(2)使用設備
・X線発生装置:最大管電圧320kVp
・デジタル画像処理装置
・撮影媒体:イメージングプレート(IP)
・画像解析ソフト:Image−Pro Plus(Windows 版)
・X線照射条件:
管電圧:50kvp
管電流:0.5mA
照射時間:20秒
【0014】
(3)評価方法
(a) サンプルの厚み方向にX線を照射し、サンプルの透過X線分布をIP上に得る。
(b) IPの出力をデータ処理用PCを用いてデジタル画像データに変換する。透過X線イメージを図2に示す。
(c) 得られたデジタル画像データをもとにビットマップ解析を行い、透過X線分布のマトリックスデータ(グレイスケール)を得る。
(d) 評価サンプルの各部位から5mm角のサンプルを10個切り出し、アルキメデス法による嵩比重測定を実施する。
(e) 各サンプルのアルキメデス法による嵩比重測定結果と該当する透過X線試験で得られたグレイスケールとの関係式を得る。アルキメデス法による嵩比重測定結果とグレイスケールとの対応の一例を以下の表1に示すとともに、図3にグラフとしても示す。
(f) 得られた関係式を用い、グレイスケールから密度値に変換する。
(g) 透過X線分布を密度分布に変換する。変換して得られたセラミック平板成形体の密度分布を図4に示す。
【0015】
【表1】
【0016】
(4)考察
上述した結果から、セラミック成形体にX線を照射し、サンプル透過後の透過X線デジタルデータ(グレイスケール)の分布から、密度分布への変換が可能であり試験片全体の密度分布状況の把握が可能となることがわかる。従来から行われているサンプルから小試験片を切り出し評価するアルキメデス法では、代表的な部位から試験片を切り出す部分的な評価であり、全体の評価は困難であった。全体の密度分布を評価するためにサンプル全体に渡り小試験片を切り出し評価するには、膨大な時間が必要であり、また、サンプルサイズを小さくするにも限界があり、不連続な密度結果しか得られない。本発明のX線を用いた非破壊手法によって、全体の密度分布が正確かつ簡便に評価可能となった。
【0017】
B.ハニカム成形用口金のコーティング層の摩耗評価について:
本例の主眼
X線を用いた非破壊手法を用いることによって、金型等のコーティング層(耐摩耗特性向上、耐酸化等を目的とした異種材料コーティング層)の摩耗状況(量)を得る。例えば、セラミック材料の成形用金型の場合、金型表面の摩耗が激しく、耐摩耗特性に優れたニッケル、タングステンカーバイト等のコーティング層を金型表面に形成する。通常、量産現場では、コーティング層が摩耗した時点で再コーティングを行うことで、金型自体は再利用される。しかし、部分的に摩耗が進行した場合には、金型使用中にベース金属まで摩耗が進行し、場合によっては再コーティング(再利用)が不可能である。金型の表面部であれば、外観観察によってある程度摩耗状況の把握が可能であるが、定量的な判断は困難であり、また外観観察が不可能な場合には摩耗状況の把握が不可能である。本例の透過X線を用いた手法では、対象となる金型等にX線を照射し、金型透過後の透過X線分布のデジタルデータを用いることによって、摩耗状況の把握(定量化)が可能となった。
【0018】
実施例
(1)評価サンプル:ハニカム成形用口金
(2)使用設備
・X線発生装置:マイクロフォーカスX線(最大管電圧225kV)
・デジタル画像処理装置
・撮影媒体:イメージングプレート(IP)
・画像解析ソフト:Image−Pro Plus(Windows 版)
・X線照射条件:
管電圧:195kvp
管電流:0.1mA
撮影倍率:20倍
照射時間:60秒
【0019】
(3)評価方法
(a) 坏土が通過する面にコーティング層を設けたハニカム成形用口金を準備した。図5はハニカム成形用口金の部分断面を示す図である。ハニカム成形用口金11は、坏土を供給する坏土導入孔12と、それに連通するスリット13とからなり、ステンレス鋼(C−450)からなる基体14の坏土が通過する面に、Niコーティング層15を形成し、その上にW2 Cコーティング層16を形成して構成されている。後の説明の都合上、スリット13の溝幅の半分をA、W2 Cコーティング層16の厚さをB、坏土導入孔12のスリット13におけるW2 Cコーティング層16までの孔径をCとする。
(b) 図6(a)に示すように、X線線源1とイメージングプレート3との間に口金11を設置した。この際、図6(b)に示すように、口金11は原料の入口側である坏土導入孔12側をX線の線源1側に、原料の出口側であるスリット13側をイメージングプレート3側になるよう設置した。さらに、図6(b)に示すように、撮影の際には一つのスリット13の部分を拡大撮影し、X線の光軸中心と口金11のスリット13の中心とが一致するように、口金11の設置位置を微調整した。
【0020】
(c) イメージングプレート3上に得られた透過X線撮影像のデジタル画像に対し、画像解析ソフトを用いて口金スリット部のライン・プロファイル測定を実施した。ライン・プロファイルの測定は、図7に示すように、一つの口金11のスリット部について各4個所について評価を実施した。
(d) 得られたライン・プロファイルの測定結果を図8に示す。図8に示す例において評価した口金11としては、原料の押出実験を行いながら(500m毎の抜き取り)抜き取り評価を行い、バージン(0m)、500m、1000m、1500m、2000m、2500mの6水準の評価を行った。図8において、A部、B部、C部は上述した図5で示した例に対応し、A部はスリット部で口金の無い部位であり、空気以外にX線を吸収するものなく、グレイスケールは0である。B部は、W2 Cコーティングが施された部位であり、W2 Cは口金基材のステンレス鋼と比較してX線吸収係数が大きい材料であるため、高いグレイスケールを示した。C部は坏土導入孔底部のフラット部であり、グレイスケールはフラットである。
【0021】
(4)考察
図8のライン・プロファイルの測定結果から以下のことがわかった。
(a) 原料の押出長さが長くなるに従って、グレイスケールのプロファイル全体が低下する傾向にある。これは、最表面のW2 Cコーティング層が摩耗することによって、X線の吸収が少なくなったためである。
(b) グレイスケールのプロファイル中、B部のW2 Cコーティング層に見られるグレイスケールのピーク値は、押出長さが長くなるに従って、大きく減少する。これは、坏土導入孔とスリットの交点で摩耗が著しく進むために、X線の吸収が少なくなったためである。
(c) 押出長さが長くなると、C部の坏土導入孔底部のフラット部において変曲点が発生する。これは、使用後の口金では、図9に示すような摩耗状態を示し、坏土導入孔とスリットとの交点で摩耗が著しく進み、W2 Cコーティング層が減少し、D点の部位を表すものと考えられる。
【0022】
以上の考察から、以下の解析結果を得ることができる。
(a) B部W2 Cコーティング層に見られるグレイスケールのピーク値の評価
図10に、原料押出長さとB部W2 Cコーティング層に見られるグレイスケールのピーク値の関係を示す。図10から明らかな様に、原料の押出長さが長くなるにつれてグレイスケールのピーク値は減少することがわかる。これは、W2 Cコーティング層が摩耗する現象を良く表し、ハニカム成形用口金の摩耗状態を把握することが可能である。
(b) C部グレイスケールのプロファイル中の変曲点の評価
図11に、透過X線ライン・プロファイルに見られたC部の変曲点寸法と、同一口金を切断後に測定顕微鏡を用いてD部の坏土導入孔とスリットの交点の寸法とを比較調査した結果を示す。図11から明らかな様に、両者は非常に良い一致を示し、透過X線ライン・プロファイルで得られた変曲点によって、口金摩耗先端を評価可能である。
【0023】
次に、本発明のX線を利用した非破壊検査のうちX線断層法を利用した例について説明する。図12は、本発明のX線を利用した非破壊検査方法のうちX線断層法により非破壊検査をするシステムの一例を示す図である。図12に示す例において、X線線源21から、試料22を回転させることで、試料22に異なる方向からX線を照射する。検出器23で得られる各方向からの画像データを画像再構成部24で再構成することで、断層像を視覚化してモニタ25上に表示する。これにより試料の内部を非破壊で検査する。
【0024】
以下、X線断層法による非破壊検査の具体例として、C.X線断層法によるセラミックスの欠陥検出の例と、D.X線断層法によりセラミックスの気孔分布評価の例を説明する。
【0025】
C.X線断層法によるセラミックスの欠陥検出の例について:
本例の主眼
X線断層法(以下、X線CTとの記す)を用いた非破壊手法を用いることによって、これまでの非破壊検査技術(透過X線、超音波探傷、光を用いた観察等)では検出不可能であったセラミック製品中の不良箇所を検出する。例えば、以下の実施例に用いた自動車用ハニカムセラミック中の内部クラック、セルの抜け、セル変形を非破壊的に評価することは非常に困難だった。これをX線CTを用い得ることによって、上記欠陥検出を正確に把握することが可能となった。また、ハニカム成形体中の密度分布評価も可能となり、焼成時の変形に悪影響をおよぼす密度分布の低減にも有効であった。
【0026】
実施例
(1)評価サンプル:自動車用ハニカムセラミック
(セル厚み:100μm、セル密度:400セル/inch2 )
使用材料:コージェライト
サンプル形状:直径100mm、長さ100mm
(2)使用設備
X線CT:マイクロフォーカスX線CTシステム
X線CTの主な評価条件
・検出器:イメージインテンシファイアー(I.I.)
・X線管電圧:180keV
・X線管電流:0.15mA
・SID(X線線源と検出器の距離):300mm
・SOD(X線線源とサンプルの距離):200mm
・撮影倍率(SID/SOD):1.5倍
・スライス厚み:0.5mm
【0027】
(3)評価結果
(a) 図12に示すシステム構成で、ハニカムにとって重要である各種欠陥(図13(a)、(b)に示す内部クラック、図14(a)、(b)に示す内部セル抜け、図15(a)、(b)に示す内部セル変形)を有するハニカムを用い、上記条件に従ってX線CTによる断層観察を実施した。
(b) 評価の結果、これまでの非破壊検査技術では評価不可能であったいずれの内部欠陥も、X線CTを用いることで評価可能であった。
(c) また、ハニカム成形体中の断面における密度分布についても評価を実施した。成形体中の密度分布は焼成過程でクラックや変形の発生原因となるため、均一な成形体を得る必要がある。従来、特に長尺サンプルでは、断面内の密度分布評価が正確にできなかったが、X線CTを用いることで評価可能となった。結果を図16に示す。なお、密度分布の求め方については、上述したA.セラミックスの密度分布評価で詳細に説明したように、セル部のグレイスケールを、予め求めたグレイスケールと嵩比重との関係から変換することで、求めることができる。
【0028】
D.X線断層法によりセラミックスの気孔分布評価の例について:
本例の主眼
X線CTを用いた非破壊手法を用いることによって、セラミック成形体、焼結体中の気孔分布状況を得る。セラミックは脆性材料であり、大きな気孔が存在するとその気孔を起点として破壊が発生し、強度低下の原因となるため、セラミック焼結体中の気孔を低減させることはセラミック製作時に重要である。従って、セラミック焼結体中の気孔分布状況を内部にわたって正確に評価する必要がある。セラミック成形体に気孔が存在する場合には、後工程の乾燥、脱バインダーおよび焼成工程で破損が発生する場合がある。従って、セラミック成形体の気孔発生状況を正確に把握することは、最終セラミック製品の信頼性を確保する上で重要である。セラミックフィルター等のポーラスセラミック材料の場合には、ある大きさの連続した気孔を得る必要がある。この場合、狙った気孔が正確に形成されているかを正確に判断する必要がある。以上の要望に対し、これまで、気孔評価は実体顕微鏡やSEM(走査型電子顕微鏡)を用いた表面観察が一般的であるが、これらの手法では表面観察しかできない。これに対して、X線CTを用いる方法では、内部の気孔が評価可能となる。
【0029】
実施例
(1)評価サンプル:窒化ケイ素焼結体(2種類:A/気孔多、B/気孔小)
サンプル形状:4×3×L40mm(JIS R1601曲げ試験片)
(2)使用設備:
・X線CT:マイクロフォーカスX線CTシステム
・金属顕微鏡法:半導体検査顕微鏡
(3)気孔分布評価条件
(a) X線CTの主な評価条件
・検出器:ラインセンサー
・X線管電圧:180kVp
・X線管電流:0.15mA
・SID(X線線源と検出器の距離):300mm
・SOD(X線線源とサンプルの距離):19mm
・撮影倍率(SID/SOD):15.8倍
・スライス厚み:0.5mm
(b) 金属顕微鏡の主な評価条件
・撮影倍率:総合倍率80倍(対物レンズ10倍、接眼レンズ8倍)
【0030】
(4)評価方法
(a) 図17に示すように、X線CTでは、試験片の4×3の断面を10断面(評価面積120mm)求め断層観察を実施した。
(b) 金属顕微鏡では、X線CT評価に用いた同一サンプルを鏡面研磨後、X線CTと同一評価面積(120mm)について観察した。
(c) 両者の撮影画像を画像解析ソフト(Image Pro−Plus)を用いて気孔部を選別し、気孔分布状況の比較を行った。
(d) 気孔径の異なる2種類の窒化ケイ素の評価結果を図18(a)、(b)に示す。両者の結果は非常に良く一致し、X線CTを用いることによってセラミック表面のみでなく内部評価へも適用可能であることがわかる。また、本発明の技術によって、生産品のセラミック内部の気孔分布状況が観察可能であり、信頼性の向上に有益である。
【0031】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の第1発明によれば、試料好ましくはセラミックスまたは金属の試料に対しX線を照射し、試料内部のX線吸収係数の違いに基づくデジタル画像データとしてX線透過像を求め、求めたX線透過像のデジタル画像データを画像処理しているため、言い換えると、X線透過像をデジタルデータとして取り扱っているため、高い精度で試料の内部欠陥等を検査することができる。また、本発明の第2発明によれば、試料好ましくはセラミックスの試料に対し異なる方向からX線を照射し、各方向から得られた画像データを再構成することによってデジタル画像データから断層像を求め、求めた断層像のデジタル画像データを画像処理しているため、試料の断層面における諸特性を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例としてX線透過法を実施するシステムを示す図である。
【図2】本発明のX線透過法を利用した一実施例における透過X線イメージの例を示す図である。
【図3】本発明のX線透過法を利用した一実施例における嵩比重とグレイスケールの関係を示すグラフである。
【図4】本発明のX線透過法を利用した一実施例において得られた密度分布の例を示す図である。
【図5】本発明のX線透過法を利用した他の実施例におけるハニカム成形用口金の部分断面を示す図である。
【図6】(a)、(b)はそれぞれ本発明のX線透過法を利用した他の実施例における口金の設置位置を説明するための図である。
【図7】本発明のX線透過法を利用した他の実施例におけるライン・プロファイルの測定位置を説明するための図である。
【図8】本発明のX線透過法を利用した他の実施例におけるライン・プロファイルの測定結果を示すグラフである。
【図9】本発明のX線透過法を利用した他の実施例における坏土押出後の口金の状態を示す図である。
【図10】本発明のX線透過法を利用した他の実施例におけるグレイスケールピーク値のと原料の押出長さとの関係を示すグラフである。
【図11】本発明のX線透過法を利用した他の実施例におけるライン・プロファイル変曲点の評価結果を示すグラフである。
【図12】本発明の一例としてX線断層法を実施するシステムを示す図である。
【図13】(a)、(b)はそれぞれ本発明のX線断層法を利用した一実施例における内部クラックの例を示す図である。
【図14】(a)、(b)はそれぞれ本発明のX線断層法を利用した一実施例における内部セル抜けの例を示す図である。
【図15】(a)、(b)はそれぞれ本発明のX線断層法を利用した一実施例における内部セル変形の例を示す図である。
【図16】本発明のX線断層法を利用した一実施例として断面における密度分布測定結果を示す図である。
【図17】本発明のX線断層法を利用した他の実施例におけるX線CTの断面位置を示す図である。
【図18】(a)、(b)はそれぞれ本発明のX線断層法を利用した他の実施例における気孔分布評価結果を示すグラフである。
【図19】従来のX線透過法を利用した非破壊検査方法の一例を説明するための図である。
【符号の説明】
1、 21 X線線源、2、22 試料、3 イメージングプレート、4 データ処理用PC、5 画像処理用PC、11 ハニカム成形用口金、12 坏土導入孔、13 スリット、14 基体、15 Niコーティング層、16 W2 Cコーティング層、23 検出器、24 画像再構成部、25 モニタ、51 X線線源、52 試料、53 X線フィルム、54 X線透過像
Claims (2)
- X線と検出器との間に被検査体であるサンプルを配置したX線断層法により試料の内部を非破壊で検査するX線を用いた非破壊検査方法であって、セラミックハニカム構造体に異なる方向からX線を照射し、各方向から得られた画像データを再構成することによってデジタル画像データからなる断層像を求め、求めた断層像のデジタル画像データにおけるグレイスケールに基づいて、セラミックハニカム構造体の内部欠陥を判別することで、セラミックハニカム構造体の内部欠陥をX線断層法により非破壊で求めることを特徴とするX線を用いた非破壊検査方法。
- X線と検出器との間に被検査体であるサンプルを配置したX線断層法により試料の内部を非破壊で検査するX線を用いた非破壊検査方法であって、セラミックハニカム構造体に異なる方向からX線を照射し、各方向から得られた画像データを再構成することによってデジタル画像データからなる断層像を求め、予め求めたグレイスケールとセル断面の密度との関係に基づき、求めた断層像のデジタル画像データからセル断面の密度分布を求めることで、セラミックハニカム構造体におけるセル断面の密度をX線断層法により非破壊で求めることを特徴とするX線を用いた非破壊検査方法。
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