JP3629512B2 - 微粒子分級装置及びその方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、試料ガスに含まれる微粒子を分級する微粒子分級装置に関し、より詳細には、分級後に特定の微粒子をより正確かつ効率よく評価できるようにするための、微粒子の分級技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関或いはゴミ焼却場等における燃焼後の排出ガスに含まれる汚染物質は、ガス状の成分と、液体を含む粒子状の成分とからなる複合物質である。これらガス状汚染成分及び粒子状汚染成分の生態へ与える影響の寄与度は、一般に異なる。また、粒子状汚染成分は、その大きさに応じて、生体内における沈着部位、沈着量、及びその後の影響が異なる。加えて、これらの汚染成分は、発生直後において相互に作用し、状態が安定していない。
【0003】
近年、大気汚染に関する規制値を決定するための必要から、粒子状汚染成分そのものによる生態への影響の解明が望まれているが、これには、上記の理由により、排出ガス中からガス状汚染成分を排除し、粒子状汚染成分をその大きさ毎に分別し、特定の大きさの粒子状汚染成分につきそのもの自体を評価し、分析する必要がある。
【0004】
排出ガス中のガス状汚染成分の排除のために適用されるものとして、デニューダという装置が公知である(坂本和彦;「ガス・粒子の同時分別測定」、産業公害、22, 174−181, 1986 参照) 。この装置は、大気汚染物質中の酸性ガスや塩基性ガスを吸着捕集して、排除することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このものでは、吸着層が流れに対して平行に配置されているため、粒子状汚染成分は捕集されにくく、その大部分が通過すると考えられる。しかしながら、ガス状汚染成分は、そのすべてについて処理が施されるわけではない。このため、デニューダ通過後の試料ガスを分析しても、粒子状汚染成分そのものを満足に評価することはできない。
【0006】
また、仮に試料ガス中のガス状汚染成分が充分に排除されたとしても、粒子状汚染成分を分析するには、その後の試料ガスを分級器を通過させた後、分析器に導入するに当たり、適切な媒体ガスを別途注入する必要がある。具体的にいうと、このための分析器として誘導結合高周波プラズマ質量分析計等の化学分析装置を用いる場合には、分級器通過後の粒子状汚染成分は試料ガス中に浮遊している状態であるので、前記媒体ガスとしてアルゴンガス等の不活性ガスを注入する必要があり、作業が面倒となる。また、注入された媒体ガスは試料ガスと混合し、稀釈されるため、分析器の測定精度を確保する必要から試料ガスの導入量が制限され、作業効率が低くなる。
【0007】
このような実情に鑑み、本発明は、粒子状汚染成分そのものをより正確かつ効率的に評価するため、試料ガス中のガス状汚染成分を充分に排除し、評価の対象となる粒子状汚染成分が所望の雰囲気中に浮遊している状態を形成することができる微粒子分級装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明に係る微粒子分級装置は、請求項1に記載のように、試料ガスに含まれる微粒子を、雰囲気を置換して分級する微粒子分級装置であって、前記試料ガスとは異なる媒体ガスの流れを導入する媒体ガス流導入手段と、前記媒体ガスの流れを横断する方向の静電場を形成する静電場形成手段と、前記微粒子を荷電する微粒子荷電手段と、前記微粒子が荷電された試料ガスを、前記媒体ガスの流れと共に前記静電場内に導入する試料ガス導入手段と、前記媒体ガスに接して設けられ、前記静電場による静電気力を受けて前記媒体ガスの流れを横断する方向に移動した特定粒径の微粒子を、前記媒体ガスと共に導出する特定微粒子導出手段と、を含んで構成される。
【0009】
かかる構成によれば、静電場内に導入された試料ガスとこれに含まれる微粒子とは、それぞれ媒体ガスの流れと共に下流へ進行するが、これと同時に、微粒子は、その粒径に応じた移動速度で媒体ガスの流れを横断し、特定の粒径のものが媒体ガスと共に導出される。
【0010】
すなわち、本微粒子分級装置に導入された試料ガスに含まれる微粒子は、試料ガスのうち拡散して混在するものもあるが、その雰囲気が試料ガスとは異なる媒体ガスで可及的に置換され、この媒体ガス中に浮遊している状態で、粒径に応じて分取される。
【0011】
また、請求項2に係る発明は、前記試料ガスがガス状汚染成分を含むことを特徴とする。
かかる構成によれば、特定の微粒子の雰囲気が上記のように媒体ガスで置換されることに伴い、ガス状汚染成分も、媒体ガスで同様にして置換される。従って、前記特定の微粒子は、ガス状汚染成分が可及的に排除された状態で分取されることとなる。
【0012】
前記媒体ガス流導入手段は、請求項3に記載のように、前記媒体ガスの流れを直進する流通路に導入するのが好ましい。
また、前記媒体ガス流導入手段は、請求項4に記載のように、前記媒体ガスを流通路に一様に導入するのが好ましい。
【0013】
請求項5に係る発明は、雰囲気中に浮遊している微粒子を分析可能な浮遊微粒子分析手段を備える微粒子分析装置に適用される微粒子分級装置であって、前記媒体ガスが、前記浮遊微粒子分析手段で用いられる媒体ガスであり、前記浮遊微粒子分析手段が、前記特定微粒子導出手段によって導出された微粒子を分析することを特徴とする。
【0014】
かかる構成によれば、導入された試料ガスに含まれる特定の微粒子は、拡散して混在する試料ガスもあるが、その雰囲気が可及的に置換され、前記浮遊微粒子分析手段で用いられる媒体ガス中に浮遊している状態で、粒径に応じて分取される。
【0015】
請求項6に係る発明は、分取される微粒子が炭素を含み、前記媒体ガスが酸素ガスであり、前記浮遊微粒子分析手段が炭酸ガス濃度を測定することを特徴とする。すなわち、分析対象である微粒子が炭素や有機物である場合には、その雰囲気を酸素ガスで置換し、酸化反応により生成された炭酸ガスの濃度を検出して前記微粒子を分析するのである。
【0016】
請求項7に係る発明は、前記媒体ガスが不活性ガスであることを特徴とし、特に、請求項8に記載のように、前記浮遊微粒子分析手段が、ガスクロマトグラフ質量分析法(Gas Chromatography Mass Spectroscopy;以下、GC−MS)により、前記導出された微粒子を分析するのが好ましい。
【0017】
請求項9に係る発明は、前記媒体ガスがアルゴンガスであることを特徴とし、特に、前記浮遊微粒子分析手段が、誘導結合形プラズマ分析法(Inductively Coupled Plasma Emission Spectrochemical Analysis ;以下、ICP)により、前記導出された微粒子を分析するのが好ましい。
【0018】
本発明に係る微粒子分級方法は、請求項10に記載のように、試料ガスに含まれる微粒子を、雰囲気を置換して分級する方法であって、前記分級後の雰囲気を形成するための、前記試料ガスとは異なる媒体ガスの流れを導入し、前記微粒子を荷電するとともに、前記微粒子が荷電された試料ガスを、前記媒体ガスの流れを横断する方向に形成された静電場内に、前記媒体ガスの流れと共に導入し、前記静電場による静電気力を受けて前記媒体ガスの流れを横断する方向に移動した特定粒径の微粒子を、前記媒体ガスと共に導出することを特徴とする。
【0019】
【発明の効果】
請求項1に係る発明によれば、試料ガスに含まれる特定の微粒子を、その雰囲気を可及的に置換した状態で分取することができるため、特に、請求項2に係る発明のように前記試料ガスがガス状汚染成分を含む場合には、このガス状汚染成分を可及的に排除した状態で分取することができるため、微粒子そのものの正確な評価が可能となる。
【0020】
また、このように特定の微粒子の雰囲気が、分級と同時に、所望の媒体ガスで置換されることにより、分級後に使用目的に応じた特別なガスを別途注入する必要がなく、作業の効率化を図ることができる。
【0021】
請求項3に係る発明によれば、静電気力のみによる分級が可能となるため、操作が容易となる。
請求項4に係る発明によれば、ガス置換率の向上を図ることができる。
【0022】
請求項5に係る発明によれば、微粒子の分析前に、特別なガス(例えば、アルゴンガス)を別途注入する必要がないため、分析装置としての構成を単純化し、分析作業を効率化することができる。
【0023】
請求項6に係る発明によれば、炭素を含む微粒子を容易に分析することができる。
請求項7に係る発明によれば、分析対象である微粒子の雰囲気が不活性ガスで置換されることにより、特に、請求項8に係る発明のように、前記微粒子がガスクロマトグラフに不活性ガス中に浮遊している状態で導入されることにより、検出時の測定精度が向上する。
【0024】
請求項9に係る発明によれば、分析対象である微粒子が、アルゴンガス中に浮遊している状態で高周波電磁場に導入されるため、プラズマの発生感度が向上し、分析効率が向上する。
【0025】
請求項10に係る発明によれば、特定の大きさの微粒子のみが所望の媒体ガス中に浮遊している状態を、容易に形成することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1に、本発明の一実施形態に係る微粒子分級装置の構成を概略示す。このように、本微粒子分級装置は、雰囲気中の微粒子を平衡荷電状態にする粒子荷電装置、荷電された微粒子をその大きさ(粒径)に応じて分級する微分型電気移動度分級器(Differential Mobility Analyzer;以下、DMA)、DMAに使用目的に応じた媒体ガスを供給するガス供給装置、及び図示しない複数の流量計を含んで構成される。
【0027】
ここにいう使用目的とは、分級後の特定粒径の微粒子についての使用目的であり、具体的には、動物への吸引実験、又は前記微粒子の成分分析等である。前者の場合には、前記媒体ガスとして、酸素ガス或いは窒素ガス等が選択される。また、後者の場合には、GC−MSにおける移動相としての不活性ガス(例えば、窒素ガス或いはヘリウムガス)や、ICPにおけるキャリアガスとしてのアルゴンガス等が選択され、前記微粒子が炭素を含む場合には、前記媒体ガスを酸素ガスとし、分級後に炭酸ガス濃度を測定する技術を適用してもよい。
【0028】
粒子荷電装置は、コロナ放電や放射性同位元素を用いたイオン源の中で微粒子に荷電を与えるものであり、本微粒子分級装置では、放射性同位元素 241Am(アメリシウム同位体)から発出されるα線によって電離したイオン雰囲気中にエアロゾルを通過させ、これに含まれる粒子を荷電するタイプものが使用される。
【0029】
DMAは、二重円筒型のものであり、詳細には、図2に示す構造を有する(以下、図2を参照する)。なお、図2では、エアロゾル流がDMA内の流通路に導入されるエアロゾル流導入スリット(以下、導入スリット)1を含む上部部分DMA1を(a)に示し、また、特定粒径の微粒子が前記流通路から導出される単分散エアロゾル流導出スリット(以下、導出スリット)2を含む下部部分DMA2を(b)に示す。
【0030】
上記の二重円筒は、所定のロッド径φr(例えば、φr=30[mm])の内筒3と、内筒3と同心に配置され、所定の内径φi(例えば、φi=50[mm])の外筒4とによって構成される。そして、これら内外両筒に囲まれた空間に流通路が形成されるとともに、内筒3には、端子5を介して図示しない高電圧源(直流電圧)が接続され、所定の有効長さ(例えば、400[mm])の電極がこの流通路に面して形成される。
【0031】
なお、上部部分DMA1において、図中の符号6は、ガス供給装置からのガスが流通する配管と連結されるフランジであり、フランジ6を介したガスが、複数の孔7から流通路内に供給される。また、符号8は、粒子荷電装置を介した試料ガスが流通する配管と連結されるフランジであり、フランジ7を介した試料ガスは、先端部がノズル状に形成された環状通路9を通過して導入スリット1から外筒4の内面に沿って流通路内に供給される。
【0032】
一方、下部部分DMA2において、符号10は、導出スリット2を通過したエアロゾルを外部装置(例えば、分析器)に輸送する配管と連結されるフランジであり、フランジ10を介したエアロゾルは、その後所望の使用目的に提供される。また、符号11は、導出スリット2を介するエアロゾル以外の残部ガス(一部の微粒子を含む)を送出する配管が連結されるフランジであり、フランジ11を介した残部ガスは、廃棄されるか、又は図示しないフィルタを介してフランジ6から再び流通路内に循環される。
【0033】
ここに、ガス供給装置、フランジ6及び孔7が媒体ガス流導入手段を構成し、内筒3、外筒4及び端子5(及び図示しない高電圧源)が静電場形成手段を構成し、粒子荷電装置が微粒子荷電手段を構成し、導入スリット1、フランジ8及び環状通路9が試料ガス導入手段を構成し、導出スリット2が特定微粒子導出手段を構成する。また、外部装置として本DMAに接続される分析器(例えば、誘導結合高周波プラズマ質量分析計)が浮遊微粒子分析手段を構成する。
【0034】
このような構造のDMAによれば、端子5に印加される直流電圧を設定して、試料ガスから0.01〜1 [μm]程度の特定の微粒子を分取すると共に、その雰囲気を使用目的に応じた所望のガス(媒体ガス)に変換することができる。これは、次の理由による。
【0035】
図3に示すように、多様な粒径の微粒子を含む試料ガスが流通路に導入されると、各微粒子は、電極によって形成された静電場において、各粒径に応じた移動速度(電気移動度)で電界方向、即ち、内筒方向に移動する。同時に、各微粒子は、媒体ガスの流れからも力を受け、軸方向下流へ向かって移動するので、導出スリット2からは、移動速度が同じ微粒子、即ち、粒径が同じ微粒子のみが分取される。一方、試料ガスは、拡散して内筒方向へ移動するものも中には存在するが、その殆どはそのまま下流へ流れ、フランジ11を介してDMA外部へ排出される。
【0036】
このため、導出スリット2で分取された微粒子の雰囲気は、流通路に導入される前のものとは大部分において異なるものとなり、導出スリット2からは、特定粒径の微粒子を、媒体ガス中に浮遊している状態で得ることができる。このことは、微粒子の分級と同時に、所望のガスへの雰囲気の置換が行われたことを意味する。
【0037】
しかし、上記したように、試料ガスの拡散による導出スリット2への進入を完全に回避することは、困難である。本DMAでは、微粒子を含む試料ガスと媒体ガスとの供給量の比は、6:100乃至10:100程度であり、これらが完全に混合した場合を想定すると、流通路に導入された試料ガスのうち5.6〜9.1%が導出スリットに進入することになる。
【0038】
そこで、上記のDMAによる分級後、同一の構造及び印加電圧のDMAを更に配設し、2段のDMAによる分級を行う(以下、図4を参照する)。この場合には、試料ガスのうち2段目のDMAをも通過するものは、一段目の流通路導入前の0.32(= 0.056×0.056 )〜0.83(= 0.091×0.091 )%にまで低下する。一方、1段目のDMAで既に分級された微粒子は、2段目のDMAを通過しても、その濃度が原理的には1段目通過時の濃度の2/3に低下するだけである。
【0039】
このように、DMAのタンデム運転(2段運転)によれば、ガス置換率の向上と比較して分取すべき微粒子の損失が少なく、1段運転よりも良好なガス置換が可能となる。
【0040】
なお、本DMAでは、媒体ガスは、流通路に一様に供給されるが、本発明はこれに限らず、媒体ガスの流れを流通路内で偏在させてもよい。例えば、流通路のうち導出スリット2を含む一側に媒体ガスの流れを導入し、他側には、別のガス(試料ガスと同一のガスを含む)の流れを導入してもよい。
【0041】
次に、本DMAのガス置換率及び微粒子分級性能について、さらに説明する。まず、前者について、図5を参照して説明する。ここでは、端子5に直流電圧を印加しない。また、媒体ガスとして所定量(例えば、10[lpm])のアルゴンガスを使用し、試料ガスには、エンジンの排気ガスを模擬して、窒素ガスに一酸化炭素CO(窒素中1009[ppm])と、二酸化炭素CO2 (窒素中15.18[vol%])とを混合した混合ガス(1[lpm])を使用する。さらに、非分散型赤外ガスアナライザ51を使用し、DMA出口濃度(フランジ10通過後のガス状成分濃度)を測定する。同時に、混合ガスの濃度をガスアナライザの基準ガスとして、校正を行う。
【0042】
以下、DMA内で試料ガスと媒体ガス(アルゴンガス)とが完全に混合した場合の測定対象ガス(CO及びCO2 )の濃度Piを100とし、Piとガスアナライザによって実測された測定対象ガスの濃度との比を浸入率 [%] と定義して、本DMAによるガス置換率を評価する。この際、導出スリット2のスリット幅を変化させる。下表1に浸入率の測定結果を示す。
【0043】
【表1】
ここで、浸入率の算出上100とされるガス濃度Pi は、下式(1)による。
【0044】
Pi =混合ガス濃度×流量比 ・・・(1)
混合ガス濃度;
CO =窒素中1009 [ppm]
CO2 =窒素中15.18[vol%]
流量比=1/11
表1を参照すると、DMAの導出スリット幅を3通りに変化させた場合の浸入率は、4.5[mm]まで広がるに従ってやや大きくなる傾向があるが、これら3通りの間に大きな違いは見られない。また、COとCO2 とでは、CO2 の浸入率の方が小さい。これについては、混合ガスの濃度及びガスアナライザの感度ともに異なるので断定はできないが、2種類のガスの拡散係数の違いによるものと仮定し、以下のような簡単な解析を行う。
【0045】
一次元の拡散による平均二乗飛程x2 は、拡散係数をD、及び時間をtとして、下式(2)による。
x2 =2Dt ・・・(2)
アルゴンガス中では、COの拡散係数Dcoが0.19×10−4[m2/s]であり、CO2 の拡散係数Dco2 が0.14×10−4[m2/s]であるので、例えば、時間tを2.7[sec] とすると、移動距離xは、CO及びCO2 についてそれぞれ10.4[mm]及び8.7[mm]となる。本DMAの電極間距離(=外筒内径φi−ロッド径φr)が10[mm]であることを考慮すれば、これらの拡散距離の差は、表1における浸入率の差を説明している。
【0046】
この方法によると、窒素や一酸化炭素等の拡散による導出スリット2への浸入を完全に防ぐことはできないものの、排気ガス中の未燃燃料HC等の拡散係数の大きなガスについても、拡散によって100%の浸入率で導出スリット2に浸入するのを防ぐことができる。また、仮に完全に拡散混合したとしても、排気ガス中のガス状成分は、流通路導入前の濃度の1/11に減少するため、大部分がアルゴンガスで置換されることになる。
【0047】
このように、本DMAの一段運転によれば、ガス状汚染成分(上記の例では、CO及びCO2 )を導出スリット2を通過するエアロゾルの極一部(具体的には、(1/11)×浸入率/100の割合)に抑えて、媒体ガスを任意に置き換えることが可能である。
【0048】
次に、本DMAの微粒子分級性能、特に、媒体ガスとして導入されるガスの物性の相違が微粒子の分級に与える影響について説明する。まず、粒径と、その粒径の微粒子が分取されるときの印加電圧(分離電圧)との関係を、前記導入ガスを空気、アルゴンガス及びヘリウムガスの3通りとする場合について、計算によって求める。
【0049】
微粒子の電気移動度Zp [cm2/v.s] は、単位電界強度場において粒子の移動速度を電気移動度と定義したもので、これと粒径dp [nm]との関係は、下式(3)による。
【0050】
Zp =peCm /(3πμdp )×107 ・・・(3)
p; 粒子の帯電数(ここでは、1)
e; 電気素量=1.6×106[C]
Cm ;カニンガム補正係数
μ; 導入ガスの粘性係数[Pa.s](空気では1.81×10−5、アルゴンガスで
は2.20×10−5、ヘリウムガスでは1.90×10−5)
また、カニンガム補正係数Cm は;
Cm =1+ 2.514L/dp +0.80L/dp ×exp(−0.55dp /1)・・・(4)
L; 分子の平均自由行程[m](アルゴンガスでは6.90×10−8、ヘリウムガスでは1.90×10−7)
空気での分子の平均自由行程La は;
La =0.031×T1.3 /P ・・・(5)
T;温度(例えば、293[K])
P;圧力(例えば、760 [mmHg] )
上式(3)及び(4)から、粒径dp と電気移動度Zp との関係を求め、この関係に基づいて求めた粒径と分離電圧との関係を、図6に示す(図中、プロットPaiは空気を、Parはアルゴンガスを、Pheはヘリウムガスを導入ガスとした場合である)。なお、導入ガスの供給量を10[lpm] とし、試料ガスの供給量を1[lpm] としている。
【0051】
このように、アルゴンガスは空気より粘性が高く、アルゴンガス中では空気中より電気移動度Zp が低い値となるため、導入ガスをアルゴンガスとした場合の分離電圧は、空気の場合より高い値となる。一方、ヘリウムガス中では空気中より分子の平均自由行程Lが長く、カニンガム補正係数Cm が大きくなり、電気移動度Zp が高くなるため、導入ガスをヘリウムガスとした場合の分離電圧は、空気の場合より低い値となる。
【0052】
このような分離電圧の差について、媒体ガスとしてアルゴンガスを導入した場合の実測に基づいて、説明する。
このための測定システムは、図7に示すように、本DMA、ガスボンベ71、内筒3に接続された正高電圧電源72、ガラス製ネブライザー73、及び凝縮核カウンタ(以下、CNC)74を含んで構成される。ガスボンベ71からのアルゴンガスは、所定の流量(10[lpm])に制御され、フィルタ75によって混入物が除去された後、DMAに供給される。
【0053】
ガラス製ネブライザー73は、粒径が揃った100[nm]のポリスチレンラテックス(以下、PSL)粒子を2回蒸留水に分散したものを噴霧乾燥し、所定の流量(1[lpm])の試料ガスを供給する。なお、噴霧用には、コンプレッサ76で加圧した室内空気を用いている。そして、粒子荷電装置77において、PSL粒子が放射性同位元素 241Amから発出されるα線によって電離したイオン雰囲気中を通過した後、DMAに導入される。
【0054】
CNC74は、DMAの導出スリット2を通過したエアロゾル(1[lpm])の一部(0.3[lpm])に含まれるPSL粒子の濃度を検出する。一方、残部ガス(10[lpm])、即ち、DMAのフランジ11を介したガス及び一部のPSL粒子は、排出用ポンプ78によって吸引され、フィルタ79を通過した後、廃棄される。
【0055】
なお、正高電圧電源72による印加電圧は、Adachi et al. の方法(Adachi M., Okuyama K., Kousaka Y., Moon S. W., and Seinfeld J. H.; Ae−rosol Sci.and Tech., 12, 225−239,(1990))に従い、中心電気移動度Zpcの分布幅ΔZp 毎に設定する。中心電気移動度Zpc及びその分布幅ΔZp は、DMAの動作条件に応じて決定され、下式(5)及び(6)による。
【0056】
Zpc ={Qc +(Qa −Qs )/2}ln(r1 /r2 ) /(2πVL)・・・(5)
ΔZp =(Qa +Qs )ln(r1 /r2 )/(2πVL)・・・(6)
Qa ;DMAに導入されるエアロゾルの流量(=1[lpm])
Qc ;媒体ガス(アルゴンガス)の流量(=10[lpm])
Qs ;分取された粒子を含むエアロゾルの流量(=1[lpm])
r1 ;分級部の外筒の半径(=25[mm])
r2 ;分級部の内筒の半径(=15[mm])
L; 分級部の距離(即ち、有効電極長さ=400[mm])
V; 印加電圧
図8は、測定結果の粒子濃度を示す。図中プロットParが媒体ガスとしてアルゴンガスを導入した場合のものであるが、比較の対象として、アルゴンガスの代わりに空気を導入し、他の構成を同一として同様の測定を行った場合のものをプロットPaiで示す。
【0057】
同図から明らかなように、アルゴンガスを導入した場合は、空気を導入した場合より1ステップ上の印加電圧(1855[v])に粒子濃度のピークが現れている。
【0058】
上記の計算結果によれば、微粒子の粒径を110[nm]とすると、導入ガスをアルゴンガスとした場合の分離電圧は1720[v]であり(図6のプロットParを参照)、空気とした場合の分離電圧は1450[v](同プロットPaiを参照)であることから、この測定結果は、計算結果と同様な傾向を示している。
【0059】
このことは、媒体ガスとしてアルゴンガスを導入する本DMAを用いて、微粒子を分級できることを示す。
以上説明したように、本発明によれば、ガス状汚染成分を含む試料ガス中に浮遊している特定粒径の微粒子を、このガス状汚染成分から可及的に分離した状態で分取することができるため、その微粒子の評価を、ガス状汚染成分の影響を受けずにより正確に行うことが可能となる。
【0060】
また、このようにガス状汚染成分を分離して分級することができることは、エンジン等において発生直後の排気ガス中から特定の微粒子のみを取り出すことができることを意味し、燃焼の最適化や、微粒子除去装置の開発等にも有益である。
【0061】
さらに、本発明によれば、分取される特定の微粒子の雰囲気を、分級と同時に、所望の媒体ガスで可及的に置換することができるので、分級後に特別なガスを別途注入することなく、分析器等に導入することができる。これにより、分析の精度及び効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る微粒子分級装置の構成図
【図2】同上微粒子分級装置のDMAの構造を示す断面図
【図3】同上DMAによる分級原理を示す図
【図4】本発明の一実施形態に係る微粒子分級装置のタンデム運転時の構成図
【図5】同上微粒子分級装置のDMAによるガス置換率の測定システムの構成図
【図6】同上DMAの微粒子分級性能の計算結果
【図7】同上DMAの微粒子分級性能の測定システムの構成図
【図8】同上DMAの微粒子分級性能の測定結果
【符号の説明】
DMA1 微分型電気移動度分級器(DMA)の上部部分
DMA2 微分型電気移動度分級器(DMA)の下部部分
1 エアロゾル流導入スリット
2 単分散エアロゾル流導出スリット
3 内筒
4 外筒
5 端子
6 フランジ
7 孔
8 フランジ
9 環状通路
10 フランジ
11 フランジ
51 非分散型赤外ガスアナライザ
71 ガスボンベ
72 正高電圧電源
73 ガラス製ネブライザー
74 凝縮核カウンタ
75 フィルタ
76 コンプレッサ
77 粒子荷電装置(放射性同位元素)
78 ポンプ
79 フィルタ
Claims (10)
- 試料ガスに含まれる微粒子を、雰囲気を置換して分級する微粒子分級装置であって、
前記分級後の雰囲気を形成するための、前記試料ガスとは異なる媒体ガスの流れを導入する媒体ガス流導入手段と、
前記媒体ガスの流れを横断する方向の静電場を形成する静電場形成手段と、
前記微粒子を荷電する微粒子荷電手段と、
前記微粒子が荷電された試料ガスを、前記媒体ガスの流れと共に前記静電場内に導入する試料ガス導入手段と、
前記媒体ガスに接して設けられ、前記静電場による静電気力を受けて前記媒体ガスの流れを横断する方向に移動した特定粒径の微粒子を、前記媒体ガスと共に導出する特定微粒子導出手段と、を含んで構成される微粒子分級装置。 - 前記試料ガスがガス状汚染成分を含むことを特徴とする請求項1に記載の微粒子分級装置。
- 前記媒体ガス流導入手段が、前記媒体ガスの流れを、直進する流通路に導入することを特徴とする請求項1又は2に記載の微粒子分級装置。
- 前記媒体ガス流導入手段が、前記媒体ガスを、流通路に一様に導入することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の微粒子分級装置。
- 雰囲気中に浮遊している微粒子を分析可能な浮遊微粒子分析手段を備える微粒子分析装置に適用される微粒子分級装置であって、
前記媒体ガスが、前記浮遊微粒子分析手段で用いられる媒体ガスであり、
前記浮遊微粒子分析手段が、前記特定微粒子導出手段によって導出された微粒子を分析することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の微粒子分級装置。 - 分取される微粒子が炭素を含み、
前記媒体ガスが酸素ガスであり、
前記浮遊微粒子分析手段が炭酸ガス濃度を検出することを特徴とする請求項5に記載の微粒子分級装置。 - 前記媒体ガスが不活性ガスであることを特徴とする請求項5に記載の微粒子分級装置。
- 前記浮遊微粒子分析手段が、ガスクロマトグラフ質量分析法により前記導出された微粒子を分析することを特徴とする請求項7に記載の微粒子分級装置。
- 前記媒体ガスがアルゴンガスであり、
前記浮遊微粒子分析手段が、誘導結合形プラズマ分析法により前記導出された微粒子を分析することを特徴とする請求項5に記載の微粒子分級装置。 - 試料ガスに含まれる微粒子を、雰囲気を置換して分級する方法であって、
前記分級後の雰囲気を形成するための、前記試料ガスとは異なる媒体ガスの流れを導入し、
前記微粒子を荷電するとともに、前記微粒子が荷電された試料ガスを、前記媒体ガスの流れを横断する方向に形成された静電場内に、前記媒体ガスの流れと共に導入し、
前記静電場による静電気力を受けて前記媒体ガスの流れを横断する方向に移動した特定粒径の微粒子を、前記媒体ガスと共に導出することを特徴とする方法。
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