JP3629440B2 - アースドリル工法掘削泥水用調整剤及びそれを用いたアースドリル工法掘削泥水 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アースドリル工法掘削泥水用調整剤、及びそれを用いたアースドリル工法掘削泥水に関し、さらに詳しくは、低添加量で適性な粘性や造壁形成性は勿論のこと、耐セメント性に優れているため、セメント固形分が多く混入しても良好な機能を維持でき、かつ掘削土砂等の混入にも優れた泥水安定性能を有する新規なアースドリル工法掘削泥水用調整剤、及びそれを用いて作ったアースドリル工法掘削泥水に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、大深度の地下開発、インフラーストラクチャーの各施設の構築等のために、地下深く地盤を掘削し拡低杭を施工する工法いわゆる場所打ちコンクリート工法が採用されている。場所打ちコンクリート工法とは、地盤を機械または人力で削孔した後、孔内にコンクリートを打設して現場で鉄筋コンクリート杭を築造する工法の総称であって、アースドリル工法、オールケーシング工法及びリバース工法が代表的な工法である。それぞれの工法は、設備(掘削機)費用の大小、設備(掘削機)を設置するための工事場面積、掘削孔壁保護用泥水(安定液)の要・不要、泥水(安定液)の循環使用・不使用、掘削できる孔の大小・深度、工事時間の長短等の面で相違するが、それぞれの特徴を活かして、鉄筋コンクリート杭築造の目的に応じて選択される。
これらの工法のうち、アースドリル工法は、他の工法と比較し、設備(掘削機)費用が安く、設備(掘削機)を設置するための工事場面積が狭くてもよく、しかも泥水(安定液)を循環使用しないため泥水(安定液)と掘削土との分離設備が不要であるという特徴を有する。そしてアースドリル工法は、他の工法よりも掘削できる孔の大きさ・深度、工事時間について制約はあるものの、非常に多く利用され、そのため、この工法に使用する掘削孔壁保護用泥水(安定液)及びそれを造るための調整剤の需要は、近年益々増大している。
【0003】
アースドリル工法とは、アースドリル機を地上に設置し、アースドリル機のケリーバ(アースドリルのバケット回転用角型駆動軸)の先端に取り付けられ掘削孔の地下先端(切羽)に位置するドリル又は切刃が底部に多数設けられている掘削バケット(ドリリングバケット)で地盤を掘削し、掘削土を掘削バケットに入れ密閉し、掘削バケットを掘削部から地上に引上げ、掘削土を掘削バケットより排出し、空の掘削バケットを掘削部に降下させ、上記の工程を繰返し、地上より地下に向けて掘削孔を形成させる工法である。この場合、掘削孔内が空気だけであると、煩雑に掘削バケットを掘削部と地上間を往復させると、大重量の掘削バケットが、掘削孔の壁面に衝突しやすく、掘削孔の壁面を破壊し、規定通りの寸法の掘削孔はつくれなく、又掘削孔の壁面から土砂が掘削孔の底部に崩落し、これを排出するために更に費用がかかるので、これらを防止する対策として、掘削孔内には、掘削、裸坑壁を安定に維持し、しかも回転ドリルの刃先に対して、掘削時に発生する高い摩擦熱を吸収・冷却したり、潤滑作用をしたりし、さらには重い掘削バケットの昇降をスムースに行わせ、かつアルキメデスの原理による浮力により省エネルギーとなるため、掘削泥水(土木建築方面では、一般的に安定液と呼ばれている)が使用されている。その際、良好な掘削泥水であれば、裸坑安定性が大きく、その結果、良好なコンクリート基礎杭が得られる。
【0004】
ところで、良好な掘削泥水とは、一般に、比重が1.10以下で適正な粘度と造壁形成性を有するとともに、耐塩、耐セメント性が大きく、コンクリートとの置換時に劣化が少ないという特性を具備したものである。
この特性をさらに詳しく説明すると、掘削する地盤はセメント系固化剤等で地盤改良されている場合が多いため、耐セメント性の良好な泥水が必要である。また、泥水の粘度は、通常ファンネル粘度計により500mlの泥水が500ml流出するのに要する時間(単位:秒)で表されるが(清水の場合は、500mlの清水が500ml流出するのに要する時間は18±0.5秒)、一般的にはファンネル粘度22〜40秒程度が適性な粘度とされ、加えて、掘削時に粘度が上昇しにくく且つ変化の少ないことが良好とされている。
さらに、造壁形成性は、一般にAPI規格(アメリカ石油協会規格)では、フィルタープレスによって加圧(0.3MPa)し、30分間における脱水量(ml)によって評価されているが、その脱水量が少なくて泥壁が薄くて丈夫な泥水は、造壁形成性の良好なものとされている。アースドリル基礎杭工法のでは、脱水量が25ml以下であれば造壁形成性が良好な泥水とされている。
【0005】
一般に使用されている泥水の組成は、清水100重量%に対してベントナイト1〜12重量%,CMC0.03〜0.5重量%である。この際、CMCは、泥水に対して粘度や造壁形成性を与えるために使用される非常に重要な泥水調整剤である。
現在、数多くのCMCが使用されているが、泥水調整剤としてのCMCの機能は、カルボキシメチル基の置換度(Degree of Substitution 以下DSと略記する)によって大きく左右される。DS0.6〜0.8の低DSのCMCは、価格面では比較的安いが、泥水調整剤としての性能面では、耐塩、耐セメント性、安定性等に劣っている。一方、DS1.2〜1.5の高DSのCMCは、DSの低いCMCより耐塩、耐セメント性、安定性に優れている。そのため、セメントや石灰等で改良した地盤やコンクリート部分を掘削する工事が多くなっているアースドリル基礎杭工法の掘削工事においては、耐セメント性の面からDS1.2〜1.5に上げたCMCが主として使用されている。
【0006】
DSの高い良質CMCを使用した泥水は、従来使用されていたDS0.6〜0.8の低DSのCMCを使用した泥水に比べると、耐塩、耐セメント性が大きく、安定性にも優れている。しかしながら、セメント混入量が多くなる(例えば、セメント固形分が1.0%wt/v以上混入する)と、泥水自体がゲル化を起こして流動性を失うと共に脱水量が著しく多くなり、その結果、泥壁も厚くなって使用不可能となり、廃棄せざるを得なくなる。又、DSの高いCMCであっても掘削時に混入してくる掘削土等が多くなると、泥水の粘度が上昇し、砂落ちが悪くなり、その結果、コンクリート置換が上手くできずに良好なコンクリート杭の築造が難しくなる。加えて、粘度の上昇した安定性の悪い泥水は、再使用できず、廃棄せざるを得なくなり経済性が悪くなる。
【0007】
上記問題点を解決するため、本願出願人は、先に、置換度が1.2〜1.5であり、1%水溶液粘度が200〜2,000cpsのNa−カルボキシメチルセルロースと、分子量5,000〜50,000の低分子量ポリアクリル酸ソーダが30対70乃至70対30の比率となっており、ソーダ灰を外割りで2〜10%含むことを特徴とする掘削泥水用調整剤を提案したが(特開平9−302143号)、この掘削泥水用調整剤は、従来品に較べて分散性の面では大幅に改善されたものの、耐ゲル性、保水性、粘度等の面ではまだ充分に満足の行くものではなく、薄い強度の強い泥壁の形成についても、充分に改善されたものとはいえなかった。この原因は、現在のところ、Na−カルボキシメチルセルロース、低分子量ポリアクリル酸ソーダ、及びソーダ灰の配合比率が適切でなく、又Na−カルボキシメチルセルロースの置換度を上昇させたものの、まだ不充分であったからであると想定される。又、最近の基礎杭市場での工事単価の大幅な低下要請から、泥水材料へのコスト低減要求が強く、より少量の添加て所要の性能が確保できると共に良好な掘削泥水機能を与える掘削泥水調整剤の提供の要請にも充分に応えてなく、その解決が望まれていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のアースドリル基礎杭工法にて使用する掘削泥水及びそれを作るための調整剤の問題点に鑑みなされたもので、低添加量で適性な粘性や造壁形成性は勿論のこと、耐セメント性に優れているため、セメント固形分が多く混入しても良好な機能を維持でき、かつ掘削土砂等の混入にも優れた泥水安定性能を有する新規なアースドリル工法掘削泥水用調整剤、及びそれを用いて作ったアースドリル工法掘削泥水の提供を課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意研究の結果、従来アースドリル工法掘削泥水(安定剤)用として使用していた低置換度のNa−カルボキシメチルセルロースに代えて、高置換度のNa−カルボキシメチルセルロースを採用し、高置換度Na−カルボキシメチルセルロース、低分子量ポリアクリル酸ソーダ、及び炭酸ナトリウムの配合量を変化させた数多くの実験を行ったところ、特定の配合比率の範囲で良好な結果が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、高置換度Na−カルボキシメチルセルロース(A)、分子量5,000〜50,000の低分子量ポリアクリル酸ソーダ(B)及び炭酸ナトリウム(C)を主成分とするアースドリル工法掘削泥水用調整剤であって、高置換度Na−カルボキシメチルセルロース(A)は、置換度が1.5〜1.7で、1%水溶液粘度(B型粘度計により、25℃、60rpmで測定した値)が1,500〜2,500mPa・sであり、かつ、各成分の配合量は、(A)が60.35〜81.00重量%、(B)が24.65〜9.00重量%、(C)が15.00〜10.00重量%であることを特徴とする粉末状のアースドリル工法掘削泥水用調整剤が提供される。
【0011】
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、各成分の配合量は、(A)が62.00〜73.00重量%、(B)が24.65〜9.00重量%、(C)が15.00〜10.00重量%であることを特徴とする請求項1記載のアースドリル工法掘削泥水用調整剤が提供される。
【0012】
一方、本発明の第3の発明によれば、清水(D)100重量%に対して、第1又は第3の発明に記載のアースドリル工法掘削泥水用調整剤を外割りで0.01〜0.5重量%添加してなるアースドリル工法掘削泥水が提供される。
【0013】
また、本発明の第4の発明によれば、第3の発明において、清水(D)100重量%に対して、さらにベントナイト(E)を外割りで2〜8重量%添加してなるアースドリル工法掘削泥水が提供される。
【0014】
さらに、本発明の第5の発明によれば、第4の発明において、清水(D)100重量%に対して、該調整剤を0.2重量%、ベントナイト(E)を6重量%添加してなる、30秒以上のファンネル粘度を有するアースドリル工法掘削泥水が提供される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のアースドリル工法掘削泥水用調整剤、及びそれを用いて作製したアースドリル工法掘削泥水について、各項目毎に詳細に説明する。
本発明で使用する、構成成分について、まず説明する。
【0016】
1.高置換度Na−カルボキシメチルセルロース(A)
本発明において、アースドリル工法掘削泥水用調整剤の第1成分として使用する、高置換度Na−カルボキシメチルセルロース(A)は、掘削泥水に対して増粘、保護コロイド機能を有し、脱水量がすくなく、薄くて丈夫な泥壁を形成する機能が優れているので、調整剤の主成分として使用される。
(A)の置換度(平均エーテル化度)が1.5〜1.7モル/C6、かつ1%水溶液粘度が1500〜3000amPa・sのものである。(A)の置換度が1.5モル/C6未満であると、掘削泥水の耐塩性、耐セメント性、増粘性、保護コロイド機能性が低下し、又、セメント混入量が多くなると、例えばセメント固形分が1.0%(重量/容量)以上混入すると掘削泥水自体がゲル化を起こして流動性を失うと共に脱水量が著しく多く、泥壁も厚くなって使用不可能となり、この傾向は掘削土が混入して掘削泥水中の含有固形分量が多くなればなるほど著しくなり、望ましくない。また、(A)の置換度が1.7モル/C6を超えると、脱水量が多くなり過ぎ、薄くて丈夫な泥壁が形成されず望ましくなく、また(A)の置換度が1.7モル/C6を超えるものは、製造が困難であり、強いて製造すると、高価なモノクロール酢酸の付加率が低下しコスト高となり望ましくない。
【0017】
(A)の1%水溶液粘度は1500〜3000amPa・sの範囲であり、好ましくは1500〜2500amPa・s、更に好ましくは2000〜2500amPa・sである。1500amPa・s未満であると、掘削泥水に対して増粘、保護コロイド機能が減少し、保水量がすくなくなり、薄くて丈夫な泥壁を形成することが出来なくなり、望ましくない。
置換度が1.5〜1.7モル/C6で、かつ1%水溶液粘度が、3000amPa・sを超えるNa−カルボキシメチルセルロースは、製造上安定的して得ることは困難である。
【0018】
2.低分子量ポリアクリル酸ソーダ(B)
本発明において、アースドリル工法掘削泥水用調整剤の第2成分として使用する、低分子量ポリアクリル酸ソーダ(B)は、分散性能に優れており、しかも、カルシウムイオンと反応してその活性を失わせる機能があるため、本発明の主成分であるNa−カルボキシメチルセルロース(A)の弱点である、例えばセメント固形分が1.0%(重量/容量)以上混入すると掘削泥水自体がゲル化を起こして流動性を失うという問題点を補うために使用される。
(B)の分子量は5,000〜50,000の範囲である。(B)の分子量が5,000未満であると、カルシウムイオンと反応してその活性を失わせる機能が弱くなりそれ自体がゲル化し、分散性能を喪失し望ましくなく、(B)の分子量が50,000をこえると、掘削泥水中のベントナイトを凝集沈殿させ望ましくない。
【0019】
3.炭酸ナトリウム(C)
本発明において、アースドリル工法掘削泥水用調整剤の第3成分として使用する、炭酸ナトリウム(C)は、カルシウムイオンと反応してその活性を失わせる機能があるため、本発明の主成分であるNa−カルボキシメチルセルロース(A)の弱点である、例えばセメント固形分が1.0%(重量/容量)以上混入すると掘削泥水自体がゲル化を起こして流動性を失うという問題点を補うために使用される。
【0020】
4.清水(D)
本発明において、清水(D)とは、アースドリル工法掘削泥水の主成分となる水であり、水道水、雨水、河川水、地下水、井戸水等が使用できる。
清水(D)中に、カルシウムイオン、マグネシウムイオン等の多価金属イオンまたは、それらを発生させる化合物は成る可く存在しない方がよい。
これらは、Na−カルボキシメチルセルロース(A)や低分子量ポリアクリル酸ソーダ(B)をゲル化させ、保水性、分散性等の機能を喪失させるからである。
【0021】
5.ベントナイト(E)
本発明において、ベントナイト(E)は、超微細な粘土で、モンモリロナイトを主成分とし、石灰、長石、雲母、黄鉄鉱などを夾雑しており、正及び負の電荷を共有しており、比表面積も大きく、水には溶けないが、水に入れると水和性、膨潤性、多孔性等があるので容積が約10倍になり、水の粘度の上昇、機械的衝撃の吸収・緩和をおこない、チクソトロピー効果により、掘削の行われているドリリングビットにおいては、せん断速度が高いため低粘度となり、掘削速度が速くなる効果がある。また、ベントナイトの薄片の微粒子が平行に重なって薄い強い泥壁をつくり、壁が崩壊するのを防ぎ掘削壁面の保護の役割を担っている。
【0022】
6.アースドリル工法掘削泥水用調整剤
本発明のアースドリル工法掘削泥水用調整剤は、置換度が1.5〜1.7であり、1%水溶液粘度(B型粘度計により、25℃、60rpmで測定した値)が1,500〜2,500mPa・sの高置換度Na−カルボキシメチルセルロース(A)、分子量5,000〜50,000の低分子量ポリアクリル酸ソーダ(B)、及び炭酸ナトリウム(C)が60.35〜81.00重量%、24.65〜9.00重量%、及び15.00〜10.00重量%の比率となっていることを特徴とする粉末状のものである。
【0023】
各成分(A)、(B)、及び(C)については、上記したとおりであるが、それらの配合比率は、(A)60.35〜81.00重量%、(B)24.65〜9.00重量%、及び(C)15.00〜10.00重量%の比率である。
(A)が60.35重量%未満であると、保水性、粘度、壁強度等が不足し、81.00重量%をこえると、掘削泥水自体がゲル化を起こして流動性を失うと共に脱水量が著しく多く、泥壁も厚くなって使用不可能となりのぞましくない。
(B)が24.65重量%を超えると、保水性、粘度、壁強度等が不足し、(B)が9.00重量%未満であると、掘削泥水自体がゲル化を起こして流動性を失うと共に脱水量が著しく多く、泥壁も厚くなって使用不可能となりのぞましくない。
また、(C)が15.00重量%を超えると、保水性、粘度、壁強度等が不足し、10.00重量%未満であると掘削泥水自体がゲル化を起こして流動性を失うと共に脱水量が著しく多く、泥壁も厚くなって使用不可能となりのぞましくない。また、掘削泥水用調整剤のコストアップとなり望ましくない。
各成分(A)、(B)、及び(C)の配合比率が、上記の数値範囲にあるとき、低添加量で適性な粘性や造壁形成性は勿論のこと、耐セメント性に優れている為、セメント固形分が多く混入しても良好な機能を維持でき、掘削土砂等の混入にも優れた泥水安定性能を有する新しいタイプのアースドリル工法掘削泥水を作れる調整剤がえられ、コスト的にも有利となる。
【0024】
7.アースドリル工法掘削泥水
本発明において、アースドリル工法掘削泥水とは、清水(D)100重量%に対してベントナイト(E)を外割りで2〜8重量%を添加し作製した泥水に該調整剤を外割りで0.01〜0.5重量%添加して作ったものである。
ベントナイト(E)の配合量が外割りで2重量%未満であると、泥水の粘度の上昇、機械的衝撃の吸収・緩和、掘削壁面材の形成等に寄与することができなく、8重量%を超えると泥水の粘度が上昇しすぎ、またコストアッブとなり望ましくない。
調整剤は、泥水に外割りで0.01〜0.5重量%を配合するが、0.01重量%未満であると、得られた掘削泥水は適性な粘性や造壁形成性を発現しなく、0.5重量%を超えて配合しても、粘性や造壁形成性は、やや増加するもののほぼ飽和点に達しており過剰品質となり、コスト的にも不利となるので好ましくない。
【0025】
【実施例】
以下実施例により、本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0026】
(アースドリル工法掘削泥水用調整剤の製造)
【0027】
実施例1、2、及び3に共通に用いる実施例用調整剤
置換度が1.5〜1.7であり、1%水溶液粘度(B型粘度計により、25℃、60rpmで測定した値)が1,500〜2,500mPa・sの高置換度Na−カルボキシメチルセルロース(A)として、ダイセル化学工業(株)の置換度が1.58、1%水溶液粘度が1,580mPa・sの高置換度低粘度のNa−カルボキシメチルセルロースを、又、分子量5,000〜50,000の低分子量ポリアクリル酸ソーダ(B)として、日本純薬(株)のジュリマーPC−10NPDを、及び炭酸ナトリウムを、それぞれが68重量%、20重量%、及び12重量%の比率で配合し、実施例1、2、及び3に共通に用いる実施例用調整剤を製造した。
【0028】
比較例1に用いる比較調整剤(1)
従来のNa−カルボキシメチルセルロース(A)として、ダイセル化学工業(株)の置換度が1.38、1%水溶液粘度1680mPa・sの中置換度低粘度のNa−カルボキシメチルセルロースを、又、分子量5,000〜50,000の低分子量ポリアクリル酸ソーダ(B)として、日本純薬(株)のジュリマーPC−10NPDを、及び炭酸ナトリウムを、それぞれが50重量%、35重量%、及び15重量%の比率で配合し、表1のファンネル粘度の比較例1に用いる比較調整剤(1)を製造した。
【0029】
比較例2に用いる比較調整剤(2)
ダイセル化学工業(株)の置換度が1.38,1%水溶液粘度260mPa・sの中置換度低粘度のNa−カルボキシメチルセルロース、及び炭酸ナトリウムを、それぞれが75重量%、及び25重量%の比率で配合し、比較例2に用いる比較調整剤(2)を製造した。
【0030】
比較例3に用いる比較調整剤(3)
第1工業製薬(株)の置換度が1.35,1%水溶液粘度450mPa・sの中置換度低粘度のNa−カルボキシメチルセルロース、及び炭酸ナトリウムを、それぞれが85.7重量%、及び14.3重量%の比率で配合し、比較例3に用いる比較調整剤(3)を製造した。
【0031】
比較例4に用いる比較調整剤(4)
比較例1に用いる比較調整剤(1)と同じ調整剤を比較例4に用いる比較調整剤(4)とした。
【0032】
比較例5に用いる比較調整剤(5)
比較例2に用いる比較調整剤(2)と同じ調整剤を比較例5に用いる比較調整剤(5)とした。
【0033】
比較例6に用いる比較調整剤(6)
比較例3に用いる比較調整剤(3)と同じ調整剤を比較例6に用いる比較調整剤(6)とした。
【0034】
実施例1及び比較例1−(掘削泥水のファンネル粘度および脱水量の試験)
【0035】
(1)掘削泥水の作製
清水600mlに対して、クニミネ(株)のベントナイト「浅間印」を36g(6%wt/v)加えて、5,000rpmで5分間撹拌し、ベントナイト懸濁液を作液した。このベントナイト懸濁液600mlに対して、上記した実施例1に用いる実施例用調整剤を1.2g(0.2%wt/v)添加して、実施例1の配合処方の掘削泥水を作液した。
上記において、実施例1に用いる実施例用調整剤に代えて、上記の比較例1に用いる比較調整剤(1)を用いた以外は、同様な方法で、比較例1の配合処方の掘削泥水を作液した。
【0036】
(2)評価結果
実施例1及び比較例1の掘削泥水について、ファンネル粘度(FV,秒,500ml/500ml)及び脱水量(ml、30mPa×30分)をそれぞれ測定し表1に示した。
【0037】
【表1】
【0038】
表1から明らかなように、同じ系統の組成物である比較例1と比べて、実施例1は同じ調整剤添加量において、高いファンネル粘度を示した。すなわち、従来の調整剤と比べて、低添加量で増粘効果がある。また、脱水効果も優れている。
【0039】
実施例2及び比較例2〜4−(泥水の耐セメント性の試験)
【0040】
(1)セメントスラリーの作製
清水100mlに対してポルトランドセメント50gを加え、マグネチックスターラーで4〜5時間撹拌してセメントスラリーを作成した。このセメントスラリー1g中には約0.333gのセメント固形分が含まれている。
【0041】
(2)掘削泥水の作製
次に、清水600mlに対して、(株)立花マテリアルのベントナイト「TB−300」を18g(3%wt/v)加えて、5,000rpmで5分間撹拌し、ベントナイト懸濁液を作液した。このベントナイト懸濁液600mlに対して、上記した実施例2に用いる実施例用調整剤を1.2g(0.2%wt/v)添加して、5,000rpmで5分間撹拌して実施例2の配合処方の掘削泥水を作液した。
上記において、実施例2に用いる実施例用調整剤に代えて、上記の比較例2〜4に用いる比較調整剤(2)〜(4)をそれぞれ用いた以外は、同様な方法で、比較例2〜4の配合処方の掘削泥水をれぞれ作液した。
【0042】
(3)評価方法
上記セメントスラリーを固形分換算で、上記の実施例2、比較例2〜4の配合処方のそれぞれの掘削泥水に対し、1.0%(wt/v)になるように添加して、5,000rpmで2分間撹拌した後、24時間静置した。24時間静置後の掘削泥水の状態を肉眼観察するとともに再び5,000rpmで2分間撹拌して、ファンネル粘度(FV,秒,500ml/500ml)及び脱水量(ml、30mPa×30分)をそれぞれ測定した。
(4)評価結果
実施例2及び比較例2〜4について、ファンネル粘度、脱水量、及び掘削泥水の状態を表2に示した。
【0043】
【表2】
【0044】
表2から明らかなように、比較例2〜3に比べて、実施例2はセメント添加後も泥水はゲル化せず、耐セメント性があり、安定した性能を示した。又、比較例4に比べて、同添加量でも高いファンネル粘度を示した。すなわち、従来の調整剤と比べて、セメント添加状態でも低添加量で増粘効果がある。
【0045】
実施例3及び比較例5〜6−(安定性試験)
泥水のファンネル粘度変化率、B型粘度変化率、VGメーター粘度変化率及び比重変化率等の測定により安定性を評価した。
【0046】
(1)掘削泥水の作製
清水1500mlに対して、(株)立花マテリアルのベントナイト「TB−300」を45g(3%wt/v)加えて、5,000rpmで10分間撹拌し、ベントナイト懸濁液を作液した。更にこのベントナイト懸濁液1500mlに対して、上記した実施例3に用いる実施例用調整剤を3g(0.2%wt/v)添加し、7,000rpmで10分間撹拌後、第一工業製薬(株)の分散剤「マーゼル」を0.75ml(0.05%v/v)を加え2分間撹拌して実施例3に用いるポリマー泥水を作製した。
上記において、実施例3に用いる実施例用調整剤に代えて、上記の比較例5〜6に用いる比較調整剤(5)〜(6)をそれぞれ用いた以外は、同様な方法で、比較例5〜6の配合処方の掘削泥水をれぞれ作液した。
【0047】
(2)泥水のファンネル粘度変化率、B型粘度変化率、VGメーター粘度変化率及び比重変化率等の測定方法
上記にて作製したポリマー泥水を25℃で温調後、ファンネル粘度変化率、B型粘度変化率、VGメーター粘度変化率(見かけ粘度mPa・s AV変化率と略記する、;プラスチック粘度mPa・s PV変化率と略記する、降伏点Lb/100ft2 YV変化率と略記する)及び比重変化率を測定した。
その結果は、表3に示した。
【0048】
(3)評価結果
実施例3及び比較例5〜6について、配合処方、泥水のファンネル粘度変化率、B型粘度変化率、VGメーター粘度変化率及び比重変化率等の測定結果を表3に示した。
【0049】
【表3】
【0050】
表3から明らかなように、比較例5〜6に比べて、実施例3は変化が少なく、安定した性能を示している。
【0051】
【発明の効果】
本発明によれば、低添加量で適性な粘性や造壁形成性は勿論のこと、耐セメント性に優れているため、セメント固形分が多く混入しても良好な機能を維持でき、かつ掘削土砂等の混入にも優れた泥水安定性能を有するアースドリル工法掘削泥水用調整剤、及びそれを用いて作ったアースドリル工法掘削泥水が得られるという効果がある。
Claims (5)
- 高置換度Na−カルボキシメチルセルロース(A)、分子量5,000〜50,000の低分子量ポリアクリル酸ソーダ(B)及び炭酸ナトリウム(C)を主成分とするアースドリル工法掘削泥水用調整剤であって、
高置換度Na−カルボキシメチルセルロース(A)は、置換度が1.5〜1.7で、1%水溶液粘度(B型粘度計により、25℃、60rpmで測定した値)が1,500〜2,500mPa・sであり、かつ、各成分の配合量は、(A)が60.35〜81.00重量%、(B)が24.65〜9.00重量%、(C)が15.00〜10.00重量%であることを特徴とする粉末状のアースドリル工法掘削泥水用調整剤。 - 各成分の配合量は、(A)が62.00〜73.00重量%、(B)が24.65〜9.00重量%、(C)が15.00〜10.00重量%であることを特徴とする請求項1記載のアースドリル工法掘削泥水用調整剤。
- 清水(D)100重量%に対して、請求項1又は2に記載のアースドリル工法掘削泥水用調整剤を外割りで0.01〜0.5重量%添加してなるアースドリル工法掘削泥水。
- 清水(D)100重量%に対して、さらにベントナイト(E)を外割りで2〜8重量%添加してなる請求項3記載のアースドリル工法掘削泥水。
- 清水(D)100重量%に対して、該調整剤を0.2重量%、ベントナイト(E)を6重量%添加してなる、30秒以上のファンネル粘度を有する請求項4記載のアースドリル工法掘削泥水。
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