JP3623406B2 - Gas discharge panel and manufacturing method thereof - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は表示デバイス等に用いるガス放電パネルとその製造方法に関するものであって、特に高品位のプラズマディスプレイパネルとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ハイビジョンをはじめとする高品位で大画面のディスプレイに対する期待が高まっている中で、CRT、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)といった各ディスプレイ装置が各分野において期待に応えるべく研究開発されている。
【0003】
従来からテレビのディスプレイとして広く普及しているCRTは、解像度や画質の点で優れているが、大型化に伴って奥行き及び重量が増す傾向があり、40インチ以上の大画面化には不向きである。またLCDは消費電力が少なく、奥行きと重量に対する問題も回避できる利点があるが、実際に大画面化した場合にプロセスコストや表示にかかる応答速度などの点で改良すべき問題を有している。
【0004】
このようなCRTやLCDに対し、ガス放電表示装置に用いられるPDPは、小さい奥行きでも大画面化することが比較的容易である。PDPは、2枚のガラス板間にストライプ状に形成した隔壁(リブ)と、隔壁間にRGB各色毎に配置した蛍光体層を有し、隔壁の長手方向に対して直交配置した複数対の表示電極により、隔壁とガラス板の間の放電空間に封入した放電ガス(He−Xe系、Ne−Xe系等)中で放電し、これにより発生する紫外線(UV)により蛍光体を励起発光して画面表示するものである。
【0005】
このような構造を有するPDPは、すでに50インチクラスの製品が開発されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
PDPのパネル輝度は、主として放電ガス中で発生する紫外線の強度に依存する。現行の40〜42インチクラス(画素数640×480個、セルピッチ0.43mm×1.29mm、単位セル面積0.55mm2)のNTSC方式PDPでは、紫外線(波長約147nm)によって150〜250cd/m2の発光効率を得ている。
【0007】
これに対し、近年注目を集めているハイビジョン型PDPは、例えば42インチクラスで画素数1920×1125、セルピッチ0.15mm×0.48mm、および単位セル面積0.072mm2等の性能が要求されており、現行のPDPの製品に比べて相当に高精細の構造となる。一般的に紫外線の強度は放電空間の体積に比例し、発光効率も蛍光体層の紫外線受光面積に依存する性質があるので、高精細のPDPでは放電空間が小さくなり発光効率が低下し易い。したがって従来の技術でハイビジョン型PDPを作製すると、発光効率は30〜40cd/m2にまで下がると思われる。高精細なPDPで良好な画面表示を行うためには、この発光効率を飛躍的に向上させることが必要となる。
【0008】
また高精細なパネルでは、各対の表示電極の間隙が従来よりも狭くなる。この場合、一般的な放電ガスの封入圧力下(500〜760Torr)において、各対の表示電極での放電開始電圧は従来より高くなる(パッシェンの法則)。高精細なPDPでは単位セル数が多く、これに表示電極の数も比例するため、全体的なPDPの消費電力は従来よりかなり上昇してしまうことが予想される。低い消費電力の製品が望まれる今日では、このような消費電力の増加を抑制する必要がある。
【0009】
さらに、高精細なPDPでは走査線数が従来より約3倍近く増加する。これは、ハイビジョン型PDPなどの高解像度の画面表示を行うために、従来の約3倍の走査速度が要求されることを意味する。ここで、各対の表示電極にパルスを印加してから実際に放電するまでに若干の時間的遅れ(放電遅れ)が生じるといった性質がある。このため、高精細なPDPで高解像度の画面表示を行うには、放電遅れを短く抑えることで走査速度を向上させる必要がある。
【0010】
本発明は以上のように、パネル輝度の向上、消費電力の抑制、走査速度の向上の3点の課題を主として鑑みてなされたものであって、その目的は、従来より低い駆動電圧で駆動でき、かつ発光効率の優れたガス放電パネルとその製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決する手段】
上記を解決するために、本発明は第一の電極と誘電体層が表面にその順に形成された第一のプレートと、第二のプレートが、前記誘電体層と対向するように配設されたガス放電パネルとして、前記誘電体層は、少なくとも第二のプレートに対向する表面が金属酸化物より構成され、かつ当該金属酸化物の結晶構造中には2個の自由電子がトラップされた酸素欠陥が含まれているものとした。
【0012】
このような構成の誘電体層によって、放電開始時に放電ガスの電離などに由来して発生する一次電子が、少なくとも誘電体層表面の金属酸化物からなる層(以下、実施の形態および実施例も含めて「保護層」という)の酸素欠陥に衝突し、2個の自由電子が二次電子として放電空間に放出される。本発明では保護層に2個の自由電子をトラップする酸素欠陥を存在させているため、主として1個の自由電子をトラップする酸素欠陥しか存在しなかった従来の保護層よりも二次電子が多数得られる。
【0013】
したがって本発明では、同じ電圧を印加しても放電空間に比較的豊富な数の電子が存在することになり、良好な規模のプラズマが低電力で形成され、優れた発光効率のガス放電パネルを実現することが可能となる。また豊富な二次電子の存在により、低電圧の印加でも放電がすばやく形成し易くなるため、走査速度が向上する効果も期待できる。
【0014】
このようなことから、本発明はハイビジョン型のPDPなどのガス放電パネルに特に有効である。
なお前記金属酸化物としては、酸化マグネシウム(MgO)、酸化アルミニウム(Al2O3)、スピネル(MgAl2O4)などが挙げられる。
このような本発明のガス放電パネルは、第一の電極を形成した第一のプレート表面に誘電体層を形成する第一ステップと、第一のプレート面と第二のプレート面を対向して貼着する第二ステップとを備えるガス放電パネルの製造方法によって、前記第一ステップにおいて、プラズマCVD装置、スパッタ装置、イオンプレーティング装置から選択した装置を用い、当該装置の高周波発生部と第一のプレートとの間にバイアス電圧を印加しつつ、少なくとも第二のプレートに対向する表面部分が金属酸化物からなる誘電体層を形成することにより製造が可能である。
【0015】
具体的には後述の実施例で説明するように、以下の条件に設定して製造するのが望ましいということが明らかになっている。
すなわちプラズマCVD装置を用いる場合は、前記第一ステップにおいて、30Pa〜300Paの圧力下で、第一のプレートに─100V〜─200Vの負のバイアス電圧を印加しつつ、前記金属酸化物からなる層を形成するのが望ましい。
【0016】
またスパッタ装置を用いる場合は、前記第一ステップにおいて、0.1Pa〜10Paの圧力下で、第一のプレートに─100V〜─200Vの負のバイアス電圧を印加しつつ、前記金属酸化物からなる層を形成することが望ましい。
さらにイオンプレーティング装置を用いる場合には、前記第一ステップにおいて、0.01Pa〜1.0Paの圧力条件下で、第一のプレートに─500V〜─1500Vの負のバイアス電圧を印加しつつ、前記金属酸化物からなる層を形成するのが望ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
1.ガス放電パネル(PDP)の構成
1─1.PDPの全体的な構成
図1は、本発明の実施の形態に係るガス放電パネルの一例であるPDP交流面放電型PDP(以下単に「PDP」という)の主要構成を示す部分的な断面斜視図である。図中、z方向がPDPの厚み方向、xy平面がPDPのパネル面に平行な平面に相当する。本PDPは42インチクラスのハイビジョン仕様に合わせた構成になっている。
【0018】
図1に示すように、本PDPは互いに主面を対向させて配設されたフロントパネル20およびバックパネル26から構成される。
フロントパネル20の基板となるフロントパネルガラス21には、その片面に厚さ0.1μm、幅150μmの帯状の透明電極220(230)と、厚さ7μm、幅50μmのバスライン221(231)で構成される表示電極22(23)(X電極23、Y電極22)がx方向に沿って複数対並設され、各対の表示電極22、23との間隙(約50μm)で面放電を行うようになっている。
【0019】
表示電極22、23を配設したフロントパネルガラス21には、当該ガラス21の面全体にわたって誘電体層24がコートされている。具体的に誘電体層24は、誘電体層本体241と保護層242とからなり、フロントパネルガラス21の表面に厚さ約20μmの誘電体層241本体がコートされた上に厚さ約0.9μmの保護層242がコートされている。
【0020】
バックパネル26の基板となるバックパネルガラス27には、その片面に厚さ5μm、幅60μmの複数のアドレス電極28がy方向を長手方向として一定間隔毎(約150μm)でストライプ状に並設され、このアドレス電極28を内包するようにバックパネルガラス27の全面にわたって厚さ30μmの誘電体膜29がコートされている。誘電体膜29上には、隣接するアドレス電極28の間隙に合わせて高さ100μm、幅35μmの隔壁30が配設され、そして隣接する隔壁30の側面とその間の誘電体膜29の面上には、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の何れかに対応する蛍光体層31〜33が形成されている。これらのRGB各蛍光体層31〜33はx方向に順次配されている。
【0021】
このような構成を有するフロントパネル20とバックパネル26は、アドレス電極28と表示電極22、23の互いの長手方向が直交するように対向させつつ、両パネル20、26の外周縁部にて接着し封止されている。前記両パネル20、26間にはHe、Xe、Neなどの希ガス成分からなる放電ガス(封入ガス)が所定の圧力(従来は通常500〜760Torr程度)で封入されている。
【0022】
隣接する隔壁30間は放電空間38となり、隣り合う一対の表示電極22、23と1本のアドレス電極28が放電空間38を挟んで交叉する領域が、画像表示にかかるセル(不図示)に対応している。x方向のセルピッチは約160μm、y方向のセルピッチは約480μmである。
そして、このPDPを駆動する時には不図示のパネル駆動部によって、アドレス電極28と表示電極22、23のいずれか(本実施の形態ではこれをX電極23とする。なお一般に、当該X電極23はスキャン電極、Y電極22はサステイン電極と称される)にパルスを印加し、放電させることにより各セルに書き込み放電(アドレス放電)を行った後、一対の表示電極22、23同士にパルスを印加し、放電させることによって短波長の紫外線(波長約147nmを中心波長とする共鳴線)を発生させ、蛍光体層31〜33を発光させて画像表示をなす。
【0023】
ここにおいて、本PDPの主たる特徴は保護層242の構成にある。上記保護層242は、2個の自由電子をトラップした酸素欠陥(F中心)が結晶構造中に存在していることを特徴とする。
1─2.本実施の形態の保護層の構成による効果
前述のような構成の保護層を有する本PDPによれば、PDP駆動時の放電維持期間の初期において各対の表示電極22、23にパルスが印加されると、当該表示電極22、23の間隙で放電が開始される。そして次第に保護層242の表面から放電が放電空間に拡大し、放電ガスの原子が電離してプラズマが形成されるようになる。このとき放電ガスの電離から一次電子が発生し、保護層242の表面に衝突するが、一次電子が2個の自由電子をトラップしたF中心に衝突すると、これらの自由電子が2個とも二次電子となって放電空間38に飛び出る。
【0024】
図2は、当該保護層242を中心とするフロントパネル20のz方向断面図である。当図のように本実施の形態では、一次電子が保護層242のF中心に衝突すると、理論的に一次電子の倍数の二次電子が得られる。なお、当図ではこの機構を分かり易くするため一次電子はF中心に衝突するものだけを表示しているが、当然ながら実際には一次電子は他の領域の保護層242の表面(従来より存在する1個の自由電子をトラップするF中心を含む)、および蛍光体層31〜33等にも衝突している。
【0025】
ここで、二次電子放出係数をγ、放電開始電圧をVfとするとき、これらの関係は次の数1で表すことができる(「プラズマディスプレイ」、共立出版 1983年 pp.43を参照)。
[数1] Vf = E/αln(1/γ+1)
なおEとαはともに放電ガスの種類によって決定される定数である。
【0026】
数1に示されるように、放電開始電圧Vfと二次電子放出係数γとは反比例の関係にあるため、従来より二次電子の放出量が向上されている本発明の保護層242によって、二次電子放出係数γは大きい値を取るため、放電開始電圧Vfは低減されることとなる。
その結果、豊富な二次電子によってプラズマが拡大し、良好な蛍光発光が得られ、パネル輝度が向上する。またプラズマ中の電子数が豊富になるので、アドレス放電時における電圧(書き込み電圧)も抑制され、全体としてPDPの駆動にかかる消費電力が効率よく低減される。
【0027】
また、放電空間38に豊富に二次電子が存在する状態で書き込み電圧が抑制され、従来より低い電圧でアドレス放電が行えるようになり、各電極22、23、28にパルスを印加してから放電が開始するまでの時間(放電遅れ)が短くなる(「プラズマディスプレイ」 共立出版、pp.50〜51、1982年を参照)。したがって画面表示にかかる応答性が改善され、ハイビジョン型PDPなどの走査線が比較的多いガス放電パネルにおいても良好な表示性能(走査速度)を得ることが可能となる。
【0028】
なお、MgO以外にも、Al2O3、MgAl2O4などの材料で結晶構造に2個の二次電子をトラップするF中心を形成できる(「電気学会放電研究会資料」 ED−98−202 1998年を参照)ので、本発明ではこれらの材料も保護層242の材料として使用可能である。
以上の保護層242の構成によって、本PDPでは良好なパネル輝度と優れた発光効率が得られる。その理由は、具体的には次のように考察することができる。
【0029】
1─3.従来と本実施の形態における保護層の違いについて
前述のように、PDPでは各対の表示電極22、23より生じる放電をもとに放電空間で放電ガスのプラズマを形成し、このプラズマにより紫外線を発生して蛍光体を励起発光させるが、蛍光体の発光規模(パネル輝度)は紫外線の強度に比例する。これは、プラズマに含まれる電子数を多くして紫外線の強度を高めるとパネル輝度が向上することを意味する。
【0030】
各対の表示電極22、23の放電に由来し、プラズマに含まれる一次電子は、一対の表示電極22、23のうち一方の表示電極22(23)から保護層242の表面を介して放電空間38へと広がった後、他方の表示電極23(22)へ再び移動する。
ここで、従来より保護層242の結晶構造中には自由電子をトラップする酸素欠陥(F中心)と呼ばれる部位が存在する。このF中心に一次電子が衝突すると、酸素欠陥にトラップされていた自由電子が放電空間38に飛び出して二次電子となる。放電空間38のプラズマは二次電子によっても形成するので、放電空間38に二次電子が充満するほど放電規模が拡大される。つまり放電空間38に占める二次電子数が多いほどプラズマが大きくなり、パネル輝度が向上するので、一次電子に対して得られる二次電子の数は多いほど望ましい(「プラズマディスプレイ」共立出版(株)pp.47〜49、1982年を参照)。
【0031】
ここで、従来の保護層に存在するF中心は自由電子を1個しかトラップしない類のものであり、(Y.CHEN、Phys.Rev.Volume.182 No.3 pp.182、1969を参照)、1個の一次電子がF中心に当たっても二次電子は1個しか得られなかった。したがって二次電子を効率よく獲得し、プラズマを拡大してパネル輝度の向上に有効利用することは困難とされている。
【0032】
これに対し本発明は、保護層242の結晶構造中に2個の自由電子がトラップされたF中心を形成し、理論的に1個の一次電子の衝突により2個の二次電子が得られるように図り、十分な二次電子を獲得してパネル輝度の向上を可能にしている。
1─4.保護層の酸素欠陥(F中心)の存在を確認する方法
2個の自由電子がトラップされたF中心は、カソードルミネッセンス測定において固有の発光ピークを呈するので存在が確認できる。具体的にはMgOの場合、波長355、574、975nmの各発光ピークを呈し、Al2O3の場合、410nmの発光ピーク、さらにMgAl2O4の場合、355、410、700nmの各発光ピークを呈する。従来より保護層に存在する1個の自由電子をトラップするF中心のカソードルミネッセンスの発光ピークは、MgOの場合700nm、Al2O3の場合300nm、MgAl2O4の場合300nmであることが知られている(詳しくは、Al2O3については気象学会研究会資料ED98−202、pp.23、1998年、MgOについてはPhys.Rev.B.Volume.1 No.4、15、Feb.1970等を参照、なおMgAl2O4についてはAl2O3と同様であると類推している)。
2.PDPの作製方法
次に、上記PDPの作製方法について、その一例を説明する。
【0033】
2─1.フロントパネルの作製
厚さ約2.6mmのソーダライムガラスからなるフロントパネルガラス21の面上に表示電極22、23を作製する。これにはまず、透明電極220、230を次のフォトエッチングにより形成する。
フロントパネルガラス21の全面に、厚さ約0.5μmでフォトレジスト(例えば紫外線硬化型樹脂)を塗布する。そして透明電極220、230のパターンのフォトマスクを上に重ねて紫外線を照射し、現像液に浸して未硬化の樹脂を洗い出す。次に透明電極220、230の材料としてITO等をフロントパネルガラス21のレジストのギャップに塗布する。この後に洗浄液などでレジストを除去し、透明電極220、230を完成する。
【0034】
続いて、AgもしくはCr−Cu−Crを主成分とする金属材料により、前記透明電極220、230上に厚さ約7μm、幅50μmのバスライン221、231を形成する。Agを用いる場合にはスクリーン印刷法が適用でき、Cr−Cu−Crを用いる場合には蒸着法またはスパッタ法などが適用できる。
以上で表示電極22、23が形成される。
【0035】
次に、表示電極22、23の上から酸化鉛(PbO)、酸化ホウ素(B2O3)、有機バインダー(α─ターピネオールに10%のエチルセルロースを溶解したもの)をそれぞれ75:15:10の重量比で混合してなる鉛系ガラスのペーストをフロントパネルガラス21の全面にわたってコートし、焼成(520℃で10分)して厚さ約20μmの誘電体層本体241を形成する。
【0036】
次に誘電体層本体241の表面に、酸化マグネシウム(MgO)、酸化アルミニウム(Al2O3)、スピネル(MgAl2O4)のいずれかよりなり、結晶中に2個の電子がトラップされたF中心を有する厚さ約0.9μmの保護層242を形成する。なお具体的な保護層242の形成方法については後述する。
以上でフロントパネル20が作製される。
【0037】
2─2.バックパネルの作製
厚さ約2.6mmのソーダライムガラス27からなるバックパネルガラスの表面上に、スクリーン印刷法により銀(Ag)を主成分とする導電体材料を一定間隔でストライプ状に塗布し、厚さ約5μmのアドレス電極28を形成する。
続いて、アドレス電極28を形成したバックパネルガラス27の面全体にわたって鉛系ガラスペーストを厚さ約20〜30μmで塗布して焼成し、誘電体膜29を形成する。
【0038】
次に、誘電体膜29と同じ鉛系ガラス材料を用いて、誘電体膜29の上に、隣り合うアドレス電極28の間隙(約150μm)毎に高さ約120μmの隔壁30を形成する。この隔壁30は、例えば上記ガラス材料を含むペーストを繰り返しスクリーン印刷し、その後焼成して形成できる。
隔壁30が形成できたら、隔壁30の壁面と、隣接する隔壁30間で露出している誘電体膜29の表面に、赤色(R)蛍光体、緑色(G)蛍光体、青色(B)蛍光体のいずれかを含む蛍光インクを塗布し、これを乾燥・焼成してそれぞれ蛍光体層31〜33とする。
【0039】
一般的にPDPに使用されている蛍光体材料の一例を以下に列挙する。
赤色蛍光体; (YxGd1−x)BO3:Eu3+
緑色蛍光体; Zn2SiO4:Mn
青色蛍光体; BaMgAl10O17:Eu3+(或いはBaMgAl14O23:Eu3+)
各蛍光体材料は、例えば平均粒径約3μm程度の粉末が使用できる。蛍光体インクの塗布法は幾つかの方法があるが、ここでは公知のメニスカス法と称される極細ノズルからメニスカス(表面張力による架橋)を形成しながら蛍光体インクを吐出する方法を用いる。この方法は蛍光体インクを目的の領域に均一に塗布するのに好都合である。なお、本発明は当然ながらこの方法に限定するものではなく、スクリーン印刷法など他の方法も使用可能である。
【0040】
以上でバックパネル26が完成される。
なおフロントパネルガラス21およびバックパネルガラス27をソーダライムガラスからなるものとしたが、これは材料の一例として挙げたものであって、これ以外の材料でもよい。
2─3.PDPの完成
作製したフロントパネル20とバックパネル26を、封着用ガラスを用いて貼り合わせる。その後、放電空間38の内部を高真空(8×10−7Torr)程度に排気し、これに所定の圧力(500〜760Torr)でNe−Xe系やHe−Ne−Xe系、He−Ne−Xe−Ar系などの放電ガスを封入する。
【0041】
以上で、本実施の形態のPDPが完成される。
次に、保護層242の形成方法について詳細に説明する。
3.保護層の詳細な形成方法
すでに述べたように、二次電子の放出量が良好な保護層242を作製するために、本発明では結晶構造中に2個の自由電子がトラップされたF中心を形成する。このF中心を形成するには、基本的に保護層242の材料(ソース物質)を高エネルギー状態で誘電体層本体241の表面に衝突させて堆積させるとよい。具体的には、フロントパネル20に負のバイアス電圧を印加しつつ、以下に説明するスパッタ法、プラズマCVD法あるいはイオンプレーティング法のいずれかによって保護層242を形成する。
【0042】
3─1.プラズマCVD法による保護層の形成方法
図3は、プラズマCVD装置の概略図である。
本プラズマCVD装置40は、内部に高周波発生装置47が配置されたCVD装置本体45、Arガスボンベ41a(41b)、および気化器42(43)等から主として構成される。図中、CVD装置本体45、気化器42、43は断面構造が示されている。またフロントパネル20については図3〜図5にわたり誘電体層本体241を形成した時点のものを表示している(保護層242は未だ形成していない)。
【0043】
高周波発生装置47は、互いに対向する高周波発生部471と加熱テーブル472からなる。加熱テーブル472は、フロントパネル20を誘電体層24を形成した面を上にして載置し、プレート加熱ヒータ46により当該パネル20を加熱するものである。なお、加熱テーブル472に載置されたフロントパネル20にはバイアス電源50により負のバイアス電圧が印加されるようになっている。高周波発生部471は、アースされた高周波電源48によりCVD装置本体45の内部で高周波を発生する。
【0044】
Arガスボンベ41a(41b)は、キャリアガスであるArガスをバルブC1(C2)、配管L1(L3)を介して気化器(バブラー)42(43)に供給する。
気化器42(43)はヒータ42L(43L)により加熱されるようになっており、内部にAl2O3、MgAl2O3、MgOのいずれかのソース物質となる金属キレート溶液、アセチルアセトン、シクロペンタジエニル化合物等を保温して蓄えている。これらの液状のソース物質は、気化器42(43)に配管L1(L3)を介して供給されるArガスと混合され、配管L2(L4)を介してCVD装置本体45に送り込まれる。
【0045】
なお、金属キレートおよびシクロペンタジエニル化合物としては、例えば、Mgのソース物質としてMagnesium Dipivaloyl Methane[Mg(C11H19O2)2]、Magnesium Acetylacetone[Mg(C5H7O2)2]、Cyclopentadienyl Magnesium[Mg(C5H5)2]、Magnesium Trifluoroacetylacetone[Mg(C2H5F3O2)2]、一方、Alのソース物質としてAluminiumDipivaloyl Methane[Al(C11H19O2)3]、Aluminium Acetylacetone[Al(C5H7O2)3]、Aluminium Trifluoroacetylacetone[Al(C5H5F3O2)3]等が挙げられる。
【0046】
このような各ソース物質を用いて実際にMgO、Al2O3、MgAl2O4のいずれかのを作製する場合、MgOやAl2O3はそれぞれMgもしくはAlの単一のソース物質、MgAl2O4はMgとAlのソース物質を1:2のモル比になるように混合して用いる。
O2ボンベ44は、反応ガスであるO2ガスをCVD装置本体45に供給する。
【0047】
減圧ポンプ49は、CVD装置本体45の内圧を調整するためのものであり、適宜配管L6によりCVD装置本体45内のガスを外部に排出する。
以上の構成を有するプラズマCVD装置40によれば、保護層242の形成に際し、予め加熱テーブル472にフロントパネル20を載置しておき、プレート加熱ヒータ46により加熱テーブル472を250〜380℃程度に加熱する。そしてバルブC1〜C3を開け、Arガス、ソース物質、O2ガスをCVD装置本体45に送り込む。また、バルブC1〜C3と減圧ポンプ49とを用いてCVD装置本体45の内圧を30〜300Paに調節する。
【0048】
続いて高周波電源48により高周波発生装置47を例えば13.56MHzの高周波で駆動し、CVD装置本体45内部にプラズマを発生させる。またバイアス電源50を用い、─100V〜150Vの負のバイアス電圧をフロントパネル20に印加する。この状態で誘電体層本体241の表面上にソース物質を蒸着させ、保護層242を形成する。
【0049】
3─2.スパッタ法による保護層の形成
図4は、スパッタ装置の概略図である。図中、スパッタ装置本体65は断面構造が示されている。
本スパッタ装置60は、内部に高周波発生装置64が配置されたスパッタ装置本体65、Arガスボンベ61a、O2ガスボンベ61b等から主として構成される。
【0050】
高周波発生装置64は、高周波発生部641と加熱テーブル642、プレート加熱ヒータ63で構成され、その構成は前記高周波発生装置47とほぼ同様である。また、加熱テーブル642に載置されたフロントパネル20にはバイアス電源68により負のバイアス電圧が印加されるようになっている。高周波発生部641は、アースされた高周波電源67によりCVD装置本体65の内部で高周波(例えば13.56MHz)を発生する。
【0051】
なお、高周波発生部641にはフロントパネル20と対向する面に保護層の材料としてMgO、Al2O3、MgAl2O4のいずれかの固体のソース物質(ターゲット材62)が装着されている。
またArガスボンベ61a(O2ガスボンベ61b)は、バルブC4(バルブC5)、配管L7(配管L8)を介してスパッタ装置本体65と連結され、CVD装置本体65内部にガスを供給できるようになっている。
【0052】
減圧ポンプ66は、CVD装置本体65の内圧を調整するためのものであり、適宜配管L9によりCVD装置本体65内のガスを外部に排出する。
以上の構成を有するスパッタ装置60によれば、保護層形成に際し、誘電体層本体241を上にしてフロントパネル20を加熱テーブル642に載置し、予めプレート加熱ヒータ63により加熱テーブル642を所定の温度(250℃〜380℃)に加熱する。そしてバルブC4、C5を開けてArガス、O2ガスをそれぞれスパッタ装置60に導入する。また減圧ポンプ66により、CVD装置本体65の内圧を0.1Pa〜10Paに調節する。
【0053】
続いて高周波電源67により高周波発生装置64を例えば13.56MHzの高周波で駆動し、CVD装置本体65の内部に本体65にプラズマを発生させながら、同時にバイアス電源64を用いて、−100V〜─150Vの負の電位をフロントパネル20に印加する。そしてArイオンをターゲット材62に衝突させてこれをスパッタし、誘電体層24上にMgO、Al2O3、MgAl2O4のいずれかよりなる保護層242を形成する。
【0054】
3─3.イオンプレーティング法による保護層の形成方法
図5は、イオンプレーティング装置の概略図である。図中、イオンプレーティング装置本体87は断面構造が示されている。
本イオンプレーティング装置80は、内部に加熱テーブル82、ホローカソード発生源84、プラズマ発生コイル(高周波発生部)85等が配置されたイオンプレーティング装置本体87、Arガスボンベ81a、O2ガスボンベ81b等から主として構成される。
【0055】
加熱テーブル82はプレート加熱ヒータ81により加熱され、フロントパネル20に伝熱する。また、不図示のパネル固定器(クリップなど)を備えており、フロントパネル20を誘電体層本体241を形成したフロントパネル20の面をプラズマ発生コイル85に対面させた状態でテーブル表面に固定する。
プラズマ発生コイル85は高周波電源89に接続され、高周波(例えば13.56MHz)を発生してイオンプレーティング装置本体87内部にArガスのプラズマを発生する。
【0056】
減圧ポンプ83はイオンプレーティング装置本体87の内圧を調節するためのものであり、適宜配管L12によりイオンプレーティング装置本体87内部のガスを排出する。
ホローカソード蒸発源84は当図からは見えないが、上部に円筒形状を有する陰極であって、その内部にソース物質が配置されており、電源89から供給される電力によりソース物質を蒸発させる。
【0057】
以上の構成を有するイオンプレーティング装置80によれば、フロントパネル20の保護層形成に際し、予めフロントパネル20を固定した加熱テーブル82をプレート加熱ヒータ81により200℃に加熱する。そしてバルブC6、C7を開け、Arガス、O2ガスを配管L10、L11よりイオンプレーティング装置本体87内部に送り込む。また、減圧ポンプ83によりイオンプレーティング装置本体87の内圧を0.01Pa〜1.0Paに調節する。
【0058】
続いて高周波電源88よりプラズマ発生コイル85を例えば(13.56MHz)の高周波で駆動し、イオンプレーティング装置本体87内にプラズマを発生させる。これと同時に電源89によりホローカソード蒸発源84を駆動し、ソース物質を蒸発させてイオンプレーティング装置本体87内に充満させる。そしてバイアス電源86によりフロントパネル20に─1000Vの電圧を印加し、フロントパネル20の誘電体層本体241上に保護層242を形成する。
4.実施例と比較例の作製および性能測定
次に、本実施の形態のPDPを前記作製方法にしたがって作製し、保護層のカソードルミネッセンスのピーク測定を行い、さらに放電開始電圧Vf、放電維持電圧Vmを測定した。
【0059】
4─1.プラズマCVD法による保護層を用いたPDP(実施例No.1〜6)の作製
負のバイアス電圧を印加したプラズマCVD法において、気化器の温度、フロントパネル(FP)の加熱温度、装置内部(雰囲気)の圧力等の各条件を変化させて保護層を作製し、これを用いたPDPを実施例No.1〜6とした。
【0060】
このときのプラズマCVD法の仕様は次の通りである。
・プラズマCVD装置本体の内圧:30Pa〜300Pa
・Arガス流速:1l/min
・O2ガス流速:0.5l/min
・高周波出力:300W (13.56MHz)
・保護層の厚み形成速度:0.9μm/min
ここで各実施例の保護層は、実施例No.1〜3ではMgO、実施例No.4、5ではAl2O3、実施例No.6ではMgAl2O4とした。
【0061】
4─2.スパッタ法による保護層を用いたPDP(実施例No.7〜13)の作製
次に、負のバイアス電圧を印加したスパッタ法において、FPの加熱温度、雰囲気の圧力等の条件を変化させて保護層を作製し、これを用いたPDPを実施例No.7〜13とした。
【0062】
ここで各実施例の保護層は、実施例No.7、8ではMgO、実施例No.9ではAl2O3、実施例No.10ではMgAl2O4とした。また、実施例No.11とNo.12はそれぞれリアクティブスパッタによってMgまたはAlの金属単体とO2ガスとを反応させ、MgO保護層またはAl2O3保護層を形成した。さらに実施例No.13では、厚さ0.3μmのMgOに厚さ0.3μmの(Al2O3)を積層して保護層を形成した。
【0063】
4─3.イオンプレーティング法による保護層を用いたPDP(実施例No.14〜20)の作製
次に、負のバイアス電圧を印加したイオンプレーティング法において、FPの加熱温度、雰囲気の圧力等の条件を変化させて保護層を形成し、これを用いたPDPを実施例No.14〜20とした。
【0064】
このときのスパッタ法の仕様は以下の通りである。
・スパッタ装置本体の内圧:0.1Pa〜10Pa
・Arガス流速:10cc/min
・O2ガス流速:1cc/min
・高周波出力:500W(13.56MHz)
・保護層の厚み形成速度:0.3μm/min
ここで各実施例の保護層は、実施例No.14、15ではMgO、実施例No.16、17ではAl2O3、実施例No.18ではMgAl2O4、また実施例No.19とNo.20はそれぞれリアクティブイオンプレーティング法によってMgまたはAlの金属単体とO2ガスとを反応させ、MgO保護層またはAl2O3保護層を形成した。
【0065】
4─4.真空蒸着法による保護層を用いたPDP(比較例No.1〜3)の作製
上記各実施例No.1〜20のPDPとの性能比較を行うため、従来の一般的な保護層の作製方法である真空蒸着法を用いて保護層を形成し、これを用いたPDPを比較例No.1〜3とした。
なお、真空蒸着法としては、MgO、Al2O3、MgAl2O4を電子ビームで加熱してそれぞれを蒸着した。また、このときの真空蒸着法の仕様は以下の通りである。
・真空蒸着装置本体の内圧:0.1Pa
・Arガス流速:10cc/min
・O2ガス流速:1cc/min
・加熱に用いた電子銃の出力:30kW
・保護層の厚み形成速度:0.9μm/min
4─5.カソードルミネッセンスの測定方法
各実施例と各比較例について、保護層の結晶構造中における酸素欠陥(F中心)の存在を同定するため、カソードルミネッセンスの測定を行った。
【0066】
具体的には、Xeフラッシュランプ(浜松ホトニクス製L2435)と、狭帯域(通過波長254nm)のバンドパスフィルター(朝日分光製BPF254)とを組み合わせて暗室中でXeランプを発光させ、フィルターの通過光を保護層上にレンズで集光させ、保護層のカソードルミネッセンスをマルチチャンネル分光器(大塚電子製MCPD2000)で測定した。
【0067】
4─6.放電開始電圧Vf、放電維持電圧Vmおよびパネル輝度の測定方法
上記各実施例と各比較例について、保護層のF中心による効果を調べるため、PDPの表示電極に交流電源を接続し、電圧を徐々に印加し、全面で放電が開始した時点の電圧を放電開始電圧Vfとして測定した。また、放電開始後に電圧を下げていき、放電が消滅する直前の電圧を放電維持電圧Vmとして測定した。
【0068】
さらにパネル輝度については、パネル全面が点灯している時の放電維持電圧で測定し、周波数30KHzで駆動させた時の輝度を測定した。
こうして得られた実施例No.1〜20および比較例No.1〜3のカソードルミネッセンスとパネル輝度等の測定結果を、保護層の作製条件、放電ガスのNe─Xe比率等とともに以下の表1〜4に示す。
【0069】
【表1】
【0070】
【表2】
【0071】
【表3】
【0072】
【表4】
【0073】
5.実施例の性能評価
5─1.実施例No.1〜6(バイアス電圧を印加しつつプラズマCVD法で作製したPDP)と比較例No.1〜3との比較
表1に示されるように、実施例No.1〜3のMgO保護層ではソース物質の種類に関係なくカソードルミネッセンスに主として355nm、574nm、700nm、975nmの各発光ピークが確認された。表4の比較例No.1のMgO保護層と比較すると、これら4つのPDPの保護層では700nmの発光ピークのみが一致している。このことは、実施例No.1〜3および比較例No.1のMgO保護層には1個の自由電子がトラップされたF中心が形成された一方、さらに実施例No.1〜3のMgO保護層には2個の自由電子がトラップされたF中心が形成されたことを示唆している(Phys.Rev.B.Volume.1 No.4、15、Feb.1970を参照)。
【0074】
また実施例No.4、5のAl2O3保護層のカソードルミネッセンスを測定した結果、これらもソース物質に関係なく300nmと410nmの発光ピークが同様に確認された。表4の比較例No.2のAl2O3保護層と比較すると、これら3つのPDPの保護層では300nmの発光ピークが一致しており、自由電子1個をトラップするF中心の存在を表すとともに、実施例No.4、5のAl2O3保護層には2個の自由電子がトラップされたF中心が形成されていると思われる。
【0075】
次に実施例No.6のMgAl2O4保護層のカソードルミネッセンスを測定した結果には、300nm、355nm、410nm、700nmの各発光ピークが見られ、比較例No.3のMgAl2O4保護層では300nmの発光ピークが見られる。したがって実施例No.6および比較例No.3の両方に自由電子1個をトラップするF中心が形成されており、さらに実施例No.6には自由電子2個をトラップしたF中心が形成されたと思われる。
【0076】
次に実施例No.1〜6と比較例No.1〜3のデータを全体的に比較すると、まずパネル輝度において、比較例No.1〜3(約400cd/m2)に対して実施例No.1〜6(500cd/m2)が100cd/m2以上も向上している結果が測定された。次に放電開始電圧Vfにおいては、比較例No.1〜3(250V前後)に対し実施例No.1〜6(165〜185V)が最大80V以上も低減されており、放電維持電圧Vmに至っては比較例No.1〜3(190〜200V程度)に対し実施例No.1〜6(98〜118V)が100V程度まで低減されているものも見られる。
【0077】
このような比較例No.1〜3に対する実施例No.1〜6の測定結果は、2個の自由電子をトラップしたF中心を保護層に形成したことにより、従来よりも二次電子が豊富に得られるようになり、放電空間におけるプラズマの規模が二次電子によって低電力でも良好に拡大できたため、パネル輝度および放電に係る電力効率の両面において非常に優れた性能が発揮されたものと考えられる。
【0078】
なお当該表1のデータから、実際にバイアス電圧を利用したプラズマCVD法でPDPを作製するときは、30〜300Pa程度の圧力下で、かつフロントパネルに─100〜─200V程度の負のバイアス電圧を印加するのが望ましいと言える。
5─2.実施例No.7〜13(バイアス電圧を印加しつつスパッタ法で作製したPDP)と比較例No.1〜3との比較
表2に示すように、実施例No.7、8、11および比較例No.1のMgO保護層のカソードルミネッセンスを測定した結果、前記実施例No.1〜6と同じ発光ピークが確認された。したがって実施例No.1〜6等と同様の考察により、実施例No.7、8および比較例No.1のMgO保護層はともに1個の自由電子をトラップするF中心を有し、実施例No.7、8では2個の電子がトラップされたF中心が形成されたと思われる。
【0079】
また実施例No.9、12のAl2O3保護層には300nmと410nmの各発光ピークが確認された。これらのうち410nmの発光ピークは実施例No.4、5と同様に2個の自由電子がトラップされたF中心を示すものと思われる。
さらに実施例No.10と比較例No.3のMgAl2O4保護層を比較すると、両者に見られる300nmの発光ピークは1個の自由電子をトラップしたF中心、それ以外の発光ピークを持つ実施例No.10には2個の自由電子をトラップするF中心が形成されていることをそれぞれ表しているのが分かる。
【0080】
なおNo.13の保護層はMgOとAl2O3の積層構造となっているため、MgOとAl2O3の両方のピークが得られたものと思われる。
次に実施例No.7〜13と比較例No.1〜3のデータを全体的に比較すると、パネル輝度において、実施例No.1〜6と同様に、比較例No.1〜3(約400cd/m2)に対し実施例No.7〜13(505cd/m2以上)が100cd/m2以上も向上している結果が測定された。次に放電開始電圧Vfにおいて、比較例No.1〜3(250V前後)に対し実施例No.7〜13(185〜195V前後)と60V程度の電圧の低減効果が見られた。さらに放電維持電圧Vmでも比較例No.1〜3(190〜200V程度)に対し実施例No.7〜13(120V前後)が100V程度まで低減されている。
【0081】
比較例No.1〜3に対する実施例No.7〜13の測定結果も、2個の自由電子をトラップしたF中心により、従来よりも二次電子が豊富に得られ、プラズマが二次電子によって低電力でも良好に拡大できた結果、パネル輝度および電力効率などにおいて優れた性能が発揮されたことを表している。
なお当該表2のデータから、実際にバイアス電圧を利用したスパッタ法でPDPを作製するときは、0.1〜10Pa程度の圧力下で、かつフロントパネルに─100〜─200V程度の負のバイアス電圧を印加するのが望ましいと言える。
【0082】
5─3.実施例No.14〜20(バイアス電圧を印加しつつイオンプレーティング法で作製したPDP)と比較例No.1〜3との比較
表3に示すように、実施例No.14〜20のPDPについて保護層のカソードルミネッセンスを測定した結果、No.14、15、19のMgO保護層、実施例No.16、17、20のAl2O3保護層、実施例No.18のMgAl2O4保護層のそれぞれについて、表1および表2、表4と同様の各発光ピークが確認された。すなわちこれら実施例No.14〜20の保護層には、1個および2個の自由電子をそれぞれトラップするF中心が形成されていることが示された。
【0083】
次に実施例No.14〜20と比較例No.1〜3のデータを全体的に比較すると、パネル輝度において、実施例No.1〜13とほぼ同様に、比較例No.1〜3(約400cd/m2)に対し実施例No.4〜20(505cd/m2以上)が100cd/m2以上も向上している結果が測定された。特に実施例No.20、16、25の各Al2O3保護層においては、それぞれ530cd/m2、540cd/m2、525cd/m2と比較的高いパネル輝度を発揮した。
【0084】
また放電開始電圧Vfにおいては、比較例No.1〜3(250V前後)に対し実施例No.14〜20(160〜175V前後)と75V程度まで低電圧を実現できる効果が見られた。さらに放電維持電圧Vmでは、比較例No.1〜3(190〜200V程度)に対し実施例No.14〜20(105V前後)が100V程度まで低減されている。これらVm、Vfに関しては、実施例No.20が最もバランスよく優れるといった結果が得られた(Vf=160V、Vm=100V)。
【0085】
このように実施例No.20がパネル輝度、電力効率ともに優れているのは、二次電子の放出量が多いためと思われる。
比較例No.1〜3に対する実施例No.14〜20の測定結果も、2個の自由電子をトラップしたF中心により、従来よりも二次電子が豊富に得られ、プラズマが二次電子によって低電力でも良好に拡大され、パネル輝度および電力効率などにおいて優れた性能が発揮されたことを表していると思われる。
【0086】
なお当該表3のデータから、実際にバイアス電圧を利用したイオンプレーティング法でPDPを作製するときは、0.01〜1.0Pa程度の圧力下で、かつフロントパネルに─100〜─200V程度の負のバイアス電圧を印加するのが望ましいと言える。
6.その他の事項
上記実施の形態および実施例ではハイビジョン型PDPを作製する例について示したが、当然ながら本発明はこれに限定するものではなく、別の規格のPDPやガス放電パネルに適用してもよい。
【0087】
さらに、放電ガスはNe─Xe系に限らず、これ以外の放電ガスであってもよい。
また、上記実施の形態および実施例では保護層に負のバイアス電圧を印加する例を示したが、本発明はこれに限定せず、プラズマCVD装置、スパッタ装置、イオンプレーティング装置等の高周波発生部とフロントパネルとの間に上記負のバイアス電圧に相当する電圧差を設けることができればよい。
【0088】
また、本発明ではプラズマCVD装置、スパッタ装置、イオンプレーティング装置のいずれかを組み合わせてもよく、これによって例えば異なる材料を積層して保護層を形成するようにしてもよい。
さらに、本発明の保護層を構成する金属酸化物として酸化マグネシウムMgO、酸化アルミニウムAl2O3、スピネルMgAl2O4を挙げたが、これらのいずれかを組み合わせて保護層を形成してもよいし、これ以外の材料で保護層を構成しても構わない。
【0089】
さらに、上記実施の形態および実施例は誘電体層本体に保護層を積層し、これを誘電体層とする例を示したが、誘電体層本体を上記金属酸化物から構成し、保護層を省略する構成としてもよい。
さらに、2個の自由電子がトラップされたF中心を形成し易くする方法の一つとして、プラズマCVD装置、スパッタ装置、イオンプレーティング装置等の内部の雰囲気中におけるO2濃度を低くしたり、H2等の還元性ガスを添加すると効果的に上記F中心が形成されることが別の実験により明らかになっている。本発明ではこのような方法を併用することによってF中心を形成するようにしてもよい。
【0090】
【発明の効果】
以上のことから明らかなように、本発明は第一の電極と誘電体層が表面にその順に形成された第一のプレートと、第二のプレートが、前記誘電体層と対向するように配設されたガス放電パネルであって、前記誘電体層は、少なくとも第二のプレートに対向する表面が金属酸化物より構成され、かつ当該金属酸化物の結晶構造中には2個の自由電子がトラップされた酸素欠陥が含まれているので、消費電力を上昇させることなく前記2個の自由電子により放電規模が良好に拡大され、パネル輝度が向上する。また当該自由電子により放電中の電子数が豊富になるので、放電遅れが改善され、走査速度の向上が期待できる。したがって従来より低い駆動電圧で駆動でき、かつ良好な発光効率が得られるので、優れたハイビジョン型PDPなどのガス放電パネルを実現が可能となる。
【0091】
このような本発明のガス放電パネルは、第一の電極を形成した第一のプレート表面に誘電体層を形成する第一ステップと、第一のプレート面と第二のプレート面を対向して貼着する第二ステップとを備えるガス放電パネルの製造方法によって、前記第一ステップにおいて、プラズマCVD装置、スパッタ装置、イオンプレーティング装置から選択した装置を用い、当該装置の高周波発生部と第一のプレートとの間にバイアス電圧を印加しつつ、少なくとも第二のプレートに対向する表面部分が金属酸化物からなる誘電体層を形成することにより製造が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一適用例である交流面放電型PDPの部分的な断面斜視図である。
【図2】PDPの厚み方向の部分断面図である。
【図3】プラズマCVD装置の概略図である。
【図4】スパッタ装置の概略図である。
【図5】イオンプレーティング装置の概略図である。
【符号の説明】
20 フロントパネル
21 フロントパネルガラス
22、23 表示電極
24 誘電体層
26 バックパネル
28 アドレス電極
38 放電空間
40 プラズマCVD装置
41a、41b、61a Arガスボンベ
42、43 気化器
42L、43L 液体ソース物質(金属キレートおよびシクロペンタジエニル化合物)
42H、43H ヒータ
44、61b O2ガスボンベ
45 プラズマCVD装置本体
46、63、81 プレート加熱ヒータ
47、64 高周波発生装置
48、67、88 高周波電源
49、66、83 減圧ポンプ
50、64、86 バイアス電源
60 スパッタ装置
62 ターゲット材(固体ソース物質)
65 スパッタ装置本体
80 イオンプレーティング装置
82、472、642 加熱テーブル
84 ホローカソード蒸発源
85 プラズマ発生コイル
89 電源
241 誘電体層本体
242 保護層
471、641 高周波発生部
C1〜C7 バルブ
L1〜L12 配管[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a gas discharge panel used for a display device or the like and a manufacturing method thereof, and more particularly, to a high-quality plasma display panel and a manufacturing method thereof.
[0002]
[Prior art]
In recent years, expectations for high-definition and large-screen displays such as high-definition have been increasing, and research has been conducted on various display devices such as CRT, liquid crystal display (LCD), and plasma display panel (PDP) in order to meet their expectations. Has been developed.
[0003]
CRTs that have been widely used as television displays have been excellent in terms of resolution and image quality, but they tend to increase in depth and weight as they become larger, and are not suitable for larger screens of 40 inches or more. is there. LCD has low power consumption and has the advantage of avoiding problems with depth and weight, but has problems that should be improved in terms of process cost and response speed for display when the screen is actually enlarged. .
[0004]
Compared to such a CRT or LCD, a PDP used in a gas discharge display device is relatively easy to enlarge on a small screen. A PDP has a plurality of pairs of barrier ribs (ribs) formed between two glass plates in a stripe shape and phosphor layers arranged for each color of RGB between the barrier ribs and arranged perpendicular to the longitudinal direction of the barrier ribs. The display electrode discharges in a discharge gas (He-Xe system, Ne-Xe system, etc.) sealed in the discharge space between the barrier ribs and the glass plate, and the phosphor is excited and emitted by ultraviolet rays (UV) generated thereby. To display.
[0005]
As for the PDP having such a structure, a 50-inch class product has already been developed.
[0006]
[Problems to be solved by the invention]
The panel luminance of the PDP mainly depends on the intensity of ultraviolet rays generated in the discharge gas. Current 40-42 inch class (640 x 480 pixels, cell pitch 0.43 mm x 1.29 mm, unit cell area 0.55 mm2) NTSC PDP of 150 to 250 cd / m depending on ultraviolet rays (wavelength of about 147 nm)2The luminous efficiency is obtained.
[0007]
On the other hand, a high-definition type PDP that has attracted attention in recent years is, for example, a 42-inch class with a pixel number of 1920 × 1125, a cell pitch of 0.15 mm × 0.48 mm, and a unit cell area of 0.072 mm.2Such a performance is required, and the structure is considerably higher than that of current PDP products. In general, the intensity of ultraviolet rays is proportional to the volume of the discharge space, and the light emission efficiency also depends on the ultraviolet light receiving area of the phosphor layer. Therefore, in a high-definition PDP, the discharge space is small and the light emission efficiency tends to decrease. Therefore, when a high-definition type PDP is manufactured by the conventional technology, the luminous efficiency is 30 to 40 cd / m.2It seems that it will go down to. In order to perform good screen display with a high-definition PDP, it is necessary to dramatically improve the light emission efficiency.
[0008]
In a high-definition panel, the gap between each pair of display electrodes is narrower than before. In this case, under a general discharge gas sealing pressure (500 to 760 Torr), the discharge start voltage at each pair of display electrodes is higher than in the past (Paschen's law). In a high-definition PDP, the number of unit cells is large, and the number of display electrodes is proportional to this. Therefore, it is expected that the overall power consumption of the PDP will increase considerably. In the present day when products with low power consumption are desired, it is necessary to suppress such an increase in power consumption.
[0009]
In addition, the number of scanning lines in a high-definition PDP increases approximately three times as compared with the prior art. This means that a scanning speed about three times that of the prior art is required to display a high-resolution screen such as a high-vision type PDP. Here, there is a property that a slight time delay (discharge delay) occurs between the application of a pulse to each pair of display electrodes and the actual discharge. For this reason, in order to display a high-resolution screen with a high-definition PDP, it is necessary to improve the scanning speed by keeping the discharge delay short.
[0010]
As described above, the present invention has been made mainly in view of the three problems of improvement of panel luminance, suppression of power consumption, and improvement of scanning speed, and the object thereof can be driven with a lower driving voltage than in the prior art. And it is providing the gas discharge panel excellent in luminous efficiency, and its manufacturing method.
[0011]
[Means for solving the problems]
In order to solve the above-described problem, the present invention provides a first plate having a first electrode and a dielectric layer formed on a surface thereof in that order, and a second plate disposed so as to face the dielectric layer. As the gas discharge panel, the dielectric layer has at least a surface facing the second plate made of a metal oxide, and oxygen in which two free electrons are trapped in the crystal structure of the metal oxide. Defects are assumed to be included.
[0012]
By the dielectric layer having such a configuration, primary electrons generated due to ionization of the discharge gas at the start of discharge are at least a layer made of a metal oxide on the surface of the dielectric layer (hereinafter also referred to as embodiments and examples). Collision with oxygen defects in the protective layer), and two free electrons are emitted as secondary electrons into the discharge space. In the present invention, since oxygen defects that trap two free electrons are present in the protective layer, there are more secondary electrons than the conventional protective layer that mainly has only oxygen defects that trap one free electron. can get.
[0013]
Therefore, in the present invention, even when the same voltage is applied, a relatively abundant number of electrons are present in the discharge space, a plasma of a good scale is formed with low power, and a gas discharge panel with excellent luminous efficiency is obtained. It can be realized. In addition, the presence of abundant secondary electrons makes it easy to quickly form a discharge even when a low voltage is applied, so an effect of improving the scanning speed can be expected.
[0014]
For this reason, the present invention is particularly effective for a gas discharge panel such as a high-vision type PDP.
As the metal oxide, magnesium oxide (MgO), aluminum oxide (Al2O3), Spinel (MgAl2O4) And the like.
Such a gas discharge panel of the present invention includes a first step of forming a dielectric layer on the surface of the first plate on which the first electrode is formed, and the first plate surface and the second plate surface facing each other. A gas discharge panel manufacturing method comprising a second step of attaching, in the first step, using a device selected from a plasma CVD device, a sputtering device, and an ion plating device, It is possible to manufacture by forming a dielectric layer made of a metal oxide at least on the surface portion facing the second plate while applying a bias voltage to the other plate.
[0015]
Specifically, as will be described in the examples described later, it has become clear that it is desirable to manufacture under the following conditions.
That is, when a plasma CVD apparatus is used, in the first step, a layer made of the metal oxide is applied while applying a negative bias voltage of −100 V to −200 V to the first plate under a pressure of 30 Pa to 300 Pa. It is desirable to form.
[0016]
When a sputtering apparatus is used, in the first step, the negative electrode is applied with a negative bias voltage of −100 V to −200 V to the first plate under a pressure of 0.1 Pa to 10 Pa. It is desirable to form a layer.
Further, when using an ion plating apparatus, in the first step, a negative bias voltage of −500 V to −1500 V is applied to the first plate under a pressure condition of 0.01 Pa to 1.0 Pa, It is desirable to form a layer made of the metal oxide.
[0017]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
1. Configuration of gas discharge panel (PDP)
1-1. Overall structure of PDP
FIG. 1 is a partial sectional perspective view showing a main configuration of a PDP AC surface discharge type PDP (hereinafter simply referred to as “PDP”) which is an example of a gas discharge panel according to an embodiment of the present invention. In the drawing, the z direction corresponds to the thickness direction of the PDP, and the xy plane corresponds to a plane parallel to the panel surface of the PDP. This PDP is configured to meet the high-vision specifications of the 42 inch class.
[0018]
As shown in FIG. 1, the PDP includes a
A
[0019]
The
[0020]
A plurality of address electrodes 28 having a thickness of 5 μm and a width of 60 μm are arranged on one side of the back panel glass 27 serving as a substrate of the back panel 26 in a stripe pattern at regular intervals (about 150 μm) with the y direction as the longitudinal direction. A dielectric film 29 having a thickness of 30 μm is coated over the entire surface of the back panel glass 27 so as to enclose the address electrodes 28. On the dielectric film 29, a partition wall 30 having a height of 100 μm and a width of 35 μm is disposed in accordance with the gap between the adjacent address electrodes 28, and on the side surface of the adjacent partition wall 30 and the surface of the dielectric film 29 therebetween. The phosphor layers 31 to 33 corresponding to any one of red (R), green (G), and blue (B) are formed. These RGB phosphor layers 31 to 33 are sequentially arranged in the x direction.
[0021]
The
[0022]
A discharge space 38 is formed between adjacent barrier ribs 30, and a region where a pair of
When the PDP is driven, a panel driving unit (not shown) selects either the address electrode 28 or the display electrodes 22 and 23 (in the present embodiment, this is the
[0023]
Here, the main feature of the present PDP is the configuration of the protective layer 242. The protective layer 242 is characterized in that an oxygen defect (F center) trapping two free electrons exists in the crystal structure.
1-2. Effects of the configuration of the protective layer of the present embodiment
According to the PDP having the protective layer having the above-described configuration, when a pulse is applied to each pair of
[0024]
FIG. 2 is a cross-sectional view in the z direction of the
[0025]
Here, when the secondary electron emission coefficient is γ and the discharge start voltage is Vf, these relations can be expressed by the following formula 1 (see “Plasma Display”, Kyoritsu Shuppan 1983, pp. 43).
[Expression 1] Vf = E / αln (1 / γ + 1)
E and α are both constants determined by the type of discharge gas.
[0026]
As shown in Equation 1, since the discharge start voltage Vf and the secondary electron emission coefficient γ are in an inversely proportional relationship, the secondary layer emission amount is improved by the protective layer 242 of the present invention, which has improved the amount of secondary electrons emitted conventionally. Since the secondary electron emission coefficient γ takes a large value, the discharge start voltage Vf is reduced.
As a result, the plasma is expanded by abundant secondary electrons, good fluorescence is obtained, and the panel brightness is improved. In addition, since the number of electrons in the plasma becomes abundant, the voltage (writing voltage) at the time of address discharge is also suppressed, and the power consumption for driving the PDP as a whole is efficiently reduced.
[0027]
In addition, the write voltage is suppressed in the state where there are abundant secondary electrons in the discharge space 38, and address discharge can be performed at a lower voltage than before, and the discharge is performed after applying a pulse to each
[0028]
In addition to MgO, Al2O3, MgAl2O4The F center that traps two secondary electrons in the crystal structure can be formed with a material such as (refer to “Materials of Electrical Discharge Study Group” ED-98-202 1998). Therefore, in the present invention, these materials are also protected. It can be used as a material for the layer 242.
With the above-described configuration of the protective layer 242, the present PDP can obtain good panel luminance and excellent luminous efficiency. The reason can be specifically considered as follows.
[0029]
1-3. About the difference in the protective layer between the conventional and this embodiment
As described above, in the PDP, a plasma of a discharge gas is formed in the discharge space based on the discharge generated from each pair of
[0030]
The primary electrons derived from the discharge of each pair of
Here, a portion called an oxygen defect (F center) that traps free electrons exists in the crystal structure of the protective layer 242 heretofore. When primary electrons collide with the center of F, free electrons trapped in oxygen defects jump out into the discharge space 38 and become secondary electrons. Since the plasma in the discharge space 38 is also formed by secondary electrons, the discharge scale is increased as the discharge space 38 is filled with secondary electrons. In other words, the larger the number of secondary electrons in the discharge space 38, the larger the plasma and the higher the panel brightness. Therefore, the larger the number of secondary electrons obtained for the primary electrons, the better ("Plasma Display" Kyoritsu Publishing Co., Ltd.) ) Pp. 47-49, 1982).
[0031]
Here, the F center existing in the conventional protective layer is a kind that traps only one free electron (see Y. CHEN, Phys. Rev. Volume. 182 No. 3 pp. 182, 1969). Even if one primary electron hits the F center, only one secondary electron was obtained. Therefore, it is difficult to efficiently acquire secondary electrons and effectively utilize the plasma to expand the panel brightness.
[0032]
In contrast, in the present invention, an F center in which two free electrons are trapped is formed in the crystal structure of the protective layer 242, and two secondary electrons are theoretically obtained by collision of one primary electron. In this way, sufficient secondary electrons are obtained to improve the panel brightness.
1-4. Method for confirming existence of oxygen defect (F center) in protective layer
The F center in which two free electrons are trapped exhibits a unique emission peak in the cathodoluminescence measurement, so that the presence can be confirmed. Specifically, in the case of MgO, it exhibits respective emission peaks of wavelengths 355, 574, and 975 nm, and Al2O3In the case of, the emission peak at 410 nm, and further MgAl2O4In the case of, each emission peak of 355, 410, and 700 nm is exhibited. Conventionally, the emission peak of cathodoluminescence at the F center that traps one free electron existing in the protective layer is 700 nm for MgO, Al2O3300nm, MgAl2O4Is known to be 300 nm (for details, see Al2O3For the Meteorological Society of Japan, ED98-202, pp. 23, 1998, for MgO, see Phys. Rev. B. Volume. 1 No. 4, 15, Feb. See 1970 etc., MgAl2O4About Al2O3And analogy).
2. Manufacturing method of PDP
Next, an example of the method for manufacturing the PDP will be described.
[0033]
2-1. Front panel fabrication
A photoresist (for example, an ultraviolet curable resin) is applied to the entire surface of the
[0034]
Subsequently,
Thus, the
[0035]
Next, lead oxide (PbO), boron oxide (B2O3), An organic binder (a solution of 10% ethyl cellulose in α-terpineol) mixed in a weight ratio of 75:15:10 is coated over the entire surface of the
[0036]
Next, on the surface of the
Thus, the
[0037]
2-2. Back panel fabrication
On the surface of the back panel glass made of soda lime glass 27 having a thickness of about 2.6 mm, a conductive material mainly composed of silver (Ag) is applied in stripes at regular intervals by a screen printing method. An address electrode 28 of 5 μm is formed.
Subsequently, a lead-based glass paste is applied over the entire surface of the back panel glass 27 on which the address electrodes 28 are formed to a thickness of about 20 to 30 μm and baked to form a dielectric film 29.
[0038]
Next, a partition 30 having a height of about 120 μm is formed on the dielectric film 29 for each gap (about 150 μm) between adjacent address electrodes 28 using the same lead-based glass material as the dielectric film 29. The partition wall 30 can be formed, for example, by repeatedly screen-printing a paste containing the glass material and then firing it.
Once the barrier ribs 30 are formed, red (R) phosphor, green (G) phosphor, and blue (B) fluorescence are formed on the wall surfaces of the barrier ribs 30 and the surface of the dielectric film 29 exposed between the adjacent barrier ribs 30. A fluorescent ink containing any one of the bodies is applied and dried and fired to form phosphor layers 31 to 33, respectively.
[0039]
Examples of phosphor materials generally used for PDP are listed below.
Red phosphor; (YxGd1-x) BO3: Eu3+
Green phosphor; Zn2SiO4: Mn
Blue phosphor; BaMgAl10O17: Eu3+(Or BaMgAl14O23: Eu3+)
As each phosphor material, for example, a powder having an average particle diameter of about 3 μm can be used. There are several methods of applying the phosphor ink. Here, a method of discharging the phosphor ink while forming a meniscus (cross-linking by surface tension) from a very fine nozzle called a known meniscus method is used. This method is convenient for uniformly applying the phosphor ink to the target area. Of course, the present invention is not limited to this method, and other methods such as a screen printing method can be used.
[0040]
Thus, the back panel 26 is completed.
Although the
2-3. Completion of PDP
The produced
[0041]
Thus, the PDP according to the present embodiment is completed.
Next, a method for forming the protective layer 242 will be described in detail.
3. Detailed method for forming protective layer
As described above, in order to produce the protective layer 242 with a good secondary electron emission amount, the present invention forms F centers in which two free electrons are trapped in the crystal structure. In order to form the F center, basically, the material (source material) of the protective layer 242 may be deposited by colliding with the surface of the
[0042]
3-1. Method for forming protective layer by plasma CVD method
FIG. 3 is a schematic view of a plasma CVD apparatus.
The
[0043]
The
[0044]
The Ar gas cylinder 41a (41b) supplies Ar gas, which is a carrier gas, to the vaporizer (bubbler) 42 (43) via the valve C1 (C2) and the pipe L1 (L3).
The vaporizer 42 (43) is heated by a
[0045]
In addition, as a metal chelate and a cyclopentadienyl compound, for example, as a source material for Mg, Magnesium Dipyvalyl Methane [Mg (C11H19O2)2], Magnesium Acetylacetone [Mg (C5H7O2)2], Cyclopentadienyl Magnesium [Mg (C5H5)2], Magnesium Trifluoroaceticlacetone [Mg (C2H5F3O2)2On the other hand, as a source material for Al, Aluminum Dipivalyl Methane [Al (C11H19O2)3], Aluminium Acetylacetone [Al (C5H7O2)3], Aluminum Trifluoroaceticlacetone [Al (C5H5F3O2)3] Etc. are mentioned.
[0046]
Actually using such source materials, MgO, Al2O3, MgAl2O4When producing any of the above, MgO or Al2O3Is a single source material of Mg or Al, MgAl2O4Uses a source material of Mg and Al mixed at a molar ratio of 1: 2.
O2The
[0047]
The
According to the
[0048]
Subsequently, the
[0049]
3-2. Formation of protective layer by sputtering
FIG. 4 is a schematic view of a sputtering apparatus. In the drawing, the sputtering apparatus main body 65 has a cross-sectional structure.
The
[0050]
The
[0051]
The high frequency generator 641 has MgO, Al as a protective layer material on the surface facing the front panel 20.2O3, MgAl2O4The solid source material (target material 62) is attached.
[0052]
The
According to the
[0053]
Subsequently, the
[0054]
3-3. Method for forming protective layer by ion plating method
FIG. 5 is a schematic diagram of an ion plating apparatus. In the drawing, the ion plating apparatus
The present
[0055]
The heating table 82 is heated by the
The
[0056]
The
Although the hollow
[0057]
According to the
[0058]
Subsequently, the
4). Production and performance measurement of examples and comparative examples
Next, the PDP of the present embodiment was manufactured according to the above manufacturing method, the peak of cathodoluminescence of the protective layer was measured, and the discharge start voltage Vf and the discharge sustain voltage Vm were measured.
[0059]
4-1. Production of PDP (Example No. 1 to 6) using protective layer by plasma CVD method
In the plasma CVD method with a negative bias voltage applied, a protective layer is prepared by changing the conditions such as the temperature of the vaporizer, the heating temperature of the front panel (FP), and the pressure inside the apparatus (atmosphere). The PDP used in Example No. 1-6.
[0060]
The specifications of the plasma CVD method at this time are as follows.
-Internal pressure of plasma CVD apparatus main body: 30 Pa to 300 Pa
Ar gas flow rate: 1 l / min
・ O2Gas flow rate: 0.5 l / min
・ High frequency output: 300W (13.56MHz)
-Protective layer thickness formation rate: 0.9 μm / min
Here, the protective layer of each example is the same as that of Example No. 1-3, MgO, Example No. 4 and 5 are Al2O3, Example No. 6 is MgAl2O4It was.
[0061]
4-2. Production of PDP (Example Nos. 7 to 13) using a protective layer by sputtering
Next, in a sputtering method in which a negative bias voltage was applied, a protective layer was prepared by changing conditions such as the heating temperature of the FP and the pressure of the atmosphere. 7-13.
[0062]
Here, the protective layer of each example is the same as that of Example No. 7 and 8, MgO, Example No. 9 is Al2O3, Example No. 10 is MgAl2O4It was. In addition, Example No. 11 and no. 12 is a simple substance of Mg or Al and O by reactive sputtering.2React with gas, MgO protective layer or Al2O3A protective layer was formed. Furthermore, Example No. 13, MgO having a thickness of 0.3 μm and (Al2O3) To form a protective layer.
[0063]
4-3. Production of PDP (Example No. 14 to 20) using protective layer by ion plating method
Next, in the ion plating method in which a negative bias voltage is applied, a protective layer is formed by changing conditions such as the heating temperature of the FP and the pressure of the atmosphere. 14-20.
[0064]
The specifications of the sputtering method at this time are as follows.
・ Internal pressure of main body of sputtering apparatus: 0.1 Pa to 10 Pa
Ar gas flow rate: 10cc / min
・ O2Gas flow rate: 1cc / min
・ High frequency output: 500W (13.56MHz)
・ Thickness forming rate of protective layer: 0.3 μm / min
Here, the protective layer of each example is the same as that of Example No. 14 and 15, MgO, Example No. 16 and 17 Al2O3, Example No. 18 is MgAl2O4In addition, Example No. 19 and No. 20 and 20 are respectively formed of Mg or Al metal and O by reactive ion plating.2React with gas, MgO protective layer or Al2O3A protective layer was formed.
[0065]
4-4. Production of PDP (Comparative Examples No. 1 to 3) using a protective layer by vacuum deposition
In each of the above Example Nos. In order to compare the performance with the PDPs 1 to 20, a protective layer was formed by using a vacuum vapor deposition method, which is a conventional method for producing a protective layer. 1-3.
In addition, as a vacuum evaporation method, MgO, Al2O3, MgAl2O4Each was vapor-deposited by heating with an electron beam. Moreover, the specification of the vacuum evaporation method at this time is as follows.
・ Internal pressure of vacuum evaporation system body: 0.1Pa
Ar gas flow rate: 10cc / min
・ O2Gas flow rate: 1cc / min
・ Output of electron gun used for heating: 30kW
-Protective layer thickness formation rate: 0.9 μm / min
4-5. Cathodoluminescence measurement method
For each example and each comparative example, cathodoluminescence was measured in order to identify the presence of oxygen defects (F center) in the crystal structure of the protective layer.
[0066]
Specifically, a Xe flash lamp (L2435 manufactured by Hamamatsu Photonics) and a bandpass filter (BPF254 manufactured by Asahi Spectroscopy) with a narrow band (pass wavelength 254 nm) are combined to cause the Xe lamp to emit light in a dark room, and the light passing through the filter. Was condensed on the protective layer with a lens, and the cathodoluminescence of the protective layer was measured with a multichannel spectrometer (MCPD2000 manufactured by Otsuka Electronics Co., Ltd.).
[0067]
4-6. Method for measuring discharge start voltage Vf, discharge sustain voltage Vm and panel brightness
For each of the above examples and comparative examples, in order to investigate the effect of the F center of the protective layer, an AC power supply is connected to the display electrode of the PDP, a voltage is gradually applied, and the voltage at the time when the discharge starts is discharged over the entire surface. It was measured as the starting voltage Vf. Further, the voltage was lowered after the start of discharge, and the voltage immediately before the discharge disappeared was measured as the discharge sustaining voltage Vm.
[0068]
Further, the panel brightness was measured by the discharge sustain voltage when the entire panel was lit, and the brightness when driven at a frequency of 30 KHz was measured.
Example No. obtained in this way. 1-20 and Comparative Example No. Tables 1 to 4 below show the measurement results of the cathode luminescence and the panel luminance of 1 to 3 together with the protective layer production conditions, the Ne—Xe ratio of the discharge gas, and the like.
[0069]
[Table 1]
[0070]
[Table 2]
[0071]
[Table 3]
[0072]
[Table 4]
[0073]
5). Example performance evaluation
5-1. Example No. 1 to 6 (PDP produced by plasma CVD while applying a bias voltage) and Comparative Example No. Comparison with 1-3
As shown in Table 1, Example No. In the MgO protective layers 1 to 3, the emission peaks of 355 nm, 574 nm, 700 nm, and 975 nm were mainly observed in the cathodoluminescence regardless of the type of the source material. Comparative Example No. Compared to the MgO protective layer 1, only the emission peak at 700 nm coincides in these four PDP protective layers. This is the case with Example No. 1 to 3 and Comparative Example No. 1 In the MgO protective layer, an F center in which one free electron was trapped was formed. This suggests that two free electron-trapped F centers were formed in the MgO protective layers 1 to 3 (Phys. Rev. B. Volume. 1 No. 4, 15, Feb. 1970). reference).
[0074]
In addition, Example No. 4, 5 Al2O3As a result of measuring the cathodoluminescence of the protective layer, the emission peaks at 300 nm and 410 nm were similarly confirmed regardless of the source material. Comparative Example No. 2 Al2O3Compared with the protective layer, these three PDP protective layers have the same emission peak at 300 nm, indicating the presence of an F center that traps one free electron. 4, 5 Al2O3It seems that F center where two free electrons are trapped is formed in the protective layer.
[0075]
Next, Example No. 6 MgAl2O4As a result of measuring the cathode luminescence of the protective layer, emission peaks of 300 nm, 355 nm, 410 nm, and 700 nm were observed. 3 MgAl2O4In the protective layer, an emission peak of 300 nm is observed. Therefore, Example No. 6 and Comparative Example No. 3 is formed with an F center for trapping one free electron. It is considered that an F center trapping two free electrons was formed in 6.
[0076]
Next, Example No. 1-6 and Comparative Example No. Comparing the data of 1 to 3 as a whole, first, in the panel brightness, the comparative example No. 1-3 (about 400 cd / m2) In Example No. 1-6 (500 cd / m2) Is 100 cd / m2An improved result was measured. Next, in the discharge start voltage Vf, the comparative example No. 1-3 (around 250V), Example No. 1 to 6 (165 to 185 V) is reduced by a maximum of 80 V or more. 1 to 3 (about 190 to 200V). There are also cases where 1 to 6 (98 to 118 V) is reduced to about 100 V.
[0077]
Such Comparative Example No. Examples No. 1 to No. 3 The measurement results 1 to 6 show that the formation of the F center trapping two free electrons in the protective layer makes it possible to obtain abundant secondary electrons as compared with the conventional case, and the magnitude of plasma in the discharge space is two. Since secondary electrons could be expanded well even at low power, it is considered that very excellent performance was exhibited in both aspects of panel luminance and power efficiency related to discharge.
[0078]
From the data in Table 1, when a PDP is actually produced by plasma CVD using a bias voltage, a negative bias voltage of about −100 to −200 V is applied to the front panel under a pressure of about 30 to 300 Pa. It can be said that it is desirable to apply.
5-2. Example No. 7 to 13 (PDP produced by sputtering while applying a bias voltage) and Comparative Example No. Comparison with 1-3
As shown in Table 2, Example No. 7, 8, 11 and Comparative Example No. As a result of measuring the cathodoluminescence of the MgO protective layer of Example 1, The same emission peak as 1-6 was confirmed. Therefore, Example No. Based on the same considerations as 1 to 6 etc., Example No. 7, 8 and Comparative Example No. Both MgO protective layers have F centers that trap one free electron. 7 and 8, it seems that an F center in which two electrons were trapped was formed.
[0079]
In addition, Example No. 9, 12 Al2O3Each emission peak at 300 nm and 410 nm was confirmed in the protective layer. Of these, the emission peak at 410 nm is shown in Example No. Like 4 and 5, it seems to indicate the F center where two free electrons are trapped.
Furthermore, Example No. 10 and Comparative Example No. 3 MgAl2O4Comparing the protective layers, the 300 nm emission peak seen in both is the F center with one free electron trapped, and Example No. having other emission peaks. It can be seen that 10 indicates that F centers that trap two free electrons are formed.
[0080]
No. The protective layer 13 is MgO and Al2O3MgO and Al2O3It seems that both peaks were obtained.
Next, Example No. 7 to 13 and Comparative Example No. Comparing the data of 1 to 3 as a whole, in the panel brightness, the example No. As in Comparative Examples Nos. 1-6. 1-3 (about 400 cd / m2) In Example No. 7 to 13 (505 cd / m2Above) is 100 cd / m2An improved result was measured. Next, in the discharge start voltage Vf, the comparative example No. 1-3 (around 250V), Example No. 7 to 13 (around 185 to 195 V) and a voltage reduction effect of about 60 V were observed. Further, even with the sustaining voltage Vm, the comparative example No. 1 to 3 (about 190 to 200V). 7 to 13 (around 120V) is reduced to about 100V.
[0081]
Comparative Example No. Examples No. 1 to No. 3 The measurement results of 7 to 13 also show that the F center that traps two free electrons can obtain more secondary electrons than before, and the plasma can be expanded well even with low power by the secondary electrons. It shows that excellent performance was demonstrated in power efficiency and the like.
From the data in Table 2, when a PDP is actually produced by sputtering using a bias voltage, a negative bias of about −100 to −200 V is applied to the front panel under a pressure of about 0.1 to 10 Pa. It can be said that it is desirable to apply a voltage.
[0082]
5-3. Example No. 14-20 (PDP produced by ion plating while applying a bias voltage) and Comparative Example No. Comparison with 1-3
As shown in Table 3, Example No. As a result of measuring the cathodoluminescence of the protective layer with respect to 14 to 20 PDPs, 14, 15, 19 MgO protective layer, Example No. 16, 17, 20 Al2O3Protective layer, Example No. 18 MgAl2O4For each of the protective layers, the same emission peaks as those in Table 1, Table 2, and Table 4 were confirmed. That is, these Example Nos. It was shown that F centers for trapping one and two free electrons were formed in the 14 to 20 protective layers.
[0083]
Next, Example No. 14-20 and Comparative Example No. Comparing the data of 1 to 3 as a whole, in the panel brightness, the example No. Almost the same as Comparative Examples No. 1 to No. 13 1-3 (about 400 cd / m2) In Example No. 4-20 (505 cd / m2Above) is 100 cd / m2An improved result was measured. In particular, Example No. Each of 20, 16, 25 Al2O3In the protective layer, 530 cd / m each2540 cd / m2525 cd / m2And a relatively high panel brightness.
[0084]
In the discharge start voltage Vf, the comparative example No. 1-3 (around 250V), Example No. The effect which can implement | achieve a low voltage to 14-20 (around 160-175V) and about 75V was seen. Further, in the sustaining voltage Vm, the comparative example No. 1 to 3 (about 190 to 200V). 14-20 (around 105V) is reduced to about 100V. Regarding these Vm and Vf, Example No. The result that 20 was the best in balance was obtained (Vf = 160V, Vm = 100V).
[0085]
Thus, Example No. The reason why 20 is superior in both panel luminance and power efficiency is considered to be due to the large amount of secondary electrons emitted.
Comparative Example No. Examples No. 1 to No. 3 In the measurement results of 14 to 20, the F center which traps two free electrons can obtain abundant secondary electrons as compared with the conventional case, and the plasma can be favorably expanded by the secondary electrons even at low power. This seems to indicate that excellent performance was demonstrated in terms of efficiency.
[0086]
From the data in Table 3, when a PDP is actually manufactured by an ion plating method using a bias voltage, the pressure is about 0.01 to 1.0 Pa and the front panel is about -100 to 200 V. It can be said that it is desirable to apply a negative bias voltage.
6). Other matters
In the above-described embodiments and examples, an example of manufacturing a high-definition type PDP has been described, but the present invention is naturally not limited to this, and may be applied to another standard PDP or gas discharge panel.
[0087]
Furthermore, the discharge gas is not limited to the Ne—Xe system, and other discharge gases may be used.
In the above embodiments and examples, an example in which a negative bias voltage is applied to the protective layer has been described. However, the present invention is not limited to this, and high-frequency generation such as a plasma CVD apparatus, a sputtering apparatus, and an ion plating apparatus is performed. It is sufficient that a voltage difference corresponding to the negative bias voltage can be provided between the unit and the front panel.
[0088]
In the present invention, any of a plasma CVD apparatus, a sputtering apparatus, and an ion plating apparatus may be combined, and thereby, for example, different materials may be laminated to form a protective layer.
Further, magnesium oxide MgO, aluminum oxide Al as metal oxides constituting the protective layer of the present invention2O3Spinel MgAl2O4However, the protective layer may be formed by combining any of these, or the protective layer may be composed of other materials.
[0089]
Furthermore, although the said embodiment and Example showed the example which laminated | stacked a protective layer on the dielectric layer main body, and made this into a dielectric layer, the dielectric layer main body was comprised from the said metal oxide, and a protective layer was formed. A configuration may be omitted.
Further, as one of the methods for facilitating formation of the F center in which two free electrons are trapped, O in an atmosphere inside a plasma CVD apparatus, a sputtering apparatus, an ion plating apparatus or the like.2Reduce the concentration or H2It has been clarified by another experiment that the F center is effectively formed by adding a reducing gas such as. In the present invention, the F center may be formed by using such a method together.
[0090]
【The invention's effect】
As is apparent from the above, the present invention is arranged so that the first plate and the second plate having the first electrode and the dielectric layer formed on the surface in that order, and the second plate face the dielectric layer. A gas discharge panel provided, wherein the dielectric layer has at least a surface facing the second plate made of a metal oxide, and two free electrons are present in the crystal structure of the metal oxide. Since trapped oxygen vacancies are contained, the discharge scale is favorably expanded by the two free electrons without increasing the power consumption, and the panel luminance is improved. In addition, since the number of electrons during discharge becomes rich due to the free electrons, the discharge delay can be improved and the scanning speed can be expected to be improved. Therefore, it is possible to drive with a lower driving voltage than before and to obtain good light emission efficiency, and it is possible to realize an excellent gas discharge panel such as a high-vision type PDP.
[0091]
Such a gas discharge panel of the present invention includes a first step of forming a dielectric layer on the surface of the first plate on which the first electrode is formed, and the first plate surface and the second plate surface facing each other. A gas discharge panel manufacturing method comprising a second step of attaching, in the first step, using a device selected from a plasma CVD device, a sputtering device, and an ion plating device, It is possible to manufacture by forming a dielectric layer made of a metal oxide at least on the surface portion facing the second plate while applying a bias voltage to the other plate.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a partial cross-sectional perspective view of an AC surface discharge type PDP that is an application example of the present invention.
FIG. 2 is a partial cross-sectional view in the thickness direction of a PDP.
FIG. 3 is a schematic view of a plasma CVD apparatus.
FIG. 4 is a schematic view of a sputtering apparatus.
FIG. 5 is a schematic view of an ion plating apparatus.
[Explanation of symbols]
20 Front panel
21 Front panel glass
22, 23 Display electrode
24 Dielectric layer
26 Back panel
28 Address electrodes
38 Discharge space
40 Plasma CVD equipment
41a, 41b, 61a Ar gas cylinder
42, 43 vaporizer
42L, 43L Liquid source material (metal chelate and cyclopentadienyl compound)
42H, 43H heater
44, 61b O2 gas cylinder
45 Plasma CVD equipment body
46, 63, 81 Plate heater
47, 64 high frequency generator
48, 67, 88 High frequency power supply
49, 66, 83 Pressure reducing pump
50, 64, 86 Bias power supply
60 Sputtering equipment
62 Target material (solid source material)
65 Sputter device body
80 Ion plating equipment
82, 472, 642 Heating table
84 Hollow cathode evaporation source
85 Plasma generating coil
89 Power supply
241 Dielectric layer body
242 protective layer
471, 641 High frequency generator
C1-C7 valve
L1-L12 piping
Claims (7)
前記誘電体層は、少なくとも第二のプレートに対向する表面が金属酸化物より構成され、かつ当該金属酸化物の結晶構造中には2個の自由電子がトラップされた酸素欠陥が含まれていることを特徴とするガス放電パネル。A first plate having a first electrode and a dielectric layer formed on a surface thereof in that order; and a second plate, a gas discharge panel disposed to face the dielectric layer,
The dielectric layer has at least a surface facing the second plate made of a metal oxide, and the crystal structure of the metal oxide includes an oxygen defect in which two free electrons are trapped. A gas discharge panel characterized by that.
前記第一ステップにおいて、プラズマCVD装置、スパッタ装置、イオンプレーティング装置から選択した装置を用い、当該装置の高周波発生部と第一のプレートとの間にバイアス電圧を印加しつつ、少なくとも第二のプレートに対向する表面部分が金属酸化物からなる誘電体層を形成することを特徴とするガス放電パネルの製造方法。A gas discharge comprising a first step of forming a dielectric layer on the surface of the first plate on which the first electrode is formed, and a second step of attaching the first plate surface and the second plate surface to face each other A method of manufacturing a panel,
In the first step, an apparatus selected from a plasma CVD apparatus, a sputtering apparatus, and an ion plating apparatus is used, and a bias voltage is applied between the high frequency generator of the apparatus and the first plate, and at least a second voltage is applied. A method of manufacturing a gas discharge panel, wherein a dielectric layer made of a metal oxide is formed on a surface portion facing a plate.
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